説明

情報制御装置、情報制御方法、情報制御プログラム、および記録媒体

【課題】利用者の車両に対する占有時間を必要最小限に抑えること。
【解決手段】情報制御装置100は、車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられる。情報制御装置100は、たとえば、ナビゲーション装置や管理サーバなどにより実現することができる。情報制御装置100は、利用者からの入力に基づいて施設などの目的地に関する情報を設定する。情報制御装置100は、設定した目的地に関する情報により示される目的地の近傍に位置する車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地への経路を探索する。これにより、利用者に対して、目的地近傍の車両基地を提示することができ、車両の返却を促すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両などの移動体に搭載される情報制御装置、情報制御方法、情報制御プログラム、および記録媒体に関する。ただし、この発明は、上述の情報制御装置、情報制御方法、情報制御プログラム、および記録媒体に限られない。
【背景技術】
【0002】
近年、原油の高騰化が進み、自動車を保有する敷居が高くなりつつある。また、脱原油の波も受け、世界的規模で次世代自動車(燃料電池自動車、電気自動車、水素自動車等)の研究や開発が加速し、一般実用化に向けて進んでいる。また、原油乱用による地球温暖化に対する意識も今後さらに高まることが見込まれ、世界的な規模で自動車に対する解決策が模索されている。
【0003】
そこで、予め登録された複数の会員で車両を共有するカーシェアリングシステムという車両の利用態様が広まりつつある(たとえば、下記特許文献1参照)。また、利用者が所定の料金を支払うことにより事業者から車両を借りるレンタカーシステムという車両の利用態様も、同様の問題への解決方法の一つとしてかねてから実施されている。
【0004】
このようなレンタカーシステムおよびカーシェアリングシステムにより、車両の全体の台数を削減したり、個人での車両の維持管理を不要としたり、公共交通機関の利用が促進されたりするなど、様々なメリットが得られる。特に交通が過密状態にあり、維持費用が高額な都市部においては、カーシェアリングシステムやレンタカーシステムに対するニーズが大きいものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−183749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術は、一人の利用者が予定の返却時間を超えたり、不必要に長時間車両を占有したりすると、他の利用者が車両を利用することができなくなってしまい、貸車システムを有効利用することができないといった問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる情報制御装置は、車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられる情報制御装置であって、利用者からの入力に基づいて目的地に関する情報を設定する設定手段と、前記設定手段によって設定された目的地に関する情報により示される目的地の近傍に位置する車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地への経路を探索する経路探索手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明にかかる情報制御装置は、車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられ、車両に搭載されて目的地までの経路を案内する情報制御装置であって、車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地への経路を探索するサーバへ、利用者の操作に基づき目的地に関する情報を送信する送信手段と、送信した前記目的地に関する情報に基づいて探索された目的地の近傍に位置する前記車両基地への経路に関する情報を受信する受信手段と、を備え、前記受信手段により受信した経路に関する情報を基に経路案内をおこなうことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明にかかる情報制御方法は、車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられる情報制御装置の情報制御方法であって、前記情報制御装置は、利用者からの入力に基づいて目的地に関する情報を設定する設定工程と、前記設定工程によって設定された目的地に関する情報により示される目的地の近傍に位置する車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地への経路を探索する経路探索工程と、を実行することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の発明にかかる情報制御方法は、車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられ、車両に搭載されて目的地までの経路を案内する情報制御装置の情報制御方法であって、前記情報制御装置は、車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地への経路を探索するサーバへ、利用者の操作に基づき目的地に関する情報を送信する送信工程と、送信した前記目的地に関する情報に基づいて探索された目的地の近傍に位置する前記車両基地への経路に関する情報を受信する受信工程と、前記受信工程により受信した経路に関する情報を基に経路案内をおこなう案内工程と、を実行することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6の発明にかかる情報制御プログラムは、請求項4または5に記載の情報制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7の発明にかかる記録媒体は、請求項6に記載の情報制御プログラムをコンピュータに読み取り可能に記録したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態にかかる情報制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかる情報制御装置の情報制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるカーシェアリングシステムのシステム構成図である。
