説明

情報収集システム及び情報収集方法のプログラム

【課題】情報収集のためのコストを低くすることができ、無駄に通信が行われることがないようにする。
【解決手段】現在地を検出する現在地検出部と、車両の走行に伴う走行情報を作成する走行情報作成処理手段と、現在地を位置情報として情報センタ51に送信する位置情報送信処理手段と、他車走行実績取得要求を情報センタ51に送信する他車走行実績取得要求処理手段と、他車走行実績取得要求に基づいて、位置情報に基づいて設定された所定のエリア内の車両の走行情報を収集する走行情報収集処理手段とを有する。位置情報に基づいて設定された所定のエリア内の車両の走行情報だけが収集されるので、他車走行実績をリアルタイムに取得することができる。走行情報を情報センタ51に送るための通信費を低くすることができ、情報収集のためのコストを低くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集システム及び情報収集方法のプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、例えば、GPS(グローバルポジショニングシステム)によって車両の現在の位置、すなわち、現在地が検出されるとともに、ジャイロセンサによって検出された車両の旋回角に基づいて、車両の方位、すなわち、自車方位が検出され、データ記録部から地図データが読み出され、表示部に地図画面が形成され、該地図画面に、現在地を表す自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位が表示されるようになっている。したがって、操作者である運転者は、前記地図画面に表示された自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0003】
また、運転者が目的地を入力し、探索条件を設定すると、該探索条件に基づいて、前記地図データに従って現在地で表される出発地から目的地までの経路が探索される。そして、車両を走行させている間、探索された経路、すなわち、探索経路は前記地図画面に自車位置と共に表示される。したがって、運転者は表示された探索経路に沿って車両を走行させることができる。
【0004】
ところで、ナビゲーション装置においては、車両が走行している間の経路を表す移動経路、各走行地点ごとの車両が通過した時間を表す移動時間情報等を管理センタに送り、該管理センタにおいて前記移動経路、移動時間情報等を収集し、該移動経路、移動時間情報等に対して統計処理を行い、道路の混雑状況、出発地から目的地までの所要時間等を算出し、算出された道路の混雑状況、所要時間等を他の車両、すなわち、他車に提供するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−150467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、提供された道路の混雑状況、所要時間等を他車において運転者が利用するかしないかにかかわらず、前記移動経路、移動時間情報等を収集するようになっているので、各移動経路、移動時間情報等を管理センタに送るための通信費が高くなり、情報収集のためのコストが高くなってしまうだけでなく、無駄に通信が行われてしまう。
【0006】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、情報収集のためのコストを低くすることができ、無駄に通信が行われることがない情報収集システム及び情報収集方法のプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の情報収集システムにおいては、現在地を検出する現在地検出部と、車両の走行に伴う走行情報を作成する走行情報作成処理手段と、現在地を位置情報として情報センタに送信する位置情報送信処理手段と、他車走行実績取得要求を情報センタに送信する他車走行実績取得要求処理手段と、前記他車走行実績取得要求に基づいて、前記位置情報に基づいて設定された所定のエリア内の車両の走行情報を収集する走行情報収集処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位置情報に基づいて設定された所定のエリア内の車両の走行情報だけが収集されるので、他車走行実績をリアルタイムに取得することができる。
【0009】
したがって、走行情報を情報センタに送るための通信費を低くすることができ、情報収集のためのコストを低くすることができるだけでなく、無駄な通信が行われることがないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示すブロック図、図2は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャート、図3は本発明の実施の形態における指定エリアの概念図である。
【0012】
