説明

成形金型の加熱システム及び加熱方法並びに樹脂成形品の製造方法

【課題】ウエルドラインのない樹脂成形品を、より短い成形サイクルで低コストに成形可能とする成形金型の加熱技術を提供する。
【解決手段】成形金型20が型開きしたときから、第一の制御手段62による加熱手段52の加熱制御により、合流キャビティ面部分の温度を第一の設定温度に向かって昇温させ、合流キャビティ面部分の温度が第二の設定温度となったときから、第一の制御手段62に代わって、第二の制御手段64による加熱手段52の加熱制御により、合流キャビティ面部分の温度を第二の設定温度に保温し、更に、成形キャビティ内への溶融樹脂の充填の完了後に、第二の制御手段64に代わる、第三の制御手段66による加熱手段52の加熱制御により、合流キャビティ面部分を第三の設定温度にまで降温させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形金型の加熱システム及び加熱方法並びに樹脂成形品の製造方法に係り、特に、熱可塑性樹脂材料を用いた射出成形やトランスファ成形等による樹脂成形品の成形に際して好適に用いられる成形金型の新規な加熱システムと、そのような成形金型の加熱方法の改良と、かかる加熱方法によって成形金型を加熱しつつ、樹脂成形品を有利に製造する方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱可塑性樹脂材料からなる樹脂成形品を成形する成形金型には各種の構造のものがあり、目的とする樹脂成形品の成形手法に応じて、適宜に選択されて、用いられている。例えば、射出成形やトランスファ成形の実施に際しては、溶融樹脂を成形金型のキャビティ面に沿って流動させて、成形キャビティ内に充填し、固化せしめることにより、樹脂成形品を成形するようにした構造のものが、使用される。
【0003】
このような成形金型にあっては、樹脂材料が溶融状態で成形キャビティ内に充填されるものであるため、目的とする樹脂成形品が複雑な形状を有していても、金型の損傷等の不具合を生じさせることなく、かかる樹脂成形品の大量生産が可能となる。しかしながら、成形キャビティ内に溶融樹脂の合流箇所が存在する場合には、成形された樹脂成形品の表面に、ウエルドラインが発生することが、往々にしてあったのである。
【0004】
かかる状況下、成形キャビティ内で溶融樹脂が合流する箇所に位置する成形金型の合流キャビティ面部分の内部に、ヒータやペルチェ素子等の加熱装置を埋設し、それらの加熱装置にて、成形金型のキャビティ面のうちの一部である合流キャビティ面部分を、その他の部分よりも高い温度に加熱するようにした成形金型の加熱システムが、提案されている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。このような加熱システムによれば、成形キャビティ内を流動する溶融樹脂が高い温度を維持したままで合流せしめられるようになり、それによって、合流した溶融樹脂同士が良好に融合せしめられ、以て、最終的に得られる樹脂成形品の表面へのウエルドラインの発生の防止が、有効に図られ得るのである。
【0005】
ところが、従来の成形金型の加熱システムでは、合流キャビティ面部分を効率的に加熱することが、極めて困難であった。
【0006】
すなわち、従来の加熱システムのうち、ヒータを加熱装置として用いるものにあっては、成形金型が型開きされて、樹脂成形品が取り出された後に、ヒータによる合流キャビティ面部分の加熱が開始され、それが、成形キャビティ内への溶融樹脂の充填完了まで継続される。また、ヒータによる合流キャビティ面部分の加熱が継続されている間は、合流キャビティ面部分の温度が、その他のキャビティ面部分よりも高い所定の温度に維持されるように、ヒータの加熱温度が制御される。そして、成形キャビティ内への溶融樹脂の充填完了によって、ヒータによる加熱が終了せしめられ、またそれと同時に、成形金型の内部におけるヒータの近傍に設けられた冷却回路内に冷却水が供給されて、合流キャビティ面部分が冷却される。その後、成形金型の型開きの開始と同時に、冷却回路内への冷却水の供給が停止される。そして、樹脂成形品が金型内から取り出された後、再び、ヒータの加熱が開始されて、上記の如き合流キャビティ面部分の加熱及び冷却操作が、繰り返し実施されるようになっている。
【0007】
また、ペルチェ素子の加熱装置として用いる加熱システムにあっては、成形金型の型閉じが完了したときに、ペルチェ素子の合流キャビティ面部分側の部位が発熱せしめられて、その発熱作用により、合流キャビティ面部分が加熱され、それが、成形キャビティ内への溶融樹脂の充填完了まで継続される。また、ペルチェ素子による合流キャビティ面部分の加熱が継続されている間は、合流キャビティ面部分の温度が、その他のキャビティ面部分よりも高い所定の温度に維持されるように、ペルチェ素子の発熱温度が制御される。引き続き、成形キャビティ内への溶融樹脂の充填完了によって、ペルチェ素子の合流キャビティ面部分側の部位が発熱から吸熱に切り換えられ、その吸熱作用により、合流キャビティ面部分の温度が低下せしめられる。その後、成形金型の型開きの開始と同時に、ペルチェ素子への給電が停止される。そして、樹脂成形品が金型内から取り出されて、成形金型が型閉じされた後、再び、ペルチェ素子に通電されて、上記の如き合流キャビティ面部分の加熱及び冷却操作が、繰り返し実施されるようになっている。
【0008】
このように、従来の成形金型の加熱システムにおいては、何れも、成形金型が型開きされてから、金型内から樹脂成形品が取り出されるまでの間、或いは成形金型が型開きされてから、再び型閉じされるまでの間、合流キャビティ面部分に対する加熱は勿論、保温もされていない。そのため、型開き後の合流キャビティ面部分の温度が、溶融樹脂の成形キャビティ内への充填完了後に冷却された型開き時の温度から、更に不可避的に低下していくようになる。それ故、再び、樹脂成形品の成形に際して、合流キャビティ面部分を加熱するときには、合流キャビティ面部分の温度を、溶融樹脂の成形キャビティ内への充填完了後の冷却時の設定温度よりも更に低い温度から上昇させなければならなかった。
【0009】
従って、かくの如き従来の成形金型の加熱システムを採用した場合、合流キャビティ面部分を、樹脂成形品表面へのウエルドラインの発生防止が可能な温度にまで加熱するのに、より多くの時間とエネルギーを費やさなければならず、その分だけ、目的とする樹脂成形品の成形サイクルが長くなって、製造コストも高騰することが避けられなかったのである。
【0010】
【特許文献1】特開平7−290541号公報
【特許文献2】特開2005−193423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、ウエルドラインのない樹脂成形品を、より短い成形サイクルで低コストに成形可能とする成形金型の加熱システム、及び加熱方法を提供することにある。また、本発明にあっては、そのような成形金型の加熱方法を利用して、ウエルドラインのない樹脂成形品を有利に製造する方法をも、その解決課題とするところである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして、本発明にあっては、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであり、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいて採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されるものではなく、明細書全体の記載及び図面から把握される発明思想に基づいて認識されるものであることが、理解されるべきである。