【図4】本実施例にかかる管理サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】目的地を設定する際の情報制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】車両が走行している際の情報制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】車両が目的地に到達した際の情報制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報制御装置、情報制御方法、情報制御プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態)
(情報制御装置の機能的構成)
この発明の実施の形態にかかる情報制御装置の機能的構成について説明する。情報制御装置は、車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられるものである。貸車システムは、予め登録された利用者が例えば基本料金を支払うことにより、当該利用者間で車両を共有するカーシェアリングシステムや、不特定多数の利用者が所定の料金を支払うことにより車両を借りるレンタカーシステムである。カーシェアリングシステムにおいては、車両を管理し、貸し出しや返却を受け付ける車両基地としての複数のターミナルを設置し、利用者があるターミナルで借りた車両を、他のターミナルにて返却することが可能になっている。
【0016】
また、情報制御装置は、代表的には、車両に搭載されるナビゲーション装置や利用者が所持する携帯電話装置などの端末装置と通信接続可能な管理サーバによって実現されるが、ナビゲーション装置によって実現することも可能である。
【0017】
図1は、本実施の形態にかかる情報制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図1において、情報制御装置100は、格納部101と、設定部102と、検索部103と、出力部104と、変更部105と、経路探索部106と、記録部107と、取得部108と、出力制御部109とを備えている。
【0018】
格納部101は、車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地の位置情報を格納する。なお、格納部101は、車両基地の位置情報のほかにも、車両基地の情報として、たとえば、車両基地の名称や、当該車両基地の収容台数や、リアルタイムの車両台数などの情報を格納する。
【0019】
設定部102は、利用者からの入力に基づいて目的地を設定する。目的地は、代表的には施設が挙げられるが、道路上の地点など、地図上に表示される全ての地点を含む。情報制御装置100を管理サーバによって実施した場合、目的地の情報は、図示せぬ受信部によってナビゲーション装置から受信される。情報制御装置100をナビゲーション装置によって実施した場合、目的地の情報は、たとえば、図示せぬ操作入力部によって利用者から操作入力される。
【0020】
検索部103は、格納部101に格納されている車両基地の位置情報と、設定部102に設定された目的地の位置情報とを用い、当該目的地近傍の車両基地を検索する。検索部103は、具体的には、たとえば、緯度経度情報や、エリアごとに設定されるエリアコードなどを用いて、目的地近傍の車両基地を検索する。
【0021】
出力部104は、検索部103によって検索された目的地近傍の車両基地の情報を出力する。車両基地の情報は、車両基地の名称や位置の情報のほか、当該車両基地までの経路の情報などである。情報制御装置100を管理サーバによって実施した場合、出力部104から出力された情報は、図示せぬ送信部によって、ナビゲーション装置へ送信される。なお、情報制御装置100をナビゲーション装置によって実施した場合、出力部104から出力された情報は、図示せぬ表示部などによって表示出力される。
【0022】
また、本実施の形態において、検索部103は、目的地として施設が設定され、当該施設が予め設定される所定の属性である場合に、目的地近傍の車両基地を検索するようにしてもよい。この属性は、たとえば、施設のジャンルごとに予め設定されており、具体的には、施設での予測滞在時間を用いて予め設定されている。予測滞在時間は、施設にて予測される駐車時間であり、統計や履歴などに基づいて設定されている。
【0023】
具体例を挙げると、予測滞在時間は、銀行の場合30分、コンビニエンスストアの場合5分、映画館の場合2時間半、遊園地の場合5時間などである。そして、予測滞在時間が所定時間以上(たとえば、1時間以上)の施設に対して、所定の属性が設定されている。検索部103は、所定の属性が設定されている施設、すなわち、予測滞在時間が1時間以上の施設、が目的地として設定されている場合に、車両基地を検索する。検索結果は、出力部104により出力される。
【0024】
また、利用者が滞在予定時間を自ら入力し、当該入力された滞在予定時間に基づいて所定の属性を設定してもよい。たとえば、利用者が目的地としての施設を設定した際に当該施設での滞在予定時間を入力する。滞在予定時間が入力されなかった場合、予め設定されている当該施設のジャンルに応じた所定の属性に基づいて検索部103により当該施設(目的地)近傍の車両基地を検索する。
【0025】
滞在予定時間が入力された場合には、当該入力された滞在予定時間に基づいて所定の属性を設定する。具体的には、たとえば、利用者が目的地として銀行を設定した際に、当該銀行にて口座開設手続き等を予定しており、滞在予定時間を1時間と入力した場合、当該入力された1時間を予測滞在時間として所定の属性を設定する。よって、検索部103では当該銀行近傍の車両基地を検索する。
【0026】
逆に目的地として映画館を設定した際に、当該映画館では映画を鑑賞するのではなく予約のみをおこなうことを予定しており、滞在予定時間を30分と入力した場合、当該映画館に対し所定の属性を設定しない(予め所定の属性が設定されている場合には、その属性を取り消す)。よって、検索部103では当該映画館近傍の車両基地を検索しない。
【0027】
