説明

成形機

【課題】衝撃吸収装置を小型化することができ、衝撃吸収装置のコストを低くすることができるようにする。
【解決手段】固定部材に対して相対的に移動する可動部材、及び該可動部材の移動を阻止する移動阻止部材を備えるようになっている。そして、前記可動部材の移動が阻止されるのに伴って発生する衝撃を、所定の衝撃力によって弾性変形領域を超えた範囲まで変形して吸収する衝撃吸収部材61を有する。この場合、所定の衝撃力によって弾性変形領域を超えた範囲まで変形して衝撃を吸収することができるようになっているので、衝撃吸収装置48を小型化することができるだけでなく、衝撃吸収装置48のコストを低くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機、例えば、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され、溶融させられた樹脂を高圧で射出して金型装置のキャビティ空間に充填し、該キャビティ空間内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようにしている。
【0003】
そのために、前記金型装置は固定金型及び可動金型から成り、型締装置によって前記可動金型を進退させ、前記固定金型に対して接離させることにより、型開閉、すなわち、型閉じ、型締め及び型開きを行うことができるようになっている。また、前記型締装置は、前記固定金型が取り付けられた固定プラテン、可動金型が取り付けられた可動プラテン、可動プラテンを進退させ、前記可動金型を進退させるためのモータ、可動プラテンとトグルサポートとの間に配設されたトグル機構等を備え、前記モータを駆動することによって発生させられた回転の回転運動を運動方向変換部によって直進運動に変換し、該直進運動をクロスヘッドを介してトグル機構に伝達し、該トグル機構を作動させ、可動プラテンを進退させるようにしている。
【0004】
ところで、例えば、前記型締装置を作動させ、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きを行うに当たり、作業者の安全を図るために、前記金型装置及び型締装置の正面側に安全扉が開閉自在に配設され、射出成形機の運転中においては、安全扉が閉じられるようになっている。そして、例えば、型閉じが行われているときに安全扉が開かれると、可動プラテンの前進がロックユニットによって阻止される。
【0005】
そのために、可動プラテンの側面に安全ロッド取付部材を介して安全ロッドの一端が取り付けられ、他端がトグルサポートに向けて延在させられ、トグルサポートに取り付けられた安全ロッド支持部材を貫通させられる。そして、前記安全ロッドの他端の近傍に複数のロック溝が形成され、前記安全ロッド支持部材に前記ロック溝と係脱自在にロックプレートが配設される。
【0006】
したがって、射出成形機の運転中に安全扉が開かれると、前記ロックプレートが所定のロック溝と係合させられ、可動プラテンの前進を阻止することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、このとき、可動プラテン、可動金型等の可動部の慣性に伴う衝撃によってロックユニットが破損するのを防止するために、衝撃を吸収する衝撃吸収装置が配設される。
【0008】
図2は従来の衝撃吸収装置の通常の状態を示す図である。
【0009】
図において、32は図示されない可動プラテンに取り付けられた安全ロッド取付部材であり、該安全ロッド取付部材32に取付穴52が形成される。また、34は安全ロッドであり、該安全ロッド34の一端側において、本体部54の前端に本体部54より径の小さい保持部55が、該保持部55の前端に保持部55より径の小さいねじ部56が形成される。そして、取付穴52に前記保持部55を貫通させ、保持部55の外周に複数の皿ばね58を重ねて配設し、ねじ部56とナット57とを螺合させることによって、安全ロッド取付部材32とナット57との間に皿ばね58を挟み込むようにしている。
【0010】
したがって、通常は、各皿ばね58の付勢力によって、安全ロッド34は、本体部54と保持部55との段差部を安全ロッド取付部材32に当接させて、図示されない固定プラテン側に付勢される。そして、図示されないロックプレートが図示されないロック溝と係合させられ、可動プラテンの前進が阻止されると、皿ばね58が収縮して可動部の慣性に伴う衝撃を吸収する。
【特許文献1】特開2003−112353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来の衝撃吸収装置においては、複数の皿ばね58を重ねて使用するようになっているので、射出成形機が大型化して可動部の重量が大きくなったり、可動部の速度が高くなったりすると、可動部の慣性に伴う衝撃がその分大きくなるので、皿ばね58の寸法を大きくする必要が生じ、衝撃吸収装置が大型化するだけでなく、衝撃吸収装置のコストが高くなってしまう。
【0012】
本発明は、前記従来の衝撃吸収装置の問題点を解決して、衝撃吸収装置を小型化することができ、衝撃吸収装置のコストを低くすることができる成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明の成形機においては、固定部材に対して相対的に移動する可動部材、及び該可動部材の移動を阻止する移動阻止部材を備えるようになっている。
【0014】
そして、前記可動部材の移動が阻止されるのに伴って発生する衝撃を、所定の衝撃力によって弾性変形領域を超えた範囲まで変形して吸収する衝撃吸収部材を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、成形機においては、固定部材に対して相対的に移動する可動部材、及び該可動部材の移動を阻止する移動阻止部材を備えるようになっている。
