説明

情報記録のための媒体、情報読み取り装置、情報入力システム

【課題】印刷技術により形成されるよりもさらに微細なドットパターンが形成でき、透明な情報記録媒体の透明度が向上でき、読み取り装置を傾けてもドットパターンを読み取る事が出来る情報記録媒体と読み取り装置とを提供する。
【解決手段】特定の周波数の光線(赤外線など)を用いて、情報記録媒体の表面のドットパターンを読み取るシステムにおいて、ドットパターンのドットをフォトレジスト工程により形成することにより微細化し、透明な情報記録媒体にドットを貫通孔により形成することにより透明度の低下を防ぎ、読み取り装置を傾けてドットパターンを読み取る場合でも、媒体表面において該光線を拡散反射させることにより、また、欠けた形状として撮像されたドットに対してパターン認識技術を用いることにより、ドットパターンの認識率を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔によりドットパターンを形成した情報記録媒体、および該情報記録媒体から情報を読み取る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報を表現するために所定のアルゴリズムにより生成されたドットパターンを、インクを用いた印刷技術により、情報記録媒体面に記録する技術が知られている。
【0003】
また、ドットパターンの各ドットを、印刷する代わりに、凹孔を設けることにより形成する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1において、図22では、21は金属材料で形成されたIC用のリードフレーム、22および23はこのようなリードフレーム21の表面に形成したピクセルコードの形状が異なる2種類のドットをそれぞれ示すもので、22は逆四角錐型の先が尖った形状をなす凹孔によるピクセルコードのドット、23は逆円錐型の先が尖った形状をなす凹孔によるピクセルコードのドットを示している。
【0005】
図23では、このようなピクセルコードの読み取り装置の構成例を示す。ここで、24はリードフレーム21の表面を照射するための光源として設けられたハロゲンランプ、25はハロゲンランプ24から放射される光をリードフレーム21に対して直角方向に導くように配置されたハーフミラー、26はリードフレーム21から反射され、ハーフミラー25を透過した光が入射されるレンズ、27はレンズ26を介して集光された光を受光するCCDカメラであり、CCDカメラ27から得られた撮像は画像処理部28において2値化される。
【0006】
図24に示すように、先の尖らない球面形状の小孔によるドット32でピクセルコードを形成する。そして、図25に示すようなピクセルコード読み取り装置を用いてその読取りを実施する。
【0007】
図25において、33は照明器のリングファイバ、34はリングファイバ33に保持され、斜め下方に向けて光を投光する環状の光源体であり、本例ではリングファイバ33の中空をなす中心部にレンズ26が配置されている。このような配置によるリングファイバ33をプリント基板などの被検出体31表面に対し所定の間隔を保って平行配置することにより、光源34からの光を被検出体31表面およびドット32にかかわる部位から反射させ、その反射光をそれぞれレンズ26を介してCCDカメラ27に受光させるようにする。その結果、CCDカメラ27から得られる撮像結果としては、ドットパターンのない部分では矢印で示すように反射されてレンズ26には入射されない、という技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平6ー266871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記従来技術を用いて、通常のインクジェットプリンタ等により、ドットパターンを印刷する場合、ドットパターンの格子(後述)サイズを、0.5mm程度より小さくすることは困難であった。また、オフセット印刷の場合、0.3mm程度より小さくすることは困難であった。
【0010】
また、微細なドットの形状を均一にして一定の高認識率を確保することが、印刷の精度上困難であった。
【0011】
それ故、印刷により、さらに微細な、すなわち、情報記録密度のより高いドットパターンを形成することは出来なかった。
【0012】
さらに、透明な情報記録媒体に印刷によりドットパターンを形成する場合、印刷に用いるインクは、ドットを読み取る為に照射する光線を吸収する特性を持たなければならず、可視光領域において完全に透明にすることは出来ず、そのため、ドットパターンを印刷した情報記録媒体の透明度を上げることは出来なかった。
【0013】
また、特許文献1に開示された技術では、媒体面における光線の鏡面反射を用いているので、逆四角錐型または逆円錐型の先が尖った形状をなす凹孔によりドットを形成した場合、媒体面に対して読み取り装置が傾くと、ドットを読み取ることが出来なかった。
【0014】
また、先の尖らない球面形状の小孔によりドットを形成した場合、斜め下方に向けて光を投光する環状の光源体により光線を照射しなければならず、光源の製造コストが高くなってしまうという問題点があった。
【0015】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、印刷技術により形成されるよりもさらに微細なドットパターンが形成でき、透明な情報記録媒体の透明度が向上でき、読み取り装置を傾けてもドットパターンを読み取る事が出来る情報記録媒体と、ドットパターンの読み取りに際し廉価な構造の光源を用いる事が出来る読み取り装置とを提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1) 本発明に係る情報記録媒体は、前記課題を解決するために、一面側からの特定の周波数領域の光線を反射する情報記録媒体であって、種々のマルチメディア情報出力および/またはオペレーション指示のため、ドットコード生成アルゴリズムにより生成されたドットを所定の規則に則って配列したドットパターンのドット位置に、微細な貫通孔を設けたことを特徴としている。
【0017】
特定の周波数領域の光線の例としては、赤外線が挙げられる。情報記録媒体に対して、赤外線を照射し、その反射光を、レンズを介して撮像することにより、情報記録媒体表面に形成されたドットパターンを読み取り、その中のドットの配列を解析することにより、ドットパターンに記録された情報を再生する。なお、赤外線以外に、紫外線を用いてもよいし、可視光領域の光線を用いてもよい。
【0018】
インクの印刷によりドットパターンを形成する場合は、印刷部において、照射した光線が吸収され、印刷部以外では照射された光線が反射するので、撮影した画像中において、ドットパターンを認識することが出来ることと同じように、貫通孔によりドットパターンを形成する場合も、貫通孔の開口部では照射した光線が反対側に抜け、開口部以外では照射された光線が反射するので、撮影した画像中において、ドットパターンを認識することが出来る。
【0019】
前記の構成によれば、情報記録媒体が透明であることが求められる場合には、各ドットの位置では、貫通孔により全ての周波数領域の光線が通過するので、ドットを印刷する場合に較べ、情報記録媒体の透明度を上げることが出来るという効果を奏する。
【0020】
また、パンチング工程またはフォトレジスト工程等により貫通孔を形成する場合、印刷によるよりも、微細な加工を行うことが出来るという効果を奏する。
【0021】
また、微細加工のドットパターンの偽造にはコストがかかり、偽造が現実的では無くなるので、セキュリティ分野への応用が出来るという効果を奏する。
【0022】
また、印刷に較べ、ドットの形状を均一に出来るので、ドットおよびドットパターンの認識率を向上させることが出来るという効果を奏する。
【0023】
(2) 本発明に係る情報記録媒体では、前記反射は、拡散反射であることが好ましい。
【0024】
前記の構成によれば、情報記録媒体に照射された光線は、媒体表面において、拡散反射するので、情報読み取り装置が情報記録媒体に対して傾いた場合でも、レンズに確実に反射光を入射させることが出来るというさらなる効果を奏する。
【0025】
(3) 本発明に係る情報記録媒体では、前記情報記録媒体の一面側には、前記特定の周波数領域の光線を拡散反射する拡散反射層が設けられていることが好ましい。
【0026】