なお、滞在予定時間を入力する際に予め設定されていた予測滞在時間を利用者に提示し、当該提示した予測滞在時間を参考に入力させるようにしてもよい。また、目的地として設定された施設がガソリンスタンド等車両の乗り入れを必須とする施設の場合には、予測滞在時間、滞在予定時間にかかわらず検索部103による検索をおこなわないようにしてもよい。
【0028】
なお、属性に応じた車両基地の出力の手法としては、属性に応じて検索部103が検索をおこなうことに限らず、属性にかかわらず検索部103が車両基地の検索をおこなうようにし、所定の属性の施設が目的地として設定されている場合に、図示せぬ制御部が、車両基地を出力するようにして、出力を制御する構成とすることも可能である。
【0029】
また、本実施の形態において、変更部105は、任意の構成要素である。変更部105は、目的地として施設が設定され、当該施設が所定の属性である場合に、検索部103によって検索された目的地近傍の車両基地の中から、目的地に最も近い車両基地に目的地を変更する。また、変更部105は、施設から所定距離内に車両基地が存在する場合に、当該車両基地に目的地を変更する。所定距離内とは、当該車両を用いることなく車両基地から施設まで行くことのできる範囲であり、たとえば、徒歩の場合、1kmといった範囲である。
【0030】
また、本実施の形態において、設定部102は、出力部104による出力を受けて、目的地近傍の車両基地に目的地を変更する旨の情報を受け付けることにより、目的地を再設定するようにしてもよい。この構成について、情報制御装置100を管理サーバによって実施した場合を具体的に説明する。
【0031】
管理サーバによる出力部104からの出力により、すなわち、ナビゲーション装置への検索結果の送信により、ナビゲーション装置は、利用者に対し目的地近傍の車両基地へ目的地を変更するか否かをディスプレイに表示する。そして、ナビゲーション装置は、利用者から車両基地への目的地の変更を受け付けると、受け付けた情報を管理サーバに送信する。この送信を受けて、管理サーバは、目的地を再設定する。なお、本構成において、利用者から車両基地への目的地の変更を受け付けない場合は、目的地の再設定をおこなわない。
【0032】
また、ナビゲーション装置により情報制御装置100を実施した場合、ディスプレイなどの出力部104から、車両基地へ目的地を変更するか否かを表示するとともに、利用者から車両基地へ目的地を変更するか否かを受け付けるようにし、車両基地への目的地の変更を受け付けた場合に、目的地を再設定すればよい。
【0033】
また、本実施の形態において、経路探索部106は、任意の構成要素である。経路探索部106は、設定部102に設定された目的地までの推奨経路を探索する。検索部103は、たとえば、ダイクストラ法により目的地までの推奨経路を探索する。この場合、出力部104は、経路探索部106によって探索された推奨経路を出力する。
【0034】
ここで、本実施の形態において、強制的に車両基地を目的地に設定し、強制的に当該車両基地までの経路を探索することも可能である。この場合、図示せぬ制御部を備える。この制御部は、設定部102に設定された目的地での予測滞在時間が所定時間以上(たとえば、1時間以上)である場合に、経路探索部106に対して、目的地近傍の車両基地を目的地として経路を探索させる。なお、本構成は、上述した変更部105による目的地のみを変更する構成とは異なり、経路を強制的に探索するものである。
【0035】
また、本実施の形態において、記録部107と、取得部108と、出力制御部109とは、任意の構成要素である。記録部107は、経路探索部106によって探索された推奨経路を記録する。取得部108は、車両の位置情報を取得する。車両の位置情報は、リアルタイムの現在位置の情報や、走行を完了した履歴情報などである。
【0036】
出力制御部109は、取得部108によって取得された車両の位置情報が、記録部107に記録されている推奨経路から所定量以上逸脱した場合に、所定の情報を出力させる。所定量は、所定距離、所定時間、所定回数である。所定の情報は、所定の超過料を課す旨の情報や、逸脱している旨の情報である。
【0037】
超過料は、代表的には、料金に関するものである。所定の超過料を課す情報は、逸脱の度合いに応じて、すなわち、逸脱した時間や距離が長くなればなるほど、超過料を高くしてもよい。なお、超過料を課すほかにも、たとえば、利用者へのサービスを提供するためのポイントの没収や、利用者ごとに貸出制限をおこなうための評価ポイントの没収などであってもよい。また、逸脱している旨の情報は、たとえば、推奨経路に戻る旨の通知や警告のほか、超過料が発生する旨の通知などであってもよい。上述したような出力制御部109を備えた構成において、出力部104は、出力制御部109の制御により所定の情報を出力する。
【0038】
(情報制御装置の情報制御処理手順)
つぎに、図2を用いて、情報制御装置100の情報制御処理手順について説明する。図2は、本実施の形態にかかる情報制御装置100の情報制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0039】
図2のフローチャートにおいて、情報制御装置100は、設定部102に目的地が設定されたか否かを判断する(ステップS201)。目的地が設定されるまで待機状態にあり(ステップS201:Noのループ)、目的地が設定されると(ステップS201:Yes)、検索部103は、格納部101に格納されている車両基地の中から、設定された目的地近傍の車両基地を検索する(ステップS202)。そして、出力部104が検索結果を出力し(ステップS203)、一連の処理を終了する。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態にかかる情報制御装置100によれば、予め格納されている車両基地の中から、設定された目的地近傍の車両基地を検索するようにしたので、利用者に対して、目的地近傍の車両基地を提示し、車両の返却を促すことができる。したがって、利用者の車両に対する占有時間を必要最小限に抑えることができる。これにより、他の利用者に車両を使用させる時間を増加させることができ、たとえば、あたかも公共交通機関を利用するかのように、予約などを不要とした、いつでも簡単に利用することのできるカーシェアリングシステムを提供することが可能になる。
【0041】
また、目的地に設定された施設が予め設定される所定の属性である場合に、目的地近傍の車両基地を検索するようにすれば、目的地の施設に応じて、利用者に車両の返却を促すことができる。特に、予測滞在時間が長い施設の場合に、目的地近傍の車両基地を検索するようにすれば、一人の利用者が長時間車両を占有することを抑制させることができる。
