説明

成膜装置及び成膜方法

【課題】エアロゾルデポジション法を用いる成膜装置において、膜厚を正確に制御する。
【解決手段】基板に原料粉を吹き付けて堆積させることにより膜を形成するエアロゾルデポジション法を用いる成膜装置であって、原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾルを生成するエアロゾル生成部1〜4と、成膜チャンバ6と、該成膜チャンバ内に配置された基板ステージ8と、エアロゾル生成部によって生成される原料粉のエアロゾルを、基板ステージ上に配置される基板に向けて噴射するノズル7と、基板上に形成される膜の厚さをリアルタイムで光学的に測定する色測定用光ファイバ10、色測定部11、及び、膜厚算出部12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料の粉体をガス中に分散させたエアロゾルを基板に向けて吹き付けることにより、上記原料を含む膜を形成するエアロゾルデポジション法を用いた成膜装置及び成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セラミックスや金属等の膜の形成方法として、固体粒子の衝突付着現象を利用した成膜技術の1つであるエアロゾルデポジション(aerosol deposition:AD)法が注目されている。AD法とは、原料の粉体を分散させたエアロゾルをノズルから基板に向けて噴射して、原料の粉体を基板等に衝突させることにより、原料を基板等の上に堆積させる成膜方法のことである。AD法においては、高速で噴射された原料の粉体が、基板や先に形成された堆積物等の下層に衝突して食い込むと共に、衝突の際に粉体が破砕して生成された破砕面が下層に付着するメカノケミカル反応によって成膜が為される。
【0003】
ここで、エアロゾルとは、固体や液体の粒子が気体中に浮遊(分散)しているコロイド系のことをいう。本願においては、エアロゾルに分散している粒子のことも、広義にエアロゾルと称することとする。エアロゾルデポジション法を行う際に生成されるエアロゾルにおいて、気体中に分散させる粒子(原料の粉体)の大きさは様々であるが、例えば、PZT等のセラミックス膜を形成する場合には、径が0.1μm〜10μm程度の粒子が用いられる。
【0004】
このようなAD法は、その特徴的な成膜メカニズムにより、不純物を含まない、緻密で強固な膜を形成できるという利点を有している。そのため、AD法を、絶縁膜のコーティングや、耐湿膜(水分バリア)としてのセラミックスコーティングや、光学材料の形成や、磁性材料の形成や、触媒の担持体の形成や、無機の色材による色付け等に広く利用できる可能性がある。また、微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)関連の機器の開発に伴い、積層セラミックスコンデンサや圧電アクチュエータ等の素子形成へのAD法の適用も期待されている。従来において、そのような素子は主にバルク材を利用して作製されていたが、素子の微細化及び集積化が進むにつれて、成膜技術により機能性材料を作製する研究が活発になっているからである。ここで、機能性材料とは、積層コンデンサにおける誘電体層や、圧電アクチュエータにおける圧電体層のように、素子の機能を発揮させる主要部分(通常、電極に挟まれた層)を構成する材料のことである。
【0005】
ところで、多数の素子が集積される装置においては、それらの素子の特性を均一にしておく必要がある。そのためには、それらの素子の間において、機能性材料の膜(以下において、機能性膜ともいう)の厚さを均一にしなくてはならない。そのために、AD法を用いる場合には、基板に吹き付けられるエアロゾルの濃度を均一に保つことが必要である。
【0006】
関連する技術として、特許文献1には、粉体収納部と、エアロゾル化手段と、循環式の輸送手段としてそれらの間に配置された回転テーブルとを備えるエアロゾル発生装置が開示されている。この回転テーブルの水平な上面には円環状の溝が形成されており、粉体収納部内においてホッパーから溝内に粉体が供給され、次いで、下流側のスキージ板によって溝から上方に溢れた粉体が取り除かれる。この状態で回転テーブルが回転することにより、溝内の粉体がエアロゾル化手段に送られ、エアロゾルとなってノズルに供給される(第1頁)。
【0007】
しかしながら、エアロゾル化手段に一定量の粉体を供給したとしても、供給された粉体の全てがガス中に均一に分散するとは限らない。例えば、一般に、原料の粉体(1次粒子)は、微細であるほど静電気力やファンデルワールス力等によって凝集し易い。ところが、1次粒子の凝集によって形成された巨大な凝集粒子は質量が大きいので、容器の底に溜まってガス中に分散し難くなる。また、一旦ガス中に分散した粉体も、エアロゾル化手段からノズルに供給されるまでの間に互いに凝集したり、供給径路の内壁に付着してしまうことがある。従って、エアロゾル化手段への粉体の供給量を制御することにより、ノズルから噴射されるエアロゾルの濃度を一定に保つことは困難である。
【0008】
また、特許文献2には、セラミック微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを高速で基板に衝突させてセラミック構造物を作製するセラミック構造物作製装置において、エアロゾルを発生させ、駆動部を有するエアロゾル発生器と、エアロゾルを噴射するノズルと、セラミック構造物の高さを調節する手段とを備えたセラミック構造物作製が開示されている。このセラミック構造物作製装置においては、エアロゾル中のセラミック微粒子の量をセンサにより感知し、センサから出力される信号をセラミック構造物作製装置にフィードバックすることにより、セラミック構造物の堆積高さを調節している(第1、2頁)。