図1において、14は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置であり、該ナビゲーション装置14は、現在地を検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、各種のプログラム、データ等に基づいてコンピュータとして機能し、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、自車方位を検出する方位検出部としての方位センサ18、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。また、前記ナビゲーション処理部17には、車速検出部としての車速センサ41も接続される。
【0013】
前記GPSセンサ15は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在地を検出し、併せて時刻を検出する。
【0014】
本実施の形態においては、現在地検出部としてGPSセンサ15が使用されるが、該GPSセンサ15に代えて図示されない距離センサ、ステアリングセンサ、高度計等を単独で、又は組み合わせて使用することもできる。また、前記方位センサ18としてジャイロセンサ、地磁気センサ等を使用することができる。
【0015】
前記データ記録部16は、地図データファイルから成る地図データベースを備え、該地図データベースに地図データが記録される。なお、前記データ記録部16には、所定の情報を音声出力部37によって出力するためのデータも記録される。また、前記地図データには、交差点に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれる。
【0016】
前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用される第1の記録媒体としてのRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録された第2の記録媒体としてのROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される第3の記録媒体としての図示されないフラッシュメモリを備える。なお、前記制御装置として、CPU31に代えてMPU等を使用することもできる。
【0017】
また、前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、第4の記録媒体としてのハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。なお、前記データ記録部16に第5の記録媒体として図示されないメモリカード等を使用することができる。
【0018】
ところで、前記ROM33に各種のプログラムを記録し、前記データ記録部16に各種のデータを記録することができるが、プログラム、データ等をディスクに記録することもできる。この場合、ディスクから前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに書き込むことができる。したがって、ディスクを交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。また、車両に搭載された図示されない自動変速機の制御を行うために自動変速機制御装置が搭載されている場合には、該自動変速機制御装置の制御用のプログラム、データ等も前記ディスクに記録することができる。さらに、通信部38を介して前記プログラム、データ等を受信し、フラッシュメモリに書き込むこともできる。
【0019】
前記操作部34は、運転者が操作することによって、走行開始時の現在地を修正したり、出発地及び目的地を入力したり、通過点を入力したり、通信部38を作動させたりするためのものであり、表示部35とは独立に配設されたキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0020】
前記表示部35としてはディスプレイを使用することができる。そして、表示部35に形成された各種の画面に、現在地を表す自車位置、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができるだけでなく、前記画像操作部、操作部34、音声入力部36等の操作案内、操作メニュー、キーの案内を表示したり、FM多重放送の番組等を表示したりすることができる。
【0021】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から、前記探索経路、案内情報、交通情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【0022】
