説明

成形発熱材およびその製造方法

【課題】より簡便な工程によって製造することができ、建築・土木用や農業・水産用などの大規模の産業分野に適用することができる成形発熱材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】炭素繊維糸発熱織物を利用した遠赤外線面状発熱体またはその以外の面状発熱体121を型枠の中に定置し、面状発熱体121の上下に、骨材を含む混合物131,132を流し込んで常温乾燥させ、成形発熱材133を製品化する製造方法である。骨材を含む混合物131,132は、主材料である骨材と水硬性凝固材などを、真空撹拝装置を利用して混練されたものである。骨材を含む混合物131,132を真空攪拌装置で混練し、また、流し込んだ後に常温乾燥することで、気泡や割れ目のない成形発熱材133を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築の暖房用床材料および壁材などの建築材料、土木の結氷防止の発熱ブロック、道路、空港、港湾、駐車場などの融雪用ブロック、上水道凍破防止のブロック、暴雪地域の鉄道融雪用枕木、道路周辺の下水溝の融雪用ブロック、大衆交通の乗下車場結氷防止ブロック、農産物栽培用の地中発熱ブロック、農作物乾燥用の発熱材、養魚場の冬季用の温熱ブロック、暴雪地域の屋根融雪用の発熱機、野外通信中継所の温度維持用の発熱材、遠赤外線放射またはマイナスイオン効果を伴う石べット,蒸し風呂,サウナなどの健康増進施設等の全ての産業分野に活用できる成形発熱材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、これまでに、セラミックス炭素繊維紙面状発熱体(特許文献1、参照。)および炭素繊維糸発熱織物とこれを利用した遠赤外線放射面状発熱体(特許文献2、参照。)を考案した事があるが、現在までの大多数の面状発熱体は建築・土木用や農業・水産用などの大規模な産業分野に適用するには多くの難点がある。
【0003】
【特許文献1】韓国特許第0498620号明細書
【特許文献2】韓国特許第0491225号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の面状発熱体は、そのものだけで応用するには衝撃、接触、水気、高熱、冷寒(冷気)、曲げ、化学変化、感電などに脆弱性を持っていて、表面または外形部を、別途設置した保護部材の内部または下部に挿入して利用する方式でなければ、使用するのがとても難しく、面状発熱体が外部に直接露出する場合には、直接、発熱素材の表面部または断熱部を保護材で堅く処理しなければ断線・短絡・製品寿命の短縮などをもたらすこととなる。また、表面部または外形部を別に製作したり設置したりする作業は、処理費用が面状発熱体よりむしろ多くかかるので市場拡大の障害要因の1つになっている。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて、より簡便な工程によって製造することができ、建築・土木用や農業・水産用などの大規模な産業分野に適用することができる成形発熱材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、常温乾燥方式で完全な凝固型成形発熱材を製造するための製造方法技術で、従来の多くの開発研究者たちが試みたが現在まで成功することができなかった今までにない製品製造技術である。
【0007】
本発明の成形発熱材の製造方法は、ゴム型や合成樹脂型の中間部位に面状発熱体を定置させ、水硬性凝固材を入れて攪拌させた骨材を含む混合物を、前記面状発熱体の上、下部に流入させて常温乾燥させることを特徴とする。
【0008】
本発明の一番重要な核心は、既存に開発された面状発熱体を、型枠の中間部位に定置して、凝固材を入れて攪拌させた無機物質または有機物質の混合物を流し込んで成形発熱材を作ることである。また、面状発熱体の上、下部に流入させた混合骨材を、常温で乾燥させることである。
【0009】
煉瓦やタイルなどの製造過程においては、骨材を含む混合物を型枠に流入した後、高熱乾燥方式で乾燥させるが、面状発熱体を型枠の中間部位に定置させた状態で、骨材を含む混合物を流し込み、その後高熱乾燥をしてしまうと、面状発熱体が高熱によって変形し、電気的な欠陥が発生して不良品となり、製品寿命を保障することができなくなってしまう。また、骨材を含む混合物も、高熱過程で形態の変形が起きて目的とした規格製品を正確に製作することができない結果で現れる。
