説明

感光性積層体の製造装置及び製造方法

【課題】装置を大型化することなく、基板を短時間で所望の温度まで均一に加熱できるとともに、高品質な感光性積層体を製造することができる感光性積層体の製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス基板24は、第1加熱機構104を構成するホットプレート110a、110bにより、第1加熱温度まで均一且つ迅速に加熱された後、基板供給機構108により第2加熱機構106a、106bに供給され、搬送部134a、134bにより搬送されながら、赤外線ヒータ136a〜136dにより第2加熱温度よりも低い第2加熱温度で加熱保持された後、貼り付け機構46を構成するゴムローラ80a、80b間に長尺状感光性ウエブ22とともに供給され、ガラス基板24に感光性樹脂層28が圧着されることで、感光性積層体24bが製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上に感光材料層を形成してなる長尺状感光性ウエブを、加熱された一対の圧着ローラ間に基板とともに送り出し、前記感光材料層を前記基板に貼り付けることで感光性積層体を製造する感光性積層体の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶パネル用基板、プリント配線用基板、PDP用基板は、感光性樹脂層(感光材料層)を有する感光性シート体(感光性ウエブ)を基板表面に貼り付けて構成される。感光性シート体は、例えば、可撓性プラスチック支持体上に感光性樹脂層と保護フイルムとが順に積層されている。
【0003】
図8は、感光性シート体の貼り付けに使用される製造装置1の概略構成を示す(特許文献1参照)。製造装置1では、感光性ウエブロール2から引き出されて保護フイルムが剥離された感光性ウエブ3が圧着ローラ4a、4b間に供給されるとともに、遠赤外線ヒータ5等を備えた基板加熱部6によって所定温度に加熱された基板7が圧着ローラ4a、4b間に供給される。圧着ローラ4a、4bによって加熱圧着された感光性ウエブ3及び基板7は、冷却部8で冷却され、カッタ9により基板7間の感光性ウエブ3が切断分離された後、フイルムチャック10によって支持体が感光材料層から剥離されることで、感光性積層体が製造される。
【0004】
【特許文献1】特開平8−183146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、以上のようにして製造される感光性積層体は、基板加熱部6において基板7が適切な加熱温度に調整されていないと、感光材料層と基板7との間に気泡が混入したり、感光材料層に皺が発生してしまうことがある。
【0006】
図9及び図10は、基板加熱部6によって加熱される基板7の温度の測定点A1〜A4、X1〜X3と、各測定点A1〜A4、X1〜X3で測定した温度の時間的変化とを示す。基板7の周縁部側の測定点A1〜A4では、遠赤外線ヒータ5から基板7に供給される熱量が測定点X1〜X3に供給される熱量よりも少ないため、基板7上を測定点X1〜X3側から測定点A1〜A4側に熱が伝達することを考慮して遠赤外線ヒータ5の発熱量を設定すると、図10に示すように、測定点A1〜A4では、目標温度に徐々に近づく温度特性となるのに対して、測定点X1〜X3では、一旦目標温度を大きく超えた後、目標温度に徐々に近づく温度特性となる。
【0007】
この場合、基板7の周縁部側における測定点A1〜A4の温度と、中央部側における測定点X1〜X3の温度との温度差ΔTirが許容範囲内となるように小さくし、基板7の全面を略均一な温度分布からなる目標温度に近づけるためには、基板7の加熱時間を十分に長く設定する必要がある。
【0008】
しかしながら、加熱時間を十分に確保しようとすると、感光性積層体の製造に要する時間が長くなってしまい、生産性の低下を惹起してしまう。一方、基板7の搬送方向に対して基板加熱部6を長尺に構成すれば、加熱時間を確保することが可能となるが、この場合、装置が大型になってしまい、設備コストが上昇する不具合が生じてしまう。
【0009】
本発明は、このような不具合に鑑みてなされたものであり、装置を大型化することなく、基板を短時間で所望の温度まで均一に加熱できるとともに、高品質な感光性積層体を製造することができる感光性積層体の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、支持体上に感光材料層を形成してなる長尺状感光性ウエブを、加熱された一対の圧着ローラ間に基板とともに送り出し、前記感光材料層を前記基板に貼り付けることで感光性積層体を製造する感光性積層体の製造装置において、
