説明

感光性樹脂組成物、オキシムスルホネート化合物、硬化膜の形成方法、硬化膜、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置

【課題】高感度であり、現像寛容度及び硬化膜の透明性に優れる感光性樹脂組成物、並びに、それを用いた硬化膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】(成分A)式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物、(成分B)酸により分解しカルボキシル基又はフェノール性水酸基を生成する酸分解性基を有する構成単位を有する樹脂、及び、(成分C)溶剤、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、Ar1はo−アリーレン基又はo−ヘテロアリーレン基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、特定のヘテロ原子含有基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、オキシムスルホネート化合物、硬化膜の形成方法、硬化膜、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置や、液晶表示装置などには、パターン形成された層間絶縁膜が設けられている。この層間絶縁膜の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少なく、しかも十分な平坦性が得られるといったことから、感光性樹脂組成物が広く使用されている。
上記表示装置における層間絶縁膜には、絶縁性、耐溶剤性、耐熱性、硬度、及び、酸化インジウムスズ(ITO)スパッタ適性に優れるといった硬化膜の物性に加えて、高い透明性が望まれている。このため、透明性に優れたアクリル系樹脂を膜形成成分として用いることが試みられている。
また、感光性樹脂組成物を感光させる光源に関して、355nmのレーザ光露光による直接描画方法、これまでのg線、h線、i線混合光源に加え、i線をカットしたg線、h線混合光源等、種々の光源でパターン形成を行うことが試みられている。
【0003】
このような感光性樹脂組成物として、例えば、特許文献1には、(A)酸解離性基を有する下記一般式(1)で表される構成単位とカルボキシル基と反応して共有結合を形成し得る官能基を有する構成単位を含有し、アルカリ不溶性若しくはアルカリ難溶性であり、且つ、当該酸解離性基が解離したときにアルカリ可溶性となる樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、を少なくとも含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物が提案されている。
【0004】
【化1】

【0005】
一般式(1)に於いて、R1は、水素原子、メチル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖状あるいは分岐状アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。但し、R2及びR3の少なくとも一つは、直鎖状あるいは分岐状アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R4は、置換されていても良い、直鎖状あるいは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、又はアラルキル基を表す。R2又はR3と、R4とが連結して環状エーテルを形成してもよい。
【0006】
また、酸発生剤として、特許文献2には、下記一般式(1)で表されることを特徴とするオキシムスルホン酸化合物が開示されている。
【0007】
【化2】

【0008】
ただし、上記一般式(1)中、R1は、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素芳香族基のいずれかを表し、Arは、置換基を有してもよい芳香族環又は複素芳香族環を表し、Xは、O、及びSのいずれかを表す。また、Aは、5及び6員環のいずれかを表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−98616号公報
【特許文献2】特開2008−247780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、高感度であり、現像寛容度及び硬化膜の透明性に優れる感光性樹脂組成物、並びに、それを用いた硬化膜の形成方法を提供することである。
また、本発明の目的は、高感度であり、現像寛容度に優れ、重合性化合物を重合して得られる硬化膜の透明性に優れるオキシムスルホネート化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題は、以下の<1>、<9>、<13>、<14>、<15>、<17>又は<18>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<8>、<10>〜<12>及び<16>とともに以下に記載する。
<1>(成分A)式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物、(成分B)酸により分解しカルボキシル基又はフェノール性水酸基を生成する酸分解性基を有する構成単位を有する樹脂、及び、(成分C)溶剤、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物、
【0012】
【化3】

(式(1)又は式(2)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、Ar1はo−アリーレン基又はo−ヘテロアリーレン基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表す。)
【0013】
<2>成分Bが、スチレン誘導体、マレイミド誘導体、(メタ)アクリル酸、及び、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物由来の構成単位を更に有する、上記<1>に記載の感光性樹脂組成物、
<3>成分Bが、カルボキシル基又はフェノール性水酸基と反応して共有結合を形成し得る官能基を有する構成単位を更に有する、上記<1>又は<2>に記載の感光性樹脂組成物、
<4>前記酸分解性基が、式(Ia)、式(Ib)、式(IIa)又は式(IIb)で表される基である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
【0014】
【化4】

(式中、R3はアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R4はアルキル基を表し、R3
4は環を形成してもよく、R5は第三級アルキル基を表し、R5'は第三級アルキル基又はtert−ブトキシカルボニル基を表し、Ar2及びAr3はそれぞれ独立に、二価の芳香族基を表し、波線部分は他の構造との結合箇所を表す。)
【0015】
<5>成分Aが、式(3)〜式(8)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物である、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
【0016】
【化5】

(式(3)〜式(8)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【0017】
<6>成分Aが、下記式(9)〜式(18)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
【0018】
【化6】

(式(9)〜式(18)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、R7は水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【0019】
<7>成分Aが、下記式(19)〜式(24)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
【0020】
【化7】

(式(19)〜式(24)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、XはO又はSを表し、R’はアルキル基又はアリール基を表す。)
【0021】
<8>成分Aが、下記式(25)〜式(29)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
【0022】
【化8】

(式(25)〜式(29)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R9は水素原子、臭素原子又はアルコキシ基を表し、R10は水素原子又はアルコキシ基を表し、R11は水素原子又は塩素原子を表す。)
【0023】
<9>下記式(30)〜式(37)のいずれかで表されることを特徴とするオキシムスルホネート化合物、
【0024】
【化9】

(式(30)〜式(37)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、WはO又はNR’基を表し、ZはS又はNR’基を表し、R’はアリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【0025】
<10>下記式(38)〜式(49)のいずれかで表される、上記<9>に記載のオキシムスルホネート化合物、
【0026】
【化10】

(式(38)〜式(49)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、R7は水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、XはO又はSを表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、WはO又はNR’基を表し、ZはS又はNR’基を表し、R’はアリール基又はヘテロアリール基を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【0027】
<11>下記式(50)〜式(55)のいずれかで表される、上記<10>に記載のオキシムスルホネート化合物、
【0028】
【化11】

(式(50)〜式(55)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、XはO又はSを表し、WはO又はNR’基を表し、ZはS又はNR’基を表し、R’はアリール基を表す。)
【0029】
<12>下記式(56)〜式(60)のいずれかで表される、上記<11>に記載のオキシムスルホネート化合物、
【0030】
【化12】

(式(56)〜式(60)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R9は水素原子、臭素原子又はアルコキシ基を表し、R10は水素原子又はアルコキシ基を表し、R11は水素原子又は塩素原子を表す。)
【0031】
<13>上記<9>〜<12>のいずれか1つに記載のオキシムスルホネート化合物である、光酸発生剤、
【0032】
<14>(1)上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する塗布工程、(2)塗布された感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程、(3)塗布された感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程、(4)露光された感光性樹脂組成物を水性現像液により現像する現像工程、及び、(5)現像された感光性樹脂組成物を熱硬化するポストベーク工程、を含む硬化膜の形成方法、
<15>上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物に、光及び熱の少なくとも一方を付与して形成された硬化膜、
<16>層間絶縁膜である、上記<15>に記載の硬化膜、
<17>上記<15>又は<16>に記載の硬化膜を具備する有機EL表示装置、
<18>上記<15>又は<16>に記載の硬化膜を具備する液晶表示装置。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、高感度であり、現像寛容度及び硬化膜の透明性に優れる感光性樹脂組成物、並びに、それを用いた硬化膜の形成方法を提供することができた。
また、本発明によれば、高感度であり、現像寛容度に優れ、重合性化合物を重合して得られる硬化膜の透明性に優れるオキシムスルホネート化合物を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】有機EL表示装置の一例の構成概念図を示す。ボトムエミッション型の有機EL表示装置における基板の模式的断面図を示し、平坦化膜4を有している。
【図2】液晶表示装置の一例の構成概念図を示す。液晶表示装置におけるアクティブマトリックス基板の模式的断面図を示し、層間絶縁膜である硬化膜17を有している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(感光性樹脂組成物)
以下、本発明の感光性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)は、(成分A)式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物、(成分B)酸により分解しカルボキシル基又はフェノール性水酸基を生成する酸分解性基を有する構成単位を有する樹脂、及び、(成分C)溶剤、を含有することを特徴とする。
【0036】
【化13】

(式(1)又は式(2)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、Ar1はo−アリーレン基又はo−ヘテロアリーレン基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表す。)
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物であることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物(化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物)であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、活性光線に感応する光酸発生剤として1,2−キノンジアジド化合物を含まない方が好ましい。1,2−キノンジアジド化合物は、逐次型光化学反応によりカルボキシル基を生成するが、その量子収率は必ず1以下である。
これに対して本発明で使用する(成分A)式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物は、活性光線に感応して生成する酸が保護された酸性基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られる。
「活性光線」とは、その照射により感光性樹脂組成物中に酸を発生させるエネルギーを付与できる光であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、紫外線が好ましい。
以下、これら(成分A)等で示される各成分をそれぞれ、「成分A」等ともいう。
【0038】
(成分A)式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分A)式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物を含有する。
(成分A)式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物は、活性光線に感応して酸を生成する光酸発生剤として好適に使用することができる。
【0039】
【化14】

(式(1)又は式(2)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、Ar1はo−アリーレン基又はo−ヘテロアリーレン基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表す。)
【0040】
前記式(1)又は式(2)中、R1におけるアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
前記式(1)又は式(2)中、R1におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
1におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0041】
1におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基、フェノキシエチル基、メチルチオエチル基、フェニルチオエチル基、エトキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルエチル基、ジメチルアミノカルボニルエチル基が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
【0042】
また、前記式(1)又は式(2)中、R1におけるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
1におけるアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
【0043】
1におけるアリール基としては、フェニル基、p−トルイル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−フェニルチオフェニル基、p−エトキシカルボニルフェニル基、p−フェノキシカルボニルフェニル基、p−ジメチルアミノカルボニルフェニル基、o−トルイル基、o−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2,4−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基、p−トルイル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
【0044】
また、前記式(1)又は式(2)中、R1におけるヘテロアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数4〜30のヘテロアリール基が好ましい。
1におけるヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
【0045】
前記式(1)又は式(2)中、R1におけるヘテロアリール基は、少なくとも1つの環が複素芳香環であればよく、例えば、複素芳香環とベンゼン環とが縮環していてもよい。
1におけるヘテロアリール基としては、置換基を有していてもよい、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、イミダゾール環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、及び、ベンゾイミダゾール環よりなる群から選ばれた環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
【0046】
これらの中でも、前記式(1)又は式(2)におけるR1としては、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数1〜16のアルキル基又はp−トルイル基であることが更に好ましく、炭素数3〜8のアルキル基又はp−トルイル基であることが特に好ましい。
【0047】
前記式(1)又は式(2)中、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であることが更に好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
前記式(1)又は式(2)中、R2におけるアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。
2におけるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、前記R1におけるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基と同様の基が例示できる。
【0048】
2におけるアルキル基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、置換基を有してもよい総炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。
2におけるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、アリル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、パーフルオロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、フェノキシエチル基、メチルチオエチル基、フェニルチオエチル基、エトキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルエチル基、ジメチルアミノカルボニルエチル基が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基、アリル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、メトキシメチル基、ベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0049】
2におけるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
2におけるアリール基として具体的には、フェニル基、p−トルイル基、o−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−フェニルチオフェニル基、p−エトキシカルボニルフェニル基、p−フェノキシカルボニルフェニル基、p−ジメチルアミノカルボニルフェニル基が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基、p−トルイル基、o−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
2におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらの中でも、塩素原子、又は、臭素原子が好ましい。
【0050】
前記式(1)又は式(2)中、Ar1はo−アリーレン基又はo−ヘテロアリーレン基を表す。Ar1におけるo−アリーレン基及びo−ヘテロアリーレン基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基又はアルキルオキシ基が例示でき、また、これらは更に置換基を有していてもよい。o−アリーレン基及びo−ヘテロアリーレン基が有していてもよい置換基としては、後述するR2が好ましく例示できる。
Ar1におけるo−アリーレン基及びo−ヘテロアリーレン基として具体的には、置換基を有していてもよい、1,2−フェニレン基、1,2−ナフタレンジイル基、2,3−ナフタレンジイル基、2,3−フランジイル基、2,3−チオフェンジイル基、2,3−キノリンジイル基、6,7−キノリンジイル基、7,8−キノリンジイル基などが例示できる。
これらの中でも、Ar1は、o−アリーレン基であることが好ましく、1,2−フェニレン基、又は、1,2−ナフタレンジイル基であることがより好ましく、1,2−ナフタレンジイル基であることが特に好ましい。
【0051】
前記式(1)又は式(2)中、XはO、S又はNR’基を表す。
前記式(1)又は式(2)において、X、Ar、オキシム基の炭素原子、及び、Yが結合した炭素原子は、必要に応じて−C(R22−を含み、結合して5員環又は6員環を形成している。
前記式(1)又は式(2)中、nは0又は1を表し、XがO又はNR’である場合、nは0であることが好ましく、また、XがSである場合、nは1であることが好ましい。
【0052】
前記式(1)又は式(2)中、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、O、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基であることが好ましく、O又はNOR’基であることがより好ましく、Oであることが特に好ましい。
【0053】
前記式(1)又は式(2)中、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜20のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
【0054】
また、成分Aは、式(3)〜式(8)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
【0055】
【化15】