前記の構成によれば、情報記録媒体自体の表面を、特定の周波数領域の光線を拡散反射するように加工することが困難な場合でも、照射された光線を確実に拡散反射させることが出来るというさらなる効果を奏する。
【0027】
(4) 本発明に係る情報記録媒体では、前記情報記録媒体の他面外側には、他面側からの特定の周波数領域の光線を反射する特性を有する反射層が設けられていることが好ましい。
【0028】
前記の構成によれば、透明な情報記録媒体において、読み取り面とは反対側の面へ、外界から特定の周波数領域の光線が入射した場合でも、外界からの光線は反射層により反射され、読み取り面側には到達しないので、ドットパターンの読み取りの妨害を防ぐことが出来るというさらなる効果を奏する。
【0029】
(5) 本発明に係る情報記録媒体では、前記貫通孔には、特定の周波数領域の光線を吸収する材料が充填されていることが好ましい。
【0030】
前記の構成によれば、貫通孔は、特定の周波数領域の光線を吸収する材料により塞がれているので、貫通孔の開口部に入射した光線が吸収される点はそのままであるが、ゴミや埃が貫通孔に入らなくなるので、汚れを防ぐことが出来るというさらなる効果を奏する。
【0031】
(6) 本発明に係る情報記録媒体では、前記情報記録媒体の一面外側および/または他面外側には、特定の周波数領域の光線および可視光を透過する特性を有する保護層が設けられていることが好ましい。
【0032】
前記の構成によれば、保護層により貫通孔の開口部が塞がれるので、貫通孔内に特定の周波数領域の光線を吸収する材料を充填しなくても、ゴミや埃による貫通孔の詰まりを防ぐことが出来るというさらなる効果を奏する。
【0033】
また、保護層により、情報記録媒体の強度を高めることが出来るので、全体の厚みを変更しないのであれば、その分情報記録媒体を薄くできるというさらなる効果を奏する。
(7) 本発明に係る情報記録媒体では、前記情報記録媒体の表面またはその他の層には、前記特定の周波数領域の光線を透過または反射する材料からなるインクを用いて、テキスト、イラスト、写真等が重畳印刷されていることが好ましい。
【0034】
前記の構成によれば、情報記録媒体上に印刷を行えるので、目視できる印刷内容と、情報を含んだドットパターンとを、様々に組み合わせることが出来るというさらなる効果を奏する。
【0035】
(8) 本発明に係る情報記録媒体では、前記ドットパターンは、XY座標値および/またはコード値を、仮想基準点からのドットのずれにより記録する所定のアルゴリズムによりパターン化したドットパターンであることが好ましい。
【0036】
前記の構成によれば、ドットの有無によりドットパターンに情報を持たせる場合に較べ、モアレ模様が生じにくくすることが出来るというさらなる効果を奏する。
【0037】
(9) 本発明に係る情報記録媒体は、シート状、パネル状、カード状、シール状、タグ状、しおり状、または付箋紙状に加工された、平面および/または曲面状の媒体であることが好ましい。
【0038】
前記の構成によれば、情報記録媒体は様々な形状に加工することが出来るので、情報記録媒体の用途に応じて最適な形状を選択出来るというさらなる効果を奏する。
【0039】
(10) 本発明に係る情報記録媒体では、前記貫通孔は、パンチング工程により形成されたことが好ましい。
【0040】
前記の構成によれば、安価に微細なドットパターンを形成することが出来るというさらなる効果を奏する。
【0041】
(11) 本発明に係る情報記録媒体では、前記貫通孔は、フォトレジスト工程により形成されたことが好ましい。
【0042】
前記の構成によれば、半導体製造工程と同様のフォトレジスト工程を用いることにより、半導体回路パターンと同程度の非常に微細なドットパターンを形成することが出来るというさらなる効果を奏する。
【0043】
また、この工程は、大がかりなものであり、製造装置にコストがかかるので、偽造が割に合わないものとなるので、本工程により製造された情報記録媒体はセキュリティ分野に用いることが出来るというさらなる効果を奏する。
【0044】
(12) 本発明に係る情報記録媒体では、前記課題を解決するために、前記情報記録媒体において、該情報記録媒体は、一面側からの特定の周波数領域の光線を拡散反射し、前記ドット位置には、微細な貫通孔に代えて、微細な非貫通孔を設けたことを特徴としている。
【0045】
前記の構成によれば、ドットパターン読み取りのために媒体面に照射された光は、媒体面において拡散反射されるので、従来技術のように、照射光と反射光の光軸を揃えたり、環状の光源を用いたりする必要が無くなるという効果を奏する。
【0046】
また、非貫通孔の場合、片面にのみドットパターンが形成されるので、表面と裏面とで異なるドットパターンを形成することが出来るという効果を奏する。
【0047】
(13) 本発明に係る情報記録媒体は、前記特定の周波数領域の光線を除く可視光を透過することが好ましい。
【0048】
前記の構成によれば、情報記録媒体は、可視光を透過するので、該媒体を他の媒体の上に配置し、該他の媒体上の情報を目視し、該情報をガイドとしながら、情報記録媒体上の適切な位置のドットパターンを読み取ることが出来るというさらなる効果を奏する。
【0049】
また、情報記録媒体をガラス等の透明媒体に貼り付けて使用する場合でも、透明であれば、美観を損ねないというさらなる効果を奏する。
【0050】
また、透明であれば、他の様々な媒体に貼り付けたときに、該他の様々な媒体上にある情報を隠蔽しないというさらなる効果を奏する。
【0051】
(14) 本発明に係る情報記録媒体は、可視光を透過しないことが好ましい。
【0052】
前記の構成によれば、可視光を透過しない金属材料なども情報記録媒体として利用することが出来るので、様々な材料を情報記録媒体に利用できるというさらなる効果を奏する。
【0053】
(15) 本発明に係る情報読み取り装置は、前記課題を解決するために、前記情報記録媒体に対して、特定の周波数領域の光線を照射し、反射光を読み込むドットパターン読み取り手段と、前記孔の部分と、該孔の周辺部とで、該反射光の照度が異なることにより、前記ドットパターンを読み込み、XY座標値および/またはコード値を認識するドットパターン認識手段とを備えたことを特徴としている。
【0054】
前記の構成によれば、情報記録媒体上に形成されたドットパターンは、ドットパターン読み取り手段により読み込まれる。そして、ドットパターン認識手段により、反射光の照度の違いに基づき、ドット部とそれ以外の部分とが識別され、ドットの配列から、記録されているXY座標値および/またはコード値が認識される。それ故、情報読み取り装置は、情報記録媒体上に形成されたドットパターンから、XY座標値および/またはコード値を読み出すことが出来るという効果を奏する。
【0055】
(16) 本発明に係る情報読み取り装置では、前記ドットパターン認識手段は、撮像したドットの、形状および/または明暗の強さにより、ドットの中心位置を求めるアルゴリズムを使用することが好ましい。
【0056】
前記の構成によれば、情報読み取り装置が情報記録媒体からドットパターンを読み取る際に、情報記録媒体に対して情報読み取り装置が傾けられてしまい、本来ならば、例えば円形に撮像されるべき各ドットの形状が、三日月型になったような場合でも、どの三日月型が撮像された場合はドットの中心位置はどこであるかを予め求めてあれば、正確に各ドットの中心位置を認識できる。それ故、情報記録媒体に対して情報読み取り装置が傾いていても、適切にドットパターンを読み取ることが出来るというさらなる効果を奏する。
【0057】
(17) 本発明に係る情報読み取り装置は、パーソナルコンピュータ、PDA、テレビ受信装置、フロントプロジェクタ、リアプロジェクタ、ゲーム装置、カラオケ装置、携帯電話端末装置、POS端末装置、ATM、KIOSK端末、カーナビ、パチンコ、パチスロ、時計、またはスマートフォンであることが好ましい。
【0058】
前記の構成によれば、様々な機器を用いて、情報記録媒体から情報を読み取ることが出来るというさらなる効果を奏する。
【0059】
(18) 本発明に係る情報入力システムは、前記課題を解決するために、情報処理装置のディスプレイ画面上に配置された、透明な前記情報記録媒体と、該情報記録媒体に対して、特定の周波数領域の光線を照射し、反射光を読み込むドットパターン読み取り手段と、前記孔の部分と、該孔の周辺部とで、該反射光の照度が異なることにより、前記ドットパターンを読み込み、XY座標値および/またはコード値を認識するドットパターン認識手段とを備えた情報読み取り装置とにより、タッチパネル形式の入力を可能としたことを特徴としている。
