説明

情報処理装置、認証データ選択方法およびプログラム

【課題】画像撮像時における撮像条件の変化の影響を回避し、認証処理の効率化を図りながら本人拒否率を低下させることが可能な、情報処理装置、認証データ選択方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置に、被認証者の生体の一部を撮像して生成された複数の撮像データに基づいて、被認証者の身体的な特徴を現した生体パターンに対応する画像である生体画像を複数抽出する生体画像抽出部と、複数の生体画像間の類似度に基づいて、生体認証処理に利用される生体画像を複数の生体画像の中から選択する生体画像選択部と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、認証データ選択方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証処理では、指紋、静脈パターン、顔、虹彩などといった、生物の特徴的な部位が用いられる。生体認証処理では、ほとんどの場合、上述のような生体部位の画像を撮影し、その画像に関してアルゴリズムによって特殊な処理を行い、差分や相関などによって予め登録されている画像との比較を行う。ここで、撮影された画像は、ほとんどの場合2次元の画像であり、生体部位の位置や影の変化、環境照明条件の変化などによって、本人であるのも関わらず、入力画像が登録画像と比べて大幅に異なる場合が生じうる。
【0003】
このような入力画像の変化は、本人拒否率(False Rejection Rate:FRR)と呼ばれる生体認証システムの指標の一つに悪影響を及ぼすため、入力画像の変化による悪影響を回避可能な方法が希求されている。
【0004】
例えば、以下に示す特許文献1では、指紋を用いた生体認証処理において、認証に用いられる照合データに加えて、入力された画像のグループ分けに利用するための基準データを予め登録しておく方法が開示されている。この特許文献1に記載の方法では、入力された画像は、基準データに基づいてグループ分けされた後、各グループに対応する照合データを用いて生体認証処理が行われるため、指の置き方の違いによる入力誤差の影響を回避することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−297549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の特許文献1に記載の方法では、システムに入力された入力画像全てに対して、グループ分けおよび登録情報との照合がなされるため、認証処理に要する時間がかかってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、画像撮像時における撮像条件の変化の影響を回避し、認証処理の効率化を図りながら本人拒否率を低下させることが可能な、情報処理装置、認証データ選択方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、被認証者の生体の一部を撮像して生成された複数の撮像データに基づいて、被認証者の身体的な特徴を現した生体パターンに対応する画像である生体画像を複数抽出する生体画像抽出部と、複数の前記生体画像間の類似度に基づいて、生体認証処理に利用される前記生体画像を前記複数の生体画像の中から選択する生体画像選択部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0009】
かかる構成によれば、生体画像抽出部は、被認証者の生体の一部を撮像して生成された複数の撮像データに基づいて、被認証者の身体的な特徴を現した生体パターンに対応する画像である生体画像を複数抽出する。また、生体画像選択部は、複数の生体画像間の類似度に基づいて、生体認証処理に利用される生体画像を複数の生体画像の中から選択する。
【0010】
前記生体画像抽出部は、前記複数の生体画像のうちある一つの生体画像を着目画像とし、前記着目画像の前後に撮像された所定枚数の前記生体画像それぞれと、前記着目画像との類似度を算出し、算出した全ての類似度が第1の閾値超過であった場合に、前記着目画像を、生体認証処理に利用される画像として選択することが好ましい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記生体画像選択部により選択された生体画像である選択生体画像が格納される選択生体画像格納部を更に備え、前記生体画像選択部は、前記選択生体画像格納部に前記複数の生体画像の中から選択された選択生体画像が既に格納されている場合、既に格納されている前記選択生体画像と、新たに選択された前記選択生体画像との類似度を算出し、算出された選択生体画像間の類似度が第2の閾値未満である場合、前記新たに選択された選択生体画像を前記選択生体画像格納部に格納することが好ましい。
【0012】
前記情報処理装置は、前記選択生体画像を予め登録された生体画像である登録生体画像に基づいて認証する認証部を更に備え、前記認証部は、一の前記選択生体画像に関する認証が失敗した場合、認証に失敗した前記選択生体画像とは異なる前記選択生体画像に関する認証を実施してもよい。
【0013】
前記認証部は、所定時間の間、前記選択生体画像に関する認証が失敗し続けた場合に、前記被認証者の認証に失敗したと判断してもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、前記選択生体画像格納部に格納された前記選択生体画像の認証を、自装置の外部に設けられた認証処理装置に要請する認証要請部と、前記認証処理装置における認証結果を取得する認証結果取得部と、を更に備え、前記認証結果取得部は、前記認証要請部から伝送された認証要請に対応する一の前記選択生体画像に関する認証結果を取得し、前記認証要請部は、前記一の選択生体画像に関する認証結果が認証失敗を表すものであった場合に、認証に失敗した前記選択生体画像とは異なる前記選択生体画像の認証要請を前記認証処理装置に伝送してもよい。
【0015】
前記複数の撮像データは、前記生体の一部を連続して撮像することで生成された画像フレームであることが好ましい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、被認証者の生体の一部を撮像して生成された複数の撮像データに基づいて、被認証者の身体的な特徴を現した生体パターンに対応する画像である生体画像を複数抽出するステップと、複数の前記生体画像間の類似度に基づいて、生体認証処理に利用される前記生体画像を前記複数の生体画像の中から選択するステップと、を含む認証データ選択方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、コンピュータに、被認証者の生体の一部を撮像して生成された複数の撮像データに基づいて、被認証者の身体的な特徴を現した生体パターンに対応する画像である生体画像を複数抽出する生体画像抽出機能と、複数の前記生体画像間の類似度に基づいて、生体認証処理に利用される前記生体画像を前記複数の生体画像の中から選択する生体画像選択機能とを実現させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、撮像された複数の画像間の類似度に基づき複数の画像の中から生体認証処理に利用される画像を選択するため、画像撮像時における撮像条件の変化の影響を回避し、認証処理の効率化を図りながら本人拒否率を低下させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】同実施形態に係る生体画像の選択方法について説明するための説明図である。
【図3】同実施形態に係る認証データの選択方法を説明するための流れ図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】選択生体画像に付与される識別情報の一例について説明するための説明図である。
【図6】同実施形態に係る情報処理装置が認証を要請する生体認証システムについて説明するための説明図である。
【図7】認証処理装置の構成について説明するためのブロック図である。
【図8】認証処理装置の構成について説明するためのブロック図である。
【図9】認証処理装置の構成について説明するためのブロック図である。
【図10】本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【図11】複数の画像を用いた生体認証処理について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
以下の説明では、生体認証の一例として、静脈認証を例にとって説明を行なうものとする。しかしながら、本発明は、静脈認証のみに限定されるわけではなく、指紋認証、顔認証、虹彩認証など、他の様々な生体認証についても適用することが可能である。
【0022】
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)複数の画像を用いた生体認証処理について
(2)第1の実施形態
(2−1)情報処理装置の構成について
(2−2)認証データ選択方法について
(3)第2の実施形態
(3−1)情報処理装置の構成について
(3−2)生体認証システムについて
(3−3)認証処理装置の構成について
(4)本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について
(5)まとめ
