説明

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに該組成物を用いたレジスト膜及びパターン形成方法

【課題】線幅ラフネス、バブル欠陥抑制、パーティクル抑制、スカム低減の諸性能に優れた感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、(B)下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物を閉環重合して得られる繰り返し単位を少なくとも1種含む樹脂、もしくは、該樹脂から誘導して得られる樹脂、(C)活性光線又は放射線により酸を発生する化合物、及び、(D)溶媒を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関し、具体的にはIC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、更にその他のフォトファブリケーション工程に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、250nm以下、好ましくは220nm以下の遠紫外線又は電子線を露光光源とする場合に好適なポジ型化学増幅レジスト組成物、並びに該組成物を用いたレジスト膜及びパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体のフォトリソグラフィープロセスなどに用いる化学増幅型レジスト組成物などの感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)を光源に用いる場合は、透明性とドライエッチング耐性の観点から、脂環炭化水素基を有する樹脂が用いられている。
そのような樹脂における画像性能(ラフネスや現像欠陥)を改良するため、特定のラクトン構造を含む樹脂が特許文献1、2に開示されている。
【0003】
一方、更なる微細化のため、F2エキシマレーザー(波長157nm)による露光も検討された。この波長域ではArF光源用に用いられているアクリル系樹脂やKrF光源用に用いられていたヒドロキシスチレン系樹脂(PHS)は透明性が欠けていた。
特許文献3では、特定構造のフッ素原子を有する樹脂が、液浸液に対して良好な後退接触角を有していることが記載されている。
【0004】
ArFを光源とする露光についても、更なる波長の短波化による高解像力化を目指して、投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たす、所謂、液浸法が知られている。液浸法はあらゆるパターン形状に対して有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることが可能である。
しかし、化学増幅レジストを液浸露光に適用すると、露光時にレジスト層が液浸液と接触することになるため、レジスト層が変質することや、レジスト層から液浸液に悪影響を及ぼす成分が滲出することが指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−170983号公報
【特許文献2】特開2008−031298号公報
【特許文献3】国際公開第08/120743号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、遠紫外光、EUV、電子線等、特にArFエキシマレーザー光を使用するミクロフォトファブリケ−ション本来の性能向上技術の課題を解決することであり、液浸露光においても線幅ラフネス(LWR)、バブル欠陥抑制、パーティクル抑制、スカム低減の諸性能に優れた感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を提供すること、並びに該組成物を用いたレジスト膜及びパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の連結基を介してラクトン構造を有する繰り返し単位を含む樹脂と、特定のフッ素含有樹脂とを併用することにより上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、以下の構成を有する。
1.
(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、
(B)下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物を閉環重合して得られる繰り返し単位を少なくとも1種含む樹脂、もしくは、該樹脂から誘導して得られる樹脂、
(C)活性光線又は放射線により酸を発生する化合物、及び、
(D)溶媒
を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
式(1)中、
Aは、−COO−で表わされる基(エステル結合)又は−CONH−で表わされる基(アミド結合)を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又はウレア結合を表す。
は、ラクトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、式(1)で表わされる繰り返し単位内における−R−Z−で表わされる構造の繰り返し数であり、1〜5の整数を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
【0011】
【化2】

【0012】
式(2)中、
11〜R16は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の少なくとも一つは、アルキル基、−OR又は−COORである。
17〜R19は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
式(3)中、
20〜R23は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R20〜R23の少なくとも一つは、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORである。
24〜R26は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
式(4)中、
27〜R34は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R27〜R34の少なくとも一つは、アルキル基、−OR又は−COORである。
35〜R37は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
【0013】
2.
活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(C)が、活性光線又は放射線の照射により下記一般式(I)で表される酸を発生する化合物であることを特徴とする、上記1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0014】
【化3】

【0015】
式中、
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、単結合又は二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状構造を有する基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
3.
一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする、上記1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0016】
【化4】

【0017】
式中、
11、R12、R13、R15及びR16は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
17〜R19は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
R’は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rfは、各々独立して、フッ化アルキル基又はフッ化シクロアルキル基を表す。
11は単結合又は2価の連結基を表す。
4.
一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(2−4)で表される化合物であることを特徴とする、上記1〜3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0018】
【化5】

【0019】
式中、
11、R12、R15及びR16は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
17〜R19は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
R”は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
5.
上記1〜4のいずれか1項に記載の活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
6.
上記5に記載のレジスト膜を露光する工程、及び露光した膜を現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
7.
露光が、液浸露光であることを特徴とする上記6に記載のパターン形成方法。
【0020】
本発明は、更に、下記の構成であることが好ましい。
8.
前記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有率が、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、15〜60mol%であることを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
9.
樹脂(B)の含有量が、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜50質量%であることを特徴とする上記1〜4及び8のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、放射線、特にArFエキシマレーザー光を使用した際に、線幅ラフネス(LWR)、バブル欠陥抑制、パーティクル抑制、スカム低減の諸性能に優れた感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、好ましくはポジ型化学増幅レジスト組成物である。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0023】
(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂(A)を含有する。
【0024】
樹脂(A)は、下記一般式(1)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を含有する。
【0025】
【化8】

【0026】
式(1)中、
Aは、−COO−で表わされる基(エステル結合)又は−CONH−で表わされる基を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又はウレア結合を表す。
は、ラクトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、式(1)で表わされる繰り返し単位内における−R−Z−で表わされる構造の繰り返し数であり、1〜5の整数を表す。nは1であることが好ましい。
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
【0027】
のアルキレン基、シクロアルキレン基は置換基を有してよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
【0028】
のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。Rにおけるアルキル基は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメルカプト基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基、アセチル基、プロピオニル基等のアセトキシ基が挙げられる。Rは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
における好ましい鎖状アルキレン基としては炭素数が1〜10の鎖状のアルキレンが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。好ましいシクロアルキレンとしては、炭素数3〜20のシクロアルキレンであり、例えば、シクロヘキシレン、シクロペンチレン、ノルボルニレン、アダマンチレン等が挙げられる。本発明の効果を発現するためには鎖状アルキレン基がより好ましく、メチレン基が特に好ましい。
【0029】
で表されるラクトン構造を有する有機基は、ラクトン構造を有していれば限定されるものではなく、具体例として後述する一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表されるラクトン構造が挙げられ、これらのうち(LC1−4)で表わされる構造が特に好ましい。また、(LC1−1)〜(LC1−17)におけるnは2以下のものがより好ましい。
また、Rは無置換のラクトン構造を有する1価の有機基、或いはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造を有する1価の有機基が好ましく、シアノ基を置換基として有するラクトン構造(シアノラクトン)を有する1価の有機基がより好ましい。
【0030】
ラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(3−1)で表される繰り返し単位がより好ましい。
【0031】
【化9】

【0032】
一般式(3−1)に於いて、
、A、R、Z、及びnは、上記一般式(1)と同義である。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、水酸基又はアルコキシ基を表し、複数個ある場合には2つのRが結合し、環を形成していてもよい。
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
mは、置換基数であって、0〜5の整数を表す。mは0又は1であることが好ましい。
【0033】
のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、がより好ましく、メチル基が最も好ましい。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基を挙げることができる。アルコキシカルボニル基としては炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、アルキル部分がRについてのアルキル基と同様のものが挙げられる。
置換基としてはヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フッ素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
はメチル基、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、シアノ基であることが更に好ましい。
Xのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Xは酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
mが1である場合、Rはラクトンのカルボニル基のα位又はβ位に置換することが好ましく、特にα位に置換することが好ましい。
【0034】
以下に一般式(1)で表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記具体例中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、置換基を有するアルキル基であるヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基を表す。
【0035】
【化10】

【0036】
【化11】

【0037】
【化12】

【0038】
一般式(1)で表わされる繰り返し単位の含有率は、複数種類含有する場合は合計して樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、15〜60mol%が好ましく、より好ましくは20〜60mol%、更に好ましくは30〜50mol%である。
本発明の効果を高めるために、一般式(1)から選ばれる2種以上のラクトン含有繰り返し単位を併用することも可能である。併用する場合には一般式(1)の内、nが1であるラクトン繰り返し単位から2種以上を選択し併用することが好ましい。また、後述の一般式(AII’)においてAbが単結合であるラクトン繰り返し単位と一般式(1)の内、nが1であるラクトン繰り返し単位を併用することも好ましい。
【0039】
樹脂(A)は、一般式(1)で表わされる単位以外にも、ラクトン基を有する繰り返し単位を含有していてもよい。
ラクトン基としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)であり、特定のラクトン構造を用いることでLWR、現像欠陥が良好になる。
【0040】
【化13】

