説明

成分濃度測定装置及び成分濃度測定装置制御方法

【課題】光音響法を用いて、水溶液に含まれるグルコースの濃度を測定するためには、水溶液中のグルコースの濃度を±20mg/dLの高精度で定量する必要がある。しかし、光音響法では強度変調光を用いるので、照射光の光強度の安定性は0.1%/h以下に落ちてしまう。そこで、本発明は、強度変調光の光強度の安定性を高め、水溶液中における成分濃度の測定を可能とすることを目的とする。
【解決手段】本発明に係る成分濃度測定装置230は、連続光を発生して出力する測定用光発生手段としての第1の光源101及び第2の光源105を備え、光変調手段231a及び231bが第1の光源101及び第2の光源105から出力された連続光を強度変調することで、強度変調光を生成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非侵襲な成分濃度測定装置及び成分濃度測定装置制御方法、特に、非侵襲に血液成分としてグルコースを測定対象として、その濃度、即ち血糖値の非侵襲な測定装置および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非侵襲な成分濃度の測定方法として、現在までに、経皮的な電磁波の照射、または、輻射の観測に基づく様々の方法が試行されてきている。これらは何れも、対象とする血液成分、例えば、血糖値の場合はグルコース分子が有する特定の波長の電磁波との相互作用、すなわち吸収、または散乱を利用している。
【0003】
しかし、グルコースと電磁波との相互作用は小さく、また生体に安全に照射し得る電磁波の強度には制限があり、さらに生体が電磁波に対して散乱体であるために、生体の血糖値測定においては、十分な効果を挙げるに至っていない。
【0004】
上記のグルコースと電磁波との相互作用を利用する従来の技術の中で、電磁波を生体へ照射して生体内に発生する音波を観測する、光音響法が注目されている。
【0005】
光音響法とは生体にある量の電磁波を照射した場合、電磁波は生体に含有される分子に吸収され、電磁波を照射した部分を局所的に加熱して熱膨張を起こし音波を発生させるが、この音波の圧力は電磁波を吸収する分子の量に依存するので、音波の圧力を測定することにより、生体内の分子の量を測定する方法である。また、光音響法の中でも、光を照射した局部的な領域において熱が発生し、その熱が拡散することなく熱膨張を惹起し、それにより発生し伝搬する音波を利用する方法を直接光音響法と呼ぶ。
【0006】
音波は生体内を伝搬する圧力波であり、電磁波に比べ散乱しにくいという特質があり、上記の光音響法は生体の血液成分測定において注目すべき手法である(例えば、非特許文献1参照。)。図10は、従来例として、光音響法による従来の成分濃度測定装置の構成例を示す図である。光パルスを電磁波として用いている。また、本例では血液成分として血糖、すなわちグルコースを測定対象としている。駆動電源604はパルス状の励起電流をパルス光源616に供給し、パルス光源616はサブマイクロ秒の持続時間を有する光パルスを発生し、前記光パルスは生体被検部610に照射される。前記光パルスは生体被検部610内にパルス状の光音響信号と呼ばれる音波を発生させ、光音響信号は超音波検出器613により検出され、光音響信号は音圧に比例した電気信号に変換される。
【0007】
前記電気信号の波形は波形観測器620により観測される。この波形観測器620は上記励起電流に同期した信号によりトリガされ、前記音圧に比例した電気信号は波形観測器620の画面上の一定位置に表示され、信号を積算・平均して測定することができる。
【0008】
このようにして得られた前記音圧に比例した電気信号の振幅を解析して、生体被検部610内の血糖値、すなわちグルコースの量が測定される。図10に示す例の場合はサブマイクロ秒のパルス幅の光パルスを最大1kHzの繰り返しで発生させ、1024発の光パルスを平均して、前記音圧に比例した電気信号としているが十分な精度が得られていない。
【0009】
そこで、より精度を高める目的で、連続的に強度変調した光源を用いる第2の従来例が開示されている。図11に第2の従来例の装置の構成を示す(例えば、特許文献1及び2参照。)。本例も血糖を主な測定対象として、異なる波長の複数の光源を用いて、高精度化を試みている。
【0010】
説明の煩雑さを避けるために、図11により光源の数が2つの場合の動作を説明する。図11において、異なる波長の光源、即ち、第1の光源601および第2の光源605は、それぞれ駆動電源604および駆動電源608により駆動され、連続光を出力する。
【0011】
第1の光源601および第2の光源605が出力する光は、モータ618により駆動され一定回転数で回転するチョッパ板617により断続される。ここでチョッパ板617は不透明な材質により形成され、モータ618の軸を中心とする円周に第1の光源601および第2の光源605の光が通過する円周上に、互いに素な個数の開口部が形成されている。
【0012】
上記の構成により、第1の光源601および第2の光源605の各々が出力する光は互いに素な変調周波数f、および変調周波数fで強度変調された後、合波器609により合波され、1つの光束として生体被検部610に照射される。
【0013】
生体被検部610内には第1の光源601の光により周波数fの光音響信号が発生し、第2の光源605の光により周波数fの光音響信号が発生し、これらの光音響信号は、音響センサ619により検出され、音圧に比例した電気信号に変換され、その周波数スペクトルが、周波数解析器621により観測される。
【0014】
本例においては、複数の光源の波長は全てグルコースの吸収波長に設定されており、各波長に対応する光音響信号の強度は、血液中に含まれるグルコースの量に対応した電気信号として測定される。
【0015】
ここで、予め光音響信号の測定値の強度と別途採血した血液によりグルコースの含有量を測定した値との関係を記憶しておいて、前記光音響信号の測定値からグルコースの量を測定している。
【0016】
光音響法を用いて、水溶液に含まれるグルコースの濃度を測定するためには、水溶液中のグルコースの濃度を±20mg/dLの高精度で定量する必要がある。すなわち1/1000の精度で水の吸収を測定する必要がある。このように、水溶液中における成分濃度を測定するためには、強度変調光の光強度の変化を少なくする必要がある。
【0017】
一般的なDFB(Distributed Feedback)レーザの光強度の安定性は連続光で約0.1%/hなので、連続光であれば必要な光強度の精度をみたす。しかし、光音響法では強度変調光を用いるので、照射光の光強度の安定性は0.1%/h以下に落ちてしまう。このため、水溶液に含まれるグルコースの濃度を測定することはできなかった。
【特許文献1】特開平10−189号公報
【特許文献2】WO 2005/107592 A1
【非特許文献1】オウル大学(University of Oulu、Finland)学位論文「Pulse photoacoustic techniques and glucose determination in human blood and tissue」(IBS 951−42−6690−0、http://herkules.oulu.fi/isbn9514266900/、2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで、本発明は、強度変調光の光強度の安定性を高め、水溶液中における成分濃度の測定を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係る成分濃度測定装置は、連続光を発生して出力する測定用光発生手段を備え、光変調手段が当該測定用光発生手段から出力された連続光を強度変調することで、強度変調光を生成することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る成分濃度測定装置は、
