説明

情報処理システムおよび方法、受信装置および方法、データ生成装置および方法、並びにプログラム

【課題】受信装置の機種を特定する識別子の枯渇を未然に抑制することができるようにする。
【解決手段】データ生成装置11−1は、受信機製作者1−1を特定する識別子(maker_id)であるメーカ識別子とともに、受信機製作者1−1において、更新する機種に応じて設定されているモデル識別子と拡張モデル識別子を、それぞれ対応する領域に記述して、SDTTを生成する。ダウンロード装置3は、SDTTを、放送装置4を介して、放送信号に多重して、市場5の受信機に提供する。受信機21A−2は、SDTTに記述のメーカ識別子、モデル識別子、拡張モデル識別子が自己のものとそれぞれ一致した場合、SDTTに基づいて、更新データをダウンロード(取得)する。本発明は、放送信号を受信する受信機の更新ソフトウェアデータを伝送するデジタルテレビジョン放送システムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよび方法、受信装置および方法、データ生成装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、市場に受信装置の機種が増えた場合であっても、所定の規格において規定されている受信装置の機種を特定するための識別子の枯渇によって機種の識別が不可能になることを抑制することができるようにした情報処理システムおよび方法、受信装置および方法、データ生成装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に示されるように、デジタルテレビジョン放送においては、放送局から送出される電波を利用して、受信機のソフトウェアを更新するための更新データを送受信する仕組みが運用されている。
【0003】
この運用では、放送局から、放送事業者のロゴやジャンルコードを含む共通データや、ソフトウェアの更新データなどがダウンロードデータとして送出される。そして、ダウンロードデータ(例えば、ソフトウェアの更新データ)が送出される前に、ソフトウェアの更新データのダウンロードが行われることを受信機に対して通知するためのダウンロード告知情報テーブル(SDTT:Software Download Trigger Table)が放送波に定期的に多重化(重畳)されて送出されており、このSDTTを不揮発性メモリに記憶し、監視することで、受信機は、自己のソフトウェアを更新する更新データを選択的にダウンロード(受信)し、更新データにより自己のソフトウェアを更新することができる(特許文献1参照)。
【0004】
SDTTには、非特許文献1において規定されている、SDTTであることを識別するテーブル識別子、受信機のメーカを識別するための識別子であるメーカ識別子(ID :identification)、および受信機の機種を識別するモデル識別子が記述されており、受信機は、内蔵するマルチプレクサにおいて、それらの識別子などをパラメータとしたハードウェアまたはソフトウェアのフィルタをかけることにより、SDTTの監視を行っている。
【0005】
このような従来の受信機がソフトウェアの更新データを取得する処理を、図1のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0006】
受信機は、放送波を受信すると、ステップS1において、マルチプレクサを用いて、受信した放送波に多重化されたセクションデータをフィルタリング処理する。セクションデータには、例えば、SDTT や、ソフトウェアの更新データ、EPG(Electronic Program Guide)情報などが含まれている。
【0007】
すなわち、マルチプレクサは、セクションデータに対して、非特許文献1において規定されているテーブル識別子、メーカ識別子、およびモデル識別子などをパラメータとしたハードウェアまたはソフトウェアのフィルタをかけることで、テーブル識別子、メーカ識別子、およびモデル識別子を抽出する。
【0008】
受信機は、テーブル識別子に基づいてこのセクションデータがSDTTであることを確認するとともに、ステップS2において、SDTTに記述されているメーカ識別子およびモデル識別子が受信機(自己)のメーカ識別子およびモデル識別子と一致するか否かを判定する。ステップS2において、SDTTに記述されているメーカ識別子およびモデル識別子が受信機のメーカ識別子およびモデル識別子と一致しないと判定された場合、このSDTTは、受信機に対応するものではないとされ、SDTTは破棄され、処理は、ステップS1に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0009】
ステップS2において、SDTTに記述されているメーカ識別子およびモデル識別子が受信機のメーカ識別子およびモデル識別子と一致すると判定された場合、処理は、ステップS3に進み、受信機は、SDTTを取得し、揮発性メモリに一旦展開させる。
【0010】
受信機は、SDTTに記述されている(ソフトウェアの)更新データのバージョン情報を取得し、受信機(自己)のソフトウェアのバージョンと比較し、ステップS4において、SDTTに記述されているバージョンが必要なバージョンであるか否かを判定する。SDTTに記述されているバージョンが受信機のソフトウェアのバージョンと同じ、もしくは小さい(古い)場合、SDTTに記述されているバージョンは必要なバージョンではないとされて、SDTTは破棄され、処理は、ステップS1に戻りそれ以降の処理が繰り返される。
【0011】
SDTTに記述されているバージョンが受信機のソフトウェアのバージョンよりも大きい(新しい)場合、SDTTに記述されているバージョンは必要なバージョンであるとされて、処理は、ステップS5に進む。
【0012】
受信機は、ステップS5において、SDTTのデータの解析(すなわち、SDTT内のその他の情報の確認)を行う。ここで、その他の情報とは、例えば、ダウンロードが行われるネットワークやサービスの情報、更新データを構成するモジュールの大きさ、更新データのダウンロード開始時刻などの非特許文献1で規定されている情報を示す。
【0013】
受信機は、ステップS6において、更新データのダウンロードの準備を行う。具体的には、受信機は、内蔵するクロックで計時動作を行い、SDTTに記述されている更新データのダウンロード開始時刻になるまで待機している。
【0014】
そして、受信機は、更新データのダウンロード開始時刻になったと判定した場合、ステップS7において、更新データをダウンロード(取得)する。すなわち、受信機は、放送信号を受信し、ダウンロードが行われるサービスを選局して、所定のサービスの放送信号から、更新データを取得する。これにより、受信機においては、ダウンロードした更新データで、ソフトウェアが更新される。
【0015】
【非特許文献1】デジタル放送用受信機標準規格ARIB STD-B21,4.0版,ダウンロード機能,社団法人 電波産業会,H15.2.6,P.120およびP.178
【特許文献1】特開2002−112133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のように、従来のデジタル放送システムによる、受信機のソフトウェアを更新するためのダウンロードの仕組みにおいては、受信機により放送波に多重化された複数のSDTTのうち、メーカ識別子、およびモデル識別子が、受信機が有する識別子を一致するものだけが選別して取得されて、そのSDTTに記述されたバージョンやダウンロードが行われるサービスなどの情報をもとに、必要な更新データのダウンロードの準備が開始されている。
【0017】
すなわち、受信機のソフトウェアを更新するためには、市場に発売された受信機のうち、ソフトウェアの種類が異なる受信機毎に、それぞれ固有な受信機の識別子を用いて、SDTTやコンテンツを送信する必要がある。
【0018】
しかしながら、現状、SDTTにおいて、非特許文献1で規定されている、受信機を特定する識別子であるモデル識別子が記述可能な領域は、8ビットしか設けられていないため、市場に発売される受信機の数が増えていくと、固有でなければならない識別子が枯渇してしまうことが考えられる。この場合、受信機のメーカは、新しい機種の受信機をしても、このダウンロードの仕組みを新しい機種の受信機のソフトウェアの更新に利用することができなくなってしまう。
【0019】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、受信装置の機種を特定する識別子の枯渇を未然に抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の側面の情報処理システムは、放送信号を受信する受信装置と、前記放送信号に多重化されて送信される、前記受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置からなる情報処理システムにおいて、前記データ生成装置は、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述手段と、前記情報記述手段により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成手段とを備え、前記受信装置は、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定手段と、前記規定識別子判定手段により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定手段と、前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得手段とを備える。
【0021】
前記受信装置は、前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致しないと判定された場合、前記告知情報を破棄する情報破棄手段をさらに備えることができる。
【0022】
前記データ生成装置の前記情報記述手段は、前記告知情報において、前記規定モデル識別子が記述される前記規定領域より後方に配置され、前記所定の規格において規定されていない、または、利用されていない所定の領域に、前記拡張モデル識別子を記述する
ことができる。
【0023】
前記拡張モデル識別子が記述される前記所定の領域は、プライベートデータ領域(Private_data_byte)であることができる。
【0024】
前記受信装置は、前記更新データ取得手段により取得された前記更新データを用いて、自己のソフトウェアを更新するソフトウェア更新手段をさらに備えることができる。
【0025】
本発明の第1の側面の情報処理方法は、放送信号を受信する受信装置と、前記放送信号に多重化されて送信される、前記受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置からなる情報処理システムの情報処理方法において、前記データ生成装置における、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域記述する情報記述ステップと、前記情報記述ステップの処理により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成ステップとを含み、前記受信装置における、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定ステップと、前記規定識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定ステップと、前記拡張識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得ステップとを含む。
【0026】