【0042】
また、目的地として設定された施設が所定の属性である場合に、目的地近傍の車両基地の中から、目的地に最も近い車両基地に目的地を変更するようにすれば、車両の返却をより促すことができる。したがって、利用者の車両に対する占有時間を最小限に抑えることができる。
【0043】
また、施設から所定距離内に車両基地が存在する場合に、当該車両基地に目的地を変更するようにすれば、たとえば、施設から徒歩圏内の車両基地に車両を返却させることができ、利用者の利便性を考慮して車両の返却を促すことができる。
【0044】
また、目的地近傍の車両基地に目的地を変更する旨の情報を受け付けることにより、目的地を再設定するようにすれば、目的地の変更にあたり、利用者の意向を反映させることができる。
【0045】
また、設定された目的地までの推奨経路を探索するようにし、探索した推奨経路を出力するようにすれば、利用者に対して最短または最速となる経路を提示することができる。そして、利用者が当該推奨経路を走行することにより、利用者の車両に対する占有時間を最小限に抑えることができる。
【0046】
また、探索した推奨経路を記録するようにし、車両の位置情報が、推奨経路から所定量以上逸脱した場合に、所定の情報を出力するようにすれば、利用者に対して、逸脱していることを認識させることができるとともに、推奨経路の走行を促すことができる。したがって、利用者が当該推奨経路を走行することにより、利用者の車両に対する占有時間を最小限に抑えることができる。
【0047】
また、車両の位置が推奨経路から所定量以上逸脱した場合に、当該利用者に対して、所定の超過料を課す旨の情報を出力するようにすれば、逸脱時に超過料としてのペナルティを科すことができる。したがって、利用者に推奨経路の走行を促すことができる。
【0048】
また、所定の超過料を、逸脱の度合いに応じたものとすれば、すなわち、逸脱の度合いに応じて超過料を高くするようにすれば、大きな逸脱を抑制させることができる。したがって、一人の利用者が長時間車両を占有することを抑制させることができる。
【0049】
また、車両の位置が推奨経路から所定量以上逸脱した場合に、逸脱している旨の情報を出力させるようにすれば、利用者に対して、逸脱していることを認識させることができるとともに、推奨経路の走行を促すことができる。特に、逸脱している旨の情報を、推奨経路に戻る旨の情報や警告する旨の情報のほか、超過料が発生する旨の情報などとすれば、推奨経路の走行をより促すことができる。
【0050】
また、設定された目的地での予測滞在時間が所定時間以上である場合に、目的地近傍の車両基地を目的地として経路を探索させるようにした構成としたとしても、同様に、利用者に対して、車両の返却を促すことができる。したがって、利用者の車両に対する占有時間を必要最小限に抑えることができる。これにより、他の利用者に車両を使用させる時間を増加させることができ、たとえば、あたかも公共交通機関を利用するかのように、予約などを不要とした、いつでも簡単に利用することのできるカーシェアリングシステムを提供することが可能になる。
【実施例】
【0051】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、管理サーバおよびナビゲーション端末によって構成されるカーシェアリングシステムを実施した場合の一例について説明する。実施の形態に示した情報制御装置100は、管理サーバによって実現される。なお、カーシェアリングシステムにおいては、車両を管理し、貸し出しや返却をおこなう車両基地としてのターミナルを設置し、利用者があるターミナルで借りた車両を、他のターミナルにて返却することが可能になっている。
【0052】
また、本実施例におけるカーシェアリングシステムでは、利用者に車両を貸し出すことにより、貸出時間や車両の走行距離に応じた料金を利用者に課金するとともに、渋滞などの不可抗力を除いて、予定の貸出時間や予定の走行距離を超過した場合には、所定の割増金額が課金されるようになっている。
【0053】
(カーシェアリングシステムのシステム構成)
まず、図3を用いて、本実施例にかかるカーシェアリングシステムのシステム構成について説明する。図3は、本実施例にかかるカーシェアリングシステムのシステム構成図である。図3において、カーシェアリングシステム300は、管理サーバ310と、ナビゲーション端末320とで構成されている。
【0054】
管理サーバ310は、ナビゲーション端末320に対して、インターネットなどのネットワークを介して接続される。管理サーバ310は、会員登録された利用者の情報の管理、車両の運行状況の管理、基本料金や支払いなどに関する管理などをおこなう。また、管理サーバ310は、たとえば、ナビゲーション端末320から目的地の情報を受信するとともに、当該目的地近傍のターミナルを検索したり、目的地までの推奨経路を探索したりし、検索結果や推奨経路の情報をナビゲーション端末320へ送信する。
【0055】
ナビゲーション端末320は、たとえば、車両に搭載され、利用者から目的地の入力を受け付けるとともに、目的地近傍のターミナルの情報の提示や、目的地までの推奨経路の誘導などをおこなう。なお、本実施例において、推奨経路は、管理サーバ310によって探索されたものとするが、ナビゲーション端末320自身によって探索されたものであってもよい。
【0056】
また、ナビゲーション端末320は、車両の現在位置の情報や走行履歴情報を取得するとともに、取得した情報を適宜、管理サーバ310へ送信する。なお、ナビゲーション端末320は、目的地の入力がおこなわれ、かつ、推奨経路が設定されない限り、車両を走行できないように、たとえば、エンジンがかからないように駆動系を制御したり、ハンドルのロックを解除させないように操作系を制御したりしてもよい。
【0057】
なお、管理サーバ310は、ナビゲーション端末320のほかにも、携帯電話装置やPCなどの利用者端末装置と接続可能である。この携帯電話装置やPCを用い、管理サーバ310とインターネットを介して接続することにより、車両の予約をおこなうことが可能である。なお、車両を利用する際には、必ずしも車両の予約を必要とするものではなく、利用者が車両の利用を希望するときに利用者がターミナルまで出向き、当該ターミナルに車両の在庫がある場合に、利用可能とすればよい。
【0058】
(管理サーバのハードウェア構成)
図4を用いて、本実施例にかかる管理サーバ310のハードウェア構成について説明する。図4は、本実施例にかかる管理サーバ310のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0059】
