説明

感放射線性樹脂組成物

【課題】化学増幅型レジストとして、放射線に対する透明性が高く、かつ解像度が優れるとともに、ドライエッチング耐性、感度、パターン形状等にも優れるのみならず、微細加工時の現像欠陥発生を抑制し、半導体素子の歩留りを著しく向上させることができる感放射線性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)酸解離性基含有樹脂、
(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、および
(C)分子構造中にシクロデキストリン骨格とフッ素原子とを有し、かつ、1H NMRから算出した平均分子量が6000以下である化合物、
を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レジスト用重合体および感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーに代表される遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用することができる感放射線性樹脂組成物および半導体レジスト用重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、最近では0.20μm以下のレベルでの微細加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされており、そのため、より波長の短い放射線の利用が検討されている。
このような短波長の放射線としては、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、電子線等を挙げることができるが、これらのうち、KrFエキシマレーザー(波長248nm)或いはArFエキシマレーザー(波長193nm)が注目されている。
【0003】
このようなエキシマレーザーによる照射に適したレジストとして、酸解離性官能基を有する成分と、放射線の照射(以下、「露光」という。)により酸を発生する成分(以下、「酸発生剤」という。)と、による化学増幅効果を利用したレジスト(以下、「化学増幅型レジスト」という。)が数多く提案されている。
このレジストは、露光により発生した酸の作用により、重合体中に存在する酸解離性官能基が解離して、該重合体が酸性基を有するようになり、その結果、レジスト被膜の露光領域がアルカリ現像液に易溶性となる現象を利用したものである。
【0004】
従来の化学増幅型レジストは、KrFエキシマレーザーを用いるレジストにはフェノール系重合体が、ArFエキシマレーザーを用いるレジストには脂肪族環を有する(メタ)アクリレート系重合体が多く用いられている(特許文献1参照)。重合体や酸発生剤の選択により、ドライエッチング耐性、感度、解像度、パターン形状等のレジスト性能の向上が図られているが、微細加工の進展とともに、得られる半導体素子の歩留りを悪化させるという理由から、レジストパターン加工時の現像欠陥が近年大きな問題となってきている。そこで、遠紫外線に代表される放射線に対する透明性が高く、しかもドライエッチング耐性、感度、解像度、パターン形状等に優れるのみならず、微細加工時に現像欠陥を生じることがなく、半導体素子を高い歩留りで製造しうる化学増幅型感放射線性樹脂組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−234511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、放射線に対する透明性が高く、感度、解像度等のレジストとしての基本物性に優れるのみならず、微細加工時の現像欠陥発生を低減し、半導体素子を高い歩留りで製造することのできる感放射線性樹脂組成物体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の感放射線性樹脂組成物は
(A)酸解離性基含有樹脂(以下、単に「樹脂(A)」ともいう。)、
(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤(B)」ともいう)、および
(C)分子構造中にシクロデキストリン骨格とフッ素原子とを有し、かつ、1H NMRから算出した平均分子量が6000以下である化合物(以下、「化合物(C)」ともいう)、
を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、化合物(C)が、1分子に対して3重量%以上のフッ素原子を有することが好ましい。
また本発明の感放射線性樹脂組成物は、化合物(C)が、下記式(1)で表される構造を有することが好ましい。
【0009】
【化1】

【0010】
(式(1)において、Rは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜20のアシル基、アラルキル基またはアルケニル基で、Rのうち少なくとも1つが下記式(2)で表される基である。nは6、7または8である。)
【0011】
【化2】

【0012】
(式(2)において、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜20のアシル基、アラルキル基またはアルケニル基を表し、R3は炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基を表す。また、*は結合手を表す。)
【0013】
さらに本発明の感放射線性樹脂組成物は、化合物(C)が、上記式(1)における全Rに対して5%以上が上記式(2)で現される基であることが好ましい。
さらに、本発明の感放射線性樹脂組成物は、重合体(A)の含有量を100重量%とした時に、化合物(C)の含有量が0.01重量%〜20重量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、活性放射線、特に、ArFエキシマレーザー(波長193nm)に代表される遠紫外線に感応する化学増幅型レジストとして、放射線に対する透明性、解像度、感度等のレジスト性能に優れ、現像欠陥低減に極めて効果的であり、今後微細化が進むと予想される半導体デバイスの製造に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0016】
<樹脂(A)>
本発明における樹脂(A)は、酸解離性基、すなわち酸により保護基部分が解離して樹脂のアルカリ可溶性を発現させる基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(A−1)」という。)を必須とし、好ましくは、アルカリ溶解性を高めるためにラクトン骨格または環状エステル構造を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(A−2)」という。)を有する。
繰り返し単位(A−1)は、好ましくは、下記式(3)で表される構造を有する。
【0017】
【化3】

