成形可能な製品の製造方法及び製造装置
本明細書に記載する教示内容は処理前に材料の部分を選択的に加熱するための方法及びシステムを提供する。これは材料内に加熱放射に対して感受性の成分及びそれほど感受性ではない他の成分を包含させることによるか、又は処理するべき材料の部分のみに加熱エネルギーを指向させることにより達成される。このような選択的加熱は材料を流動性又は他の処理可能な状態にするために必要な時間及びエネルギーを低減し、そして冷却時間を低減する。ターゲティングされた、方向付け可能な加熱システムも提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料を処理する方法、材料処理システム、及び処理可能な材料に関する。好ましい実施形態は、重合体製品及び好ましい実施形態においては電磁気放射を用いた選択的全厚み加熱のプロセスを介して製品材料のより効率的な製造を可能にする熱可塑性材料のような形成可能な製品を製造するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性材料の広範に受け入れられている定義は、「加熱時には軟化又は融着又は溶融し、冷却時には再度硬化することのできる材料」である。熱可塑性材料はほぼ全ての産業分野及びほぼ全ての消費製品において製品を形成するために広範に使用されている。熱可塑性重合体の処理では典型的には熱可塑性ペレットを使用し、熱エネルギーの適用により溶融/軟化/融着させ、その後再成形及び冷却を行う。変換プロセスのこの一次的な工程は例えば射出成形プロセスにおける販売可能状態の製品の形成をもたらす場合がある。しかしながら、一次的な工程はまた、二次的な工程の変換プロセスにおける使用のためのパリソン又はシートのような「中間的製品」の製造もたらす場合があり、パリソンの場合はブロー成形における使用、シートの場合は熱成形における使用を意図している。変換プロセスのこの二次的工程は熱可塑性材料の重要な固有の特性を利用しており、即ち、製品を形成するために材料の加熱、再成形及び冷却を含む。加熱、再成形及び冷却、の多くのサイクルを受ける熱可塑性材料の能力は、三次工程以降のための理想的なものとなっている。それはまた同様の処理工程を通じて一次製品の寿命の終了時まで材料のリサイクルを可能とする。
【0003】
製造及び熱力学的な見地から、熱可塑性材料の製品への変換における2つの重要なサブ工程は加熱及び冷却である。これは、加熱又は冷却の工程の一方又は他方が、殆ど全ての変換プロセスに関して律速である。即ちそれらが製造の速度を決定するという事実に起因する。その理由は熱可塑性材料の2つの別の典型的な特性、即ちそれらが典型的には不良な熱エネルギー伝導体(即ち絶縁性)であり、熱伝導性は典型的には0.1〜0.6W.m−1.k−1であること、及び、当然ながら再成形の間、サブ工程は取り扱いが容易ではなく、即ちそれらは冷却して典型的にはその脱鋳型温度と称される「硬化」するための時間を必要とすることによる。
【0004】
従来の熱可塑性変換プロセスにおいて、熱は典型的に放射または接触加熱を介して熱可塑性材料に移動される。放射エネルギー、一般的には赤外線と称されるものは、1〜10μmの波長を有しており、使用可能なエネルギーの半分が熱として散逸してしまうまでに約1〜2μmの深さまで吸収性材料中に貫通することになる。熱源からの、そして熱可塑性内部における熱の移動のプロセスは個体部室の場合は伝導、溶融した材料の場合は伝導、対流及び機械的混合の組み合わせを介したものである。接触加熱も同様に材料の「バルク」を加熱するためには熱い接触表面からの伝導(又は伝導、対流及び混合の組み合わせ)に依存している。
【0005】
このことにより、処理が起こる適当なレベルまで全容量の温度を上昇させるために材料の外部表面からその塊の中心まで熱を移動させる場合、かなりのタイムラグが生じる。これは加熱すべき材料が、大きい体積対表面積の比を呈する場合、例えば肥厚シートの場合に不都合である。従来の熱流動の主要な制約事項はワークピースの最大許容表面温度である。材料は外部から加熱されるため、材料表面の分解が起こりうる。
【0006】
更に、従来の装置において重合体材料を加熱するために要するかなりの時間は、材料の全体積にわたるその溶融をもたらす。
【0007】
一部の既知の処理の手法では以下のことを含む。
a)熱成形肥厚シート。伝統的な加熱手法はシートを熱源から定期的に取り外し「浸積」させること、即ち、材料が外表面において過剰に加熱されて分解することを防止するために熱エネルギーをより均等に分布させることを必要とする。
b)ブロー成型。この加熱手法はバルーン変形が望ましくない重合体材料の部分を加熱する傾向にある。従ってそのようなシステムは典型的には複雑な冷却機序、例えば冷風ジェットを使用することにより鋳型外部のパリソン領域を冷却状態で維持する必要がある。更にそのような従来の加熱システムを用いる場合、重合体体積の異なる断面を異なる温度に加熱することは現実的ではない。これは例えばブロー成型された製品自体内部に異なる物理的特性(例えば異なる直径、壁部の厚みを有する多数の区域、又は異なる温度にまで加熱すべき異なる材料よりなる区域)を発生させることが望ましい場合に好都合である。
c)押出成形。この場合、重合体を均一に加熱するために大型で高価で複雑な機械が一般的には必要となる。そのような機械は通常は回転スクリューのような装置による混合(高い剪断力を発生)と押出機のエレメントの加熱された内部の表面を通過する同時熱伝導の組み合わせを用いる。これらプロセスは非効率的であり、押出機のバレル及びヘッドの内部の重合体の処理時間は極めて長い。延長された処理時間は使用される重合体に対して、そして結果としては押し出された製品の物理的特性に対しても顕著な劣化作用を有する。更に、押し出された重合体製品の冷却においても問題点が存在し、例えば必要な冷却バスの長さ、冷却バス中で冷却されたのちの押出成形物の乾燥のためのブロワーを有する必要性、及び押し出された重合体材料に対する延長された加熱時間の作用を最小限にするために押出成形物中の加熱された重合体を迅速に冷却する必要性が挙げられる。
【0008】
自己強化プラスチック材料(例えばポリプロピレン又はポリプロピレン/ポリエチレン共重合体(非配向性)マトリックスを用いた高配向性のポリプロピレン繊維又はテープ)の種々の手段による処理、ここで材料の層の形成及び/又は結着を可能とする熱の適用が配向性を有する重合体の逆転および機械的特性の損失(前述した通り特に表面近傍)をもたらす場合がある。現時点での唯一の代替法は、材料を(共)重合体外層の軟化点/融点より高温に「熱浸積」するためにかなりの長時間に渡って(即ち熱が再分布できるための時間を設ける)熱のより低いレベルに材料の全体積を付すが、これを材料強化相変化点未満に維持することにより分子の配向性の逆転およびその後の性能の損失を最小限とすることである。
【0009】
このような系における熱移動の速度に適用される多くの基本的および実験的な方程式又は法則が存在しており、例えばフーリエの伝導法則およびニュートンの冷却法則が挙げられる。伝導熱移動プロセスに関連する熱移動の速度(RHT)は一般的に関係式:RHT=f(A,Ct,DeltaT)により説明することができ、式中Aは熱移動に使用可能な面積、Ctは材料の熱伝導度、そしてDeltaTは使用可能な温度の駆動力であり、これは加熱すべき材料の温度が上昇するにしたがって時間とともに低下することになる。前述の通り、未修飾の熱可塑性部室の熱伝導度Ctは固有に低値であり、このため、従来の放射又は接触による加熱の系においては熱移動を妨害する。更に、熱伝導プロセスは材料の全体積に渡ってこれを溶融させ、望ましくない温度勾配をもたらし、シートのような加熱される部分の厚みの分布又は幾何学的特徴に大きく依存する。比較対照すれば、マイクロ波は約12.2cmの波長を有し、これは赤外線の波長と比較すれば大きい。マイクロ波は使用可能なエネルギーが熱として散逸する前に、赤外線又は放射エネルギーと比較して吸収材料の中へ遙か深く、典型的には数センチメートル貫通することができる。マイクロ波吸収材料においては、材料を通過するマイクロ波の貫通の結果として、マイクロ波エネルギーは材料を「容量分析的に」加熱するために使用される。しかしながら、材料が良好なマイクロ波吸収材料でない場合は、それはマイクロ波エネルギーに対して本質的に「透明」である。
【0010】
マイクロ波は使用可能なエネルギーが熱として散逸する前に、数センチメートルまで吸収材料を貫通できる。マイクロ波加熱の利点は、急速でエネルギー効率よく容量分析的な即時の加熱、非接触性、非表面加熱(重合体分解の危険性を排除)を包含する。マイクロ波技術は食品の処理において、そして種々の材料の乾燥(水分除去)において長年適用されている。より最近では、マイクロ波開発は下記のような多くの代替分野におけるマイクロ波の産業上の利用を可能にしている。
a)プラスチック及びゴムの硬化及び加硫、
b)タイヤ及び鋳物用砂材のマイクロ波リサイクル、
c)重合体処理用のマイクロ波系水分測定及び乾燥、
d)採油のための油井砕石のマイクロ波支援処理及び再使用。
e)食産業のためのマイクロ波加熱および流動層技術の組み合わせ。
【0011】
多くの材料がマイクロ波の吸収により加熱されることができる。これは双極性加熱機序により達成でき、そして永久双極子及び/又は電荷が材料を通過して移動する振動する電磁波と共鳴して振動しようとする場合のそれらの刺激された運動を包含する。即ち材料は分子の撹乱とその後の近隣原子及び分子への熱の粘性の移動により加熱される。他の材料は、材料内部の電流の流れを電磁波の電場が刺激する場合のオーム(抵抗)加熱を介して加熱される。他のマイクロ波加熱機序はMaxwell-Wagnerおよび磁気加熱機序を包含し、そしてこれらはMeredith“Industrial Microwave Heating“,A.C.Metaxas and R.J.Meredith IEE,1983年5月(ISBN 0-90604-889-3)に記載されている。何れかの材料がマイクロ波フィールドの存在下に加熱される程度は、その誘電損失因子(その他、損失タンジェント又は複合的誘電体誘電率)、事実上は材料と電磁波の間の相互作用の強度の尺度により定義される。この加熱はバルク又は容量分析的な作用である。
【0012】
吸収剤もまた材料を電磁気放射(通常はマイクロ波)により加熱可能とするためのプラスチック材料中の添加剤としても使用できる。特定の特性を変化又は向上させるために重合体材料に添加される他の薬剤もまた重合体に進歩した加熱可能性を付与する場合がある。添加剤として使用されるマイクロ波の共通の吸収材料はカーボンブラックである。カーボンブラックはタイヤ摩耗向上のためにゴムタイヤに配合されている。この材料はオーム(抵抗)加熱を介して加熱される。
【0013】
吸収剤は材料を電磁気放射(受容性)、通常はマイクロ波により加熱可能とするためのプラスチック材料における添加剤としても使用できる。これらには、ゼオライト、タルク粉末、ZnCl2、ナイロン、銅及び他の金属粉末、酸化第1鉄、酸化マンガン、セラミックス及び酸化物(例えばCo2O3、MnO2、SiC、Al2O3、NaTiO3、MgTiO4等)が包含される。添加剤として使用されるマイクロ波の共通の吸収剤はカーボンブラックである。カーボンブラックはタイヤ摩耗向上のためにゴムタイヤに配合されている。この材料はオーム(抵抗)加熱を介してマイクロ波の場において加熱され、そして押し出されたゴムの硬化及び加硫を容易にするために使用されている。DCにおいてはタイヤ材料の抵抗はほぼ無限大となる。しかしながら重合体(材料中に包埋されたカーボンブラック粒子の間の誘電体として作用する)によりもたらされる浮遊容量は低いリアクタンスを有することになる。従って高周波数においては材料の有効抵抗は極めて低く、これらの容量性素子間に電流を流し、材料のI2R加熱をもたらす。特定の特性を変化又は向上させるために重合体材料に添加される他の薬剤もまた重合体に向上した「加熱可能性」を与える場合がある。
【0014】
より望ましい代替物は重合体鎖内に極性基(例えばCO)を取り込ませることにより重合体を受容性に設計することである。修飾された受容性重合体の主要な制約事項はその設計及び合成にあり、即ち、物理的、化学的および機械的な特性又は経費に悪作用を及ぼすことなく高い誘電損失を達成するための重合体マトリックスへの適当な受容性材料種(CO、ECO、EVA)の取り込みである。
【0015】
結論として、重合体材料は一般的に、誘電損失因子及び吸収が温度とともに上昇する(熱暴走)ため、弱吸収性であり、熱伝導性は不良であり、そしてホットスポットに対して無防備である。材料の理解が欠如していることが重合体処理におけるこのような材料の開発の妨げとなっている。添加剤は通常は明瞭な目視的、物理的又は化学的な作用を有しており、これは望ましくない場合がある。更に、増感剤として添加剤を使用する場合、不規則な結果を与え、そして重合体を損傷させる場合がある「ホットスポット」を回避するために均一な分布を達成しなければならない。前述のとおり、大部分の(一般商品の)プラスチックは吸収性は低値である。そのような材料を迅速に加熱するためには、マイクロ波を金属(反射性)キャビティ内で最適に限定することにより、定常波及び高い電場強度の形成を可能とする。しかしながら、より大きい「マルチモード」キャビティ(サイズ>86mm)における場のパターンは定常波であり、このため材料の不均等な加熱を誘発する非均一のホットスポットが存在する。マルチモードキャビティオーブンは場のパターンを攪乱してより均一な加熱を効率的経費において得るためにターンテーブル及びモードスターラーを使用しており、これでは重合体処理に必要な均一性のレベルは得られない。エネルギー密度における僅少な偏向が残存しており、そしてこれらは、熱分解を妨げるこれらの材料の熱暴走と不良な熱伝導性の組み合わせのために、重合体内で増幅される。結果として局所的溶融スポット及び分解が生じる。
【0016】
ワイドウエブの「乾燥」システムは屈曲した型のアプリケーターを使用しており、そこを材料が通過する。これはジグザグ型の長単一チャンバーの導波路である。マグネトロンをチャンバーの一端に位置させ、マイクロ波エネルギーを放出する。これがチャンバーを通過して供給され、ジグザグの各パスでそのエネルギーの約20%を損失する。チャンバーのもう一方の端部には水負荷が位置しており、残存エネルギーがあればそれを吸収する。正しい位置においてE場を通過するワークロードを確保するために、ジグザグの平面におけるアプリケーターの各パスの広面を通過してスロットを切り出す。電力の相対的に中程度の量であってもそれを消費するためには、アプリケーターはワークロードの数個のパスを生じさせなければならない。そのようなシステムにより発生する場の強度もまた相対的に低値であり、典型的には同様の電力の共鳴系よりも30倍低値となる。屈曲型システムは長い導波路長を用いているため、共鳴系として操作するように変更することができない。均一性を向上させるためには、発生した波があるパスから次のパスに協調しないように配置させるが、20%のパスからパスへの損失はエネルギー適用がなお均一ではないことを意味する。更に、マイクロ波発生装置出力の不安定性+スロット、ワークロード及び屈曲により誘発される逆反射が場のパターンを歪曲させ、非均一性をもたらす。この型のシステムは受容性が除去すべきエレメント(水分)により与えられるため乾燥用途に最も適している。水分が除去されたのち、材料は乾燥し、これにより非受容性となり、材料の熱暴走、過熱又は燃焼が防止される。適用されるマイクロ波エネルギーは非均一であり限定された制御を要する場合がある。即ち、このような系はこの用途のために必要な高度に均一でエネルギー効率及び電場強度を送達することができない。
【0017】
マイクロ波エネルギーは例えば湿潤布地のような平面構造を乾燥するために使用されている。水はマイクロ波感受性(特に2,456GHzの周波数において)であり、そして十分な時間に渡って十分なマイクロ波エネルギーに曝露されれば蒸発する。しかしながら、布地は典型的にはマイクロ波に対して透明であり、このため材料において本質的に唯一のマイクロ波感受性の成分である水にマイクロ波を集中させる。マイクロ波エネルギーは又、以下の参考文献に記載されている通り、他の材料を加熱するためにも使用されている。
【0018】
US-A-5,519,196は食品容器の内層として使用される酸化鉄、炭酸カルシウム、水、ケイ酸アルミニウム、エチレングリコール、及び無機質スピリット、を含有する重合体コーティングを開示している。コーティング層はマイクロ波エネルギーにより加熱でき、これにより容器中の食品の褐変又は焼灼を誘発する。
【0019】
US-A-5,070,223はマイクロ波感受性材料及び玩具中の蓄熱材としてのその使用を開示している。開示されているマイクロ波感受性材料はフェライト及びフェライト合金、カーボン、ポリエステル、アルミニウム及び金属塩を包含する。
【0020】
US-A-5,338,611は熱可塑性基板を結合するために使用されるカーボンブラックを含有する重合体のストリップを開示している。
【0021】
WO-A-2004/048463は電磁気放射の作用下に急速に加熱することができる重合体組成物及び関連する用途及び処理方法を開示している。
【0022】
例えば、「Method and apparatus for extruding polymers employing microwave energy」と題されたUS-A-2003/183972に記載されている通り、医療用製品の後のブロー成型のための重合体チューブの加熱及び処理においてマイクロ波を適用できることは当該分野で知られている。押出製品の成形の直前に押出機先端およびダイスユニット内の重合体供給材料を加熱するためにマイクロ波エネルギーを利用する重合体押出装置が開示されている。この方法は全材料を加熱する材料バルク全体に渡ってマイクロ波エネルギーを使用している。別の例はマイクロ波を使用して重合体の結合層に接着性を付与し、そしてこれにより重合体の2物品を溶接する(US-A-4795665)か、シール部を形成している(US-A-4600614)。
【0023】
EP-B-1115770はマイクロ波エネルギーに対する材料の受容性を増強するために材料に分子基を付加する、リバーシブル接着性関節を形成するための接着剤系を開示している。これは分子レベルにおいてマトリックス材料内にマイクロ波受容性成分を付加する(例えば共重合体化による)ことにより通常ではリバーシブルではない関節をリバーシブルにする方法を開示している。これの作用実施例はジフェニルメタンジイソシアネート及びポリエーテルポリオールを基剤とした水分硬化性のポリウレタン接着剤を用いている。これに受容体材料種、本例においては臭化リチウム/トリアミノエチルアミン複合体を添加している。受容体を接着剤成分とブレンドした後に3質量%で鋳造する。この開示の場合は、マイクロ波受容性の成分は、接着剤が弱化(分子鎖切断による)して部品の剥脱が可能となるような化学反応をトリガーするように設計されている。
【0024】
重合体材料を加熱するためのマイクロ波の使用の重要な限界は多くの有用な重合体の低いマイクロ波受容性である。即ち重合体の低マイクロ波受容性は、そのような重合体系を加熱するためには高電力又は長時間の放射の何れかを必要とする。マイクロ波吸収のために特別に設計された重合体においては、そのマイクロ波特性と機械的又は熱的な特性の間に矛盾がある場合が多く、即ち、機械的及び熱的な特性は望ましい程度に満たない場合が多い。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、重合体及び熱可塑性材料のような形成可能な製品を製造するための進歩した方法及びシステム、及び形成可能な材料を提供することを目的としている。
【0026】
本発明の特徴によれば、請求項1、3、5、7、9又は11において特定した材料を処理する方法が提供される。
【0027】
本明細書に記載した方法は処理すべき材料の一部分のみを加熱して製品を形成することを可能とする。その結果、処理すべき材料内に投入する必要があるエネルギーの量が少なくなり成形の後に製品を冷却するために必要な時間を含む製品製造に要する時間が従来技術のシステムと比較して実質的に低減される。本発明者等による初期試験によれば製造時間の顕著な低減、及びその結果としての経費及びエネルギーの節約が示された。
【0028】
材料の第1及び第2の部分の差別的加熱は、後述する通り、第1及び第2の部分を形成する材料の特性により、及び/又は材料のターゲティングされた加熱により行うことができる。
【0029】
1つの実施形態において、材料は少なくとも第1及び第2の層から形成され、各層は材料の前記第1及び第2の部分の一方又は両方を含む。
別の実施形態において、第1及び第2の部分は第1及び第2の顆粒材料から形成される。
【0030】
好都合には、前記第1の部分を差別的に加熱する工程は前記第1の部分を溶融させる。
【0031】
一部の実施形態においては、方法は前記第1の部分からの伝導性又は対流性の熱移動により前記第2の部分の加熱を行う工程を包含する。伝導性又は対流性の加熱は第2の部分を溶融させてよい。
【0032】
差別的加熱工程は材料の実質的に全体に対して熱エネルギーを適用してよい。これは電磁気エネルギーにより、例えばマイクロ波放射により行ってよい。
【0033】
ある実施形態は少なくとも、
a)前記電磁気エネルギーを前記材料に渡って実質的に均等に分布させること、又は、
b)前記電磁気エネルギーを材料の選択された領域に向けてターゲティングすることによりそれらの領域を加熱すること、を包含する。
【0034】
材料の第1の部分は材料の全体に渡って実質的に均等に分布していてよく、或いは、それは材料の可変温度プロファイルを達成するために局所的に位置していてよい。
材料の第1の部分を加熱する工程は好ましくは全材料が混合、移動、成形、刻印、注入又は押し出されて製品を形成することを可能にする。
ある実施形態において、方法は低分子量重合体、オリゴマー又は単量体に対して実施される。
【0035】
材料は好ましくは、
電磁気放射により加熱可能な材料の1つの相であって、前記相が第1の部分となるもの、
異なる程度まで電磁気放射により加熱可能な2つ以上の相であって、前記相が第1及び第2の部分であるか、これらを包含するもの、の1つ以上を包含する。
材料は層状の材料、顆粒、液体又はゲルであるかこれらを包含してよい。
部分は異なる層、異なる顆粒成分、異なる液体又はゲルであってよい。材料は結晶性、半結晶性又は不定形の重合体であってよい。
ある実施形態においては、材料は好ましくは射出成型、押出、押出ブロー成型、トランスファ成型又は射出−膨張成型の少なくとも1つを包含する溶融処理手法により処理される。
【0036】
差別的加熱工程は材料のターゲティングされた加熱をもたらすことを包含してよい。そのようなターゲティングされた加熱は処理すべき材料の部分に加熱エネルギーを方向付けることにより提供されてよい。可動アンテナ組立物が提供されてよい。
【0037】
好都合には、第2の部分は前記差別的加熱工程後に前記第1の部分から熱エネルギーを吸収するための熱シンクとして作用する。これは材料の加熱される部分の温度の低減、そしてその結果としての処理時間の低減において支援的であるという顕著な利点を有する。
【0038】
本発明の別の特徴によれば、請求項54、56、58又は60に特定する材料処理システムが提供される。
【0039】
本発明の別の特徴によれば、請求項83、85、87又は89に特定する処理可能な材料が提供される。
【0040】
本発明の別の特徴によれば、処理されるべき材料の一部分のみが所要の処理温度まで加熱されるが、少なくとも1つの他の部分は前記温度未満に保持されるように材料を差別的に加熱する工程、及び材料を処理する工程を包含する熱可塑性材料を処理する方法が提供される。
【0041】
本発明の別の特徴によれば、処理されるべき材料に対して選択的加熱を与えるための手段を包含する熱可塑性処理システムが提供される。
【0042】
本発明の別の特徴によれば、本明細書に記載する方法により得ることができる製品が提供される。
【0043】
好ましい実施形態は異なる材料の相対的受容性を利用しており、種々の幾何学的特徴及び割合におけるその組み合わせを介して、
a)選択的加熱、
b)エネルギー密度及び位置を変動させる能力、の作用を示す。
【0044】
当然ながら、「加熱の」及び「非加熱の」という用語は相対的な用語であり、加熱にはスライディングスケールが存在する場合がある。更に当然ながら、熱という用語は温度における上昇を意味することを意図している。
【0045】
従来技術の鋳造手法は流動させなければならない材料の全体を加熱していたが、本発明者等は、多くの場合において材料のある割合のみを溶融又は軟化又は融着すればよいことを発見した。その割合が十分である限り、材料バルクは流動することができ、鋳型への、又はダイスを通過する材料の形成の材料の移動を可能にし、材料をその最終製品形態に成形することができる。加熱対非加熱の材料の相対的割合は本発明を適用するプロセスおよび形成される製品の性能基準により決定される。例えば、高度に強化された圧縮成型製品については5%加熱及び95%非加熱程度の低値であってもよく、逆に非強化の熱成形製品では95%加熱及び5%加熱であってよい。
【0046】
電磁気放射(マイクロ波)に非受容性の材料及び自身の自然の状態において、或いは何らかの後処理又は添加剤の添加を介して受容性となったものを選択し、そして何らかの形成において2材料を組み合わせることにより、熱エネルギーを(マイクロ波エネルギーに対して)「受容性」である成分のそのような部分のみに適用する機会が存在するようになる。これにより、低減されたエネルギー必要性及び全体的サイクル時間に由来するもののみならず、処理及び製品/材料の物理的及び化学的性能の点においても、多くの機会が生じる。
【0047】
本発明者等は多数の構造が選択的加熱プロセスにより処理されることから利益を得ると推定し、これらは他の重要性マトリックス材料により包囲された高度に分散された非受容性の粒子から、マイクロ波エネルギーに対して種々の程度の重要性を有する材料の高度な秩序を有する予め定義された領域に至るまでの範囲に渡ることができる。
【0048】
即ち、好ましい実施形態の1つにおいて、バルク材料は加熱段階の間、ある割合を、非軟化又は非融合、又は非溶融の状態に保持する。しかしながら、より固形性又はより高硬度を維持するバルク材料の割合又は部分は、好都合にも、加熱可能な部分が軟化、又は溶融、又は融着してしまった後は、バルク材料全体が実質的に均一に流動することを可能とするような形態、形状又はサイズのものとなる。
【0049】
好ましくは、加熱は電磁気エネルギーにより提供され、それはマイクロ波放射によるものであってよい。
【0050】
好都合には、電磁気放射の周波数及び/又は波長は加熱されるべき材料の部分とより強力に相互作用するように選択される。1つの実施形態において、電磁気エネルギーは材料の選択された領域にのみ向かうように指向され、これらの領域を優先的に加熱する。これらの概念から推定して、本発明者等は、材料を加熱するため、そして材料内に所望の温度パターンを誘導するために、ターゲティングされた、又は制御された可変電磁気放射の制御された使用を提供する方法及びシステムを考案している。そして更に、これはブロー成型、熱成形等のようなプロセス操作中の材料の制御された伸展を可能にし、3次元の部品を形成させる。材料の所定の両域が到達した熱的状態の結果として種々の程度まで伸展する場合、部品の設計は、材料の使用を最適にするために予め決定することができる部品の全領域における最適な厚みから利益を得ることができる。例えば、現在は高深度に吸引された部品が関与する場合、材料は通常は、最終部品の高深度吸引壁部面が特定の最低厚みに到達可能とするために肥厚シートの初期形態をとる。そのような従来のプロセスにおいて、材料は均一に加熱され、膜の等しい「伸展性」がもたらされ、そしてこれにより、壁部面部の厚みは操作中に顕著に減少するが、部品の基部は肥厚したまま残存する。その結果、材料は事実上、無駄になる。形成操作中に壁部面と相対比較して高温をそのような部品の基部に導入することにより、この無駄の問題は克服されるか、実質的に低減される。
【0051】
電磁気エネルギー密度、雰囲気及び温度は重合体の処理を最適にするために好ましく制御される。
好都合には、電磁気吸収相の曝露は上昇した温度に作用される。
【0052】
好都合に加熱された材料の部分は全材料を混合、移動、成形、刻印、注入又は押出可能として製品を形成し、材料は一般的に均一に流動可能な態様において挙動する。
【0053】
好ましくは方法は低分子量重合体、オリゴマー又は単量体に対して実施する。加熱工程は単量体又は低分子量重合体の現場重合を誘導することができる。
【0054】
好ましい実施形態において、材料は、
a)電磁気放射に対して有効に透明であり、従って実質的に非加熱可能である1つ以上の材料の相、及び、
b)電磁気放射により加熱可能な1つ以上の相、又は、異なる程度まで電磁気放射により2つ以上の加熱可能な相、の1つ以上を包含する。
【0055】
加熱可能な相は非加熱可能な相と同じ重合体の性質であるが、吸収性となるように修飾されていてよい。吸収可能な材料は全体又は部分的に合成又は天然の重合体材料であってよい。ある実施形態においては、材料はカーボンブラックである。
【0056】
好ましくは、材料は粉末、顆粒、ペレット又は非均等のチッピング、液体又はゲルの形態である。材料は結晶性、半結晶性又は不定形の重合体であってよい。一部の実施形態においては、材料は1つ以上の着色料、強化用又は増量用の充填剤、及び機能的添加剤を包含する。機能的添加剤は難燃剤、充填剤、処理補助剤、ナノ充填剤はナノ複合材料等を包含してよい。
【0057】
好ましくは、溶融処理手法を使用して材料を処理し、これは射出成型、押出、押出ブロー成型、又はトランスファ成型射出膨張成型であってよい。
【0058】
本発明は又、処理すべき材料に選択的加熱を与えるための手段を包含する製品処理システムにも関する。
【0059】
本発明者等は一部の材料はマイクロ波下に容易に加熱され(特に永久双極子モーメントを呈するもの)、そして一部はそうではない(選択的加熱として知られる現象)という特性を利用することにより、熱可塑性及び他の先進的な材料の製造が実質的に向上され得ることを発見した。本発明の好ましい実施形態は当該分野で知られたそのような方法の効率を向上させることを目標としており、最終製品の形状を形成するために必要な材料のある領域又は割合のみの選択的加熱を可能とする。
【0060】
本発明の別の特徴によれば、加熱すべき材料のためのチャンバーを包含する。材料の部分的加熱によりそれを流動性とするためのシステム、ターゲティングされた加熱とは前記チャンバー又は標的材料の部分に対して、そしてこれにより内部の材料の部分に対して熱エネルギーを適用するために操作可能なターゲティングされた加熱手段が提供される。好ましくは、前記加熱手段は複数の前記部分に対して熱エネルギーを適用するために操作可能である。
