説明

情報提供装置

【課題】ドライバの意思を反映してPOI情報を提供することができる情報提供装置を提供することこと。
【解決手段】車両のドライバがタッチパネル41で指定した仮想視線方向をカーナビゲーション4で取得すると共に、車両の車両情報を車両情報取得部42によって取得する。取得したこれらの情報を車両からセンターに設けられた情報管理装置3へ送信する。これらの情報に基づいて、情報管理装置3内の検索範囲決定部8によって、車両に対して提供するPOI情報を検索する検索範囲を決定する。決定した検索範囲内で、車両に対して提供するPOI情報をPOI情報検索部9によって検索する。検索したPOI情報を車両に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両位置から所定範囲内にある施設情報を表示する情報提供装置として、例えば、特許文献1に記載のナビゲーション装置が知られている。このナビゲーション装置は、現在位置検出部、地図データ記憶部、施設情報データベース、入力操作部、ECUおよび出力部を備えて構成される。
【0003】
上記ナビゲーション装置では、ECUは、現在位置検出部より検出された車両の現在位置と、施設情報データベースに格納されている施設の所在地情報とに基づいて、現在位置から施設までの距離を算出する。また、ECUは、算出された施設までの距離情報を、施設情報データベースに格納されている施設までの距離情報に上書きして更新する。そして、ユーザにより、入力操作部を介して検索項目の入力がされると、施設情報データベースに格納されている施設までの距離情報に基づいて、検索項目の条件に該当する施設が距離の短い順にディスプレイに表示される。
【0004】
このように、上記ナビゲーション装置では、施設までの距離情報が逐次更新され、この更新された距離情報に基づいて施設情報が距離順に表示されるため、ユーザが施設検索の操作入力を行った後に自車位置から施設までの距離を求める場合と比較して、施設検索の操作入力が行われてから施設情報を表示するまでの時間が短縮されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−186431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記ナビゲーション装置では、自車両位置からの距離情報のみに基づいて表示される施設が選択されるので、表示される施設情報(POI情報)にドライバの意思が反映されていない。ここで、POI(Point Of Interest)情報とは、ドライバが興味を持った特定の地点およびドライバが興味を持つ可能性が高い特定の地点(POI)に関する情報である。POI情報としては、例えば、車両の走行中にドライバが興味を持つ可能性が高い店舗に関する情報や、車両が走行する道路の付近および当該道路の先で発生した渋滞情報や事故情報などが含まれる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、ドライバの意思を反映してPOI情報を提供することができる情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報提供装置は、車両のドライバの操作に基づいて仮想視線の方向を取得する方向取得手段と、車両の車両情報を取得する車両情報取得手段と、仮想視線の方向である仮想視線方向および車両情報に基づいて、車両に対して提供するPOI情報を検索する検索範囲を決定する検索範囲決定手段と、検索範囲決定手段によって決定された検索範囲内で、車両に対して提供するPOI情報を検索する検索手段とを備える。
【0009】
本発明によれば、車両情報に加え、車両のドライバの操作に基づいて取得された仮想視線の方向に基づいて、車両に対して提供されるPOI情報が検索される検索範囲が決定される。従って、ドライバの意思を反映してPOI情報を提供することができる。
【0010】
ここで、方向取得手段は地図情報を備え、地図情報上で車両のドライバが指定した方向を仮想視線方向として取得することが好ましい。こうすると、検索範囲を明確に決定することができる。
【0011】
また、検索範囲は、地図上において、車両の位置から延びる二本の半直線に挟まれると共に、車両の位置から所定の距離以内の範囲であり、仮想視線が二本の半直線に挟まれた範囲に含まれることが好ましい。こうすると、検索範囲を明確に決定することができる。
【0012】
また、車両情報に基づいて、二本の半直線が成す角度および所定の距離の少なくとも一方が決定されることが好ましい。こうすると、検索範囲を精度良く決定することができる。
【0013】
