説明

情報処理装置、画像形成装置及び省電力状態遷移方法

【解決課題】ネットワークを介した要求に対して確実に応答すると共に、省電力化を実現することができ、かつ、コストを抑えることができるようにする。
【解決手段】省電力状態へ遷移するタイミングであると(150)、コントローラ省電力状態レベル3に対応するコントローラ復帰予想時間Tc3を取得し(152)、全ての応答待機時間を取得し(154)、コントローラ復帰予想時間Tc3が最短の応答待機時間よりも短いと(156)、コントローラ部24をコントローラ省電力状態レベル3へ遷移させる(158)。一方、コントローラ復帰予想時間Tc3が最短の応答待機時間以上であると、コントローラ省電力状態レベル2に対応するコントローラ復帰予想時間Tc2を取得し(160)、コントローラ復帰予想時間Tc2が最短の応答待機時間よりも短いと(162)、コントローラ部24をコントローラ省電力状態レベル2へ遷移させる(164)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成装置、及び省電力状態遷移方法に係り、特に、ネットワークを介して外部の装置に接続され、複数の省電力状態に遷移可能な情報処理装置、画像形成装置、及び該情報処理装置の省電力状態遷移方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置などの情報処理装置のコントローラは、高性能を要求されるようになり、コントローラにおける制御に必要なメモリやハードディスクなどのメモリ資源の増加やOS制御の複雑化により、コントローラの省電力状態からの復帰時間が長期化している。
【0003】
また、情報処理装置はネットワーク化されており、外部の装置から情報処理装置の状態の取得要求などの要求が受信された場合には、要求に対する応答の即応性が情報処理装置に必要とされる。
【0004】
省電力状態に遷移していても、ネットワークを介した要求に対し応答するために、メインチップとは別に、チップマイコンを設け、メインチップが省電力状態であっても、チップマイコンがネットワークを介した要求に対して応答する画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−34488
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、メインのコントローラとは別に、制御を行うハードウェアを用意する必要があるため、装置の大幅なコストアップとなってしまう、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、ネットワークを介した要求に対して確実に応答すると共に、省電力化を実現することができ、かつ、コストを抑えることができる情報処理装置、画像形成装置、及び省電力状態遷移方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明に係る情報処理装置は、消費電力が異なる複数の省電力状態の各々に遷移可能な情報処理装置であって、ネットワークを介して外部の装置と通信を行うプログラムが複数記憶されたプログラム記憶手段と、実行できるように起動されている少なくとも一つの前記プログラムによる通信において、前記外部の装置が該プログラムの要求に対する応答を待機する応答待機時間を取得する取得手段と、何れかの省電力状態に遷移するときに、前記取得手段によって取得された前記応答待機時間と前記複数の省電力状態の各々に対応する復帰時間とに基づいて、最短の応答待機時間より短い復帰時間に対応する省電力状態を前記複数の省電力状態から選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された省電力状態に遷移する遷移手段とを含んで構成している。
【0008】
また、本発明に係る省電力状態遷移方法は、ネットワークを介して外部の装置との通信を行うプログラムが複数記憶され、消費電力が異なる複数の省電力状態の各々に遷移可能な情報処理装置の省電力状態遷移方法であって、実行できるように起動されている少なくとも一つの前記プログラムによる通信において、前記外部の装置が該プログラムの要求に対する応答を待機する応答待機時間を取得し、何れかの省電力状態に遷移するときに、前記取得された前記応答待機時間と前記複数の省電力状態の各々に対応する復帰時間とに基づいて、最短の応答待機時間より短い復帰時間に対応する省電力状態を前記複数の省電力状態から選択し、前記選択された省電力状態に遷移することを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、記憶されている複数のプログラムの少なくとも一つが起動されて実行できるようになることにより、ネットワークを介して外部の装置との通信が可能となる。そして、実行できるように起動されている少なくとも一つのプログラムによる通信の応答待機時間を取得し、何れかの省電力状態に遷移するときに、取得された応答待機時間と複数の省電力状態の各々に対応する復帰時間とに基づいて、最短の応答待機時間より短い復帰時間に対応する省電力状態を複数の省電力状態から選択し、選択された省電力状態に遷移する。
