説明

情報記録再生装置用モータとこれを用いた情報記録再生装置

【課題】情報記録再生装置のベース部材に取り付けるステータコイルと、ステータコイルに対向して位置する環状の永久磁石を有するロータ部とを備えたモータにおいて、ロータハブの振動およびピュアトーンの発生を抑制できるようにする。
【解決手段】ロータ部13が、ロータハブ21と該ロータハブ21を回転自在に支持する流体動圧軸受部23とを備え、前記ロータハブ21が、ステータコイル11に対向して円環状に複数の磁極を配列した永久磁石41を備え、前記流体動圧軸受部23が、前記ロータハブ21に固定される軸体25と、前記ベース部材3に固定されるスリーブ27とを備え、前記ベース部材3に、前記ステータコイル11を軸方向に突き当てる第1の突き当て面77と、前記スリーブ27を軸方向に突き当てる第2の突き当て面69bとが設けられていることを特徴とする情報記録再生装置用モータ5を提供する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベース部材に取り付けるステータコイルと、ステータコイルに対向して位置する環状の永久磁石を有するロータ部とを備えた情報記録再生装置用モータとこれを用いた情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、据え置き型のパーソナルコンピュータや携行可能なノートパソコン等の端末装置に搭載されるハードディスク装置(以下、HDDと呼ぶ。)には、ディスク状に形成された情報記録媒体を所定の回転速度で駆動する情報記録再生装置用モータが設けられている(例えば、特許文献1参照。)。近年では、このHDDを携帯電話機やデジタルカメラ等の小型の情報家電にも搭載できるように、情報記録再生装置用モータに対する小型化、薄型化の要求が高まっている。
この情報記録再生装置用モータは、環状の永久磁石を固定したロータハブと、永久磁石の外周面に対向して配されたステータコイルと、ステータコイルに対してロータハブを回転自在に支持する流体動圧軸受部とを備えている。
ステータコイルは、略板状に形成されたブラケットの表面に固定されており、このブラケットの中央部には厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔には流体動圧軸受部を構成する略円柱状の軸体(シャフト)の軸方向端部が嵌合している。
また、ロータハブは、軸体を挿入するための穴を備えており、ブラケットに固定した軸体をこの穴に挿入した状態において、ロータハブと軸体の外周面およびブラケットの表面との間に隙間が形成されている。そして、流体動圧軸受部は、これらの隙間に潤滑油を充填して構成されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−350408号公報(第5−6頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の情報記録再生装置用モータは、軸体をブラケットの貫通孔に嵌合する構成であるため、軸体をブラケットに取り付ける際に、ブラケットに対する軸体の軸方向位置の位置決めを精度よく行うことが困難であるという問題があった。そして、ブラケットに対する軸体の軸方向位置は、ロータハブに固定される永久磁石の軸方向位置にも影響を与えるため、軸方向に関するステータコイルの磁気回路の中心(磁気中心)と、永久磁石の磁気回路の中心(磁気中心)とが互いにずれる虞があった。
【0005】
これら磁気中心が互いにずれている場合には、ロータハブを回転させた際に、この磁気中心のずれに基づいてピュアトーンと呼ばれる騒音が発生するという問題があった。特に、この磁気中心が周方向にわたって互いにばらつきがある場合には、ピュアトーンが大きくなるだけでなく、周方向にわたって永久磁石に作用する磁力のばらつきによってロータハブが振動するという問題があった。
また、軸体およびロータハブをブラケットに取り付ける際には、軸体の位置決めとともに流体動圧軸受部を構成する必要があったため、これら軸体およびロータハブの取り付け作業が面倒であるという問題があった。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ロータハブの振動およびピュアトーンの発生を抑制できる情報記録再生装置用モータを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の情報記録再生装置用モータは、情報記録再生装置のベース部材にロータ部とステータコイルとを取り付けてなり、前記ロータ部が、ロータハブと該ロータハブを回転自在に支持する流体動圧軸受部とを備え、前記ロータハブが、前記ステータコイルに対向して円環状に複数の磁極を配列した永久磁石を備え、前記流体動圧軸受部が、前記ロータハブに固定される軸体と、前記ベース部材に固定されるスリーブとを備え、前記ベース部材に、前記ステータコイルを軸方向に突き当てる第1の突き当て面と、前記スリーブを軸方向に突き当てる第2の突き当て面とが設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る情報記録再生装置用モータによれば、スリーブは軸体およびロータハブと共にロータ部を構成しているため、このスリーブを第1の突き当て面に当接させる前に、予めスリーブと永久磁石との相対的な位置決めを行うことができる。