(式(3)〜式(8)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【0056】
式(3)〜式(8)におけるR1、R2、X、Y、R’及びnは、前記式(1)又は式(2)におけるR1、R2、X、Y、R’及びnとそれぞれ同義であり、好ましい態様もそれぞれ同様である。
前記式(3)〜式(8)中、R6におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。
前記式(3)〜式(8)中、R6におけるアルキル基及びアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。
前記式(3)〜式(8)中、R6におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
6におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0057】
6におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基、フェノキシエチル基、メチルチオエチル基、フェニルチオエチル基、エトキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルエチル基、ジメチルアミノカルボニルエチル基が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
【0058】
前記式(3)〜式(8)中、R6におけるアルキルオキシ基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜30のアルキルオキシ基であることが好ましい。
6におけるアルキルオキシ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0059】
6におけるアルキルオキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基、メチルチオエチルオキシ基、フェニルチオエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、フェノキシカルボニルエチルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルエチルオキシ基が挙げられる。
これらの中でも、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、又は、エトキシエチルオキシ基が好ましい。
前記式(3)〜式(8)中、R6におけるアミノスルホニル基としては、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、メチルフェニルアミノスルホニル基、アミノスルホニル基が挙げられる。
前記式(3)〜式(8)中、R6におけるアルコキシスルホニル基としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロピルオキシスルホニル基、ブチルオキシスルホニル基が挙げられる。
【0060】
前記式(3)〜式(6)中、mは0〜6の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
また、前記式(7)又は式(8)中、Lは0〜4の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
更に、現像寛容度の観点からは、m又はLが1であり、かつR6がアルコキシ基であることが特に好ましい。
【0061】
また、成分Aは、下記式(9)〜式(18)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることがより好ましい。
【0062】
【化16】

(式(9)〜式(18)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、R7は水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【0063】
式(9)〜式(18)におけるR1、R2、X、Y、R’及びnは、前記式(1)又は式(2)におけるR1、R2、X、Y、R’及びnとそれぞれ同義であり、好ましい態様もそれぞれ同様である。また、式(9)〜式(18)におけるR6、m及びLは、前記式(3)〜式(8)におけるR6、m及びLとそれぞれ同義であり、好ましい態様もそれぞれ同様である。
前記式(13)〜式(16)におけるR7は水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが更に好ましい。
【0064】
成分Aは、下記式(19)〜式(24)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることが更に好ましい。
【0065】
【化17】

(式(19)〜式(24)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、XはO又はSを表し、R’はアルキル基又はアリール基を表す。)
【0066】
式(19)〜式(24)におけるR1は、前記式(1)又は式(2)におけるR1と同義であり、好ましい態様も同様である。
前記式(21)又は式(22)におけるR7は、水素原子又はメチル基を表し、XがOの場合は水素原子であることが好ましく、XがSの場合はメチル基であることが好ましい。
前記式(19)〜式(24)におけるR8は、水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、水素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましく、水素原子又はメトキシ基であることが更に好ましい。
前記式(19)〜式(23)におけるXは、O又はSを表し、Oであることが特に好ましい。
前記式(24)におけるR’は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
【0067】
成分Aは、下記式(25)〜式(29)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることが特に好ましい。
【0068】
【化18】

(式(25)〜式(29)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R9は水素原子、臭素原子又はアルコキシ基を表し、R10は水素原子又はアルコキシ基を表し、R11は水素原子又は塩素原子を表す。)
【0069】
式(25)〜式(29)におけるR1は、前記式(1)又は式(2)におけるR1と同義であり、好ましい態様も同様である。
前記式(28)におけるR7は、水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
前記式(25)におけるR9は、水素原子、臭素原子又はアルコキシ基を表し、水素原子、臭素原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子又は臭素原子であることがより好ましい。
前記式(26)又は式(27)におけるR10は、水素原子又はアルコキシ基を表し、水素原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、現像寛容度の観点から、水素原子又は炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましく、水素原子又はメトキシ基であることが更に好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。
前記式(28)におけるR9は、水素原子又は塩素原子を表し、塩素原子であることが好ましい。
【0070】
前記オキシムスルホネート化合物において、オキシムの立体構造(E,Z)については、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
前記式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、下記例示化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0071】
【化19】

【0072】
本発明の感光性樹脂組成物における成分Aの含有量は、成分B100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜10重量部であることがより好ましい。成分Aの含有量が0.1重量部以上であると、所望の感度が得やすく、また、10重量部以下であると、硬化膜の透明性を確保しやすい。
【0073】
(成分B)酸により分解しカルボキシル基又はフェノール性水酸基を生成する酸分解性基を有する構成単位を有する樹脂
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分B)酸により分解しカルボキシル基又はフェノール性水酸基を生成する酸分解性基を有する構成単位を有する樹脂を含有する。
ここで、本発明において「酸分解性基」とは、酸の存在下で分解することにより、該酸分解性基により保護されたカルボキシル基を生成することが可能な官能基を意味する。
以下、共重合体(成分B)を構成する構成単位について詳細に説明する。
【0074】
<酸分解性基を含有する構成単位>
成分Bに含まれる酸により分解しカルボキシル基又はフェノール性水酸基を生成する酸分解性基(以下、単に「酸分解性基」ともいう。)を有する構成単位は、酸により分解(解離)し、カルボキシル基を生成する式(Ia)若しくは式(IIa)で表される構造を有する構成単位、又は、酸により分解しフェノール性水酸基を生成する式(Ib)若しくは式(IIb)で表される構造を有する構成単位を含有することが好ましい。
【0075】
【化20】

(式中、R3はアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R4はアルキル基を表し、R3とR4は環を形成してもよく、R5は第三級アルキル基を表し、R5'は第三級アルキル基又はtert−ブトキシカルボニル基を表し、Ar2及びAr3はそれぞれ独立に、二価の芳香族基を表し、波線部分は他の構造との結合箇所を表す。)
【0076】
これらの中でも、前記酸分解性基を有する構成単位は、前記式(Ia)及び/又は式(Ib)で表される構造を有することが好ましく、式(Ia)で表される構造を有することが更に好ましく、式(Ia)で表され、R3とR4が環を形成する場合が特に好ましい。
【0077】
<R3とR4が環を形成しない場合>
3におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。R3におけるアルキル基の炭素数としては、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜7であることが更に好ましい。
3におけるシクロアルキル基の炭素数としては、3〜20であることが好ましく、3〜10であることがより好ましく、5〜7であることが更に好ましい。
なお、これら炭素数は、置換基を有する場合、置換基の炭素数も含まれる。
【0078】
3におけるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
3におけるシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。
【0079】
3におけるアルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
前記アルキル基及びシクロアルキル基における置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基等が例示でき、これらの置換基は、上記置換基で更に置換されていてもよい。
また、R3におけるアルキル基又はシクロアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基、又は、炭素数が7〜11のアラルキル基が好ましく、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が3〜6のシクロアルキル基、又は、ベンジル基がより好ましく、エチル基又はシクロヘキシル基であることが更に好ましく、エチル基であることが特に好ましい。
【0080】
4におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
4におけるアルキル基の好ましい炭素数としては、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜7であることが更に好ましい。
なお、これら炭素数は、置換基を有する場合、置換基の炭素数も含まれる。
また、R4におけるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0081】
式(Ib)中、Ar2は、二価の芳香族基を表し、芳香環上にOCH(OR3)(R4)を有している。
Ar2における二価の芳香族基としては、特に制限はなく、フェニレン基、置換フェニレン基、ナフチレン基、及び、置換ナフチレン基等が例示でき、フェニレン基、又は、置換フェニレン基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましく、1,4−フェニレン基であることが更に好ましい。
また、Ar2における二価の芳香族基は、芳香環上に置換基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基等が例示でき、これらの置換基は、上記置換基で更に置換されていてもよい。
【0082】
カルボキシル基が保護されることにより前記式(Ia)で表される構造を有する構成単位を形成することができるカルボン酸モノマーとしては、カルボキシル基が保護されることにより酸分解性基を有する構成単位となり得るものであれば用いることができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−メチル−p−カルボキシスチレン等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸を挙げることができる。また、酸分解性基を有する構成単位としては、これらカルボキシル基が保護されたカルボン酸由来のモノマー単位を好ましいものとして挙げることができる。
【0083】
フェノール性水酸基が保護されることにより前記式(Ib)で表される構造を有する構成単位を形成することができるフェノール性水酸基を有するモノマーとしては、フェノール性水酸基が保護されることにより酸分解性基を有する構成単位となり得るものであれば用いることができ、例えば、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類、特開2008−40183号公報の段落0011〜0016に記載の化合物、特許第2888454号公報の段落0007〜0010に記載の4−ヒドロキシ安息香酸誘導体類、4−ヒドロキシ安息香酸とメタクリル酸グリシジルとの付加反応物、4−ヒドロキシ安息香酸とアクリル酸グリシジルとの付加反応物等を好ましいものとして挙げることができる。
これらの中でも、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、特開2008−40183号公報の段落0011〜0016に記載の化合物、特許第2888454号公報の段落0007〜0010に記載の4−ヒドロキシ安息香酸誘導体類、4−ヒドロキシ安息香酸とメタクリル酸グリシジルとの付加反応物、4−ヒドロキシ安息香酸とアクリル酸グリシジルとの付加反応物がより好ましい。
これらの構造の中で、酸分解性基を有する構成単位として特に好ましいものは、式(III)で表される構成単位である。
【0084】
【化21】

