説明

成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法とそれにより製造された車両用内装材及び建築用シート

本発明は成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法とそれにより製造された車両用内装材及び建築用シートを開示する。この製造方法は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが3〜7:7〜3の比率で混合された短繊維をカーディング成形する工程と、 前記フォーム層の一面または両面にカーディング成形された短繊維をニードルパンチング作業によって交絡させて前記フォーム層の内部にトラス状に埋め込む工程と、前記短繊維が外部に露出したフォーム層の両面に、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と天然繊維とが3〜7:7〜3の比率で混合された繊維層を積層する工程と、前記繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成されるようにし、且つ前記フォーム層に前記繊維層を一体化する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォームの一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが混合された短繊維をカーディング成形した後、ニードルパンチングによってフォームに短繊維を交絡させることにより、短繊維がフォーム内に埋め込まれた形態の新しい車両用内装材及び建築用内装材を製造し、ひいては車両及び建築用板材も製造することができる、成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法、これにより製造された車両用内装材及び建築用シート、並びに車両及び建築用板材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が生活必須品に変わるにつれて、車両内のインテリアや安全性、快適な乗車感などが重視されている。このため、車両内には多種の内装材、すなわちシートが使用されているが、その使用対象としては、ヘッドライナ (Head liner)、ドアトリム(Door trim)、リヤシェルフ(Rear shelf)、トランクマット(Trunk mat)、カーマット(Car mat)、床材、ボンネット(Bonnet)、天井材、建築用内装材及び遮音材などが挙げられる。
【0003】
内装材は、紙類、ビニール、繊維編物、不織布及びフェルトの少なくとも1種以上の組み合わせからなるシートが使用されてきた。このような内装材の機能としては、主に車両内をより安楽に見えるように装飾する内装機能、車両内の熱を保存しあるいは外気の熱を遮断する保温機能、外部の騒音が内部に伝達されることを防止するための遮音及び吸音機能、または衝撃を緩和するためのクッション機能などが挙げられる。
【0004】
したがって、このような機能によれば、内装材は、美麗な外観、保温性、遮音性、吸音性及び緩衝性などに優れなければならず、車両の重量を減少させるために軽量でなければならず、車両の複雑な内部構造及び車種の変化による構造変化によく適応して成形できなければならないので成形性に優れるべきである。
【0005】
このような車両用内装材の一例としては、2つの層を持つものが挙げられるが、この車両用内装材は、フェルトの両面にビニール紙と離型紙が付着している一つの層と、厚板紙の一面にスポンジと繊維編物が付着しているもう一つの層とからなる。
【0006】
ここで、フェルトは吸音及び遮音機能を、離型紙は天井に当たるフェルト面を保護する役割を、ビニール紙はフェルトの底面の表面欠陥または汚染を防止する役割をそれぞれ果たす。厚板紙は曲げに対する抵抗力を提供し、表面クッションのためのスポンジに付着している繊維編物は美麗さを提供するための仕上げ処理用である。
【0007】
ところが、従来では、離型紙、フェルト、ビニール紙、厚板紙、スポンジ及び繊維編物などの各種素材を一つの板材に製造しなければならないので、製造工程が長くなりかつ製造コストが上昇するなどの不都合があった。また、前述した素材は、再生不可な素材が多いから、環境汚染を誘発する。
【0008】
また、防音及び遮音効果を高めるために硬質の不織布に効果糸を織り込み、その上に軟質の不織布を積層したシート(カーペット)が登場したが、これは車両内に適用するための成形が容易でない。さらに、前述したシートの一面にポリエチレン樹脂をコートしたシートも開発されたが、これを成形する過程における加熱及び圧着によってポリエチレン樹脂が融け出してシートの表面が汚染したり効果糸が固まったりするなどの欠点があった。
【0009】
このため、車両用内装材として要求される成形性や遮音性、防音性、保温性、クッションなどを向上させるための軽くてリサイクル可能な車両用内装材が研究開発される趨勢にある。
【0010】
また、前述した役割に加えて、車両用内装材に対する振動または衝撃を吸収するうえ、人体にも悪くなく、視覚的な美麗さを与えることが可能な感覚的なものまでも要求される趨勢にある。
【発明の開示】
【0011】
そこで、本発明は、このような従来の技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、フォームの一面または両面に短繊維をカーディング成形して短繊維層を形成する車両用内装材及び建築用シートの製造方法において、前記フォーム層及び短繊維層に使用されるフォーム及び短繊維を同一の材質を用いてカーディング成形する工程により、フォームと短繊維を熱融着するときにフォームと短繊維との完全な接着が行われるようにし、カーディング成形の後、フォーム層に短繊維をニードルパンチングで交絡させてフォーム層の内部にトラス状に埋め込む工程により、曲げ難くて高強度の車両用内装材及び建築用内装材を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが混合された短繊維をカーディング成形した後、ニードルパンチングでフォーム層に短繊維を交絡させることにより、短繊維がフォーム層内に埋め込まれた形態の新しい車両用内装材、建築用シート及びこれを用いた車両または建築用板材を提供することにある。
【0013】
