情報処理装置、プログラム、情報処理方法、および情報処理システム
【課題】情報処理装置、プログラム、情報処理方法、および情報処理システムを提供すること。
【解決手段】建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部224と、任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報、および前記受信部により受信された前記第2の測定情報に基づいて、前記第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部と、を備える情報処理装置。
【解決手段】建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部224と、任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報、および前記受信部により受信された前記第2の測定情報に基づいて、前記第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部と、を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、情報処理方法、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、衛星から送信された無線信号を受信可能な受信装置が車や携帯電話などの移動体に搭載されている。GPS(Global Positioning System)測位によれば、かかる受信装置を搭載した移動体の位置を推定することが可能である。このような受信装置を用いた位置推定技術は、ナビゲーション、セキュリティーまたは娯楽などの多岐にわたる分野において重要な共通基盤技術である。
【0003】
また、無線LAN(Local Area Network)の基地局(アクセスポイント)と無線通信を行う無線端末が、無線基地局から送信される信号の信号強度を測定し、無線端末と通信可能な位置推定装置が、該信号強度に基づいて無線端末の位置を推定する位置推定方法も考えられる。例えば、無線LANの基地局は、無線LANの基地局の存在を周囲に報知するためのビーコンを一定周期(例えば、5回/秒)で送信している。無線端末は、かかるビーコンの信号強度を位置推定装置に送信し、位置推定装置は、該信号強度と事前に登録されている無線LANの基地局の位置とに基づいて無線端末の位置を推定できる。上記位置推定方法によれば、無線LANの基地局は屋内や地下にも設置されるため、GPS測位に基づく位置推定技術では困難であった屋内や地下での位置推定ができる。
【0004】
このような位置推定方法においては、無線端末を携帯するユーザが建造物内に存在する場合、無線端末の緯度経度だけでなく、現在建造物の何階にいるかという情報も重要である。例えば、特許文献1には、無線端末が複数の基地局から送信された無線信号の信号強度を測定し、信号強度の強い無線信号の送信元の基地局が存在するフロアに無線端末が存在すると位置推定サーバが推定する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特願2005−229617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の位置推定技術は、単に現在の信号強度に基づいて無線端末の存在するフロアを推定するため、位置推定サーバに各基地局の存在するフロアが正確に登録されている必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、各基地局の建造物における位置が正確に事前登録されていなくても無線端末の建造物における位置を推定することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、プログラム、情報処理方法、および情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部と、任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および前記区画情報を前記記憶部から検索する検索部と、前記受信部により受信された前記第2の測定情報、および前記検索部により検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部と、前記選択部により選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0009】
前記情報処理装置は、前記検索部により検索された第1の測定情報と、前記受信部により受信された第2の測定情報のうちで当該第1の測定情報と同一の基地局識別情報が対応付けられている第2の測定情報とに基づいて、当該第1の測定情報および当該第2の測定情報の取得位置の関係を評価する評価部をさらに備え、前記選択部は、前記評価部による評価結果に基づき、前記取得位置の関係が相対的に良好な第1の測定情報および第2の測定情報にかかる第1の測定情報と対応付けられている区画情報を選択してもよい。
【0010】
前記評価部は、前記検索部により検索された前記第1の測定情報ごとに、前記第1の測定情報に基づき、前記第1の測定情報の取得位置と前記第1の測定情報に対応する基地局との間の第1の距離を演算し、前記受信部により受信された第2の測定情報ごとに、前記第2の測定情報に基づき、前記第2の測定情報の取得位置と前記第2の測定情報に対応する基地局との間の第2の距離を演算し、同一の基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および第2の測定情報に基づいて算出された第1の距離および第2の距離を加算し、前記選択部は、前記評価部により得られる第2の距離との加算値が最小であった第1の距離に対応する区画情報を選択してもよい。
【0011】
前記評価部は、同一の基地局識別情報および同一の区画情報と対応付けられている第1の測定情報が前記検索部により複数検索された場合、前記同一の基地局識別情報および同一の区画情報と対応付けられている第1の測定情報および第2の測定情報に基づいて算出した第1の距離および第2の距離の加算値の平均値を演算し、前記選択部は、前記平均値または前記加算値が最小となった前記評価部による演算にかかる第1の測定情報に対応する区画情報を選択してもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、同一の基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報が前記検索部により複数検索された場合、当該複数の第1の測定情報のうちでより多くの第1の測定情報に対応付けられている区画情報が前記選択部により優先的に選択されるよう処理する優先処理部をさらに備えてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と、建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶媒体から、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および前記区画情報を検索する検索部と、前記検索部により検索された第1の測定情報、および前記受信部により受信された前記第2の測定情報に基づいて、前記検索部により検索された区画情報のいずれかを選択する選択部と、前記選択部により選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信ステップと、建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶媒体から、前記受信ステップにおいて受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および前記区画情報を検索する検索ステップと、前記検索ステップにおいて検索された第1の測定情報、および前記受信ステップにおいて受信された前記第2の測定情報に基づいて、前記検索ステップにおいて検索された区画情報のいずれかを選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信ステップと、を含む情報処理方法が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線端末および情報処理装置を備える情報処理システムが提供される。前記無線端末は、基地局から送信された無線信号を受信する無線信号受信部、前記無線信号受信部により受信された無線信号の信号強度測定を行なう測定部、および、前記測定部による無線信号の信号強度測定により得られる第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを送信する情報送信部、を備える。また、情報処理装置は、建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する任意の無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部、前記無線端末の前記情報送信部から、前記第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および前記区画情報を前記記憶部から検索する検索部、前記検索部により検索された第1の測定情報、および前記受信部により受信された前記第2の測定情報に基づいて、前記検索部により検索された区画情報のいずれかを選択する選択部、および、前記選択部により選択された区画情報を前記無線端末に送信する送信部を備える。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線端末および情報処理装置を備える情報処理システムが提供される。前記無線端末は、基地局から送信された無線信号を受信する無線信号受信部、前記無線信号受信部により受信された無線信号の信号強度測定を行なう測定部、建造物における一区画を示す区画情報がユーザにより入力される入力部、および、前記測定部による無線信号の信号強度測定により得られる第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報と、前記入力部に入力された区画情報と、を送信する情報送信部、を備える。また情報処理装置は、前記無線端末の前記情報送信部から、前記第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた前記基地局識別情報と、前記区画情報とを受信する受信部、記憶部、および、前記受信部により受信された第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた前記基地局識別情報と、前記区画情報とを対応付けて前記記憶部に記録する記録部を備える。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明にかかる情報処理装置、プログラム、情報処理方法、および情報処理システムによれば、各基地局の建造物における位置が正確に事前登録されていなくても無線端末の建造物における位置を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
〔1〕本実施形態にかかる位置推定システムの概要
〔2〕本実施形態にかかる位置推定システムの詳細な説明
〔2−1〕位置推定サーバのハードウェア構成
〔2−2〕フロア情報の登録
〔2−3〕フロア情報の推定
〔3〕本実施形態にかかる位置推定システムの動作
〔4〕まとめ
【0020】
〔1〕本実施形態にかかる位置推定システム
まず、図1および図2を参照し、本実施形態にかかる位置推定システム1について概略的に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態にかかる位置推定システム(情報処理システム)1の構成例を示した説明図である。図1に示したように、本実施形態にかかる位置推定システム1は、通信網12と、位置推定サーバ20と、基地局30A〜30Cと、無線端末40と、を備える。図1においては各基地局を区別するために、基地局30A、30Bのように符号の後に大文字のアルファベットを付しているが、各基地局を特に区別する必要が無い場合、単に基地局30と総称する。
【0022】
基地局30は、空間的に散在する通信装置間の通信を中継する。例えば、基地局30は、電波到達範囲内にある無線端末40と他の無線端末(図示せず。)との無線通信を中継したり、無線端末40と基地局30に有線で接続された通信装置との通信を中継したりすることができる。具体的には、基地局30は、WiFi(Wireless Fidelity)規格に基づく無線LAN(Local Area Network)の基地局であっても、GSM(Global System for Mobile Communications)の基地局であっても、Bluetoothの基地局であってもよい。
【0023】
基地局30は、無線通信を中継する際に送信する信号の他に、基地局30の存在を周囲に報知するためのビーコン信号を定期的に送信することができる。該ビーコン信号には、例えば基地局30に固有に付与される基地局識別情報としての基地局IDが含まれる。その結果、無線端末40は、受信したビーコン信号の基地局IDに基づいて、周囲に存在する基地局30の存在を確認することができる。
【0024】
無線端末40は、基地局30が制御する無線通信に基づいて各種データを送受信することができる。例えば、無線端末40は、基地局30を介してコンテンツ配信サーバ(図示せず。)からコンテンツデータを受信したり、他の無線端末(図示せず。)と電子メールを送受信することができる。なお、コンテンツデータとしては、音楽、講演およびラジオ番組などの音楽データや、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、写真、絵画および図表などの映像データや、ゲームおよびソフトフェアなどの任意のデータがあげられる。
【0025】
なお、図1においては無線端末40の一例として携帯電話を示しているが、無線端末40はかかる例に限定されない。例えば、無線端末40は、PC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistant)、家庭用ゲーム機器、携帯用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0026】
また、無線端末40は、基地局30から送信される無線信号を受信すると、該無線信号の信号強度を測定し、測定した信号強度を基地局30の基地局IDと対応付け、信号強度情報として位置推定サーバ20に通信網12を介して送信することができる。なお、通信網12は、通信網12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網12は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、IP−VPN(Internt Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0027】
位置推定サーバ20は、各基地局30の位置情報および基地局IDを含む基地局情報を記憶しており、無線端末40から受信した信号強度情報と、上記基地局情報とに基づいて、例えば三角測量の原理により無線端末40の位置を推定する機能を有する。位置推定サーバ20は、上記推定した位置を示す位置情報を無線端末40に通知し、無線端末40は自端末の位置情報を認識することができる。なお、位置推定サーバ20は、無線端末40に限らず、他の複数の無線端末からの位置推定要求に応じることができる。