液体に対象成分が混合されてなる溶液における前記液体の呈する吸収が相等しい異なる波長の光を発生して出力する2つの測定用光発生手段と、
前記測定用光発生手段の一方からの光を予め定められた一定周波数で強度変調して出力し、かつ、前記測定用光発生手段の一方からの光と前記測定用光発生手段の他方からの光を前記一定周波数で互いに逆相に強度変調して出力する光変調手段と、
前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光、及び、前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光と前記測定用光発生手段の他方からの光の強度変調光とを合成した測定用合成光を、前記溶液の存在する被測定物に向けて出射する光出射手段と、
前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光によって前記溶液から発生する規格化用音波、及び、前記光出射手段の出射する測定用合成光によって前記溶液から発生する測定用音波を検出する音波検出手段と、
を備え、
前記測定用光発生手段は、連続光を出力し、
前記光変調手段は、前記測定用光発生手段と前記光出射手段との間に配置され、前記測定用光発生手段の出力する連続光を強度変調することを特徴とする。
【0021】
測定用光発生手段が連続光を出力するので、強度変調光の光強度の安定性を高めることができる。さらに、測定用光発生手段と光出射手段の間に光変調手段が接続されるので、被測定物からの戻り光を光変調手段で遮断することができる。これらにより、強度変調光の光強度の安定性を高め、水溶液中における成分濃度を測定可能とすることができる。
【0022】
本発明に係る成分濃度測定装置では、
前記光変調手段は、電気光学効果、音響光学効果、磁気光学効果、熱光学効果又は非線型光学効果によって前記連続光の振幅を変調することが好ましい。
物質の光学特性を利用して連続光の強度変調を行うので、戻り光の測定用光発生手段への入射を阻止することができる。
【0023】
本発明に係る成分濃度測定装置では、
前記液体が水であり、
前記対象成分がグルコース又はコレステロールであり、
前記溶液が血液であることが好ましい。
本発明により、血液中のグルコース又はコレステロールの濃度を、少量の血液で測定することができる。
【0024】
本発明に係る成分濃度測定装置制御方法は、
液体に対象成分が混合されてなる溶液における前記液体の呈する吸収が相等しい異なる波長の光を発生して出力する2つの測定用光発生手段と、光変調手段と、光出射手段と、音波検出手段と、を制御する制御回路を備える成分濃度測定装置の制御方法であって、
前記制御回路が、前記測定用光発生手段の一方に光を出力させ、前記光変調手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光を予め定められた一定周波数で強度変調して出力させ、前記光出射手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光を、前記溶液に向けて出射させ、前記音波検出手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光によって前記溶液から発生する規格化用音波を検出させる規格化用音波検出手順と、
前記規格化用音波検出手順の前、後又は同時に、前記制御回路が、前記2つの測定用光発生手段に光を出力させ、前記光変調手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光と前記測定用光発生手段の他方からの光を前記一定周波数で互いに逆相に強度変調して出力させ、前記光出射手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光と前記測定用光発生手段の他方からの光の強度変調光とを合成した測定用合成光を前記溶液に向けて出射させ、前記音波検出手段に、前記光出射手段の出射する測定用合成光によって前記溶液から発生する測定用音波を検出させる測定用音波検出手順と、
を有し、
前記規格化用音波検出手順及び前記測定用音波検出手順において、前記制御回路が、前記測定用光発生手段に連続光を出力させ、前記測定用光発生手段と前記光出射手段との間に配置されている前記光変調手段に前記測定用光発生手段の出力した連続光を強度変調させることを特徴とする。
【0025】
測定用光発生手段が連続光を出力するので、強度変調光の光強度の安定性を高めることができる。さらに、測定用光発生手段と光出射手段との間に光変調手段が接続されるので、被測定物からの戻り光を光変調手段で遮断することができる。これらにより、強度変調光の光強度の安定性を高め、水溶液中における成分濃度を測定可能とすることができる。
【0026】
本発明に係る成分濃度測定装置制御方法では、
前記規格化用音波検出手順及び前記測定用音波検出手順において、前記制御回路が、前記光変調手段に、電気光学効果、音響光学効果、磁気光学効果、熱光学効果又は非線型光学効果によって前記連続光の振幅を変調させることが好ましい。
物質の光学特性を利用して連続光の強度変調を行うので、戻り光の測定用音波検出手段への入射を阻止することができる。
【0027】
本発明に係る成分濃度測定装置では、
前記液体が水であり、
前記対象成分がグルコース又はコレステロールであり、
前記溶液が血液であることが好ましい。
本発明により、血液中のグルコース又はコレステロールの濃度を、少量の血液で測定することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、測定用光発生手段の出力強度の安定性を高めることができる。これにより、水溶液中における成分濃度の測定を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
【0030】
以下の実施の形態では、成分濃度測定装置及び成分濃度測定装置制御方法を、血液成分濃度測定装置又は血液成分濃度測定装置制御方法として説明する。本実施形態において説明する生体被検部を被測定物に、血液を溶液に、水を液体に、グルコース又はコレステロールを対象成分に、それぞれ置き換えれば、成分濃度測定装置又は成分濃度測定装置制御方法として実施することができる。例えば、溶液には、血液に限らず、リンパ液や涙等の生体を構成する溶液が含まれる。そして、対象成分には、グルコース又はコレステロールに限らず、例えば「リンパ液成分」や「涙成分」等の生体を構成する溶液中の成分も含まれる。このように測定対象に応じて種々の成分を測定できる。
【0031】
また、以下の実施形態や実施例の構成において、生体被検部に代えて果物をおけば、果実糖度計として機能する。これは、果実の甘さ成分である蔗糖や果糖は、血糖成分であるグルコースと類似の波長に吸収を有するからである、このように本実施形態の精神を逸脱しない範囲で、本実施形態に係る成分濃度測定装置及び成分濃度測定装置制御方法を様々の対象に適用できることは言うまで無い。
【0032】
(第1実施形態)