【0041】
ラクトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
【0042】
一般式(1)で表わされる単位以外のラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AII’)で表される繰り返し単位も好ましい。樹脂(A)は、一般式(1)で表される繰り返し単位と一般式(AII′)で表される繰り返し単位との両方を含むことも好ましい。
【0043】
【化14】

【0044】
一般式(AII’)中、
Rbは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rbのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rbのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Abは、単結合を表す。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
【0045】
一般式(1)で表わされる繰り返し単位以外のラクトン基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。具体例中、RxはH,CH,CHOH,又はCFを表す。最適なラクトン基を選択することにより、パターンプロファイル、疎密依存性が良好となる。
【0046】
【化15】

【0047】
本発明の効果を高めるために、一般式(1)から選ばれる2種以上のラクトン繰り返し単位を併用することも可能である。併用する場合には一般式(1)の内、nが1であるラクトン繰り返し単位から2種以上を選択し併用することも好ましい。
【0048】
ラクトン基を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
【0049】
一般式(1)で表わされる繰り返し単位以外のラクトンを有する繰り返し単位の含有率は、複数種類含有する場合は合計して樹脂中の全繰り返し単位に対し、15〜60mol%が好ましく、より好ましくは20〜50mol%、更に好ましくは30〜50mol%である。
【0050】
樹脂(A)は酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂である。
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(酸分解性樹脂)は、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する。
樹脂(A)は好ましくはアルカリ現像液に不溶又は難溶性である。
【0051】
酸分解性基は、アルカリ可溶性基を酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36〜R39、R01及びR02のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロへキセニル基等を挙げることができる。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
【0052】
樹脂(A)が含有し得る、酸分解性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0053】
【化16】

【0054】
一般式(AI)に於いて、
Xaは、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−Rで表わされる基を表す。
は、水酸基又は1価の有機基を表し、前記1価の有機基としては、例えば、炭素数5以下のアルキル基、アシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
Xaは好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx〜Rxの2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
【0055】
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基及びこれらの2つ以上を組み合わせて形成される基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。Tの2価の連結基の総炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましい。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。 Rx〜Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx〜Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx〜Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
【0056】
酸分解性基を有する繰り返し単位の合計としての含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、20〜70mol%が好ましく、より好ましくは30〜50mol%である。
【0057】
好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Rx、Xaは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、極性基を含む置換基を表し、複数存在する場合は各々独立であり、具体的には後述する式(2−1)中のR10におけるものと同様の基を表す。pは0又は正の整数を表す。
【0058】
【化17】

【0059】
【化18】

【0060】
【化19】

【0061】
【化20】

【0062】
樹脂(A)は、一般式(AI)で表される繰り返し単位として、一般式(AI−1)で表される繰り返し単位及び一般式(AI−2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する樹脂であることがより好ましい。
【0063】
【化21】

【0064】
式(AI−1)及び(AI−2)中、
、Rは、各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−Rで表わされる基を表す。Rは水酸基又は1価の有機基を表す。前記1価の有機基としては、例えば、炭素数5以下のアルキル基、アシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
、R、R、Rは、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rは、各々独立して、炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
【0065】
は、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
【0066】
におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。
におけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。
は好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10であり、更に好ましくは1〜5のものであり、例えばメチル基、エチル基が挙げられる。
のアルキル基が更に有していてもよい置換基としては、例えば、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、オキソ基が挙げられ、好ましくは炭素数15以下である。
のシクロアルキル基が更に有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基等)、及びRのアルキル基が更に有していてもよい置換基として前述した基が挙げられ、好ましくは炭素数15以下である。
【0067】
Rが形成する脂環構造としては、好ましくは、単環の脂環構造であり、その炭素数は好ましくは3〜7、より好ましくは5又は6である。
【0068】
は好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
、R、Rにおけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
、R、Rにおけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
【0069】
一般式(AI−2)で表される繰り返し単位が、以下の一般式(2−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0070】
【化22】

【0071】
式(2−1)中、
〜Rは、一般式(AI−2)におけるものと同義である。
10は極性基を含む置換基を表す。R10が複数存在する場合、互いに同じでも異なっていてもよい。極性基を含む置換基としては、例えば、水酸基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミド基又はスルホンアミド基等の極性基、又はこれらを有する、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、好ましくは、水酸基を有するアルキル基である。より好ましくは水酸基を有する分岐状アルキル基である。分岐状アルキル基としてはイソプロピル基が好ましい。
pは0〜15の整数を表す。pは好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0072】
樹脂(A)が酸分解性基を有する繰り返し単位を併用する場合の、好ましい組み合わせとしては、以下に挙げるものが好ましい。
【0073】
【化23】

【0074】
【化24】

【0075】
樹脂(A)は、上記の酸分解性基を有する繰り返し単位及びラクトン構造を有する繰返し単位とは異なる、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を更に有することが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルニル基が好ましい。好ましい水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、モノヒドロキシアダマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、モノヒドロキシジアマンチル基、ジヒドロキシジアマンチル基、シアノ基で置換されたノルボルニル基等が挙げられる。
上記原子団を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0076】
【化25】

【0077】
一般式(VIIa)〜(VIIc)に於いて、
c〜Rcは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、Rc〜Rcの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、Rc〜Rcの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、Rc〜Rcの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
【0078】
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0079】
【化26】

【0080】
一般式(AIIa)〜(AIId)に於いて、
cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
c〜Rcは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於ける、Rc〜Rcと同義である。
【0081】
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
【0082】
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0083】
【化27】

【0084】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有してもよい。アルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフルオロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、更にはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
【0085】
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0〜20mol%が好ましく、より好ましくは3〜15mol%、更に好ましくは5〜10mol%である。
【0086】
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。具体例中、RxはH,CH,CHOH,又はCFを表す。
【0087】
【化28】

【0088】
樹脂(A)は、更に極性基を持たない環状炭化水素構造(好ましくは脂環炭化水素構造)を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。このような繰り返し単位としては、一般式(4)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0089】
【化29】

【0090】
一般式(4)中、Rは少なくとも一つの環状構造を有し、極性基(水酸基、シアノ基等)を有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0091】
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、たとえば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3から12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基など炭素数3から12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3から7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0092】
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環及び、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
【0093】
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
【0094】
これらの環状炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基を挙げることができる。
【0095】
保護基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
また、Rとしては、アリール基又はアラルキル基であってもよい。
アリール基としては炭素数6〜12のものが好ましく、具体的にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。アリール基は更にアルキル基、シクロアルキル基などで置換されていてもよい。
アラルキル基としては、炭素数7〜15のものが好ましく、具体的にはベンジル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。アラルキル基は更にアルキル基、シクロアルキル基などで置換されていてもよい。
【0096】
極性基を持たない環状炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0〜40モル%が好ましく、より好ましくは1〜20モル%である。
極性基を持たない環状炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、水素原子、メチル基、−CHOH、又は−CFを表す。
【0097】
【化30】

【0098】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
【0099】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
これにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
【0101】
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0102】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0103】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0104】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)は実質的に芳香族基を有さない(具体的には、樹脂中、芳香族基を有する繰り返し単位の比率が好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、理想的には0モル%とする)ことが好ましく、樹脂(A)が単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
また、樹脂(A)は、後述する添加樹脂(B)との相溶性の観点から、フッ素原子及び珪素原子を含有しないことが好ましい。
【0105】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50mol%以下であることが好ましい。また、酸分解性基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位20〜50モル%、ラクトン基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位20〜50モル%、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位5〜30モル%、更にその他の(メタ)アクリレート系繰り返し単位を0〜20モル%含む共重合ポリマーであることも好ましい。
【0106】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(EUVなど)を照射する場合には、樹脂(A)は、更に、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくはヒドロキシスチレン系繰り返し単位と、酸分解性基で保護されたヒドロキシスチレン系繰り返し単位、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル等の酸分解性繰り返し単位を有するが好ましい。
【0107】
ヒドロキシスチレン系の好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位としては、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、1−アルコキシエトキシスチレン、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルによる繰り返し単位等を挙げることができ、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート及びジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位がより好ましい。
【0108】
樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、更には後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
【0109】
樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000、更により好ましくは3,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜10,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
分散度(分子量分布)は、通常1〜3であり、好ましくは1〜2.6、更に好ましくは1〜2.1、特に好ましくは1〜2、最も好ましくは1.4〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、パターン形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0110】
樹脂(A)の組成物全体中の含有量は、全固形分中35〜99質量%が好ましく、50〜99質量%がより好ましく、更に好ましくは60〜95質量%である。
また、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0111】
(B)添加樹脂
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、樹脂(A)とは別に、下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物を閉環重合して得られる繰り返し単位を少なくとも1種含む樹脂、もしくは、該樹脂から誘導して得られる樹脂(以下、樹脂(B)とも呼ぶ)を含有する。
【0112】
【化31】