【0085】
式(III)中、R10はアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R10の好ましい態様は、式(Ia)及び式(Ib)におけるR3の好ましい態様と同様である。
また、式(III)中、R11は水素原子又はメチル基を表す。
式(III)で表される構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の好ましい具体例としては、例えば、1−エトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、1−メトキシエチルメタクリレート、1−メトキシエチルアクリレート、1−n−ブトキシエチルメタクリレート、1−n−ブトキシエチルアクリレート、1−イソブトキシエチルメタクリレート、1−イソブトキシエチルアクリレート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルメタクリレート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルアクリレート、1−n−プロポキシエチルメタクリレート、1−n−プロポキシエチルアクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチルメタクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチルアクリレート、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチルメタクリレート、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチルアクリレート、1−ベンジルオキシエチルメタクリレート、1−ベンジルオキシエチルアクリレートなどを挙げることができ、特に好ましいものとしては、1−エトキシエチルメタクリレート及び1−エトキシエチルアクリレートである。これらの構成単位は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて有することができる。
【0086】
<R3とR4が環を形成する場合>
3とR4は環を形成してもよい。そのような例として、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基が好ましく、2−テトラヒドロフラニル基が特に好ましい。
これらの構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の好ましい具体例としては、例えば、メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル、アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イルなどを挙げることができる。特に好ましいものとしては、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イルである。
【0087】
酸分解性基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、下記に示すように(メタ)アクリル酸を酸触媒の存在下でビニルエーテル化合物と反応させることにより合成することができる。
【0088】
【化22】

【0089】
ここで、R10及びR11はそれぞれ、式(III)におけるR10及びR11に対応する。
【0090】
また、酸分解性基を有する構成単位は、保護されるカルボキシル基又はフェノール性水酸基含有モノマーを後述するモノマーやその前駆体と重合した後に、カルボキシル基又はフェノール性水酸基をビニルエーテル化合物と反応させることによっても形成することができる。なお、このようにして形成される好ましいモノマー単位の具体例は、上記ラジカル重合性単量体の好ましい具体例由来のモノマー単位と同様である。
【0091】
前記式(IIa)及び式(IIb)中、R5は第三級アルキル基を表し、R5'は第三級アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基を表し、Ar2は二価の芳香族基を表し、波線部分は他の構造との結合箇所を表す。
5及びR5'における第三級アルキル基としては、炭素数が4〜20のものが好ましく、炭素数が4〜14のものがより好ましく、炭素数が4〜8のものが更に好ましい。
5における第三級アルキル基、R5'における第三級アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基、並びに、Ar2における二価の芳香族基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基等が例示できる。これらの置換基は、上記置換基で更に置換されていてもよい。
【0092】
また、R5及びR5'における第三級アルキル基としては、以下に示す式(IV)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
−C(R121314) (IV)
式中、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、また、R12、R13及びR14のいずれか2つが互いに結合してそれらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。
【0093】
式(IV)におけるR12、R13及びR14の炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。
炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等を挙げることができる。
炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
また、R12、R13及びR14は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができる。R12とR13、R12とR14、又は、R13とR14が結合した場合の環構造としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、テトラヒドロフラニル基、アダマンチル基、及び、テトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
【0094】
また、式(IIa)におけるR5は、炭素数4〜12の第三級アルキル基であることが好ましく、炭素数4〜8の第三級アルキル基であることがより好ましく、t−ブチル基であることが更に好ましい。
また、式(IIb)におけるR5'は、炭素数4〜12の第三級アルキル基又はtert−ブトキシカルボニル基であることが好ましく、炭素数4〜12の第三級アルキル基であることがより好ましく、t−ブチル基であることが更に好ましい。
式(IIb)中、Ar3は、二価の芳香族基を表し、芳香環上にOCH(OR3)(R4)を有している。
式(IIb)におけるAr3の好ましい態様は、前記式(Ib)におけるAr2の好ましい態様と同様である。
【0095】
酸分解性基を有する構成単位は、前記式(IIa)で表される保護されたカルボキシル基、及び/又は、前記式(IIb)で表される保護されたフェノール性水酸基を含有することが好ましい。
カルボキシル基が保護されることにより前記式(IIa)で表される構造を有するモノマー単位を形成することができるカルボン酸モノマーとしては、カルボキシル基が保護されることにより酸分解性基を有する構成単位となり得るものであれば用いることができ、例えば、式(Ia)の説明において前述したカルボン酸モノマーが好ましく挙げられる。
フェノール性水酸基が保護されることにより前記式(IIb)で表される構造を有するモノマー単位を形成することができるフェノール性水酸基を有するモノマーとしては、フェノール性水酸基が保護されることにより酸分解性基を有する構成単位となり得るものであれば用いることができ、例えば、式(Ib)の説明において前述したフェノール性水酸基を有するモノマーが好ましく挙げられる。
【0096】
これらの構造の中で、酸分解性基を有する構成単位として特に好ましいものは、下記式(V)で表される構成単位である。
【0097】
【化23】

【0098】
式(V)中、R15は第三級アルキル基を表し、R16は水素原子又はメチル基を表す。
なお、式(V)中、R15の好ましい態様は、式(IIa)におけるR5の好ましい態様と同様である。
式(V)で表される構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の好ましい具体例としては、例えば、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル等を挙げることができ、特にメタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸tert−ブチルが好ましい。これらのラジカル重合性単量体は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0099】
酸分解性基を有する構成単位の好ましい具体例としては、下記のモノマー単位が例示できる。
【0100】
【化24】

【0101】
成分Bを構成する全モノマー単位中、酸分解性基を有する構成単位を形成するモノマー単位の含有量は、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%が更に好ましく、10〜40モル%が特に好ましい。上記の割合で含有させることにより、高感度でかつ露光ラチチュードが広い感光性樹脂組成物が得られる。
【0102】
<カルボキシル基又はフェノール性水酸基と反応して共有結合を形成し得る官能基を有する構成単位>
成分Bは、カルボキシル基又はフェノール性水酸基と反応して共有結合を形成し得る官能基を有する構成単位を有することが好ましい。
カルボキシル基又はフェノール性水酸基と反応して供給結合を形成し得る官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、酸無水物基、酸ハライド基、イソシアネート基が挙げられ、このような官能基を含有するラジカル重合性モノマーを使用して成分Bを合成することが好ましい。これら官能基の中で、エポキシ基、及び/又は、オキセタニル基が好ましい。
前記エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位としては、脂環エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位であることが好ましく、オキセタニル基を有する構成単位であることがより好ましい。
脂環エポキシ基は、脂肪族環とエポキシ環とが縮合環を形成している基であり、具体的には例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル基、2,3−エポキシシクロヘキシル基、2,3−エポキシシクロペンチル基等が好ましく挙げられる。
オキセタニル基を有する基としては、オキセタン環を有していれば、特に制限はないが、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル基が好ましく例示できる。
エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位は、1つの構成単位中にエポキシ基又はオキセタニル基を少なくとも1つ有していればよく、1つ以上のエポキシ基及び1つ以上オキセタニル基、2つ以上のエポキシ基、又は、2つ以上のオキセタニル基を有していてもよく、特に限定されないが、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1〜3つ有することが好ましく、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1又は2つ有することがより好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ有することが更に好ましい。
【0103】
エポキシ基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、特許第4168443号公報の段落0031〜0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物などが挙げられる。
【0104】
オキセタニル基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の例としては、例えば、特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。
【0105】
エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の例としては、メタクリル酸エステル構造を含有するモノマー、アクリル酸エステル構造を含有するモノマーであることが好ましい。
【0106】
これらのモノマーの中で、更に好ましいものとしては、特許第4168443号公報の段落0034〜0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物及び特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、特に好ましいものとしては特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。これらの中でも、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、及び、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルが好ましく、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、及び、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルが最も好ましい。これらのモノマーは、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0107】
カルボキシル基又はフェノール性水酸基と反応して共有結合を形成し得る官能基を有する構成単位の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。
【0108】
【化25】

【0109】
成分Bを構成する全モノマー単位中、カルボキシル基又はフェノール性水酸基と反応して共有結合を形成し得る官能基を有する構成単位を形成するモノマー単位の含有率は、10〜80モル%が好ましく、15〜70モル%が更に好ましく、20〜65モル%が特に好ましい。上記の割合で含有させることにより、硬化膜の物性が良好となる。
これらの構成単位の中で、オキセタニル基を有する構成単位が感光性組成物の貯蔵安定性が優れる点で特に好ましい。
【0110】
<その他の構成単位>
本発明の効果を妨げない範囲で、成分Bは、前記構成単位以外の、その他の構成単位を有してもよい。
その他の構成単位を形成するラジカル重合性モノマーとしては例えば、特開2004−264623号公報の段落0021〜0024に記載の化合物を挙げることができる。
これらの中でも、電気特性向上の観点で(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルのような脂環構造含有の(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
成分Bは、その他の構成単位として、マレイミド誘導体、(メタ)アクリル酸、及び、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物由来の構成単位を有することが好ましい。
マレイミド誘導体としては、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、その他の構成単位を形成するモノマーとしては、スチレンも好ましい。
【0111】
成分Bを構成する全モノマー単位中、その他の構成単位を形成するモノマー単位の含有率は、0〜50モル%が好ましく、0〜45モル%が更に好ましく、5〜40モル%が特に好ましい。上記の割合で含有させることにより、硬化膜の物性が良好となる。
成分Bの重量平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜50,000であることがより好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量であることが好ましい。
【0112】
以下、成分Bとして、好ましいものを例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、下記に例示した成分Bの重量平均分子量は、2,000〜50,000であることが好ましい。
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸グリシジル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸メチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
【0113】
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
【0114】
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸メチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル共重合体
メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル共重合体
メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
【0115】
メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステルの1−エトキシエチルエーテル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸共重合体
4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステルの1−エトキシエチルエーテル/α−メチル−パラヒドロキシスチレンのtert−ブトキシカルボニル基保護体/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸共重合体
4−ヒドロキシ安息香酸(2−メタクリロイルオキシエチル)エステルの1−エトキシエチルエーテル/メタクリル酸4−ヒドロキシフェニルのtert−ブチル基保護体/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/スチレン/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/N−シクロヘキシルマレイミド/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル/メタクリル酸(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル)/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル/メタクリル酸(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル)/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸共重合体
【0116】
成分Bは、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の感光性樹脂組成物中における成分Bの含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、20〜99重量%であることが好ましく、40〜97重量%であることがより好ましく、60〜95重量%であることが更に好ましい。含有量がこの範囲であると、現像した際のパターン形成性が良好となる。なお、感光性樹脂組成物の固形分量とは、溶剤などの揮発性成分を除いた量を表す。
なお、本発明の感光性樹脂組成物中では、本発明の効果を妨げない範囲で成分B以外の樹脂(成分B’)を併用してもよい。ただし、成分B以外の樹脂(成分B’)の含有量は、現像性の観点から、成分Bの含有量より少ない方が好ましい。
【0117】
(成分C)溶剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分C)溶剤を含有する。
本発明の感光性樹脂組成物は、必須成分である成分A、成分B、並びに、更に後述の任意成分を、(成分C)溶剤に溶解した溶液として調製される。
本発明の感光性樹脂組成物に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。具体的には、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。本発明の感光性樹脂組成物に使用される溶剤としては、例えば、特開2009−258722号公報の段落0074に記載の溶剤が挙げられる。
これら溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができ、1種単独又は2種を併用することが好ましい。
【0118】
本発明の感光性樹脂組成物における成分Cの含有量は、成分B100重量部に対し、50〜3,000重量部であることが好ましく、100〜2,000重量部であることがより好ましく、150〜1,500重量部であることが更に好ましい。
【0119】
(成分D)増感剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分D)増感剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる増感剤としては、活性光線を吸収し、成分Aに対して電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものであれば、特に制限なく使用することができる。
増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体が好ましい。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−クロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、2−エチルアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセンが好ましい。
アクリドン誘導体としては、アクリドン、N−ブチル−2−クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、2−メトキシアクリドン、N−エチル−2−メトキシアクリドンが好ましい。
チオキサントン誘導体としては、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントンが好ましい。
クマリン誘導体としては、クマリン−1、クマリン−6H、クマリン−110、クマリン−102が好ましい。
ベーススチリル誘導体としては、2−(4−ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール、2−(4−ジメチルアミノスチリル)ベンゾチアゾール、2−(4−ジメチルアミノスチリル)ナフトチアゾールが挙げられる。
ジスチリルベンゼン誘導体としては、ジスチリルベンゼン、ジ(4−メトキシスチリル)ベンゼン、ジ(3,4,5−トリメトキシスチリル)ベンゼンが挙げられる。
【0120】
増感剤の具体例としては、下記が挙げられる。なお、下記において、Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基を表す。
【0121】
【化26】