【0023】
(複数の画像を用いた生体認証処理について)
まず、本発明の実施形態に係る情報処理装置および情報処理方法について説明するに先立ち、図11を参照しながら、複数の画像を用いた生体認証処理について説明する。図11は、複数の画像を用いた生体認証処理について説明するための説明図である。
【0024】
複数の画像を用いて生体認証処理を行う場合、入力センサー等を通じて複数の画像が読み込まれることとなる。これら複数の画像の中には、生体部位の動きや、生物的な柔軟性(non−rigidness)等によって、画質の良いものと悪いものとが混在することが考えられる。認証処理の処理速度が一枚の画像を読み取る速度よりも遅い場合、これら複数の画像の中から何枚かを選択して、認証処理に利用することができる。
【0025】
被認証者が登録者本人である場合、入力画像の画質が良いものであれば認証に成功する確率が増加するが、画質が悪い場合には、登録者本人であるにも関わらず認証に失敗する可能性が生じる。すなわち、画質の悪い画像が認証処理に用いられると、無駄な計算時間が発生することとなる。
【0026】
複数の画像を用いた生体認証処理は、図11(a)に示したような、入出力装置により生成された生体画像を一次保存する方法と、図11(b)に示したような、認証に失敗した時点で画像の読み込みを行い、認証を行う方法の2種類に大別できる。
【0027】
図11(a)に示した方法では、入出力装置により生成された生体画像は、入力順に記憶部等に格納され、生体認証システムは、入力順に生体画像を取得し、認証していく。ここで、生体認証システムによる認証結果が成功であった場合には認証処理は終了し、認証結果が失敗だった場合には、記憶部等に格納されている次の画像が生体認証システムに伝送される。
【0028】
図11(b)に示した方法では、入出力装置によって生体画像が生成されると、生成された生体画像は生体認証システムに伝送され、認証処理が行われる。生体認証システムによる認証結果が成功であった場合には認証処理は終了し、認証結果が失敗だった場合には、入出力装置によって新たな生体画像が読み込まれ、生体認証システムによって認証処理が実施される。
【0029】
図11に示した各方法において、生成される生体画像中に画質の良いものと悪いものとが混在している場合には、生体認証システムでは、画質の悪いものについても認証処理が行われ、結果として無駄な計算時間が生じ、FRRが増加する可能性が生じる。また、生体認証システムにおいて、認証処理が単一のプロセッサ(CPU等)で実施されている場合には、プロセッサ全体が認証処理に集中するため、画質の良いものの選択処理をする余裕がなくなってしまう可能性もある。
【0030】
そこで、本発明者らは、上述のような問題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下で説明するような情報処理装置および認証データ選択方法に想到した。以下で説明する認証データ選択方法では、演算負荷が相対的に小さな処理を利用して複数の生体画像の中から画質の良いものを選択し、画像撮像時における撮像条件の変化の影響を回避し、認証処理の効率化を図りながら本人拒否率を低下させることができる。
【0031】
(第1の実施形態)
<情報処理装置の構成について>
次に、図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0032】
本実施形態に係る情報処理装置10は、例えば図1に示したように、撮像部101と、撮像制御部103と、生体画像抽出部105と、生体画像選択部107と、選択生体画像格納部109と、認証部111と、表示制御部113と、記憶部115と、を主に備える。
【0033】
撮像部101は、体表面BSに対して所定の波長帯域を有する近赤外光を照射する光源部と、撮像素子およびレンズ等の光学素子から構成される光学系と、を含む。
【0034】
近赤外光は、身体組織に対して透過性が高い一方で、血液中のヘモグロビン(還元ヘモグロビン)に吸収されるという特徴を有するため、近赤外光を指や手のひらや手の甲に照射すると、指や手のひらや手の甲の内部に分布している静脈が影となって画像に現れる。画像に表れる静脈の影を、静脈パターンという。このような静脈パターンを良好に撮像するために、発光ダイオード等の光源部は、約600nm〜1300nm程度の波長、好ましくは、700nm〜900nm程度の波長を有する近赤外光を照射する。
【0035】
ここで、光源部が照射する近赤外光の波長が600nm未満または1300nm超過である場合には、血液中のヘモグロビンに吸収される割合が小さくなるため、良好な静脈パターンを得ることが困難となる。また、光源部が照射する近赤外光の波長が700nm〜900nm程度である場合には、近赤外光は、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの双方に対して特異的に吸収されるため、良好な静脈パターンを得ることができる。
【0036】
光源部から射出された近赤外光は、体表面BSに向かって伝搬し、直接光として、生体の側面などから内部に入射する。ここで、人体は良好な近赤外光の散乱体であるため、生体内に入射した直接光は四方に散乱しながら伝搬する。生体内を透過した近赤外光は、光学系を構成する光学素子に入射することとなる。
【0037】
撮像部101を構成する光学系は、1または複数の光学素子と、1または複数の撮像素子と、から構成される。
【0038】
人体の皮膚は、表皮層、真皮層および皮下組織層の3層構造となっていることが知られているが、静脈の存在する静脈層は、真皮層に存在している。真皮層は、指表面に対して0.1mm〜0.3mm程度の位置から2mm〜3mm程度の厚みで存在している層である。したがって、このような真皮層の存在位置(例えば、指表面から1.5mm〜2.0mm程度の位置)にレンズ等の光学素子の焦点位置を設定することで、静脈層を透過した透過光を、効率よく集光することが可能となる。
【0039】
光学素子によって集光された静脈層を透過した透過光は、CCDやCMOS等の撮像素子に結像されて、静脈撮像データとなる。生成された静脈撮像データは、後述する生体画像抽出部105に伝送される。
【0040】
撮像制御部103は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。撮像制御部103は、光源部、光学系および撮像素子を制御して、撮像データを生成する。より詳細には、撮像制御部103は、光源部、光学系および撮像素子を制御して、所定時間の間、体表面BSを撮像し、複数の撮像データを生成する。撮像制御部103は、体表面BSを撮像し続け、複数の画像フレームからなる動画データを生成してもよく、体表面BSを所定の時間間隔で撮像し、複数の静止画データを生成してもよい。なお、動画データが生成される場合には、この動画データのフレームレートは、撮像部101の性能や設置環境等に応じて、任意の値に設定される。
【0041】
撮像制御部103は、撮像素子によって生成された撮像データを、後述する生体画像抽出部105に出力させる。また、撮像制御部103は、得られた撮像データを、後述する記憶部115等に記録してもよい。また、記憶部115等への記録に際して、撮像制御部103は、生成した撮像データに撮像日や撮像時刻等を関連づけてもよい。なお、生成される撮像データは、RGB(Red−Green−Blue)信号であってもよいし、それ以外の色やグレースケール等の画像データであってもよい。
【0042】
また、撮像制御部103は、予め設定された所定時間が経過すると、体表面BSの撮像を停止する。
【0043】
このような撮像制御は、入力された生体画像の認証に成功しないのは「本人であるにも関わらず生体の置き方に問題があるため」という仮定に基づき、予め設定された最大撮像時間となるまで撮像を繰り返すことで、ユーザの利便性を向上させるために行われる。かかる撮像制御を用いた場合、後述するように、予め設定された最大撮像時間となっても認証に成功しない際に生体認証処理に失敗したと判断する。
【0044】
生体画像抽出部105は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。生体画像抽出部105は、撮像部101から伝送された近赤外撮像データのなかから、ユーザの静脈パターンを表す画像である生体画像(静脈画像)を抽出する。この生体画像抽出部105は、例えば、画像平滑化部、輪郭抽出部、マスク画像生成部、切出部、静脈平滑化部、2値化部、太線化部、細線化部、サムネイル画像生成部といった処理部を更に有する。
【0045】
画像平滑化部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。画像平滑化部は、撮像制御部103から撮像結果として与えられる静脈撮像データに対して、例えばガウシアンと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈撮像データに対応する静脈画像を平滑化する。
【0046】
輪郭抽出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。輪郭抽出部は、画像平滑化部によって平滑化された静脈画像に対して、例えばLog(Laplacian of Gaussian)フィルタと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈画像における輪郭を強調して浮き彫りにする。
【0047】