【0016】
そして、前記可動部材の移動が阻止されるのに伴って発生する衝撃を、所定の衝撃力によって弾性変形領域を超えた範囲まで変形して吸収する衝撃吸収部材を有する。
【0017】
この場合、所定の衝撃力によって弾性変形領域を超えた範囲まで変形して衝撃を吸収することができるようになっているので、衝撃吸収装置を小型化することができるだけでなく、衝撃吸収装置のコストを低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、成形機としての射出成形機について説明する。
【0019】
図3は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図、図4は図3のX−X断面図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるロックユニットの動作を示す図である。
【0020】
図において、10は成形機フレーム、11は第1の固定部材としての固定プラテン、12は前記固定プラテン11と対向させて配設された第2の固定部材としての、かつ、ベースプレートとしてのトグルサポート、13は第1の可動部材としての可動プラテン、14は前記固定プラテン11に取り付けられた第1の金型としての固定金型、15は前記可動プラテン13に取り付けられ、固定金型14に対して相対的に移動する第2の金型としての可動金型、16はトグルサポート12と可動プラテン13との間に配設されたトグル機構、17は型締用の駆動部としての型締用モータ、21は、前記型締用モータ17を駆動することによって進退させられ、トグルサポート12に対して相対的に移動する第2の可動部材としての、かつ、移動要素としてのクロスヘッドである。
【0021】
前記トグル機構16は、前記トグルサポート12に対して揺動自在に支持されたトグルレバー18、該トグルレバー18と可動プラテン13とを連結し、トグルレバー18及び可動プラテン13に対して揺動自在に支持されたアーム19、並びに前記トグルレバー18とクロスヘッド21とを連結し、トグルレバー18及びクロスヘッド21に対して揺動自在に支持されたトグルレバー22から成る。
【0022】
前記固定プラテン11、トグルサポート12、可動プラテン13、トグル機構16、型締用モータ17等によって型締装置が、固定金型14、可動金型15等によって金型装置が構成される。
【0023】
前記構成の射出成形機において、前記型締用モータ17を駆動することによって発生させられた回転の回転運動を、ボールねじ等の運動方向変換部によって直進運動に変換し、該直進運動をクロスヘッド21を介してトグル機構16に伝達し、トグル機構16を作動させることができる。
【0024】
そして、前記型締用モータ17を正方向に駆動し、前記クロスヘッド21を前進させることによって、トグル機構16を作動させると、前記可動プラテン13が前進させられ、型閉じを行うことができる。また、前記型締用モータ17を更に正方向に駆動すると、前記トグル機構16は、型締用モータ17によって発生させられた推進力にトグル倍率を乗じた型締力を発生させる。したがって、該型締力によって型締めを行うことができる。そして、前記型締めに伴って、前記固定金型14と可動金型15との間にキャビティ空間が形成される。
【0025】
一方、図示されない射出装置において、溶融させられた成形材料としての樹脂がシリンダ部材としての加熱シリンダ内に溜められ、該加熱シリンダ内の射出部材としてのスクリューが前進させられると、前記樹脂が射出ノズルから射出されて前記キャビティ空間に充填される。そして、キャビティ空間内において樹脂は冷却され、固化させられて成形品となる。
【0026】
続いて、前記型締用モータ17を逆方向に駆動し、前記クロスヘッド21を後退させ、前記トグル機構16を作動させると、前記可動プラテン13が後退させられ、型開きが行われる。このとき、図示されないエジェクタ装置を作動させることによって、成形品が可動金型15から突き出される。したがって、図示されない取出機を作動させることによって、前記金型装置から成形品を取り出すことができる。
【0027】
なお、本実施の形態においては、型締用の駆動部として型締用モータ17が使用されるようになっているが、該型締用モータ17に代えて型締シリンダを使用し、型締シリンダを駆動することによって、直接クロスヘッド21を進退させることもできる。また、本実施の形態においては、トグル機構16を作動させることによって型締力を発生させるようにしているが、トグル機構16を使用することなく、型締用モータ17によって発生させられた推進力をそのまま型締力として可動プラテン13に伝達することもできる。
【0028】
ところで、例えば、前記型締装置を作動させ、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きを行うに当たり、作業者の安全を図るために、前記金型装置及び型締装置の正面側に図示されない安全扉が開閉自在に配設され、射出成形機の運転中においては、安全扉が閉じられるようになっている。そして、例えば、型閉じが行われているときに安全扉が開かれると、可動プラテン13の移動、本実施の形態においては、前進が、可動プラテン13とトグルサポート12との間に移動阻止部材として配設されたロックユニット31によって阻止される。なお、該ロックユニット31によって非常停止装置が構成される。
【0029】
そのために、可動プラテン13の所定の箇所、本実施の形態においては、側面の下端の近傍に安全ロッド取付部材32が、トグルサポート12の所定の箇所、本実施の形態においては、側面の下端の近傍に安全ロッド支持部材33が固定される。そして、安全ロッド34の一端が、前記安全ロッド取付部材32を介して可動プラテン13に取り付けられ、他端がトグルサポート12に向けて延在させられ、安全ロッド支持部材33を貫通させられる。