また、複数の車両でそれぞれ取得される仮想視線方向および車両の位置を複数の車両から受信する受信手段と、受信手段によって受信した複数の車両のそれぞれの仮想視線方向および車両の位置に基づいて、複数の車両のそれぞれの仮想視線を算出する仮想視線算出手段と、仮想視線算出手段によって算出された複数の仮想視線に基づいて、POI情報の検索地点を決定する検索地点決定手段と、検索地点決定手段によって決定された検索地点のPOI情報を検索する検索手段と、検索手段によって検索されたPOI情報を複数の車両に対して配信する配信手段とを備える。
【0014】
本発明によれば、複数の車両の仮想視線からPOI情報の検索地点が決定される。従って、より仮想視線が集中する地点を特定し、この地点をPOI情報の検索地点として決定することが可能となる。仮想視線が集中する地点のPOI情報は、多くのドライバが取得したい情報である可能性が高い。よって、ドライバの意思を反映してPOI情報を提供することができる。
【0015】
ここで、検索地点決定手段は、所定時間内に仮想視線算出手段によって算出された複数の仮想視線から、検索地点を決定することが好ましい。こうすると、リアルタイム性の高いPOI情報を検索することができる。
【0016】
また、検索手段は、POI情報に付帯させる付帯情報を電気通信回線を通じて検索することが好ましい。こうすると、付加価値の高い情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ドライバの意思を反映してPOI情報を提供することができる情報提供装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態に係る情報提供装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る情報提供装置が検索するPOI情報の検索範囲を示す概略図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る情報提供装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】先読みPOI情報の提供方法について説明する概略図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る情報提供装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る情報提供装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第二実施形態に係る情報提供装置が行う配信POI情報の配信方法ついて示す概略図である。
【図8】不要な交差地点の排除方法について説明する概略図である。
【図9】携帯端末からアップロードされた情報を配信POI情報に付帯させる方法について説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の情報提供装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の第一実施形態に係る情報提供装置を示すブロック図である。
【0021】
本実施形態に係る情報提供装置1は、ドライバからの要求に基づいてPOI情報を検索し、このPOI情報をドライバに提供するためのものである。
【0022】
情報提供装置1は、車両Mに搭載される車載装置2およびセンターZに設けられる情報管理装置3を備えて構成されている。車載装置2は、カーナビゲーション4、ECU(Electrical Control Unit)5および車両通信部6を備えて構成されている。カーナビゲーション4は方向取得手段として機能し、タッチパネル41および車両情報取得部42を有している。タッチパネル41には、カーナビゲーション4が記憶している地図情報の他、POI情報等が表示され、タッチパネル41はモニタとして機能する。
【0023】
図2は本実施形態に係る情報提供装置が検索するPOI情報の検索範囲を示す概略図である。図2中、範囲Qはタッチパネル41に表示される範囲を示している。車両Mの走行中、ドライバが建物Bに興味を持った場合、ドライバはタッチパネル41にて、車両Mに対して建物Bがある方向と同じ方向にある点Pをタッチして指定する。タッチパネル41は、ドライバが指定した点を検出して取得する。このように、タッチパネル41は、ドライバの操作に基づいて仮想視線方向を取得するためのセンサとしても機能する。タッチパネル41は、車両Mと点Pとの位置関係に基づいて、POIである建物Bに対するドライバからの視線、すなわち仮想視線Iの方向である仮想視線方向を算出して取得する。
【0024】