マスク画像生成部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。マスク画像生成部は、輪郭抽出部によって輪郭が強調された静脈画像から、背景部分とのコントラストを基に、指輪郭などの輪郭線を検出する。また、マスク画像生成部は、検出された輪郭線に囲まれる指領域と、それ以外の領域とを、2値で示す画像(以下、これをマスク画像とも称する。)を生成する。
【0048】
切出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。切出部は、輪郭抽出部によって輪郭が強調された静脈画像から、マスク画像生成部によって生成されたマスク画像を用いて、指輪郭に囲まれる指領域を含む所定サイズの画像を切り出す。
【0049】
静脈平滑化部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。静脈平滑部は、切出部によって切り出された静脈画像に対して、例えばメディアンと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈画像における静脈部分を平滑化する。
【0050】
2値化部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。2値化部は、静脈平滑化部によって静脈部分が平滑化された静脈画像を、設定された輝度レベルを基準として、2値レベルに変換する。ここで、仮に、静脈が平滑化される前の静脈画像を2値化対象の画像とした場合、実際には一本の静脈が、2値化によって2本の静脈として分離される確率が高くなる。したがって、静脈が平滑化された静脈画像を2値化対象とすることで、実際の静脈に近似する状態での2値化が可能となる。
【0051】
太線化部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。太線化部は、2値化部によって2値化された静脈画像に対して、例えばダイレーションと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈画像に含まれる静脈を太線化する。この結果、本来連結された静脈箇所であるにもかかわらず途切れていた静脈箇所が連結される。
【0052】
細線化部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。細線化部は、太線化部によって静脈部分が太線化された静脈画像に対して、例えばエロージョンと呼ばれる空間フィルタを用いてフィルタ処理を施し、静脈部分の静脈幅を一定とする。
【0053】
サムネイル画像生成部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。サムネイル画像生成部は、静脈幅が一定となった静脈部分と、背景部分とを2値で示す静脈画像を細線化部から取得し、この静脈画像から、縦横サイズをn分の1倍に圧縮した画像であるサムネイル画像を生成する。
【0054】
このようにして生体画像抽出部105は、静脈幅が一定とされる静脈部分と、背景部分とを2値で示す画像を、生体画像として抽出し、生体画像のサムネイル画像を生成する。生体画像抽出部105は、生成したサムネイル画像を、後述する生体画像選択部107に伝送する。また、生体画像抽出部105は、抽出した生体画像(静脈画像)およびサムネイル画像を、これらの画像に固有の識別情報(例えば、識別番号等)と関連付けて、後述する記憶部115に格納してもよい。
【0055】
なお、本実施形態に係る生体画像抽出部105は、必要に応じて、以下で説明するような特徴量抽出部を更に有しても良い。
【0056】
特徴量抽出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。特徴量抽出部は、生体画像抽出部105から伝送された生体画像や、各種の情報に基づいて、ユーザの静脈パターンに固有な特徴量に関する情報である特徴量情報を抽出する。ユーザの静脈パターンに固有な特徴量として、例えば、体の一部(例えば指等)の輪郭に関する情報や、静脈画像の輝度分布に関する情報や、静脈画像の血管量に関する情報等がある。この特徴量抽出部は、例えば、輪郭形状抽出部、度数分布抽出部、血管量抽出部等を更に有する。
【0057】
輪郭形状抽出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。輪郭形状抽出部は、ノイズ成分の除去段階で生成される静脈画像を用いて、体の一部(例えば、指等)の輪郭形状を表す情報を抽出する。
【0058】
この抽出手法の具体的な一例を説明する。輪郭形状抽出部は、マスク画像生成部からマスク画像を取得し、取得したマスク画像から、指輪郭(指枠を構成する画素)の一部を含む特定領域を切り出す。
【0059】
その後、輪郭形状抽出部は、特定領域を、縦横サイズがn分の1倍となるように圧縮し、圧縮された特定領域に含まれる指輪郭(指枠を構成する画素)の位置を、特定領域での基準(例えば、左端)からの距離を示す座標値(x座標値)として抽出する。
【0060】
度数分布抽出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。度数分布抽出部は、ノイズ成分の除去段階で生成される静脈画像を用いて、指などの体の一部の輪郭に囲まれる生体領域の度数分布を表す情報を抽出する。
【0061】
この抽出手法の具体的な一例を説明する。度数分布抽出部は、画像平滑化部から、平滑化された静脈画像を取得するとともに、マスク画像生成部からマスク画像を取得する。
【0062】
そして度数分布抽出部は、平滑化された静脈画像から、マスク画像を用いて体の部分に該当する領域(例えば指領域)を認識し、体の部分に該当する領域から、設定された輝度階級ごとの画素数を抽出する。
【0063】
血管量抽出部は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。血管量抽出部は、2値画像における静脈の太線化段階で生成される静脈画像を用いて、指等の体の一部の輪郭に囲まれる領域内の静脈量を表す情報を抽出する。この抽出手法の具体的な一例を説明する。血管量抽出部は、静脈が太線化された2値の静脈画像を太線化部から取得し、静脈画像から、静脈を構成する画素の数(血管量)を表す情報を抽出する。
【0064】
特徴量抽出部は、輪郭形状を表す情報、度数分布を表す情報、および血管量を表す情報等を対応する生体画像に関連付けて、後述する記憶部115等に格納することが可能である。
【0065】
生体画像選択部107は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。生体画像選択部107は、生体画像抽出部105から伝送された複数の生体画像の中から、生体認証処理に利用される生体画像を選択する。以下では、図2を参照しながら、本実施形態に係る生体画像選択部107で行われる生体画像の選択方法について、更に詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る生体画像の選択方法について説明するための説明図である。なお、以下の説明では、入力された生体画像が、複数の画像フレームから構成される動画データである場合を例にとって説明するが、本発明の各実施形態が動画データに限定されるわけではない。
【0066】
被認証者によって情報処理装置10に設けられたセンサー部位に生体の一部(例えば、指など)が置かれ、撮像部101によって生体の撮像が開始される際、初めのうちは、指定されたセンサー部位の枠内に指等をセットするために、画像に動きが生じうる。この時間帯に撮像された画像には、明るさの変動や動きによる画像ボケ等が見られ、画質の低い画像となる。他方、指等が指定された枠内にセットされた後は、指が安定するため、高画質の画像を得ることができる。従って、本人拒否率を向上させるために選択される生体画像の条件の一つとして、画像の安定性が重要となる。そのため、本実施形態に係る生体画像選択部107は、生成された動画データを構成する画像フレームの集合の中から、比較的安定した画像を選択する。
【0067】
また、指を十分安定した状態でセンサー部位に載置したとしても、指の置く方向や傾け方によって、登録画像と比べて大きな陰影の変化が生じる可能性があり、安定性のある画像であっても認証に失敗する可能性がある。このような場合、撮像制御部103が後述する表示制御部113を介して指の方向や傾け方等を変えるようメッセージを表示させ、被認証者に指の置く方向や傾け方を調整させる。その結果、情報処理装置10は、複数の姿勢における安定した画像を得ることができ、これらの中から、安定し、かつ、異なった姿勢の画像フレームを選択することで、認証に成功する確率の増加、ひいては本人拒否率の向上を図ることができる。すなわち、生体認証処理に用いられる生体画像の条件の一つとして、画像の多様性も重要になる。
【0068】
そこで、本実施形態に係る生体画像選択部107は、生成された画像フレームの安定性を判断するため、着目している生体画像(以下、着目画像とも称する。)と、時間軸上でその前後に位置する画像フレームとの類似度(例えば、相関など)を利用する。この際、本実施形態に係る生体画像選択部107は、画像フレームのサムネイル画像を利用して類似度の算出を行うことが好ましい。画像フレームそのものを類似度の算出に用いることも可能であるが、サムネイル画像を利用することで、類似度の算出に要する時間を短縮することができる。
【0069】