【0060】
前記の構成によれば、ユーザは、ディスプレイ画面上に配置された透明な情報記録媒体の上から、ディスプレイ画面上の特定の位置を、ドットパターン読み取り手段によりタッチする。そして、タッチ位置のドットパターンがドットパターン読み取り手段により読み込まれ、ドットパターン中のXY座標値および/またはコード値がドットパターン認識手段により認識される。それ故、タッチパネル形式の入力を行うことが出来るという効果を奏する。
【0061】
(19) 本発明に係る情報入力システムは、前記課題を解決するために、印刷物の印刷面上に被せられた、透明な前記情報記録媒体と、該情報記録媒体に対して、特定の周波数領域の光線を照射し、反射光を読み込むドットパターン読み取り手段と、前記孔の部分と、該孔の周辺部とで、該反射光の照度が異なることにより、前記ドットパターンを読み込み、XY座標値および/またはコード値を認識するドットパターン認識手段と、該XY座標値および/または該コード値と、該印刷物を特定する印刷物特定情報と、該印刷物特定情報に対応した印刷物書式情報とから、該ドットパターンを読み込んだ位置に設定された、該印刷面上の情報を認識する印刷情報認識手段とを備えた情報読み取り装置とからなることを特徴としている。
【0062】
印刷物書式情報とは、印刷物上の特定のマスク領域を定義したマスクテーブル、または、印刷物を作成する際に基の電子データとなるDTP(Desk Top Publishing)データ等のことである。DTPデータ以外に、HTML、フラッシュ等で作成されたコンテンツデータでもよいし、CADデータ、地図データでもよい。
【0063】
ドットパターンを読み込んだ位置に設定された、印刷面上の情報とは、印刷物書式情報がマスクテーブルである場合は、URLなどの任意の情報であり、印刷物書式情報がDTPデータである場合は、DTPデータに含に含まれる、テキスト、図表、イラスト、写真等の情報である。
【0064】
印刷物特定情報とは、印刷物書式情報を一意に特定するための情報であり、例えば、DTPデータのファイル名であってもよいし、予め決めたドキュメントIDを用いてもよい。URLであってもよい。
【0065】
前記の構成によれば、ユーザが、情報読み取り装置に認識させたい、印刷物上の情報の上を、ドットパターン読み取り手段を用いて、情報記録媒体を透してタッチすると、タッチ位置のXY座標値および/またはコード値が読み込まれる。また、ユーザは、印刷物特定情報を、情報読み取り装置に入力する。印刷情報認識手段は、予め持っている印刷物書式情報のうち、入力された印刷物特定情報に対応した印刷物書式情報と、読み込まれたXY座標値および/またはコード値とから、ユーザがタッチした位置のコンテンツが認識される。それ故、本や雑誌、新聞等の印刷物の印刷面上の情報を認識させることが出来るという効果を奏する。
【発明の効果】
【0066】
本発明に係る情報記録媒体は、以上のように、一面側からの特定の周波数領域の光線を反射する情報記録媒体であって、種々のマルチメディア情報出力および/またはオペレーション指示のため、ドットコード生成アルゴリズムにより生成されたドットを所定の規則に則って配列したドットパターンのドット位置に、微細な貫通孔を設けたことを特徴としている。
【0067】
それ故、情報記録媒体が透明であることが求められる場合には、各ドットの位置では、貫通孔により全ての周波数領域の光線が通過するので、ドットを印刷する場合に較べ、情報記録媒体の透明度を上げることが出来るという効果を奏する。
【0068】
また、パンチング工程またはフォトレジスト工程等により貫通孔を形成する場合、印刷によるよりも、微細な加工を行うことが出来るという効果を奏する。
【0069】
また、微細加工のドットパターンの偽造にはコストがかかり、偽造が現実的では無くなるので、セキュリティ分野への応用が出来るという効果を奏する。
【0070】
また、印刷に較べ、ドットの形状を均一に出来るので、ドットおよびドットパターンの認識率を向上させることが出来るという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
本発明に係る情報記録媒体の一実施形態について、図1から図21に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0072】
なお、以下の説明では、ドットパターン、ドットパターンを読み取るスキャナ(ドットパターン読み取り手段)、情報記録媒体の構造、情報記録媒体の穿孔方法、情報記録媒体の利用例の順に説明する。
【0073】
<ドットパターンについて>
図1から図6に基づいて、本実施形態において用いるドットパターン3の一例(以下、GRID1と呼ぶ)を説明する。また、図7に基づいて、他のドットパターン3bの例(以下、GRID5と呼ぶ)を説明する。なお、これらの図において、縦横斜め方向の格子線は説明の便宜のために付したものであり実際の情報記録媒体面には存在していない。
【0074】
図1において、ドットパターン3の構成要素とその位置関係を示す。ドットパターン3は、キードット6、情報ドット7、基準格子点ドット8から構成される。
【0075】
ドットパターン3は、ドットコード生成アルゴリズムにより、数値情報を認識させるために微細なドット、すなわち、キードット6、情報ドット7、基準格子点ドット8を所定の規則に則って配列することにより生成される。
【0076】
図1に示すように、情報を表すドットパターン3のブロックは、キードット6を基準に5×5の基準格子点ドット8を配置し、4点の基準格子点ドット8に囲まれた中心の仮想格子点の周囲に情報ドット7を配置して構成される。このブロックには任意の数値情報が定義される。なお、図1の例では、ドットパターン3のブロック(太線枠内)を4個並列させた状態を示している。ただし、ドットパターン3は4ブロックに限定されないことは勿論である。
【0077】
キードット6は、図1に示すように、ブロックの四隅の角部にある4個の基準格子点ドット8を一定方向にずらして配置したドットである。このキードット6は、情報ドット7を含んだ1ブロック分のドットパターン3の代表点である。例えば、ドットパターン3のブロックの四隅の角部にある基準格子点ドット8を上方にずらしたものである。ただし、ずらす量は、ドットパターン3のブロックの大小に応じて可変し得るものである。
【0078】
キードット6のずれは、基準格子点ドット8および情報ドット7との誤認を避けるために、格子間隔の20%前後が望ましい。
【0079】
情報ドット7は、種々の情報を認識させるドットである。情報ドット7は、キードット6を代表点にして、その周辺に配置されると共に、4点の基準格子点ドット8により囲まれた格子の中心を仮想格子点として、この仮想格子点を始点としたベクトルにより表現された終点に配置したものである。
【0080】
情報ドット7と、4点の基準格子点ドット8で囲まれた仮想格子点との間隔は、隣接する仮想格子点との間の距離の15〜30%程度の間隔であることが望ましい。情報ドット7と仮想格子点間の距離がこの間隔より近いと、ドット同士が大きな塊と視認されやすく、ドットパターン3として見苦しくなるからである。逆に、情報ドット7と仮想格子点との間の距離がこの間隔より遠いと、隣接するいずれの仮想格子点を始点としてベクトル方向性を持たせた情報ドット7であるかの認定が困難になるためである。
【0081】
基準格子点ドット8は、スキャナ4を用いてドットパターン3を画像データとして取り込む際に、スキャナ4のレンズの歪みや斜めからの撮像、情報記録媒体面の伸縮、情報記録媒体面の湾曲、ドット形成時の歪みを矯正することが出来る。具体的には歪んだ4点の基準格子点ドット8を元の正方形に変換する補正用の関数(X,Y)=f(X’,Y’)を求め、その同一の関数を用いて情報ドット7を補正して、正しい情報ドット7のベクトルを求める。
【0082】
ドットパターン3に基準格子点ドット8を配置してあると、このドットパターン3をスキャナ4により取り込んだ画像データでは、スキャナ4が原因となる歪みが補正されるので、歪み率の高いレンズを付けた普及型のスキャナ4によりドットパターン3の画像データを取り込む時にも、ドットの配置を正確に認識することが出来る。また、ドットパターン3の面に対してスキャナ4を傾けて読み取っても、そのドットパターン3を正確に認識することが出来る。
【0083】