【0030】
そして、前記安全ロッド34の他端の近傍に、複数の被係合部としてのロック溝36が等ピッチで形成される。前記ロック溝36は、傾斜面部41、底面部42及び垂直面部43から成り、各ロック溝36間に突起部37が形成される。また、前記安全ロッド支持部材33に、係合部としてのロックプレート38が前記ロック溝36と係脱自在に配設される。そのために、前記安全ロッド支持部材33に揺動軸44が配設され、該揺動軸44に対してロックプレート38が揺動自在に支持されるとともに、揺動軸44と偏心させて引張部45が形成され、該引張部45と図示されないロック用の駆動部としてのロック用駆動装置とが図示されないワイヤ、ロッド等を介して連結される。
【0031】
前記安全扉が閉じられると、前記ロック用駆動装置が駆動され、引張部45を矢印A方向に移動させる。それに伴って、ロックプレート38は揺動軸44を回動中心として図4における反時計回りに回動させられ、一点鎖線で示される退避位置に置かれ、ロック溝36とロックプレート38との係合が解除される。
【0032】
また、前記安全扉が開かれると、ロック用駆動装置の駆動が停止され、引張部45を矢印A方向と反対の方向に移動させる。それに伴って、ロックプレート38は揺動軸44を回動中心として図4における時計回りに回動させられ、実線で示される作動位置に置かれ、ロック溝36とロックプレート38とが係合させられる。
【0033】
したがって、例えば、型閉じが行われているときに安全扉が開かれると、ロックユニット31が作動し、可動プラテン13の前進が阻止される。
【0034】
ところで、型閉じが行われている間、可動プラテン13、可動金型15等の可動部に慣性が発生する。したがって、可動プラテン13の前進を阻止するのに伴い、衝撃がロックユニット31に加わると、ロックユニット31が破損してしまう。
【0035】
そこで、該ロックユニット31の所定の箇所、本実施の形態においては、安全ロッド34の一端側に、衝撃を吸収する衝撃吸収装置48が配設される。
【0036】
次に、衝撃吸収装置48について説明する。
【0037】
図1は本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収装置の通常の状態を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収部材の正面図、図7は本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収部材の斜視図、図8は本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収装置の衝撃を吸収した状態を示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収部材の衝撃を吸収した状態を示す第1の図、図10は本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収部材の衝撃を吸収した状態を示す第2の図である。
【0038】
図において、32は可動プラテン13(図3)に取り付けられた安全ロッド取付部材であり、該安全ロッド取付部材32に取付穴52が形成される。また、34は安全ロッドであり、該安全ロッド34の一端側において、本体部54の前端に本体部54より径の小さい保持部55が、該保持部55の前端に保持部55より径の小さいねじ部56が形成され、本体部54と保持部55との間、及び保持部55とねじ部56との間に段差部が形成される。そして、取付穴52に前記保持部55を貫通させ、保持部55の外周に筒状の衝撃吸収部材61を外嵌して配設し、ねじ部56とナット57とを螺合させることによって、安全ロッド取付部材32とナット57との間に衝撃吸収部材61を挟み込むようにしている。
【0039】
該衝撃吸収部材61は、射出成形機を構成する各部品のうち、型閉じ、型締め及び型開きが行われる際に応力を受けるすべての部品より、ばね定数が小さく、硬度及び剛性が低く、降伏点が低い材料、例えば、アルミニウムによって形成され、内周面は平坦にされにされるのに対して、外周面は一端から他端にかけて徐々に、本実施の形態においては、段階的に径方向外方に位置させられ、断面積が大きくされる。すなわち、衝撃吸収部材61は、一端から他端にかけて、複数の、本実施の形態においては、三つの部位p1〜p3から成り、各部位p1〜p3における内径をd1とし、部位p1の外径をd2とし、部位p2の外径をd3とし、部位p3の外径をd4としたとき、
d1<d2<d3<d4
にされる。この場合、各部位p1〜p3の肉厚をδ1〜δ3としたとき、
δ1=d2−d1
δ2=d3−d1
δ3=d4−d1
になり、
δ1<δ2<δ3
になる。したがって、各部位p1〜p3の降伏点をε1〜ε3としたとき、
ε1<ε2<ε3
になる。また、保持部55の外径をd5としたとき、
d5<d1
にされる。
【0040】
そして、安全ロッド34の軸方向において、保持部55の長さをL1とし、安全ロッド取付部材32の長さをL2とし、衝撃吸収部材61の長さをL3としたとき、
L3=L1−L2
にされる。したがって、ねじ部56とナット57とを螺合させたとき、衝撃吸収部材61の一方の面S1とナット57の当接面S3とが、衝撃吸収部材61の他方の面S2と安全ロッド取付部材32の当接面S4とが当接させられる。本実施の形態において、軸方向における各部位p1〜p3の長さLp1〜Lp3は等しくされるが、それぞれ異ならせることができる。本実施の形態において、衝撃吸収部材61の外周面は一端から他端にかけて段階的に径方向外方に位置させられるようになっているが、衝撃吸収部材61の外周面を一端から他端にかけてテーパ状に径方向外方に位置させることができる。
【0041】