動画データ(以下、画像ストリームとも称する。)内における安定した画像フレームは、その前後の画像フレームとほぼ同じ画像となっていて、高い相関を持つと考えられる。そのため、生体画像選択部107は、着目画像の前後に位置する決まった枚数の画像それぞれと、着目画像との相関値をすべて算出し、全ての相関値がある閾値超過であるかを確認する。例えば、図2に示した例では、時間軸上でq番目に位置する画像フレームが着目画像である場合に、時間軸上で(q−n)番目に位置するものから(q+n)番目に位置するものまでの各画像フレームと、q番目に位置する画像フレームとの相関値が算出される。ここで、図2に示した例では、一例としてn=3の場合を示しているが、パラメータnの値は、情報処理装置の性能や設置条件等に応じて任意の値に決定可能である。次に、生体画像選択部107は、算出された6個の相関値(n=3であるため)全てが、所定の閾値(thr1)超過であるか否かを判断する。
【0070】
一方、生体画像の多様性を確保するため、安定性を有する着目画像が検出されると、生体画像選択部107は、その時点で既に選択されている生体画像(選択生体画像)と、安定性を有する着目画像との類似度(例えば、相関値)を算出する。生体画像選択部107は、算出した相関値が所定の閾値(thr2)未満であるかを判断し、所定の閾値thr2未満であった場合に、着目画像を、新たな選択生体画像として選択する。
【0071】
なお、既に選択されている選択生体画像と着目画像との相関値として、例えば図2に示したように、直前に選択された選択生体画像と着目画像との相関値のみを利用してもよく、既に選択されている全ての選択生体画像との相関値を利用してもよい。
【0072】
生体画像選択部107は、上述のような方法で新たな生体画像を選択すると、その生体画像を、後述する選択生体画像格納部109に格納する。この際、生体画像選択部107は、生体画像に関連づけられているタイムスタンプに基づいて、時間軸上の順番を崩すことなく、選択生体画像格納部109に新たな画像を格納する。なお、生体画像選択部107は、選択生体画像に、当該画像のサムネイル画像や特徴量情報を関連づけ、選択生体画像格納部109に記録してもよい。
【0073】
ここで、一人の被認証者に対応する動画データの中から選択される選択生体画像の枚数は、上限が設定されていてもよく、上限が設定されていなくてもよい。
【0074】
このように、本実施形態に係る生体画像選択部107は、生体画像の安定性を判断するための第1の閾値と、生体画像の多様性を判断するための第2の閾値と、を利用することで、登録者本人が認証されやすいような生体画像を選択する。
【0075】
選択生体画像格納部109には、生体画像選択部107によって選択された選択生体画像が、生体認証処理に用いられる画像(認証画像)として格納される。また、選択生体画像が選択生体画像格納部109に格納される際に、選択生体画像には、固有の識別情報(例えば、識別番号等)が付与されてもよい。また、選択生体画像格納部109には、生体画像そのものだけでなく、生体画像に対応するサムネイル画像や特徴量情報が、当該生体画像に関連づけられて格納されてもよい。
【0076】
認証部111は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。認証部111は、選択生体画像格納部109に格納されている選択生体画像を取得して、予め登録されている生体画像である登録生体画像に基づいて生体認証処理を行う。認証部111は、登録生体画像を所定の格納箇所から取得して、取得した登録生体画像と、ある1枚の選択生体画像との類似度(例えば、相関値)を算出する。算出した相関値が所定の閾値以上であった場合に、認証部111は、選択生体画像の認証に成功したと判断する。また、認証部111は、被認証者のある1枚の選択生体画像に関する相関値が所定の閾値未満であった場合であっても、処理開始からの経過時間が予め設定された時間内であれば、選択生体画像格納部109から新たな選択生体画像を取得して、認証処理をし続ける。
【0077】
このように、認証部111は、予め設定された時間内に、ある1枚の選択生体画像の認証に成功した場合に、被認証者に関する生体認証処理が成功したと判断し、所定の時間内に、選択生体画像の認証に失敗し続けた場合に、被認証者の認証に失敗したと判断する。
【0078】
認証部111は、ある被認証者に関して認証処理を繰り返している間は、類似度合いの判断が終了した選択生体画像が存在したとしても、判断が終了した選択生体画像を選択生体画像格納部109から削除しない。認証部111は、ある被認証者に関する最終的な認証結果が得られた場合に、認証結果が成功・失敗のいずれにかかわらず、該当する被認証者に関する選択生体画像を、選択生体画像格納部109の中から削除する。
【0079】
ここで、登録生体画像は、後述する記憶部115にデータベースとして格納されていてもよく、情報処理装置10が接続可能な外部の装置やサーバにデータベースとして格納されていてもよい。また、これらのデータベースに格納されている登録生体画像に、何らかの統計処理に基づく優先順位がつけられていてもよい。
【0080】
なお、認証部111は、選択生体画像そのものの認証処理に先立ち、選択生体画像の認証処理よりも演算負荷の少ない認証処理を利用して、登録生体画像の絞り込みを行うという段階的な認証処理を行ってもよい。生体画像の認証処理よりも演算負荷の少ない認証処理として、例えば、負荷の軽いものから順に、特徴量情報を用いた認証処理、サムネイル画像を用いた認証処理がある。選択生体画像に関する認証処理を行うに先立ち、これらの演算負荷の少ない認証処理を行うことで、演算負荷の大きな認証処理を行う際に照合する登録生体画像の数を抑制することができ、認証処理全体に要する時間の削減を図ることができる。このような段階的な認証処理を行う場合には、登録生体画像に対応する特徴量情報およびサムネイル画像を予め関連づけておくことが必要である。
【0081】
表示制御部113は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。表示制御部113は、情報処理装置10が備える表示部(図示せず。)が表示する表示内容の表示制御を行う。より詳細には、表示制御部113は、認証部111から伝送された要請に応じて、表示部(図示せず。)に、生体画像の入力を行った被認証者の認証結果を表示させる。また、表示制御部113は、撮像制御部103から伝送された要請に応じて、表示部(図示せず。)に、生体画像の入力の際に表示する各種のメッセージ等を表示させる。
【0082】
記憶部115には、撮像部101により生成された撮像データや、生体画像抽出部105により抽出された生体画像、サムネイル画像、特徴量情報等が一時的に格納されてもよい。また、記憶部115には、認証部111が認証処理に利用する登録生体画像が格納されていてもよい。さらに、記憶部115には、本実施形態に係る情報処理装置10が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベース等が、適宜記録される。この記憶部115は、撮像部101、撮像制御部103、生体画像抽出部105、生体画像選択部107、認証部111、表示制御部113等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
【0083】
また、本実施形態に係る情報処理装置10の被認証者は、本実施形態に係る情報処理装置10の生体画像抽出部105と同様の機能を有する装置を用いて、予め、生体画像、サムネイル画像、各種の特徴量に関する情報等を登録可能である。
【0084】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0085】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、撮像部を備えたパーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0086】
<認証データ選択方法について>
続いて、図3を参照しながら、本実施形態に係る認証データ選択方法について、詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る認証データ選択方法について説明するための流れ図である。
【0087】
まず、情報処理装置10は、被認証者の認証処理を開始してからの処理時間に基づいて、処理時間が予め設定されている最大処理時間を超えていないか否かを判断する(ステップS101)。処理時間が最大処理時間を超えてタイムアウトとなっている場合には、情報処理装置10は、生体認証に用いられるデータ(以下、認証データとも称する。)の選択処理を終了する。また、処理時間が最大処理時間未満である場合には、情報処理装置10は、以下に説明する認証データの選択処理を実施する。
【0088】
まず、生体画像選択部107は、生体画像抽出部105により抽出された生体画像について、時間軸上でq番目に位置する画像に着目し、着目画像とする(ステップS103)。次に、生体画像選択部107は、(q−n)番目〜(q+n)番目に位置する画像のサムネイルと、着目画像のサムネイルとを利用して、類似度に基づく判定を行う(ステップS105)。
【0089】
