説明

成形機システム

【課題】作動液を節約可能な成形機システムを提供する。
【解決手段】成形機システム1は、液圧装置130をそれぞれ有する複数のダイカストマシン3と、複数の液圧装置130に共用される集中タンク5とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の成形機を有する成形機システムに関する。成形機は、例えば、ダイカストマシンや射出成形機である。
【背景技術】
【0002】
複数の成形機を有する成形機システムが知られている。特許文献1では、複数の射出成形機を有する成形機システムが開示されている。特許文献1の成形機システムは、複数の射出成形機を管理する管理装置を有している。管理装置は、複数の射出成形機の運転タイミング(成形サイクルの位相)を互いにずらすように複数の射出成形機の動作を制御する。これにより、各射出成形機において消費電力がピークとなる時期が、複数の射出成形機間において互いにずれ、成形機システム全体における消費電力のピークの値が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−21861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成形機においては、駆動装置として、油圧装置等の液圧装置が用いられることが多い。このような成形機は、作動液を貯蓄するタンクを有し、比較的大量の作動液を保持している。一方、資源節約や低コスト化の観点から、成形機が保持する作動液は少なくされることが好ましい。しかし、特許文献1の射出成形機は、その全体が電動機により駆動されるものであり、作動液の節約に関しては一切言及されていない。
【0005】
本発明の目的は、作動液を節約可能な成形機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の成形機システムは、液圧装置をそれぞれ有する複数の成形機と、複数の前記液圧装置に共用される集中タンクと、を有する。
【0007】
好適には、前記複数の液圧装置はそれぞれ、前記集中タンクに連通された個別タンクを有し、前記集中タンクと複数の前記個別タンクとは同一の液面レベルとなっている。
【0008】
好適には、前記液面レベルを検出するセンサと、前記センサの検出値を表示可能な表示装置と、を有する。
【0009】
好適には、前記複数の成形機それぞれにおいて、型締装置に対して水平方向に隣接して射出装置が設けられ、前記個別タンクは、前記型締装置及び前記射出装置に対して、前記射出装置側に配置されている。
【0010】
好適には、前記集中タンクに接続された主管と、前記主管から分岐して前記複数の液圧装置に接続される複数の分岐管と、を有し、前記複数の成形機は、射出装置を前記主管側に、型締装置を前記主管とは反対側に向けて配置されている。
【0011】
好適には、前記複数の液圧装置はそれぞれ、前記個別タンクから作動液を吸引可能なポンプと、前記ポンプを駆動可能な電動機と、を有している。
【0012】
好適には、前記複数の液圧装置に対応して設けられ、前記集中タンクの作動液を送出可能な複数のポンプと、前記複数のポンプに対応して設けられ、前記複数のポンプを駆動可能な複数の電動機と、前記集中タンク、前記複数のポンプ及び前記複数の電動機を共に収容する筐体と、を有する。
【0013】
好適には、前記複数の成形機における成形サイクルの位相を互いにずらすように前記複数の成形機の動作を制御する集中制御装置を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作動液を節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る成形機システムの構成を示す模式的な平面図。
【図2】図1のポンプユニットと供給管との接続部周辺における断面図。
【図3】図1のポンプユニットと戻り管との接続部周辺における断面図。
【図4】図1の集中制御盤の正面図。
【図5】図1の成形機システムにおける信号処理系の構成の概要を示すブロック図。
【図6】図1の成形機システムにおける消費電力の経時変化を示す概念図。
【図7】図1のダイカストマシンの要部の概要を示す図。
【図8】図1のダイカストマシンの液圧装置の構成を示す図。
【図9】図8の液圧装置の射出シリンダ装置に係る構成を示す図。
【図10】図1のダイカストマシンの射出速度及び射出圧力の径時変化を示す図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る成形機システムの概要を示す平面図。
【図12】変形例に係るダイカストマシンの液圧装置の構成を示す概略図。
【図13】変形例に係るダイカストマシンの要部を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
<成形機システム全体の構成及び動作>
まず、成形機システム全体の構成及び動作について説明し、その後、成形機システムに含まれるダイカストマシンの構成及び動作について説明する。
なお、以下に説明する各種の実施形態及び変形例において、同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る成形機システム1の構成を示す模式的な平面図である。
【0018】
成形機システム1は、複数のダイカストマシン3と、複数のダイカストマシン3に共用される集中タンク5と、複数のダイカストマシン3に対する電力供給及び制御を行う集中制御盤7とを有している。
【0019】
複数のダイカストマシン3は、互いに同一の機種であってもよいし、互いに異なる機種であってもよい。また、複数のダイカストマシン3に取り付けられている金型は、互いに同一の大きさ及び形状の成形品を形成するものであってもよいし、互いに異なる大きさ及び形状の成形品を形成するものであってもよい。複数のダイカストマシン3の成形サイクルにおける周期や成形サイクルに含まれる工程は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0020】
複数のダイカストマシン3は、例えば、縦横(Y方向及びX方向)に配列されている。換言すれば、成形機システム1は、X方向に配列された複数のマシン列4A、4B、4C、…(以下、A、B、C、…を省略することがある。)を有し、各マシン列4は、X方向に配列された複数(n個)のダイカストマシン3を有している。
【0021】
ダイカストマシン3は、マシン本体3aと、マシン本体3aに作動液(例えば油)を供給するためのポンプユニット9と、マシン本体3a及びポンプユニット9の動作を制御するための中継盤11と、ユーザの操作を受け付ける操作盤13とを有している。
【0022】
マシン本体3aは、型締装置15と、型締装置に対して水平方向において隣接して配置された射出装置17とを有している。なお、以下では、型締装置15と射出装置17との並び方向に直交する方向(Y方向)を、マシン本体3a(ダイカストマシン3、型締装置15、又は、射出装置17)の側方ということがある。
【0023】
各マシン列4において、複数のダイカストマシン3は、マシン本体3aを同一方向に向けて配置されている。具体的には、各マシン列4において、複数のマシン本体3aは、型締装置15に対する射出装置17の向きを、マシン列4におけるマシン本体3aの配列方向に直交する方向(X方向)とされている。換言すれば、各マシン列4において、複数のマシン本体3aは、側方において互いに隣接するように配列されている。
【0024】
また、複数のマシン列4は、隣接するマシン列4同士において型締装置15に対する射出装置17の向きが互いに逆方向になるように配置されている。換言すれば、隣接するマシン列4同士は、射出装置17同士を向き合わせて(例えば4Aと4B)、又は、型締装置15同士を向き合わせて(例えば、4Bと4C)、配置されている。
【0025】
ポンプユニット9は、後述するポンプ133(図8参照)等を収容するユニット筐体(収容部材)10を有している。ユニット筐体10の大きさ、形状及び材質は、適宜に設定されてよい。ポンプユニット9(ユニット筐体10)は、型締装置15及び射出装置17(マシン本体3a)に対して、射出装置17側に配置されている。なお、ここでいう、型締装置15及び射出装置17に対する射出装置17側は、射出装置17の側方の位置であってもよいし、射出装置17の型締装置15とは反対側の位置であってもよい。図1では、ポンプユニット9が、射出装置17の型締装置15とは反対側の位置に配置されている場合を例示している。なお、射出装置17同士を向き合わせているマシン列4同士(例えば4Aと4B)は、ポンプユニット9同士も向き合わせていることになる。
【0026】
中継盤11は、後述する個別制御装置59(図5参照)等を収容する中継筐体12を有している。中継筐体12の大きさ、形状及び材質は、適宜に設定されてよい。中継盤11(中継筐体12)は、例えば、ポンプユニット9に隣接して配置されている。
【0027】
操作盤13は、後述する入力装置191(図9参照)及び表示装置192(図9参照)等を収容する操作筐体14を有している。操作筐体14の大きさ、形状及び材質は、適宜に設定されてよい。操作盤13(操作筐体14)は、例えば、型締装置15の側方に配置されている。なお、図1においては、操作盤13のマシン本体3aに対する向き(2つの側方のうちいずれの側方であるか)が、複数のダイカストマシン3間において同一とされている場合を例示している。ただし、各マシン列4において、操作盤13のマシン本体3aに対する向きは、隣接するダイカストマシン3間で逆向きであってもよい。
【0028】
集中タンク5は、作動液を貯蓄している。集中タンク5において、液面の圧力は、例えば、大気圧とされている。成形機システム1は、集中タンク5から複数のダイカストマシン3へ作動液を供給するための供給管21と、複数のダイカストマシン3から集中タンク5へ作動液を戻すための戻り管22とを有している。なお、図1では、便宜的に、戻り管22を破線で示している。
【0029】
供給管21は、集中タンク5から延びる集中管21aと、集中管21aから分岐した複数の主管21bと、主管21bから分岐してポンプユニット9に接続された複数の分岐管21cとを有している。なお、集中管21a、主管21b及び分岐管21cは、鋼管やホース等の適宜な配管部材を適宜に選択して構成されてよい。
【0030】
複数の主管21bはそれぞれ、互いに射出装置17同士を向けている2つのマシン列4の間において、マシン列4に沿って延びている。複数の分岐管21cそれぞれは、主管21bにおける、各ポンプユニット9に対して概ね最寄りの位置において、主管21bから分岐している。