前記一対の圧着ローラの前段に配設され、前記基板を所定の加熱温度に調整して前記圧着ローラ間に供給する基板加熱部を備え、
前記基板加熱部は、
第1加熱手段を前記基板の全面に接触させ、前記基板を第1加熱温度まで加熱する第1加熱機構と、
前記第1加熱温度まで加熱された前記基板を、第2加熱手段により非接触状態で第2加熱温度に加熱保持し、搬送手段により前記圧着ローラ間に搬送する第2加熱機構と、
前記第1加熱機構から前記第2加熱機構に前記基板を供給する基板供給機構と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、支持体上に感光材料層を形成してなる長尺状感光性ウエブを、加熱された一対の圧着ローラ間に基板とともに送り出し、前記感光材料層を前記基板に貼り付けることで感光性積層体を製造する感光性積層体の製造方法において、
第1加熱手段を前記基板の全面に接触させ、前記基板を第1加熱温度まで加熱するステップと、
前記第1加熱温度まで加熱された前記基板を、第2加熱手段により非接触状態で第2加熱温度に加熱保持するステップと、
前記第2加熱温度に加熱保持された前記基板を前記圧着ローラ間に搬送するステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、第1加熱手段を基板の全面に接触させることにより、基板を迅速に均一な温度まで加熱することができる。次いで、第2加熱手段により非接触状態で基板を加熱保持して圧着ローラ間に搬送することにより、所望の加熱状態にある基板に対して感光材料層を貼り付け、高品質な感光性積層体を製造することができる。この場合、第1加熱手段により基板の温度を迅速に加熱することができるため、第2加熱手段を構成する第2加熱機構を大型に構成する必要がなく、設備コストを低減させることができるとともに、感光性積層体の生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本実施形態に係る感光性積層体の製造装置20の概略構成図であり、この製造装置20は、液晶又は有機EL用カラーフィルタ等の製作工程で、所定の幅寸法からなる長尺状感光性ウエブ22の感光性樹脂層28(後述する)をガラス基板24に熱転写(ラミネート)する作業を行う。
【0014】
図2は、製造装置20に使用される長尺状感光性ウエブ22の断面図である。この長尺状感光性ウエブ22は、可撓性ベースフイルム(支持体)26と、感光性樹脂層(感光材料層)28と、保護フイルム30とを積層して構成される。
【0015】
図1に示すように、製造装置20は、長尺状感光性ウエブ22をロール状に巻回した感光性ウエブロール23を収容し、感光性ウエブロール23から前記長尺状感光性ウエブ22を送り出し可能なウエブ送り出し機構32と、送り出された長尺状感光性ウエブ22の保護フイルム30及び感光性樹脂層28の幅方向に切断可能な2個所の境界部分であるハーフカット部位(加工部位)34a、34b(図2参照)を形成する加工機構36と、一部に非接着部38aを有する接着ラベル38(図3参照)を保護フイルム30に接着させるラベル接着機構40とを備える。
【0016】
ラベル接着機構40の下流には、長尺状感光性ウエブ22をタクト送りから連続送りに変更するためのリザーバ機構42と、長尺状感光性ウエブ22から保護フイルム30を所定の長さ間隔で剥離させる剥離機構44と、ガラス基板24を所定の温度に加熱する第1加熱機構104と、第1加熱機構104で加熱されたガラス基板24を、加熱保持した状態で貼り付け位置に供給する第2加熱機構106a、106bと、ガラス基板24を第1加熱機構104から第2加熱機構106aに供給する基板供給機構108と、前記保護フイルム30の剥離により露出した感光性樹脂層28を前記ガラス基板24に一体的に貼り付ける貼り付け機構46とが配設される。なお、第1加熱機構104及び第2加熱機構106a、106bは、基板加熱部を構成する。
【0017】
貼り付け機構46における貼り付け位置の上流近傍には、ハーフカット部位34a、34bを含む長尺状感光性ウエブ22の画像を撮影する撮影部47が配設される。製造装置20は、撮影部47によって撮影されたハーフカット部位34a、34bの画像に基づき、貼り付け機構46に対するハーフカット部位34a、34bの位置ずれ量を算出し、長尺状感光性ウエブ22の送り量の補正を行う。
【0018】
