説明

情報提示装置

【課題】情報提示体が搭載される位置に応じて、有用な情報を乗員に提示できる情報提示装置を提供する。
【解決手段】可動部を備え、乗員に情報を出力する情報提示体と、車両内における情報提示体の搭載位置を検出する搭載位置検出手段と、情報を出力させる複数のアプリケーションと、複数のアプリケーション毎に、アプリケーションを実行できる前記搭載位置を規定するアプリケーションリストと、アプリケーションリストを参照して、搭載位置に応じて実行できるアプリケーションを選択し、選択されたアプリケーションを実行する制御手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を動作により乗員に報知する報知用立体物と、当該報知用立体物の車両への搭載位置を検出するセンサとを有する車両用報知装置において、前記報知用立体物が搭載される位置(例えば、インストルメントパネルの左端部付近、中央部付近、右端部付近等)に応じて、前記報知用立体物の報知形態(例えば報知方向)を変化させる車両用報知装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−104103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両用報知装置は、搭載位置に応じて報知形態を変化するのみであったため、ある乗員と乗車位置が異なる乗員にとって必ずしも有用ではない情報が、前記搭載位置に関係なく報知されてしまうことがあった。そこで本発明は、情報提示体が搭載される位置に応じて、有用な情報を乗員に提示できる情報提示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、情報提示体の搭載位置に応じて実行できるアプリケーションを選択し、選択されたアプリケーションを実行し、乗員に対して情報を出力することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数のアプリケーション毎に、前記アプリケーションを実行できる前記搭載位置を規定するアプリケーションリストを参照し、前記搭載位置に応じて実行できるアプリケーションを選択し、選択されたアプリケーションを実行することにより、乗員に対して、有用な情報を出力するアプリケーションを選択し、実行することができ、その結果、当該乗員に対して有用な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】発明の実施形態に係る情報提示装置のブロック図である。
【図2】図1の情報提示装置を備える車両の平面図である。
【図3】図1のロボットの搭載位置と方向データとの対応関係を示す図である。
【図4】図1の情報提示装置に格納される、アプリケーションと搭載位置との対応関係を示す図である。
【図5】図1の情報提示装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の情報提示装置に格納される、アプリケーションを実行する制御手順を示すフローチャートである。
【図7】図1の車両に搭載されるバッテリーの容量レベルとモーションデータIDとの関係である。
【図8】図1の情報提示装置に格納される、モーションデータIDとモーションデータの各内容との関係を示す図である。
【図9】他の発明の実施形態に係る情報提示装置のブロック図である。
【図10】図9の情報提示装置に格納される、各タイミングデータと搭載位置との対応関係を示す図である。
【図11】図9の情報提示装置に格納される、各モーションデータIDに対応するモーションデータの内容を説明する図である。
【図12】図9の情報提示装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図13】他の発明の実施形態に係る情報提示装置に格納される、各モーションデータIDに対応するモーションデータのリストを示す図である。
【図14】他の発明の実施形態に係る情報提示装置のブロック図である。
【図15】図14の情報提示装置に格納される、登録されている乗員毎に格納されているアプリケーションリスト群を示す図である。
【図16】図14の情報提示装置に格納される、登録されている乗員毎に格納されているタイミングリスト群を示す図である。
【図17】図14の情報提示装置に格納される、登録されている乗員毎に格納されているモーションデータのリスト群を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
《第1実施形態》
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の情報提示装置1のブロック図を示す。図2は、車両10の平面図を示す。図3は、ロボット20の搭載位置と方向データとの対応関係を示す図である。
【0009】