【0028】
このように、本実施形態によれば、無線端末40が、周囲の基地局30から送信された無線信号の信号強度測定を行ない、測定結果を位置推定サーバ20に送信することにより、自端末の位置情報を取得することができる。
【0029】
(本実施形態に至る経緯)
ここで、位置情報としては、緯度、経度などの、高さ方向を含まない2次元位置を示す情報があげられる。したがって、ある建造物内に存在する無線端末40は、位置推定サーバ20から、該建造物の位置情報、または、位置推定サーバ20において位置情報と建造物名が対応付けて記憶されている場合には該建造物の建造物名を取得することができる。
【0030】
しかし、無線端末40が存在する建造物の建造物名だけでなく、無線端末40が建造物におけるどの区画に存在するかを無線端末40に把握させれば、無線端末40は例えばフロアに応じた案内をユーザに提供することが可能となる。したがって、無線端末40に建造物におけるフロアを示すフロア情報を把握させることは、実用上、重要である。
【0031】
フロア情報を取得するために、例えばGPSを利用する技術が考えられる。しかし、GPS衛星からの航法メッセージは屋内や地下などに到達し難いため、建造物内においてGPSを利用することは困難であった。また、仮にGPSにより受信機の高度(海抜)を測定できたとしても、
(1)各建造物の各フロアと高度の関係をデータベース化しておく必要、
(2)高度の推定誤差が各フロアの高さよりも十分に少ない(例えば1m程度)である必要、
があった。
【0032】
そこで、上記事情を一着眼点にして本実施形態にかかる位置推定システム1を創作するに至った。本実施形態にかかる位置推定システム1によれば、事前登録の手間を簡略化しつつ、無線端末40の建造物における位置を推定することが可能である。以下、本実施形態にかかる位置推定システム1について詳細に説明する。
【0033】
〔2〕本実施形態にかかる位置推定システムの詳細な説明
本実施形態は、フロア情報を含む基地局情報を位置推定サーバ20が登録する登録段階、
および、登録されている基地局情報に基づいて位置推定サーバ20が無線端末40のフロア情報を推定する推定段階、に大別される。そこで、以下では、本実施形態にかかる位置推定システム1に含まれる位置推定サーバ20のハードウェア構成を説明した後に、フロア情報の登録段階および推定段階の各々について具体的に説明する。
【0034】
〔2−1〕位置推定サーバのハードウェア構成
図2は、位置推定サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。位置推定サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信装置215とを備える。
【0035】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って位置推定サーバ20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
【0036】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0037】
入力装置208は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。位置推定サーバ20の管理者は、該入力装置208を操作することにより、位置推定サーバ20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0038】
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Display)装置およびランプなどの表示装置と、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0039】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる位置推定サーバ20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。また、このストレージ装置211には、後述の基地局情報が記録される。
【0040】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、位置推定サーバ20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。
【0041】
通信装置215は、例えば、通信網12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。この通信装置215は、無線端末40との間で、通信網12を介して、信号強度情報、フロア情報、位置情報などの各種情報を送受信する。
【0042】
なお、上記では図2を参照して位置推定サーバ20のハードウェア構成について説明したが、無線端末40のハードウェアは位置推定サーバ20と実質的に同一に構成することが可能であるため、説明を省略する。
【0043】
〔2−2〕フロア情報の登録
次に、図3〜図8を参照し、本実施形態にかかる位置推定システム1におけるフロア情報の登録について説明する。
【0044】
図3は、本実施形態にかかる位置推定システム1に含まれる位置推定サーバ20および無線端末40の構成を示した機能ブロック図である。図3に示したように、位置推定サーバ20は、通信部216と、基地局情報管理部220と、記憶部224と、検索部232、距離評価部234、フロア推定部236、および位置情報推定部238を含む推定部230と、を備える。また、無線端末40は、通信部416と、測定部420と、表示画面生成部424と、表示部428と、操作部432と、登録要求部436と、情報取得部440と、を備える。
【0045】
無線端末40の通信部416は、基地局30または位置推定サーバ20とのインターフェースであって、基地局30または位置推定サーバ20との間で各種情報を送受信する送信部および受信部としての機能を有する。例えば、通信部416は、基地局30から、基地局30の基地局IDを含む無線信号を受信する。また、通信部416は、位置推定サーバ20へ後述の登録要求情報を送信する。
【0046】
なお、通信部416は、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11a、b、gなどに規定される無線通信機能を有してもよい。また、通信部416は、IEEE802.11nに規定されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)通信機能を有してもよい。さらに、通信部416は、IEEE802.16に企画されるWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)に対応する通信機能を有してもよい。
【0047】
測定部420は、基地局30から通信部416により受信された無線信号の信号強度を測定する。例えば、測定部420は、図4に示す位置P1において信号強度測定を行なうことにより、図5に示す信号強度情報を取得する。
【0048】
図4は、ある建造物の断面を模式的に示した説明図である。より詳細には、図4には、6階建ての建造物の断面を示しており、建造物の各フロアには基地局30が設置されている。例えば、建造物の1階には基地局30Aが、2階には基地局30Bが、3階には基地局30Cが、4階には基地局30Dが、5階には基地局30Eおよび30Fが、6階には2階には基地局30Gが設置されている。
【0049】
図5は、位置P1における信号強度測定により得られる信号強度情報の一例を示した説明図である。なお、本明細書においては、説明の便宜上、基地局IDが、基地局30の符号と等しいものとする。例えば、本明細書においては、図4に示した基地局30Aの基地局IDは30Aであるものとする。
【0050】
図4に示したように、位置P1と同一の4階に基地局30Dが設置されており、位置P1の下階である3階に基地局30Cが設置されており、位置P1の上階である5階に基地局30Eおよび30Fが設置されており、6階に基地局30Gが設置されている。ここで、各基地局30から送信される無線信号は、距離が遠くなるにつれて信号強度が減衰する。また、各基地局30から送信される無線信号は、壁、床、または天井などの障害物が無線端末40との間に存在する場合、障害物を回析または一部通過などすることにより無線端末40へ到達するため、信号強度が劣化する。
【0051】
具体的には、図5に示したように、携帯端末40が存在する位置P1と同一の4階に設置されている基地局30Dから送信された無線信号の信号強度は、最も高い「−57dBm」である。これに対し、携帯端末40が存在する位置P1と床を介して設置されている基地局30Cから送信された無線信号の信号強度は、「−67dBm」であり、基地局30Dから送信された無線信号と比較して信号強度が低くなっている。同様に、位置P1と障害物を介して設置されている基地局30E、30F、および30Gも、基地局30Dから送信された無線信号と比較して位置P1における信号強度が低くなっている。
【0052】
ここで、図3を参照して無線端末40の構成の説明に戻ると、表示画面生成部424は、各種表示画面を生成し、生成した表示画面を表示部428に表示させる。表示画面生成部424は、例えば、フロア情報の登録画面や、情報取得部440により取得されたフロア情報に応じた案内画面などを生成する。表示部428は、図2を参照して説明した出力装置210に対応し、表示画面生成部424により生成された各種表示画面を表示する。以下、表示画面生成部424により生成され、表示部428に表示されるフロア情報の登録画面の具体例について図6を参照して説明する。
【0053】
図6は、表示画面生成部424により生成されるフロア情報の登録画面の一例を示した説明図である。かかるフロア情報の登録画面は、位置推定サーバ20に、無線端末40のフロア推定の際に利用される各基地局30のフロア情報を登録するための画面であって、例えばユーザ操作に基づいて生成される。
【0054】
具体的には、フロア情報の登録画面は、図6に示したように、フロア入力領域52、建造物名入力領域54、およびOKボタン56を含む。フロア入力領域52は、無線端末40が現在存在するフロア(階)を入力するための領域である。無線端末40のユーザは、操作部432を操作することによりフロア入力領域52にフロアを入力することができる。なお、図6においては、ユーザが位置P1においてフロア情報を登録する場合を仮定しているため、フロア名入力領域52に「4階」が入力されている例を示している。
【0055】
建造物名入力領域54は、無線端末40が現在存在する建造物の名称を入力するための領域である。無線端末40のユーザは、操作部432を操作することにより建造物名入力領域54に建造物の名称を入力することができる。なお、図6においては、建造物名入力領域54に「KKビル」が入力されている例を示している。OKボタン56は、フロア入力領域52および建造物名入力領域54への入力内容を確定するためのボタンである。
【0056】
なお、上記では、建造物の一区画を示す区画情報の一例としてフロア情報をあげて説明しているが、区画情報はかかる例に限定されない。例えば、区画情報は、同一フロアであっても壁などの障害物によって各々が仕切られている部屋の名称(301号室、会議室、応接室など)、利用主体(株式会社SSS、TT部、UUU店)などを示す情報であってもよい。さらに、上記では建造物の一例としてビルをあげて説明したが、建造物はかかる例に限定されない。例えば、建造物は、地下鉄の駅の構内、アトラクション施設(この場合、区画情報としてはお化け屋敷、カフェテリア、VVVエリアなどが想定される。)、新幹線(この場合、区画情報としては車両番号が想定される。)、船舶などの任意の人工物であってもよい。
【0057】
操作部432は、ユーザが無線端末40へ各種情報、または各種指示を入力するためのインターフェースである。ユーザは、上述したように、当該操作部432を操作することにより表示画面生成部424にフロア情報の登録画面を生成させ、フロア情報の登録画面においてフロア名、建造物名などのフロア情報を入力することができる。
【0058】
登録要求部436は、フロア情報の登録画面においてユーザによりOKボタン56が選択されると、フロア情報の登録画面に入力されているフロア名、建造物の名称、および信号強度情報を含む登録要求情報を位置推定サーバ20へ通信部416を介して送信する。かかる登録要求情報の具体例を図7Aに示す。
【0059】
図7Aは、位置P1において携帯端末40から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。図7Aに示したように、登録要求部436は、位置P1において測定部420により取得された信号強度情報(第1の測定情報)と、「KKビル」、「4階」というフロア情報を対応付けて登録要求情報として位置推定サーバ20へ送信する。なお、測定部420は、フロア情報の登録画面においてユーザによりOKボタン56が選択されたことをトリガに信号強度測定を行なってもよい。
【0060】
図7B、図7C、および図7Dは、図7Aと同様に登録要求情報の具体例を示している。より詳細には、図7Bは、位置P2において携帯端末40から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図であり、図7Cは、位置P3において携帯端末40から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。また、図7Dは、位置P4において携帯端末40から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【0061】
図7A〜図7Dを参照すると、同一の基地局30からの無線信号であっても、同一の階であるか、および各位置との距離に応じて信号強度が異なることが確認できる。なお、上記では登録要求情報に測定情報の一例として信号強度情報が含まれる例を説明したが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば登録要求情報は、信号強度情報に代えて、後述の方法により信号強度情報から推定される、信号強度情報の取得位置と各基地局30との間の距離情報を含んでもよい。
【0062】
ここで、図3の説明に戻ると、位置推定サーバ20の通信部216は、無線端末40とのインターフェースであって、無線端末40との間で各種情報を送受信する送信部および受信部としての機能を有する。例えば、通信部216は、無線端末40から図7群に示した登録要求情報を受信する。
【0063】
基地局情報管理部220は、記憶部224への新たな基地局情報の登録、記憶部224に登録されている基地局情報の更新、修正、削除、などの基地局情報の管理を行なう。ここで、基地局情報は、基地局30ごとに、基地局ID、基地局の設置されている位置を示す位置情報(緯度、経度)、信号強度、およびフロア情報を含む情報である。
【0064】
なお、基地局情報は、信号強度に代えて、信号強度から推定される、信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の仮想的な距離を含んでもよい。例えば、信号強度を以下の数式1に代入することにより、信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の仮想的な距離を推定することができる。
【0065】
【数1】