また、軸方向に面する第1、第2の突き当て面は、1つのベース部材に形成されているため、軸方向に関するこれら第1、第2の突き当て面の相対的な位置決めを精度よくかつ容易に行うことができる。
以上のことから、スリーブを第1の突き当て面に当接させると共にステータコイルを第2の突き当て面に当接させて、ロータ部およびステータコイルをベース部材に取り付ける際には、軸方向に関する永久磁石とステータコイルの相対的な位置決めを精度よくかつ容易に行うことができる。このため、軸方向に関するステータコイルの磁気回路の中心(磁気中心)と永久磁石の磁気回路の中心(磁気中心)とを周方向にわたって精度よく一致させることができる。
【0009】
したがって、このように構成された情報記録再生装置用モータにおいて、ステータコイルの交番磁界を永久磁石に作用させ、ロータ部の軸体およびロータハブを回転させた際には、周方向にわたって永久磁石に作用する磁力のばらつきが抑制され、ロータハブの振動を抑制できる。また、この際には、ステータコイルと永久磁石との磁気中心のばらつきに基づくピュアトーンの発生を抑制できる。
【0010】
また、情報記録再生装置用モータにおいて、前記ベース部材に、前記ステータコイルの周面を嵌合させる第1嵌合面と、前記スリーブの周面を嵌合させる第2嵌合面とが設けられていることを特徴とする。
この発明に係る情報記録再生装置用モータによれば、軸線回りに形成される第1嵌合面および第2嵌合面は、1つのベース部材に形成されているため、これら第1嵌合面と第2嵌合面との相対的な位置決めを精度よくかつ容易に行うことができる。また、前述と同様にして、スリーブの周面を第2嵌合面に嵌合させる前に、予めスリーブと永久磁石との相対的な位置決めを行うことができる。
【0011】
したがって、スリーブの周面を第1嵌合面に嵌合させ、ステータコイルの周面を第2嵌合面に嵌合させて、ロータ部およびステータコイルをベース部材に取り付ける際には、径方向に関する永久磁石とステータコイルの相対的な位置決めを精度よくかつ容易に行うことができる。このため、永久磁石の周面と、この周面に対向するステータコイルの対向面との隙間を周方向にわたって一定間隔に保持することができる。
【0012】
このように構成において、前述と同様にロータ部の軸体およびロータハブを回転させた際には、周方向にわたって永久磁石に作用する磁力のばらつきが抑制されるため、ロータハブの振動を抑制することができる。また、ステータコイルと永久磁石との隙間のばらつきに基づくピュアトーンの発生を抑制できる。
【0013】
また、本発明に係る情報記録再生装置用モータは、前記ベース部材が鉄製であることを特徴とする。
この発明に係る情報記録再生装置用モータによれば、ベース部材を鉄から形成することにより、スリーブおよびステータコイルを定位置に保持するための剛性を保持しながら、ベース部材の厚さ方向の肉厚を薄く形成することができる。また、鉄製のベース部材は高い剛性を有しているため、ロータハブを回転させる際にベース部材が振動することも抑制できる。
【0014】
また、本発明に係る情報記録再生装置は、前記情報記録再生装置用モータと、前記ロータハブに固定される薄板状の情報記録媒体と、該情報記録媒体に情報を記録すると共に該情報記録媒体に記録された情報を再生する情報変換素子、および該情報変換素子を所定の位置に位置決めする揺動手段とを有するHSAとを備え、該HSAが、前記ベース部材に取り付けられていることを特徴とする。
この発明に係る情報記録再生装置によれば、HSAをステータコイルおよびロータ部と共に、1つのベース部材に固定しているため、情報記録媒体と情報変換素子との相対的な位置決めを精度よくかつ容易に行うことができる。また、ロータハブの振動を抑制できるため、情報記録再生装置用モータにより情報記録媒体を回転させた際にはロータハブが安定して回転することになる。
したがって、情報変換素子を用いて情報記録再生装置用モータに取り付けられた情報記録媒体に情報を書き込む際、もしくは、情報記録媒体から情報を読み出す際の不具合を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1から図3はこの発明に係る一実施形態を示す図である。図1に示すように、この実施の形態に係るHDD(情報記録再生装置)1は、HDD1の筐体を構成するベース部材3と、このベース部材3に取り付けられるモータ(情報記録再生装置用モータ)5、およびHSA7とを備えている。モータ5は、ベース部材3に取り付けられるステータコイル11およびロータ部13とを備えている。