図4において、管理サーバ310は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、磁気ディスクドライブ404と、磁気ディスク405と、光ディスクドライブ406と、光ディスク407と、通信I/F408とを備えている。また、各構成部401〜408はバス420によってそれぞれ接続されている。
【0060】
CPU401は、管理サーバ310の全体の制御を司る。ROM402やフラッシュROM等の書換え可能な不揮発性メモリは、ブートプログラム、情報制御プログラムなどの各種プログラムを記録している。また、RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。
【0061】
情報制御プログラムは、情報検索プログラム、目的地変更プログラム、経路探索プログラム、出力制御プログラムを有する。情報検索プログラムは、磁気ディスク405に記録
されているターミナルの位置情報と、通信I/F408によりナビゲーション端末320から受信した目的地の位置情報とを用い、目的地近傍のターミナルを検索するプログラムである。検索されたターミナルの情報は、通信I/F408によりナビゲーション端末320に送信される。なお、この情報検索プログラムは、目的地として設定された施設が予め設定される所定の属性である場合に、目的地近傍のターミナルを検索する。なお、図1に示した、検索部103は、CPU401によって実現される。すなわち、CPU401が情報検索プログラムを実行することにより、検索部103の機能を実現する。
【0062】
目的地変更プログラムは、目的地として設定された施設が所定の属性である場合に、情報検索プログラムによって検索された目的地近傍のターミナルの中から、目的地に最も近いターミナルに目的地を変更するプログラムである。なお、目的地の変更は、目的地変更プログラムによるものに限らず、利用者からの入力に基づき、ナビゲーション端末320から目的地を変更する旨の情報を受信した場合に、目的地を変更(再設定)することも可能である。なお、図1に示した、変更部105は、CPU401によって実現される。すなわち、CPU401が目的地変更プログラムを実行することにより、変更部105の機能を実現する。
【0063】
経路探索プログラムは、後述する磁気ディスク405に記録されている地図データなどを利用して、出発地から目的地までの最適な推奨経路を探索させる。なお、経路探索プログラムは、設定された目的地が所定の属性である場合に、目的地近傍のターミナルを目的地として探索するプログラムとしてもよい。
【0064】
推奨経路は、渋滞情報などを加味し、目的地までの最短(または最速)経路やユーザが指定した条件に最も合致する経路などである。探索された推奨経路は、磁気ディスクドライブ404の制御により磁気ディスク405に記録されるとともに、通信I/F408を介してナビゲーション端末320へ送信される。図1に示した、経路探索部106は、CPU401によって実現される。すなわち、CPU401が経路探索プログラムを実行することにより、経路探索部106の機能を実現する。
【0065】
出力制御プログラムは、通信I/F408を介して取得した車両の位置情報が、経路探索プログラムにより磁気ディスク405に記録した推奨経路から所定量以上逸脱した場合に、所定の超過料を課す旨の情報や、逸脱している旨の情報を出力させるプログラムである。出力された情報は、通信I/F408により、ナビゲーション端末320に送信される。また、出力された情報のうち、所定の超過料の情報は、利用者ごとの課金情報として、磁気ディスク405に記録される。図1に示した、出力制御部109は、CPU401によって実現される。すなわち、CPU401が出力制御プログラムを実行することにより、出力制御部109の機能を実現する。
【0066】
磁気ディスクドライブ404は、CPU401の制御にしたがって磁気ディスク405に対する情報の読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク405は、磁気ディスクドライブ404の制御によって書き込まれた情報を記録する。磁気ディスク405としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0067】
磁気ディスク405は、利用者の識別情報や個人情報などの会員情報、ターミナルの情報、施設ごとの属性情報、目的地までの推奨経路の情報、基本料金の支払いや超過料などの金額に関する情報などを記録する。識別情報は、利用者ごとに設定されるIDやパスワードなどである。個人情報は、住所、氏名、生年月日、趣味、職業、などである。ターミナルの情報は、ターミナルの位置や名称の情報などである。
【0068】
属性情報は、施設のジャンルごとに、たとえば、予測滞在時間が1時間以上の施設に設定されている。施設のジャンルは、具体的には、映画館、遊園地、デパートなどであり、利用者の利用状況などに応じて、更新することも可能である。なお、図1に示した、格納部101および記録部107は、磁気ディスク405によって実現される。
【0069】
光ディスクドライブ406は、CPU401の制御にしたがって光ディスク407に対する情報の読み取り/書き込みを制御する。光ディスク407は、光ディスクドライブ406の制御にしたがって情報の読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク407は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱自在な記録媒体として、光ディスク407のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0070】
通信I/F408は、無線を介してネットワークに接続され、管理サーバ310とCPU401とのインターフェースとして機能する。通信I/F408は、上述した情報検索プログラムによる検索結果、経路探索プログラムによる推奨経路の情報、出力制御プログラムによる所定の超過料を課す旨の情報などをナビゲーション端末320に送信する。また、通信I/F408は、目的地の情報や、車両の現在位置の情報などをナビゲーション端末320から受信する。図1に示した、出力部104および取得部108は、通信I/F408によって実現される。
【0071】