【0009】
しかしながら、実際には、ノズルから噴射されたエアロゾルに含まれる全ての粉体が、セラミックス構造物(膜)の形成に寄与するわけではない。例えば、エアロゾルに凝集粒子が含まれている場合に、ノズルから噴射された時点で凝集粒子が有している運動エネルギーは、凝集粒子が基板に衝突したときに、凝集粒子が1次粒子に解砕されるエネルギーとして消費されてしまう。従って、それによって生じた1次粒子は、既に運動エネルギーが不足しているので、さらに破砕して下層に付着するということができない。従って、ノズルから噴射されたエアロゾルの濃度に基づいて、セラミックス構造物の堆積高さを正確に見積もることは困難である。
【0010】
さらに、特許文献3には、原料の粉体を配置する容器と、該容器において原料の粉体をガスによって吹き上げることにより、エアロゾルを生成するガス導入手段と、構造物が形成される基板を保持する保持手段と、容器において生成されたエアロゾルを基板に向けて噴射するノズルと、該ノズルから噴射されたエアロゾルに含まれる原料の粉体の内、上記基板又は基板上に形成された構造物に衝突することにより成膜に寄与した原料の粉体の量を求める検出手段とを具備する成膜装置が開示されている。
【0011】
特許文献3においては、1次粒子が下層に衝突して破砕したときに生じる現象(放電や発光や色変化)を検出することにより、実際に成膜に寄与した粉体の量を求めているので、構造物の堆積高さを比較的正確に見積もることができる。しかしながら、構造物の見積もり高さと現実の高さとの間には、やはり多少のずれは生じてしまうので、構造物の高さをより正確に検出できることが望まれる。
【0012】
一方、非特許文献1には、一般に、真空蒸着法においては、水晶振動子を用いることにより膜厚がモニタされていると記載されている。また、スパッタ法においては、プロセスが安定しており、成膜速度を比較的良く制御することができるので、通常、成膜時間に基づいて膜厚が制御されている。
【特許文献1】特開2003−275631号公報(第1頁)
【特許文献2】特開2001−348659号公報(第1、2頁)
【特許文献3】特開2005−154894号公報(第1頁)
【非特許文献1】金原粲著、「薄膜の基本技術」、第2版、東京大学出版会、2002年8月、p.109−114
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
AD法においては、スパッタ法ほどプロセスが安定しているわけではないので、成膜時間によって膜厚を制御することは困難である。また、AD法においてはエアロゾルを基板に衝突させているので、その衝撃により常に振動ノイズが発生している。そのため、水晶振動子を用いて膜厚をその場で測定することは困難である。さらに、振動の影響をあまり受けない測定方法として、分光エリプソメータ等の光学的な膜厚測定方法も知られている。ここで、分光エリプソメータとは、物質の表面において光が反射するときの入射光と反射光との間における偏光状態の変化を観測することにより、膜厚や、光学定数や、物質の特性を測定する方法である。しかしながら、分光エリプソメータにおいては、上限がせいぜい5μmの薄膜しか測定することができず、また、表面に凹凸がある膜や、光学的に不透明な膜を測定することは困難である。従って、それより厚い膜も形成できるAD法に、このような膜厚測定方法を適用することは適切でない。
【0014】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、AD法を用いる成膜装置及び成膜方法において、膜厚を正確に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る成膜装置は、基板に原料粉を吹き付けて堆積させることにより膜を形成するエアロゾルデポジション法を用いる成膜装置であって、原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾルを生成するエアロゾル生成手段と、成膜チャンバと、該成膜チャンバ内に配置された基板ステージと、エアロゾル生成手段によって生成される原料粉のエアロゾルを、基板ステージ上に配置される基板に向けて噴射するノズルと、基板上に形成される膜の厚さをリアルタイムで光学的に測定する測定手段とを具備する。
【0016】
また、本発明の1つの観点に係る成膜方法は、基板に原料粉を吹き付けて堆積させることにより膜を形成するエアロゾルデポジション法による成膜方法であって、原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾルを生成する工程(a)と、基板上に形成される膜の厚さをリアルタイムで光学的に測定しながら、ステップ(a)において生成された原料粉のエアロゾルを基板に向けて噴射することにより、原料粉を基板上に堆積させる工程(b)とを具備する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、膜を光学的にモニタすることにより、現在形成されている膜厚を把握しながら成膜を行うので、所望の膜厚を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、この成膜装置は、エアロゾルの生成が行われるエアロゾル生成部と、成膜部とを含んでいる。