本発明の第2の側面の受信装置は、データ生成装置により生成され、放送信号に多重化された、ソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を受信する受信装置において、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、所定の領域に記述されて生成され、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定手段と、前記規定識別子判定手段により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定手段と、前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得手段とを備える。
【0027】
前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致しないと判定された場合、前記告知情報を破棄する情報破棄手段をさらに備えることができる。
【0028】
前記拡張モデル識別子は、前記告知情報において、前記規定モデル識別子が記述された規定領域より後方に配置され、前記所定の規格において規定されていない、または、利用されていない所定の領域に記述されることができる。
【0029】
前記拡張モデル識別子が記述される前記所定の領域は、プライベートデータ領域(Private_data_byte)であることができる。
【0030】
前記更新データ取得手段により取得された前記更新データを用いて、自己のソフトウェアを更新するソフトウェア更新手段をさらに備えることができる。
【0031】
本発明の第2の側面の受信方法は、データ生成装置により生成され、放送信号に多重化された、ソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を受信する受信装置の受信方法において、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、所定の領域に記述されて生成され、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定ステップと、前記規定識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定ステップと、前記拡張識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得ステップとを含む。
【0032】
本発明の第2の側面のプログラムは、データ生成装置により生成され、放送信号に多重化された、ソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を受信する受信装置用のプログラムであって、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、所定の領域に記述されて生成され、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定ステップと、前記規定識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定ステップと、前記拡張識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得ステップとを含む。
【0033】
本発明の第3の側面のデータ生成装置は、放送信号に多重化されて送信される、前記放送信号を受信する受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置において、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述手段と、前記情報記述手段により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成手段とを備える。
【0034】
前記生成手段は、前記告知情報において、前記規定モデル識別子が記述された規定領域より後方に配置され、前記所定の規格において規定されていない、または、利用されていない所定の領域に、前記拡張モデル識別子を記述することができる。
【0035】
前記拡張モデル識別子が記述される前記所定の領域は、プライベートデータ領域(Private_data_byte)であることができる。
【0036】
本発明の第3の側面のデータ生成方法は、放送信号に多重化されて送信される、前記放送信号を受信する受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置のデータ生成方法において、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述ステップと、前記情報記述ステップの処理により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成ステップとを含む。
【0037】
本発明の第3の側面のプログラムは、放送信号に多重化されて送信される、前記放送信号を受信する受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述ステップと、前記情報記述ステップの処理により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成ステップとを含む。
【0038】
第1の本発明においては、受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置により、放送信号を受信する受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、前記告知情報の所定の領域に記述され、前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報が生成される。そして、前記受信装置により、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かが判定され、前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かが判定される。また、前記拡張識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得される。
【0039】
第2の本発明においては、受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、所定の領域に記述されて生成され、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かが判定され、前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かが判定される。そして、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データが取得される。
【0040】
第3の本発明においては、受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、前記告知情報の所定の領域に記述される。そして、前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報が生成される。
【発明の効果】
【0041】
本発明の第1の側面によれば、受信装置の機種を特定する識別子の枯渇を未然に抑制することができる。これにより、受信装置の機種が増えた場合にも、受信装置のソフトウェアを容易に更新させることができる。
【0042】
本発明の第2の側面によれば、受信装置の機種が増えた場合にも、ソフトウェアの更新データを容易に取得することができる。
【0043】
本発明の第3の側面によれば、受信装置の機種を特定する識別子の枯渇を未然に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書または図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書または図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書または図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0045】
本発明の第1の側面の情報処理システム(例えば、図2のデジタルテレビジョン放送システム)は、放送信号を受信する受信装置(例えば、図2の受信機21A−2)と、前記放送信号に多重化されて送信される、前記受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置(例えば、図2のデータ生成装置11−1)からなる情報処理システムにおいて、前記データ生成装置は、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子(例えば、図9のmodel_id)を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域(例えば、図9のtable_id_ext)に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子(例えば、図8のsub_model_id)を、前記告知情報の所定の領域(例えば、図12のprivate_data_byte)に記述する情報記述手段(例えば、図4の情報記述部151)と、前記情報記述手段により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成手段(例えば、図4の告知情報生成部152)とを備え、前記受信装置は、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定手段(例えば、図5のデマルチプレクサ221)と、前記規定識別子判定手段により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定手段(例えば、図6の拡張ID判定部261)と、前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得手段(例えば、図6の更新データ取得部252)とを備える。
【0046】
前記受信装置は、前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致しないと判定された場合、前記告知情報を破棄する情報破棄手段(例えば、図6の告知情報取得部251)をさらに備えることができる。
【0047】
前記受信装置は、前記更新データ取得手段により取得された前記更新データを用いて、自己のソフトウェアを更新するソフトウェア更新手段(例えば、図6のソフトウェア更新部254)をさらに備えることができる。
【0048】
本発明の第1の側面の情報処理方法は、放送信号を受信する受信装置と、前記放送信号に多重化されて送信される、前記受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置からなる情報処理システムの情報処理方法において、前記データ生成装置における、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域記述する情報記述ステップ(例えば、図13のステップS11)と、前記情報記述ステップの処理により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成ステップ(例えば、図13のステップS12)とを含み、前記受信装置における、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定ステップ(例えば、図14のステップS42)と、前記規定識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定ステップ(例えば、図14のステップS45)と、前記拡張識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得ステップ(例えば、図15のステップS72)とを含む。