【0031】
戻り管22も、供給管21と概ね同様の構成となっている。すなわち、戻り管22も、集中管22a、主管22b及び分岐管22cを有し、これらの構成は、集中管21a、主管21b及び分岐管21cと概ね同様である。
【0032】
供給管21及び戻り管22には、複数の適宜な位置にこれらの流路を開閉する複数の仕切弁23が設けられている。例えば、仕切弁23は、複数の分岐管21c及び22cのそれぞれに設けられている。また、仕切弁23は、複数の主管22bのそれぞれ、若しくは、複数の主管の2本目以降のそれぞれ(図1ではこの場合を例示)に設けられている。仕切弁23は、手動で開閉されるものであってもよいし、磁気や作動液を利用して開閉されるものであってもよい。
【0033】
集中タンク5に係る構成として、この他、成形機システム1は、集中タンク5に貯蓄されている作動液の温度を調整する液温調整機25と、集中タンク5に貯蓄されている作動液を浄化する液洗浄機26とを有している。また、成形機システム1は、集中タンク5から供給管21に供給される作動液をフィルタリングするフィルタ27と、戻り管22から集中タンク5に戻される作動液をフィルタリングするフィルタ28とを有している。さらに、成形機システム1は、集中タンク5における液面レベル(液面の高さ)を検出するレベルセンサ29を有している。
【0034】
レベルセンサ29には、フロートスイッチ式、磁気式、光学式、電極式、超音波式など、公知の適宜な方式が適用されてよい。レベルセンサ29は、集中タンク5の液面レベルに応じた電気信号を集中制御盤7に出力する。
【0035】
集中制御盤7は、例えば、集中タンク5に隣接して配置されている。集中制御盤7には、複数のダイカストマシン3の他、例えば、プリンタ31が接続されている。プリンタ31は、例えば、集中制御盤7に隣接して配置されている。
【0036】
図2は、ポンプユニット9と供給管21との接続部周辺における断面図である。図3は、ポンプユニット9と戻り管22との接続部周辺における断面図である。
【0037】
ポンプユニット9は、供給管21及び戻り管22を介して集中タンク5に連通される個別タンク33を有している。個別タンク33は、ユニット筐体10に収容され、若しくは、ユニット筐体10と一体的に構成されている。供給管21及び戻り管22は、例えば、個別タンク33の底面に接続されている。
【0038】
個別タンク33の液面は、集中タンク5の液面と同じレベルとされている。例えば、個別タンク33には、液面上の空間を大気に開放するためのエアブリーザ35(図3)が設けられている。これにより、個別タンク33における液面の圧力は、集中タンク5の液面の圧力と同じ大きさ(大気圧)とされ、双方の液面は同レベルとされている。
【0039】
個別タンク33(の作動液中)には、吸入管37(図2)及び排出管38(図3)が挿入されている。吸入管37及び排出管38は、例えば、液面の上方から作動液中に挿入されている。
【0040】
吸入管37は、後述するポンプユニット9のポンプ133(図8)の吸入口に接続されている。従って、集中タンク5から供給管21を介して個別タンク33に供給された作動液は、吸入管37を介してマシン本体3aに供給される。
【0041】
排出管38は、後述するように、マシン本体3aの有する各種のシリンダ装置等に接続されている。そして、各種のシリンダ装置等から排出された作動液は、排出管38を介して個別タンク33に排出される。個別タンク33に排出された作動液は、戻り管22を介して集中タンク5に戻される。
【0042】
なお、個別タンク33において、吸入管37が接続される位置と、排出管38が接続される位置とは、完全に仕切られていてもよいし、フィルタが配された連通部を介して連通されていてもよいし、全く仕切られていなくてもよい。本願においては、両位置が完全に仕切られている場合には、2つのタンクにより個別タンク33が構成されている場合を含むものとする。なお、以下では、個別タンク33は、仕切られていないものとして、個別タンク33の図示や説明を行う。
【0043】
個別タンク33又はその周辺においては、適宜にフィルタが設けられてよい。図3では、戻り管22と個別タンク33との接続部において、フィルタ39が設けられている場合を例示している。フィルタ39は、例えば、金網により構成されている。
【0044】
図4は、集中制御盤7の正面図である。
【0045】
集中制御盤7は、複数のダイカストマシン3に電力を供給する集中電源装置41と、複数のダイカストマシン3の動作を制御するための集中制御装置43と、集中電源装置41及び集中制御装置43を収容する集中筐体45とを有している。
【0046】
集中電源装置41は、例えば、不図示の変圧器等を含んで構成されており、商用電源を適宜な電圧に変換して、複数のダイカストマシン3に供給する。なお、複数のダイカストマシン3間において、印加されるべき電圧が互いに異なる場合、各ダイカストマシン3に応じた電圧の電力は、集中電源装置41において生成されてもよいし、各ダイカストマシン3において生成されてもよい。
【0047】
集中制御装置43は、例えば、不図示のCPUやメモリ等を含んで構成されている。集中制御装置43は、各種の装置から入力される信号に基づいて所定の演算を行い、各種の装置に制御信号を出力する。集中制御装置43に信号を入力する装置は、例えば、複数のダイカストマシン3の中継盤11、レベルセンサ29である。集中制御装置43から制御信号が入力される装置は、例えば、複数のダイカストマシン3の中継盤11、プリンタ31である。
【0048】
集中筐体45は、例えば、金属により形成されている。集中筐体45は、例えば、ベース45aと、ベース45a上に配置された第1分割筐体46Aと、ベース45a上に配置され、第1分割筐体46Aに隣接する第2分割筐体46Bとを有している。なお、以下では、第1分割筐体46A及び第2分割筐体46Bを区別せずに、単に「分割筐体46」ということがある。
【0049】
分割筐体46はそれぞれ、例えば直方体状に形成されるとともに、正面(鉛直な面の一つ)には、扉部46aが形成されている。集中電源装置41及び集中制御装置43は、扉部46aが開かれることにより、集中筐体45の外部へ露出される。これにより、集中電源装置41及び集中制御装置43のメンテナンス等が可能となっている。
【0050】
なお、集中電源装置41を構成する複数の部品、及び、集中制御装置43を構成する複数の部品は、2つの分割筐体46へ適宜に配分されてよい。図4では、第1分割筐体46Aに集中電源装置41の主たる部分が収納され、第2分割筐体46Bに集中制御装置43の主たる部分が収納されている場合を例示している。
【0051】
扉部46aにおいては、種々の表示装置や操作部材が露出している。これらは、扉部46aに取り付けられ、又は、扉部46aが閉じられたときに扉部46aに形成されている開口から露出するように分割筐体46内に収容されている。
【0052】
第1分割筐体46Aの扉部46aにおいては、主電源スイッチ(集中スイッチ)47と、主電源ランプ48と、1列に配列された複数の各機電源スイッチ(個別スイッチ)49と、1列に配列された複数の各機電源ランプ50とが露出している。
【0053】
主電源スイッチ47は、成形機システム1全体の電源をON又はOFFするためのスイッチである。具体的には、主電源スイッチ47がON又はOFFされることにより、集中制御盤7、レベルセンサ29及び複数のダイカストマシン3等へ電力が供給又は遮断される。主電源スイッチ47は、例えば、押し込む度にON状態とOFF状態とが切り換えられるオルタネイト形(プッシュオン・プッシュオフ形)のスイッチにより構成されている。
【0054】
主電源ランプ48は、主電源スイッチ47がON状態かOFF状態かを示すものである。具体的には、主電源ランプ48は、主電源スイッチ47がON状態のときに点灯状態となり、主電源スイッチ47がOFF状態のときに消灯状態となる。主電源ランプ48は、例えば、LEDを含んで構成され、主電源ランプ48に隣接して配置されている。
【0055】
複数の各機電源スイッチ49はそれぞれ、複数のダイカストマシン3それぞれに対応して設けられており、対応するダイカストマシン3への電力供給を個別に許容又は禁止可能である。すなわち、複数の各機電源スイッチ49が選択的にON又はOFFされることにより、複数のダイカストマシン3は選択的に電力が供給又は遮断される。各機電源スイッチ49は、例えば、主電源スイッチ47と同様に、オルタネイト形のスイッチにより構成されている。
【0056】
なお、各機電源スイッチ49によるON又はOFFによる各ダイカストマシン3への電力の供給又は遮断は、主電源スイッチ47がONされていることが前提である。換言すれば、各ダイカストマシン3は、主電源スイッチ47及び各機電源スイッチ49がONのとき電力が供給され、主電源スイッチ47及び各機電源スイッチ49のいずれか一方がOFFならば電力は供給されない。
【0057】
複数の各機電源ランプ50はそれぞれ、複数の各機電源スイッチ49それぞれに対応して設けられており、対応する各機電源スイッチ49がON状態かOFF状態かを示すものである。例えば、各機電源ランプ50は、主電源ランプ48と同様に、ON状態のときに点灯状態となり、OFF状態のときに消灯状態となる。また、複数の各機電源ランプ50それぞれは、例えば、LEDを含んで構成され、対応する各機電源スイッチ49に隣接して設けられている。
【0058】
また、第2分割筐体46Bの扉部46aにおいては、電力モニタ51と、電力モニタ51に隣接する電力モニタ切換部52とが露出している。
【0059】
電力モニタ51は、例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置により構成されており、文字や図形を含む画像を表示可能である。電力モニタ51は、成形機システム1における消費電力、又は、複数のダイカストマシン3のいずれか1つにおける消費電力の経時変化(波形)を表示する。消費電力の波形は、例えば、現在から所定時間前までの範囲で表示される。なお、成形機システム1における消費電力は、複数のダイカストマシン3全体における消費電力と概ね同じであり、本願では、これらを特に区別せずに説明する。
【0060】
電力モニタ51において、成形機システム1とダイカストマシン3とのいずれの消費電力が表示されるかは、電力モニタ切換部52に対する操作により決定される。また、ダイカストマシン3の消費電力が表示される場合において、複数のダイカストマシン3のうちいずれの消費電力が表示されるかも、電力モニタ切換部52に対する操作により決定される。電力モニタ切換部52は、例えば、複数のスイッチを含んで構成されている。電力モニタ切換部52に含まれるスイッチは、例えば、押す度に接点が接触して信号が出力される押圧式スイッチ(例えばドーム式スイッチ)である。