キードット6、情報ドット7、基準格子点ドット8は、スキャナ4が赤外線の照射によるドット読み取りを行う場合、当該赤外光を通過させる貫通孔1または当該赤外線をレンズ(後述)に一次反射させない非貫通孔1bを用いて形成されていることが望ましい。
【0084】
半導体製造工程における露光技術、フォトレジスト工程等を用いてドットパターン3を形成する場合、基準格子点ドット8同士の間隔は、数μm程度でもよいし、nm単位のデザインルールを用いれば、さらに微細なドット間隔を持つドットパターン3を形成することも出来る。
【0085】
もちろん、基準格子点ドット8同士の間隔は、前記最小値以上であれば、ドットパターン3の用途により、どのような値を用いてもよい。
【0086】
また、キードット6、情報ドット7、基準格子点ドット8の直径は、基準格子点ドット8同士の間隔の10%程度が望ましい。
【0087】
図2および図3において、情報ドット7の配置方法による情報定義方法の例を示す。これらの図は、情報ドット7の位置と、その位置により定義された情報のビット表示の一例とを示す拡大図である。
【0088】
図2(a)において、情報ドット7が、ベクトルで表現される方向と長さを有するように、仮想格子点9から一定の距離をずらされ、時計方向に45度ずつ回転させて8方向に配置され、3ビットの情報を表現する定義方法の例を示す。この例では、ドットパターン3は、1ブロックあたり16個の情報ドット7を含むので、3ビット×16個=48ビットの情報を表現することが出来る。
【0089】
図2(b)において、ドットパターン3が格子毎に2ビットの情報を有する情報ドット7の定義方法の例を示す。この例では、プラス(+)方向および斜め(×)方向に情報ドット7を仮想格子点9からずらして、情報ドット7あたり2ビットの情報を定義している。この定義方法では、図2(a)に示す定義方法(本来48ビットの情報を定義できる)と異なり、用途によっては1個のブロック内を、プラス(+)方向にずらす格子と、斜め(×)方向にずらす格子とに分割して、32ビット(2ビットX16格子)のデータを与えることが出来る。
【0090】
なお、1個のブロックに含まれる16個の格子に配置する情報ドット7をずらす方向の組み合わせとして、格子毎にプラス(+)方向および斜め(×)方向へのずらし方を組み合わせると、最大216(約65000)通りのドットパターンフォーマットが実現できる。
【0091】
図3において、情報ドット7の他の配置方法による情報の定義方法の例を示す。この定義方法では、情報ドット7を配置する際、基準格子点ドット8により囲まれた仮想格子点9からのずらし量として、長・短の2種類を使用し、ベクトル方向を8方向とするので、16通りの配置を定義でき、4ビットの情報を表現することが出来る。
【0092】
この定義方法を用いるとき、長い方のずらし量は、隣接する仮想格子点9間の距離の25〜30%程度とし、短い方のずらし量は、15〜20%程度とする事が望ましい。但し、長・短の情報ドット7をずらす方向が同一となる場合でも、それらの情報ドット7を区別して認識できるように、それらの情報ドット7の中心間隔は、情報ドット7の径より離れていることが望ましい。
【0093】
なお、4ビットの情報を定義する方法は、前記の定義方法に限定されず、情報ドット7を16方向に配置して4ビットを表現することも可能であり、種々変更できることは勿論である。
【0094】
図4において、1個の格子あたり複数の情報ドット7を配置する方法による情報の定義方法の例を示す。図4(a)は、情報ドット7を2個配置する例であり、図4(b)は、情報ドット7を4個配置する例であり、図4(c)は、情報ドット7を5個配置する例を示す。
【0095】
4点の基準格子点ドット8により囲まれた1個の格子あたりの情報ドット7の個数は、見栄えを考慮し、1個が望ましい。しかし、見栄えを無視し、情報量を多くしたい場合は、1ベクトル毎に、1ビットを割り当て、情報ドット7として複数のドットを用いて表現することにより、多量の情報を定義することが出来る。例えば、同心円8方向のベクトルでは、1個の格子あたり2の情報を表現でき、16個の格子を含む1ブロックあたり2128の情報を表現できる。
【0096】
ドットパターン3の認識は、ドットパターン3をスキャナ4により画像データとして取り込み、まず、基準格子点ドット8を抽出し、次に、本来ならば基準格子点ドット8があるべき位置に貫通孔1(後述)または非貫通孔1b(後述)が形成されていないことによってキードット6を抽出し、次に、情報ドット7を抽出することにより行われる。
【0097】
図5において、情報ドット7をドットパターン3から抽出するに用いるフォーマットの例を示す。図5は、ブロックの中心から右回りの螺旋状にIからI16までの格子を配置したフォーマット例である。なお、図中のIからI16は、各格子の配置を表すと共に、1個の格子あたり1個の情報ドット7が含まれる場合は、各格子内の情報ドット7の配置場所を示す。
【0098】
図6において、情報ドット7を含んだ格子の他の配列例を示す。図6(a)は、1個のブロック内に格子を6個(2×3)配置した例であり、図6(b)は、1個のブロック内に格子を9個(3×3)配置した例であり、図6(c)は、1個のブロック内に格子を12個(3×4)配置した例であり、図6(d)は、1個のブロック内に格子を36個(6x6)配置した例である。このように、ドットパターン3において、1ブロックに含まれる格子の数は、16個に限定されずに、種々変更することが出来る。
【0099】
すなわち、必要とする情報量の多少またはスキャナ4の解像度に応じて、1ブロックに含まれる格子の数と1つの格子に含まれる情報ドット7の数を調整することにより、ドットパターン3に記録できる情報の量を柔軟に調整することが出来る。
【0100】
図7において、他のドットパターン3bの例(GRID5)を示す。
【0101】
図7(a)において、ドットパターン3bにおける、基準点ドット8a〜8e、仮想基準点9a〜9d、および情報ドット7の位置関係を示す。
【0102】
ドットパターン3bは、ブロックの形状により、ドットパターン3bの方向を定義したものである。GRID5では、まず基準点ドット8a〜8eが配置される。基準点ドット8a〜8eを順に結ぶ線により、ブロックの向きを示す形状(ここでは上方を向いた5角形)が定義される。次に、基準点ドット8a〜8eの配置に基づき、仮想基準点9a〜9dが定義される。次に、仮想基準点9a〜9dのそれぞれを始点として方向と長さを有するベクトルが定義される。最後に、ベクトルの終点に情報ドット7が配置される。
【0103】
このように、GRID5では、ブロックの向きを基準点ドット8a〜8eの配置の仕方によって定義することが出来る。そしてブロックの向きが定義されることにより、ブロック全体の大きさも定義される。
【0104】
図7(b)において、ブロックの仮想基準点9a〜9d上に情報ドット7があるか否かにより、情報を定義する例を示す。
【0105】
図7(c)において、GRID5のブロックを縦横方向に2個ずつ連結した例を示す。ただし、ブロックを連結して配置する方向は、縦横方向に限定されず、いかなる方向に配置して連結してもよい。
【0106】
なお、図7においては、基準点ドット8a〜8eおよび情報ドット7は、全て同一形状として示しているが、基準点ドット8a〜8eと情報ドット7とは、異なる形状でもよく、例えば、基準点ドット8a〜8eが、情報ドット7よりも大きな形状としてもよい。また、基準点ドット8a〜8eと情報ドット7とは、識別可能であればいかなる形状としてもよく、円形、三角形、四角形、またはそれ以上の多角形であってもよい。
【0107】
<ドットコードのフォーマットについて>
図8および図9に基づき、ドットコードとそのフォーマット例を説明する。ドットコードとは、ドットパターン3に記録される情報である。
【0108】
図8において、ドットパターン3の1ブロック内での情報ビットのフォーマット例を示す。この例では、1つの格子あたり、2ビットの情報が記録されている。例えば、左上の格子であれば、ビットCおよびCが、ビットCを上位ビットとする形で定義されている。これら2個のビットを合わせてC1−0と表記する。なお、これらのビットは、格子あたり1個の情報ドット7により記録されてもよいし、格子あたり複数の情報ドット7により記録されてもよい。
【0109】
図9において、ドットコードのフォーマット例を示す。この例では、ドットコードは、32ビットの長さを持ち、ビットCからビットC31により表される。
【0110】