図1に示した本実施の形態における情報制御装置100が備える、格納部101と、設定部102と、検索部103と、出力部104と、変更部105と、経路探索部106と、記録部107と、取得部108と、出力制御部109とは、図4に示した管理サーバ310におけるROM402、RAM403、磁気ディスク405、光ディスク407などに記録されたプログラムや情報を用いて、CPU401が所定のプログラムを実行し、管理サーバ310における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0072】
すなわち、本実施例の管理サーバ310は、管理サーバ310における記録媒体としてのROM402に記録されている情報制御プログラムをCPU401が実行することにより、図1に示した情報制御装置100が備える機能を、図2に示した情報制御処理手順で実行することができる。
【0073】
(目的地を設定する際の情報制御処理の一例)
つぎに、図5を用いて、管理サーバ310がおこなう目的地を設定する際の情報制御処理の一例について説明する。図5は、目的地を設定する際の情報制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
図5のフローチャートにおいて、管理サーバ310のCPU401は、通信I/F408を介してナビゲーション端末320から目的地の情報を受信したか否かを判断する(ステップS501)。目的地の情報を受信するまで待機状態にあり(ステップS501:Noのループ)、目的地の情報を受信すると(ステップS501:Yes)、目的地を設定する(ステップS502)。このあと、目的地が所定の属性の施設か否かを判断する(ステップS503)。なお、所定の属性は、上述したように、たとえば、予測滞在時間が1時間以上となる施設であり、デパートや映画館などの施設に予め設定される属性である。
【0075】
目的地が所定の属性の施設であると判断した場合(ステップS503:Yes)、目的地近傍のターミナルを検索する(ステップS504)。そして、ターミナルが目的地から所定距離内に位置するか否かを判断する(ステップS505)。ターミナルが目的地から所定距離内に位置すると判断した場合(ステップS505:Yes)、目的地に最も近いターミナルに目的地を変更する(ステップS506)。
【0076】
このあと、通信I/F408により、目的地を変更した旨の情報をナビゲーション端末320へ送信する(ステップS507)。そして、ナビゲーション端末320では、ディスプレイにより、目的地を変更した旨の情報が出力されるとともに、変更を了承するか否かの通知がおこなわれる。そして、利用者からの変更を了承するか否かの入力があると、ナビゲーション端末320からの当該情報の送信を受けて、管理サーバ310では、利用者から変更を了承する旨の情報を受信したか否かを判断する(ステップS508)。
【0077】
変更を了承する旨の情報を受信したと判断した場合(ステップS508:Yes)、ターミナルまでの推奨経路を探索し(ステップS509)、推奨経路の情報をナビゲーション端末320へ送信する(ステップS510)。そして、車両を利用する際の基準となる基準料金の算出をおこなう(ステップS511)。なお、目的地をターミナルに変更した場合の基準料金は、目的地をターミナルに変更しない場合の基準料金に比べて、割安な料金として算出される。このあと、磁気ディスクドライブ404を制御し、基準料金の情報と、推奨経路の情報とを磁気ディスク405に記録し(ステップS512)、一連の処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS503において、目的地が所定の属性の施設ではないと判断した場合(ステップS503:No)、設定した目的地までの推奨経路を探索し(ステップS513)、ステップS510におけるナビゲーション端末320への推奨経路の送信をおこなう。また、ステップS505において、ターミナルが目的地から所定距離内に位置しないと判断した場合(ステップS505:No)、すなわち、ターミナルが目的地から遠い場合、ステップS513における目的地までの推奨経路の探索をおこなう。なお、この場合において算出される基準料金は、割引などのない通常の基準料金とすればよい。
【0079】
なお、目的地が施設ではない場合や、ステップS503において所定の属性の施設ではない場合や、ステップS505においてターミナルが目的地から所定距離内に位置しない場合などであっても、ターミナルの情報をナビゲーション端末320へ送信し、ナビゲーション端末320にて利用者から当該ターミナルへの目的地の変更を受け付けた場合には、ターミナルまでの推奨経路を探索するようにしてもよい。そして、目的地がターミナルに変更された場合には、算出される基準料金は、目的地をターミナルに変更しない場合の基準料金に比べて、割安な料金とすればよい。
【0080】
また、ステップS508において、変更を了承する旨の情報を受信しない場合(ステップS508:No)、すなわち、利用者が変更を了承しない場合、予め設定していた目的地に再度設定し直し、ステップS513における目的地までの推奨経路の探索をおこなう。
【0081】
上述した処理によれば、予め記録されているターミナルのうち、目的地近傍のターミナルを検索するようにしたので、利用者に対して、目的地近傍のターミナルを提示し、車両の返却を促すことができる。したがって、たとえば、買い物をしている最中など所用を済ませるまでの間、車両を返却することにより、利用者の車両に対する占有時間を必要最小限に抑えることができる。これにより、他の利用者に車両を使用させる時間を増加させることができ、たとえば、あたかも公共交通機関を利用するかのように、予約などを不要とした、いつでも簡単に利用することのできるカーシェアリングシステムを提供することが可能になる。
【0082】
なお、利用者が車両を返却し、施設にて所用を終えて帰路に就く際には、同様にして車両を借り受ければよい。このように、逐一、車両を返却することが可能になることにより、利用者に対して安価な料金で車両を貸し出すことが可能になる。したがって、より多くの利用者が車両を利用することが可能になるので、カーシェアリングシステムにおける会員を増やすことができ、より利便性の高いカーシェアリングシステムを提供することができる。
【0083】
また、目的地に設定された施設が所定の属性である場合に、目的地近傍のターミナルを検索するようにしたので、目的地の施設に応じて、利用者に車両の返却を促すことができる。特に、映画館など予測滞在時間が長い施設の場合に、目的地近傍のターミナルを検索するようにしたので、一人の利用者が長時間車両を占有することを抑制させることができる。