図1に示す情報提示装置1は、情報提示体として例えば、首を有する立体のロボット20と、当該ロボット20が搭載される車両10とを有する。本例のロボット20は、車両10のインストルメントパネル上の車両右側、車両中央側、車両左側又は運転席と助手席との間にあるセンターコンソールの末端に搭載される。
【0010】
車両10は、搭載されるロボット20の搭載位置を検出するロボット搭載位置センサ101と、バッテリー残量などの車両情報を送信する車両情報送信部102と、目的地までの道筋を示すルートガイド情報などを送信するナビゲーション情報送信部103と、車両の故障診断結果等の車両システムの状態を示す情報を送信するシステム情報送信部104とを備える。
【0011】
ロボット20は、ロボット搭載位置センサ101からの送信信号を受信しロボット20の搭載位置を把握するロボット搭載位置把握部201と、後述するアプリケーションリスト202と、車両情報送信部102、ナビゲーション情報送信部103及び車両システム情報送信部104から送信される制御信号に含まれる情報を変換しCPU205へ送信するインターフェース203と、ロボット20に対して動作、発話、発光、効果音等を用いて乗員に対して情報を提供するための機能を有するアプリケーション204と、CPU205とを有する。またロボット20は、CPU205からの制御信号に基づいて、例えばロボット20の首を動作させる動作部206、乗員に対して「おはよう」等の声を発する発話部207、光を発する発光部208、効果音を出力する効果音出力部209を有する。
【0012】
ロボット搭載位置センサ101は、図2を参照して、インストルメントパネルの車両右側(図2に示す位置A)、車両中央側(図2に示す位置B)、車両左側(図2に示す位置C)及びセンターコンソールの末端(図2に示す位置D)に、搭載されるロボット20の位置をそれぞれ検出し、検出結果である位置情報を含む信号をロボット搭載位置把握部201へ送信する。ロボット搭載位置把握部201は、ロボット搭載位置センサ101からの制御信号を受信すると、ロボット20の搭載位置に応じて、位置情報をCPU205に送信する。図3を参照して、ロボット搭載位置把握部201は、ロボットが搭載位置Aに搭載されたことを把握する場合、搭載位置Aに対してドライバーが右20度、上8度の方向に乗車していることを示す情報をCPU205に送信し、ロボットが搭載位置Bに搭載されたことを把握する場合、搭載位置Bに対してドライバーが左22度、上8度の方向に乗車していることを示す情報をCPU205に送信し、ロボットが搭載位置Cに搭載されたことを把握する場合、搭載位置Aに対してドライバーが左38度、上8度の方向に乗車していることを示す情報をCPU205に送信し、ロボットが搭載位置Dに搭載されたことを把握する場合、搭載位置Dに対して後席乗員が右0度、上30度の方向に乗車していることを示す情報をCPU205に送信する。CPU205は、ロボット搭載位置201から送信される位置情報から、ロボット20の搭載位置と、当該搭載位置からドライバー又は後席乗員への方向を把握することができる。
【0013】
なお、ロボット20の搭載位置の検出方法は、乗員の操作により搭載位置を取得してもよい、また例えば、各搭載位置にロボット20を固定するための固定具が設けられ、各固定具にスイッチ又はセンサを設け、ロボット20が当該固定具に固定されると当該スイッチ又はセンサがオンになり、位置を認識する方法でもよい。また車両10とロボット20との間で無線通信機能を設け、一方から送信信号から位置を把握する方法でもよい。
【0014】
アプリケーション204には、CPU205により実行され、乗員に情報を提供ための各アプリケーションが含まれている。各アプリケーションには、例えばバッテリーの残量に応じて、乗員に対して警告を発する又は、ロボット10の動作部206に含まれる手によりバツ印又は丸印を示す等の警告通知機能、車両10に搭載されるシステムの状態を診断し、診断結果を動作部206に含まれる首を縦又は横に振ることで示す等のシステム状態提示機能、現在地から目的地までの走行ルートを動作部206に含まれる手により指し示す等の案内機能、乗員とコミュニケーションを行う擬人化機能、ゲーム等が含まれる。
【0015】