具体的には、生体画像選択部107は、(q−n)番目〜(q+n)番目に位置するサムネイル画像それぞれとの相関値全てが、所定の閾値thr1超過となっているかを判定する(ステップS107)。2n個全ての相関値が閾値thr1超過ではなかった場合には、生体画像選択部107は、後述するステップS117を実行する。また、2n個全ての相関値が閾値thr1超過であった場合、生体画像選択部107は、所定の格納領域(例えば、選択生体画像格納部109)に選択された画像が存在するか否かを判断する(ステップS109)。
【0090】
既に選択された画像が存在しない場合には、生体画像選択部107は、着目画像を選択生体画像として選択生体画像格納部109に格納し、生体認証処理に用いられる認証データとする(ステップS115)。逆に、既に選択された画像が存在する場合には、生体画像選択部107は、既に選択されている選択生体画像に対応するサムネイル画像と、着目画像のサムネイル画像とを利用して、類似度に基づく判定を行う(ステップS111)。
【0091】
具体的には、生体画像選択部107は、既に選択されている選択生体画像全てとの相関値が所定の閾値thr2未満であるか否かを判定する(ステップS113)。全ての相関値が閾値thr2未満である場合には、生体画像選択部107は、着目画像を選択生体画像として選択生体画像格納部109に格納し、生体認証処理に用いられる認証データとする(ステップS115)。また、全ての相関値が閾値thr2未満ではなかった場合には、生体画像選択部107は、パラメータqを1増加させ(ステップS117)、新たな着目画像について、生体画像の選択処理を続行する。
【0092】
かかる方法に基づいて、複数の生体画像の中から生体認証処理に用いられる認証データを選択することで、本実施形態に係る情報処理装置10は、登録者本人である被認証者の認証の成功確立を向上させることができ、本人拒否率を改善することができる。
【0093】
(第2の実施形態)
<情報処理装置の構成について>
続いて、図4を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置15の構成について、詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る情報処理装置15の構成を説明するためのブロック図である。
【0094】
本実施形態に係る情報処理装置15は、例えば図4に示したように、撮像部101、撮像制御部103、生体画像抽出部105、生体画像選択部107、選択生体画像格納部109および記憶部115を備える。また、本実施形態に係る情報処理装置15は、認証要請部121と、認証結果取得部123と、表示制御部125と、を更に備える。
【0095】
本実施形態に係る撮像部101、撮像制御部103、生体画像抽出部105、生体画像選択部107、選択生体画像格納部109および記憶部115は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置10が備える各処理部と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。従って、以下では、これらの処理部に関する詳細な説明は省略する。
【0096】
認証要請部121は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。認証要請部121は、選択生体画像格納部109に格納されている選択生体画像を取得して、情報処理装置15の外部に設けられた認証処理装置(例えば、生体認証システム20)に選択生体画像の認証処理を要請する。認証要請部121は、認証処理の要請とあわせて、認証すべき選択生体画像を生体認証システム20に認証情報として伝送してもよい。また、認証要請部121は、生体認証システム20に対して、選択生体画像格納部109に格納されている選択生体画像を取得するように要請してもよい。
【0097】
選択生体画像の認証処理を要請するに際して、認証要請部121は、各選択生体画像に固有の識別情報を関連づけ、生体認証システム20が、認証すべき生体情報を特定しやすいようにすることが好ましい。例えば図5に示したように、情報処理装置15に固有の装置番号と、生体画像が生成された時間(すなわち、タイムスタンプ)と、動画ストリーム内の画像フレームに付けられた番号(フレーム番号)と、を用いて識別情報としてもよい。
【0098】
また、認証要請部121は、後述する認証結果取得部123から、認証要請を伝送した選択生体画像の認証に失敗した旨が通知されると、予め設定された所定時間内であれば、生体認証システム20に新たな選択生体画像の認証要請を伝送する。
【0099】
認証結果取得部123は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。認証結果取得部123は、生体認証システム20から伝送された、選択生体画像に関する認証結果情報を取得する。また、取得した認証結果情報が認証失敗に関するものであり、処理を開始してからの経過時間が予め設定された所定時間内である場合には、認証要請部121に対して、新たな選択生体画像の認証要請の伝送を要請する。また、ある被認証者の最終的な認証結果が得られた場合には、この被認証者に関する選択生体画像を、選択生体画像格納部109から削除する。
【0100】
なお、いわゆるファイルシェアリングにより生体認証システム20と情報の共有化を図っている場合には、認証結果取得部123は、選択生体画像格納部109等を参照し、被認証者に関する最終的な認証結果が得られたか否かを定期的に確認するようにしてもよい。
【0101】
表示制御部125は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。表示制御部125は、情報処理装置15が備える表示部(図示せず。)が表示する表示内容の表示制御を行う。より詳細には、表示制御部125は、認証結果取得部123から伝送された要請に応じて、表示部(図示せず。)に、生体画像の入力を行った被認証者の認証結果を表示させる。また、表示制御部125は、撮像制御部103から伝送された要請に応じて、表示部(図示せず。)に、生体画像の入力の際に表示する各種のメッセージ等を表示させる。
【0102】
以上、本実施形態に係る情報処理装置15の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0103】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、撮像部を備えたパーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0104】
<生体認証システムについて>
続いて、図6を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置が生体画像の認証を要請する生体認証システムについて、詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る生体認証システム20を説明するための説明図である。
【0105】
本実施形態に係る生体認証システム20は、例えば図6に示したように、複数の認証処理装置30と、複数の認証処理装置40と、複数の認証処理装置50と、を含む。ここで、図6において、情報処理装置15は1つしか図示していないが、本実施形態に係る生体認証システム20に生体画像の認証を要請する情報処理装置15は、複数存在していてもよい。
【0106】
ここで、生体認証システム20に含まれる各認証処理装置30,40,50は、図6に示したように階層的に配置されており、入力された生体画像を含む認証情報を、互いに異なる登録生体情報に基づいて段階的に認証する。すなわち、生体認証システム20に含まれる複数台の認証処理装置30は、第1段階の認証処理として相対的に演算負荷の少ない認証処理を行って入力された生体画像と照合すべき登録生体情報の絞り込みを行う。また、高次の階層に該当する認証処理装置40,50では、高次の階層に属するほど演算負荷の大きな認証処理を実施して、入力された生体画像の認証を行う。
【0107】
例えば図6に示した例では、第1階層に属する認証処理装置30は、入力された生体画像の特徴量に関する情報(特徴量情報)に基づいて第一次認証を行う。また、第2階層に属する認証処理装置40は、第一次認証を通過した登録生体情報と、入力された生体画像に対応するサムネイル画像とに基づいて第二次認証を行う。また、第3階層に属する認証処理装置50は、第二次認証を通過した登録生体情報(テンプレート)と、入力された生体画像とに基づいて、最終的な認証処理を行う。このような階層構造を有する複数の認証処理装置を用いることで、本実施形態に係る生体認証システム20は、いわゆるパイプライン方式で同時に複数のデータを処理することができる。
【0108】
また、複数の認証処理装置30から構成される第1階層と、複数の認証処理装置40から構成される第2階層との間には、2以上の待ち行列60が設定される。同様に第2階層と、複数の認証処理装置50から構成される第3階層との間には、2以上の待ち行列70が設定される。この待ち行列60,70は、コンピュータやサーバ等の装置そのものであってもよく、コンピュータやサーバ等で読み書きが可能なファイルであってもよい。
【0109】
本実施形態に係る情報処理装置15は、先に説明したように、一連の生体画像の中から選択された選択生体画像それぞれについて、固有の識別情報(例えば、識別番号)を付与したうえで、生体認証システム20に対して選択生体画像の認証処理を要請する。その結果、生体認証システム20は、同一の被認証者から生成された異なる識別情報を有する複数の選択生体画像を、並列処理で処理することが可能となる。しかしながら、それぞれの階層間に設けられる待ち行列の個数が1つのみである場合には待ち行列の個数が足りなくなり、上述のような並列処理を実施すると、結果的に処理時間の増加が生じる可能性がある。そのため、本実施形態に係る生体認証システム20では、図6に示したように、それぞれの階層間には複数の待ち行列が設定される。