車両情報取得部42は、GPS衛星から送信されるGPS信号等に基づいて車両Mの現在位置を取得する。また、車両情報取得部42は、車両Mに設けられている図示しないクロックから時刻を取得する。車両情報取得部42は、車両Mの走行履歴およびクロックから取得した経過時間等に基づいて、進行方向および車速を取得する。また、車両情報取得部42は、カーナビゲーション4が記憶している地図情報および現在位置に基づいて、車両Mが走行している道路の道路種別を取得する。
【0025】
カーナビゲーション4は、ECU5と接続されており、仮想視線方向に関する仮想視線方向情報および車両情報取得部42で取得された車両Mの現在位置、進行方向、道路種別、車速および時刻といった車両情報をECU5に送信する。ECU5は、車両Mを制御するためのものであり、車両通信部6と接続されている。ECU5は、カーナビゲーション4から受信した仮想視線方向情報および車両情報を車両通信部6に送信する。車両通信部6は、ECU5から受信したこれらの情報を情報管理装置3に向けて送信する。
【0026】
情報管理装置3は、車両Mから送信された情報に基づいてPOI情報を検索し、検索したPOI情報を車両Mに提供するためのものである。情報管理装置3は、受信手段および配信手段であるセンター通信部7、検索範囲決定部8、検索手段であるPOI情報検索部9、テーブルデータベース(以下、「テーブルDB」という)10およびPOI情報データベース(以下、「POI情報DB」という)11を備えて構成されている。
【0027】
センター通信部7は、車両通信部6との間で情報の送受信が可能であり、車両通信部6によって送信された情報である仮想視線方向情報および車両情報を受信する。センター通信部7は、検索範囲決定部8と接続されており、仮想視線方向情報および車両情報を検索範囲決定部8に送信する。検索範囲決定部8は受信した仮想視線方向情報および車両情報に基づいて、車両Mに対して提供するPOI情報を検索する検索範囲を決定する。検索範囲決定部8は、仮想視線算出部81、探索角度決定部82および探索距離決定部83を有している。
【0028】
仮想視線算出部81は、受信した仮想視線の方向および現在位置に基づいて、車両Mの仮想視線を算出する。図2に示すように、車両Mの仮想視線Iは、車両Mの現在位置から仮想視線の方向に沿って直線を引くことで算出される。
【0029】
探索角度決定部82は、受信した道路種別および車速に基づいて、検索範囲を決定するために必要な角度αを決定するためのものである。角度αは、仮想視線Iを対称軸にして、車両Mの現在位置から線対称に延びる二本の半直線H,Hが成す角度である。探索角度決定部82は、テーブルDB10と接続されている。テーブルDB10には、車速と角度αとの関係を示す探索角度判定テーブルが記憶されている。この探索角度判定テーブルとしては、一般道路用および高速道路用の二種類が記憶されている。角度αは、車速が速いほどドライバの視界は狭くなると考えられるため、車速が速いほど小さく設定されている。探索角度決定部82は、道路種別に対応した探索角度判定テーブルをテーブルDB10から読み込む。そして、この探索角度判定テーブルから車速に対応した角度αを決定する。
【0030】
探索距離決定部83は、受信した現在位置に基づいて、車両Mの走行高さを地図情報の等高線情報から特定し、この走行高さに基づいて、検索範囲を決定するために必要な距離βを決定するためのものである。ここで、走行高さとは、車両が走行している道路の標高を意味する。距離βは、車両Mの現在位置からの検索範囲の上限を示す距離である。探索距離決定部83は、テーブルDB10と接続されている。テーブルDB10には、走行高さと距離βとの関係を示す探索距離判定テーブルが記憶されている。この探索距離判定テーブルとしては、一般道路用および高速道路用の二種類が記憶されている。距離βは、走行高さが高いほどドライバの見通し距離は長くなると考えられるため、走行高さが高くなるほど長く設定されている。探索距離決定部83は、道路種別に対応した探索距離判定テーブルをテーブルDB10から読み込む。そして、この探索距離判定テーブルから走行高さに対応した距離βを決定する。
【0031】
仮想視線算出部81によって算出された仮想視線I、探索角度決定部82によって決定された角度αおよび探索距離決定部83によって決定された距離βによって、車両Mに提供するPOI情報を検索する検索範囲Sが決定される。例えば、図2において、検索範囲S内にある建物A,B,CはPOI情報の検索対象となるが、検索範囲S外にある建物D,EはPOI情報の検索対象外となる。
【0032】