次に、アプリケーションリスト202に格納されているアプリケーションリストを、図4を参照し、説明する。図4は、アプリケーションと搭載位置との対応関係を示す図である。「アプリケーション」の欄に示す「バッテリー警告通知」、「故障診断結果通知」、「ルートガイド提示」、「あいさつ」、「ゲーム」は、アプリケーション204に含まれている各アプリケーションと対応づけられている。各アプリケーションには、アプリケーションIDが付与され、例えばアプリケーション「バッテリー警告通知」には、ID「001」が、アプリケーション「故障診断結果通知」には、ID「002」が付与されている。また、各アプリケーションには、当該アプリケーションを実行できる搭載位置が予め規定されており、搭載位置毎に、CPU205により実行できるアプリケーションが異なる。言い換えると、アプリケーションリスト202は、アプリケーションと、当該アプリケーションを実行できる搭載位置との対応関係が、リストにより格納されている。すなわち、各アプリケーションは、CPU205により実行できる否か、搭載位置によって異なり、また搭載位置に応じて、実行可能なアプリケーションが異なる場合がある。例えばアプリケーション「故障診断結果通知」は、ロボット10が搭載位置A、B及びCに搭載される時、実行されるアプリケーションであるが、ロボット10が搭載位置Dに搭載される時、実行できないアプリケーションである。またロボット10が搭載位置Dに搭載される時、アプリケーション「あいさつ」及び「ゲーム」を実行することは可能であるが、アプリケーション「バッテリー警告通知」、「故障診断結果通知」及び「ルートガイド提示」を実行することはできない。
【0016】
CPU205は、ロボット搭載位置把握部201からロボット20の搭載位置を認識し、アプリケーションリスト202に格納されているリストを参照して、当該認識した搭載位置により、実行できるアプリケーションを選択する。そして、CPU205は、例えば操作者から操作命令から、当該選択されたアプリケ−ションの実行要求を受けると、当該選択されたアプリケーションに該当するアプリケーションをアプリケーション204から抽出する。次に、CPU205は、必要に応じて、車両情報送信部102、ナビゲーション情報送信部103又は車両システム情報送信部104からの送信信号に含まれる情報と、抽出されたアプリケーションを実行する。そして、CPU205は、動作部206等の外部への出力部に対して、アプリケーションの実行結果を乗員に情報として出力するための信号を送信する。また、CPU205は、ロボット搭載位置把握部203から、図3に示す乗員の乗車方向に関する情報を認識しているため、動作部206等の出力部を制御して、当該方向に向けて情報を出力する。
【0017】
次に、図5を参照して、情報提示装置1の制御手順を説明する。図5は、情報提示装置1の制御手順を示すフローチャートを示す。
【0018】
ステップS11にて、情報提示装置1による制御が開始される。制御は、例えば、乗員の操作を起点として開始してもよく、イグニンションがオンになる時に開始してもよい。本例では、ロボット20が図2に示す搭載位置A〜Dのいずれかに搭載される時、自動的に制御が開始される。
【0019】
制御が開始すると、ロボット搭載位置センサ101により、ロボット20の搭載位置を検出し、検出信号をロボット搭載位置把握部201に送信する(ステップ12)。CPU205は、ロボット搭載位置把握部201により把握された搭載位置を含む信号を受信することで、ロボット20の搭載位置を把握する。ステップS13にて、CPU205は、アプリケーションリスト202に格納されるアプリケーションリスト(図4を参照)を入手する。
【0020】
ステップS14にて、アプリケーションリストを参照して、検出した搭載位置に応じて、アプリケーションが実行できるか否か判定する。ここで、アプリケーションが実行できる否かの判定又は、アプリケーションが選択し実行できるか否かについて、以下に例をあげて、説明する。
【0021】
まずCPU205が、アプリケーションリストを参照して、検出した搭載位置から、実行できるアプリケーションを抽出し、車両に備えられる画面上に、抽出したアプリケーション名を含むメニューボタンを表示する。そして、乗員が、メニューボタンを選択することによって、CPU205が実行できるアプリケーションを選択する。これにより、搭載位置に応じて実行できるアプリケーションが選択される。
【0022】
また他には、車両に備えられる画面上又はリモコン等に、アプリケーションを決定するための表示部が備えられている。そして、乗員が当該表示部からアプリケーションを決定した時、CPU205は、当該決定されたアプリ−ケーションが、実行できるか否かを、アプリケーションリストを参照して、判定する。すなわち、CPU205は、検出した搭載位置から実行できるアプリケーションを抽出し、抽出したアプリケーションの中に、当該決定されたアプリ−ケーションが、含まれているか否かを判定する。そして、当該決定されたアプリ−ケーションが含まれている場合、CPU205は、当該決定されたアプリ−ケーションを選択する。一方、当該決定されたアプリ−ケーションが含まれていない場合、CPU205は、当該決定されたアプリ−ケーションを選択せず、実行できないと判定し、制御を終了する。
【0023】