このように、前記衝撃吸収部材61は安全ロッド取付部材32とナット57との間に挟み込まれるので、ロックプレート38がロック溝36と係合させられ、可動プラテン12の前進が阻止されると、図8〜10に示されるように、衝撃吸収部材61は、所定の衝撃力を受けて、弾性変形領域を超えた範囲まで変形して可動部の慣性に伴う衝撃を吸収し、可動部を停止させる。
【0042】
すなわち、衝撃吸収部材61に衝撃が加わると、該衝撃吸収部材61の各部位p1〜p3が前記衝撃によって発生する応力に応じて変形し、各部位p1〜p3のばね定数及び前記応力に従って、長さL3が小さくなる。このときの変形は弾性変形であり、応力が加わらなくなると、各部位p1〜p3は元の形状に戻る。
【0043】
そして、前記応力が、各部位p1〜p3の降伏点ε1〜ε3を超えると、肉厚δ1〜δ3の小さい順に各部位p1〜p3が座屈する。まず、図9に示されるように部位p1が座屈し、中央部分が径方向外方に膨出する。これに伴って、衝撃が完全に吸収されると、衝撃吸収部材61の変形は終了するが、衝撃が完全に吸収されない場合、図10に示されるように部位p2が座屈し、部位p1の中央部分から部位p2の中央部分にかけてが径方向外方に膨出する。これに伴って、衝撃が完全に吸収されると、衝撃吸収部材61の変形は終了するが、衝撃が完全に吸収されない場合、部位p3が座屈し、部位p1の中央部分から部位p3の中央部分にかけてが径方向外方に膨出する。このときの変形は塑性変形であり、応力が加わらなくなっても、各部位p1〜p3は元の形状に戻らない。
【0044】
このように、本実施の形態においては、衝撃を吸収するために皿ばねを使用せず、衝撃吸収部材61を使用するようになっているので、弾性変形及び塑性変形によって衝撃が吸収される。したがって、衝撃吸収部材61によって衝撃を十分に吸収することができる。
【0045】
その結果、射出成形機が大型化して可動部の重量が大きくなったり、可動部の速度が高くなったりして、可動部の慣性に伴う衝撃が大きくなっても、十分に衝撃を吸収することができるので、衝撃吸収部材61の寸法を大きくする必要がなく、衝撃吸収装置48を小型化することができるだけでなく、衝撃吸収装置48のコストを低くすることができる。
【0046】
また、保持部55の外周に衝撃吸収部材61が外嵌させて配設されるので、衝撃吸収部材61の軸方向寸法を大きくしても、衝撃吸収部材61にオイラー座屈が発生するのを防止することができる。したがって、衝撃吸収部材61によって確実に衝撃を吸収することができる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0048】
図11は本発明の第2の実施の形態における衝撃吸収装置の通常の状態を示す図である。
【0049】
この場合、衝撃吸収部材61は、一端から他端にかけて、複数の、本実施の形態においては、四つの部位q1、p1〜p3から成り、各部位q1、p1〜p3における内径をd1とし、部位q1の外径をd0とし、部位p1の外径をd2とし、部位p2の外径をd3とし、部位p3の外径をd4としたとき、
d1<d2<d3<d4=d0
にされる。したがって、衝撃吸収部材61の一方の面S1の面積と他方の面S2の面積とが等しくされる。
【0050】
その結果、衝撃吸収部材61がナット57の当接面S3と当接する面積が大きくなるので、衝撃吸収部材61が衝撃を吸収するのに当たり、当接面S3が損傷するのを防止することができる。
【0051】
ところで、前記各実施の形態においては、移動阻止部材としてのロックユニット31が第2の固定部材としての、かつ、ベースプレートとしてのトグルサポート12と第1の可動部材としての可動プラテン13との間に配設されるようになっているが、ロックユニット31を固定プラテン11と可動プラテン13との間に配設するようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0052】
図12は本発明の第3の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【0053】
この場合、第1の可動部材としての可動プラテン13の所定の箇所、本実施の形態においては、側面の上端の近傍に安全ロッド取付部材32が、第1の固定部材としての固定プラテン11の所定の箇所、本実施の形態においては、側面の上端の近傍に安全ロッド支持部材33が固定される。そして、安全ロッド34の一端が、前記安全ロッド取付部材32を介して可動プラテン13に取り付けられ、他端が固定プラテン11に向けて延在させられ、安全ロッド支持部材33を貫通させられる。
【0054】
そして、前記安全ロッド34の他端の近傍に、複数の被係合部としてのロック溝36が等ピッチで形成される。該ロック溝36は、傾斜面部41、底面部42及び垂直面部43から成り、各ロック溝36間に突起部37が形成される。また、前記安全ロッド支持部材33に、係合部としてのロックプレート38が前記ロック溝36と係脱自在に配設される。この場合、前記ロックプレート38は第1、第2のプレート38a、38bから成る。
【0055】
したがって、前記各実施の形態と同様に、例えば、型閉じが行われているときに前記安全扉が開かれると、移動阻止部材としてのロックユニット31が作動し、可動プラテン13の前進が阻止される。
【0056】
ところで、前述されたように、型閉じが行われている間、可動プラテン13、可動金型15等の可動部に慣性が発生するので、可動プラテン13の前進を阻止するのに伴い、衝撃がロックユニット31に加わると、該ロックユニット31が破損してしまう。
【0057】
そこで、ロックユニット31の所定の箇所、本実施の形態においては、安全ロッド34の一端側に、衝撃を吸収する衝撃吸収装置48が配設される。
【0058】
次に、衝撃吸収装置48について説明する。
【0059】
図13は本発明の第3の実施の形態における衝撃吸収装置の通常の状態を示す図である。
【0060】