【0013】
<1> 溶融樹脂をキャビティ面に沿って流動させて、成形キャビティ内に充填し、固化せしめることにより、樹脂成形品を成形する成形金型を加熱するためのシステムであって、(a)前記成形金型の型開き開始を検出する型開き開始検出手段と、(b)前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填完了を検出する充填完了検出手段と、(c)前記成形キャビティ内で前記溶融樹脂が合流する箇所に位置する前記成形金型の合流キャビティ面部分の内部に埋設されて、該合流キャビティ面部分の温度を検出する第一の温度検出手段と、(d)前記成形金型の合流キャビティ面部分の内部に埋設されて、該合流キャビティ面部分を加熱する加熱手段と、(e)該加熱手段の加熱温度を検出する第二の温度検出手段と、(f)前記成形金型の型開き開始が前記型開き開始検出手段にて検出されたときに、前記加熱手段の加熱温度の制御を開始し、前記第二の温度検出手段による検出温度が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以上に設定された第一の設定温度となるように、該加熱手段の加熱温度の制御を行って、前記合流キャビティ面部分の温度を該第一の設定温度に向かって上昇させる一方、前記第一の温度検出手段による検出温度が前記溶融樹脂のガラス転位温度以上で且つ該第一の設定温度以下に設定された第二の設定温度となったときに、該加熱手段の加熱温度の制御を終了する第一の制御手段と、(g)前記第一の温度検出手段による検出温度が前記第二の設定温度となったときに、前記加熱手段の加熱温度の制御を開始し、前記第二の温度検出手段による検出温度が該第二の設定温度となるように、該加熱手段の加熱温度の制御を行って、前記合流キャビティ面部分の温度を該第二の設定温度に維持せしめる一方、前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填完了が前記充填完了検出手段にて検出されたときに、該加熱手段の加熱温度の制御を終了する第二の制御手段と、(h)前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填完了が前記充填完了検出手段にて検出されたときに、前記加熱手段の加熱温度の制御を開始し、前記第二の温度検出手段による検出温度が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以下に設定された第三の設定温度となるように、該加熱手段の加熱温度の制御を行って、前記合流キャビティ面部分の温度を該第三の設定温度にまで降下させる一方、前記成形金型の型開き開始が前記型開き開始検出手段にて検出されたときに、該加熱手段の加熱温度の制御を終了する第三の制御手段とを含んで構成したことを特徴とする成形金型の加熱システム。
【0014】
<2> 前記第一の制御手段が、前記第二の温度検出手段による検出温度と前記第一の設定温度とを比較して、ON/OFF制御により、前記加熱手段の加熱温度の制御を行うON/OFF制御装置にて構成されている上記態様<1>に記載の成形金型の加熱システム。
【0015】
<3> 前記第二の制御手段が、前記第二の温度検出手段による検出温度と前記第二の設定温度とを比較して、PID制御により、前記加熱手段の加熱温度の制御を行う第一のPID制御装置にて構成されている上記態様<1>又は<2>に記載の成形金型の加熱システム。
【0016】
<4> 前記第三の制御手段が、前記第二の温度検出手段による検出温度と前記第三の設定温度とを比較して、PID制御により、前記加熱手段の加熱温度の制御を行う第二のPID制御装置にて構成されている上記態様<1>乃至<3>のうちの何れか一つに記載の成形金型の加熱システム。
【0017】
<5> 前記充填完了検出手段が、前記成形金型の型閉じ状態からの圧締めの完了を検出する圧締め完了検出装置と、該成形金型の圧締めの完了から、前記溶融樹脂の前記成形キャビティ内への充填が開始されて、それが完了するまでに要する時間以上の長さに設定された設定時間を、該圧締め完了検出装置によって圧締めの完了が検出されたときから計測するタイマ装置とを有し、該タイマ装置による該設定時間の計測の終了に基づいて、前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填完了を検出するようになっている上記態様<1>乃至<4>のうちの何れか一つに記載の成形金型の加熱システム。
【0018】
<6> 前記樹脂成形品が、表面に、金属薄膜が物理蒸着法又は化学蒸着法により形成されることによって、金属調の加飾が施されてなる加飾樹脂成形品の基材である上記態様<1>乃至<5>のうちの何れか一つに記載の成形金型の加熱システム。
【0019】
<7> 溶融樹脂を、キャビティ面に沿って流動させて、成形キャビティ内に充填し、固化せしめることにより、樹脂成形品を成形する成形金型を加熱するための方法であって、(a)前記成形金型が型開きしたときから、前記成形キャビティ内で前記溶融樹脂が合流する箇所に位置する前記成形金型の合流キャビティ面部分の温度が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以上に設定された第一の設定温度に向かって上昇するように、該合流キャビティ面部分を昇温させる工程と、(b)前記合流キャビティ面部分が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以上で且つ前記第一の設定温度以下に設定された第二の設定温度となったときから、該合流キャビティ面部分の温度が該第二の設定温度に維持されるように、該合流キャビティ面部分を保温する工程と、(c)前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填の完了後に、前記合流キャビティ面部分の温度が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以下に設定された第三の設定温度にまで降下するように、該合流キャビティ面部分を降温させる工程とを含むことを特徴とする成形金型の加熱方法。
【0020】
<8> 上記態様<7>に記載の成形金型の加熱方法によって、該成形金型の前記合流キャビティ面部分を加熱しつつ、目的とする樹脂成形品の成形操作を行うこと特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
上述せる如き本発明に従う成形金型の加熱システムにあっては、成形金型の型開きが開始されてから、成形キャビティ内への溶融樹脂の充填が完了するまでの間、即ち、成形金型が型開き状態から型閉じされて、溶融樹脂がキャビティ面に沿って流動せしめられつつ、成形キャビティ内に充填される間、成形金型の合流キャビティ面部分を、溶融樹脂のガラス転位温度以上の温度に加熱し、維持し得るようになっている。そのため、溶融樹脂がキャビティ面に沿って流動せしめられる際に、成形キャビティ内で合流した溶融樹脂同士が良好に融合せしめられ、以て、最終的に得られる樹脂成形品の表面へのウエルドラインの発生の防止が、有効に図られ得ることとなる。
【0022】