検索範囲決定部8はPOI情報検索部9と接続されており、決定されたPOI情報の検索範囲SをPOI情報検索部9に送信する。POI情報検索部9は、POI情報DB11およびセンター通信部7と接続されている。POI情報DB11には、様々な地点のPOI情報が複数記憶されている。POI情報検索部9は、受信した検索範囲S内で、POI情報DB11から車両に対して提供するPOI情報を検索する。そして、POI情報検索部9は、検索したPOI情報をセンター通信部7に送信する。
【0033】
次に、本実施形態に係る情報提供装置1の動作について説明する。
【0034】
図3は、本発明の第一実施形態に係る情報提供装置の動作について説明するフローチャートである。
【0035】
まず、車両Mのドライバが、興味を持つ地点や施設等のPOIを発見する(S10)。そして、ドライバが、車両Mに対してPOIがある方向と同じ方向にある地点をタッチパネル41にてタッチして指定した仮想視線方向がタッチパネル41により取得される(S11)。ステップS11によって、本実施形態に係る情報提供装置1の動作が開始される。取得された仮想視線の仮想視線方向情報は、ECU5に送信される。
【0036】
車両情報取得部42が、車両Mの現在位置、進行方向、道路種別、車速および時刻といった車両情報を取得する(S12)。取得された車両情報は、ECU5に送信される。
【0037】
仮想視線方向情報および車両情報を受信したECU5は、これらの情報を車両通信部6に送信し、車両通信部6がこれらの情報をセンターZに向けてデータ送信する(S13)。
【0038】
車両通信部6から送信された仮想視線方向情報および車両情報を受信したセンターZ内のセンター通信部7は、これらの情報を検索範囲決定部8に送信する。仮想視線方向および現在位置を受信した検索範囲決定部8は、仮想視線算出部81において仮想視線を算出する(S14)。
【0039】
また、道路種別および車速を受信した検索範囲決定部8は、探索角度決定部82において道路種別に対応した探索角度判定テーブルをテーブルDB10から読み込む。そして、この探索角度判定テーブルから車速に対応した角度αを決定する(S15)。
【0040】
さらに、道路種別、現在位置および車速を受信した検索範囲決定部8は、探索距離決定部83において、受信した現在位置に基づいて、車両Mが走行している走行高さを地図情報から特定する。また、道路種別に対応した探索距離判定テーブルをテーブルDB10から読み込む。そして、この探索距離判定テーブルから走行高さに対応した距離βを決定する(S16)。
【0041】
検索範囲決定部8は、ステップS14にて算出された仮想視線、ステップS15にて決定された角度αおよびステップS16にて決定された距離βに基づいて、POI情報の検索範囲を決定する(S17)。決定された検索範囲は、検索範囲決定部8からPOI情報検索部9に送信される。
【0042】
検索範囲を受信したPOI情報検索部9は、検索範囲内でPOI情報DB11から車両Mに対して提供するPOI情報を検索し、車両Mに対して提供するPOI情報が有るか否か確認する(S18)。
【0043】
ステップS18にて、車両Mに対して提供するPOI情報が有れば、POI情報検索部9は、検索されたPOI情報を車両Mの位置から近い順に並び替え、送信データとして設定する(S19)。設定された送信データは、POI情報検索部9からセンター通信部7に送信される。
【0044】
一方、ステップS18にて、車両Mに対して提供するPOI情報が無ければ、POI情報検索部9は、「データ無し」を送信データとして設定する(S20)。設定された送信データは、POI情報検索部9からセンター通信部7に送信される。
【0045】
送信データを受信したセンター通信部7は、送信データを車両通信部6に向けて送信する(S21)。送信データを受信した車両通信部6は、送信データをECU5に送信する。送信データを受信したECU5は、送信データをカーナビゲーション4に送信し、タッチパネル41に検索されたPOI情報が表示される。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る情報提供装置1によれば、車両Mのドライバがタッチパネル41で指定した仮想視線の方向がカーナビゲーション4によって取得され、車両Mの現在位置、進行方向、道路種別、車速および時刻といった車両情報が車両情報取得部42によって取得される。これらの情報は車両通信部6からセンターZに設けられた情報管理装置3へ送信される。これらの情報に基づいて、情報管理装置3内の検索範囲決定部8によって、車両Mに対して提供するPOI情報が検索される検索範囲が決定される。そして、決定された検索範囲内で、POI情報検索部9によって車両Mに対して提供するPOI情報が検索され、検索されたPOI情報が車両Mに対して提供される。このように、情報提供装置1によれば、車両Mの車両情報に加え、車両Mのドライバの操作に基づいて取得された仮想視線の方向に基づいて、車両Mに対して提供されるPOI情報が検索される検索範囲が決定される。従って、ドライバの意思を反映してPOI情報を提供することができる。