【0019】
エアロゾル生成部は、エアロゾル生成室1と、振動台2と、巻き上げガスノズル3と、圧力調整ガスノズル4とを含んでいる。
エアロゾル生成室1は、原料の粉体(原料粉)15が配置される容器であり、ここでエアロゾルの生成が行われる。また、エアロゾル生成室1は、原料粉15を攪拌することにより効率的にエアロゾルを生成するために、所定の周波数で振動する振動台2の上に設置されている。
【0020】
巻き上げガスノズル3は、外部のガスボンベから供給されるキャリアガスをエアロゾル生成室1内に導入することにより、サイクロン流を生成する。それにより、エアロゾル生成室1内に配置された原料粉15が巻き上げられて分散し、エアロゾルが生成される。
圧力調整ガスノズル4は、外部のガスボンベから供給されるキャリアガスをエアロゾル生成室1内に導入することにより、エアロゾル生成室1内のガス圧を調整する。それにより、エアロゾル生成室1内の圧力と成膜チャンバ6内の圧力との差が調整される。
【0021】
巻き上げガスノズル3及び圧力調整ガスノズル4によって供給されるキャリアガスとしては、ヘリウム(He)、酸素(O)、窒素(N)、アルゴン(Ar)、若しくは、それらの混合ガス、又は、乾燥空気等が用いられる。
このようなエアロゾル生成部は、エアロゾル搬送管5によって成膜部に接続されており、エアロゾル生成室1内において生成されたエアロゾルは、エアロゾル搬送管5を通って、成膜チャンバ6に配置されている噴射ノズル7に供給される。
【0022】
一方、成膜部は、成膜チャンバ6と、噴射ノズル7と、基板ステージ8と、排気管9と、色測定用光ファイバ10と、色測定部11と、膜厚算出部12と、表示部13と、制御部14とを含んでいる。
噴射ノズル7は、所定の形状及び大きさの開口を有しており、エアロゾル生成室1からエアロゾル搬送管5を介して供給される原料粉のエアロゾルを、基板16に向けて噴射する。なお、噴射ノズル7から噴射されるエアロゾルの速度は、エアロゾル生成室1と成膜チャンバ6との間の圧力差によって決定される。
【0023】
基板16が固定されている基板ステージ8は、基板16と噴射ノズル7との相対位置及び相対速度を制御するための3次元的に移動可能なステージである。この相対速度を調節することにより、1往復あたりに形成される膜の厚さが制御される。
このような成膜チャンバ6の内部は、排気管9に接続されている排気ポンプによって排気されており、それによって所定の真空度に保たれている。
【0024】
色測定用光ファイバ10〜膜厚算出部12は、成膜中の膜の厚さについて、リアルタイムでその場観察を行う。
ここで、本願発明者は、AD法による成膜実験を繰り返したところ、形成中の膜の表面の色が黒色から黄色に変化していくことを発見した。この現象は、次のような原理により引き起こされたものと考えられる。即ち、成膜開始直後から成膜初期において、ノズル7から噴射された原料粉は、比較的硬い基板16に衝突するため、膜17の表面に酸素欠陥が生じ易い。従って、膜17表面が黒色に近くなる。一方、成膜中期以降において、ノズル7から噴射された原料粉は、基板16上に先に形成された膜17上に衝突する。この膜17(例えば、PZT等のセラミックス膜)は、通常、基板16よりも軟らかいので、原料粉の衝突による衝撃は、成膜初期よりも穏やかになる。その結果、膜17表面において酸素欠陥が生じにくくなるため、膜17の表面に他の色相が現れてくる。
そこで、本願発明者は、AD成膜中に、膜表面の色に基づいて膜厚をその場観察する本願発明に至った。
【0025】
色測定用光ファイバ10は、一方の端面(膜側端面)が基板16上の膜17に対向し、他方の端面(装置側端面)が色測定部11に接続するように配置されている。
色測定部11は、色測定用光ファイバ10を介して検出対象を照射する光を発生する光源(例えば、ハロゲン光源)と、色測定用光ファイバ10の装置側端面から出射された光を分光する分光部と、分光光の強度分布に基づいて膜17の表面の色を求める判定部とを有している。
【0026】
光源において発生した光は、色測定用光ファイバ10の装置側端面に入射し、色測定用光ファイバ10を伝播し、その膜側端面から検出対象に向けて出射する。この光は、検出対象の表面から反射されて膜側端面に入射し、再び、色測定用光ファイバ10を伝播してその装置側端面から色測定部11に入射する。この入射光は、分光部において複数の波長成分に分光される。
【0027】
図2は、色測定部11における色判定の際に用いられるL表色系を説明するための図である。図2に示すように、L表色系は、互いに直交するa軸及びb軸と、それらの軸に直交し、且つ、原点から伸びるL軸によって構成されている。この内のL軸は明度を示しており、L=0が最も暗い状態(黒色)となり、L=100が最も明るい状態(白色)となる。また、tan(b/a)は色相を表している。a軸のプラス方向は赤方向を示しており、a軸のマイナス方向はその補色である緑方向を示している。一方、b軸のプラス方向は黄方向を示しており、b軸のマイナス方向はその補色である青方向を示している。色測定部11においては、検出対象からの反射光が有する複数の波長成分に基づいて、これらの各軸上における成分が求められる。
【0028】
なお、通常は、色測定用光ファイバ10及び測定部11を含む色測定装置が市販されている。また、表色系としては、L表色系以外にも、XYZ表色系や、L表色系のように、色彩デザイン分野等において用いられているいずれの表色系を適用しても良い。
【0029】