ウエブ送り出し機構32の下流近傍には、略使用済みの長尺状感光性ウエブ22の後端と、新たに使用される長尺状感光性ウエブ22の先端とを貼り付ける貼り付け台49が配設される。貼り付け台49の下流には、感光性ウエブロール23の巻きずれによる幅方向のずれを制御するために、フイルム端末位置検出器51が配設される。ここで、フイルム端末位置調整は、ウエブ送り出し機構32を幅方向に移動させて行うが、ローラを組み合わせた位置調整機構を付設して行ってもよい。
【0019】
加工機構36は、ウエブ送り出し機構32に収容巻回されている感光性ウエブロール23のロール径を算出するためのローラ対50の下流に配置される。加工機構36は、距離M(図2)だけ離間した一対の丸刃52a、52bを備える。丸刃52a、52bは、長尺状感光性ウエブ22の幅方向に走行して、保護フイルム30の残存部分30bを挟んだ所定の2個所の位置にハーフカット部位34a、34bを形成する。なお、残存部分30bの前後の保護フイルム30は、保護フイルム30が剥離される剥離部分30aである。
【0020】
図2に示すように、ハーフカット部位34a、34bは、少なくとも保護フイルム30及び感光性樹脂層28を切断する必要があり、実際上、可撓性ベースフイルム26まで切り込むように丸刃52a、52bの切り込み深さが設定される。丸刃52a、52bは、回転することなく固定された状態で、長尺状感光性ウエブ22の幅方向に移動してハーフカット部位34a、34bを形成する方式や、前記長尺状感光性ウエブ22上を滑ることなく回転しながら前記幅方向に移動して前記ハーフカット部位34a、34bを形成する方式が採用される。このハーフカット部位34a、34bは、丸刃52a、52bに代替して、例えば、レーザ光や超音波を用いたカット方式の他、ナイフ刃、押し切り刃(トムソン刃)等で形成する方式を採用してもよい。
【0021】
ハーフカット部位34a、34bは、感光性樹脂層28をガラス基板24に貼り付けた際、例えば、前記ガラス基板24の両端部からそれぞれ10mmずつ内側に入り込んだ位置となるように設定される。なお、ガラス基板24間の保護フイルム30の残存部分30bは、後述する貼り付け機構46において感光性樹脂層28を前記ガラス基板24に額縁状に貼り付ける際のマスクとして機能するものである。
【0022】
ラベル接着機構40は、ガラス基板24間に対応して保護フイルム30の残存部分30bを残すため、ハーフカット部位34b側の剥離部分30aとハーフカット部位34a側の剥離部分30aとを連結する接着ラベル38を供給する。
【0023】
図3に示すように、接着ラベル38は、短冊状に構成されており、例えば、保護フイルム30と同一の樹脂材で形成される。接着ラベル38は、中央部に粘着剤が塗布されない非接着部(微粘着を含む)38aを有するとともに、この非接着部38aの両側、すなわち、前記接着ラベル38の長手方向両端部に、前方の剥離部分30aに接着される第1接着部38bと、後方の剥離部分30aに接着される第2接着部38cとを有する。
【0024】
図1に示すように、ラベル接着機構40は、最大7枚の接着ラベル38を所定間隔ずつ離間して貼り付け可能な吸着パッド54a〜54gを備えるとともに、前記吸着パッド54a〜54gによる前記接着ラベル38の貼り付け位置には、長尺状感光性ウエブ22を下方から保持するための受け台56が昇降自在に配置される。
【0025】
リザーバ機構42は、上流側の長尺状感光性ウエブ22のタクト搬送と、下流側の前記長尺状感光性ウエブ22の連続搬送との速度差を吸収するために、矢印方向に揺動自在なダンサーローラ60を備える。
【0026】
リザーバ機構42の下流に配置される剥離機構44は、長尺状感光性ウエブ22の送り出し側のテンション変動を遮断し、ラミネート時のテンションを安定化させるためのサクションドラム62を備える。サクションドラム62の近傍には、剥離ローラ63が配置されるとともに、この剥離ローラ63を介して長尺状感光性ウエブ22から鋭角の剥離角で剥離される保護フイルム30は、残存部分30bを除いて保護フイルム巻き取り部64に巻き取られる。
【0027】
剥離機構44の下流側には、長尺状感光性ウエブ22にテンションを付与可能なテンション制御機構66が配設される。テンション制御機構66は、シリンダ68の駆動作用下にテンションダンサー70が揺動変位することにより、長尺状感光性ウエブ22のテンションが調整可能である。なお、テンション制御機構66は、必要に応じて使用すればよく、削除することもできる。
【0028】