前記通信部38は、第1の情報提供者としてのVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の図示されない道路交通情報センタから送信された各種の情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するためのビーコンレシーバ、FM放送局を介してFM多重放送として受信するためのFM受信機等を備える。そして、前記ビーコンレシーバによって、渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況情報等の交通情報を受信したり、前記FM受信機によって前記交通情報のほかに、ニュース、天気予報等を受信したりすることができる。なお、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。そして、前記渋滞情報は、渋滞の先頭から末尾までの距離、各道路を構成する道路リンクごとの渋滞度、各道路リンクの所要時間であるリンク所要時間等から成る。
【0023】
また、通信部38は、第2の情報提供者としての情報センタ51から交通情報、ニュース、天気予報等の各種の情報を受信することもできる。そのために、前記通信部38と情報センタ51とはネットワーク43を介して接続される。
【0024】
前記ナビゲーション装置14、道路交通情報センタ、情報センタ51、ネットワーク43等によってナビゲーションシステムが構成され、前記通信部38と情報センタ51の通信部57との間で各種の情報の送受信が行われる。
【0025】
また、前記ネットワーク43として、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信回線網等を使用することができる。
【0026】
前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57及び情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、演算装置及び制御装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備え、所定のプログラム、データ等に基づいてコンピュータとして機能する。また、前記データベース58に前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータを記録することができる。なお、前記サーバ53及びナビゲーション処理部17によってコンピュータを構成することもできる。また、CPU54に代えてMPU等を使用することができる。
【0027】
ところで、本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベースのほかに、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース、一般情報データファイルから成る一般情報データベース等が形成され、前記統計データファイルに統計情報としての統計データが、前記走行履歴データファイルに走行実績情報としての走行履歴データが、前記一般情報データファイルに一般情報としての一般データが記録される。
【0028】
前記統計データは、過去に提供された渋滞情報等の交通情報の履歴を表し、前記道路交通情報センタ等によって提供された交通情報、国土交通省によって提供された道路交通センサスによる交通量を表すデータ(以下「道路交通センサス情報」という。)、国土交通省によって提供され、時刻と渋滞度等との関係を表すデータから成る道路時刻表情報等を単独で、又は組み合わせて使用し、前記交通情報、道路交通センサス情報、道路時刻表情報等に対して統計処理を行うことによって作成される。
【0029】
前記統計データのデータ項目は、過去に車両が走行した経路、すなわち、各走行経路を構成する各道路リンクLi(i=1、2、…、N)についてのリンク番号データ(ID)、走行方向を表す方向フラグ、道路交通情報センタ等によって提供された交通情報であるか、又は道路交通センサス情報であるかを表す情報種別、所定のタイミングtごと、本実施の形態においては、15〔分〕が経過するごとの渋滞の度合いを表す渋滞指標としての渋滞度KJi(t)(i=1、2、…、N)等である。なお、本実施の形態において、渋滞度KJi(t)は、渋滞、混雑及び非渋滞の別で表される。
【0030】
また、走行履歴データは、車両の走行経路における走行実績を表すデータ、すなわち、プローブデータを構成し、自車の走行経路における走行実績、すなわち、自車走行実績を表す走行履歴データである自車走行履歴データ、及び他車の走行経路における走行実績、すなわち、他車走行実績を表す走行履歴データである他車走行履歴データから成る。
【0031】
前記走行履歴データのデータ項目は、各道路リンクLiを走行したときの、所定の周期、本実施の形態においては、15〔分〕ごとの所要時間を表すリンク所要時間STi(t)(i=1、2、…、N)、各道路リンクLiを走行したときの、所定のタイミングtごと、本実施の形態においては、15〔分〕が経過するごとの渋滞度SJi(t)(i=1、2、…、N)等から成る。前記リンク所要時間STi(t)は、過去の複数回の走行実績に基づいて算出される。
【0032】
また、前記一般データは、日時、曜日、季節、天候等のほかに、各種のイベント又は施設の情報(駅、デパート、スーパーマーケット等の大型の施設の有無)等のように、渋滞を発生させる要因となる一般的な情報、すなわち、渋滞発生要因情報である。
【0033】