【0113】
式(2)中、
11〜R16は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の少なくとも一つは、アルキル基、−OR又は−COORである。
17〜R19は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
式(3)中、
20〜R23は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R20〜R23の少なくとも一つは、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORである。
24〜R26は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
式(4)中、
27〜R34は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。但し、R27〜R34の少なくとも一つは、アルキル基、−OR又は−COORである。
35〜R37は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
【0114】
11〜R37及びRにおけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよい。また、更に置換基を有していてもよく、例えばカルボニル基で置換されていてアシル基を形成していてもよい。アルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
11〜R37のシクロアルキル基は、単環でも多環でもよい。また、更に置換基を有していてもよく、例えばカルボニル基で置換されていてアシル基を形成していてもよい。炭素数4〜12のシクロアルキル基が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基がより好ましい。
更に有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、オキソ基(=O)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数1〜10)、ビニリデン基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数1〜10)、1価の環状有機基(例えばシクロアルキル基、アリール基、好ましくは炭素数1〜12)、アルコキシ基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数1〜10)、アリーロキシ基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルカルボニル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数2〜10)、アリールカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20)、アルコキシカルボニル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数2〜10)、アリーロキシカルボニル基等(好ましくは炭素数7〜20)を挙げることができ、これらのうちハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基が好ましい。
【0115】
一般式(2)〜(4)で表される化合物は、酸分解性基を含有することが好ましい。酸分解性基は、樹脂(A)におけるものと同義である。
【0116】
一般式(2)で表される化合物は、下記一般式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。
【0117】
【化32】

【0118】
式中、
11、R12、R13、R15〜R19は一般式(2)と同義である。
R’は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基は一般式(2)のR11におけるものと同様のものが挙げられる。より好ましくは、酸の作用により分解し脱離する基を構成するアルキル基である。酸の作用により分解し脱離する基を構成する基は、樹脂(A)におけるものと同義であり、具体的には、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)又は−C(R01)(R02)(OR39)で表される基が好ましい。式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。R01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R36〜R39、R01、R01におけるアルキル基、シクロアルキル基は、具体的には一般式(2)のR11と同様のものが挙げられる。
R’におけるアルキル基及びシクロアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、R11〜R37及びRにおける基が更に有していてもよい置換基と同様のものが挙げられ、例えばアルコキシ基で置換されていることが好ましい。
Rfは、各々独立して、フッ化アルキル基又はフッ化シクロアルキル基(少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基又はシクロアルキル基)を表す。フッ化アルキル基のアルキル基、シクロアルキル基は一般式(2)のR11におけるものと同様のものが挙げられる。
11は単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド基、ウレタン基、又はウレイレン基等、及びこれらの複数を組み合わせた基が挙げられる。
【0119】
一般式(2)で表される化合物は、下記一般式(2−4)で表される化合物であることがより好ましい。
【0120】
【化33】

【0121】
11、R12、R15〜R19は一般式(2)と同義である。
R”は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基は一般式(2)のR11におけるものと同様のものが挙げられる。より好ましくは、酸の作用により分解し脱離する基を構成するアルキル基である。酸の作用により分解し脱離する基を構成する基は、前記R’におけるものと同義である。
【0122】
一般式(3)又は(4)で表される化合物は、それぞれ、下記一般式(3−1)〜(3−3)のいずれか又は(4−1)〜(4−3)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。下記一般式中、R20〜R22、R24〜R29、R31〜R37は一般式(3)、(4)におけるものと同義、L11、Rf、R’は各々一般式(2−1)〜(2−3)におけるものと同義である。
【0123】
【化34】

【0124】
【化35】

【0125】
一般式(2)〜(4)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0126】
【化36】

【0127】
【化37】

【0128】
前記一般式(2)〜(4)で表される化合物は、通常の方法で合成することが出来る。例えば、特開2008−214362号公報、国際公開第2008/120743号パンフレット等に記載の方法で合成したものを使用できる。
【0129】
前記一般式(2)〜(4)で表される化合物は、ラジカル重合等により環構造を形成しながら重合(閉環重合;環化重合ともいう)することが知られており、下記のような繰り返し単位が形成される。具体的には、特開2008−214362号公報の[0045]−[0050]に記載されている方法が好適に使用できる。
【0130】
【化38】

【0131】
【化39】

【0132】
【化40】

【0133】
一般式(2)〜(4)で表される化合物を重合して得られる繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0134】
【化41】

【0135】
【化42】

【0136】
【化43】

【0137】
樹脂(B)は、一般式(2)〜(4)で表される化合物を複数種類使用した共重合体であってもよい。
また、一般式(2)〜(4)由来の繰り返し単位以外に、他の共重合成分を有していてもよい。共重合成分としては、特に限定されず、レジスト組成物等で一般に使用されている通常の重合性モノマーが広く利用することができ、アクリル系モノマーが好ましく、例えば樹脂(A)に記載の各種モノマーや、特開2009−053688号公報に記載の樹脂(HR)に含まれるモノマー等を挙げることが出来る。
他の共重合成分として、好ましい態様を以下に述べる。
樹脂(B)は、更に下記(x)、(y)、(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有していることも好ましい。
(x)アルカリ可溶性基、
(y)アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基、
(z)酸の作用により分解する基。
【0138】
(x)アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。
【0139】
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、更にはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(B)中の全繰り返し単位に対し、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは3〜35mol%、更に好ましくは5〜30mol%である。
【0140】
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。具体例中、RxはH,CH,CHOH,又はCFを表す。
【0141】
【化44】

【0142】
(y)アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基としては、例えば、ラクトン構造を有する基、酸無水物基、酸イミド基などが挙げられ、好ましくはラクトン構造を有する基である。
アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルによる繰り返し単位のように、樹脂の主鎖にアルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)が結合している繰り返し単位、あるいはアルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましい。
アルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(B)中の全繰り返し単位に対し、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは3〜35mol%、更に好ましくは5〜20mol%である。
【0143】
アルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の具体例としては、(A)成分の樹脂で挙げたラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものを挙げることができる。
【0144】
樹脂(B)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、(A)成分の樹脂で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(CAI)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0145】
【化45】

【0146】
一般式(CAI)に於いて、
Xaは、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−Rで表わされる基を表す。Rは、1価の有機基を表し、前記1価の有機基としては、例えば、炭素数5以下のアルキル基、アシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。Xaは好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx〜Rxの2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
【0147】
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基及びこれらの2つ以上を組み合わせて形成される基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。Tの2価の連結基の総炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましい。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。
Rx〜Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx〜Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx〜Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
樹脂(B)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(B)中の全繰り返し単位に対し、1〜80mol%が好ましく、より好ましくは10〜80mol%、更に好ましくは20〜60mol%である。(z)酸の作用により分解する基を有することで、LWRを向上させることができる。
【0148】
樹脂(B)は、更に、その他の繰り返し単位を有していてもよい。その他の繰り返し単位の好ましい態様としては以下が挙げられる。
(cy1)フッ素原子及び/又は珪素原子を有し、且つ酸に対して安定であり、且つアルカリ現像液に対して不溶である繰り返し単位。
(cy2)フッ素原子、珪素原子を有さず、且つ酸に対して安定であり、且つアルカリ現像液に対して不溶である繰り返し単位。
(cy3)フッ素原子及び/又は珪素原子を有し、且つ、前掲の(x)、(z)以外の極性基を有する繰り返し単位。
(cy4)フッ素原子、珪素原子を有さず、且つ、前掲の(x)、(z)以外の極性基を有する繰り返し単位。
【0149】
(cy1)、(cy2)の繰り返し単位における、アルカリ現像液に不溶とは、(cy1)、(cy2)がアルカリ可溶性基や、酸やアルカリ現像液の作用によりアルカリ可溶性基を生じる基(例えば酸分解性基や極性変換基)を含まないことを示す。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)は極性基を持たない脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
【0150】
以下に繰り返し単位(cy1)〜(cy4)の好ましい態様を示す。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)としては、下記一般式(CIII)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0151】
【化46】