そして、かかる本発明システムにおいては、特に、溶融樹脂の成形キャビティ内への充填が完了してから、かかる溶融樹脂の冷却時に、第三の制御手段による加熱手段の加熱温度制御により、合流キャビティ面部分の温度を、ガラス転位温度以下に設定された第三の設定温度にまで降下させるものの、型開きが開始されたときから、第一の制御手段による加熱手段の加熱温度制御によって、合流キャビティ面部分の温度を、ガラス転位温度以上の第二の設定温度、つまり樹脂成形品表面へのウエルドラインの発生防止が可能な温度にまで上昇させ、更に、溶融樹脂の成形キャビティ内への充填が完了するまでの間、第二の制御手段による加熱手段の加熱温度制御によって、合流キャビティ面部分の温度を、上記の如き第二の設定温度に維持させ得るようになっている。
【0023】
それ故、本発明に係る成形金型の加熱システムにあっては、従来の加熱システムとは異なって、成形金型の型開き後に、合流キャビティ面部分の温度が、成形金型の型開き時の温度よりも更に低下していくようなことが有利に回避され得る。それによって、合流キャビティ面部分の温度を、一旦、低下させてから、再び、樹脂成形品表面へのウエルドラインの発生防止が可能な温度にまで上昇させる際の温度上昇幅が、効果的に小さく為され得、以て、そのような合流キャビティ面部分の再加熱に費やされる時間とエネルギーとが、有利に節約され得る。
【0024】
しかも、成形金型が型開きされた後、型閉じが完了してから、或いは樹脂成形品が取り出されてから、初めて、合流キャビティ面部分の加熱が開始される従来の加熱システムとは異なって、本発明システムでは、成形金型の型開きが開始されたときから、合流キャビティ面部分の加熱が開始され、型開き操作と樹脂成形品の取出し操作と型閉じ操作とが行われている間の時間を有効に利用しつつ、それらの操作と同時進行で、合流キャビティ面部分の温度が、樹脂成形品表面へのウエルドラインの発生防止が可能な第二の設定温度にまで上昇せしめられ得るようになる。それ故、樹脂成形品を成形するための一連の操作に要される時間に加えて、合流キャビティ面部分の温度を第二の設定温度にまで上昇させるための時間が余分に必要となることが、極めて効果的に解消乃至は抑制され得る。
【0025】
従って、かくの如き本発明に従う成形金型の加熱システムによれば、ウエルドラインのない樹脂成形品を、より短い成形サイクルで低コストに成形することが可能となるのである。
【0026】
また、本発明に従う成形金型の加熱方法及び本発明に従う樹脂成形品の製造方法にあっても、上述せる如き本発明に従う成形金型の加熱システムにおいて奏され得る作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、極めて有効に享受され得ることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0028】
先ず、図1には、本発明手法に従って成形金型を加熱しつつ製造された樹脂成形品の一例として、表面に金属薄膜がスパッタリングにより形成される自動車用内装部品の基材として用いられる樹脂成形品が、斜視形態において示されている。そこにおいて、樹脂成形品10は、射出成形によって得られる射出成形品からなり、所定厚さを有する矩形の平板の中央に、矩形の窓部12が設けられた、全体として、矩形の枠体形態を呈している。また、かかる樹脂成形品10にあっては、窓部12を間に挟んで、その横方向(図1中の左右方向)の両側に位置する部分が、縦方向(図1中の上下方向)にそれぞれ延びる縦枠部14a,14bとされる一方、窓部12を間に挟んで、その縦方向の両側に位置する部分が、横方向にそれぞれ延びる横枠部16a,16bとされている。そして、それら各縦枠部14と各横枠部16とからなる樹脂成形品10の厚さ方向の一方側の面が、意匠面18とされて、この意匠面18に対して、図示しない金属薄膜が、例えば、公知のスパッタリング法や蒸着法等により形成されるようになっている。
【0029】
ところで、この樹脂成形品10の製造に際しては、例えば、図2に示される如き成形金型20が用いられる。
【0030】
すなわち、図2から明らかなように、樹脂成形品10の製造に用いられる成形金型20は、位置固定の固定盤22と、この固定盤22に対して所定距離を隔てて対向配置された可動盤24と、それら固定盤22及び可動盤24の互いの対向面上にそれぞれ固設されて、互いに対向配置された固定型26及び可動型28とを有している。また、かかる成形金型20においては、可動盤24が、例えば、型締め装置の油圧機構等(共に図示せず)にて、固定盤22に対して接近/離隔可能とされており、それによって、可動型28が固定型26に接近/離隔せしめられて、それら可動型28と固定型26とが、型閉じ/型開きされるようになっている。
【0031】
そして、図2及び図3に示される如く、可動型28の固定型26との型合せ面(対向面)の中央部には、キャビティ形成凸部30が、目的とする樹脂成形品10の窓部12に対応した矩形形状をもって、一体的に突設されている。また、固定型26の可動型28との型合せ面(対向面)の中央部には、キャビティ形成凹所32が、樹脂成形品10の外面形状に対応した形状をもって、形成されている。そして、ここでは、そのような固定型26と可動型28との型閉じに伴って、キャビティ形成凸部30がキャビティ形成凹所32内に突入せしめられることにより、それら固定型26と可動型28の互いの型合せ面間に、樹脂成形品10に対応した形状を有する成形キャビティ34が形成されるようになっている。つまり、ここでは、成形キャビティ34が、キャビティ形成凹所32の底面の外周部及び側面の全面と、キャビティ形成凸部30の側面の全面と、可動型28の固定型26との型合せ面におけるキャビティ形成凸部30を取り囲む周辺部分とに囲まれて形成されており、以て、それらの面が、全て、キャビティ面36とされている。
【0032】
また、固定盤22には、射出装置のノズル37に接触せしめられるスプルーブッシュ38が取り付けられている一方、固定型26には、サブスプルー40が、設けられている。このサブスプルー40は、固定盤22のスプルーブッシュ38との接触面とキャビティ形成凹所32の底面とにおいてそれぞれ開口し、固定型26と可動型28との型閉じ状態下において、スプルーブッシュ38のスプルー42と成形キャビティ34とを連通するようになっている。
【0033】
かくして、成形金型20においては、固定型26と可動型28との型閉じ状態下で、スプルーブッシュ38に接触せしめられた射出装置のノズル37から溶融樹脂(図示せず)が射出されると、この溶融樹脂が、スプルー42とサブスプルー40とを経て、かかるサブスプルー40の成形キャビティ34側の開口部44を通じて、成形キャビティ34内に導入され、充填されるようになっている。そして、成形キャビティ34内に充填された溶融樹脂が、冷却、固化せしめられることによって、目的とする樹脂成形品10が成形されるようになっているのである。
【0034】
ここで、図2及び図3から明らかな如く、成形金型10にあっては、サブスプルー40の成形キャビティ34側の開口部44が、目的とする樹脂成形品10の二つの縦枠部(14a,14b)のうちの一方を与える、キャビティ面36の一部からなる縦枠部形成キャビティ面部46aの長さ方向中央部位において開口せしめられている。そのため、かかる開口部44を通じて成形キャビティ34内に導入された溶融樹脂は、図3に矢印で示されるように、縦枠部形成キャビティ面部46aの中央部から、その長さ方向両側に向かって二つに分かれた後、二つの横枠部(16a,16b)をそれぞれ与える二つの横枠部形成キャビティ面部48a,48bに沿って成形キャビティ34内を流動せしめられ、その後、他方の縦枠部(14b)を与える縦枠部形成キャビティ面部46bの長さ方向の中央部において、二つに分かれた溶融樹脂同士が、再び合流されるようになっている。