【0122】
増感剤は、市販のものを用いてもよいし、公知の合成方法により合成してもよい。
また、増感剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
増感剤は、感度、透明性の両立の観点から、成分A100重量部に対して、20〜300重量部が好ましく、30〜200重量部が特に好ましい。
【0123】
<その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、任意成分として、以下に述べる(成分E)密着改良剤、(成分F)界面活性剤、(成分G)架橋剤、(成分H)酸化防止剤、(成分I)塩基性化合物、(成分J)可塑剤、及び、(成分K)熱ラジカル発生剤、並びに、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を加えることができる。
【0124】
(成分E)密着改良剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分E)密着改良剤を含有してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いることができる密着改良剤は、基材となる無機物、例えば、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコン化合物、金、銅、アルミニウム等の金属と絶縁膜との密着性を向上させる化合物である。具体的には、シランカップリング剤、チオール系化合物等が挙げられる。本発明で使用される密着改良剤としてのシランカップリング剤は、界面の改質を目的とするものであり、特に限定することなく、公知のものを使用することができる。
【0125】
好ましいシランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。
これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましい。
【0126】
これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらは基板との密着性の向上に有効であるとともに、基板とのテーパー角の調整にも有効である。
本発明の感光性樹脂組成物における成分Eの含有量は、成分B100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
【0127】
(成分F)界面活性剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分F)界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)PolyFox(OMNOVA社製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記式(W)で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
【0128】
【化27】

(式(W)中、R1及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R4は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す重量百分率であり、pは10重量%以上80重量%以下の数値を表し、qは20重量%以上90重量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、nは1以上10以下の整数を表す。)
【0129】
前記Lは、下記式(L’)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(L’)におけるR5は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100重量%であることが好ましい。
【0130】
【化28】

【0131】
前記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
これら界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感光性樹脂組成物における成分Fの添加量は、成分B100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましく、0.01〜1重量部であることが更に好ましい。
【0132】
(成分G)架橋剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分G)架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、以下に述べる分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有架橋剤、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を添加することができる。架橋剤を添加することにより、硬化膜をより強固な膜とすることができる。
【0133】
<分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物>
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0134】
これらは市販品として入手できる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、JER827、JER828、JER834、JER1001、JER1002、JER1003、JER1055、JER1007、JER1009、JER1010(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、JER806、JER807、JER4004、JER4005、JER4007、JER4010(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE−21、RE−602S(以上、日本化薬(株)製)、等が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、JER152、JER154、JER157S70(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON N−740、EPICLON N−740、EPICLON N−770、EPICLON N−775(以上、DIC(株)製)等が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−690、EPICLON N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020(以上、日本化薬(株)製)等が、脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP−4080S、同EP−4085S、同EP−4088S(以上、(株)ADEKA製)、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0135】
これらの中で好ましいものとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0136】
分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することができる。
分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物の感光性樹脂組成物への添加量は、成分Bの総量を100重量部としたとき、1〜50重量部が好ましく、3〜30重量部がより好ましい。
【0137】
<アルコキシメチル基含有架橋剤>
アルコキシメチル基含有架橋剤としては、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリル及びアルコキシメチル化尿素等が好ましい。これらは、それぞれメチロール化メラミン、メチロール化ベンゾグアナミン、メチロール化グリコールウリル、又は、メチロール化尿素のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができるが、アウトガスの発生量の観点から、特にメトキシメチル基が好ましい。
これらのアルコキシメチル基含有架橋剤のうち、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリルが好ましい架橋剤として挙げられ、透明性の観点から、アルコキシメチル化グリコールウリルが特に好ましい。
【0138】
これらアルコキシメチル基含有架橋剤は、市販品として入手可能であり、例えば、サイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300(以上、三井サイアナミッド(株)製)、ニカラックMX−750、−032、−706、−708、−40、−31、−270、−280、−290、ニカラックMS−11、ニカラックMW−30HM、−100LM、−390、(以上、(株)三和ケミカル製)などを好ましく使用することができる。
【0139】
本発明の感光性樹脂組成物にアルコキシメチル基含有架橋剤を用いる場合のアルコキシメチル基含有架橋剤の添加量は、成分B100重量部に対して、0.05〜50重量部であることが好ましく、0.5〜10重量部であることがより好ましい。この範囲で添加することにより、現像時の好ましいアルカリ溶解性と、硬化後の膜の優れた耐溶剤性が得られる。
【0140】
<少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物>
少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物を好適に用いることができる。
【0141】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレートなどが挙げられる。
【0142】
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートなどが挙げられる。
【0143】
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0144】
これらの少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物における少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の使用割合は、成分B100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましい。このような割合で少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有させることにより、本発明の感光性樹脂組成物から得られる絶縁膜の耐熱性及び表面硬度等を向上させることができる。少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を加える場合には、(成分K)熱ラジカル発生剤を添加することが好ましい。
【0145】
(成分H)酸化防止剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分H)酸化防止剤を含有してもよい。
成分Hとしては、公知の酸化防止剤を含有することができる。成分Hを添加することにより、硬化膜の着色を防止できる、又は、分解による膜厚減少を低減でき、また、耐熱透明性に優れるという利点がある。
このような酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、糖類、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。これらの中では、硬化膜の着色、膜厚減少の観点から特にフェノール系酸化防止剤が好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
フェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブAO−60((株)ADEKA製)、アデカスタブAO−80((株)ADEKA製)、イルガノックス1098(チバジャパン(株)製)が挙げられる。
【0146】
成分Hの含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1〜6重量%であることが好ましく、0.2〜5重量%であることがより好ましく、0.5〜4重量%であることが特に好ましい。この範囲にすることで、形成された膜の十分な透明性が得られ、且つ、パターン形成時の感度も良好となる。
また、酸化防止剤以外の添加剤として、“高分子添加剤の新展開((株)日刊工業新聞社)”に記載の各種紫外線吸収剤や、金属不活性化剤等を本発明の感光性樹脂組成物に添加してもよい。
【0147】
(成分I)塩基性化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分I)塩基性化合物を含有してもよい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられるものの中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
塩基性化合物の具体例としては、特開2009−98616号公報の段落0052〜0056に記載の化合物が例示できる。
【0148】
本発明に用いることができる塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが好ましく、2種を併用することがより好ましく、複素環式アミンを2種併用することが更に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における成分Iの含有量は、成分B100重量部に対して、0.001〜1重量部であることが好ましく、0.005〜0.2重量部であることがより好ましい。
【0149】
(成分J)可塑剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分J)可塑剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジメチルグリセリンフタレート、酒石酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリアセチルグリセリンなどが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物における成分Jの添加量は、成分B100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。
【0150】
(成分K)熱ラジカル発生剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分K)熱ラジカル発生剤を含んでいてもよく、前述の少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物のようなエチレン性不飽和化合物を含有する場合、(成分K)熱ラジカル発生剤を含有することが好ましい。
本発明における熱ラジカル発生剤としては、公知の熱ラジカル発生剤を用いることができる。
熱ラジカル発生剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱ラジカル発生剤を添加することによって、得られた硬化膜がより強靭になり、耐熱性、耐溶剤性が向上する場合がある。
好ましい熱ラジカル発生剤としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物、ビベンジル化合物等が挙げられる。
熱ラジカル発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
本発明の感光性樹脂組成物における成分Kの添加量は、膜物性向上の観点から、成分Bを100重量部としたとき、0.01〜50重量部が好ましく、0.1〜20重量部がより好ましく、0.5〜10重量部であることが最も好ましい。
【0151】
(硬化膜の形成方法)
次に、本発明の硬化膜の形成方法を説明する。
本発明の硬化膜の形成方法は、以下の(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする。
(1)本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する塗布工程
(2)塗布された感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程
(3)塗布された感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程
(4)露光された感光性樹脂組成物を水性現像液により現像する現像工程
(5)現像された感光性樹脂組成物を熱硬化するポストベーク工程
以下に各工程を順に説明する。
【0152】
(1)の塗布工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して溶剤を含む湿潤膜とする。
(2)の溶剤除去工程では、塗布された上記の膜から、減圧(バキューム)及び/又は加熱により、溶剤を除去して基板上に乾燥塗膜を形成させることが好ましい。
(3)の露光工程では、溶剤除去工程を経て得られた塗膜に波長300nm以上450nm以下の活性光線を照射することが好ましい。この工程では、成分Aが分解し酸が発生する。発生した酸の触媒作用により、成分B中に含まれる酸分解性基が加水分解されて、カルボキシル基又はフェノール性水酸基が生成する。
【0153】
酸触媒の生成した領域において、上記の加水分解反応を加速させるために、必要に応じて、露光後加熱処理:Post Exposure Bake(以下、「PEB」ともいう。)を行うことができる。PEBにより、酸分解性基からのカルボキシル基又はフェノール性水酸基の生成を促進させることができる。
本発明における成分B中の酸分解性基は、酸による分解の活性化エネルギーが低く、露光による酸発生剤由来の酸により容易に分解し、カルボキシル基又はフェノール性水酸基を生じるため、必ずしもPEBを行うことなく、現像によりポジ画像を形成することもできる。
なお、比較的低温でPEBを行うことにより、架橋反応を起こすことなく、酸分解性基の加水分解を促進することもできる。PEBを行う場合の温度は、30℃以上130℃以下であることが好ましく、40℃以上110℃以下がより好ましく、50℃以上80℃以下が特に好ましい。
【0154】
(4)の現像工程では、遊離したカルボキシル基又はフェノール性水酸基を有する重合体を、アルカリ性現像液を用いて現像することが好ましい。アルカリ性現像液に溶解しやすいカルボキシル基を有する樹脂組成物を含む露光部領域を除去することにより、ポジ画像が形成される。
(5)のポストベーク工程において、得られたポジ画像を加熱することにより、成分B中の酸分解性基を熱分解しカルボキシル基又はフェノール性水酸基を生成させ、エポキシ基及び/又はオキセタニル基と架橋させることにより、硬化膜を形成することができる。この加熱は、150℃以上の高温に加熱することが好ましく、180〜250℃に加熱することがより好ましく、200〜250℃に加熱することが特に好ましい。加熱時間は、加熱温度などにより適宜設定できるが、10〜90分の範囲内とすることが好ましい。
【0155】
ポストベーク工程の前に活性光線、好ましくは紫外線を、現像パターンに全面照射する工程を加えると、活性光線照射により発生する酸により架橋反応を促進することができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いた硬化膜の形成方法を具体的に説明する。
【0156】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
成分A〜成分Cの必須成分を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して感光性樹脂組成物を調製する。例えば、成分A及び成分Bを、それぞれ予め(成分C)溶剤に溶解させた溶液とした後、これらを所定の割合で混合して樹脂組成物を調製することもできる。以上のように調製した組成物溶液は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
【0157】
<塗布工程及び溶剤除去工程>
本発明の感光性樹脂組成物を、所定の基板に塗布し、減圧及び/又は加熱(プリベーク)により溶媒を除去することにより、所望の乾燥塗膜を形成することができる。前記の基板としては、例えば液晶表示素子の製造においては、偏光板、更に必要に応じてブラックマトリックス層、カラーフィルター層を設け、更に透明導電回路層を設けたガラス板などが例示できる。基板への塗布方法は特に限定されず、例えば、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法等の方法を用いることができる。中でもスリットコート法が大型基板に適するという観点で好ましい。ここで大型基板とは、各辺が1m以上の大きさの基板をいう。
【0158】
また、(2)溶剤除去工程の加熱条件は、未露光部における成分B中の酸分解性基が分解して、成分Bをアルカリ現像液に可溶性としない範囲であり、各成分の種類や配合比によっても異なるが、好ましくは80〜130℃で30〜120秒間程度である。
【0159】
<露光工程>
露光工程では、塗膜を設けた基板に所定のパターンを有するマスクを介して、活性光線を照射することが好ましい。波長300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用できる。露光工程の後、必要に応じて加熱処理(PEB)を行う。
活性光線による露光には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、LED光源、ケミカルランプ、レーザ発生装置などを用いることができる。
水銀灯を用いる場合にはg線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長を有する活性光線が好ましく使用でき、g線及び/又はh線をより好ましく使用でき、g線及びh線の混合光線を更に好ましく使用できる。水銀灯はレーザに比べると、大面積の露光に適するという点で好ましい。
レーザを用いる場合には固体(YAG)レーザでは343nm、355nmが用いられ、エキシマレーザでは351nm(XeF)が用いられ、更に半導体レーザでは375nm、405nmが用いられる。この中でも安定性、コスト等の点から355nm、405nmがより好ましい。レーザは1回あるいは複数回に分けて、塗膜に照射することができる。
レーザの1パルス当たりのエネルギー密度は0.1mJ/cm2以上10,000mJ/cm2以下であることが好ましい。塗膜を十分に硬化させるには、0.3mJ/cm2以上がより好ましく、0.5mJ/cm2以上が最も好ましく、アブレーション現象により塗膜を分解させないようにするには、1,000mJ/cm2以下がより好ましく、100mJ/cm2以下が最も好ましい。また、パルス幅は0.1nsec以上30,000nsec以下であることが好ましい。アブレーション現象により色塗膜を分解させないようにするには、0.5nsec以上がより好ましく、1nsec以上が最も好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、1,000nsec以下がより好ましく、50nsec以下が最も好ましい。
【0160】
更に、レーザの周波数は1〜50,000Hzが好ましく、10〜1,000Hzがより好ましい。レーザの周波数が1Hz未満では、露光処理時間が多くなり、50,000Hzを超えると、スキャン露光の際に合わせ精度が低下する。
露光処理時間を短くするには、10Hz以上がより好ましく、100Hz以上が最も好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、10,000Hz以下がより好ましく、1,000Hz以下が最も好ましい。
【0161】
レーザは水銀灯と比べると、焦点を絞ることが容易であり、露光工程でのパターン形成のマスクが不要でコストダウンできるという点で好ましい。
本発明に使用可能な露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto((株)ブイ・テクノロジー製)やAEGIS((株)ブイ・テクノロジー製)やDF2200G(大日本スクリーン製造(株)製)などが使用可能である。また、上記以外の装置も好適に用いられる
また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
【0162】
近年、液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイにおいては、光硬化膜部材の作製工程において、更なる高精細化を狙い、アライナ露光からステッパ露光への切り替えを検討する動きが活発化しているが、コストの面から、高価なi線ステッパではなく、比較的安価なgh混合光線ステッパの使用が増加している。しかしながら、i線に比べ、g線、h線は長波長であり可視光線の領域に含まれるため、g線、h線を吸収し硬化する従来の感光性樹脂組成物においては、硬化膜の透明性の低下や十分な感度が得られないという問題があった。本発明の感光性樹脂組成物は、高感度であり、硬化膜の透明性に優れるため、露光にg線、h線を使用する場合に特に好適に使用することができる。
【0163】
<現像工程>
現像工程では、塩基性現像液を用いて露光部領域を除去して画像パターンを形成することが好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類;ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノールやエタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0164】
現像液のpHは、好ましくは10.0〜14.0である。
現像時間は、30〜180秒間であることが好ましく、また、現像の手法は液盛り法、ディップ法等のいずれでもよい。現像後は、流水洗浄を30〜90秒間行い、所望のパターンを形成させることができる。
【0165】
<ポストベーク工程(架橋工程)>
現像により得られた未露光領域に対応するパターンについて、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を用いて、所定の温度、例えば180〜250℃で所定の時間、例えばホットプレート上なら5〜60分間、オーブンならば30〜90分間、加熱処理をすることにより、成分Bにおける酸分解性基を分解して、カルボキシル基を発生させ、成分B中の前記官能基と反応して、架橋させることにより、耐熱性、硬度等に優れた保護膜や層間絶縁膜を形成することができる。また、加熱処理を行う際は窒素雰囲気下で行うことにより透明性を向上させることもできる。
なお、加熱処理に先立ち、パターンを形成した基板に活性光線により再露光した後、ポストベークすること(再露光/ポストベーク)により未露光部分に存在する成分Bから酸を発生させ、架橋工程を促進する触媒として機能させることが好ましい。
すなわち、本発明の硬化膜の形成方法は、現像工程とポストベーク工程の間に、活性光線により再露光する再露光工程を含むことが好ましい。
再露光工程における露光は、前記露光工程と同様の手段により行えばよいが、前記再露光工程では、基板の本発明の感光性樹脂組成物により膜が形成された側に対し、全面露光を行うことが好ましい。再露光工程の好ましい露光量としては、100〜1,000mJ/cm2である。
【0166】
本発明の感光性樹脂組成物により、絶縁性に優れ、高温でベークされた場合においても高い透明性を有する層間絶縁膜が得られる。本発明の感光性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁膜は、高い透明性を有し、硬化膜物性に優れるため、有機EL表示装置や液晶表示装置の用途に有用である。
本発明の有機EL表示装置や液晶表示装置としては、前記本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成される平坦化膜や、保護膜、層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとる公知の各種有機EL表示装置や液晶表示装置を挙げることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物及び本発明の硬化膜は、前記用途に限定されず種々の用途に使用することができる。例えば、平坦化膜や、保護膜、層間絶縁膜以外にも、液晶表示装置における液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサーや固体撮像素子においてカラーフィルター上に設けられるマイクロレンズ等に好適に用いることができる。
【0167】
図1は、有機EL表示装置の一例の構成概念図を示す。ボトムエミッション型の有機EL表示装置における基板の模式的断面図を示し、平坦化膜4を有している。
ガラス基板6上にボトムゲート型のTFT1を形成し、このTFT1を覆う状態でSi34から成る絶縁膜3が形成されている。絶縁膜3に、ここでは図示を省略したコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFT1に接続される配線2(高さ1.0μm)が絶縁膜3上に形成されている。配線2は、TFT1間又は、後の工程で形成される有機EL素子とTFT1とを接続するためのものである。
更に、配線2の形成による凹凸を平坦化するために、配線2による凹凸を埋め込む状態で絶縁膜3上に平坦化層4が形成されている。
平坦化膜4上には、ボトムエミッション型の有機EL素子が形成されている。すなわち、平坦化膜4上に、ITOからなる第一電極5が、コンタクトホール7を介して配線2に接続させて形成されている。また、第一電極5は、有機EL素子の陽極に相当する。
第一電極5の周縁を覆う形状の絶縁膜8が形成されており、この絶縁膜8を設けることによって、第一電極5とこの後の工程で形成する第二電極との間のショートを防止することができる。
更に、図1には図示していないが、所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設け、次いで、基板上方の全面にAlから成る第二電極を形成し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止し、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1が接続されてなるアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られる。
【0168】
図2は、アクティブマトリックス方式の液晶表示装置10の一例を示す概念的断面図である。このカラー液晶表示装置10は、背面にバックライトユニット12を有する液晶パネルであって、液晶パネルは、偏光フィルムが貼り付けられた2枚のガラス基板14,15の間に配置されたすべての画素に対応するTFT16の素子が配置されている。ガラス基板上に形成された各素子には、硬化膜17中に形成されたコンタクトホール18を通して、画素電極を形成するITO透明電極19が配線されている。ITO透明電極19の上には、液晶20の層とブラックマトリックスを配置したRGBカラーフィルター22が設けられている。
【0169】
(オキシムスルホネート化合物)
本発明のオキシムスルホネート化合物は、式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物であり、活性光線に感応して酸を生成する光酸発生剤として好適に使用することができる。
【0170】
【化29】