【0110】
ここで、いわゆるファイルシェアリングの手法を利用して、複数のファイルそのものを各待ち行列として利用する場合には、情報処理装置15により各認証情報に割り当てられる識別情報毎に、各待ち行列60,70に対応するファイルを生成することが好ましい。
【0111】
なお、本実施形態に係る生体認証システム20では、各階層における総合処理時間が互いに等しくなることが好ましい。そのため、各階層における単位識別情報ごと(すなわち、一つの認証情報ごと)の処理時間と、処理される情報の総数に基づいて、各階層における認証処理装置の台数を決定することが好ましい。
【0112】
ここで、時刻Tの時点で、一人の被認証者が情報処理装置15に指静脈画像を入力したとする。また、生体認証システム20に登録されている登録者の数をN人とし、第1階層に属する認証処理装置30から、平均的にN個の認証データが、第2階層へと通過するものとする。この平均的なデータの個数は、統計的な推定に基づくものであってもよく、システムにおける平均値であってもよい。また、第1階層を通過したN個のデータのうち、平均的にN個のデータが第3階層に通過するものとする。また、1個の認証データについて、第1階層〜第3階層それぞれに要する処理時間が、t、t、tであるとする。
【0113】
この際に、第1階層に属する認証処理装置30の台数Aと、第2階層に属する認証処理装置40の台数Bとの比率を、各階層における処理時間が等しくなるように設定する。同様に、第2階層に属する認証処理装置40の台数Bと、第3階層に属する認証処理装置50の台数Cとの比率を、各階層における処理時間が等しくなるように設定する。
【0114】
このように、各階層の総合処理時間が同じとなるようにするため、本生体認証システム20では、各階層の単位認証情報ごとの処理時間と、処理される認証情報の総数とを参考にし、各階層に区分される認証処理装置の台数を決定する。各階層における処理に要する時間が同じであると、複数の被認証者がパイプライン方式でシステムを使用する際に、認証処理装置における命令待ち時間が少なくなる。
【0115】
なお、上述の説明では、生体認証システム20が、3つのそれぞれ独立した階層構造を有する場合について説明したが、生体認証システム20が有する階層の数は、上述の例に限定されるわけではない。また、上述の説明では、階層間に待ち行列を設けたシステム例について説明したが、複数の認証処理装置が直列に接続された多段階認証処理が可能なユニットがシステム内に複数設けられ、各ユニットがスレッドとして機能するようなシステムであってもよい。
【0116】
<認証処理装置の構成について>
続いて、図7〜図9を参照しながら、本実施形態に係る生体認証システム20が有する認証処理装置の構成について詳細に説明する。図7〜図9は、本実施形態に係る生体認証システムが有する認証処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0117】
[認証処理装置30の構成について]
まず、図7を参照しながら、本実施形態に係る認証処理装置30について説明する。
本実施形態に係る認証処理装置30は、例えば図7に示したように、認証情報取得部301と、登録データ取得部303と、認証部305と、通過情報伝送部307と、を主に備える。
【0118】
認証情報取得部301は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。認証情報取得部301は、自装置で行われていた生体認証処理が終了すると、生体認証処理を実施する新たな認証情報を取得すべく、情報処理装置15に対して認証情報の取得要請を伝送する。情報処理装置15から新たな認証情報の認証要請が伝送されると、認証情報取得部301は、取得した認証要請に基づいて認証すべき認証情報を特定し、情報処理装置15から認証すべき認証情報に対応する特徴量情報を取得する。認証情報取得部301は、情報処理装置15から認証すべき特徴量情報を取得すると、取得した特徴量情報を、後述する認証部305に伝送する。
【0119】
登録データ取得部303は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。登録データ取得部303は、情報処理装置15から認証要請が伝送されると、登録生体情報が格納されているデータベースである登録生体情報データベース80から、当該データベース80に登録されている全ての登録特徴量情報を取得する。その後、登録データ取得部303は、取得した登録特徴量情報を、後述する認証部305に伝送する。
【0120】
認証部305は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。認証部305は、認証情報取得部301から伝送された認証情報(特徴量情報)と、登録データ取得部303から伝送された登録特徴量情報と、を用いて、第一次認証処理を行う。特徴量に関する情報は、上述のように、輪郭形状に関する情報、度数分布に関する情報、血管量に関する情報等がある。認証部305は、これらの特徴量を表す情報の中から、いずれか一つを用いて第一次認証処理を行ってもよく、特徴量を表す情報を複数用いて第一次認証処理を行ってもよい。
【0121】
認証部305は、登録データ取得部303から伝送された登録特徴量情報を用いて、認証情報の認証処理を行う。認証処理の結果、情報処理装置15から取得した特徴量情報と登録特徴量情報との類似度が所定の閾値以上であった場合に、認証部305は、伝送された認証情報の第一次認証が成功したと判断する。
【0122】
認証部305は、認証情報(特徴量情報)が登録特徴量情報に類似していると判断した場合には、該当する登録特徴量情報に関連づけられている識別情報を、通過情報として後述する通過情報伝送部307に伝送する。
【0123】
通過情報伝送部307は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。通過情報伝送部307は、認証部305から伝送された通過情報を、第2階層との間に設けられた複数の待ち行列60のいずれかに伝送する。この際、通過情報伝送部307は、伝送する通過情報のヘッダ等に認証を行った特徴量情報に関連付けられた識別情報を記載してもよく、通過情報のファイル名等に特徴量情報に関連付けられた識別情報を記載してもよい。このようにすることで、次の階層の認証処理装置40は、自装置で処理すべき認証情報の特定が容易となる。また、認証部305から伝送された通過情報が存在しない場合には、通過情報伝送部307は、情報処理装置15に対して、自装置での認証処理が失敗した旨を通知する。なお、通過情報伝送部307は、通過情報を待ち行列60へ伝送するとともに、情報処理装置15に、該当する認証情報の第一次認証処理が終了した旨を表す情報を通知してもよい。また、生体認証システム20が、いわゆるファイルシェアリングの手法を用いてファイルの共有を図っている場合には、待ち行列60への通過情報の伝送は、通過情報伝送部307が待ち行列60に対応するファイルの末尾に通過情報を追記することに対応する。
【0124】
以上、本実施形態に係る認証処理装置30の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0125】
なお、上述のような本実施形態に係る認証処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0126】
[認証処理装置40の構成について]
続いて、図8を参照しながら、本実施形態に係る認証処理装置40の構成について、詳細に説明する。図8は、本実施形態に係る認証処理装置40の構成を説明するためのブロック図である。
【0127】
本実施形態に係る認証処理装置40は、例えば図8に示したように、認証情報取得部401と、登録データ取得部403と、認証部405と、通過情報伝送部407と、を主に備える。
【0128】
認証情報取得部401は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。認証情報取得部401は、自装置における認証処理が終了すると、第1階層との間に設けられた待ち行列60の先頭から通過情報を取得する。認証情報取得部401は、待ち行列60から通過情報を取得すると、通過情報に対応する認証情報(より詳細には、サムネイル画像に関する情報)を、情報処理装置15から取得する。認証情報取得部401は、情報処理装置15からサムネイル画像を取得すると、取得したサムネイル画像を、後述する認証部405に伝送する。また、認証情報取得部401は、取得した通過情報を、後述する登録データ取得部403に伝送する。
【0129】
登録データ取得部403は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。登録データ取得部403は、認証情報取得部401から通過情報が伝送されると、登録生体情報データベース80から、通過情報に記載されている識別情報が関連付けられた登録サムネイル情報を取得する。通過情報に記載されている識別情報は、認証処理装置30で認証に成功した登録生体情報に関連付けられた識別情報である。そのため、データベース80に登録されている登録生体情報のうち、かかる識別情報が関連付けられた登録サムネイル情報のみを利用することで、認証処理装置40が照合すべき登録生体情報の個数を削減することができる。登録データ取得部403は、取得した登録サムネイル情報を、後述する認証部405に伝送する。