【0061】
さらに、第2分割筐体46Bの扉部46aにおいては、マシンモニタ53と、マシンモニタ53の近傍に配置された第1マシンモニタ切換部54と、マシンモニタ53に隣接する第2マシンモニタ切換部55とが露出している。
【0062】
マシンモニタ53は、例えば、電力モニタ51と同様に、液晶表示装置や有機EL表示装置により構成されている。マシンモニタ53は、複数のダイカストマシン3のいずれか1つにおける運転状態の指標の経時変化を表示する。運転状態の指標は、例えば、射出速度、射出圧力、金型温度である。
【0063】
マシンモニタ53において、複数のダイカストマシン3のうちいずれの運転状態が表示されるかは、第1マシンモニタ切換部54に対する操作により決定される。また、マシンモニタ53において、複数の運転状態を示す指標のうちいずれが表示されるかは、第2マシンモニタ切換部55に対する操作により決定される。第1マシンモニタ切換部54及び第2マシンモニタ切換部55は、例えば、電力モニタ切換部52と同様に、複数の押圧式スイッチを含んで構成されている。
【0064】
なお、電力モニタ51及びマシンモニタ53は、上述した情報以外にも適宜な情報を表示してよい。例えば、レベルセンサ29の検出結果に基づいて、集中タンク5の液面レベルの経時変化を表示してもよい。
【0065】
電力モニタ51やマシンモニタ53において表示される波形等は、プリンタ31により印刷可能である。このような印刷の指示は、例えば、第2分割筐体46Bの扉部46aから露出する入力部56に対する操作により行われる。入力部56は、例えば、電力モニタ切換部52等と同様に、複数の押圧式スイッチを含んで構成されている。
【0066】
集中制御盤7は、更に、複数のダイカストマシン3等に異常が発生したときに、当該異常の発生を作業者に報知するための警報ランプ(第1報知ランプ)57及び複数の異常箇所表示ランプ(第2報知ランプ)58を有している。
【0067】
警報ランプ57は、例えば、回転灯により構成されており、異常が発生したときには、光源が点灯されるとともに、光源からの光を反射する反射鏡が回転される。複数の異常箇所表示ランプ58は、例えば、複数のダイカストマシン3に対応して設けられており、複数のダイカストマシン3のいずれかにおいて異常が発生した場合には、対応する異常箇所表示ランプ58が点灯する。
【0068】
図5は、成形機システム1における信号処理系の構成の概要を示すブロック図である。なお、図5では、複数の中継盤11を2つのみ例示し、また、異常箇所表示ランプ58を一つのみ例示している。
【0069】
複数の中継盤11それぞれは、個別制御装置59を有している。個別制御装置59は、例えば、シーケンス制御によりダイカストマシン3の各部の動作を制御するものである。
【0070】
集中制御装置43は、複数の個別制御装置59に対して、シーケンス制御の開始タイミングを指示するタイミング指令を出力する。タイミング指令は、例えば、トリガ信号である。すなわち、各個別制御装置59においては、集中制御装置43からタイミング指令が入力されたときに、シーケンス制御を開始する。これにより、複数の個別制御装置59は、互いに同期し、且つ、成形サイクルの位相を互いにずらすなどして、シーケンス制御を行うことができる。
【0071】
複数の個別制御装置59それぞれは、サイクルデータを集中制御装置43に対して出力する。このサイクルデータには、ダイカストマシン3において計測された各種の計測値の情報が含まれる。各種の計測値は、例えば、射出速度、射出圧力、金型温度、消費電力である。なお、消費電力は、集中電源装置41の構成によっては、集中制御盤7において取得することも可能である。サイクルデータは、成形サイクルが終了する毎に集中制御装置43に出力されてもよいし、成形サイクル中において逐次、集中制御装置43に出力されてもよい。
【0072】
集中制御装置43は、サイクルデータが入力されると、当該サイクルデータや集中制御盤7において得られるデータに基づいて電力モニタ51及びマシンモニタ53の制御を行う。具体的には、上述のように、集中制御装置43は、消費電力の波形を電力モニタ51に表示させ、電力モニタ切換部52からの信号に基づいて、電力モニタ51の表示切換を行う。また、集中制御装置43は、運転状態をマシンモニタ53に表示させ、第1マシンモニタ切換部54及び第2マシンモニタ切換部55からの信号に基づいて、マシンモニタ53の表示切換を行う。また、集中制御装置43は、サイクルデータ等に含まれる計測値と、予め設定された基準値とを比較することなどにより、異常の有無の判定を行い、異常が発生したと判定したときは、警報ランプ57及び異常箇所表示ランプ58を駆動する。
【0073】
集中制御装置43は、最適タイミング演算装置43aを有している。最適タイミング演算装置43aは、複数のダイカストマシンから得られるサイクルデータや集中制御盤7において得られるデータに基づいて、複数の個別制御装置59それぞれにおいてシーケンス制御を開始するべき最適なタイミングを算出する。そして、集中制御装置43は、その算出結果に基づいて、タイミング指令を出力する。
【0074】
最適なタイミングは、例えば、成形機システム1(複数のダイカストマシン3全体)における消費電力が平準化されるように算定される。平準化されているか否かの評価指標は、消費電力のピークの大きさ、消費電力が所定値以上となる時間の長さなど、適宜に選択されてよい。
【0075】
また、最適タイミング演算装置43aの演算アルゴリズムは適宜に構築されてよい。例えば、最適タイミング演算装置43aは、成形サイクルの開始タイミングを種々仮定して、複数のダイカストマシン3の消費電力の波形を足し合わせることにより(シミュレーションしてみることにより)、最適なタイミングを見つけてよい。
【0076】
図6は、成形機システム1における消費電力の経時変化を示す概念図である。横軸は時間を、縦軸は消費電力を示している。
【0077】
点線L1は、1台のダイカストマシン3における消費電力の経時変化を示している。図6においては、理解を容易にするために便宜的に消費電力の変化を単純化し、1台のダイカストマシン3における消費電力の変化を0%と100%の2値で示している。時間T1は、1回の成形サイクルの周期を示しており、一例として、28秒である。
【0078】
1台のダイカストマシン3では、例えば、1回の成形サイクルにおいて、金型を閉じる型閉工程及び金型間に成形材料としての溶湯(溶融状態の金属材料)を射出する射出工程において消費電力が上昇する。次に、金型に充填された成形材料が冷却する冷却工程では消費電力が低下する。その後、金型を開く型開工程及び成形品を金型から押し出す押出工程では消費電力が上昇する。そして、押し出された成形品を取り出したり、金型をスプレーしたりし、次の成形サイクルが開始されるまでは、消費電力が低下する。
【0079】
破線L2は、2台のダイカストマシン3において、成形サイクル(シーケンス制御)が同時に開始されたと仮定した場合における、2台のダイカストマシンの消費電力の経時変化を示している。この場合は、消費電力のピークの大きさは、ダイカストマシン3が1台のときの消費電力のピークの大きさの2倍の200%となる。
【0080】
点線L1及び実線L3全体は、最適タイミング演算装置43aにより算出されたタイミングに従って2台のダイカストマシン3が運転された場合における、2台のダイカストマシンの消費電力の経時変化を示している。換言すれば、実線L3は、2台目のダイカストマシン3の消費電力の経時変化を示している。
【0081】
この場合、1台目のダイカストマシン3(点線L1)において消費電力が低いときに、2台目のダイカストマシン3(実線L3)の消費電力が高くなるように、成形サイクルの開始タイミングが設定されている。このように、最適タイミング演算装置43aにより最適タイミングが算出されることにより、消費電力の波形が平準化される。
【0082】
<ダイカストマシンの構成>
図7は、ダイカストマシン3の要部を示す側面図である。
【0083】
ダイカストマシン3は、固定金型203及び移動金型205を含む主型201を保持し、主型201の型開閉及び型締めを行う型締装置15と、中子207を主型201に出し入れする中子引抜装置105とを有している。さらに、ダイカストマシン3は、主型201に形成されたキャビティCaに溶湯を射出する射出装置17と、キャビティCaに形成された成形品を固定金型203又は移動金型205(図7では移動金型205)から押し出す押出装置109とを有している。
【0084】
型締装置15は、例えば、トグル式の型締装置により構成されている。型締装置15は、固定金型203を保持する固定ダイプレート111と、移動金型205を保持する移動ダイプレート112と、移動ダイプレート112の、固定ダイプレート111とは反対側に配置されるリンクハウジング113とを有している。また、型締装置15は、固定ダイプレート111及びリンクハウジング113に掛架される複数本のタイバー114と、リンクハウジング113に設けられた型締シリンダ装置115と、型締シリンダ装置115の駆動力を移動ダイプレート112に伝達するトグル機構117とを有している。型締シリンダ装置115の駆動力がトグル機構117を介して移動ダイプレート112に伝達されることにより、移動ダイプレート112が型開閉方向(図7の紙面左右方向)に移動して、型開閉及び型締めが行われる。
【0085】
なお、型締装置15の、固定ダイプレート111及び移動ダイプレート112を支持するベース104は、従来のベース104に比較して、低く(薄く)形成されている。これは、従来は、作動液を貯蓄するタンクがベース内に設けられており、ベースが高くなっていたところ、本実施形態においては、ベース104内にタンクが設けられていないことによる。ベース104が低く形成されていることにより、作業性の向上が期待される。
【0086】
中子引抜装置105は、中子207を駆動する中子シリンダ装置119を有している。中子シリンダ装置119は、例えば、シリンダチューブが移動金型205に固定され、ピストンロッドが中子207に固定されている。なお、中子引抜装置105は、傾斜ピン等を有して構成されていてもよい。
【0087】
射出装置17は、例えば、キャビティCaに連通するスリーブ121と、スリーブ121内を摺動可能な射出プランジャ123と、射出プランジャ123を駆動する射出シリンダ装置125とを有している。不図示のラドル等によりスリーブ121内に溶湯が供給され、射出プランジャ123がスリーブ121内をキャビティ側へ前進することにより、溶湯がキャビティCaに射出、充填される。