【0018】
(式(3)において、R3 は水素原子またはメチル基であり、R4は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であり、R5 およびR6はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基または炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、または相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。)
【0019】
式(3)における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などを挙げることができる。
炭素数4〜20の脂環式炭化水素基としては、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどのシクロアルカン類に由来する基;ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン等の多環型脂環式炭化水素に由来する基などが挙げられる。これらの基は、上述したアルキル基の1種以上あるいは1個以上で置換した基であってもよい。
【0020】
繰り返し単位(A−1)の形成に用いられる好ましい単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸t−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−イソプロピルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−エチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルプロピルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−エチルプロピルエステル等を挙げることができる。
【0021】
上記樹脂(A)は、酸解離性基を有する繰り返し単位(A−1)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
この繰り返し単位(A−1)の含有率は、樹脂(A)における全繰り返し単位を100モル%とした場合に、通常10〜90モル%、更に好ましくは20〜80モル%である。この繰り返し単位(A−1)の含有率が10モル%未満であると、露光後の現像液の溶解性に悪影響を及ぼし解像性が悪くなる可能性がある。また80モル%以上であると得られるレジストパターンの基板への密着性が不十分となるおそれがある。
【0022】
繰り返し単位(A−2)のうち、ラクトン骨格を有するものとしては、下記式(4−1)〜(4−9)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0023】
【化4】

【0024】
(式中、R4は水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、R〜Rは相互に独立に水素原子、置換あるいは非置換の炭素数1〜4の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、置換あるいは非置換の炭素数1〜4の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基または置換あるいは非置換の炭素数1〜4の直鎖状あるいは分岐状のフッ素化アルキル基を表し、Aは単結合、炭素数1〜4の2価の炭化水素基、−R−O−または−R−COO−を示し(ただし、R8は炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表す)、Xはメチレン基、エチレン基または−O−を表し、p、q、rおよびsは相互に独立に1または2の整数である。)
【0025】
これらの式において、R〜R、後述するRおよびR10で表される炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。炭素数1〜4の直鎖状あるいは分岐状のフッ素化アルキル基としては、上記アルキル基の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換した基が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、水酸基、アミノ基などが好ましい。
【0026】
上記ラクトン骨格を有する繰り返し単位(A−2)を与える好ましい単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.03,8]デカ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−10−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.03,8]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシカルボニル−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシカルボニル−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−エチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−プロピル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2,2−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5,5−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸−3,3−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル等が挙げられる。
【0027】
繰り返し単位(A−2)のうち、環状エステル構造を有するものとしては、下記式(5−1)〜(5−10)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0028】
【化5】