また他には、情報提示装置1の制御が開始されると、最初に実行すべきアプリケーション(例えば、バッテリー容量に応じて注意又は警告を通知するアプリケーション)が予め設定されている。そして、CPU205は、アプリケーションリストを参照して、当該最初に実行すべきアプリケーションについて、検出した搭載位置が、実行可能な搭載位置として規定されているかを判定する。検出した搭載位置がリスト内に規定されている場合(例えば、バッテリー警告通知アプリケーションにおける、搭載位置A、B、C 図4を参照)、CPU205は、当該最初に実行すべきアプリケーションを選択する。一方、検出した搭載位置がリスト内に規定されていない場合(例えば、バッテリー警告通知アプリケーションにおける、搭載位置D 図4を参照)、CPU205は、当該最初に実行すべきアプリケーションを選択せず、実行できないと判定し、制御を終了する。なお、本例では、バッテリー容量に応じて注意又は警告を通知するアプリケーションを実行できると判定した場合を例として、以下説明する。
【0024】
ステップS15にて、CPU205は、選択されたアプリケーションをアプリケーション204から抽出する。そしてCPU205は、抽出されたアプリケーションを、必要に応じて車両情報送信部102等から送信される信号に含まれる情報とともに、実行する(ステップS16)。ここで、バッテリー容量に応じて注意又は警告を通知するアプリケーションを例とし、図6〜図8を用いて、ステップ15を説明する。図6はアプリケーションを実行する制御手順を示すフローチャートを示し、図7は容量レベルとモーションIDとの関係を示し、図8は、モーションIDとモーションデータの各内容との関係を示す図である。
【0025】
ステップS161にて、CPU205は、車両情報送信部102から送信信号より、バッテリーの残量を示すデータを取得し、当該バッテリーの残量が通常の容量レベルの範囲内にあるか否かを判定する(ステップS162)。ここで、バッテリー残量の取得方法は、本例のように、車両情報送信部102が送信する信号にバッテリーの残量を示す情報が含まれており、インターフェース203を介して直接的に取得する方法や、車両情報送信部102が送信する信号にバッテリーの電圧を示す情報が含まれており、当該電圧から、バッテリー残量を取得する方法でもよい。
【0026】
バッテリー残量が通常レベルの範囲内である場合、CPU205は、何も通知をせず、本フローから抜け出す。一方、バッテリー残量が通常レベルの範囲内ではない場合、CPU205は、バッテリー残量が注意レベルの範囲内であるか否かを判定する(ステップS163)。バッテリー残量が注意レベルの場合、CPU205は、バッテリー残量注意レベルに対応するモーションデータを決定する(ステップS164)。一方、バッテリー残量が注意レベルではない場合、CPU205は、バッテリーレベルが警告レベルに該当すると判断して、バッテリー残量警告レベルに対応するモーションデータを決定する(ステップS165)。ここで、アプリケーション204に格納されるアプリケーション「バッテリー警告通知機能」には、バッテリーレベルに応じて識別子(ID)が振られており、図7に示すように、バッテリー注意レベルには、ID001が付与され、バッテリー警告レベルには、ID002が付与される。また各バッテリーレベルのIDに対応して、モーションデータIDが格納されている。ここでモーションデータは、ロボット20の動作、発光、発話又は効果音を組み合わせて出力するために用いる動作、発光、発話、効果音の内容が記されたデータを示す。
【0027】
例えば、バッテリー残量が注意レベルの場合、モーションID001が読みだされ、発話部207から「バッテリー残量が少なくなってきたみたいだよ。注意してね」というメッセージを出力するためのモーションデータが決定する。同様に、バッテリー残量が警告レベルの場合、モーションID002が読み出され、発話部207から「バッテリー残量がピンチみたい。充電しなきゃ。」というメッセージを出力するためのモーションデータが決定する。なお、本例では、発話メッセージを例に、モーションデータの内容を説明するが、図8に示すように、ロボット20の動作、発光又は効果音についても、モーションデータ毎に規定されている。
【0028】
図5に戻り、ステップ16にてアプリケーションが実行された後、CPU205は、モーションデータを送信するか否かを判定する(ステップS17)。図6に示す制御フローにより、モーションデータが決定されなかった場合(バッテリーレベルが通常レベルである場合)、CPU205は、制御を終了する。一方、図6に示す制御フローにより、モーションデータが決定された場合(バッテリーレベルが注意レベル又は警告レベルである場合)、当該モーションデータを動作部206、発話部207、発光部208又は効果音出力部209に送信する。そして、CPU205は、ステップS12により受信したロボット搭載位置センサ101の送信信号に含まれる方向データ(図3を参照)を用いて、情報提供先となる乗員に対してロボット20の出力方向を合わせる。
【0029】
ステップS19にて、動作部206等は、図8に示す、動作、発光、効果音及び発話を出力することにより、モーションデータに含まれる情報を乗員に対して出力し、制御を終了する(ステップS20)。そして、次のアプリケーションに関して、上記制御が、適宜、行われる。