第1加熱機構104は、上下2段で構成されるホットプレート110a、110bを備える。図4に示すように、ホットプレート110a、110bは、ホットプレート駆動源112から供給される電力によって所定温度(第1加熱温度)に均一加熱される基板載置面114を有する。基板載置面114には、基板ガイド116a〜116dによって位置決めされた状態でガラス基板24が載置される。また、基板載置面114には、ガラス基板24を基板載置面114に吸着し、また、吸着を解除するための複数の孔部118が形成される。孔部118には、管路120を介してエア供給源128及び真空ポンプ130が接続される。管路120とエア供給源128との間、及び、管路120と真空ポンプ130との間には、エア供給源128及び真空ポンプ130の接続状態を切り替えるためのバルブ132a、132bが連結される。
【0029】
基板供給機構108は、第1加熱機構104のホットプレート110a、110bに載置されているガラス基板24を保持し、図1の矢印θ方向に旋回して、ガラス基板24を第2加熱機構106aに供給するハンドリングロボットにより構成される。
【0030】
第2加熱機構106a、106bは、ガラス基板24を搬送して貼り付け機構46のゴムローラ80a、80b間に供給する搬送部134a、134bと、搬送部134a、134bの上下の配設され、ガラス基板24を非接触状態で加熱する赤外線ヒータ136a〜136dとを備える。なお、赤外線ヒータ136a〜136dに代えて、遠赤外線ヒータ、ニクロム線ヒータ、熱風ヒータ等を用いてもよい。
【0031】
貼り付け機構46は、上下に配設されるとともに、所定温度に加熱されるゴムローラ(圧着ローラ)80a、80bを備える。ゴムローラ80a、80bには、バックアップローラ82a、82bが摺接する。一方のバックアップローラ82bは、ローラクランプ部83を構成する加圧シリンダ84によりゴムローラ80b側に押圧される。
【0032】
ガラス基板24は、貼り付け機構46から矢印Y方向に延在する搬送路を構成する複数の基板搬送ローラ90a〜90dによって搬送される。基板搬送ローラ90b、90c間には、ガラス基板24間の長尺状感光性ウエブ22を切断することで、ガラス基板24に感光材料層が貼り付けられた感光性積層体24aを分離するカッタ機構48が配設される。
【0033】
基板搬送ローラ90dの下流側には、複数の感光性積層体24aを積層した状態でストックするストッカ94が配置されており、このストッカ94には、カッタ機構48により分離された感光性積層体24aがロボット96によって移載される。ストッカ94に隣接して、感光性積層体24aに残存する可撓性ベースフイルム26を保護フイルム30の残存部分30bとともに剥離する剥離部98が配置される。剥離部98は、ガラス基板24を吸着保持する吸着盤102と、吸着盤102によって保持されたガラス基板24に貼り付けられている感光性樹脂層28から可撓性ベースフイルム26を剥離するクランパ100とを有する。クランパ100によって可撓性ベースフイルム26が剥離された感光性積層体24bは、次工程、例えば、露光工程に供給される。
【0034】
なお、以上のように構成される製造装置20では、ウエブ送り出し機構32、加工機構36、ラベル接着機構40、リザーバ機構42、剥離機構44、テンション制御機構66並びに撮影部47が、貼り付け機構46の上方に配置されているが、これとは逆に、前記ウエブ送り出し機構32から前記撮影部47までを前記貼り付け機構46の下方に配置し、長尺状感光性ウエブ22の上下が逆になって感光性樹脂層28をガラス基板24の下側に貼り付ける構成であってもよく、また、長尺状感光性ウエブ22の搬送路を直線状に構成してもよい。
【0035】
製造装置20内は、仕切り壁122を介して第1クリーンルーム124aと第2クリーンルーム124bとに仕切られる。第1クリーンルーム124aには、ウエブ送り出し機構32からテンション制御機構66までが収容され、第2クリーンルーム124bには、撮影部47以降の機構が収容される。第1クリーンルーム124aと第2クリーンルーム124bとは、貫通部126を介して連通する。
【0036】
次に、以上のように構成される製造装置20の動作について、本発明に係る製造方法との関連で説明する。
【0037】
先ず、ウエブ送り出し機構32に取り付けられている感光性ウエブロール23から長尺状感光性ウエブ22が送り出される。長尺状感光性ウエブ22は、加工機構36に搬送される。
【0038】