【0047】
また、情報提供装置1によれば、カーナビゲーション4は地図情報を備え、タッチパネル41には地図情報が表示され、車両Mの仮想視線の方向は、タッチパネル41に表示された地図情報上で車両Mのドライバによって指定される。従って、ドライバは仮想視線の方向を容易に指定できる。
【0048】
また、情報提供装置1によれば、検索範囲は、地図上において、仮想視線Iを対称軸にして、車両Mの現在位置から線対称に延びる二本の半直線H,Hに挟まれると共に、車両Mの現在位置から所定の距離β以内の範囲であって、仮想視線Iが二本の半直線に挟まれた範囲に含まれる。従って、検索範囲を明確に決定することができる。
【0049】
また、情報提供装置1によれば、車両Mの車速に応じて、二本の半直線H,Hが成す角度αが決定される。また、車両Mの現在位置から車両Mの走行高さが特定され、この走行高さに応じて、車両Mの現在位置からの検索範囲の上限を示す距離βが決定される。従って、検索範囲を精度良く決定することができる。
【0050】
なお、車両Mの走行中にドライバがPOI情報を要求する場合、そのPOI情報がタッチパネル41に表示される時には、すでに表示されたPOI情報の地点を車両Mが通過してしまっているおそれがある。そのため、車両MにPOI情報記憶部を設け、センター通信部7から送信されたPOI情報をPOI情報記憶部に記憶できるようにしておくことが好ましい。こうすると、センター通信部7からPOI情報が送信された後、再び車両MがそのPOI情報の地点の付近を走行する際に、事前にタッチパネル41にそのPOI情報を表示することが可能となり、ドライバは以前興味を持った地点についてのPOI情報を事前に確認することができる。
【0051】
また、車両Mが交差点で右左折する際、ドライバのウィンカー操作を検知し、このウィンカー操作から特定される右左折の方向を自動的に仮想視線の方向として指定し、先読みしてPOI情報を要求しても良い。図4は、先読みPOI情報の提供方法について説明する概略図である。車線R3を走行中の車両Mのドライバが、交差点で右折して車線R4を走行しようとする場合、車両Mのドライバは交差点の手前でウィンカーを操作する。この時、このウィンカー操作をECU5等で検知し、このウィンカー操作から検知される右折の方向を自動的に仮想視線の方向として指定する。
【0052】
例えば、右折であれば、車両Mの進行方向に対して右方向45°を仮想視線の方向として指定する。それ以降の動作は、図3におけるステップS12以降と同様である。こうすると、例えば、地図表示範囲Qの外にある地点Aや地点Bに渋滞情報やイベント情報等のPOI情報がある場合に、これらのPOI情報が先読みPOI情報として車両Mに提供される。このため、車両Mのドライバは事前にPOI情報を確認することができ、交差点での右折を中止する等の対応が可能となる。
【0053】
次に、本発明の第二実施形態に係る情報提供装置について説明する。
【0054】
図5は、本発明の第二実施形態に係る情報提供装置を示すブロック図である。
【0055】
情報提供装置1Aは、複数の車両から要求される頻度が高いPOI情報を抽出し、このPOI情報をPOIの付近を走行する車両に対して配信POI情報として配信するための装置である。情報提供装置1Aは、複数の車両Mおよび情報管理装置3Aを備えて構成されている。この情報管理装置3Aは、電気通信回線であるネットワーク12を介して情報通信可能とされている。
【0056】
情報管理装置3Aが、第一実施形態に係る情報提供装置1の情報管理装置3と異なる点は、仮想視線処理部13および検索地点決定部14を備えている点である。
【0057】
センター通信部7は、複数の車両Mでそれぞれ取得される仮想視線方向情報および車両情報を複数の車両Mから受信する。そして、仮想視線決定部81は、センター通信部7によって受信された複数の車両Mのそれぞれの仮想視線の方向および現在位置に基づいて、複数の車両Mのそれぞれの仮想視線を算出する。
【0058】
仮想視線処理部13は、情報検索範囲決定部8と接続されており、仮想視線算出部81によって算出された仮想視線を所定時間内ごとに記憶する。仮想視線処理部13は、検索地点決定部14と接続されており、所定時間内ごとに記憶された複数の仮想視線を検索地点決定部14に送信する。検索地点決定部14は、受信した複数の仮想視線を地図上に配置し、複数の仮想視線の交点を複数抽出する。そして、抽出された交点の中からPOI情報の検索地点を決定する。
