説明

情報処理装置、および情報処理方法、並びにプログラム

【課題】コンテンツのコピー処理において、データ変換に伴うパケット構成が変更された場合にも、特定位置からのコピーコンテンツの再生を問題なく実行可能とした装置および方法を提供する。
【解決手段】コピー処理に伴うデータ変換に際して、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得し、コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイルに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データの位置情報に変更する。具体的には、再生制御情報ファイルであるクリップ情報ファイルに含まれるEPマップの登録データに含まれるソースパケットナンバー(SPN)を、変換後データのアングル切り替えポイントのパケット位置に対応するソースパケットナンバー(SPN)に変更する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、および情報処理方法、並びにプログラムに関する。さらに詳細にはディスク等のメディア(情報記録媒体)に記録されたデータのコピー処理に際して所定のデータ変換を実行して変換コピーデータを生成して第2のメディアに記録する処理を行う情報処理装置、および情報処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
映画や音楽等、様々なコンテンツの情報記録媒体(メディア)として、昨今はDVD(Digital Versatile Disc)や、BD(Blu−ray Disc(登録商標))などが多く利用されている。これらの情報記録媒体に記録された音楽データ、画像データ等のコンテンツの多くは、その作成者や販売者等が著作権や頒布権を有している。従って、ディスクを購入したユーザであっても、ディスク記録コンテンツの利用には一定の制限がなされる。例えばディスク記録コンテンツを他のディスク等のメディアに無制限にコピーを行うといったことは許容されない。
【0003】
このようなメディア格納コンテンツのコピー管理構成として、管理サーバからコピー許可情報を受領したことを条件としてコピーを許容する管理構成(マネージドコピー(MC:Managed Copy))が知られている。マネージドコピー(MC)の具体的シーケンスは以下の通りである。
【0004】
コンテンツ格納ディスクなどのメディアをPCや記録再生装置等のユーザ装置に装着し、ユーザ装置がネットワークを介して管理サーバに接続する。
その後ユーザ装置は、ディスク識別子(ID)等、予め規定された情報をサーバに送信する。
サーバは受信情報の正当性などを確認した後、コピー許可情報をユーザ装置に送信する。
ユーザ装置はサーバからのコピー許可情報の受領を条件としてコピー処理を開始する。
このようなシーケンスでディスク格納コンテンツの他メディアに対するコピー処理を許容するものである。
このコピー管理構成は、マネージドコピー(MC:Managed Copy)と呼ばれ、例えば特許文献1(特開2008−98765号公報)にその詳細が記載されている。
【0005】
一方、コンテンツの著作権保護技術に関する規格としてAACS(Advanced Access Content System)規格がある。AACS規格に従ったBDなどのディスク記録コンテンツの多くは暗号化コンテンツとして記録される。AACS規格の代表的な暗号化構成として、コンテンツをユニット単位に区分してユニット毎に異なる暗号化キーを適用する構成がある。このような暗号化構成を採用することで、ユニット単位のコンテンツの利用制御が可能となり、厳格で多様なコンテンツ利用制御が実現される。
【0006】
コンテンツの区分単位であるユニットはCPSユニットとよばれ、各CPSユニットの暗号化処理や復号処理に適用する暗号鍵はCPSユニットキーやユニットキー、あるいはタイトルキーと呼ばれる。
【0007】
上述したようにユーザ装置において著作権管理対象となる映画などを格納したBD(Blu−ray Disc(登録商標))などのメディア格納コンテンツを他のメディア、例えばハードディスクやフラッシュメモリ、あるいは他のディスクなどの他メディアにコピーを行う場合、上述したマネージドコピー(MC:Managed Copy)に従って、管理サーバからのコピー許可情報を受領してコピーを実行することになる。
【0008】
しかし、BD(Blu−ray Disc(登録商標))などのメディア格納コンテンツをコピー先メディアである例えばハードディスク(HDD)に次から次とコピーしてしまうと、限られた容量を持つハードディスクの空き容量が減少し、コンテンツをたくさん記録することができなくなる。
【0009】
このような問題を解決する1つの方法は、コピー処理に際してコピーデータの圧縮符号化を行い、より圧縮率の高いビデオデータやオーディオデータを生成してコピー先に記録する方法である。あるいはビットレートの低下処理や、全てのデータコピーを行うことなく必要最低限の画像、音声、字幕等のデータのみを選択してコピーするといったことで、データ量を削減することができる。
【0010】
圧縮符号化を行い、より圧縮率の高いビデオデータやオーディオデータを生成する処理は、例えば符号化データの変換を行うトランスコーダによって行われる。例えば、トランスコーダはコピー元のメディアに格納されたMPEG−2符号化データをAVCHD符号化データやMPEG4−AVC符号化データに変換する処理や、圧縮率の変更、あるいは特定ストリーム(第2オーディオストリーム等)の削除等を行う。トランスコーダによって生成されたAVCHDやMPEG4−AVCデータがコピー先メディア(例えばハードディスク等)に記録される。
なお、データ変換処理について説明した従来技術として例えば特許文献2(特開2010−11511号公報)がある。
【0011】
しかし、このようなデータ変換を行うと変換前のデータのデータ形式や制御情報が消失、あるいは変更されることがある。この結果、変換データとしてコピー先メディアに記録されたコピーデータは、オリジナルデータの再生と同様の再生ができなくなる場合がある。
【0012】
このような問題が発生する具体例として、例えば複数のアングルからの撮影画像を含み、例えばユーザからの入力に応じてアングルの切り替え表示を可能としたマルチアングルコンテンツがある。このマルチアングルコンテンツをコピーする場合、コピー処理に際して実行するデータ変換によって、アングルの切り替えに必要となる情報の消失や変更が発生し、変換後のコピーデータを再生してもアングル切り替えが正常にできなくなるといった問題が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−98765号公報
【特許文献2】特開2010−11511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、例えばBD等の第1メディアに記録されたコンテンツに対するデータ変換を実行して第2メディアにコピーする構成において、コピー元データの様々な再生態様を維持したままデータ変換を実行し、変換後のコピーデータの再生においても元データと同様の再生を可能とする情報処理装置、および情報処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、例えば、コピーコンテンツがマルチアングルコンテンツである場合に、コピー先メディアからデータ変換後のコピーコンテンツを再生する場合にも、オリジナルコンテンツと同様のアングル切り替えを可能とするデータ変換を実現する情報処理装置、および情報処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の側面は、
第1メディアの記録データを第2メディアに記録するコピー処理の制御を実行するデータ処理部と、
前記コピー処理におけるデータ変換を実行するデータ変換部を有し、
前記データ処理部は、
前記データ変換部の生成した変換データに基づいて、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得し、
コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイルに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データのアングル切り替えポイント位置情報に変更する再生制御情報ファイルの更新処理を実行する情報処理装置にある。
【0017】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記データ処理部は、前記再生制御情報ファイルであるクリップ情報ファイルに含まれるEPマップの登録データであるソースパケットナンバー(SPN)の書き換え処理を実行する構成であり、変換前データのアングル切り替えポイントのパケット位置に対応するソースパケットナンバー(SPN)を、変換後データのアングル切り替えポイントのパケット位置に対応するソースパケットナンバー(SPN)に変更する処理を実行する。
【0018】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記データ処理部は、前記EPマップに登録された再生時間情報であるプレゼンテーションタイムスタンプ(PTS)とソースパケットナンバー(SPN)との対応データについて、プレゼンテーションタイムスタンプ(PTS)を変更せず、ソースパケットナンバー(SPN)を前記変換後データの構成に応じて変更する処理を行う。
【0019】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記データ処理部は、変換後のストリームデータの先頭からのパケット数またはバイト数に基づいて、変換後データのアングル切り替えポイントのパケット位置に対応するソースパケットナンバー(SPN)を算出する。
【0020】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記データ処理部は、前記EPマップに登録された再生時間情報であるプレゼンテーションタイムスタンプ(PTS)とソースパケットナンバー(SPN)との対応データについて、アングル切り替えポイントであるか否かにかかわらず、ソースパケットナンバー(SPN)を変換データの構成に応じて変更する処理を行う。
【0021】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記データ変換部は、前記アングル切り替えポイントの再生開始位置のピクチャを再生開始点として再生する場合に少なくとも先行ピクチャを参照せずに復号可能とした変換データを生成する。
【0022】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記データ変換部は、符号化方式の変換、または圧縮率の変換、またはストリームの削除の少なくともいずれかの処理を含むデータ変換処理を実行する。
【0023】
さらに、本発明の情報処理装置の一実施態様において、前記情報処理装置は、さらに、管理サーバとの通信を実行する通信部を有し、前記データ処理部は、前記管理サーバからの受信情報に基づいて、前記第1メディアの記録データに含まれるコピー許容データのリストを表示し、表示情報に対するユーザ指定に基づいてコピー対象データを選択する。
【0024】
さらに、本発明の第2の側面は、
情報処理装置において実行する情報処理方法であり、
データ処理部が、第1メディアの記録データを第2メディアに記録するコピー処理の制御を実行するデータ処理ステップと、
データ変換部が、前記コピー処理におけるデータ変換を実行するデータ変換ステップを実行し、
前記データ処理ステップにおいては、
前記データ変換部の生成した変換データに基づいて、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得し、
コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイルに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データのアングル切り替えポイント位置情報に変更する再生制御情報ファイルの更新処理を実行する情報処理方法にある。
【0025】
さらに、本発明の第3の側面は、
情報処理装置において情報処理を実行させるプログラムであり、
データ処理部に、第1メディアの記録データを第2メディアに記録するコピー処理の制御を実行させるデータ処理ステップと、
データ変換部に、前記コピー処理におけるデータ変換を実行させるデータ変換ステップを実行させ、
前記データ処理ステップにおいては、
前記データ変換部の生成した変換データに基づいて、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得させ、
コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイルに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データのアングル切り替えポイント位置情報に変更する再生制御情報ファイルの更新処理を実行させるプログラムにある。
【0026】
なお、本発明のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な情報処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、情報処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0027】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施例の構成によれば、コンテンツのコピー処理において、データ変換に伴うパケット構成が変更された場合にも、特定位置からのコピーコンテンツの再生を問題なく実行可能とした装置および方法が提供される。本発明の情報処理装置は、コピー処理に伴うデータ変換に際して、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得し、コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイルに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データの位置情報に変更する。具体的には、再生制御情報ファイルであるクリップ情報ファイルに含まれるEPマップの登録データに含まれるソースパケットナンバー(SPN)を、変換後データのアングル切り替えポイントのパケット位置に対応するソースパケットナンバー(SPN)に変更する処理を実行する。このEPマップ更新処理により、コピーコンテンツの再生処理において、EPマップ登録情報を用いた正しいアングル切り替え再生が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】マネージドコピー(MC:Managed Copy)システムの概要を説明する図である。
【図2】ユニット構成およびユニットキー管理テーブルについて説明する図である。
【図3】メディアのディレクトリ構成例について説明する図である。
【図4】管理サーバの管理によるコピー処理(MC(Managed Copy))のシーケンスについて説明する図である。
【図5】第1メディアの記録情報であるコピー制御管理ファイル(MCMF:Managed Copy Manifest File)の構成データについて説明する図である。
【図6】コピー実行要求に含まれるデータの一例を示す図である。
【図7】サーバ応答情報(Offer Response)131に含まれる基本情報について説明する図である。
【図8】コピー元となる第1メディア110からコピー先となる第2メディア150(ハードディスク(HDD))に対するコピー処理の例について説明する図である。
【図9】プレイリストファイルの構成例と利用例について説明する図である。
【図10】プレイリストファイルの構成例と利用例について説明する図である。
【図11】アングル切り替え処理に適用するデータについて説明する図である。
【図12】アングル切り替え処理に適用するデータについて説明する図である。
【図13】プレイリストファイルのシンタクス(データ構造)について説明する図である。
【図14】プレイリストファイル内のプレイアイテム情報のシンタクス(データ構造)について説明する図である。
【図15】クリップ情報ファイルのシンタクス(データ構造)について説明する図である。
【図16】クリップ情報ファイルのPrpgramInfoについて説明する図である。
【図17】クリップ情報ファイルのPrpgramInfoのシンタクス(データ構造)について説明する図である。