【0030】
上記のように、本例の車両提示装置1は、車両内におけるロボット20の搭載位置を検出するロボット搭載位置センサ101と、アプリケーションを実行できる搭載位置を、アプリケーション毎に規定するアプリケーションリスト202を有する。そして、CPU205は、アプリケーションリスト(図4を参照)を参照して、搭載位置に応じて、実行できるアプリケーションを選択し、選択されたアプリケーションを実行し、実行結果である情報を乗員に出力する。これにより、ロボット20の搭載位置に応じて、乗員に対して有用な情報を提供するアプリケーションを適切に選択し、実行することができる。
【0031】
例えば、ロボット20が後席乗員への情報提供やコミュニケーションを目的とした位置(例えば、後席に備えられるカップホルダーの位置等)に、搭載される場合、車外物体(歩行者、自転車又は他車両等)に関する警告情報、目的地までのルートガイド情報又は走行前の車両の診断結果に関する情報は、後席乗員に対して有用ではない。一方、あいさつ機能、現在地付近の店舗情報、観光情報又はゲーム機能は、後席乗員に対して有用であるである。本例において、ロボット20が、例えば搭載位置D(図2を参照)に搭載された場合、後席乗員にとって、必ずしも有用ではないアプリケーションは、選択又は実行されず、有用なアプリケーションが選択され、実行される。これにより、本例は、快適な車両空間を提供することができる。また、例えばゲーム機等は、ドライバーの安全運転に影響を及ぼす可能性があるため、当該ゲーム機能を含むアプリケーションを実行するのは、避けた方がよい。本例は、ロボット20の搭載位置に応じて、実行されるアプリケーションの種類が異なるため、安全で快適な車両空間を提供できる。
【0032】
なお、本例は、ロボット搭載位置把握部201、アプリケーションリスト202、アプリケーション204、CPU205をロボット20に設けるが、車両10に設けてもよい。また上記はアプリケーションとモーションデータを分けて説明するが、モーションデータをアプリケーションの一部として、アプリケーションに含ませてもよい。
【0033】
なお、本例の動作部206が本発明の「可動部」に対応し、ロボット20が「情報提示体」に、ロボット搭載位置センサ101が「情報提示体」に、CPU205が「制御手段」に相当する。
【0034】
《第2実施形態》
図9は、発明の他の実施形態に係る情報提示装置1のブロック図である。本例は上述した第1実施形態に対して、タイミングリスト301を備える点が異なる。これ以外の構成で上述した第1実施形態と同じ構成は、その記載を援用する。
【0035】
図9を参照し、ロボット20は、タイミングリスト301を備え、CPU205からの指令に応じて、後述するタイミングリストがCPU205によって、抽出される。
【0036】
次に、タイミングリスト301に格納されているタイミングリストを、図10を参照し、説明する。図10は、各タイミングデータと搭載位置との対応関係を示す図である。「タイミングデータ(ID)」の欄に示す「システム起動、5:01−11:00」、「システム起動、11:01−17:00」等は、アプリケーション「あいさつ機能」を実行し、情報を乗員に出力する際のタイミングを示す。各タイミングデータには タイミングIDが付与され、例えば「所定時間経過、停車中」には、ID「101」が付与される。またタイミングが搭載位置毎に予め規定されている。言い換えるとタイミングリスト301は、当該搭載位置と情報を出力するタイミングとの対応関係が、リストにより格納されている。また各タイミングデータには、モーションデータIDが割り当てられ、例えば「システム起動、17:01−5:00」には、ID「003」が付与される。
【0037】
CPU205は、図11に示すように、各モーションデータIDに対応するモーションデータの内容である、ロボット20の動作、発光、効果音及び発話を規定する。CPU205は、アプリケーション「あいさつ機能」を実行する際、タイミングリスト301から、図10に示すタイミングリストを参照して、搭載位置(例えば、搭載位置A)と対応するタイミングデータ(例えば、タイミング「所定時間経過、停車中」)を抽出する。またCPU205は、抽出したタイミングデータに付与さているモーションデータID(例えば、ID「101」)から、モーションデータを決定する。そして決定した内容の情報(例えば発話メッセージ「ねぇ、ねぇ、ちょっと呼んだだけ」等)が、当該タイミングデータにより示されるタイミングでロボット20から出力される。
【0038】
次に、図12を用いて、情報提示装置1の制御手順を説明する。図12は、情報提示装置1の制御手順を示すフローチャートを示す。なお、図5を参照して、ステップS11〜S15及びステップS17〜S20は、実施形態1と同様であるため、省略し、アプリケーション「あいさつ機能」を実行し、モーションデータを決定する制御手順を説明する。また本例では、ロボット20が搭載位置Dに搭載される例について、説明する。