【0061】
好都合には、前記加熱手段は前記チャンバー又は標的材料に対して相対的に移動可能又は調節可能である。
【0062】
即ち、好ましい実施形態は、熱可塑性材料の体積のある割合を選択的に加熱することによる電磁気エネルギーを使用した材料のより効率的な変換の概念を指向しており、ここでその割合は材料を、例えば何れかの後の(下流の)形成(及び冷却)の手法のような何れかの選択された手段により、処理可能とするために十分なものである。「処理可能」という用語はバルクプラスチックが混合、移動、成形、刻印、注入又は押し出されること等により製品を形成できるように、熱可塑性材料のある割合の十分な溶融状態又は軟化をもたらすことを意味することを意図している。材料(本明細書においては「基板」と称する)の加熱は、電磁気(特にマイクロ波)エネルギーへの材料の曝露により達成され、この型の放射は基盤の全体積に渡って貫通し、条件が良好である領域において優先的に吸収されるという能力を有する。
【0063】
電磁気放射(例えばマイクロ波)を適用することにより、このようにして体積/バルク又は部分の所定領域において極めて局所的に熱が発生する場合がある。このようにして適用されたエネルギーの量は、他の領域は使用する放射線に対して透明である非吸収性材料よりなる場合があるため、慎重に制御及び集中させてよい(例えば未処理のポリプロピレン及びポリエチレンはマイクロ波放射に対して透明である)。このようにして、使用エネルギーを低減し、サイクル時間を短縮し、そして最終材料の機械的及び他の特性を種々の条件及び用途に対して適合させ最適化してよい。
【0064】
好ましい実施形態は、電磁気エネルギーの吸収に関して良好及び非良好の両方の部位が材料内部に存在するように、意図的に材料及び/又は加熱手法を操作する。良好な吸収性の部位は電磁気エネルギーの作用下に容易に、そして急速に加熱されるのに対し、非吸収性の部位のそのような挙動は遙かに低値である。換言すれば、基板の体積の特定の割合のみが他の領域または部分と相対比較して電磁気エネルギーにより強力に作用を受ける。即ち、処理すべき材料内部の「ホットスポット」の形成として達成される作用を説明することができる。しかしながら、従来のmw加熱システムにおいて、不都合なことに、ホットスポットはエネルギー密度の非均質な分布に起因して起こる。本発明者等の推測によれば、高い強度の制御された均一なエネルギー(単一モードを使用する)の適用を利用することによりホットスポット化を克服し、そして選択された区域が信頼性高く予測可能に加熱できるようになる。
【0065】
この選択的吸収は多くの特徴を生じさせる。第1に、電磁気エネルギーは基板のある特定の領域のみと相互作用し、そしてこれらは電磁気エネルギーが存在する場合に温度を上昇させる。バルク材料内の近隣の作用を受けない領域の加熱は熱伝導の作用及び他のそのような機序により後に起こるのみである。バルク材料のより少ない体積が実際には加熱されるため(そしてより高速でより効率的な手段により)、遙かに迅速及び/又は潜在的に低エネルギー使用において、処理可能な状態まで材料を変換できる。更に、全バルク材料が加熱されれば、材料は通常存在するよりも低い熱エネルギーを含有することになる。即ち、かなりのエネルギー節約になる。更に、変換のプロセスのための時間もかなり節約される。マイクロ波加熱機序がバルク全体に渡り急速に生じるためのみならず(通常のより緩徐な熱伝導方法とは対照的である)、より少量を加熱するために、加熱サイクルが低減される。冷却サイクルも又、処理後に材料の未加熱領域がヒートシンクとして効果的に作用することにより近隣の加熱領域から熱を引き出し、バルク材料の全体冷却速度を顕著に増大させるため、やはり低減されるのである。
【0066】
好ましい実施形態は熱可塑性重合体材料の選択的/マイクロ波加熱のために使用できる。重合体処理に関しては本技術は設計者及び処理者に対して、
a)下記に対する選択的加熱(選択的エネルギー吸収)、
バルク全体内部の特定の重合体ブレンド、
バルク材料内の特定の領域(例えばブロー成型又は真空形成作業)、
工具及び副次的機材のような処理装置の他のエレメントではない試料材料、或いは回転成型のような処理手法のための工具及び副次的機材、
b)迅速な全厚みに渡る加熱(エネルギー貫通)、
c)極端に低減した加熱/冷却のサイクル時間(高速)、
d)高いエネルギー効率、
e)他の環境上の利点−低減された排出(乾燥及び無煤煙のプロセスである)及び増大したリサイクルの潜在性(自己補強型単一材料成分のより広範な使用を可能にすることによる)、
f)自己補強部分における特性の温存(逆転の危険性の低減)、
g)増大した生産性、
h)向上した部分の品質及び強度、
i)サーマルプロセス内の滞留時間の減少による熱分解の最小限化、及びこれにより重合体調合物中の熱安定化添加剤の低減、
h)ターゲティング又は制御された可変の加熱を介した材料の最適な分布、特に厚み、
を包含する多くの利点を与える。
【0067】
従って、本明細書に記載した教示内容はマイクロ波エネルギーを用いた重合体の急速で容量分析的な加熱を容易にするプロセスおよび重合体材料を提供することができる。更に、それらは、バルク材料を流動可能とすることにより重合体の成形又はその後の処理を容易にするために十分な、重合体材料の一部分のみを加熱又は溶融する能力を有するプロセス及び重合体材料を提供することができる。
【0068】
本発明の実施形態を下記の添付図面を参照しながら、単なる説明のために、以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】材料の選択的加熱を提供することを意図した材料の構造の実施形態の概略図である。
【図2】図1に示した構造の実施形態の特定の例の概略図である。
【図3】本明細書に記載した選択的加熱の方法又はシステムにより達成可能なサイクル時間の低減を示すグラフである。
【図4】選択的加熱の1つの実施形態のグラフである。
【図5a−5e】マトリックスに対する加熱の作用を示す。
【図6】内包する材料にターゲティングされた加熱エネルギーを適用することができる調節可能な加熱オーブンの実施形態の例を示す。
【図7】除去可能な、又は可動アンテナの作用を示すグラフである。
【図8】マイクロ波の周波数のピークに吸収スペクトルの所望の重複させたグラフである。
【図9】本明細書に記載した概念による製品の形成の実際の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本明細書に記載した教示内容は処理前の材料の選択的加熱部分に関する方法及びシステムを提供する。これは加熱放射に対して感受性である成分及びそのように感受性ではない他の成分を材料内に包含することにより、又は、処理すべき材料の部分のみに加熱エネルギーを指向させることにより達成される。そのような選択的加熱は材料を流動可能な、又は別様に処理可能な状態とするために必要な時間及びエネルギーを低減させ、そして冷却時間を低減する。
【0071】
好ましい実施形態は種々のスケール(寸法)において実施できる。処理可能な構造の1つの実施形態の基礎となる原理を図1に模式的に説明する。
【0072】
実施形態は所定の周波数において重合体及び他の材料が吸収する、或いはしない能力、及び、狭小な領域(分布)の波長のマイクロ波の手法の潜在性を利用している(即ち、後に詳述する特定の周波数に「調整」又は「脱調整」する能力)。
【0073】
選択された加熱の概念の1つの実施形態において、1つ以上のマイクロ波感受性重合体を多層構造の個別の層(又は数層)として組み込み、その際その層が後の加工の前に優先的に加熱されるようにしてもよい。即ちこの実施形態において、処理すべき材料は、熱エネルギーに対して少なくとも2つの異なる受容性を有する種々の層を構成する。マイクロ波の適用の後、次に、熱エネルギーを受容性(吸収性)の層から、マイクロ波エネルギーに対して本質的に「透明」である重合体(未修飾)隣接層に伝導され、これにより全体としての重合体構造が従来の加熱システムよりも迅速に必要な加工温度まで到達することになる。この実施形態の1つの特定の例は3層(A/B/A)多層構造であり、その場合、A層はマイクロ波エネルギーに対して本質的に透明であるのに対し、B層はマイクロ波エネルギーに対して感受性である。そのような構造は、B層が優先的に加熱され、次に熱エネルギーがA層に伝導されるような態様において、マイクロ波により加熱することができる。
【0074】
この構造は、例えばAB又はABA構造として示すことができ(図1参照)、ここでAは受容体であり、そしてBは非受容体である。この構造は一般的には共押出しプロセスを用いてこのような断面を有するシートを作成し、潜在的にはシートをスリット化して所望により後に織成することができる多数のテープとすることにより製造される。この代替としては、編成に適する環状の繊維を作成するための同様の態様における繊維コーティングを用いた共押出し法である。
【0075】
図2に示す特定の例においては、重合体の外層12、14を、内層16、18、20と比較して選択的に加熱する。本実施形態においては、熱受容性間質層22、24、26、28も提供される。これらは同じ材料であることができ、外層12、14として形成されるが、他の材料/構造であることも想定される。また、相互を含む異なる材料及び/又は構造であることができ、これにより、何れかの一つの用途において要望どおりの異なる成形特性を与えることができる。
【0076】
図2の例においては、外層12、14はポリプロピレン/ポリエチレン共重合体であってよく、構造は好ましくは配向性付与された材料、例えば自己強化ポリプロピレンを包含する。本実施例においては、内層16、18、20は好都合には繊維の形態の配向性ポリプロピレンである。
【0077】
1つの実施例において、物理的特性の温存が望まれる場合、本発明者等は配向性相の逆転を制限及び/又は制御するための選択的加熱の使用を発見した。これはより速いサイクル時間及び/又はより肥厚した処理すべき成分断面を可能にする。
【0078】
概念はそのような材料から部分を製造することができ、且つ自己強化材料の特性を保持することができるマイクロ波処理の能力を包含する。これは配向性コア重合体層16、18、20の表面上の薄層共重合体コーティング12、22、24、26、28、14をマイクロ波吸収性とすることにより達成される。これにより処理段階におけるその急速な加熱が可能となる。しかしながら、メルトフローを用いることにより、そして単に層を接着的に共に連結する経路としてではなく、材料を処理可能とすることを本発明者等は想定しているため、好ましい実施形態は上記を超越しているのである。材料の別の例は下記を包含する。
a)受容性重合体、
b)受容性重合体/非受容性重合体(2種の異なる重合体)又は同じ重合体の2つ以上の相を包含できる、
c)受容性重合体/非受容性非重合体(例えばGFナイロン)、
d)非受容性重合体/非重合体受容体。
【0079】
「受容性」及び「非受容性」という用語は相対的な用語であり、適用する電磁気エネルギーの周波数を包含する多くの要因に関連している。従って相対的受容性は両方とも受容性であるがその程度が異なっている材料の2つ以上の相も意味することができる。さらにまた、「受容性重合体」という用語の使用はブレンド、コンパウンド化、混合、グラフト又は他の添加手法による受容性材料種の添加を伴った非受容性も包含する。
【0080】
当然ながら、材料の受容性の特徴はその温度により頻繁には顕著に改変され、そしてこのため、その材料の相の総体的受容性はその温度に強く依存することになる。この作用は、特に単一の材料相が望まれる場合に、プラスチック材料の選択的加熱を達成するために受容性の二面性を誘導するために使用される。
【0081】
上記の通り、受容性重合体の例はポリアニリン及びナイロンである。非受容性重合体の例はポリプロピレンである(「非受容性」とは、本発明者等は低受容性、即ち好ましい実施形態においてはマイクロ波により容易には加熱されないことを意図している)。
【0082】
有効誘電損失ε”はマイクロ波エネルギーによる材料の加熱可能性の尺度を与えるものであり、そして、材料内部の誘電緩和(効果上は移動する電荷、又は電流)による材料中のエネルギーの全体的損失に起因する。誘電損失が大きいほど、材料はより加熱される。相対的誘電定数はε’(実際の誘電定数ε=ε0.ε’)と表記され、式中、ε0は自由空間における誘電定数である。損失タンジェント、tanδ=ε”/ε’は効果的には誘電損失ε”の尺度であるが、材料の誘電定数に対して規格化される。
【0083】
【表1】
【0084】
表1。数種の重合体に関する0.1、1および3GHzにおける誘電特性。入手元:Industria Microwave Heating、A.S.Metaxas&R.J.Meredith、1983。太字のデータが最も重要である。*0.3GHz。Φ=積層物に平行な場。$デュポンナイロンFM10001。
【0085】
別の例では上記と同じ原理であるが低分子量の重合体/オリゴマー/単量体に対するものを使用し、単量体又はLMW重合体の現場重合を誘導するためにマイクロ波エネルギーを使用する。例えば、未重合又は部分的に重合した材料の成形は重合、硬化又は他の化学反応を完了するためにマイクロ波エネルギーを使用できる。
【0086】
即ち受容性重合体/非受容性重合体の組み合わせの例はポリアニリン/ポリプロピレンである。受容性重合体/非受容性非重合体の組み合わせの例はガラス充填ナイロンである。
【0087】
「Microwave Welding of Thermoplastics, RJWise and IDFroment,2001」において、著者等はマイクロ波放射を用いて非受容性の熱可塑性部分を共に溶接可能とするために熱可塑性マトリックス内におけるマイクロ波吸収添加剤の使用を考察している。そのような溶接用途のためには、これらは通常、マイクロ波場の存在下のポリエチレンのような非受容性材料の成分の連結を容易にするためのマイクロ波受容性インプラントを製造するために受容性マトリックス(この場合はポリアニリン)内で使用される。カーボンブラック材料は加速硬化(加硫)の目的のために電磁気放射による放射の前に未硬化のゴムと混合されている。これは非受容性マトリックスと受容性添加剤の組み合わせの例であり、即ち非受容性重合体/非重合体受容体である(この場合、非重合体が電磁気エネルギーを吸収する)。
これらのプロセスは典型的には2450MHzの放射周波数を使用する。
【0088】
材料の受容性を増大するために当前記分野で使用されている添加剤はかなり狭小なバンドの応答を電磁気エネルギーに対して呈することができる。これは特定の受容性相(狭小なバンドの受容性の添加剤をある程度含有する相)に対し、選択的に周波数を合わせる、及び/又は周波数を外す機会を大きくする。
【0089】
選択的加熱は好ましい実施形態においては内部冷却の作用を介してサイクル時間を減少させることができる。内部冷却は非受容性材料の範囲を含有する応答性材料のマトリックスへの選択的加熱の適用を包含する。これは多くの重合体変換プロセスが関与している場合、例えば押出、ブロー成型、射出又は圧縮成型の場合に好都合である。
【0090】
例えば、ガラス充填ナイロン(ガラスが非受容性相であり、ナイロンが受容性の重合体マトリックスである)の場合は、ナイロンは広範なバンドの周波数に渡って、又は特に2450MHzにおいて電磁気放射により加熱される一方、ガラス相は放射に対して効果的に透明であるので(重合体及び非重合体の相の間の熱移動の通常の作用とは関わりなく)未加熱のまま残存することになる。従来は熱伝導加熱機序は2つの相の間の判別を行わないため、重合体及びガラスの両方が加熱されていた。従って高周波の電磁気(例えばマイクロ波)加熱の使用を介してガラス相によるエネルギーの吸収を回避することは、操作の全体的エネルギー経費の節約を可能にする。更に、マイクロ波エネルギーは受容性材料を急速および選択的に加熱することにより受容性材料を加熱するために使用できる。通常の熱伝動プロセスと相対比較した場合の吸収性の相によるマイクロ波エネルギーの急速な取り込みは、加熱段階の持続時間を短縮化する。
【0091】
マトリックス材料が流動/形成のための十分な熱エネルギーを有すると、急速形成の後に冷却期間を設け、その間、2種の材料が急速な熱的平衡状態に到達することになる。方法は伝統的な方法と比較した場合、流動性を達成するための処理すべき材料への正味熱エネルギー投入量を低下させる。従ってこれにより、製造された部分を処理システムから取り出すことができるようになる前の冷却段階の間に材料及び周囲システムから除去することが必要な熱エネルギーを低減する。
【0092】
例えばガラス充填ナイロンの射出成型の場合、臨界射出点においては、バルク材料の十分量が溶融して粘性流動を可能とするのに対し、非受容性(ガラス)相は固体、又は高粘度のまま、溶融重合体マトリックス材料の温度より低値に残存するが、しかし、それは形成可能であり、一部の場合においては溶融相とともに流動するのである。次にバルク材料を急速に鋳型内に射出し、その時点で冷却固化を開始する。この場合、非受容性相(この例においてはガラス)はその周囲の溶融マトリックス(ナイロン)よりもかなり低温にあり、そしてマトリックスから熱を引き出すためのヒートシンクとして作用する。これによりバルク材料の温度の急速な平衡化がもたらされ、処理すべきバルク材料の全体を加熱する従来技術と比較して有意に低減した冷却時間及び有意に低減した全体的サイクル時間がもたらされる。本発明者等は高度にガラス充填された材料の場合は処理は高固体体積画分、及びそれに伴う高いバルク密度においてさえも、なお可能であることを観察している。従って本明細書において教示した方法の効果は大きいと考えられる。
【0093】
そのようなプロセスは多くの材料と受容体の組み合わせに対して功を奏すると考えられる。そのような組み合わせの1つは重合体粒子を包含する材料であってよく、各粒子は粒子周囲の受容性の相の外皮を有する電磁気エネルギーに対して透明な非受容性相のコアを包含する。
【0094】
図3は本明細書に記載した方法及びシステムを用いて可能となるサイクル時間に関する利点を示す時間に対する温度のグラフを示す。温度は加熱エネルギーに対して受容性である領域のものである。
【0095】
本明細書に記載する教示内容は重合体、受容性の相の性質、粒子形態の要因(幾何学的特徴)、又は本明細書に記載する例のパーセント重量に限定されない。
【0096】
例えば、それらを使用することにより本明細書の導入において上記した過去の出版物に開示された従来技術のプロセスを、特に上記文書に開示された成形装置のために必要な追加的事項との関連において、改良することができる(好ましい実施形態においてはマイクロ波加熱段階の設定による)。
【0097】
この機会は本発明者等が選択的加熱と称していた概念を導入する。熱可塑性重合体材料は、粘性の溶融物内に高い固体含有量を含有しつつ成形されるために十分流動性であることが知られており、例えばガラス充填ナイロンの射出成型が挙げられ、この場合ガラス含有量は50重量%を大きく超過することができる(例えばTicona Celstran PA66-GF60-01014P10/11及びDuPont Zytel75LG60HSLBK031)。この状況はバルク材料が粘性流動が可能な程度に十分加熱される場合の溶融マトリックス材料内部の固体粒状材料の形成を示すものである。この場合において、材料全体(ガラス充填剤及び重合体マトリックス)を成形の前に同じ温度まで加熱することにより、より少ない熱を抽出することが必要となることを介して低減されたサイクル時間における最小限の利点を与える。選択的加熱の場合、本発明者等は材料を新しい形態に成形又は変形(流動)可能とするために物理的に必要である材料の一部分のみを加熱することを提案する。これは上記したガラス充填重合体の例の場合においてガラスを除いて重合体のみを加熱することに類似しており、これは選択的加熱の目標である。
【0098】
電磁気放射(マイクロ波)に非受容性の材料及び自身の自然の状態において、或いは何らかの後処理又は添加剤の添加を介して受容性となったものを選択し、そして何らかの形成において2材料を組み合わせることにより、熱エネルギーを(マイクロ波エネルギーに対して)「受容性」である成分のそのような部分のみに適用する機会が存在するようになる。
これにより、低減されたエネルギー必要性及び全体的サイクル時間に由来するもののみならず、処理及び製品/材料の物理的及び化学的性能の点においても、多くの機会が生じる。
【0099】
〔選択的加熱から利益を得る材料の構造〕
多重構造は選択的加熱プロセスにより処理されることから利益を得ることができ、そしてこれらは他の受容性マトリックス材料に包囲された高度に分布した非受容性の粒子から、マイクロ波エネルギーに対して様々な程度の受容性を有する材料の高度に秩序だてられた所定領域までの範囲に渡ることができる。
【0100】
1つの特定の用途は自己強化重合体材料に対する機会等に基づいている。これらの材料は一部の重合体材料(例えばポリプロピレン(PP))が、様々なレベルの結晶性、そしてその結果として、材料が以前に受けた処理にを受ける、物理的特性を呈する能力を利用している。材料(一般的にはシート型)の結晶性および物理的特性を増大させるための共通の方法はそれを伸展させることであり、その際、延伸により不定形の分子構造の配向性及び高いレベルの結晶性が生じ、延伸方向の物理的性能が向上する。結晶性は、単に材料に関するその融点より低値の特定の温度(Tg)より高温にまで分子を加熱可能とすることにより逆行する。この特性は進歩した特性を与えるために1軸又は2軸延伸の何れかを用いて重合体シート形態において使用される。この方法を用いる1つの用途はスーパーマーケットで一般的に使用されている進歩した強度の重合体手提げ袋である。
【0101】
この配向性材料の多重の層は異なる軸のアライメントで、単純な積層形態において、又は織成又は編成された形態において、例えば増強された物理的特性(例えばBPCurve材料)の範囲を達成するために配置させることができる。次にこれらの材料を、材料が層の間に結合をもたらすために十分加熱されるように(重合体層が隣接する層に溶接されるように)、ただし材料が曝露されていた温度が配向性を有する材料をその低い物理的性能の不定形の状態に逆行させることのないように、所定時間圧力および温度に曝される。
【0102】
材料は外側からの伝導熱「浸積」に依存しているため、配向性を破壊する温度に材料が暴露される時間が、材料厚みの中心においてこれらの層の間に結合を形成するための十分な高温を達成することが必要となる時間により制限されるので、それらは少数の層、わずか数ミリメートルの厚みに限定される場合が多い。残念なことに、多くの場合において結晶構造の破壊が起き、解決法は層間の「接着剤」として共重合(僅かにより低温(20℃程度)で融解する)を使用することであった。
この場合において、同時に全厚みを通して加熱し、そして層の間の結合界面を形成する区域のみを加熱する方法が理想的となる。
【0103】
これは同じ重合体を用いて構造を形成することによってのみ、上記した共重合体の方法においてのみ功を奏する(異なる融点のため)が、一方が受容体であり、もう一方が非受容体である場合は、これは同時全厚み加熱を達成することができる。
【0104】
材料の比率(受容体の非受容体に対する比)を正しく構築することにより、相互に結合することになる材料の受容体層を加熱するために十分であるが、これを十分低い全体の熱負荷に限定しつつ適用される熱エネルギーを慎重に制御することができ、受容体層内の温度がその周囲(結晶性の非受容体部分)と平衡し始める時点において結果として生じる熱的付加は結晶から不定形への顕著な逆行が起こる点より高温となるほど十分高値とならないことがわかる。図4はマイクロ波エネルギーを用いて受容体層のみの初期選択的加熱(t=1)からの平衡への熱フロー遷移を示す。
【0105】
必要とされる熱的負荷は下記の関数として計算してよい。
熱的負荷=受容体層の質量x比熱容量x温度差
【0106】
最終製品における層間の接着のレベルは、適用される温度、時間及び圧力の関数であるが、必要な最大負荷は周囲材料温度と融点Tmの間の温度差を用いて計算される。
【0107】
この構造は、例えばAB又はABA構造として示すことができ(図1参照)、ここでAは受容体であり、そしてBは非受容体である。この構造は一般的には共押出しプロセスを用いてこのような断面を有するシートを作成し、潜在的にはシートをスリット化して所望により後に織成することができる多数のテープとすることにより製造される。この代替としては、編成に適する環状の繊維を作成するための同様の態様における繊維コーティングを用いた共押出し法である。
【0108】
図2の構造は受容体及び非受容体材料として同じ重合体を用いた1つの潜在的用途を示しているが、他の組み合わせの例は、
受容性重合体のみ、
受容性重合体/非受容性重合体(2種の異なる重合体)又は同じ重合体の2つ以上の相、
受容性重合体/非受容性非重合体(例えばガラス充填ナイロン)、
非受容性重合体/非重合体受容体(非重合体を加熱)、
を包含する。
【0109】
受容性及び非受容性は相対的な用語であり、そして適用されるエネルギー場の周波数に関連する。さらにまた、受容性重合体という用語の使用はブレンド、コンパウンド化、混合、グラフト又は他の添加手法による受容性材料種の添加を伴った非受容性も包含する。
【0110】
本明細書において教示した方法は広範な種類の重合体物品、例えば限定しないがフィルム類、フォーム類、プロファイル類、コンパウンド化ペレット類、繊維類、織布又は不織布、成形部品、コンポジット、積層物又は重合体材料1つ以上を含有するか、それから作成された何れかの他の物理的なものの製作加工において使用できる。
【0111】
方法はそのような物品の製造の速度を有意に増大させ、これにより経費を低減することができる。
【0112】
また、本明細書に記載した教示内容は、加熱すべき材料に熱エネルギーをターゲティングすることにより材料の一部分のみを加熱することの可能性を、上記実施形態に対する追加又は代替として包含する。
【0113】
〔内部冷却の概念〕
必要分よりも多い熱を投入することは極めて容易である(大部分の重合体の熱可塑性変換プロセスはこれを行っている)こと、浪費されるエネルギー投入分とともに、成形された物品の後の急速冷却のための追加的エネルギー負担、およびそれによる増大したサイクル時間が明確化されているため、重合体材料の全バルクが形成を容易にするために同様の温度まで一般的に上昇されていた従来の熱可塑性処理手法よりも十分低値である材料の処理のために必要な最大必要熱的負荷に到達することが可能である。上記の例はこれを、圧力形成/熱成型/真空形成の手法により一般的に処理されている自己強化材料に関して明らかにしている。
【0114】
所定の熱可塑性重合体を処理するためにより少ない熱エネルギーを適用する利点は、その後、例えば製品をその材料の最大脱鋳型温度(加熱たわみ温度と呼ばれることが多い)以下において鋳型から取り出すために形成後に除去することが必要な熱エネルギーが低下している点である。冷却時間は通常は適用した熱エネルギー負荷、冷却すべき重合体材料の熱伝導性、および隣接する成型工具の温度の関数であるため、低減した熱エネルギー投入量は有意なサイクル時間の節約をもたらすことができる。当然ながら、受容体材料のみを加熱することは内部の「ヒートシンク」を形成する作用を有することになる。これは当初は処理ウインドウの柔軟性に対して制約を呈するものの、鋳造された部分のための潜在的に急速な内部冷却機序を等しくもたらすものであり、潜在的にはサイクル時間を有意に低減する。本発明者等は、この急速冷却作用を内部冷却と称する。図3は内部冷却を利用することから被る潜在的な冷却/サイクル時間の利益を示している。
【0115】
溶融処理手法の困難な点は、粘性な溶融材料が圧力下に流動するための十分な温度による均質な溶融物の形成を必要とする点である。これらの手法は共通して電気抵抗加熱を使用しており、重合体材料のマイクロ波加熱が長年に渡り使用、例えば圧縮および射出成型に適用されているが、これは熱可塑性材料のそのバルク全体に渡る加熱に依存しており、このため均質な熱的負荷を形成するために十分な熱的負荷を生じさせる。図5a〜5eを参照されたい。
【0116】
ガラス充填ナイロンの上記した説明を介して、固体の非溶融性(重合体処理温度において)成分を重度に充填した重合体材料を処理することができることがわかる。従って、自身が処理可能であるように十分な溶融流動性を材料が保持している限り、材料の一部のみを加熱している状態で材料から成分を形成することができることは、サイクル時間の点において、特に好都合である。選択的加熱の方法は、例えば受容性重合体/非受容性の「充填剤」を使用することを介してこれを達成する1つのそのような方法であり、この場合、「充填剤」は重合体材料又は非重合体材料である。
【0117】
この手法を良好に利用するためには2つの矛盾するエレメント、即ち急速な加熱及びその後の局所的選択的に加熱されたバルク材料の処理を達成すること、及び、射出成型のような従来の圧力形成手法により材料が処理されることができるように十分な低粘度を達成することを克服しなければならない。
【0118】
材料全体にわたる急速な加熱はマイクロ波処理の機材を使用することにより達成できることがわかっている。この材料が温度上昇を開始した直後に、それは又その周囲(非受容性「充填剤」)に向けて温度を損失し始めることになる。即ち、この材料を鋳型へ向けて処理(射出)して良好な成形プロセスを達成するためには、エネルギーを最小限、全体のバルク材料の加熱に関わるものよりも十分低値に維持されると、時間枠が存在することがわかる。これは受容体材料の加熱速度、バルク内部に生じる別個の材料の熱拡散性、及び受容体顆粒のサイズ(受容体生材料供給寸法)の関数である。この特徴から、顆粒の大きさが大きいほど、バルク内部の所定の成分の中心まで熱的負荷が平衡するための時間が長くなり、処理時間枠が大きくなる。
【0119】
しかしながら逆に、粘性流動を呈するバルク材料の能力に対して、より大きい顆粒サイズは悪作用を与えることになる。従来通り処理されたより大きいサイズの粒子は1mmのオーダーであることがわかっているが(長ガラス繊維強化ナイロン)、リサイクルされた熱硬化性材料を配合する実験によれば、2.5mm直径のサイズのより大きい熱硬化性ゴム粒子を配合することが可能であり、そしてなお、これらの非溶融「粒子」を通常の熱可塑性ポリプロピレンマトリックス中で処理する場合に、良好な射出成型サイクルが達成されることがわかった。その熱可塑性の性質のためにこれらの材料は「固体」であるが、当然ながら通常のPP成型温度においてはより弾性となる。