【図18】クリップ情報ファイルのCPI(Characteristic Point Information)のシンタクス(データ構造)について説明する図である。
【図19】クリップ情報ファイルに含まれるEPマップについて説明する図である。
【図20】クリップ情報ファイルに含まれるEPマップについて説明する図である。
【図21】本発明の情報処理装置の実行するコンテンツコピー処理の詳細について説明する図である。
【図22】本発明の情報処理装置の実行するデータ変換処理例について説明する図である。
【図23】本発明の情報処理装置の実行するデータ変換処理例について説明する図である。
【図24】本発明の情報処理装置の実行するコンテンツコピー処理の詳細について説明する図である。
【図25】本発明の情報処理装置の実行するコピー処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
【図26】本発明の情報処理装置の実行するコピー処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
【図27】本発明の情報処理装置の実行するコピー処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
【図28】本発明の情報処理装置の実行するコピー処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
【図29】本発明の情報処理装置の実行するコピー処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
【図30】プレイリストファイルの更新処理例を示す図である。
【図31】クリップ情報ファイルの更新処理例を示す図である。
【図32】情報処理装置の構成例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の情報処理装置、および情報処理方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行なう。
1.サーバ管理に基づくコンテンツのコピー制御処理の概要
2.コンテンツの記録構成例について
3.サーバ管理に基づくコンテンツのコピー処理シーケンスについて
4.マルチアングルコンテンツのコピー処理について
5.本発明の情報処理装置の実行するデータ変換処理(トランスコード)を伴うコピー処理について
6.本発明の情報処理装置の実行するコピー処理シーケンスについて
7.情報処理装置の構成例について
【0031】
[1.サーバ管理に基づくコンテンツのコピー制御処理の概要]
まず、図1を参照してサーバ管理に基づくコンテンツのコピー制御処理の概要について説明する。
例えばBD(Blu−ray Disc(登録商標))等に記録された映画等のコンテンツの多くは、所定の著作権管理の下で利用が許容される。従って、ディスクを購入したユーザであっても、ディスク記録コンテンツの利用には一定の制限がなされる。例えばディスク記録コンテンツを他のディスク等のメディアに無制限にコピーを行うといったことは許容されない。
【0032】
このようなメディア格納コンテンツのコピー管理構成として、管理サーバからのコピー許可情報の受領を条件としたコピー許容処理構成が知られている。図1は、その一例であるマネージドコピー(MC:Managed Copy)システムの概要を説明する図である。
【0033】
情報処理装置20はユーザのPCやレコーダ(記録再生装置)等であり、著作権管理対象等、利用制限のなされたコンテンツである映画等の記録された第1メディア10を装着して再生することができる。
情報処理装置20は、この第1メディア10に記録されたコンテンツを他のメディアである第2メディア30にコピーする処理が可能となる。第2メディア30は、情報処理装置20において記録可能なメディアであり、例えばハードディスク(HDD)やフラッシュメモリ、あるいはデータ記録可能なディスク(BD,DVDなど)等のメディアである。
【0034】
しかし、ユーザが自由にコピー処理を行ってしまうと、コンテンツの複製が大量に発生し、コピーコンテンツの不正な利用や流通が起こることになる。このような事態を防止するため、ユーザ装置である情報処理装置20がコンテンツのコピーを実行する場合、管理サーバ50と接続し、管理サーバ50からコピー許可情報を受け取る。このコピー許可情報の受領には、例えばユーザの持つ第1メディアの正当性の確認や、所定の料金の支払い等の手続が必要となる。
【0035】
ユーザ装置である情報処理装置20は、この所定の手続きを行うことで、管理サーバ50からコピー許可情報を受領し、コピー許可情報の受領を条件としてコンテンツコピーを行うことができる。これが、マネージドコピー(MC:Managed Copy)の概要である。
【0036】
[2.コンテンツの記録構成例について]
次に、上記のマネージドコピー(MC:Managed Copy)の対象となる例えば著作権の管理された利用制御コンテンツを記録したメディア(図1の第1メディア10)に記録されたデータの構成例について説明する。
【0037】
一般的なコンテンツ記録済みディスク、例えばBD(Blu−ray Disc(登録商標))−ROM等に記録された映画等のコンテンツの多くは、不正コピーなどの不正利用を防止するため暗号化されて記録される。
【0038】
コンテンツの著作権保護技術に関する規格であるAACS(Advanced Access Content System)規格に従った暗号化コンテンツは、前述したようにユニット単位に区分され、ユニット毎に異なる暗号鍵を適用した暗号化データとして記録される。ユニット単位の暗号化構成とすることで、ユニット単位の利用制御が可能となり、厳格で多様なコンテンツ利用制御が実現される。
【0039】
コンテンツの区分単位であるユニットはコンテンツ管理ユニットまたはCPSユニットとよばれ、各CPSユニットに対応する暗号鍵はCPSユニットキーやユニットキー、あるいはタイトルキーと呼ばれる。ディスクに記録されたコンテンツのユニット区分と暗号鍵(ユニットキー)との対応関係の一例を図2に示す。
【0040】
図2は、あるメディア、例えば1枚のディスクに記録されたコンテンツを構成するユニット(CPSユニット)と暗号鍵であるCPSユニットキーとの対応関係を示すユニットキー管理テーブルの例である。このユニットキー管理テーブルはメディア(BDなど)に暗号化コンテンツと共に記録される。
【0041】
図2に示すように、コンテンツの構成データであるCPSユニットは、CPSユニット1〜nに区分されている。各CPSユニット1〜nの各々に対して固有の暗号鍵であるCPSユニットキーが対応付けられる。
【0042】
例えばCPSユニット1(CPS1)を再生する場合は、CPSユニットキー1(Ku1)を利用して復号を行う。CPSユニット2(CPS2)を再生する場合は、CPSユニットキー2(Ku2)を適用して復号を行うことが必要となる。各CPSユニットおよびCPSユニットキーに対応するインデックスとしては、例えば「タイトル」が利用される。「タイトル」はCPSユニット各々に対応して設定されたインデックスであり、タイトルを特定することでCPSユニット、およびCPSユニットキーを特定することができる。
【0043】
図3は、第1メディア10がROM型のBlu−ray Disc(登録商標)である場合のディレクトリであり、BD(Blu−ray Disc(登録商標))の記録データに対応するディレクトリ構成を示している。
【0044】
ディレクトリは図3に示すように管理情報設定部51(AACSディレクトリ)と、データ部52(BDMVディレクトリ)に分離されている。
管理情報設定部51(AACSディレクトリ)には、CPSユニットキーファイルや利用制御情報ファイルなどが格納される。
【0045】
一方、データ部52には、BDMVディレクトリ以下に、
インデックスファイル、
ムービーオブジェクトファイル、
プレイリストファイル、
クリップ情報ファイル、
クリップAVストリームファイル、
BDJOファイル、
例えば、これらのファイルが記録される。
【0046】
インデックスファイルには、再生処理に適用するインデックス情報としてのタイトル情報が格納されている。このタイトルは、先に図2を参照して説明したユニットキー管理テーブルに登録されたタイトルと同様であり、CPSユニットに対応付けられたデータである。
【0047】
ムービーオブジェクトファイルは再生用のプログラムを格納したファイルである。
プレイリストファイルは、コンテンツの再生シーケンスを設定したファイルである。ユーザの選択したタイトルによってあるプレイリストファイルが選択され、選択されたプレイリストファイルに含まれるプレイアイテムやパス情報に従って特定のクリップ情報ファイルを再生対象として指定する。
【0048】
クリップ情報ファイルは、プレイリストファイルによって指定されるファイルであり、クリップAVストリームファイルの再生位置情報等を有する。
クリップAVストリームファイルは、再生対象となるAVストリームデータを格納したファイルである。
なお、クリップ情報ファイルとクリップAVストリームファイルを併せてクリップまたはクリップファイルと呼ぶ場合がある。
BDJOファイルは、JAVA(登録商標)プログラム、コマンド等を格納したファイルの実行制御情報を格納したファイルである。
【0049】
上述したように、再生対象となる画像データや音声データは、クリップAVストリームファイルに格納されており、インデックスファイル、ムービーオブジェクトファイル、プレイリストファイル、クリップ情報ファイルには、このクリップAVストリームファイルに格納された画像データや音声データの再生に必要となるインデックス、プログラム、シーケンス情報、データ位置情報などの様々な再生制御情報が格納され、これらは再生制御情報の記録ファイルとして利用される。
【0050】
情報処理装置が情報記録媒体に記録されたコンテンツを再生するシーケンスは以下の通りである。
まず、再生アプリケーションによってインデックスファイルから特定のタイトルを指定する。
指定されたタイトルに関連付けられた再生プログラムが選択される。
選択された再生プログラムのプログラム情報に従ってコンテンツの再生順等を規定したプレイリストが選択される。
選択されたプレイリストに規定されたクリップ情報によって、コンテンツ実データとしてのAVストリームやコマンドが読み出されて、AVストリームの再生や、コマンドの実行処理が行われる。
【0051】
このコンテンツ再生処理においては、選択されたタイトルに応じて、先に図2を参照して説明したユニットとユニットキーの判別が可能となり、再生対象のユニット(暗号化コンテンツ)に対応するユニットキーを取得してユニット単位の復号処理が行われることになる。図1を参照して説明したコピー処理を実行する場合、管理サーバ50から受領する情報を参照してコピー対象データを特定してコピー処理を実行する。
【0052】
[3.サーバ管理に基づくコンテンツのコピー処理シーケンスについて]
次に、図4以下を参照して、サーバ管理に基づくコンテンツのコピー処理シーケンスについて説明する。図4は、サーバ管理に基づくコンテンツのコピー処理の一例であるマネージドコピー(MC:Managed Copy)のシーケンスを説明する図である。
【0053】
図4には、左から、
映画等のコンテンツ記録済みのROMディスクなどの第1メディア110、
第1メディア110からコンテンツ等のデータを読み取り、コピー処理を行なうユーザ装置としての情報処理装置120、
コンテンツのコピー先のメディアであり、ハードディスク(HDD)やフラッシュメモリ、あるいはR/REディスク等によって構成される第2メディア150、
さらに、
コンテンツコピーの許可情報等の提供処理を実行する管理サーバ(MCサーバ)140、
これらを示している。
【0054】
情報処理装置120は、例えばPCや記録再生装置などによって構成され、第1メディア110からの読み取りデータを入力して、ハードディスク(HDD)やフラッシュメモリ、あるいはR/REディスクなどによって構成されるコピー先メディアとしての第2メディア150にデータを記録する処理、すなわちコンテンツコピー処理を実行する。
【0055】
第1メディア110は、例えば、ROM型のBlu−ray Disc(登録商標)、DVDディスクなどである。第2メディア150は、データを書き込むことが可能なメディアであり、具体的には例えばハードディスク(HDD)やフラッシュメモリ、あるいはR型、RE型のBlu−ray Disc(登録商標)、DVDディスクなどである。
【0056】
例えばROMディスク等によって構成される第1メディア110には、図に示すように利用制御コンテンツである暗号化コンテンツ113が記録されている。暗号化コンテンツ113は、例えば高精細動画像データであるHD(High Definition)映画コンテンツなどの動画コンテンツのAV(Audio Visual)ストリーム、あるいは音楽データ、ゲームプログラム、画像ファイル、音声データ、テキストデータなどからなるコンテンツである。
【0057】
暗号化コンテンツ113は、先に図2を参照して説明したように、コンテンツ管理ユニット(CPSユニット)単位の利用管理構成を有し、CPSユニット単位で異なるユニットキー(CPSユニットキー)を適用して暗号化が施された暗号化コンテンツである。すなわち、ユニット単位の区分データ毎の異なる利用制御を実現するため、ユニット毎に異なる鍵(CPSユニットキーやユニットキー、あるいはタイトルキーと呼ばれる)によって暗号化されている。
【0058】
さらに、第1メディア110には、暗号化コンテンツ113の復号に適用する鍵情報、利用制御情報などによって構成される管理データ(AACS Data)112、さらに、第1メディア110の記録コンテンツのコピー処理の際に利用されるコピー制御管理ファイル(MCMF:Managed Copy Manifest File)111が格納されている。コピー制御管理ファイル(MCMF)については後段で説明する。
【0059】
図4に示す第1メディア110の記録情報として示す管理データ112は、例えばコンテンツの著作権保護技術に関する規格管理システムであるAACS(Advanced Access Content System)の規定する管理データであり、暗号化コンテンツ113の復号に適用する鍵(ユニットキー)を格納したCPSユニットキーファイル、使用許諾情報、コンテンツの正当性を示すコンテンツ証明書(CC:Content Certificate)、さらに、CPSユニットキーを取得するためのメディアキーを格納した暗号鍵ブロック(MKB(Media Key Block))等を含むデータである。
【0060】
MKB(Media Key Block)について簡単に説明する。MKBはブロードキャストエンクリプション方式の一態様として知られる木構造の鍵配信方式に基づいて生成される暗号鍵ブロックである。MKBは有効なライセンスを持つユーザの情報処理装置に格納されたデバイスキー[Kd]に基づく処理(復号)によってのみ、コンテンツの復号に必要な鍵であるメディアキー[Km]の取得を可能とした鍵情報ブロックである。これはいわゆる階層型木構造に従った情報配信方式を適用したものであり、ユーザデバイス(情報処理装置)が有効なライセンスを持つ場合にのみ、メディアキー[Km]の取得を可能とし、無効化(リボーク処理)されたユーザデバイスにおいては、メディアキー[Km]の取得が不可能となる。図2に示す情報処理装置120のメモリには、デバイスキー[Kd]が格納されている。
【0061】
図4の第1メディア110の記録情報として示すコピー制御管理ファイル(MCMF:Managed Copy Manifest File)111は、第1メディア110に記録されたコンテンツ113のコピー処理を実行する際に適用するファイルであり、例えば、図5に示すデータを含むXML記述データである。
【0062】
(1)管理サーバURL:コピー許可情報を提供する管理サーバのアクセス情報である。図4に示す管理サーバ140に対するアクセス情報である。
(2)コピーデータ情報(dealManifest)
(2−1)プレイリストファイル名:コピー対象となるプレイリストのファイル名である。
(2−2)CPSユニットキー情報:コピー対象コンテンツの復号処理に適用するCPSユニットキーの識別情報である。
(2−3)コピーユニット識別子:管理コピー(MC:Managed Copy)のコピー単位を示すコピーユニット(MCユニット)のユニット識別情報である。
(3)コンテンツID:コピー対象となるコンテンツの識別子である。例えばコンテンツコード情報としてのISAN(International Standard Audiovisual Number)ナンバーが用いられる。
【0063】