図9(a)は、ドットコードがXY座標値とコード値とパリティとを含むフォーマットの例であり、図9(b)は、ドットパターン3を設ける場所によりフォーマットを変更する例であり、図9(c)は、ドットコードがXY座標値とパリティとを含むフォーマットの例である。
【0111】
図9(a)において示すフォーマット例では、ドットパターン3を設ける位置のX座標値が、ビットCからCの8ビットを用いて表現され、同じくY座標値がビットCからC15を用いて表現される。次いで、コード値が、ビットC16からC29の14ビットを用いて表現される。このコード値には、ドットパターン3の使用目的に合わせて、任意の情報を表すために用いる事が出来る。例えば、任意の処理を行わせるためのコードでもよいし、ドットパターン3が印刷された媒体を特定するためのページ番号でもよい。最後にドットコードのパリティとして、ビットC30およびC31の2ビットが使用される。なお、パリティの計算方法は、一般的に知られている方法を用いればよいので、説明は省略する。
【0112】
図9(b)において示すフォーマット例では、ドットパターン3を設ける場所によりフォーマットが変更される。この例では、ドットパターン3を設ける場所を、XY座標領域とコード値領域とに区分する。XY座標領域では、XY座標領域用フォーマットが用いられ、コード値領域では、コード値領域用フォーマットが用いられる。
【0113】
XY座標領域用フォーマットでは、X座標がビットCからC14の15ビットを用いて表され、同じくY座標がC15からC29の15ビットを用いて表現される。また、コード値領域用フォーマットでは、コード値がCからC29の30ビットを用いて表現される。
【0114】
なお、読み取られた情報がXY座標値を表すものであるか、コード値を表すものであるかの区別が出来るように、XY座標値およびコード値を表すビット列が重ならない様に、ビット列の表現規則を決めておくのがよい。
【0115】
このように、図9(b)に示すフォーマット例では、図9(a)に示すフォーマット例に較べ、より多くのビットをXY座標値およびコード値に割り当てることができるので、より広範囲のXY座標値およびより多くのコード値を表現することが出来る。
【0116】
図9(c)において示すフォーマット例では、図9(b)のXY座標領域用フォーマットと同じフォーマットが用いられる。
【0117】
<スキャナ4について>
図10において、スキャナ4(ドットパターン読み取り手段)の構造のうち、ドットパターン3を読み取る部分の構造と、スキャナ4が情報記録媒体2に形成されたドットパターン3を読み取る様子とを示す。スキャナ4は、赤外線を照射する手段であるIR−LEDと、IR−LEDから照射された赤外線が情報記録媒体2の表面において反射された反射光を集光するレンズと、レンズを通過した反射光のうち所定の波長成分をカットするIRフィルタと、撮像素子であるC−MOSセンサとを内蔵している。
【0118】
図10(a)に示すように、スキャナ4は、情報記録媒体2に赤外線を照射し、情報記録媒体2の表面から拡散反射された反射光を撮影する。上述したように、また図10(b)に示すように、ドットパターン3は赤外線を通過させる貫通孔1(後述)により形成されているため、C−MOSセンサにおいて撮像された画像では、ドットパターン3のドット部分のみ黒く撮像されることとなる。
【0119】
なお、ドットパターン3が非貫通孔1b(後述)により形成されている場合、照射された赤外線は、非貫通孔1bの内壁において、2次反射および3次反射され、弱められるので、たとえレンズに反射光が入ったとしても非常に弱いものになるので、やはりドットパターン3のドット部分のみが黒く撮像される。
【0120】
情報記録媒体2の表面に照射された赤外線は、拡散反射されるので、スキャナ4が、情報記録媒体2の表面に対して傾けられたとしても、ある程度の傾きまでは、反射光からドットパターン3を認識することが出来る。
【0121】
スキャナ4は、貫通孔1または非貫通孔1bの開口部と、開口部の外側周辺部とで、反射光の照度が異なることにより、ドットパターン3を読み込み、XY座標値および/またはコード値を認識する。
【0122】
また、スキャナ4は、前記の構成に加えて、中央処理装置(ドットパターン認識手段、図示せず)を備えており、中央処理装置は、C−MOSセンサから入力されたドットパターン3を、解析ソフトウェアにより解析し、ドットコードに変換して出力する。
【0123】
なお、スキャナ4は、中央処理装置および解析ソフトウェアの代わりに、同様の機能を備えたハードウェア回路を備えていてもよい。
【0124】
また、ドットパターン3を解析してドットコードに変換する処理は、スキャナ4上の中央処理装置により行う代わりに、スキャナ4が接続された装置、例えばパーソナルコンピュータ上において処理を行う構成でもよい。
【0125】
スキャナ4とスキャナ4が接続される装置との間は、USBケーブルなどの有線方式により接続されてもよいし、無線方式により接続されてもよい。
【0126】
なお、上記の説明では、ドットパターンを読み取る為に赤外線を照射しているが、照射する光は、赤外線に限らず、紫外線を用いてもよいし、可視光領域の光であってもドットパターン読み取り以外の目的に利用しない領域があれば、その領域の光を用いてもよい。
【0127】
図10(a)および図10(b)においては、赤外線を照射する手段であるIR−LEDが複数個ある構成を図示しているが、IR−LEDは、1個でもよい。
【0128】
図10(c)は、1個のIR−LEDおよびライトガイドを用いたスキャナ4bの構成を示す断面図である。スキャナ4bは、CPUおよびフレームバッファを載せたPCBと、C−MOSセンサと、レンズと、IR−LEDと、ライトガイドと、透明IRフィルタとを含んで構成される。図では、透明IRフィルタへ入射した光がレンズを通りC−MOSセンサへ到達する経路とライトガイドとの位置関係も示している。
【0129】
なお、CPUとフレームバッファとを一緒にして、フレームバッファ付きCPUを用いても良い。
【0130】
また、ライトガイドは、ライトガイド内部においてIR−LEDから放射された光が複雑に拡散・屈折するように、乳白色のアクリル素材を用いてもよい。また、ライトガイド外周の外面には光を遮断するコーティングが表面に施されているか、またはライトガイド外周の内面には鏡面加工が施されていることが望ましい。ライトガイド内での複雑な拡散と、外周内面における鏡面反射とにより、1個のIR−LEDを用いても、光はライトガイドのIR−LEDとは反対側へも適切に回り込み、ライトガイド全体から、弱くて均一な光を撮影口に向かって照射することが出来る。なお、ライトガイドを屈折率の異なる複数の素材をモザイク状に組み合わせることにより形成し、ライトガイド内において光が複雑に屈折するような構成でもよい。
【0131】
また、透明IRフィルタは、防塵および防水の役割を兼ねるように、スキャナ4bの先端に取り付けられてもよいし、通常のIRフィルタとして、C−MOSセンサ上またはレンズの前後に取り付けられてもよい。
【0132】
このように、光が内壁において反射および/または拡散・屈折し全体に回り込むようなライトガイドを使用すれば、スキャナ4bを読み取り面に垂直に保ちタッチした場合、撮影面を均一に照射することが出来る。
【0133】
図10(d)において、スキャナ4bをユーザが手に持って利用しやすいようにペン型とする場合に、ペンの外装に取り付けた様子を示す。図10(d)に示すように、スキャナ4bのライトガイドは、スキャナ4bの構造体となっているので、ペンの外装をライトガイドの先端部まで伸ばす必要が無く、スキャナ4bの先端部を非常に細くすることが出来るので、ユーザはスキャナ4bを用いて、細かくドットパターン3を読み込むべき位置をタッチすることが出来る。また、ライトガイドの外側を覆う、スキャナ先端部カバーを省くことが出来るので、その分スキャナ4bの製造コストを抑えることが出来る。
【0134】
このように、IR−LEDを1個のみ用いることにより、スキャナ4bの製造コストを抑えると共に、スキャナ4bの消費電力を低減させることが出来る。
【0135】
<スキャナの傾きとパターン認識について>
複数個のIR−LEDを用いて読み取る場合でも、1個のIR−LEDおよびライトガイドを用いて読み取る場合でも、スキャナ4が読み取り面に対して傾いている場合は、偏った方向のみからのライティングとなるので、撮影された画像では、円形の開口部を持つ非貫通孔の場合、三日月型になるなど、ライティングおよび孔の形状により、撮像されるドットの形状や明るさが変わる。