本実施形態に係る血液成分濃度測定装置は、異なる波長の2波の光を発生する測定用光発生手段と、該異なる波長の2波の光の各々を同一周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調する光変調手段と、強度変調された該異なる波長の2波の光を1つの光束に合波し生体に向けて出射する光出射手段と、出射された光により生体内に発生する音波を検出する音波検出手段と、検出された音波の圧力から生体内の血液成分濃度を算定する血液成分濃度算定手段と、を備えた血液成分濃度測定装置である。なお、本実施形態に係る血液成分濃度算定手段は、本実施形態において適用する他、後に説明する実施形態においても適用することができる。
【0033】
さらに、本実施形態に係る血液成分濃度測定装置においては、前記測定用光発生手段は、1波の光の波長を血液成分が特徴的な吸収を呈する波長に設定し、他の1波の光の波長を水が前記1波の光の波長におけるのと相等しい吸収を呈する波長に設定することもできる。
【0034】
図1を参照して、本実施形態に係る構成について説明する。図1は、本実施形態に係る血液成分濃度測定装置の基本構成を示している。図1において、測定用光発生手段の一部としての第1の光源101は、光変調手段の一部としての駆動回路104により、光変調手段の一部としての発振器103に同期して強度変調されている。
【0035】
一方、測定用光発生手段の一部としての第2の光源105は、光変調手段の一部としての駆動回路108により、同じく上記発振器103に同期して強度変調されている。但し、駆動回路108には、発振器103の出力が、光変調手段の一部としての180°移相回路107を経て給電され、その結果、第2の光源105は、上記第1の光源101に対して、180°位相が変化した信号により強度変調されるように構成されている。
【0036】
ここで、図1に示す第1の光源101および第2の光源105の各々の波長は、1波の光の波長を血液成分が特徴的な吸収を呈する波長に設定し、他の1波の光の波長を水が前記1波の光の波長におけるのと相等しい吸収を呈する波長に設定する。
【0037】
第1の光源101および第2の光源105は各々異なる波長の光を出力し、各々の出力する光は、光出射手段としての合波器109により合波され、1つの光束として、被検体としての生体被検部110に照射される。照射された第1の光源101および第2の光源105の各々が出力する光により生体被検部110内に発生される音波、すなわち光音響信号は、音波検出手段の一部としての超音波検出器113により検出され、光音響信号の音圧に比例した電気信号に変換される。前記電気信号は、上記発振器103に同期した音波検出手段の一部としての位相検波増幅器114により同期検波され、音圧に比例する電気信号が出力端子115に出力される。
【0038】
ここで、出力端子115に出力される信号の強度は第1の光源101および第2の光源105の各々が出力する光が生体被検部110内の成分により吸収された量に比例するので、前記信号の強度は生体被検部110内の成分の量に比例する。従って、出力端子115に出力される前記信号の強度の測定値から、血液成分濃度算定手段(図示せず)が生体被検部110内の血液中の測定対象の成分の量を算定する。
【0039】
本実施形態に係る血液成分濃度測定装置は第1の光源101および第2の光源105の出力する異なる波長の2波の光を同一周期、すなわち同一周波数の信号で強度変調しているので、超音波検出器113の周波数特性の不均一の影響を受けない特徴があり、この点が既存技術より優れている点である。
【0040】
以上説明したように本実施形態に係る血液成分濃度測定装置は高精度に血液成分を測定することができる。
【0041】
本実施形態に係る前記血液成分濃度測定装置において、前記光変調手段は生体内に発生する音波の検出に関わる共鳴周波数と同一の周波数で変調する手段とすることもできる。異なる波長の2波の光の各々を生体内に発生する音波の検出に関わる共鳴周波数と同一の周波数で変調することにより、生体内に発生する音波を高感度に検出できる。
【0042】
本実施形態に係る血液成分濃度測定装置において、前記血液成分濃度算定手段は、前記異なる波長の2波の光を生体に照射して発生する音波の圧力を、前記2波の光のうち1波の光を零としたときに発生する音波の圧力で除算する手段とすることもできる。このような除算により、高精度に血液成分濃度を測定することができる。
【0043】
本実施形態に係る血液成分濃度測定装置において、前記測定用光発生手段は、強度変調された前記異なる波長の2波の光を1つの光束に合波し水に照射して発生する音波の圧力が零になるように前記異なる波長の2波の光の各々の相対的な強度を調整する手段とすることもできる。
【0044】
本実施形態に係る血液成分濃度測定装置において、例えば、図1において、生体被検部110に代えて校正用の水に、前述の血液成分濃度の測定と同様に、第1の光源101および第2の光源105の出力する光を1つの光束に合波した光を照射し、超音波検出器113が検出する光音響信号が零になるように、第1の光源101および第2の光源105の出力する光の相対的な強度を調節する場合である。
【0045】
上記のように第1の光源101および第2の光源105の光の強度を調節する場合、第1の光源101および第2の光源105の光の相対的な強度を容易に等しく調整することができるので、容易に、高精度に血液成分濃度を測定することができる。
【0046】
本実施形態に係る血液成分濃度測定装置において、前記音波検出手段は、前記変調周波数に同期して同期検波により検出する手段とすることもできる。本実施形態に係る血液成分濃度測定装置は、例えば、第1の光源101および第2の光源105の出力する光の各々に対応する光音響信号が超音波検出器113により検出され電気信号に変換された信号を、位相検波増幅器114において第1の光源101および第2の光源105の出力する光の各々を強度変調する信号に同期して、同期検波により検出する例である。位相検波増幅器114において第1の光源101および第2の光源105の出力する光の各々に対応する光音響信号の検出精度が向上し、いっそう高精度に光音響信号を測定することができる。
【0047】
本実施形態に係る血液成分濃度測定装置において、前記測定用光発生手段及び前記光変調手段は、2つの半導体レーザ光源の各々を同一周波数で互いに逆位相の矩形波信号により直接変調する手段とすることができる。2つの半導体レーザ光源の各々を同一周波数で互いに逆位相の矩形波信号により直接変調する装置構成とすることにより、装置構成が簡略化できる。
【0048】
次に本実施形態に係る血液成分濃度測定装置の基本となる技術の詳細を説明する。
【0049】
図1を参照して本実施形態に係る血液成分濃度測定装置構成を説明する。図1に示す本実施形態に係る血液成分濃度測定装置は、第1の光源101、第2の光源105、駆動回路104、駆動回路108、180°移相回路107、合波器109、超音波検出器113、位相検波増幅器114、出力端子115、発振器103により構成される。
【0050】
発振器103は、信号線により駆動回路104、180°移相回路107、位相検波増幅器114とそれぞれ接続され、駆動回路104、180°移相回路107、位相検波増幅器114のそれぞれに信号を送信する。
【0051】
駆動回路104は、発振器103から送信された信号を受信し、信号線により接続されている第1の光源101へ駆動電力を供給し、第1の光源101を発光させる。
【0052】
180°移相回路107は、発振器103から送信された信号を受信して、前記受信した信号に180°の位相変化を与えた信号を、信号線により接続されている駆動回路108へ送信する。
【0053】
駆動回路108は、180°移相回路107から送信された信号を受信し、信号線により接続されている第2の光源105へ駆動電力を供給し、第2の光源105を発光させる。
【0054】
第1の光源101および第2の光源105の各々は、互いに異なる波長の光を出力し、各々が出力した光を光波伝送手段により合波器109へ導く。