【0088】
押出装置109は、移動金型205を背後から貫通して成形品を押し出す押出ピン127と、押出ピン127を駆動する押出シリンダ装置129とを有している。押出シリンダ装置129は、シリンダチューブが移動金型205に固定されており、ピストンロッドが押出ピン127に固定されている。なお、押出装置109は、シリンダチューブが押出ピンに、ピストンロッドが移動金型205に固定されていてもよい。
【0089】
図8は、各種のシリンダ装置(型締シリンダ装置115、中子シリンダ装置119、射出シリンダ装置125及び押出シリンダ装置129)を含む液圧装置130の構成の概要を示す図である。なお、図8では、図示の都合上、個別タンク33が2箇所に記載されている。
【0090】
型締シリンダ装置115、中子シリンダ装置119及び押出シリンダ装置129は、単動式のシリンダ装置により構成されており、シリンダチューブ(115t等、各シリンダ装置の符号に、付加符号tを付して示す)と、シリンダチューブに摺動可能に収容されたピストン(115p等、各シリンダ装置の符号に、付加符号pを付して示す)と、ピストンに固定されたピストンロッド(115r等、各シリンダ装置の符号に、付加符号rを付して示す)とを有している。
【0091】
シリンダチューブ内部のシリンダ室は、ピストンにより、ピストンロッド側のロッド側室(115a等、各シリンダ装置の符号に、付加符号aを付して示す)と、その反対側のヘッド側室(115b等、各シリンダ装置の符号に、付加符号bを付して示す)とに区画されている。型締シリンダ装置115、中子シリンダ装置119及び押出シリンダ装置129は、ヘッド側室及びロッド側室に選択的に作動液(例えば油)が供給されることにより駆動される。
【0092】
射出シリンダ装置125は、例えば、直結形の増圧シリンダにより構成されており、射出プランジャ123に固定されたピストンロッド125rと、ピストンロッド125rに固定された射出用ピストン125pと、射出用ピストン125pの背後に配置された増圧用ピストン125ppと、射出用ピストン125p及び増圧用ピストン125ppを摺動可能に収容するシリンダチューブ125tとを有している。
【0093】
ピストンロッド125rは、例えば、カップリング131(図7)を介して射出プランジャ123と同軸状に連結されている。なお、ピストンロッド125rは射出プランジャ123と一体的に形成されることにより射出プランジャ123に固定されていてもよい。射出用ピストン125pは、ピストンロッド125rの後端に固定されている。
【0094】
シリンダチューブ125tは、射出用ピストン125pが摺動するチューブ小径部125taと、チューブ小径部125taの後端に連続し、チューブ小径部125taよりも大径のチューブ大径部125tbとを有している。増圧用ピストン125ppは、チューブ小径部125taを摺動可能なピストン小径部125ppaと、チューブ大径部125tbを摺動可能なピストン大径部125ppbとを有している。
【0095】
チューブ小径部125taの内部に形成されたシリンダ室は、射出用ピストン125pにより、ピストンロッド125r側のロッド側室125aと、その反対側のヘッド側室125bに区画されている。チューブ大径部125tbの内部に形成されたシリンダ室は、増圧用ピストン125ppのピストン大径部125ppbにより、ヘッド側室125b側の前側室125cと、その反対側の後側室125dとに区画されている。
【0096】
ヘッド側室125bに作動液が供給されることにより、射出用ピストン125pは前進し、ひいては、射出プランジャ123はキャビティCa側へ前進する。また、後側室125dに作動液が供給されると、後側室125dの作動液の圧力が、増圧用ピストン125ppにより、ピストン小径部125ppaの受圧面積に対するピストン大径部125ppbの受圧面積の比に応じて増圧されてヘッド側室125bに伝達され、ひいては、射出プランジャ123によりキャビティCaの溶湯が増圧される。
【0097】
なお、以下では、各種のシリンダ装置(115、119、125及び129)のシリンダチューブ、ピストンロッド、ピストン(射出シリンダ装置125では射出用ピストン)、ロッド側室及びヘッド側室を、付加符号(t、r、p、a、b)のみを付して(例えば、「ピストンロッドr」等)、各種のシリンダ装置間において区別しないことがある。
【0098】
ダイカストマシン3は、各種のシリンダ装置に作動液を供給するために、ポンプ133と、ポンプ133を駆動するモータ(電動機)135と、ポンプ133から各種シリンダ装置への作動液の流れを制御するための液圧回路137とを有している。
【0099】
ポンプ133は、歯車ポンプやベーンポンプ等のロータの回転により作動液を吐出するロータリポンプであってもよいし、アキシャル型のプランジャポンプやラジアル式のプランジャポンプ等のピストンの往復により作動液を吐出するプランジャポンプであってもよい。また、ポンプ133は、ロータやピストンの1周期の運動における吐出量が、固定された定容量ポンプであってもよいし、可変とされた可変容量ポンプであってもよい。ポンプ133は、1方向に作動液を吐出できればよいが、双方向(2方向)ポンプと構造が同一であってもよい。
【0100】
ポンプ133は、例えば、個別タンク33に貯蓄された作動液をフィルタ141を介して吸引して吐出する。ポンプ133の吐出側には、例えば、ポンプ133から各種のシリンダ装置への作動液の流れを許容し、その反対方向の流れを禁止する第1逆止弁157が設けられている。
【0101】
モータ135は、特に図示しないが、界磁及び電機子の一方を構成するステータと、界磁及び電機子の他方を構成し、ステータに対して回転するロータとを有している。モータ135は、直流モータであってもよいし、交流モータであってもよい。モータ135は、例えば、サーボモータにより構成されている。すなわち、モータ135には、モータ135の回転を検出するエンコーダ等のモータ用センサ143が設けられ、モータ用センサ143の検出値に基づいて、サーボドライバ(サーボアンプ)145(図9参照)によりモータ135のフィードバック制御がなされる。
【0102】
液圧回路137は、各種のシリンダ装置(115、119、125及び129)に対応して、型締側方向制御弁147A、中子側方向制御弁147B、射出側方向制御弁147C及び押出側方向制御弁147D(以下、単に「方向制御弁147」といい、これらを区別しないことがある。)を有している。
【0103】
方向制御弁147は、ポンプ133から各種のシリンダ装置への作動液の流れを許容又は禁止可能であるとともに、ポンプ133からの作動液の供給先をロッド側室aとヘッド側室bとの間で切換可能である。方向制御弁147は、例えば、4ポート3位置の切換弁により構成されている。具体的には以下のとおりである。
【0104】
方向制御弁147は、3つの矩形の記号により示される3位置のうち、中央の位置(中立位置)においては、ポンプ133及び個別タンク33と、ヘッド側室b及びロッド側室aとの接続を遮断する。これにより、ポンプ133からヘッド側室b及びロッド側室aへの作動液の供給は禁止される。
【0105】
方向制御弁147は、3つの矩形の記号により示される3位置のうち、紙面左側(射出シリンダ装置125では紙面右側)の位置においては、ポンプ133とヘッド側室bとを接続し、個別タンク33とロッド側室aとを接続する。ポンプ133によりヘッド側室bに作動液が供給されると、ピストンp及びピストンロッドrはシリンダチューブtから突出する方向へ前進する。ロッド側室aの作動液は、ピストンpに押し出されて個別タンク33に流れる。
【0106】
方向制御弁147は、3つの矩形の記号により示される3位置のうち、紙面右側(射出シリンダ装置125では紙面左側)の位置においては、ポンプ133とロッド側室aとを接続し、個別タンク33とヘッド側室bとを接続する。ポンプ133によりロッド側室aに作動液が供給されると、ピストンp及びピストンロッドrは後退する。ヘッド側室bの作動液は、ピストンpに押し出されて個別タンク33に流れる。
【0107】
方向制御弁147は、例えば、電磁式の制御機構が作動することにより位置が切り換えられるように構成されており、入力された電気信号に応じて切り換えられる。なお、型締側方向制御弁147A,中子側方向制御弁147B及び押出側方向制御弁147Dは、制御機構として電磁式の制御機構のみを有し、射出側方向制御弁147Cは、電磁式の制御機構及び液圧式の制御機構が順次作動する制御機構を有するなど、制御機構は、要求される性能に応じて適宜に構成されてよい。
【0108】
なお、ポンプ133と、各種のシリンダ装置の方向制御弁147とは、ポンプ133から延びる流路が各種のシリンダ装置に対応して分岐して方向制御弁147に到達することにより接続されている。同様に、個別タンク33と、各種のシリンダ装置の方向制御弁147とは、個別タンク33から延びる流路が各種のシリンダ装置に対応して分岐して方向制御弁147に到達することにより接続されている。ただし、個別タンク33と、各種のシリンダ装置の方向制御弁147とを接続する流路は、一部のシリンダ装置において、又は、全てのシリンダ装置において、個別に形成されていてもよい。また、各シリンダ装置においてピストンpに押し出された作動液が個別タンク33へ流れる流路には、作動液を冷却するクーラ149が設けられている。
【0109】
図9は、図8に示した液圧装置130のうち射出シリンダ装置125に係る構成の詳細、及び、液圧装置130を制御する個別制御装置59を示す図である。なお、図9では、図示の都合上、個別タンク33が2箇所に記載されている。
【0110】
ダイカストマシン3の液圧装置130は、射出シリンダ装置125に作動液を供給するために、圧力が付与された作動液を保持可能なアキュムレータ153を更に有している。
【0111】
アキュムレータ153は、例えば、気体圧式のシリンダ形(ピストン形)アキュムレータにより構成されている。すなわち、アキュムレータ153は、シリンダチューブ153eと、シリンダチューブ153eを摺動可能なピストン153fとを有している。シリンダチューブ153eの内部は、ピストン153fにより、圧縮された気体(例えば窒素)が収容される気室153gと、作動液が収容される液室153hとに区画されている。アキュムレータ153は、例えば、射出シリンダ装置125の上方に配置されている。
【0112】
液圧回路137は、ポンプ133とアキュムレータ153とを接続する第1流路155を有しており、ポンプ133によるアキュムレータ153の蓄圧(充填)を可能としている。なお、第1流路155には、ポンプ133からアキュムレータ153への流れを許容し、その反対方向の流れを禁止する第2逆止弁159が設けられている。