【0084】
また、目的地近傍のターミナルのうち、目的地に最も近いターミナルに目的地を変更するようにしたので、車両の返却をより促すことができる。したがって、利用者の車両に対する占有時間を最小限に抑えることができる。
【0085】
また、施設から所定距離内にターミナルが存在する場合に、当該ターミナルに目的地を変更するようにしたので、たとえば、施設から徒歩圏内のターミナルに車両を返却させることができ、利用者の利便性を考慮して車両の返却を促すことができる。
【0086】
また、目的地近傍のターミナルに目的地を変更する旨の情報を受け付けることにより、目的地を再設定するようにしたので、目的地の変更にあたり、利用者の意向を反映させることができる。
【0087】
また、上述した処理では、ターミナルからの距離(ステップS505)や、利用者の了承(ステップS508)などを考慮した上で、ステップS509におけるターミナルまでの推奨経路の探索をおこなうようにしているが、これらを考慮せずに、目的地の属性(ステップS503)のみを考慮し、強制的に目的地近傍のターミナルまでの推奨経路を探索するようにしてもよい。このような構成であれば、ターミナル以外を目的地とした推奨経路については利用者に提示しないので、利用者に対して車両の返却を、より促すことができる。
【0088】
(車両が走行している際の情報制御処理の一例)
つぎに、図6を用いて、管理サーバ310がおこなう車両が走行している際の情報制御処理の一例について説明する。図6は、車両が走行している際の情報制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートは、図5に示したフローチャートの後、車両が走行している際の処理を示している。
【0089】
図6のフローチャートにおいて、管理サーバ310のCPU401は、通信I/F408を介してナビゲーション端末320から車両の現在位置の情報を受信する(ステップS601)。そして、磁気ディスクドライブ404を制御し、磁気ディスク405に記録した推奨経路の情報の読み込みをおこなう(ステップS602)。そして、車両が推奨経路に対して、所定距離以上逸脱しているか否かを判断する(ステップS603)。
【0090】
なお、ステップS603における判断は、所定時間以上または所定回数以上逸脱しているか否かを判断するようにしてもよい。また、推奨経路に事故や渋滞等が発生した場合には、経路を再探索することにより、推奨経路は適宜変更される。そして、車両が推奨経路に対して、所定距離以上逸脱していると判断した場合(ステップS603:Yes)、ナビゲーション端末320へ、推奨経路に対して逸脱している旨の情報を送信する(ステップS604)。逸脱している旨の情報は、たとえば、推奨経路に戻ることを促す旨の情報や、所定の超過料が発生する旨の情報である。
【0091】
このあと、車両が目的地に到達したか否かを判断する(ステップS605)。目的地に到達したと判断した場合(ステップS605:Yes)、一連の処理を終了する。なお、ここでいう目的地は、利用者が当初入力した目的地、または、利用者が当初入力した目的地近傍のターミナルのいずれかである。
【0092】
一方、目的地に到達していないと判断した場合(ステップS605:No)、ステップS601における車両の現在位置の情報の取得をおこなう。また、ステップS603において、車両が推奨経路に対して、所定距離以上逸脱していないと判断した場合(ステップS603:No)、ステップS605における目的地に到達したか否かの判断をおこなう。
【0093】
上述した処理によれば、車両の位置が推奨経路から所定距離以上逸脱した場合に、逸脱している旨の情報を出力させるようにしたので、利用者に対して、逸脱していることを認識させることができるとともに、推奨経路の走行を促すことができる。特に、逸脱している旨の情報を、推奨経路に戻る旨の情報や警告する旨の情報のほか、超過料が発生する旨の情報などとすれば、推奨経路の走行をより促すことができる。したがって、利用者が当該推奨経路を走行することにより、利用者の車両に対する占有時間を最小限に抑えることができる。
【0094】
(車両が目的地に到達した際の情報制御処理の一例)
つぎに、図7を用いて、管理サーバ310がおこなう車両が目的地に到達した際の情報制御処理の一例について説明する。図7は、車両が目的地に到達した際の情報制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示すフローチャートは、図6に示したフローチャートの後の処理を示している。
【0095】
図7において、管理サーバ310は、車両の現在位置の情報や目的地の情報を用いて、車両が目的地に到達したか否かを判断する(ステップS701)。車両が目的地に到達するまで待機状態にあり(ステップS701:Noのループ)、車両が目的地に到達すると(ステップS701:Yes)、ナビゲーション端末320から車両の移動履歴情報を受信する(ステップS702)。なお、この場合、たとえば、この移動履歴情報の受信に先立ち、管理サーバ310は、ナビゲーション端末320へ、移動履歴情報を要求する旨の情報を送信してもよい。
【0096】
そして、移動履歴情報と、推奨経路の情報とを比較することにより、車両が所定距離以上逸脱したか否かを判断する(ステップS703)。車両が所定距離以上逸脱したと判断した場合(ステップS703:Yes)、逸脱の度合いに応じた超過料を算出する(ステップS704)。このあと、算出した超過料の情報を出力し(ステップS705)、一連の処理を終了する。
【0097】
なお、出力された超過料の情報は、通信I/F408によりナビゲーション端末320へ送信されるほか、磁気ディスクドライブ404を制御することにより、利用者ごとの課金情報として磁気ディスク405に記録される。そして、磁気ディスク405に記録された課金情報は、たとえば、利用者に対する月々の基本料金に反映され、すなわち、逸脱の多い利用者に対して、その分の超過料を請求することとなる。また、ステップS703において、車両が所定距離以上逸脱していないと判断した場合(ステップS703:No)、一連の処理を終了する。
【0098】
なお、車両が所定距離以上逸脱しなかった場合には、たとえば、利用料金の割引など所定の報酬を付与するようにしてもよい。また、上述した処理では、利用者が目的地に到達した後に、超過料の算出および出力をおこなうようにしたが、利用者が目的地に到達する前に、すなわち、車両が推奨経路から逸脱したタイミングに合わせてリアルタイムに超過料の算出および出力をおこなうことも可能である。