【0152】
一般式(CIII)に於いて、
c31は、水素原子、アルキル基、又はフッ素で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Racは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
c32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基を有する基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子で置換されていても良い。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
【0153】
一般式(CIII)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
c32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
c3の2価の連結基は、エステル結合、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基が好ましい。
【0154】
一般式(2)〜(4)で表される化合物由来の繰り返し単位以外のモノマーと共重合する場合は、一般式(2)〜(4)で表される化合物由来の繰り返し単位が、樹脂(B)の全繰り返し単位に対するモル比率で30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0155】
前記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物を閉環重合して得られる繰り返し単位を少なくとも1種含む樹脂から誘導して得られる樹脂としては、一般式(2)〜(4)の何れかの構造を有する化合物から選ばれる少なくとも1種を含む反応液を重合した後、得られた樹脂を何らかの処理によって、化学構造を変化させた樹脂も含む。化学構造の変化としては、樹脂側鎖の官能基に対する保護基の着脱反応が好ましく、水酸基の保護・脱保護反応、カルボキシル基の保護・脱保護反応等が例示できる。保護基としては、Protective Group等の書籍記載のものを例示することが出来る。
保護基は好ましくは酸分解性基を構成する酸の作用により脱離する基が挙げられる。酸分解性基及び脱離する基は、樹脂(A)又は上記式(2−1)〜(2−3)のR’におけるものと同義である。
【0156】
樹脂(B)は、塗布溶媒への溶解性、塗布面状と、膜表面の液浸液に対する後退接触角とを両立する観点から、重量平均分子量が通常500〜500000であり、1000〜100000が好ましく、1500〜50000がより好ましく、2000〜25000が更に好ましく、最も好ましくは、3000〜10000である。
また、解像度、パターン形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲である。
【0157】
樹脂(B)の含有量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.3〜30質量%がより好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましい。
【0158】
(C)活性光線又は放射線により酸を発生する化合物
活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(酸発生剤)としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0159】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号公報、特開昭55−164824号公報、特開昭62−69263号公報、特開昭63−146038号公報、特開昭63−163452号公報、特開昭62−153853号公報、特開昭63−146029号公報等に記載の化合物を用いることができる。
【0160】
さらに米国特許第3,779,778号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0161】
酸発生剤の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0162】
【化47】

【0163】
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、非求核性アニオンを表す。
【0164】
としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
【0165】
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これにより感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の経時安定性が向上する。
【0166】
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
【0167】
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0168】
脂肪族スルホン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基等を挙げることができる。
【0169】
芳香族スルホン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0170】
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基
(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
【0171】
脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位としては、脂肪族スルホン酸アニオンおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
【0172】
芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のアリール基を挙げることができる。
【0173】
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
【0174】
脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよい。脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の置換基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0175】
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
【0176】
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
【0177】
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF)、弗素化硼素(例えば、BF)、弗素化アンチモン(例えば、SbF)等を挙げることができる。
【0178】
の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくは炭素数4〜8のパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
【0179】
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも一つと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0180】
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
【0181】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
【0182】
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
【0183】
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
【0184】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
【0185】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0186】
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0187】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
【0188】
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
【0189】
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
【0190】
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
【0191】
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0192】
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
【0193】
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
【0194】
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0195】
【化48】

【0196】
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、フェニルチオ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基又はビニル基を表す。
【0197】
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。 上記環構造としては、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又は、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環を挙げることができる。環構造としては、3〜10員環を挙げることができ、4〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
【0198】
Zcは、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZと同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
【0199】
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができ、シクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。R6c及びR7cとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
6cとR7cとが結合して環を形成する場合に、R6cとR7cとが結合して形成する基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。また、R6cとR7cとが結合して形成する環は、環内に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
【0200】
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
【0201】
好ましくは、R1c〜R5cの内のいずれかが直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基であり、更に好ましくは、R1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0202】
及びRとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、R1c〜R7cおけるものと同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができ、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
【0203】
2−オキソアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0204】
アルコキシカルボニルアルキル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cおけると同様のアルコキシ基を挙げることができ、アルキル基については、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)を挙げることができる。
アリル基としては、特に制限は無いが、無置換若しくは単環又は多環のシクロアルキル基で置換されたアリル基であることが好ましい。
ビニル基としては特に制限は無いが、無置換若しくは単環又は多環のシクロアルキル基で置換されたビニル基であることが好ましい。
及びRが互いに結合して形成してもよい環構造としては、2価のR及びR(例えば、メチレン基、エチレンキ基、プロピレン基等)が一般式(ZI−3)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられる。
【0205】
及びRは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基又はシクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基又はシクロアルキル基である。
【0206】
化合物(ZI−4)とは、以下の一般式(ZI−4)で表される化合物である。
【0207】
【化49】

【0208】
一般式(ZI−4)中、
13は水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は複数存在する場合は各々独立して、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜10の整数を表す。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZと同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
【0209】
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基)が挙げられ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデカニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクタジエニル、ノルボルニル、トリシクロデカニル、テトラシクロデカニル、アダマンチル等があげられ、特にシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが好ましい。
【0210】
13及びR14のアルコキシ基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等を挙げることができる。これらのアルコキシ基のうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
【0211】
13のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数2〜11のものが好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。これらのアルコキシカルボニル基のうち、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等が好ましい。 R13及びR14のシクロアルキル基を有する基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基)を有する基が挙げられ、例えば、単環若しくは多環のシクロアルキルオキシ基、及び、単環若しくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基等が挙げられる。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキルオキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル基を有することが好ましい。総炭素数7以上の単環のシクロアルキルオキシ基とは、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロドデカニルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基に、任意にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、iso−アミル基等のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する単環のシクロアルキルオキシ基であって、該シクロアルキル基上の任意の置換基と合わせた総炭素数が7以上のものを表す。
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキルオキシ基としては、ノルボルニルオキシ基、トリシクロデカニルオキシ基、テトラシクロデカニルオキシ基、アダマンチルオキシ基等が挙げられる。
13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基であることが好ましい。総炭素数7以上の、単環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、iso−アミルオキシ等のアルコキシ基に上述の置換基を有していてもよい単環シクロアルキル基が置換したものであり、置換基も含めた総炭素数が7以上のものを表す。たとえば、シクロヘキシルメトキシ基、シクロペンチルエトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基等が挙げられ、シクロヘキシルメトキシ基が好ましい。
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基としては、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基、トリシクロデカニルメトキシ基、トリシクロデカニルエトキシ基、テトラシクロデカニルメトキシ基、テトラシクロデカニルエトキシ基、アダマンチルメトキシ基、アダマンチルエトキシ基等が挙げられ、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基等が好ましい。
14のアルキルカルボニル基のアルキル基としては、上述したR13〜R15としてのアルキル基と同様の具体例が挙げられる。
【0212】
14のアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基としては、直鎖状、分岐状、環状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基、n−ヘプタンスルホニル基、n−オクタンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基n−ノナンスルホニル基、n−デカンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等を挙げることができる。これらのアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基のうちメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等が好ましい。 lとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
rとしては、0〜2が好ましい。
【0213】
一般式(ZI−4)において、R13のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、R14のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、R15のアルキル基、シクロアルキル基、2個のR15が互いに結合して形成してもよい環構造は、更に置換基を有していてもよい。
【0214】
前記、R13、R14、R15の各基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基等を挙げることができる。
前記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
これら更に有していてもよい置換基としては、水酸基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、フッ素原子、ハロゲン原子が好ましい。
【0215】
2個のR15が互いに結合して形成してもよい環構造としては、一般式(ZI−4)中の硫黄原子と共に5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)を形成する基が望ましい。また、前記2価の基に対する置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。一般式(ZI−4)におけるR15としては、メチル基、エチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましい。
13のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、R14のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基は、上記のように置換されていてもよく、置換基としては、水酸基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)が好ましい。
【0216】
以下に、一般式(ZI−4)で表される化合物におけるカチオンの好ましい具体例を示す。
【0217】
【化50】