ところで、本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース、一般データベース等が形成され、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ、一般データ等が記録されるようになっているが、そのうち、前記地図データ及び統計データについては、前記データ記録部16にセットされたディスクにあらかじめ記録される。これに対して、走行履歴データのうちの自車走行履歴データについては、車両の走行実績に基づいてデータ記録部16に記録される。そのために、CPU31の図示されない自車走行実績収集処理手段は、自車走行実績収集処理を行い、車両が走行するのに伴って、リンク所要時間STi(t)、渋滞度SJi(t)等を自車走行実績として算出し、データ記録部16に記録する。また、走行履歴データのうちの他車走行履歴データについては、情報センタ51から送信され、通信部38を介して受信されてデータ記録部16に記録される。そのために、CPU31の図示されない他車走行実績収集処理手段は、他車走行実績収集処理を行い、通信部38によってリンク所要時間STi(t)、渋滞度SJi(t)等を他車走行実績として受信し、データ記録部16に記録する。さらに、一般データについては、情報センタ51から送信され、通信部38を介して受信されてデータ記録部16に記録される。そのために、CPU31の図示されない一般情報取得処理手段は、一般情報取得処理を行い、通信部38によって一般データを受信し、データ記録部16に記録する。前記一般データのうちの各種のイベント又は施設の情報等については、データ記録部16にあらかじめ記録しておくことができる。
【0034】
本実施の形態においては、前記統計データ、走行履歴データ及び一般データは別々に作成され、統計データベース、走行履歴データベース及び一般データベースに記録されるようになっているが、他の実施の形態においては、前記統計データと走行履歴データ及び一般データのうちの少なくとも一方とを組み合わせて使用し、統計処理を行うことによって統計データとすることができる。
【0035】
なお、更に他の実施の形態においては、前記地図データ及び統計データについても、情報センタ51から送信され、通信部38を介して受信されてデータ記録部16に記録される。そのために、CPU31の図示されない地図情報収集処理手段は、地図情報収集処理を行い、通信部38によって地図データを受信し、データ記録部16に記録する。また、CPU31の図示されない統計情報収集処理手段は、統計情報収集処理を行い、通信部38によって統計データを受信し、データ記録部16に記録する。そして、更に他の実施の形態においては、一般データを道路交通情報センタから送信することができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、受信された他車走行履歴データ、一般データ等はデータ記録部16に記録されるようになっているが、他の実施の形態においては、ナビゲーション処理部17のフラッシュメモリに記録することができる。
【0037】
ところで、前記ナビゲーション装置14は、前記通信部38を介して道路交通情報センタから現況の交通情報を直接受信することができるようになっている。そのために、前記CPU31の図示されない交通情報取得処理手段は、交通情報取得処理を行い、通信部38によって現況の交通情報を受信し、取得する。
【0038】
前記道路交通情報センタから受信する現況の交通情報は、情報の種別を表す情報種別データ、メッシュとしての2次メッシュを特定するための2次メッシュX、Yデータ、道路リンクLiを特定し、かつ、上り/下りの別を表すリンク番号データ、該リンク番号データに対応させて提供される情報の内容を表すリンク情報を含み、該リンク情報は、例えば、前記道路リンクLiの始点から渋滞の先頭までの距離を表す渋滞先頭データ、渋滞度VJi(i=1、2、…、N)を表す渋滞度データ、渋滞区間を前記渋滞の先頭から渋滞の末尾までの渋滞長(距離)によって表す渋滞長データ等から成る。なお、前記渋滞度VJiは、渋滞の度合いを表す渋滞指標として使用され、渋滞、混雑及び非渋滞の別で表される。本実施の形態においては、道路交通情報センタから送信された現況の交通情報を受信するようになっているが、情報センタ51から送信された現況の交通情報を受信することができる。その場合、情報センタ51は道路交通情報センタから送信された現況の交通情報を受信し、そのまま、又は統計処理を行った後にナビゲーション装置14に送る。
【0039】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0040】
まず、運転者によって前記操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されないナビ初期化処理手段は、ナビ初期化処理を行い、GPSセンサ15によって検出された現在地、及び方位センサ18によって検出された自車方位を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。なお、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた現在地の軌跡、及び周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、現在地がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、現在地を特定する。