図において、32は可動プラテン13(図12)に取り付けられた安全ロッド取付部材であり、該安全ロッド取付部材32に取付穴52が形成される。また、34は安全ロッドであり、該安全ロッド34の一端側において、本体部54の後端に本体部54より径の小さい保持部55が、該保持部55の後端に保持部55より径の小さいねじ部56が形成され、本体部54と保持部55との間、及び保持部55とねじ部56との間に段差部が形成される。そして、保持部55の外周に筒状の衝撃吸収部材61を外嵌して配設し、取付穴52に前記保持部55を貫通させ、ねじ部56とナット57とを螺合させることによって、本体部54と安全ロッド取付部材32との間に衝撃吸収部材61を挟み込むようにしている。なお、該衝撃吸収部材61は一端から他端にかけて断面積が変化させられる。
【0061】
したがって、ねじ部56とナット57とを螺合させたとき、衝撃吸収部材61の一方の面S1と安全ロッド取付部材32の当接面S11とが、衝撃吸収部材61の他方の面S2と本体部54の当接面S12とが当接させられる。
【0062】
このように、前記衝撃吸収部材61は安全ロッド取付部材32と本体部54との間に挟み込まれるので、ロックプレート38がロック溝36と係合させられ、可動プラテン12の前進が阻止されると、衝撃吸収部材61が変形して可動部の慣性に伴う衝撃を吸収する。
【0063】
次に、ロックユニット31を第2の固定部材としての、かつ、ベースプレートとしてのトグルサポート12と第2の可動部材としての、かつ、移動要素としてのクロスヘッド21との間に配設するようにした本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0064】
図14は本発明の第4の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【0065】
この場合、第2の可動部材としての、かつ、移動要素としてのクロスヘッド21の所定の箇所、本実施の形態においては、中央に安全ロッド取付部材32が、第2の固定部材としての、かつ、ベースプレートとしてのトグルサポート12の所定の箇所、本実施の形態においては、側面の後端部における中央に安全ロッド支持部材33が固定される。そして、安全ロッド34の一端が、前記安全ロッド取付部材32を介してクロスヘッド21に取り付けられ、他端がトグルサポート12に向けて延在させられ、安全ロッド支持部材33を貫通させられる。
【0066】
そして、前記安全ロッド34の全体にわたって、複数の被係合部としてのロック溝36が等ピッチで形成される。また、前記安全ロッド支持部材33に、係合部としてのロックプレート38が前記ロック溝36と係脱自在に配設される。
【0067】
したがって、前記各実施の形態と同様に、例えば、型閉じが行われているときに前記安全扉が開かれると、移動阻止部材としてのロックユニット31が作動し、クロスヘッド21の前進及びトグル機構16の作動が阻止されるとともに、可動プラテン13の前進が阻止される。
【0068】
ところで、前述されたように、型閉じが行われている間、可動プラテン13、可動金型15等の可動部に慣性が発生するので、可動プラテン13の前進を阻止するのに伴い、衝撃がロックユニット31に加わると、該ロックユニット31が破損してしまう。
【0069】
そこで、ロックユニット31の所定の箇所、本実施の形態においては、安全ロッド34の一端側に、衝撃を吸収する衝撃吸収装置48が配設される。該衝撃吸収装置48において、安全ロッド34の一端に形成されたねじ部56(図1)とナット57とを螺合させることによって、ナット57と安全ロッド取付部材32との間に衝撃吸収部材61が挟み込まれる。したがって、クロスヘッド21の前進及びトグル機構16の作動が阻止され、可動プラテン13の前進が阻止されると、前記衝撃吸収部材61が変形して可動部の慣性に伴う衝撃を吸収する。
【0070】
ところで、前記金型装置において型開きが行われるのに伴って、成形品がエジェクタ装置によって突き出される。次に、衝撃吸収装置48をエジェクタ装置に適用した本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0071】
図15は本発明の第5の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【0072】
図において、13は可動プラテンであり、該可動プラテン13は、本実施の形態において、第3の固定部材として機能する。また、70はエジェク装置、71は可動プラテン13に対して相対的に移動自在に配設された第3の可動部材としてのクロスヘッド、72は該クロスヘッド71を案内するガイドバー、79は、前記クロスヘッド71に取り付けられ、前方に向けて延在させられ、可動プラテン13を貫通するエジェクタロッドである。該エジェクタロッド79の前端に図示されないエジェクタピンが連結される。
【0073】
前記クロスヘッド71を進退させるために、突出し用の駆動部としての突出し用モータ73が配設されるとともに、可動プラテン13とクロスヘッド71との間に運動方向変換部としてのボールねじ78が配設される。該ボールねじ78は、クロスヘッド71に固定された第1の変換要素としてのボールナット81、及び可動プラテン13に対して回転自在に支持された第2の変換要素としてのボールねじ軸82を備え、該ボールねじ軸82に伝達された回転の回転運動をボールナット81の直進運動に変換する。そして、前記突出し用モータ73を駆動することによって発生させられた回転をボールねじ軸82に伝達するために、突出し用モータ73の出力軸に駆動プーリ75が取り付けられ、ボールねじ軸82に従動プーリ76が取り付けられ、駆動プーリ75と従動プーリ76との間に伝動体としてのタイミングベルト77が張設される。なお、駆動プーリ75、従動プーリ76及びタイミングベルト77によって回転伝動部が構成される。
【0074】