【0099】
また、車両が目的地に到達しなかった場合、具体的には、たとえば、他のターミナルに車両を返却した場合、もともとの推奨経路に対して占有時間が短縮した場合に限り料金を割り引くようにしてもよいし、予定通りの走行が遂行されなかったものとして割増料金を課金するようにしてもよい。
【0100】
上述した処理によれば、車両の位置が推奨経路から所定距離以上逸脱した場合に、当該利用者に対して、所定の超過料を課す旨の情報を出力するようにしたので、逸脱時に超過料としてのペナルティを科すことができる。これにより、利用者に推奨経路の走行を促すことができる。したがって、利用者が当該推奨経路を走行することにより、利用者の車両に対する占有時間を最小限に抑えることができる。
【0101】
また、所定の超過料を、逸脱の度合いに応じたものとしたので、すなわち、逸脱の度合いに応じて超過料を高くするようにしたので、大きな逸脱を抑制させることができる。したがって、一人の利用者が長時間車両を占有することを抑制させることができる。なお、途中で立ち寄りたい場所などがある場合には、利用者は、たとえば、超過距離分や超過時間分の超過料を支払うことにより、当該場所に立ち寄ることは勿論可能である。
【0102】
上述した説明では、管理サーバ310によって本発明の情報制御装置を実施した場合について説明したが、車両に搭載されるナビゲーション装置によって本発明の情報制御装置を実施することも可能である。なお、この場合、たとえば、目的地に到達後に、推奨経路から逸脱したか否かの情報や、所定の超過料を課金する情報などを、車両管理サーバや課金サーバなどの外部サーバに送信し、当該外部サーバにて、各種情報を管理するようにすればよい。
【0103】
以上説明したように、本発明の情報制御装置、情報制御方法、情報制御プログラム、および記録媒体によれば、利用者に対して、目的地近傍の車両基地を提示し、車両の返却を促すことができる。したがって、利用者の車両に対する占有時間を必要最小限に抑えることができる。これにより、他の利用者に車両を使用させる時間を増加させることができ、たとえば、あたかも公共交通機関を利用するかのように、予約などを不要とした、いつでも簡単に利用することのできるカーシェアリングシステムを提供することが可能になる。
【0104】
なお、本実施例で説明した情報制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0105】
100 情報制御装置
101 格納部
102 設定部
103 検索部
104 出力部
105 変更部
106 経路探索部
107 記録部
108 取得部
109 出力制御部
300 カーシェアリングシステム
310 管理サーバ
320 ナビゲーション端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられる情報制御装置であって、
利用者からの入力に基づいて目的地に関する情報を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された目的地に関する情報により示される目的地の近傍に位置する車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地への経路を探索する経路探索手段と、
を備えることを特徴とする情報制御装置。
【請求項2】
車両に搭載され、
前記経路探索手段により探索された経路を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報制御装置。
【請求項3】
車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられ、車両に搭載されて目的地までの経路を案内する情報制御装置であって、
車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地への経路を探索するサーバへ、利用者の操作に基づき目的地に関する情報を送信する送信手段と、
送信した前記目的地に関する情報に基づいて探索された目的地の近傍に位置する前記車両基地への経路に関する情報を受信する受信手段と、
を備え、
前記受信手段により受信した経路に関する情報を基に経路案内をおこなうことを特徴とする情報制御装置。
【請求項4】
車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられる情報制御装置の情報制御方法であって、
前記情報制御装置は、
利用者からの入力に基づいて目的地に関する情報を設定する設定工程と、
前記設定工程によって設定された目的地に関する情報により示される目的地の近傍に位置する車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地への経路を探索する経路探索工程と、
を実行することを特徴とする情報制御方法。
【請求項5】
車両の貸し出しをおこなう貸車システムに用いられ、車両に搭載されて目的地までの経路を案内する情報制御装置の情報制御方法であって、
前記情報制御装置は、
車両の貸し出しまたは返却をおこなう車両基地への経路を探索するサーバへ、利用者の操作に基づき目的地に関する情報を送信する送信工程と、
送信した前記目的地に関する情報に基づいて探索された目的地の近傍に位置する前記車両基地への経路に関する情報を受信する受信工程と、
前記受信工程により受信した経路に関する情報を基に経路案内をおこなう案内工程と、
を実行することを特徴とする情報制御方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の情報制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする情報制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報制御プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−30194(P2013−30194A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234223(P2012−234223)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【分割の表示】特願2008−129842(P2008−129842)の分割
【原出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】