加工機構36では、丸刃52a、52bが長尺状感光性ウエブ22の幅方向に移動して、前記長尺状感光性ウエブ22を保護フイルム30から感光性樹脂層28乃至可撓性ベースフイルム26まで切り込み、保護フイルム30の残存部分30bの幅Mだけ離間するハーフカット部位34a、34bを形成する(図2参照)。これにより、長尺状感光性ウエブ22には、残存部分30bを挟んで前方の剥離部分30aと後方の剥離部分30aとが設けられる(図2参照)。
【0039】
なお、残存部分30bの幅Mは、長尺状感光性ウエブ22が延びないことを前提として、貼り付け機構46のゴムローラ80a、80b間に供給されるガラス基板24間の距離を基準として設定される。また、幅Mで形成される一組のハーフカット部位34a、34bは、ガラス基板24に貼り付けられる感光性樹脂層28の基準長さの間隔で長尺状感光性ウエブ22に形成される。
【0040】
次いで、長尺状感光性ウエブ22は、ラベル接着機構40に搬送されて、保護フイルム30の所定の貼り付け部位が受け台56上に配置される。ラベル接着機構40では、所定枚数の接着ラベル38が吸着パッド54b〜54gにより吸着保持され、各接着ラベル38が保護フイルム30の残存部分30bを跨いで、前方の剥離部分30aと後方の剥離部分30aとに一体的に接着される(図3参照)。
【0041】
例えば、7枚の接着ラベル38が接着された長尺状感光性ウエブ22は、図1に示すように、リザーバ機構42を介して送り出し側のテンション変動を防いだ後、剥離機構44に連続的に搬送される。剥離機構44では、長尺状感光性ウエブ22の可撓性ベースフイルム26がサクションドラム62に吸着保持されるとともに、保護フイルム30が残存部分30bを残して前記長尺状感光性ウエブ22から剥離される。この保護フイルム30は、剥離ローラ63を介して剥離されて保護フイルム巻き取り部64に巻き取られる(図1参照)。
【0042】
剥離機構44の作用下に、保護フイルム30が残存部分30bを残して可撓性ベースフイルム26から剥離された後、長尺状感光性ウエブ22は、テンション制御機構66によってテンション調整が行われ、次いで、撮影部47において、所定の撮影タイミングでハーフカット部位34a、34bを含む長尺状感光性ウエブ22の画像が撮影される。
【0043】
撮影部47を通過した長尺状感光性ウエブ22は、貼り付け機構46に搬送されることで、ガラス基板24に対する感光性樹脂層28の転写処理(ラミネート)が行われる。この場合、撮影部47によって撮影されたハーフカット部位34a、34bの画像に基づき、貼り付け機構46におけるハーフカット部位34a、34bの位置が調整される。
【0044】
貼り付け機構46では、当初、ゴムローラ80a、80bが離間した状態に設定されており、ゴムローラ80a、80b間の所定位置に長尺状感光性ウエブ22のハーフカット部位34aが位置決めされた状態において、長尺状感光性ウエブ22の搬送が一旦停止される。この状態において、第2加熱機構106bから所定温度に加熱されたガラス基板24が搬送部134bによってゴムローラ80a、80b間に搬入され、ガラス基板24に対する長尺状感光性ウエブ22の貼り付け処理が開始される。
【0045】
ここで、第1加熱機構104、基板供給機構108、第2加熱機構106a、106bによるガラス基板24の加熱処理について説明する。
【0046】
先ず、基板供給機構108は、加熱前のガラス基板24を図示しないコンベア等から取得し、第1加熱機構104を構成するホットプレート110a、110bの基板載置面114に載置する(図4)。この場合、基板載置面114に配設された基板ガイド116a〜116dによってガラス基板24が位置決めされる。基板載置面114にガラス基板24が載置された後、バルブ132bが開成され、管路120及び孔部118を介して真空ポンプ130によるエアの吸引が開始される。この結果、ガラス基板24の全面がホットプレート110a、110bの基板載置面114に接触した状態で位置決め固定される。
【0047】
次いで、ホットプレート駆動源112から供給される電力により、基板載置面114が貼り付け機構46における加熱温度よりも高い第1加熱温度(以下、HP温度という。)まで加熱される。この場合、ガラス基板24は、全面が基板載置面114に密着した状態とされているため、全面がHP温度に均一且つ迅速に加熱される。
【0048】