したがって、突出し用モータ73を駆動すると、ボールねじ軸82が回転させられ、クロスヘッド71がガイドバー72に沿って進退させられ、クロスヘッド71の前進に伴ってエジェクタロッド79及びエジェクタピンが前進させられ、成形品が突き出される。なお、突出し用モータ73には位置検出部としての図示されないエンコーダが配設され、該エンコーダによってクロスヘッド71の位置が検出される。
【0075】
ところで、クロスヘッド71は、エジェクタピンを前進させたときに、成形品を突き出すことができるように、所定のストロークで進退させられるようになっていて、前記エンコーダによってクロスヘッド71の位置が検出され、あらかじめ設定された前進限位置及び後退限位置で停止させられるようになっている。
【0076】
ところが、例えば、エンコーダによる位置の検出精度が低下すると、前進限位置及び後退限位置で正確に停止させることができない。そこで、可動プラテン13の後端面に第1の規制部80が突出させて形成され、ガイドバー72の後端に第2の規制部83が取り付けられ、第1、第2の規制部80、83によってクロスヘッド71が過度に移動するのを規制するようにしている。この場合、第1、第2の規制部80、83によって、クロスヘッド71の移動を阻止する移動阻止部材が構成される。
【0077】
ところが、前記クロスヘッド71が第1、第2の規制部80、83に強く衝突すると、衝撃が金型装置、ボールねじ78等に加わり、該金型装置、ボールねじ78等が破損することがある。
【0078】
そこで、ガイドバー72の両端に衝撃吸収装置48が配設される。すなわち、前記ガイドバー72の両端に衝撃吸収部材61が配設され、該各衝撃吸収部材61によって衝撃を吸収するようにしている。なお、各衝撃吸収部材61は、一端から他端にかけて断面積が変化させられ、外径が小さい側の端部をクロスヘッド71と対向させ、外径が大きい側の端部を第1、第2の規制部80、83に固定することによって配設される。
【0079】
次に、衝撃吸収装置48を射出装置に適用した本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0080】
図16は本発明の第6の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【0081】
図において、101は射出装置、102はシリンダ部材としての加熱シリンダ、103は、該加熱シリンダ102内において、回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としてのスクリュー、105は加熱シリンダ102の後端を支持する第4の固定部材としての前方サポート、106は前方サポート105の後方において前方サポート105と対向させて配設された第5の固定部材としての後方サポート、108は前記前方サポート105と後方サポート106との間に架設された複数のガイドバー(図においてそのうちの2本のガイドバー108を示す。)、111は該各ガイドバー108に沿って進退自在に配設され、前方サポート105及び後方サポート106に対して相対的に移動する第4の可動部材としてのプレッシャプレートであり、該プレッシャプレート111に前記スクリュー103が回転自在に支持される。
【0082】
前記構成の射出装置101において、計量工程でスクリュー103を回転させることによって、計量が行われ、加熱シリンダ102内におけるスクリュー103より前方に、溶融させられた成形材料としての樹脂が溜められ、それに伴って、スクリュー103は後退させられる。また、射出工程でスクリュー103を前進させることによって、射出が行われ、加熱シリンダ102内におけるスクリュー103より前方に溜められた樹脂が、加熱シリンダ102の前端の射出ノズルから射出される。
【0083】
そのために、前記プレッシャプレート111に計量用の駆動部としての計量用モータ115が取り付けられる。そして、該計量用モータ115を駆動することによって発生させられた回転をスクリュー103に伝達するために、プレッシャプレート111の出力軸に駆動プーリ116が取り付けられ、スクリュー103に従動プーリ117が取り付けられ、駆動プーリ116と従動プーリ117との間に伝動体としてのタイミングベルト118が張設される。なお、前記駆動プーリ116、従動プーリ117及びタイミングベルト118によって回転伝動部が構成される。
【0084】
また、前記後方サポート106に射出用の駆動部としての射出用モータ121が取り付けられるとともに、後方サポート106とプレッシャプレート111との間に運動方向変換部としてのボールねじ123が配設される。該ボールねじ123は、プレッシャプレート111に固定された第1の変換要素としてのボールナット124、及び後方サポート106に対して回転自在に支持された第2の変換要素としてのボールねじ軸125を備え、該ボールねじ軸125に伝達された回転の回転運動をボールナット124の直進運動に変換する。
【0085】
そして、前記プレッシャプレート111を駆動することによって発生させられた回転をボールねじ軸125に伝達するために、射出用モータ121の出力軸に駆動プーリ131が取り付けられ、ボールねじ軸125に従動プーリ132が取り付けられ、駆動プーリ131と従動プーリ132との間に伝動体としてのタイミングベルト133が張設される。なお、前記駆動プーリ131、従動プーリ132及びタイミングベルト133によって回転伝動部が構成される。
【0086】
したがって、計量用モータ115を駆動すると、スクリュー103が回転させられて計量が行われ、スクリュー103は後退させられる。それに伴って、プレッシャプレート111がガイドバー108に沿って後退させられる。また、射出用モータ121を駆動すると、ボールねじ軸125が回転させられ、プレッシャプレート111がガイドバー108に沿って前進させられ、スクリュー103が前進させられて射出が行われる。なお、計量用モータ115及び射出用モータ121には位置検出部としての図示されないエンコーダが配設され、該各エンコーダによってスクリュー103の位置が検出される。