【0136】
それ故、予め孔の形状とライティング位置と撮像されるドットの形状が分かっていれば、撮像された、例えば円形の孔ドットの形状が、半分欠けた像であったとしても、欠けていない状態を推測し、ドットの中心点を計算することが可能となる。
【0137】
この構成では、パターン認識の為のデータを準備する手間はかかるが、IR−LEDの個数を減らすことが出来るので、スキャナ4の製造コストを減らすことが出来る。
【0138】
<情報記録媒体の構造について>
図11に基づき、情報記録媒体2の構造を説明する。図11は、情報記録媒体2の断面図であり、赤外線が情報記録媒体2の穿孔されていない箇所に入射し反射する様子と、赤外線が情報記録媒体2の貫通孔1の箇所に入射し、通過する(すなわち反射または拡散反射しない)様子を示す図である。
【0139】
貫通孔1の形状は、スキャナ4のIR−LEDから照射された赤外線が、レンズに向かって反射されないように、通過させる構造であれば、円柱形、四角柱形、多角柱形、またはこれらの組み合わせなど、どのような構造でもよい。
【0140】
図11に示すように、情報記録媒体2の表面は、赤外線を拡散反射する特性を持つことが望ましい。その理由は、情報記録媒体2の表面が赤外線を鏡面反射する特性を持つ場合、スキャナ4により読み取られる面の一部からの反射光がレンズに適切に入射せず、読み取った画像の一部が暗く写ってしまい、画像解析が困難になるためである。
【0141】
但し、従来技術と同様に、スキャナ4にマジックミラーを用いて、IR−LEDとレンズの軸がほぼ重なるようにするか、IR−LEDの前に拡散フィルタを設け、拡散された光が情報記録媒体2に照射されるようにするならば、図12に示すように、情報記録媒体2表面において、赤外線が鏡面反射する構成でもよい。
【0142】
図13において、情報記録媒体2の表面に、赤外線拡散反射層を設ける例を示す。このように赤外線拡散反射層を設けることにより、情報記録媒体2自体の表面が赤外線を拡散反射しない場合でも、適切にドットパターン3を読み取ることが出来る。
【0143】
図14において、情報記録媒体2の読み取り面とは反対側の表面に反射層を設けた例を示す。この反射層により、情報記録媒体2自身が赤外線を透過する場合でも、読み取り面とは反対側の面から入射した赤外線により、ドットパターン3の読み取りが妨害されることを防ぐことが出来る。
【0144】
このような特性を有する情報記録媒体2を、窓ガラスやディスプレイ画面等に装着すると、外界やディスプレイ画面からの赤外線を遮断し、IR−LEDから照射された赤外線光のみを反射光とすることが出来る。そのため、明るく鮮明なドットパターン3を撮影でき、ドットコードを正確に解析できる。
【0145】
なお、図14においては、貫通孔1の開口部には反射層が設けられない構成を示しているが、反射層が読み取り面からの赤外線(スキャナ4から照射された赤外線)を透過し、読み取り面と反対側の面からの赤外線(外界からの赤外線)を反射する特性を有するものであれば、貫通孔1の開口部も反射層により覆われる構成でもよい。
【0146】
この構成とすれば、読み取り面と反対側の面から入射し、貫通孔1を通過し、スキャナに読み込まれる赤外線も完全に遮断できるので、読み取り妨害をさらに抑えることが出来る。
【0147】
図15において、情報記録媒体2の表面に保護層を設ける例を示す。保護層は、情報記録媒体2の両面に設けることが望ましい。保護層には、赤外線を透過する材料を用いる。さらに情報記録媒体2が可視光を透過する材料である場合は、保護層も可視光を透過する材料でなければならない。保護層を設けることにより、貫通孔1にゴミや埃が入って詰まり、見た目が汚くなったり、透明な情報記録媒体2では透明度が落ちたりすることを防ぐことが出来る。
【0148】
保護層は、ビニール、塩ビペット、ポリプロピレン等、可視光線および赤外線を透過する材料で生成されている。ドットパターンを繰り返しスキャナでタッチすると、ドット孔の開口部周辺が磨耗し、正確にドットパターンを読み取れなくなるという問題が生じる。そこで、保護層を設けることにより、ドット孔の開口部周辺の磨耗と汚れの詰まりを防ぎ、シートを長期間使用することが可能となる。
【0149】
図16において、情報記録媒体2の貫通孔1に、赤外線を吸収する材料を充填した例を示す。このように、貫通孔1を赤外線吸収材料により予め塞いでおくことにより、保護層を設けなくても貫通孔1へのゴミや埃の詰まりを防止することが出来る。
【0150】
上記の説明では、情報記録媒体2に貫通孔1を設ける構造を示したが、従来技術と同様に、ドットパターン3の各ドット位置には、図17に示すように、非貫通孔1bを設けてもよい。
【0151】
非貫通孔1bの形状は、逆円錐、逆四角錐、逆多角錐など、孔の内壁が赤外線を鏡面反射し、孔の底面が尖っており、スキャナ4のIR−LEDから照射された赤外線が、レンズに向かって一次反射されない構造であることが好ましい。
【0152】
図17(a)に示すように、非貫通孔1bの開口部に入射した光は、非貫通孔1bの壁面が鏡面反射する場合には、一次反射、二次反射と、反射を繰り返すので、レンズ方向に向かって反射する光は、非常に弱いものになる。図17(a)に示す例では、レンズに向かって入射する光は、四次反射光となっている。
【0153】
底面の中心に行くに従い細くなるように非貫通孔1bが形成されている必要がある。非貫通孔1bの底面の中心からの反射光が最も少なくなるので、撮像時には画像内で最も暗い部分となる。
【0154】
なお、非貫通孔1bの形成方法によっては、孔の底面を十分に細く形成できない場合などがあるが、そのような場合には、孔の底面に赤外線を吸収する材料を埋め込むことにより、非貫通孔1bからの赤外線の反射を適切に抑えることが出来る。
【0155】
もちろん、図17(b)に示すように、非貫通孔1bの内壁が、赤外線を拡散反射する性質を持っていても、孔の内壁に対する、赤外線の入射角度が浅くなるように非貫通孔1bを形成すれば、入射方向へ拡散反射する赤外線は非常に弱いものになるので、実用上問題はない。図17(b)に示す例では、レンズに向かって入射する光は、非貫通孔1bへ入射した方向とほぼ同一であるので、反射は非常に弱いものになっている。
【0156】
実際、図17(c)に例示するように、IR−LEDおよびレンズと、読み取り面との距離は、15mmから25mmであるのに対し、ドットパターンの読み取り範囲は直径4mm程度の円の範囲である。それ故、ドットパターン3に形成された非貫通孔1bに入射する光の角度は読み取り面に対しほぼ垂直になり、非貫通孔1bの内壁に対して非常に浅い角度で入射するので、問題はない。
【0157】
情報記録媒体2は、ビニール、塩ビペット、ポリプロピレン等、可視光線を透過する材料で生成された蒸着用透明シートに、赤外線拡散反射材料が蒸着された構成となっていてもよい。情報記録媒体2は、スキャナ4のIR−LEDから照射され保護層を透過した赤外線を、スキャナ4に対して反射すると共に、可視光を透過する構成でもよい。
【0158】
情報記録媒体2は、上記のように、可視光を透過する透明な媒体でもよいし、可視光を透過しない不透明な媒体でもよい。
【0159】
また、前記情報記録媒体は、シート状、パネル状、カード状、シール状、タグ状、しおり状、または付箋紙状に加工された、平面および/または曲面状の媒体であってもよい。
【0160】
<情報記録媒体の穿孔方法について>
貫通孔1および非貫通孔1bとも、パンチング工程により孔を形成してもよいし、半導体製造工程であるフォトレジスト工程により孔を形成してもよい。
【0161】
パンチング工程により形成する場合、安価に形成することが出来るが、微細化に限界がある。例えば、DVDの製造工程と同様にして孔を形成するならば、0.4から2.13μm程度のサイズおよび間隔の孔を形成することが出来る。
【0162】
フォトレジスト工程により形成する場合、製造工程が増えるので、製造コストは増加するが、ナノメートル単位のデザインルールを用いれば、パンチング工程によるよりもさらに微細な孔を形成することができ、単位面積当たりに記録する情報量を増加させることが出来る。
【0163】
特に、フォトレジスト工程を用いて非常に微細なドットパターン3を形成する場合、印刷により形成されたドットパターン3に較べ、偽造の為のコストが増大し、偽造行為は採算が取れなくなるので、情報記録媒体2をセキュリティカード等、セキュリティ分野において利用することが出来る。
【0164】
<重畳印刷について>