(式(1)又は式(2)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、Ar1はo−アリーレン基又はo−ヘテロアリーレン基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表す。)
【0171】
上記式(1)又は式(2)におけるR1、R2、Ar1、X、Y、R’及びnは、前記感光性樹脂組成物の成分Aにおいて詳述した式(1)又は式(2)におけるR1、R2、Ar1、X、Y、R’及びnとそれぞれ同義であり、好ましい態様もそれぞれ同様である。
【0172】
前記式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物は、下記式(30)〜式(37)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
【0173】
【化30】

(式(30)〜式(37)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、WはO又はNR’基を表し、ZはS又はNR’基を表し、R’はアリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【0174】
前記式(30)〜式(37)中、R1におけるアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
前記式(30)〜式(37)中、R1におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
1におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0175】
1におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基、フェノキシエチル基、メチルチオエチル基、フェニルチオエチル基、エトキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルエチル基、ジメチルアミノカルボニルエチル基が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
【0176】
また、前記式(30)〜式(37)中、R1におけるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
1におけるアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
【0177】
1におけるアリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−フェニルチオフェニル基、p−エトキシカルボニルフェニル基、p−フェノキシカルボニルフェニル基、p−ジメチルアミノカルボニルフェニル基、o−メチルフェニル基、o−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2,4−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
【0178】
また、前記式(30)〜式(37)中、R1におけるヘテロアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数4〜30のヘテロアリール基が好ましい。
1におけるヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
【0179】
前記式(30)〜式(37)中、R1におけるヘテロアリール基は、少なくとも1つの環が複素芳香環であればよく、例えば、複素芳香環とベンゼン環とが縮環していてもよい。
1におけるヘテロアリール基としては、置換基を有していてもよい、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、イミダゾール環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、及び、ベンゾイミダゾール環よりなる群から選ばれた環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
【0180】
これらの中でも、前記式(30)〜式(37)におけるR1としては、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数1〜16のアルキル基又はp−トルイル基であることが更に好ましく、炭素数3〜8のアルキル基又はp−トルイル基であることが特に好ましい。
【0181】
前記式(30)〜式(33)、式(36)又は式(37)中、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であることが更に好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
前記式(30)〜式(33)、式(36)又は式(37)中、R2におけるアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。
2におけるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、前記R1におけるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基と同様の基が例示できる。
【0182】
2におけるアルキル基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、置換基を有してもよい総炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。
2におけるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、アリル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、パーフルオロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、フェノキシエチル基、メチルチオエチル基、フェニルチオエチル基、エトキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルエチル基、ジメチルアミノカルボニルエチル基が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基、アリル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、メトキシメチル基、ベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0183】
2におけるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
2におけるアリール基として具体的には、フェニル基、p−メチルフェニル基、o−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−フェニルチオフェニル基、p−エトキシカルボニルフェニル基、p−フェノキシカルボニルフェニル基、p−ジメチルアミノカルボニルフェニル基が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基、p−メチルフェニル基、o−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
2におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらの中でも、塩素原子、又は、臭素原子が好ましい。
【0184】
前記式(30)〜式(34)又は式(37)中、XはO、S又はNR’基を表す。
前記式(30)〜式(33)中、nは0又は1を表し、XがO又はNR’である場合、nは0であることが好ましく、また、XがSである場合、nは1であることが好ましい。
【0185】
前記式(30)〜式(37)中、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、O、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基であることが好ましく、O又はNOR’基であることがより好ましく、Oであることが特に好ましい。
【0186】
前記式(35)中、WはO又はNR’基を表し、NR’であることが好ましく、NPh基(Phはフェニル基を表す。)であることがより好ましい。
前記式(36)中、ZはS又はNR’基を表し、Sであることが好ましい。
【0187】
前記式(30)〜式(37)中、R’はアリール基又はヘテロアリール基を表し、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数1〜20のヘテロアリール基であることが好ましく、炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
【0188】
前記式(30)〜式(37)中、R6におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。
前記式(30)〜式(37)中、R6におけるアルキル基及びアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。
前記式(30)〜式(37)中、R6におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
6におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0189】
6におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基、フェノキシエチル基、メチルチオエチル基、フェニルチオエチル基、エトキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルエチル基、ジメチルアミノカルボニルエチル基が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
【0190】
前記式(30)〜式(37)中、R6におけるアルキルオキシ基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜30のアルキルオキシ基であることが好ましい。
6におけるアルキルオキシ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0191】
6におけるアルキルオキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基、メチルチオエチルオキシ基、フェニルチオエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、フェノキシカルボニルエチルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルエチルオキシ基が挙げられる。
これらの中でも、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、又は、エトキシエチルオキシ基が好ましい。
前記式(30)〜式(37)中、R6におけるアミノスルホニル基としては、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、メチルフェニルアミノスルホニル基、アミノスルホニル基が挙げられる。
前記式(30)〜式(37)中、R6におけるアルコキシスルホニル基としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロピルオキシスルホニル基、ブチルオキシスルホニル基が挙げられる。
【0192】
前記式(30)〜式(33)中、mは0〜6の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
また、前記式(34)〜式(37)中、Lは0〜4の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
更に、現像寛容度の観点からは、m又はLが1であり、かつR6がアルコキシ基であることが特に好ましい。
【0193】
また、前記式(30)〜式(37)で表されるオキシムスルホネート化合物は、下記式(38)〜(49)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることがより好ましい。
【0194】
【化31】