ガラス基板24がHP温度に加熱された後、バルブ132bが閉成される一方、バルブ132aが開成され、エア供給源128から管路120を介して孔部118に供給されるエアによりガラス基板24の吸着状態が解除される。そして、基板供給機構108は、加熱されたガラス基板24を第1加熱機構104から取り出し、矢印θ方向に旋回することで第2加熱機構106aの搬送部134aに供給する。
【0049】
第2加熱機構106aは、非接触の赤外線ヒータ136a、136bにより、HP温度よりも低くゴムローラ80a、80bでの加熱温度に近い第2加熱温度にガラス基板24を加熱保持しながら、搬送部134aによって第2加熱機構106bに搬送する。第2加熱機構106bは、第2加熱機構106aと同様に、赤外線ヒータ136c、136dによりガラス基板24を第2加熱温度で加熱保持しながら、搬送部134bによって貼り付け機構46に搬送する。
【0050】
図5は、基板供給機構108が第1加熱機構104から加熱されたガラス基板24を取り出し、180゜旋回してガラス基板24の前後を反転させて第2加熱機構106aに供給する場合において、図9に示す測定点X1及びX3でのガラス基板24の温度と加熱時間との関係を示す。なお、HPは、第1加熱機構104、R/Bは、基板供給機構108、iRは、第2加熱機構106a、106bの各位置にガラス基板24があることを示すものとする。
【0051】
ガラス基板24は、第1加熱機構104のホットプレート110a、110bによりHP温度まで均一且つ迅速に加熱された後、基板供給機構108により第2加熱機構106aに供給されるまでの間、温度が徐々に低下する。次いで、第2加熱機構106aに供給されたガラス基板24は、搬送部134aによって搬送され、測定点X3側の加熱が測定点X1側よりも先に開始される。従って、測定点X3側は、少ない温度低下で第2加熱温度である目標温度に近づく。これに対して、測定点X1側は、第2加熱機構106aに搬入されるまでに要する時間が測定点X3側よりも長いため、温度が目標温度以下まで低下し、その後、第2加熱機構106aに搬入されて加熱されることで徐々に目標温度に近づいていく。
【0052】
この場合、ガラス基板24が第2加熱機構106a、106bから貼り付け機構46に供給される時点において、測定点X1、X3間に温度差ΔT1が残存しているが、ガラス基板24が第1加熱機構104によってHP温度まで予め加熱されているため、第2加熱機構106a、106bによって温度差ΔT1が許容範囲内となるまでに要する時間は短い。従って、ガラス基板24を第2加熱機構106a、106bに長時間滞在させることなく、あるいは、第2加熱機構106a、106bをガラス基板24の搬送方向に沿って長尺に構成することなく、ガラス基板24を所望の目標温度近傍に調整して貼り付け機構46に速やかに供給することができる。
【0053】
なお、図6に示すように、第2加熱機構106aに先に搬入される測定点X3側のHP温度T3よりも、遅れて搬入される測定点X1側のHP温度T1が高くなるように、ホットプレート110a、110bの温度分布を設定することにより、基板供給機構108によるガラス基板24の供給動作中に、測定点X1側の温度が過剰に低下することを回避することができる。この結果、ガラス基板24が貼り付け機構46に供給される時点での測定点X1、X3間の温度差ΔT2を温度差ΔT1よりも小さくし、あるいは、第2加熱機構106a、106bにおける加熱に要する時間を短縮し、さらには、第2加熱機構106a、106bの搬送路長さを短くすることができる。この場合、第2加熱機構106a、106bの一方を省略してもよい。
【0054】
以上のようにして温度調整されたガラス基板24は、貼り付け機構46を構成するゴムローラ80a、80b間に搬入され、ガラス基板24に対する長尺状感光性ウエブ22の貼り付け処理が行われる。
【0055】
そこで、ガラス基板24の先端部がゴムローラ80a、80b間に搬入されると、加圧シリンダ84の作用下にバックアップローラ82b及びゴムローラ80bが上昇し、ゴムローラ80a、80b間にガラス基板24及び長尺状感光性ウエブ22が所定のプレス圧力で挟み込まれる。なお、ゴムローラ80a、80bは、所定のラミネート温度に加熱されている。
【0056】
次いで、ゴムローラ80a、80bが回転し、ガラス基板24及び長尺状感光性ウエブ22が矢印Y方向に搬送される。この場合、貼り付け機構46に供給されるガラス基板24は、第2加熱機構106b側において、許容される温度差の範囲内で略均一な温度に加熱されている。従って、感光性樹脂層28とガラス基板24との間に気泡が混入したり、感光性樹脂層28に皺が発生してしまうことがなく、良好な状態で感光性樹脂層28が加熱溶融されてガラス基板24に転写(ラミネート)される。