【0010】
従って、実行できるように起動されているプログラムによる通信の応答待機時間を取得し、最短の応答待機時間より短い復帰時間に対応する省電力状態に遷移することにより、ネットワークを介した要求に対して確実に応答すると共に、省電力化を実現することができ、かつ、特別なハードウェアを設ける必要がないため、コストを抑えることができる。
【0011】
また、本発明に係る選択手段は、最短の応答待機時間より短く、かつ、最短の応答待機時間に最も近い復帰時間に対応する省電力状態を複数の省電力状態から選択することができる。これにより、選択可能な省電力状態のうち復帰時間が最長の省電力状態を選択するため、更に省電力化を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る情報処理装置は、実行できるように起動されている少なくとも一つのプログラムと、プログラムよる通信における応答待機時間とを対応させて登録する登録手段を更に含み、取得手段は、登録手段に登録された応答待機時間を取得することができる。
【0013】
また、本発明に係る情報処理装置は、中央処理装置、揮発性メモリ、及び不揮発性メモリを備え、複数の省電力状態が、中央処理装置に対する電源供給を停止する第1の省電力状態と、中央処理装置及び不揮発性メモリに対する電源供給を停止する第2の省電力状態と、中央処理装置、揮発性メモリ、及び不揮発性メモリを含む情報処理装置全体に対する電源供給を停止する第3の省電力状態を含むようにすることができる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成エンジン部と、上記の何れか1項記載の情報処理装置であって、前記画像形成エンジン部を制御するように構成された情報処理装置とを含んで構成されている。
【0015】
本発明によれば、情報処理装置のプログラム記憶手段に記憶されている複数のプログラムの少なくとも一つが起動されて実行できるようになることにより、ネットワークを介して外部の装置との通信が可能となる。そして、起動されているプログラムによる通信における応答待機時間を取得し、何れかの省電力状態に遷移するときに、取得された応答待機時間と複数の省電力状態の各々に対応する復帰時間とに基づいて、最短の応答待機時間より短い復帰時間に対応する省電力状態を複数の省電力状態から選択し、選択された省電力状態に情報処理装置が遷移する。
【0016】
また、外部の装置から画像形成指示が画像形成装置に入力されると、情報処理装置が画像形成エンジン部を制御して、画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する。
【0017】
従って、実行できるように起動されているプログラムによる通信の応答待機時間を取得し、最短の応答待機時間より短い復帰時間に対応する省電力状態に遷移することにより、ネットワークを介した要求に対して確実に応答すると共に、省電力化を実現することができ、かつ、特別なハードウェアを設ける必要がないため、コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の情報処理装置、画像形成装置、及び省電力状態遷移方法によれば、実行できるように起動されているプログラムによる通信の応答待機時間を取得し、最短の応答待機時間より短い復帰時間に対応する省電力状態に遷移することにより、ネットワークを介した要求に対して確実に応答すると共に、省電力化を実現することができ、かつ、特別なハードウェアを設ける必要がないため、コストを抑えることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、画像形成装置に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0020】
図1に示すように、画像形成システム10は、画像データに基づいて記録用紙に画像を形成する本発明の実施の形態に係る画像形成装置11と、画像形成装置11に対して画像形成処理を指示するクライアントPC13と、画像形成装置11及びクライアントPC13を接続するためのLANなどのネットワーク15とから構成されている。