図4を参照して、例えばROMディスクである第1メディア110に記録されている暗号化コンテンツ113をハードディスクやR/REディスク等によって構成される第2メディア150等の他メディアにコピーする場合の処理シーケンスについて説明する。
【0064】
情報処理装置120は、まず、ステップS11において、第1メディア110に記録されているコピー制御管理ファイル(MCMF)111に記録されたサーバ情報(URIなど)を適用して、管理サーバ140にコピー実行要求(Offer Request)を送信する。
この際、コピー処理対象となるコンテンツに対応するコンテンツID等が管理サーバ140に送信される。
【0065】
コピー実行要求に含まれるデータの一例を図6に示す。図6に示すように、コピー実行要求には例えば以下のデータが含まれる。
(a)コンテンツID:第1メディアに格納されたコンテンツの識別子
(b)コンテンツ証明書ID:上記コンテンツの正当性を確認するための証明書
(c)メディア識別子:コピー元となる第1メディアの識別子
(d)乱数:データ正当性確認用データ
(e)言語コード:情報処理装置の利用する言語のコード情報
これらの情報である。
上記情報中(a)〜(c)の各情報は、第1メディア110から読み取られる。(d)乱数は、情報処理装置120において生成する。(e)言語コードは、情報処理装置120のメモリに予め記録された言語コードを取得して送信する。
なお、言語コードは、管理サーバ140の提供する応答に含まれるオファー詳細情報の言語等を決定するために用いられる。
【0066】
図4に戻り、サーバ管理に従ったコンテンツのコピー処理シーケンスについての説明を続ける。管理サーバ140は、ステップS12において、情報処理装置120から受信したコンテンツID等の受信情報の正当性等の検証処理を実行し、問題がないことが確認された場合、サーバ応答情報(Offer Response)131を生成して情報処理装置120に送信する。
【0067】
管理サーバ140が情報処理装置120に提供するサーバ応答情報(Offer Response)131に含まれる基本情報について図7を参照して説明する。
基本情報には以下の各情報が含まれる。
(1)オファー詳細情報
(1a)タイトル/要約/説明(title/abstract/description):コピー許容コンテンツに対応するタイトル、要約、説明の情報である。
(1b)コピーユニット識別子(MCU):コピー単位としてのコピーユニットを識別する識別子である。
(1c)価格情報(price):コピーの価格情報である。
(1d)価格補助情報(priceInfo):価格の補助情報である。
(1e)決済サーバURL(financialHTMLURL):コピー料金の決済処理を行うサーバのアクセス情報である。
(1f)コピー先情報(mcotInfo):コピー先機器として許容されるメディアの種類等を示す情報である。例えばHDD/フラッシュメモリなどのメディア種類が記録される。
【0068】
(2)乱数(mcmNonce):データ正当性確認のための乱数である。
(3)コピーデータ情報(File name to be copied)(=dealManifest)
(3a)プレイリストファイル名(PlayList file name):コピー対象となるプレイリストのファイル名である。なおプレイリストの特定によりクリップ情報ファイルやクリップAVストリームファイルも特定可能となる。
(3b)CPSユニットキー情報(Index to identify the CPS Unit Key):コピーコンテンツの復号用の鍵(CPSユニットキー)の識別情報である。
(3c)コピーユニット識別子(MCUi):コピー単位を示すコピーユニット(MCU)の識別情報である。
(4)サーバ公開鍵証明書(MCScert):暗号通信、署名確認等に利用するサーバの公開鍵を格納した証明書である。
(5)署名(signature):データ全体に対する改ざん確認のための署名データである。
【0069】
これらの情報が、管理サーバ140が情報処理装置120に提供するサーバ応答情報(Offer Response)131に含まれる基本情報である。これらの情報はコピー処理単位としてのコピーユニット(MCU)各々に対して設定される。
例えば、同じコンテンツAであっても、コピーユニットは、コピー先メディアに応じて設定される。すなわち、
ハードディスクに対するコンテンツAのコピーユニット0001
フラッシュメモリに対するコンテンツAのコピーユニット0002
このような設定である。
【0070】
なお、図7に示すサーバ応答情報(Offer Response)131には、先に図5を参照して説明した第1メディア110に記録されたコピー制御管理ファイル(MCMF)111に記録された情報と同様の情報が含まれる。すなわち、上記の(3)コピーデータ情報(File name to be copied)(=dealManifest)である。これらの情報は、管理サーバ140からの受領情報を優先してコピー処理が行われる。管理サーバ140からの受領情報は逐次更新される可能性があるからである。
【0071】
図4に戻り、サーバ管理に従ったコンテンツのコピー処理シーケンスについての説明を続ける。管理サーバ140は、ステップS12において、情報処理装置120から受信したコンテンツID等の受信情報の正当性等の検証処理を実行し、問題がないことが確認された場合、サーバ応答情報(Offer Response)131を生成して情報処理装置120に送信する。
【0072】
サーバ応答情報(Offer Response)131を受領した情報処理装置120は、管理サーバ140から受領した応答情報(Offer Response)131を適用して、コピー許容コンテンツの一覧リスト(コピー許容リスト121)を情報処理装置120の表示部に表示する。このリストには例えばコンテンツ各々についてコピーを実行する場合の価格(プライス)等が設定されている。
【0073】
ステップS13において、ユーザがコピー許容コンテンツリストからコピー対象のコンテンツ等を指定するコンテンツ選択を実行する。さらに、ステップS14において、情報処理装置120は、管理サーバ140との間でコピー処理に伴う決済処理を実行する。具体的には、情報処理装置120と管理サーバ140との間で決済データ132の転送処理等が行われる。なお、決済処理を実行するサーバは管理サーバと異なる決済サーバとしてもよい。また、コピー処理が無料に設定されたコンテンツのコピーを実行する場合は、決済処理は省略される。
【0074】
必要に応じて実行される決済処理の完了後、ステップS15において情報処理装置120は管理サーバ140にコピー許可情報の要求を送信する。管理サーバ140は、ステップS16において、情報処理装置120からのコピー許可情報要求に応じて、決済がなされていることを確認してコピー許可情報122を生成して情報処理装置120に送信する。
【0075】
情報処理装置120は、管理サーバ140からのコピー許可情報122の受領を条件として、ステップS17においてコンテンツコピー処理を実行する。すなわち、第1メディア110から暗号化コンテンツ113を読み出して、コピー対象とするデータを選択して復号処理を行い、コピー先となるハードディスク(HDD)やフラッシュメモリ、あるいはR/REディスク等によって構成される第2のメディア150に対するデータコピーを実行する。
【0076】
なお、コンテンツコピー処理は、例えば以下の手順で実行される。
(1)第1メディア110(コピー元メディア)からの暗号化コンテンツの読み出し、
(2)第1メディア110(コピー元メディア)対応の第1管理システムに従った暗号化コンテンツの復号処理、
(3)第2メディア150(コピー先メディア)対応の第2管理システムに従ったコンテンツの暗号化処理、
(4)暗号化コンテンツの第2メディア150(コピー先メディア)に対する記録処理、
このようなシーケンスで処理を行う。
【0077】
このように、暗号化コンテンツをディスクから読み出して他のディスク等のメディアにコピーする場合、一旦、コピー対象の暗号化コンテンツを復号し、その後、コピー先のメディアに対応した著作権管理システムの規格に従った再暗号化を実行して記録するといった処理が行われる。このような処理を行うことでコピー先のメディアでも利用制御がなされ、コピーコンテンツの不正な利用や流通を防止することができる。
【0078】
なお、デジタルデータに関するコンテンツ著作権管理システムの総称は、DRM(Digital Rights Management)システムと呼ばれている。デジタルデータを記録可能なメディアは様々であり、メディアに応じた様々なDRMシステムが採用されている。異なるDRMシステムを採用しているメディア間でデジタルデータをコピーする場合は、コピー元メディアで採用しているDRMシステムからコピー先メディアで採用しているDRMシステムへ変更した上でコピーを行う。このような構成とすることで、コピーコンテンツの不正な利用や流通を防止することができる。
【0079】
この場合、コピー元の管理システム(第1DRMとする)とコピー先のコンテンツ管理システム(第2DRMとする)が異なる場合には、上記の(1)〜(4)のシーケンスのようにコピー元の暗号化コンテンツを一旦、復号し、コピー先の管理システム(第2DRM)に従った処理、例えば別の暗号化キーを利用した再暗号化や符号化を行って記録することが必要となる。
【0080】
上記の(2)の第1管理システムに従った暗号化コンテンツの復号処理は、第1管理システムがAACS規定に従ったシステムである場合、CPSユニットキーを適用したCPSユニット単位の復号処理として行われることになる。
なお、コピー先メディア(第2メディア150)対応の第2管理システムとは、AACSである場合もあるし、その他、CPRM、MagicGate、VCPSなど、メディアに応じた様々な規定に対応する管理システムが想定される。
【0081】
図8に具体的なコピーの一例を示す。図8はコピー元となる第1メディア110と、コピー先となる第2メディア150の例としてハードディスク(HDD)を示している。
【0082】
図8の左側に示すように、第1メディア110には、先に図3を参照して説明したディレクトリ構成に従って、様々なファイルが記録されている。これらの多数のファイルから、特定のファイルを選択して選択されたファイルのみを第2メディア150であるハードディスク(HDD)にコピーする処理を実行する。
【0083】
図8の左側に示す第1メディア110のディレクトリから太線で示されたファイルが選択されてコピーされた例を示している。すなわち、
プレイリストファイル(PLAYLIST):00001.mpls、
クリップ情報ファイル(CLIPINF):00011.clpi、00012.clpi
AVストリームファイル:0011.m2ts、0012m2ts
これらのファイルが選択されてコピーされる。
このように例えばあるコピー処理に際しては、インデックスファイルやムービーオブジェクトファイル等の管理情報ファイルのコピーは行われず、プレイリストファイル〜AVストリームファイルのみが記録される。
【0084】
なお、ファイル選択は、先に図7を参照して説明したサーバ応答情報(Offer Response)131に含まれた情報を適用して実行される。
先に図7を参照して説明したように、サーバ応答情報(Offer Response)131には、(3)コピーデータ情報(File name to be copied)(=dealManifest)として、
(3a)プレイリストファイル名
(3b)CPSユニットキー情報
(3c)コピーユニット識別子(MCUi)
これらの情報が記録され、これらの情報を適用してコピー単位としてのコピーユニットを選択し、選択したコピーユニットに対応するプレイリストファイル名を取得してプレイリストファイルを取得する。さらに、取得したプレイリストファイルによって指定されるクリップ情報ファイルやクリップAVストリームファイルを取得する。さらに、コピーユニットに対応するCPSユニットキーを取得してクリップAVストリームファイル等のコンテンツの復号を実行する。その後、さらに、第2メディア150のDRMシステム対応の暗号化処理等を実行した後、第2メディア150であるハードディスク(HDD)にファイルを設定する。
【0085】
[4.マルチアングルコンテンツのコピー処理について]
上述したように、利用制御コンテンツであっても、サーバ管理下においてコピー処理(MC:マネージドコピー)が可能となり、ユーザは、コピー先メディアである第2メディアからコンテンツの再生や利用を行うことができる。
【0086】
しかし、先に説明したように、コピー処理に際しては、例えば圧縮率を高めるためにトランスコーダ(データ変換部)によってデータ変換処理が行われることが多い。例えば、トランスコーダはコピー元のメディアに格納されたMPEG−2符号化データをAVCHD符号化データやMPEG4−AVC符号化データ等に変換する処理などを行う。トランスコーダによって生成されたAVCHDやMPEG4−AVCデータがコピー先メディア(例えばハードディスク等)に記録される。
【0087】
しかし、このようなデータ変換を行うと変換前のデータのデータ形式や制御情報が消失、あるいは変更されることがある。この結果、変換データとしてコピー先メディアに記録されたコピーデータは、オリジナルデータの再生と同様の再生ができないデータとなって記録されてしまう場合がある。
【0088】
特に、コピー処理対象データがマルチアングルコンテンツである場合、アングル切り替えに必要となる情報の消失や変更が発生し、変換後のコピーデータを再生してもアングル切り替えが正常にできなくなるといった問題が発生することがある。
なお、マルチアングルコンテンツとは、複数のアングルからの撮影画像を含み、例えばユーザからの入力に応じてアングルの切り替え表示を可能としたコンテンツである。
以下では、この問題を解決する構成について説明する。
【0089】
例えばBD−ROMにMPEG−2フォーマットで記録されたマルチアングルコンテンツの場合、別アングルの映像に切り替え可能なデータ位置(アングル切り替えポイント(位置))が予め規定されている。
アングル切り替えポイントとなる再生対象データ(クリップAVストリームの構成データ(ピクチャ))は所定の条件を満たすことが必要となる。
また、このアングル切り替えポイントのデータ位置等の情報が、再生制御情報ファイル(クリップ情報ファイルやプレイリストファイル等)に記録されていることがアングル切り替え再生処理を行うためには必要となる。
【0090】
コピー処理に際して、トランスコーダ(データ変換部)が符号化形式の変換(トランスコード)を実行すると、上述の再生対象データ(クリップAVストリーム)や再生制御情報ファイル(クリップ情報ファイルやプレイリストファイル等)が変換され、この変換によって、正常なアングル切り替えに必要となるデータや制御情報の変更や消失が発生して、変換後のコピーデータのアングル切り替えができなくなることがある。
【0091】
MPEG−2フォーマットのデータにおいては、アングル切り替えポイントのピクチャは、クリップAVストリームを構成するクローズドGOP(Closed GOP)の先頭のピクチャであることが条件とされる。クローズドGOP(Closed GOP)については、後段で説明する。
また、アングル切り替え再生を行う場合、例えばクリップAVストリーム中のアングル切り替えポイントのパケット位置情報(SPN:ソースパケットナンバー)を再生制御情報ファイル(クリップ情報ファイル)から取得する必要がある。
【0092】
コピー処理時のデータ変換処理に際して、これらアングル切り替えポイントのデータ条件や再生制御情報が失われると、コピー先メディアである第2メディアからのコピーコンテンツの再生時に、正常なアングル切り替えができなくなる。
【0093】
まず、コピー対象データである第1メディアに記録されたオリジナルコンテンツのデータ構成について図9以下を参照して説明する。
以下で説明するデータは、BD−ROMディスクにMPEG−2符号化フォーマットに従って記録されたデータの例である。
制御情報ファイルであるプレイリストファイル、クリップ情報ファイルと、再生データの格納ファイルであるクリップAVストリームファイルの構成例について説明する。
【0094】
まず、コピー元となるオリジナルコンテンツを格納したディスクに設定されるプレイリストファイルの構成例と利用例について、図9を参照して説明する。
図9にはコピー元となるオリジナルコンテンツを格納したディスクに設定されるプレイリストファイル#1を利用したコンテンツ再生処理例を示している。
【0095】
例えばユーザが再生指定したタイトルに応じて特定のプレイリストが選択され、そのプレイリストに従ってクリップ(クリップ情報ファイル、クリップAVストリームファイル)が選択されて再生処理が実行される。
【0096】