【0039】
ステップS261にて、CPU205は、タイミングリスト301からタイミングリストを抽出する。そして、CPU205は、当該タイミングリストを参照して、ステップS12にて検出した搭載位置から、タイミングデータを抽出する(ステップS263)。ロボット25が搭載位置Dに搭載された場合、CPU205は、タイングデータID001、002、003及び201を、抽出する。
【0040】
次に、CPU205は、時刻を抽出する(ステップS263)。ステップS264にて、CPU205は、本制御手順の回数が1回目であるか否かを判定する。そして、制御回数が1回目の場合、CPU205は、タイミングデータID001から003までのタイミングデータの中から、抽出した時刻に該当する、タイミングデータを選択する。例えば、システムを起動した時の時刻が14:00の場合、CPU205は、タイミングデータID002を選択する。そして、CPU205は、選択したタイミングデータID002に対応するモーションデータIDから、図11に示すテーブルより、モーションデータを決定する(ステップS265)。
【0041】
一方、制御回数が2回目以降の場合、CPU205は、システム起動時から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS266)。所定期間が経過した場合、CPU205は、モーションデータID101を選択する(ステップS267)。
【0042】
そして、ステップS268にて、CPU205は、ステップ265又はステップS267により選択されたモーションデータIDに対応するタイミングデータを決定し、ステップS17へ移る。
【0043】
またステップS17にて、情報を出力する際、CPU205は、モーションデータに含まれる内容に加えて、タイミングデータにより示されるタイミングで情報を出力する。例えば、タイミングデータ(ID002)により、情報が出力される場合、「こんにちは」というメッセ−ジが「システム起動時」に、出力される。また、例えば、タイミングデータ(ID201)により、情報が出力される場合、「ねぇ、ねぇ、ちょっと呼んだだけ」というメッセ−ジが「所定期間経過時」に、出力される。さらに、例えば、タイミングデータ(ID101)により、情報が出力される場合、「ねぇ、ねぇ、ちょっと呼んだだけ」というメッセ−ジが「所定期間経過時」かる「車両停車時」に、出力される。
【0044】
ここで、タイミングデータID101とID201について、モーションデータID101は、「ねぇ、ねぇ、ちょっと呼んだだけ」という同様のメッセージであるが、出力するタイミングが異なる。図10に示すように、タイミングデータ(ID101)は、ロボット20が搭載位置A〜Cに搭載される場合に選択されるデータである。ロボット20が搭載位置A〜Cに搭載される場合、図2に示すように、ロボット20は、インストルメントパネルの上に搭載され、情報の出力先は、主にドライバーである可能性が高いため、本例は、「車両停車時」に情報を出力する。これにより、本例は安全な車両空間を提供できる。一方、タイミングデータ(ID201)は、ロボット20が搭載位置Dに搭載される場合、選択されるデータであって、ロボット20は、後部に搭載される。そのため、情報の出力先は、主に後席乗員であるため、本例は、車両の走行状態とは関係なく、情報を出力する。これにより、本例は、運転手の運転を不用意に妨害するおそれがなく、安全な車両空間を提供できる。
【0045】
上記のように、本例の車両提示装置1は、搭載位置毎に、情報を出力するタイミングを規定するタイミングリスト301を有する。そして、CPU205は、タイミングリスト(図10を参照)を参照して、搭載位置に応じて、当該タイミングで情報を乗員に出力する。これにより、本例は、ロボット20の搭載位置に応じて、乗員に対して適切なタイミングで情報を提供することができ、安全で快適な車両空間を提供できる。
【0046】
なお本例は、アプリケーション「あいさつ機能」を例に制御内容を説明したが、他のアプリケーションを実行し、乗員に対して情報を出力する際、出力のタイミングを、ロボット20の搭載位置に応じて、設定してもよい。
【0047】
《第3実施形態》
図13は、発明の他の実施形態に係る情報提示装置1のCPU205に格納される、各モーションデータIDに対応するモーションデータのリストである。本例は上述した第2施形態に対して、CPU205に、図11に示すリストの代わりに、図13に示すリストを格納する点が異なる。これ以外の構成で上述した第2実施形態と同じ構成は、その記載を援用する。
【0048】