【0055】
第1の光源101の出力した光と第2の光源105の出力した光は、合波器109に入力され、合波されて、1つの光束として生体被検部110の所定の位置へ照射され、生体被検部110内に音波、すなわち光音響信号を発生させる。
【0056】
超音波検出器113は、生体被検部110の光音響信号を検出し、電気信号に変換して、信号線により接続されている位相検波増幅器114へ送信する。
【0057】
位相検波増幅器114は、発振器103から送信される同期検波に必要な同期信号を受信するとともに、超音波検出器113から送信されてくる光音響信号に比例する電気信号を受信し、同期検波ならびに増幅、濾波を行って、出力端子115へ光音響信号に比例する電気信号を出力する。
【0058】
第1の光源101は、発振器103の発振周波数に同期して強度変調された光を出力する。一方、第2の光源105は、発振器103の発振周波数で、かつ180°移相回路107により180°の位相変化を受けた信号に同期して強度変調された光を出力する。
【0059】
上記のように、本実施形態に係る血液成分濃度測定装置においては第1の光源101の出力した光と第2の光源105の出力した光は、同一の周波数の信号により強度変調されているので、従来技術において、複数の周波数の信号により強度変調している場合に問題となる測定系の周波数特性の不均一性の影響は存在しない。
【0060】
一方、従来技術において問題となる光音響信号の測定値に存在する非線形的な吸収係数依存性は、本実施形態に係る血液成分濃度測定装置においては等しい吸収係数を与える複数の波長の光を用いて測定することにより解決できることを、以下に説明する。
【0061】
波長λおよび波長λの各々光に対して、背景の吸収係数α(b)、α(b)及び測定対象とする血液成分のモル吸収α(0)、α(0)が既知の場合、各波長における光音響信号の測定値sおよびsを含む連立方程式は、次の数式(1)のように表される。
【数1】

数式(1)を解いて未知の血液成分濃度Mを求める。ここで、Cは、変化し制御或は予想困難な係数、即ち、音響的な結合状態、超音波検出器の感度、前記照射部と前記検出部の間の距離(以下rと定義する)、比熱、熱膨張係数、音速、変調周波数、更に、吸収係数にも依存する未知乗数である。
【0062】
数式(1)の1行目と2行目のCに差異が生ずるならば、それは、照射光に関係する量、即ち、吸収係数による差異以外にはあり得ない。ここで、数式(1)の各行の括弧の中、即ち吸収係数が互いに等しくなるように、波長λおよび波長λの組合せを選べば、吸収係数が等しくなり、1行目と2行目のCは等しい。しかしこれを厳密に行うと、波長λおよび波長λの組合せが、未知の血液成分濃度Mに依存することになるため、不便である。
【0063】
ここで、数式(1)の吸収係数(各行括弧中)に占める比率は、背景(α(b)、i=1、2)の方が、血液成分濃度Mを含む項(Mα(0))よりも著しく大きい。そこで、各行の吸収係数を正確に等しくする代わりに、背景、α(b)の吸収係数を等しくすれば十分である。即ち、異なる波長λおよび波長λの2波の光は、各々における背景の吸収係数、α(b)、α(b)が互いに等しくなるように選べば良い。このように1行目と2行目のCを等値できれば、それを未知定数として消去し、測定対象の血液成分濃度Mは数式(2)で表される。
【数2】

数式(2)の後段の変形にはs≒sという性質を用いている。
【0064】
ここで、数式(2)を見ると、分母に波長λおよび波長λにおける測定対象の血液成分の吸収係数の差が現れている。この差が大きい方が、光音響信号の差信号s−sが大きく、その測定が容易となる。この差を最大とするには、測定対象の成分の吸収係数α(0)が極大となる波長を波長λに選び、かつ、α(0)=0、即ち、測定対象の成分が吸収特性を示さない波長に波長λを選ぶのが良い。ここで、前の条件から、この第2の波長λは、α(b)=α(b)、即ち、背景の吸収係数が第1の波長λの吸収係数に等しくなければならない。
【0065】
さらに、数式(2)において、光音響信号sは、光音響信号sとの差s−sの形でのみ登場している。今、測定対象の成分としてグルコースを例にとると、上述したように、2つの光音響信号sおよび光音響信号sの強度には、0.1%以下の差異しかない。
【0066】
しかし、数式(2)の分母の光音響信号sには5%程度の精度があれば十分である。従って、2つの光音響信号sおよび光音響信号sを逐次個別に測定するよりも、それらの差s−sを測定しこの測定値を、個別に測定した光音響信号sで除する方が、格段に容易に精度が保てる。従って、本実施形態に係る血液成分濃度測定装置においては、2つの波長λおよび波長λの光を、互いに逆相に強度変調して照射することにより、生体内で光音響信号sおよび光音響信号sが相互に重畳されて生じる光音響信号の差信号s−sを測定する。
【0067】
以上説明したように、血液成分濃度を測定する場合、異なる特定の波長の2波の光を用いて、前記異なる特定の波長の2波の光が生体内に発生する光音響信号を各々個別に測定するよりも、前記光音響信号の差信号を測定し、さらに、所定の一方の光音響信号を零として、他方の光音響信号を測定して、これらを数式(2)により演算して、容易に血液成分濃度を測定できることが分かる。
【0068】
次に、光照射によって発生する音圧について、図2を参照して説明する。図2は本実施形態に係る基礎となる直接光音響法の説明図であり、図2には直接光音響法における観測点の配置が、音源分布のモデルと伴に、示されている。図2において照射光201は、生体に垂直に入射し、その結果、上述したように、光が照射される部分の表面近傍に音源202が生成される。
【0069】
音源202から出て生体内(簡単のために音波について一様とする)を伝搬する音波について、照射光201の延長線上にあり、音源から距離rだけ離れた観測点203で、その音圧p(r)を観測する。
【0070】
本実施形態に係る血液成分濃度測定装置において使用する波長1μm以長の光に対しては、生体は、背景(水)による強い吸収を受けるために、音源202は光の照射される部分の表面に局在し、その結果、発生する音波は球面波と見なせる。
【0071】
図2に示す音波伝搬を記述する波動方程式は、流体力学の方程式から求められる。即ち、連続の式とNavier Stokes方程式を、密度変化、圧力変化、及び流速変化が微小な場合として、各々を線形とし、これらと流体(水)における圧力と密度の関係を記述する状態方程式を連立して解くことにより求められる。ここで、前記状態方程式は、温度をパラメータとして含み、熱源Qが存在する時の温度変化は、前記状態方程式を介して取り込まれる。
【0072】
熱伝導を無視する時、微小な圧力変化pは、次の非斉次のHelmholtz方程式により記述される。
【数3】

ここで、cは音速、βは熱膨張係数、Cは定圧比熱である。
【0073】
本実施形態に係る血液成分濃度測定装置の場合、一定周期Tで強度変調された光を照射し、該一定周期Tに同期した音圧変化を検出するので、変調周波数をf=1/T、また変調角周波数をω=2πfとおく時、全ての量について、時間依存性exp(−iωt)を持つ量のみに注目すればよい。その結果、時間微分は−iωとの積になる。
【0074】
また熱源Qは、照射光201吸収に続く非発光緩和に起因するため、吸収係数αに比例し、またその分布は、媒質中での照射光201(散乱光が生ずればそれも含めた)の空間分布に等しくなる。即ち、各点での光強度をIと書くと、Q=αIである。以上により、定常的な直接光音響法に関わる基本方程式は次の数式(4)のように表される。
【数4】

ここで、音波の波数k=ω/c=2πλ(λは音波の波長)を導入した。