このようにして、最大粒子サイズに対する作業枠、および材料を加熱して処理する時間枠が誘導できることがわかる。
【0120】
MathCADTMは内部冷却作用をもたらすために受容性及び非受容性の重合体の領域を配合した粒子形態及び幾何学的特徴を開発するために使用できる。1つの実施形態、例えばポリプロピレンを用いた大型(肥厚)自動車部品又は配管の射出成型においては、これは射出成型2相ポリプロピレン顆粒となる。総体的領域の体積画分は用途に応じて変動する。モデル化に際してはペレットの顕微鏡的な熱的挙動及び平衡化、並びに鋳型に射出された後の材料の巨視的な冷却挙動の両方を考慮する。究極的で現実的な時間枠を確立することが可能であり、これにより十分な受容性相が溶融して鋳型内へのバルク材料の流動を起こし、十分な割合の非受容性相が固体形態に温存されることにより冷却プロセス間の内部冷却の利点を得ることが可能となる。顕微鏡的モデルのためには、溶融流動温度を示す温度において培地中に浸積されたペレットの直径に等しい厚みのプラスチックシートを推定することが可能である。MathCADモデリングはペレット/部分の厚みを介して種々の深度において理論的な温度分布に関する情報を提供する。典型的な成型ペレットに関しては、5〜40%の受容性マトリックス相の体積画分及び10秒までの射出サイクルと仮定した場合、元の直径のかなりの割合(一部の場合においては50%超)が鋳型到達時には固体コアとして保持される。巨視的モデルの目的のためには、周囲温度において無限のヒートシンクに浸積された最終部分の厚みに等しい厚みのプラスチックシートを仮定することが可能である。上記した例において、これらは2mm〜25mmの最終部分厚みについて、冷却段階における20%〜60%のサイクル時間低減をもたらす。これらの数値は2層の重合体ペレットモデルを仮定している。45分までの従来のサイクル時間による極めて肥厚した壁部断面の部分に関する潜在的節約を考慮することは興味深い。
【0121】
全バルク材料の平均温度は混合則を介して、下記方程式(1)、
(1)Tバルク平均=T冷却コアxVf冷却コア+T加温コアxVf加温コア+TマトリックスxVfマトリックス
[式中、Vfは存在する体積画分を示し、Tは温度を示す]により計算してよい。
【0122】
特に肥厚した壁部を有する成分の場合、特に潜在的に極めて有意なサイクル時間の節約を評価してこの技術に関する潜在性を明らかにすることは興味深いことである。
【0123】
例えば共押出しを介して非受容性材料を予備処理することによりそれらを上記した「ABA」シート又は「AB」繊維構造でコーティングすることは、増大した均質性、及びより均一な粒径を最終鋳造物内で達成する場合に好都合である。
この手法は多くの重合体溶融変換プロセスが関与する場合、例えば押出、ブロー成型、射出又は圧縮において好都合である。
【0124】
〔機材〕
これは重合体の変換のためのマイクロ波加熱技術を包含する特定の機材ソリューションにより達成できる。例としては、Meredith“Industrial Microwave Heating”,A.C.Metaxas and R.J.MeredithIEE,1983年3月(ISBN 0-90604-889-3)p.170に記載の平面構造のための均一電場ツインキャビティヒーター、及びオルタネートシステム、例えば移動グリッドアンテナ付きの大型多重様式共鳴キャビティ、射出成型、圧縮成型、ブロー成型、引抜及び押出成形のような重合体変換処理手法のために特に設計されたアプリケーターが想定される。そのようなアプリケーターは例えば、単一様式アプリケーター(シートのような平板な幾何学的特徴のために有用である、処理すべき材料の領域における緻密で十分明確化された場のパターンを確立するため)、多重様式アプリケーター、例えばツインキャビティ及びホーン型(平板な幾何学的特徴のため)、及び他のアプリケーター、例えば螺旋型アプリケーター(環状の幾何学的特徴のため、例えば射出成型時)等、材料の断面を介してエネルギーを適用するものを包含する。本発明者等は、加熱の均一性を向上させるために長時間持続する短方向のパルス処理の使用を想定している。しかしながら、向上した均一性を達成するためのパルス処理はオフ時の間にホットスポットを冷却させ許容ピーク温度を超過しないようにするが、平均電力入力量を低減させ、これにより加熱時間を延長するため、広範には使用されていない。
【0125】
選択的加熱機材の各例は特定の周波数を有するマイクロ波を発生させるために1つ以上のマイクロ波発生器、及び場合により、サーキュレーター(逆反射から各マグネトロンを保護するため)、導波路(エネルギーをキャビティに運搬するため)、マイクロ波エネルギー及びワークロードを含有し、好ましい場パターンを確立するための典型的には各々が金属キャビティを有するアプリケーター、マイクロ波を導入するためのアンテナ又はアレイ、発生器と材料処理キャビティの間のエネルギーの効率的結合を確保するためのチューニングエレメント(例えばE−Hチューナー)を利用している。
場合によりシールド装置(金属のようなマイクロ波反射材料により製造されている)を用いてマイクロ波エネルギーから材料の区域をシールドしてよい。
【0126】
〔熱成形機材〕
例えば、重合体熱成型のためのマイクロ波加熱技術を可能にするため、発明者等は1つ以上の単一様式の高度共鳴性キャビティ加熱システムを含むマイクロ波機材ソリューションを規定する。単純なシステムを図7.35、Meredith“Industrial Microwave Heating”、A.C Metaxas及びR.J.Meredith IEE、1983年5月(ISBN 0-90604-889-3)に詳述する。多重様式及び単一様式のキャビティは、エネルギーを含有し、使用したマイクロ波の波長に依存した適当な範囲である場合、マイクロ波共鳴性定常波の創出を可能にするように動作する。多重様式のキャビティに対して、場パターンは周期的な最大(高場強度領域)及び最小(ノード部、低場領域)によって特徴づけられる。単一様式のキャビティは、正しく設計された場合、共鳴性を持続する潜在性を有し、そのワークロードが場パターンの最大に位置した場合、材料のワークロードを超えた高電気的場強度を可能にする。このようなキャビティを使用する加熱システムは迅速かつ均一に弱吸収性重合体(又はマイクロ波吸収添加剤を有する非吸収性重合体)を加熱する潜在性を有する。
【0127】
本単一様式のキャビティ加熱機材は以下の既存のマイクロ波成分の組み合わせを包含すると考えられる。
1)マイクロ波発生器(発生源、電源装置及び発射装置):マイクロ波エネルギーを発生し、放出する。発射装置はマグネトロン、キルストロン、ジロトロン及びソリッドステートエミッターを包含するが、限定はされない。
2)サーキュレーター:発生器への逆反射を防止する。サーキュレーターはマイクロ波発生器への損傷を避けるための予防手段としてマイクロ波回路に導入されており、アプリケーター中には損失が低いか又はワークロードが存在しない。発明者等はこれは重合体材料の知覚低損失性質のために必要であると規定する。
3)導波路:発生器からアプリケーターにマイクロ波エネルギーを含有し、導入する。工業用マイクロ波加熱のために指定される工業上指定のバンド及び商業的な経費の観点から、本発明者等は本システムを2.45GHzの周波数で操作し、好ましくはWG9A導波路を使用することを期待する。
4)ホーンアプリケーター:導波路からキャビティ中にエネルギーを放散し、直角モードの励磁を防止する。ホーンは湿式誘電性試料を通して電磁信号を送受信するための減衰型水分計に広範に使用されている。このようなホーンはしばしばマイクロ波エネルギーを使用する材料を処理するためのアプリケーターに使用される。このような装置は(特定の物理寸法の)導波路から(通常異なる寸法の)単一様式のキャビティへエネルギーを転送する際に直角モードの励磁を防止するのに理想的である。
4a)単一様式の共鳴性キャビティ:工業上、周波数カウンター及びフィルターのような低電力アプリケーションにおいて高次の単一様式の共鳴性構造物に数多く使用されている。本質的に、これらは、一方向(又は様式)限定された定常波パターンを発生する場合に、そこで発射されたマイクロ波エネルギーが要求された分極中に多数の反射を生成する金属の囲い(キャビティ)よりなる。これらの構造物はこれらの中に配置された誘電性材料により、大容量の蓄積されたエネルギーを示し、入射エネルギーの一般的に高い吸収を特徴付ける。このようなキャビティにより提供された高い増幅及びエネルギー濃度は、加熱弱吸収(低誘電損失)重合体材料中において極めて有益である。
4b)供給スロット:平らな(シート状の)試料をキャビティを通して供給可能にするためにキャビティの前面と背面の両方に位置する。このようなスロットは平面構造物をキャビティ中の加熱領域への通過を可能にするためにしばしばマイクロ波加熱システムにおいて使用される。
5)スロットからのマイクロ波の漏出を最小化するためのマイクロ波チョーク。これらはMeredith”Industrial Microwave Heating≡、A.C Metaxas及びR.J.Meredith IEE、1983年5月(ISBN 0-90604-889-3)の287ページに詳述されたように水負荷または4倍波スタブチョークである。このようなアプリケーターの適当な機能は、ホーンと負荷(材料)が電力を材料に転送するように動作する出力導波路に適当に調整することが要求される。これはある範囲の材料が存在すれば、所定の周波数で共鳴性のための負荷キャビティを最適化することになる。
5a)3又は4つのスタブチューナー、自動チューニングエレメント、又はEHチューナー(マジックT)を包含するが限定されないマッチングアイリス又は他のチューニングエレメント。通常マイクロ波をホーン及び負荷(材料)に適当にマッチングするために導波路中に配置される。
5b)低移動式「短回路」ピストン:微細なチューニングを可能とするために発明者等は短回路ピストンの使用を規定する。この追加装置はスロット位置でのマイクロ波漏出を最小にするようにアレイされる。このような成分は、マイクロ波回路のインピーダンスマッチングを操作変更し、これによりワークロード材料中にエネルギーの良好な結合を保証するために当該分野において良く知られている。
【0128】
各々の共鳴性キャビティは特別な場パターンを得るために特定の様式で実行し、この場パターンは(資料がキャビティに供給される方向に)軸を横断する方向に均一である。マイクロ波エネルギーは、発生器から導波路中に供給され、サーキュレーターを通過し、次にマッチングアイリスのような粗放チューニングエレメントを優先的に通過する。ホーンアプリケーター又は同様の成分を介してキャビティに入ってもよい。キャビティの底部において、エネルギーは最も単純に移動式短回路ピストンの最上面で反射し、あるキャビティ長及びマイクロ波放射周波数においては、定常波がピストン及びアイリスプレート間のキャビティ中に確立される。この定常波は非常に高い電気的場強度をキャビティ中に確立することを可能にする。アイリスを通してキャビティ外に通過するいかなるエネルギー及びアイリスからの逆反射エネルギーも、サーキュレーターによってマグネトロンとの相互作用から妨げられる。
【0129】
変化するワークロード(材料)の存在下で確立される共鳴性における重要な問題は、材料中の波長を圧縮するように動作する(1より大きい相対的誘電性定数を有する)材料の存在のため、キャビティの電気的長さにおける二次的変化である。低移動式ピストンにより提供された(定常波の方向における)可変のキャビティ長は、変化する試料サイズ及びプロセッシング中の誘電性特性に対しキャビティの微細なチューニングを可能にする。さらに、この短回路ピストンの位置はワークロードの位置でスロットから側面にキャビティを脱出するマイクロ波エネルギーの漏出量に関連する。漏出を最小化するため、発明者等はスロットを通るマイクロ波の漏出を防止するためにキャビティスロットに組み込まれたマイクロ波チョークを規定する。さらに、この設計は漏出をさらに最小化することを可能にする。「スロット」点での壁部電流が0になるように、より低いピストンを調整することにより、副次的漏出を最小化する。システムはマグネトロン、試料位置及び底部ピストン位置と相対的にアイリスプレートの位置を介し、マグネトロン周波数を変更する。
【0130】
粗放チューニングに関し、いかなるアイリスの開口部も加熱される材料の期待範囲にシステムをマッチング可能にするように最適化してよい。短回路ピストンを上下に移動することにより、キャビティの電気的長さは材料の範囲に対し共鳴性を可能にするように維持できる。
【0131】
上述したように、作成された場パターンは効果的に(試料がキャビティを通して供給される方向に)軸を横断する方向に均一化される。これは、試料を通して加熱される均一なバンドとして顕在化される。キャビティのスロットを通して(例えばシート)試料を移動することにより、材料は加熱キャビティを通過し、加熱する。加熱率及びそれを通過する試料の最終温度は、試料の通過速度を変化する及び/又はキャビティ中の電気的場強度を変化することにより変化できる。これは、選択された最終温度において、軸の方向及びこの軸の垂直の両方において、試料を通して最終的な均一温度分布を可能にする。
【0132】
好ましいシステムは加熱領域の部位においてキャビティの内部及び外部でリアルタイムに試料の表面温度をモニターするための(赤外線高温計及びカメラを包含するが限定されない)センサー及びプローブを包含する。このデータは、キャビティを出る際、その部品の所望の最終温度を得るためにリアルタイムに移動速度とマイクロ波電力入力のバランスを取るための制御システムによって使用される。
【0133】
工業的な加熱システムはこれらの成分の各々を必ずしも必要としないが、操作の原理は同様のままである。システムは、試料の温度を読み、調整される電力、チューニング及び移動速度のような変数を許容する制御システムにこの情報をフィードバックするために、微細なチューン及びセンサーを包含する。このシステムは部品の最適化されたプロセッシングのための特定の最終プロセス設計を構成していないが、使用された共鳴性キャビティ設計は熱成型のための技術プラットフォームで第1世代の加熱器であり、大規模熱成型に対し、肥厚なシートの重合体のマイクロ波加熱を可能とする機材を開発する最初のステップであると見なすことができる。
【0134】
熱及び真空成型に対し、好ましい実施形態は、工業的加熱システムを作成するために単一セルのマイクロ波加熱ユニットの構成を包含する。最も単純な構成は、直線アレイの加熱ユニットである。この場合、各ユニットは、加熱セルを有し(例えば、3”(4.5cm)幅)直線上に隣接したユニットの隣に設置され、各ユニットは機械的に互いに密接に連結される。隣接したキャビティ間の分離は、相対的に小さく、プロセッシング中に全シートを通してより多い又は少ない均一温度上昇が観察されるように設計される。即ち、望ましくない場合は1つのセルから隣への温度の不連続性は発現しない。(好ましくは)独立に電源供給され、これらのユニットは重合体シートを通して均一の高強度マイクロ波場を確立し、アレイゆっくり移動して、部品を成型するのに必要な温度まで前記シートを急速に加熱し、成型操作以前の加熱プロセスの全サイクルタイムを削減する。
【0135】
電磁エネルギー密度はスループット率に作用する第1順序のパラメータである。オーブン中の周囲温度はワークロードの表面からの従来の冷却を最小化するように設定される。このようなワークロードの冷却を防止するため、アプリケーターは熱水又は油を使用して加熱できる。アプリケーター中の空気の周囲温度もまた、表面冷却の作用及び機材の「冷えた」表面への熱移動を除去するように上昇させる。マイクロ波アプリケーターを既に通った材料からの熱損失を最小化することを保証するために、短ドウェルトンネルもまた使用されてよい。
【0136】
〔ターゲッティングされた加熱〕
このような単一様式の加熱器は材料中でターゲッティングされ、制御され、可変の加熱を提供するために潜在的に使用される。このようなシステムは制御された可変温度プロファイルを計算し、理想的な部品を配分するために必要な重合体シートの可変吸引を可能とするため、1つ以上のこのような加熱器及びプロセス制御及び関連したアルゴリズムを使用する。実際、提案されたシステム中の各セルへの電力は変更され、ピクセル化された加熱パターンを作成するためにアレイと相対的にシートが移動する。
【0137】
本発明者らは、このようなシステムの解像度は使用したマイクロ波の波長の約半分に限定されること言及した。(シートの移動を慎重に制御し、セル電力が変化するようにピクセルを重複することによる)ドリセリングのような技術を通して改良された解像度を得ることができる。ナイフエッジ、狭いスロット加熱器、ワークロードがその上部を移動する誘電体充填導波路、又はセラミックアプリケーターを包含する代替アプリケーターの使用を通して改良された解像度が得られる。
【0138】
他の実施形態は以下を包含する。
1)移動エミッター/アンテナ:移動キャビティと結合したワークロードと相対的に物理的に移動し、加熱された材料を通して移動定常波の設定を可能とする
2)遠隔場において、より好ましくはワークロードへエネルギーを注入し、ターゲッティングされた加熱を達成するための近い場において、予想可能な所望の加熱パターンを生成するように設計された1つ又はそれ以上の指向性エミッター/アンテナ
3)マイクロ波反射キャビティ中に配置されたマイクロ波透過鋳型を含むシステム
4)共鳴性キャビティのハーモニクスを減衰又は妨害し、キャビティ内の場パターンを単純化し又は処理するための吸収壁部及び/又は傾斜又は角のある壁部を使用した上記の1つ又はそれ以上に基づくシステム
5)上記特徴の1つ又はそれ以上を組み合わせたシステム
【0139】
〔ターゲッティングされた加熱〕
ソリッドステートエミッターは、現在アンテナ代替として十分に開発されている。変化する周波数のマイクロ波技術はまた、ここに規定されたシステムにも適用でき、特に特定の重合体又は非重合体材料吸収バンドにマッチする又は避ける、即ち、加熱されない材料種を「チューンアウト」する、何れかのためにエネルギーの周波数をチューンする可能性を提供する。これは例えば、ナイロン重合体内のアミド基をチューンアウトするために使用できる。プロセッシング機材は単に各一般的重合体変換プロセスだけでなく材料のある群を加熱するためにも適しているように設計することができる。このようにして、異なる吸収特徴を有する重合体及び材料の範囲に適用するようにキャビティ及びアンテナを設計することが可能になる。いくつかの特定の例を以下に示す。
【0140】
図6に、ターゲッティングされ調整可能なマイクロ波加熱エネルギーを材料にその内部に適用することが操作可能なマイクロ波に基づく装置の例を示す。装置30において、種々の成分構造が透過鋳型32、即ち、キャビティ壁部34により形成された反射又は吸収マイクロ波キャビティ内に配置されたマイクロ波を透過又は吸収する鋳型の中に形成されることができる。マイクロ波加熱エネルギーのポート及び発生源36はマイクロ波エネルギーを鋳型32内の材料(例えば、重合体)の特定部分に注入できる。鋳型なし空間38を含有してもよい。
【0141】
鋳型32内で、壁部、アンテナ等のような特徴を提供してよく、これは鋳型32内、即ち、その内部の何れかの材料上に異なる加熱作用を提供するような特定の吸収特性を有している。さらに、装置30は、例えば、キャビティ32内の壁部品又はアンテナの移動、入力信号の操作の手段により、鋳型32のキャビティ内のマイクロ波エネルギー密度分布を操作することにより、その内部に材料を通して徐々に制御された温度を達成できる。ある応用においては、壁部の誘電損失要因及び/又は反射率及びこれらのいかなる組み合わせも制御された温度及び/又は加熱プロファイルを達成するように調整できた。加熱プロファイルは重合体構造内に選択的に受容体を一緒に添加して均一の電気的な場を提供できる機材を使用して生成できた。これらの添加物は異なるレベルの受容性、それにより最終的な加熱プロファイルにおける特異性を提供するように等級付けられた。
【0142】
アンテナは、材料の表面上に適用された加熱パターンを提供するために材料を通してスキャン又は相対的に移動されることができる。これは、アプリケーターの1セクションが材料上そして他が材料下に配置されるように材料を受容できるスロットされたアプリケーターを使用して達成できた。この例において、材料は次に2D移動を提供するためにアプリケーターのセクション間を前後に移動する。同様の総合的作用を達成する代わりに、加熱された材料は上述の構成を維持しながら2Dでエミッターに相対的に移動できた。
【0143】
別の実施形態は重合体処理のための熱的コンディショニングを提供する。この概念は例えば選択的加熱および全厚み加熱を可能にする多くの手法を包含し、これにより、例えば熱成型の場合においては、減少したサイクル時間を有するより肥厚なシートの処理が可能となる。1つの例は加熱される材料試料と相対比較して全体的なマイクロ波の場のパターンを移動させることができる最適化された1つ以上のアンテナを利用する。これはアンテナを移動させること、又は放射されたマイクロ波を電子的に方向付けることにより達成される。方向付けは電子的な方法、光学的(反射及び焦点設定エレメント)及び他の方法、例えば磁気及びプラズマを介して達成してよい。電気的方向付けはレーダー及び通信産業においてよく知られており、本質的にはアンテナアレイから外側に向けて指向された電力の集中した1つ以上のローブを形成するようにエミッターからの2つ以上の出力波を組み合わせるための干渉の使用に依存している。2つの出力波の電子的相を変化させることにより、放出されたローブの方向を変化させることができる。焦点設定(方向性)アンテナマイクロ波技術は現在は通信及びレーダー(検出)のために使用されている。即ち、このようなエミッターは自由空間内で操作するように設計されており、加熱の見地からは、低電力という難点を有する場合がある。この手法を用いる場合、加熱は緩徐化し、弱吸収性材料の加熱のためには効率が不良となりえることが観察されている(本明細書においては、本発明者等は共鳴から利益を得ない、そして一旦材料を通過すれば消失する焦点設定されたアントラップのビームを使用している)。しかしながら、インテリジェントな適応光学(反射焦点設定エレメント)と組み合わせられた高電力のレーダーの固体状態アレイにおいて使用されるもののような本技術の組み合わせは必要な電力を達成することができると考えられる。さらにまた、十分定義された干渉ローブは「遠隔場」(エミッターアンテナ/アレイから何メートルも離れた)において得られることもわかっている。加熱システムは近傍場領域(<4m)において操作するように設計され、その場合マイクロ波の干渉パターンは極めて複雑になる。更に、光学的部品を使用することにより材料の一部分、即ち「スポット」にグリッド/アレイアンテナ又はホーンアプリケーターからのマイクロ波エネルギービームを指向させるために使用することも可能である。そのスポットを制御された態様において材料全体にわたって意図的に移動することにより、所望のターゲティングされた加熱を得ることができる。そのような光学的成分は広範なビームを焦点設定する1つ以上のパラボラディッシュリフレクターを包含してよい。ビームは反射ディッシュ又はそのエレメントの形状及び方向を変化させることにより、指向性とされる。
【0144】
他の実施形態は電子的に方向付けることができるアンテナ又はアレイを提供する。「アンテナ方向付け」の場合において、エネルギーはエミッターアレイ(アンテナのエレメント)の種々の成分にシグナルを相シフトさせることにより所望の態様において成分全体に渡って移動する。この実施形態は移動アンテナ/キャビティの概念と関連付けて使用される。本発明者等はまた、ソリッドステートエミッターが現在ではアンテナの代替となるべく十分開発されていることを認識している。しかしながら、電力は現在は制限されている。本発明者等はこの制限が将来の技術的開発を通じて克服されることを期待する。
【0145】
ターゲティングされた加熱が関与する場合、金属キャビティは、内部の波パターンに作用(特定の波パターンを支援するそれらの優先性のため)することから不都合である場合がある。しかしながらこれらの系においては、マイクロ波の格納が安全性確保(及びエネルギー効率向上)のためにはほぼ確実に必要となる。本発明者等はエネルギーをキャプチャーし、1)変動するビーム方向にも関わらず共鳴を生じさせ、又は2)おもに吸収性材料から作成され、定常波が抑制されるような、或いはマイクロ波エネルギーを吸収してそのエネルギーを熱伝導を介して材料に移行させるような表面構造を有する、減衰性の吸収性壁部(非エコー性チャンバーの場合等)の使用を介した共鳴場パターンの防止を行うために「アクティブ」なチャンバーの使用を想定している。
【0146】
移動アンテナ/キャビティを与えるシステムの場合においては、キャビティ及び/又はアンテナは成分材料に対して相対的に物理的に移動される。この概念はオーブンの内壁部として機能する機材の成分部分を同時に移動させることにより、キャビティ内の移動定常波の確立を可能にし、これにより共鳴キャビティ加熱の利点を獲得しつつ、上記した問題点、又はこの態様において選択的に加熱される材料の何れかの特定部分の過熱を回避することを包含する。均一な高強度の適用は材料の表面にわたってラスタされる。更に電源の電力を材料の位置に対して同時に変化させることにより可変制御選択的加熱を可能にし、これにより、材料内の温度の可変プロファイルを確立できる。
【0147】
図7はアンテナの移動又は方向付け及び移動壁部の使用を介した定常波の運動をグラフで示したものである。
【0148】
より進歩した設計は熱成型のための制御可能壁部厚描線区域のようなプロセスのよりインテリジェントなバージョンを可能にする原料材料成分の領域をターゲティングするための意図的に制御されたソリッドステートアンテナ及び可動アンテナのアレイを組み込んでいる。ターゲティングはまた、3次元形状のブロー成型又は熱成型のような作業の前に重合体材料の領域をターゲティングするためのより高度な態様において使用され、これにより原料材料の使用を節約できるようにする。
【0149】
共鳴ダンピングを使用する実施形態は上記手法の1つ以上を包含するが、吸収性壁部及び/又は傾斜又は角のある壁部を使用することにより、共鳴キャビティのハーモニクスを減衰又は途絶させ、前述の通り、キャビティ内の強度の場を単純化又は操作する。
【0150】
可変周波数マイクロ波処理(VFMP)の実施形態は成分を通過するエネルギー密度のプロファイルの操作、及び、エネルギーの周波数をチューニングして特定の重合体又は非重合体材料の吸収バンドに適合するか、これを回避する可能性を包含する。例えば、ナイロン重合体内のアミド基のような加熱したくない種を「チューンアウト」することができる。概念には各々の包括的な重合体変換プロセスに適合するのみならず、特定の群の材料を加熱するために、機材を設計することが包含される。このようにして、キャビティ及びアンテナを特定の重合体組み合わせに適合させ、他を「無視する」ために設計することができる。
【0151】
図8はこの配置に対して好ましいマイクロ波周波数ピークを吸収スペクトルに望ましく重複させた実施形態のグラフである。
【0152】
上記した実施形態の全てに関する適当なプロセスは、例えばワークロード(材料の幾何学的特徴、吸収特性等)をマッチさせるため、オーブン内のマイクロ波の場の格納から生じる何れかの過剰なホットスポットを減衰させるため、および加熱の均一性を向上させるための長時間及び短方向パルス処理の使用を想定してのキャビティ内の材料体積の増大のために用いることができる。
【0153】
別の実施形態は重合体の変換のためのツインキャビティアプリケーターのようなマイクロ波加熱技術の適用を包含する。アプリケーターは好ましくは射出成型、圧縮成型、ブロー成型、引抜及び押出のような重合体変換処理手法のために特別に設計される。そのようなアプリケーターは単一様式アプリケーター(例えば平板な幾何学的特徴のため)、多重様式アプリケーター、例えばツインキャビティ及びホーン(平板な幾何学的特徴のため)及び他のアプリケーター、例えば螺旋型アプリケーター(環状の幾何学的特徴の為)を包含する。
【0154】
種々の重合体のマイクロ波及び熱的な挙動をそれらの化学構造及びマイクロ波受容体充填剤含有量から予測するためのソフトウエアツールを提供することが好ましい。この科学的な能力は材料特徴化データにより有効化される電磁場ソルバー(Comsol FEMLAB,matLAB FEM及びマルチフィジックス)の使用を包含するモデリングシミュレーションから作成される。そのようなソフトウエアは所定の周波数(又はレンジ)において材料を受容性とするための化学構造の設計を可能とする。
【実施例1】
【0155】
1つの実施形態において、図9に示す通り、電磁気エネルギーは材料の選択された領域にのみ向かうように指向され、これらの領域を優先的に加熱する。方法及びシステムは材料を加熱して材料内に所望の温度パターンを誘導するために、ターゲティングされた、又は制御された可変の電磁気照射の制御された使用を提供することができる。そして更に、これはブロー成型、熱成形等のようなプロセス操作中の材料の制御された伸展を可能にし、3次元の部品を形成させる。材料の所定の領域が到達した熱的状態の結果として種々の程度まで伸展する場合、部品の設計は、材料の使用を最適にするために予め決定することができる部品の全領域における最適な厚みから利益を得ることができる。
【0156】
例えば、現在は高深度に吸引された部品が関与する場合、材料は通常は、最終部品の高深度吸引壁部面が特定の最低厚みに到達可能とするために肥厚シートの初期形態をとる(図9)。そのような従来のプロセスにおいて、材料は均一に加熱され、膜の等しい「伸展性」がもたらされ、これにより壁部面部の厚みは操作中に顕著に減少するが、部品の基部は肥厚したまま残存する。その結果、材料は事実上、無駄になる。形成操作中に壁部面と相対比較して高温をそのような部品の基部に導入することにより、本明細書に記載した通り、この無駄の問題は克服されるか、実質的に低減される(図9)。
【技術分野】
【0001】