図9に示すプレイリストファイル#1は、最も単純な構成を持つプレイリストの例である。映像コンテンツのクリップ情報ファイルに対する再生開始位置と終了位置を示す再生指定情報を持つプレイアイテムが設定されている。プレイアイテムは、2つのプレイアイテムによって構成されている。
オープニング映像の再生開始点(IN1)と再生終了点(OUT1)を持つ第1プレイアイテム、
映画本編の再生開始点(IN2)と再生終了点(OUT2)を持つ第2プレイアイテムである。
【0097】
例えばユーザが再生指定したタイトルに応じてこのプレイリストファイル#1が選択された場合、このプレイリストファイル#1の先行するプレイアテムに従ってオープニング映像を持つクリップ(クリップ情報ファイル、クリップAVストリームファイル)が選択されて再生され、その後、後続のプレイアイテムに従って映画本編のクリップ(クリップ情報ファイル、クリップAVストリームファイル)が選択されて再生される。
【0098】
プレイリストファイルの構造は、図9に示すプレイリストファイル#1のように単純な構造を持つファイルに限らない。様々な複雑なデータ再生処理を行うための複雑な構造を持つプレイリストファイルが存在する。
【0099】
複雑なデータ再生を実現するプレイリストファイルの一例として、サブパスを持つプレイリストファイルの例について図10を参照して説明する。
図10に示すプレイリストファイル#2には、映像コンテンツのクリップ情報ファイルに対する再生開始位置と終了位置を示す再生指定情報を持つプレイアイテムと、字幕の再生指定情報を持つサブパスが設定されている。プレイアイテムは、2つのプレイアイテムによって構成されている。
オープニング映像の再生開始点(IN1)と再生終了点(OUT1)を持つ第1プレイアイテム、
映画本編の再生開始点(IN2)と再生終了点(OUT2)を持つ第2プレイアイテムである。
サブパスは、字幕データの再生開始点(IN3)と再生終了点(OUT3)を持つ情報として構成されている。
【0100】
例えばサブパスによって指定される字幕データが日本語字幕である場合、このプレイリスト#2のプレイアイテムによって指定されるクリップ情報ファイルから画像コンテンツが再生され、この再生に併せてサブパスで選択される字幕データを格納したクリップから字幕データが再生される。
例えば、英語の字幕を表示する場合には異なるプレイリストを利用することになる。
【0101】
このようにプレイリストファイルにメインパスに対応するプレイアイテムと、さらにサブパスが含まれる場合、これらの2つのパス情報を利用した再生処理が可能となり、例えば映像再生に併せた字幕再生が可能となる。
【0102】
なお、プレイリストファイルには、図10に示すようにサブパスの設定されたファイルと、図9に示すようなサブパスの設定されていないファイルがあり、オリジナルコンテンツを格納したBD等のメディアには、異なる種類の多数のプレイリストファイルが記録されている。
【0103】
マルチアングルコンテンツの場合、異なるアングルからの撮影画像を各々格納した複数のクリップAVストリームファイルとこれらの複数のクリップAVストリームファイルに対応する複数のプレイリストファイルが利用される。
【0104】
例えば、マルチアングルコンテンツのある再生区間中に3つのアングル(アングル#1,アングル#2,およびアングル#3)が設定された例について図11を参照して説明する。
図11に示すように、それぞれのアングルの撮影画像を格納したクリップAVストリーム#1〜#3が利用される。各クリップAVストリーム#1〜#3は、それぞれに対応して設定されたプレイリスト#1〜#3を利用して再生される。
【0105】
図11に示す例の場合、アングル#1,アングル#2,およびアングル#3は、プレイリスト#1,プレイリスト#2,およびプレイリスト#3により、それぞれ再生される。図11に示す例の場合、再生区間は、1つのアングルから他のアングルに移行可能なタイミングの位置(アングル切り替えポイント)で、異なるプレイアイテムに分けられる。
【0106】
例えば、アングル#1の再生区間を3つに区分するとき、プレイリスト#1は、各再生区間a1,a2,およびa3に対応して、3つのプレイアイテムで構成され、それぞれの再生区間a1,a2,およびa3に対応するクリップ#1のAVストリームデータがA1,A2,およびA3とされる。
【0107】
アングル#2の再生区間を3つに区分するとき、プレイリスト#2は、各再生区間b1,b2,およびb3に対応して、3つのプレイアイテムで構成され、それぞれの再生区間b1,b2,およびb3に対応するクリップ#2のAVストリームデータがB1,B2,およびB3とされる。
【0108】
アングル#3の再生区間を3つに区分するとき、プレイリスト#3は、各再生区間c1,c2,およびc3に対応して、3つのプレイアイテムで構成され、それぞれの再生区間c1,c2,およびc3に対応するClip3のAVストリームデータがC1,C2,およびC3とされる。
【0109】
再生区間a1,b1,およびc1のプレイアイテムは、同じイン点(IN_time)とアウト点(OUT_time)の組を持ち、例えば、IN_timeはT1であり、OUT_timeはT2である。同様に、再生区間a2,b2,およびc2のプレイアイテムは、同じイン点(IN_time)とアウト点(OUT_time)の組を持ち、例えば、IN_timeはT2であり、OUT_timeはT3である。さらに、再生区間a3,b3,およびc3のプレイアイテムは、同じイン点(IN_time)とアウト点(OUT_time)の組を持ち、例えば、IN_timeはT3であり、OUT_timeはT4である。この場合、T1,T2,T3,およびT4は、再生時間情報であり、それぞれAVストリーム上の再生時間を示すPTS(Presentation Time Stamp)を示す。
【0110】
マルチアングルコンテンツの再生処理に際してシームレスにアングルを変更する場合の基本的な処理について説明する。マルチアングルコンテンツの再生を実行する再生装置の制御部は、ユーザからアングルの切り替え指示が入力されたか否かを判定する。アングルを切り替えの指示を検出した場合、制御部は、現時点の再生位置がアングル切り替えポイントであるか否かを判定する。現在の再生位置がアングル切り替えポイントではない場合、制御部は再生位置がアングル切り替えポイントに達するまで待機する。
【0111】
再生位置がアングル切り替えポイントに達したと判定された場合、制御部は、再生位置を指定されたアングルのプレイアイテムで規定されるAVストリームの先頭の位置に移行(ジャンプ)させる。そして、そのAVストリームのデータが再生される。
【0112】
このようにして、例えばユーザの指示に応じて順次アングルの切り替えが行われる。図11の例では、アングル#1の再生区間に対応するクリップAVストリーム#1のAVストリームデータA1が再生され、アングル#2の再生区間に対応するクリップAVストリーム#2のAVストリームデータB2が再生され、次に、アングル#3の再生区間に対応するクリップAVストリーム#3のAVストリームデータC3が順次再生される。
【0113】
各プレイアイテムの先頭アドレスと終了アドレスの情報、並びにデータサイズ(バイト量)の情報は、各クリップのクリップ情報ファイル(Clip Information file)から得られる。
【0114】
図12は、アングル切り替え処理に適用するクリップ情報ファイル(Clip Information file)のデータ内容について説明する図である。
AVストリームデータA1,B1,およびC1の中のそれぞれのビデオストリームデータは、シーケンスヘッダ(Sequence header)から始まるクローズドGOP(Closed GOP)から開始する。それぞれの表示開始の再生時間を示すタイムスタンプ(PTS:プレゼンテーションタイムスタンプ)はT1で同一であり、また、それぞれの表示期間も(T1−T2)で、同一である。
【0115】
なお、クローズドGOP(Closed GOP)とは、1つの再生区間内(例えば、再生区間A1,B1,C1等)で閉じているGOPであり、その区間内で完結するように符号化されたピクチャのグループ(GOP:Group of Pictures)である。
【0116】
MPEG符号化データは、参照画像を必要としない符号化や復号処理の可能な符号化画像であるIピクチャと、1枚のピクチャを参照画像として符号化/復号処理を行うPピクチャと、2枚のピクチャを参照画像として符号化/復号処理を行うPピクチャBピクチャによって構成される。PピクチャやBピクチャは、先行または後続画像を参照して符号化または復号を行う。
【0117】
複数のI/P/Bピクチャからなる集合の単位(符号化処理単位)としてGOP(Group Of Picture)が規定される。ストリームは複数のGOP(Group Of Picture)から構成される。
【0118】
クローズドGOP(Closed GOP)とは、GOP(Group of Pictures)に含まれるIPB各ピクチャの符号化/復号処理を、そのクローズドGOP(Closed GOP)以外のGOPのピクチャを参照することなく実行可能な設定を持つGOPである。
【0119】
ストリーム中には、このようなクローズドGOP(Closed GOP)と、符号化/復号処理に際して他のGOP内のピクチャの参照が必要となるクローズドではないGOPが混在する。
アングル切り替えポイントとなるピクチャ位置は、クローズドGOP(Closed GOP)の先頭のIピクチャであることが好ましいとされる。
【0120】
AVストリームデータA2,B2,およびC2についても、それぞれのビデオストリームデータは、シーケンスヘッダ(Sequence header)から始まるクローズドGOP(Closed GOP)から開始し、それぞれの表示開始のタイムスタンプ(PTS:プレゼンテーションタイムスタンプ)はT2で同一あり、それぞれの表示期間も(T2−T3)で同一である。
【0121】
さらに、AVストリームデータA3,B3,およびC3について、それぞれのビデオストリームデータは、シーケンスヘッダ(Sequence header)から始まるクローズドGOP(Closed GOP)から開始し、それぞれの表示開始のタイムスタンプ(PTS:プレゼンテーションタイムスタンプ)はT3で同一であり、それぞれの表示期間も(T3−T4)で同一である。
【0122】
なお、AVストリームデータA1,B1,C1,A2,B2,C2,A3,B3,およびC3のすべてのビデオストリームデータにおいて、クローズドGOP(Closed GOP)の最初に表示されるピクチャはIピクチャである。
【0123】
AVストリームデータA1,B1,およびC1の中のオーディオストリームデータは、それぞれ同一であり、また、AVストリームデータA2,B2,およびC2の中のオーディオストリームデータも、それぞれ同一であり、さらに、AVストリームデータA3,B3,およびC3の中のオーディオストリームデータも、それぞれ同一である。
【0124】
なお、AVストリームデータA1,B1,およびC1には、ビデオデータを格納したビデオパケットの他、オーディオデータを格納したオーディオパケットや、字幕データ等を格納したプレゼンテーショングラフィック(PG)パケット等が含まれる。、AVストリームデータA1,B1,およびC1のそれぞれの先頭パケットは、ビデオパケットとされ、そのペイロードはシーケンスヘッダ(Sequence header)とGOPヘッダから始まるIピクチャで開始する。
AVストリームデータA2,B2,およびC2のそれぞれの先頭パケットも、ビデオパケットであり、そのペイロードはシーケンスヘッダ(Sequence header)とGOPヘッダから始まるIピクチャで開始する。
AVストリームデータA3,B3,およびC3のそれぞれの先頭パケットも、ビデオパケットであり、そのペイロードはシーケンスヘッダ(Sequence header)とGOPヘッダから始まるIピクチャで開始する。
【0125】
また、前述したように、先頭のIピクチャを含むGOPは、そのGOP内のIBPピクチャのみで符号化、復号が可能なクローズドGOPとして設定される。このような設定とすることで、アングル切り替えに応じて、A1,B1,C1,A2,B2,C2,A3,B3,およびC3のすべてのビデオストリームデータのアングル切り替えポイントからの画像再生において、他のGOPのピクチャを参照することなく復号再生を行うことが可能となる。
【0126】
クリップAVストリームファイルに対する再生制御情報ファイルの1つであるクリップ情報ファイル(Clip Information file)には、クリップ(Clip)中のランダム再生開始可能な位置であるエントリーポイント(EP)の再生時間情報としてのタイムスタンプ(PTS:プレゼンテーションタイムスタンプ)と、クリップAVストリームファイルの中でパケット位置(先頭からのパケット数)を示すソースパケットナンバー(SPN)との対応データを記録したマップであるEP_mapが記録される。
【0127】
なお、ソースパケットナンバー(SPN)とは、クリップAVストリームファイルの中のソースパケットの順番に1ずつインクリメントする番号であり、クリップAVストリームファイルの先頭のソースパケット番号がゼロとされる。
【0128】
例えば図12に示すクリップAVストリームファイル#1を構成するアングル切り替えポイントに対応するAVストリームデータA1,A2,およびA3のそれぞれの先頭のパケット番号(SPN:ソースパケットナンバー)であるx1,x2,およびx3は、AVストリームファイル#1の先頭(データA1の前方)からのパケット数に相当する。
【0129】
同様に、AVストリームファイル#2を構成するアングル切り替えポイントに対応するAVストリームデータB1,B2,およびB3のそれぞれの先頭のパケット番号(SPN:ソースパケットナンバー)であるy1,y2,およびy3は、AVストリームファイル#2の先頭(データB1の前方)からのパケット数に相当する。
【0130】
同様に、AVストリームファイル#3を構成するアングル切り替えポイントに対応するAVストリームデータC1,C2,およびC3のそれぞれの先頭のパケット番号(SPN:ソースパケットナンバー)であるz1,z2,およびz3は、AVストリームファイル#3の先頭(データC1の前方)からのパケット数に相当する。
【0131】
このような設定の場合、AVストリームファイテル#1〜#3の各々に対応するクリップ情報ファイル#1〜#3に記録されるEPマップは図12に示すEPマップ181〜183に示すデータを含むEPマップとなる。
【0132】
クリップAVストリーム#1(Clip AV stream#1)のクリップ情報ファイル#1のEPマップ181には、アングル切り替えポイントのパケット位置(クリップAVストリーム#1の先頭からのパケット数)x1,x2,およびx3と、これらのパケットの再生時間情報を示すPTS(プレゼンテーションタイムスタンプ)T1,T2,T3とが対応付けて記録される。x1,x2,およびx3によって指定されるソースパケットは、クローズドGOPのIピクチャから開始するパケットである。
【0133】
クリップAVストリーム#2(Clip AV stream#2)のクリップ情報ファイル#2のEPマップ182には、アングル切り替えポイントのパケット位置(クリップAVストリーム#2の先頭からのパケット数)y1,y2,およびy3と、これらのパケットの再生時間情報を示すPTS(プレゼンテーションタイムスタンプ)T1,T2,T3とが対応付けて記録される。y1,y2,およびy3によって指定されるソースパケットは、クローズドGOPのIピクチャから開始するパケットである。
【0134】
クリップAVストリーム#3(Clip AV stream#3)のクリップ情報ファイル#3のEPマップ183には、アングル切り替えポイントのパケット位置(クリップAVストリーム#3の先頭からのパケット数)z1,z2,およびz3と、これらのパケットの再生時間情報を示すPTS(プレゼンテーションタイムスタンプ)T1,T2,T3とが対応付けて記録される。z1,z2,およびz3によって指定されるソースパケットは、クローズドGOPのIピクチャから開始するパケットである。
【0135】
マルチアングルコンテンツを再生する再生装置の制御部は、クリップ情報ファイルに含まれるEP_mapに登録されたSPN(ソースパケットナンバー)を参照して、アングル切り替えポイントのパケット位置を取得する。さらに取得したパケット位置のパケットから前述したクローズドGOPの復号を実行して再生を行うことで、アングル切り替え再生処理を実行する。
【0136】
次に、図13以下を参照して、コピー元となる第1メディアに記録された再生制御情報ファイルである以下の各ファイルの具体的なシンタクス(データ構造)について説明する。
(A)プレイリストファイル、
(B)クリップ情報ファイル、