【0049】
本発明の第2の側面の受信装置(例えば、図2の受信機21A−2)は、データ生成装置(例えば、図2のデータ生成装置11−1)により生成され、放送信号に多重化された、ソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を受信する受信装置において、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子(例えば、図9のmodel_id)が、前記所定の規格において規定されている規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子(例えば、図8のsub_model_id)が、所定の領域に記述されて生成され、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定手段(例えば、図5のデマルチプレクサ221)と、前記規定識別子判定手段により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定手段(例えば、図6の拡張ID判定部261)と、前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得手段(例えば、図6の更新データ取得部252)とを備える。
【0050】
前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致しないと判定された場合、前記告知情報を破棄する情報破棄手段(例えば、図6の告知情報取得部251)をさらに備えることができる。
【0051】
前記更新データ取得手段により取得された前記更新データを用いて、自己のソフトウェアを更新するソフトウェア更新手段(例えば、図6のソフトウェア更新部254)をさらに備えることができる。
【0052】
本発明の第2の側面の受信方法またはプログラムは、データ生成装置により生成され、放送信号に多重化された、ソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を受信する受信装置の受信方法またはプログラムにおいて、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、所定の領域に記述されて生成され、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定ステップ(例えば、図14のステップS42)と、前記規定識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定ステップ(例えば、図14のステップS45)と、前記拡張識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得ステップ(例えば、図15のステップS72)とを含む。
【0053】
本発明の第3の側面のデータ生成装置(例えば、図2のデータ生成装置11−1)は、放送信号に多重化されて送信される、前記放送信号を受信する受信装置(例えば、図2の受信機21A−2)のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置において、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述手段(例えば、図4の情報記述部151)と、前記情報記述手段により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成手段(例えば、図4の告知情報生成部152)とを備える。
【0054】
本発明の第3の側面のデータ生成方法またはプログラムは、放送信号に多重化されて送信される、前記放送信号を受信する受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置のデータ生成方法またはプログラムにおいて、前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述ステップ(例えば、図13のステップS11)と、前記情報記述ステップの処理により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成ステップ(例えば、図13のステップS12)とを含む。
【0055】
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0056】
図2は、本発明を適用したデジタルテレビジョン放送(以下、デジタル放送とも称する)システムの構成例を表している。なお、図2の例においては、地上波デジタル放送を用いて説明する。
【0057】
このデジタル放送システムにおいては、放送装置4から、放送事業者のロゴやジャンルコードを含む共通データや、受信機毎のソフトウェアの更新データなどがダウンロードデータとして放送信号に多重化されて放送されている。
【0058】
Aタイプの受信機21A−1およびBタイプの受信機21B−1などを製作する受信機製作者(メーカ)1−1は、データ生成装置11−1を有している。データ生成装置11−1は、更新する機種の地上波デジタル放送用のソフトウェアの更新データや、更新データのダウンロードが行われることを市場の受信機に対して通知するためのダウンロード告知情報テーブル(SDTT:Software Download Trigger Table)を、機種毎に生成し、ダウンロード事業者の有するダウンロード装置3に提出(送信)する。
【0059】
このとき、データ生成装置11−1は、受信機製作者1−1を特定する識別子(maker_id)であるメーカ識別子(maker_id)とともに、受信機製作者1−1において、更新する機種に応じて設定されているモデル識別子(mobel_id)と拡張モデル識別子(sub_model_id)を、それぞれ対応する領域に記述して、SDTTを生成する。
【0060】
ここで、モデル識別子は、非特許文献1において受信機の機種を特定する識別子として規定されているものであり、拡張モデル識別子は、モデル識別子と組み合わせて用いることで、モデル識別子の数よりも多くの数の受信機の機種を一意的に識別するために受信機製作者1−1により設けられたものであり、モデル識別子と拡張モデル識別子の組み合わせは、受信機製作者1−1において機種毎に一意的に予め設定されている。
【0061】
すなわち、図2のデジタル放送システムにおいて、受信機は、モデル識別子だけでは一意的に識別されることはなく、モデル識別子および拡張モデル識別子を組み合わせることで、受信機は、一意的に識別される。換言するに、受信機製作者(メーカ)1−1により製作される受信機の中には、モデル識別子、あるいは、拡張モデル識別子が同じものが存在しうる。
【0062】
なお、受信機製作者1−1において製作される受信機21A−1および受信機21B−1は、出荷前に、メーカ識別子とともに、モデル識別子と拡張モデル識別子が予め記憶されてから市場に出荷される。
【0063】
Cタイプの受信機21C−1などを製作する受信機製作者1−2は、データ生成装置11−2を有している。データ生成装置11−2は、データ生成装置11−1と同様に、更新する機種の地上波デジタル放送用のソフトウェアの更新データやSDTTを、機種毎に生成し、ダウンロード事業者の有するダウンロード装置3に提出(送信)する。
【0064】
このとき、データ生成装置11−2も、データ生成装置11−1と同様に、受信機製作者1−2を特定する識別子であるメーカ識別子とともに、受信機製作者1−2において、更新する機種に応じて設定されているモデル識別子と拡張モデル識別子を、それぞれ対応する領域に記述して、SDTTを生成する。
【0065】
また、受信機製作者1−2においても、製作される受信機21C−1は、出荷前に、メーカ識別子とともに、モデル識別子と拡張モデル識別子が予め記憶されてから市場に出荷される。
【0066】
なお、以下、受信機製作者1−1および1−2、並びにデータ生成装置11−1および11−2を、個々に区別する必要がない場合、それぞれ、受信機製作者1およびデータ生成装置11と称する。
【0067】
ダウンロード装置3は、受信機製作者1−1および1−2の提出する更新データを集めて、スケジューリングし、これらの更新データや放送事業者のロゴやジャンルコードを含む共通データなどを、放送装置4を介して、ダウンロードデータとして放送信号に多重して放送する。なお、このとき、ダウンロードデータは、DSM-CCデータカルーセル方式で、データカルーセルとして放送信号に多重して放送される。
【0068】
また、ダウンロード装置3は、ダウンロードデータを送信する前に、受信機製作者1−1および1−2の提出するSDTTに、更新データに基づく必要な情報(例えば、更新データのダウンロードのスケジュールに基づく、更新データのダウンロード時刻やダウンロードを行うサービス(チャンネル)などのダウンロード情報)を記述して完成させ、完成したSDTTを、放送装置4を介して、放送信号に多重して放送する。
【0069】
市場5には、Aタイプの受信機21A−2および21A−3、Bタイプの受信機21B−2、およびCタイプの受信機21C−2などさまざまな機種のデジタル放送受信機が存在する。なお、以下、受信機21A−1乃至21A−3、受信機21B−1および21B−2、並びに、受信機21C−1および21C−2を、個々に区別する必要がない場合、それぞれ、単に受信機21A、21B、および21Cと称したり、まとめて、受信機21とも称する。
【0070】
市場5に存在する受信機21は、放送装置4からの放送信号を受信し、SDTTを取得する。上述したように、これらの受信機21には、予め対応する受信機製作者1によりメーカ識別子とともに、モデル識別子と拡張モデル識別子が記憶されている。
【0071】
受信機21は、まず、SDTTに記述(記載)されているメーカ識別子とモデル識別子を参照し、自己の(すなわち、受信機21に記憶されている)メーカ識別子とモデル識別子と一致するか否かを判定し、SDTTのメーカ識別子とモデル識別子が自己のメーカ識別子とモデル識別子と一致した場合、SDTTに記述されている拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する。
【0072】
SDTTに記述されている拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、受信機21は、SDTTに記述されている更新データのバージョンが、自己に記憶されているソフトウェアのバージョンよりも新しいならば、SDTTに基づいて、更新データのダウンロードの準備を行う。そして、受信機21は、SDTTに記述されている更新データのダウンロード開始時刻になったときに、ダウンロードデータが多重化された放送信号を受信することで、更新データをダウンロード(取得)し、ダウンロードした更新データを用いて、自己のソフトウェアを更新する。
【0073】
以上のように、図2のデジタル放送システムにおいては、規定のモデル識別子だけでなく、モデル識別子と拡張モデル識別子を組み合わせて、受信機の機種が一意的に識別される。これにより、規定のモデル識別子だけを用いて、受信機の機種を識別する場合よりも、多くの受信機を識別することができる。
【0074】
なお、図2の例においては、受信機製作者1が2つ、ダウンロード装置3および放送装置4が1台しか示されていないが、実際には、任意の複数の受信機製作者1、ダウンロード装置3、および放送装置4が存在する。また、市場5には、Aタイプの受信機21Aが2台、Bタイプの受信機21Bが1台、およびCタイプの受信機21Cが1台しか示されていないが、各受信機21も任意の複数台存在し、さらに、受信機の機種も、3種類に限定されず、複数種類存在する。