図18において、情報記録媒体2の表面に、インクによる印刷層を設ける場合の例を示す。
【0165】
印刷層において印刷に用いるインクは、貫通孔1または非貫通孔1bを形成した後に印刷する場合は、孔の開口部を塞がないように、粘性の低いインクを用いることが好ましい。印刷後に貫通孔1または非貫通孔1bを形成する場合は、インクの粘性はどのようなものでも構わない。また、インクとしては、赤外線拡散反射インクおよび赤外線透過インクを用いることが出来る。
【0166】
なお、赤外線拡散反射インクおよび赤外線透過インクは、可視光の特定の波長を反射または吸収する特性を持つので、これらのインクを用いて印刷された情報記録媒体2を人が見る場合、印刷されたコンテンツを通常の印刷と同様に読むことが出来る。
【0167】
このように、情報記録媒体2上にドットパターン3を形成し、さらにその上にコンテンツを重畳印刷する際に用いるインクを、赤外線拡散反射インクと赤外線透過インクとで切り替えることにより、様々な、ドットパターン形成とコンテンツ印刷の組み合わせを実現することが出来る。
【0168】
印刷層は、片面に設けられてもよいし、両面に設けられてもよい。
【0169】
なお、印刷層の上に、上記の保護層をさらに重ねてもよい。保護層を重ねることにより、印刷層が擦れて印刷がはげることを防ぐことが出来る。
【0170】
<情報記録媒体の利用例:グリッドシート>
図19において、情報記録媒体2の利用例である、グリッドシート1gの正面図を示す。このグリッドシート1gは、透明な情報記録媒体2に貫通孔1または非貫通孔1bを形成したものである。グリッドシート1gは、印刷物等に重ねて用いられる。
【0171】
グリッドシート1gには、ほぼ全域に、XY座標値を含んだドットパターン3が形成されている。グリッドシート1gの下部には、0から9までの数字、「頁入力」、「中止」、および「決定」の文字が記載されたアイコンが印刷され、各アイコンに対応したコード値を含んだドットパターン3が形成されている。これらのアイコンは、印刷物を特定するためインデックスを、ユーザがスキャナ4を用いて入力するためのアイコンである。
【0172】
非貫通孔1bにより、ドットパターン3を形成する場合、グリッドシート1gの両面にドットパターン3を設けてもよい。これにより、グリッドシート1gの両面を利用することが出来るため、利便性が向上する。なお、表側および裏側のドットパターン3では、同一の座標値および/またはコード値がパターン化されていてもよいし、異なる座標値および/またはコード値がパターン化されていてもよい。
【0173】
貫通孔1により、ドットパターン3を形成する場合、表側のドットパターン3が裏側にも形成されてしまうので、片面しか利用することは出来ない。但し、左右対称または上下対称のドットパターン3を用いるのであれば、この限りではない。
【0174】
<グリッドシートの使用方法1について:印刷物に被せる>
図20は、グリッドシート1gを、印刷物に重ねて使用する方法を示す図である。
【0175】
ユーザは、本や雑誌、新聞等の印刷物上に、グリッドシート1gを被せて使用する。図20(a)に示すように、向かって右側のページに使用する場合であっても、図20(b)に示すように、向かって左側のページに使用する場合であっても、ユーザは、シートの表側を上に向けて使用する。
【0176】
グリッドシート1gを、印刷物の印刷面上に被せた後、グリッドシート1g上のアイコンを用いるなどして、印刷物を特定するための印刷物特定情報を、情報読み取り装置に入力する。そして、情報読み取り装置に接続したスキャナ4により、印刷面上の所望の箇所を、グリッドシート1gの上からユーザがタッチする。
【0177】
スキャナ4は、タッチ位置のドットパターン3を読み込み、読み込んだドットパターン3から、タッチ位置のXY座標値および/またはコード値を認識し、情報読み取り装置に送る。
【0178】
情報読み取り装置には、入力されるであろう印刷物特定情報に対応した複数の印刷物書式情報が予め保管されており、実際に入力された印刷物特定情報に対応した印刷物書式情報が選択され、次の処理に用いられる。
【0179】
印刷物書式情報とは、印刷物の各ページに割り当てられたマスク領域の情報、または印刷物の基になるDTPデータのことである。
【0180】
印刷物書式情報がマスク領域の情報である場合は、タッチ位置がいずれのマスク領域に含まれるかにより、印刷情報認識部(印刷情報認識手段)が、そのマスク領域に予め定義された処理を行う。予め定義された処理とは、特定のページの特定の箇所がタッチされた場合に、情報読み取り装置が特定のメッセージを再生するなどの処理である。
【0181】
印刷物書式情報が印刷物の基になるDTPデータである場合は、印刷情報認識部は、DTPデータを解析し、タッチ位置にあるテキスト、図表、イラスト、写真等を認識してもよい。
【0182】
<グリッドシートの使用方法2について:ディスプレイに被せる>
図21は、グリッドシート1gを、ディスプレイ装置に被せて使用する方法を示す図である。ユーザが、スキャナ4を用いて、ディスプレイの画面上をタッチすると、タッチ位置のXY座標値が読み込まれることにより、グリッドシート1gおよび読み取り装置を、タッチパネルとして利用することが出来る。
【0183】
上記グリッドシート1gの利用例において説明した情報読み取り装置は、パーソナルコンピュータ、PDA、テレビ受信装置、フロントプロジェクタ、リアプロジェクタ、ゲーム装置、カラオケ装置、携帯電話端末装置、POS端末装置、ATM、KIOSK端末、カーナビ、パチンコ、パチスロ、時計、またはスマートフォンとして実現することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明に係る情報記録媒体は、セキュリティカード、IDカード、窓用シート、セキュリティシール、情報入力用透明シート等として利用することができる。
【0185】
また、本発明に係る情報読み取り装置および情報読み取りシステムは、印刷媒体上に印刷された、または画面上に表示された情報を容易に入力できるパーソナルコンピュータ、PDA、テレビ受信装置、フロントプロジェクタ、リアプロジェクタ、ゲーム装置、カラオケ装置、携帯電話端末装置、POS端末装置、ATM、KIOSK端末、カーナビ、パチンコ、パチスロ、時計、スマートフォン等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】図1は、ドットパターンの構成要素とその位置関係を示す図である。
【図2】図2は、情報ドットの配置方法による情報定義方法の例を示す図であり、図2(a)は、3ビットの情報を表現する例であり、図2(b)は、2ビットの情報を有する情報ドット7の例である。
【図3】図3は、情報ドットの他の配置方法による情報の定義方法の例を示す図である。
【図4】図4は、1個の格子あたり複数の情報ドットを配置する方法による情報の定義方法の例を示す図であり、図4(a)は、情報ドットを2個配置する例であり、図4(b)は、情報ドットを4個配置する例であり、図4(c)は、情報ドットを5個配置する例である。
【図5】図5は、情報ドットをドットパターンから抽出するに用いるフォーマットの例を示す図である。
【図6】図6は、情報ドットを含んだ格子の他の配列例を示す図であり、図6(a)は、1個のブロック内に格子を6個(2×3)配置した例であり、図6(b)は、9個(3×3)配置した例であり、図6(c)は、12個(3×4)配置した例であり、図6(d)は、36個(6x6)配置した例である。
【図7】図7は、他のドットパターンの例を示す図であり、図7(a)は、ドットパターンにおける、基準点ドット、仮想基準点、および情報ドットの位置関係を示す図であり、図7(b)は、仮想基準点上に情報ドットがあるか否かにより、情報を定義する例であり、図7(c)は、ブロックを縦横方向に2個ずつ連結した例を示す図である。
【図8】図8は、ドットパターンの1ブロック内での情報ビットのフォーマット例を示す図である。
【図9】図9は、ドットコードのフォーマット例を示す図であり、図9(a)は、ドットコードがXY座標値とコード値とパリティとを含む例であり、図9(b)は、ドットパターン3を設ける場所によりフォーマットを変更する例であり、図9(c)は、ドットコードがXY座標値とパリティとを含む例である。
【図10】図10は、スキャナの、ドットパターンを読み取る部分の構造と、情報記録媒体上のドットパターンを読み取る様子を示す図であり、(a)は、媒体面で光が拡散反射する様子を示す図であり、(b)は、貫通孔で光が通過する様子を示す図であり、(c)は、ライトガイドを用いる場合の断面図であり、(d)は、スキャナをペンの外装に取り付けた様子を示す図である。