【0010】
本発明は、面状発熱体を型枠の中に定置して、無機物質または有機物質を混練して得られた骨材を含む混合物を型枠の中に定置された面状発熱体の下部と上部に入れて常温乾燥させることによって、骨材を含む混合物が凝固乾燥した混合体の中に気泡や割れ目が発生しない完璧な凝固型成形発熱材を作ることができる。ここで、面状発熱体としては、炭素繊維糸発熱織物を利用した遠赤外線面状発熱体、またはそれ以外のあらゆる面状発熱体を用いることができる。
【0011】
ところで、コンクリート構造物を崩した時に生ずるコンクリート廃資材は発生量が多く、また、これから益々増加する可能性が高い。しかしながら、リサイクル方法としては、粉砕後に低強度のコンクリート製品製造に混入させたり、表面部分を払い落とした後、再生骨材として利用したりするなど、制限された方法しかないのが実情である。
【0012】
そこで、本発明においては、成形発熱材を製作するにおいて、建築廃棄物,廃ガラス,溶融スラグ,合成樹脂廃棄物などの各種廃棄物を骨材として代替使用する方が望ましい。
【0013】
本発明者は、これまでに、ケイ素・アルミナ・ナトリウム・カルシウム・チタンおよび鉄などを主成分とするアルミナ系水硬性凝固材を考案している。この水硬性凝固材は、既存の製品工程から不可欠に経る高温成形ではない水と骨材と凝固材を混練した後、型枠で硬化させる方法により製造される。
そこで、本発明においては、成形発熱材を製作するにおいて、凝固材として水硬性凝固材を使用する方が望ましい。これにより、硬化物の中長期の組成の安定と、アルミナ系水硬性凝固材の特長である初期の高温の水和反応による水和熱を抑える事ができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡便な工程によって製造することができ、建築・土木用や農業・水産用などの大規模な産業分野に適用することができる成形発熱材を提供することができる。また、本発明によれば、常温乾燥させることにより、成形発熱材の内部に定置されている面状発熱体の変形や故障がないので、製品寿命を保証することができ、また、規格製品を正確に製作することができる。
また、本発明の成形発熱材は、一般的な用途の場合、面状発熱体の表面または断熱部を低純度の合成樹脂で圧搾処理して凝固型成形材の中に挿入一体化するので、衝撃、接触、水気、高熱、冷寒(冷気)、曲げ、化学変化、感電などによる影響をほとんど受けることがない。また、骨材となるコンクリート廃資材も安く入手することができるため、全体的に非常に安い生産原価で構成することができ、先後進国を問わず絶対的な価格競争力を維持することができる。さらに、特殊製品(例:原料生産のための乾燥システムなど)の場合には数十倍の付加価値を作り上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の常温乾燥凝固型成形方法は、水硬性凝固材と各種無機物質または水和不反応有機物質などの骨材とを、水硬性凝固材を約20〜40質量%、骨材を約60〜80質量%の割合で均一混合を行って混合物を形成し、この混合物に対し、水、約20質量%〜約25質量%加えて、特殊な構造を持つプロペラを有する真空装置で等価対流を発生させながら均一混合を行う。この特殊な構造を持つプロペラを有する真空装置とは、上下各2枚のはねを有する攪拌ペラの羽根が回転軸に対して45度の傾斜を有し、攪拌容器内にも、螺旋状に設けた羽根を作ることにより回転時に液体と液体がぶつかり合い容器底部より湧き上がる様な状態の流動を起こし、効率よく混和物中の空気を脱気する事ができ、均一混合攪拌を行う事ができる装置である。この装置を用いて混合物を真空攪拌した後に、空気の介入が無いように型枠に流し込む。この型枠の中間部位には、面状発熱体が定置されており、混合物は、この面状発熱体の上、下部に流し込まれる。その後、20℃から30℃の常温で6時間〜10時間程度静止養生して硬化させることで製品の1次完成となる。
【0016】