【0130】
認証部405は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。認証部405は、認証情報取得部401から伝送された認証情報(サムネイル画像)と、登録データ取得部403から伝送された登録サムネイル情報と、を用いて、第二次認証処理を行う。
【0131】
認証部405は、登録データ取得部403から伝送された登録サムネイル情報を用いて、認証情報の認証処理を行う。認証処理の結果、情報処理装置15から取得したサムネイル画像と登録サムネイル情報との類似度が所定の閾値以上であった場合に、認証部405は、伝送された認証情報の第二次認証が成功したと判断する。
【0132】
認証部405は、認証情報(サムネイル画像)が登録サムネイル情報に類似していると判断した場合には、該当する登録サムネイル情報に関連づけられている識別情報を、通過情報として後述する通過情報伝送部407に伝送する。
【0133】
通過情報伝送部407は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。通過情報伝送部407は、認証部405から伝送された通過情報を、第3階層との間に設けられた複数の待ち行列70のいずれかに伝送する。この際、通過情報伝送部407は、伝送する通過情報のヘッダ等に認証を行ったサムネイル画像に関連付けられた識別情報を記載してもよく、通過情報のファイル名等にサムネイル画像に関連付けられた識別情報を記載してもよい。このようにすることで、次の階層の認証処理装置50は、自装置で処理すべき認証情報の特定が容易となる。また、認証部405から伝送された通過情報が存在しない場合には、通過情報伝送部407は、情報処理装置15に対して、自装置での認証処理が失敗した旨を通知する。なお、通過情報伝送部407は、通過情報を待ち行列70へ伝送するとともに、情報処理装置15に、該当する認証情報の第二次認証処理が終了した旨を表す情報を通知してもよい。また、生体認証システム20が、いわゆるファイルシェアリングの手法を用いてファイルの共有を図っている場合には、待ち行列70への通過情報の伝送は、通過情報伝送部407が待ち行列70に対応するファイルの末尾に通過情報を追記することに対応する。
【0134】
以上、本実施形態に係る認証処理装置40の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0135】
なお、上述のような本実施形態に係る認証処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0136】
[認証処理装置50の構成について]
続いて、図9を参照しながら、本実施形態に係る認証処理装置50の構成について、詳細に説明する。図9は、本実施形態に係る認証処理装置50の構成を説明するためのブロック図である。
【0137】
本実施形態に係る認証処理装置50は、例えば図9に示したように、認証情報取得部501と、登録データ取得部503と、認証部505と、認証結果伝送部507と、を主に備える。
【0138】
認証情報取得部501は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。認証情報取得部501は、自装置における認証処理が終了すると、第2階層との間に設けられた待ち行列70の先頭から通過情報を取得する。認証情報取得部501は、待ち行列70から通過情報を取得すると、通過情報に対応する認証情報(より詳細には、静脈に関する画像情報)を、情報処理装置15から取得する。認証情報取得部501は、情報処理装置15から認証すべき画像情報を取得すると、取得した画像情報を、後述する認証部505に伝送する。また、認証情報取得部501は、取得した通過情報を、後述する登録データ取得部503に伝送する。
【0139】
登録データ取得部503は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。登録データ取得部503は、認証情報取得部501から通過情報が伝送されると、登録生体情報データベース80から、通過情報に記載されている識別情報が関連付けられたテンプレートを取得する。通過情報に記載されている識別情報は、認証処理装置40で認証に成功した登録生体情報に関連付けられた識別情報である。そのため、データベース80に登録されている登録生体情報のうち、かかる識別情報が関連付けられたテンプレートのみを利用することで、認証処理装置50が照合すべき登録生体情報の個数を削減することができる。登録データ取得部503は、取得したテンプレートを、後述する認証部505に伝送する。
【0140】
認証部505は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。認証部505は、認証情報取得部501から伝送された認証情報(画像情報)と、登録データ取得部503から伝送されたテンプレートと、を用いて、最終認証処理を行う。
【0141】
認証部505は、登録データ取得部503から伝送されたテンプレートを用いて、認証情報の認証処理を行う。認証処理の結果、情報処理装置15から取得した画像情報とテンプレートとの類似度が所定の閾値以上であった場合に、認証部505は、伝送された認証情報の最終認証が成功したと判断する。また、生体情報とテンプレートとの類似度が所定の閾値未満であった場合には、認証部505は、伝送された認証情報の認証に失敗したと判断する。
【0142】
認証部505は、認証情報(画像情報)の認証結果を記載した情報を認証結果情報として、後述する認証結果伝送部507に伝送する。
【0143】
認証結果伝送部507は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。認証結果伝送部507は、認証部505から伝送された認証結果情報を、情報処理装置15へと伝送する。この際、認証結果伝送部507は、伝送する認証結果情報のヘッダ等に認証を行った生体情報に関連付けられた識別情報を記載してもよく、認証結果情報のファイル名等にサムネイル情報に関連付けられた識別情報を記載してもよい。
【0144】
また、認証結果伝送部507は、認証結果が得られた認証情報に関して、最終的な認証結果が得られたことを表す情報を、情報処理装置15に通知してもよい。このような情報を伝送することで、各階層に属する認証処理装置は、該当する認証情報に対する認証処理を実行する必要があるのか否かを、容易に判断することができる。
【0145】
以上、本実施形態に係る認証処理装置50の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0146】
なお、上述のような本実施形態に係る認証処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0147】
[通過情報の伝送方法について]
本実施形態に係る生体認証システム20内では、認証処理に成功した登録生体情報の識別情報が伝送される。ここで、システム20内で伝送される通過情報は、伝送元の認証処理装置で認証に成功した登録生体情報の識別情報一つから構成されていてもよい。また、システム20内で伝送される通過情報には、認証に成功した登録生体情報の識別情報が複数記載されていてもよい。このようなバッチ処理を実施することで、システム20内で発生する通過情報のトラフィック量を削減することが可能となり、システムにかかる負荷を削減することができる。
【0148】
なお、複数の情報をまとめて伝送する手法は、情報処理装置15と生体認証システム20との間で行われる認証情報の伝送にも適用可能である。
【0149】
なお、上述の説明では、一人の被認証者の異なる生体画像を同時に認証するために、階層間に複数の待ち行列を設ける旨を説明した。この階層間に複数の待ち行列を設ける手法は、本実施形態に係る情報処理装置15か否かにかかわらず、生体画像が入力される情報処理装置が複数台存在し、これら複数台の情報処理装置から伝送される複数の生体画像を同時に処理する場合にも利用可能である。
【0150】
(ハードウェア構成について)
次に、図10を参照しながら、本発明の実施形態に係る情報処理装置10,15のハードウェア構成について、詳細に説明する。図10は、本発明の実施形態に係る情報処理装置10,15のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0151】
情報処理装置10,15は、上述の撮像部101以外に、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、情報処理装置10,15は、更に、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919と、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備える。