【0075】
図3は、データ生成装置11の構成例を表している。図3の例において、CPU(Central Processing Unit)111は、ROM(Read Only Memory)112に記憶されているプログラム、または記憶部118からRAM(Random Access Memory)113にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM113にはまた、CPU111が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0076】
CPU111、ROM112、およびRAM113は、バス114を介して相互に接続されている。このバス114にはまた、入出力インタフェース115も接続されている。
【0077】
入出力インタフェース115には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部116、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部117が接続されている。CPU111は、入力部116から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU111は、処理の結果を出力部117に出力する。
【0078】
入出力インタフェース115に接続されている記憶部118は、例えばハードディスクからなり、CPU111が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部119は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。また、通信部119を介してプログラムを取得し、記憶部118に記憶してもよい。
【0079】
入出力インタフェース115に接続されているドライブ120は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア121が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部118に転送され、記憶される。
【0080】
なお、図示は省略するが、ダウンロード装置3および放送装置4も、図3に示したデータ生成装置11と基本的に同様の構成とされる。従って、以下の説明においては、図3のデータ生成装置11の構成は、必要に応じて、ダウンロード装置3または放送装置4の構成としても引用される。
【0081】
図4は、SDTTの生成処理を行うデータ生成装置11の機能構成例を示している。図4に示される機能ブロックは、図3のCPU111により所定の制御プログラムが実行されることで実現される。
【0082】
図4に示される機能ブロックは、情報記述部151および告知情報生成部152により構成される。
【0083】
情報記述部151は、受信機製作者1の入力部116を構成するキーボードなどの操作に対応して入力される、受信機製作者1側でSDTTに記述すべき情報(メーカ識別子、受信機製作者1により予め設定されているモデル識別子および拡張モデル識別子など)を、それぞれ対応する領域に記述する。
【0084】
例えば、メーカ識別子およびモデル識別子は、非特許文献1で規定されているSDTTの先頭付近に配置される規定領域(例えば、図9のtableIdExtension(table_id_ext))にそれぞれ記述される。また、拡張モデル識別子は、詳しくは図7を参照して後述するが、例えば、SDTTのプライベートデータ領域(private_data_byte)に記述される。
【0085】
情報記述部151は、受信機製作者1側でSDTTに記述すべき情報がすべて記述されたデータを、告知情報生成部152に供給する。
【0086】
告知情報生成部152は、情報記述部151から供給されたデータを、SDTTの形式に変換してSDTTを生成する。
【0087】
図5は、受信機21の構成例を示している。受信機21は、アンテナ201を介して、放送装置4からの放送信号を受信、選局し、その映像をディスプレイ202より出力するとともに、その音声をスピーカ203より出力する。
【0088】
図5の例においては、CPU(Central Processing Unit)211には、ROM(Read Only Memory) 212、RAM(Random Access Memory)213、操作入力部214、および不揮発性メモリ215が接続されている。CPU211は、ROM212に記憶されているプログラム、または、RAM213にロードされたプログラム、もしくは操作入力部214を介して得られるユーザの指示信号に従って、受信機21の各部を制御し、各種の処理を実行する。RAM213にはまた、CPU211が各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。操作入力部214は、入力ボタンやダイヤルなどからなり、ユーザの指示信号を、CPU211に出力する。不揮発性メモリ215には、受信機21が受信したSDTTやソフトウェアの更新データなどが記憶される。
【0089】
CPU211には、バス216を介して、ネットワークインタフェース(I/F)217、ドライブ218、フロントエンド部219、デスクランブラ220、デマルチプレクサ221、MPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ222、映像信号処理部223、および音声信号処理部224が接続されており、CPU211の制御に応じて、所定の処理を実行する。
【0090】
ネットワークインタフェース217は、モデムやIEEE802.3インタフェースなどにより構成され、図示せぬネットワークに接続されるサーバなどとデータリンク確立を行い、必要に応じて、FTP(File Transfer Protocol)やHTTP(Hyper Text Transport Protocol)などのデータ転送プロトコルにより、所定のデータを通信する。ドライブ218には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどからなるリムーバブルメディア225が適宜装着される。ドライブ218は、リムーバブルメディア225よりデータを読み出したり、データを書き込んだりする際に用いられる。リムーバブルメディア225から読み出されたコンピュータプログラムは、必要に応じてROM212や不揮発性メモリ215に記憶され、インストールされる。
【0091】
フロントエンド部219は、アンテナ201を介して受信された放送信号から、ユーザの選局に対応する放送信号を抽出して、復調し、トランスポートストリーム(TS : transport Stream)を生成し、デスクランブラ220に出力する。デスクランブラ220は、フロントエンド部219から入力されるトランスポートストリームのスクランブルを適宜解除して、デマルチプレクサ221に出力する。
【0092】
デマルチプレクサ221は、多重化されたトランスポートストリームを、映像または音声データなどのストリームや、セクションデータに分離する。デマルチプレクサ221は、映像データおよび音声データをMPEGデコーダ222に出力し、必要なセクションデータのみをCPU211に出力する。すなわち、デマルチプレクサ221においては、ソフトウェアあるいはハードウェアのフィルタをかけることが可能であり、そのフィルタに対して、パラメータを指定することで必要なセクションデータのみがCPU211に出力される。
【0093】
セクションデータには、データ放送やデータのダウンロードで利用されるDSM-CCセクション(例えば、データカルーセル)、SDTT(ダウンロード告知情報)、およびEPG(Electronic Program Guide)情報などが含まれている。
【0094】
例えば、SDTTであることを特定するテーブル識別子、メーカ識別子、およびモデル識別子などは、SDTTの先頭付近に配置されているので、テーブル識別子と、受信機21が対応するメーカ識別子およびモデル識別子とをパラメータとして指定することで、デマルチプレクサ221は、SDTTのうち、受信機11が対応するメーカ識別子およびモデル識別子のSDTTのみを選別して、CPU211に出力することができる。
【0095】
CPU211は、デマルチプレクサ221からのセクションデータのそれぞれの情報をRAM213に展開する。RAM213に展開されたセクションデータのうち、保持すべきものは、CPU211により形式を変換されて、RAM213や不揮発性メモリ215に保持される。
【0096】
MPEGデコーダ222は、デマルチプレクサ221からの映像データをデコードし、映像信号処理部223に出力し、また、デマルチプレクサ221からの音声データをデコードし、音声信号処理部224に出力する。
【0097】
映像信号処理部223は、デマルチプレクサ221からの映像データに、データ放送データなどを付加(重畳)し、NTSCフォーマットの信号に変換して、映像を、ディスプレイ202に表示させる。音声信号処理部224は、デマルチプレクサ221からの音声データを、スピーカ203から出力させる。
【0098】
ここで、受信機21の基本的な動作を説明する。
【0099】
フロントエンド部219は、アンテナ201を介して受信された放送信号から、ユーザの選局に対応する放送信号を抽出して、復調し、トランスポートストリームを生成し、デスクランブラ220に出力する。デスクランブラ220は、フロントエンド部219から入力されるトランスポートストリームのスクランブルを適宜解除して、デマルチプレクサ221に出力する。
【0100】
デマルチプレクサ221は、フロントエンド部219からの多重化されたトランスポートストリームを、映像または音声データなどのストリームや、セクションデータに分離し、映像データおよび音声データをMPEGデコーダ222に出力し、必要なセクションデータのみをCPU211に出力する。
【0101】
MPEGデコーダ222は、デマルチプレクサ221からの映像データをデコードし、映像信号処理部223に出力し、デマルチプレクサ221からの音声データをデコードし、音声信号処理部224に出力する。
【0102】
映像信号処理部223は、デマルチプレクサ221からの映像データに、データ放送データなどを付加(重畳)し、NTSCフォーマットの信号に変換して、変換した映像データに対応する映像を、ディスプレイ202に表示させる。音声信号処理部224は、デマルチプレクサ221からの音声データに対応する音声を、スピーカ203から出力させる。
【0103】
これにより、受信機21のディスプレイ202には、所定のサービスの映像が表示され、スピーカ203から、所定のサービスの音声が出力される。
【0104】
図6は、SDTTに基づいてソフトウェアを更新する受信機21の機能構成例を示している。図6に示される機能ブロックは、図5のCPU211により所定の制御プログラムが実行されることで実現される。
【0105】
図6に示される機能ブロックは、告知情報取得部251、更新データ取得部252、選局部253、およびソフトウェア更新部254、並びに図5の不揮発性メモリ215により構成されている。
【0106】
告知情報取得部251は、デマルチプレクサ221からのセクションデータのうち、デマルチプレクサ221により選別されたSDTTを入力すると、RAM213に一旦展開し、内蔵する拡張ID判定部261およびバージョン判定部262によるSDTTの判定結果に応じて、SDTTを不揮発性メモリ215に保持させる。
【0107】
不揮発性メモリ215には、受信機21の拡張モデル識別子、および受信機21のソフトウェアの現状のバージョン情報などが記憶されている。
【0108】