CPU205は、図13に示す、モーションデータに関するリストを格納し、搭載位置に応じて、当該リストを参照し、動作、発光、効果音又は発話を決定し、情報を出力する。図13のリストのモーションデータIDは、図10に格納されているモーションデータIDと対応する。また、図13に示すリストは、例えば同じモーションデータID(ID001及びID002)であっても、搭載位置に応じて、モーションデータの内容(ロボット20の動作、ロボット20からの発行形態及び出力音)が異なる。
【0049】
例えば、ロボット20が搭載位置Dに搭載され、システム起動時の時刻を9:00とする。CPU205は、タイミングリスト301より、図11に示すタイミングリストを参照し、搭載位置Dと時刻9:00により、タイミングデータを決定し、モーションデータID001を抽出する。次に、CPU205は、図13に示すリストを参照して、当該モーションデータID001から、モーションデータを決定する。そして、CPU205は当該モーションデータの内容で情報を出力し、ロボット20はメッセージ「おっはー」を後部乗員に対して発する。
【0050】
また例えば、ロボット20搭載位置Aに搭載され、システム起動時の時刻を15:00とする。CPU205は、図11に示すタイミングリストを参照し、搭載位置Aと時刻15:00により、タイミングデータを決定し、モーションデータID002を抽出する。そして、CPU205は、図13に示すリストを参照して、当該モーションデータID002から、モーションデータを決定し、情報を出力する。これにより、ロボット20はメッセージ「こんにちは」を前部乗員に対して発する。
【0051】
上記のように、本例の車両提示装置1は、搭載位置毎に、情報を出力するためのモーションデータの内容を規定するリストを有する。そして、CPU205は、当該リスト(図13を参照)を参照して、搭載位置に応じて、当該モーションデータにより示される情報を乗員に出力する。これにより、本例は、ロボット20の搭載位置に応じて、乗員に対して適切な情報を提供することができ、安全で快適な車両空間を提供できる。
【0052】
なお、本例の図13に示すリストが、本発明の「動作リスト」、「発光リスト」及び「音出力リスト」に対応する。
【0053】
《第3実施形態》
図14は、発明の他の実施形態に係る情報提示装置1のブロック図である。本例は上述した第1〜3実施形態に対して、乗員認識部401及びユーザ好み作成部402を備える点が異なる。これ以外の構成で上述した第1〜3実施形態と同じ構成は、その記載を適宜、援用する。
【0054】
図14を参照し、本例の情報提示装置1のロボット20は、乗員認識手段401とユーザ好み作成部402を有している。乗員認識部401は、乗員の個人情報を識別子(ID)により登録することができる。そして、登録された乗員が車両に乗車すると、乗員認識部401により、当該乗員を認識する。乗員の認識方法は、例えば顔等の画像、指紋又は声紋などの生体認証、鍵、IDカード等により示される個人情報をIDとして登録し、当該IDに応じて認証する方法でもよい。またはカメラを用いた画像認証で乗員を認識する方法でもよい。図15は、登録されている乗員毎に格納されているアプリケーションリスト群を示す図であり、図16は、登録されている乗員毎に格納されているタイミングリスト群を示す図であり、図17は、登録されている乗員毎に格納されているモーションデータのリスト群を示す図である。
【0055】
アプリケーションリスト202は、図15に示すように、乗員認識部401に登録されている乗員(例えば、乗員X、Y、Z)毎のアプリケーションリストが格納されている。また同様にCPU205に格納されているタイミングリスト、モーションデータのリストも、登録されている乗員毎のリストが格納されている。
【0056】
ユーザ好み作成部402は、乗員の好みに応じて、アプリケーションリスト、タイミングリスト又はモーションデータのリストを、CPU205を介して、作成する。
【0057】
次に、本姓の制御内容を説明する。なお、乗員認識部401には、乗員X、Y及びZが、予め登録されている。
【0058】
まず乗員Yが、車両の座席に搭乗し、ロボット20を、図2に示す搭載位置のいずれかの位置に搭載し、本例のシステムを起動する。乗員認識部401は、乗員Yを、登録されているIDから認識し、認識結果をCPU205へ送信する。これにより、本例の情報提示装置1は、乗員Yが乗車したことを認識する。
【0059】
次に、CPU205は、当該認識結果に応じて、乗員Yに割り当てられているリストを、アプリケーションリスト202、タイミングリスト301又はCPU205に格納されているモーションデータのリストから抽出する。そして、CPU205は当該抽出したリストを用いて、第1〜第3実施形態に記載する制御を実行する。
【0060】
また、上記のリストを作成又は変更する場合、まずユーザ好み作成部402が、乗員の操作命令により、リストの作成又は変更を示す制御信号をCPU205へ送信する。CPU205は、作成又は変更するリストを、アプリケーションリスト202、タイミングリスト301又はCPU205に格納されているモーションデータのリストから抽出し、乗員に対して、当該リストを表示する。そして、CPU205は、乗員の作成、変更指令に応じて、当該リストの内容を適宜、作成又は変更する。