上記の工法により、建築廃棄物,廃ガラス,溶融スラグ,合成樹脂廃棄物などの各種廃材等を骨材とした場合、骨材表面を被覆している空気層を完全に取り除く事ができ、この真空工法によりセメントと各種骨材の界面における密着性を飛躍的に向上させる事ができる。また、真空中での攪拌により、より均一に混合された混合物は、非常に安定した液状を保ち、これを型枠へ流し込み養生(1次凝固)してでき上がった1次製品は、均一な組成を有し、また、この1次製品を外装処理して得られる2次製品も安定したものとなる。またアルミナ系水硬性凝固材の中にシリカヒュームといわれる高純度活性シリカを5質量%〜13質量%添加する事により、硬化物の中長期の組成の安定と、アルミナ系水硬性凝固材の特長である初期の高温の水和反応による水和熱を抑える事ができる。さらに上記方法を用いて製作する2次製品は、製造工程において型枠の中に流し込み成形を行うだけで表面の質感を忠実に再現した優れた転写性を有しており、生産工程の中で金型などを有したプレス成形等がないため、ゴム型や樹脂型を使用する事ができる。
【0017】
(実施の形態)
次に、本発明の実施の形態における成形発熱材について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態における成形発熱材の完成前状態を図示した斜視図として、型枠内に乾燥中の状態を図示した斜視図である。図2は、本実施の形態における成形発熱材の外形の斜視図である。図3は、本実施の形態における成形発熱材の内部構造を図示するための分解斜視図である。図4は、本実施の形態における成形発熱材の第2実施例を図示した分解斜視図である。図5は、本実施の形態における成形発熱材の第3実施例を図示した斜視図である。図6は、本実施の形態における成形発熱材の製造工程のフローである。図7は、本実施の形態における骨材混合物製造装置を図示した参考図である。図8〜図10は、本実施の形態における成形発熱材の表面に外装処理がなされた状態を図示した例示図である。
【0018】
まず、図1に図示された本実施の形態では、型枠111に面状発熱体121を定置して、面状発熱体121の下部に、真空攪拌(図7、参照。)された骨材を含む混合物131を空気が介入しないように平面形流入機で流入させて満たし、また、面状発熱体121の上部にも、真空攪拌(図7、参照。)された骨材を含む混合物132を型枠111の高さまで満たして常温乾燥の場所に移す。
【0019】
本実施の形態では、この時使われる骨材の主材料として、建築廃棄物の粉砕物,廃ガラス,溶融スラグ,合成樹脂廃棄粉砕物,廃タイヤ粉砕物などを50質量%〜70質量%まで混入する。そして、石英沙,セメントなどとともに、本発明者が考案した水硬性凝固材と水を混合して高速混練攪拌機と真空攪拌機(図7、参照。)で、順に攪拌して型枠の中に流入させる。
【0020】
従来の技術では、骨材の主材料で砂,細かく粉砕された破石,セメント,その他材料が主に使われ、これらが人造大理石および飾りタイルの主成分を成しているが、従来はこれらを、中速または低速ミキサー装置を通じて混合する方式が一般的であった。
【0021】
最近、環境産業(再生)の一環で建築廃棄物,廃ガラス粉砕物などを一部混合して骨材として使う製造方法を特殊美匠タイル業社が採択しているが、この場合、乾燥方法は石油燃料(主にBunker−C油またはガス)を利用した高熱処理しかできない。
また、従来の技術で製造される人造大理石は表面部分を研いて光沢まで出さなければならない工程で高熱処理されており、また、最近増加している厚板ガラス製造方式による高圧ガラスの大理石も同じく高熱処理されていることから、これらについては、その製造工程で多くのエネルギーを要する。
【0022】
本実施の形態は、常温乾燥の場所に移された型枠111は、中の未凝固成形物(混合物131,132)が20〜30℃に維持されるような多段型乾燥台に載せられて、6〜10時間の間に静止養生される自然乾燥で1次製品が完成される無動力・非熱処理の乾燥方式である。
【0023】
この時使われる型枠111は、従来の技術とは違い、ゴム型やウレタン・PPなどの合成樹脂型を用いることが可能なので、型枠製作に必要となる費用が非常に安く、型枠の表面部112を多様にデザインすることができ、建築物の内装や外装の演出に早く対応することができる長所を持っている(図8,9、参照。)。
【0024】