【0029】
(式中、R4は水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、R9およびR10は相互に独立に水素原子、置換あるいは非置換の炭素数1〜4の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、置換あるいは非置換の炭素数1〜4の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基または置換あるいは非置換の炭素数1〜4の直鎖状あるいは分岐状のフッ素化アルキル基を表し、Aは単結合、炭素数1〜4の2価の炭化水素基、−R11−O−または−R11−COO−を示し(ただし、R11は炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表す)、Xはメチレン基、エチレン基または−O−を表し、t、u、vおよびwは相互に独立に0または1の整数である。)
【0030】
樹脂(A)は、この繰り返し単位(A−2)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
この繰り返し単位(A−2)の含有率は、樹脂(A)における全繰り返し単位を100モル%とした場合に、5〜85モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜70モル%、更に好ましくは15〜60モル%である。この繰り返し単位(A−2)の含有率が5モル%未満の場合、現像性、露光余裕が悪化する傾向がある。一方、この含有率が85モル%を超える場合、樹脂(A)の溶剤への溶解性の悪化、解像度の悪化の傾向がある。
【0031】
本発明における樹脂(A)は、繰り返し単位(A−1)および(A−2)以外の繰り返し単位(以下、「その他の繰り返し単位」という。)を1種以上含有していてもよい。
【0032】
その他の繰り返し単位を形成する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−7−イルエステル、(メタ)アクリル酸−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルメチル、(メタ)アクリル酸カルボキシノルボルニル、(メタ)アクリル酸カルボキシトリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸カルボキシテトラシクロウンデカニル等の有橋式炭化水素骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
【0033】
スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、4−(2−t−ブトキシカルボニルエチルオキシ)スチレン2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、2−メチル−3−ヒドロキシスチレン、4−メチル−3−ヒドロキシスチレン、5−メチル−3−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレン、2,4,6−トリヒドロキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)スチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)−α−メチルスチレン、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン、4−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、アセナフチレン、5−ヒドロキシアセナフチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、2−ヒドロキシ−6−ビニルナフタレン、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、1−アントリル(メタ)アクリレート、2−アントリル(メタ)アクリレート、9−アントリル(メタ)アクリレート、9−アントリルメチル(メタ)アクリレート、1−ビニルピレン等の芳香族炭化水素骨格を有する化合物類;
【0034】
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−メトキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−シクロペンチルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−シクロヘキシルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−(4−メトキシシクロヘキシル)オキシカルボニルエチル等の有橋式炭化水素骨格をもたない(メタ)アクリル酸エステル類;
【0035】
α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸n−プロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸n−ブチル等のα−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル等の不飽和ニトリル化合物;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド化合物;N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の他の含窒素ビニル化合物;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸(無水物)類;(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−カルボキシブチル、(メタ)アクリル酸4−カルボキシシクロヘキシル等の不飽和カルボン酸の有橋式炭化水素骨格をもたないカルボキシル基含有エステル類;
【0036】
1,2−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルジメチロールジ(メタ)アクリレート、メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体等を挙げることができる。
本発明における樹脂(A)は、これらのその他の繰り返し単位を、種類を問わず、1種以上含有していてもよい。
【0037】
また、本発明における樹脂(A)は、例えば、所定の各繰り返し単位に対応する重合性不飽和単量体を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより製造することができる。
【0038】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記重合における反応温度は、通常、40〜150℃、好ましくは50〜120℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
【0039】
また、本発明における樹脂(A)のGPC法によるMwは、特に限定されないが、好ましくは1,000〜100,000、更に好ましくは1,000〜30,000、更に好ましくは1,000〜20,000である。この樹脂(A)のMwが1,000未満では、レジストとした際の耐熱性が低下する傾向がある。一方、このMwが100,000を超えると、レジストとした際の現像性が低下する傾向にある。
また、樹脂(A)のMwとGPC法によるMnとの比(Mw/Mn)は、通常1〜5であり、好ましくは1〜3である。
【0040】
また、樹脂(A)においては、この樹脂(A)を調製する際に用いられる単量体由来の低分子量成分の含有量が固形分換算にて、この樹脂100質量%に対して0.1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.07質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下である。この含有量が0.1質量%以下である場合には、液浸露光時に接触した水等の液浸露光用液体への溶出物の量を少なくすることができる。更に、レジスト保管時にレジスト中に異物が発生することがなく、レジスト塗布時においても塗布ムラが発生することなく、レジストパターン形成時における欠陥の発生を十分に抑制することができる。
上記単量体由来の低分子量成分としては、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマーが挙げられ、Mw500以下の成分とすることができる。このMw500以下の成分は、下記の精製法により除去することができる。また、この低分子量成分の量は、樹脂の高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により分析することができる。
尚、樹脂(A)は、ハロゲン、金属等の不純物の含有量が少ないほど好ましく、それにより、レジストとした際の感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を更に改善することができる。
また、樹脂(A)の精製法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等を挙げることができる。
【0041】
また、本発明において、樹脂(A)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
<酸発生剤(B)>
本発明における酸発生剤(B)は、露光等の放射線照射により酸を発生するものであり、露光により発生した酸の作用によって、樹脂成分中に存在する繰り返し単位(A−1)が有する酸解離性基を解離させ(保護基を脱離させ)、その結果レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のレジストパターンを形成する作用を有するものである。
このような酸発生剤(B)としては、下記式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6)」ともいう)を含むものが好ましい。
【0043】
【化6】