本発明は材料を処理する方法、材料処理システム、及び処理可能な材料に関する。好ましい実施形態は、重合体製品及び好ましい実施形態においては電磁気放射を用いた選択的全厚み加熱のプロセスを介して製品材料のより効率的な製造を可能にする熱可塑性材料のような形成可能な製品を製造するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性材料の広範に受け入れられている定義は、「加熱時には軟化又は融着又は溶融し、冷却時には再度硬化することのできる材料」である。熱可塑性材料はほぼ全ての産業分野及びほぼ全ての消費製品において製品を形成するために広範に使用されている。熱可塑性重合体の処理では典型的には熱可塑性ペレットを使用し、熱エネルギーの適用により溶融/軟化/融着させ、その後再成形及び冷却を行う。変換プロセスのこの一次的な工程は例えば射出成形プロセスにおける販売可能状態の製品の形成をもたらす場合がある。しかしながら、一次的な工程はまた、二次的な工程の変換プロセスにおける使用のためのパリソン又はシートのような「中間的製品」の製造もたらす場合があり、パリソンの場合はブロー成形における使用、シートの場合は熱成形における使用を意図している。変換プロセスのこの二次的工程は熱可塑性材料の重要な固有の特性を利用しており、即ち、製品を形成するために材料の加熱、再成形及び冷却を含む。加熱、再成形及び冷却、の多くのサイクルを受ける熱可塑性材料の能力は、三次工程以降のための理想的なものとなっている。それはまた同様の処理工程を通じて一次製品の寿命の終了時まで材料のリサイクルを可能とする。
【0003】
製造及び熱力学的な見地から、熱可塑性材料の製品への変換における2つの重要なサブ工程は加熱及び冷却である。これは、加熱又は冷却の工程の一方又は他方が、殆ど全ての変換プロセスに関して律速である。即ちそれらが製造の速度を決定するという事実に起因する。その理由は熱可塑性材料の2つの別の典型的な特性、即ちそれらが典型的には不良な熱エネルギー伝導体(即ち絶縁性)であり、熱伝導性は典型的には0.1〜0.6W.m−1.k−1であること、及び、当然ながら再成形の間、サブ工程は取り扱いが容易ではなく、即ちそれらは冷却して典型的にはその脱鋳型温度と称される「硬化」するための時間を必要とすることによる。
【0004】
従来の熱可塑性変換プロセスにおいて、熱は典型的に放射または接触加熱を介して熱可塑性材料に移動される。放射エネルギー、一般的には赤外線と称されるものは、1〜10μmの波長を有しており、使用可能なエネルギーの半分が熱として散逸してしまうまでに約1〜2μmの深さまで吸収性材料中に貫通することになる。熱源からの、そして熱可塑性内部における熱の移動のプロセスは個体部室の場合は伝導、溶融した材料の場合は伝導、対流及び機械的混合の組み合わせを介したものである。接触加熱も同様に材料の「バルク」を加熱するためには熱い接触表面からの伝導(又は伝導、対流及び混合の組み合わせ)に依存している。
【0005】
このことにより、処理が起こる適当なレベルまで全容量の温度を上昇させるために材料の外部表面からその塊の中心まで熱を移動させる場合、かなりのタイムラグが生じる。これは加熱すべき材料が、大きい体積対表面積の比を呈する場合、例えば肥厚シートの場合に不都合である。従来の熱流動の主要な制約事項はワークピースの最大許容表面温度である。材料は外部から加熱されるため、材料表面の分解が起こりうる。
【0006】
更に、従来の装置において重合体材料を加熱するために要するかなりの時間は、材料の全体積にわたるその溶融をもたらす。
【0007】
一部の既知の処理の手法では以下のことを含む。
a)熱成形肥厚シート。伝統的な加熱手法はシートを熱源から定期的に取り外し「浸積」させること、即ち、材料が外表面において過剰に加熱されて分解することを防止するために熱エネルギーをより均等に分布させることを必要とする。
b)ブロー成型。この加熱手法はバルーン変形が望ましくない重合体材料の部分を加熱する傾向にある。従ってそのようなシステムは典型的には複雑な冷却機序、例えば冷風ジェットを使用することにより鋳型外部のパリソン領域を冷却状態で維持する必要がある。更にそのような従来の加熱システムを用いる場合、重合体体積の異なる断面を異なる温度に加熱することは現実的ではない。これは例えばブロー成型された製品自体内部に異なる物理的特性(例えば異なる直径、壁部の厚みを有する多数の区域、又は異なる温度にまで加熱すべき異なる材料よりなる区域)を発生させることが望ましい場合に好都合である。
c)押出成形。この場合、重合体を均一に加熱するために大型で高価で複雑な機械が一般的には必要となる。そのような機械は通常は回転スクリューのような装置による混合(高い剪断力を発生)と押出機のエレメントの加熱された内部の表面を通過する同時熱伝導の組み合わせを用いる。これらプロセスは非効率的であり、押出機のバレル及びヘッドの内部の重合体の処理時間は極めて長い。延長された処理時間は使用される重合体に対して、そして結果としては押し出された製品の物理的特性に対しても顕著な劣化作用を有する。更に、押し出された重合体製品の冷却においても問題点が存在し、例えば必要な冷却バスの長さ、冷却バス中で冷却されたのちの押出成形物の乾燥のためのブロワーを有する必要性、及び押し出された重合体材料に対する延長された加熱時間の作用を最小限にするために押出成形物中の加熱された重合体を迅速に冷却する必要性が挙げられる。
【0008】
自己強化プラスチック材料(例えばポリプロピレン又はポリプロピレン/ポリエチレン共重合体(非配向性)マトリックスを用いた高配向性のポリプロピレン繊維又はテープ)の種々の手段による処理、ここで材料の層の形成及び/又は結着を可能とする熱の適用が配向性を有する重合体の逆転および機械的特性の損失(前述した通り特に表面近傍)をもたらす場合がある。現時点での唯一の代替法は、材料を(共)重合体外層の軟化点/融点より高温に「熱浸積」するためにかなりの長時間に渡って(即ち熱が再分布できるための時間を設ける)熱のより低いレベルに材料の全体積を付すが、これを材料強化相変化点未満に維持することにより分子の配向性の逆転およびその後の性能の損失を最小限とすることである。
【0009】
このような系における熱移動の速度に適用される多くの基本的および実験的な方程式又は法則が存在しており、例えばフーリエの伝導法則およびニュートンの冷却法則が挙げられる。伝導熱移動プロセスに関連する熱移動の速度(RHT)は一般的に関係式:RHT=f(A,Ct,DeltaT)により説明することができ、式中Aは熱移動に使用可能な面積、Ctは材料の熱伝導度、そしてDeltaTは使用可能な温度の駆動力であり、これは加熱すべき材料の温度が上昇するにしたがって時間とともに低下することになる。前述の通り、未修飾の熱可塑性部室の熱伝導度Ctは固有に低値であり、このため、従来の放射又は接触による加熱の系においては熱移動を妨害する。更に、熱伝導プロセスは材料の全体積に渡ってこれを溶融させ、望ましくない温度勾配をもたらし、シートのような加熱される部分の厚みの分布又は幾何学的特徴に大きく依存する。比較対照すれば、マイクロ波は約12.2cmの波長を有し、これは赤外線の波長と比較すれば大きい。マイクロ波は使用可能なエネルギーが熱として散逸する前に、赤外線又は放射エネルギーと比較して吸収材料の中へ遙か深く、典型的には数センチメートル貫通することができる。マイクロ波吸収材料においては、材料を通過するマイクロ波の貫通の結果として、マイクロ波エネルギーは材料を「容量分析的に」加熱するために使用される。しかしながら、材料が良好なマイクロ波吸収材料でない場合は、それはマイクロ波エネルギーに対して本質的に「透明」である。
【0010】
マイクロ波は使用可能なエネルギーが熱として散逸する前に、数センチメートルまで吸収材料を貫通できる。マイクロ波加熱の利点は、急速でエネルギー効率よく容量分析的な即時の加熱、非接触性、非表面加熱(重合体分解の危険性を排除)を包含する。マイクロ波技術は食品の処理において、そして種々の材料の乾燥(水分除去)において長年適用されている。より最近では、マイクロ波開発は下記のような多くの代替分野におけるマイクロ波の産業上の利用を可能にしている。
a)プラスチック及びゴムの硬化及び加硫、
b)タイヤ及び鋳物用砂材のマイクロ波リサイクル、
c)重合体処理用のマイクロ波系水分測定及び乾燥、
d)採油のための油井砕石のマイクロ波支援処理及び再使用。
e)食産業のためのマイクロ波加熱および流動層技術の組み合わせ。
【0011】
多くの材料がマイクロ波の吸収により加熱されることができる。これは双極性加熱機序により達成でき、そして永久双極子及び/又は電荷が材料を通過して移動する振動する電磁波と共鳴して振動しようとする場合のそれらの刺激された運動を包含する。即ち材料は分子の撹乱とその後の近隣原子及び分子への熱の粘性の移動により加熱される。他の材料は、材料内部の電流の流れを電磁波の電場が刺激する場合のオーム(抵抗)加熱を介して加熱される。他のマイクロ波加熱機序はMaxwell-Wagnerおよび磁気加熱機序を包含し、そしてこれらはMeredith“Industrial Microwave Heating“,A.C.Metaxas and R.J.Meredith IEE,1983年5月(ISBN 0-90604-889-3)に記載されている。何れかの材料がマイクロ波フィールドの存在下に加熱される程度は、その誘電損失因子(その他、損失タンジェント又は複合的誘電体誘電率)、事実上は材料と電磁波の間の相互作用の強度の尺度により定義される。この加熱はバルク又は容量分析的な作用である。
【0012】
吸収剤もまた材料を電磁気放射(通常はマイクロ波)により加熱可能とするためのプラスチック材料中の添加剤としても使用できる。特定の特性を変化又は向上させるために重合体材料に添加される他の薬剤もまた重合体に進歩した加熱可能性を付与する場合がある。添加剤として使用されるマイクロ波の共通の吸収材料はカーボンブラックである。カーボンブラックはタイヤ摩耗向上のためにゴムタイヤに配合されている。この材料はオーム(抵抗)加熱を介して加熱される。
【0013】
吸収剤は材料を電磁気放射(受容性)、通常はマイクロ波により加熱可能とするためのプラスチック材料における添加剤としても使用できる。これらには、ゼオライト、タルク粉末、ZnCl2、ナイロン、銅及び他の金属粉末、酸化第1鉄、酸化マンガン、セラミックス及び酸化物(例えばCo2O3、MnO2、SiC、Al2O3、NaTiO3、MgTiO4等)が包含される。添加剤として使用されるマイクロ波の共通の吸収剤はカーボンブラックである。カーボンブラックはタイヤ摩耗向上のためにゴムタイヤに配合されている。この材料はオーム(抵抗)加熱を介してマイクロ波の場において加熱され、そして押し出されたゴムの硬化及び加硫を容易にするために使用されている。DCにおいてはタイヤ材料の抵抗はほぼ無限大となる。しかしながら重合体(材料中に包埋されたカーボンブラック粒子の間の誘電体として作用する)によりもたらされる浮遊容量は低いリアクタンスを有することになる。従って高周波数においては材料の有効抵抗は極めて低く、これらの容量性素子間に電流を流し、材料のI2R加熱をもたらす。特定の特性を変化又は向上させるために重合体材料に添加される他の薬剤もまた重合体に向上した「加熱可能性」を与える場合がある。
【0014】
より望ましい代替物は重合体鎖内に極性基(例えばCO)を取り込ませることにより重合体を受容性に設計することである。修飾された受容性重合体の主要な制約事項はその設計及び合成にあり、即ち、物理的、化学的および機械的な特性又は経費に悪作用を及ぼすことなく高い誘電損失を達成するための重合体マトリックスへの適当な受容性材料種(CO、ECO、EVA)の取り込みである。
【0015】
結論として、重合体材料は一般的に、誘電損失因子及び吸収が温度とともに上昇する(熱暴走)ため、弱吸収性であり、熱伝導性は不良であり、そしてホットスポットに対して無防備である。材料の理解が欠如していることが重合体処理におけるこのような材料の開発の妨げとなっている。添加剤は通常は明瞭な目視的、物理的又は化学的な作用を有しており、これは望ましくない場合がある。更に、増感剤として添加剤を使用する場合、不規則な結果を与え、そして重合体を損傷させる場合がある「ホットスポット」を回避するために均一な分布を達成しなければならない。前述のとおり、大部分の(一般商品の)プラスチックは吸収性は低値である。そのような材料を迅速に加熱するためには、マイクロ波を金属(反射性)キャビティ内で最適に限定することにより、定常波及び高い電場強度の形成を可能とする。しかしながら、より大きい「マルチモード」キャビティ(サイズ>86mm)における場のパターンは定常波であり、このため材料の不均等な加熱を誘発する非均一のホットスポットが存在する。マルチモードキャビティオーブンは場のパターンを攪乱してより均一な加熱を効率的経費において得るためにターンテーブル及びモードスターラーを使用しており、これでは重合体処理に必要な均一性のレベルは得られない。エネルギー密度における僅少な偏向が残存しており、そしてこれらは、熱分解を妨げるこれらの材料の熱暴走と不良な熱伝導性の組み合わせのために、重合体内で増幅される。結果として局所的溶融スポット及び分解が生じる。
【0016】
ワイドウエブの「乾燥」システムは屈曲した型のアプリケーターを使用しており、そこを材料が通過する。これはジグザグ型の長単一チャンバーの導波路である。マグネトロンをチャンバーの一端に位置させ、マイクロ波エネルギーを放出する。これがチャンバーを通過して供給され、ジグザグの各パスでそのエネルギーの約20%を損失する。チャンバーのもう一方の端部には水負荷が位置しており、残存エネルギーがあればそれを吸収する。正しい位置においてE場を通過するワークロードを確保するために、ジグザグの平面におけるアプリケーターの各パスの広面を通過してスロットを切り出す。電力の相対的に中程度の量であってもそれを消費するためには、アプリケーターはワークロードの数個のパスを生じさせなければならない。そのようなシステムにより発生する場の強度もまた相対的に低値であり、典型的には同様の電力の共鳴系よりも30倍低値となる。屈曲型システムは長い導波路長を用いているため、共鳴系として操作するように変更することができない。均一性を向上させるためには、発生した波があるパスから次のパスに協調しないように配置させるが、20%のパスからパスへの損失はエネルギー適用がなお均一ではないことを意味する。更に、マイクロ波発生装置出力の不安定性+スロット、ワークロード及び屈曲により誘発される逆反射が場のパターンを歪曲させ、非均一性をもたらす。この型のシステムは受容性が除去すべきエレメント(水分)により与えられるため乾燥用途に最も適している。水分が除去されたのち、材料は乾燥し、これにより非受容性となり、材料の熱暴走、過熱又は燃焼が防止される。適用されるマイクロ波エネルギーは非均一であり限定された制御を要する場合がある。即ち、このような系はこの用途のために必要な高度に均一でエネルギー効率及び電場強度を送達することができない。
【0017】
マイクロ波エネルギーは例えば湿潤布地のような平面構造を乾燥するために使用されている。水はマイクロ波感受性(特に2,456GHzの周波数において)であり、そして十分な時間に渡って十分なマイクロ波エネルギーに曝露されれば蒸発する。しかしながら、布地は典型的にはマイクロ波に対して透明であり、このため材料において本質的に唯一のマイクロ波感受性の成分である水にマイクロ波を集中させる。マイクロ波エネルギーは又、以下の参考文献に記載されている通り、他の材料を加熱するためにも使用されている。
【0018】
US-A-5,519,196は食品容器の内層として使用される酸化鉄、炭酸カルシウム、水、ケイ酸アルミニウム、エチレングリコール、及び無機質スピリット、を含有する重合体コーティングを開示している。コーティング層はマイクロ波エネルギーにより加熱でき、これにより容器中の食品の褐変又は焼灼を誘発する。
【0019】
US-A-5,070,223はマイクロ波感受性材料及び玩具中の蓄熱材としてのその使用を開示している。開示されているマイクロ波感受性材料はフェライト及びフェライト合金、カーボン、ポリエステル、アルミニウム及び金属塩を包含する。
【0020】
US-A-5,338,611は熱可塑性基板を結合するために使用されるカーボンブラックを含有する重合体のストリップを開示している。
【0021】
WO-A-2004/048463は電磁気放射の作用下に急速に加熱することができる重合体組成物及び関連する用途及び処理方法を開示している。
【0022】
例えば、「Method and apparatus for extruding polymers employing microwave energy」と題されたUS-A-2003/183972に記載されている通り、医療用製品の後のブロー成型のための重合体チューブの加熱及び処理においてマイクロ波を適用できることは当該分野で知られている。押出製品の成形の直前に押出機先端およびダイスユニット内の重合体供給材料を加熱するためにマイクロ波エネルギーを利用する重合体押出装置が開示されている。この方法は全材料を加熱する材料バルク全体に渡ってマイクロ波エネルギーを使用している。別の例はマイクロ波を使用して重合体の結合層に接着性を付与し、そしてこれにより重合体の2物品を溶接する(US-A-4795665)か、シール部を形成している(US-A-4600614)。
【0023】
EP-B-1115770はマイクロ波エネルギーに対する材料の受容性を増強するために材料に分子基を付加する、リバーシブル接着性関節を形成するための接着剤系を開示している。これは分子レベルにおいてマトリックス材料内にマイクロ波受容性成分を付加する(例えば共重合体化による)ことにより通常ではリバーシブルではない関節をリバーシブルにする方法を開示している。これの作用実施例はジフェニルメタンジイソシアネート及びポリエーテルポリオールを基剤とした水分硬化性のポリウレタン接着剤を用いている。これに受容体材料種、本例においては臭化リチウム/トリアミノエチルアミン複合体を添加している。受容体を接着剤成分とブレンドした後に3質量%で鋳造する。この開示の場合は、マイクロ波受容性の成分は、接着剤が弱化(分子鎖切断による)して部品の剥脱が可能となるような化学反応をトリガーするように設計されている。
【0024】
重合体材料を加熱するためのマイクロ波の使用の重要な限界は多くの有用な重合体の低いマイクロ波受容性である。即ち重合体の低マイクロ波受容性は、そのような重合体系を加熱するためには高電力又は長時間の放射の何れかを必要とする。マイクロ波吸収のために特別に設計された重合体においては、そのマイクロ波特性と機械的又は熱的な特性の間に矛盾がある場合が多く、即ち、機械的及び熱的な特性は望ましい程度に満たない場合が多い。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、重合体及び熱可塑性材料のような形成可能な製品を製造するための進歩した方法及びシステム、及び形成可能な材料を提供することを目的としている。
【0026】
本発明の特徴によれば、請求項1、3、5、7、9又は11において特定した材料を処理する方法が提供される。
【0027】
本明細書に記載した方法は処理すべき材料の一部分のみを加熱して製品を形成することを可能とする。その結果、処理すべき材料内に投入する必要があるエネルギーの量が少なくなり成形の後に製品を冷却するために必要な時間を含む製品製造に要する時間が従来技術のシステムと比較して実質的に低減される。本発明者等による初期試験によれば製造時間の顕著な低減、及びその結果としての経費及びエネルギーの節約が示された。
【0028】
材料の第1及び第2の部分の差別的加熱は、後述する通り、第1及び第2の部分を形成する材料の特性により、及び/又は材料のターゲティングされた加熱により行うことができる。
【0029】
1つの実施形態において、材料は少なくとも第1及び第2の層から形成され、各層は材料の前記第1及び第2の部分の一方又は両方を含む。
別の実施形態において、第1及び第2の部分は第1及び第2の顆粒材料から形成される。
【0030】
好都合には、前記第1の部分を差別的に加熱する工程は前記第1の部分を溶融させる。
【0031】
一部の実施形態においては、方法は前記第1の部分からの伝導性又は対流性の熱移動により前記第2の部分の加熱を行う工程を包含する。伝導性又は対流性の加熱は第2の部分を溶融させてよい。
【0032】
差別的加熱工程は材料の実質的に全体に対して熱エネルギーを適用してよい。これは電磁気エネルギーにより、例えばマイクロ波放射により行ってよい。
【0033】
ある実施形態は少なくとも、
a)前記電磁気エネルギーを前記材料に渡って実質的に均等に分布させること、又は、
b)前記電磁気エネルギーを材料の選択された領域に向けてターゲティングすることによりそれらの領域を加熱すること、を包含する。
【0034】
材料の第1の部分は材料の全体に渡って実質的に均等に分布していてよく、或いは、それは材料の可変温度プロファイルを達成するために局所的に位置していてよい。
材料の第1の部分を加熱する工程は好ましくは全材料が混合、移動、成形、刻印、注入又は押し出されて製品を形成することを可能にする。
ある実施形態において、方法は低分子量重合体、オリゴマー又は単量体に対して実施される。
【0035】
材料は好ましくは、
電磁気放射により加熱可能な材料の1つの相であって、前記相が第1の部分となるもの、
異なる程度まで電磁気放射により加熱可能な2つ以上の相であって、前記相が第1及び第2の部分であるか、これらを包含するもの、の1つ以上を包含する。
材料は層状の材料、顆粒、液体又はゲルであるかこれらを包含してよい。
部分は異なる層、異なる顆粒成分、異なる液体又はゲルであってよい。材料は結晶性、半結晶性又は不定形の重合体であってよい。
ある実施形態においては、材料は好ましくは射出成型、押出、押出ブロー成型、トランスファ成型又は射出−膨張成型の少なくとも1つを包含する溶融処理手法により処理される。
【0036】
差別的加熱工程は材料のターゲティングされた加熱をもたらすことを包含してよい。そのようなターゲティングされた加熱は処理すべき材料の部分に加熱エネルギーを方向付けることにより提供されてよい。可動アンテナ組立物が提供されてよい。
【0037】
好都合には、第2の部分は前記差別的加熱工程後に前記第1の部分から熱エネルギーを吸収するための熱シンクとして作用する。これは材料の加熱される部分の温度の低減、そしてその結果としての処理時間の低減において支援的であるという顕著な利点を有する。
【0038】
本発明の別の特徴によれば、請求項54、56、58又は60に特定する材料処理システムが提供される。
【0039】
本発明の別の特徴によれば、請求項83、85、87又は89に特定する処理可能な材料が提供される。
【0040】
本発明の別の特徴によれば、処理されるべき材料の一部分のみが所要の処理温度まで加熱されるが、少なくとも1つの他の部分は前記温度未満に保持されるように材料を差別的に加熱する工程、及び材料を処理する工程を包含する熱可塑性材料を処理する方法が提供される。
【0041】
本発明の別の特徴によれば、処理されるべき材料に対して選択的加熱を与えるための手段を包含する熱可塑性処理システムが提供される。
【0042】
本発明の別の特徴によれば、本明細書に記載する方法により得ることができる製品が提供される。
【0043】
好ましい実施形態は異なる材料の相対的受容性を利用しており、種々の幾何学的特徴及び割合におけるその組み合わせを介して、
a)選択的加熱、
b)エネルギー密度及び位置を変動させる能力、の作用を示す。
【0044】
当然ながら、「加熱の」及び「非加熱の」という用語は相対的な用語であり、加熱にはスライディングスケールが存在する場合がある。更に当然ながら、熱という用語は温度における上昇を意味することを意図している。
【0045】
従来技術の鋳造手法は流動させなければならない材料の全体を加熱していたが、本発明者等は、多くの場合において材料のある割合のみを溶融又は軟化又は融着すればよいことを発見した。その割合が十分である限り、材料バルクは流動することができ、鋳型への、又はダイスを通過する材料の形成の材料の移動を可能にし、材料をその最終製品形態に成形することができる。加熱対非加熱の材料の相対的割合は本発明を適用するプロセスおよび形成される製品の性能基準により決定される。例えば、高度に強化された圧縮成型製品については5%加熱及び95%非加熱程度の低値であってもよく、逆に非強化の熱成形製品では95%加熱及び5%加熱であってよい。
【0046】
電磁気放射(マイクロ波)に非受容性の材料及び自身の自然の状態において、或いは何らかの後処理又は添加剤の添加を介して受容性となったものを選択し、そして何らかの形成において2材料を組み合わせることにより、熱エネルギーを(マイクロ波エネルギーに対して)「受容性」である成分のそのような部分のみに適用する機会が存在するようになる。これにより、低減されたエネルギー必要性及び全体的サイクル時間に由来するもののみならず、処理及び製品/材料の物理的及び化学的性能の点においても、多くの機会が生じる。
【0047】
本発明者等は多数の構造が選択的加熱プロセスにより処理されることから利益を得ると推定し、これらは他の重要性マトリックス材料により包囲された高度に分散された非受容性の粒子から、マイクロ波エネルギーに対して種々の程度の重要性を有する材料の高度な秩序を有する予め定義された領域に至るまでの範囲に渡ることができる。
【0048】
即ち、好ましい実施形態の1つにおいて、バルク材料は加熱段階の間、ある割合を、非軟化又は非融合、又は非溶融の状態に保持する。しかしながら、より固形性又はより高硬度を維持するバルク材料の割合又は部分は、好都合にも、加熱可能な部分が軟化、又は溶融、又は融着してしまった後は、バルク材料全体が実質的に均一に流動することを可能とするような形態、形状又はサイズのものとなる。
【0049】
好ましくは、加熱は電磁気エネルギーにより提供され、それはマイクロ波放射によるものであってよい。
【0050】
好都合には、電磁気放射の周波数及び/又は波長は加熱されるべき材料の部分とより強力に相互作用するように選択される。1つの実施形態において、電磁気エネルギーは材料の選択された領域にのみ向かうように指向され、これらの領域を優先的に加熱する。これらの概念から推定して、本発明者等は、材料を加熱するため、そして材料内に所望の温度パターンを誘導するために、ターゲティングされた、又は制御された可変電磁気放射の制御された使用を提供する方法及びシステムを考案している。そして更に、これはブロー成型、熱成形等のようなプロセス操作中の材料の制御された伸展を可能にし、3次元の部品を形成させる。材料の所定の両域が到達した熱的状態の結果として種々の程度まで伸展する場合、部品の設計は、材料の使用を最適にするために予め決定することができる部品の全領域における最適な厚みから利益を得ることができる。例えば、現在は高深度に吸引された部品が関与する場合、材料は通常は、最終部品の高深度吸引壁部面が特定の最低厚みに到達可能とするために肥厚シートの初期形態をとる。そのような従来のプロセスにおいて、材料は均一に加熱され、膜の等しい「伸展性」がもたらされ、そしてこれにより、壁部面部の厚みは操作中に顕著に減少するが、部品の基部は肥厚したまま残存する。その結果、材料は事実上、無駄になる。形成操作中に壁部面と相対比較して高温をそのような部品の基部に導入することにより、この無駄の問題は克服されるか、実質的に低減される。
【0051】
電磁気エネルギー密度、雰囲気及び温度は重合体の処理を最適にするために好ましく制御される。
好都合には、電磁気吸収相の曝露は上昇した温度に作用される。
【0052】
好都合に加熱された材料の部分は全材料を混合、移動、成形、刻印、注入又は押出可能として製品を形成し、材料は一般的に均一に流動可能な態様において挙動する。
【0053】
好ましくは方法は低分子量重合体、オリゴマー又は単量体に対して実施する。加熱工程は単量体又は低分子量重合体の現場重合を誘導することができる。
【0054】
好ましい実施形態において、材料は、
a)電磁気放射に対して有効に透明であり、従って実質的に非加熱可能である1つ以上の材料の相、及び、
b)電磁気放射により加熱可能な1つ以上の相、又は、異なる程度まで電磁気放射により2つ以上の加熱可能な相、の1つ以上を包含する。
【0055】
加熱可能な相は非加熱可能な相と同じ重合体の性質であるが、吸収性となるように修飾されていてよい。吸収可能な材料は全体又は部分的に合成又は天然の重合体材料であってよい。ある実施形態においては、材料はカーボンブラックである。
【0056】
好ましくは、材料は粉末、顆粒、ペレット又は非均等のチッピング、液体又はゲルの形態である。材料は結晶性、半結晶性又は不定形の重合体であってよい。一部の実施形態においては、材料は1つ以上の着色料、強化用又は増量用の充填剤、及び機能的添加剤を包含する。機能的添加剤は難燃剤、充填剤、処理補助剤、ナノ充填剤はナノ複合材料等を包含してよい。
【0057】
好ましくは、溶融処理手法を使用して材料を処理し、これは射出成型、押出、押出ブロー成型、又はトランスファ成型射出膨張成型であってよい。
【0058】
本発明は又、処理すべき材料に選択的加熱を与えるための手段を包含する製品処理システムにも関する。
【0059】
本発明者等は一部の材料はマイクロ波下に容易に加熱され(特に永久双極子モーメントを呈するもの)、そして一部はそうではない(選択的加熱として知られる現象)という特性を利用することにより、熱可塑性及び他の先進的な材料の製造が実質的に向上され得ることを発見した。本発明の好ましい実施形態は当該分野で知られたそのような方法の効率を向上させることを目標としており、最終製品の形状を形成するために必要な材料のある領域又は割合のみの選択的加熱を可能とする。
【0060】
本発明の別の特徴によれば、加熱すべき材料のためのチャンバーを包含する。材料の部分的加熱によりそれを流動性とするためのシステム、ターゲティングされた加熱とは前記チャンバー又は標的材料の部分に対して、そしてこれにより内部の材料の部分に対して熱エネルギーを適用するために操作可能なターゲティングされた加熱手段が提供される。好ましくは、前記加熱手段は複数の前記部分に対して熱エネルギーを適用するために操作可能である。
【0061】
好都合には、前記加熱手段は前記チャンバー又は標的材料に対して相対的に移動可能又は調節可能である。
【0062】
即ち、好ましい実施形態は、熱可塑性材料の体積のある割合を選択的に加熱することによる電磁気エネルギーを使用した材料のより効率的な変換の概念を指向しており、ここでその割合は材料を、例えば何れかの後の(下流の)形成(及び冷却)の手法のような何れかの選択された手段により、処理可能とするために十分なものである。「処理可能」という用語はバルクプラスチックが混合、移動、成形、刻印、注入又は押し出されること等により製品を形成できるように、熱可塑性材料のある割合の十分な溶融状態又は軟化をもたらすことを意味することを意図している。材料(本明細書においては「基板」と称する)の加熱は、電磁気(特にマイクロ波)エネルギーへの材料の曝露により達成され、この型の放射は基盤の全体積に渡って貫通し、条件が良好である領域において優先的に吸収されるという能力を有する。
【0063】