拡張ID判定部261は、告知情報取得部251の制御のもと、不揮発性メモリ215の拡張モデル識別子を参照して、SDTTに拡張モデルIDが記述されているか否か、および、SDTTに記述されている拡張モデルIDが、受信機21(自己)の拡張モデルIDと一致するか否かを判定する。
【0109】
拡張ID判定部261によりSDTTに拡張モデルIDが記述されていないと判定された場合、または、SDTTに記述されている拡張モデルIDが、受信機21(自己)の拡張モデルIDと一致しないと判定された場合、告知情報取得部251は、RAM213に展開したSDTTを破棄する。
【0110】
バージョン判定部262は、告知情報取得部251の制御のもと、不揮発性メモリ215のソフトウェアのバージョン情報を参照して、SDTTに記述されている更新データのバージョンが、受信機21にとって必要なバージョンであるか否かを判定する。すなわち、バージョン判定部262は、SDTTに記述のバージョンが、受信機21のソフトウェアのバージョンと同じ、もしくは小さい(古い)場合、SDTTに記述のバージョンが必要なバージョンではないと判定し、SDTTに記述のバージョンが、受信機21のソフトウェアのバージョンよりも大きい(新しい)場合、SDTTに記述のバージョンが必要なバージョンであると判定する。
【0111】
バージョン判定部262によりSDTTに記述のバージョンが必要なバージョンではないと判定された場合、告知情報取得部251は、RAM213に展開したSDTTを破棄する。
【0112】
すなわち、告知情報取得部251は、拡張ID判定部261によりSDTTに拡張モデルIDが記述されていると判定され、拡張ID判定部261によりSDTTに記述されている拡張モデルIDが、受信機21(自己)の拡張モデルIDと一致すると判定され、さらに、バージョン判定部262によりSDTTに記述のバージョンが必要なバージョンであると判定された場合、RAM213に展開したSDTTを、不揮発性メモリ215に保持させる。
【0113】
更新データ取得部252は、不揮発性メモリ215にSDTTが保持されると、SDTTに記述されている情報を解析し、更新データのダウンロードの準備を行う。すなわち、更新データ取得部252は、SDTTに記述の情報を解析することで、更新データのダウンロード開始時刻やダウンロードを行うサービス(チャンネル)などのダウンロード情報を確認し、更新データのダウンロード開始時刻を決定し、内蔵するクロックで計時動作を行い、SDTTに記述されている更新データのダウンロード開始時刻になるまで待機する。
【0114】
更新データ取得部252は、更新データのダウンロード開始時刻になったと判定した場合、選局部253を制御し、SDTTに記述されているサービス(チャンネル)を選局させ、デマルチプレクサ221を制御し、選局部253により選局されたサービスの放送信号から、受信機21に必要なバージョンの更新データを取得させ、取得した更新データを不揮発性メモリ215に一旦記憶させる。
【0115】
選局部253は、更新データ取得部252の制御のもと、SDTTに記述の更新データのダウンロード開始時刻に、SDTTに記述のサービス(チャンネル)を選局する。
【0116】
ソフトウェア更新部254は、更新データ取得部252により不揮発性メモリ215に記憶された更新データを用いて、受信機21のソフトウェアを更新する。
【0117】
図7は、SDTTの構成例を示す図である。
【0118】
SDTTは、MAX(最大サイズ)4Kバイトで構成され、放送装置4からは、複数のTSパケットに分けられて、放送信号に多重化されて送信されてくる。
【0119】
SDTTの先端付近は、マルチプレクサ221におけるソフトウェアまたはハードウェアによるフィルタをかけることが可能なフィルタリング可能領域とされる。このフィルタリング可能領域のtableIdExtension(table_id_ext)には、メーカ識別子(ID)とモデル識別子(ID)が記述されている。
【0120】
なお、このフィルタリング可能領域は、例えば、先頭から10数バイトの範囲であり、この範囲は、使用するチップの性能や受信機の仕様などにより異なる。
【0121】
フィルタリング可能領域の後方には、グループ識別子(ID)が記述されており、グループ識別子のさらに後方には、値が16進数の「C9」(0xc9)で示されるダウンロードコンテンツ記述子(Download Contents Descriptor)301−1乃至301−4が記述される。
【0122】
ダウンロード記述子301−1乃至301−4は、それぞれ、ダウンロードされるコンテンツ(更新データ)のサイズや種別、ダウンロードIDなどの属性情報を記述する用途に用いられるものであり、MAX(最大サイズ)256バイトで構成され、複数個設けることもできる。なお、図7の例においては、4つのダウンロード記述子301−1乃至301−4が設けられている例が示されている。
【0123】
ダウンロード記述子301−1乃至301−4の後方付近には、それぞれ、プライベートデータ領域(private_data_btye) 302−1乃至302−4が設けられている。プライベートデータ領域302−1乃至302−4は、非特許文献1における規格の範囲外であり、各受信機21(すなわち、受信機製作者1)により自由に利用することができる領域である。そこで、図2のデジタル放送システムにおいては、このプライベートデータ領域(例えば、先頭のダウンロード記述子301−1のプライベートデータ領域302−1)に、拡張モデル識別子が記述される。
【0124】
なお、拡張モデル識別子は、先頭のダウンロード記述子301−1のプライベートデータ領域302−1に限らず、他のダウンロード記述子のプライベートデータ領域に記述することも可能である。
【0125】
図8は、ダウンロード記述子のプライベートデータ領域に記述される拡張モデル識別子用のデータの構成例を示す図である。
【0126】
プライベートデータ領域の先頭から順に、8ビットのモデル識別拡張用プライベート識別子(private_data_type)、8ビットのモデル識別拡張用データバイト長(private_data_type_length)、および、8ビットの拡張モデル識別子(sub_model_id)が記述される。
【0127】
すなわち、プライベートデータ領域は、非特許文献1で規定されておらず、各受信機21が自由に使うことのできる領域であるため、この領域を他の用途と同時に使用可能にするために、プライベートデータ領域に何が記述されているのかを示すタイプ(モデル識別拡張用プライベート識別子)を先頭の8ビットに記述し、その直後の8ビットに、その後に記述されているデータ(すなわち、拡張モデル識別子)のバイト長(いまの場合、1バイト)を記述する。そして、バイト長の後ろに、拡張モデル識別子として、8ビットの識別子(sub_model_id)を記述する。
【0128】
以上のように構成されるデータが記述されたダウンロード記述子を少なくとも1つSDTTに配置させる。すなわち、このように拡張モデル識別子をSDTTに記述することにより、規定のモデル識別子だけでなく、モデル識別子と拡張モデル識別子を組み合わせて、受信機の機種が一意的に識別することができる。
【0129】
したがって、規定のモデル識別子だけを用いて、受信機の機種を識別する場合よりも、多くの受信機を識別することができる。
【0130】
なお、例えば、規定のモデル識別子の判定(フィルタリング)を行わないようにし、受信機21の機種の識別には、拡張モデル識別子だけを利用するようにしてもよい。ただしこの場合には、規定のモデル識別子とともに用いる場合よりも、拡張モデル識別子に必要な領域が増える。すなわち、規定のモデル識別子ともに拡張モデル識別子を利用することで、最小限の必要領域で、多くの受信機の機種を識別することが可能になる。
【0131】
また、図8の例においては、拡張モデル識別子を8ビットとしたが、このサイズは任意である。また、拡張モデル識別子が記述されたプライベートデータ領域には、上述したように、拡張モデル識別子とともに、その他の情報を記述することもできる。
【0132】
図9および図10は、SDTT(ダウンロード告知情報)の詳細な構成例を示す図である。なお、値において、「*」が示されるものは、SDTTによって異なる値が記述されることを表わしている。
【0133】
SDTTには、先頭から順に、8ビットのtable_id、1ビットのsection_syntax_indicator、1ビットのreserved_future_use、2ビットのreserved、12ビットのsection_length、16ビットのtable_in_ext、2ビットのreserved、5ビットのversion_number、1ビットのcurrent_next_indicator、8ビットのsection_number、8ビットのlast_section_number、16ビットのtransport_stream_id、16ビットのoriginal_network_id、16ビットのservice_id、および、8ビットのnum_of_contentsの各領域が配置され、num_of_contentsの後、ループ(Loop)が配置され、ループの後、すなわち、SDTT の最後尾には、32ビットのCRC_32の領域が配置されている。
【0134】
table_idには、SDTTのテーブル識別子であることを示す値「0x03」が記述される。section_syntax_indicatorには、値「1」が記述される。reserved_future_useには、値「1」が記述される。reservedには、値「11」が記述される。section_lengthには、セクション長(CRC_32までの長さ)を示す値「0x***」が記述される。table_in_extのうち、前の8ビットには、受信機製作者1のメーカ識別子(maker_id)を示す値「0x**」が記述され、後の8ビットには、モデル識別子(model_id)を示す値「0x**」が記述される。
【0135】
reservedには、値「11」が記述される。version_numberには、更新毎に1から1つずつ順にインクリメントされる、このSDTTのバージョンの値「*****」が記述される。current_next_indicatorには、まだ適用できない(not yet applicable)を示す値「0」、または、現在適用中を示す値「1」が記述される。section_numberには、値「0x00」が記述される。last_section_numberには、最後のセクション番号(通常、00)を示す値「0x**」が記述される。
【0136】
transport_stream_idには、TS(トランスポートストリーム)の識別子を示す値「0x****」が記述される。original_network_idには、元の分配システムのネットワーク識別子を示す値「0x****」が記述される。service_idには、ソフトウェアのコンテンツ(更新データ)が伝送(ダウンロード)されるサービス(チャンネル)識別子(ID)を示す値「0x****」が記述される。num_of_contentsには、このSDTTで告知されている、ダウンロード対象のソフトウェアの数を表わす値「0x**」が記述される。
【0137】
なお、受信機21においては、これらのうち、例えば、先頭のtable_idからlast_section_numberまでが、マルチプレクサ221におけるフィルタリング可能領域とされる。
【0138】
num_of_contentsの後の大きなループ(Loop)内には、4ビットのgroup、12ビットのtarget_version、12ビットのnew_version、2ビットのdownload_level、2ビットのversion_indicator、12ビットのcontent_description_length、4ビットのreserved、および、12ビットのschedule_description_length、4ビットのreservedがそれぞれ配置され、その後、スケジュールループ(Loop)と記述子ループ(Loop)が配置されている。