(数式1)
【0066】
数式1において、AおよびBは定数であり、rssiは信号強度を示す。例えば、A=32、B=25、信号強度=−80dBmであった場合、信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の仮想的な推定距離を83mと算出することができる。信号強度は障害物の有無にも大きく依存し、上記数式1により算出される推定距離が必ずしも現実の距離に一致しないものの、上記数式1により算出される推定距離は、信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の通信路の良好性を示す指標となる。
【0067】
例えば、上記数式1により算出される推定距離が小さいほど信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の通信路が良好であり、上記数式1により算出される推定距離が大きいほど信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の通信路が劣悪であると評価できる。なお、以下では説明の都合上、基地局情報が信号強度に代えて上記数式1により算出される推定距離を含むものとして説明する。
【0068】
基地局情報管理部220は、無線端末40から通信部216により登録要求情報が受信されると、登録要求情報に基づき、記憶部224へ基地局情報の追加、更新などを行なう。例えば、基地局情報管理部220は、図7群に示した登録要求情報が1または2以上の無線端末40から受信された場合、図8に示す基地局情報群を記憶部224へ登録する。
【0069】
図8は、記憶部224へ登録される基地局情報群の具体例を示した説明図である。図8に示したように、各基地局情報は、基地局ID、推定距離、およびフロア情報が対応付けられている。例えば、基地局ID「30C」、推定距離「83m」、フロア情報「5階」という基地局情報は、図7Bに示した位置P2における登録要求情報に基づいて登録された基地局情報である。具体的には、当該基地局情報は、基地局30Cとの間の距離が83mと推定される位置において信号強度の測定が行なわれ、測定フロアが「5階」であったことを示している。
【0070】
ここで、図4に示したように、実際には基地局30Cは3階に設置されている。すなわち、本実施形態においては、基地局情報として必ずしも正確なフロア情報のみが登録されるわけでない。しかし、「〔2−3〕フロア情報の推定」において説明するように、本実施形態によれば、正確でないフロア情報が含まれていても、無線端末40の存在するフロアを適切に推定することが可能である。
【0071】
一方、各基地局30を目視により確認し、各基地局30の設置されている正確なフロア情報を位置推定サーバ20に登録し、登録したフロア情報に基づいて現在フロアを推定する方法も考えられる。しかし、各基地局30を目視により確認することは煩雑であり、また、各基地局30が視認不能な場所に設置されている場合もある。これに対し、本実施形態にかかる位置推定システム1においては、各基地局30を目視により確認することなく現在フロアの推定のために必要な情報を登録できる点で効果的である。
【0072】
なお、図8に一例として示した基地局情報を記憶する記憶部224は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスクや、CD−R(Compact Disc Recordable)/RW(ReWritable)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)/RW/+R/+RW/RAM(Ramdom Access Memory)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))―R/BD−REなどの光ディスクや、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。また、基地局情報は、各基地局30の緯度経度を示す位置情報を含むが、図8においては位置情報の記載を省略している。また、フロア情報は、フロア名だけでなく、KKビルなどの建造物の名称も含み得るが、以下では建造物の名称についての記載は省略する。
【0073】
〔2−3〕フロア情報の推定
続いて、図3、および図9〜図11を参照し、本実施形態にかかる位置推定システム1におけるフロア情報の推定について説明する。
【0074】
位置推定サーバ20は、無線端末40の現在フロアを推定するために、無線端末40における信号強度情報と、「〔2−2〕フロア情報の登録」において説明した記憶部224に登録されている基地局情報を利用する。
【0075】
このため、無線端末40の情報取得部440は、フロア情報の推定要求として、測定部420における信号強度測定により得られた測定情報(第2の測定情報)を通信部416を介して位置推定サーバ20に送信する。情報取得部440は、かかるフロア情報の測定情報の送信を周期的に行なっても、操作部432に対するユーザ操作に基づいて行なってもよい。以下では、無線端末40が図4に示した位置P5において情報取得部440が測定情報の送信を行なった場合の処理を具体例としてあげて説明する。ここで、測定情報としては、信号強度情報が考えられるが、図9に示すように、基地局IDと、信号強度情報から推定される測定位置と各基地局30との間の距離が対応付けられた情報であってもよい。
【0076】
図9は、図4に示した位置P5において情報取得部440から送信される測定情報の具体例を示した説明図である。図4に示したように、位置P5は4階であるため、同一の4階に設置されている基地局30Dとの推定距離が最短になるとも考えられる。しかし、図9に示したように、同一の4階に設置されている基地局30Dとの推定距離より、上階の5階に設置されている基地局30Eとの推定距離の方が短くなる場合も想定される。これは、位置P5と基地局30Eが階を隔てているものの、天井の材質、吹き抜けの有無などにより、基地局30Eと位置P5の間での無線信号の信号強度の減衰度が低い場合に生じる。
【0077】
したがって、煩雑な処理を経て各基地局30に正確なフロア情報を事前登録したとしても、単に信号強度が最も高かった基地局30に基づいてフロア情報を推定する方法では、実際と異なるフロア情報が推定されてしまう場合が往々にして予測される。これに対し、本実施形態にかかる位置推定サーバ20によれば、測定位置と異なるフロアに設置されている基地局30の信号強度が最も高く、推定距離が最短であった場合であっても、高い精度で現在フロアを推定することが可能である。以下、このような機能を実現する位置推定サーバ20について詳細に説明する。
【0078】
位置推定サーバ20の検索部232は、通信部216によりフロア情報の推定要求として測定情報が受信されると、測定情報に含まれる基地局IDを抽出し、抽出した基地局IDと対応付けられている基地局情報を記憶部224から検索する。
【0079】
距離評価部234は、通信部216により受信された測定情報と、検索部232により検索された基地局情報に基づき、現在位置と基地局情報の登録位置との関係を評価する。距離評価部234による評価方法の具体例について図10を参照して説明する。
【0080】
図10は、距離評価部234による評価方法の具体例を示した説明図である。図10に示したように、通信部216により受信された測定情報に含まれる、現在位置と基地局30i(iは任意の大文字アルファベット)との間の推定距離(第2の距離)をd(30i)と表現する。また、検索部232により検索された基地局情報に含まれる、登録位置Pj(jは任意の数字)と基地局30iとの間の推定距離(第1の距離)をd(30i,Pj)と表現する。なお、測定情報または基地局情報に推定距離でなく信号強度情報が含まれている場合、距離評価部234が数式1に従って信号強度情報を推定距離に変換してもよい。距離評価部234は、上記表現を用いて表される以下の数式2の演算を行なう。
【0081】
【数2】
(数式2)
【0082】
また、上記数式2に示した演算により得られるD(30i,Pj)の具体例を図11に示す。
【0083】
図11は、距離評価部234による距離評価の具体例を示した説明図である。数式2および図11に示したように、距離評価部234は、同一の基地局に関するd(30i)とd(30i,Pj)を加算してD(30i,Pj)を算出する。例えば、距離評価部234は、d(30C)の値である30mと、d(30C,P1)の値である25mとを加算することにより、D(30C,P1)の値を55mと算出する。
【0084】
ここで、登録位置Pxおよび現在位置が同一のフロアであり、当該フロアに基地局30yが設置されていた場合、D(30y,Px)の値が相対的に小さくなる。これは、登録位置Pxおよび基地局30yの間の推定距離と、現在位置および基地局30yの間の推定距離が小さくなるためである。
【0085】
一方、登録位置Pvおよび現在位置が異なるフロアであり、登録位置Pvまたは現在位置のいずれかと同一のフロアに基地局30wが設置されていた場合、D(30w,Pv)はD(30y,Px)より大きくなることが予測される。これは、基地局30wが登録位置Pvまたは現在位置と異なるフロアに設置されているため、登録位置Pvおよび基地局30wの間の推定距離、または現在位置および基地局30wの間の推定距離が大きくなるためである。
【0086】
このような観点から、フロア推定部236は、距離評価部234により得られたD(30i,Pj)のうちで、最も値が小さいD(30imin,Pjmin)を選択する選択部としての機能を有する。そして、フロア推定部236は、Pjminにおいて登録されたフロア情報が、現在のフロア情報であると推定する。
【0087】
具体的には、フロア推定部236は、図11に示したD(30i,Pj)のうちで、最も値が小さいD(30D,P1)(29m)を選択する。そして、フロア推定部236は、現在のフロア情報が、位置P1において登録された「4階」であると推定する。ここで、現在位置は4階の位置P5であるため、本実施形態によれば、現在のフロア情報が高い制度で推定できることが確認される。
【0088】
ここで、図3を参照して位置推定サーバ20の構成の説明に戻ると、位置情報推定部238は、通信部216により無線端末40から測定情報が受信されると、無線端末40の緯度経度を示す位置情報を推定する。例えば、位置推定部238は、通信部216により受信された測定情報と、記憶部224に登録されている基地局情報とを用い、以下の数式3〜5にしたがって無線端末40の現在位置Oを推定する。
【0089】
【数3】
(数式3)
【数4】
(数式4)
【数5】
(数式5)
【0090】
数式3において、Aiは記憶部224に登録されているi番目の基地局の位置情報を示す。したがって、位置情報が経度、緯度で表される場合、数式3を経度、緯度ごとに適用する。また、Wiは、数式4に示したように、信号強度から推定される無線端末40および基地局30iの間の推定距離d(30i)に基づいて得られる重み係数である。また、Wは、数式5に示したように重み係数の総和である。
【0091】
数式3を参照すると、d(30i)が小さい基地局の位置情報が無線端末40の現在位置Oに大きく反映される。一方、d(30i)が大きい基地局の位置情報は、無線端末40の現在位置Oに対する影響力が小さい。位置推定部238は、このような数式3を用いることにより無線端末40の現在位置Oを合理的に推定することができる。
【0092】
なお、無線端末40の位置推定方法は上記数式3を用いる方法に限られず、例えば、無線端末40が最も高い信号強度で受信した信号の送信元の基地局の位置を、無線端末40の位置であると推定してもよい。また、無線端末40が所定の閾値以上の信号強度で受信した信号の送信元の基地局の中心となるような位置を、無線端末40の位置であると推定してもよい。
【0093】
上記のようにしてフロア推定部236により推定されたフロア情報、および位置情報推定部238により推定された位置情報は、通信部216から無線端末40へ通知される。そして、例えば無線端末40の表示画面生成部424が、位置推定サーバ20から通知されたフロア情報および位置情報に基づく表示画面を生成することにより、無線端末40のユーザにフロア情報および位置情報に応じた情報を提供することが可能となる。
【0094】
なお、基地局情報管理部220は、通信部216により受信された測定情報に位置情報が未知である基地局IDが含まれていた場合、該測定情報から位置情報推定部238により推定される現在位置Oを当該基地局IDの位置情報として登録してもよい。同様に、基地局情報管理部220は、通信部216により受信された登録要求情報に位置情報が未知である基地局IDが含まれていた場合、該登録要求情報から位置情報推定部238により推定される現在位置Oを当該基地局IDの位置情報として登録してもよい。かかる構成により、位置推定サーバ20に保持される基地局30の位置情報を自動的に充実させることができる。
【0095】
(変形例)
また、上記では、距離評価部234により得られたD(30i,Pj)の値に基づいてフロア推定部236がフロア推定を行なう例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、距離評価部234は、検索部232により検索された基地局情報のうちで、同一の基地局IDと対応付けられており、かつ、同一のフロア情報と対応付けられている推定距離と、測定情報に含まれる推定距離との加算値の平均を演算してもよい。そして、フロア推定部236は、距離評価部234により得られたD(30i,Pj)、または平均値のうちで値が最小であるものを抽出し、フロア情報を選択してもよい。
【0096】
例えば、図8においては、同一の基地局ID「30D」、および同一のフロア情報「4階」に対応付けられている推定距離が複数(10m、13m)存在する。ここで、測定情報から得られる現在位置と基地局30Dとの間の推定距離が19mであった場合、距離評価部234は、((10+19)+(13+19))/2という数式で表される30.5mという平均値を算出する。
【0097】
そして、フロア推定部236は、距離評価部234により得られたD(30i,Pj)、または平均値のうちで、上記平均値30.5mが最小であった場合、当該平均値の算出に用いられた推定距離(10m、13m)に対応するフロア情報「4階」を選択する。
【0098】
かかる構成により、記憶部224に誤った基地局情報が事故的に登録されている場合であっても、フロア推定に対する当該基地局情報による悪影響の度合いを抑制し、フロア推定の確実性を担保することができる。
【0099】
また、距離評価部234は、同一の基地局IDに対応付けられている同一のフロア情報の数が多いほど、当該フロア情報がフロア推定部236により優先的に選択されるよう処理する優先処理部としての機能を有してもよい。例えば、距離評価部234は、同一の基地局IDに対応付けられている同一のフロア情報の数が多いほど、当該フロア情報に対応付けられている推定距離より短い距離をd(30i,Pj)として扱ってもよい。
【0100】
〔3〕本実施形態にかかる位置推定システムの動作
以上、図3〜図11を参照して本実施形態にかかる位置推定システム1の機能を説明した。続いて、図12および図13を参照し、本実施形態にかかる位置推定システム1の動作を説明する。
【0101】
図12は、本実施形態にかかる位置推定システム1の動作の流れを示したシーケンス図である。図12に示したように、まず、無線端末40Aの測定部420は、建造物におけるあるフロアにおいて信号強度測定を行ない(S302)、ユーザが操作部432を操作してフロア情報の登録画面において現在のフロアを入力する(S304)。