電磁気放射(例えばマイクロ波)を適用することにより、このようにして体積/バルク又は部分の所定領域において極めて局所的に熱が発生する場合がある。このようにして適用されたエネルギーの量は、他の領域は使用する放射線に対して透明である非吸収性材料よりなる場合があるため、慎重に制御及び集中させてよい(例えば未処理のポリプロピレン及びポリエチレンはマイクロ波放射に対して透明である)。このようにして、使用エネルギーを低減し、サイクル時間を短縮し、そして最終材料の機械的及び他の特性を種々の条件及び用途に対して適合させ最適化してよい。
【0064】
好ましい実施形態は、電磁気エネルギーの吸収に関して良好及び非良好の両方の部位が材料内部に存在するように、意図的に材料及び/又は加熱手法を操作する。良好な吸収性の部位は電磁気エネルギーの作用下に容易に、そして急速に加熱されるのに対し、非吸収性の部位のそのような挙動は遙かに低値である。換言すれば、基板の体積の特定の割合のみが他の領域または部分と相対比較して電磁気エネルギーにより強力に作用を受ける。即ち、処理すべき材料内部の「ホットスポット」の形成として達成される作用を説明することができる。しかしながら、従来のmw加熱システムにおいて、不都合なことに、ホットスポットはエネルギー密度の非均質な分布に起因して起こる。本発明者等の推測によれば、高い強度の制御された均一なエネルギー(単一モードを使用する)の適用を利用することによりホットスポット化を克服し、そして選択された区域が信頼性高く予測可能に加熱できるようになる。
【0065】
この選択的吸収は多くの特徴を生じさせる。第1に、電磁気エネルギーは基板のある特定の領域のみと相互作用し、そしてこれらは電磁気エネルギーが存在する場合に温度を上昇させる。バルク材料内の近隣の作用を受けない領域の加熱は熱伝導の作用及び他のそのような機序により後に起こるのみである。バルク材料のより少ない体積が実際には加熱されるため(そしてより高速でより効率的な手段により)、遙かに迅速及び/又は潜在的に低エネルギー使用において、処理可能な状態まで材料を変換できる。更に、全バルク材料が加熱されれば、材料は通常存在するよりも低い熱エネルギーを含有することになる。即ち、かなりのエネルギー節約になる。更に、変換のプロセスのための時間もかなり節約される。マイクロ波加熱機序がバルク全体に渡り急速に生じるためのみならず(通常のより緩徐な熱伝導方法とは対照的である)、より少量を加熱するために、加熱サイクルが低減される。冷却サイクルも又、処理後に材料の未加熱領域がヒートシンクとして効果的に作用することにより近隣の加熱領域から熱を引き出し、バルク材料の全体冷却速度を顕著に増大させるため、やはり低減されるのである。
【0066】
好ましい実施形態は熱可塑性重合体材料の選択的/マイクロ波加熱のために使用できる。重合体処理に関しては本技術は設計者及び処理者に対して、
a)下記に対する選択的加熱(選択的エネルギー吸収)、
バルク全体内部の特定の重合体ブレンド、
バルク材料内の特定の領域(例えばブロー成型又は真空形成作業)、
工具及び副次的機材のような処理装置の他のエレメントではない試料材料、或いは回転成型のような処理手法のための工具及び副次的機材、
b)迅速な全厚みに渡る加熱(エネルギー貫通)、
c)極端に低減した加熱/冷却のサイクル時間(高速)、
d)高いエネルギー効率、
e)他の環境上の利点−低減された排出(乾燥及び無煤煙のプロセスである)及び増大したリサイクルの潜在性(自己補強型単一材料成分のより広範な使用を可能にすることによる)、
f)自己補強部分における特性の温存(逆転の危険性の低減)、
g)増大した生産性、
h)向上した部分の品質及び強度、
i)サーマルプロセス内の滞留時間の減少による熱分解の最小限化、及びこれにより重合体調合物中の熱安定化添加剤の低減、
h)ターゲティング又は制御された可変の加熱を介した材料の最適な分布、特に厚み、
を包含する多くの利点を与える。
【0067】
従って、本明細書に記載した教示内容はマイクロ波エネルギーを用いた重合体の急速で容量分析的な加熱を容易にするプロセスおよび重合体材料を提供することができる。更に、それらは、バルク材料を流動可能とすることにより重合体の成形又はその後の処理を容易にするために十分な、重合体材料の一部分のみを加熱又は溶融する能力を有するプロセス及び重合体材料を提供することができる。
【0068】
本発明の実施形態を下記の添付図面を参照しながら、単なる説明のために、以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】材料の選択的加熱を提供することを意図した材料の構造の実施形態の概略図である。
【図2】図1に示した構造の実施形態の特定の例の概略図である。
【図3】本明細書に記載した選択的加熱の方法又はシステムにより達成可能なサイクル時間の低減を示すグラフである。
【図4】選択的加熱の1つの実施形態のグラフである。
【図5a−5e】マトリックスに対する加熱の作用を示す。
【図6】内包する材料にターゲティングされた加熱エネルギーを適用することができる調節可能な加熱オーブンの実施形態の例を示す。
【図7】除去可能な、又は可動アンテナの作用を示すグラフである。
【図8】マイクロ波の周波数のピークに吸収スペクトルの所望の重複させたグラフである。
【図9】本明細書に記載した概念による製品の形成の実際の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本明細書に記載した教示内容は処理前の材料の選択的加熱部分に関する方法及びシステムを提供する。これは加熱放射に対して感受性である成分及びそのように感受性ではない他の成分を材料内に包含することにより、又は、処理すべき材料の部分のみに加熱エネルギーを指向させることにより達成される。そのような選択的加熱は材料を流動可能な、又は別様に処理可能な状態とするために必要な時間及びエネルギーを低減させ、そして冷却時間を低減する。
【0071】
好ましい実施形態は種々のスケール(寸法)において実施できる。処理可能な構造の1つの実施形態の基礎となる原理を図1に模式的に説明する。
【0072】
実施形態は所定の周波数において重合体及び他の材料が吸収する、或いはしない能力、及び、狭小な領域(分布)の波長のマイクロ波の手法の潜在性を利用している(即ち、後に詳述する特定の周波数に「調整」又は「脱調整」する能力)。
【0073】
選択された加熱の概念の1つの実施形態において、1つ以上のマイクロ波感受性重合体を多層構造の個別の層(又は数層)として組み込み、その際その層が後の加工の前に優先的に加熱されるようにしてもよい。即ちこの実施形態において、処理すべき材料は、熱エネルギーに対して少なくとも2つの異なる受容性を有する種々の層を構成する。マイクロ波の適用の後、次に、熱エネルギーを受容性(吸収性)の層から、マイクロ波エネルギーに対して本質的に「透明」である重合体(未修飾)隣接層に伝導され、これにより全体としての重合体構造が従来の加熱システムよりも迅速に必要な加工温度まで到達することになる。この実施形態の1つの特定の例は3層(A/B/A)多層構造であり、その場合、A層はマイクロ波エネルギーに対して本質的に透明であるのに対し、B層はマイクロ波エネルギーに対して感受性である。そのような構造は、B層が優先的に加熱され、次に熱エネルギーがA層に伝導されるような態様において、マイクロ波により加熱することができる。
【0074】
この構造は、例えばAB又はABA構造として示すことができ(図1参照)、ここでAは受容体であり、そしてBは非受容体である。この構造は一般的には共押出しプロセスを用いてこのような断面を有するシートを作成し、潜在的にはシートをスリット化して所望により後に織成することができる多数のテープとすることにより製造される。この代替としては、編成に適する環状の繊維を作成するための同様の態様における繊維コーティングを用いた共押出し法である。
【0075】
図2に示す特定の例においては、重合体の外層12、14を、内層16、18、20と比較して選択的に加熱する。本実施形態においては、熱受容性間質層22、24、26、28も提供される。これらは同じ材料であることができ、外層12、14として形成されるが、他の材料/構造であることも想定される。また、相互を含む異なる材料及び/又は構造であることができ、これにより、何れかの一つの用途において要望どおりの異なる成形特性を与えることができる。
【0076】
図2の例においては、外層12、14はポリプロピレン/ポリエチレン共重合体であってよく、構造は好ましくは配向性付与された材料、例えば自己強化ポリプロピレンを包含する。本実施例においては、内層16、18、20は好都合には繊維の形態の配向性ポリプロピレンである。
【0077】
1つの実施例において、物理的特性の温存が望まれる場合、本発明者等は配向性相の逆転を制限及び/又は制御するための選択的加熱の使用を発見した。これはより速いサイクル時間及び/又はより肥厚した処理すべき成分断面を可能にする。
【0078】
概念はそのような材料から部分を製造することができ、且つ自己強化材料の特性を保持することができるマイクロ波処理の能力を包含する。これは配向性コア重合体層16、18、20の表面上の薄層共重合体コーティング12、22、24、26、28、14をマイクロ波吸収性とすることにより達成される。これにより処理段階におけるその急速な加熱が可能となる。しかしながら、メルトフローを用いることにより、そして単に層を接着的に共に連結する経路としてではなく、材料を処理可能とすることを本発明者等は想定しているため、好ましい実施形態は上記を超越しているのである。材料の別の例は下記を包含する。
a)受容性重合体、
b)受容性重合体/非受容性重合体(2種の異なる重合体)又は同じ重合体の2つ以上の相を包含できる、
c)受容性重合体/非受容性非重合体(例えばGFナイロン)、
d)非受容性重合体/非重合体受容体。
【0079】
「受容性」及び「非受容性」という用語は相対的な用語であり、適用する電磁気エネルギーの周波数を包含する多くの要因に関連している。従って相対的受容性は両方とも受容性であるがその程度が異なっている材料の2つ以上の相も意味することができる。さらにまた、「受容性重合体」という用語の使用はブレンド、コンパウンド化、混合、グラフト又は他の添加手法による受容性材料種の添加を伴った非受容性も包含する。
【0080】
当然ながら、材料の受容性の特徴はその温度により頻繁には顕著に改変され、そしてこのため、その材料の相の総体的受容性はその温度に強く依存することになる。この作用は、特に単一の材料相が望まれる場合に、プラスチック材料の選択的加熱を達成するために受容性の二面性を誘導するために使用される。
【0081】
上記の通り、受容性重合体の例はポリアニリン及びナイロンである。非受容性重合体の例はポリプロピレンである(「非受容性」とは、本発明者等は低受容性、即ち好ましい実施形態においてはマイクロ波により容易には加熱されないことを意図している)。
【0082】
有効誘電損失ε”はマイクロ波エネルギーによる材料の加熱可能性の尺度を与えるものであり、そして、材料内部の誘電緩和(効果上は移動する電荷、又は電流)による材料中のエネルギーの全体的損失に起因する。誘電損失が大きいほど、材料はより加熱される。相対的誘電定数はε’(実際の誘電定数ε=ε0.ε’)と表記され、式中、ε0は自由空間における誘電定数である。損失タンジェント、tanδ=ε”/ε’は効果的には誘電損失ε”の尺度であるが、材料の誘電定数に対して規格化される。
【0083】
【表1】
【0084】
表1。数種の重合体に関する0.1、1および3GHzにおける誘電特性。入手元:Industria Microwave Heating、A.S.Metaxas&R.J.Meredith、1983。太字のデータが最も重要である。*0.3GHz。Φ=積層物に平行な場。$デュポンナイロンFM10001。
【0085】
別の例では上記と同じ原理であるが低分子量の重合体/オリゴマー/単量体に対するものを使用し、単量体又はLMW重合体の現場重合を誘導するためにマイクロ波エネルギーを使用する。例えば、未重合又は部分的に重合した材料の成形は重合、硬化又は他の化学反応を完了するためにマイクロ波エネルギーを使用できる。
【0086】
即ち受容性重合体/非受容性重合体の組み合わせの例はポリアニリン/ポリプロピレンである。受容性重合体/非受容性非重合体の組み合わせの例はガラス充填ナイロンである。
【0087】
「Microwave Welding of Thermoplastics, RJWise and IDFroment,2001」において、著者等はマイクロ波放射を用いて非受容性の熱可塑性部分を共に溶接可能とするために熱可塑性マトリックス内におけるマイクロ波吸収添加剤の使用を考察している。そのような溶接用途のためには、これらは通常、マイクロ波場の存在下のポリエチレンのような非受容性材料の成分の連結を容易にするためのマイクロ波受容性インプラントを製造するために受容性マトリックス(この場合はポリアニリン)内で使用される。カーボンブラック材料は加速硬化(加硫)の目的のために電磁気放射による放射の前に未硬化のゴムと混合されている。これは非受容性マトリックスと受容性添加剤の組み合わせの例であり、即ち非受容性重合体/非重合体受容体である(この場合、非重合体が電磁気エネルギーを吸収する)。
これらのプロセスは典型的には2450MHzの放射周波数を使用する。
【0088】
材料の受容性を増大するために当前記分野で使用されている添加剤はかなり狭小なバンドの応答を電磁気エネルギーに対して呈することができる。これは特定の受容性相(狭小なバンドの受容性の添加剤をある程度含有する相)に対し、選択的に周波数を合わせる、及び/又は周波数を外す機会を大きくする。
【0089】
選択的加熱は好ましい実施形態においては内部冷却の作用を介してサイクル時間を減少させることができる。内部冷却は非受容性材料の範囲を含有する応答性材料のマトリックスへの選択的加熱の適用を包含する。これは多くの重合体変換プロセスが関与している場合、例えば押出、ブロー成型、射出又は圧縮成型の場合に好都合である。
【0090】
例えば、ガラス充填ナイロン(ガラスが非受容性相であり、ナイロンが受容性の重合体マトリックスである)の場合は、ナイロンは広範なバンドの周波数に渡って、又は特に2450MHzにおいて電磁気放射により加熱される一方、ガラス相は放射に対して効果的に透明であるので(重合体及び非重合体の相の間の熱移動の通常の作用とは関わりなく)未加熱のまま残存することになる。従来は熱伝導加熱機序は2つの相の間の判別を行わないため、重合体及びガラスの両方が加熱されていた。従って高周波の電磁気(例えばマイクロ波)加熱の使用を介してガラス相によるエネルギーの吸収を回避することは、操作の全体的エネルギー経費の節約を可能にする。更に、マイクロ波エネルギーは受容性材料を急速および選択的に加熱することにより受容性材料を加熱するために使用できる。通常の熱伝動プロセスと相対比較した場合の吸収性の相によるマイクロ波エネルギーの急速な取り込みは、加熱段階の持続時間を短縮化する。
【0091】
マトリックス材料が流動/形成のための十分な熱エネルギーを有すると、急速形成の後に冷却期間を設け、その間、2種の材料が急速な熱的平衡状態に到達することになる。方法は伝統的な方法と比較した場合、流動性を達成するための処理すべき材料への正味熱エネルギー投入量を低下させる。従ってこれにより、製造された部分を処理システムから取り出すことができるようになる前の冷却段階の間に材料及び周囲システムから除去することが必要な熱エネルギーを低減する。
【0092】
例えばガラス充填ナイロンの射出成型の場合、臨界射出点においては、バルク材料の十分量が溶融して粘性流動を可能とするのに対し、非受容性(ガラス)相は固体、又は高粘度のまま、溶融重合体マトリックス材料の温度より低値に残存するが、しかし、それは形成可能であり、一部の場合においては溶融相とともに流動するのである。次にバルク材料を急速に鋳型内に射出し、その時点で冷却固化を開始する。この場合、非受容性相(この例においてはガラス)はその周囲の溶融マトリックス(ナイロン)よりもかなり低温にあり、そしてマトリックスから熱を引き出すためのヒートシンクとして作用する。これによりバルク材料の温度の急速な平衡化がもたらされ、処理すべきバルク材料の全体を加熱する従来技術と比較して有意に低減した冷却時間及び有意に低減した全体的サイクル時間がもたらされる。本発明者等は高度にガラス充填された材料の場合は処理は高固体体積画分、及びそれに伴う高いバルク密度においてさえも、なお可能であることを観察している。従って本明細書において教示した方法の効果は大きいと考えられる。
【0093】
そのようなプロセスは多くの材料と受容体の組み合わせに対して功を奏すると考えられる。そのような組み合わせの1つは重合体粒子を包含する材料であってよく、各粒子は粒子周囲の受容性の相の外皮を有する電磁気エネルギーに対して透明な非受容性相のコアを包含する。
【0094】
図3は本明細書に記載した方法及びシステムを用いて可能となるサイクル時間に関する利点を示す時間に対する温度のグラフを示す。温度は加熱エネルギーに対して受容性である領域のものである。
【0095】
本明細書に記載する教示内容は重合体、受容性の相の性質、粒子形態の要因(幾何学的特徴)、又は本明細書に記載する例のパーセント重量に限定されない。
【0096】
例えば、それらを使用することにより本明細書の導入において上記した過去の出版物に開示された従来技術のプロセスを、特に上記文書に開示された成形装置のために必要な追加的事項との関連において、改良することができる(好ましい実施形態においてはマイクロ波加熱段階の設定による)。
【0097】
この機会は本発明者等が選択的加熱と称していた概念を導入する。熱可塑性重合体材料は、粘性の溶融物内に高い固体含有量を含有しつつ成形されるために十分流動性であることが知られており、例えばガラス充填ナイロンの射出成型が挙げられ、この場合ガラス含有量は50重量%を大きく超過することができる(例えばTicona Celstran PA66-GF60-01014P10/11及びDuPont Zytel75LG60HSLBK031)。この状況はバルク材料が粘性流動が可能な程度に十分加熱される場合の溶融マトリックス材料内部の固体粒状材料の形成を示すものである。この場合において、材料全体(ガラス充填剤及び重合体マトリックス)を成形の前に同じ温度まで加熱することにより、より少ない熱を抽出することが必要となることを介して低減されたサイクル時間における最小限の利点を与える。選択的加熱の場合、本発明者等は材料を新しい形態に成形又は変形(流動)可能とするために物理的に必要である材料の一部分のみを加熱することを提案する。これは上記したガラス充填重合体の例の場合においてガラスを除いて重合体のみを加熱することに類似しており、これは選択的加熱の目標である。
【0098】
電磁気放射(マイクロ波)に非受容性の材料及び自身の自然の状態において、或いは何らかの後処理又は添加剤の添加を介して受容性となったものを選択し、そして何らかの形成において2材料を組み合わせることにより、熱エネルギーを(マイクロ波エネルギーに対して)「受容性」である成分のそのような部分のみに適用する機会が存在するようになる。
これにより、低減されたエネルギー必要性及び全体的サイクル時間に由来するもののみならず、処理及び製品/材料の物理的及び化学的性能の点においても、多くの機会が生じる。
【0099】
〔選択的加熱から利益を得る材料の構造〕
多重構造は選択的加熱プロセスにより処理されることから利益を得ることができ、そしてこれらは他の受容性マトリックス材料に包囲された高度に分布した非受容性の粒子から、マイクロ波エネルギーに対して様々な程度の受容性を有する材料の高度に秩序だてられた所定領域までの範囲に渡ることができる。
【0100】
1つの特定の用途は自己強化重合体材料に対する機会等に基づいている。これらの材料は一部の重合体材料(例えばポリプロピレン(PP))が、様々なレベルの結晶性、そしてその結果として、材料が以前に受けた処理にを受ける、物理的特性を呈する能力を利用している。材料(一般的にはシート型)の結晶性および物理的特性を増大させるための共通の方法はそれを伸展させることであり、その際、延伸により不定形の分子構造の配向性及び高いレベルの結晶性が生じ、延伸方向の物理的性能が向上する。結晶性は、単に材料に関するその融点より低値の特定の温度(Tg)より高温にまで分子を加熱可能とすることにより逆行する。この特性は進歩した特性を与えるために1軸又は2軸延伸の何れかを用いて重合体シート形態において使用される。この方法を用いる1つの用途はスーパーマーケットで一般的に使用されている進歩した強度の重合体手提げ袋である。
【0101】
この配向性材料の多重の層は異なる軸のアライメントで、単純な積層形態において、又は織成又は編成された形態において、例えば増強された物理的特性(例えばBPCurve材料)の範囲を達成するために配置させることができる。次にこれらの材料を、材料が層の間に結合をもたらすために十分加熱されるように(重合体層が隣接する層に溶接されるように)、ただし材料が曝露されていた温度が配向性を有する材料をその低い物理的性能の不定形の状態に逆行させることのないように、所定時間圧力および温度に曝される。
【0102】
材料は外側からの伝導熱「浸積」に依存しているため、配向性を破壊する温度に材料が暴露される時間が、材料厚みの中心においてこれらの層の間に結合を形成するための十分な高温を達成することが必要となる時間により制限されるので、それらは少数の層、わずか数ミリメートルの厚みに限定される場合が多い。残念なことに、多くの場合において結晶構造の破壊が起き、解決法は層間の「接着剤」として共重合(僅かにより低温(20℃程度)で融解する)を使用することであった。
この場合において、同時に全厚みを通して加熱し、そして層の間の結合界面を形成する区域のみを加熱する方法が理想的となる。
【0103】
これは同じ重合体を用いて構造を形成することによってのみ、上記した共重合体の方法においてのみ功を奏する(異なる融点のため)が、一方が受容体であり、もう一方が非受容体である場合は、これは同時全厚み加熱を達成することができる。
【0104】
材料の比率(受容体の非受容体に対する比)を正しく構築することにより、相互に結合することになる材料の受容体層を加熱するために十分であるが、これを十分低い全体の熱負荷に限定しつつ適用される熱エネルギーを慎重に制御することができ、受容体層内の温度がその周囲(結晶性の非受容体部分)と平衡し始める時点において結果として生じる熱的付加は結晶から不定形への顕著な逆行が起こる点より高温となるほど十分高値とならないことがわかる。図4はマイクロ波エネルギーを用いて受容体層のみの初期選択的加熱(t=1)からの平衡への熱フロー遷移を示す。
【0105】
必要とされる熱的負荷は下記の関数として計算してよい。
熱的負荷=受容体層の質量x比熱容量x温度差
【0106】
最終製品における層間の接着のレベルは、適用される温度、時間及び圧力の関数であるが、必要な最大負荷は周囲材料温度と融点Tmの間の温度差を用いて計算される。
【0107】
この構造は、例えばAB又はABA構造として示すことができ(図1参照)、ここでAは受容体であり、そしてBは非受容体である。この構造は一般的には共押出しプロセスを用いてこのような断面を有するシートを作成し、潜在的にはシートをスリット化して所望により後に織成することができる多数のテープとすることにより製造される。この代替としては、編成に適する環状の繊維を作成するための同様の態様における繊維コーティングを用いた共押出し法である。
【0108】
図2の構造は受容体及び非受容体材料として同じ重合体を用いた1つの潜在的用途を示しているが、他の組み合わせの例は、
受容性重合体のみ、
受容性重合体/非受容性重合体(2種の異なる重合体)又は同じ重合体の2つ以上の相、
受容性重合体/非受容性非重合体(例えばガラス充填ナイロン)、
非受容性重合体/非重合体受容体(非重合体を加熱)、
を包含する。
【0109】
受容性及び非受容性は相対的な用語であり、そして適用されるエネルギー場の周波数に関連する。さらにまた、受容性重合体という用語の使用はブレンド、コンパウンド化、混合、グラフト又は他の添加手法による受容性材料種の添加を伴った非受容性も包含する。
【0110】
本明細書において教示した方法は広範な種類の重合体物品、例えば限定しないがフィルム類、フォーム類、プロファイル類、コンパウンド化ペレット類、繊維類、織布又は不織布、成形部品、コンポジット、積層物又は重合体材料1つ以上を含有するか、それから作成された何れかの他の物理的なものの製作加工において使用できる。
【0111】
方法はそのような物品の製造の速度を有意に増大させ、これにより経費を低減することができる。
【0112】
また、本明細書に記載した教示内容は、加熱すべき材料に熱エネルギーをターゲティングすることにより材料の一部分のみを加熱することの可能性を、上記実施形態に対する追加又は代替として包含する。
【0113】
〔内部冷却の概念〕
必要分よりも多い熱を投入することは極めて容易である(大部分の重合体の熱可塑性変換プロセスはこれを行っている)こと、浪費されるエネルギー投入分とともに、成形された物品の後の急速冷却のための追加的エネルギー負担、およびそれによる増大したサイクル時間が明確化されているため、重合体材料の全バルクが形成を容易にするために同様の温度まで一般的に上昇されていた従来の熱可塑性処理手法よりも十分低値である材料の処理のために必要な最大必要熱的負荷に到達することが可能である。上記の例はこれを、圧力形成/熱成型/真空形成の手法により一般的に処理されている自己強化材料に関して明らかにしている。
【0114】
所定の熱可塑性重合体を処理するためにより少ない熱エネルギーを適用する利点は、その後、例えば製品をその材料の最大脱鋳型温度(加熱たわみ温度と呼ばれることが多い)以下において鋳型から取り出すために形成後に除去することが必要な熱エネルギーが低下している点である。冷却時間は通常は適用した熱エネルギー負荷、冷却すべき重合体材料の熱伝導性、および隣接する成型工具の温度の関数であるため、低減した熱エネルギー投入量は有意なサイクル時間の節約をもたらすことができる。当然ながら、受容体材料のみを加熱することは内部の「ヒートシンク」を形成する作用を有することになる。これは当初は処理ウインドウの柔軟性に対して制約を呈するものの、鋳造された部分のための潜在的に急速な内部冷却機序を等しくもたらすものであり、潜在的にはサイクル時間を有意に低減する。本発明者等は、この急速冷却作用を内部冷却と称する。図3は内部冷却を利用することから被る潜在的な冷却/サイクル時間の利益を示している。
【0115】
溶融処理手法の困難な点は、粘性な溶融材料が圧力下に流動するための十分な温度による均質な溶融物の形成を必要とする点である。これらの手法は共通して電気抵抗加熱を使用しており、重合体材料のマイクロ波加熱が長年に渡り使用、例えば圧縮および射出成型に適用されているが、これは熱可塑性材料のそのバルク全体に渡る加熱に依存しており、このため均質な熱的負荷を形成するために十分な熱的負荷を生じさせる。図5a〜5eを参照されたい。
【0116】
ガラス充填ナイロンの上記した説明を介して、固体の非溶融性(重合体処理温度において)成分を重度に充填した重合体材料を処理することができることがわかる。従って、自身が処理可能であるように十分な溶融流動性を材料が保持している限り、材料の一部のみを加熱している状態で材料から成分を形成することができることは、サイクル時間の点において、特に好都合である。選択的加熱の方法は、例えば受容性重合体/非受容性の「充填剤」を使用することを介してこれを達成する1つのそのような方法であり、この場合、「充填剤」は重合体材料又は非重合体材料である。
【0117】
この手法を良好に利用するためには2つの矛盾するエレメント、即ち急速な加熱及びその後の局所的選択的に加熱されたバルク材料の処理を達成すること、及び、射出成型のような従来の圧力形成手法により材料が処理されることができるように十分な低粘度を達成することを克服しなければならない。
【0118】
材料全体にわたる急速な加熱はマイクロ波処理の機材を使用することにより達成できることがわかっている。この材料が温度上昇を開始した直後に、それは又その周囲(非受容性「充填剤」)に向けて温度を損失し始めることになる。即ち、この材料を鋳型へ向けて処理(射出)して良好な成形プロセスを達成するためには、エネルギーを最小限、全体のバルク材料の加熱に関わるものよりも十分低値に維持されると、時間枠が存在することがわかる。これは受容体材料の加熱速度、バルク内部に生じる別個の材料の熱拡散性、及び受容体顆粒のサイズ(受容体生材料供給寸法)の関数である。この特徴から、顆粒の大きさが大きいほど、バルク内部の所定の成分の中心まで熱的負荷が平衡するための時間が長くなり、処理時間枠が大きくなる。
【0119】
しかしながら逆に、粘性流動を呈するバルク材料の能力に対して、より大きい顆粒サイズは悪作用を与えることになる。従来通り処理されたより大きいサイズの粒子は1mmのオーダーであることがわかっているが(長ガラス繊維強化ナイロン)、リサイクルされた熱硬化性材料を配合する実験によれば、2.5mm直径のサイズのより大きい熱硬化性ゴム粒子を配合することが可能であり、そしてなお、これらの非溶融「粒子」を通常の熱可塑性ポリプロピレンマトリックス中で処理する場合に、良好な射出成型サイクルが達成されることがわかった。その熱可塑性の性質のためにこれらの材料は「固体」であるが、当然ながら通常のPP成型温度においてはより弾性となる。
このようにして、最大粒子サイズに対する作業枠、および材料を加熱して処理する時間枠が誘導できることがわかる。
【0120】
MathCADTMは内部冷却作用をもたらすために受容性及び非受容性の重合体の領域を配合した粒子形態及び幾何学的特徴を開発するために使用できる。1つの実施形態、例えばポリプロピレンを用いた大型(肥厚)自動車部品又は配管の射出成型においては、これは射出成型2相ポリプロピレン顆粒となる。総体的領域の体積画分は用途に応じて変動する。モデル化に際してはペレットの顕微鏡的な熱的挙動及び平衡化、並びに鋳型に射出された後の材料の巨視的な冷却挙動の両方を考慮する。究極的で現実的な時間枠を確立することが可能であり、これにより十分な受容性相が溶融して鋳型内へのバルク材料の流動を起こし、十分な割合の非受容性相が固体形態に温存されることにより冷却プロセス間の内部冷却の利点を得ることが可能となる。顕微鏡的モデルのためには、溶融流動温度を示す温度において培地中に浸積されたペレットの直径に等しい厚みのプラスチックシートを推定することが可能である。MathCADモデリングはペレット/部分の厚みを介して種々の深度において理論的な温度分布に関する情報を提供する。典型的な成型ペレットに関しては、5〜40%の受容性マトリックス相の体積画分及び10秒までの射出サイクルと仮定した場合、元の直径のかなりの割合(一部の場合においては50%超)が鋳型到達時には固体コアとして保持される。巨視的モデルの目的のためには、周囲温度において無限のヒートシンクに浸積された最終部分の厚みに等しい厚みのプラスチックシートを仮定することが可能である。上記した例において、これらは2mm〜25mmの最終部分厚みについて、冷却段階における20%〜60%のサイクル時間低減をもたらす。これらの数値は2層の重合体ペレットモデルを仮定している。45分までの従来のサイクル時間による極めて肥厚した壁部断面の部分に関する潜在的節約を考慮することは興味深い。