【0044】
(式中、R12は水素原子、フッ素原子、水酸基、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、または炭素原子数2〜11の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシカルボニル基を示し、R13は炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基若しくはアルコキシル基、または炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルカンスルホニル基を示し、R14は相互に独立に炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基または置換基されていてもよいナフチル基を示すか、或いは2個のR14が互いに結合して炭素原子数2〜10の2価の基を形成しており、kは0〜2の整数であり、Xは式:R152nSO、R15SO(式中、R15は、フッ素原子または置換されていてもよい炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数である。)、または、下記式(7−1)若しくは(7−2)で表されるアニオンを示し、jは0〜10の整数である。)
【0045】
【化7】

【0046】
(式中、R16は、相互に独立して、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のフッ素化アルキル基、または、2つのR16が互いに結合して両者が結合しているS原子とともに炭素数2〜10の環状構造を形成してもよい。)〕
【0047】
式(6)において、R12、R13およびR14で表される炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。これらのアルキル基のなかでも、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
【0048】
また、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等を挙げることができる。これらのアルコキシル基のうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
【0049】
また炭素原子数2〜11の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。これらのアルコキシカルボニル基のうち、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等が好ましい。
【0050】
また、R13の炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルカンスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基、n−ヘプタンスルホニル基、n−オクタンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基n−ノナンスルホニル基、n−デカンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等を挙げることができる。これらのアルカンスルホニル基のうち、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等が好ましい。
【0051】
また、jとしては、0〜2が好ましい。
【0052】
式(6)において、R14の置換されていてもよいフェニル基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−フルオロフェニル基等のフェニル基または炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基で置換されたフェニル基;これらのフェニル基またはアルキル置換フェニル基を、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等の少なくとも一種の基1個以上で置換した基等を挙げることができる。
【0053】
フェニル基およびアルキル置換フェニル基に対する置換基のうち、上記アルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシル基等を挙げることができる。
【0054】
また、上記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
また、上記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0055】
また、上記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
【0056】
また、R14の置換されていてもよいナフチル基としては、例えば、1−ナフチル基、2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、2,3−ジメチル−1−ナフチル基、2,4−ジメチル−1−ナフチル基、2,5−ジメチル−1−ナフチル基、2,6−ジメチル−1−ナフチル基、2,7−ジメチル−1−ナフチル基、2,8−ジメチル−1−ナフチル基、3,4−ジメチル−1−ナフチル基、3,5−ジメチル−1−ナフチル基、3,6−ジメチル−1−ナフチル基、3,7−ジメチル−1−ナフチル基、3,8−ジメチル−1−ナフチル基、4,5−ジメチル−1−ナフチル基、5,8−ジメチル−1−ナフチル基、4−エチル−1−ナフチル基2−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基等のナフチル基または炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基で置換されたナフチル基;これらのナフチル基またはアルキル置換ナフチル基を、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等の少なくとも1種の基1個以上で置換した基等を挙げることができる。
【0057】
また、2個のR14が互いに結合して形成した炭素原子数2〜10の2価の基としては、式(6)中のS原子と共に5員または6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)を形成することが望ましい。
【0058】
また、上記2価の基に対する置換基としては、例えば、上記フェニル基およびアルキル置換フェニル基に対する置換基として例示したヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシル基、アルコキアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
式(6)におけるR14としては、メチル基、エチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2個のR16が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましい。
【0059】
式(6)におけるXが、R152nSOである場合の−C2n−基は、炭素原子数nのパーフルオロアルキレン基であるが、この基は直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。ここで、nは1、2、4または8であることが好ましい。
また、R15における置換されていてもよい炭素原子数1〜12の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、有橋脂環式炭化水素基が好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、ノルボルニル基、ノルボニルメチル基、ヒドロキシノルボルニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
【0060】
また、Xが、上記式(7−1)または(7−2)で表されるアニオンである場合のR16は、互いに独立した、フッ素原子を有し、且つ、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であってよいし、2つのR16が互いに結合して、フッ素原子を有し、且つ、炭素数2〜10の2価の有機基であってもよく、その場合、2価の有機基は置換基を有してもよい。
式(7−1)または(7−2)において、R16が、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である場合、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ドデカフルオロペンチル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
また、R16が、炭素数2〜10の2価の有機基である場合、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフルオロブチレン基、デカフルオロペンチレン基、ウンデカフルオロヘキシレン基等が挙げられる。
【0061】
従って、上記式(6)における好ましいアニオンXとしては、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、パーフルオロ−n−ブタンスルホネートアニオン、パーフルオロ−n−オクタンスルホネートアニオン、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートアニオン、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネートアニオン、下記式(8−1)〜(8−7)で表されるアニオン等が挙げられる。
【0062】
【化8】