本実施の形態では、図1の上部の混練骨材の混合物132の配合において、熱伝導性に優れたセラミックス・Si粉末などを混入して表面部135(図2,3、参照。)とし、面状発熱体121から表面部135までの熱伝導を早くし、また、下部の混練骨材の混合物131の配合において、断熱性が優秀な廃発泡スチロール粉砕物や廃タイヤ粉砕物を混入して、面状発熱体121の断熱部134とし、断熱性を高めることでエネルギー節減の最大効果を得る方法を講じている。
【0025】
上で説明した熱伝導性と断熱性を高めるための混練骨材の混合物131,132を作業工程において同時に供給するために、図6の工程フロー上の混練攪拌機と真空攪拌機を複数配置し、図1の面状発熱体121の下部と上部にそれぞれ混練骨材の混合物131,132を順に流入させる。
【0026】
本実施の形態の凝固型の成形発熱材133は、建築および土木・農水産など大規模な産業分野に広く適用が可能である。この場合、さまざまな規格(SIZE)に製作して、連結・組み立てをしたり、組合せたりするために、本実施の形態における成形発熱材133を製造する工程において、連結用金具を挿入するとよい。本実施の形態では、この連結用金具の挿入が容易に可能である。また、本実施の形態における成形発熱材133は、一般的な人造大理石やタイルに使われる下地剤・付着剤・接着剤などと非常によく融合される。特に本発明者が考案した専用接着材料は、本実施の形態における成形発熱材133を連結または組み合わせて付着するとか接着する作業には優秀な性能を持っていて便利である。
また、凝固型の成形発熱材133の上部骨材混合物132の表面部135を、型枠のデザインによって多様に演出することができる(図8,9、参照。)。また、図2に示す電源供給部122は、上記面状発熱体121に電流を供給する役目をする。
【0027】
凝固型の成形発熱材133の面状発熱体121の代わりに、線状発熱体を使うこともできるが、作業工程で工程時間を増やさなければならない短所があり、初期熱伝導の時間がもっと必要となるだけでなく、線状発熱体は電熱線がほぼ単一線の構造である関係で、断線・短絡が発生した時は、単位製品自体を入れ替えなければならない大きな不便をもたらす。そこで、本発明者は、本実施の形態における成形発熱材133には面状発熱体121を使うことを基本とする。
【0028】
また、製品製作の時、使う面状発熱体121は極細糸炭素繊維糸またはアルミニウムシートを発熱素材とすることが一番相応しくて、絶縁部は柔軟性がある高分子合成樹脂シートを融着させたものが、骨材を含む混合物131,132に使われる水硬性凝固材と一番よく接合される。
凝固型の成形発熱材133の表面部135は、図2でも説明したが、表面処理素材によって非常に多用な種類の製品を生産することができる。
成形された表面の上や成形進行の途中工程で、表面部135に木材の板材・木目などを接合させて高級暖房資材を製作することができるし、遠赤外線を多量放射するセラミックス類,Si,トルマリン,ゲルマニウムなどやマイナスイオンがたくさん出る鉱石類などを表面処理して健康増進用の健康施設における資材を製作することは難しくない。
【0029】
また、最近健康用で非常によく用いられている黄土,墨粉,磁性粉,玉粉などを使って表面処理すれば、一番安全で製作が簡便な温熱石べット,温熱寝床,温熱居間の床材料などの主資材として使うことができる、また、感電,電磁波,水脈などの問題もとても易しく解決することができる(図8,9、参照。)。
【0030】
また、成形発熱材133の混合物132の表面に、弾力性のある耐熱不織布を特殊バインダで接着して、その上に、日本式畳136を外装処理すれば温熱畳みを作ることができ、表面に繊維織物などを外装処理して、高級な内蔵温熱壁材を製作することができるなど、建築資材分野だけでも応用範囲がすごく広い(図10、参照。)。
【0031】
凝固型の成形発熱材133は、現在、製作が容易な横×縦の最大大きさを、1000×2000mmにしており、連結接合のために必要時には、連結用の凹凸部151(図3、参照。)を凝固型の成形発熱材133の断熱部134の側面に挿入して製作することができる。
【0032】
図4に示すように、本実施の形態の成形発熱材133を、土木・農水産分野に使うためにブロック形態に製作することができ、用途によってさまざまな規格の製品を生産することができる。