【0121】
全バルク材料の平均温度は混合則を介して、下記方程式(1)、
(1)Tバルク平均=T冷却コアxVf冷却コア+T加温コアxVf加温コア+TマトリックスxVfマトリックス
[式中、Vfは存在する体積画分を示し、Tは温度を示す]により計算してよい。
【0122】
特に肥厚した壁部を有する成分の場合、特に潜在的に極めて有意なサイクル時間の節約を評価してこの技術に関する潜在性を明らかにすることは興味深いことである。
【0123】
例えば共押出しを介して非受容性材料を予備処理することによりそれらを上記した「ABA」シート又は「AB」繊維構造でコーティングすることは、増大した均質性、及びより均一な粒径を最終鋳造物内で達成する場合に好都合である。
この手法は多くの重合体溶融変換プロセスが関与する場合、例えば押出、ブロー成型、射出又は圧縮において好都合である。
【0124】
〔機材〕
これは重合体の変換のためのマイクロ波加熱技術を包含する特定の機材ソリューションにより達成できる。例としては、Meredith“Industrial Microwave Heating”,A.C.Metaxas and R.J.MeredithIEE,1983年3月(ISBN 0-90604-889-3)p.170に記載の平面構造のための均一電場ツインキャビティヒーター、及びオルタネートシステム、例えば移動グリッドアンテナ付きの大型多重様式共鳴キャビティ、射出成型、圧縮成型、ブロー成型、引抜及び押出成形のような重合体変換処理手法のために特に設計されたアプリケーターが想定される。そのようなアプリケーターは例えば、単一様式アプリケーター(シートのような平板な幾何学的特徴のために有用である、処理すべき材料の領域における緻密で十分明確化された場のパターンを確立するため)、多重様式アプリケーター、例えばツインキャビティ及びホーン型(平板な幾何学的特徴のため)、及び他のアプリケーター、例えば螺旋型アプリケーター(環状の幾何学的特徴のため、例えば射出成型時)等、材料の断面を介してエネルギーを適用するものを包含する。本発明者等は、加熱の均一性を向上させるために長時間持続する短方向のパルス処理の使用を想定している。しかしながら、向上した均一性を達成するためのパルス処理はオフ時の間にホットスポットを冷却させ許容ピーク温度を超過しないようにするが、平均電力入力量を低減させ、これにより加熱時間を延長するため、広範には使用されていない。
【0125】
選択的加熱機材の各例は特定の周波数を有するマイクロ波を発生させるために1つ以上のマイクロ波発生器、及び場合により、サーキュレーター(逆反射から各マグネトロンを保護するため)、導波路(エネルギーをキャビティに運搬するため)、マイクロ波エネルギー及びワークロードを含有し、好ましい場パターンを確立するための典型的には各々が金属キャビティを有するアプリケーター、マイクロ波を導入するためのアンテナ又はアレイ、発生器と材料処理キャビティの間のエネルギーの効率的結合を確保するためのチューニングエレメント(例えばE−Hチューナー)を利用している。
場合によりシールド装置(金属のようなマイクロ波反射材料により製造されている)を用いてマイクロ波エネルギーから材料の区域をシールドしてよい。
【0126】
〔熱成形機材〕
例えば、重合体熱成型のためのマイクロ波加熱技術を可能にするため、発明者等は1つ以上の単一様式の高度共鳴性キャビティ加熱システムを含むマイクロ波機材ソリューションを規定する。単純なシステムを図7.35、Meredith“Industrial Microwave Heating”、A.C Metaxas及びR.J.Meredith IEE、1983年5月(ISBN 0-90604-889-3)に詳述する。多重様式及び単一様式のキャビティは、エネルギーを含有し、使用したマイクロ波の波長に依存した適当な範囲である場合、マイクロ波共鳴性定常波の創出を可能にするように動作する。多重様式のキャビティに対して、場パターンは周期的な最大(高場強度領域)及び最小(ノード部、低場領域)によって特徴づけられる。単一様式のキャビティは、正しく設計された場合、共鳴性を持続する潜在性を有し、そのワークロードが場パターンの最大に位置した場合、材料のワークロードを超えた高電気的場強度を可能にする。このようなキャビティを使用する加熱システムは迅速かつ均一に弱吸収性重合体(又はマイクロ波吸収添加剤を有する非吸収性重合体)を加熱する潜在性を有する。
【0127】
本単一様式のキャビティ加熱機材は以下の既存のマイクロ波成分の組み合わせを包含すると考えられる。
1)マイクロ波発生器(発生源、電源装置及び発射装置):マイクロ波エネルギーを発生し、放出する。発射装置はマグネトロン、キルストロン、ジロトロン及びソリッドステートエミッターを包含するが、限定はされない。
2)サーキュレーター:発生器への逆反射を防止する。サーキュレーターはマイクロ波発生器への損傷を避けるための予防手段としてマイクロ波回路に導入されており、アプリケーター中には損失が低いか又はワークロードが存在しない。発明者等はこれは重合体材料の知覚低損失性質のために必要であると規定する。
3)導波路:発生器からアプリケーターにマイクロ波エネルギーを含有し、導入する。工業用マイクロ波加熱のために指定される工業上指定のバンド及び商業的な経費の観点から、本発明者等は本システムを2.45GHzの周波数で操作し、好ましくはWG9A導波路を使用することを期待する。
4)ホーンアプリケーター:導波路からキャビティ中にエネルギーを放散し、直角モードの励磁を防止する。ホーンは湿式誘電性試料を通して電磁信号を送受信するための減衰型水分計に広範に使用されている。このようなホーンはしばしばマイクロ波エネルギーを使用する材料を処理するためのアプリケーターに使用される。このような装置は(特定の物理寸法の)導波路から(通常異なる寸法の)単一様式のキャビティへエネルギーを転送する際に直角モードの励磁を防止するのに理想的である。
4a)単一様式の共鳴性キャビティ:工業上、周波数カウンター及びフィルターのような低電力アプリケーションにおいて高次の単一様式の共鳴性構造物に数多く使用されている。本質的に、これらは、一方向(又は様式)限定された定常波パターンを発生する場合に、そこで発射されたマイクロ波エネルギーが要求された分極中に多数の反射を生成する金属の囲い(キャビティ)よりなる。これらの構造物はこれらの中に配置された誘電性材料により、大容量の蓄積されたエネルギーを示し、入射エネルギーの一般的に高い吸収を特徴付ける。このようなキャビティにより提供された高い増幅及びエネルギー濃度は、加熱弱吸収(低誘電損失)重合体材料中において極めて有益である。
4b)供給スロット:平らな(シート状の)試料をキャビティを通して供給可能にするためにキャビティの前面と背面の両方に位置する。このようなスロットは平面構造物をキャビティ中の加熱領域への通過を可能にするためにしばしばマイクロ波加熱システムにおいて使用される。
5)スロットからのマイクロ波の漏出を最小化するためのマイクロ波チョーク。これらはMeredith”Industrial Microwave Heating≡、A.C Metaxas及びR.J.Meredith IEE、1983年5月(ISBN 0-90604-889-3)の287ページに詳述されたように水負荷または4倍波スタブチョークである。このようなアプリケーターの適当な機能は、ホーンと負荷(材料)が電力を材料に転送するように動作する出力導波路に適当に調整することが要求される。これはある範囲の材料が存在すれば、所定の周波数で共鳴性のための負荷キャビティを最適化することになる。
5a)3又は4つのスタブチューナー、自動チューニングエレメント、又はEHチューナー(マジックT)を包含するが限定されないマッチングアイリス又は他のチューニングエレメント。通常マイクロ波をホーン及び負荷(材料)に適当にマッチングするために導波路中に配置される。
5b)低移動式「短回路」ピストン:微細なチューニングを可能とするために発明者等は短回路ピストンの使用を規定する。この追加装置はスロット位置でのマイクロ波漏出を最小にするようにアレイされる。このような成分は、マイクロ波回路のインピーダンスマッチングを操作変更し、これによりワークロード材料中にエネルギーの良好な結合を保証するために当該分野において良く知られている。
【0128】
各々の共鳴性キャビティは特別な場パターンを得るために特定の様式で実行し、この場パターンは(資料がキャビティに供給される方向に)軸を横断する方向に均一である。マイクロ波エネルギーは、発生器から導波路中に供給され、サーキュレーターを通過し、次にマッチングアイリスのような粗放チューニングエレメントを優先的に通過する。ホーンアプリケーター又は同様の成分を介してキャビティに入ってもよい。キャビティの底部において、エネルギーは最も単純に移動式短回路ピストンの最上面で反射し、あるキャビティ長及びマイクロ波放射周波数においては、定常波がピストン及びアイリスプレート間のキャビティ中に確立される。この定常波は非常に高い電気的場強度をキャビティ中に確立することを可能にする。アイリスを通してキャビティ外に通過するいかなるエネルギー及びアイリスからの逆反射エネルギーも、サーキュレーターによってマグネトロンとの相互作用から妨げられる。
【0129】
変化するワークロード(材料)の存在下で確立される共鳴性における重要な問題は、材料中の波長を圧縮するように動作する(1より大きい相対的誘電性定数を有する)材料の存在のため、キャビティの電気的長さにおける二次的変化である。低移動式ピストンにより提供された(定常波の方向における)可変のキャビティ長は、変化する試料サイズ及びプロセッシング中の誘電性特性に対しキャビティの微細なチューニングを可能にする。さらに、この短回路ピストンの位置はワークロードの位置でスロットから側面にキャビティを脱出するマイクロ波エネルギーの漏出量に関連する。漏出を最小化するため、発明者等はスロットを通るマイクロ波の漏出を防止するためにキャビティスロットに組み込まれたマイクロ波チョークを規定する。さらに、この設計は漏出をさらに最小化することを可能にする。「スロット」点での壁部電流が0になるように、より低いピストンを調整することにより、副次的漏出を最小化する。システムはマグネトロン、試料位置及び底部ピストン位置と相対的にアイリスプレートの位置を介し、マグネトロン周波数を変更する。
【0130】
粗放チューニングに関し、いかなるアイリスの開口部も加熱される材料の期待範囲にシステムをマッチング可能にするように最適化してよい。短回路ピストンを上下に移動することにより、キャビティの電気的長さは材料の範囲に対し共鳴性を可能にするように維持できる。
【0131】
上述したように、作成された場パターンは効果的に(試料がキャビティを通して供給される方向に)軸を横断する方向に均一化される。これは、試料を通して加熱される均一なバンドとして顕在化される。キャビティのスロットを通して(例えばシート)試料を移動することにより、材料は加熱キャビティを通過し、加熱する。加熱率及びそれを通過する試料の最終温度は、試料の通過速度を変化する及び/又はキャビティ中の電気的場強度を変化することにより変化できる。これは、選択された最終温度において、軸の方向及びこの軸の垂直の両方において、試料を通して最終的な均一温度分布を可能にする。
【0132】
好ましいシステムは加熱領域の部位においてキャビティの内部及び外部でリアルタイムに試料の表面温度をモニターするための(赤外線高温計及びカメラを包含するが限定されない)センサー及びプローブを包含する。このデータは、キャビティを出る際、その部品の所望の最終温度を得るためにリアルタイムに移動速度とマイクロ波電力入力のバランスを取るための制御システムによって使用される。
【0133】
工業的な加熱システムはこれらの成分の各々を必ずしも必要としないが、操作の原理は同様のままである。システムは、試料の温度を読み、調整される電力、チューニング及び移動速度のような変数を許容する制御システムにこの情報をフィードバックするために、微細なチューン及びセンサーを包含する。このシステムは部品の最適化されたプロセッシングのための特定の最終プロセス設計を構成していないが、使用された共鳴性キャビティ設計は熱成型のための技術プラットフォームで第1世代の加熱器であり、大規模熱成型に対し、肥厚なシートの重合体のマイクロ波加熱を可能とする機材を開発する最初のステップであると見なすことができる。
【0134】
熱及び真空成型に対し、好ましい実施形態は、工業的加熱システムを作成するために単一セルのマイクロ波加熱ユニットの構成を包含する。最も単純な構成は、直線アレイの加熱ユニットである。この場合、各ユニットは、加熱セルを有し(例えば、3”(4.5cm)幅)直線上に隣接したユニットの隣に設置され、各ユニットは機械的に互いに密接に連結される。隣接したキャビティ間の分離は、相対的に小さく、プロセッシング中に全シートを通してより多い又は少ない均一温度上昇が観察されるように設計される。即ち、望ましくない場合は1つのセルから隣への温度の不連続性は発現しない。(好ましくは)独立に電源供給され、これらのユニットは重合体シートを通して均一の高強度マイクロ波場を確立し、アレイゆっくり移動して、部品を成型するのに必要な温度まで前記シートを急速に加熱し、成型操作以前の加熱プロセスの全サイクルタイムを削減する。
【0135】
電磁エネルギー密度はスループット率に作用する第1順序のパラメータである。オーブン中の周囲温度はワークロードの表面からの従来の冷却を最小化するように設定される。このようなワークロードの冷却を防止するため、アプリケーターは熱水又は油を使用して加熱できる。アプリケーター中の空気の周囲温度もまた、表面冷却の作用及び機材の「冷えた」表面への熱移動を除去するように上昇させる。マイクロ波アプリケーターを既に通った材料からの熱損失を最小化することを保証するために、短ドウェルトンネルもまた使用されてよい。
【0136】
〔ターゲッティングされた加熱〕
このような単一様式の加熱器は材料中でターゲッティングされ、制御され、可変の加熱を提供するために潜在的に使用される。このようなシステムは制御された可変温度プロファイルを計算し、理想的な部品を配分するために必要な重合体シートの可変吸引を可能とするため、1つ以上のこのような加熱器及びプロセス制御及び関連したアルゴリズムを使用する。実際、提案されたシステム中の各セルへの電力は変更され、ピクセル化された加熱パターンを作成するためにアレイと相対的にシートが移動する。
【0137】
本発明者らは、このようなシステムの解像度は使用したマイクロ波の波長の約半分に限定されること言及した。(シートの移動を慎重に制御し、セル電力が変化するようにピクセルを重複することによる)ドリセリングのような技術を通して改良された解像度を得ることができる。ナイフエッジ、狭いスロット加熱器、ワークロードがその上部を移動する誘電体充填導波路、又はセラミックアプリケーターを包含する代替アプリケーターの使用を通して改良された解像度が得られる。
【0138】
他の実施形態は以下を包含する。
1)移動エミッター/アンテナ:移動キャビティと結合したワークロードと相対的に物理的に移動し、加熱された材料を通して移動定常波の設定を可能とする
2)遠隔場において、より好ましくはワークロードへエネルギーを注入し、ターゲッティングされた加熱を達成するための近い場において、予想可能な所望の加熱パターンを生成するように設計された1つ又はそれ以上の指向性エミッター/アンテナ
3)マイクロ波反射キャビティ中に配置されたマイクロ波透過鋳型を含むシステム
4)共鳴性キャビティのハーモニクスを減衰又は妨害し、キャビティ内の場パターンを単純化し又は処理するための吸収壁部及び/又は傾斜又は角のある壁部を使用した上記の1つ又はそれ以上に基づくシステム
5)上記特徴の1つ又はそれ以上を組み合わせたシステム
【0139】
〔ターゲッティングされた加熱〕
ソリッドステートエミッターは、現在アンテナ代替として十分に開発されている。変化する周波数のマイクロ波技術はまた、ここに規定されたシステムにも適用でき、特に特定の重合体又は非重合体材料吸収バンドにマッチする又は避ける、即ち、加熱されない材料種を「チューンアウト」する、何れかのためにエネルギーの周波数をチューンする可能性を提供する。これは例えば、ナイロン重合体内のアミド基をチューンアウトするために使用できる。プロセッシング機材は単に各一般的重合体変換プロセスだけでなく材料のある群を加熱するためにも適しているように設計することができる。このようにして、異なる吸収特徴を有する重合体及び材料の範囲に適用するようにキャビティ及びアンテナを設計することが可能になる。いくつかの特定の例を以下に示す。
【0140】
図6に、ターゲッティングされ調整可能なマイクロ波加熱エネルギーを材料にその内部に適用することが操作可能なマイクロ波に基づく装置の例を示す。装置30において、種々の成分構造が透過鋳型32、即ち、キャビティ壁部34により形成された反射又は吸収マイクロ波キャビティ内に配置されたマイクロ波を透過又は吸収する鋳型の中に形成されることができる。マイクロ波加熱エネルギーのポート及び発生源36はマイクロ波エネルギーを鋳型32内の材料(例えば、重合体)の特定部分に注入できる。鋳型なし空間38を含有してもよい。
【0141】
鋳型32内で、壁部、アンテナ等のような特徴を提供してよく、これは鋳型32内、即ち、その内部の何れかの材料上に異なる加熱作用を提供するような特定の吸収特性を有している。さらに、装置30は、例えば、キャビティ32内の壁部品又はアンテナの移動、入力信号の操作の手段により、鋳型32のキャビティ内のマイクロ波エネルギー密度分布を操作することにより、その内部に材料を通して徐々に制御された温度を達成できる。ある応用においては、壁部の誘電損失要因及び/又は反射率及びこれらのいかなる組み合わせも制御された温度及び/又は加熱プロファイルを達成するように調整できた。加熱プロファイルは重合体構造内に選択的に受容体を一緒に添加して均一の電気的な場を提供できる機材を使用して生成できた。これらの添加物は異なるレベルの受容性、それにより最終的な加熱プロファイルにおける特異性を提供するように等級付けられた。
【0142】
アンテナは、材料の表面上に適用された加熱パターンを提供するために材料を通してスキャン又は相対的に移動されることができる。これは、アプリケーターの1セクションが材料上そして他が材料下に配置されるように材料を受容できるスロットされたアプリケーターを使用して達成できた。この例において、材料は次に2D移動を提供するためにアプリケーターのセクション間を前後に移動する。同様の総合的作用を達成する代わりに、加熱された材料は上述の構成を維持しながら2Dでエミッターに相対的に移動できた。
【0143】
別の実施形態は重合体処理のための熱的コンディショニングを提供する。この概念は例えば選択的加熱および全厚み加熱を可能にする多くの手法を包含し、これにより、例えば熱成型の場合においては、減少したサイクル時間を有するより肥厚なシートの処理が可能となる。1つの例は加熱される材料試料と相対比較して全体的なマイクロ波の場のパターンを移動させることができる最適化された1つ以上のアンテナを利用する。これはアンテナを移動させること、又は放射されたマイクロ波を電子的に方向付けることにより達成される。方向付けは電子的な方法、光学的(反射及び焦点設定エレメント)及び他の方法、例えば磁気及びプラズマを介して達成してよい。電気的方向付けはレーダー及び通信産業においてよく知られており、本質的にはアンテナアレイから外側に向けて指向された電力の集中した1つ以上のローブを形成するようにエミッターからの2つ以上の出力波を組み合わせるための干渉の使用に依存している。2つの出力波の電子的相を変化させることにより、放出されたローブの方向を変化させることができる。焦点設定(方向性)アンテナマイクロ波技術は現在は通信及びレーダー(検出)のために使用されている。即ち、このようなエミッターは自由空間内で操作するように設計されており、加熱の見地からは、低電力という難点を有する場合がある。この手法を用いる場合、加熱は緩徐化し、弱吸収性材料の加熱のためには効率が不良となりえることが観察されている(本明細書においては、本発明者等は共鳴から利益を得ない、そして一旦材料を通過すれば消失する焦点設定されたアントラップのビームを使用している)。しかしながら、インテリジェントな適応光学(反射焦点設定エレメント)と組み合わせられた高電力のレーダーの固体状態アレイにおいて使用されるもののような本技術の組み合わせは必要な電力を達成することができると考えられる。さらにまた、十分定義された干渉ローブは「遠隔場」(エミッターアンテナ/アレイから何メートルも離れた)において得られることもわかっている。加熱システムは近傍場領域(<4m)において操作するように設計され、その場合マイクロ波の干渉パターンは極めて複雑になる。更に、光学的部品を使用することにより材料の一部分、即ち「スポット」にグリッド/アレイアンテナ又はホーンアプリケーターからのマイクロ波エネルギービームを指向させるために使用することも可能である。そのスポットを制御された態様において材料全体にわたって意図的に移動することにより、所望のターゲティングされた加熱を得ることができる。そのような光学的成分は広範なビームを焦点設定する1つ以上のパラボラディッシュリフレクターを包含してよい。ビームは反射ディッシュ又はそのエレメントの形状及び方向を変化させることにより、指向性とされる。
【0144】
他の実施形態は電子的に方向付けることができるアンテナ又はアレイを提供する。「アンテナ方向付け」の場合において、エネルギーはエミッターアレイ(アンテナのエレメント)の種々の成分にシグナルを相シフトさせることにより所望の態様において成分全体に渡って移動する。この実施形態は移動アンテナ/キャビティの概念と関連付けて使用される。本発明者等はまた、ソリッドステートエミッターが現在ではアンテナの代替となるべく十分開発されていることを認識している。しかしながら、電力は現在は制限されている。本発明者等はこの制限が将来の技術的開発を通じて克服されることを期待する。
【0145】
ターゲティングされた加熱が関与する場合、金属キャビティは、内部の波パターンに作用(特定の波パターンを支援するそれらの優先性のため)することから不都合である場合がある。しかしながらこれらの系においては、マイクロ波の格納が安全性確保(及びエネルギー効率向上)のためにはほぼ確実に必要となる。本発明者等はエネルギーをキャプチャーし、1)変動するビーム方向にも関わらず共鳴を生じさせ、又は2)おもに吸収性材料から作成され、定常波が抑制されるような、或いはマイクロ波エネルギーを吸収してそのエネルギーを熱伝導を介して材料に移行させるような表面構造を有する、減衰性の吸収性壁部(非エコー性チャンバーの場合等)の使用を介した共鳴場パターンの防止を行うために「アクティブ」なチャンバーの使用を想定している。
【0146】
移動アンテナ/キャビティを与えるシステムの場合においては、キャビティ及び/又はアンテナは成分材料に対して相対的に物理的に移動される。この概念はオーブンの内壁部として機能する機材の成分部分を同時に移動させることにより、キャビティ内の移動定常波の確立を可能にし、これにより共鳴キャビティ加熱の利点を獲得しつつ、上記した問題点、又はこの態様において選択的に加熱される材料の何れかの特定部分の過熱を回避することを包含する。均一な高強度の適用は材料の表面にわたってラスタされる。更に電源の電力を材料の位置に対して同時に変化させることにより可変制御選択的加熱を可能にし、これにより、材料内の温度の可変プロファイルを確立できる。
【0147】
図7はアンテナの移動又は方向付け及び移動壁部の使用を介した定常波の運動をグラフで示したものである。
【0148】
より進歩した設計は熱成型のための制御可能壁部厚描線区域のようなプロセスのよりインテリジェントなバージョンを可能にする原料材料成分の領域をターゲティングするための意図的に制御されたソリッドステートアンテナ及び可動アンテナのアレイを組み込んでいる。ターゲティングはまた、3次元形状のブロー成型又は熱成型のような作業の前に重合体材料の領域をターゲティングするためのより高度な態様において使用され、これにより原料材料の使用を節約できるようにする。
【0149】
共鳴ダンピングを使用する実施形態は上記手法の1つ以上を包含するが、吸収性壁部及び/又は傾斜又は角のある壁部を使用することにより、共鳴キャビティのハーモニクスを減衰又は途絶させ、前述の通り、キャビティ内の強度の場を単純化又は操作する。
【0150】
可変周波数マイクロ波処理(VFMP)の実施形態は成分を通過するエネルギー密度のプロファイルの操作、及び、エネルギーの周波数をチューニングして特定の重合体又は非重合体材料の吸収バンドに適合するか、これを回避する可能性を包含する。例えば、ナイロン重合体内のアミド基のような加熱したくない種を「チューンアウト」することができる。概念には各々の包括的な重合体変換プロセスに適合するのみならず、特定の群の材料を加熱するために、機材を設計することが包含される。このようにして、キャビティ及びアンテナを特定の重合体組み合わせに適合させ、他を「無視する」ために設計することができる。
【0151】
図8はこの配置に対して好ましいマイクロ波周波数ピークを吸収スペクトルに望ましく重複させた実施形態のグラフである。
【0152】
上記した実施形態の全てに関する適当なプロセスは、例えばワークロード(材料の幾何学的特徴、吸収特性等)をマッチさせるため、オーブン内のマイクロ波の場の格納から生じる何れかの過剰なホットスポットを減衰させるため、および加熱の均一性を向上させるための長時間及び短方向パルス処理の使用を想定してのキャビティ内の材料体積の増大のために用いることができる。
【0153】
別の実施形態は重合体の変換のためのツインキャビティアプリケーターのようなマイクロ波加熱技術の適用を包含する。アプリケーターは好ましくは射出成型、圧縮成型、ブロー成型、引抜及び押出のような重合体変換処理手法のために特別に設計される。そのようなアプリケーターは単一様式アプリケーター(例えば平板な幾何学的特徴のため)、多重様式アプリケーター、例えばツインキャビティ及びホーン(平板な幾何学的特徴のため)及び他のアプリケーター、例えば螺旋型アプリケーター(環状の幾何学的特徴の為)を包含する。
【0154】
種々の重合体のマイクロ波及び熱的な挙動をそれらの化学構造及びマイクロ波受容体充填剤含有量から予測するためのソフトウエアツールを提供することが好ましい。この科学的な能力は材料特徴化データにより有効化される電磁場ソルバー(Comsol FEMLAB,matLAB FEM及びマルチフィジックス)の使用を包含するモデリングシミュレーションから作成される。そのようなソフトウエアは所定の周波数(又はレンジ)において材料を受容性とするための化学構造の設計を可能とする。
【実施例1】
【0155】
1つの実施形態において、図9に示す通り、電磁気エネルギーは材料の選択された領域にのみ向かうように指向され、これらの領域を優先的に加熱する。方法及びシステムは材料を加熱して材料内に所望の温度パターンを誘導するために、ターゲティングされた、又は制御された可変の電磁気照射の制御された使用を提供することができる。そして更に、これはブロー成型、熱成形等のようなプロセス操作中の材料の制御された伸展を可能にし、3次元の部品を形成させる。材料の所定の領域が到達した熱的状態の結果として種々の程度まで伸展する場合、部品の設計は、材料の使用を最適にするために予め決定することができる部品の全領域における最適な厚みから利益を得ることができる。
【0156】
例えば、現在は高深度に吸引された部品が関与する場合、材料は通常は、最終部品の高深度吸引壁部面が特定の最低厚みに到達可能とするために肥厚シートの初期形態をとる(図9)。そのような従来のプロセスにおいて、材料は均一に加熱され、膜の等しい「伸展性」がもたらされ、これにより壁部面部の厚みは操作中に顕著に減少するが、部品の基部は肥厚したまま残存する。その結果、材料は事実上、無駄になる。形成操作中に壁部面と相対比較して高温をそのような部品の基部に導入することにより、本明細書に記載した通り、この無駄の問題は克服されるか、実質的に低減される(図9)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1及び第2の部分を有する材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の部分を差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の部分の粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させる工程、及び、
前記第1及び第2の部分をメルトフロープロセスにより成形する工程、
を含む材料の処理方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、及び
前記材料を製造中間体として、前記材料の前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する工程
のうち1つ以上を包含して製品を製造する請求項1記載の材料の処理方法。
【請求項3】
少なくとも第1及び第2の部分を有する材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の部分を差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の部分の粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させる工程、及び、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、
を含む材料の処理方法。
【請求項4】
前記第1及び第2の部分をメルトフロープロセスにより成形する工程、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、及び
前記材料を製造中間体として、前記材料の前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する工程、
のうち1つ以上を包含する請求項3記載の材料の処理方法。
【請求項5】