再び、図1を参照すると、膜厚算出部12は、色測定部11において求められた膜17の色に基づいて、膜17の厚さを算出する。膜厚算出部12には、L表色系における各軸上の成分を膜厚に換算するための変換テーブル又は変換式が格納されている。
変換テーブルは、例えば、膜厚が異なる複数種類の膜をサンプルとして作製し、その表面の色(即ち、L軸、a軸、b軸の値)及び膜厚を測定することにより作成される。また、変換式は、同様にして得られた膜表面の色(各軸の値)と膜厚について回帰分析等を行うことにより作成される。ここで、膜表面の色が変化する傾向は成膜材料や成膜条件に応じて変化するので、変換テーブル又は変換式は、そのような条件に応じて用意される。また、各変換テーブル又は変換式においては、表色系の要素(例えば、a軸、b軸、L軸の値)の全て用いても良いし、特徴的な1つの要素のみ(例えば、b軸の値のみ)を用いても良い。
【0030】
表示部13は、膜厚算出部12によって算出された膜17の厚さを、リアルタイムで画面に表示する。
制御部14は、膜厚算出部12によって算出された膜17の厚さに基づいて、膜17が所望のレートで形成されるように基板ステージ8の移動速度を調節したり、膜17が所望の厚さに至った場合に成膜を停止するように、各部を制御する。
【0031】
このような成膜装置において、エアロゾル生成室1に原料粉15を配置し、基板ステージ8上に基板16を配置する。原料粉としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の無機圧電材料、MgO等の耐熱材料、Al等の高強度材料、Fe等の磁性材料、BaTiO等の誘電材料、ZrO等の半導体材料、IrO等の導電性材料、SiO等の光学材料、AlやSiO等の絶縁材料、AlやSiO等の耐湿材料を含むセラミックス粉が用いられる。そして、成膜装置を駆動すると、エアロゾル生成室1において生成されたエアロゾルがノズル7から噴射され、基板16に吹き付けられる。それにより、基板16上にセラミックスが堆積して膜17が形成される。このような成膜動作を行っている間に、色測定用光ファイバ10及び測定部11は、膜17の表面の色をその場で測定し、膜厚算出部12は、その色に基づいて膜17の厚さを算出する。そして、膜厚算出部12によって算出された膜17の厚さが所望の値となったときに、制御部14が各部に成膜動作を停止させることにより、所望の厚さの膜17が得られる。
【0032】
このように、本実施形態によれば、膜の厚さをその場で測定しながら成膜を行うので、膜厚を正確に制御することが可能になる。また、その際に光学的手段を用いるので、成膜中に振動が生じても膜厚を正確に把握することが可能になる。
なお、本実施形態において、色測定用光ファイバ10の膜側端面は、基板16の近くに配置されるので、基板16から反射された原料粉が端面に付着することにより、光ファイバ10への入射光の光量が減ると懸念されるとも考えられる。しかしながら、AD法における成膜温度は特に限定されないが、室温より高い温度(例えば、200℃〜800℃程度)で行われる場合も多いので、その場合には、光ファイバ10の端面も加熱され、その結果、原料粉が端面に付着し難くなるので問題はない。或いは、光ファイバ10の端面付近を加熱する機構を別途設けても良い。
【0033】
以上説明した本実施形態においては、表色系を用いることにより膜17の色を判定したが、分光スペクトルの形状、即ち、分光スペクトルにおけるピーク波長や、複数の波長成分の比に基づいて膜厚を判定しても良い。その場合には、ピーク波長の値や複数の波長成分の比と膜厚とが関連付けられた変換テーブルや変換式を、膜厚算出部12に予め格納しておけば良い。
【0034】
また、本実施形態においては、表示部13及び制御部14が設けられているが、いずれか一方のみを設けても良い。例えば、制御部14による膜厚の自動制御を行う替わりに、オペレータが表示部13に表示された膜厚を確認しながら、手動で膜厚を制御するようにしても良い。
【0035】
さらに、本実施形態においては、容器に配置された原料粉をガスによって巻き上げることによりエアロゾルを生成しているが、エアロゾル生成部の機構はこのような構成に限定されない。即ち、原料粉がガス中に分散している状態を生成することができれば、様々な構成を用いることができる。例えば、原料粉を収納している容器(収納容器)にガスを導入するのではなく、収納容器から所定量の原料粉を取り出し、取り出された原料粉についてこれをエアロゾル化する構成としても良い。具体的には、原料粉の収納容器と、回転駆動することにより収納容器から所定のレート(供給速度)で連続的に原料粉の供給を受けてこれを搬送する原料粉供給部(粉末供給盤)と、原料粉供給部によって搬送された原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾルを生成するエアロゾル生成部(エアロゾル化部)とを含む構成が挙げられる。このような構成においては、原料粉供給部に、原料粉が投入される所定の幅の溝を形成することにより、安定した量の原料粉を供給することができると共に、原料粉供給部を回転駆動する速度を調整することにより、原料粉の供給量を制御することができる。そして、原料粉の搬送先においてガスを導入することにより原料粉を分散させたり、粉末供給盤の溝に直接キャリアガスを吹き付けることにより、濃度の安定したエアロゾルを生成することができる。
【0036】
また、原料粉の収納容器において原料粉を攪拌し、この収納容器に圧縮ガスを導入することにより圧縮ガスと混合された所定量の原料粉を収納容器から取り出し、これを細径の穴から外部に排出することにより、圧縮ガスの膨張を利用して原料粉を分散させる構成も挙げられる。さらに、キャリアガスの流路に原料粉を連続的に供給することにより原料粉をキャリアガスに分散させる構成を用いても良い。