混練された骨材を含む混合物131,132の場合、図1で説明した廃棄物をリサイクルして多量に使うことができ、用途によって強度・硬度を調節することができ、水硬性凝固材の密度で防水機能を強化することができる。
また、農水産用の場合は骨材を含む混合物131,132に人工ゼオライトを混入して土地改良、水質改善の効果を得ることができるとともに、農作物の成長促進と養魚場の凍寒期の温度調節用として製作することができる。
【0033】
図5に示すように、凝固型の成形発熱材133の骨材を含む混合物130の中に定置固定された面状発熱体121と、また他の成形発熱材の面状発熱体との間で電気的な連結をするために、成形発熱材133の側面部の4方向に、必要に応じて防水タイプの電源連結具124を挿入して固定させ、専用連結ピンを挿入して成形発熱材133と他の成形発熱材との間の電気的な連結をすることができる。防水タイプの電源連結具124は承認された標準製品を使う。
【0034】
次に、図6,7を用いて本実施の形態における骨材を含む混合物の製造方法の詳細を説明する。
【0035】
まず、水硬性凝固材と各種無機物質又は水和不反応有機物質等の骨材とを、凝固材を約20〜40質量%、骨材を約60〜80質量%の割合で均一混合を行って混合物を形成し、この混合物に対し水約20質量%〜約25質量%加えて高速マゼラーや高速攪拌機等を利用し、高速で攪拌を行う。
【0036】
次に、図7に示す真空攪拌装置(AVMミキサー)を利用し、等価対流での真空攪拌を行う。
まずAVMミキサーの各バルブ類(排出口バタフライバルブ34は閉,エアードレインバルブ33は閉,エアーフィルターバルブ32は開,安全弁バルブ26は閉,加圧レギュレーターバルブは閉とする。)の開閉をあらかじめ確認する。次に、タンクフタ18を開け、高速攪拌した材料を投入する。投入後、攪拌スイッチ13を正転側に入れ等価対流が発生する様にインバーター8でモーターの速度を調整し、等価対流が起きたことを確認した後、タンクフタ18を閉め、6箇所のタンクフタ固定締め付けハンガー金具25を締める。本実施の形態における真空攪拌装置は、等価対流を発生しやすくするために特殊な構造を持つ攪拌用の羽根5を有している。この特殊な構造の羽根5とは、上下各2枚のはねを有する攪拌ペラの羽根5が回転軸に対して45度の傾斜を有し、攪拌容器4内にも、らせん状にもうけた羽根5を作ることにより回転時に液体と液体がぶつかり合い、攪拌容器4底部より湧き上がる様な状態の流動を起こし、効率よく混和物中の空気を脱気する事ができ、均一混合攪拌を行う事ができるものである。
【0037】
次に、真空ポンプ28のスイッチ12を入れ、攪拌容器4内を真空状態にし、攪拌容器4内の材料を等価対流状態で真空攪拌する。達成圧力計が60cmHg(79.98kPa)程度に達成するまで真空引きし、達成後に真空ポンプ28のスイッチ12を切り、インバーター8でモーターの速度を調整し、低速にして排出口バタフライバルブ34を開け、材料を排出口バタフライバルブ34より排出する。
【0038】
上記説明した構成で次のような効果を得ることができる。
(1)水硬性凝固材を骨材とともに取り合わせて水を交ぜて混練攪拌した後、特殊な真空攪拌装置を利用することにより、空気の混入がとても少ない均一な状態の良い品質の混合物を作ることができ、これを型枠の中に定置固定された面状発熱体の上下に流し込んで常温乾燥させるだけで、凝固型の成形発熱材を簡便に製作することができる。
(2)大掛かりな装置を必要とせず、多様で優秀な製品を製造することができる。また、機械装置の投資を減らすことができ、最小限の工場規模で全世界的な市場製品を生産することができる。
(3)使用する骨材として、廃棄物を粉砕して活用することができるので、環境保護に寄与することができ、生産原価の節減につながる。
(4)高温で焼くことなく、タイル形態・煙瓦形態・大理石形態・ブロック形態・彫刻物などを製作することができるので、競争力ある製品生産はもちろん二酸化炭素の排出などの環境破壊を起こすことなしに生産することができる。
(5)耐火性・不燃性の製品を作ることができるので、建築材料として卓越な効果を得ることができる。
(6)高強度または安全性のある製品を製造することができる素材と装置であるので、骨材の選択幅が広く、特殊素材の使用によって高付加価値の製品を生産することができる。