また、本発明の別の目的は、短繊維と繊維層を完全に密着した板形状に熱融着することにより、車両の各種内装材、すなわちリヤシェルフ、ドアトリム、ヘッドライナ、トランクマット、床材、天井材、ボンネットライナなどに有用に使用できるうえ、寝台のクッション用または各種建築資材としても使用可能であり、垂れ(撓み)が少なくて成形が容易であり、保温性、遮音性、吸音性に優れた板材を得ることが可能な、成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法を提供することにある。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の好適な第1実施形態に係る成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが3〜7:7〜3の比率で混合された短繊維をカーディング成形する工程と、前記フォーム層の一面または両面にカーディング成形された短繊維をニードルパンチング作業で交絡させて前記フォーム層の内部にトラス状に埋め込む工程と、前記フォーム層の外部に露出した短繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成されるようにする工程とを行って硬質の板状を成形することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の好適な第2実施形態に係る成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維が3〜7:7〜3の比率で混合された短繊維を1次カーディング成形する工程と、前記フォーム層の一面または両面にカーディング成形された短繊維をニードルパンチング作業で交絡させて前記フォーム層の内部にトラス状に埋め込む工程と、前記短繊維が外部に露出したフォーム層の両面に、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と天然繊維とが3〜7:7〜3の比率で混合された繊維層を2次カーディング成形する工程と、前記繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成されるようにし、且つフォーム層に繊維層を一体化する工程とを行って硬質の板状を成形することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の好適な第3実施形態に係る成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが混合された短繊維をカーディング成形して短繊維層を製造する工程と、前記短繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成されるようにする工程とからなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の好適な第4実施形態に係る成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と天然繊維とが混合された短繊維をカーディング成形する工程と、前記フォーム層の一面または両面にカーディング成形された短繊維をニードルパンチング作業で交絡させて前記フォーム層の内部にトラス状に埋め込む工程と、前記短繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成されるようにする工程とからなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法において、前記短繊維は、難燃処理されるか、あるいは一般的なポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが3〜7:7〜3の比率(重量)で混合されることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法において、前記短繊維のポリエチレン繊維には20〜40%の重量の低融点ポリエチレン成分が含まれることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法において、前記繊維層は、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と天然繊維とが3〜7:7〜3の比率(重量)で混合されることが好ましい。ここで、「天然繊維」とは、亜麻、黄麻、ワングル、アバカ、ココナット、サイザル及び葛よりなる群から選択された植物の繊維質から造り出した繊維を意味する。
【0021】
また、本発明に係る成形容易な車両用内装材及び建築用シートは、前述したいろいろな方法によって製造されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る車両及び建築用板材は、前述したいろいろな方法によって製造された車両用内装材及び建築用シートの一面または両面に、難燃処理された織物または一般織物が熱融着または接着されたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る車両及び建築用板材は、前述したいろいろな方法によって製造された車両用内装材及び建築用シートの両面に石膏、セメント、セラミック塗料のいずれか1種が一定の厚さに塗布され、熱風乾燥及び加熱圧着されたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1を参照すると、本発明の好適な第2実施形態による車両用内装材及び建築用シートは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンまたは発泡ポリスチレンチップによって発泡されたフォーム層3と、このフォーム層3の一面または両面に積層された短繊維層4a、4bとからなる構造、あるいは前記フォーム層3と短繊維層4a、4bに、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維及び天然繊維を含む繊維層5a、5bがさらに積層された構造を持つ。
【0025】
このようにポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンまたは発泡ポリスチレンチップによって発泡されたフォーム層3の一面または両面に積層される短繊維層4a、4bには、所定の比率で混合されたポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維が使用できる。
【0026】
この際、ポリエチレン繊維には70〜150℃で融ける特性を持つ20〜40%の低融点ポリエチレン成分が含まれているため、120〜250℃の熱で加熱しながら圧力を加えるとき、カーディング成形によりフォーム層3の一面または両面に積層された短繊維層4a、4b、またはフォーム層3と繊維層5a、5bとの間に内在した短繊維層4a、4b、またはニードルパンチング作業によってフォーム層3に埋め込まれた短繊維6の低融点繊維、好ましくはポリエチレン繊維が融けながら硬質の板材に成形できる。この際、低融点繊維とは、一般繊維より10〜30℃程度低い融点を持つ繊維をいう。
【0027】
特に、繊維層5a、5bは、亜麻、黄麻、ワングル、アバカ、ココナット、サイザル及び葛よりなる群から選択された植物の繊維質から造り出した天然繊維にポリプロピレン繊維を混合して板材に成形される。
【0028】
ここで、繊維層5a、5bは、ポリプロピレン繊維と天然繊維とが3〜7:7〜3の比率で混合されて製造され、短繊維層4a、4bは、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが3〜7:7〜3の比率で混合されて製造される。特に、ポリプロピレン繊維には70〜150℃で融ける特性を持つ20〜40%の低融点ポリエチレン繊維成分が含まれることが好ましい。
【0029】
ここで、フォーム層3の一面または両面に、カーディング機によって前述したように短繊維をカーディング成形した後、ニードルパンチング作業で短繊維を交絡させてフォーム層3内にトラス状に埋め込んでから、直接120〜250℃の熱と圧力を加えるか、あるいはフォーム層3の一面または両面にカーディング機によって短繊維をカーディング成形した後、ニードルパンチング作業で短繊維を交絡させてフォーム層3内にトラス状に埋め込み、その上にポリプロピレン繊維と亜麻、黄麻、ワングル、アバカ、ココナット、サイザル及び葛よりなる群から選択された少なくとも一つとが所定の比率で混合された繊維を2次カーディング成形して繊維層5a、5bを積層してから、120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、フォーム層3及びこのフォーム層3に埋め込まれているポリエチレン繊維(低融点ポリエチレン繊維)が融けたり冷えたりしてフォーム層3の両面に繊維層5a、5bが接着されるうえ、融けていた短繊維層4a、4bとフォーム層3に埋め込まれているポリエチレン繊維が冷えながら上下から加えられる力によって硬質の板状に成形される。
【0030】
(実施例1)
フォーム層と短繊維層のみを有する車両用内装材及び建築用シートは、まず、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維と30%の低融点ポリエチレン成分が含まれたポリエチレン繊維とが5:5の比率で混合された短繊維を公知のカーディング機によってカーディング成形する。
【0031】
こうしてフォーム層の一面または両面に短繊維を所定の厚さにカーディング成形した後、ニードルパンチング作業で短繊維を交絡させてフォーム層の内部にトラス状に埋め込む。この際、ニードルパンチング作業は、短繊維が一面にカーディングされているかあるいは短繊維が両面にカーディングされているかによって、一面にのみ行ってもよく、両面に同時に行ってもよい。
【0032】
フォーム層の外部に露出した短繊維に190℃の熱と圧力を加えることにより、フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成され、硬質の板状、すなわち成形容易な車両用内装材及び建築用シートが製造される。
【0033】
(実施例2)
フォーム層、短繊維層及び繊維層を有する車両用内装材及び建築用シートは、まず、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維と30%の低融点ポリエチレン成分が含まれたポリエチレン繊維とが5:5の比率で混合された短繊維を公知のカーディング機によって1次カーディング成形する。
【0034】
こうしてフォーム層の一面または両面に短繊維を所定の厚さにカーディング成形した後、ニードルパンチング作業で短繊維を交絡させてフォーム層の内部にトラス状に埋め込む。この際、ニードルパンチング作業は、短繊維が一面にカーディングされているかあるいは両面にカーディングされているかによって、一面にのみ行ってもよく、両面に同時に行ってもよい。
【0035】
次に、短繊維が外部に露出したフォーム層の一面にポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と亜麻、黄麻、ワングル、アバカ、ココナット、サイザル及び葛よりなる群から選択された一つとがそれぞれ5:5の比率で混合された繊維を2次カーディング成形して繊維層を上下に積層する。
【0036】
繊維層に190℃の熱と圧力を加えることにより、フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成され、且つフォーム層と繊維層が一体化されて硬質の板状、すなわち成形容易な車両用内装材及び建築用シートが製造される。
【0037】
ここで、繊維層に加えられる温度を実施例1に比べて10〜20℃高くすることにより、短繊維に直接熱を加えなくても実施例1に比べて高い熱が繊維層を介して短繊維に伝達され、短繊維を融解させることが可能な十分な熱が加えられる。
【0038】
また、本発明は、前記実施例1、前記実施例2によって製造された車両用内装材及び建築用シートの一面または両面に、難燃処理された織物または一般植物を熱融着または接着して車両及び建築用板材を成形することができる。
【0039】
また、前記実施例1、前記実施例2によって製造された車両用内装材及び建築用シートの両面に石膏、セメント、セラミック塗料のいずれか一つを一定の厚さに塗布し、熱風乾燥及び加熱圧着して車両及び建築用板材を成形することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンまたは発泡ポリスチレンチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維が混合された短繊維をカーディング成形した後、ニードルパンチングによってフォーム層に短繊維を交絡させ、短繊維がフォーム層内に埋め込まれた形態の新しい車両用内装材及び建築用内装材を製造することにより、曲げ易くて低強度の通常のフォーム層の欠点を無くした、硬くて高弾力の成形容易な車両用内装材及び建築用シートを得ることができるという効果がある。