【0021】
画像形成装置11には、文書を読みとって画像データを生成する画像読取部12と、画像データに基づいて感光体に静電潜像を記録し、静電潜像をモノクロトナーまたはカラートナーを用いて現像し、現像した画像を記録用紙に転写して出力するプリンタエンジン部14と、画像形成装置11の各種処理を指示するための操作ボタンや操作パネルからなる操作パネル部16と、主電源18と、入力される電源制御信号に応じて、主電源18から画像形成装置11の各部へ供給する電源の供給開始や供給停止を制御する電源制御部20と、ネットワーク15を介して通信を行うためのネットワークインタフェース40とが設けられている。
【0022】
また、画像形成装置11には、プリンタエンジン部14を含む画像形成装置11内の各部を制御するためのコントローラ部24が設けられている。コントローラ部24は、CPU26、後述する応答時間データベースを記憶する揮発性のシステムメモリとしてのDRAM(Dynamic Random Access Memory)28、各種プログラムやCPU26に対する基本設定のための基本設定データなどを記憶するROM30、OSと、ネットワーク15を介して通信を行うための複数のアプリケーションプログラムと、後述する省電力遷移処理ルーチンを含む各種プログラムと、画像データとを記憶すると共に、DRAM28に記憶されているデータを退避するためのハードディスク32、及びハードディスク32を制御するためのハードディスクコントローラ34を備えている。また、CPU26、DRAM28、ROM30、及びハードディスクコントローラ34を相互に接続するためのバス36が設けられている。
【0023】
また、コントローラ部24には、画像読取部12、プリンタエンジン部14、操作パネル部16、電源制御部20、及びネットワークインタフェース40が接続されている特定用途向け集積回路(ASIC)38が設けられており、ASIC38は、バス36に接続されている。
【0024】
画像形成装置11は、消費電力が異なる複数レベルの省電力状態へ遷移可能となっており、コントローラ部24は、例えば、消費電力が異なる3つのレベルのコントローラ省電力状態へ遷移可能となっており、コントローラ省電力状態レベル1の消費電力が一番大きくなっており、コントローラ省電力レベル3の消費電力が一番小さくなっている。
【0025】
コントローラ部24は、コントローラ省電力状態レベル1において、CPU26への電源供給が停止され、コントローラ省電力状態レベル2において、CPU26に加えてハードディスク32及びハードディスクコントローラ34への電源供給が停止され、コントローラ省電力状態レベル3において、CPU26、ハードディスク32、ハードディスクコントローラ34、及びDRAM28を含むコントローラ部24全体への電源供給が停止されるようになっている。
【0026】
コントローラ省電力状態レベル3に遷移する場合には、DRAM28に存在する使用中のメモリデータをハードディスク32に退避し、コントローラ省電力状態から復帰する時にハードディスク32に退避を行ったデータはDRAM28に復旧されて、OSやアプリケーションプログラムによる処理動作が再び可能となるようになっている。
【0027】
なお、プリンタエンジン部14は、例えば、プリンタエンジン部14に設けられた定着ヒータ(図示省略)への供給電力を制限することにより、1つ以上のエンジン省電力状態へ遷移可能となっている。
【0028】
また、ハードディスク32に記憶されている複数のアプリケーションプログラムは、例えば、WebDAVサービス、SNMPサービス、SOAPサービス、及びWWWサービスの各々によって通信を行うプログラムであり、アプリケーションプログラムがDRAM28に読み込まれて、起動されて実行できるようになることにより、ネットワーク15を介して接続されたクライアントPC13との通信が可能な状態になる。
【0029】
なお、画像形成装置11は、従来公知のプリンタやスキャナなどの画像形成装置の一般的な構成や機能を備えていればよく、画像形成装置11の他の構成や一般的な機能について、詳細な説明を省略する。
【0030】
次に、第1の実施の形態の作用について説明する。
【0031】
まず、クライアントPC13の電源がオンされて、クライアントPC13と画像形成装置11との通信確立要求がクライアントPC13から画像形成装置11に送信されると、画像形成装置11において、クライアントPC13との通信に該当するアプリケーションプログラムをハードディスク32からDRAM28の所定の割り当て領域に読み込んで、アプリケーションプログラムを起動すると、アプリケーションプログラムに含まれている図2に示すアプリケーション起動時処理ルーチンが実行される。