【0218】
【化51】

【0219】
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【0220】
【化52】

【0221】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
Ar、Ar、R208、R209及びR210のアリール基の具体例としては、上記一般式(ZI)〜(ZIII)におけるR201〜R207としてのアリール基の具体例と同様のものを挙げることができる。
208、R209及びR210のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例としては、それぞれ、上記一般式(ZI)〜(ZIII)におけるR201〜R207としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様のものを挙げることができる。
Aのアルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基など)を、Aのアルケニレン基としては、炭素数2〜12のアルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)を、Aのアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)を、それぞれ挙げることができる。
【0222】
酸発生剤の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。
また、酸発生剤として、スルホン酸基又はイミド基を1つ有する酸を発生する化合物が好ましく、更に好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子又はフッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子又はフッ素原子を含有する基で置換されたイミド酸を発生する化合物であり、更により好ましくは、フッ化置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸、フッ素置換イミド酸又はフッ素置換メチド酸のスルホニウム塩である。使用可能な酸発生剤は、発生した酸のpKaが−1以下のフッ化置換アルカンスルホン酸、フッ化置換ベンゼンスルホン酸、フッ化置換イミド酸であることが特に好ましく、感度が向上する。
【0223】
酸発生剤(C)は、活性光線又は放射線の照射により一般式(I)で表される酸を発生する化合物であることも好ましい。
【0224】
【化53】

【0225】
式中、
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、単結合又は二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状構造を有する基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
【0226】
一般式(I)について、更に詳細に説明する。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜4である。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfとして好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Xfの具体例としては、フッ素原子、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもフッ素原子、CFが好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
【0227】
、Rのアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。R、Rの置換基を有するアルキル基の具体例としては、CF、C、C、C、C11、C13、C、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもCFが好ましい。
、Rとしては、好ましくはフッ素原子又はCFである。
【0228】
yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。xは1〜8が好ましく、中でも1〜4が好ましい。zは0〜8が好ましく、中でも0〜4が好ましい。
Lの2価の連結基としては特に限定されず、―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO―、―SO−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基又はこれらの複数が連結した連結基を挙げることができ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。このなかでも―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、―SO−が好ましく、―COO−、−OCO−、―SO−がより好ましい。
【0229】
Aの環状構造を有する基としては、環状構造を有するものであれば特に限定されず、脂環基、アリール基、複素環構造を有する基(芳香族性を有するものだけでなく、芳香族性を有さないものも含む)等が挙げられる。
【0230】
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基の炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性を抑制でき、MEEF(マスクエラーエンハンスメントファクター)向上の観点から好ましい。
【0231】
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環が挙げられる。中でも193nmにおける光吸光度の観点から低吸光度のナフタレンが好ましい。
【0232】
複素環構造を有する基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環由来のものが挙げられる。中でもフラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環由来のものが好ましい。
また、環状構造を有する基としては、ラクトン構造も挙げることができ、具体例としては、前述の樹脂(A)が有していてもよい、一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表されるラクトン構造を挙げることができる。
【0233】
上記環状構造を有する基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、アルキルチオ基、スルホンアミド基、アルキルスルホニル基等が挙げられる。なお、環状構造を有する基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であっても良い。
【0234】
活性光線又は放射線の照射により一般式(I)で表される酸を発生する化合物の内で好ましい化合物としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といったイオン性構造を有する化合物、オキシムエステル、イミドエステル等の非イオン性化合物構造を有するものが好ましい。イオン性構造を有する化合物としては、例えば、前記一般式(ZI)、(ZII)、で表される化合物を挙げることができる。
【0235】
また、酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により下記一般式(I−A)又は(I−B)で表される酸を発生する化合物も好ましい。
【0236】
【化54】

【0237】
一般式(I−A)及び一般式(I−B)中、
〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子又は水酸基を表す。但しR〜Rの少なくとも一つはフッ素原子、又はフッ素原子を有する基である。
及びAは、各々独立に、2価の連結基又は単結合を表す。
Rは置換基を表す。Rが複数存在する場合には、2つ以上のRが相互に結合して環を形成していてもよい。
kは0〜5の整数を表す。nは0〜5の整数を表す。m1〜m4は各々独立に0〜12の整数を表す。但しm1〜m4の少なくとも1つは1以上である。
【0238】
、Aの2価の連結基としては、例えば、−O−、−S−、カルボニル基、エステル結合、スルフィニル基、スルホニル基、メチレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、プロピレン基、1−メチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、トリメチレン基、ジフルオロメチレン基、テトラフルオロ−1,2−エチレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等を挙げることができる。これらの2価の基のうち、カルボニル基、エステル結合、メチレン基、ジフルオロメチレン基、テトラフルオロ−1,2−エチレン基等が好ましい。
【0239】
また、Rの置換基としては、例えば、オキソ基(=O)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数1〜10)、ビニリデン基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数1〜10)、1価の環状有機基(好ましくは炭素数1〜12)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)、アルコキシ基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数1〜10)、アリーロキシ基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルカルボニル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数2〜10)、アリールカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20)、アルコキシカルボニル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数2〜10)、アリーロキシカルボニル基等(好ましくは炭素数7〜20)を挙げることができる。
Rの置換基としては、オキソ基(=O)、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基が好ましい。
【0240】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
ビニリデン基としては、例えば、カルベニル基、1,1−エチリデニル基、プロピリデニル基、1−メチルプロピリデニル基、1−エチルプロピリデニル基等を挙げることができる。
1価の環状有機基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、カンホロイル基等を挙げることができる。
【0241】
アリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−ナフチル基、1−アントラセニル基、ベンジル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができる。前記炭素数6〜20のアリーロキシ基としては、例えば、フェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基等を挙げることができる。
【0242】
アルキルカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基等を挙げることができる。
アリールカルボニル基としては、例えば、フェニルカルボニル基、ベンジルカルボニル基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0243】
アリーロキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等を挙げることができる。なお、これらの置換基は更に任意の置換基、例えば前記した置換基を1種以上有することもできる。
【0244】
Rは各式中のノルボルネン環又はノルボルナン環を構成する炭素原子のいずれにも結合することができ、複数存在する場合には相互に同一でも異なってもよい。また、Rが複数存在する場合には、2つ以上のRが相互に結合して環を形成していてもよい。即ち、少なくとも2つ以上のRが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に環を形成していてもよい。
【0245】
kとしては0が好ましく、nとしては0又は1が好ましい。
【0246】
式(I−A)で表される構造と式(I−B)で表される構造とでは、193nm等の波長での吸収強度の観点から式(I−A)で表される構造がより好ましい。
【0247】
一般式(I−A)及び一般式(I−B)で表される酸の好ましい例としては、例えば、下記式に示す構造当を挙げることができる。
【0248】
【化55】

【0249】
【化56】

【0250】
【化57】

【0251】
一般式(I−A)又は(I−B)で表される酸を発生する化合物は下記一般式(II−A)、(II−B)で表される構造であることがより好ましい。
【0252】
【化58】

【0253】
一般式(II−A)及び一般式(II−B)中、
及びZは各々独立してフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を表す。
は単結合又は2価の基を表す。
Rは置換基を表す。Rが複数存在する場合には、2つ以上のRが相互に結合して環を形成していてもよい。
Mは1価のオニウムカチオンを表す。
kは0〜5の整数を表す。nは0〜5の整数を表す。
【0254】
及びZのパーフルオロアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、炭素数1〜10のものが好ましい。
【0255】
の2価の基としては、一般式(I−A)及び(I−B)におけるA、Aにおけるものと同様のものが挙げられる。R、k、nは一般式(I−A)及び(I−B)におけるものと同様のものが挙げられる。
で表される1価のオニウムカチオンは、ヨードニウム又はスルホニウムイオンであることが好ましく、スルホニウムイオンであることがより好ましく、前記一般式(ZI)〜(ZIII)におけるカチオン等が好ましい。
【0256】
またZの非求核性アニオンとしては下記一般式(Xa)又は一般式(Xb)で表される構造であってもよい。
【0257】
【化59】