【0102】
続いて、無線端末40Aの登録要求部436が、信号強度測定により得られた信号強度情報、または推定距離情報などの測定情報、およびユーザにより入力されたフロア情報を含む登録要求情報を位置推定サーバ20へ送信する(S306)。位置推定サーバ40の基地局情報管理部220は、通信部216により登録要求情報が受信されると、登録要求情報に含まれる測定情報およびフロア情報を対応付け、基地局情報として記憶部224へ登録する(S308)。
【0103】
同様に、無線端末40Bの測定部420は、建造物におけるあるフロアにおいて信号強度測定を行ない(S312)、ユーザが操作部432を操作してフロア情報の登録画面において現在のフロアを入力する(S314)。
【0104】
続いて、無線端末40Bの登録要求部436が、信号強度測定により得られた信号強度情報、または推定距離情報などの測定情報、およびユーザにより入力されたフロア情報を含む登録要求情報を位置推定サーバ20へ送信する(S316)。位置推定サーバ40の基地局情報管理部220は、通信部216により登録要求情報が受信されると、登録要求情報に含まれる測定情報およびフロア情報を対応付け、基地局情報として記憶部224へ登録する(S318)。こうして、位置推定サーバ20の記憶部224へフロア情報を含む基地局情報が蓄積されていく。
【0105】
その後、無線端末40Fの測定部420は、周囲の基地局30から送信された無線信号の信号強度測定を行ない(S322)、信号強度測定により得られた測定情報を情報取得部440が位置推定サーバ20へ送信する(S324)。位置推定サーバ20は、通信部216により測定情報が受信されると、該測定情報および記憶部224に登録されている基地局情報に基づいて無線端末40Fの位置情報、およびフロア情報を推定し(S326)、無線端末40Fへ送信する(S328)。
【0106】
図13は、位置推定サーバ20において実行される推定処理の詳細な流れを示したフローチャートである。図13に示したように、まず、通信部216により無線端末40から測定情報が受信されると(S342)、測定情報に含まれる基地局IDを含む基地局情報を検索部232が記憶部224から検索する(S344)。
【0107】
その後、距離評価部234が、例えば「〔2−3〕フロア情報の推定」において説明した方法により、検索部232により検索された基地局情報の登録位置と、現在の無線端末40との間の距離を演算により評価する(S346)。具体的には、距離評価部234は、数式2にしたがってD(30i,Pj)を算出する。そして、フロア推定部236が、距離評価部234による評価結果に基づいてフロア情報を選択する(S348)。
【0108】
さらに、位置情報推定部238は、通信部216により受信された測定情報、および記憶部224に登録されている基地局情報を用い、例えば数式3にしたがって無線端末40の緯度経度を示す位置情報を推定する。そして、通信部216から携帯端末40へ、フロア推定部236により推定されたフロア情報、および位置情報推定部238により推定された位置情報が送信される(S352)。
【0109】
〔4〕まとめ
以上説明したように、本実施形態によれば、無線端末40における信号強度測定により得られた測定情報と、位置推定サーバ20の記憶部224に登録されている基地局情報と、に基づいて位置推定サーバ20が無線端末40のフロアを適確に推定することができる。ここで、記憶部224に登録されている基地局情報は、事前に任意の無線端末40により信号強度測定が行なわれたフロアを示すフロア情報と、当該信号強度測定により得られた測定情報と、が対応付けられた情報である。したがって、本実施形態においては、事前に各基地局30を目視により確認して各基地局30の基地局情報を登録するという手間を排除しつつ、無線端末40のフロアを位置情報に加えて適確に推定することができる点で極めて効果的である。また、本実施形態においては、無線端末40にフロア推定のための特別なセンサを設ける必要が無い点でも有利である。
【0110】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0111】
例えば、上記実施形態では、記憶部224に、同一の基地局IDおよび同一のフロア情報が対応付けられている推定距離が複数存在しえる例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。他の実施形態として、基地局情報管理部220は、ある基地局IDおよびあるフロア情報には、最も短い推定距離のみが対応付けられるようにしてもよい。例えば、基地局情報管理部220は、図8に示した例において、基地局ID「30C」、フロア情報「4階」、および推定距離「28m」という情報を削除してもよい。または、基地局ID「30C」、フロア情報「4階」、および推定距離「25m」という情報が先に登録されていた場合、基地局情報管理部220は、基地局ID「30C」、フロア情報「4階」、および推定距離「28m」という情報を登録しなくてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、信号強度情報を数式1に従って推定距離に換算してフロア情報を推定する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。すなわち、本発明は、信号強度測定に基づいて得られる任意の次元のパラメータを利用して実現することができる。
【0113】
また、本明細書の位置推定システム1または位置推定サーバ20の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図またはフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、位置推定システム1または位置推定サーバ20の処理における各ステップは、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)を含んでもよい。
【0114】
また、位置推定サーバ20、および携帯端末40に内蔵されるCPU201、ROM202およびRAM203などのハードウェアを、上述した位置推定サーバ20、および携帯端末40の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、図3の機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本実施形態にかかる位置推定システムの構成例を示した説明図である。
【図2】位置推定サーバのハードウェア構成を示したブロック図である。
【図3】本実施形態にかかる位置推定システム1に含まれる位置推定サーバおよび無線端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図4】ある建造物の断面を模式的に示した説明図である。
【図5】位置P1における信号強度測定により得られる信号強度情報の一例を示した説明図である。
【図6】表示画面生成部により生成されるフロア情報の登録画面の一例を示した説明図である。
【図7A】位置P1において携帯端末から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【図7B】位置P2において携帯端末から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【図7C】位置P3において携帯端末から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【図7D】位置P4において携帯端末から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【図8】記憶部へ登録される基地局情報群の具体例を示した説明図である。
【図9】位置P5において情報取得部から送信される測定情報の具体例を示した説明図である。
【図10】距離評価部による評価方法の具体例を示した説明図である。
【図11】距離評価部による距離評価の具体例を示した説明図である。
【図12】本実施形態にかかる位置推定システムの動作の流れを示したシーケンス図である。
【図13】位置推定サーバにおいて実行される推定処理の詳細な流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
20 位置推定サーバ
40 携帯端末
216、416 通信部
220 基地局情報管理部
224 記憶部
232 検索部
234 距離評価部
236 フロア推定部
238 位置情報推定部
420 測定部
436 登録要求部
440 情報取得部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、情報処理方法、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、衛星から送信された無線信号を受信可能な受信装置が車や携帯電話などの移動体に搭載されている。GPS(Global Positioning System)測位によれば、かかる受信装置を搭載した移動体の位置を推定することが可能である。このような受信装置を用いた位置推定技術は、ナビゲーション、セキュリティーまたは娯楽などの多岐にわたる分野において重要な共通基盤技術である。
【0003】
また、無線LAN(Local Area Network)の基地局(アクセスポイント)と無線通信を行う無線端末が、無線基地局から送信される信号の信号強度を測定し、無線端末と通信可能な位置推定装置が、該信号強度に基づいて無線端末の位置を推定する位置推定方法も考えられる。例えば、無線LANの基地局は、無線LANの基地局の存在を周囲に報知するためのビーコンを一定周期(例えば、5回/秒)で送信している。無線端末は、かかるビーコンの信号強度を位置推定装置に送信し、位置推定装置は、該信号強度と事前に登録されている無線LANの基地局の位置とに基づいて無線端末の位置を推定できる。上記位置推定方法によれば、無線LANの基地局は屋内や地下にも設置されるため、GPS測位に基づく位置推定技術では困難であった屋内や地下での位置推定ができる。
【0004】
このような位置推定方法においては、無線端末を携帯するユーザが建造物内に存在する場合、無線端末の緯度経度だけでなく、現在建造物の何階にいるかという情報も重要である。例えば、特許文献1には、無線端末が複数の基地局から送信された無線信号の信号強度を測定し、信号強度の強い無線信号の送信元の基地局が存在するフロアに無線端末が存在すると位置推定サーバが推定する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特願2005−229617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の位置推定技術は、単に現在の信号強度に基づいて無線端末の存在するフロアを推定するため、位置推定サーバに各基地局の存在するフロアが正確に登録されている必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、各基地局の建造物における位置が正確に事前登録されていなくても無線端末の建造物における位置を推定することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、プログラム、情報処理方法、および情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部と、任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および前記区画情報を前記記憶部から検索する検索部と、前記受信部により受信された前記第2の測定情報、および前記検索部により検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部と、前記選択部により選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0009】
前記情報処理装置は、前記検索部により検索された第1の測定情報と、前記受信部により受信された第2の測定情報のうちで当該第1の測定情報と同一の基地局識別情報が対応付けられている第2の測定情報とに基づいて、当該第1の測定情報および当該第2の測定情報の取得位置の関係を評価する評価部をさらに備え、前記選択部は、前記評価部による評価結果に基づき、前記取得位置の関係が相対的に良好な第1の測定情報および第2の測定情報にかかる第1の測定情報と対応付けられている区画情報を選択してもよい。
【0010】
前記評価部は、前記検索部により検索された前記第1の測定情報ごとに、前記第1の測定情報に基づき、前記第1の測定情報の取得位置と前記第1の測定情報に対応する基地局との間の第1の距離を演算し、前記受信部により受信された第2の測定情報ごとに、前記第2の測定情報に基づき、前記第2の測定情報の取得位置と前記第2の測定情報に対応する基地局との間の第2の距離を演算し、同一の基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および第2の測定情報に基づいて算出された第1の距離および第2の距離を加算し、前記選択部は、前記評価部により得られる第2の距離との加算値が最小であった第1の距離に対応する区画情報を選択してもよい。
【0011】