【0035】
かくして、かかる成形金型20においては、キャビティ形成凸部30を間に挟んで、サブスプルー40の開口部44が位置する側とは反対側に位置する、他方の縦枠部(14b)を与える縦枠部形成キャビティ面部46bの長さ方向の中央部(図3に示された楕円:ア内の領域)が、成形キャビティ34内を二つに分かれて流動せしめられる溶融樹脂同士が再び合流する合流キャビティ面部分50とされているのである。
【0036】
なお、ここでは、理解を容易とするために、成形キャビティ34内での溶融樹脂の流れを上記せる如き単純な流れとして想定した上で、縦枠部形成キャビティ面部46bの長さ方向の中央部が、合流キャビティ面部分50とされていたが、実際に、樹脂成形品10を成形する際には、例えば、目的とする樹脂成形品10の形状や、溶融樹脂の種類、サブスプルー40の開口部44の位置等を含む成形金型20の全体構造、射出条件等によって、成形キャビティ34内での溶融樹脂の流れが、更に複雑なものとなる。それ故、実際の樹脂成形品20の成形に際しては、樹脂成形品10の形状や、溶融樹脂の種類、成形金型20の全体構造、射出条件等を考慮して、流動解析を行うことにより、合流キャビティ面部分50のキャビティ面36での形成位置が決定され、或いは樹脂成形品10の成形に用いられる成形金型20に類似した構造を有する成形金型を用いて、目的とする樹脂成形品10やそれに類似の射出成形品を実際に成形することによって、合流キャビティ面部分50のキャビティ面36での形成位置が決定されることとなる。
【0037】
而して、本実施形態においては、特に、かくの如き構造とされた成形金型20に対して特別な加熱システムが設けられており、この加熱システムによって、成形金型20のキャビティ面36が、上記せる合流キャビティ面部分50において局部的に加熱されるようになっている。
【0038】
より具体的には、成形金型20の加熱システムは、図2乃至図4に示されるように、加熱手段としてのカートリッジヒータ52と、第一の温度検出手段としての第一熱電対54とを有している。それらカートリッジヒータ52と第一熱電対54は、それらの先端に位置する発熱部や感熱部を、合流キャビティ面部分50の一部を構成するキャビティ形成凹所32の底面部分の直下に位置せしめた状態で、固定型26の内部の表層部分に埋設されている。また、カートリッジヒータ52は、第二の温度検出手段としての第二熱電対(56)を内蔵して(図5参照)、電源装置58に対して電気的に接続されている。
【0039】
これにより、電源装置58からカートリッジヒータ52への給電に伴って、合流キャビティ面部分50が、カートリッジヒータ52にて加熱されるようになっている。また、かかるカートリッジヒータ52の加熱温度が、カートリッジヒータ52に内蔵の第二熱電対(56)にて検出される一方、カートリッジヒータ52にて加熱された合流キャビティ面部分50の表面温度が、第一熱電対54にて検出されるようになっている。
【0040】
なお、カートリッジヒータ52と第一熱電対54の固定型26内部への埋設深さは、合流キャビティ面部分50を十分に加熱し得る深さや、合流キャビティ面部分50の表面温度が正確に検出可能な深さであれば、何等限定されるものではなく、固定型26の強度等を考慮して、適宜に決定されるところである。従って、ここでは、例えば、第一熱電対54の固定型26内部への埋設深さ、つまり、合流キャビティ面部分50の一部を構成するキャビティ形成凹所32の底面部分から第一熱電対54までの距離(図4にtにて示される寸法)が、5mm程度とされている。
【0041】
そして、本実施形態では、図1に示されるように、カートリッジヒータ52とそれに内蔵された第二熱電対(56)、更には第一熱電対54と電源装置58とが、それぞれ、CPU、ROM及びRAMを含むコンピュータを主体とする制御ユニット60に対して電気的に接続されている。かくして、カートリッジヒータ52の加熱温度が、かかる制御ユニット60により、第一熱電対54や第二熱電対(56)による検出温度に基づいて制御されて、合流キャビティ面部分50の温度が制御され、また、そのような温度制御の下で、目的とする樹脂成形品10の射出成形が実施されるようになっているのである。
【0042】
すなわち、図5に示されるように、制御ユニット60は、第一の制御手段たるON/OFF制御装置62と、第二の制御手段としての第一のPID制御装置64と、第三の制御手段たる第二のPID制御装置66とを有している。そして、それら三つの制御装置62,64,66は、何れも、カートリッジヒータ52に内蔵の第二熱電対56から出力されるヒータ温度検出信号に基づいて、カートリッジヒータ52に対して所定の制御信号を出力して、カートリッジヒータ52の加熱温度を制御し得るようになっている。
【0043】
また、制御ユニット60は、第一熱電対54から出力される合流キャビティ面部分温度検出信号に基づいて、合流キャビティ面部分50の表面温度が、予め設定された温度(後述する第二の設定温度)に到達したか否かを判定する合流キャビティ面部分温度判定装置68を有している。そして、この合流キャビティ面部分温度判定装置68は、合流キャビティ面部分50の表面温度が予め設定された温度に到達したと判定した際に、合流キャビティ面部分温度判定信号を、ON/OFF制御装置62に出力するようになっている。
【0044】
さらに、制御ユニット60は、タイマ装置70を有している。このタイマ装置70は、型締装置72に設けられた圧締め完了検出装置74から出力される、成形金型20の型閉じ状態からの圧締めの完了を検出する圧締め完了検出信号と、合流キャビティ面部分温度判定装置68から出力される合流キャビティ面部分温度判定信号の両方の信号が入力されたときに、予め設定された時間、具体的には、成形金型20の圧締めの完了から、成形キャビティ34内への溶融樹脂の充填が開始されて、それが完了するまでに要する時間以上の長さに設定された時間を計測するようになっている。そして、このタイマ装置70にあっては、そのような設定時間の計測の終了時に、計時終了信号を、成形キャビティ34内への溶融樹脂の充填の完了を検出した信号として、前記第一のPID制御装置64と第二のPID制御装置64の両方に出力するようになっている。このことから明らかなように、ここでは、タイマ装置70と圧締め完了検出装置74とにて、充填完了検出装置が構成されて、タイマ装置70による計時の終了に基づいて、成形キャビティ34内への溶融樹脂の充填完了が検出されるようになっている。
【0045】
また、型締装置72には、上記せる圧締め完了検出装置74と共に、型開き開始検出装置76が設けられている。この型開き開始検出装置76は、型締め装置72にて、成形金型20の型開きが開始された時点を検出して、型開き開始検出信号を、制御ユニット60のON/OFF制御装置62と第二のPID制御装置66の両方に、同時に出力するようになっている。なお、圧締め完了検出装置74と型開き開始検出装置76は、例えば、型締装置72の図示しない油圧機構の一部を構成する圧力センサ等にて、構成される。
【0046】
さらに、射出装置78には、1回の射出操作が完了する毎に、それを検出する射出完了検出装置80と、1回に射出される樹脂量の計量が完了する毎に、それを検出する計量完了検出装置82とが設けられている。そして、この射出装置78においては、型締装置72の圧締め完了検出装置74から出力される圧締め完了検出信号と、制御ユニット60のタイマ装置70から出力される充填完了検出信号とが入力され、更に、射出完了検出装置80にて、1回の射出操作の完了が検出されると共に、計量完了検出装置82にて、1回分の計量の完了が検出されることによって、1回の射出操作が実施されるようになっている。また、かかる1回の射出操作の実施後に、毎回、次に射出されるべき樹脂の計量が行われるようになっている。なお、射出完了検出装置80と計量完了検出装置72は、例えば、射出装置78の図示しないスクリュの移動位置を検出するエンコーダ等にて、構成される。