【0041】
また、本発明は、短繊維と繊維層を完全に密着した板状に熱融着することにより、車両の各種内装材、すなわちリヤシェルフ、ドアトリム、ヘッドライナ、トランクマット、床材、天井材、ボンネットライナなどに有用に使用できるうえ、寝台のクッション用または各種建築資材としても使用可能であり、垂れ(撓み)が小さくて成形が容易であり、保温性、遮音性、吸音性に優れた板材を得ることができるという効果がある。
【0042】
また、本発明は、フォームと短繊維の材質としてポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンなどの同一の材質を使用することにより、フォームと短繊維を熱融着したとき、フォームと短繊維との完全な接着がなされるという効果がある。
【0043】
また、本発明は、フォーム層の一面または両面に短繊維層を積層しあるいは短繊維層と繊維層を順次積層して熱融着した後、その両面に難燃処理された織物または一般織物を熱融着または接着し、あるいは石膏やセメント、セラミック塗料などを一定の厚さに塗布することにより、車両または建築用として有用な板材を得ることができるという効果がある。
【0044】
以上、本発明は記載された具体的な実施例についてのみ詳細に説明されたが、本発明の技術思想範囲内で様々な変形及び修正が可能なのは当業者には明らかなことであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属するのは当たり前のことである。
【0045】
この発明の前記及び他の目的、特徴及びその他の利点は、添付図面を参照する次の説明によって明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る成形容易な車両用内装材及び建築用シートを示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーム層の一面または両面に短繊維をカーディング成形して短繊維層を形成する車両用内装材及び建築用シートの製造方法において、
前記フォーム層及び前記短繊維層に使用されるフォーム及び短繊維を同一の材質を用いてカーディング成形する工程と、
前記カーディング成形の後、フォーム層に短繊維をニードルパンチングで交絡させてフォーム層の内部にトラス状に埋め込む工程とを含むことを特徴とする、成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法。
【請求項2】
前記製造方法が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが混合された短繊維をカーディング成形する工程と、
前記フォーム層の一面または両面にカーディング成形された短繊維をニードルパンチング作業で交絡させて前記フォーム層の内部にトラス状に埋め込む工程と、
前記フォーム層の外部に露出した短繊維に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成されるようにする工程とを含むことを特徴とする、請求項1記載の成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法。
【請求項3】
前記製造方法が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが混合された短繊維を1次カーディング成形する工程と、
前記フォーム層の一面または両面にカーディング成形された短繊維をニードルパンチング作業で交絡させて前記フォーム層の内部にトラス状に埋め込む工程と、
前記短繊維が外部に露出したフォーム層の両面に、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と天然繊維とが混合された繊維層を2次カーディング成形する工程と、
前記繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成されるようにし、且つフォーム層に繊維層を一体化する工程とを含むことを特徴とする、請求項1記載の成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法。
【請求項4】
前記製造方法が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが混合された短繊維をカーディング成形して短繊維層を製造する工程と、
前記短繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成されるようにする工程とを含むことを特徴とする、請求項1記載の成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法。
【請求項5】
前記製造方法が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と天然繊維とが混合された短繊維をカーディング成形する工程と、
前記フォーム層の一面または両面にカーディング成形された短繊維をニードルパンチング作業で交絡させて前記フォーム層の内部にトラス状に埋め込む工程と、
前記短繊維に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記短繊維が融けたり硬化したりして短繊維層が形成されるようにする工程とを含むことを特徴とする、請求項1記載の成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法。
【請求項6】
前記短繊維は、難燃処理された、あるいは一般的なポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが3〜7:7〜3の比率で混合されたものであることを特徴とする、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法。
【請求項7】