前記評価部は、同一の基地局識別情報および同一の区画情報と対応付けられている第1の測定情報が前記検索部により複数検索された場合、前記同一の基地局識別情報および同一の区画情報と対応付けられている第1の測定情報および第2の測定情報に基づいて算出した第1の距離および第2の距離の加算値の平均値を演算し、前記選択部は、前記平均値または前記加算値が最小となった前記評価部による演算にかかる第1の測定情報に対応する区画情報を選択してもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、同一の基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報が前記検索部により複数検索された場合、当該複数の第1の測定情報のうちでより多くの第1の測定情報に対応付けられている区画情報が前記選択部により優先的に選択されるよう処理する優先処理部をさらに備えてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と、建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶媒体から、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および前記区画情報を検索する検索部と、前記検索部により検索された第1の測定情報、および前記受信部により受信された前記第2の測定情報に基づいて、前記検索部により検索された区画情報のいずれかを選択する選択部と、前記選択部により選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信ステップと、建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶媒体から、前記受信ステップにおいて受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および前記区画情報を検索する検索ステップと、前記検索ステップにおいて検索された第1の測定情報、および前記受信ステップにおいて受信された前記第2の測定情報に基づいて、前記検索ステップにおいて検索された区画情報のいずれかを選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信ステップと、を含む情報処理方法が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線端末および情報処理装置を備える情報処理システムが提供される。前記無線端末は、基地局から送信された無線信号を受信する無線信号受信部、前記無線信号受信部により受信された無線信号の信号強度測定を行なう測定部、および、前記測定部による無線信号の信号強度測定により得られる第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを送信する情報送信部、を備える。また、情報処理装置は、建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する任意の無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部、前記無線端末の前記情報送信部から、前記第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および前記区画情報を前記記憶部から検索する検索部、前記検索部により検索された第1の測定情報、および前記受信部により受信された前記第2の測定情報に基づいて、前記検索部により検索された区画情報のいずれかを選択する選択部、および、前記選択部により選択された区画情報を前記無線端末に送信する送信部を備える。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線端末および情報処理装置を備える情報処理システムが提供される。前記無線端末は、基地局から送信された無線信号を受信する無線信号受信部、前記無線信号受信部により受信された無線信号の信号強度測定を行なう測定部、建造物における一区画を示す区画情報がユーザにより入力される入力部、および、前記測定部による無線信号の信号強度測定により得られる第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報と、前記入力部に入力された区画情報と、を送信する情報送信部、を備える。また情報処理装置は、前記無線端末の前記情報送信部から、前記第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた前記基地局識別情報と、前記区画情報とを受信する受信部、記憶部、および、前記受信部により受信された第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた前記基地局識別情報と、前記区画情報とを対応付けて前記記憶部に記録する記録部を備える。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明にかかる情報処理装置、プログラム、情報処理方法、および情報処理システムによれば、各基地局の建造物における位置が正確に事前登録されていなくても無線端末の建造物における位置を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
〔1〕本実施形態にかかる位置推定システムの概要
〔2〕本実施形態にかかる位置推定システムの詳細な説明
〔2−1〕位置推定サーバのハードウェア構成
〔2−2〕フロア情報の登録
〔2−3〕フロア情報の推定
〔3〕本実施形態にかかる位置推定システムの動作
〔4〕まとめ
【0020】
〔1〕本実施形態にかかる位置推定システム
まず、図1および図2を参照し、本実施形態にかかる位置推定システム1について概略的に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態にかかる位置推定システム(情報処理システム)1の構成例を示した説明図である。図1に示したように、本実施形態にかかる位置推定システム1は、通信網12と、位置推定サーバ20と、基地局30A〜30Cと、無線端末40と、を備える。図1においては各基地局を区別するために、基地局30A、30Bのように符号の後に大文字のアルファベットを付しているが、各基地局を特に区別する必要が無い場合、単に基地局30と総称する。
【0022】
基地局30は、空間的に散在する通信装置間の通信を中継する。例えば、基地局30は、電波到達範囲内にある無線端末40と他の無線端末(図示せず。)との無線通信を中継したり、無線端末40と基地局30に有線で接続された通信装置との通信を中継したりすることができる。具体的には、基地局30は、WiFi(Wireless Fidelity)規格に基づく無線LAN(Local Area Network)の基地局であっても、GSM(Global System for Mobile Communications)の基地局であっても、Bluetoothの基地局であってもよい。
【0023】
基地局30は、無線通信を中継する際に送信する信号の他に、基地局30の存在を周囲に報知するためのビーコン信号を定期的に送信することができる。該ビーコン信号には、例えば基地局30に固有に付与される基地局識別情報としての基地局IDが含まれる。その結果、無線端末40は、受信したビーコン信号の基地局IDに基づいて、周囲に存在する基地局30の存在を確認することができる。
【0024】
無線端末40は、基地局30が制御する無線通信に基づいて各種データを送受信することができる。例えば、無線端末40は、基地局30を介してコンテンツ配信サーバ(図示せず。)からコンテンツデータを受信したり、他の無線端末(図示せず。)と電子メールを送受信することができる。なお、コンテンツデータとしては、音楽、講演およびラジオ番組などの音楽データや、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、写真、絵画および図表などの映像データや、ゲームおよびソフトフェアなどの任意のデータがあげられる。
【0025】
なお、図1においては無線端末40の一例として携帯電話を示しているが、無線端末40はかかる例に限定されない。例えば、無線端末40は、PC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistant)、家庭用ゲーム機器、携帯用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0026】
また、無線端末40は、基地局30から送信される無線信号を受信すると、該無線信号の信号強度を測定し、測定した信号強度を基地局30の基地局IDと対応付け、信号強度情報として位置推定サーバ20に通信網12を介して送信することができる。なお、通信網12は、通信網12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網12は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、IP−VPN(Internt Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0027】
位置推定サーバ20は、各基地局30の位置情報および基地局IDを含む基地局情報を記憶しており、無線端末40から受信した信号強度情報と、上記基地局情報とに基づいて、例えば三角測量の原理により無線端末40の位置を推定する機能を有する。位置推定サーバ20は、上記推定した位置を示す位置情報を無線端末40に通知し、無線端末40は自端末の位置情報を認識することができる。なお、位置推定サーバ20は、無線端末40に限らず、他の複数の無線端末からの位置推定要求に応じることができる。
【0028】
このように、本実施形態によれば、無線端末40が、周囲の基地局30から送信された無線信号の信号強度測定を行ない、測定結果を位置推定サーバ20に送信することにより、自端末の位置情報を取得することができる。
【0029】
(本実施形態に至る経緯)
ここで、位置情報としては、緯度、経度などの、高さ方向を含まない2次元位置を示す情報があげられる。したがって、ある建造物内に存在する無線端末40は、位置推定サーバ20から、該建造物の位置情報、または、位置推定サーバ20において位置情報と建造物名が対応付けて記憶されている場合には該建造物の建造物名を取得することができる。
【0030】
しかし、無線端末40が存在する建造物の建造物名だけでなく、無線端末40が建造物におけるどの区画に存在するかを無線端末40に把握させれば、無線端末40は例えばフロアに応じた案内をユーザに提供することが可能となる。したがって、無線端末40に建造物におけるフロアを示すフロア情報を把握させることは、実用上、重要である。
【0031】
フロア情報を取得するために、例えばGPSを利用する技術が考えられる。しかし、GPS衛星からの航法メッセージは屋内や地下などに到達し難いため、建造物内においてGPSを利用することは困難であった。また、仮にGPSにより受信機の高度(海抜)を測定できたとしても、
(1)各建造物の各フロアと高度の関係をデータベース化しておく必要、
(2)高度の推定誤差が各フロアの高さよりも十分に少ない(例えば1m程度)である必要、
があった。
【0032】
そこで、上記事情を一着眼点にして本実施形態にかかる位置推定システム1を創作するに至った。本実施形態にかかる位置推定システム1によれば、事前登録の手間を簡略化しつつ、無線端末40の建造物における位置を推定することが可能である。以下、本実施形態にかかる位置推定システム1について詳細に説明する。
【0033】
〔2〕本実施形態にかかる位置推定システムの詳細な説明
本実施形態は、フロア情報を含む基地局情報を位置推定サーバ20が登録する登録段階、
および、登録されている基地局情報に基づいて位置推定サーバ20が無線端末40のフロア情報を推定する推定段階、に大別される。そこで、以下では、本実施形態にかかる位置推定システム1に含まれる位置推定サーバ20のハードウェア構成を説明した後に、フロア情報の登録段階および推定段階の各々について具体的に説明する。
【0034】
〔2−1〕位置推定サーバのハードウェア構成
図2は、位置推定サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。位置推定サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信装置215とを備える。
【0035】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って位置推定サーバ20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
【0036】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0037】
入力装置208は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。位置推定サーバ20の管理者は、該入力装置208を操作することにより、位置推定サーバ20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0038】
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Display)装置およびランプなどの表示装置と、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0039】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる位置推定サーバ20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。また、このストレージ装置211には、後述の基地局情報が記録される。
【0040】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、位置推定サーバ20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。
【0041】
通信装置215は、例えば、通信網12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。この通信装置215は、無線端末40との間で、通信網12を介して、信号強度情報、フロア情報、位置情報などの各種情報を送受信する。
【0042】
なお、上記では図2を参照して位置推定サーバ20のハードウェア構成について説明したが、無線端末40のハードウェアは位置推定サーバ20と実質的に同一に構成することが可能であるため、説明を省略する。
【0043】
〔2−2〕フロア情報の登録
次に、図3〜図8を参照し、本実施形態にかかる位置推定システム1におけるフロア情報の登録について説明する。
【0044】
図3は、本実施形態にかかる位置推定システム1に含まれる位置推定サーバ20および無線端末40の構成を示した機能ブロック図である。図3に示したように、位置推定サーバ20は、通信部216と、基地局情報管理部220と、記憶部224と、検索部232、距離評価部234、フロア推定部236、および位置情報推定部238を含む推定部230と、を備える。また、無線端末40は、通信部416と、測定部420と、表示画面生成部424と、表示部428と、操作部432と、登録要求部436と、情報取得部440と、を備える。
【0045】
無線端末40の通信部416は、基地局30または位置推定サーバ20とのインターフェースであって、基地局30または位置推定サーバ20との間で各種情報を送受信する送信部および受信部としての機能を有する。例えば、通信部416は、基地局30から、基地局30の基地局IDを含む無線信号を受信する。また、通信部416は、位置推定サーバ20へ後述の登録要求情報を送信する。
【0046】
なお、通信部416は、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11a、b、gなどに規定される無線通信機能を有してもよい。また、通信部416は、IEEE802.11nに規定されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)通信機能を有してもよい。さらに、通信部416は、IEEE802.16に企画されるWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)に対応する通信機能を有してもよい。
【0047】
測定部420は、基地局30から通信部416により受信された無線信号の信号強度を測定する。例えば、測定部420は、図4に示す位置P1において信号強度測定を行なうことにより、図5に示す信号強度情報を取得する。
【0048】
図4は、ある建造物の断面を模式的に示した説明図である。より詳細には、図4には、6階建ての建造物の断面を示しており、建造物の各フロアには基地局30が設置されている。例えば、建造物の1階には基地局30Aが、2階には基地局30Bが、3階には基地局30Cが、4階には基地局30Dが、5階には基地局30Eおよび30Fが、6階には2階には基地局30Gが設置されている。
【0049】
図5は、位置P1における信号強度測定により得られる信号強度情報の一例を示した説明図である。なお、本明細書においては、説明の便宜上、基地局IDが、基地局30の符号と等しいものとする。例えば、本明細書においては、図4に示した基地局30Aの基地局IDは30Aであるものとする。
【0050】