【0063】
また、式(6)の好ましい具体例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ−tert−ブチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニル−ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニル−ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0064】
トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ−tert−ブチルフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニル−ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニル−ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、
【0065】
トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ−tert−ブチルフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニル−ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニル−ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、
【0066】
トリフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ−tert−ブチルフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニル−ジフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニル−ジフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、
【0067】
トリフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ−tert−ブチルフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニル−ジフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニル−ジフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、下記式B1〜B15で表される化合物等が挙げられる。
【0068】
【化9】

【0069】
【化10】

【0070】
尚、本発明において、化合物(6)は、一種単独でもまたは2種以上を混合しても使用することができる。
【0071】
また、酸発生剤(B)として使用することのできる、上記化合物(6)以外の感放射線性酸発生剤(以下、「他の酸発生剤」という。)としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物等を挙げることができる。これらの他の酸発生剤としては、例えば、下記のものを挙げることができる。
【0072】
オニウム塩化合物:
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。
オニウム塩化合物の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等を挙げることができる。
【0073】
ハロゲン含有化合物:
ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等を挙げることができる。
ハロゲン含有化合物の具体例としては、フェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1−ナフチルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体や、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン等を挙げることができる。
【0074】
ジアゾケトン化合物:
ジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができる。
ジアゾケトンの具体例としては、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等を挙げることができる。
【0075】
スルホン化合物:
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。
スルホン化合物の具体例としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等を挙げることができる。
【0076】
スルホン酸化合物:
スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、アルキルスルホン酸イミド、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。
スルホン酸化合物の具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリス(トリフルオロメタンスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート等を挙げることができる。
【0077】
これらの他の酸発生剤のうち、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0078】
トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート等が好ましい。
上記他の酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0079】
本発明において、化合物(6)と他の酸発生剤の合計使用量は、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、樹脂(A)100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。この場合、上記合計使用量が0.1質量部未満では、感度および現像性が低下する傾向がある。一方、上記合計使用量が20質量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
また、他の酸発生剤の使用割合は、酸発生剤1と他の酸発生剤との合計100質量%に対して、通常、80質量%以下、好ましくは60質量%以下である。
【0080】
<化合物(C)>
化合物(C)は分子構造中にシクロデキストリン骨格とフッ素原子とを有する化合物であって、レジスト微細加工時の現像欠陥発生を抑制する作用を有する成分である。
化合物(C)は、構造が異なる2種以上の化合物の混合物であってもよく、その平均分子量は、6000以下、好ましくは1000〜4000である。化合物(C)の平均分子量は、H−NMRを用い、シクロデキストリン骨格のプロトンと置換基のプロトンの積分値の比から求められる組成を元に算出して求めることができる。
また、化合物(C)は、1分子に対して3重量%以上のフッ素原子を有することが好ましく、さらに好ましくは10重量%以上である。
【0081】
化合物(C)は、上記式(1)で表される構造を有することが好ましい。上記式(1)においてR、R2で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜10の直鎖および分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐アルキル基を挙げることができる。より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert-ブチル基である。
、R2としてのアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる
、R2としてのアシル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜10のアシル基であり、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、パレリル基等を挙げることができる。
1、R2としてのアラルキル基は、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基が挙げられる。
1、R2としてのアルケニル基は、上記アルキル基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。上記各基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜10)などが挙げられる。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。
nは、6〜8の整数を表す。nが6、7、8の化合物は、それぞれα−、β−、γ−シクロデキストリンである。
【0082】
<窒素含有化合物(D)>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、添加剤として窒素含有化合物(D)が含有されていることが好ましい。窒素含有化合物(D)は、露光により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。このような酸拡散制御剤を配合することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上する。また、レジストとしての解像度が更に向上するとともに、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
【0083】
上記窒素含有化合物(D)としては、例えば、3級アミン化合物、他のアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、およびその他含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
上記3級アミン化合物としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;2,2’,2’’−ニトロトリエタノール等の置換アルキルアミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン、2,4,6−トリ−tert−ブチル−N−メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン等が好ましい。