【0047】
而して、本実施形態では、目的とする樹脂成形品10の成形操作と並行して、上記の如き構造を有する加熱システムによる成形金型20の加熱操作が、以下の如く実施されるようになっている。なお、以下に示される成形金型20の加熱操作の操作手順は、目的とする樹脂成形品10の成形操作を複数回繰り返して実施する際の二回目以降の成形操作と並行して行われる加熱操作の実施手順を詳述した。
【0048】
すなわち、図6及び図7に示されるように、先ず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする。)において、成形金型20が型開きされる。このとき、かかる型開きの開始時に、型締装置72の型開き開始検出装置76から型開き開始検出信号が出力される。
【0049】
そして、かかる型開き開始検出信号が、制御ユニット60のON/OFF制御装置62に入力されることにより、S2において、ON/OFF制御装置62によるカートリッジヒータ52の加熱温度の制御が開始されて、成形金型20の合流キャビティ面部分50の温度が、樹脂成形品10を成形に用いられる樹脂材料のガラス転位温度:Tg以上の温度にまで昇温せしめられる。即ち、カートリッジヒータ52に内蔵の第二熱電対56による検出温度が、例えば、射出装置78から射出される溶融樹脂のガラス転位温度:Tgよりも10℃だけ高い温度に設定された第一の設定温度:Tg+10℃となるように、ON/OFF制御装置62にて、それら第二熱電対56による検出温度と第一の設定温度:Tg+10℃とが比較されつつ、カートリッジヒータ52の加熱温度がON/OFF制御される。そうして、合流キャビティ面部分50の温度:αが、第一の設定温度:Tg+10℃に向かって徐々に上昇せしめられる。なお、成形金型20の全体は、図示しない公知の加熱装置にて、予め、溶融樹脂のガラス転位温度:Tgよりも低い温度(第三の設定温度よりも低い温度)とされる。
【0050】
また、かかるS2では、型開き開始検出信号が、制御ユニット60の第二のPID制御装置66に入力されることにより、成形金型20の型開き前から実施されている、後述する第二のPID制御装置66によるカートリッジヒータ52の加熱温度のPID制御が、終了せしめられる。なお、樹脂成形品10の成形操作が1回目である場合には、型開き前に、第二のPID制御装置66が作動していないため、S2において、第二のPID制御装置66によるカートリッジヒータ52の加熱温度の制御が何等終了せしめられることなく、ON/OFF制御装置62によるカートリッジヒータ52の加熱温度の制御のみが開始されることとなる。
【0051】
その後、S3において、カートリッジヒータ52の加熱により昇温せしめられる合流キャビティ面部分50の温度:αが、第一の熱電対54にて、逐次、検出される一方、S4において、S3で検出された合流キャビティ面部分50の温度:αが、射出装置78から射出される溶融樹脂のガラス転位温度:Tg以上で且つ前記第一の設定温度:Tg+10℃以下、例えば、第一の設定温度よりも5℃だけ低い温度に設定された第二の設定温度:Tg+5℃になったか否かが、制御ユニット60の合流キャビティ面部分温度判定装置68にて、随時、判定される。合流キャビティ面部分50の温度:αが、第二の設定温度よりも未だ低かった場合には、かかる判定がNOとされて、再びS3が実施される。そして、かかる判定がYESとなるまで、即ち、合流キャビティ面部分温度判定装置68にて、合流キャビティ面部分50の温度:αが第二の設定温度となったと判断されるまで、S3とS4とが繰り返し実施される。
【0052】
一方、S1で型開きが行われた後には、ON/OFF制御装置62によるカートリッジヒータ52の加熱温度の制御下で、S3とS4での合流キャビティ面部分50の温度:αの検出及び判定操作と並行して、S5において、成形金型10の成形キャビティ34内から、前回の成形操作で成形された樹脂成形品10が突き出され、その後、S6で、かかる樹脂成形品10が、成形金型10から取り出される。
【0053】
引き続き、S7において、成形金型20が型閉じされた後、S8で、型閉じされた成形金型20が圧締めされて、再び射出操作が可能となるように準備される。このとき、圧締めが完了した時点、つまり、成形金型20の型閉じされた成形金型20に対して、型締め装置72から作用せしめられる型締め圧力が、所定の大きさとなった時点で、型締装置72の圧締め完了検出装置74から圧締め完了検出信号が出力される。また、かかる成形金型20の圧締め状態は、成形金型20が再び型開きされるまで維持される。
【0054】
なお、樹脂成形品10の成形操作が1回目である場合には、S1で型開きされたときに、成形金型20内に、成形された樹脂成形品10が未だ存在しないため、S5やS6での樹脂成形品10の突出し操作やそれの取出し操作が省略されて、S1での型開き後に、S7やS8での型閉じ操作と圧締め操作とが実施されるようになる。
【0055】
一方、合流キャビティ面部分50の温度:αが第二の設定温度:Tg+5℃となって、S4での判定がYESとなると、合流キャビティ面部分温度判定装置68から合流キャビティ面部分温度判定信号が出力される。
【0056】
そして、かかる合流キャビティ面部分温度判定信号がON/OFF制御装置62と第一の第一のPID制御装置64とにそれぞれ入力されると、S9において、ON/OFF制御装置62によるカートリッジヒータ52の加熱温度の制御が終了され、それと同時に、第一のPID制御装置64によるカートリッジヒータ52の加熱温度の制御が開始される。このとき、カートリッジヒータ52に内蔵の第二熱電対56による検出温度が、第二の設定温度:Tg+5℃に維持されるように、第一のPID制御装置64にて、それら第二熱電対56による検出温度と第二の設定温度:Tg+5℃とが比較されつつ、カートリッジヒータ52の加熱温度がPID制御される。そうして、カートリッジヒータ52の加熱温度が、第二の設定温度:Tg+5℃に維持されて、成形金型20の合流キャビティ面部分50の温度:αが、第二の設定温度:Tg+5℃に保温される。
【0057】
また、タイマ装置70に対して、合流キャビティ面部分温度判定信号が入力され、更に、型締装置72の圧締め完了検出装置74からの圧締め完了検出信号が入力されると、S10において、タイマ装置70により、予め設定された設定時間の計測が開始される。
【0058】
なお、タイマ装置70で計時されるべき設定時間は、成形金型20の圧締めの完了から、射出操作によって、溶融樹脂の成形キャビティ34内への充填が完了するまでに要する時間以上の長さに設定される。ここでは、例えば、圧締め完了検出装置74にて圧締め完了が検出されてから、射出装置78の射出完了検出装置にて射出操作の完了が検出されるまでの間の時間が、成形金型20を試験的に用いて、或いは類似の射出成形機等を用いて、予め実測されて、それらの測定時間が、設定時間とされる。
【0059】