【0059】
ネットワーク12はPOI情報検索部9と接続されている。POI情報検索部9は、ネットワーク12を通じてインターネット上の情報を検索することが可能となっている。
【0060】
次に、本実施形態に係る情報提供装置1Aの動作について説明する。
【0061】
図6は、本発明の第二実施形態に係る情報提供装置の動作を示すフローチャートである。また、図7は、本発明の第二実施形態に係る情報提供装置が行う配信POI情報の配信方法ついて示す概略図である。
【0062】
ここで、本実施形態に係る情報提供装置1Aでは、地図情報は複数のエリアに分割されている。本実施形態に係る情報提供装置1Aの動作は、仮想視線処理部13が、時間帯ごとのPOI情報検索の要求が多いエリアを特定することから始まる(S30)。ステップS30は、仮想視線処理部13が所定時間内ごとに記憶した複数の仮想視線の情報から、仮想視線が通る本数の多いエリアを特定することで行われる。
【0063】
仮想視線処理部13は、特定されたエリア内の仮想視線を抽出する(S31)。抽出された仮想視線は、検索地点決定部14に送信される。
【0064】
仮想視線を受信した検索地点決定部14は、受信した仮想視線を地図上に配置する(S32)。
【0065】
検索地点決定部14は、地図上に配置した仮想視線の交差地点を複数抽出する(S33)。例えば、図7では、建物Fの地点が交差地点として抽出されている。
【0066】
検索地点決定部14は、特定されたエリアを通る仮想視線の総数に対し、各交差地点を通過する仮想視線の本数が、所定の割合X%以上であるか否かを判断する(S34)。これは、特定されたエリアを通る仮想視線の総数に対し、仮想視線の本数が少ない交差地点は、POI情報を要求される頻度が高いPOIとは言えないので、当該交差地点をPOI情報の検索対象から排除するためである。なお、所定の割合X%は、特定されたエリアを通る仮想視線の総数によって変化させることが好ましい。例えば、特定されたエリアを通る仮想視線の総数が50〜100本程度であれば、所定の割合X%は10%程度である。
【0067】
ステップS34にて、交差地点を通過する仮想視線の本数が所定の割合X%以上と判断された場合、検索地点決定部14は、当該交差地点が含まれるエリアを通る仮想視線の総数が所定の本数N本以下であるか否かを判断する(S35)。これは、特定されたエリアを通る仮想視線の総数が少ない場合、後述するステップS36の処理が必要となるためである。
【0068】
ステップS35にて、特定されたエリアを通る仮想視線の総数が所定の本数N本以下と判断された場合、検索地点決定部14は、抽出された交差地点の中に不要な交差地点が含まれていないか否かを確認するために、仮想視線の方向差が90°以内であるか否かを判断する(S36)。これは、特定されたエリアを通る仮想視線の総数が少ない場合、交差地点が発生していても、その中にはPOI情報を検索すべきでない不要な交差地点が含まれている可能性があるためである。
【0069】
図8は、不要な交差地点の排除方法について説明する概略図である。同一エリア内に、車両M1,M2,M3の仮想視線が通っており、建物Gおよび建物Jの2地点で交差地点が発生している。これらの交差地点のうち、建物Gにおける交差地点は、同一の車線R1を走行する車両M1,M2の仮想視線の交差地点であるため、両方の車両のドライバがPOI情報を要求した地点である可能性が高い。このような場合、車両Aと建物Gとを結ぶ線および車両Bと建物Gとを結ぶ線により形成される角度γ、すなわち車両Aおよび車両Bの仮想視線の方向差γが90°以下となる可能性が高い。そこで、仮想視線の方向差が90°以下である交差地点にある建物Gは、POI情報の検索対象と判断する。
【0070】
一方、建物Jにおける交差地点は、走行方向が逆方向である車線R1,R2を走行する車両M1および車両M3の仮想視線の交差地点であるため、両車両のドライバがPOI情報を要求した地点は異なる可能性が高い。例えば、図8では、車両M1のドライバは、建物JについてPOI情報を要求したのではなく、車両Aに対して手前にある建物GについてPOI情報を要求した可能性が高い。このような場合、車両Aおよび車両Cの仮想視線の方向差γは90°よりも大きい可能性が高い。そこで、仮想視線の方向差が90°よりも大きい交差地点は、POI情報の検索対象外と判断する。
【0071】