【0084】
上記他のアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等が好ましい。
【0085】
上記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N−t−ブトキシカルボニルピペリジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が好ましい。
【0086】
上記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が好ましい。
【0087】
上記その他含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチル−1H−イミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン、2,2’:6’,2’’−ターピリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が好ましい。
【0088】
上記窒素含有化合物(D)は、一種単独でもまたは2種以上を混合しても使用することができる。
この酸拡散制御剤[窒素含有化合物(D)]の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、通常、15質量部以下、好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。この場合、酸拡散制御剤の配合量が15質量部を超えると、レジストとしての感度が低下する傾向がある。尚、酸拡散制御剤の配合量が0.001質量部未満であると、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0089】
<溶剤(E)>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、普通、その使用に際して、全固形分濃度が、通常、1〜50質量%、好ましくは1〜25質量%となるように、溶剤に溶解したのち、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
【0090】
上記溶剤(E)としては、例えば、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状若しくは分岐状のケトン類;シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類のほか、
【0091】
n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等を挙げることができる。
【0092】
これらのなかでも、直鎖状若しくは分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、γ−ブチロラクトン等が好ましい。
これらの溶剤(E)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0093】
<添加剤(F)>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、化合物(C)および窒素含有化合物(D)以外にも必要に応じて、脂環族添加剤、界面活性剤、増感剤等の各種の添加剤を配合することができる。
【0094】
上記脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を示す成分である。
このような脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸α−ブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル等のアルキルカルボン酸エステル類や、3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン等を挙げることができる。これらの脂環族添加剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0095】
また、上記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業株式会社製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学株式会社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ株式会社製)、メガファックスF171、同F173(大日本インキ化学工業株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子株式会社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0096】
また、上記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(B)に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示すもので、感放射線性樹脂組成物のみかけの感度を向上させる効果を有する。
このような増感剤としては、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、染料或いは顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和でき、接着助剤を配合することにより、基板との接着性を改善することができる。
更に、上記以外の添加剤としては、アルカリ可溶性樹脂、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0097】
<レジストパターンの形成方法>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、特に化学増幅型レジストとして有用である。上記化学増幅型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、樹脂(A)中の酸解離性基が解離して、カルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、樹脂組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行ったのち、所定のレジストパターンを形成するように、このレジスト被膜に露光する。その際に使用される放射線としては、使用される酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等を適宜選定して使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)或いはKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線が好ましく、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)が好ましい。
また、露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定される。本発明においては、露光後に加熱処理(PEB)を行うことが好ましい。PEBにより、樹脂成分中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行する。このPEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。
【0098】
本発明においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系或いは無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。更に、液浸露光においてレジスト被膜からの酸発生剤等の流出を防止するため、例えば特開2005−352384号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に液浸用保護膜を設けることもできる。尚、これらの技術は併用することができる。
【0099】
次いで、露光されたレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。この現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。上記アルカリ性水溶液の濃度は、通常、10質量%以下である。この場合、アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがあり好ましくない。
【0100】
また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば有機溶媒を添加することもできる。上記有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。この有機溶媒の使用量は、アルカリ性水溶液に対して、100容量%以下が好ましい。この場合、有機溶媒の使用量が100容量%を超えると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
尚、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【実施例】
【0101】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、部は、特記しない限り質量基準である。
【0102】
下記の各合成例における各測定および評価は、下記の要領で行った。
(1)MwおよびMn
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度Mw/Mnは測定結果より算出した。
(2)13C-NMR分析
各樹脂の13C−NMR分析は、日本電子(株)製「JNM−EX270」を用い、測定した。
(3)単量体由来の低分子量成分の量
ジーエルサイエンス製Intersil ODS−25μmカラム(4.6mmφ×250mm)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒アクリロニトリル/0.1%リン酸水溶液の分析条件で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
尚、この成分量の割合(質量%)は、樹脂全体を100質量%とした場合に対する値である。
【0103】
以下、各合成例について説明する。
樹脂(A)の合成に用いた各単量体を式(M−1)〜(M−6)として以下に示す。
【0104】
【化11】