さらに、合流キャビティ面部分温度判定装置68からの合流キャビティ面部分温度判定信号と、圧締め完了検出装置74からの圧締め完了検出信号とが、射出装置78に入力され、また、射出完了検出装置80と計量完了装置82とにて、前回の射出操作の完了と、次回に射出されるべき溶融樹脂の計量の完了とが検出されると、S11において、射出装置78からの溶融樹脂の射出操作が実施されて、溶融樹脂が、成形金型20のキャビティ面36に沿って流動しつつ、成形キャビティ34内に充填される。
【0060】
このとき、第一のPID制御装置64によるカートリッジヒータ52の加熱温度が第二の設定温度:Tg+5℃に維持されて、キャビティ面36の合流キャビティ面部分50の温度:αが第二の設定温度:Tg+5℃に保温されている。そのため、成形キャビティ34内を流動する溶融樹脂が、合流キャビティ面部分50において、ガラス転位温度以上の高い温度を維持したままで合流せしめられ、それによって、合流した溶融樹脂同士が良好に融合せしめられるようになる。
【0061】
その後、S12において、成形キャビティ34内の溶融樹脂が、予め設定された金型温度により冷却される。また、その一方で、S11での射出操作が完了して、成形キャビティ34内への溶融樹脂の充填が完了した時点と略同時に、S10でのタイマ装置70の設定時間の計測が終了せしめられて、かかるタイマ装置70から計時終了信号が、成形キャビティ34内への溶融樹脂の充填完了を検出する信号の代替信号として、出力される。
【0062】
そして、そのような計時終了信号が第一のPID制御装置64と第二のPID制御装置66とにそれぞれ入力されると、S13において、第一のPID制御装置64によるカートリッジヒータ52の加熱温度の制御が終了し、それと同時に、第二のPID制御装置66によるカートリッジヒータ52の加熱温度の制御が開始されて、成形金型20の合流キャビティ面部分50の温度が、溶融樹脂のガラス転位温度以下にまで降下せしめられる。即ち、カートリッジヒータ52に内蔵の第二熱電対56による検出温度が、例えば、溶融樹脂のガラス転位温度:Tgよりも5℃だけ低い温度に設定された第三の設定温度:Tg−5℃となるように、第二のPID制御装置66にて、それら第二熱電対56による検出温度と第三の設定温度:Tg−5℃とが比較されつつ、カートリッジヒータ52の加熱温度がPID制御される。そうして、合流キャビティ面部分50の温度:αが、第三の設定温度:Tg−5℃にまで降下せしめられる。
【0063】
これによって、成形キャビティ34内で、合流キャビティ面部分50に接触して位置する溶融樹脂部分が、合流キャビティ面部分を除くキャビティ面36部分に接触する他の溶融樹脂部分、つまり、カートリッジヒータ52による加熱が何等行わていないキャビティ面36部分に接触する溶融樹脂部分と同様に、溶融樹脂のガラス転位温度:Tg℃以下に冷却される。
【0064】
また、射出装置78の射出完了検出装置80にて、射出操作の完了が検出されると、S12での成形キャビティ34内の溶融樹脂の冷却と並行して、S14で、射出圧を一定時間保持する保圧が、射出装置78において実施された後、S15において、次回に射出されるべき溶融樹脂の計量が、射出装置78で行われる。そして、そのようなS14での保圧操作の完了によって、目的とする樹脂成形品10が、成形キャビティ34内で成形されることとなる。
【0065】
その後、再び、S1に戻って、成形金型20の型開きが行われて、型締め装置72の型開き開始検出装置76からの型開き開始検出信号が、第二のPID制御装置66とON/OFF制御装置62とに入力されることにより、S2以降が、再び実施される。そして、S5やS6での樹脂形成品10の成形金型20内からの突出し操作と取出し操作が行われることにより、樹脂成形品10の1回の成形操作が終了せしめられる。また、樹脂成形品10の成形操作が再び行われる場合には、S7以降が、更に継続して、実施されることとなる。
【0066】
なお、かくして製造された樹脂成形品10にあっては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーディング法等の物理蒸着法(PVD法)、又は熱CVD法や、プラズマCVD法、光CVD法等の化学蒸着法(CVD法)等により、意匠面18に、金属薄膜が直接に形成され、それによって、意匠面18に対して、金属調の加飾が施された自動車用内装部品として、有利に使用されるようになる。
【0067】
そして、そのような樹脂成形品10の成形操作が再び行われる場合にあっては、合流キャビティ面部分50の温度が、第三の設定温度:Tg−5℃から、ON/OFF制御装置62によるカートリッジヒータ52の加熱温度のON/OFF制御により、第二の設定温度:Tg+5℃の温度になるまで昇温せしめられることとなる。
【0068】
このように、本実施形態においては、射出装置78による溶融樹脂の射出から、溶融樹脂が成形金型20のキャビティ面36に沿って流動せしめられて、成形キャビティ34内に充填されるまでの間、合流キャビティ面部分50の温度が、溶融樹脂のガラス転位温度以上の第二の設定温度:Tg+5℃に保温され、それによって、成形キャビティ34内を流動する溶融樹脂が、合流キャビティ面部分50において、ガラス転位温度以上の高い温度を維持したままで合流せしめられて、合流した溶融樹脂同士が良好に融合せしめられるようになっている。それ故、成形された樹脂成形品10の表面へのウエルドラインの発生が、極めて有効に防止され得る。
【0069】
また、本実施形態では、成形キャビティ34内への溶融樹脂の充填完了後に、合流キャビティ面部分50に接触する溶融樹脂を冷却するために、合流キャビティ面部分50の温度が、溶融樹脂のガラス転位温度以下の第三の設定温度:Tg−5℃にまで降下されるものの、成形金型20が型開きされたときから、溶融樹脂の射出が開始される前までに、溶融樹脂のガラス転位温度以上の第二の設定温度:Tg+5℃にまで昇温され、その後、上記の如く、成形キャビティ34内への溶融樹脂の充填が完了するまで、合流キャビティ面部分50の温度が、第二の設定温度:Tg+5℃に保温されるようになっている。それ故、従来手法とは異なって、合流キャビティ面部分50に接触する溶融樹脂を冷却するために、合流キャビティ面部分50の温度が、ある程度降下せしめられた後、合流キャビティ面部分50の温度が、成形金型20の型開き後に、保温操作や昇温操作が何等行われることなく、更に降下せしめられるようなことが有利に回避され得る。それによって、合流キャビティ面部分50の温度を、一旦、低下させてから、再び、樹脂成形品10表面へのウエルドラインの発生防止が可能な温度にまで上昇させる際の温度上昇幅が、効果的に小さく為され得、以て、そのような合流キャビティ面部分50の再加熱に費やされる時間とエネルギーとが、有利に節約され得る。
【0070】
さらに、本実施形態では、成形金型20が型開きされたときから、合流キャビティ面部分の加熱が開始され、型開き操作、樹脂成形品の取出し操作、及び型閉じ操作と同時進行で、それらの操作が行われている間の時間を有効に利用しつつ、合流キャビティ面部分50の温度が、樹脂成形品10の表面へのウエルドラインの発生防止が可能な第二の設定温度:Tg+5℃にまで上昇せしめられる。それ故、目的とする樹脂成形品10を成形するための一連の操作に要される時間の中で、合流キャビティ面部分50の温度が第二の設定温度にまで上昇せしめられ、合流キャビティ面部分50の昇温のためだけに余分な時間が費やされることも、効果的に解消乃至は抑制され得る。
【0071】