【0037】
(実施例1)
まず、膜表面の色を膜厚に変換するテーブルを作成するために、図1に示す成膜装置を用いて、次のような条件の下で成膜を行うことにより、平均膜厚の異なる3種類の膜を形成した。
原料粉:PNN−PZT粉体(フルウチ化学株式会社製、平均粒子径:1μm)
基板:YSZ(イットリア安定化ジルコニア)基板
(日本ファインセラミックス株式会社製)
基板温度:400℃
キャリアガス:酸素(O)を6リットル/分
成膜チャンバ内の圧力:50Pa
また、図1に示す色測定用光ファイバ10及び色測定部11として、株式会社スペクトラ・コープ製の色測定装置を組み込んだ。
【0038】
そのようにして得られた3種類の膜について、成膜直後の膜表面の色を成膜チャンバ6内において測定した。その後で、それらの膜を成膜チャンバ6から取り出し、株式会社アルバック製の触針式表面形状測定器デックタック(Dektak)6Mを用いて膜厚を測定した。
【0039】
それにより、L表色系の各値と膜厚との間において、次の関係が得られた。
平均膜厚 L軸 b
1μm 52.5 0.4 3.3
5μm 59.3 −2.1 10.4
10μm 63.2 −4.4 15.2
この結果の内のb軸の値は、膜厚の増加に伴い大きくなっているので、膜厚との間に有意な相関があるものと考えられる。これは、膜厚が増加するに従って、膜表面の色が黄色に変化することに対応する。そこで、本実施例においては、図3に示すように、b軸の値と膜厚との関係を求め、その関係を利用して、所望の膜厚をb軸の値に換算する変換テーブルを作成した。
【0040】
次に、実施例1として、目標とする膜厚を10μmに設定し、膜厚算出部12によって算出されたb軸の値を参照しながら成膜を行い、b軸の値が15になった時点で成膜を停止した。このような試料を5個作製した。
一方、比較例1として、b軸の値を参照することなく、基板ステージ8を10往復することにより膜を形成した。ここで、この往復回数は、予備実験において1往復あたり約1μmの膜が形成されたことに基づいて、上記目標である10μmの膜を形成するために設定された値である。このような試料を5個作製した。
【0041】
それにより、次の結果が得られた。
平均膜厚 膜厚変動
実施例1 10μm ±20%
比較例1 18μm ±50%
【0042】
上記の結果から、実施例においては、膜表面の色に基づいて膜厚を制御することにより、所望の膜厚を高い精度で得られ、且つ、そのばらつきを比較的小さく抑えられることがわかった。それに対して、比較例においては、膜厚変動が±50%とかなり大きく、所望の膜厚を得ることが困難であることが確認された。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態に係る成膜装置について説明する。
図4は、本実施形態に係る成膜装置の内の成膜部の構成を示す模式図である。なお、エアロゾル生成部については、図1に示す構成を用いても良いし、先に述べたように、それ以外のエアロゾル生成機構を用いても良い。
【0044】
図4に示すように、本実施形態に係る成膜装置は、図1に示す色測定用光ファイバ10と、色測定部11と、膜厚算出部12と、制御部14の替わりに、CCDカメラ20と、表示部21と、膜厚測定部22と、制御部23とを有している。また、成膜チャンバ6には、光学的に透明な窓24が形成されている。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
【0045】
CCDカメラ20は、成膜チャンバ6の外側に配置されており、窓24を介して形成中の膜17をリアルタイムで撮影する。CCDカメラ20は、図4に示すように、膜17の側面に対して垂直となるように配置されていても良いし、膜17の側面を所定の角度(例えば、45度)で臨むように配置されていても良い。前者の場合には、膜17の厚さを高い精度で測定することが可能になる。また、後者の場合には、膜17の厚さだけでなく、表面の状態についても観察することが可能になる。
【0046】
表示部21は、CCDカメラ20によって撮影された膜17の画像をリアルタイムで画面に表示する。
膜厚測定部22は、表示部21の画面に表示された膜17の画像に基づいて、膜17の厚さを測定する。具体的には、表示部21の画面に表示された膜17の厚さをスケールにより測定し、その値を、CCDカメラ20の位置や角度や拡大率を考慮して実際の膜厚に換算する。なお、膜厚測定部22によって測定された膜17の厚さを、表示部21に表示するようにしても良い。
【0047】
制御部23は、膜厚測定部22によって測定された膜17の厚さに基づいて、膜17が所望のレートで形成されるように基板ステージ8の移動速度を調節したり、膜17が所望の厚さに至った場合に成膜を停止するように、各部を制御する。
【0048】
このように、本実施形態によれば、CCDカメラ20を成膜チャンバ6の外部に設置してチャンバ外から膜17を観察するので、膜の観察装置に対して原料粉が付着するおそれがなくなる。それにより、長時間に渡って正確に膜17を観察することができ、また、観察装置のメンテナンスに対する手間を省くことが可能になる。
【0049】