【0041】
続いて、CPU31の図示されない情報取得処理手段は、情報取得処理を行い、前記地図データをデータ記録部16から読み出して取得する。
【0042】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位を表示する。したがって、運転者は、表示された前記自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0043】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として入力することができる。
【0044】
そして、目的地が設定されると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記現在地、目的地等を読み込み、現在地、目的地及び地図データに基づいて、現在地で表される出発地から目的地までの経路を探索する。この場合、必要に応じて、目的地及び地図データに加えて、現況の交通情報に基づいて、更に統計データ、走行履歴データ等の交通情報に基づいて経路を探索することができる。なお、前記地図データを構成する各道路データによって表される各道路のうちの、細街路以外の道路は、経路探索及び経路案内の対象となる道路とされる。
【0045】
そして、前記CPU31の図示されない経路案内処理手段は、経路案内処理を行い、探索経路に従って運転者に経路案内を行う。そのために、前記経路案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記探索経路を構成する経路データを読み込み、該経路データに従って、前記地図画面に探索経路を表示する。
【0046】
なお、必要に応じて、前記経路案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、音声出力部37から探索経路を音声で出力して経路案内を行う。
【0047】
ところで、前述されたように、前記ナビゲーション装置14は、前記通信部38を介して、道路交通情報センタから現況の交通情報を受信し、前記交通情報取得処理手段は、現況の交通情報を受信して取得することができる。
【0048】
また、前述されたように、データ記録部16には、統計データベース及び走行履歴データベースが形成され、統計データベースを構成する統計データファイルに、統計データとして渋滞度KJi(t)等が記録され、走行履歴データベースを構成する走行履歴データファイルに、走行履歴データとしてリンク所要時間STi(t)、渋滞度SJi(t)等が記録される。そこで、前記交通情報取得処理手段は、統計データ及び走行履歴データを前記データ記録部16から読み込むことによって取得する。
【0049】
このように、前記交通情報報取得処理手段は、現況の交通情報、統計データ及び走行履歴データの複数の類型の交通情報を取得することができる。そこで、前記CPU31の図示されない交通情報表示処理手段は、交通情報表示処理を行い、例えば、取得された現況の交通情報について渋滞度VJi等を、走行履歴データついて渋滞度SJi(t)等を、統計データについて渋滞度KJi(t)等をそれぞれ渋滞情報として選択し、各渋滞情報に基づいて渋滞状況を表す交通状況指標としての渋滞矢印を作成し、該渋滞矢印を前記地図画面上の道路に沿って表示するようにしている。
【0050】
したがって、運転者は、車両を走行させる予定の経路、探索経路等における渋滞状況を知ることができる。なお、前記渋滞度SJi(t)、KJi(t)、VJiに応じて前記渋滞矢印の色が、赤、橙(だいだい)、青等にされ、例えば、渋滞である場合に赤に、混雑である場合に橙に、非渋滞である場合に青にされる。また、渋滞度SJi(t)、KJi(t)、VJi等に応じて渋滞矢印のパターンを異ならせて表示することができ、例えば、渋滞である場合にパターンが実線に、混雑である場合にパターンが破線にされる。
【0051】
また、車両が走行している間に、前記自車走行実績収集処理手段は、車両が走行するのに伴って、リンク所要時間STi(t)、渋滞度SJi(t)等を自車走行実績として算出し、データ記録部16に記録する。
【0052】
ところで、前記構成のナビゲーションシステムを情報収集システムとして使用することができる。その場合、あらかじめ選択された車両については、走行している道路について、例えば、単位時間、本実施の形態においては、1〔秒〕が経過するごとに座標及び車速を読み込み、座標及び車速を車両の走行に伴う情報である走行情報として情報センタ51に送信することができるようになっている。そして、情報センタ51において、走行情報を収集し、収集した走行情報に対して統計処理を行い、前記リンク所要時間STi(t)、渋滞度SJi(t)等を算出し、算出された前記リンク所要時間STi(t)、渋滞度SJi(t)等を各車両に他車走行実績として提供する。