これらの各ファイルの具体的な構成について、順次説明する。
【0137】
(A)プレイリストファイル
まず、図13を参照して、プレイリストファイル(PlayList())のシンタクス(データ構造)について説明する。
【0138】
lengthは、このlengthフィールドの直後からPlayList()の最後までのバイト数を示す32ビットの符号なし整数である。すなわち、reserved_for_future_useからPlayListの最後までのバイト数を示すフィールドである。このlengthの後には、16ビットのreserved_for_future_useが用意される。
【0139】
number_of_PlayItemsは、プレイリスト(PlayList)の中にあるプレイアイテム(PlayItem)の数を示す16ビットのフィールドである。例えば、図9、図10の例の場合、プレイアイテム(PlayItem)の数は2個である。PlayItem_idの値は、PlayListの中でPlayItem()が現れる順番に0から割り振られる。
PlayItem()フィールド201は、各プレイアイテムの詳細情報が記録される。ここには、各プレイアイテムによって指定されるクリップの情報などが記録される。この詳細情報については、後段で図14を参照して説明する。
【0140】
number_of_SubPathsは、プレイリスト(PlayList)にあるサブパス(SubPath)の数(エントリー数)を示す16ビットのフィールドである。例えば、図10に示すプレイリストの例の場合、サブパス(Sub Path)の数は1個である。SubPath_idの値は、PlayListの中でSubPath()が現れる順番に0から割り振られる。
ブロックSubpath()に各サブパスの詳細情報が記録される。ここには、各サブパスによって指定されるクリップの再生開始点や終了点などが記録される。
【0141】
図14は、ブロックPlayItem()のシンタクスの一部を示す図であり、本発明に関連するフィールドを中心として示している。
フィールドlengthは、16ビットのデータ長を有し、このフィールドlengthの直後からブロックPlayItem()の最後までのデータ長を示す。
【0142】
フィールドClip_Information_file_name[0]は、40ビット(5バイト)のデータ長を有し、このブロックPlayItem()が参照するクリップ情報ファイルのファイル名が示される。このプレイアイテムにおいて、フィールドClip_Information_file_name[0]で示されるファイル名のクリップ情報ファイルが読み出される。フィールドClip_codec_identifier[0]は、32ビット(4バイト)のデータ長を有し、このブロックPlayItem()によるプレイアイテムにおいて用いられるクリップAVストリームのコーデック方式を示す。
【0143】
マルチアングルコンテンツ識別フィールド211は、1ビットのデータ長を有するフラグの設定フィールドである。is__seamless_multi_angleには、マルチアングルに対応しているか否かを示すフラグが設定される。
is__seamless_multi_angle==1であれば、このプレイアイテムによって再生されるデータはマルチアングル対応コンテンツであり、ユーザからのアングル切り替え要求に応じて選択再生されるクリップAVストリームに対応するプレイアイテムである。
is__seamless_multi_angle==0であれば、このプレイアイテムによって再生されるデータはマルチアングル対応コンテンツでないことを示す。
【0144】
マルチアングルコンテンツ管理情報記録フィールド212は、マルチアングルコンテンツの管理情報記録フィールドである。例えばクリップに関する情報やアングルナンバー等の情報が記述される。マルチアングルコンテンツ識別フィールド211のフラグis_multi_angleの値がマルチアングルに対応していることを示す値(is__seamless_multi_angle==1)であれば、if文において示されるマルチアングルを管理するための情報、例えばクリップに関する情報やアングルナンバー等の情報が記述される。
【0145】
なお、図14では省略しているが、ブロックPlayItem()には、この他、クリップAVストリームの再生範囲を示すIN_time(再生開始点)およびOUT_time(再生終了点)等のクリップ指定情報等が記録される。
その他、複数のプレイアイテムによる再生処理における再生データの接続状態に関する情報を示すフィールドconnection_condition、
プレイアイテムに対してランダムアクセスを許可するか否かを規定するフラグPlayItem_random_access_flag、
PlayItem()によるプレイアイテムが管理しているクリップAVストリームの属性、PID番号、記録媒体上の記録位置等を示すブロックSTN_table()、
例えばこれらの情報が記録される。
【0146】
(B)クリップ情報ファイル、
次に、図15以下を参照してマルチアングルコンテンツの再生制御情報として利用されるクリップ情報ファイル、およびクリップ情報ファイル中のEPマップについて説明する。EPマップについては、先に図12を参照して簡単に説明したように、アングル切り替えポイントの再生時間としてのPTS(プレゼンテーションタイムスタンプ)とパケット位置を示すSPN(ソースパケットナンバー)の対応情報を持つ。
【0147】
なお、EPマップは、マルチアングルコンテンツのアングル切り替えポイントについてのPTS/SPN対応データを登録しているのみではなく、ランダムアクセス可能なパケット位置についてのPTS/SPN対応データを登録している。
【0148】
クリップ情報ファイルのシンタクスを図15に示す。クリップ情報ファイルは、図15に示すように6個のオブジェクトから構成される。それらは、
ClipInfo()221、
SequenceInfo()222、
ProgramInfo()223、
CPI()224、
ClipMark()225、および
MakersPrivateData()226、
である。
【0149】
ClipInfo()221は、クリップ情報ファイルに対応するAVストリームファイルの属性情報を記録する。
SequenceInfo()222について説明する。
MPEG−2トランスポートストリームの中でSTC(System Time Clock(基準時間))の不連続点(システムタイムベースの不連続点)を含まない時間区間をSTC_sequenceと称し、Clipの中で、STC_sequenceは、stc_idの値によって特定される。同じSTC_sequenceの中で同じSTCの値は、決して現れない。従って、同じSTC_sequenceの中で同じPTS(Presentation Time Stamp(同期再生のための時間情報))の値もまた、決して現れない。AVストリームが、N(N>0)個のSTC不連続点を含む場合、Clipのシステムタイムベースは、(N+1)個のSTC_sequenceに分割される。
SequenceInfoは、STCの不連続(システムタイムベースの不連続)が発生する場所のアドレスを記録する。
【0150】
ProgramInfo()223について図16を参照して説明する。
ProgramInfo()は、プログラムシーケンス(program_sequence)が開始する場所のアドレスを記録する。SPN_program_sequence_startが、そのアドレスを示す。SPNはソースパケット番号である。
【0151】
なお、プログラムシーケンス(program_sequence)とは、クリップ情報ファイルによって再生される再生区間や時間区間であって以下の特徴を持つ。
PCR_PID(Program Clock Reference Packet ID)の値が変わらない。
ビデオエレメンタリーストリームの数が変化しない。
それぞれのビデオストリームについてのPIDの値とそのVideoCodingInfoによって定義される符号化情報が変化しない。
オーディオエレメンタリーストリームの数が変化しない。
それぞれのオーディオストリームについてのPIDの値とそのAudioCodingInfoによって定義される符号化情報が変化しない。
【0152】
プログラムシーケンス(program_sequence)は、同一の時刻において、ただ1つのシステムタイムベースを持ち、同一の時刻において、ただ1つのPMT(Program Map Table)を持つ。
【0153】
図17は、ProgramInfoのシンタクスを示す図である。
num_of_program_sequencesは、クリップ情報ファイル内のプログラムシーケンス(program_sequence)の数を示す。
SPN_program_sequence_start[i]は、AVストリームファイル上でプログラムシーケンスが開始する場所の相対アドレスである。
【0154】
program_map_PID[i]は、プログラムシーケンス(program_sequence)に有効なPMTのPIDを示す。 num_of_streams_in_ps[i]は、プログラムシーケンス(program_sequence)に存在するストリームの数を示す。
num_of_groups[i]は、プログラムシーケンス(program_sequence)が再生される際のストリームの組み合わせ数を示す。
【0155】
次に、図15に示したシンタクス中の
CPI(Characteristic Point Information)224について説明する。図18は、CPIのシンタクスを示す図である。
CPIは、AVストリームの中の時間情報とそのファイルの中のアドレスとを関連づけるためのデータを記録する。具体的には、先に図12を参照して説明したエントリポイントマップ(EPマップ(EP_map))230を記録する。
【0156】
図19、図20を参照してEPマップ230について説明する。図19に示すように、EPマップ(EP_map)230は、クリップ情報ファイルに含まれるデータである。EPマップは、例えばランダムアクセス開始可能なポイント(エントリーポイント)となるMPEGデータの基準データとしてのIピクチャ位置の検出情報を持つ。Iピクチャ位置の検出処理について図20を参照して説明する。図20(A)はクリップAVストリームを示し、各矩形は192バイトソースパケットを示している。各ソースパケットにはタイムスタンプが設定され再生処理時間が規定されている。
【0157】
図20(B)に、ソースパケットNo.(X1)の詳細構成を示す。1つのソースパケットは、TP_extraヘッダとトランスポートパケットとによって構成され、トランスポートパケットには、各種のヘッダ情報(シーケンスヘッダ(SQH)、GOPヘッダ(GOPH)等)と、MPEGデータの実体データ(IBPピクチャ)によって構成される。
【0158】
図20(C)に示すクリップ情報ファイルには、前述したようにEPマップが含まれる。EPマップには、図に示すように、[PTS_EP start]、[SPN_EP start]、[I_end_position_offset]の各データが含まれる。各データの意味は、以下の通りである。
PTS_EP_start:シーケンスヘッダを含むsource packetに対応するタイムスタンプ(プレゼンテーションタイムスタンプ)、
SPN_EP_start:シーケンスヘッダを含むsource packetの先頭アドレス、。
I_end_position_offset:シーケンスヘッダを含むsource packetから、Iピクチャの終わりを含むsource packetのオフセット、
これらのデータ関係を示すのが図20(D)である。
【0159】
すなわち、図20(B)に示すように、ソースパケットに含まれるデータの構成が規定されており、図20(C)に示す[PTS_EP start]、[SPN_EP start]、[I_end_position_offset]の各データをEPマップから求めることで、これらのデータに基づいて、ソースパケット中のIピクチャ位置が求められることになる。再生装置は、EPマップからIピクチャの位置を求めることで、任意の位置からの再生処理を行することができる。
【0160】
再生装置は、例えばユーザからのアングル切り替え要求に応じて、切り替え先のプレイアイテムの指定するクリップ情報ファイルからEPマップを取得する。さらに、取得したEPマップを参照して、アングル切り替え先のクリップ情報ファイルのアングル切り替えポイントの先頭パケットのパケット位置(SPN)を取得する。さらに、取得したパケット位置情報(SPN)に従ってクリップ情報ファイルからアングル切り替えポイントのパケットを取得して、復号、再生を実行する。アングル切り替えポイントのパケットは先頭がIピクチャのクローズドGOPに設定されたパケットであり、他のGOPを参照することなく迅速な復号、再生が行われる。
【0161】
このように、コピー元となるコンテンツ(例えばMPEG−2符号化データ)は、アングル切り替え処理を滞りなく実行可能な設定とするために、以下の制約を持つデータとして設定されている。
(A)クリップAVストリームファイルのアングル切り替えポイントのパケットの先頭ピクチャをIピクチャに設定したクローズドGOPとしている。
(B)クリップ情報ファイルのEPマップにアングル切り替えポイントのパケット位置を示すソースパケットナンバー(SPN)を再生時間情報(PTS:プレゼンテーションタイムスタンプ)に対応付けて登録している。
【0162】
[5.本発明の情報処理装置の実行するデータ変換処理(トランスコード)を伴うコピー処理について]
本発明の情報処理装置は、コンテンツのコピー処理に際して実行するデータ変換処理(トランスコード)において、コピー元となるコンテンツの再生処理機能を失うことのないデータ変換を行い、コピーコンテンツの再生処理に際しても、コピー元コンテンツと同様の再生処理を実行可能とする。
【0163】
具体的には、例えば、上述の(A),(B)の制約を維持したデータ変換を実行し、コピー先の第2メディアからコピーコンテンツを再生する場合に、コピー元の第1メディアからのオリジナルコンテンツの再生と同様のアングル切り替えを可能とするものである。
【0164】
図21以下を参照して、本発明の情報処理装置の実行するコンテンツコピー処理の詳細について説明する。
図21は、コピー元となるマルチアングルコンテンツのクリップAVストリームファイルと、制御情報ファイルとしてのプレイリストファイルとクリップ情報ファイルとの対応関係をまとめた図である。
【0165】
図21には、以下の各データを示している。
(a1)アングル#1対応のクリップAVストリームファイル#1の一部
(a2)アングル#2対応のクリップAVストリームファイル#2の一部
(a3)アングル#3対応のクリップAVストリームファイル#3の一部
(b1)上記(a1)アングル#1対応のクリップAVストリームファイル#1に対応する再生制御情報ファイルとしてのプリイリストファイルと、クリップ情報ファイル(EPマップを含む)
【0166】
(a1)に示すアングル#1対応のクリップAVストリームファイル#1は、複数のプレイアイテム対応のストリームデータ(00000.m2ts〜00003.m2ts)を有している。
これらのクリップAVストリームデータ(00000.m2ts〜00003.m2ts)の各々は、(b1)に示すプレイリストファイルに記録されたプレイアイテム#0〜#3によって指定されるストリームデータである。
【0167】
(b1)に示すプレイリストファイルに記録されたプレイアイテム#0〜#3によって、クリップAVストリームデータ(00000.m2ts〜00003.m2ts)に対応するクリップ情報ファイルが選択されて、さらにクリップ情報ファイルに対応するクリップAVストリームデータ(00000.m2ts〜00003.m2ts)が取得され再生される。
【0168】
図の(b1)には、(a1)に示す2つのストリームデータ(00001.m2ts、00003.m2ts)に対応するクリップ情報ファイルを示している。
これらの2つのストリームデータ(00001.m2ts、00003.m2ts)はマルチアングル対応データである。
【0169】
マルチアングル対応データであるか否かは、プレイリストファイルのプレイアイテム情報(is_seamless_multi_angle)、あるいはクリップ情報ファイルのEPマップに含まれる情報(is_angle_change_point)、これらのフラグ設定を参照して判定することができる。これらのフラグ設定が1の場合は、プレイアイテムによって取得されるデータ、あるいはクリップ情報ファイルのEPマップのPTS/SPN対応データによって取得されるデータがマルチアングル対応データである。フラグ設定が0の場合は、マルチアングル対応データではない。
【0170】