少なくとも第1及び第2の部分を有する材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の部分を差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の部分の粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させる工程、及び、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、
を包含する材料の処理方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の部分をメルトフロープロセスにより成形する工程、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、及び、
前記材料を製造中間体として、前記材料の前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する工程、
のうち1つ以上を包含する請求項5記載の材料の処理方法。
【請求項7】
少なくとも第1及び第2の部分を有する材料であり、中間製品を構成する前記材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の部分を差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の部分の粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させる工程、及び、
前記材料の前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する工程を包含する製品を製造する材料の処理方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の部分をメルトフロープロセスにより成形する工程、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、及び、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、
のうち1つ以上を包含する、請求項1記載の材料の処理方法。
【請求項9】
前記材料が少なくとも第1及び第2の層を有し、各層が材料の前記第1及び第2の部分の一方又は両方を含む、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の部分が第1及び第2の顆粒材料から形成される、請求項1〜8の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項11】
少なくとも第1及び第2の顆粒エレメントから形成された材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の顆粒エレメントを差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の顆粒エレメントの粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の顆粒エレメントの粘度は実質的に変化させないか、又は第1の顆粒エレメントよりも低度に低下させる工程、及び、
前記差別的加熱工程は前記第1の顆粒エレメントの粘度を低下させるが、前記第2の顆粒エレメントの粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に未変化であるか、又は第1の顆粒エレメントよりも低程度だけ低下すること、及び、
材料を処理する工程、を包含する材料の処理方法。
【請求項12】
前記処理工程が材料を成形する、請求項11記載の材料の処理方法。
【請求項13】
前記第1及び第2の顆粒エレメントが共に混合される、請求項10、11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の部分を差別的に加熱する前記工程が前記第1の部分を溶融させる、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項15】
前記第1の部分からの伝導性又は対流性の熱移動により前記第2の部分の加熱を行う工程を包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項16】
前記伝導性又は対流性の熱が前記第2の部分を溶融させる、請求項15記載の材料の処理方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の部分の少なくとも1つが強化剤成分を包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項18】
前記強化剤成分が強化繊維、糸又はテープを包含する、請求項17記載の材料の処理方法。
【請求項19】
前記強化剤成分が天然又は合成の、有機又は無機の、同じか又は異なる材料、又は重合体又は共重合体である、請求項17又は18記載の材料の処理方法。
【請求項20】
前記差別的加熱工程において、実質的に材料全体が熱エネルギーにより加熱される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項21】
前記差別的加熱工程において、実質的に前記材料に熱エネルギーを均等に分布させて加熱する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項22】
前記第1の部分が前記第2の部分よりも与えられた熱エネルギーに対して受容性が高い、請求項20又は21に記載の材料の処理方法。
【請求項23】
前記差別的加熱工程において、前記第1の部分をその融点より高温まで加熱し、前記第2の部分はその融点より実質的に低温に保持する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項24】
前記差別的加熱が電磁気エネルギーにより提供される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項25】
前記電磁気エネルギーがマイクロ波放射により提供される、請求項24記載の材料の処理方法。
【請求項26】
電磁気放射の周波数及び/又は波長が加熱されるべき材料の前記第1の部分と相互作用するように選択される、請求項24又は25記載の材料の処理方法。
【請求項27】
前記差別的加熱が実質的に均一な場密度のマイクロ波により提供される、請求項24、25又は26記載の材料の処理方法。
【請求項28】
前記材料を通じて実質的に均等に前記電磁気エネルギーを分布させる工程、及び、
材料の選択された部位に前記電磁気エネルギーを向けて、これらの領域を加熱する工程、
のうち少なくとも1つを包含する、請求項23〜27の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項29】
電磁気エネルギー密度、圧力および処理中の材料の温度の少なくとも1つを制御する工程を包含する、請求項23〜28の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項30】
前記差別的加熱工程がエネルギー加熱波を生じ、材料の双極子の共鳴をもたらす、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項31】
材料の前記第1の部分が材料全体に渡り実質的に均等に分布している、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項32】
材料の前記第1の部分を局所的に位置させることにより材料中の温度分布を可変とする、請求項1〜30の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項33】
材料の前記第1の部分を加熱する工程により、材料全体が混合、移動、成形、刻印、注入又は押出されて製品が製造される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項34】
低分子量重合体、オリゴマー又は単量体に対して実施される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項35】
加熱工程により、単量体又は低分子量重合体にその場で重合又は化学反応を起こさせる、請求項34記載の材料の処理方法。
【請求項36】
材料が、
電磁気放射により加熱される材料の1つの相であって、前記相は第1の部分であるもの、及び、
電磁気放射により加熱され、加熱により相違する状態となる2つ以上の相であって、前記2つ以上の相は第1及び第2の部分であるか、それを包含するもの、
のうち1つ以上を包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項37】
前記加熱される2つ以上の相が加熱されない相と同じ重合体材料である、請求項36記載の材料の処理方法。
【請求項38】
前記相が非受容性重合体の1つ以上の相と、
融合、化合、混合、接合、その他の添加手法により受容性材料を添加した前記非受容性の重合体より形成された受容性重合体の1つ以上の相を包含する、請求項37記載の材料の処理方法。
【請求項39】
加熱される材料が合成又は天然の重合体材料であるか、それらを包含する、請求項36、37又は38記載の材料の処理方法。
【請求項40】
加熱される材料がカーボンブラック、フェライト、金属酸化物、ゼオライト、タルク粉末、ZnCl2、ナイロン、銅その他の金属粉末、酸化第1鉄、酸化マンガン、セラミックス及び酸化物を包含する、請求項36〜39の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項41】
各々の電磁気吸収相が他の相と比較して高い温度で処理される、請求項36〜40の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項42】
材料が層、顆粒、液体又はゲルのいずれかであるか、これらを包含する、請求項36〜41の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項43】
前記第1の部分及び第2の部分が、相違する層、相違する顆粒成分、相違する液体又はゲルである、請求項42記載の材料の処理方法。
【請求項44】
材料が結晶性、半結晶性又は不定形の重合体である、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項45】
材料が着色料、強化用又は増量用の充填剤、機能的添加剤を包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項46】
機能的添加剤が難燃剤、ナノ複合材料又はナノ充填剤を包含する、請求項46記載の材料の処理方法。
【請求項47】
材料が溶融処理手法により処理される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項48】
溶融処理手法が射出成型、押出、押出ブロー成型、トランスファ成型又は射出−膨張成型の少なくとも1つを包含する、請求項47記載の材料の処理方法。
【請求項49】
差別的加熱工程において、材料の標的加熱を行うことを包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項50】
前記標的加熱は、被処理材料に部位に加熱エネルギーを向けることにより提供される、請求項49記載の材料の処理方法。
【請求項51】
可動アンテナ組立物を制御することにより方向付け可能な加熱を提供する工程を包含する、請求項50記載の材料の処理方法。
【請求項52】
前記第2の部分が前記差別的加熱工程の後に前記第1の部分から熱エネルギーを吸収するための熱シンクとして作用する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項53】
被処理材料に選択的加熱を与えるための手段を包含する材料処理システム。
【請求項54】
少なくとも第1及び第2の部分を有する被加熱材料を保持するための材料ホルダー、
前記第1及び第2の部分を差別的に加熱し、前記第1の部分の粘度を低下させて前記第1の部分を流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させるよう操作可能な加熱ステーション、及び、
前記材料のメルトフローにより前記第1及び第2の部分を成形するために操作可能な材料成形用のステーション、
を包含する材料処理システム。
【請求項55】
前記材料成形ステーションが、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、及び、
前記材料の前記第1及び第2の部分を製造中間体として成形し、製品を製造する工程、
の1つ以上を実施するように追加的に操作可能である、請求項54記載の材料処理システム。
【請求項56】
少なくとも第1及び第2の部分を有する被加熱材料を保持するための材料ホルダー、
前記第1及び第2の部分を差別的に加熱し、前記第1の部分の粘度を低下させて前記第1の部分を流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させるよう操作可能な加熱ステーション、及び、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記第1及び第2の部分を成形するために操作可能な材料成形用のステーション、
を包含する材料処理システム。
【請求項57】
前記材料成形ステーションが、
前記第1及び第2の部分を前記材料のメルトフローにより成形する工程、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、及び、
前記材料の前記第1及び第2の部分を製造中間体として成形し、製品を製造する工程、
の1つ以上を実施するように追加的に操作可能である、請求項56記載の材料処理システム。
【請求項58】
少なくとも第1及び第2の部分を有する被加熱材料を保持するための材料ホルダー、
前記第1及び第2の部分に差別的に熱を付与することにより前記第1の部分の粘度を低下させ、これにより前記第1の部分を流動可能とするが、前記第2の部分の粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に未変化であるか、又は第1の部分よりも低程度だけ低下させるために操作可能な加熱ステーション、及び、
材料に剪断力及び伸展力の少なくとも1つを適用することにより前記第1及び第2の部分を成形するために操作可能な材料成形用のステーション、
を包含する材料処理システム。
【請求項59】
前記材料成形ステーションが、
前記第1及び第2の部分を前記材料のメルトフローにより成形する工程、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、及び、
前記材料の前記第1及び第2の部分を製造中間体として成形し、製品を製造する工程、
の1つ以上を実施するように追加的に操作可能である、請求項58記載の材料処理システム。
【請求項60】
少なくとも第1及び第2の部分を有する被加熱製品中間体を保持するための材料ホルダー、
前記第1及び第2の部分を差別的に加熱し、前記第1の部分の粘度を低下させて前記第1の部分を流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させるよう操作可能な加熱ステーション、及び、
前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する、操作可能な材料成形用のステーション、
を包含する製造中間体を処理するための材料処理システム。
【請求項61】
前記材料成形ステーションが、
前記第1及び第2の部分を前記材料のメルトフローにより成形する工程、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、及び、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、
の1つ以上を実施するように追加的に操作可能である、請求項60記載の材料処理システム。
【請求項62】
前記材料ホルダーが層状の材料を保持するために操作可能であり、前記層が少なくとも前記第1及び第2の部分を有する、請求項54〜61の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項63】
前記材料ホルダーが顆粒状の材料を保持するために操作可能であり、前記第1及び第2の部分が顆粒である、請求項54〜61の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項64】
前記第1及び第2の顆粒部分を混合するためのミキサーを包含する、請求項63記載の材料処理システム。
【請求項65】
前記加熱ステーションが前記第1の部分を溶融するために操作可能である、請求項54〜64の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項66】
前記材料成形ステーションが前記第1の部分からの伝導性又は対流性の熱移動により前記第2の部分の加熱を行うために操作可能である、請求項54〜65の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項67】
前記加熱ステーションが、実質的に材料全体が熱エネルギーにより加熱されるように操作可能である、加熱される請求項54〜66の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項68】
前記加熱ステーションが、実質的に前記材料に熱エネルギーを均等に分布させて加熱するように操作可能である、請求項54〜67の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項69】
前記加熱ステーションが、加熱のための電磁気エネルギーを発生するように操作可能である、請求項54〜68の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項70】
前記加熱ステーションが、マイクロ波放射エミッターを包含する、請求項54〜69の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項71】
前記加熱ステーションからの熱エネルギーの周波数及び/又は波長が調節可能である、請求項54〜70の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項72】
前記加熱ステーションは実質的に均一な場エネルギー密度を与えるように操作可能である、請求項54〜71の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項73】
前記加熱ステーションが、
a)前記材料を通じて実質的に均等な電磁気エネルギーの分布、又は、
b)材料の選択された領域に向けたそのような領域を加熱するための前記電磁気エネルギーのターゲティング、
の少なくとも1つを実施するように操作可能である、請求項54〜72の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項74】
前記加熱ステーションの電磁気エネルギー密度、前記成形ステーションにおける材料の圧力及び温度、のうち少なくとも1つを制御するために操作可能なコントローラーを包含する、請求項54〜73の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項75】
前記加熱ステーションが材料中の双極子の共鳴をもたらすエネルギー加熱波を提供するように操作可能である、請求項54〜74の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項76】
前記成形ステーションが、前記第1の材料が、前記第2の材料が流動粘度を獲得できるまで前記第2の材料に熱を伝える時間が組み込まれるように操作可能である、請求項54〜75の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項77】
前記成形ステーションが、前記第2の材料の全体的な温度が実質的に上昇する前に、前記材料を前記成形するように操作可能である、請求項54〜76の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項78】
前記成形ステーションが材料全体を混合、移動、成形、刻印、注入又は押出して製品を形成できるようにする、請求項54〜77の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項79】
前記成形ステーションが射出成型、押出、押出ブロー成型、トランスファ成型又は射出−膨張成型の少なくとも1つを実施するために操作可能である、請求項54〜78の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項80】
前記加熱ステーションが、材料の標的加熱を実施するように操作可能である、請求項54〜79の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項81】
前記加熱ステーションが、被処理材料の部位に加熱エネルギーを方向付けるように操作可能な、方向付け可能なエネルギービーム発生器を包含する、請求項80記載の材料処理システム。
【請求項82】
前記方向付け可能なエネルギービーム発生器が可動アンテナユニットを包含する、請求項81記載の材料処理システム。
【請求項83】
熱エネルギーに対して異なる感受性を有する第1及び第2の部分を包含する処理可能な材料であって、
そのような熱エネルギーによって、第1の部分の粘度は低下して流動可能となる一方で、第2の部分の粘度は実質的に変化しないか、又は第1の部分よりも低度に低下し、
前記第1及び第2の部分はそのような加熱の後にメルトフロープロセスにより成形されて製品を形成することができる被処理材料。
【請求項84】
前記第1及び第2の部分が、さらに加えて、可塑変形と、剪断及び伸展の少なくとも1つ、のうち1つ以上を実施することにより、共に成形可能である請求項83記載の被処理材料。
【請求項85】
熱エネルギーに対して異なる感受性を有する第1及び第2の部分を包含する処理可能な材料であって、
そのような熱エネルギーによって、第1の部分の粘度は低下して流動可能となる一方で、第2の部分の粘度は実質的に変化しないか、又は第1の部分よりも低度に低下し、
前記第1及び第2の部分はそのような加熱の後に共に可塑的に変形されて製品を形成することができる被処理材料。
【請求項86】
前記第1及び第2の部分が、さらに加えて、メルトフロープロセスと、剪断及び伸展の少なくとも1つ、のうち1つ以上を実施することにより、共に成形可能である請求項85記載の被処理材料。
【請求項87】
熱エネルギーに対して異なる感受性を有する第1及び第2の部分を包含する処理可能な材料であって、
そのような熱エネルギーによって、第1の部分の粘度は低下して流動可能となる一方で、第2の部分の粘度は実質的に変化しないか、又は第1の部分よりも低度に低下し、
前記第1及び第2の部分はそのような加熱の後に剪断及び伸展の少なくとも1つを実施することにより、ともに変形されて製品を形成することができる被処理材料。
【請求項88】
前記第1及び第2の部分が、さらに加えて、可塑変形とメルトフロープロセスのうち少なくとも1つにより、共に成形可能である請求項87記載の被処理材料。
【請求項89】
熱エネルギーに対して異なる感受性を有する第1及び第2の部分を包含する処理可能な材料であって、
そのような熱エネルギーによって、第1の部分の粘度は低下して流動可能となる一方で、第2の部分の粘度は実質的に変化しないか、又は第1の部分よりも低度に低下し、
前記第1及び第2の部分は顆粒形態である、被処理材料。
【請求項90】
前記第1及び第2の顆粒エレメントが共に混合される、請求項89記載の被処理材料。
【請求項91】
前記第2の部分が前記第1の部分に伝導的に又は対流的に結合されている、請求項83〜90の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項92】
前記第1及び第2の部分の少なくとも1つが強化剤成分を包含する、請求項83〜91の何れか一項に記載の処理可能な材料。
【請求項93】
前記強化剤成分が強化繊維、糸又はテープを包含する、請求項92記載の被処理材料。
【請求項94】
前記強化剤成分が天然又は合成の、有機又は無機の、同じか又は異なる材料、又は重合体又は共重合体である、請求項92又は93記載の被処理材料。
【請求項95】
前記第1の部分が電磁気エネルギーに対して受容性である請求項83〜94の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項96】
前記第1の部分がマイクロ波放射に対して受容性である、請求項83〜95の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項97】
前記第1の部分が実質的に材料全体に均等に分布している、請求項83〜96の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項98】
前記第1の部分が局所的に位置することにより材料中の温度分布を可変とすることができる請求項83〜96の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項99】
製品を形成するために、混合、移動、成形、刻印、注入又は押出の少なくとも1つは可能である請求項83〜98の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項100】
低分子量重合体、オリゴマー又は単量体を包含する請求項83〜99の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項101】
電磁気放射により加熱可能な材料の1つの相であって、前記相は第1の部分であるもの、
電磁気放射により加熱され、加熱により相違する状態となる2つ以上の相であって、前記2つ以上の相は第1及び第2の部分であるか、それを包含するもの、
のうち1つ以上を包含する、請求項83〜100の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項102】
前記加熱される2つ以上の相が加熱されない相と同じ重合体材料である、請求項101記載の被処理材料。
【請求項103】
前記相が、非受容性重合体の1つ以上の相、及び融合、化合、混合、接合、その他の添加手法により受容性材料を添加した前記非受容性の重合体より形成された受容性重合体の相のうち1つ以上を包含する、請求項101記載の被処理材料。
【請求項104】
第1の部分が合成又は天然の重合体材料であるか、それを包含する、請求項83〜103の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項105】
第1の部分がカーボンブラック、フェライト、金属酸化物、ゼオライト、タルク粉末、ZnCl2、ナイロン、銅その他の金属粉末、酸化第1鉄、酸化マンガン、セラミックス及び酸化物を包含する、請求項83〜103の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項106】
材料が層状の材料、顆粒、液体又はゲルであるか、これらを包含する、請求項83〜105の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項107】
前記第1及び第2の部分が相違する層、相違する顆粒成分、相違する液体又はゲルである、請求項106記載の被処理材料。
【請求項108】
材料が結晶性、半結晶性又は不定形の重合体である、請求項83〜107の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項109】
着色料、強化用又は増量用の充填剤、機能的添加剤を包含する、請求項83〜108の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項110】
機能的添加剤が難燃剤、ナノ複合材料又はナノ充填剤を包含する、請求項109記載の被処理材料。
【請求項111】
被処理材料の一部分のみが所望の処理温度まで加熱され、少なくとも1つの他の部分は前記温度未満に保持されるように材料を差別的に加熱する工程、及び材料を処理する工程を包含する熱可塑性材料を処理する材料。
【請求項112】
実質的に材料全体に熱エネルギーを供給する工程を包含する、請求項111記載の方法。
【請求項113】
所望の処理温度まで加熱される前記部分が、少なくとも1つの別の部分よりも、熱エネルギーに対して受容性である、請求項112記載の方法。
【請求項114】
被処理材料に対して選択的加熱を与える手段を包含する熱可塑性処理システム。
【請求項115】
請求項111〜113の何れか一項に記載の方法に従って操作される、請求項114記載の熱可塑性処理システム。
【請求項116】
請求項1〜52又は111〜113の何れか一項に記載の方法により得られる製品。
【請求項1】
少なくとも第1及び第2の部分を有する材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の部分を差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の部分の粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させる工程、及び、
前記第1及び第2の部分をメルトフロープロセスにより成形する工程、
を含む材料の処理方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、及び
前記材料を製造中間体として、前記材料の前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する工程
のうち1つ以上を包含して製品を製造する請求項1記載の材料の処理方法。
【請求項3】
少なくとも第1及び第2の部分を有する材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の部分を差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の部分の粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させる工程、及び、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、