【0053】
ところが、提供された他車走行実績を運転者が利用するかしないかにかかわらず、前記他車走行実績が収集されるようになっているので、走行情報を情報センタ51に送るための通信費が高くなり、情報収集のためのコストが高くなってしまうだけでなく、無駄に通信が行われてしまう。
【0054】
そこで、所定の車両が他車走行履歴データの取得を要求したときにだけ、前記所定の車両が走行している所定のエリア内の車両が走行情報を情報センタ51に送信し、提供するようになっている。
【0055】
図3において、gは、各車両のうちの他車走行履歴データの取得を要求する車両、すなわち、他車走行実績取得要求車両であり、hi(i=1、2、…)は他の車両であり、この場合、該各車両hiのうちの前記他車走行実績取得要求車両gを中心とする周囲の所定の範囲のエリアAR1内の車両が、走行情報を情報センタ51に送信し、提供する走行情報提供車両hm(m=1〜4)になる。なお、この場合、説明の便宜上、他車走行実績取得要求車両g及び各車両hiは、走行情報を情報センタ51に送信する機能を有するものとする。
【0056】
そして、まず、他車走行実績取得要求車両g及び各車両hiにおいて、CPU31の走行情報作成処理手段は、走行情報作成処理を行い、1〔秒〕が経過するごとに座標及び車速を読み込み、座標及び車速を車両の走行情報として作成し、RAM32に記録する。
【0057】
なお、本実施の形態においては、1〔秒〕が経過するごとの座標及び車速が車両の走行情報とされるようになっているが、他の実施の形態において、走行情報作成処理手段は、前記各道路リンク上の所定のノードの座標を読み込むとともに、前記所定のノード間(各ノード間又は数個のノードを隔てたノード間)を走行するのに必要な時間、すなわち、ノード所要時間を読み込み、座標及びノード所要時間を走行情報としたり、実際に道路リンクを走行するのに必要な実リンク所要時間を測定し、道路リンク番号及び実リンク所要時間を走行情報としたり、道路リンクを通過する間の車速を読み込み、道路リンク上における平均車速を算出し、道路リンク番号及び平均車速を走行情報としたりすることができる。
【0058】
また、前記他車走行実績取得要求車両g及び各車両hiにおいて、CPU31の図示されない位置情報送信処理手段は、位置情報送信処理を行い、単位時間、本実施の形態においては、1〔秒〕が経過するたびに、GPSセンサ15によって検出された現在地を読み込み、現在地の座標を位置情報として、かつ、自車位置として情報センタ51に送信する。
【0059】
そして、該情報センタ51において、CPU54の図示されない位置情報記録処理手段は、位置情報記録処理を行い、前記各車両hiから自車位置を受信すると、自車位置を位置情報としてデータベース58に記録する。
【0060】
一方、前記他車走行実績取得要求車両gにおけるナビゲーション装置14において、運転者が他車履歴データを利用するために、操作部34において所定の操作を行うと、CPU31の図示されない他車走行実績取得要求処理手段は、他車走行実績取得要求処理を行い、他車走行実績取得要求を作成し、情報センタ51に送信する。
【0061】
前記情報センタ51において、前記他車走行実績取得要求を受信すると、前記CPU54の図示されない走行情報収集処理手段は、走行情報収集処理を行い、他車走行実績取得要求に基づいて、前記各車両hiのうちの走行情報提供車両hmの走行情報を収集する。そのために、走行情報収集処理手段のエリア設定処理手段は、エリア設定処理を行い、前記他車走行実績取得要求車両gの現在地に基づいてエリアAR1を設定し、前記走行情報収集処理手段の車両判定処理手段は、車両判定処理を行い、前記データベース58から各車両hiの位置情報を読み出し、該各位置情報、及び前記エリアAR1を特定する座標に基づいて各車両hiがエリアAR1内を走行しているかどうかを判断し、各車両hiのうちの所定の車両がエリアAR1内を走行している場合、エリアAR1内を走行している車両を走行情報提供車両hmとして特定する。続いて、前記走行情報収集処理手段の走行情報送信要求処理手段は、走行情報送信要求処理を行い、走行情報提供車両hmに走行情報送信要求を送信する。
【0062】
そして、各走行情報提供車両hmにおいて、CPU31は走行情報送信要求を受信すると、CPU31の図示されない走行情報送信処理手段は、走行情報送信処理を行い、RAM32から走行情報を読み出し、情報センタ51に送信する。なお、本実施の形態においては、走行情報の記録及び読出しはRAM32に対して行われるようになっているが、データ記録部16に対して行うことができる。
【0063】
そして、情報センタ51において、前記走行情報収集処理手段の走行情報取得処理手段は、走行情報取得処理を行い、各走行情報提供車両hmから走行された走行情報を取得し、データベース58に記録する。
【0064】