【0075】
数式(4)のp(r→∞)→0の境界条件の下での解は、十分遠方(r)α−1)において、次の数式(5)のように表される。
【数5】

【0076】
今、若干の光分布について数式(5)により、観測される音圧を計算する。先ず、光分布のモデルA204としては、強度が動径r´に対して、e−αr´で減衰する半球状の分布を考える。これは、著しく散乱が大きく、照射光201が入射するや否や、全方位に散乱される場合に対応する。
【0077】
これに対して、散乱が零である場合が、図2におけるモデルB205、およびモデルC206であり、各々半径wのガウス型のビームと一様円形ビームを入射した場合に相当している。これら各モデルの光強度分布は、図2中に示されている。
【0078】
今、既に用いた条件r≫α−1に加えて、r≫w0、および、N≡w/(rλ)≪1(モデルA204についてのNは、wに代えてα−1を用いて定義する)が成り立つ時、数式(5)による計算結果は、以下のようにまとめられる。
【数6】

ここで、Pは照射光201の全パワーであり、またF(ξ)は、
【数7】

と計算される。音源の分布の情報は、この形状関数F(kα―1)に集約される。前記形状関数のグラフを、図3に示した。
【0079】
以上の結果によると、ξ=kα―1が小さい時、即ち、音波の波長が吸収長に比べて非常に長い場合(λ)α−1)には、光音響信号は、吸収係数の情報を何ら含まない。その理由は、ξ≪1で、F(ξ)≒ξであって、αF(ξ)≒kに帰してしまうからである。従って、音波の波長が吸収長に比べて非常に長い場合、すなわち変調周波数が低すぎる場合は光音響法によって血液成分濃度の測定はできないことが分かる。
【0080】
従って、生体に対して行う直接光音響法においては、ξ≒1、すなわちf≒αc/(2π)以上に変調周波数を設定すべきであり、照射光201の波長が1.6μm近傍の場合は変調周波数fを150kHz以上、あるいは照射光201の波長が2.1μm近傍の場合は変調周波数fを0.6MHz以上とする必要がある。
【0081】
次に、モデルB205、およびモデルC206の結果に差異がないことから、光軸に垂直方向の光強度分布が、信号に影響しないことが分かる。但し、この簡単化が許されるのは、上記N=w/(rλ)≪1が成り立つ場合に限られる。このNはフレネル数と呼ばれる量であり、観測点から音源を見込む際、視線に垂直方向の音源の拡がりに因って、音源の各点からの音波の寄与に生じる位相の変化幅を表している。フレネル数Nが、1に比べて十分小さければ、視線に垂直方向に音源が拡がりを持たないのと等価となる。
【0082】
その結果、照射光201のビーム径wが、光音響信号に影響を与えないという、極めて都合の良い性質が生ずるのである。その理由は以下の2つである。
【0083】
その1は、生体における散乱の影響の抑制である。上記モデルA204は、散乱が大きい極限の場合を想定しているが、生体における散乱は実際、これ程は甚だしくはない。一般に散乱現象は散乱係数μと異方性gによって特徴付けられる。ここで、後者は、散乱角θの余弦の平均値<cosθ>であり、生体、特に皮膚における値として、概略0.9が報告されている(例えば、Applied Optics誌、32巻、1993年、435−447頁、参照)。即ち、実際の生体における散乱は、小角散乱<θ>≒26°が主である。
【0084】
今、単位長さの伝搬中に入射光束から散乱によって光が減少してゆく割合は、還元散乱係数μ´s=μ(1−g)で与えられ、この値は光の波長1μm以長に対して、概略1mm−1と実測されている。この値は、単位長さの伝搬中に、入射光束から吸収によって光が減少してゆく割合である吸収係数αの値(光の波長1.6μm前後で0.6mm−1、2.1μm前後で2.4mm−1)と同程度の大きさである。
【0085】
即ち、今、生体において照射光201は、吸収長α―1の間に高々2回の散乱を受けるのみであり、しかも散乱角は小さい。この結果、生体内部の光分布(入射光束と散乱光の和)は、深さとともに序々にビーム径が拡って行き、あたかもピンの頭のような形となる。このような光分布の実測例も報告されている(Applied Optics誌、40巻、2001年、5770−5777頁、参照)。この時、深さzの面内における光分布の総量は、依然、exp(−αz)に従って減衰することが期待される。これは、少回の散乱が、小散乱角で起こる故である。
【0086】
従って、光音響信号が照射光201のビーム径に依らない場合、各深さでの光分布のビーム径自体は問題にならず、各深さ面内でのその総量のみが形状関数F(ξ)に影響し得る。これが、exp(−αz)であれば、結果的に、散乱のないモデルB205、およびモデルC206の場合に異ならず、よって形状関数への散乱の影響が無いことが予想されるのである。
【0087】
2つの波長λ1、および波長λの光照射において、該形状関数を等値することは、本実施形態における方法の骨子である。従って、2つの波長λ1、および波長λにおける散乱に相違があるのは、非常に望ましくない。現実には、光の波長1.3μm以長に対して、皮膚における散乱の波長依存性の実測報告は未だ無いが、血液については、一定の還元散乱係数μ´が報告されている(Journal of Biomedical Optics誌、4巻、1999年、36−46頁、参照)。
【0088】
従って、例えば、形状関数への若干の散乱の影響があったとしても、その波長依存性は小さく、実害に及ばない可能性はある。さらに、ここで示したように、フレネル数を小さく設定すれば、形状関数への散乱の影響自体を抑止できる。それ故、散乱の波長依存性如何に関わらず、形状関数の等値は正当化され、本実施形態における装置が高い信頼性を持つことが分かる。
【0089】
その2は、変調周波数の最適化が可能になる事である。人体に対する光の照射には、照射部位と波長、照射時間などに依存する光強度の許容限度がある。フレネル数Nが小さい範囲で、ビーム径wを拡大すれば、光強度の限度を越えずに、照射光201の全パワーPを高め、光音響信号を増大できる。
【0090】
ここで、照射強度の限度をImaxと書くと、P=πwmaxであり、フレネル数Nは、全パワーPによって、N=f/(πcr)(P/Imax)と表される。距離rは、生体被検部110の厚みによって決まる量(例えば、指頭では10mm、手首では40mm程度)であることを考慮すると、Nを一定に留めて、k、即ち、変調周波数f(∝k)を高める場合、全パワーPを減らさざるを得ない。ところが、形状関数の大きさ|F(kα−1)|は、kに比例して増えないので、検出される音波は減少する。従って、高過ぎる変調周波数も、また望ましくないことが分かる。
【0091】
数式(6)の与える音圧振幅pを、NとImaxを用いて、書き直すと次のようになる。
【数8】

ここで、音圧上界psupは以下の数式(9)となる。
【数9】

数式(8)で、|F(ξ)|/ξは、ξについて単調に減少する関数であり、信号振幅のみの観点では、低い変調周波数が有利となる。
【0092】
今の場合、数式(8)のαに関わる変化率、∂p/∂α=−(psupN/α)ξd(|F(ξ)|/ξ)/dξを最大とするξ=kα―1が、最適の変調周波数を与える。このようなξは、モデルA204で2.49、モデルB205、およびモデルC206では21/2であり、その様なξにおける|F(ξ)|/ξの値は、各々、0.620、1/31/2と算出される。即ち、信号の強度と吸収係数αへの感度の相反する要求の妥協点として、最適の変調周波数が存する。
【0093】
上述したように、現実の生体における光分布はモデルB205、およびモデルC206に近いと考えられるので、最適な変調周波数は、2πf=1.41cαであり、その時、f→0における最大値psupNに対し、57.7%の信号振幅が期待される。