【0105】
合成例1<樹脂(A−1)の合成>
上記単量体(M−1)33.57g(40モル%)、単量体(M−5)10.99g(10モル%)および単量体(M−6)55.44g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチルアゾビスイソブチロニトリル4.10gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、1500gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度300gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(80g、収率80%)。
この重合体はMwが6700、Mw/Mn=1.6、13C-NMR分析の結果、単量体(M−1)、(M−5)、および(M−6)に由来する各繰り返し単位の含有率が40:10:50(モル%)の共重合体であった。この重合体を樹脂(A−1)とする。尚、樹脂(A−1)中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.03質量%であった。
【0106】
合成例2<樹脂(A−2)の合成>
上記単量体(M−2)11.54g(14モル%)、単量体(M−4)39.21g(37モル%)および単量体(M−6)49.25g(49モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチルアゾビスイソブチロニトリル3.98gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、1500gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度300gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(78g、収率78%)。
この重合体はMwが6400、Mw/Mn=1.6、13C-NMR分析の結果、単量体(M−2)、(M−4)、および(M−6)に由来する各繰り返し単位の含有率が14:37:49(モル%)の共重合体であった。この重合体を樹脂(A−2)とする。尚、樹脂(A−2)中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.03質量%であった。
【0107】
合成例3<樹脂(A−3)の合成>
上記単量体(M−1)43.08g(50モル%)および単量体(M−6)56.92g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチルアゾビスイソブチロニトリル4.21gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、1500gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度300gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(83g、収率83%)。
この重合体はMwが7000、Mw/Mn=1.5、13C-NMR分析の結果、単量体(M−1)および(M−6)に由来する各繰り返し単位の含有率が50:50(モル%)の共重合体であった。この重合体を樹脂(A−3)とする。尚、樹脂(A−3)中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.03質量%であった。
【0108】
合成例4<樹脂(A−4)の合成>
上記単量体(M−1)11.30g(15モル%)、単量体(M−4)38.93g(35モル%)および単量体(M−6)49.77g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチルアゾビスイソブチロニトリル3.60gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、1500gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度300gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(81g、収率81%)。
この重合体はMwが5600、Mw/Mn=1.6、13C-NMR分析の結果、単量体(M−1)、(M−4)および(M−6)に由来する各繰り返し単位の含有率が15:35:50(モル%)の共重合体であった。この重合体を樹脂(A−4)とする。尚、樹脂(A−4)中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.03質量%であった。
【0109】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
表1に示す割合で、樹脂(A)、酸発生剤(B)、化合物(C)、含窒素化合物(D)および溶剤(E)を混合し、実施例および比較例における感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0110】
【表1】

【0111】
尚、表1に示す酸発生剤(B)、化合物(C)、含窒素化合物(D)および溶剤(E)の詳細を以下に示す。また、表中、「部」は、特記しない限り質量基準である。
<酸発生剤(B)>
(B−1):トリフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−テトラフルオロ-n-ブタンスルホネート
(B−2):1−(4−ブトキシナフタレン―1―イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−・テトラフルオロ−n−ブタンスルホネート
(B−3):トリフェニルスルホニウム−ノナフルオロ―n―ブタンスルホネート
【0112】
<化合物C>
(C−1):下記式(1’)で表される構造の化合物で全Rのうち33%が下記式(2)で置換された化合物(平均分子量2115)。
(C−2)下記式(1’)で表される構造の化合物で全Rのうち43%が下記式(2)で置換された化合物(平均分子量2394)。
なお化合物(C)の平均分子量は、H−NMRとして日本電子株式会社製「JNM−FX200、500型(500MH)」を用い、シクロデキストリン骨格のプロトンと置換基のプロトンの積分値の比から求めた組成より、算出した。
【0113】
【化12】