【0139】
groupには、グループ識別子(group_id)を示す値「0x*」が記述される。target_versionには、アップデート(更新)対象となるソフトウェアのバージョン番号を示す値「0x***」が記述される。new_versionには、今回ダウンロードされるソフトウェアのバージョン番号を示す値「0x***」が記述される。download_levelには、任意ダウンロードを示す値「00」、または、強制ダウンロードを示す値「01」が記述される。
【0140】
version_indicatorには、全バージョンが対象(バージョン指定(target_version)は無効)であるであることを示す値「00」、指定されたバージョン以降が対象であることを示す値「01」、指定されたバージョン以前が対象であることを示す値「10」、または、指定されたバージョンのみが対象であることを示す値「11」が記述される。
【0141】
content_description_lengthには、スケジュールループと記述子ループの合計バイト数を示す値「0x***」が記述される。reservedには、値「0xF」(すなわち、4ビットすべてに1)が記述される。schedule_description_lengthには、スケジュールループのバイト数を示す値「0x***」が記述される。この値が0の場合、ダウンロードコンテンツ(更新データ)が伝送されていることが示される。reservedには、値「0xF」(すなわち、4ビットすべてに1)が記述される。
【0142】
1つ目のLoop(スケジュールループ)には、40ビットのstart_time、24ビットのdurationの領域が配置されている。
【0143】
start_timeには、ダウンロードの配信開始時刻を、日本標準時刻(JST : Japan Standard Time)と、修正ユリウス日(MJD : Modified Julian Day)で示す値「0x**********」が記述される。Durationには、いつまで更新データを配信するかという期間である配信継続時間を示す値「0x******」が記述される。
【0144】
2つ目のLoop(記述子ループ)には、値「0xC9」で示されるダウンロードコンテンツ記述子(DCD:Download Contents Descriptor)が記述されるdescriptors()の領域が配置されている。
【0145】
図11および図12は、ダウンロードコンテンツ記述子の構成を示す図である。
【0146】
ダウンロードコンテンツ記述子には、先頭から、8ビットのdescriptor_tag、8ビットのdescriptor_length、1ビットのreboot、1ビットのadd_on、1ビットのcompatibility_flag、1ビットのmodule_info_flag、1ビットのtext_info_flag、3ビットのreserved、32ビットのcomponent_size、32ビットのdownload_id、32ビットのtime_out_value_DII、22ビットのleak_rate、2ビットのreserved、8ビットのcomponent_tagの各領域が配置されている。
【0147】
descriptor_tagは、ダウンロードコンテンツ記述子のタグ(tag)値を示す値「0xC9」が記述されている。descriptor_lengthには、この記述子の長さを示す値「0x**」が記述される。Rebootには、ダウンロード終了後、継続動作を行うことを示す値「0」、またはダウンロード終了後、再起動を行うことを示す値「1」が記述される。add_onには、ソフトウェアの更新方法が、既存モジュールの書き換えであることを示す値「0」、または、ソフトウェアの更新方法が、既存モジュールの追加であることを示す値「1」が記述される。
【0148】
compatibility_flagには、この記述子に、compatibility_descriptor()がないことを示す値「0」、または、この記述子に、compatibility_descriptor()があることを示す値「1」が記述される。module_info_flagには、この記述子に、モジュールごとの情報がないことを示す値「0」、または、この記述子に、モジュールごとの情報があることを示す値「1」が記述される。text_info_flagには、この記述子に、末尾のサービス記述がないことを示す値「0」、または、この記述子に、末尾のサービス記述があることを示す値「1」が記述される。
【0149】
reservedには、1を示す値「111」が記述される。component_sizeには、データカルーセルでの伝送データサイズの合計をバイト単位で示す値「0x********」が記述される。download_idには、ダウンロードの受付番号を識別する識別子(ID)の値「0x********」が記述される。time_out_value_DIIには、当該カルーセルでのダウンロード制御メッセージの1つであるDII(Download Info Indication)の全セクション受信に対する推奨すべきタイムアウト値を示す値「0x********」が記述される。
【0150】
leak_rateには、受信機21のTS(トランスポートストリーム)バッファのリークレートを50バイト単位で示す値「**,0x*****」が記述される。Reservedには、1を示す値「11」が記述される。component_tagには、PMT(Program Map Table:放送番組マップテーブル)のストリーム記述子で与えられる、対応するストリームのコンポーネントタグ値を示す値「**」が記述される。
【0151】
component_tagの後には、モジュールループ(Loop)、8ビットのprivate_data_lengthの領域、プライベートループ(Loop)が配置されるが、component_tagと、モジュールループ(Loop)の間には、compatibility_flagが値「1」である場合のみ、compatibility_descriptor()の領域が配置され、module_info_flagが値「1」である場合のみ、16ビットのnum_of_modulesの領域が配置される。
【0152】
compatibility_descriptor()には、DII内のものと全く同等の互換性に関する記述子が記述される。num_of_modulesには、ダウンロードにおけるデータ伝送に用いられるモジュール数を示す値「****」が記述される。
【0153】
モジュールループには、16ビットのmodule_id、32ビットのmodule_size、8ビットのmodule_info_lengthの各領域と、その後にループが配置される。module_idには、ダウンロードにおけるデータ伝送に用いられるモジュール識別子を示す値「****」が記述される。module_sizeには、当該モジュールのバイト長を示す値「********」が記述される。module_info_lengthには、次に続くループ内のmodule_info_byteのバイト長を示す値「**」が記述される。
【0154】
ループ内の8ビットのmodule_info_byteには、DIIで記述されるtype記述子、name記述子、およびinfo記述子のうち必要なものが記述される。
【0155】
モジュールループの後のprivate_data_lengthには、次に続くプライベートループ内のprivate_data_byteのバイト長を示す値「**」が記述される。
【0156】
モジュールループには、8ビットのprivate_data_byteの領域が配置され、その後に、text_info_flagが値「1」である場合のみ、24ビットのISO_639_language_code、8ビットのtext_lengthの各領域、および、8ビットのtext_charの領域が含まれるループが配置される。
【0157】
private_data_byte(プライベートデータ領域)は、規格の範囲外であり、図2のデジタル放送システムにおいては、private_data_byteに、拡張モデル識別子が、図8を参照して上述した構成で記述される。
【0158】
ISO_639_language_codeには、末尾のサービス記述で使用される文字記述の言語を識別するための値[******」が記述される。text_lengthには、末尾のサービス記述のバイト長を示す値「**」が記述される。text_char(サービス記述領域)には、伝送されるダウンロードコンテンツ(更新データ)のサービスに関する記述がなされる。
【0159】
なお、上記説明においては、拡張モデル識別子を、ダウンロードコンテンツ記述子のプライベートデータ領域に記述するようにしたが、その領域に限らず、現状の規格で利用されていない領域であれば、他の領域であってもよい。
【0160】
例えば、ダウンロードコンテンツ記述子のプライベートデータ領域の他には、例えば、ダウンロードコンテンツ記述子のtext_char(サービス記述領域)や、SDTTのGroup(グループ領域)、または、他のreserved領域に、拡張モデル識別子が記述されるようにしてもよい。
【0161】
なお、ダウンロードコンテンツ記述子のtext_char(サービス記述領域)は、伝送されるダウンロードコンテンツ(更新データ)のサービスに関する記述がなされる領域であり、SDTTのGroup(グループ領域)は、非特許文献1のSTD-B21によって、受信機毎にダウンロード開始時刻を分散させ、発電所の負荷低減を図るための領域と規定されている。また、他のreserved領域は、将来の利用のために予約された領域のため、将来的に、他の目的に利用される可能性もある。これらの領域に拡張モデル識別子が記述されるようにしてもよいが、以上のことを踏まえると、ダウンロードコンテンツ記述子のプライベートデータ領域が、拡張モデル識別子を記述することに対して、一番推奨される領域となる。
【0162】
次に、図13のフローチャートを参照して、データ生成装置21のSDTT生成処理を説明する。
【0163】
受信機製作者1は、入力部116を構成するキーボードなどを操作し、受信機製作者1側でSDTTに記述すべき情報(メーカ識別子、受信機製作者1により設定されているモデル識別子および拡張モデル識別子など)を入力する。
【0164】
入力部116から受信機製作者1の操作に対応する情報が入力されると、情報記述部151は、ステップS11において、受信機製作者1側でSDTTに記述すべき情報(メーカ識別子、受信機製作者1により設定されているモデル識別子および拡張モデル識別子など)を、それぞれ対応する領域に記述する。
【0165】
例えば、メーカ識別子およびモデル識別子は、SDTTの先頭付近のtableIdExtensionにそれぞれ記述される。また、拡張モデル識別子は、例えば、SDTTのダウンロードコンテンツ記述子のプライベートデータ領域(private_data_byte)に記述される。
【0166】
情報記述部151は、受信機製作者1側でSDTTに記述すべき情報をすべてが記述されたデータを、告知情報生成部152に供給する。
【0167】
告知情報生成部152は、ステップS12において、情報記述部151から供給されたデータを、SDTTの形式に変換してSDTTを生成する。
【0168】
これにより、生成されたSDTTは、図示せぬ処理により生成された更新データとともに、ダウンロード装置3に送信(提出)されるので、ダウンロード装置3は、受信機製作者1−1および1−2の提出する更新データを集めて、スケジューリングする。
【0169】
そして、ダウンロード装置3は、更新データをダウンロードデータ(データカルーセル)として送信する前に、受信機製作者1−1および1−2の提出するSDTTに、更新データに基づく必要な情報(例えば、受信機に対して、事前にソフトウェアの更新データのダウンロードが行われること通知する情報として、更新データのダウンロード時刻やダウンロードを行うサービス(チャンネル)などのダウンロード情報)を記載して完成させ、完成したSDTTを、放送装置4を介して、放送信号に多重して放送する。