【0094】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る血液成分濃度測定装置の原理を説明する。図1に示す第1の光源101は発振器103に同期して強度変調され、第1の光源101の出力する光は図4の上段に、第1の光源(λ)の光211として示す波形となる。
【0095】
一方、図1に示す第2の光源105は、同じく発振器103に同期して強度変調される。ここで、発振器103の送信する信号は180°移相回路107により180°の位相推移を与えられるので、第2の光源105の出力する光は第1の光源101の出力する光に対して逆位相な信号により強度変調され、図4の下段に、第2の光源(λ)の光212として示す波形となる。
【0096】
ここで図4においては、第1の光源101および第2の光源105を強度変調する信号は周期が1μ秒、即ち、変調周波数fが1MHzであり、かつ、占有率50%の信号の場合について示している。
【0097】
ここで、数式(4)では、照射光201に正弦波的変化を仮定し、図4においては、矩形波の光を照射する場合を示しているが、このことは次の理由により矛盾しない。
【0098】
すなわち、数式(3)は線形であり、異なる周波数の成分は互いに独立のものとして扱える。また音波の振幅が大きくなると、Navier Stokes方程式自体の持つ非線形性の影響を受けるが、本実施形態に係る血液成分濃度測定装置における光音響信号の場合は、発生する音波は微弱であり線形の数式(3)が適用できる。また、矩形波は奇数次の高調波成分を含むが、そのうちの基本周期の正弦波成分の振幅を、数式(4)のIに読みかえれば良い。光源は、正弦波形状よりも矩形波形状に強度変調する方が容易であり、かつ、矩形波は同振幅の正弦波に比べて、4/π=1.27倍の基本周期正弦波成分を含み、効率は若干良い。
【0099】
第1の光源101および第2の光源105の各々が出力する異なる波長の2波の光は、合波器109により合波され、生体被検部110に照射される。ここで、前記異なる波長の2波の光の各々は、独立に数式(6)で表される音圧を発生するものと考えることができる。
【0100】
ここで、音波が線形に重畳されることは、数式(3)の線形性より既に明らかである。さらに、前記異なる波長の2波の光の各々は吸収が飽和する程には強くないので、前記異なる波長の2波の光の各々による発熱Qも線形に重畳される。ここで、吸収が飽和した場合であっても、吸収が不均一な拡がりを持ち、前記異なる波長の2波の光の波長の間隔が均一幅よりも広ければ、依然、発熱の線形な重畳は成立する。ここで、前記異なる波長の2波の光に対して共通に吸収が生じる水に対して、こうした条件もよく満されている。
【0101】
以上のように、前記異なる波長の2波の光により、各々互いに独立に数式(6)で表される音圧の光音響信号が発生され、これらを重畳した音圧が、超音波検出器113により検出される。従って、上記のように重畳された音圧は次の数式により表される。
【数10】

ここで、αF(kα―1)(i=1、2)が差の形で重畳されているのは、前記異なる波長の2波の光の各々の入射光が互いに逆相で強度変調された結果である。これを、超音波検出器113により検出し変換して得られる電気信号の中の基本周期の正弦波成分の波形を図6に実線で示す。図6に実線で示す信号の振幅(rms値)が、発振器103に同期した位相検波増幅器114によって測定され、図6にVとして示す信号として、出力端子115に出力される。
【0102】
数式(10)と数式(1)により、上記未知定数Cは次の数式により表される。
【数11】

次に、数式(2)により、測定対象とする血液成分濃度の算出の原理を説明する。既に、第1の光源101および第2の光源105の各々が出力する光に対応する光音響信号の差信号s−sが得られているので、次に光音響信号sを測定すれば、数式(2)から、測定対象の血液成分濃度Mを算出できる。
【0103】
そこで、図5に示す第2の光源(λ)の光212のみを照射した状態で、光音響信号を測定する。即ち、図5に示すように、第2の光源105の出力する光の波形を保ったまま、第1の光源101の出力を零とする。これは、図1に示す第1の光源101の出力する光を、機械的なシャッターで遮る、または駆動回路104の出力を第1の光源101の発振閾値以下に下げる等の手段により実現できる。
【0104】
上記の状態で測定される光音響信号の値を、超音波検出器113により検出し、電気信号に変換すると、基本周期正弦波成分として図6に破線により示す波形が得られる。また、図6に破線により示す波形のrms振幅値は、前述の方法と同様に位相検波増幅器114によって測定され、図6にVとして示す信号として、出力端子115に出力される。
【0105】
ここで光音響信号sは、光音響信号の差信号s−sに対して、逆相となる。また、光音響信号sは、前記光音響信号の差信号s−sに比べて、桁違いに大きい。例えば、健常者の血糖値測定の場合、1000倍以上である。従って、光音響信号sと光音響信号の差信号s−sの2つの測定の間に、位相検波増幅器114の感度及び時定数の切替えを行う。
【0106】
上記の測定により、2つの測定値Vd、を得れば、それらの各々を、数式(2)中のs−s、sのそれぞれに代入して、測定対象とする血液成分濃度Mを算出する。
【0107】
ここで、測定値の比V/Vから、血液成分濃度Mへの変換には、比吸光度α(0)/α(b)(α(0)が非零の場合、更にα(0)/α(b))を必要とする。
【0108】
図7に、上記の比吸光度の値および、前述のように背景の吸収係数を等しくする2つの測定する波長λおよび波長λの選定方法を示す。
【0109】
図7は、血糖値の測定の場合について、本実施形態に係る血液成分濃度測定装置における第1の光源101と第2の光源105のそれぞれの波長の選択法を示す図である。
【0110】
図7は、光波長1.2μmから2.5μmにわたって、水及びグルコース水溶液(濃度1.0M)の吸光度(OD)を示している。吸光度ODは吸収係数αとの間に、α=ODln10の関係がある。図7の右側の縦軸に吸収係数αの目盛を示す。
【0111】
図7において、グルコース分子による吸収は、僅かに1.6μm近傍と2.1μm近傍に認められるが、グルコース分子による吸収は水に比べて、非常に小さい。
【0112】
水とグルコースの吸光度の差を図8の上側に示し、これを更に、水の吸光度で除した比吸光度を図8の下側に示す。
【0113】
図8に示す比吸光度によると、グルコース分子による吸収の明瞭な極大は、1608nmと2126nmに認められる。ここで、一例として、グルコース分子による吸収波長として、第1の光源101の波長λを1608nm(比吸光度は、0.114M−1)に設定する。これを、図8中に〇付きの縦実線で示した。
【0114】
ここで、波長1608nmにおける背景(水)の吸収係数α(b)は、図7から、0.608mm−1と読み取れる。そこで、α(b)=α(b)となる波長λは、同じく図7の水の吸収スペクトルから波長1381nm、あるいは波長1743nmである。これらの第2の光源105の波長λの候補の各々について、図8の比吸光度のスペクトルによって、α(0)の値を点検する。その結果、波長1381nmにおいては比吸光度が零であるが、一方、波長1743nmはグルコース分子の吸収帯にあり、比吸光度が0.0601M−1である。吸光度差α(0)−α(0)は、出来るだけ大きい方が測定が容易であるので、上記の場合、第2の光源105の波長λとして、1381nmを選定する。
【0115】