【0258】
一般式(Xa)中、Rは、水素原子又は有機基を表し、好ましくは、炭素数1〜40の有機基であり、より好ましくは、炭素数3〜20の有機基であり、下記式(XI)で表される有機基であることが最も好ましい。
【0259】
Rの有機基としては、炭素原子を1つ以上有していればよく、好ましくは、一般式(Xa)に示すエステル結合における酸素原子と結合する原子が炭素原子であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ラクトン構造を有する基が挙げられ、鎖中に、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有していてもよい。また、これらを相互に置換基として有していてもよく、水酸基、アシル基、アシルオキシ基、オキシ基(=O)、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0260】
−(CH−Rc−(Y) 式(XI)
式(XI)中、Rcは、環状エーテル、環状チオエーテル、環状ケトン、環状炭酸エステル、ラクトン、ラクタム構造を含んでも良い炭素数3〜30の単環又は多環の環状有機基を表す。Yは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表す。m=0〜6であり、複数Yが存在する場合、互いに同一でも異なっても良い。n=0〜10である。
式(XI)で表されるR基を構成する炭素原子の総数は好ましくは40以下である。
n=0〜3であり、Rcが7〜16の単環又は多環の環状有機基であることが好ましい。
【0261】
【化60】

【0262】
一般式(Xb)中、Rbは、水素原子又は有機基を表し、好ましくは、水素原子又は炭素数1〜40の有機基であり、より好ましくは、水素原子又は炭素数3〜20の有機基である。またRbは互いに異なっていてもよく、互いに結合し環を形成していてもよい。Rbの有機基としては、炭素原子を1つ以上有していればよく、好ましくは、一般式(Xb)に示すアミド結合における窒素原子と結合する原子が炭素原子であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ラクトン構造を有する基が挙げられ、鎖中に、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有していてもよい。また、これらを相互に置換基として有していてもよく、水酸基、アシル基、アシルオキシ基、オキシ基(=O)、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
一般式(Xa)及び一般式(Xb)で表される非求核性アニオン部位の分子量は、一般的には300〜1000であり、400〜800が好ましく、500〜700が更に好ましい。
【0263】
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
【0264】
【化61】

【0265】
【化62】

【0266】
【化63】

【0267】
【化64】

【0268】
【化65】

【0269】
【化66】

【0270】
【化67】

【0271】
【化68】

【0272】
【化69】

【0273】
【化70】

【0274】
【化71】

【0275】
【化72】

【0276】
【化73】

【0277】
【化74】

【0278】
【化75】

【0279】
【化76】

【0280】
【化77】

【0281】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、酸発生剤(C)を、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤(C)の含有量は感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物溶液中の全固形分量に対して1〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましく、3〜35質量%が特に好ましい。
【0282】
(D)溶媒(溶剤)
前記各成分を溶解させて感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含有しても良いモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
【0283】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;別名1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルを好ましく挙げられる。
【0284】
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルを好ましく挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチルを好ましく挙げられる。
【0285】
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが好ましく挙げられる。
【0286】
環を含有しても良いモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン、3−メチルシクロヘプタノンが好ましく挙げられる。
【0287】
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートが好ましく挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが好ましく挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピルが好ましく挙げられる。
好ましく使用できる溶剤としては、常温常圧下で、沸点130℃以上の溶剤が挙げられる。具体的には、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、プロピレンカーボネートが挙げられる。
本発明に於いては、上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0288】
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含有しない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
【0289】
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
【0290】
(E)塩基性化合物
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
【0291】
【化78】

【0292】
一般式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
これら一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
【0293】
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジン等を挙げることができ、更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
【0294】
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンゾイミダゾール等が挙げられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカー7−エン等が挙げられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはテトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシド等が挙げられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタンー1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等が挙げられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
【0295】
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
アミン化合物は、1級、2級、3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。アミン化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、アルキレンオキシ基が形成されていることが好ましい。アルキレンオキシ基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもエチレンオキシ基(−CHCHO−)もしくはプロピレンオキシ基(−CH(CH)CHO−もしくは−CHCHCHO−)が好ましく、更に好ましくはエチレンオキシ基である。
【0296】
アンモニウム塩化合物は、1級、2級、3級、4級のアンモニウム塩化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアンモニウム塩化合物が好ましい。アンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。アンモニウム塩化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、アルキレンオキシ基が形成されていることが好ましい。アルキレンオキシ基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。アルキレンオキシ基の中でもエチレンオキシ基(−CHCHO−)もしくはプロピレンオキシ基(−CH(CH)CHO−もしくは−CHCHCHO−)が好ましく、更に好ましくはエチレンオキシ基である。
アンモニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン原子、スルホネート、ボレート、フォスフェート等が挙げられるが、中でもハロゲン原子、スルホネートが好ましい。ハロゲン原子としてはクロライド、ブロマイド、アイオダイドが特に好ましく、スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、炭素数1〜20のアルキルスルホネート、アリールスルホネートが挙げられる。アルキルスルホネートのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素、アルコキシ基、アシル基、アリール基等が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的にはメタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。アリールスルホネートのアリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられる。ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。直鎖若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基として、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。他の置換基としては炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。
【0297】
フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物とは、アミン化合物又はアンモニウム塩化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、置換基を有していてもよい。フェノキシ基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。置換基の置換位は、2〜6位のいずれであってもよい。置換基の数は、1〜5の範囲で何れであってもよい。
フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのアルキレンオキシ基を有することが好ましい。アルキレンオキシ基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。アルキレンオキシ基の中でもエチレンオキシ基(−CHCHO−)もしくはプロピレンオキシ基(−CH(CH)CHO−もしくは−CHCHCHO−)が好ましく、更に好ましくはエチレンオキシ基である。
【0298】
スルホン酸エステル基を有するアミン化合物、スルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物に於ける、スルホン酸エステル基としては、アルキルスルホン酸エステル、シクロアルキル基スルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステルのいずれであっても良く、アルキルスルホン酸エステルの場合にアルキル基は炭素数1〜20、シクロアルキルスルホン酸エステルの場合にシクロアルキル基は炭素数3〜20、アリールスルホン酸エステルの場合にアリール基は炭素数6〜12が好ましい。アルキルスルホン酸エステル、シクロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステルは置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基が好ましい。
スルホン酸エステル基と窒素原子との間に、少なくとも1つのアルキレンオキシ基を有することが好ましい。アルキレンオキシ基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。アルキレンオキシ基の中でもエチレンオキシ基(−CHCHO−)もしくはプロピレンオキシ基(−CH(CH)CHO−もしくは−CHCHCHO−)が好ましく、更に好ましくはエチレンオキシ基である。
【0299】
塩基性化合物として、酸分解性基を有するものが好ましい。酸分解性基としては、樹脂(A)におけるものと同様のもが挙げられる。
酸分解性基を有する塩基性化合物としては、下記一般式(PN−1)で表される化合物を用いることがより好ましい。
【0300】
【化79】

【0301】
式(PN−1)中、
N1、RN2は、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜8)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜8)、アリール基(好ましくは炭素数4〜8)を表し、更に置換基を有しても良い。
また、互いに結合して結合し、環構造を形成しても良い。
N3は、酸分解性基を表す。
【0302】
酸分解性基を有する塩基性化合物としてより好ましくは、一般式(PN−2)で表される化合物を用いることがより好ましい。
【0303】
【化80】

【0304】
式(PN−2)中、
N1は、N原子と共に環構造を形成する2価の有機基を表す。
N5は任意の置換基を表す。
nは0〜6の整数を表す。
N5が複数存在する場合は、互いに同一でも異なっても良く、互いに結合して環構造を形成しても良い。
N4は、各々独立してアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を表し、2つのRN4が互いに結合して環構造を形成しても良い。
【0305】
N5は、好ましくはハロゲン原子、水酸基、シアノ基、オキソ基(=O)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数1〜10)、ビニリデン基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数1〜10)、1価の環状有機基(例えばシクロアルキル基、アリール基、好ましくは炭素数1〜12)、アルコキシ基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数1〜10)、アリーロキシ基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルカルボニル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数2〜10)、アリールカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20)、アルコキシカルボニル基(直鎖状若しくは分岐状、好ましくは炭素数2〜10)、アリーロキシカルボニル基等(好ましくは炭素数7〜20)を挙げることができる。
N1は、アルキレン基(好ましくは炭素数3〜8)であることが好ましく、炭素数3〜6のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数4〜5のアルキレン基であることが最も好ましい。
【0306】
【化81】