ステータコイル11は、環状に形成されたヨーク14と、ヨーク14の内周面側に突出して形成された複数のコア15と、各コア15に巻き付けられたコイル17とから構成されており、コイル17は、図示しない電源と電気的に接続されている。したがって、これらコア15およびコイル17により交番磁界を形成できるようになっている。
【0016】
ロータ部13は、有底略円筒状に形成されるロータハブ21と、ロータハブ21を回転自在に支持する流体動圧軸受部23とを備えている。
流体動圧軸受部23は、図2に示すように、軸体25と、この軸体25を挿入する軸体挿入穴27aを有し、有底略円筒状に形成されたスリーブ27と、軸体25と軸体挿入穴27aとの隙間に充填されたオイル等の液体29とを備えている。
軸体25の外面25a〜25cや軸体挿入穴27aの内面27b〜27dには、液体29を集めるための動圧発生溝24が形成されており、この動圧発生溝24は、軸体25を中心軸線A1回りに回転させた際に、液体29を所定の隙間R1〜R3に集めて動圧を発生させる。そして、この動圧が軸受の役割を果たして、スリーブ27により軸体25を回転可能に支持するようになっている。
このスリーブ27は、軸体挿入穴27aの閉塞端側を形成する小径円筒部31と、小径円筒部31よりも大きい外径寸法を有する大径円筒部33とを備えており、小径円筒部31の外周面31aと大径円筒部33の外周面33aとの間には、中心軸線A1に直交する環状の端面35が形成されている。
【0017】
ロータハブ21は、図1に示すように、有底略円筒状に形成されており、その底壁部37の中央部には、中心軸線A1を中心とした貫通孔37aが形成されている。このロータハブ21は、この貫通孔37aに軸体25の上端部を嵌め込むことにより軸体25に固定されることになる。この底壁部37の周縁から突出する円筒壁部39の外周面39aには、環状に形成された永久磁石41が固定されている。
永久磁石41は、環状に複数の磁極を配列し、これら各磁極の磁束方向が永久磁石41の径方向と一致する所謂ラジアル異方性のネオジウム磁石となっている。この永久磁石41は、ロータハブ21に固定された状態において、その外周面41aとコア15の先端面15aとの間に一定の隙間を有するように位置している。
【0018】
また、ロータハブ21の底壁部37の周縁には、薄板の円盤状に形成された磁気ディスク(情報記録媒体)91を支持するための段部(固定部)37bが形成されている。この段部37bに磁気ディスク91の中央に形成された中央孔91aを嵌め込むことにより、磁気ディスク91が、ロータハブ21および軸体25と共に中心軸線A1回りに回転できるようになっている。
【0019】
HSA7は、磁気ヘッド(情報変換素子)45、およびこの磁気ヘッド45を所定の位置に位置決めする揺動手段47とを備えている。磁気ヘッド45は、磁気ディスク91の情報を記録すると共に磁気ディスク91に記録された情報を再生するものである。
揺動手段47は、ベース部材3に固定される略円柱状の軸体49と、スイングアーム51と、スイングアーム51を軸体49に対して中心軸線A2回りに揺動自在に支持する軸受部53とを備えている。軸体49は、ベース部材3に形成され、その中心軸線A2方向に貫通する貫通孔3aに嵌め込まれている。また、この軸体49には、半径方向外方に突出する段部55が形成されており、中心軸線A2に直交するベース部材3の表面3bに突き当てるようになっている。
スイングアーム51は、中心軸線A2を中心に揺動するようになっており、その先端部51aが、磁気ディスク91の表面91bおよび裏面91cに沿って中央孔91aの周縁部と外周側の周縁部との間で移動可能となっている。前述の磁気ヘッド45は、磁気ディスク91の表面91bおよび裏面91cに対向して位置するように、スイングアーム51の先端部51aに固定されている。
【0020】
ベース部材3は、鉄から形成されており、平板状に形成された主壁部61と、主壁部61の厚さ方向に突出して略有底円筒状に形成された円形突出部63とを備えている。
図3に示すように、円形突出部63を構成する底壁部65の中央には、中心軸線A1を中心とした円形の貫通孔67が形成されており、この貫通孔67の周縁には、底壁部65の底面65aから突出する環状の内側円筒壁部69が形成されている。
【0021】