図6に戻り、ステップS35にて、特定されたエリアを通る仮想視線の総数が所定の本数N本より多いと判断された場合、および、ステップS36にて、仮想視線の方向差が90°以下と判断された場合、検索地点決定部14は、その交差地点を検索地点として決定し、当該検索地点をPOI情報検索部9に送信する。そして、POI情報検索部9は、受信した検索地点にPOI情報があるか否かをPOI情報DB11から検索する(S37)。
【0072】
ステップS37にて、検索地点にPOI情報があった場合、POI情報検索部9は検索されたPOI情報を配信POI情報としてセンター通信部7に送信する。そして、配信POI情報を受信したセンター通信部7は、配信POI情報の検索地点が含まれるエリア内を走行する車両に、配信POI情報を配信する(S38)。そして、一連の動作が終了する。
【0073】
一方、ステップS34にて、交差地点を通過する仮想視線の本数が所定の割合X%より少ないと判断された場合、ステップS36にて、仮想視線の方向差が90°より大きいと判断された場合、および、ステップS37にて、検索地点にPOI情報がなかった場合、情報提供装置1Aはその交差地点について配信POI情報を配信することなく、一連の動作が終了する。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る情報提供装置1Aによれば、センター通信部7によって、複数の車両Mでそれぞれ取得される仮想視線方向および現在位置が複数の車両Mから受信される。受信された複数の車両Mのそれぞれの仮想視線方向および位置に基づいて、仮想視線算出部81によって、複数の車両Mのそれぞれの仮想視線が算出される。算出された複数の仮想視線から、検索地点決定部14によって、POI情報の検索地点が決定される。決定された検索地点のPOI情報が、POI情報検索部9によって検索される。検索されたPOI情報が、センター通信部7によって、POI情報の検索地点が含まれるエリア内を走行する車両に配信POI情報として配信される。このように、情報提供装置1Aによれば、複数の車両Mの仮想視線からPOI情報の検索地点が決定される。従って、より仮想視線が集中する地点を特定し、この地点をPOI情報の検索地点として決定することが可能となる。仮想視線が集中する地点のPOI情報は、多くのドライバが取得したい情報である可能性が高い。よって、ドライバの意思を反映してPOI情報を提供することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る情報提供装置1Aによれば、検索地点決定部14は、所定時間内に仮想視線算出部81によって算出された複数の仮想視線から、検索地点を決定する。従って、リアルタイム性の高いPOI情報を検索することができる。
【0076】
また、図6におけるS37にて、検索地点にPOI情報があった場合、POI情報検索部9は、POI情報に付帯させる付帯情報をネットワーク12を通じてインターネット上から検索することができる。こうすると、付加価値の高い情報を提供することができる。
【0077】
ここで、インターネット上にあるリアルタイム性の高い情報は、事前に店舗等のホームページからアップロードされる情報だけでなく、スマートフォンや携帯電話等といった携帯端末からアップロードされる情報である可能性がある。しかし、携帯端末に搭載されているGPS等の位置情報取得機能は、精度が低いことが多い。図9は、携帯端末からアップロードされた情報を配信POI情報に付帯させる方法について説明する概略図である。例えば、携帯端末からアップロードされた情報K1,K2,K3が、検索地点決定部14で決定された検索地点Nの情報であったとしても、携帯端末で取得された位置情報が検索地点Nとずれてしまい、POI情報に付帯させる付帯情報とすることができない可能性がある。そこで、POI情報検索部9は、付帯情報をインターネット上から検索する際、検索範囲を検索地点Nから所定の距離以内の範囲Oに拡大することで、携帯端末で取得された位置情報が検索地点Nとずれてしまった場合であっても、情報K1,K2,K3を付帯情報として検索することができる。拡大する距離は、一般的な携帯端末の位置情報取得機能の精度に合わせることが好ましい。
【0078】
また、配信POI情報を付帯情報と共にタッチパネル41に表示する際、配信POI情報と付帯情報とを区別できるように表示することが好ましい。こうすると、タッチパネル41に表示された情報のうち、どの情報が携帯端末からアップロードされた付帯情報であるかを認識できる。
【0079】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態において、方向取得手段としてカーナビゲーション4が用いられているが、これに代えて、ドライバの視線を検知する視線検知手段を用いて、ドライバがPOIを発見したときに視線検知手段で検知されている視線を仮想視線方向として指定できるようにしても良い。また、音声入力手段を用いて、ドライバが「進行方向に対し右45度」等と発声することで、仮想視線方向を指定できるようにしても良い。