(式(38)〜式(49)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、R7は水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、XはO又はSを表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、WはO又はNR’基を表し、ZはS又はNR’基を表し、R’はアリール基又はヘテロアリール基を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【0195】
式(38)〜式(49)におけるR1、R6、Y、W、Z、R’、m及びLは、前記式(30)〜式(37)におけるR1、R6、Y、W、Z、R’、m及びLと同義であり、好ましい態様も同様である。
前記式(42)〜式(45)、式(48)又は式(49)におけるR7は水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが更に好ましい。
前記式(38)〜式(45)又は式(49)におけるXは、O又はSを表し、Oであることが特に好ましい。
【0196】
また、前記式(30)〜式(37)で表されるオキシムスルホネート化合物は、下記式(50)〜(55)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることが更に好ましい。
【0197】
【化32】

(式(50)〜式(55)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、XはO又はSを表し、WはO又はNR’基を表し、ZはS又はNR’基を表し、R’はアリール基を表す。)
【0198】
式(50)〜式(55)におけるR1、W及びZは、前記式(30)〜式(37)におけるR1、W及びZと同義であり、好ましい態様も同様である。
前記式(52)又は式(53)におけるR7は、水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
前記式(50)〜式(55)におけるR8は、水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、水素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましく、水素原子又はメトキシ基であることが更に好ましい。
前記式(50)〜式(52)におけるXは、O又はSを表し、Oであることが特に好ましい。
前記式(53)〜式(55)中、R’はアリール基を表し、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
【0199】
更に、前記式(30)〜式(37)で表されるオキシムスルホネート化合物は、下記式(56)〜(60)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることが特に好ましい。
【0200】
【化33】

(式(56)〜式(60)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R9は水素原子、臭素原子又はアルコキシ基を表し、R10は水素原子又はアルコキシ基を表し、R11は水素原子又は塩素原子を表す。)
【0201】
式(56)〜式(60)におけるR1は、前記式(30)〜式(37)におけるR1と同義であり、好ましい態様も同様である。
前記式(59)におけるR7は、水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
前記式(56)におけるR9は、水素原子、臭素原子又はアルコキシ基を表し、水素原子、臭素原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、臭素原子又は炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましく、水素原子又は臭素原子であることが更に好ましい。
前記式(57)又は式(58)におけるR10は、水素原子又はアルコキシ基を表し、水素原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましく、水素原子又はメトキシ基であることが更に好ましい。また、R10は、現像寛容度の観点から、アルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基であることが更に好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。
前記式(59)におけるR11は、水素原子又は塩素原子を表し、塩素原子であることが好ましい。
【0202】
また、前記オキシムスルホネート化合物において、オキシムの立体構造(E,Z)については、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
前記式(1)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、前記例示化合物A−1〜A−16が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0203】
脂環式構造中にヘテロ原子を有する環状ケトオキシムスルホネート化合物としては、
Journal of Pharmaceutical Science, 1976, vol.65, p.397-399
J. Org. Chem., 1969, vol.34, p.3484-3491
Chemische Berichte, 1908, vol.41, p.233
Chemistry of Heterocyclic Compounds (New York, NY, United States), 2005, vol.41, #1, p.98-104
などの公知例があるものの、これらの化合物を酸発生剤として用いた例はなく、また光化学特性に関する知見もなかった。
【0204】
本発明者等が詳細な検討を行った結果、本発明のオキシムスルホネート化合物は、可視光の吸収を有すること、及び、光消色性を有することを見いだした。すなわち、本発明のオキシムスルホネート化合物は、機構は定かではないが、露光により酸を発生した後、可視光に対する吸光度が大きく低下するという特異な性質を有することを本発明者等は見いだした。これにより、本発明のオキシムスルホネート化合物は、光酸発生剤として使用した場合、硬化膜の透明性に優れるものと推定される。
【実施例】
【0205】
以下、本実施形態の実施例について詳細に説明するが、これらの実施例に本実施形態が限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
【0206】
<オキシムスルホネート化合物の合成>
〔A−1の合成〕
2−ナフトール(50g)、クロロベンゼン(200mL)の懸濁溶液に塩化アルミニウム(50.9g)、クロロアセチルクロリド(43.1g)を添加し、混合液を40℃に加熱して2時間反応させた。氷冷下、反応液を氷(135g)に滴下し、濃塩酸(65mL)、酢酸エチル(275mL)を添加して分液した。有機層を4N塩酸(200mL)、飽和食塩水(200mL)で洗浄後、有機層に炭酸カリウム(95.7g)を加え、40℃で1時間反応させ、水(150mL)を添加して分液した。有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄し、活性炭(2.5g)を添加して30分撹拌した後、ろ過、濃縮して得られた結晶を、2−プロパノールでリスラリーして、ケトン化合物(60g)を得た。
得られたケトン化合物(3.0g)をテトラヒドロフラン(THF、12mL)に懸濁させ、氷冷下2M塩酸/テトラヒドロフラン溶液(16.3mL)、次いで亜硝酸イソペンチル(2.3g)を滴下した後、室温(25℃、以下についても同様である。)まで昇温して2時間反応させた。反応液を水(100mL)に添加して晶析させ、ろ過、水洗した後、乾燥してケトオキシム化合物(3.3g)を得た。
得られたケトオキシム化合物(2.0g)をアセトン(14mL)に溶解させ、氷冷下でトリエチルアミン(1.4g)、p−トルエンスルホニルクロリド(2.3g)をそれぞれ添加した後、室温まで昇温して1時間反応させた。反応液に水(40mL)を添加して晶析させ、ろ過した後、メタノールでリスラリー、ろ過、乾燥してA−1(2.2g)を得た。
なお、A−1の1H−NMRスペクトル(300MHz、THF−d8)は、δ=8.6(d,1H),8.3(d,1H),8.0(d,1H),7.9(d,2H),7.7(dd,1H),7.6(dd,1H)7.5(d,1H),7.4(d,2H),2.4(s,3H)であった。
【0207】
〔A−2の合成〕
A−1におけるp−トルエンスルホニルクロリドの代わりに1−プロパンスルホニルクロリドを用いた以外は、A−1と同様にしてA−2を合成した。
なお、A−2の1H−NMRスペクトル(300MHz、THF−d8)は、δ=8.7(d,1H),8.4(d,1H),8.0(d,1H),7.7(d,1H),7.6(dd,1H),7.5(d,1H),3.5(t,2H),1.9(qt,2H),1.1(t,3H)であった。
【0208】
〔A−3の合成〕
A−1におけるp−トルエンスルホニルクロリドの代わりに1−ブタンスルホニルクロリドを用いた以外は、A−1と同様にしてA−3を合成した。
なお、A−3の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.7(d,1H),8.3(d,1H),8.0(d,1H),7.8(dd,1H),7.6(dd,1H),7.5(d,1H),3.5(t,2H),1.9(tt,2H),1.5(qt,2H),1.0(t,3H)であった。
【0209】
〔A−4の合成〕
A−1におけるp−トルエンスルホニルクロリドの代わりに1−オクタンスルホニルクロリドを用いた以外は、A−1と同様にしてA−4を合成した。
なお、A−4の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.7(d,1H),8.3(d,1H),7.9(d,1H),7.8(dd,1H),7.6(dd,1H),7.4(d,1H),3.5(t,2H),1.9(tt,2H),1.5(qt,2H),1.4−1.2(m,8H),0.9(t,3H)であった。
【0210】
〔A−5の合成〕
A−1におけるp−トルエンスルホニルクロリドの代わりに1−ヘキサデカンスルホニルクロリドを用いた以外は、A−1と同様にしてA−5を合成した。
なお、A−5の1H−NMRスペクトル(300MHz、THF−d8)は、δ=8.7(d,1H),8.4(d,1H),8.1(d,1H),7.8(dd,1H),7.6(dd,1H),7.5(d,1H),3.5(t,2H),1.9(tt,2H),1.5(qt,2H),1.4−1.2(m,24H),0.9(t,3H)であった。
【0211】
〔A−6の合成〕
A−1におけるp−トルエンスルホニルクロリドの代わりにイソプロピルスルホニルクロリドを用いた以外は、A−1と同様にしてA−6を合成した。
なお、A−6の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.7(d,1H),8.3(d,1H),7.9(d,1H),7.8(dd,1H),7.6(dd,1H),7.4(d,1H),4.0−3.9(m,1H),1.5(d,6H)であった。
【0212】
〔A−7の合成〕
A−4における2−ナフトールの代わりに6−ブロモ−2−ナフトールを用いた以外は、A−4と同様にしてA−7を合成した。
なお、A−7の1H−NMRスペクトル(300MHz、THF−d8)は、δ=8.6(d,1H),8.4(d,1H),8.3(s,1H),7.8(d,1H),7.6(d,1H),3.5(t,2H),1.8(tt,2H),1.5(qt,2H),1.4−1.2(m,8H),0.8(t,3H)であった。
【0213】
〔A−8の合成〕
A−4における2−ナフトールの代わりに7−メトキシ−2−ナフトールを用いた以外は、A−4と同様にしてA−8を合成した。
なお、A−8の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.2(d,1H),8.0(s,1H),7.8(d,1H),7.2(d,1H),7.2(d,1H),4.0(s,3H),3.5(t,2H),1.9(tt,2H),1.5(qt,2H),1.4−1.2(m,8H),0.8(t,3H)であった。
【0214】
〔A−9の合成〕
A−8における1−オクタンスルホニルクロリドの代わりにp−トルエンスルホニルクロリドを用いた以外は、A−8と同様にしてA−9を合成した。
なお、A−9の1H−NMRスペクトル(300MHz、THF−d8)は、δ=8.3(d,1H),8.0(s,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.5(d,2H),7.3(d,1H),7.2(d,1H),4.0(s,3H),2.4(s,3H)であった。
【0215】
〔A−10の合成〕
2,7−ジヒドロキシナフタレン(24.5g)をアセトン(150mL)に懸濁させ、炭酸カリウム(25.4g)、2−エチルヘキシルブロミド(35.4g)、ヨウ化カリウム(7.6g)を順次添加して34時間還流して反応させた。反応液に0.5N塩酸と酢酸エチルを添加して分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過、濃縮して得られた混合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3:1→2:1)で精製して、7−(2−エチルヘキシル)−2−ナフトール(8.9g)を得た。
得られた7−(2−エチルヘキシル)−2−ナフトール(8.9g)に対して、A−9と同様に、環状ケトン化、ケトオキシム化、スルホネート化を行い、A−10を得た。
なお、A−10の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.1(d,1H),8.0−7.9(m,3H),7.7(d,2H),7.6(d,1H),7.6(d,1H),4.0(d,2H),2.4(s,3H),1.8(tt,1H),1.5−1.4(m,4H),1.3−1.2(m,4H),0.9(t,3H),0.8(t,3H)であった。
【0216】
〔A−11の合成〕
1−ナフトール(20.0g)を1−メチル−2−ピロリドン(60mL)に溶解させ、炭酸カリウム(23.0g)、ブロモ酢酸エチル(27.8g)を添加して80℃で7時間反応させた。反応液に1N塩酸(100mL)、酢酸エチル(120mL)を添加して分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮して粗エステル化体を得た。粗エステル化体をエタノール/水の1:1混合液(60mL)に懸濁させ、水酸化ナトリウム(11.1g)を添加して60℃で4時間反応させた。放冷後、反応液に1N塩酸(150mL)を添加し、氷冷下30分撹拌させ、ろ過、水洗した後にメタノール/水混合液でかけ洗い、乾燥させてカルボン酸(26.9g)を得た。
得られたカルボン酸(5.0g)のクロロベンゼン(20mL)懸濁液に、氷冷下オキサリルクロリド(3.8g)、N,N−ジメチルホルムアミド1滴を添加して室温まで昇温後、3時間反応させた。得られた反応混合液に、氷冷下塩化アルミニウム(4.0g)を添加し、室温まで昇温して1時間反応させた後、氷冷下4N塩酸(60mL)、酢酸エチル(50mL)を添加して分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過、濃縮して得られた混合物を、ヘキサン/メタノール混合液でリスラリー、ろ過して、ケトン化合物(3.7g)を得た。
得られたケトン化合物を、A−1と同様にケトオキシム化、オキシムスルホネート化して、A−11を得た。
なお、A−11の1H−NMRスペクトル(300MHz、THF−d8)は、δ=8.3(d,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.7(d,1H),7.7−7.5(m,3H),7.4(d,2H),2.4(s,3H)であった。
【0217】
〔A−12の合成〕
A−11におけるp−トルエンスルホニルクロリドの代わりに1−オクタンスルホニルクロリドを用いた以外は、A−11と同様にしてA−12を合成した。
なお、A−12の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),7.9(d,1H),7.7(d,1H),7.7−7.5(m,3H),3.5(t,2H),1.9(tt,2H),1.5(qt,2H),1.4−1.2(m,8H),0.8(t,3H)であった。
【0218】
〔A−13の合成〕
A−12における1−ナフトールの代わりに4−メトキシ−1−ナフトールを用いた以外は、A−12と同様にしてA−13を合成した。
なお、A−13の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.4(d,1H),8.3(d,1H),7.8(dd,1H),7.7(d,1H),6.9(s,1H),4.0(s,3H),3.5(t,2H),1.9(tt,2H),1.5(qt,2H),1.4−1.2(m,8H),0.8(t,3H)であった。
【0219】
〔A−14の合成〕
A−13における1−オクタンスルホニルクロリドの代わりにp−トルエンスルホニルクロリドを用いた以外は、A−13と同様にしてA−14を合成した。
なお、A−14の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.2(d,1H),8.0(d,2H),7.8(dd,1H),7.7(dd,1H),7.4(d,2H),6.8(s,1H),4.0(s,3H),2.5(s,3H)であった。
【0220】
〔A−15の合成〕
4−クロロベンゼンチオール(100g)、クロロベンゼン(100mL)の懸濁溶液に、クロトン酸(59.3g)を添加し、トリエチルアミン(28.9mL)を滴下後、80℃で6時間反応させた。50℃まで冷却後、反応液にN,N−ジメチルアセトアミド(0.1mL)を添加し、塩化チオニル(50.2mL)を滴下して1時間反応させた。反応液を、あらかじめ用意しておいた塩化アルミニウム(96.8g)のクロロベンゼン(200mL)懸濁溶液に、氷冷下滴下し、8℃未満で4時間反応させた。反応液を氷1,000gにあけ、有機層を分離後、水500mLで洗浄し、濃縮し、粗結晶を得た。粗結晶をメタノール(150mL)で再結晶し、ろ過、冷メタノール洗浄により、ケトン化合物(105g)を得た。
得られたケトン化合物を、A−1と同様にケトオキシム化、オキシムスルホネート化して、A−15を得た。
なお、A−15の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.0(s,1H),7.9(d,2H),7.4(d,1H),7.3(d,2H),7.2(d,1H),4.8(q,1H),2.4(s,3H),1.6(d,3H)であった。
【0221】
〔A−16の合成〕
A−1のケトン化合物の代わりに1−フェニルオキシインドールを、p−トルエンスルホニルクロリドの代わりにメタンスルホニルクロリドを用いた以外は、A−1と同様にしてA−16を合成した。
なお、A−16の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.1(d,1H),7.6−7.5(m,3H),7.5(dd,1H),7.4(d,2H),7.2(dd,1H),6.8(d,1H),3.4(s,3H)であった。
【0222】
〔AX−1の合成〕
特開2003−55341号公報に記載の方法と同様な方法により、AX−1を合成した。
【0223】
【化34】