図21に示す例では、2つのストリームデータ(00001.m2ts、00003.m2ts)はマルチアングル対応データである。
これらのデータ再生区間には、アングル#1の他、図に示す(a2)アングル#2と、(a3)アングル#3の計3つのアングルのストリームデータが設定され、ユーザはこれらのアングル#1〜#3の3zのアングルから任意のアングルデータを選択して再生することができる。
なお、図21にはアングル#1に対応する制御情報ファイルのみを(b1)に示しているが、(a2)アングル#2のストリームデータや、(a3)アングル#3のストリームデータに対応する制御情報ファイル(プレイリストファイル、クリップ情報ファイル)もそれぞれ存在する。
【0171】
(a2)アングル#2のストリームデータを再生する場合は、アングル#2のストリームデータに対応付けられたプレイリストファイルと、クリップ情報ファイルを利用して再生が実行される。
(a3)アングル#3のストリームデータを再生する場合は、アングル#3のストリームデータに対応付けられたプレイリストファイルと、クリップ情報ファイルを利用して再生が実行される。
【0172】
(a1)アングル#1のストリームデータを再生する場合は、アングル#1のストリームデータに対応付けられたプレイリストファイルと、クリップ情報ファイル、すなわち、図21(b1)に示すプレイリストファイルと、クリップ情報ファイルを利用して再生が実行される。
【0173】
例えば、図21(a1)に示すストリームデータ00001.m2tsを再生する際には、図21(b1)に示すプレイリストファイルに記録されたプレイアイテム情報(PlayItem#1)に記録されたクリップ指定情報に従って、図21(b1)中央に示すクリップ情報ファイル(ClipInfo for 00001.m2ts)が取得され、このクリップ情報ファイルのEPマップを参照して、再生時間情報としてのPTSとパケット位置を示すSPNを取得し、SPNに従ってクリップAVストリームからのパケット取得が行われてアングル#1の再生処理が実行される。
図に示す例では、SPN#Xに従って、ストリームファイルの先頭からX番目のパケットが取得されて再生される。
【0174】
図21(a1)に示すストリームデータ00003.m2tsを再生する際には、図21(b1)に示すプレイリストファイルに記録されたプレイアイテム情報(PlayItem#3)に記録されたクリップ指定情報に従って、図21(b1)右端に示すクリップ情報ファイル(ClipInfo for 00003.m2ts)が取得され、このクリップ情報ファイルのEPマップを参照して、再生時間情報としてのPTSとパケット位置を示すSPNを取得し、SPNに従ってクリップAVストリームからのパケット取得が行われてアングル#1の再生処理が実行される。
図に示す例では、SPN#Yに従って、ストリームファイルの先頭からY番目のパケットが取得されて再生される。
【0175】
なお、SPN#XやSPN#Yに従って取得されるパケットはIピクチャを先頭ピクチャとして設定したクローズドGOP(Closed GOP)が含まれ、このクローズドGOPの復号によって、他のGOPを参照することのない迅速な復号、再生が実現される。
【0176】
図21を参照して説明したように、コピー元となる第1メディアに記録されたコンテンツは、以下の制約を満たす設定となっている。
(A)クリップAVストリームファイルのアングル切り替えポイントのパケットの先頭ピクチャをIピクチャに設定したクローズドGOPとしている。
(B)クリップ情報ファイルのEPマップにアングル切り替えポイントのパケット位置を示すソースパケットナンバー(SPN)を再生時間情報(PTS:プレゼンテーションタイムスタンプ)に対応付けて登録している。
【0177】
しかし、このデータを第2メディアに対してコピーする場合にデータ変換部(トランスコーダ)が変換処理を実行すると、これらの制約が維持されなくなる可能性がある。
なお、データ変換部(トランスコーダ)の実行するデータ変換処理の態様としては、図22に示すように、以下の態様がある。
(1)符号化方式の変換
(2)ビデオ圧縮率の変換
(3)ストリームの除去
これらの態様がある。
【0178】
(1)符号化方式の変換とは、例えば第1メディアに格納されたコピー元データの符号化フォーマットがMPEG−2であり、コピー先である第2メディアに記録するデータの符号化形式がAVCHD等の異なる符号化フォーマットである場合に相当する。
なお、図中に示すVideoはビデオストリーム、Audioはオーディオストリーム、PGは例えば字幕データ等のプレゼンテーショングラフィックスデータストリームである。
【0179】
(2)ビデオ圧縮率の変換とは、例えば第1メディアに格納されたコピー元データの符号化フォーマットもピー先である第2メディアに記録するデータの符号化形式も同じ、例えばていずれもAVCHDフォーマットであるが、圧縮率を変更している例である。
具体的には、コピー元データが最大25Mbps、平均20Mbpsのビデオストリームデータによって構成されているデータについて、コピー先データを最大15Mbps、平均10Mbpsの設定に低下させるものである。この処理は例えば画質を多少落としたコピーデータを生成して記録するといった処理に相当する。
【0180】
(3)ストリームの除去とは、コピー対象としないストリームを除去する処理である。
例えば、図22(3)に示すように、第1メディアに格納されたコピー元データは、
1つのビデオストリーム(Video)
2つのオーディオストリーム(Audio(1),Audio(2))
2つのプレゼンテーショングラフィックスデータストリーム(PG(1),PG(2))
これらのストリームデータによって構成されている。
これに対して、
コピー先である第2メディアに記録するデータを、
1つのビデオストリーム(Video)
1つのオーディオストリーム(Audio(1))
1つのプレゼンテーショングラフィックスデータストリーム(PG(2))
これらのみとする。その他のストリーム(Audio(2)とPG(1))についてはコピー対象とすることなく削除する処理である。
【0181】
コピー処理に際して、データ変換部(トランスコーダ)が実行するデータ変換処理としては、図22に示すように、(1)符号化方式の変換、(2)ビデオ圧縮率の変換、(3)ストリームの除去、これらの態様がある。なお、これら(1)〜(3)の各処理を任意に組み合わせて行う場合もある。
【0182】
このようなデータ変換を実行すると、結果として、コピー元データとコピー先データのデータパケット構成は異なってくる。
具体例について、図23を参照して説明する。図23には以下の2つのデータ例を示している。
(a)変換前データ(コピー元データ(第1メディア記録コンテンツ))
(b)変換後データ(コピー先データ(第2メディア記録コンテンツ))
【0183】
なお、図23(a)に示す(a)変換前データ(コピー元データ(第1メディア記録コンテンツ))は、例えば、図21に示すマルチアングルコンテンツのクリップAVストリーム#1中のストリームデータ(00001.m2ts)の詳細構成に対応する。
このストリームデータ(00001.m2ts)をへコピショリニ際して変換した結果が、(b)変換後データ(コピー先データ(第2メディア記録コンテンツ))であり、これが第2メディアにコピーデータとして記録されるデータに相当する。
【0184】
(a)変換前データ(コピー元データ(第1メディア記録コンテンツ))は、
1つのビデオストリーム(Video)
1つのオーディオストリーム(Audio)
2つのプレゼンテーショングラフィックスデータストリーム(PG#1,PG#2)
1つのインタラクティブグラフィックス(IG)
これらのストリームデータによって構成されている。
なお、インタラクティブグラフィックス(IG)とは例えばユーザインタフェースを提供するスイッチやボタン等の表示のためのグラフィックスデータである。
【0185】
これにに対して、図23(b)に示す、
(b)変換後データ(コピー先データ(第2メディア記録コンテンツ))は、
1つのビデオストリーム(Video)
1つのオーディオストリーム(Audio)
1つのプレゼンテーショングラフィックスデータストリーム(PG#1)
これらのデータストリームによって構成されている。
なお、(a)変換前データと(b)変換後データは符号化形式も異なっている場合がある。
【0186】
(a)変換前データと(b)変換後データとでは構成データが異なっているため、パケット数も異なる。
図に示す例では、(a)変換前データはソースパケットナンバー(SPN)がSPN#X〜SPN#X+nのnパケットによって構成されている。
一方、(b)変換後データはソースパケットナンバー(SPN)がSPN#N〜SPN#N+mのmパケットによって構成されている。
【0187】
このパケット構成の変化は、図21(a)に示すクリップAVストリーム#1中のストリームデータ(00001.m2ts)のみならず、すべてのデータ中において発生することになる。
従ってアングル切り替えポイントの先頭のソースパケットナンバー(SPN)も変化することになる。図23の例ではSPN#XからSPN#Nに変更される。
【0188】
(a)変換前データのアングル切り替えポイントのソースパケットナンバー(SPN=#X)は先に説明したように、EPマップに登録されたSPNである。
データ変換によってパケット構成が変更されると、図23に示す例では(b)変換後データのアングル切り替えポイントのSPNはSPN=#Nに変化する。従って、EPマップに登録されたSPN=#Xをそのまま適用すると、(b)変換後データのアングル切り替えポイントのSPN=#Nと全く異なる位置のパケットが取得されてしまうことになる。
【0189】
また、(a)変換前データのアングル切り替えポイントのパケットは先頭ピクチャとしてIピクチャを含むクローズドGOPを持つパケットとして設定される。なお、パケット構成は、先に図20(B)を参照して説明したようにシーケンスヘッダ(SQH)やGOPヘッダ(GOPH)を含み、さらに先頭のIピクチャを含むクローズドGOP等によって構成されるパケットである。
このようなパケット設定は、コピー処理に際して実行されるデータ変換によって、必ずしも保持されるとは限らない。
クローズトGOPの設定が変更されると、アングル切り替えポイントの画像再生時に、他のGOPのピクチャの参照処理を実行しなければならず、アングル切り替えがスムーズに実行できなくなる恐れがある。
【0190】
本発明の情報処理装置は、このような事態の発生を防止したデータ変換処理を実行する。
本発明の情報処理装置の実行するデータ変換によって生成されるデータストリーム(クリップAVストリームファイル)と制御情報ファイルと(プレイリストファイル、クリップ情報ファイル)の設定例について図24を参照して説明する。
【0191】
図24には、図21と同様、以下の各データを示している。
(a1)アングル#1対応のクリップAVストリームファイル#1の一部
(a2)アングル#2対応のクリップAVストリームファイル#2の一部
(a3)アングル#3対応のクリップAVストリームファイル#3の一部
(b1)上記(a1)アングル#1対応のクリップAVストリームファイル#1に対応する再生制御情報ファイルとしてのプリイリストファイルと、クリップ情報ファイル(EPマップを含む)
これらのデータは、図21に示す変換前データ(コピー元データ)に対してデータ変換部(トランスコーダ)において変換処理を実行した後の変換後データ(コピー先データ)である。
【0192】
(a1)に示すアングル#1対応のクリップAVストリームファイル#1は、複数のプレイアイテム対応のストリームデータ(00000.m2ts〜00003.m2ts)を有している。
これらのクリップAVストリームデータ(00000.m2ts〜00003.m2ts)の各々は、(b1)に示すプレイリストファイルに記録されたプレイアイテム#0〜#3によって指定されるストリームデータである。
【0193】
(b1)に示すプレイリストファイルに記録されたプレイアイテム#0〜#3によって、クリップAVストリームデータ(00000.m2ts〜00003.m2ts)に対応するクリップ情報ファイルが選択されて、さらにクリップ情報ファイルに対応するクリップAVストリームデータ(00000.m2ts〜00003.m2ts)を取得して再生する。
【0194】
図の(b1)には、(a1)に示す2つのストリームデータ(00001.m2ts、00003.m2ts)に対応するクリップ情報ファイルを示している。
これらの2つのストリームデータ(00001.m2ts、00003.m2ts)はマルチアングル対応データである。
【0195】
マルチアングル対応データであるか否かは、プレイリストファイルのプレイアイテム情報(is_seamless_multi_angle)、あるいはクリップ情報ファイルのEPマップに含まれる情報(is_angle_change_point)、これらのフラグ設定を参照して判定することができる。これらのフラグ設定が1の場合は、プレイアイテムによって取得されるデータ、あるいはクリップ情報ファイルのEPマップのPTS/SPN対応データによって取得されるデータがマルチアングル対応データである。フラグ設定が0の場合は、マルチアングル対応データではない。
【0196】
図に示す例では、2つのストリームデータ(00001.m2ts、00003.m2ts)はマルチアングル対応データである。
これらのデータ再生区間には、アングル#1の他、図に示す(a2)アングル#2と、(a3)アングル#3の計3つのアングルのストリームデータが設定され、ユーザはこれらのアングル#1〜#3の3zのアングルから任意のアングルデータを選択して再生することができる。
なお、図24には、図21と同様、アングル#1に対応する制御情報ファイルのみを(b1)に示しているが、(a2)アングル#2のストリームデータや、(a3)アングル#3のストリームデータに対応する制御情報ファイル(プレイリストファイル、クリップ情報ファイル)もそれぞれ存在する。
【0197】
(a2)アングル#2のストリームデータを再生する場合は、アングル#2のストリームデータに対応付けられたプレイリストファイルと、クリップ情報ファイルを利用して再生が実行される。
(a3)アングル#3のストリームデータを再生する場合は、アングル#3のストリームデータに対応付けられたプレイリストファイルと、クリップ情報ファイルを利用して再生が実行される。
【0198】
(a1)アングル#1のストリームデータを再生する場合は、アングル#1のストリームデータに対応付けられたプレイリストファイルと、クリップ情報ファイル、すなわち、図24(b1)に示すプレイリストファイルと、クリップ情報ファイルを利用して再生が実行される。
【0199】
これらの設定は、図21に示す変換前のデータ設定と同様である。
変換処理後においても、アングル切り替えをスムーズに実行可能とするため、本発明の情報処理装置は、クリップ情報ファイルのEPマップの登録情報をアングル切り替えポイントのソースパケットナンバー(SPN)に変更する処理を実行する。
【0200】
例えば、図24(a1)に示すマルチアングルコンテンツであるストリームデータ00001.m2tsの先頭のパケットナンバーを、図21に示す設定のSPN=#XからSPN=#Nに変更する。
【0201】
本発明の情報処理装置のデータ処理部は、ストリームデータ00001.m2tsの先頭のパケットのSPN変更に併せて、このストリームデータ00001.m2tsに対応するクリップ情報ファイルのEPマップの登録情報を変更する。
本発明の情報処理装置のデータ処理部は、データ変換部の生成した変換データに基づいて、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得し、コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイル(クリップ情報ファイル)のEPマップに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データのアングル切り替えポイント位置情報に変更する再生制御情報ファイルの更新処理を実行する。すなわち、図24(b1)の中央に示すクリップ情報ファイルに記録されたEPマップの登録情報であるSPN=XをSPN=Nに書き換える処理を行う。
なお、再生時間情報であるPTS(プレゼンテーションナタイムスタンプ)はデータ変換前も変更後も同一であり、変更されない。
【0202】
なお、アングル切り替えポイントのソースパケットナンバー(SPN)については、例えば、変換後のクリップAVストリームの構成データの先頭パケットからのパケット数をカウントして算出してもよいし、変換後のクリップAVストリームの構成データの先頭からのバイト数に基づいて算出してもよい。1パケットは192バイトであり、AVストリームファイルの先頭から、アングル切り替えポイントまでのバイト数を192バイトで除算することで先行パケット数が算出可能であり、アングル切り替えポイントのパケット番号(SPN)は先行パケット数+1となる。