ここで、本実施形態においては、成膜を長時間行っている間に、窓24の内側に原料粉が付着して、窓24が曇ってしまうおそれがある。そのため、窓24の内側にワイパーを設けることにより、窓24を定期的に拭うことが望ましい。また、窓24を加熱することにより、原料粉が付着し難くなるので、窓24に対して加熱機構を設けても良い。なお、AD法における成膜温度は特に限定されないが、室温より高い温度(例えば、200℃〜800℃程度)で行われる場合も多い。その場合には、成膜チャンバ6内の温度に応じて窓24も加熱されるので、特に加熱機構を設けなくても、原料粉の付着を抑制する効果を得ることができる。
【0050】
また、本実施形態においては、制御部23によって膜厚を自動制御しているが、CCDカメラ20により撮影された膜17の画像や膜厚測定部22によって求められた膜厚を、オペレータが表示部21の画面上で確認しながら、手動で膜厚を制御しても良い。
【0051】
(実施例2)
図4に示す成膜装置において、100倍の倍率が得られるCCDカメラ20を、基板16及び膜17の側面を垂直方向から臨む位置及び角度に設置した。また、CCDカメラ20の視界が遮られないように、窓24にワイパーを取り付け、成膜中にワイパーを動作させることにより窓24に付着した原料粉を拭った。
なお、原料粉の種類やキャリアガスの流量等の成膜条件については、実施例1におけるものと同様である。
【0052】
実施例2として、目標とする膜厚を100μmに設定し、表示部21の画面に表された膜の厚さを目視により確認しながら成膜を行い、膜厚が100μmに至った時点で成膜を停止した。このような試料を5個作製した。
一方、比較例2として、膜厚を観察することなく、基板ステージ8を100往復することにより膜を形成した。ここで、この往復回数は、予備実験において1往復あたり約1μmの膜が形成されたことに基づいて、上記目標である100μmの膜を形成するために設定された値である。このような試料を5個作製した。
【0053】
実施例2及び比較例2において得られた試料の膜厚を、株式会社アルバック製の触針式表面形状測定器デックタック(Dektak)6Mを用いることにより測定した。それにより、次の結果が得られた。
平均膜厚 膜厚変動
実施例2 98μm ±8%
比較例2 130μm ±40%
【0054】
上記の結果から、実施例においては、膜厚をその場で観察することにより、所望の膜厚を高い精度で得られ、且つ、そのばらつきを小さく抑えられることがわかった。それに対して、比較例においては、膜厚変動が±40%とかなり大きく、所望の膜厚を得ることが困難であることが確認された。
【0055】
次に、本発明の第3の実施形態に係る成膜装置について説明する。
図5は、本実施形態に係る成膜装置の内の成膜部の構成を示す模式図である。なお、エアロゾル生成部については、図1に示す構成を用いても良いし、先に述べたように、それ以外のエアロゾル生成機構を用いても良い。
【0056】
図5に示すように、本実施形態に係る成膜装置は、図1に示す色測定部11と、膜厚算出部12と、制御部14の替わりに、レーザ段差計30と、膜厚算出部31と、表示部32と、制御部33とを有している。また、成膜チャンバ6には、光学的に透明な窓34が形成されている。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
【0057】
レーザ段差計30は、共焦点の原理を利用した変位計である。ここで、レーザ段差計30による変位の検出原理について、図6を参照しながら説明する。
図6に示すように、レーザ段差計30は、半導体レーザ等の光源40と、ハーフミラー41及び42と、共焦点を有する光学系を形成するレンズ43〜46と、反射ミラー47と、CCDカメラ48と、ピンホール板49と、受光素子50と、アンプ51と、音叉52と、音叉位置検出センサ53と、アンプ54とを含んでいる。レンズ43及び45はコリメートレンズであり、レンズ44及び46は対物レンズである。
【0058】
光源40から射出したレーザビームは、ハーフミラー41及び42を透過し、レンズ43〜46を透過することにより、検出対象55の表面に入射し、そこで反射されることにより、再びレンズ46〜43を透過して戻って来る。レンズ43を透過したレーザ光の一部はハーフミラー42によって反射され、反射ミラー47を介してCCDカメラ48に入射する。また、残りのレーザビームはハーフミラー42を透過し、さらにその一部がハーフミラー41によって反射されて、ピンホール板49の方向に導かれる。
【0059】
対物レンズ44は、音叉52の振動により、所定の周期で上下に動いている。そのため、レンズ43〜46によって形成される焦点の位置は、音叉52の周期に合わせて変化する。また、音叉位置検出センサ53は、音叉52の振動を検出して検出信号を生成する。この検出信号はアンプ54によって増幅され、対物レンズ44の位置を表す信号(対物レンズ位置信号)として出力される。
【0060】
CCDカメラ48は、レンズ43〜46によって形成される1つの焦点にほぼ対応する位置に配置されている。レンズ43〜46によって形成されるもう1つの焦点が検出対象55の表面と一致するとき、CCDカメラ48によって検出される検出対象55からの反射光の径が最も小さくなり、解像度が最も高くなる。
【0061】
ピンホール板49は、レンズ43〜46によって形成される1つの焦点が検出対象55の表面に合うときに、ピンホールがもう1つの焦点に合うように配置されている。即ち、その時に、検出対象からの反射光がピンホールを通過できる。この光は、受光素子50によって検出され、アンプ51によって増幅されて出力される。
【0062】