この内側円筒壁部69の内周面(第2嵌合面)69aの内径寸法は、スリーブ27の小径円筒部31の外径寸法に略一致しており、スリーブ27を嵌め込むことができるようになっている。また、内側円筒壁部69の先端面(第2の突き当て面)69bは、中心軸線A1に直交して形成されており、スリーブ27の小径円筒部31および大径円筒部33の外周面31a,33aの間に形成された端面35に当接するようになっている。
【0022】
底壁部65の外周縁から主壁部61に向けて突出する外側円筒壁部71には、底壁部65側から主壁部61側に向けて拡径する段部73が形成されており、この段部73は、主壁部61側に位置する大径内周面(第1嵌合面)75と中心軸線A1に直交する端面(第1の突き当て面)77とを備えている。
大径内周面75は、中心軸線A1を中心として形成されており、その内径寸法は、ステータコイル11を構成するヨーク14の外周面14aの外径寸法に略一致している。したがって、この大径内周面75は、ステータコイル11を嵌め込むことができるようになっている。また、段部73の端面77は、中心軸線A1に直交して形成されており、ステータコイル11を嵌め込んだ状態において、ステータコイル11の軸方向端面11aに当接するようになっている。
以上のような形状を有するベース部材3は、鉄からなる板状部材にプレス成形を施すことにより形成される。
【0023】
このベース部材3にロータ部13を取り付ける際には、予めスリーブ27の軸体挿入穴27aに軸体25を挿入すると共に、軸体挿入穴27aと軸体25との隙間に液体を充填して流体動圧軸受部23を構成しておく。そして、永久磁石41を固定したロータハブ21を軸体25に取り付けて、ロータ部13を形成しておく。これにより、ロータ部13をベース部材3に取り付ける前に、スリーブ27と永久磁石41との相対的な位置決めを行うことができる。
また、ベース部材3は、プレス成形により形成されているため、中心軸線A1方向に関する内側円筒壁部69の先端面69bと外側円筒壁部71の端面77との相対的な位置決め、および内側円筒壁部69の内周面69aと外側円筒壁部71の大径内周面75との相対的な位置決めを精度よくかつ容易に行うことができる。
【0024】
以上のことから、スリーブ27の端面35および外周面31aを内側円筒壁部69の先端面69bおよび内周面69aに当接させると共に、ステータコイル11の端面11aおよび外周面14aを外側円筒壁部71の端面77および大径内周面75に当接させて、ステータコイル11およびロータ部13をベース部材3に取り付ける際には、ステータコイル11と永久磁石41との相対的な位置決めを精度よくかつ容易に行うことができる。
このため、中心軸線A1方向に関するステータコイル11の磁気中心と永久磁石41の磁気中心とを周方向にわたって精度よく一致させることができる。また、永久磁石41の外周面41aとステータコイル11の先端面15aとの隙間を周方向にわたって一定間隔に保持できる。
【0025】
以上のように構成されたHDD1において磁気ディスク91を回転させる場合には、ステータコイル11において交番磁界を発生させ、この交番磁界を永久磁石41に作用させてロータハブ21および軸体25を回転させる。この際には、周方向にわたって永久磁石41に作用する磁力のばらつきがなくなるため、ロータハブ21が振動することなく、安定して回転することになる。
【0026】
上記のように、このモータ5によれば、中心軸線A1方向に関するステータコイル11の磁気中心と永久磁石41の磁気中心とを周方向にわたって精度よく一致させると共に、ステータコイル11と永久磁石41との隙間を周方向にわたって一定間隔に保持できるため、これらステータコイル11と永久磁石41との磁気中心のばらつきおよび隙間のばらつきに基づく、ロータハブ21の振動およびピュアトーンの発生を抑制できる。
また、ベース部材3を鉄から形成した場合には、ステータコイル11およびスリーブ27を定位置に保持するための剛性を保持しながら、ベース部材3の肉厚を薄く形成することができるため、モータ5の薄型化を図ることができる。さらに、鉄製のベース部材3は高い剛性を有しているため、ロータハブ21を回転させる際にベース部材3が振動することも抑制できる。
【0027】
また、このモータ5をHDD1に設けた場合には、HSA7とロータ部13とが1つのベース部材3に固定されるため、磁気ディスク91と磁気ヘッド45との相対的な位置決めを精度よくかつ容易に行うことができる。また、ロータハブ21の振動を抑制できるため、モータ5により、磁気ディスク91を回転させた際にはロータハブ21が安定して回転することになる。
したがって、磁気ヘッド45を用いてモータ5に取り付けられた、磁気ディスク91に情報を書き込む際、もしくは、磁気ディスク91から情報を読み出す際の不具合を防止することができる。
【0028】