【0057】
なお、ラミネート条件としては、速度が1.0m/min〜10.0m/min、ゴムローラ80a、80bの温度が80℃〜150℃、前記ゴムローラ80a、80bのゴム硬度が40度〜90度、該ゴムローラ80a、80bのプレス圧(線圧)が50N/cm〜400N/cmである。
【0058】
ガラス基板24に対して長尺状感光性ウエブ22の一枚分のラミネートが終了すると、ゴムローラ80a、80bの回転が停止される一方、長尺状感光性ウエブ22がラミネートされたガラス基板24の先端部が基板搬送ローラ90aによりクランプされる。このとき、ゴムローラ80a、80b間の所定位置には、ハーフカット部位34bが配置される。
【0059】
そして、ゴムローラ80bが、ゴムローラ80aから離間する方向に退避してクランプが解除されるとともに、基板搬送ローラ90aの回転が低速で再び開始され、長尺状感光性ウエブ22がガラス基板24にラミネートされた感光性積層体が矢印Y方向に保護フイルム30の残存部分30bの幅Mに対応する距離だけ搬送され、次のハーフカット部位34aがゴムローラ80aの下方付近の所定位置に搬送された後、ゴムローラ80a、80bの回転が停止される。なお、長尺状感光性ウエブ22をハーフカット部位34a、34b間だけ搬送する処理を、以下において「基板間送り」という。
【0060】
一方、前記の状態において、第2加熱機構106bから次なるガラス基板24が貼り付け位置に向かって搬送される。以上の動作が繰り返されることにより、感光性積層体が連続的に製造される。
【0061】
その際、感光性積層体は、それぞれの端部が図2に示す保護フイルム30の残存部分30bによって覆われている。従って、感光性樹脂層28がガラス基板24に転写される際、ゴムローラ80a、80bが前記感光性樹脂層28により汚れることがない。
【0062】
貼り付け機構46によって感光性樹脂層28が貼り付けられたガラス基板24は、貼り付け機構46で長尺状感光性ウエブ22が基板間送りされた後、一旦停止状態にあるとき、基板搬送ローラ90b、90c間に配設されているカッタ機構48によってガラス基板24間の長尺状感光性ウエブ22が切断され、感光性積層体24aとされる。なお、この感光性積層体24aの前後には、残存部分30bの保護フイルム30が残存している。
【0063】
分離された感光性積層体24aは、ロボット96によって一旦ストッカ94に積層される。次いで、ストッカ94に積層された感光性積層体24aは、剥離部98に移載された後、ガラス基板24が吸着盤102によって吸着保持され、端部の可撓性ベースフイルム26がクランパ100によって把持されて感光性積層体24aから剥離されることで、ガラス基板24に感光性樹脂層28のみが貼り付けられた感光性積層体24bが製造される。
【0064】
図7は、他の実施形態である製造装置200の概略構成図である。なお、図1に示す製造装置20と同一の構成要素には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
製造装置200では、貼り付け機構46によって長尺状感光性ウエブ22が貼り付けられたガラス基板24が、分断されることなく冷却部202に搬送されて冷却された後、剥離部204に供給される。剥離部204では、プッシャ206によってガラス基板24間の長尺状感光性ウエブ22が上方向に押し上げられることで、保護フイルム30の剥離が容易な状態とされた後、保護フイルム30が感光性樹脂層28から剥離され、巻き取りローラ208により巻き取られる。これにより、ガラス基板24間が分離され、感光性積層体24bが製造される。
【0066】
なお、上述した実施形態では、1本の感光性ウエブロール23から供給される長尺状感光性ウエブ22をガラス基板24に貼り付けることにより、いわゆる、1丁貼りの感光性積層体24bを製造するように構成しているが、例えば、2本の感光性ウエブロールや、3本以上の感光性ウエブロールから長尺状感光性ウエブ22を供給してガラス基板24に貼り付け、いわゆる、2丁貼り、3丁貼り等の感光性積層体24bを製造するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態に係る感光性積層体の製造装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る製造装置に使用される長尺状感光性ウエブの断面図である。
【図3】長尺状感光性ウエブに接着ラベルが接着された状態の説明図である。