【0080】
また、第一実施形態において、検索範囲決定部8、POI情報検索部9、テーブルDB10およびPOI情報DB11は情報管理装置3に設けられているが、これらを車両のECU5に設け、POI情報を検索する検索範囲の決定およびPOI情報の検索を車両で行うようにしても良い。
【0081】
また、第一実施形態において、POI情報検索部9はPOI情報DB11からPOI情報を検索しているが、POI情報検索部9をネットワークに接続し、POI情報検索部9はネットワークを通じてインターネット上からPOI情報を検索しても良い。また、POI情報を検索した後、POI情報検索部9はネットワークを通じてインターネット上からPOI情報に付帯させる付帯情報を検索しても良い。
【0082】
また、第二実施形態において、POI情報検索部9はPOI情報DB11から配信POI情報を検索しているが、ネットワーク12を通じてインターネット上から配信POI情報を検索しても良い。
【符号の説明】
【0083】
1,1A…情報提供装置、4…カーナビゲーション、7…センター通信部(受信手段、配信手段)、8…検索範囲決定部(検索範囲決定手段)、9…POI情報検索部(検索手段)、12…ネットワーク(電気通信回線)、14…検索地点決定部(検索地点決定手段)、42…車両情報取得部(車両情報取得手段)、81…仮想視線算出部(仮想視線算出手段)、M…車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバの操作に基づいて仮想視線の方向を取得する方向取得手段と、
前記車両の車両情報を取得する車両情報取得手段と、
前記仮想視線の方向である仮想視線方向および前記車両情報に基づいて、前記車両に対して提供するPOI情報を検索する検索範囲を決定する検索範囲決定手段と、
前記検索範囲決定手段によって決定された検索範囲内で、前記車両に対して提供するPOI情報を検索する検索手段と、
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記方向取得手段は地図情報を備え、前記地図情報上で前記車両のドライバが指定した方向を仮想視線方向として取得する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記検索範囲は、地図上において、前記車両の位置から延びる二本の半直線に挟まれると共に、前記車両の位置から所定の距離以内の範囲であり、
前記仮想視線が前記二本の半直線に挟まれた範囲に含まれる、
請求項1または2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記車両情報に基づいて、前記二本の半直線が成す角度および前記所定の距離の少なくとも一方が決定される請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
複数の車両でそれぞれ取得される仮想視線方向および車両の位置を前記複数の車両から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した前記複数の車両のそれぞれの仮想視線方向および車両の位置に基づいて、前記複数の車両のそれぞれの仮想視線を算出する仮想視線算出手段と、
前記仮想視線算出手段によって算出された複数の仮想視線に基づいて、POI情報の検索地点を決定する検索地点決定手段と、
前記検索地点決定手段によって決定された前記検索地点のPOI情報を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された前記POI情報を複数の車両に対して配信する配信手段と、
を備える情報提供装置。
【請求項6】
前記検索地点決定手段は、所定時間内に前記仮想視線算出手段によって算出された複数の仮想視線から、前記検索地点を決定する請求項5に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記検索手段は、POI情報に付帯させる付帯情報を電気通信回線を通じて検索する請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−127944(P2012−127944A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256659(P2011−256659)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】