【0307】
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0308】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は塩基性化合物を含有してもしなくてもよく、塩基性化合物を含有する場合、塩基性化合物の含有量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
【0309】
酸発生剤と塩基性化合物の組成物中の含有割合は、酸発生剤/塩基性化合物(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。酸発生剤/塩基性化合物(モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0310】
(F)界面活性剤
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、更に界面活性剤を含有してもよく、含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
【0311】
本発明の組成物が上記界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられ、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431、4430(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、GF−300、GF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製)、エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802、EF601((株)ジェムコ製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520(OMNOVA社製)、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D、222D((株)ネオス製)等である。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0312】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
【0313】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)、C13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体等を挙げることができる。
【0314】
また、本発明では、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
【0315】
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、いくつかの組み合わせで使用してもよい。
【0316】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、界面活性剤を含有してもしなくてもよいが、界面活性剤を含有する場合には、界面活性剤の含有量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
一方、界面活性剤の含有量を、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物全量(溶剤を除く)に対して、10ppm以下とすることで、樹脂(B)の表面偏在性があがり、それにより、レジスト膜表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性を向上させることができる。
【0317】
(G)カルボン酸オニウム塩
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、カルボン酸オニウム塩を含有しても良い。カルボン酸オニウム塩としては、カルボン酸スルホニウム塩、カルボン酸ヨードニウム塩、カルボン酸アンモニウム塩などを挙げることができる。特に、カルボン酸オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好ましい。更に、カルボン酸オニウム塩のカルボキシレート残基が芳香族基、炭素−炭素2重結合を含有しないことが好ましい。特に好ましいアニオン部としては、炭素数1〜30の直鎖、分岐、単環又は多環環状アルキルカルボン酸アニオンが好ましい。更に好ましくはこれらのアルキル基の一部又は全てがフッ素置換されたカルボン酸のアニオンが好ましい。アルキル鎖中に酸素原子を含んでいても良い。これにより220nm以下の光に対する透明性が確保され、感度、解像力が向上し、疎密依存性、露光マージンが改良される。
【0318】
フッ素置換されたカルボン酸のアニオンとしては、フロロ酢酸、ジフロロ酢酸、トリフロロ酢酸、ペンタフロロプロピオン酸、ヘプタフロロ酪酸、ノナフロロペンタン酸、パーフロロドデカン酸、パーフロロトリデカン酸、パーフロロシクロヘキサンカルボン酸、2,2−ビストリフロロメチルプロピオン酸のアニオン等が挙げられる。
【0319】
これらのカルボン酸オニウム塩は、スルホニウムヒドロキシド、ヨードニウムヒドロキシド、アンモニウムヒドロキシドとカルボン酸を適当な溶剤中酸化銀と反応させることによって合成できる。
【0320】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、カルボン酸オニウム塩を含有してもしなくてもよいが、カルボン酸オニウム塩を含有する場合には、カルボン酸オニウム塩の組成物中の含量は、組成物の全固形分に対し、一般的には0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
【0321】
(H)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物
酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(以下、「溶解阻止化合物」ともいう)としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724,355(1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(B)成分の樹脂のところで説明したものと同様のものが挙げられる。
【0322】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物をKrFエキシマレーザーで露光するか、或いは電子線で照射する場合には、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含有するものが好ましい。フェノール化合物としてはフェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、更に好ましくは2〜6個含有するものである。
【0323】
本発明における溶解阻止化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
【0324】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、溶解阻止化合物を含有してもしなくてもよいが、溶解阻止化合物を含有する場合には、溶解阻止化合物の含有量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
【0325】
以下に溶解阻止化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0326】
【化82】

【0327】
【化83】

【0328】
・その他の添加剤
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて更に染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
【0329】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号公報、特開平2−28531号公報、米国特許第4,916,210号明細書、欧州特許第219294号公報等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0330】
・レジスト膜及びパターン形成方法
本発明のレジスト膜は、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物から形成されてなる。本発明のレジスト膜は、解像力向上の観点から、膜厚30〜250nmであることが好ましく、より好ましくは、膜厚30〜200nmであることがより好ましい。本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の全固形分濃度は、一般的には1〜10質量%、より好ましくは1〜8.0質量%、更に好ましくは1.0〜6.0質量%である。
【0331】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1ミクロン以下、より好ましくは0.05ミクロン以下、更に好ましくは0.03ミクロン以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。
【0332】
本発明のレジスト膜は、例えば、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥することにより形成することができる。
本発明のパターン形成方法は、前記レジスト膜を露光する工程、及び露光した膜を現像する工程を含む。より詳細には、本発明のレジスト膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像、リンスする。これにより良好なパターンを得ることができる。
製膜後、露光工程の前に、前加熱工程(PB;Prebake)を含むことも好ましい。
また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。
加熱温度はPB、PEB共に70〜120℃で行うことが好ましく、80〜110℃で行うことがより好ましい。
加熱時間は30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行っても良い。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
【0333】
露光光源としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、電子線等を挙げることができるが、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1〜200nmの波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等であり、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(13nm)が好ましい。
なお、本発明においては、紫外光やX線などの電磁波も、放射線に含むものとする。
【0334】
本発明のレジスト膜を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
【0335】
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができ、TMAHが好ましい。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
【0336】
活性光線又は放射線の照射時にレジスト膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体(液浸媒体)を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。用いる液浸媒体としては空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが好ましくは純水である。
【0337】
液浸露光する際に使用する液浸液について、以下に説明する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつレジスト膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
また、更に屈折率が向上できるという点で屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液でもよく有機溶剤でもよい。
【0338】
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させるために、ウエハ上のレジスト膜を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できる添加剤(液体)を僅かな割合で添加しても良い。その添加剤としては水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできるといった利点が得られる。一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、レジスト膜上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
【0339】
水の電気抵抗は、18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理をしていることが望ましい。
また、液浸液の屈折率を高めることにより、リソグラフィー性能を高めることが可能である。このような観点から、屈折率を高めるような添加剤を水に加えたり、水の代わりに重水(DO)を用いてもよい。
【0340】
本発明の感活性光線又は感放射線樹脂組成物によるレジスト膜と液浸液との間には、レジスト膜を直接、液浸液に接触させないために、液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、レジスト上層部への塗布適性、放射線、特に193nmに対する透明性、液浸液難溶性である。トップコートは、レジストと混合せず、更にレジスト上層に均一に塗布できることが好ましい。
本発明の樹脂は、樹脂(B)を含有することでトップコートを含有しなくても充分な性能を得ることができるが、更にトップコートを設けてもよい。
トップコートは、193nm透明性という観点からは、芳香族を豊富に含有しないポリマーが好ましく、具体的には、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー、フッ素含有ポリマーなどが挙げられる。トップコートから液浸液へ不純物が溶出すると光学レンズを汚染するという観点からは、トップコートに含まれるポリマーの残留モノマー成分は少ない方が好ましい。
【0341】
トップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、レジスト膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程がレジスト膜の現像処理工程と同時にできるという点では、アルカリ現像液により剥離できることが好ましい。アルカリ現像液で剥離するという観点からは、トップコートは酸性が好ましいが、レジスト膜との非インターミクス性の観点から、中性であってもアルカリ性であってもよい。
トップコートと液浸液との間には屈折率の差がない方が、解像力が向上する。ArFエキシマレーザー(波長:193nm)において、液浸液として水を用いる場合には、ArF液浸露光用トップコートは、液浸液の屈折率に近いことが好ましい。屈折率を液浸液に近くするという観点からは、トップコート中にフッ素原子を有することが好ましい。また、透明性・屈折率の観点から薄膜の方が好ましい。
【0342】
トップコートは、レジスト膜と混合せず、更に液浸液とも混合しないことが好ましい。この観点から、液浸液が水の場合には、トップコートに使用される溶剤は、ポジ型レジスト組成物に使用される溶媒に難溶で、かつ非水溶性の媒体であることが好ましい。更に、液浸液が有機溶剤である場合には、トップコートは水溶性であっても非水溶性であってもよい。
【実施例】
【0343】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0344】
<樹脂(B)の合成>
・ポリマーB1の合成
下記モノマー1を7.5g、1,4−ジオキサン3.7g及び酢酸メチル17gを、内容積30mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロベンゾイルパーオキシド0.2gを添加した。系内を凍結脱気した後、恒温振とう槽内(70℃)で18時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、150℃で15時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素脂肪族環構造のモノマー単位を有する白色粉末状の非結晶性ポリマー(B1)5.0gを得た。
この含フッ素ポリマー(B1)の分子量をGPC(THF溶媒)にて測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)は8000、重量平均分子量(Mw)は16000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
【0345】
【化84】