【0203】
本発明の情報処理装置は、さらに、アングル切り替えポイントに設定されるパケットのGOPを、先頭をIビクチャとしたクローズドGOPに相当するデータとする処理を行う。
すなわち、特定のピクチャ集合のみの参照によって一連の動画像を復号、再生可能な設定とする。
GOPという概念は、MPEG−2フォーマットにはあるが、例えばMPEG−4AVCやAVCHDフォーマットにはない概念である。
【0204】
例えばMPEG−4AVCやAVCHDフォーマットを含むAVCフォーマットには、クローズドGOPの先頭Iピクチャと同様の設定を持つIDR(Instantaneous Decoder Refresh)ピクチャが規定されている。
【0205】
IDRピクチャは、IDRピクチャより後の全てのピクチャの復号をIDRピクチャより前のピクチャの参照なしに実行可能としたピクチャである。すなわちIDRピクチャを再生開始ピクチャとした場合、そのIDRピクチャより前のピクチャを参照することなく、復号再生を実行できる。
【0206】
本発明の情報処理装置のデータ変換部は、例えばコピー元データがMPEG−2フォーマットデータであり、変換後のコピーデータが、MPEG−4AVCやAVCHDフォーマット等のAVCフォーマットである場合、アングル切り替えポイントのパレケットにあるクローズドGOP(Closed GOP)の先頭Iピクチャを、AVCフォーマットにおけるIDRピクチャに設定して符号化処理を実行する。
【0207】
このような処理を行うことで、アングル切り替えポイントからの再生を行う場合に、アングル切り替えポイントに設定されたIDRピクチャを再生開始ピクチャとして、IDRピクチャ以降のピクチャのみを利用してIDRピクチャ以降の画像の正確な復号、再生処理を行うことが可能となる。
すなわちAVCフォーマットにおけるIDRピクチャを再生開始点とする処理は、MPEG−2フォーマットにおけるクローズドGOPの先頭Iピクチャを再生開始点として復号、再生を実行すると同様の処理で行うことが可能となる。
【0208】
なお、符号化フォーマットの変更を伴わないデータ変換処理、例えばMPEG−2フォーマットを維持して、図22を参照して説明した(2)ビデオ圧縮率の変換や、(3)ストリームの除去を実行する場合には、変換前後におけるアングル切り替えポイントの先頭Iピクチャを有するクローズドGOPの設定は変更することなく、そのまま維持してデータ変換を実行する。
【0209】
同様に、例えばコピー対象とする第1メディアに記録されたオリジナルデータがMPEG−4AVCやAVCHDフォーマット等のAVCフォーマットデータであり、そのフォーマットを維持して、図22を参照して説明した(2)ビデオ圧縮率の変換や、(3)ストリームの除去を実行する場合には、変換前後におけるアングル切り替えポイントのIDRピクチャの設定は変更することなく、そのままIDRピクチャの設定を維持してデータ変換を実行する。
【0210】
このようなデータ変換を実行することで、コピー先である第2メディアからのコピーデータの再生に際しても、アングル切り替えポイントの先頭ピクチャからの再生をスムーズに行うことが可能となる。
【0211】
[6.本発明の情報処理装置の実行するコピー処理シーケンスについて]
次に、図25以下に示すフローチャートを参照して、本発明の情報処理装置の実行するコピー処理シーケンスについて説明する。
【0212】
図25に示すフローのステップS101以下の各ステップの処理について説明する。なお、フローに示す各ステップの処理は、情報処理装置のデータ処理部あるいはデータ変換部(トランスコーダ)において実行される。主にデータ処理部が、変換対象となるデータの解析を行い、その解析結果に応じてデータ変換部(トランスコーダ)がデータ変換処理を実行する。
【0213】
まず、ステップS101において、情報処理装置に予め格納されたコピー処理プログラムを起動する。
なお、このコピー処理は、先に図4を参照して説明したサーバ管理の下で実行されるマネージドコピー(MC)処理として行われる。
【0214】
ステップS102において、コピー元のコンテンツを格納した第1メディアに記録されたコピー可能なコンテンツをユーザに表示する。表示処理は情報処理装置の表示部(ディスプレイ)を用いて行われる。
この処理は、先に図4および図7を参照して説明した管理サーバ140からの応答情報(Offer Response)131を適用して、コピー許容コンテンツの一覧リスト(コピー許容リスト121)を情報処理装置の表示部に表示する処理に相当する。このリストには例えばコンテンツ各々についてコピーを実行する場合の価格(プライス)等が設定されている。
【0215】
ステップS103において、表示リストからコピー対象とするコンテンツを選択する。
ステップS104において、第1メディアの記録データをそのままコピーするビットバイビット(BitbyBit)コピー、すなわちデータ変換(Transcode)を伴わないコピー処理を行うか否かを決定する。この決定はユーザ入力に基づいて実行してもよいし、装置に予め規定された情報に従って判定してもよい。
【0216】
データ変換を伴わないビットバイビットコピー処理を実行する場合は、ステップS105に進み、サーバから受領した応答情報(Offer Response)(図7参照)に記載されているプレイリストファイル名に従って、コピー対象となるプレイリストファイル(PlayList)と、選択したプレイリストから指定されるクリップ情報ファイル(ClipInfo)、クリップAVストリームファイル(m2ts)の各ファイルを第1メディアから読み取って、第2メディアにコピー記録する処理を行う。
【0217】
一方、ステップS104において、第1メディアの記録データをそのままコピーするビットバイビット(BitbyBit)コピーではなく、データ変換(Transcode)を伴うコピー処理を行うと判定した場合は、図26のステップS111に進む。
【0218】
ステップS111では、ユーザによって選択されたコピー対象データに含まれるプレイリストファイルを解析する。なお、コピー対象データに含まれるプレイリストファイルが複数ある場合は、ステップS111以下の処理は各プレイリストファイルについて順次実行する。
【0219】
ステップS112では、サーバから受領した応答情報(Offer Response)(図7参照)に記載されているプレイリストファイル名に従って、コピー対象となるプレイリストファイル(PlayList)から指定されるクリップ情報ファイルと、再生データであるクリップAVストリームファイルを取得し、クリップAVストリームの最初のPTS(プレゼンテーションタイムスタンプ)を取得してデータ変換部(トランスコーダ)に提供する。
【0220】
次に、ステップS113において、データ変換部(トランスコーダ)におけるデータ変換処理条件を指定する。具体的には、例えば、以下の条件等を指定する。
ビデオ:コーデック(符号化フォーマット)・ビデオレート、
オーディオ:コピー対象とするオーディオデータの指定、
プレゼンテーショングラフィックス(PG):コピー対象PGデータの指定、
これらの指定を行う。
なお、これらの指定は、ユーザ入力によって実行してもよいし、情報処理装置に予め規定されたデフォルトの指定条件を利用してもよい。
【0221】
なお、データ変換部(トランスコーダ)が実行するデータ変換処理は、先に図22を参照して説明したように、
(1)符号化フォーマットの変換
(2)圧縮率の変換
(3)ストリームの除去
これらのいずれかまたは組み合わせの処理として実行される。
【0222】
ステップS114において、データ変換処理対象となるデータを順次選択し、変換処理対象となるデータがビデオデータであるか否かを判定する。なお、データ変換部(トランスコーダ)は、所定のデータ単位でデータ変換を実行する。この変換処理対象データにはビデオデータ、オーディオデータ、字幕等のPG(プレゼンテーショングラフィックス)データ等が含まれる。
【0223】
変換処理対象がビデオデータである場合は、ステップS115に進む。
ステップS115では、変換処理対象であるビデオデータがマルチアングルコンテンツであるか否かを判定する。この判定処理は、例えばプレイリストファイルのプレイアイテム情報、あるいはクリップ情報ファイルを参照して実行する。
先に図14や、図21(b1)を参照して説明したプレイリストファイルのプレイアイテム情報中のフラグマルチアングルコンテンツ識別フィールドに設定されたフラグ(is__seamless_multi_angle)を参照して判定する。(is__seamless_multi_angle==1)であれば、このプレイアイテムの指定するコンテンツはマルチアングルコンテンツである。
【0224】
変換対象のビデオデータがマルチアングルコンテンツであると判定するとステップS131に進む。
一方、変換対象のビデオデータがマルチアングルコンテンツでないと判定するとステップS116に進む。
ステップS116では、データ変換部が、先にステップS112においてデータ処理部から提供されたPTS値によって指定されるデータストリームの先頭から、ステップS113において決定されたコーデック(符号化態様)等の情報に従って、指定された符号化条件の下でデータ変換処理(トランスコード)を実行する。このデータ変換処理は、マルチアングルコンテンツではないビデオデータに対するデータ変換処理である。符号化処理の後、ステップS151に進む。
【0225】
一方、ステップS114において、変換処理対象がビデオデータでないと判定した場合は、ステップS117に進む。例えばオーディオデータやPGデータに対するデータ変換処理の場合である。
ステップS117では、コピー対象とならないデータがあるか否かを判定する。例えばオーディオデータとして日本語と英語等のデータが含まれ、ユーザが日本語のみをコピー対象として選択した場合には、英語のオーディオデータはコピー対象以外のデータとなる。
【0226】
ステップS117でコピー対象とならないデータがあると判定した場合は、ステップS118においてコピー対象とならないデータの削除を行う。さらに、ステップS119において、必要に応じてコピー対象データのみのデータ変換処理を実行しステップS151に進む。
【0227】
次に、ステップS115において、変換対象のビデオデータがマルチアングルコンテンツであると判定した場合の処理、すなわち、ステップS131以降の処理について、図27に示すフローチャートを参照して説明する。
【0228】
ステップS131では、データ処理部が、サーバから受領した応答情報(Offer Response)(図7参照)に記載されているコピー対象となるプレイリストファイル(PlayList)から指定されるクリップ情報ファイル(ClipInfo)を解析し、アングル切り替えポイントのIピクチャ情報をデータ変換部(トランスコーダ)に提供する。
【0229】
データ変換部(トランスコーダ)に提供するアングル切り替えポイントのIピクチャ情報は、クリップ情報ファイル(ClipInfo)のEPマップの登録情報である。
EPマップには、例えば図21(b)の中央のクリップ情報ファイルに示すように、ランダムアクセス可能なパケット位置情報における再生時間情報としてのタイムスタンプ(PTS:プレゼンテーションタイムスタンプ)と、パケット位置を示すソースパケットナンバー(SPN)との対応データを登録している。
さらに、アングル切り替えポイントの登録情報である場合は、アングル切り替えポイントであることを示すフラグ[is_angle_change_point==1]が設定されている。
【0230】
データ処理部は、このEPマップの登録情報から、アングル切り替えポイントであることを示すフラグ[is_angle_change_point==1]が設定されている登録情報(PTS/SPN)データを取得し、この取得情報をデータ変換部(トランスコーダ)に出力する。
【0231】
ステップS132は、データ変換部(トランスコーダ)の処理である。データ変換部は、ステップS132において、データ変換対象となるマルチアングルコンテンツのビデオストリームをステップS112,113において決定した情報に従ってデータ変換を実行する。
このデータ変換処理に際して、アングル切り替えポイントにある先頭IピクチャのクローズドGOPの状態を崩さずにデータ変換を実行する。
これらのデータ変換の後、ステップS151に進む。
【0232】
なお、ステップS132におけるデータ変換処理は、実行する変換態様によって異なる処理となる。具体的には以下のいずれかの処理が行われる。
(1)MPEG−2符号化データをAVC符号化データに変換する場合は、
MPEG−2符号化データにおけるクローズドGOPの先頭IピクチャをAVC符号化データにおけるIDRピクチャとする変換を行う。
(2)MPEG−2符号化データをMPEG−2符号化データに変換(例えば圧縮率変更等)する場合は、クローズドGOPの先頭IピクチャをそのままクローズドGOPの先頭Iピクチャとするデータ変換を行う。
(3)AVC符号化データをAVC符号化データに変換(例えば圧縮率変更等)する場合は、IDRピクチャをそのままIDRピクチャとするデータ変換を行う。
すなわちアングル切り替えポイントのピクチャは、クローズドGOPの先頭IピクチャまたはIDRピクチャとしてデータ変換(トランスコード)を行う。
【0233】
このように、アングル切り替えポイントのピクチャをクローズドGOPのIピクチャまたはIDRピクチャとして設定することで、アングル切り替えポイントからのデータ再生に際して、取得ピクチャ以降のデータのみを参照して完全な復号、再生が実行可能となる。
【0234】
次に、図28を参照して、ステップS151以下の処理について説明する。
ステップS151の処理は、コピー対象として選択されたビデオストリームやオーディオストリームの変換処理の完了後に実行される。
【0235】
ステップS151では、削除データを除いたコピー対象データのみからなるクリップAVストリームの再構成処理(多重化処理等)を実行する。
すなわちコピー対象として選択されたデータのみからなるAVストリームを再設定する。
ステップS152では、MPEGの符号化/復号単位としてのGOPの再設定や、ソースパケットナンバー(SPN)の再設定等を実行する。ソースパケットナンバー(SPN)はクリップAVストリーム中のパケットの先頭からの番号である。
【0236】
次に、ステップS153において、クリップAVストリームの再構成処理(多重化処理等)後のデータに基づいて、プレイリストファイルとクリップ情報ファイルの更新処理を実行する。
【0237】
このプレイリストファイルとクリップ情報ファイルの更新処理の詳細シーケンスについて、図29に示すフローチャートを参照して説明する。
ステップS171において、クリップAVストリームの再構成処理(多重化処理等)後のデータに基づいて、GOPの先頭のIピクチャのソースパケットナンバー(SPN)を計算する。
【0238】
ステップS172において、データ処理部は、計算されたGOP先頭のソースパケットナンバー(SPN)をEPマップ(EP_map)に記録する。
この処理は、例えば先に図24を参照して説明した処理に対応する。図24に示すストリームデータ00001.m2tsの先頭のパケットのSPN変更に併せて、このストリームデータ00001.m2tsに対応するクリップ情報ファイルのEPマップの登録情報を変更する。すなわち、図24(b1)の中央に示すクリップ情報ファイルに記録されたEPマップの登録情報であるSPN=XをSPN=Nに書き換える処理を行う。このように、本発明の情報処理装置のデータ処理部は、データ変換部の生成した変換データに基づいて、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得し、コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイル(クリップ情報ファイル)のEPマップに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データのアングル切り替えポイント位置情報に変更する再生制御情報ファイルの更新処理を実行する。なお、再生時間情報であるPTS(プレゼンテーションナタイムスタンプ)はデータ変換前も変更後も同一であり、変更されない。
【0239】
なお、図24を参照して説明した処理では、アングル切り替えポイントに対するSPN値のみを変更する処理例として説明したが、EPマップに登録された全てのSPN値の値を再設定する構成としてもよい。
【0240】