【0113】
液圧回路137は、上述のように、ポンプ133と射出シリンダ装置125とを接続しており、ポンプ133による射出シリンダ装置125の駆動を可能としている。具体的には、液圧回路137は、ポンプ133に接続された第2流路161と、射出シリンダ装置125のロッド側室125aに接続された第3流路163と、射出シリンダ装置125のヘッド側室125bに接続された第4流路165とを有している。
【0114】
第2流路161は、例えば、第1逆止弁157と第2逆止弁159との間において、第1流路155から分岐することにより(第1流路155と一部が共通化されることにより)、ポンプ133に接続されている。上述の射出側方向制御弁147Cは、第2流路161(ポンプ133)と、第3流路163(ロッド側室125a)及び第4流路165(ヘッド側室125b)との接続状態を切り換える。
【0115】
なお、ポンプ133と、射出シリンダ装置125以外のシリンダ装置とを接続する流路、例えば、ポンプ133と型締シリンダ装置115とを接続する第10流路193(図8)も、第1逆止弁157と第2逆止弁159との間において、第1流路155から分岐している。
【0116】
液圧回路137は、アキュムレータ153と射出シリンダ装置125とを接続しており、アキュムレータ153による射出シリンダ装置125の駆動を可能としている。具体的には、以下のとおりである。
【0117】
液圧回路137は、アキュムレータ153と射出シリンダ装置125のヘッド側室125bとを接続する第5流路167と、第5流路167に設けられ、アキュムレータ153からヘッド側室125bへの流れを許容又は禁止可能な供給制御弁169とを有している。
【0118】
第5流路167は、例えば、第1流路155に対して、第2逆止弁159よりもアキュムレータ153側において接続されることにより、アキュムレータ153に対して接続されている。なお、第5流路167は、第1流路155とは別個にアキュムレータ153に対して接続されていてもよい(第1流路155と一部が共通化されていなくてもよい。)。
【0119】
供給制御弁169は、例えば、パイロット圧が導入されているときは閉じられ、パイロット圧が導入されていないときは、アキュムレータ153側からヘッド側室125b側への流れを許容する一方で、ヘッド側室125b側からアキュムレータ153側への流れを禁止するパイロット式の逆止弁により構成されている。従って、供給制御弁169へのパイロット圧の導入が停止されると、アキュムレータ153からヘッド側室125bへ作動液が供給され、射出用ピストン125p及びピストンロッド125rは紙面左側へ前進する。
【0120】
液圧回路137は、アキュムレータ153からヘッド側室125bへ作動液を供給しているときに射出シリンダ装置125を制御するためのメータアウト回路を有している。具体的には、例えば、液圧回路137は、ロッド側室125aと個別タンク33とを接続する第6流路171と、第6流路171の流量を制御する射出側流量制御弁173とを有している。
【0121】
射出側流量制御弁173は、例えば、サーボ機構に組み込まれ、入力信号に応じて流量を無段階に変調可能なサーボバルブにより構成されている。射出側流量制御弁173は、例えば、電磁式の制御機構及び液圧式の制御機構が順次作動することにより流量の設定値を変更するように構成されている。
【0122】
射出側流量制御弁173によって、射出シリンダ装置125のロッド側室125aから排出される作動液の流量が制御されることにより、射出シリンダ装置125の射出用ピストン125p及びピストンロッド125rの速度が制御される。
【0123】
液圧回路137は、アキュムレータ153と射出シリンダ装置125の後側室125dとを接続する第7流路175と、第7流路175に設けられた増圧側流量制御弁177とを有している。
【0124】
第7流路175は、例えば、第1流路155に対して、第2逆止弁159よりもアキュムレータ153側において接続されることにより、アキュムレータ153に対して接続されている。なお、第7流路175は、第1流路155とは別個にアキュムレータ153に接続されていてもよい(第1流路155と一部が共通化されていなくてもよい。)。
【0125】
増圧側流量制御弁177は、例えば、サーボ機構に組み込まれ、入力信号に応じて流量を無段階に変調可能なサーボバルブにより構成されている。増圧側流量制御弁177は、例えば、電磁式の制御機構及び液圧式の制御機構が順次作動することにより流量の設定値を変更するように構成されている。
【0126】
アキュムレータ153から第7流路175を介して後側室125dに作動液が供給されることにより、増圧用ピストン125ppを介したヘッド側室125bの増圧が行われる。この際、増圧の速さは、増圧側流量制御弁177によって制御される。
【0127】
液圧回路137は、前側室125cと、個別タンク33及びポンプ133とを接続する第8流路179を有している。第8流路179は、例えば、第3流路163に対して接続されるとともに、第6流路171に対して射出側流量制御弁173よりもロッド側室125a側において接続されている。
【0128】
従って、アキュムレータ153の作動液が後側室125dに供給されて増圧用ピストン125ppが前進するときには、射出側流量制御弁173を開くことにより、前側室125cの作動液は、個別タンク33に排出される。また、射出側方向制御弁147Cが図9の紙面左側の位置に切り換えられ、ポンプ133からロッド側室125aへ作動液が供給されて射出用ピストン125pが後退するときには、ポンプ133から前側室125cへも作動液が供給され、増圧用ピストン125ppも後退する。
【0129】
液圧回路137は、後側室125dと個別タンク33とを接続する第9流路181と、第9流路181に設けられた第3逆止弁182とを有している。第9流路181は、例えば、第4流路165に接続されている。第3逆止弁182は、後側室125d側から射出側方向制御弁147C側への流れを許容する一方で、射出側方向制御弁147C側から後側室125d側への流れを禁止するように設けられている。
【0130】
従って、射出側方向制御弁147Cが図9の紙面左側の位置に切り換えられ、ポンプ133から前側室125cへ作動液が供給され、増圧用ピストン125ppが後退するときには、後側室125dの作動液は第9流路181を介して個別タンク33に排出される。一方、射出側方向制御弁147Cが図9の紙面右側の位置に切り換えられ、ポンプ133からヘッド側室125bに作動液が供給されて射出用ピストン125pが前進しているときは、第3逆止弁182により、ポンプ133から後側室125dへの流れが阻止され、増圧用ピストン125ppは前進しない。
【0131】
個別制御装置59は、例えば、CPU183、及び、ROMやRAM等のメモリ184を有している。CPU183は、入力回路185を介して入力される各種の電気信号に基づいて制御信号を生成し、生成した制御信号を出力回路186を介して各種の機器に出力する。
【0132】
個別制御装置59に入力される電気信号は、例えば、集中制御装置43からのタイミング指令、各種のシリンダ装置(115、119、125及び129)のピストンロッドrの位置を検出する位置センサ187A〜187D(図8参照。以下、A〜Dを省略することがある。)の検出信号S1〜S4、作動液の圧力を検出する第1圧力センサ188、第2圧力センサ189及び第3圧力センサ190からの電気信号P1〜P3、入力装置191からのユーザの操作に応じた操作信号である。
【0133】
個別制御装置59から出力される電気信号は、例えば、集中制御装置43へのサイクルデータ、モータ135、方向制御弁147等の各種の弁、ユーザに各種の情報を提示する表示装置192を制御する制御信号である。
【0134】
位置センサ187は、例えば、ピストンロッドrの進退方向に沿ってピストンロッドrに設けられた不図示のスケール部とともに、磁気式又は光学式のリニアエンコーダを構成しており、スケール部の位置センサ187に対する移動量に応じた数のパルスを出力する。個別制御装置59は、位置センサ187からのパルスを計数することにより、ピストンロッドrの位置及び速度を特定可能であり、ひいては、ピストンロッドrにより駆動される部材、例えば、移動ダイプレート112、中子207、射出プランジャ123、押出ピン127の位置及び速度を特定可能である。個別制御装置59は、位置センサ187の検出結果に基づいて、各種のシリンダ装置の速度、出力、停止位置等を、プログラミングされたタイミングにおいて制御する。
【0135】
第1圧力センサ188は、ポンプ133の吐出圧を検出する。具体的には、例えば、第1逆止弁157と第2逆止弁159との間の作動液の圧力を検出する。第2圧力センサ189は、アキュムレータ153の作動液の圧力を検出する。第3圧力センサ190は、ヘッド側室125bの作動液の圧力を検出する。なお、ヘッド側室125bの圧力は、概ね、射出プランジャ123が溶湯に加える圧力(射出圧力)に等しい。
【0136】
以上において説明された各種の弁(147、157、159、169、173、177、182)は、例えば、ポンプユニット9のユニット筐体10に収容されている。ただし、いずれか、若しくは、全ての弁は、ユニット筐体10の外部に配置されていてもよい。また、各種のセンサにより計測された計測値は、上述のように、サイクルデータの一部として、集中制御装置43に出力される。
【0137】
<ダイカストマシンの成形サイクルにおける動作>
ダイカストマシン3の成形サイクルにおける動作について説明する。
(成形サイクル全体における動作の概要)
まず、成形サイクル全体における動作の概要を説明する。
【0138】
ダイカストマシン3においては、まず、型開状態(若しくは型閉じの初期)において、中子シリンダ装置119により中子207が移動金型205の前面側に配置される。次に、型締シリンダ装置115により、移動ダイプレート112が固定ダイプレート111側へ駆動され、移動金型205を固定金型203に接触させる型閉じが行われ、更には、移動金型205及び固定金型203の接触圧を高める型締めが行われる。その後、射出シリンダ装置125により射出プランジャ123が駆動され、溶湯がキャビティCaに射出、充填される。一定時間が経過すると、換言すれば、溶湯が凝固して成形品が形成されると、型締シリンダ装置115により、移動ダイプレート112が固定ダイプレート111とは反対側へ駆動され、型開きが行われる。この際、成形品は、移動金型205とともに移動して、固定金型203から離型する。そして、押出シリンダ装置129により、押出ピン127が駆動され、成形品は、押出ピン127に押し出されて移動金型205から離型する。