図4に示したように、位置P1と同一の4階に基地局30Dが設置されており、位置P1の下階である3階に基地局30Cが設置されており、位置P1の上階である5階に基地局30Eおよび30Fが設置されており、6階に基地局30Gが設置されている。ここで、各基地局30から送信される無線信号は、距離が遠くなるにつれて信号強度が減衰する。また、各基地局30から送信される無線信号は、壁、床、または天井などの障害物が無線端末40との間に存在する場合、障害物を回析または一部通過などすることにより無線端末40へ到達するため、信号強度が劣化する。
【0051】
具体的には、図5に示したように、携帯端末40が存在する位置P1と同一の4階に設置されている基地局30Dから送信された無線信号の信号強度は、最も高い「−57dBm」である。これに対し、携帯端末40が存在する位置P1と床を介して設置されている基地局30Cから送信された無線信号の信号強度は、「−67dBm」であり、基地局30Dから送信された無線信号と比較して信号強度が低くなっている。同様に、位置P1と障害物を介して設置されている基地局30E、30F、および30Gも、基地局30Dから送信された無線信号と比較して位置P1における信号強度が低くなっている。
【0052】
ここで、図3を参照して無線端末40の構成の説明に戻ると、表示画面生成部424は、各種表示画面を生成し、生成した表示画面を表示部428に表示させる。表示画面生成部424は、例えば、フロア情報の登録画面や、情報取得部440により取得されたフロア情報に応じた案内画面などを生成する。表示部428は、図2を参照して説明した出力装置210に対応し、表示画面生成部424により生成された各種表示画面を表示する。以下、表示画面生成部424により生成され、表示部428に表示されるフロア情報の登録画面の具体例について図6を参照して説明する。
【0053】
図6は、表示画面生成部424により生成されるフロア情報の登録画面の一例を示した説明図である。かかるフロア情報の登録画面は、位置推定サーバ20に、無線端末40のフロア推定の際に利用される各基地局30のフロア情報を登録するための画面であって、例えばユーザ操作に基づいて生成される。
【0054】
具体的には、フロア情報の登録画面は、図6に示したように、フロア入力領域52、建造物名入力領域54、およびOKボタン56を含む。フロア入力領域52は、無線端末40が現在存在するフロア(階)を入力するための領域である。無線端末40のユーザは、操作部432を操作することによりフロア入力領域52にフロアを入力することができる。なお、図6においては、ユーザが位置P1においてフロア情報を登録する場合を仮定しているため、フロア名入力領域52に「4階」が入力されている例を示している。
【0055】
建造物名入力領域54は、無線端末40が現在存在する建造物の名称を入力するための領域である。無線端末40のユーザは、操作部432を操作することにより建造物名入力領域54に建造物の名称を入力することができる。なお、図6においては、建造物名入力領域54に「KKビル」が入力されている例を示している。OKボタン56は、フロア入力領域52および建造物名入力領域54への入力内容を確定するためのボタンである。
【0056】
なお、上記では、建造物の一区画を示す区画情報の一例としてフロア情報をあげて説明しているが、区画情報はかかる例に限定されない。例えば、区画情報は、同一フロアであっても壁などの障害物によって各々が仕切られている部屋の名称(301号室、会議室、応接室など)、利用主体(株式会社SSS、TT部、UUU店)などを示す情報であってもよい。さらに、上記では建造物の一例としてビルをあげて説明したが、建造物はかかる例に限定されない。例えば、建造物は、地下鉄の駅の構内、アトラクション施設(この場合、区画情報としてはお化け屋敷、カフェテリア、VVVエリアなどが想定される。)、新幹線(この場合、区画情報としては車両番号が想定される。)、船舶などの任意の人工物であってもよい。
【0057】
操作部432は、ユーザが無線端末40へ各種情報、または各種指示を入力するためのインターフェースである。ユーザは、上述したように、当該操作部432を操作することにより表示画面生成部424にフロア情報の登録画面を生成させ、フロア情報の登録画面においてフロア名、建造物名などのフロア情報を入力することができる。
【0058】
登録要求部436は、フロア情報の登録画面においてユーザによりOKボタン56が選択されると、フロア情報の登録画面に入力されているフロア名、建造物の名称、および信号強度情報を含む登録要求情報を位置推定サーバ20へ通信部416を介して送信する。かかる登録要求情報の具体例を図7Aに示す。
【0059】
図7Aは、位置P1において携帯端末40から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。図7Aに示したように、登録要求部436は、位置P1において測定部420により取得された信号強度情報(第1の測定情報)と、「KKビル」、「4階」というフロア情報を対応付けて登録要求情報として位置推定サーバ20へ送信する。なお、測定部420は、フロア情報の登録画面においてユーザによりOKボタン56が選択されたことをトリガに信号強度測定を行なってもよい。
【0060】
図7B、図7C、および図7Dは、図7Aと同様に登録要求情報の具体例を示している。より詳細には、図7Bは、位置P2において携帯端末40から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図であり、図7Cは、位置P3において携帯端末40から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。また、図7Dは、位置P4において携帯端末40から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【0061】
図7A〜図7Dを参照すると、同一の基地局30からの無線信号であっても、同一の階であるか、および各位置との距離に応じて信号強度が異なることが確認できる。なお、上記では登録要求情報に測定情報の一例として信号強度情報が含まれる例を説明したが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば登録要求情報は、信号強度情報に代えて、後述の方法により信号強度情報から推定される、信号強度情報の取得位置と各基地局30との間の距離情報を含んでもよい。
【0062】
ここで、図3の説明に戻ると、位置推定サーバ20の通信部216は、無線端末40とのインターフェースであって、無線端末40との間で各種情報を送受信する送信部および受信部としての機能を有する。例えば、通信部216は、無線端末40から図7群に示した登録要求情報を受信する。
【0063】
基地局情報管理部220は、記憶部224への新たな基地局情報の登録、記憶部224に登録されている基地局情報の更新、修正、削除、などの基地局情報の管理を行なう。ここで、基地局情報は、基地局30ごとに、基地局ID、基地局の設置されている位置を示す位置情報(緯度、経度)、信号強度、およびフロア情報を含む情報である。
【0064】
なお、基地局情報は、信号強度に代えて、信号強度から推定される、信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の仮想的な距離を含んでもよい。例えば、信号強度を以下の数式1に代入することにより、信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の仮想的な距離を推定することができる。
【0065】
【数1】
(数式1)
【0066】
数式1において、AおよびBは定数であり、rssiは信号強度を示す。例えば、A=32、B=25、信号強度=−80dBmであった場合、信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の仮想的な推定距離を83mと算出することができる。信号強度は障害物の有無にも大きく依存し、上記数式1により算出される推定距離が必ずしも現実の距離に一致しないものの、上記数式1により算出される推定距離は、信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の通信路の良好性を示す指標となる。
【0067】
例えば、上記数式1により算出される推定距離が小さいほど信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の通信路が良好であり、上記数式1により算出される推定距離が大きいほど信号強度の取得位置と基地局30の設置位置との間の通信路が劣悪であると評価できる。なお、以下では説明の都合上、基地局情報が信号強度に代えて上記数式1により算出される推定距離を含むものとして説明する。
【0068】
基地局情報管理部220は、無線端末40から通信部216により登録要求情報が受信されると、登録要求情報に基づき、記憶部224へ基地局情報の追加、更新などを行なう。例えば、基地局情報管理部220は、図7群に示した登録要求情報が1または2以上の無線端末40から受信された場合、図8に示す基地局情報群を記憶部224へ登録する。
【0069】
図8は、記憶部224へ登録される基地局情報群の具体例を示した説明図である。図8に示したように、各基地局情報は、基地局ID、推定距離、およびフロア情報が対応付けられている。例えば、基地局ID「30C」、推定距離「83m」、フロア情報「5階」という基地局情報は、図7Bに示した位置P2における登録要求情報に基づいて登録された基地局情報である。具体的には、当該基地局情報は、基地局30Cとの間の距離が83mと推定される位置において信号強度の測定が行なわれ、測定フロアが「5階」であったことを示している。
【0070】
ここで、図4に示したように、実際には基地局30Cは3階に設置されている。すなわち、本実施形態においては、基地局情報として必ずしも正確なフロア情報のみが登録されるわけでない。しかし、「〔2−3〕フロア情報の推定」において説明するように、本実施形態によれば、正確でないフロア情報が含まれていても、無線端末40の存在するフロアを適切に推定することが可能である。
【0071】
一方、各基地局30を目視により確認し、各基地局30の設置されている正確なフロア情報を位置推定サーバ20に登録し、登録したフロア情報に基づいて現在フロアを推定する方法も考えられる。しかし、各基地局30を目視により確認することは煩雑であり、また、各基地局30が視認不能な場所に設置されている場合もある。これに対し、本実施形態にかかる位置推定システム1においては、各基地局30を目視により確認することなく現在フロアの推定のために必要な情報を登録できる点で効果的である。
【0072】
なお、図8に一例として示した基地局情報を記憶する記憶部224は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスクや、CD−R(Compact Disc Recordable)/RW(ReWritable)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)/RW/+R/+RW/RAM(Ramdom Access Memory)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))―R/BD−REなどの光ディスクや、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。また、基地局情報は、各基地局30の緯度経度を示す位置情報を含むが、図8においては位置情報の記載を省略している。また、フロア情報は、フロア名だけでなく、KKビルなどの建造物の名称も含み得るが、以下では建造物の名称についての記載は省略する。
【0073】
〔2−3〕フロア情報の推定
続いて、図3、および図9〜図11を参照し、本実施形態にかかる位置推定システム1におけるフロア情報の推定について説明する。
【0074】
位置推定サーバ20は、無線端末40の現在フロアを推定するために、無線端末40における信号強度情報と、「〔2−2〕フロア情報の登録」において説明した記憶部224に登録されている基地局情報を利用する。
【0075】
このため、無線端末40の情報取得部440は、フロア情報の推定要求として、測定部420における信号強度測定により得られた測定情報(第2の測定情報)を通信部416を介して位置推定サーバ20に送信する。情報取得部440は、かかるフロア情報の測定情報の送信を周期的に行なっても、操作部432に対するユーザ操作に基づいて行なってもよい。以下では、無線端末40が図4に示した位置P5において情報取得部440が測定情報の送信を行なった場合の処理を具体例としてあげて説明する。ここで、測定情報としては、信号強度情報が考えられるが、図9に示すように、基地局IDと、信号強度情報から推定される測定位置と各基地局30との間の距離が対応付けられた情報であってもよい。
【0076】
図9は、図4に示した位置P5において情報取得部440から送信される測定情報の具体例を示した説明図である。図4に示したように、位置P5は4階であるため、同一の4階に設置されている基地局30Dとの推定距離が最短になるとも考えられる。しかし、図9に示したように、同一の4階に設置されている基地局30Dとの推定距離より、上階の5階に設置されている基地局30Eとの推定距離の方が短くなる場合も想定される。これは、位置P5と基地局30Eが階を隔てているものの、天井の材質、吹き抜けの有無などにより、基地局30Eと位置P5の間での無線信号の信号強度の減衰度が低い場合に生じる。
【0077】
したがって、煩雑な処理を経て各基地局30に正確なフロア情報を事前登録したとしても、単に信号強度が最も高かった基地局30に基づいてフロア情報を推定する方法では、実際と異なるフロア情報が推定されてしまう場合が往々にして予測される。これに対し、本実施形態にかかる位置推定サーバ20によれば、測定位置と異なるフロアに設置されている基地局30の信号強度が最も高く、推定距離が最短であった場合であっても、高い精度で現在フロアを推定することが可能である。以下、このような機能を実現する位置推定サーバ20について詳細に説明する。
【0078】
位置推定サーバ20の検索部232は、通信部216によりフロア情報の推定要求として測定情報が受信されると、測定情報に含まれる基地局IDを抽出し、抽出した基地局IDと対応付けられている基地局情報を記憶部224から検索する。
【0079】
距離評価部234は、通信部216により受信された測定情報と、検索部232により検索された基地局情報に基づき、現在位置と基地局情報の登録位置との関係を評価する。距離評価部234による評価方法の具体例について図10を参照して説明する。
【0080】
図10は、距離評価部234による評価方法の具体例を示した説明図である。図10に示したように、通信部216により受信された測定情報に含まれる、現在位置と基地局30i(iは任意の大文字アルファベット)との間の推定距離(第2の距離)をd(30i)と表現する。また、検索部232により検索された基地局情報に含まれる、登録位置Pj(jは任意の数字)と基地局30iとの間の推定距離(第1の距離)をd(30i,Pj)と表現する。なお、測定情報または基地局情報に推定距離でなく信号強度情報が含まれている場合、距離評価部234が数式1に従って信号強度情報を推定距離に変換してもよい。距離評価部234は、上記表現を用いて表される以下の数式2の演算を行なう。
【0081】
【数2】
(数式2)
【0082】
また、上記数式2に示した演算により得られるD(30i,Pj)の具体例を図11に示す。
【0083】