従って、かくの如き本実施形態によれば、ウエルドラインのない樹脂成形品10が、より短い成形サイクルで低コストに成形され得ることとなるのである。そして、そのような樹脂成形品10の意匠面18に、金属薄膜が直接に形成されることにより、金属調の加飾が施されて、自動車用内装部品が形成される際には、かかる自動車用内装部品において、見る者に対して、金属が本来有するシャープな印象を与え得る、金属の「本物感」がより十分に発揮され得るばかりでなく、意匠面18に直接に形成された金属薄膜に、ウエルドラインに起因した微細な溝が形成されることが効果的に防止され、以て、かかる意匠面18の良好な外観が有効に確保され得るのである。
【0072】
また、本実施形態では、型開き時に、合流キャビティ面部分50の温度が、溶融樹脂のガラス転位温度以下に設定された第三の設定温度:Tg−5℃にまで降下せしめられて、かかる合流キャビティ面部分50に接触する溶融樹脂の温度が、ガラス転位温度以下にまで冷却されるところから、型開きされたときに、合流キャビティ面部分50に接触する樹脂成形体10部分が、高温であるために変形してしまうようなことが、有利に解消され得る。それによって、目的とする樹脂成形品10が、所望の形状を有して、有利に成形され得ることとなる。
【0073】
さらに、本実施形態では、成形金型20の型開きの開始から、カートリッジヒータ52の加熱温度が、ON/OFF制御装置62にて、溶融樹脂のガラス転位温度よりも高い温度に設定された第一の設定温度:Tg+10℃となるようにON/OFF制御されて、合流キャビティ面部分50の温度が、かかる第一の設定温度:Tg+10℃に向かって上昇せしめられるようになっている。そのため、例えば、P制御やPI制御、PID制御等にて、カートリッジヒータ52の加熱温度を制御しつつ、合流キャビティ面部分50の温度を第一の設定温度:Tg+10℃に向かって上昇させる昇温操作を行う場合に比して、合流キャビティ面部分50の温度が、目標温度にまで迅速に到達せしめられ得るといった利点が得られる。
【0074】
また、本実施形態においては、合流キャビティ面部分50の温度が第二の設定温度:Tg+5℃となったときに、カートリッジヒータ52の加熱温度の制御が、ON/OFF制御装置62によるON/OFF制御から、第一のPID制御装置64によるPID制御に切り換えられて、カートリッジヒータ52の加熱温度が第二の設定温度:Tg+5℃に維持されて、合流キャビティ面部分50の温度が第二の設定温度:Tg+5℃に保温されるようになっている。それ故、カートリッジヒータ52の加熱温度が第一のPID制御装置64にて制御されている間、合流キャビティ面部分50の温度が、第二の設定温度:Tg+5℃で、より安定的に維持され得る。
【0075】
さらに、本実施形態にあっては、成形キャビティ34内への溶融樹脂の充填完了後に、カートリッジヒータ52の加熱温度の制御が、第一のPID制御64によるPID制御から、第二のPID制御装置66によるPID制御に切り換えられて、カートリッジヒータ52の加熱温度と合流キャビティ面部分50の温度とが第三の設定温度:Tg−5℃にまで降下せしめられるようになっている。それ故、カートリッジヒータ52の加熱温度、更には合流キャビティ面部分50の温度が、第三の設定温度:Tg−5℃になるまで、安定的に降下せしめられて、合流キャビティ面部分50に接触する溶融樹脂部分が、より確実に冷却され、以て、型開き時での樹脂成形体10の変形が、より有利に防止され得ることとなる。
【0076】
加えて、本実施形態では、型締装置72の圧締め完了検出装置74から出力される圧締め完了検出信号により、制御ユニット60のタイマ装置70にて、所定の設定時間が計測され、その計時の完了をもって、溶融樹脂の成形キャビティ34内への充填の完了が検出されて、カートリッジヒータ52の加熱温度の制御が、第一のPID制御64によるPID制御から、第二のPID制御装置66によるPID制御に切り換えられるようになっている。それ故、例えば、タイマ装置70にて計測される設定時間を適宜に延長するだけで、溶融樹脂の成形キャビティ34内への充填完了から、所定時間の経過後に、カートリッジヒータ52の加熱温度の制御を第一のPID制御64によるPID制御から第二のPID制御装置66によるPID制御に切り換えるタイミングを、種々変更することが出来る。
【0077】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0078】
例えば、前記実施形態では、カートリッジヒータ52の加熱温度を制御する第一、第二、及び第三の制御手段の制御方式として、ON/OFF制御とPID制御とが採用されていたが、それら三つの制御手段の制御方式は、何等これに限定されるものではなく、公知の制御方式、ON/OFF制御、P制御、PI制御、PID制御等の中から適宜に選択される。そして、三つの制御手段の制御方式が、全て同一のものであっても、或いは互いに異なるものであっても良く、更には、三つの制御手段のうちの何れか二つのものの制御方式が、同一のものであっても良い。
【0079】
また、加熱手段は、カートリッジヒータ52に特に限定されるものではなく、合流キャビティ面部分50を加熱可能な構造を有するものであれば、如何なるものであっても良い。即ち、加熱手段としては、例えば、ストリップヒータや、シーズヒータ、電磁誘導コイルを有する電磁誘導体や、ペルチェ素子からなる加熱冷却体等が、カートリッジヒータ52に代えて、或いはそれに加えて、使用され得る。なお、取扱性やコスト性等を考慮すると、電気エネルギーにて作動せしめられる加熱装置が、有効に利用され得る。
【0080】
さらに、第一の設定温度は、溶融樹脂のガラス転位温度以上であれば、第二の設定温度は、溶融樹脂のガラス転位温度以上で且つ第一の設定温度以下であれば、第三の設定温度は、溶融樹脂のガラス転位温度以下であれば、それぞれ、具体的な値が、特に限定されるものではない。また、第一の設定温度と第二の設定温度とが同一の値であっても、何等差し支えない。
【0081】
更にまた、前記実施形態では、圧締め完了検出装置74とタイマ装置70とにて、充填完了検出手段が構成されていたが、この充填完了検出手段の構造は、適宜に変更可能であって、例えば、射出装置78に設けられる射出完了検出装置80等にて、充填完了検出手段を構成することも出来る。
【0082】
また、前記実施形態においては、カートリッジヒータ52に内蔵の第二熱電対56にて、第二の温度検出手段が構成されていたが、カートリッジヒータ52の外部に設けられた熱電対、或いは熱電対以外の公知の熱センサ等にて、第二の温度検出手段を構成することも可能である。勿論、第一の温度検出手段も、第一熱電対54以外の公知の熱センサに変更しても良い。
【0083】
加えて、前記実施形態では、本発明を、射出成形用金型を加熱するためのシステムと方法、及び金属調の加飾が施される自動車用内装部品の基材に適用される樹脂成形品の製造方法に適用したものの具体例を示したが、本発明は、溶融樹脂をキャビティ面に沿って流動させて、成形キャビティ内に充填し、固化せしめることにより、樹脂成形品を成形する成形金型を加熱するためのシステムと方法、及び各種の樹脂成形品の製造方法の何れに対しても、有利に適用されるものであることは、勿論である。
【0084】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に従う加熱システムにて加熱される成形金型を用いて製造される樹脂成形品の一例を示す斜視説明図である。
【図2】本発明に従う加熱システムが装備された成形金型の一例を示す縦断面説明図である。
【図3】図2におけるIII−III断面説明図である。
【図4】図2におけるIV部拡大説明図である。