長波長側の吸収帯において、2126nmを第1の光源101の波長λ(比吸光度は0.0890M−1)に設定する場合、前述と同様の方法により、水分子が波長2126nmにおける吸収係数α(b)=2.361mm−1と等しい吸収係数を示す波長として、1837nm、あるいは2294nmがあり、これらの何れもがグルコースの吸収を外れている(図8中に縦点線で示した)ので、第2の光源105の波長λとしては1837nm、あるいは2294nmのいずれを選定しても良い。
【0116】
(第2実施形態)
図9は、本実施形態に係る成分濃度測定装置の概略構成図である。本実施形態に係る成分濃度測定装置230は、第1実施形態で説明した第1の光源101及び第2の光源105が、連続光を発生して出力することを特徴とする。以下、具体的に説明する。
【0117】
図9に示す成分濃度測定装置230の制御方法では、生体被検部110で発生する光音響信号を検出するための規格化用音波測定手順及び測定用音波検出手順が実行される。規格化用音波測定手順は、測定用音波検出手順の前、後又は同時のいずれのタイミングで行ってもよい。
【0118】
図9に示す成分濃度測定装置230は、生体被検部110で発生する光音響信号を検出するための構成を備える。例えば、成分濃度測定装置230は、測定用光発生手段としての第1の光源101及び第2の光源105と、光変調手段としての外部変調器231a、231bと、光出射手段としての照射ヘッド112と、音波検出手段としての超音波検出器113と、を備える。さらに、成分濃度測定装置230は、合波器109と、レンズ139及び140、音響結合器142、位相検波増幅器114、出力端子115を備えていてもよい。以上の生体被検部110で発生する光音響信号を検出するための構成及び動作については、第1実施形態と同様である。なお、本実施形態では、測定用光発生手段の一方を第1の光源101、測定用光発生手段の他方を第2の光源105として説明する。測定用光発生手段の一方を第2の光源105、測定用光発生手段の他方を第1の光源101としてもよい。
【0119】
第1の光源101及び第2の光源105は、水などの液体に対象成分であるグルコースが混合されてなる血液における水の呈する吸収が等しい異なる波長の光を発生して出力する。さらに、成分濃度測定装置230では、第1の光源101及び第2の光源105は、連続光を発生して出力する。第1の光源101及び第2の光源105が連続光を出力することで、第1の光源101及び第2の光源105の動作が安定し、強度変調光の光強度が安定性する。例えば、第1の光源101及び第2の光源105がDFBレーザであれば、第1の光源101及び第2の光源105の出力する強度変調光の安定性を約0.1%/hとすることができる。
【0120】
外部変調器231a、231bは、第1の光源101及び第2の光源105と照射ヘッド112との間に配置される。外部変調器231a、231bが第1の光源101及び第2の光源105と照射ヘッド112との間に配置されているので、生体被検部110からの戻り光の第1の光源101及び第2の光源105への入射を防ぐことができる。
【0121】
外部変調器231a、231bは、第1の光源101からの光と第2の光源105からの連続光を、一定周波数で互いに逆相に強度変調して出力する。外部変調器231aは、第1の光源101からの連続光を、発振器103の発振する予め定められた一定周波数で強度変調して出力する。外部変調器231bは、第2の光源105からの連続光を、発振器103の発振する予め定められた一定周波数で強度変調して出力する。ここで、180°移相回路107が、発振器103の発振する予め定められた一定周波数を逆相にする。このため、外部変調器231bの出力する強度変調光は、外部変調器231aの出力する強度変調光と逆相になっている。
【0122】
外部変調器231a、231bは、電気光学効果、音響光学効果、磁気光学効果、熱光学効果又は非線型光学効果によって連続光の振幅を変調することが好ましい。物質の光学特性を利用して連続光の強度変調を行うので、戻り光の第1の光源101及び第2の光源105への入射を阻止することができる。電気光学効果によって連続光の振幅を変調するものは、例えば、電気光学素子を備える電気光学変調器である。又、音響光学効果によって連続光の振幅を変調するものは、例えば、音響光学素子を備える音響光学変調器である。
【0123】
照射ヘッド112は、光出射手段として、第1の光源101からの強度変調光及び測定用合成光を生体被検部110に向けて出射する。これによって、合波器109からの強度変調光及び測定用合成光を生体被検部110に存在する血液に照射する。ここで、測定用合成光は、第1の光源101からの光の強度変調光と第2の光源105からの光の強度変調光を合成した光である。照射ヘッド112は、例えば、光ファイバによって生体被検部110の表面まで導いた先端である。
【0124】
本実施形態に係る成分濃度測定装置制御方法は、図9に示す成分濃度測定装置230に備わる制御回路(不図示)が、成分濃度測定装置230の各構成に、規格化用音波検出手順を行わせる。例えば、成分濃度測定装置230に備わる制御回路(不図示)が、第1の光源101、発振器103、外部変調器231a、合波器109、照射ヘッド112、超音波検出器113のそれぞれを機能させる。
【0125】
規格化用音波検出手順について説明する。第1の光源101は、連続光を発生して出力する。外部変調器231aは、第1の光源101の出力した連続光を強度変調して出力する。レンズ139は、外部変調器231aの出力した強度変調光を合波器109に入射させる。合波器109は、外部変調器231aからの強度変調光を照射ヘッド112へ導く。照射ヘッド112は、合波器109の出力する強度変調光を生体被検部110に向けて出射する。超音波検出器113は、生体被検部110に存在する血液で発生した規格化用音波を検出する。
【0126】
位相検波増幅器114は、超音波検出器113の検出する規格化用音波の光音響信号に比例する電気信号を出力端子115に出力する。成分濃度測定装置230は、規格化音波検出手順を実行することで、第1の光源101の出力する光によって発生した光音響信号を測定することができる。
【0127】
本実施形態に係る成分濃度測定装置制御方法は、図9に示す成分濃度測定装置230に備わる制御回路(不図示)が、成分濃度測定装置230の各構成に、測定用音波検出手順を行わせる。例えば、成分濃度測定装置230に備わる制御回路(不図示)が、第1の光源101、第2の光源105、発振器103、外部変調器231a及び231b、180°移相回路107、合波器109、照射ヘッド112及び超音波検出器113のそれぞれを機能させる。
【0128】
測定用音波検出手順について説明する。第1の光源101は、連続光を発生して出力する。外部変調器231aは、第1の光源101の出力した連続光を強度変調して出力する。レンズ139は、外部変調器231aの出力した強度変調光を合波器109に入射させる。第2の光源105は、連続光を発生して出力する。外部変調器231bは、第2の光源105の出力した連続光を強度変調して出力する。レンズ140は、外部変調器231bの出力した強度変調光を合波器109に入射させる。合波器109は、外部変調器231aからの強度変調光及び外部変調器231bからの強度変調光を合波して、測定用合成光を出力する。照射ヘッド112は、合波器109の出力する測定用合成光を生体被検部110に向けて出射する。超音波検出器113は、生体被検部110に存在する血液で発生した測定用音波を検出する。
【0129】
位相検波増幅器114は、超音波検出器113の検出する測定用音波の光音響信号に比例する電気信号を出力端子115に出力する。成分濃度測定装置230は、測定用音波検出手順を実行することで、第1の光源101及び第2の光源105の出力する光によって発生した光音響信号を測定することができる。