【0224】
【化35】

【0225】
以下の合成例において、以下の符号はそれぞれ以下の化合物を表す。
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
AIBN:2,2’−アゾビスブチロニトリル
GMA:グリシジルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
St:スチレン
DCPM:ジシクロペンタニルメタクリレート
【0226】
<共重合体B−1の合成>
共重合体B−1を以下に示す方法により合成した。
【0227】
〔メタクリル酸1−エトキシエチル(MAEVE)の合成〕
エチルビニルエーテル144.2部(2モル当量)にフェノチアジン0.5部を添加し、反応系中を10℃以下に冷却しながらメタクリル酸86.1部(1モル当量)を滴下後、室温(25℃)で4時間撹拌した。p−トルエンスルホン酸ピリジニウム5.0部を添加後、室温で2時間撹拌し、一夜室温放置した。反応液に炭酸水素ナトリウム5部及び硫酸ナトリウム5部を添加し、室温で1時間撹拌し、不溶物をろ過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の黄色油状物を減圧蒸留して沸点(bp.)43〜45℃/7mmHg留分のメタクリル酸1−エトキシエチル(MAEVE)134.0部を無色油状物として得た。
【0228】
得られたMAEVE(63.28部(0.4モル))、OXE−30(55.27部(0.3モル))、MAA(8.61部(0.1モル))、HEMA(26.03部(0.2モル))及びEDM(110.8部)の混合溶液を窒素気流下、70℃に加熱した。この混合溶液を撹拌しながら、ラジカル重合開始剤V−65(和光純薬工業(株)製、7部)及びEDM(100.0部)の混合溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下が終了してから、70℃で4時間反応させることにより、共重合体B−1のEDM溶液(固形分濃度:40%)を得た。
得られた共重合体B−1のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)は、7,000であった。
なお、溶剤については、減圧留去等、公知の方法により所望の溶剤に変更することもできるし、また、上記EDMの代わりに所望の溶剤を使用してもよい。
【0229】
<共重合体B−2〜B−10の合成>
使用した各モノマー及びその使用量を、下記表1に記載のものに変更した以外は、共重合体B−1の合成と同様にして、共重合体B−2〜B−10をそれぞれ合成した。
なお、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(MATHF)の合成方法は、以下の通りである。
【0230】
〔MATHFの合成〕
メタクリル酸(86g、1mol)を15℃に冷却しておき、カンファースルホン酸(4.6g,0.02mol)添加した。その溶液に、2−ジヒドロフラン(71g、1mol、1.0当量)を滴下した。1時間撹拌した後に、飽和炭酸水素ナトリウム(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、不溶物をろ過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の黄色油状物を減圧蒸留して沸点(bp.)54〜56℃/3.5mmHg留分のメタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(MATHF)125gを無色油状物として得た(収率80%)。
【0231】
<共重合体B’−1の合成>
AIBN(9.0部)を溶解したEDM(459.0部)にSt(22.50部(0.22モル))、MAA(44.50部(0.52モル))、DCPM(56.25部(0.26モル))、GMA(90部(0.63モル))を窒素気流下で攪拌しながら混合し、80℃に昇温して5時間反応させることにより、共重合体B’−1のEDM溶液(固形分濃度:32%)を得た。
【0232】
<共重合体B’−2の合成>
共重合体B’−1におけるGMAの代わりにOXE−30を用いた以外は、共重合体B’−1と同様にして共重合体B’−2を合成した。
【0233】
【表1】

【0234】
表1中の略号は以下の通りである。
MAEVE:メタクリル酸1−エトキシエチル
MACHVE:メタクリル酸1−シクロヘキシルオキシエチル
MATHF:メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル
t−BMA:tert−ブチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
OXE−30:メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(大阪有機化学工業(株)製)
MAA:メタクリル酸
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
St:スチレン
PHS:4−ヒドロキシスチレン
PHSEVE:4−(1−エトキシエチルオキシ)スチレン
PHStBOC:4−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン
CHMI:N−シクロヘキシルマレイミド
DCPM:ジシクロペンタニルメタクリレート
なお、MACHVE及びMATHPEは、前記MAEVE合成のビニルエーテルをそれぞれ、シクロヘキシルビニルエーテル、ジヒドロヒドロピランに変更し合成した。
PHSEVEは、MAEVE合成法のメタクリル酸を4−ヒドロキシスチレンに変更し合成した。
PHStBOCは、4−ヒドロキシスチレンとt−ブトキシカルボン酸無水物とを塩基性条件下で反応させ、抽出後、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製することにより得た。
【0235】
(実施例1)
下記組成となるように各成分を溶解混合し、口径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して、実施例1の感光性樹脂組成物を得た。
・オキシムスルホネート化合物:A−1 2.0部
・成分B:共重合体B−1のポリエチレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記する。)溶液 固形分で100.0部
・増感剤:下記に示すD−1 2.0部
・密着改良剤:下記に示すE−1 0.5部
・界面活性剤:下記に示すF−1 0.02部
・架橋剤:下記に示すG−1 5.0部
・塩基性化合物:下記に示すI−1 0.01部
・塩基性化合物:下記に示すI−2 0.1部
【0236】
(実施例2〜21、並びに、比較例1及び2)
実施例1において用いた各化合物を、表2に記載の化合物に変更した以外は、実施例1と同様の添加量にて溶解混合し、実施例2〜21並びに比較例1及び2の感光性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
なお、実施例15で用いたB’−1及び実施例16で用いたB’−2は、それぞれ固形分で20部、25部添加した。
【0237】
実施例1〜21並びに比較例1及び2に用いた各化合物を示す略号の詳細は、以下の通りである。
AX−2:CGI−1397(下記に示す構造、チバスペシャルティーケミカルズ社製)
C−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C−2:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
D−1:DBA(9,10−ジブトキシアントラセン、下記に示す構造、川崎化成工業(株)製)
D−2:CPTX(1−クロロ−4−プロポキシチオキサンテン−9−オン、下記に示す構造、東京化成工業(株)製)
E−1:KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、下記に示す構造、信越化学工業(株)製)
F−1:下記構造式(W−3)で表されるパーフルオロアルキル基含有ノニオン性界面活性剤
F−2:PolyFox PF−6320(フッ素系界面活性剤、OMNOVA社製)
G−1:JER157S65(架橋剤、ジャパンエポキシレジン(株)製)
I−1:トリフェニルイミダゾール(東京化成工業(株)製)
I−2:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(東京化成工業(株)製)
【0238】
【化36】