前記短繊維のポリエチレン繊維には、20〜40%の低融点ポリエチレン成分が含まれることを特徴とする、請求項6記載の成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法。
【請求項8】
前記繊維層は、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と天然繊維とが3〜7:7〜3の比率で混合されたものであることを特徴とする、請求項3または請求項5に記載の成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法。
【請求項9】
前記天然繊維が、亜麻、黄麻、ワングル、アバカ、ココナット、サイザル及び葛よりなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする、請求項3または請求項5に記載の成形容易な車両用内装材及び建築用シートの製造方法。
【請求項10】
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層と、
前記フォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが混合された短繊維でカーディング成形された短繊維層とからなるが、
前記フォーム層の内部にニードルパンチングで前記短繊維を交絡させることにより、短繊維がトラス状に埋め込まれ、前記短繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、短繊維が融けたり硬化したりして前記短繊維層が形成されたことを特徴とする、請求項2の製造方法によって製造された成形容易な車両用内装材及び建築用シート。
【請求項11】
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層と、
前記フォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが混合された短繊維でカーディング成形された短繊維層と、
前記短繊維が外部に露出したフォーム層の両面に、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と天然繊維とを混合して積層された繊維層とからなるが、
前記フォーム層の内部にニードルパンチング作業で前記短繊維を交絡させることにより、前記短繊維がトラス状に埋め込まれ、前記繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、前記フォーム層の一面または両面に、露出した短繊維が融けたり硬化したりして前記短繊維層が形成されたことを特徴とする、請求項3の製造方法により製造された成形容易な車両用内装材及び建築用シート。
【請求項12】
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層と、
前記フォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維とが混合された短繊維でカーディング成形された短繊維層とからなるが、
前記短繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、短繊維が融けたり硬化したりして前記短繊維層が形成されたことを特徴とする、請求項4の製造方法により製造された成形容易な車両用内装材及び建築用シート。
【請求項13】
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及び発泡ポリスチレンよりなる群から選択されたいずれか一つのチップによって発泡されたフォーム層と、
前記フォーム層の一面または両面に、ポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維と天然繊維とが混合された短繊維でカーディング成形された短繊維層とからなるが、
前記フォーム層の内部にニードルパンチングで前記短繊維を交絡させることにより、短繊維がトラス状に埋め込まれ、前記短繊維層に120〜250℃の熱と圧力を加えることにより、短繊維が融けたり硬化したりして前記短繊維層が形成されたことを特徴とする、請求項5の製造方法により製造された成形容易な車両用内装材及び建築用シート。
【請求項14】
前記天然繊維が、亜麻、黄麻、ワングル、アバカ、ココナット、サイザル及び葛よりなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする、請求項11または請求項13に記載の成形容易な車両用内装材及び建築用シート。
【請求項15】
請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の車両用内装材及び建築用シートと、
前記シートの一面または両面に難燃処理された織物または一般織物が熱融着または接着されたことを特徴とする、車両及び建築用板材。
【請求項16】
請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の車両用内装材及び建築用シートと、
前記シートの両面に石膏、セメント及びセラミック塗料よりなる群から選択されたいずれか一つを一定の厚さに塗布し、熱風乾燥及び加熱圧着を行って形成した層とを含んでなることを特徴とする、車両及び建築用板材。


【図1】
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【公表番号】特表2006−513070(P2006−513070A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502624(P2005−502624)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002756
【国際公開番号】WO2004/056565
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505222428)
【氏名又は名称原語表記】SEO, Yeun Kwon
【住所又は居所原語表記】859−44, Anyang 2−dong, Manan−gu, Anyang−shi, Kyungki−do, The Republic of Korea
【Fターム(参考)】