【0130】
出力端子115の出力する規格化用音波に比例する電気信号及び測定用音波の光音響信号に比例する電気信号を用いることで、対象成分であるグルコースの濃度を測定することができる。ここで、本実施形態に係る成分濃度測定装置及び成分濃度測定装置制御方法は、第1の光源101及び第2の光源105の出力強度の安定性を維持することができる。これにより、水溶液中における対象成分の濃度の測定が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本実施形態に係る成分濃度測定装置及び成分濃度測定装置制御方法は、液体中の成分濃度を測定する分野、例えば果実の糖度測定に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】第1実施形態に係る血液成分濃度測定装置の構成を示した説明図である。
【図2】生体内の音源分布の説明図である。
【図3】生体内の音源分布に係る形状関数の説明図である。
【図4】第1実施形態に係る血液成分濃度測定装置の光音響信号を示した説明図である。
【図5】第1実施形態に係る血液成分濃度測定装置の光音響信号を示した説明図である。
【図6】第1実施形態に係る血液成分濃度測定装置の光音響信号を示した説明図である。
【図7】水およびグルコースの光吸収特性と使用する光波長を示した説明図である。
【図8】水およびグルコースの光吸収特性を示した説明図である。
【図9】第2実施形態に係る成分濃度測定装置の概略構成図である。
【図10】従来の血液成分濃度測定装置の構成例を示した説明図である。
【図11】従来の血液成分濃度測定装置の構成例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0133】
101 第1の光源
103 発振器
104 駆動回路
105 第2の光源
107 180°移相回路
108 駆動回路
109 合波器
110 生体被検部
112 照射ヘッド
113 超音波検出器
114 位相検波増幅器
115 出力端子
139 レンズ
140 レンズ
142 音響結合器
201 照射光
202 音源
203 観測点
204 モデルA
205 モデルB
206 モデルC
211 第1の光源(λ1)の光
212 第2の光源(λ2)の光
230 成分濃度測定装置
231a、231b 外部変調器
601 第1の光源
604 駆動電源
605 第2の光源
608 駆動電源
609 合波器
610 生体被検部
613 超音波検出器
616 パルス光源
617 チョッパ板
618 モータ
619 音響センサ
620 波形観測器
621 周波数解析器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に対象成分が混合されてなる溶液における前記液体の呈する吸収が相等しい異なる波長の光を発生して出力する2つの測定用光発生手段と、
前記測定用光発生手段の一方からの光を予め定められた一定周波数で強度変調して出力し、かつ、前記測定用光発生手段の一方からの光と前記測定用光発生手段の他方からの光を前記一定周波数で互いに逆相に強度変調して出力する光変調手段と、
前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光、及び、前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光と前記測定用光発生手段の他方からの光の強度変調光とを合成した測定用合成光を、前記溶液の存在する被測定物に向けて出射する光出射手段と、
前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光によって前記溶液から発生する規格化用音波、及び、前記光出射手段の出射する測定用合成光によって前記溶液から発生する測定用音波を検出する音波検出手段と、
を備え、
前記測定用光発生手段は、連続光を出力し、
前記光変調手段は、前記測定用光発生手段と前記光出射手段との間に配置され、前記測定用光発生手段の出力する連続光を強度変調する
ことを特徴とする成分濃度測定装置。
【請求項2】
前記光変調手段は、電気光学効果、音響光学効果、磁気光学効果、熱光学効果又は非線型光学効果によって前記連続光の振幅を変調する
ことを特徴とする請求項1に記載の成分濃度測定装置。
【請求項3】
前記液体が水であり、
前記対象成分がグルコース又はコレステロールであり、
前記溶液が血液である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の成分濃度測定装置。
【請求項4】
液体に対象成分が混合されてなる溶液における前記液体の呈する吸収が相等しい異なる波長の光を発生して出力する2つの測定用光発生手段と、光変調手段と、光出射手段と、音波検出手段と、を制御する制御回路を備える成分濃度測定装置の制御方法であって、
前記制御回路が、前記測定用光発生手段の一方に光を出力させ、前記光変調手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光を予め定められた一定周波数で強度変調して出力させ、前記光出射手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光を、前記溶液に向けて出射させ、前記音波検出手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光によって前記溶液から発生する規格化用音波を検出させる規格化用音波検出手順と、
前記規格化用音波検出手順の前、後又は同時に、前記制御回路が、前記2つの測定用光発生手段に光を出力させ、前記光変調手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光と前記測定用光発生手段の他方からの光を前記一定周波数で互いに逆相に強度変調して出力させ、前記光出射手段に、前記測定用光発生手段の一方からの光の強度変調光と前記測定用光発生手段の他方からの光の強度変調光とを合成した測定用合成光を前記溶液に向けて出射させ、前記音波検出手段に、前記光出射手段の出射する測定用合成光によって前記溶液から発生する測定用音波を検出させる測定用音波検出手順と、
を有し、
前記規格化用音波検出手順及び前記測定用音波検出手順において、前記制御回路が、前記測定用光発生手段に連続光を出力させ、前記測定用光発生手段と前記光出射手段との間に配置されている前記光変調手段に前記測定用光発生手段の出力した連続光を強度変調させる
ことを特徴とする成分濃度測定装置制御方法。
【請求項5】
前記規格化用音波検出手順及び前記測定用音波検出手順において、前記制御回路が、前記光変調手段に、電気光学効果、音響光学効果、磁気光学効果、熱光学効果又は非線型光学効果によって前記連続光の振幅を変調させることを特徴とする請求項4に記載の成分濃度測定装置制御方法。
【請求項6】
前記液体が水であり、
前記対象成分がグルコース又はコレステロールであり、
前記溶液が血液である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の成分濃度測定装置制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−139097(P2009−139097A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312385(P2007−312385)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】