検出対象55からの反射光がピンホール板49のピンホールに入射すると、受光素子50から検出信号が出力される。この検出信号が生成されたタイミングが、レンズ43〜46の1つの焦点が検出対象55の表面に合ったタイミングである。従って、その時の対物レンズ44の位置を、アンプ54から出力された対物レンズ位置信号に基づいて求めることにより、検出対象55の表面の位置を求めることができる。或いは、受光素子50から出力される検出信号の替わりに、又は、検出信号と共に、CCDカメラ48によって撮影された反射光の像に基づいて、検出対象55の表面の位置を測定しても良い。
【0063】
再び、図5を参照すると、膜厚算出部31は、レーザ段差計30によって測定された膜17の表面の高さに基づいて、膜厚を算出する。膜厚は、例えば、初期状態におけるレーザ段差計30の測定結果(膜厚ゼロ)から、現在のレーザ段差計30の測定結果を差し引くことにより求められる。
【0064】
表示部32は、膜厚算出部31によって算出された膜17の厚さを、リアルタイムで画面に表示する。
制御部33は、膜厚算出部31によって算出された膜17の厚さに基づいて、膜17が所望のレートで形成されるように基板ステージ8の移動速度を調節したり、膜17が所望の厚さに至った場合に成膜を停止するように、各部を制御する。
【0065】
このように、本実施形態によれば、成膜チャンバ6の外部から膜17の厚さを測定するので、膜厚の測定装置に対して原料粉が付着するおそれがなくなる。それにより、長時間に渡って正確に膜17の厚さを測定することが可能になり、また、測定装置のメンテナンスに対する手間を省くことが可能になる。
【0066】
なお、本実施形態においても、窓34の内側に付着した原料粉を拭うためのワイパーを設けたり、窓34を加熱することにより原料粉の付着を抑制することが望ましい。
また、本実施形態においても、制御部33によって膜厚を自動制御する替わりに、オペレータが表示部に表示された膜厚を確認しながら、手動で膜厚を制御するようにしても良い。その場合には、制御部33を省略しても良い。
【0067】
(実施例3)
図5に示す成膜装置において、レーザ段差計30として、株式会社キーエンス製の高精度レーザフォーカス型変位測定器LT−8100を取り付けた。また、レーザ段差計30の視界が遮られないように、窓34にワイパーを取り付け、成膜中にワイパーを動作させることにより、窓34に付着した原料粉を拭うことにした。
なお、原料粉の種類やキャリアガスの流量等の成膜条件については、実施例1におけるものと同様である。
【0068】
実施例3として、目標とする膜厚を20μm±20%に設定し、膜厚算出部31によって算出された膜厚を表示部32の画面において確認しながら成膜を行い、膜厚が20μmに至った時点で成膜を停止した。このような試料を10個作製した。
一方、比較例3として、膜厚を測定することなく、基板ステージ8を20往復することにより膜を形成した。ここで、この往復回数は、予備実験において1往復あたり約1μmの膜が形成されたことに基づいて、上記目標である20μmの膜を形成するために設定された値である。このような試料を10個作製した。
【0069】
実施例3及び比較例3において得られた試料の膜厚を、株式会社アルバック製の触針式表面形状測定器デックタック(Dektak)6Mを用いることにより測定した。そして、上記目標の範囲(20μm±20%)から外れた試料の個数を数えることにより評価を行った。それにより、次の結果が得られた。
不良試料の個数(/全体の個数)
実施例3 3個(/10個)
比較例3 8個(/10個)
【0070】
この実施例3においては、窓34をワイパーによって拭いながら成膜を行ったものの、窓34の汚れによって膜からの反射量が減少してしまうため、高精度の測定を行うことは困難であった。そのため、3枚の不良試料が発生してしまった。しかしながら、比較例3の結果においてはほとんどが不良試料となっていたことを考慮すると、良好な結果と言える。このことから、成膜中にその場での膜厚測定を行うことにより、膜厚を制御できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、原料の粉体をガス中に分散させたエアロゾルを基板に向けて吹き付けることにより、上記原料を含む膜を形成するエアロゾルデポジション法を用いた成膜装置及び成膜方法において利用することが可能
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。
【図2】L表色系を説明するための図である。
【図3】b軸の値と膜厚との関係を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る成膜装置の一部を示す模式図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る成膜装置の一部を示す模式図である。
【図6】共焦点の原理を利用した変位計における変位検出原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0073】
1 エアロゾル生成室
2 振動台
3 巻き上げガスノズル
4 圧力調整ガスノズル
5 エアロゾル搬送管
6 成膜チャンバ
7 噴射ノズル
8 基板ステージ
9 排気管
10 色測定用光ファイバ
11 色測定部
12、31 膜厚算出部
13、21、32 表示部
14、23、33 制御部
15 原料粉
16 基板
17 膜
20 CCDカメラ
22 膜厚測定部
24、34 窓
30 レーザ段差計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に原料粉を吹き付けて堆積させることにより膜を形成するエアロゾルデポジション法を用いる成膜装置であって、