【0087】
ところで、プレッシャプレート111は、所定のストロークで進退させられるようになっていて、前記各エンコーダによってスクリュー103の位置が検出され、あらかじめ設定された前進限位置及び後退限位置で停止させられるようになっている。
【0088】
ところが、例えば、各エンコーダによる位置の検出精度が低下すると、前進限位置及び後退限位置で正確に停止させることができない。そこで、前記前方サポート105によって第1の規制部が、後方サポート106によって第2の規制部が構成され、第1、第2の規制部によってプレッシャプレート111が過度に移動するのを規制するようにしている。この場合、第1、第2の規制部によって、プレッシャプレート111の移動を阻止する移動阻止部材が構成される。
【0089】
ところが、前記プレッシャプレート111が第1、第2の規制部に強く衝突すると、衝撃がスクリュー103、ボールねじ123等に加わり、該スクリュー103、ボールねじ123等が破損することがある。
【0090】
そこで、所定のガイドバー108、本実施の形態においては、下方における正面側のガイドバー108の両端に衝撃吸収装置48が配設される。すなわち、前記ガイドバー108の両端に衝撃吸収部材61が配設され、該各衝撃吸収部材61によって衝撃を吸収するようにしている。なお、各衝撃吸収部材61は、一端から他端にかけて断面積が変化させられ、外径が大きい側の端部をプレッシャプレート111と対向させ、外径が小さい側の端部を第1、第2の規制部に固定することによって配設される。
【0091】
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。
【0092】
図17は本発明の第7の実施の形態における衝撃吸収部材の分解斜視図である。
【0093】
この場合、衝撃吸収部材61は円周方向において複数の、本実施の形態においては、二つの部材61a、61bに分割され、部材61aは三つの部位p1a〜p3aから成り、部材61bは三つの部位p1b〜p3bから成る。
【0094】
この場合、二つの部材61a、61bを、分離させた状態で保持部55(図1)を包み込むように取り付け、ボルト、バンド等の固定要素によって連結することにより、保持部55に取り付けることができる。したがって、保持部55の外周に筒状の衝撃吸収部材61を外嵌する必要がなくなるので、衝撃吸収装置48の組付け及び交換を容易に行うことができる。
【0095】
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。
【0096】
図18は本発明の第8の実施の形態における衝撃吸収部材の斜視図である。
【0097】
衝撃吸収部材61に加わる衝撃の大きさが一定である場合、想定される衝撃の大きさに基づいて衝撃吸収部材61の厚さ及び断面積を設定すれば、衝撃吸収部材61の厚さ及び断面積を軸方向の位置によって変更する必要はない。
【0098】
そこで、本実施の形態において、衝撃吸収部材61は、一端から他端にかけて厚さ及び断面積が一定にされる。この場合、衝撃吸収部材61の加工が容易になるので、衝撃吸収装置48のコストを低くすることができる。
【0099】
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。
【0100】
図19は本発明の第9の実施の形態における衝撃吸収部材の斜視図である。
【0101】
この場合、衝撃吸収部材61は、一端から他端にかけて厚さ及び断面積が一定にされるが、降伏点が変化させられる。そのために、前記衝撃吸収部材61は、軸方向における位置によって、複数の、本実施の形態においては、三つの部位p1〜p3が形成され、該各部位p1〜p3ごとに材料が異ならせられる。
【0102】
そして、例えば、各部位p1〜p3の材料は、部位p1側ほど降伏点が小さく、部位p3側ほど降伏点が大きいものが選択される。なお、前記各部位p1〜p3の外周面の位置を第1の実施の形態のように異ならせることもできる。
【0103】
次に、本発明の第10の実施の形態について説明する。
【0104】
図20は本発明の第10の実施の形態における衝撃吸収部材の分解斜視図である。
【0105】
この場合、衝撃吸収部材61は、一端から他端にかけて厚さ及び断面積が一定にされる。そして、衝撃吸収部材61は円周方向において複数の、本実施の形態においては、二つの部材61a、61bに分割される。
【0106】
次に、本発明の第11の実施の形態について説明する。
【0107】
図21は本発明の第11の実施の形態における衝撃吸収部材の斜視図である。
【0108】
この場合、衝撃吸収部材61は、一端から他端にかけて厚さが一定にされる。そして、衝撃吸収部材61は、一端から他端にかけて、徐々に、本実施の形態においては、後述される各穴91が形成された部分において、段階的に断面積及び降伏点が大きくされる。
【0109】
そのために、衝撃吸収部材61に、複数の、本実施の形態においては、四つの部位p1〜p4が形成され、各部位p1〜p4に、それぞれ、複数の穴91が円周方向に沿って形成される。そして、各部位p1〜p4における穴91の密度は、部位p1側ほど高く、部位p4側ほど低くされる。
【0110】
本実施の形態においては、各部位p1〜p4における穴91の密度が異ならせられるようになっているが、各穴の径を異ならせることができる。その場合、各穴の径は、部位p1側ほど大きく、部位p4側ほど小さくされる。
【0111】
次に、本発明の第12の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0112】
図22は本発明の第12の実施の形態における衝撃吸収装置の通常の状態を示す図である。