図11は、距離評価部234による距離評価の具体例を示した説明図である。数式2および図11に示したように、距離評価部234は、同一の基地局に関するd(30i)とd(30i,Pj)を加算してD(30i,Pj)を算出する。例えば、距離評価部234は、d(30C)の値である30mと、d(30C,P1)の値である25mとを加算することにより、D(30C,P1)の値を55mと算出する。
【0084】
ここで、登録位置Pxおよび現在位置が同一のフロアであり、当該フロアに基地局30yが設置されていた場合、D(30y,Px)の値が相対的に小さくなる。これは、登録位置Pxおよび基地局30yの間の推定距離と、現在位置および基地局30yの間の推定距離が小さくなるためである。
【0085】
一方、登録位置Pvおよび現在位置が異なるフロアであり、登録位置Pvまたは現在位置のいずれかと同一のフロアに基地局30wが設置されていた場合、D(30w,Pv)はD(30y,Px)より大きくなることが予測される。これは、基地局30wが登録位置Pvまたは現在位置と異なるフロアに設置されているため、登録位置Pvおよび基地局30wの間の推定距離、または現在位置および基地局30wの間の推定距離が大きくなるためである。
【0086】
このような観点から、フロア推定部236は、距離評価部234により得られたD(30i,Pj)のうちで、最も値が小さいD(30imin,Pjmin)を選択する選択部としての機能を有する。そして、フロア推定部236は、Pjminにおいて登録されたフロア情報が、現在のフロア情報であると推定する。
【0087】
具体的には、フロア推定部236は、図11に示したD(30i,Pj)のうちで、最も値が小さいD(30D,P1)(29m)を選択する。そして、フロア推定部236は、現在のフロア情報が、位置P1において登録された「4階」であると推定する。ここで、現在位置は4階の位置P5であるため、本実施形態によれば、現在のフロア情報が高い制度で推定できることが確認される。
【0088】
ここで、図3を参照して位置推定サーバ20の構成の説明に戻ると、位置情報推定部238は、通信部216により無線端末40から測定情報が受信されると、無線端末40の緯度経度を示す位置情報を推定する。例えば、位置推定部238は、通信部216により受信された測定情報と、記憶部224に登録されている基地局情報とを用い、以下の数式3〜5にしたがって無線端末40の現在位置Oを推定する。
【0089】
【数3】
(数式3)
【数4】
(数式4)
【数5】
(数式5)
【0090】
数式3において、Aiは記憶部224に登録されているi番目の基地局の位置情報を示す。したがって、位置情報が経度、緯度で表される場合、数式3を経度、緯度ごとに適用する。また、Wiは、数式4に示したように、信号強度から推定される無線端末40および基地局30iの間の推定距離d(30i)に基づいて得られる重み係数である。また、Wは、数式5に示したように重み係数の総和である。
【0091】
数式3を参照すると、d(30i)が小さい基地局の位置情報が無線端末40の現在位置Oに大きく反映される。一方、d(30i)が大きい基地局の位置情報は、無線端末40の現在位置Oに対する影響力が小さい。位置推定部238は、このような数式3を用いることにより無線端末40の現在位置Oを合理的に推定することができる。
【0092】
なお、無線端末40の位置推定方法は上記数式3を用いる方法に限られず、例えば、無線端末40が最も高い信号強度で受信した信号の送信元の基地局の位置を、無線端末40の位置であると推定してもよい。また、無線端末40が所定の閾値以上の信号強度で受信した信号の送信元の基地局の中心となるような位置を、無線端末40の位置であると推定してもよい。
【0093】
上記のようにしてフロア推定部236により推定されたフロア情報、および位置情報推定部238により推定された位置情報は、通信部216から無線端末40へ通知される。そして、例えば無線端末40の表示画面生成部424が、位置推定サーバ20から通知されたフロア情報および位置情報に基づく表示画面を生成することにより、無線端末40のユーザにフロア情報および位置情報に応じた情報を提供することが可能となる。
【0094】
なお、基地局情報管理部220は、通信部216により受信された測定情報に位置情報が未知である基地局IDが含まれていた場合、該測定情報から位置情報推定部238により推定される現在位置Oを当該基地局IDの位置情報として登録してもよい。同様に、基地局情報管理部220は、通信部216により受信された登録要求情報に位置情報が未知である基地局IDが含まれていた場合、該登録要求情報から位置情報推定部238により推定される現在位置Oを当該基地局IDの位置情報として登録してもよい。かかる構成により、位置推定サーバ20に保持される基地局30の位置情報を自動的に充実させることができる。
【0095】
(変形例)
また、上記では、距離評価部234により得られたD(30i,Pj)の値に基づいてフロア推定部236がフロア推定を行なう例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、距離評価部234は、検索部232により検索された基地局情報のうちで、同一の基地局IDと対応付けられており、かつ、同一のフロア情報と対応付けられている推定距離と、測定情報に含まれる推定距離との加算値の平均を演算してもよい。そして、フロア推定部236は、距離評価部234により得られたD(30i,Pj)、または平均値のうちで値が最小であるものを抽出し、フロア情報を選択してもよい。
【0096】
例えば、図8においては、同一の基地局ID「30D」、および同一のフロア情報「4階」に対応付けられている推定距離が複数(10m、13m)存在する。ここで、測定情報から得られる現在位置と基地局30Dとの間の推定距離が19mであった場合、距離評価部234は、((10+19)+(13+19))/2という数式で表される30.5mという平均値を算出する。
【0097】
そして、フロア推定部236は、距離評価部234により得られたD(30i,Pj)、または平均値のうちで、上記平均値30.5mが最小であった場合、当該平均値の算出に用いられた推定距離(10m、13m)に対応するフロア情報「4階」を選択する。
【0098】
かかる構成により、記憶部224に誤った基地局情報が事故的に登録されている場合であっても、フロア推定に対する当該基地局情報による悪影響の度合いを抑制し、フロア推定の確実性を担保することができる。
【0099】
また、距離評価部234は、同一の基地局IDに対応付けられている同一のフロア情報の数が多いほど、当該フロア情報がフロア推定部236により優先的に選択されるよう処理する優先処理部としての機能を有してもよい。例えば、距離評価部234は、同一の基地局IDに対応付けられている同一のフロア情報の数が多いほど、当該フロア情報に対応付けられている推定距離より短い距離をd(30i,Pj)として扱ってもよい。
【0100】
〔3〕本実施形態にかかる位置推定システムの動作
以上、図3〜図11を参照して本実施形態にかかる位置推定システム1の機能を説明した。続いて、図12および図13を参照し、本実施形態にかかる位置推定システム1の動作を説明する。
【0101】
図12は、本実施形態にかかる位置推定システム1の動作の流れを示したシーケンス図である。図12に示したように、まず、無線端末40Aの測定部420は、建造物におけるあるフロアにおいて信号強度測定を行ない(S302)、ユーザが操作部432を操作してフロア情報の登録画面において現在のフロアを入力する(S304)。
【0102】
続いて、無線端末40Aの登録要求部436が、信号強度測定により得られた信号強度情報、または推定距離情報などの測定情報、およびユーザにより入力されたフロア情報を含む登録要求情報を位置推定サーバ20へ送信する(S306)。位置推定サーバ40の基地局情報管理部220は、通信部216により登録要求情報が受信されると、登録要求情報に含まれる測定情報およびフロア情報を対応付け、基地局情報として記憶部224へ登録する(S308)。
【0103】
同様に、無線端末40Bの測定部420は、建造物におけるあるフロアにおいて信号強度測定を行ない(S312)、ユーザが操作部432を操作してフロア情報の登録画面において現在のフロアを入力する(S314)。
【0104】
続いて、無線端末40Bの登録要求部436が、信号強度測定により得られた信号強度情報、または推定距離情報などの測定情報、およびユーザにより入力されたフロア情報を含む登録要求情報を位置推定サーバ20へ送信する(S316)。位置推定サーバ40の基地局情報管理部220は、通信部216により登録要求情報が受信されると、登録要求情報に含まれる測定情報およびフロア情報を対応付け、基地局情報として記憶部224へ登録する(S318)。こうして、位置推定サーバ20の記憶部224へフロア情報を含む基地局情報が蓄積されていく。
【0105】
その後、無線端末40Fの測定部420は、周囲の基地局30から送信された無線信号の信号強度測定を行ない(S322)、信号強度測定により得られた測定情報を情報取得部440が位置推定サーバ20へ送信する(S324)。位置推定サーバ20は、通信部216により測定情報が受信されると、該測定情報および記憶部224に登録されている基地局情報に基づいて無線端末40Fの位置情報、およびフロア情報を推定し(S326)、無線端末40Fへ送信する(S328)。
【0106】
図13は、位置推定サーバ20において実行される推定処理の詳細な流れを示したフローチャートである。図13に示したように、まず、通信部216により無線端末40から測定情報が受信されると(S342)、測定情報に含まれる基地局IDを含む基地局情報を検索部232が記憶部224から検索する(S344)。
【0107】
その後、距離評価部234が、例えば「〔2−3〕フロア情報の推定」において説明した方法により、検索部232により検索された基地局情報の登録位置と、現在の無線端末40との間の距離を演算により評価する(S346)。具体的には、距離評価部234は、数式2にしたがってD(30i,Pj)を算出する。そして、フロア推定部236が、距離評価部234による評価結果に基づいてフロア情報を選択する(S348)。
【0108】
さらに、位置情報推定部238は、通信部216により受信された測定情報、および記憶部224に登録されている基地局情報を用い、例えば数式3にしたがって無線端末40の緯度経度を示す位置情報を推定する。そして、通信部216から携帯端末40へ、フロア推定部236により推定されたフロア情報、および位置情報推定部238により推定された位置情報が送信される(S352)。
【0109】
〔4〕まとめ
以上説明したように、本実施形態によれば、無線端末40における信号強度測定により得られた測定情報と、位置推定サーバ20の記憶部224に登録されている基地局情報と、に基づいて位置推定サーバ20が無線端末40のフロアを適確に推定することができる。ここで、記憶部224に登録されている基地局情報は、事前に任意の無線端末40により信号強度測定が行なわれたフロアを示すフロア情報と、当該信号強度測定により得られた測定情報と、が対応付けられた情報である。したがって、本実施形態においては、事前に各基地局30を目視により確認して各基地局30の基地局情報を登録するという手間を排除しつつ、無線端末40のフロアを位置情報に加えて適確に推定することができる点で極めて効果的である。また、本実施形態においては、無線端末40にフロア推定のための特別なセンサを設ける必要が無い点でも有利である。
【0110】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0111】
例えば、上記実施形態では、記憶部224に、同一の基地局IDおよび同一のフロア情報が対応付けられている推定距離が複数存在しえる例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。他の実施形態として、基地局情報管理部220は、ある基地局IDおよびあるフロア情報には、最も短い推定距離のみが対応付けられるようにしてもよい。例えば、基地局情報管理部220は、図8に示した例において、基地局ID「30C」、フロア情報「4階」、および推定距離「28m」という情報を削除してもよい。または、基地局ID「30C」、フロア情報「4階」、および推定距離「25m」という情報が先に登録されていた場合、基地局情報管理部220は、基地局ID「30C」、フロア情報「4階」、および推定距離「28m」という情報を登録しなくてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、信号強度情報を数式1に従って推定距離に換算してフロア情報を推定する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。すなわち、本発明は、信号強度測定に基づいて得られる任意の次元のパラメータを利用して実現することができる。
【0113】
また、本明細書の位置推定システム1または位置推定サーバ20の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図またはフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、位置推定システム1または位置推定サーバ20の処理における各ステップは、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)を含んでもよい。
【0114】
また、位置推定サーバ20、および携帯端末40に内蔵されるCPU201、ROM202およびRAM203などのハードウェアを、上述した位置推定サーバ20、および携帯端末40の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、図3の機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本実施形態にかかる位置推定システムの構成例を示した説明図である。
【図2】位置推定サーバのハードウェア構成を示したブロック図である。
【図3】本実施形態にかかる位置推定システム1に含まれる位置推定サーバおよび無線端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図4】ある建造物の断面を模式的に示した説明図である。
【図5】位置P1における信号強度測定により得られる信号強度情報の一例を示した説明図である。
【図6】表示画面生成部により生成されるフロア情報の登録画面の一例を示した説明図である。
【図7A】位置P1において携帯端末から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【図7B】位置P2において携帯端末から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【図7C】位置P3において携帯端末から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【図7D】位置P4において携帯端末から送信される登録要求情報の具体例を示した説明図である。
【図8】記憶部へ登録される基地局情報群の具体例を示した説明図である。
【図9】位置P5において情報取得部から送信される測定情報の具体例を示した説明図である。
【図10】距離評価部による評価方法の具体例を示した説明図である。
【図11】距離評価部による距離評価の具体例を示した説明図である。
【図12】本実施形態にかかる位置推定システムの動作の流れを示したシーケンス図である。
【図13】位置推定サーバにおいて実行される推定処理の詳細な流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