原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾルを生成するエアロゾル生成手段と、
成膜チャンバと、
前記成膜チャンバ内に配置された基板ステージと、
前記エアロゾル生成手段によって生成される原料粉のエアロゾルを、前記基板ステージ上に配置される基板に向けて噴射するノズルと、
前記基板上に形成される膜の厚さをリアルタイムで光学的に測定する測定手段と、
を具備する成膜装置。
【請求項2】
前記測定手段が、前記基板上に形成される膜の表面の分光スペクトルに基づいて前記膜の厚さを測定する、請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記測定手段が、前記膜の表面の色を測定することにより前記膜の厚さを測定する、請求項2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記測定手段が、前記膜の表面の色を測定し、該色を膜の厚さに換算する、請求項3記載の成膜装置。
【請求項5】
前記測定手段が、
少なくとも一部が前記成膜チャンバ内に配置された光ファイバであって、前記膜の表面から反射された光を第1の端面から入射させ、第2の端面から出射させる前記光ファイバと、
前記光ファイバの第2の端面から出射した光の色を、表色系に基づいて測定する手段と、
を有する、
請求項3又は4記載の成膜装置。
【請求項6】
前記成膜チャンバの一部に光を透過する窓が設けられており、
前記測定手段が、前記窓を介して前記膜を撮影するカメラと、前記カメラによって撮影された膜の画像を表示する表示手段とを有する、
請求項1記載の成膜装置。
【請求項7】
前記測定手段が、前記表示手段に表示された画像に基づいて前記膜の厚さを求める手段をさらに有する、請求項6記載の成膜装置。
【請求項8】
前記成膜チャンバの一部に光を透過する窓が設けられており、
前記測定手段が、前記成膜チャンバの外部に設けられており、前記膜の表面に照射され、前記膜の表面から反射された光ビームの光路長に基づいて前記膜の表面の変位を計測する、
請求項1記載の成膜装置。
【請求項9】
前記計測手段が、前記膜に照射される光ビームを発生する光源と、共焦点を有する光学系と、前記膜の表面から反射され、前記光学系を通過した光ビームを検出する検出手段とを有する、請求項8記載の成膜装置。
【請求項10】
前記窓に設けられ、前記窓を拭うワイパーをさらに具備する、請求項6〜9のいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項11】
少なくとも前記光ファイバの第1の端面又は前記窓を加熱する手段をさらに具備する請求項5〜10のいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項12】
前記膜の厚さが所望の厚さに至った場合に成膜を停止する制御手段をさらに具備する、請求項1〜11のいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項13】
基板に原料粉を吹き付けて堆積させることにより膜を形成するエアロゾルデポジション法による成膜方法であって、
原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾルを生成する工程(a)と、
基板上に形成される膜の厚さをリアルタイムで光学的に測定しながら、ステップ(a)において生成された原料粉のエアロゾルを基板に向けて噴射することにより、原料粉を前記基板上に堆積させる工程(b)と、
を具備する成膜方法。
【請求項14】
工程(b)が、前記膜の表面の分光スペクトルに基づいて前記膜の厚さを測定することを含む、請求項13記載の成膜方法。
【請求項15】
工程(b)が、前記膜の表面の色を測定することを含む、請求項14記載の成膜方法。
【請求項16】
工程(b)が、前記膜の表面から反射された光の色を、表色系に基づいて測定することを含む、請求項15記載の成膜方法。
【請求項17】
工程(b)が、前記膜の表面の色を膜の厚さに換算することにより前記膜の厚さを測定することを含む、請求項16記載の成膜方法。
【請求項18】
工程(b)が、成膜チャンバの外部から、前記成膜チャンバの一部に設けられた窓を介してカメラを用いて前記膜を撮影し、該画像に基づいて前記膜の厚さを測定することを含む、請求項13記載の成膜方法。
【請求項19】
工程(b)が、成膜チャンバの外部から、前記成膜チャンバの一部に設けられた窓を介して前記膜の表面に照射され、前記膜の表面から反射された光ビームの光路長に基づいて、前記膜の表面の変位を計測することを含む、請求項13記載の成膜方法。
【請求項20】
工程(b)が、共焦点の原理に基づいて、前記膜の表面の変位を計測することを含む、請求項19記載の成膜方法。
【請求項21】
工程(b)が、前記膜の厚さが所望の厚さに至った場合に成膜を停止することを含む、請求項13〜20のいずれか1項記載の成膜方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−326062(P2007−326062A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160399(P2006−160399)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】