【0061】
上記のように本例の情報提示装置は、IDを登録するに操作者毎に上記のリストを設定し、認識された操作者に応じて、設定されているリストを参照し、認識された操作者用のリストを選択する。これにより、本例は、登録されているユーザの好みに合わせて、アプリケーション、情報出力のタイミング又はモーションデータの内容を作成し、作成されたリストを参照して、システムを実行することができるため、快適な車両空間を提供することができる。
【0062】
なお、本例の乗員認識部401が本発明の「操作者認識手段」に相当する。
【符号の説明】
【0063】
1…情報提供装置
10…車両
101…ロボット搭載位置センサ
102…車両情報送信部
103…ナビゲーション情報送信部
104…車両システム情報送信部
20…ロボット
201…ロボット搭載位置把握部
202…アプリケーションリスト
203…インターフェース
204…アプリケーション
205…CPU
206…動作部
207…発話部
208…発光部
209…効果音出力部
301…タイミングリスト
401…乗員認識部
402…ユーザ好み作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を備え、乗員に情報を出力する情報提示体と、
車両内における前記情報提示体の搭載位置を検出する搭載位置検出手段と、
前記情報を出力させる複数のアプリケーションと、
前記複数のアプリケーション毎に、前記アプリケーションを実行できる前記搭載位置を規定するアプリケーションリストと、
前記アプリケーションリストを参照して、前記搭載位置に応じて実行できるアプリケーションを選択し、選択されたアプリケーションを実行する制御手段を有することを特徴とする
情報提示装置。
【請求項2】
前記搭載位置毎に、前記情報を出力するタイミングを規定するタイミングリストをさらに有し、
前記制御手段は、前記タイミングリストを参照して、前記搭載位置に応じた前記タイミングにより前記情報を前記情報提示体から出力することを特徴とする
請求項1記載の情報提示装置。
【請求項3】
前記搭載位置毎に、前記情報提示体の動作を規定する動作リストをさらに有し、
前記制御手段は、前記動作リストを参照し、前記搭載位置に応じた前記動作により前記情報提示体を動作させて前記情報を前記情報提示体から出力することを特徴とする
請求項1又は2記載の情報提示装置。
【請求項4】
前記搭載位置毎に、前記情報提示体に備える発光部の発光形態を規定する発光リストをさらに有し、
前記制御手段は、前記発光リストを参照して、前記搭載位置に応じた前記発光形態で発光する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報提示装置。
【請求項5】
前記搭載位置毎に、前記情報提示体に備える音出力部の出力音を規定する音出力リストを有し、
前記制御手段は、前記音出力リストを参照して、前記搭載位置に応じた前記出力音で音を出力する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報提示装置。
【請求項6】
登録されている操作者のIDにより、操作者を認識する操作者認識手段をさらに有し、
前記アプリケーションリスト、前記タイミングリスト、記動作リスト、前記発行リスト又は前記音出力リストの少なくとも一つのリストは、前記登録されている操作者毎に設定されているリストであり、
前記制御手段は、前記リストを参照して、前記操作者認識手段により認識される操作者に応じて、前記リストを選択することを特徴とする
請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報提示装置。
【請求項7】
車両内における情報提示体の搭載位置を検出するステップと、
前記情報提示体から情報を出力する複数のアプリケーション毎に、前記アプリケーションを実行できる前記搭載位置を規定するアプリケーションリストを参照するステップと、
前記搭載位置に応じて実行できるアプルケーションを選択するステップと、
選択されたアプリケーションを、前記情報提示体を制御する制御部により実行し、前記情報提示体を可動させて前記情報を乗員に出力するステップとを有する
情報提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−16380(P2011−16380A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160334(P2009−160334)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】