続いて、情報センタ51において、CPU54の図示されない統計処理手段は、統計処理を行い、受信された走行情報に対して統計処理を行い、前記リンク所要時間STi(t)、渋滞度SJi(t)等を算出し、算出された前記リンク所要時間STi(t)、渋滞度SJi(t)等を他車走行履歴データとしてデータベース58に記録する。そして、CPU54の図示されない他車走行履歴データ提供処理手段は、他車走行履歴データ提供処理を行い、データベース58から他車走行履歴データを読み出し、他車走行実績取得要求車両gに送信する。
【0065】
そして、該他車走行実績取得要求車両gにおいて、CPU31の図示されない他車走行履歴データ記録処理手段は、他車走行履歴データ記録処理を行い、他車走行履歴データを取得し、走行履歴データファイルに記録する。
【0066】
このように、本実施の形態においては、他車走行実績取得要求車両gが他車走行履歴データの取得を要求すると、他車走行実績取得要求車両gが走行している所定のエリアAR1内の各走行情報提供車両hmが走行情報を情報センタ51に送信し、提供するようになっているので、前記他車走行実績取得要求車両gは、他車走行履歴データをリアルタイムに取得することができる。
【0067】
すなわち、運転者が他車走行履歴データを利用する場合にだけ走行情報を収集するようになっているので、走行情報を情報センタ51に送るための通信費を低くすることができ、情報収集のためのコストを低くすることができるだけでなく、無駄な通信が行われることがないようにすることができる。
【0068】
次に、フローチャートについて説明する。
【0069】
前記走行情報提供車両hmの場合について説明する。
ステップS1 走行情報を作成する。
ステップS2 情報センタ51に自車位置を送信し、ステップS1に戻るとともに、ステップS3に進む。
ステップS3 車両の位置情報を記録する。
【0070】
前記他車走行実績取得要求車両gについて説明する。
ステップT1 他車走行実績取得要求を送信する。
ステップT2 エリアAR1内の走行情報提供車両hmに走行情報送信要求を送信し、ステップT3及びT4に進む。
ステップT3 情報センタ51に走行情報を送信する。
ステップT4 走行情報を取得する。
ステップT5 統計処理を行う。
ステップT6 他車走行実績取得要求車両gは他車走行履歴データを送信する。
ステップT7 他車走行履歴データを取得し、処理を終了する。
【0071】
本実施の形態においては、エリアAR1が矩(く)形の形状を有するように設定されるが、他の実施の形態においては、エリアが、他車走行実績取得要求車両を中心とする半径が所定の範囲に納まるように、円形の形状を有するように設定したり、探索経路に沿って設定したりすることができる。
【0072】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態における指定エリアの概念図である。
【符号の説明】
【0074】
14 ナビゲーション装置
15 GPSセンサ
17 ナビゲーション処理部
31、54 CPU
43 ネットワーク
51 情報センタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地を検出する現在地検出部と、車両の走行に伴う走行情報を作成する走行情報作成処理手段と、現在地を位置情報として情報センタに送信する位置情報送信処理手段と、他車走行実績取得要求を情報センタに送信する他車走行実績取得要求処理手段と、前記他車走行実績取得要求に基づいて、前記位置情報に基づいて設定された所定のエリア内の車両の走行情報を収集する走行情報収集処理手段とを有することを特徴とする情報収集システム。
【請求項2】
前記走行情報収集処理手段は、他車走行実績取得要求を受信すると、前記位置情報に基づいて設定された所定のエリア内の車両を走行情報提供車両として特定する車両判定処理手段、及び特定された走行情報提供車両に走行情報送信要求を送信する走行情報送信要求処理手段を有する請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項3】
前記走行情報送信要求を受信して、走行情報を情報センタに送信する走行情報送信処理手段を有する請求項2に記載の情報収集システム。
【請求項4】
前記走行情報を受信して、他車走行実績の取得を要求する車両に、他車走行実績を送信する他車走行実績送信処理手段を有する請求項3に記載の情報収集システム。
【請求項5】
コンピュータを、車両の走行に伴う走行情報を作成する走行情報作成処理手段、現在地検出部によって検出された現在地を位置情報として情報センタに送信する位置情報送信処理手段、他車走行実績取得要求を情報センタに送信する他車走行実績取得要求処理手段、及び前記他車走行実績取得要求に基づいて、前記位置情報に基づいて設定された所定のエリア内の車両の走行情報を収集する走行情報収集処理手段として機能させることを特徴とする情報収集方法のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−138742(P2006−138742A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328637(P2004−328637)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】