【図5】本発明に従う加熱システムの制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図6】本発明に従う加熱システムの制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図7】本発明に従う加熱システムの制御作動の要部と成形機動作とを比較して説明する説明図である。
【符号の説明】
【0086】
10 樹脂成形品 20 成形金型
34 成形キャビティ 36 キャビティ面
50 合流キャビティ面部分 52 カートリッジヒータ
54 第一熱電対 56 第二熱電対
60 制御ユニット 62 ON/OFF制御装置
64 第一のPID制御装置 66 第二のPID制御装置
68 合流キャビティ面部分温度判定装置 70 タイマ装置
72 型締装置 74 圧締め完了検出装置
76 型開き開始検出装置 78 射出装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂をキャビティ面に沿って流動させて、成形キャビティ内に充填し、固化せしめることにより、樹脂成形品を成形する成形金型を加熱するためのシステムであって、
前記成形金型の型開き開始を検出する型開き開始検出手段と、
前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填完了を検出する充填完了検出手段と、
前記成形キャビティ内で前記溶融樹脂が合流する箇所に位置する前記成形金型の合流キャビティ面部分の内部に埋設されて、該合流キャビティ面部分の温度を検出する第一の温度検出手段と、
前記成形金型の合流キャビティ面部分の内部に埋設されて、該合流キャビティ面部分を加熱する加熱手段と、
該加熱手段の加熱温度を検出する第二の温度検出手段と、
前記成形金型の型開き開始が前記型開き開始検出手段にて検出されたときに、前記加熱手段の加熱温度の制御を開始し、前記第二の温度検出手段による検出温度が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以上に設定された第一の設定温度となるように、該加熱手段の加熱温度の制御を行って、前記合流キャビティ面部分の温度を該第一の設定温度に向かって上昇させる一方、前記第一の温度検出手段による検出温度が前記溶融樹脂のガラス転位温度以上で且つ該第一の設定温度以下に設定された第二の設定温度となったときに、該加熱手段の加熱温度の制御を終了する第一の制御手段と、
前記第一の温度検出手段による検出温度が前記第二の設定温度となったときに、前記加熱手段の加熱温度の制御を開始し、前記第二の温度検出手段による検出温度が該第二の設定温度となるように、該加熱手段の加熱温度の制御を行って、前記合流キャビティ面部分の温度を該第二の設定温度に維持せしめる一方、前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填完了が前記充填完了検出手段にて検出されたときに、該加熱手段の加熱温度の制御を終了する第二の制御手段と、
前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填完了が前記充填完了検出手段にて検出されたときに、前記加熱手段の加熱温度の制御を開始し、前記第二の温度検出手段による検出温度が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以下に設定された第三の設定温度となるように、該加熱手段の加熱温度の制御を行って、前記合流キャビティ面部分の温度を該第三の設定温度にまで降下させる一方、前記成形金型の型開き開始が前記型開き開始検出手段にて検出されたときに、該加熱手段の加熱温度の制御を終了する第三の制御手段と、
を含んで構成したことを特徴とする成形金型の加熱システム。
【請求項2】
前記第一の制御手段が、前記第二の温度検出手段による検出温度と前記第一の設定温度とを比較して、ON/OFF制御により、前記加熱手段の加熱温度の制御を行うON/OFF制御装置にて構成されている請求項1に記載の成形金型の加熱システム。
【請求項3】
前記第二の制御手段が、前記第二の温度検出手段による検出温度と前記第二の設定温度とを比較して、PID制御により、前記加熱手段の加熱温度の制御を行う第一のPID制御装置にて構成されている請求項1又は請求項2に記載の成形金型の加熱システム。
【請求項4】
前記第三の制御手段が、前記第二の温度検出手段による検出温度と前記第三の設定温度とを比較して、PID制御により、前記加熱手段の加熱温度の制御を行う第二のPID制御装置にて構成されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の成形金型の加熱システム。
【請求項5】
前記充填完了検出手段が、前記成形金型の型閉じ状態からの圧締めの完了を検出する圧締め完了検出装置と、該成形金型の圧締めの完了から、前記溶融樹脂の前記成形キャビティ内への充填が開始されて、それが完了するまでに要する時間以上の長さに設定された設定時間を、該圧締め完了検出装置によって圧締めの完了が検出されたときから計測するタイマ装置とを有し、該タイマ装置による該設定時間の計測の終了に基づいて、前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填完了を検出するようになっている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の成形金型の加熱システム。
【請求項6】
前記樹脂成形品が、表面に、金属薄膜が物理蒸着法又は化学蒸着法により形成されることによって、金属調の加飾が施されてなる加飾樹脂成形品の基材である請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の成形金型の加熱システム。
【請求項7】
溶融樹脂を、キャビティ面に沿って流動させて、成形キャビティ内に充填し、固化せしめることにより、樹脂成形品を成形する成形金型を加熱するための方法であって、
前記成形金型が型開きしたときから、前記成形キャビティ内で前記溶融樹脂が合流する箇所に位置する前記成形金型の合流キャビティ面部分の温度が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以上に設定された第一の設定温度に向かって上昇するように、該合流キャビティ面部分を昇温させる工程と、
前記合流キャビティ面部分が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以上で且つ前記第一の設定温度以下に設定された第二の設定温度となったときから、該合流キャビティ面部分の温度が該第二の設定温度に維持されるように、該合流キャビティ面部分を保温する工程と、
前記成形キャビティ内への前記溶融樹脂の充填の完了後に、前記合流キャビティ面部分の温度が、前記溶融樹脂のガラス転位温度以下に設定された第三の設定温度にまで降下するように、該合流キャビティ面部分を降温させる工程と、
を含むことを特徴とする成形金型の加熱方法。
【請求項8】
前記請求項7に記載の成形金型の加熱方法によって、該成形金型の前記合流キャビティ面部分を加熱しつつ、目的とする樹脂成形品の成形操作を行うこと特徴とする樹脂成形品の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−172945(P2009−172945A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16053(P2008−16053)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】