【0032】
ステップ100において、起動されたアプリケーションプログラムの名前と、このアプリケーションプログラムによる通信において、クライアントPC13などの外部の装置がアプリケーションプログラムの要求に対する応答を待機する応答待機時間とをDRAM28に記憶されている応答時間データベースに登録する。応答時間データベースは、図3に示すように、データベースIDと、プログラム名と、応答待機時間との項目から構成されており、応答待機時間は、アプリケーションプログラムに対応して予め設定されている。なお、アプリケーションプログラムによる通信の設定や通信状態によって、応答待機時間が変動する場合には、予め設定されている応答待機時間を、通信設定や通信状態によって補正して、応答時間データベースに登録するようにすればよい。
【0033】
そして、ステップ102では、アプリケーションプログラムの応答待機時間が登録された応答時間データベースにおけるデータベースIDをDRAM28の割り当て領域内に保存し、ステップ104において、起動されたアプリケーションプログラム自身の通常処理を行い、アプリケーションプログラムを実行することにより、クライアントPC13と通信を行う。
【0034】
次のステップ106では、アプリケーションプログラムを終了するか否かを判定し、終了しない場合には、ステップ104へ戻るが、一方、通信相手のクライアントPC13の電源がオフされ、クライアントPC13からアプリケーションプログラムによる通信の終了が指示されると、ステップ108において、自身のアプリケーションプログラムに対応するデータベースIDを読み出し、ステップ110において、読み出されたデータベースIDに該当するデータを応答時間データベースから削除して、アプリケーション起動時処理ルーチンを終了する。そして、DRAM28から終了した通信に該当するアプリケーションプログラムが削除され、実行できない状態となる。
【0035】
次に、CPU26で実行される省電力遷移処理ルーチンについて図4を用いて説明する。
【0036】
まず、ステップ150において、省電力状態へ遷移するタイミングであるか否かを判定し、操作パネル部16に設けられた省電力ボタン(図示省略)が押下されたり、操作パネル部16が操作されない状態が所定時間以上続いた場合には、ステップ152へ進み、コントローラ省電力状態レベル3に対応して予め定められたコントローラ復帰予想時間Tc3を取得する。例えば、コントローラ部24の複数レベルのコントローラ省電力状態の各々とコントローラ復帰予想時間とを対応させて記憶した予想時間テーブルを用意しておき、予想時間テーブルからコントローラ復帰予想時間Tc3を取得する。
【0037】
コントローラ省電力状態レベル1からCPU26への電源供給が開始され、CPU26に対する復帰処理が行われて、通常稼動状態に復帰するまでのコントローラ復帰時間を予め求めておき、求めた値がコントローラ復帰予想時間Tc1として予想時間テーブルに格納されている。また同様に、コントローラ省電力状態レベル2からCPU26、ハードディスク32、及びハードディスクコントローラ34への電源供給が開始され、CPU26に対して復帰処理が行われた後、ハードディスク32及びハードディスクコントローラ34に対して復帰処理が行われて、通常稼動状態に復帰するまでのコントローラ復帰予想時間を予め求めておき、求めた値がコントローラ復帰予想時間Tc2として予想時間テーブルに格納されている。また、コントローラ省電力状態レベル3からコントローラ部24全体への電源供給が開始され、CPU26に対して復帰処理が行われ、ハードディスク32及びハードディスクコントローラ34に対して復帰処理が行われた後に、ハードディスク32に退避を行ったデータがDRAM28に復旧されて、OSやアプリケーションによる処理動作が再び可能となって、通常可能状態に復帰するまでのコントローラ復帰予想時間を予め求めておき、求めた値がコントローラ復帰予想時間Tc3として予想時間テーブルに格納されている。
【0038】
コントローラ復帰予想時間Tc1は、例えば、3秒であり、コントローラ復帰予想時間Tc2は15秒、コントローラ復帰予想時間Tc3は45秒となっており、それぞれ固定値となっている。
【0039】
なお、コントローラ復帰予想時間を固定値とするのではなく、例えば、ハードウェア構成やOSが使用しているメモリ量などの情報に応じて、コントローラ復帰予想時間を算出するようにしてもよい。
【0040】