【0170】
その後、ダウンロード装置3は、更新データのダウンロード時刻に、更新データをダウンロードデータ(データカルーセル)として、放送装置4を介して、放送信号に多重して放送する。
【0171】
次に、図14のフローチャートを参照して、受信機21がSDTTに基づいてソフトウェアを取得し、更新する処理を説明する。
【0172】
上述したように、受信機21のソフトウェアの更新の際には、更新データの送信(放送)に先立って、SDTT(ダウンロード告知情報テーブル)がダウンロード装置3および放送装置4を介して放送されてくる。
【0173】
受信機21のフロントエンド部219は、アンテナ201を介して受信された放送信号から、ユーザの選局に対応する放送信号を抽出して、復調し、トランスポートストリームを生成し、デスクランブラ220に出力する。デスクランブラ220は、フロントエンド部219から入力されるトランスポートストリームのスクランブルを適宜解除して、デマルチプレクサ221に出力する。
【0174】
デマルチプレクサ221は、多重化されたトランスポートストリームを、映像または音声データなどのストリームや、セクションデータに分離する。そして、デマルチプレクサ221は、ステップS41において、分離したセクションデータを、テーブル識別子、メーカ識別子、およびモデル識別子をパラメータとしたフィルタリング処理を行い、SDTTであることを識別すると、さらに、ステップS42において、SDTTに記述されているメーカ識別子およびモデル識別子が、受信機21が対応するメーカ識別子およびモデル識別子と一致するかを判定する。
【0175】
ステップS42において、SDTTに記述されているメーカ識別子およびモデル識別子が、受信機21が対応するメーカ識別子およびモデル識別子と一致すると判定された場合、デマルチプレクサ221は、そのSDTTを、CPU211の告知情報取得部251に出力する。
【0176】
告知情報取得部251は、ステップS43において、デマルチプレクサ221からのSDTTを取得し、取得したSDTTをRAM213に一旦展開する。
【0177】
拡張ID判定部261は、ステップS44において、告知情報取得部251の制御のもと、不揮発性メモリ215の拡張モデル識別子を参照して、SDTTに拡張モデル識別子が記述されているか否かを判定し、SDTTに拡張モデル識別子が記述されていると判定した場合、ステップS45において、SDTTに記述されている拡張モデル識別子が、受信機21(自己)の拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する。
【0178】
ステップS45において、SDTTに記述されている拡張モデルIDが、受信機21(自己)の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、バージョン判定部262は、ステップS46において、告知情報取得部251の制御のもと、不揮発性メモリ215のソフトウェアのバージョン情報を参照して、SDTTに記述されている更新データのバージョンが、受信機21にとって必要なバージョンであるか否かを判定する。
【0179】
SDTTに記述のバージョンが、受信機21のソフトウェアのバージョンよりも大きい(新しい)場合、ステップS46において、SDTTに記述のバージョンが必要なバージョンであると判定されるので、告知情報取得部251は、RAM213に展開したSDTTを、不揮発性メモリ215に保持させる。
【0180】
一方、ステップS42において、SDTTに記述されているメーカ識別子およびモデル識別子が、受信機21が対応するメーカ識別子およびモデル識別子と一致しないと判定された場合、ステップS44において、SDTTに拡張モデル識別子が記述されていないと判定された場合、ステップS45において、SDTTに記述されている拡張モデル識別子が、受信機21(自己)の拡張モデル識別子と一致しないと判定された場合、または、ステップS46において、SDTTに記述のバージョンが必要なバージョンではないと判定された場合、RAM213に展開したSDTTは、告知情報取得部251により、破棄され、処理は、ステップS41に戻り、次に放送されてくるセクションデータに対しての処理が実行される。
【0181】
更新データ取得部252は、不揮発性メモリ215にSDTTが保持されると、ステップS47において、SDTTに記述されている情報を解析し、ステップS48において、更新データのダウンロードの準備を行う。
【0182】
すなわち、更新データ取得部252は、SDTTに記述の情報を解析することで、更新データのダウンロード開始時刻やダウンロードを行うサービス(チャンネル)などのダウンロード情報を確認し、更新データのダウンロード開始時刻を決定し、内蔵するクロックで計時動作を行い、SDTTに記述されている更新データのダウンロード開始時刻になるまで待機している。
【0183】
更新データ取得部252は、更新データのダウンロード開始時刻になったと判定した場合、ステップS49において、ソフトウェアの更新処理を実行する。このソフトウェアの更新処理を、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0184】
更新データ取得部252は、ステップS71において、選局部253を制御し、SDTTに記述されているダウンロードサービス(チャンネル)を選局させ、ステップS72において、デマルチプレクサ221を制御し、選局部253により選局されたサービスの放送信号から、受信機21に必要なバージョンの更新データを取得させ、取得した更新データを不揮発性メモリ215に一旦記憶させる。
【0185】
すなわち、更新データの放送の日時(ダウンロード開始時刻)に、放送装置4から、ソフトウェアの更新データが、ダウンロードデータ(データカルーセル)として所定のサービスの放送信号に多重化されて送信されてくる。なお、このコンテンツは、暗号化されていてもよいし、伝送誤りを防ぐために、誤り検出、誤り訂正符号などが付加されているようにしてもよい。
【0186】
フロントエンド部219は、アンテナ201を介して放送装置4からの放送信号を受信するので、選局部254は、フロントエンド部219を制御し、受信された放送信号より、ダウンロード告知情報に記述されているサービス(チャンネル)を選局させる。フロントエンド部219は、アンテナ201を介して受信された放送信号から、選局部254の選局に対応する放送信号を抽出して、復調し、トランスポートストリームを生成し、デスクランブラ220に出力する。デスクランブラ220は、フロントエンド部219から入力されるトランスポートストリームのスクランブルを適宜解除して、デマルチプレクサ221に出力する。
【0187】
デマルチプレクサ221は、多重化されたトランスポートストリームを、映像または音声データなどのストリームや、セクションデータに分離し、更新データ取得部252からの制御により、分離されたセクションデータから、必要なDSM-CCセクションを更新データとして、更新データ取得部252に供給する。
【0188】
更新データ取得部252は、ステップS72において、デマルチプレクサ221からの更新データを取得し、不揮発性メモリ215に一旦記憶する。
【0189】
ソフトウェア更新部254は、ステップS73において、更新データ取得部252により不揮発性メモリ215に記憶された更新データを用いて、受信機21のソフトウェアを更新し、受信機21の処理は、終了する。
【0190】
なお、図14の例においては、ステップS44およびS45において、拡張識別子の判定を行い、その後、ステップS46のバージョンの判定処理を行う場合を説明したが、バージョンの判定処理は、拡張識別子の判定処理の前に行うこともできる。
【0191】
以上のように、規定のモデル識別子だけでなく、モデル識別子と拡張モデル識別子を組み合わせて、受信機21の機種を識別するようにしたので、規定のモデル識別子だけを用いて、受信機の機種を識別する場合よりも、多くの受信機を識別することができる。
【0192】
また、新規のモデル識別子を用いるのではなく、モデル識別子と拡張モデル識別子を組み合わせて、受信機21の機種を識別するようにしたので、拡張モデル識別子に必要な領域も最小限にすることができる。
【0193】
さらに、現在、規定されていない領域に、拡張モデル識別子を記述するようにしたので、現在の非特許文献1の規定に則ったまま、モデル識別が有限であることの制約が緩和され、受信機製作者1は、多種多様な受信機を市場に供給することが可能になる。
【0194】
すなわち、本発明によれば、従来のように、規定のモデル識別子だけを使用する場合に、10年乃至20年でモデル識別の枯渇が発生し、新たな機種の受信機が供給できなくなるであろうことを抑制することができる。
【0195】
さらに、具体的には、例えば、1年で20モデルが市場に発売される場合を想定すると、従来の規定のモデル識別子だけの場合には、10年超でモデル識別子の枯渇の恐れがあるが、本発明によれば、例えば、拡張モデル識別子が8ビットの場合、1000年以上まで、モデル識別子と拡張モデル識別子の組み合わせが重複することなく利用可能である。
【0196】
なお、上記説明においては、更新データを放送信号に多重して、放送信号から取得するようにしたが、図示せぬネットワークなどを介してサーバから取得するようにしてもよい。
【0197】
また、上記説明においては、ディスプレイ202を内蔵した受信機21を用いて説明したが、外部のテレビジョン装置と接続される受信機であってもよいし、セットトップボックスなどにより構成されるようにしてもよい。また、上記説明においては、固定受信機の受信機21を用いて説明したが、PDA(Personal Digital assistant)や携帯電話機などの移動受信機や携帯受信機にも本発明を適用することができる。
【0198】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム格納媒体からインストールされる。
【0199】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム格納媒体は、図3および図5に示されるように、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disc)(商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア(パッケージメディア)121および225、または、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM112およびROM212などにより構成される。
【0200】
なお、本明細書において、フローチャートに示されるステップは、記載された順序に従って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0201】
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】従来の受信機の更新データ取得処理を説明するフローチャートである。
【図2】本発明のデジタルテレビジョン放送システムの構成例を示す図である。
【図3】図2のデータ生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3のデータ生成装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図5】図2の受信機の構成例を示すブロック図である。
【図6】図5の受信機の機能構成例を示すブロック図である。
【図7】SDTTの構成例を示す図である。
【図8】拡張モデル識別子用のデータの構成例を示す図である。