【0113】
この場合、衝撃吸収装置48において、衝撃吸収部材61と隣接させて、所定の数、本実施の形態においては、1枚の衝撃吸収体としての皿ばね92が配設される。したがって、第1の可動部材としての可動プラテン13(図1)の移動が阻止されるのに伴って発生する衝撃が、前記皿ばね92の弾性変形によって吸収される。
【0114】
前記各実施の形態においては、衝撃吸収部材61の各部位が軸方向において互いに一体に形成されるようになっているが、各部位を軸方向において互いに分割して、複数の部材とし、該各部材を組み合わせることによって衝撃吸収部材を形成することができる。この場合、安全ロッド34のストロークが変化しても、該ストロークの変化に対応させて所定の部材を組み合わせることによって、衝撃吸収部材の長手方向の寸法を変更することができる。
【0115】
さらに、長手方向にテーパ状に形成された筒状体によって衝撃吸収部材を構成することもできる。
【0116】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収装置の通常の状態を示す図である。
【図2】従来の衝撃吸収装置の通常の状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【図4】図3のX−X断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるロックユニットの動作を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収部材の正面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収部材の斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収装置の衝撃を吸収した状態を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収部材の衝撃を吸収した状態を示す第1の図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における衝撃吸収部材の衝撃を吸収した状態を示す第2の図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における衝撃吸収装置の通常の状態を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態における衝撃吸収装置の通常の状態を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【図17】本発明の第7の実施の形態における衝撃吸収部材の分解斜視図である。
【図18】本発明の第8の実施の形態における衝撃吸収部材の斜視図である。
【図19】本発明の第9の実施の形態における衝撃吸収部材の斜視図である。
【図20】本発明の第10の実施の形態における衝撃吸収部材の分解斜視図である。
【図21】本発明の第11の実施の形態における衝撃吸収部材の斜視図である。
【図22】本発明の第12の実施の形態における衝撃吸収装置の通常の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0118】
11 固定プラテン
12 トグルサポート
13 可動プラテン
21、71 クロスヘッド
31 ロックユニット
48 衝撃吸収装置
61 衝撃吸収部材
80、83 第1、第2の規制部
105 前方サポート
106 後方サポート
111 プレッシャプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に対して相対的に移動する可動部材、及び該可動部材の移動を阻止する移動阻止部材を備えた成形機において、
前記可動部材の移動が阻止されるのに伴って発生する衝撃を、所定の衝撃力によって弾性変形領域を超えた範囲まで変形して吸収する衝撃吸収部材を有することを特徴とする成形機。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材のばね定数は、成形機の他の部材のばね定数より小さくされる請求項1に記載の成形機。
【請求項3】
前記衝撃吸収部材のばね定数は複数段に変化させられる請求項1に記載の成形機。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材は、型締装置の非常停止装置に配設される請求項1に記載の成形機。
【請求項5】
前記衝撃吸収部材は一端から他端にかけて断面積が一定にされる請求項1に記載の成形機。
【請求項6】
前記衝撃吸収部材は一端から他端にかけて断面積が変化させられる請求項1に記載の成形機。
【請求項7】
前記衝撃吸収部材は一端から他端にかけて降伏点が変化させられる請求項1に記載の成形機。
【請求項8】
前記衝撃吸収部材は円周方向において複数の部材に分割される請求項1に記載の成形機。
【請求項9】
前記衝撃吸収部材は軸方向において複数の部材に分割される請求項1に記載の成形機。
【請求項10】
(a)前記衝撃吸収部材に穴が形成され、
(b)前記衝撃吸収部材の一端から他端にかけて穴の密度が変化させられる請求項1に記載の成形機。
【請求項11】
前記衝撃吸収部材に隣接させて、前記衝撃を弾性変形によって吸収する衝撃吸収体を備える請求項1に記載の成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−231603(P2006−231603A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46970(P2005−46970)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】