【0152】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置10,15内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0153】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0154】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、情報処理装置10,15の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置10,15のユーザは、この入力装置915を操作することにより、情報処理装置10,15に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0155】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、情報処理装置10,15が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置10,15が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0156】
ストレージ装置919は、情報処理装置10,15の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0157】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置10,15に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、メモリースティック、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0158】
接続ポート923は、機器を情報処理装置10,15に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、i.Link等のIEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、情報処理装置10,15は、外部接続機器929から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器929に各種のデータを提供したりする。
【0159】
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0160】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置10,15の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0161】
なお、本発明の第2の実施形態に係る認証処理装置30,40,50のハードウェア構成は、本発明の実施形態に係る情報処理装置10,15のハードウェア構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0162】
(まとめ)
以上説明したように、本発明の実施形態に係る情報処理装置および認証データの選択方法では、生成された複数の生体画像の中から、生体認証処理に用いられるのにふさわしい生体画像を、生成された複数の生体画像間の類似度を利用して選択する。生体認証処理に用いられるのにふさわしい生体画像は、安定性および多様性という2つの条件を兼ね備えるものであるが、本発明の実施形態では、この2つの条件を2種類の閾値を利用して判定する。
【0163】
本発明の実施形態に係る情報処理装置および認証データの選択方法は、正規の登録者であるにもかかわらず1回目の認証処理に失敗した場合に効果的な手法であり、かかる手法により、認証時間の効率化を図ることが可能となる。これにより、本発明の実施形態に係る情報処理装置および認証データの選択方法では、画像撮像時における撮像条件の変化の影響を回避し、認証処理の効率化を図りながら本人拒否率を低下させることができる。
【0164】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0165】
例えば、上述の説明では、認証部および認証処理装置において、類似度が所定の閾値以上となったか否か(すなわち、一次元相互相関法や位相限定相関法等の相関を用いて2つの情報の類似度を判定する場合)について説明した。しかしながら、上述の例に限定されるわけではなく、差分の総和を用いて類似度を判定してもよい。差分の総和を用いる方法の例として、差分絶対値和(Sum of Absolute Difference:SAD)および差分自乗和(Sum of Squared Difference:SSD)がある。差分の総和を用いて類似度を判定する場合には、算出した総和が所定の閾値以下となったか否かに基づいて、類似度の判定を行う。
【符号の説明】
【0166】
10,15 情報処理装置
20 生体認証システム
30,40,50 認証処理装置
60,70 待ち行列
80 登録生体画像データベース
101 撮像部
103 撮像制御部
105 生体画像抽出部
107 生体画像選択部
109 選択生体画像格納部
111 認証部
113,125 表示制御部
115 記憶部
121 認証要請部
123 認証結果取得部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者の生体の一部を撮像して生成された複数の撮像データに基づいて、被認証者の身体的な特徴を現した生体パターンに対応する画像である生体画像を複数抽出する生体画像抽出部と、
複数の前記生体画像間の類似度に基づいて、生体認証処理に利用される前記生体画像を前記複数の生体画像の中から選択する生体画像選択部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記生体画像抽出部は、
前記複数の生体画像のうちある一つの生体画像を着目画像とし、前記着目画像の前後に撮像された所定枚数の前記生体画像それぞれと、前記着目画像との類似度を算出し、
算出した全ての類似度が第1の閾値超過であった場合に、前記着目画像を、生体認証処理に利用される画像として選択する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記生体画像選択部により選択された生体画像である選択生体画像が格納される選択生体画像格納部を更に備え、
前記生体画像選択部は、
前記選択生体画像格納部に前記複数の生体画像の中から選択された選択生体画像が既に格納されている場合、既に格納されている前記選択生体画像と、新たに選択された前記選択生体画像との類似度を算出し、
算出された選択生体画像間の類似度が第2の閾値未満である場合、前記新たに選択された選択生体画像を前記選択生体画像格納部に格納する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記選択生体画像を予め登録された生体画像である登録生体画像に基づいて認証する認証部を更に備え、
前記認証部は、一の前記選択生体画像に関する認証が失敗した場合、認証に失敗した前記選択生体画像とは異なる前記選択生体画像に関する認証を実施する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記認証部は、所定時間の間、前記選択生体画像に関する認証が失敗し続けた場合に、前記被認証者の認証に失敗したと判断する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は、
前記選択生体画像格納部に格納された前記選択生体画像の認証を、自装置の外部に設けられた認証処理装置に要請する認証要請部と、
前記認証処理装置における認証結果を取得する認証結果取得部と、
を更に備え、
前記認証結果取得部は、前記認証要請部から伝送された認証要請に対応する一の前記選択生体画像に関する認証結果を取得し、
前記認証要請部は、前記一の選択生体画像に関する認証結果が認証失敗を表すものであった場合に、認証に失敗した前記選択生体画像とは異なる前記選択生体画像の認証要請を前記認証処理装置に伝送する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の撮像データは、前記生体の一部を連続して撮像することで生成された画像フレームである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
被認証者の生体の一部を撮像して生成された複数の撮像データに基づいて、被認証者の身体的な特徴を現した生体パターンに対応する画像である生体画像を複数抽出するステップと、
複数の前記生体画像間の類似度に基づいて、生体認証処理に利用される前記生体画像を前記複数の生体画像の中から選択するステップと、
を含む、認証データ選択方法。
【請求項9】
コンピュータに、
被認証者の生体の一部を撮像して生成された複数の撮像データに基づいて、被認証者の身体的な特徴を現した生体パターンに対応する画像である生体画像を複数抽出する生体画像抽出機能と、
複数の前記生体画像間の類似度に基づいて、生体認証処理に利用される前記生体画像を前記複数の生体画像の中から選択する生体画像選択機能と、
を実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−277315(P2010−277315A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128971(P2009−128971)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】