【図9】SDTTの詳細な構成例を示す図である。
【図10】SDTTの詳細な構成例を示す図である。
【図11】ダウンロードコンテンツ記述子の構成を示す図である。
【図12】ダウンロードコンテンツ記述子の構成を示す図である。
【図13】図2のデータ生成装置のSDTT生成処理を説明するフローチャートである。
【図14】図2の受信機の処理を説明するフローチャートである。
【図15】図14のステップS49のソフトウェアの更新処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0203】
11−1および11−2 データ生成装置, 21A−1乃至21A−3,21B−1,21B−2,21C−1,および21C−2 受信機, 72−1および72−2 受信機, 151 情報記述部, 152 告知情報生成部, 211 CPU, 212 ROM, 213 RAM, 215 不揮発性メモリ, 221 デマルチプレクサ, 251 告知情報取得部, 252 更新データ取得部, 253 選局部, 254 ソフトウェア更新部,261 拡張ID判定部,262 バージョン判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送信号を受信する受信装置と、前記放送信号に多重化されて送信される、前記受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置からなる情報処理システムにおいて、
前記データ生成装置は、
前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述手段と、
前記情報記述手段により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成手段とを備え、
前記受信装置は、
前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定手段と、
前記規定識別子判定手段により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定手段と、
前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得手段とを備える
情報処理システム。
【請求項2】
前記受信装置は、
前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致しないと判定された場合、前記告知情報を破棄する情報破棄手段をさらに備える
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記データ生成装置の前記情報記述手段は、前記告知情報において、前記規定モデル識別子が記述される前記規定領域より後方に配置され、前記所定の規格において規定されていない、または、利用されていない所定の領域に、前記拡張モデル識別子を記述する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記拡張モデル識別子が記述される前記所定の領域は、プライベートデータ領域(Private_data_byte)である
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記受信装置は、
前記更新データ取得手段により取得された前記更新データを用いて、自己のソフトウェアを更新するソフトウェア更新手段をさらに備える
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
放送信号を受信する受信装置と、前記放送信号に多重化されて送信される、前記受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置からなる情報処理システムの情報処理方法において、
前記データ生成装置における、
前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域記述する情報記述ステップと、
前記情報記述ステップの処理により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成ステップとを含み、
前記受信装置における、
前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定ステップと、
前記規定識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定ステップと、
前記拡張識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得ステップとを含む
情報処理方法。
【請求項7】
データ生成装置により生成され、放送信号に多重化された、ソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を受信する受信装置において、
前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、所定の領域に記述されて生成され、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定手段と、
前記規定識別子判定手段により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定手段と、
前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得手段と
を備える受信装置。
【請求項8】
前記拡張識別子判定手段により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致しないと判定された場合、前記告知情報を破棄する情報破棄手段をさらに備える
請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
前記拡張モデル識別子は、前記告知情報において、前記規定モデル識別子が記述された規定領域より後方に配置され、前記所定の規格において規定されていない、または、利用されていない所定の領域に記述される
請求項7に記載の受信装置。
【請求項10】
前記拡張モデル識別子が記述される前記所定の領域は、プライベートデータ領域(Private_data_byte)である
請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記更新データ取得手段により取得された前記更新データを用いて、自己のソフトウェアを更新するソフトウェア更新手段をさらに備える
請求項7に記載の受信装置。
【請求項12】
データ生成装置により生成され、放送信号に多重化された、ソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を受信する受信装置の受信方法において、
前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、所定の領域に記述されて生成され、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定ステップと、
前記規定識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定ステップと、
前記拡張識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得ステップと
を含む受信方法。
【請求項13】
データ生成装置により生成され、放送信号に多重化された、ソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を受信する受信装置用のプログラムであって、
前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子が、前記所定の規格において規定されている規定領域に記述されるとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子が、所定の領域に記述されて生成され、前記放送信号に多重化された前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致するか否かを判定する規定識別子判定ステップと、
前記規定識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記規定モデル識別子が、自己の規定モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の前記拡張モデル識別子と一致するか否かを判定する拡張識別子判定ステップと、
前記拡張識別子判定ステップの処理により前記告知情報の前記拡張モデル識別子が、自己の拡張モデル識別子と一致すると判定された場合、前記告知情報に基づいて、前記放送信号から前記更新データを取得する更新データ取得ステップと
を含むプログラム。
【請求項14】
放送信号に多重化されて送信される、前記放送信号を受信する受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置において、
前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述手段と、
前記情報記述手段により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成手段と
を備えるデータ生成装置。
【請求項15】
前記生成手段は、前記告知情報において、前記規定モデル識別子が記述された規定領域より後方に配置され、前記所定の規格において規定されていない、または、利用されていない所定の領域に、前記拡張モデル識別子を記述する
請求項14に記載のデータ生成装置。
【請求項16】
前記拡張モデル識別子が記述される前記所定の領域は、プライベートデータ領域(Private_data_byte)である
請求項15に記載のデータ生成装置。
【請求項17】
放送信号に多重化されて送信される、前記放送信号を受信する受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成するデータ生成装置のデータ生成方法において、
前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述ステップと、
前記情報記述ステップの処理により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成ステップと
を含むデータ生成方法。
【請求項18】
放送信号に多重化されて送信される、前記放送信号を受信する受信装置のソフトウェアを更新するための更新データのダウンロードに関する告知情報を生成する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記受信装置の機種を一意的に識別するために所定の規格において規定されている規定モデル識別子を、前記所定の規格において規定されている前記告知情報の規定領域に記述するとともに、前記規定モデル識別子と組み合わせて用いることで、前記規定モデル識別子の数よりも多くの数の前記受信装置の機種を一意的に識別可能な拡張モデル識別子を、前記告知情報の所定の領域に記述する情報記述ステップと、
前記情報記述ステップの処理により前記規定モデル識別子とともに拡張モデル識別子が記述された前記告知情報を生成する生成ステップと
を含むプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−79951(P2007−79951A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267108(P2005−267108)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】