【図4】第1加熱機構の構成図である。
【図5】第1加熱機構、基板供給機構及び第2加熱機構間でのガラス基板の温度と時間との関係図である。
【図6】第1加熱機構において所定の温度分布を設定した場合における第1加熱機構、基板供給機構及び第2加熱機構間でのガラス基板の温度と時間との関係図である。
【図7】他の実施形態に係る製造装置の概略構成図である。
【図8】従来技術に係る製造装置の構成図である。
【図9】図8に示す製造装置おいて、基板加熱部によって加熱される基板の温度測定点の説明図である。
【図10】図9に示す各温度測定点における温度と時間との関係図である。
【符号の説明】
【0068】
20、200…製造装置
22…長尺状感光性ウエブ
24…ガラス基板
24a、24b…感光性積層体
26…可撓性ベースフイルム
28…感光性樹脂層
30…保護フイルム
30a…剥離部分
30b…残存部分
34a、34b…加工部位
46…貼り付け機構
80a、80b…ゴムローラ
98、204…剥離部
104…第1加熱機構
106a、106b…第2加熱機構
108…基板供給機構
110a、110b…ホットプレート
134a、134b…搬送部
136a〜136d…赤外線ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に感光材料層を形成してなる長尺状感光性ウエブを、加熱された一対の圧着ローラ間に基板とともに送り出し、前記感光材料層を前記基板に貼り付けることで感光性積層体を製造する感光性積層体の製造装置において、
前記一対の圧着ローラの前段に配設され、前記基板を所定の加熱温度に調整して前記圧着ローラ間に供給する基板加熱部を備え、
前記基板加熱部は、
第1加熱手段を前記基板の全面に接触させ、前記基板を第1加熱温度まで加熱する第1加熱機構と、
前記第1加熱温度まで加熱された前記基板を、第2加熱手段により非接触状態で第2加熱温度に加熱保持し、搬送手段により前記圧着ローラ間に搬送する第2加熱機構と、
前記第1加熱機構から前記第2加熱機構に前記基板を供給する基板供給機構と、
を備えることを特徴とする感光性積層体の製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記第1加熱手段は、ホットプレートからなることを特徴とする感光性積層体の製造装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記第2加熱手段は、赤外線ヒータであることを特徴とする感光性積層体の製造装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記第1加熱温度は、前記第2加熱温度よりも高く設定されることを特徴とする感光性積層体の製造装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、
前記第2加熱温度は、前記一対の圧着ローラの加熱温度近傍に設定されることを特徴とする感光性積層体の製造装置。
【請求項6】
支持体上に感光材料層を形成してなる長尺状感光性ウエブを、加熱された一対の圧着ローラ間に基板とともに送り出し、前記感光材料層を前記基板に貼り付けることで感光性積層体を製造する感光性積層体の製造方法において、
第1加熱手段を前記基板の全面に接触させ、前記基板を第1加熱温度まで加熱するステップと、
前記第1加熱温度まで加熱された前記基板を、第2加熱手段により非接触状態で第2加熱温度に加熱保持するステップと、
前記第2加熱温度に加熱保持された前記基板を前記圧着ローラ間に搬送するステップと、
を有することを特徴とする感光性積層体の製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記第1加熱温度は、前記第2加熱温度よりも高く設定されることを特徴とする感光性積層体の製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
前記第2加熱温度は、前記一対の圧着ローラの加熱温度近傍に設定されることを特徴とする感光性積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−83170(P2009−83170A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252930(P2007−252930)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】