そして、ステップ154では、応答時間データベースから登録されている全ての応答待機時間を取得し、ステップ156において、ステップ152で取得したコントローラ復帰予想時間Tc3と、ステップ154で取得した全ての応答待機時間とを比較して、コントローラ復帰予想時間Tc3が最短の応答待機時間よりも短いか否かを判定し、コントローラ復帰予想時間Tc3が全ての応答待機時間よりも短い場合には、コントローラ部24が遷移するコントローラ省電力状態としてコントローラ省電力状態レベル3を選択し、ステップ158において、DRAM28からハードディスク32へデータ退避を行った後、コントローラ部24全体への電源供給を停止するように電源制御信号を電源制御部20へ出力し、コントローラ部24をコントローラ省電力状態レベル3へ遷移させて、ステップ150へ戻る。
【0041】
一方、ステップ156において、コントローラ復帰予想時間Tc3が最短の応答待機時間以上であると、ステップ160において、コントローラ省電力状態レベル2に対応して予め定められたコントローラ復帰予想時間Tc2を取得する。次のステップ162では、ステップ160で取得したコントローラ復帰予想時間Tc2と、ステップ154で取得した全ての応答待機時間とを比較して、コントローラ復帰予想時間Tc2が最短の応答待機時間よりも短いか否かを判定し、コントローラ復帰予想時間Tc2が全ての応答待機時間よりも短い場合には、コントローラ部24が遷移するコントローラ省電力状態としてコントローラ省電力状態レベル2を選択し、ステップ164において、コントローラ部のCPU26、ハードディスク32、及びハードディスクコントローラ34への電源供給を停止するように電源制御信号を電源制御部20へ出力し、コントローラ部24をコントローラ省電力状態レベル2へ遷移させて、ステップ150へ戻る。
【0042】
一方、ステップ162において、コントローラ復帰予想時間Tc2が最短の応答待機時間以上であると、ステップ166において、コントローラ省電力状態レベル1に対応して予め定められたコントローラ復帰予想時間Tc1を取得する。次のステップ168では、ステップ166で取得したコントローラ復帰予想時間Tc1と、ステップ154で取得した全ての応答待機時間とを比較して、コントローラ復帰予想時間Tc1が最短の応答待機時間よりも短いか否かを判定し、コントローラ復帰予想時間Tc1が最短の応答待機時間以上であると、ステップ150へ戻るが、一方、コントローラ復帰予想時間Tc1が全ての応答待機時間よりも短い場合には、コントローラ部24が遷移するコントローラ省電力状態としてコントローラ省電力状態レベル1を選択し、ステップ170において、コントローラ部24のCPU26への電源供給を停止するように電源制御信号を電源制御部20へ出力し、コントローラ部24をコントローラ省電力状態レベル1へ遷移させて、ステップ150へ戻る。
【0043】
なお、プリンタエンジン部14をエンジン省電力状態へ遷移させる場合には、コントローラ部24を省電力状態に遷移させる前に、エンジン省電力状態へ遷移させる。
【0044】
そして、クライアントPC13から、画像形成装置11の状態の取得要求などの要求が画像形成装置11に送信されると、画像形成装置11のコントローラ部24は、コントローラ省電力状態からの復帰処理を開始し、遷移していたコントローラ省電力状態に対応するコントローラ復帰予想時間は、起動されている少なくとも一つのアプリケーションプログラムによる通信の応答待機時間のうち最短の応答待機時間より短いため、アプリケーションプログラムによる通信の応答の応答待機時間の間に、通常稼動状態に復帰し、状態の取得要求に対する応答として、画像形成装置11の状態を示すメッセージをクライアントPC13に送信する。そして、クライアントPC13では、画像形成装置11の状態を取得する。
【0045】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る画像形成装置によれば、実行できるように起動されているアプリケーションプログラムによる通信における応答待機時間を取得し、最短の応答待機時間より短いコントローラ復帰予想時間に対応するコントローラ省電力状態にコントローラ部が遷移することにより、ネットワークを介した要求に対してコントローラ部が確実に応答すると共に、省電力化を実現することができ、かつ、特別なハードウェアを設ける必要がないため、コストを抑えることができる。
【0046】