を含む材料の処理方法。
【請求項4】
前記第1及び第2の部分をメルトフロープロセスにより成形する工程、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、及び
前記材料を製造中間体として、前記材料の前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する工程、
のうち1つ以上を包含する請求項3記載の材料の処理方法。
【請求項5】
少なくとも第1及び第2の部分を有する材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の部分を差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の部分の粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させる工程、及び、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、
を包含する材料の処理方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の部分をメルトフロープロセスにより成形する工程、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、及び、
前記材料を製造中間体として、前記材料の前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する工程、
のうち1つ以上を包含する請求項5記載の材料の処理方法。
【請求項7】
少なくとも第1及び第2の部分を有する材料であり、中間製品を構成する前記材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の部分を差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の部分の粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させる工程、及び、
前記材料の前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する工程を包含する製品を製造する材料の処理方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の部分をメルトフロープロセスにより成形する工程、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、及び、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、
のうち1つ以上を包含する、請求項1記載の材料の処理方法。
【請求項9】
前記材料が少なくとも第1及び第2の層を有し、各層が材料の前記第1及び第2の部分の一方又は両方を含む、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の部分が第1及び第2の顆粒材料から形成される、請求項1〜8の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項11】
少なくとも第1及び第2の顆粒エレメントから形成された材料を処理する方法であって、
材料への加熱エネルギーを調整して前記第1及び第2の顆粒エレメントを差別的に加熱する工程、
前記差別的な加熱工程により、前記第1の顆粒エレメントの粘度を低下させて流動可能とする一方で、前記第2の顆粒エレメントの粘度は実質的に変化させないか、又は第1の顆粒エレメントよりも低度に低下させる工程、及び、
前記差別的加熱工程は前記第1の顆粒エレメントの粘度を低下させるが、前記第2の顆粒エレメントの粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に未変化であるか、又は第1の顆粒エレメントよりも低程度だけ低下すること、及び、
材料を処理する工程、を包含する材料の処理方法。
【請求項12】
前記処理工程が材料を成形する、請求項11記載の材料の処理方法。
【請求項13】
前記第1及び第2の顆粒エレメントが共に混合される、請求項10、11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の部分を差別的に加熱する前記工程が前記第1の部分を溶融させる、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項15】
前記第1の部分からの伝導性又は対流性の熱移動により前記第2の部分の加熱を行う工程を包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項16】
前記伝導性又は対流性の熱が前記第2の部分を溶融させる、請求項15記載の材料の処理方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の部分の少なくとも1つが強化剤成分を包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項18】
前記強化剤成分が強化繊維、糸又はテープを包含する、請求項17記載の材料の処理方法。
【請求項19】
前記強化剤成分が天然又は合成の、有機又は無機の、同じか又は異なる材料、又は重合体又は共重合体である、請求項17又は18記載の材料の処理方法。
【請求項20】
前記差別的加熱工程において、実質的に材料全体が熱エネルギーにより加熱される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項21】
前記差別的加熱工程において、実質的に前記材料に熱エネルギーを均等に分布させて加熱する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項22】
前記第1の部分が前記第2の部分よりも与えられた熱エネルギーに対して受容性が高い、請求項20又は21に記載の材料の処理方法。
【請求項23】
前記差別的加熱工程において、前記第1の部分をその融点より高温まで加熱し、前記第2の部分はその融点より実質的に低温に保持する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項24】
前記差別的加熱が電磁気エネルギーにより提供される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項25】
前記電磁気エネルギーがマイクロ波放射により提供される、請求項24記載の材料の処理方法。
【請求項26】
電磁気放射の周波数及び/又は波長が加熱されるべき材料の前記第1の部分と相互作用するように選択される、請求項24又は25記載の材料の処理方法。
【請求項27】
前記差別的加熱が実質的に均一な場密度のマイクロ波により提供される、請求項24、25又は26記載の材料の処理方法。
【請求項28】
前記材料を通じて実質的に均等に前記電磁気エネルギーを分布させる工程、及び、
材料の選択された部位に前記電磁気エネルギーを向けて、これらの領域を加熱する工程、
のうち少なくとも1つを包含する、請求項23〜27の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項29】
電磁気エネルギー密度、圧力および処理中の材料の温度の少なくとも1つを制御する工程を包含する、請求項23〜28の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項30】
前記差別的加熱工程がエネルギー加熱波を生じ、材料の双極子の共鳴をもたらす、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項31】
材料の前記第1の部分が材料全体に渡り実質的に均等に分布している、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項32】
材料の前記第1の部分を局所的に位置させることにより材料中の温度分布を可変とする、請求項1〜30の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項33】
材料の前記第1の部分を加熱する工程により、材料全体が混合、移動、成形、刻印、注入又は押出されて製品が製造される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項34】
低分子量重合体、オリゴマー又は単量体に対して実施される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項35】
加熱工程により、単量体又は低分子量重合体にその場で重合又は化学反応を起こさせる、請求項34記載の材料の処理方法。
【請求項36】
材料が、
電磁気放射により加熱される材料の1つの相であって、前記相は第1の部分であるもの、及び、
電磁気放射により加熱され、加熱により相違する状態となる2つ以上の相であって、前記2つ以上の相は第1及び第2の部分であるか、それを包含するもの、
のうち1つ以上を包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項37】
前記加熱される2つ以上の相が加熱されない相と同じ重合体材料である、請求項36記載の材料の処理方法。
【請求項38】
前記相が非受容性重合体の1つ以上の相と、
融合、化合、混合、接合、その他の添加手法により受容性材料を添加した前記非受容性の重合体より形成された受容性重合体の1つ以上の相を包含する、請求項37記載の材料の処理方法。
【請求項39】
加熱される材料が合成又は天然の重合体材料であるか、それらを包含する、請求項36、37又は38記載の材料の処理方法。
【請求項40】
加熱される材料がカーボンブラック、フェライト、金属酸化物、ゼオライト、タルク粉末、ZnCl2、ナイロン、銅その他の金属粉末、酸化第1鉄、酸化マンガン、セラミックス及び酸化物を包含する、請求項36〜39の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項41】
各々の電磁気吸収相が他の相と比較して高い温度で処理される、請求項36〜40の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項42】
材料が層、顆粒、液体又はゲルのいずれかであるか、これらを包含する、請求項36〜41の何れか一項に記載の材料の処理方法。
【請求項43】
前記第1の部分及び第2の部分が、相違する層、相違する顆粒成分、相違する液体又はゲルである、請求項42記載の材料の処理方法。
【請求項44】
材料が結晶性、半結晶性又は不定形の重合体である、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項45】
材料が着色料、強化用又は増量用の充填剤、機能的添加剤を包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項46】
機能的添加剤が難燃剤、ナノ複合材料又はナノ充填剤を包含する、請求項46記載の材料の処理方法。
【請求項47】
材料が溶融処理手法により処理される、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項48】
溶融処理手法が射出成型、押出、押出ブロー成型、トランスファ成型又は射出−膨張成型の少なくとも1つを包含する、請求項47記載の材料の処理方法。
【請求項49】
差別的加熱工程において、材料の標的加熱を行うことを包含する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項50】
前記標的加熱は、被処理材料に部位に加熱エネルギーを向けることにより提供される、請求項49記載の材料の処理方法。
【請求項51】
可動アンテナ組立物を制御することにより方向付け可能な加熱を提供する工程を包含する、請求項50記載の材料の処理方法。
【請求項52】
前記第2の部分が前記差別的加熱工程の後に前記第1の部分から熱エネルギーを吸収するための熱シンクとして作用する、上記請求項の何れかに記載の材料の処理方法。
【請求項53】
被処理材料に選択的加熱を与えるための手段を包含する材料処理システム。
【請求項54】
少なくとも第1及び第2の部分を有する被加熱材料を保持するための材料ホルダー、
前記第1及び第2の部分を差別的に加熱し、前記第1の部分の粘度を低下させて前記第1の部分を流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させるよう操作可能な加熱ステーション、及び、
前記材料のメルトフローにより前記第1及び第2の部分を成形するために操作可能な材料成形用のステーション、
を包含する材料処理システム。
【請求項55】
前記材料成形ステーションが、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、及び、
前記材料の前記第1及び第2の部分を製造中間体として成形し、製品を製造する工程、
の1つ以上を実施するように追加的に操作可能である、請求項54記載の材料処理システム。
【請求項56】
少なくとも第1及び第2の部分を有する被加熱材料を保持するための材料ホルダー、
前記第1及び第2の部分を差別的に加熱し、前記第1の部分の粘度を低下させて前記第1の部分を流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させるよう操作可能な加熱ステーション、及び、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記第1及び第2の部分を成形するために操作可能な材料成形用のステーション、
を包含する材料処理システム。
【請求項57】
前記材料成形ステーションが、
前記第1及び第2の部分を前記材料のメルトフローにより成形する工程、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、及び、
前記材料の前記第1及び第2の部分を製造中間体として成形し、製品を製造する工程、
の1つ以上を実施するように追加的に操作可能である、請求項56記載の材料処理システム。
【請求項58】
少なくとも第1及び第2の部分を有する被加熱材料を保持するための材料ホルダー、
前記第1及び第2の部分に差別的に熱を付与することにより前記第1の部分の粘度を低下させ、これにより前記第1の部分を流動可能とするが、前記第2の部分の粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に未変化であるか、又は第1の部分よりも低程度だけ低下させるために操作可能な加熱ステーション、及び、
材料に剪断力及び伸展力の少なくとも1つを適用することにより前記第1及び第2の部分を成形するために操作可能な材料成形用のステーション、
を包含する材料処理システム。
【請求項59】
前記材料成形ステーションが、
前記第1及び第2の部分を前記材料のメルトフローにより成形する工程、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、及び、
前記材料の前記第1及び第2の部分を製造中間体として成形し、製品を製造する工程、
の1つ以上を実施するように追加的に操作可能である、請求項58記載の材料処理システム。
【請求項60】
少なくとも第1及び第2の部分を有する被加熱製品中間体を保持するための材料ホルダー、
前記第1及び第2の部分を差別的に加熱し、前記第1の部分の粘度を低下させて前記第1の部分を流動可能とする一方で、前記第2の部分の粘度は前記差別的加熱工程によっても実質的に変化させないか、又は第1の部分よりも低度に低下させるよう操作可能な加熱ステーション、及び、
前記第1及び第2の部分を成形して製品を製造する、操作可能な材料成形用のステーション、
を包含する製造中間体を処理するための材料処理システム。
【請求項61】
前記材料成形ステーションが、
前記第1及び第2の部分を前記材料のメルトフローにより成形する工程、
前記第1及び第2の部分を可塑的に変形することにより前記材料を成形する工程、及び、
材料の剪断及び伸展の少なくとも1つを行うことにより前記材料を成形する工程、
の1つ以上を実施するように追加的に操作可能である、請求項60記載の材料処理システム。
【請求項62】
前記材料ホルダーが層状の材料を保持するために操作可能であり、前記層が少なくとも前記第1及び第2の部分を有する、請求項54〜61の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項63】
前記材料ホルダーが顆粒状の材料を保持するために操作可能であり、前記第1及び第2の部分が顆粒である、請求項54〜61の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項64】
前記第1及び第2の顆粒部分を混合するためのミキサーを包含する、請求項63記載の材料処理システム。
【請求項65】
前記加熱ステーションが前記第1の部分を溶融するために操作可能である、請求項54〜64の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項66】
前記材料成形ステーションが前記第1の部分からの伝導性又は対流性の熱移動により前記第2の部分の加熱を行うために操作可能である、請求項54〜65の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項67】
前記加熱ステーションが、実質的に材料全体が熱エネルギーにより加熱されるように操作可能である、加熱される請求項54〜66の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項68】
前記加熱ステーションが、実質的に前記材料に熱エネルギーを均等に分布させて加熱するように操作可能である、請求項54〜67の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項69】
前記加熱ステーションが、加熱のための電磁気エネルギーを発生するように操作可能である、請求項54〜68の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項70】
前記加熱ステーションが、マイクロ波放射エミッターを包含する、請求項54〜69の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項71】
前記加熱ステーションからの熱エネルギーの周波数及び/又は波長が調節可能である、請求項54〜70の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項72】
前記加熱ステーションは実質的に均一な場エネルギー密度を与えるように操作可能である、請求項54〜71の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項73】
前記加熱ステーションが、
a)前記材料を通じて実質的に均等な電磁気エネルギーの分布、又は、
b)材料の選択された領域に向けたそのような領域を加熱するための前記電磁気エネルギーのターゲティング、
の少なくとも1つを実施するように操作可能である、請求項54〜72の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項74】
前記加熱ステーションの電磁気エネルギー密度、前記成形ステーションにおける材料の圧力及び温度、のうち少なくとも1つを制御するために操作可能なコントローラーを包含する、請求項54〜73の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項75】
前記加熱ステーションが材料中の双極子の共鳴をもたらすエネルギー加熱波を提供するように操作可能である、請求項54〜74の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項76】
前記成形ステーションが、前記第1の材料が、前記第2の材料が流動粘度を獲得できるまで前記第2の材料に熱を伝える時間が組み込まれるように操作可能である、請求項54〜75の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項77】
前記成形ステーションが、前記第2の材料の全体的な温度が実質的に上昇する前に、前記材料を前記成形するように操作可能である、請求項54〜76の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項78】
前記成形ステーションが材料全体を混合、移動、成形、刻印、注入又は押出して製品を形成できるようにする、請求項54〜77の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項79】
前記成形ステーションが射出成型、押出、押出ブロー成型、トランスファ成型又は射出−膨張成型の少なくとも1つを実施するために操作可能である、請求項54〜78の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項80】
前記加熱ステーションが、材料の標的加熱を実施するように操作可能である、請求項54〜79の何れか一項に記載の材料処理システム。
【請求項81】
前記加熱ステーションが、被処理材料の部位に加熱エネルギーを方向付けるように操作可能な、方向付け可能なエネルギービーム発生器を包含する、請求項80記載の材料処理システム。
【請求項82】
前記方向付け可能なエネルギービーム発生器が可動アンテナユニットを包含する、請求項81記載の材料処理システム。
【請求項83】
熱エネルギーに対して異なる感受性を有する第1及び第2の部分を包含する処理可能な材料であって、
そのような熱エネルギーによって、第1の部分の粘度は低下して流動可能となる一方で、第2の部分の粘度は実質的に変化しないか、又は第1の部分よりも低度に低下し、
前記第1及び第2の部分はそのような加熱の後にメルトフロープロセスにより成形されて製品を形成することができる被処理材料。
【請求項84】
前記第1及び第2の部分が、さらに加えて、可塑変形と、剪断及び伸展の少なくとも1つ、のうち1つ以上を実施することにより、共に成形可能である請求項83記載の被処理材料。
【請求項85】
熱エネルギーに対して異なる感受性を有する第1及び第2の部分を包含する処理可能な材料であって、
そのような熱エネルギーによって、第1の部分の粘度は低下して流動可能となる一方で、第2の部分の粘度は実質的に変化しないか、又は第1の部分よりも低度に低下し、
前記第1及び第2の部分はそのような加熱の後に共に可塑的に変形されて製品を形成することができる被処理材料。
【請求項86】
前記第1及び第2の部分が、さらに加えて、メルトフロープロセスと、剪断及び伸展の少なくとも1つ、のうち1つ以上を実施することにより、共に成形可能である請求項85記載の被処理材料。
【請求項87】
熱エネルギーに対して異なる感受性を有する第1及び第2の部分を包含する処理可能な材料であって、
そのような熱エネルギーによって、第1の部分の粘度は低下して流動可能となる一方で、第2の部分の粘度は実質的に変化しないか、又は第1の部分よりも低度に低下し、
前記第1及び第2の部分はそのような加熱の後に剪断及び伸展の少なくとも1つを実施することにより、ともに変形されて製品を形成することができる被処理材料。
【請求項88】
前記第1及び第2の部分が、さらに加えて、可塑変形とメルトフロープロセスのうち少なくとも1つにより、共に成形可能である請求項87記載の被処理材料。
【請求項89】
熱エネルギーに対して異なる感受性を有する第1及び第2の部分を包含する処理可能な材料であって、
そのような熱エネルギーによって、第1の部分の粘度は低下して流動可能となる一方で、第2の部分の粘度は実質的に変化しないか、又は第1の部分よりも低度に低下し、
前記第1及び第2の部分は顆粒形態である、被処理材料。
【請求項90】
前記第1及び第2の顆粒エレメントが共に混合される、請求項89記載の被処理材料。
【請求項91】
前記第2の部分が前記第1の部分に伝導的に又は対流的に結合されている、請求項83〜90の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項92】
前記第1及び第2の部分の少なくとも1つが強化剤成分を包含する、請求項83〜91の何れか一項に記載の処理可能な材料。
【請求項93】
前記強化剤成分が強化繊維、糸又はテープを包含する、請求項92記載の被処理材料。
【請求項94】
前記強化剤成分が天然又は合成の、有機又は無機の、同じか又は異なる材料、又は重合体又は共重合体である、請求項92又は93記載の被処理材料。
【請求項95】
前記第1の部分が電磁気エネルギーに対して受容性である請求項83〜94の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項96】
前記第1の部分がマイクロ波放射に対して受容性である、請求項83〜95の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項97】
前記第1の部分が実質的に材料全体に均等に分布している、請求項83〜96の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項98】
前記第1の部分が局所的に位置することにより材料中の温度分布を可変とすることができる請求項83〜96の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項99】
製品を形成するために、混合、移動、成形、刻印、注入又は押出の少なくとも1つは可能である請求項83〜98の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項100】
低分子量重合体、オリゴマー又は単量体を包含する請求項83〜99の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項101】
電磁気放射により加熱可能な材料の1つの相であって、前記相は第1の部分であるもの、
電磁気放射により加熱され、加熱により相違する状態となる2つ以上の相であって、前記2つ以上の相は第1及び第2の部分であるか、それを包含するもの、
のうち1つ以上を包含する、請求項83〜100の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項102】
前記加熱される2つ以上の相が加熱されない相と同じ重合体材料である、請求項101記載の被処理材料。
【請求項103】
前記相が、非受容性重合体の1つ以上の相、及び融合、化合、混合、接合、その他の添加手法により受容性材料を添加した前記非受容性の重合体より形成された受容性重合体の相のうち1つ以上を包含する、請求項101記載の被処理材料。
【請求項104】
第1の部分が合成又は天然の重合体材料であるか、それを包含する、請求項83〜103の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項105】
第1の部分がカーボンブラック、フェライト、金属酸化物、ゼオライト、タルク粉末、ZnCl2、ナイロン、銅その他の金属粉末、酸化第1鉄、酸化マンガン、セラミックス及び酸化物を包含する、請求項83〜103の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項106】
材料が層状の材料、顆粒、液体又はゲルであるか、これらを包含する、請求項83〜105の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項107】
前記第1及び第2の部分が相違する層、相違する顆粒成分、相違する液体又はゲルである、請求項106記載の被処理材料。
【請求項108】
材料が結晶性、半結晶性又は不定形の重合体である、請求項83〜107の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項109】
着色料、強化用又は増量用の充填剤、機能的添加剤を包含する、請求項83〜108の何れか一項に記載の被処理材料。
【請求項110】
機能的添加剤が難燃剤、ナノ複合材料又はナノ充填剤を包含する、請求項109記載の被処理材料。
【請求項111】
被処理材料の一部分のみが所望の処理温度まで加熱され、少なくとも1つの他の部分は前記温度未満に保持されるように材料を差別的に加熱する工程、及び材料を処理する工程を包含する熱可塑性材料を処理する材料。
【請求項112】
実質的に材料全体に熱エネルギーを供給する工程を包含する、請求項111記載の方法。
【請求項113】
所望の処理温度まで加熱される前記部分が、少なくとも1つの別の部分よりも、熱エネルギーに対して受容性である、請求項112記載の方法。
【請求項114】
被処理材料に対して選択的加熱を与える手段を包含する熱可塑性処理システム。
【請求項115】
請求項111〜113の何れか一項に記載の方法に従って操作される、請求項114記載の熱可塑性処理システム。
【請求項116】
請求項1〜52又は111〜113の何れか一項に記載の方法により得られる製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2009−538247(P2009−538247A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512659(P2009−512659)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001963
【国際公開番号】WO2007/138290
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508349403)ペラ イノベーション リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001963
【国際公開番号】WO2007/138290
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508349403)ペラ イノベーション リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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