【図11】図11は、情報記録媒体の断面図であり、赤外線の反射または通過の様子を示す図である。
【図12】図12は、情報記録媒体の断面図であり、赤外線の反射または通過の様子を示す図である。
【図13】図13は、読み取り面に赤外線拡散反射層を設けた情報記録媒体の断面図である。
【図14】図14は、読み取り面の反対側の面に赤外線反射層を設けた情報記録媒体の断面図である。
【図15】図15は、保護層を設けた情報記録媒体の断面図である。
【図16】図16は、孔に充填物を充填した情報記録媒体の断面図である。
【図17】図17は、ドットを非貫通孔により形成した場合の説明の図であり、(a)は、非貫通孔の内壁において鏡面反射が起こる場合の例であり、(b)は、非貫通孔の内壁において拡散反射が起こる場合の例であり、(c)は、IR−LEDとドットパターンとの位置関係を示す図である。
【図18】図18は、印刷層を設けた情報記録媒体の断面図である。
【図19】図19は、グリッドシートの表面の正面図である。
【図20】図20は、グリッドシートを使用する方法を示す図であり、図20(a)は、右側のページに使用する場合であり、図20(b)は、左側のページに使用する場合である。
【図21】図21は、グリッドシートを用いてタッチパネル形式の入力を行う情報入力装置の例を示す図である。
【図22】図22は、従来技術を示す図である。
【図23】図23は、従来技術を示す図である。
【図24】図24は、従来技術を示す図である。
【図25】図25は、従来技術を示す図である。
【符号の説明】
【0187】
1 貫通孔
1b 非貫通孔
1g グリッドシート(情報記録媒体)
2 情報記録媒体
3 ドットパターン
4、4b スキャナ(ドットパターン読み取り手段)
6 キードット
7 情報ドット
8 基準格子点ドット
9 仮想格子点
9a〜9d 仮想基準点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側からの特定の周波数領域の光線を反射する情報記録媒体であって、
種々のマルチメディア情報出力および/またはオペレーション指示のため、ドットコード生成アルゴリズムにより生成されたドットを所定の規則に則って配列したドットパターンのドット位置に、微細な貫通孔を設けた情報記録媒体。
【請求項2】
前記反射は、
拡散反射である
ことを特徴とした請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記情報記録媒体の一面側には、
前記特定の周波数領域の光線を拡散反射する拡散反射層が設けられている
ことを特徴とした請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
前記情報記録媒体の他面外側には、
他面側からの特定の周波数領域の光線を反射する特性を有する反射層が設けられている
ことを特徴とした請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項5】
前記貫通孔には、
特定の周波数領域の光線を吸収する材料が充填されている
ことを特徴とした請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項6】
前記情報記録媒体の一面外側および/または他面外側には、
特定の周波数領域の光線および可視光を透過する特性を有する保護層が設けられている
ことを特徴とした請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項7】
前記情報記録媒体の表面またはその他の層には、前記特定の周波数領域の光線を透過または反射する材料からなるインクを用いて、テキスト、イラスト、写真等が重畳印刷されている
ことを特徴とした請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項8】
前記ドットパターンは、
XY座標値および/またはコード値を、仮想基準点からのドットのずれにより記録する所定のアルゴリズムによりパターン化したドットパターンである
ことを特徴とした請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項9】
前記情報記録媒体は、
シート状、パネル状、カード状、シール状、タグ状、しおり状、または付箋紙状に加工された、平面および/または曲面状の媒体である
ことを特徴とした請求項1〜8のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項10】
前記貫通孔は、
パンチング工程により形成された
ことを特徴とした請求項1〜9のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項11】
前記貫通孔は、
フォトレジスト工程により形成された
ことを特徴とした請求項1〜9のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の情報記録媒体において、
該情報記録媒体は、一面側からの特定の周波数領域の光線を拡散反射し、
前記ドット位置には、微細な貫通孔に代えて、微細な非貫通孔を設けた情報記録媒体。
【請求項13】
前記情報記録媒体は、
前記特定の周波数領域の光線を除く可視光を透過する
ことを特徴とした請求項1〜12のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項14】
前記情報記録媒体は、
可視光を透過しない
ことを特徴とした請求項1〜12のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の情報記録媒体に対して、
特定の周波数領域の光線を照射し、反射光を読み込むドットパターン読み取り手段と、
前記孔の部分と、該孔の周辺部とで、該反射光の照度が異なることにより、
前記ドットパターンを読み込み、XY座標値および/またはコード値を認識するドットパターン認識手段と
を備えた情報読み取り装置。
【請求項16】
前記ドットパターン認識手段は、
撮像したドットの、形状および/または明暗の強さにより、ドットの中心位置を求めるアルゴリズムを使用する
ことを特徴とした請求項15に記載の情報読み取り装置。
【請求項17】
前記情報読み取り装置は、
パーソナルコンピュータ、PDA、テレビ受信装置、フロントプロジェクタ、リアプロジェクタ、ゲーム装置、カラオケ装置、携帯電話端末装置、POS端末装置、ATM、KIOSK端末、カーナビ、パチンコ、パチスロ、時計、またはスマートフォンである
ことを特徴とした請求項15または16に記載の情報読み取り装置。
【請求項18】
情報処理装置のディスプレイ画面上に配置された、請求項13に記載の情報記録媒体と、
該情報記録媒体に対して、特定の周波数領域の光線を照射し、反射光を読み込むドットパターン読み取り手段と、前記孔の部分と、該孔の周辺部とで、該反射光の照度が異なることにより、前記ドットパターンを読み込み、XY座標値および/またはコード値を認識するドットパターン認識手段とを備えた情報読み取り装置と
により、タッチパネル形式の入力を可能とした情報入力システム。
【請求項19】
印刷物の印刷面上に被せられた、請求項13に記載の情報記録媒体と、
該情報記録媒体に対して、特定の周波数領域の光線を照射し、反射光を読み込むドットパターン読み取り手段と、前記孔の部分と、該孔の周辺部とで、該反射光の照度が異なることにより、前記ドットパターンを読み込み、XY座標値および/またはコード値を認識するドットパターン認識手段と、該XY座標値および/または該コード値と、該印刷物を特定する印刷物特定情報と、該印刷物特定情報に対応した印刷物書式情報とから、該ドットパターンを読み込んだ位置に設定された、該印刷面上の情報を認識する印刷情報認識手段とを備えた情報読み取り装置と
からなる情報入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−163354(P2009−163354A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340345(P2007−340345)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(503349741)
【Fターム(参考)】