なお、上記の実施形態においては、また、流体動圧軸受部23は、軸体25とスリーブ27との隙間に液体29を充填するとしたが、これに限ることはなく、少なくとも流体によりスリーブ27に対してロータハブ21および軸体25を回転自在とする構成であればよい。したがって、液体29の代わりに空気等の気体を使用するとしてもよい。
また、磁気ディスク91に限ることはなく、例えば、光ディスクであってもよい。この場合には、スイングアーム51の先端部51aには、磁気ヘッド45の代わりに、光ディスクに情報を記録すると共に光ディスクに記録された情報を再生する光ピックアップが設ければよい。
【0029】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、軸方向に関するステータコイルの磁気中心と永久磁石の磁気中心とを周方向にわたって精度よく一致させると共に、永久磁石とステータコイルとの隙間を周方向にわたって一定間隔に保持できるため、これらステータコイルと永久磁石との磁気中心および隙間のばらつきに基づく、ロータハブの振動およびピュアトーンの発生を抑制できる。
また、ベース部材を鉄から形成した場合には、ベース部材の軸方向の肉厚を薄く形成することができるため、情報記録再生装置用モータの薄型化を図ることができる。
【0031】
また、この情報記録再生装置用モータを記録媒体駆動装置に設けた場合には、HSAをステータコイルおよびロータ部と共に、1つのベース部材に固定しているため、情報記録媒体と情報変換素子との相対的な位置決めを精度よくかつ容易に行うことができる。また、ロータハブを安定して回転させることができるため、情報記録媒体に情報を書き込む際、もしくは、情報記録媒体から情報を読み出す際の不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態に係るモータを備えたHDDを示す断面図である。
【図2】 図1のHDDにおいて、流体動圧軸受部を示す拡大断面図である。
【図3】 図1のHDDにおいて、モータを示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 HDD(情報記録再生装置)
3 ベース部材
5 モータ(情報記録再生装置用モータ)
7 HSA(ヘッドスタックアッセンブリー)
11 ステータコイル
13 ロータ部
14a 外周面(周面)
21 ロータハブ
23 流体動圧軸受部
25 軸体
27 スリーブ
31a 外周面(周面)
41 永久磁石
45 磁気ヘッド(情報変換素子)
47 揺動手段
69a 内周面(第2嵌合面)
69b 先端面(第2の突き当て面)
75 大径内周面(第1嵌合面)
77 端面(第1の突き当て面)
91 磁気ディスク(情報記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録再生装置のベース部材にロータ部とステータコイルとを取り付けてなり、
前記ロータ部が、ロータハブと該ロータハブを回転自在に支持する流体動圧軸受部とを備え、
前記ロータハブが、前記ステータコイルに対向して円環状に複数の磁極を配列した永久磁石を備え、
前記流体動圧軸受部が、前記ロータハブに固定される軸体と、前記ベース部材に固定されるスリーブとを備え、
前記ベース部材に、前記ステータコイルを軸方向に突き当てる第1の突き当て面と、前記スリーブを軸方向に突き当てる第2の突き当て面とが設けられていることを特徴とする情報記録再生装置用モータ。
【請求項2】
前記ベース部材に、前記ステータコイルの周面を嵌合させる第1嵌合面と、前記スリーブの周面を嵌合させる第2嵌合面とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置用モータ。
【請求項3】
前記ベース部材が、鉄製であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報記録再生装置用モータ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報記録再生用モータと、前記ロータハブに固定される薄板状の情報記録媒体と、該情報記録媒体に情報を記録すると共に該情報記録媒体に記録された情報を再生する情報変換素子、および該情報変換素子を所定の位置に位置決めする揺動手段とを有するHSA(ヘッドスタックアッセンブリー)とを備え、
該HSAが、前記ベース部材に取り付けられていることを特徴とする情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−180566(P2006−180566A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−75299(P2003−75299)
【出願日】平成15年3月19日(2003.3.19)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】