【0239】
【化37】

【0240】
【化38】

【0241】
【化39】

【0242】
以上により得られた実施例1〜21、並びに、比較例1及び2の感光性樹脂組成物について、以下に示す各評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0243】
<感度の評価>
ガラス基板(コーニング1737、0.7mm厚(コーニング社製))上に、各感光性樹脂組成物をスリット塗布した後、90℃/120秒ホットプレート上でプリべークして溶剤を揮発させ、膜厚3.0μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
次に、得られた感光性樹脂組成物層を、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用いて、i線をカットしたgh線露光にて、所定のマスクを介して露光した。そして、露光後の感光性組成物層を、アルカリ現像液(0.4重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で23℃/60秒間現像した後、超純水で20秒リンスした。
これらの操作により10μmのラインアンドスペースを1:1で解像する時の最適i線露光量(Eopt)を感度とした。なお、評価基準は下記の通りである。「1」及び「2」が実用上問題のないレベルである。
1:100mJ/cm2未満
2:100mJ/cm2以上150mJ/cm2未満
3:150mJ/cm2以上200mJ/cm2未満
4:200mJ/cm2以上
【0244】
<透明性の評価>
ガラス基板(コーニング1737、0.7mm厚(コーニング社製))上に、各感光性樹脂組成物をスリット塗布した後、90℃/120秒ホットプレート上で加熱により溶剤を除去し、膜厚3.0μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
得られた感光性樹脂組成物層を、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)で積算照射量が300mJ/cm2(照度:20mW/cm2、i線)となるように露光し、その後、この基板をオーブンにて230℃で1時間加熱して硬化膜を得た。
【0245】
この硬化膜を有するガラス基板の光線透過率を分光光度計「150−20型ダブルビーム((株)日立製作所製)」を用いて400〜800nmの範囲の波長で測定した。そのときの最低光線透過率を、透明性の評価として表2に示す。
なお、評価基準は下記の通りである。「1」及び「2」が実用上問題のないレベルである。
1:95%以上
2:90%以上95%未満
3:88%以上90%未満
4:88%未満
【0246】
<現像寛容度の評価>
現像寛容度の評価は、以下に示すように、現像時間を短時間(40秒)から長時間(80秒)に変更したときにコンタクトホール径が変化する量を評価することにより行った。
ガラス基板(コーニング1737、0.7mm厚(コーニング社製))上に、スピンナーを用いて、各感光性樹脂組成物を塗布した後、100℃/60秒ホットプレート上で溶剤を除去して膜厚3.0μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
引き続いて得られた感光性樹脂組成物層を、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を現像液として、23℃で60秒現像後に10μm角のコンタクトホールパターンが得られる露光量(照度:20mW/cm2、i線)で、10μm角のパターン開口部を有するマスクを介して、露光を行った。
露光後の基板を使用し、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を現像液として、23℃で40秒及び80秒のパドル現像をそれぞれ行った。
この時のコンタクトホール径と10μmとの差が0.5μm未満のとき、感光性樹脂組成物の現像時における現像寛容度は良好であるといえる。
1:0.3μm未満
2:0.3μm以上0.5μm未満
3:0.5μm以上
【0247】
【表2】

【0248】
表2に示されるように、本発明の感光性樹脂組成物である実施例1〜21の感光性樹脂組成物は、各比較例との対比において、感度、透明性、及び、現像寛容度を全て満足する優れた結果を与えた。
【0249】
<有機EL表示装置の作製>
薄膜トランジスター(TFT)を用いた有機EL表示装置を以下の方法で作製した(図1参照)。
ガラス基板6上にボトムゲート型のTFT1を形成し、このTFT1を覆う状態でSi34から成る絶縁膜3を形成した。次に、この絶縁膜3に、ここでは図示を省略したコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFT1に接続される配線2(高さ1.0μm)を絶縁膜3上に形成した。この配線2は、TFT1間又は、後の工程で形成される有機EL素子とTFT1とを接続するためのものである。
更に、配線2の形成による凹凸を平坦化するために、配線2による凹凸を埋め込む状態で絶縁膜3上へ平坦化層4を形成した。絶縁膜3上への平坦化膜4の形成は、実施例3の感光性樹脂組成物を基板上にスピン塗布し、ホットプレート上でプリベーク(90℃×2分)した後、マスク上から高圧水銀灯を用いてi線(365nm)を30mJ/cm2
(照度20mW/cm2)照射した後、アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、
230℃で60分間の加熱処理を行った。該感光性樹脂組成物を塗布する際の塗布性は良好で、露光、現像、焼成の後に得られた硬化膜には、しわやクラックの発生は認められなかった。更に、配線2の平均段差は500nm、作製した平坦化膜4の膜厚は2,000nmであった。
【0250】
次に、得られた平坦化膜4上に、ボトムエミッション型の有機EL素子を形成した。まず、平坦化膜4上にITOからなる第一電極5を、コンタクトホール7を介して配線2に接続させて形成した。その後、レジストを塗布、プリベークし、所望のパターンのマスクを介して露光し、現像した。このレジストパターンをマスクとして、ITOエッチャントを用いたウエットエッチングによりパターン加工を行った。その後、レジスト剥離液(モノエタノールアミンとジメチルスルホキシド(DMSO)との混合液)を用いて該レジストパターンを剥離した。こうして得られた第一電極5は、有機EL素子の陽極に相当する。
【0251】
次に、第一電極5の周縁を覆う形状の絶縁膜8を形成した。絶縁膜8には、実施例7の感光性樹脂組成物を用い、前記と同様の方法で形成した。この絶縁膜8を設けることによって、第一電極5とこの後の工程で形成する第二電極との間のショートを防止することができる。
更に、真空蒸着装置内で所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設けた。次いで、基板上方の全面にAlから成る第二電極を形成した。得られた上記基板を蒸着機から取り出し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。
【0252】
以上のようにして、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1が接続してなるアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られた。駆動回路を介して電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し信頼性の高い有機EL表示装置であることが分かった。
【符号の説明】
【0253】
1:TFT(薄膜トランジスター)
2:配線
3:絶縁膜
4:平坦化膜
5:第一電極
6:ガラス基板
7:コンタクトホール
8:絶縁膜
10:液晶表示装置
12:バックライトユニット
14,15:ガラス基板
16:TFT
17:硬化膜
18:コンタクトホール
19:ITO透明電極
20:液晶
22:カラーフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(成分A)式(1)又は式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物、
(成分B)酸により分解しカルボキシル基又はフェノール性水酸基を生成する酸分解性基を有する構成単位を有する樹脂、及び、
(成分C)溶剤、を含有することを特徴とする
感光性樹脂組成物。
【化1】

(式(1)又は式(2)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、Ar1はo−アリーレン基又はo−ヘテロアリーレン基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表す。)
【請求項2】
成分Bが、スチレン誘導体、マレイミド誘導体、(メタ)アクリル酸、及び、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物由来の構成単位を更に有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
成分Bが、カルボキシル基又はフェノール性水酸基と反応して共有結合を形成し得る官能基を有する構成単位を更に有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記酸分解性基が、式(Ia)、式(Ib)、式(IIa)又は式(IIb)で表される基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【化2】

(式中、R3はアルキル基又はシクロアルキル基を表し、R4はアルキル基を表し、R3
4は環を形成してもよく、R5は第三級アルキル基を表し、R5'は第三級アルキル基又はtert−ブトキシカルボニル基を表し、Ar2及びAr3はそれぞれ独立に、二価の芳香族基を表し、波線部分は他の構造との結合箇所を表す。)
【請求項5】
成分Aが、式(3)〜式(8)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【化3】

(式(3)〜式(8)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【請求項6】
成分Aが、下記式(9)〜式(18)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【化4】

(式(9)〜式(18)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、R7は水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、R’はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【請求項7】
成分Aが、下記式(19)〜式(24)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【化5】

(式(19)〜式(24)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、XはO又はSを表し、R’はアルキル基又はアリール基を表す。)
【請求項8】
成分Aが、下記式(25)〜式(29)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【化6】

(式(25)〜式(29)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R9は水素原子、臭素原子又はアルコキシ基を表し、R10は水素原子又はアルコキシ基を表し、R11は水素原子又は塩素原子を表す。)
【請求項9】
下記式(30)〜式(37)のいずれかで表されることを特徴とする
オキシムスルホネート化合物。
【化7】

(式(30)〜式(37)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO、S又はNR’基を表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、WはO又はNR’基を表し、ZはS又はNR’基を表し、R’はアリール基又はヘテロアリール基を表し、nは0又は1を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【請求項10】
下記式(38)〜式(49)のいずれかで表される、請求項9に記載のオキシムスルホネート化合物。
【化8】

(式(38)〜式(49)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、R7は水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、XはO又はSを表し、YはO、S、NR’基、NOR’基、N−OC(R’)2基、N−N(R’)2基、C(R’)2基、N−OCO−N(R’)2基、N−OSO2−OR’基、N−OSO2−SR’基又はN−OSO2−N(R’)2基を表し、WはO又はNR’基を表し、ZはS又はNR’基を表し、R’はアリール基又はヘテロアリール基を表し、mは0〜6の整数を表し、Lは0〜4の整数を表す。)
【請求項11】
下記式(50)〜式(55)のいずれかで表される、請求項10に記載のオキシムスルホネート化合物。
【化9】

(式(50)〜式(55)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、XはO又はSを表し、WはO又はNR’基を表し、ZはS又はNR’基を表し、R’はアリール基を表す。)
【請求項12】
下記式(56)〜式(60)のいずれかで表される、請求項11に記載のオキシムスルホネート化合物。
【化10】

(式(56)〜式(60)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表し、R9は水素原子、臭素原子又はアルコキシ基を表し、R10は水素原子又はアルコキシ基を表し、R11は水素原子又は塩素原子を表す。)
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載のオキシムスルホネート化合物である、光酸発生剤。
【請求項14】
(1)請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する塗布工程、
(2)塗布された感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程、
(3)塗布された感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程、
(4)露光された感光性樹脂組成物を水性現像液により現像する現像工程、及び、
(5)現像された感光性樹脂組成物を熱硬化するポストベーク工程、
を含む硬化膜の形成方法。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物に、光及び熱の少なくとも一方を付与して形成された硬化膜。
【請求項16】
層間絶縁膜である、請求項15に記載の硬化膜。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の硬化膜を具備する有機EL表示装置。
【請求項18】
請求項15又は16に記載の硬化膜を具備する液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−50673(P2013−50673A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189882(P2011−189882)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】