EPマップに記録するソースパケットナンバー(SPN)は、例えば、変換後のクリップAVストリームの構成データの先頭パケットからのパケット数をカウントして算出してもよいし、変換後のクリップAVストリームの構成データの先頭からのバイト数に基づいて算出してもよい。1パケットは192バイトであり、AVストリームファイルの先頭から、アングル切り替えポイントまでのバイト数を192バイトで除算することで先行パケット数が算出可能であり、アングル切り替えポイントのパケット番号(SPN)は先行パケット数+1となる。
【0241】
このようにして更新されたEPマップを用いることで、変換後のコピーデータを再生する再生装置は、更新されたEPマップから正しいIピクチャの位置を求めることが可能となり、EPマップに登録されたSPN位置からの再生処理を実行することができる。
【0242】
ステップS173では、データ変換(Transcode)時に削除したストリームの変更に対応するように、プレイリストファイルとクリップ情報ファイルを更新する。
【0243】
プレイリストファイルとクリップ情報ファイルの更新処理例について、図29、図30を参照して説明する。
図29は、プレイリストファイルの更新処理例を示す図である。
図30は、クリップ情報ファイルの更新処理例を示す図である。
【0244】
まず、図29を参照してプレイリストファイルの更新処理例について説明する。
図29に示す例は、プレイリストファイルに設定されたサプパス情報(SubPath())を削除する例である。例えば日本語音声としてのオーディオ(1)と英語音声としてのオーディオ(2)が設定されている構成で、英語音声としてのオーディオ(2)をコピー対象としないで削除する場合、この英語音声としてのオーディオ(2)のオーディオストリームの指定情報として利用されるサブパスが削除される。
【0245】
このように、コピー元の第1メディアに記録されたプレイリストファイル(=図21に示す(1)更新前プレイリスト)を第2メディアにコピーする際に、削除したサブパス対応のクリップAVストリームがある場合は、その削除したクリップAVストリームの指定情報として利用されていたサプパス情報(SubPath())を削除する。
【0246】
この削除処理よって、図29に示す(2)更新後プレイリストを作成する。この更新されたプレイリストファイルが、コピー先としての第2メディアに記録される。
【0247】
図30は、クリップ情報ファイルの更新処理例を示す図である。クリップ情報ファイルは、再生対象データであるクリップAVストリームに対応する再生情報等を記録したファイルであり、データ削除処理や変換処理後のクリップAVストリームデータに従った記録データに変更する処理を行う。
【0248】
具体的には、図30に示すようなデータ変更を行う。すなわち、
TS_recording_rate:データ変換(Transcode)後のビットレートに変更する。
number_of_source_packets:データ変換(Transcode)後のパケット総数に変更する。
ProgramInfo():データ変換(Transcode)後にトランスポートストリーム(TS)に含まれているストリームの情報に合わせる変更処理を行う。
number_of_stream_in_ps:データ変換(Transcode)後のストリーム数に変更する。
PID,StreamCodingInfo():データ変換(Transcode)後のストリームに合わせた情報に変更する。なお、削除したストリームの情報は削除する。
EPマップのSPN:データ変換(Transcode)後のパケット番号に変更する。
例えばこれらの変更処理を伴うクリップ情報ファイルの更新処理を実行する。
【0249】
これらの処理が図29に示すフローのステップS173の処理、すなわちプレイリストファイルとクリップ情報ファイルの更新処理として行われる。
この更新処理によって、第2メディアにコピーされて記録されるAVストリームファイルの内容に一致したプレイリストファイルとクリップ情報ファイルが生成される。
【0250】
これらの処理が図28に示すステップS153の処理として実行され、この処理の完了後に、図28に示すステップS154の処理を実行する。
ステップS154では、コピー先メディアである第2メディアに対して、
更新したプレイリストファイル(PlayList)、
更新したクリップ情報ファイル(ClipInfo)、
アングル切り替えポイントのピクチャがクローズドGOPのIピクチャまたはIDRピクチャとして設定されたクリップAVストリームデータ、
これらのデータを記録する。
【0251】
この処理によって第2メディアに記録されるデータは、第1メディアに記録されたデータとは異なる形態を持つデータとなるが、アングル切り替え処理は、コピー元コンテンツと同様の処理として確実に実行できるコピーコンテンツとなる。
【0252】
すなわち、クリップ情報ファイルに記録されるEPマップの登録情報には、アングル切り替えポイントのPTS/SPNデータが変換誤のクリップAVストリームの構成に対応した正しい設定となる。
またクリップAひストリーム中のアングル切り替えポイントの先頭ピクチャは、クローズドGOPの先頭Iピクチャ、またしIDRピクチャとして設定され、スムーズな復号、再生可能なピクチャとして設定されることになる。
【0253】
[7.情報処理装置の構成例について]
最後に、本発明の一実施例に係る情報処理装置120の構成例について図32を参照して説明する。情報処理装置120は、例えば、コピー元コンテンツの記録メディアである第1メディア110と、コンテンツのコピー先としての第2メディア150を装着可能な構成を持つ。なお、必ずしも2つのメディアを装着可能である必要はなく、例えばコピー先メディアは、USBケーブル、あるいは無線通信などによって接続された他の装置に装着してコピーデータを出力する構成としてもよい。
【0254】
第1メディア110、第2メディア150として、例えばBlu−ray Disc(登録商標)やDVD、ハードディスク、フラッシュメモリなど、各種のメデイア(情報記録媒体)が利用可能である。
【0255】
情報処理装置120は、図23に示すように、データ処理部(制御部)501、通信部502、入力部503、出力部504、メモリ505、第1メディアインタフェース506、第2メディアインタフェース507、データ変換部(トランスコーダ)を有する。
【0256】
データ処理部501は、様々なデータ処理プログラムを実行するプログラム実行機能を持つCPU等によって構成される。例えばデータ記録再生処理の他、前述の各フローチャートに従ったコピー処理に伴う様々な処理を実行する。さらに通信部102を介した管理サーバ140との通信処理など、装置の実行する処理全般の制御を行う。
【0257】
データ変換部(トランスコーダ)521は、コピー処理におけるデータ変換処理を実行する。
例えば、先に図22を参照して説明したように、
(1)符号化方式の変換(MPEG−2とAVCフォーマット間の変換など)
(2)圧縮率の変換
(3)ストリームの除去
これらの処理を伴う変換処理を実行する。
【0258】
通信部502は、管理サーバ140との通信処理に利用され、前述したサーバ応答情報(Offer Response)の要求、受信を行い、さらに決済処理、あるいはコピー許可情報(Permission)の受信処理等に利用される。
【0259】
入力部503は、例えばユーザの操作部であり、データ記録または再生指示、コピー指示の入力など、様々な入力が行われる。なお、入力部503にはリモコンも含まれ、リモコン操作情報の入力も可能である。出力部504は、ディスプレイ、スピーカ等によって構成される画像や音声の出力部である。メモリ505は、RAM,ROM等によって構成され、データ処理部501において実行するプログラムや、各種パラメータ、受信データの格納領域などに利用され、さらに、コピーデータのバッファ領域などにしても利用される。
【0260】
第1メディアインタフェース506は、第1メディア110を利用したデータ記録、再生、コピー処理に適用されるインタフェースである。データ処理部501の要求に従って、第1メディア110を利用したデータ書き込み、データ読み取り処理、データコピー処理などを行う。
第2メディアインタフェース507は、第2メディア150を利用したデータ記録、再生処理、コピー処理に適用されるインタフェースである。データ処理部501の要求に従って、第2メディア150を利用したデータ書き込み、データ読み取り処理、データコピー処理などを行う。
【0261】
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0262】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0263】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0264】
以上、説明したように、本発明の一実施例の構成によれば、コンテンツのコピー処理において、データ変換に伴うパケット構成が変更された場合にも、特定位置からのコピーコンテンツの再生を問題なく実行可能とした装置および方法が提供される。本発明の情報処理装置は、コピー処理に伴うデータ変換に際して、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得し、コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイルに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データの位置情報に変更する。具体的には、再生制御情報ファイルであるクリップ情報ファイルに含まれるEPマップの登録データに含まれるソースパケットナンバー(SPN)を、変換後データのアングル切り替えポイントのパケット位置に対応するソースパケットナンバー(SPN)に変更する処理を実行する。このEPマップ更新処理により、コピーコンテンツの再生処理において、EPマップ登録情報を用いた正しいアングル切り替え再生が可能となる。
【符号の説明】
【0265】
10 第1メディア
20 情報処理装置
30 第2メディア
50 管理サーバ
110 第1メディア
111 コピー制御管理ファイル
112 管理データ
113 暗号化コンテンツ
120 情報処理装置
121 コピー許容リスト
122 コピー許可情報
131 サーバ応答情報
132 決済データ
140 管理サーバ
150 第2メディア
151 暗号化コンテンツ
181〜183 EPマップ
501 データ処理部(制御部)
502 通信部
503 入力部
504 出力部
505 メモリ
506 第1メディアインタフェース
507 第2メディアインタフェース
521 データ変換部(トランスコーダ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1メディアの記録データを第2メディアに記録するコピー処理の制御を実行するデータ処理部と、
前記コピー処理におけるデータ変換を実行するデータ変換部を有し、
前記データ処理部は、
前記データ変換部の生成した変換データに基づいて、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得し、
コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイルに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データのアングル切り替えポイント位置情報に変更する再生制御情報ファイルの更新処理を実行する情報処理装置。
【請求項2】
前記データ処理部は、
前記再生制御情報ファイルであるクリップ情報ファイルに含まれるEPマップの登録データであるソースパケットナンバー(SPN)の書き換え処理を実行する構成であり、
変換前データのアングル切り替えポイントのパケット位置に対応するソースパケットナンバー(SPN)を、変換後データのアングル切り替えポイントのパケット位置に対応するソースパケットナンバー(SPN)に変更する処理を実行する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データ処理部は、
前記EPマップに登録された再生時間情報であるプレゼンテーションタイムスタンプ(PTS)とソースパケットナンバー(SPN)との対応データについて、プレゼンテーションタイムスタンプ(PTS)を変更せず、ソースパケットナンバー(SPN)を前記変換後データの構成に応じて変更する処理を行う請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データ処理部は、
変換後のストリームデータの先頭からのパケット数またはバイト数に基づいて、変換後データのアングル切り替えポイントのパケット位置に対応するソースパケットナンバー(SPN)を算出する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ処理部は、
前記EPマップに登録された再生時間情報であるプレゼンテーションタイムスタンプ(PTS)とソースパケットナンバー(SPN)との対応データについて、アングル切り替えポイントであるか否かにかかわらず、ソースパケットナンバー(SPN)を変換データの構成に応じて変更する処理を行う請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記データ変換部は、
前記アングル切り替えポイントの再生開始位置のピクチャを再生開始点として再生する場合に少なくとも先行ピクチャを参照せずに復号可能とした変換データを生成する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記データ変換部は、
符号化方式の変換、または圧縮率の変換、またはストリームの削除の少なくともいずれかの処理を含むデータ変換処理を実行する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、さらに、
管理サーバとの通信を実行する通信部を有し、
前記データ処理部は、前記管理サーバからの受信情報に基づいて、前記第1メディアの記録データに含まれるコピー許容データのリストを表示し、表示情報に対するユーザ指定に基づいてコピー対象データを選択する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置において実行する情報処理方法であり、
データ処理部が、第1メディアの記録データを第2メディアに記録するコピー処理の制御を実行するデータ処理ステップと、
データ変換部が、前記コピー処理におけるデータ変換を実行するデータ変換ステップを実行し、
前記データ処理ステップにおいては、
前記データ変換部の生成した変換データに基づいて、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得し、
コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイルに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データのアングル切り替えポイント位置情報に変更する再生制御情報ファイルの更新処理を実行する情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置において情報処理を実行させるプログラムであり、
データ処理部に、第1メディアの記録データを第2メディアに記録するコピー処理の制御を実行させるデータ処理ステップと、
データ変換部に、前記コピー処理におけるデータ変換を実行させるデータ変換ステップを実行させ、
前記データ処理ステップにおいては、
前記データ変換部の生成した変換データに基づいて、アングル切り替えポイントに対応するパケットの位置情報を取得させ、
コピー対象データに含まれる再生制御情報ファイルに記録された変換前データのアングル切り替えポイント位置情報を、変換後データのアングル切り替えポイント位置情報に変更する再生制御情報ファイルの更新処理を実行させるプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図1】
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【図10】
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【図16】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−18728(P2012−18728A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155698(P2010−155698)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】