【0346】
・ポリマーB2の合成
下記モノマー2を4g、及び酢酸エチルの2gを内容積30mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロブチリルパーオキシドの3質量%ジクロロペンタフルオロプロパン(以下、R225とも呼ぶ)溶液6gを添加した。系内を凍結脱気した後、封管し、恒温振とう槽内(20℃)で40時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、90℃で20時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環構造を有する非結晶性ポリマー(B2)1.1gを得た。THFを溶媒として用いてGPCにより測定したPSt換算分子量は、数平均分子量(Mn)15000、重量平均分子量(Mw)25000であり、Mw/Mn=1.7であった。
【0347】
【化85】

【0348】
・ポリマーB3の合成
200mlのガラス反応器にポリマー(B2)を4g、水酸化ナトリウムの6.6質量%メタノール溶液2.7g及びメタノールの80gを入れ、室温で20時間攪拌した。反応液をエバポレーターで濃縮した後、脱水THFの120gに溶解した。次いでクロロメチルメチルエーテルの0.8gを添加し室温で90時間攪拌した。反応液をセライトでろ過し、エバポレーターで濃縮した。濃縮物をR225に溶解し、水洗、分液した。R225層をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、110℃で16時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環構造を有する非結晶性ポリマー(B3)3.4gを得た。19F−NMR、H−NMR分析によりこの重合体のブロック化酸性水酸基の存在率(メトキシメチル化率)は70モル%であった。THFを溶媒として用いてGPCにより測定したPSt換算分子量は、数平均分子量(Mn)16000、重量平均分子量(Mw)27000であり、Mw/Mn=1.7であった。
【0349】
同様の条件で、下記表に記載のモノマーの重合を行い、ポリマーB4〜B7を得た。
【0350】
【化86】

【0351】
【表1】

【0352】
<レジスト調製>
下記表に示す成分を溶剤に溶解させ、それぞれについて固形分濃度5質量%の溶液を調製し、これを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過してポジ型レジスト組成物を調製した。調製したポジ型レジスト組成物を下記の方法で評価し、結果を表に示した。
【0353】
<画像性能試験>
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚78nmの反射防止膜を形成した。
その上に調製したポジ型レジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間ホットプレート上で加熱、乾燥を行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハーをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用い、線幅65nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。
液浸液としては超純水を使用した。その後100℃で60秒間ホットプレート上で加熱した。
更に2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて23℃で60秒間現像し、40秒間純水にてリンスした後、乾燥しレジストパターンを得た。
【0354】
・ラインウィズスラフネス(LWR)
線幅65nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを、測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)を使用して観察した。このパターンにおいて、その長さ方向2μmに含まれる等間隔の50点について線幅を測定し、その標準偏差から3σ(nm)を算出した。この値をLWRとし、値が小さいほど良好な性能であることを示す。
【0355】
・バブル欠陥
このようにして得られたサンプルウェハーを、KLA2360機(KLAテンコール(株)製)により現像欠陥数を測定した。検出された現像欠陥部位を日立製測長SEM:S9380を用いて観察し、バブル欠陥数を求めた。
この際、バブル欠陥数が、0個/cmのものを◎、0個/cmより多く0.01個/cm以下の物を○、0.01個/cmより多く0.1個/cm以下の物を△、0.1個/cmより多い物を×とした。
【0356】
・パーティクル(経時安定性):
調製したポジ型レジスト溶液について、調製直後の溶液中のパーティクル数(パーティクル初期値)と、4℃で1週間放置した後の溶液中のパーティクル数(経時後のパーティクル数)をリオン社製パーティクルカウンターにてカウントし、(経時後のパーティクル数)−(パーティクル初期値)で計算されるパーティクル増加数を算出した。なお、ここでは溶液1mL中に含まれる粒径0.25μm以上のパーティクルを数えた。
パーティクルは、増加数が、0.2個/ml以下の物を◎、0.2個/mlより多く1個/ml以下の物を○、1個/mlより多く5個/ml以下の物を△、5個/mlより多いものを×とする。
【0357】
・スカム
同様に形成した線幅75nmのレジストパターンにおける現像残渣(スカム)を走査型電子顕微鏡(日立製S−4800)を用いて観察し、残渣が全く発生しなかったものを◎、残渣が酷く発生したものを×、その中間を○及び△とした。
【0358】
【表2】

【0359】
表中、略号で記載した樹脂(A)の繰返し単位構成(表の組成比は下記構造式左から順)、酸発生剤、塩基性化合物、添加剤、界面活性剤、溶剤は、以下のものを示す。樹脂(B)は前記のものを表す。なお、P−2は組成比50モル%:50モル%(下記構造式左から順)、重量平均分子量(Mw)8000であり、Mw/Mn=1.6である。
樹脂(A)
【0360】
【化87】

【0361】
【化88】

【0362】
【化89】

【0363】
【化90】

【0364】
【化91】

【0365】
【化92】

【0366】
W−1: メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2: メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3: ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)
W−4: トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−5: KH−20(旭化成(株)製)
W−6: PolyFoxTM PF−6320(OMNOVA solution inc.製)(フッ素系)
【0367】
〔溶剤〕
a群
SL−1: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
SL−2: プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート
SL−3: 2−ヘプタノン
b群
SL−4: 乳酸エチル
SL−5: プロピレングリコールモノメチルエーテル
SL−6: シクロヘキサノン
c群
SL−7: γ−ブチロラクトン
SL−8: プロピレンカーボネート
【0368】
表2から明らかなように、本発明の構成を有しない比較例1〜3はいずれも、LWR、バブル欠陥抑制、パーティクル抑制、スカム低減のすくなくともいずれかに劣ることがわかる。
一方、本発明の構成を有する実施例1〜24はいずれも、LWR、バブル欠陥抑制、パーティクル抑制、スカム低減のいずれも優れることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、
(B)下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物を閉環重合して得られる繰り返し単位を少なくとも1種含む樹脂、もしくは、該樹脂から誘導して得られる樹脂、
(C)活性光線又は放射線により酸を発生する化合物、及び、
(D)溶媒
を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化1】

式(1)中、
Aは、−COO−で表わされる基又は−CONH−で表わされる基を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又はウレア結合を表す。
は、ラクトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、式(1)で表わされる繰り返し単位内における−R−Z−で表わされる構造の繰り返し数であり、1〜5の整数を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
【化2】

式(2)中、
11〜R16は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R11〜R16の少なくとも一つは、アルキル基、−OR又は−COORである。
17〜R19は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
式(3)中、
20〜R23は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R20〜R23の少なくとも一つは、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORである。
24〜R26は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
式(4)中、
27〜R34は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R27〜R34の少なくとも一つは、アルキル基、−OR又は−COORである。
35〜R37は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
【請求項2】
活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(C)が、活性光線又は放射線の照射により下記一般式(I)で表される酸を発生する化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化3】

式中、
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、単結合又は二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状構造を有する基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
【請求項3】
一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化4】

式中、
11、R12、R13、R15及びR16は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
17〜R19は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
R’は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rfは、各々独立して、フッ化アルキル基又はフッ化シクロアルキル基を表す。
11は単結合又は2価の連結基を表す。
【請求項4】
一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(2−4)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化5】

式中、
11、R12、R15及びR16は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、−OR又は−COORを表す。Rは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
17〜R19は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又は−ORを表す。
R”は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
【請求項6】
請求項5に記載のレジスト膜を露光する工程、及び露光した膜を現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項7】
露光が、液浸露光であることを特徴とする請求項6に記載のパターン形成方法。

【公開番号】特開2010−256872(P2010−256872A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67077(P2010−67077)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】