【0139】
(射出動作)
次に、ダイカストマシン3における射出動作の詳細を説明する。
【0140】
図10(a)は、ダイカストマシン3における射出圧力の経時変化を示す図であり、図10(b)は、ダイカストマシン3における射出速度(射出プランジャ123の速度)の経時変化を示す図である。
【0141】
ダイカストマシン3において、主型201の型閉じ及び型締めが完了し、スリーブ121内に溶湯が供給されると、射出プランジャ123が前進を開始し、低速射出が行われる。低速射出では、溶湯による空気の巻き込みを防止するために、射出プランジャ123は、比較的低速の速度Vで前進する。なお、射出プランジャ123が速度Vで前進するときの射出圧力は、比較的低圧の圧力Pである。
【0142】
射出プランジャ123が所定の高速切換位置に到達すると(図10(b)のD点)、射出プランジャ123の速度が、サイクルタイムの短縮等の目的から、比較的低速の速度Vから比較的高速の速度Vに切り換えられ、高速射出が開始される。なお、射出プランジャ123が速度Vで前進するときの射出圧力は、圧力Pよりも高圧の圧力Pである。
【0143】
溶湯がキャビティCaに概ね充填されると(図10(b)のL点)、射出プランジャ123により押圧されている溶湯は逃げ場を失うから、射出圧力は圧力Pから急激に上昇する(圧力P)。これと同時に、射出速度は、速度Vから急激に減速される(速度V)。
【0144】
高速射出が終了すると、増圧が開始され(図10(b)のM点以降)、射出速度は更に遅くなりつつ(速度V)、射出圧力は上昇する(圧力P)。そして、射出プランジャ123は停止し、射出圧力は鋳造圧力(終圧)Pmaxになり、溶湯の充填は完了する。その後、射出圧力は鋳造圧力Pmaxに維持される。
【0145】
上記のような動作を実現するために、個別制御装置59は、モータ135や各種の弁を以下のように制御する。なお、液圧装置130において、モータ135は、必要に応じて駆動されてもよいし、常時駆動されてもよいが、以下では、モータ135は、必要に応じて駆動されるものとして説明する。
【0146】
(型開状態)
モータ135(ポンプ133)は停止されている。各種のシリンダ装置(115、119、125及び129)の方向制御弁147は中立位置(閉位置)とされている。アキュムレータ153は蓄圧された状態となっている。ただし、供給制御弁169、射出側流量制御弁173及び増圧側流量制御弁177は閉じられており、射出シリンダ装置125は駆動されない。
【0147】
(中子の装入)
個別制御装置59は、モータ135を所定の回転数で駆動するとともに、中子側方向制御弁147Bを中立位置から図8の紙面左側の位置に切り換える。これにより、ポンプ133から中子シリンダ装置119のヘッド側室119bに作動液が供給され、中子207が移動金型205の前面に配置される。個別制御装置59は、中子207の配置が完了すると、中子側方向制御弁147Bを中立位置へ戻す。
【0148】
(型閉じ及び型締)
個別制御装置59は、モータ135を所定の回転数で駆動するとともに、型締側方向制御弁147Aを中立位置から図8の紙面左側の位置に切り換える。これにより、ポンプ133から型締シリンダ装置115のヘッド側室115bに作動液が供給され、移動ダイプレート112が固定ダイプレート111側へ移動し、型閉じ及び型締めが行われる。
【0149】
目標とする型締力が得られると、個別制御装置59は、その型締力が維持されるように、型締側方向制御弁147A及びモータ135の制御を行う。例えば、個別制御装置59は、型締側方向制御弁147Aの位置を図8の紙面左側の位置とする制御、及び、モータ135を駆動する制御を継続し、すなわち、ポンプ133による型締シリンダ装置115への作動液の供給を継続し、型締力を維持する。また、例えば、個別制御装置59は、一旦、型締側方向制御弁147Aを中立位置に戻し、型締力が低下したときなど、必要に応じて、型締側方向制御弁147Aの位置を図8の紙面左側の位置とする制御を行い、換言すれば、間欠的に、ポンプ133による型締シリンダ装置115への作動液の供給を継続し、型締力を目標値に維持する。型締力の維持は、後にキャビティCaに射出される溶湯が凝固するまで行われる。
【0150】
なお、型締力は、例えば、タイバー114の伸び量、型締シリンダ装置115のピストンロッド115rの移動量、型締シリンダ装置115のヘッド側室115bの圧力等の適宜な物理量を検出することにより検出される。個別制御装置59は、検出された型締力に基づいて、型締側方向制御弁147A及びモータ135の制御を行う。
【0151】
(低速射出)
個別制御装置59は、モータ135を所定の回転数で駆動するとともに、射出側方向制御弁147Cを図8の紙面右側の位置へ切り換える。これにより、ポンプ133からヘッド側室125bへ作動液が供給され、射出用ピストン125p及びピストンロッド125rが前進し、ひいては、射出プランジャ123が前進する。
【0152】
個別制御装置59は、例えば、位置センサ187Cの検出結果に基づいて、射出プランジャ123の速度を所定の低速速度(V)に制御する(フィードバック制御を行う)。射出プランジャ123の速度は、例えば、モータ135の回転速度を制御することにより制御される。ポンプ133が可変容量ポンプにより構成されている場合には、ポンプ133の一周期における吐出量の制御により、若しくは、当該吐出量の制御とモータ135の回転速度の制御との組み合わせにより、射出プランジャ123の速度が制御されてもよい。
【0153】
(高速射出)
位置センサ187Cの検出する位置が、所定の高速切換位置に到達すると(図10のD点)、個別制御装置59は、射出側方向制御弁147Cを中立位置へ切り換える制御、供給制御弁169を開く制御、射出側流量制御弁173を開く制御を行う。これにより、アキュムレータ153からヘッド側室125bへ作動液が供給され、高速射出が行われる。これらの弁の制御タイミングは、低速射出から高速射出への移行が円滑に行われるように、試験等に基づいて適宜に設定される。射出プランジャ123の速度は、射出側流量制御弁173による流量制御により、所定の昇速カーブで所定の高速速度(V)に追従するようにフィードバック制御される。
【0154】
なお、個別制御装置59は、高速射出から増圧までの間、型締力の維持に必要な回転数でモータ135を回転させる。ただし、射出側方向制御弁147Cが中立位置に切り換えられることにより、ポンプ133と射出シリンダ装置125とは、直接的には非連動とされているから、ポンプ133による射出速度等への影響は少ない。
【0155】
(減速)
個別制御装置59は、射出プランジャ123が所定の減速開始位置(図10のL点)に到達すると、射出プランジャ123が、所定のタイミングで、所定の減速カーブで減速するように、射出側流量制御弁173を制御する。
【0156】
(増圧)
個別制御装置59は、射出プランジャ123が所定の増圧開始位置(図10のM点)に到達すると、射出側流量制御弁173を全開にする制御、及び、増圧側流量制御弁177を開く制御を行う。これにより、アキュムレータ153から後側室125dに作動液が供給され、増圧用ピストン125ppの増圧作用により、ヘッド側室125bの作動液が加圧され、ひいては、射出プランジャ123によりキャビティCaの溶湯が増圧される。個別制御装置59は、射出圧力が所定の昇圧カーブで所定の鋳造圧力Pmaxまで上昇するように、第3圧力センサ190の検出値に基づいて増圧側流量制御弁177を制御する。
【0157】
供給制御弁169は、ヘッド側室125bの圧力が増圧用ピストン125ppにより加圧されて、アキュムレータ153の圧力よりも高くなることにより自閉する。ただし、パイロット圧が導入されて閉じられてもよい。
【0158】
(型開き)
射出圧力が鋳造圧力Pmaxに到達してから所定時間経過後、換言すれば、キャビティCaに充填された溶湯が凝固した後、個別制御装置59は、型締側方向制御弁147Aを図9の紙面左側の位置から紙面右側の位置へ切り換える。これにより、ヘッド側室115bの圧抜きが行われ、更には、ポンプ133からの作動液がロッド側室115aに供給され、型開きが行われる。移動ダイプレート112が所定の型開き位置に到達すると、個別制御装置59は、型締側方向制御弁147Aを中立位置へ戻す。
【0159】
(中子の引き抜き)
型開き中、若しくは、型開き後、個別制御装置59は、中子側方向制御弁147Bを中立位置から紙面右側の位置へ切り換える。これにより、ポンプ133からの作動液がロッド側室119aに供給され、中子207が成形品から引き抜かれる。中子207が成形品から引き抜かれると、個別制御装置59は、中子側方向制御弁147Bを中立位置へ戻す。
【0160】
(押し出し)
中子207の引き抜き後、個別制御装置59は、押出側方向制御弁147Dを中立位置から紙面左側の位置へ切り換える。これにより、ポンプ133からの作動液がヘッド側室129bに供給され、押出ピン127が駆動されて成形品が移動金型205から押し出される。その後、次の型閉じ開始までの適宜な時期に、個別制御装置59は、押出側方向制御弁147Dを紙面右側の位置へ切り換えて押出ピン127を後退させ、押出側方向制御弁147Dを中立位置へ戻す。
【0161】
(射出プランジャの後退)
射出圧力が鋳造圧力Pmaxに到達してから所定時間経過後、換言すれば、キャビティCaに充填された溶湯が凝固した後、個別制御装置59は、射出側流量制御弁173及び増圧側流量制御弁177を閉じる制御を行い、保圧を終了する。また、個別制御装置59は、供給制御弁169にパイロット圧を導入する制御を行う。その後、個別制御装置59は、モータ135を所定の回転数で駆動するとともに、射出側方向制御弁147Cを図8の紙面左側の位置に切り換える制御を行う。これにより、ポンプ133により送出された作動液がロッド側室125a及び前側室125cに供給され、射出用ピストン125p(射出プランジャ123)及び増圧用ピストン125ppが後退する。射出用ピストン125p及び増圧用ピストン125ppの後退が終了すると、個別制御装置59は、射出側方向制御弁147Cを中立位置に戻す。なお、射出プランジャの後退は、型開き、中子の引き抜き、成形品の押し出しと時期的に重複していてもよいし、重複していなくてもよい。
【0162】
(アキュムレータの蓄圧)