応答待機時間のうち最短の応答待機時間より短く、かつ、最短の応答待機時間に最も近いコントローラ復帰予想時間に対応するコントローラ省電力状態へコントローラ部を遷移させることにより、コントローラ復帰予想時間のより長いコントローラ省電力状態を選択するため、更に省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システム及び画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置のアプリケーション起動時処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る応答時間データベースの例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の省電力遷移処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10 画像形成システム
11 画像形成装置
13 クライアントPC
14 プリンタエンジン部
15 ネットワーク
16 操作パネル部
18 主電源
20 電源制御部
24 コントローラ部
26 CPU
28 DRAM
30 ROM
32 ハードディスク
34 ハードディスクコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力が異なる複数の省電力状態の各々に遷移可能な情報処理装置であって、
ネットワークを介して外部の装置と通信を行うプログラムが複数記憶されたプログラム記憶手段と、
実行できるように起動されている少なくとも一つの前記プログラムによる通信において、前記外部の装置が該プログラムの要求に対する応答を待機する応答待機時間を取得する取得手段と、
何れかの省電力状態に遷移するときに、前記取得手段によって取得された前記応答待機時間と前記複数の省電力状態の各々に対応する復帰時間とに基づいて、最短の応答待機時間より短い復帰時間に対応する省電力状態を前記複数の省電力状態から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された省電力状態に遷移する遷移手段と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記最短の応答待機時間より短く、かつ、前記最短の応答待機時間に最も近い復帰時間に対応する省電力状態を前記複数の省電力状態から選択する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記実行できるように起動されている少なくとも一つの前記プログラムと、該プログラムによる通信における前記応答待機時間とを対応させて登録する登録手段を更に含み、
前記取得手段は、前記登録手段に登録された応答待機時間を取得する請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、中央処理装置、揮発性メモリ、及び不揮発性メモリを備え、
前記複数の省電力状態は、前記中央処理装置に対する電源供給を停止する第1の省電力状態と、前記中央処理装置及び前記不揮発性メモリに対する電源供給を停止する第2の省電力状態と、前記中央処理装置、前記揮発性メモリ、及び前記不揮発性メモリを含む前記情報処理装置全体に対する電源供給を停止する第3の省電力状態とを含む請求項1〜請求項3の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成エンジン部と、
請求項1〜請求項4の何れか1項記載の情報処理装置であって、前記画像形成エンジン部を制御するように構成された情報処理装置と、
を含む画像形成装置。
【請求項6】
ネットワークを介して外部の装置との通信を行うプログラムが複数記憶され、消費電力が異なる複数の省電力状態の各々に遷移可能な情報処理装置の省電力状態遷移方法であって、
実行できるように起動されている少なくとも一つの前記プログラムによる通信において、前記外部の装置が該プログラムの要求に対する応答を待機する応答待機時間を取得し、
何れかの省電力状態に遷移するときに、前記取得された前記応答待機時間と前記複数の省電力状態の各々に対応する復帰時間とに基づいて、最短の応答待機時間より短い復帰時間に対応する省電力状態を前記複数の省電力状態から選択し、
前記選択された省電力状態に遷移することを特徴とする省電力状態遷移方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−102574(P2007−102574A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292787(P2005−292787)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】