(7)特に、図4の凝固型の成形発熱材をブロック状に成形した場合は、高速道路および一般道路の結氷防止・融雪用、道路周辺の下水溝の結氷防止用、駐車場の進入路および野外駐車場の結氷防止用、大型階段の結氷防止用、トンネルの入口およびトンネル内の結氷防止用、暴雪地域鉄道の融雪用、空港および港湾の融雪用、上水道の凍破防止用など、容易に適用することができる製品として、全世界の市場に進出することができる環境製品を生産することができる。
(8)凝固型の成形発熱材の表面部に遠赤外線放射体・陰イオン素材などを処理することにより、安全で便利な健康施設材を簡便に製作することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の成形発熱材の製造方法によれば、簡便な工程によって成形発熱材を製造することができ、建築・土木用や農業・水産用などの大規模な産業分野に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態における成形発熱材の完成前状態を図示した斜視図として、型枠内に乾燥中の状態を図示した斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における成形発熱材の外形の斜視図である。
【図3】本実施の形態における成形発熱材の内部構造を図示するための分解斜視図である。
【図4】本実施の形態における成形発熱材の第2実施例を図示した分解斜視図である。
【図5】本実施の形態における成形発熱材の第3実施例を図示した斜視図である。
【図6】本実施の形態における成形発熱材の製造工程のフローである。
【図7】本実施の形態における骨材混合物製造装置を図示した参考図である。
【図8】本実施の形態における成形発熱材の表面に外装処理がなされた状態を図示した例示図である。
【図9】本実施の形態における成形発熱材の表面に外装処理がなされた状態を図示した例示図である。
【図10】本実施の形態における成形発熱材の表面に外装処理がなされた状態を図示した例示図である。
【符号の説明】
【0041】
111 型枠
112 表面部
121 面状発熱体
124 電源連結具
130,131,132 混合物
133 成形発熱材
134 断熱部
135 表面部
136 畳
151 凹凸部
4 攪拌容器
5 羽根
8 インバーター
12 スイッチ
13 攪拌スイッチ
18 タンクフタ
25 タンクフタ固定締め付けハンガー金具
26 安全弁バルブ
28 真空ポンプ
32 エアーフィルターバルブ
33 エアードレインバルブ
34 排出口バタフライバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム型や合成樹脂型の中間部位に面状発熱体を定置させ、凝固材を入れて攪拌させた骨材を含む混合物を、前記面状発熱体の上、下部に流入させて常温乾燥させることを特徴とする成形発熱材の製造方法。
【請求項2】
面状発熱体を中間部位に定置させて、前記面状発熱体の上、下部に、凝固材を入れて攪拌させた骨材を含む混合物を凝固させた成形発熱材。
【請求項3】
面状発熱体を中間部位に定置させて、前記面状発熱体の上、下部に、凝固材を入れて攪拌させた骨材を含む混合物を凝固させた後、表面部に木材板材、木目、畳み、繊維織物などを外装処理した成形発熱材。
【請求項4】
面状発熱体を中間部位に定置させて、前記面状発熱体の上、下部に、凝固材を入れて攪拌させた骨材を含む混合物を1次凝固させた後、表面部に遠赤外線放射体やマイナスイオン素材を表面処理した成形発熱材。
【請求項5】
面状発熱体を中間部位に定置させて、前記面状発熱体の上、下部に、ゼオライトを入れた骨材を含む混合物を凝固させた成形発熱材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−332056(P2006−332056A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143387(P2006−143387)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(506003303)株式会社レストレイション環境リバース (2)
【Fターム(参考)】