型開き、中子の引き抜き、射出プランジャの後退、成形品の押し出しが終了し、各種シリンダ装置の方向制御弁147が中立位置に戻されると、個別制御装置59は、モータ135を所定の回転数で駆動する。これにより、ポンプ133からアキュムレータ153へ作動液が供給されてアキュムレータ153の蓄圧がなされる。アキュムレータ153の畜圧が終了すると、個別制御装置59は、モータ135を停止させる。
【0163】
以上の実施形態によれば、成形機システム1は、液圧装置130をそれぞれ有する複数のダイカストマシン3と、複数の液圧装置130に共用される集中タンク5とを有する。一方、複数の液圧装置130それぞれにおいては、作動液の必要量は成形サイクル中において増減する。従って、集中タンク5を介して、複数の液圧装置130間において作動液の相互補完を行うことにより、成形機システム1全体において必要とされる作動液を少なくすることができる。
【0164】
複数の液圧装置130はそれぞれ、集中タンク5に連通された個別タンク33を有し、集中タンク5と複数の個別タンク33とは同一の液面レベルとなっている。従って、例えば、作動液の自重を利用して集中タンク5から複数のダイカストマシン3へ作動液を供給することができ、構成が簡素化される。また、例えば、液面レベルの管理は、集中タンク5においてのみ行われればよく、管理が容易化される。なお、個別タンク33は、集中タンク5が設けられない成形機システムにおけるダイカストマシンが有するタンクよりも小さいもので足りる。
【0165】
成形機システム1は、液面レベルを検出するレベルセンサ29と、レベルセンサ29の検出値を表示可能なマシンモニタ53又は電力モニタ51とを有する。従って、上述のように、成形機システム1全体の液面レベルの一元管理が可能となる。
【0166】
複数のダイカストマシン3それぞれにおいて、型締装置15に対して水平方向に隣接して射出装置17が設けられ、個別タンク33は、型締装置15及び射出装置17に対して、射出装置17側に配置されている。一般に、射出装置17は、ダイカストマシン3の他の部分に比較して、多くの作動液を必要とし、また、液圧回路が複雑である。従って、射出装置17に近い位置に個別タンク33が配置されることにより、ダイカストマシン3に設けられる配管が全体として小型化される。
【0167】
成形機システム1は、集中タンク5に接続された主管21b(22b)と、主管21b(22b)から分岐して複数の液圧装置130に接続される複数の分岐管21c(22c)とを有する。複数のダイカストマシン3は、射出装置17を主管21b(22b)側に、型締装置15を主管21b(22b)とは反対側に向けて配置されている。上述のように、射出装置17は、比較的大量の作動液を必要とする。そのような射出装置17を主管21b(22b)に近接させることにより、効率的に作動液の供給がなされ、また、配管の縮小化が図られる。特に、ポンプユニット9を射出装置17側に配置する構成との組み合わせにより、効果的に小型化が図られる。
【0168】
複数の液圧装置130はそれぞれ、個別タンク33から作動液を吸引可能なポンプ133と、ポンプ133を駆動するモータ135とを有している。従って、集中タンク5から作動液を送出する大出力の装置は不要であり、必要に応じた電力でポンプ133を駆動して、集中タンク5の作動液を利用することができる。その結果、成形機システムにおいて消費されるエネルギーが節約される。
【0169】
また、別の観点では、成形機システム1は、複数のダイカストマシン3と、複数のダイカストマシン3に電力を供給する集中電源装置41と、複数のダイカストマシン3の動作を制御する集中制御装置43とを有している。さらに、成形機システム1は、集中電源装置41及び集中制御装置43を共に収容する集中筐体45を有している。従って、複数のダイカストマシン3に対する電源系及び制御系が集中配置され、スペースの有効活用が図られるとともに、管理が容易化される。
【0170】
集中電源装置41は、複数のダイカストマシン3への電力の供給を一律に許容又は禁止可能な主電源スイッチ47と、複数のダイカストマシン3に対応して設けられ、複数のダイカストマシン3への電力の供給を個別に許容又は禁止可能な複数の各機電源スイッチ49とを有している。従って、異常発生などに対応して行われる、複数のダイカストマシン3それぞれに対する電力の供給及び遮断の操作を集中制御盤7において行うことができ、作業者の負担が軽減される。
【0171】
成形機システム1は、集中筐体45から表示面を露出させて集中筐体45に収容される電力モニタ51と、集中筐体45から露出し、入力された操作に応じた信号を集中制御装置43に出力する電力モニタ切換部52とを更に有する。集中制御装置43は、複数のダイカストマシン3全体における消費電力、又は、複数のダイカストマシン3それぞれにおける消費電力を電力モニタ51に表示可能である。また、集中制御装置43は、電力モニタ切換部52からの信号に基づいて、表示させる消費電力を複数のダイカストマシン3全体における消費電力と複数のダイカストマシン3それぞれにおける消費電力との間で切り換える。さらに、集中制御装置43は、複数のダイカストマシン3それぞれにおける消費電力を表示させる場合には、電力モニタ切換部52からの信号に基づいて、消費電力が表示されるダイカストマシン3を複数のダイカストマシン3の間で切り換える。従って、作業者は、集中制御盤7において電力モニタ51を監視することにより複数のダイカストマシン3の消費電力を監視することができ、作業者の負担が低減される。
【0172】
成形機システム1は、集中筐体45から表示面を露出させて集中筐体45に収容されるマシンモニタ53と、集中筐体45から露出し、入力された操作に応じた信号を集中制御装置43に出力する第1マシンモニタ切換部54とを更に有する。集中制御装置43は、複数のダイカストマシン3それぞれの運転状態をマシンモニタ53に表示可能であり、第1マシンモニタ切換部54からの信号に基づいて、運転状態が表示されるダイカストマシン3を複数のダイカストマシン3の間で切り換える。従って、作業者は、集中制御盤7においてマシンモニタ53を監視することにより複数のダイカストマシン3の運転状態を監視することができ、作業者の負担が低減される。
【0173】
成形機システム1は、警報ランプ57と、複数のダイカストマシン3に対応して設けられた複数の異常箇所表示ランプ58とを更に有する。集中制御装置43は、複数のダイカストマシン3それぞれにおける異常発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合は、警報ランプ57を駆動するとともに、異常が発生したダイカストマシン3に対応する異常箇所表示ランプ58を駆動する。従って、作業者は、集中制御盤7において複数のダイカストマシン3の異常を知ることができ、作業者の負担が低減される。
【0174】
複数のダイカストマシン3はそれぞれ液圧装置130を有し、複数の液圧装置130に共用される集中タンク5が設けられている。従って、集中制御盤7によるスペースの有効活用と集中タンク5によるスペースの有効活用とが相まって、成形機システム1の小型化が一層図られる。
【0175】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係る成形機システム301の概要を示す平面図である。
【0176】
第1の実施形態では、複数のダイカストマシン3それぞれにおいて、ポンプユニット9が設けられた。また、第1の実施形態では、ポンプユニット9は、ポンプ133、モータ135、各種の弁、及び、これらを収容するユニット筐体10を有した。これに対し、第2の実施形態では、複数(図11では3台を例示)のダイカストマシン3に共通にポンプユニット309が設けられている。
【0177】
ポンプユニット309は、複数のダイカストマシン3に共用されるユニット筐体310を有している。ユニット筐体310は、複数のダイカストマシン3に対応して設けられた複数のポンプ133、複数のモータ135及び複数のバルブユニット238を収容している。なお、バルブユニット238は、例えば、図8及び図9に示した各種の弁の一部(例えば、方向制御弁147)を含んでいる。
【0178】
成形機システム301は、例えば、一のマシン列4を有している。マシン列4において、複数のダイカストマシン3は、第1の実施形態と同様に、複数のダイカストマシン3の並び方向(Y方向)に対して直交する方向(X方向)を型締装置15及び射出装置17の並び方向として配列されている。そして、ポンプユニット309は、例えば、マシン列4に対して、射出装置17側に配置されている。バルブユニット238は、ポンプユニット309のマシン列4側に配置されている。
【0179】
集中タンク305は、例えば、ポンプユニット309の下方に配置され、ユニット筐体310に収容されている。なお、第2の実施形態において、集中タンク305は、ポンプユニット309の一部と捉えられてもよい。第2の実施形態では、個別タンク33は設けられておらず、各ダイカストマシン3に対応する吸入管37及び排出管38は、集中タンク305に挿入されている。
【0180】
集中制御盤7は、例えば、ポンプユニット309の、マシン列4とは反対側において配置されている。扉部46aは、ポンプユニット309とは反対側を向いている。なお、特に図示しないが、集中制御盤7とポンプユニット309とは、ポンプユニット309のモータ135や各種のバルブを駆動及び制御するために、ケーブルにより接続されている。
【0181】
以上の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、資源の節約やスペースの有効活用が図られる。加えて、ポンプユニット309により複数のダイカストマシン3に対応する複数のポンプ133等が集約されており、スペースの有効活用及び管理の容易化が一層図られる。当該ポンプユニット309に集中制御盤7が隣接して配置されることにより、集中制御盤7とモータ135等とを接続するケーブルが短縮され、スペースの有効活用が一層図られる。
【0182】
(変形例)
実施形態では、成形機システム1に含まれるダイカストマシン3として、型締装置15及び射出装置17を含む各部が液圧装置130により駆動されるものを例示した。しかし、成形機システムにおいては、種々のダイカストマシンが選択されてよい。以下では、成形機システムに適用されるダイカストマシンの例示を行う。
【0183】
(変形例1)
図12は、変形例1に係るダイカストマシンの液圧装置430の構成を示す概略図(図8に対応する図)である。なお、液圧装置430を除く、変形例1に係るダイカストマシンの概略構成は、例えば、図7に示したダイカストマシン3と同様である。また、中子引抜装置105及び押出装置109についての説明は省略する。
【0184】