【0114】
<含窒素化合物(D)>
(D−1):N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
<溶剤(E)>
(E−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E−2):シクロヘキサノン
(E−3):ガンマ−ブチロラクトン
【0115】
<感放射線性樹脂組成物の評価>
実施例および、比較例の各感放射線性樹脂組成物について、以下のようにの各種評価を行った。これらの評価結果を表2に示す。
【0116】
<感度>
ArF光源にて露光を行う場合、ウェハ表面に膜厚770ÅのARC29(日産化学工業株式会社製)膜を形成したシリコンウェハを用い、各組成物溶液を、基板上にクリーントラックACT8(東京エレクトロン製)を用い、スピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表2に示す条件でPBを行って形成した膜厚0.12μmのレジスト被膜に、ニコン製ArFエキシマレーザー露光装置「S306C」(開口数0.78)を用い、マスクパターン(6%ハーフトーンマスクを使用)を介して露光した。その後、表2に示す条件でクリーントラックACT8(東京エレクトロン製)を用いてPEBを行ったのち、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、マスクにおいて直径0.075μmのラインアンドスペースパターン(1L1S)が直径0.075μmのサイズになるような露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度とした。
【0117】
<解像度>
最適露光量で解像される最小のレジストパターンの寸法(直径)を解像度とした。
【0118】
<EL(露光余裕度)>
ウェハ表面に膜厚770ÅのARC29(日産化学工業株式会社製)膜を形成したシリコンウェハを用い、各組成物溶液を、基板上にクリーントラックACT8(東京エレクトロン製)を用い、スピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表2に示す条件でPBを行って形成した膜厚0.12μmのレジスト被膜に、ニコン製ArFエキシマレーザー露光装置「S306C」(開口数0.78)を用い、マスクパターン(6%ハーフトーンマスクを使用)を介して、所定の露光量にて露光した。その後、で表2に示す条件で、クリーントラックACT8(東京エレクトロン製)を用いてPEBを行ったのち、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターン〔ラインアンドスペースパターン(1L1S、直径0.075μm)〕を形成した。
この際、露光量を45〜65mJ/cmの範囲で、1.0mJ/cmステップで変化させた際における、ラインパターンの大きさをプロットし、その傾きをEL(nm/mJ)とした。
【0119】
<現像欠陥>
ポジ型のレジストパターン〔ラインアンドスペースパターン(1L1S、直径0.075μm)〕の未露光部に発生した現像欠陥を光学顕微鏡により有無および程度を観察し、さらにケー・エル・エー・テンコール(株)製のKLA欠陥検査装置を用いて、下記手順により評価した。KLA欠陥検査装置を用いる評価手順:寸法0.15μm以上の欠陥を検出できるように感度を設定したKLA欠陥検査装置を用い、アレイモードにて観察して、比較用イメージとピクセル単位の重ね合わせにより生じる差異から抽出されるクラスターおよびアンクラスターのウエハー1枚当たりの欠陥総数を測定した。
【0120】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0121】
表2からも明らかなように、本発明の感放射線性樹脂組成物は、化学増幅型レジストとして、放射線に対する透明性が高く、かつ解像度が優れるとともに、ドライエッチング耐性、感度、パターン形状等にも優れるのみならず、微細加工時の現像欠陥発生を抑制し、半導体素子の歩留りを著しく向上させることができ、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体素子の分野において、極めて好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸解離性基含有樹脂、
(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、および
(C)分子構造中にシクロデキストリン骨格とフッ素原子とを有し、かつ、1H NMRから算出した平均分子量が6000以下である化合物、
を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
【請求項2】
(C)化合物が、1分子に対して3重量%以上のフッ素原子を有することを特徴とする、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】
(C)化合物が、下記式(1)で表される構造を有することを特徴とする、請求項1〜2に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(式(1)において、Rは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜20のアシル基、アラルキル基またはアルケニル基で、Rのうち少なくとも1つが下記式(2)で表される基である。nは6、7または8である。)
【化2】

(式(2)において、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜20のアシル基、アラルキル基またはアルケニル基を表し、R3は炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基を表す。また、*は結合手を表す。)
【請求項4】
(C)化合物が、式(1)における全Rに対して5%以上が式(2)で現される基であることを特徴とする、請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
(A)酸解離性基含有樹脂の含有量を100重量%とした時に、(C)化合物の含有量が0.01重量%〜20重量%であることを特徴とする、請求項1〜4に記載の感放射線性樹脂組成物。

【公開番号】特開2010−237563(P2010−237563A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87077(P2009−87077)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】