20 位置推定サーバ
40 携帯端末
216、416 通信部
220 基地局情報管理部
224 記憶部
232 検索部
234 距離評価部
236 フロア推定部
238 位置情報推定部
420 測定部
436 登録要求部
440 情報取得部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部と;
任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と;
前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報を前記記憶部から検索する検索部と;
前記受信部により受信された前記第2の測定情報、および前記検索部により検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部と;
前記選択部により選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信部と;
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記検索部により検索された第1の測定情報と、前記受信部により受信された第2の測定情報のうちで当該第1の測定情報と同一の基地局識別情報が対応付けられている第2の測定情報とに基づいて、当該第1の測定情報および当該第2の測定情報の取得位置の関係を評価する評価部をさらに備え、
前記選択部は、前記評価部による評価結果に基づき、前記取得位置の関係が相対的に良好な第1の測定情報および第2の測定情報にかかる第1の測定情報と対応付けられている区画情報を選択する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記評価部は、
前記検索部により検索された前記第1の測定情報ごとに、前記第1の測定情報に基づき、前記第1の測定情報の取得位置と前記第1の測定情報に対応する基地局との間の第1の距離を演算し、
前記受信部により受信された第2の測定情報ごとに、前記第2の測定情報に基づき、前記第2の測定情報の取得位置と前記第2の測定情報に対応する基地局との間の第2の距離を演算し、
同一の基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および第2の測定情報に基づいて算出された第1の距離および第2の距離を加算し、
前記選択部は、
前記評価部により得られる第2の距離との加算値が最小であった第1の距離に対応する区画情報を選択する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記評価部は、同一の基地局識別情報および同一の区画情報と対応付けられている第1の測定情報が前記検索部により複数検索された場合、前記同一の基地局識別情報および同一の区画情報と対応付けられている第1の測定情報および第2の測定情報に基づいて算出した第1の距離および第2の距離の加算値の平均値を演算し、
前記選択部は、前記平均値または前記加算値が最小となった前記評価部による演算にかかる第1の測定情報に対応する区画情報を選択する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
同一の基地局識別情報と対応付けられている数が多い区画情報ほど、前記選択部により優先的に選択されるよう処理する優先処理部をさらに備える、請求項1〜4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と;
建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶媒体から、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報を検索する検索部と;
前記受信部により受信された前記第2の測定情報、および前記検索部により検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部と;
前記選択部により選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信部と;
として機能させるための、プログラム。
【請求項7】
任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信ステップと;
建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶媒体から、前記受信ステップにおいて受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報を検索する検索ステップと;
前記受信ステップにおいて受信された前記第2の測定情報、および前記検索ステップにより検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択ステップと;
前記選択ステップにおいて選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信ステップと;
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
基地局から送信された無線信号を受信する無線信号受信部、
前記無線信号受信部により受信された無線信号の信号強度測定を行なう測定部、および、
前記測定部による無線信号の信号強度測定により得られる第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを送信する情報送信部、
を備える無線端末と;
建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する任意の無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部、
前記無線端末の前記情報送信部から、前記第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部、
前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報を前記記憶部から検索する検索部、
前記受信部により受信された前記第2の測定情報、および前記検索部により検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部、および、
前記選択部により選択された区画情報を前記無線端末に送信する送信部、
を備える情報処理装置と;
を備える情報処理システム。
【請求項9】
基地局から送信された無線信号を受信する無線信号受信部、
前記無線信号受信部により受信された無線信号の信号強度測定を行なう測定部、
建造物における一区画を示す区画情報がユーザにより入力される入力部、および、
前記測定部による無線信号の信号強度測定により得られる第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報と、前記入力部に入力された区画情報と、を送信する情報送信部、
を備える無線端末と;
前記無線端末の前記情報送信部から、前記第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた前記基地局識別情報と、前記区画情報とを受信する受信部、
記憶部、および、
前記受信部により受信された第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた前記基地局識別情報と、前記区画情報とを対応付けて前記記憶部に記録する記録部、
を備える情報処理装置と;
を備える情報処理システム。
【請求項1】
建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部と;
任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と;
前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報を前記記憶部から検索する検索部と;
前記受信部により受信された前記第2の測定情報、および前記検索部により検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部と;
前記選択部により選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信部と;
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記検索部により検索された第1の測定情報と、前記受信部により受信された第2の測定情報のうちで当該第1の測定情報と同一の基地局識別情報が対応付けられている第2の測定情報とに基づいて、当該第1の測定情報および当該第2の測定情報の取得位置の関係を評価する評価部をさらに備え、
前記選択部は、前記評価部による評価結果に基づき、前記取得位置の関係が相対的に良好な第1の測定情報および第2の測定情報にかかる第1の測定情報と対応付けられている区画情報を選択する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記評価部は、
前記検索部により検索された前記第1の測定情報ごとに、前記第1の測定情報に基づき、前記第1の測定情報の取得位置と前記第1の測定情報に対応する基地局との間の第1の距離を演算し、
前記受信部により受信された第2の測定情報ごとに、前記第2の測定情報に基づき、前記第2の測定情報の取得位置と前記第2の測定情報に対応する基地局との間の第2の距離を演算し、
同一の基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報および第2の測定情報に基づいて算出された第1の距離および第2の距離を加算し、
前記選択部は、
前記評価部により得られる第2の距離との加算値が最小であった第1の距離に対応する区画情報を選択する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記評価部は、同一の基地局識別情報および同一の区画情報と対応付けられている第1の測定情報が前記検索部により複数検索された場合、前記同一の基地局識別情報および同一の区画情報と対応付けられている第1の測定情報および第2の測定情報に基づいて算出した第1の距離および第2の距離の加算値の平均値を演算し、
前記選択部は、前記平均値または前記加算値が最小となった前記評価部による演算にかかる第1の測定情報に対応する区画情報を選択する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
同一の基地局識別情報と対応付けられている数が多い区画情報ほど、前記選択部により優先的に選択されるよう処理する優先処理部をさらに備える、請求項1〜4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部と;
建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶媒体から、前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報を検索する検索部と;
前記受信部により受信された前記第2の測定情報、および前記検索部により検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部と;
前記選択部により選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信部と;
として機能させるための、プログラム。
【請求項7】
任意の無線端末から、該無線端末における無線信号の信号強度測定により取得された第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信ステップと;
建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶媒体から、前記受信ステップにおいて受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報を検索する検索ステップと;
前記受信ステップにおいて受信された前記第2の測定情報、および前記検索ステップにより検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択ステップと;
前記選択ステップにおいて選択された区画情報を前記任意の無線端末に送信する送信ステップと;
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
基地局から送信された無線信号を受信する無線信号受信部、
前記無線信号受信部により受信された無線信号の信号強度測定を行なう測定部、および、
前記測定部による無線信号の信号強度測定により得られる第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを送信する情報送信部、
を備える無線端末と;
建造物における一区画を示す区画情報、前記一区画に存在する任意の無線端末における周囲の基地局から送信された無線信号の信号強度測定により取得される第1の測定情報、および前記基地局を識別する基地局識別情報、を対応付けて記憶している記憶部、
前記無線端末の前記情報送信部から、前記第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報とを受信する受信部、
前記受信部により受信された前記基地局識別情報と対応付けられている第1の測定情報を前記記憶部から検索する検索部、
前記受信部により受信された前記第2の測定情報、および前記検索部により検索された第1の測定情報に基づいて、当該第1の測定情報のいずれかに対応付けられている区画情報を選択する選択部、および、
前記選択部により選択された区画情報を前記無線端末に送信する送信部、
を備える情報処理装置と;
を備える情報処理システム。
【請求項9】
基地局から送信された無線信号を受信する無線信号受信部、
前記無線信号受信部により受信された無線信号の信号強度測定を行なう測定部、
建造物における一区画を示す区画情報がユーザにより入力される入力部、および、
前記測定部による無線信号の信号強度測定により得られる第2の測定情報と、前記無線信号の送信元の基地局を示し、前記第2の測定情報の各々と対応付けられた基地局識別情報と、前記入力部に入力された区画情報と、を送信する情報送信部、
を備える無線端末と;
前記無線端末の前記情報送信部から、前記第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた前記基地局識別情報と、前記区画情報とを受信する受信部、
記憶部、および、
前記受信部により受信された第2の測定情報と、第2の測定情報の各々と対応付けられた前記基地局識別情報と、前記区画情報とを対応付けて前記記憶部に記録する記録部、
を備える情報処理装置と;
を備える情報処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−260811(P2009−260811A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109225(P2008−109225)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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