液圧装置430は、射出装置17(射出シリンダ装置125)に係る構成については、図8に示す液圧装置130と同様である。一方、液圧装置430は、型締装置15(型締シリンダ装置115)に係る構成については、液圧装置130と相違する。すなわち、液圧装置430において、型締シリンダ装置115は、ドライバパック401によって駆動される。
【0185】
ドライバパック401は、作動液を送出可能なポンプ403と、ポンプ403を駆動するモータ405と、作動液を貯蓄可能なタンク407と、作動液の過不足を補償する自給弁回路409と、これらを収容するパック筐体410とを有している。
【0186】
ポンプ403は、双方向ポンプにより構成されている。すなわち、ポンプ403は、回転方向の切り換えにより、作動液を送出する送出口と作動液を吸入する吸入口とが、第1ポート403aと第2ポート403bとの間で切り換えられる。なお、ポンプ403としてロータリポンプやプランジャポンプ等の適宜なポンプが採用されてよいことは、ポンプ133と同様である。
【0187】
パック筐体410には、第1ポート403aに第1連通路411Aを介して接続された第1接続口401aと、第2ポート403bに第2連通路411Bを介して接続された第2接続口401bとが設けられている。ドライバパック401は、例えば、第1接続口401aがロッド側室115aに接続され、第2接続口401bがヘッド側室115bに接続されている。なお、以下では、第1連通路411A及び第2連通路411Bを単に「連通路411」といい、両者を区別しないことがある。
【0188】
モータ405は、モータ135と同様の構成である。なお、特に図示しないが、モータ405も、モータ135と同様に、サーボモータとして構成されている。モータ405は、個別制御装置59により、回転方向、回転速度等が制御される。
【0189】
自給弁回路409は、第1接続口401a及び第2接続口401bにおいて、一方から送出される作動液の量と、他方から吸入される作動液の量とが相違する場合に、その過不足を補償するためのものである。このような過不足は、型締シリンダ装置115において、ロッド側室115aとヘッド側室115bとの断面積が相違することにより生じる。
【0190】
自給弁回路409は、2つの連通路411を接続する中間流路413と、中間流路413に接続されたタンク407とを有している。また、自給弁回路409は、中間流路413において、第1連通路411Aとタンク407との間に設けられた第1自給弁415Aと、第2連通路411Bとタンク407との間に設けられた第2自給弁415B(以下、単に「自給弁415」といい、両者を区別しないことがある。)とを有している。
【0191】
自給弁415は、例えば、パイロット式の逆止弁により構成されている。自給弁415は、パイロット圧力が導入されると開かれる。また、自給弁415は、パイロット圧力が導入されていないときは、連通路411からタンク407への流れを阻止するとともにタンク407から連通路411への流れを許容する。第1自給弁415Aは、パイロット圧力として第2連通路411Bの圧力が導入されている。第2自給弁415Bは、パイロット圧力として第1連通路411Aの圧力が導入されている。
【0192】
自給弁回路409は、以下のように動作する。
【0193】
ポンプ403が、ロッド側室115aの作動液を第1ポート403aから吸入し、吸入した作動液を第2ポート403bからヘッド側室115bに供給しているとき、第2自給弁415Bは、第2連通路411Bからタンク407への流れを阻止する。一方、第1自給弁415Aは、第2連通路411Bから導入されるパイロット圧力により開状態となる。
【0194】
このとき、ロッド側室115aがヘッド側室115bよりも断面積が小さいことにより生じる、ポンプ403における作動液の不足分は、タンク407の作動液が第1自給弁415Aを介して第1ポート403aに供給されることにより補償される。
【0195】
ポンプ403が、ヘッド側室115bの作動液を第2ポート403bから吸入し、吸入した作動液を第1ポート403aからロッド側室115aに供給しているとき、第1自給弁415Aは、第1連通路411Aからタンク407への流れを阻止する。一方、第2自給弁415Bは、第1連通路411Aから導入されるパイロット圧力により開状態となる。
【0196】
このとき、ヘッド側室115bがロッド側室115aよりも断面積が大きいことにより生じる、ポンプ403における作動液の余剰分は、第2自給弁415Bを介してタンク407に排出される。
【0197】
このように、ドライバパック401は、型締シリンダ装置115への作動液の送出及び型締シリンダ装置115からの作動液の吸入に必要な全ての構成をユニット化して有している。換言すれば、他のポンプやタンクから作動液を供給されることなく、モータ405へ電力が供給されることにより駆動力を生じる。従って、ドライバパック401は、半電動式の駆動装置ということができる。
【0198】
(変形例2)
図13は、変形例2に係るダイカストマシン503の要部(主として型締装置515)を示す概略図である。なお、型締装置515を除く、変形例2に係るダイカストマシンの概略構成は、例えば、実施形態と同様である。また、中子引抜装置105及び押出装置109についての説明は省略する。
【0199】
型締装置515は、いわゆる複合式の型締装置により構成されており、移動ダイプレート512を駆動する電動式の移動機構513と、タイバー514を伸長させて型締めを行うための型締シリンダ装置516とを有している。
【0200】
移動機構513は、例えば、モータ517と、モータ517により駆動されるネジ軸518と、ネジ軸518に螺合された可動部材519とを有している。ネジ軸518は、ベース520に軸支されている。可動部材519は、移動ダイプレート512に固定されている。モータ517の回転が、ネジ軸518及び可動部材519により型開閉方向の並進運動に変換されることにより、移動ダイプレート512は型開閉方向に移動する。
【0201】
型締シリンダ装置516は、例えば、固定ダイプレート511に収容され、タイバー514に固定されたピストン521を有している。タイバー514の移動ダイプレート512側の端部がハーフナット522により移動ダイプレート512に固定された状態で、ピストン521を移動ダイプレート512とは反対側へ移動させることにより、タイバー514が伸長され、型締が行われる。
【0202】
なお、以上に例示した他にも、ダイカストマシンとして、例えば、型締装置や射出装置等の全体が電動機により駆動されるものが採用されてもよい。
【0203】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0204】
複数の成形機の数及び配列方向は、適宜に設定されてよい。例えば、複数の成形機は、集中タンクに射出装置を向け、集中タンクとは反対側に型締装置を向けて、集中タンクを中心とする円周方向に配列されてもよい。換言すれば、複数の成形機は、集中タンクを中心として放射状に配置されてもよい。また、複数の成形機が縦横に配列される場合、マシン列における成形機の台数及びマシン列の数は、適宜に設定されてよい。マシン列間において成形機の台数が異なっていてもよい。
【0205】
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、プラスチック射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、横型締縦射出であってもよい。
【0206】
集中制御盤から出力されるタイミング指令は、トリガ信号以外の信号であってもよい。例えば、集中制御盤は、周期性のある所定の基準信号を複数の成形機に継続的に出力し、タイミング指令は、その基準信号のいずれの位相においてシーケンス制御を開始したらよいかを示す信号であってもよい。作動液は、液に限定されず、例えば水でもよい。
【0207】
本発明は、一の溶解炉から複数の成形機に成形材料を供給するシステムと組み合わされてもよい。この場合、資源やスペースの節約が一層図られる。
【符号の説明】
【0208】
1…成形機システム、3…ダイカストマシン(成形機)、5…集中タンク、7…集中制御盤、41…集中電源装置、43…集中制御装置、45…集中筐体、130…液圧装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧装置をそれぞれ有する複数の成形機と、
複数の前記液圧装置に共用される集中タンクと、
を有する成形機システム。
【請求項2】
前記複数の液圧装置はそれぞれ、前記集中タンクに連通された個別タンクを有し、
前記集中タンクと複数の前記個別タンクとは同一の液面レベルとなっている
請求項1に記載の成形機システム。
【請求項3】
前記液面レベルを検出するセンサと、
前記センサの検出値を表示可能な表示装置と、
を有する請求項2に記載の成形機システム。
【請求項4】
前記複数の成形機それぞれにおいて、型締装置に対して水平方向に隣接して射出装置が設けられ、前記個別タンクは、前記型締装置及び前記射出装置に対して、前記射出装置側に配置されている
請求項2又は3に記載の成形機システム。
【請求項5】
前記集中タンクに接続された主管と、
前記主管から分岐して前記複数の液圧装置に接続される複数の分岐管と、
を有し、
前記複数の成形機は、射出装置を前記主管側に、型締装置を前記主管とは反対側に向けて配置されている
請求項4に記載の成形機システム。
【請求項6】
前記複数の液圧装置はそれぞれ、
前記個別タンクから作動液を吸引可能なポンプと、
前記ポンプを駆動可能な電動機と、
を有している
請求項2〜5のいずれか1項に記載の成形機システム。
【請求項7】
前記複数の液圧装置に対応して設けられ、前記集中タンクの作動液を送出可能な複数のポンプと、
前記複数のポンプに対応して設けられ、前記複数のポンプを駆動可能な複数の電動機と、
前記集中タンク、前記複数のポンプ及び前記複数の電動機を共に収容する収容部材と、
を有する請求項1に記載の成形機システム。
【請求項8】
前記複数の成形機における成形サイクルの位相を互いにずらすように前記複数の成形機の動作を制御する集中制御装置を有する
請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−264489(P2010−264489A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118690(P2009−118690)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】