説明

成膜装置

【課題】 蒸発源に充填できる蒸着材料の量は限られているので、EL層を成膜する際に、多数の大面積基板を連続して処理することが益々困難となっている。そこで、蒸着材料の利用効率を高め、大面積基板にも連続して蒸着することのできる成膜装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 被膜を堆積させる基板と対向し、該基板の一表面に対応して移動可能に設けられた蒸発源と、該蒸発源に蒸着材料を供給する手段(蒸着材料供給手段)とを備えた成膜装置とする。蒸発源は、被膜を堆積する基板の一表面を走査可能とする移動手段に保持され、蒸着材料供給手段は、気流により蒸着材料の粉末を供給する方式、蒸着材料を溶媒中に溶解又は分散している原料液をエアロゾル化して供給する方式、若しくは、ロッド状、ワイヤ状、可撓性フィルムに付着した状態、粉体状の蒸着材料を機械的機構により供給する方式とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着により被膜を形成する成膜装置に関する。特に、エレクトロルミネセンスを利用する表示装置の製造に用いる成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主として有機材料を用いたエレクトロルミネセンス素子(以下、「EL素子」ともいう)は、発光媒体を含む被膜を蒸着して製造している。蒸着により被膜形成は旧来より広く知られているが、有機EL素子の製造に用いるものとして、有機EL積層構造体を個別の真空チャンバーで真空雰囲気を維持したまま連続で成膜可能な成膜装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、基板保持手段上に基板及び蒸着マスクを載せて、蒸発源と基板との間を30cm以下に狭め、蒸発源をX方向又はY方向に移動させて成膜を行う蒸着装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
これらの成膜装置は、EL素子におけるEL層の成膜を抵抗加熱法により行っている。抵抗加熱法は金属やセラミックで形成される蒸発源に蒸着材料を充填し、それを減圧下で加熱して蒸発若しくは昇華させて被膜を形成する方法である。蒸発源は瞬間的な温度の上げ下げができないので、一度蒸着が始まると簡単には止められず、シャッタの開閉により基板への付着を制御する必要がある。
【特許文献1】特開平10−241858号公報(第6頁〜第7頁、第4図)
【特許文献2】特開2004−063454号公報(第5頁〜第7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エレクトロルミネセンス表示装置を製造するときに用いるガラス基板のサイズは、大面積化が進んでいる。例えば、第6世代で1500mm×1800mm、第7世代では1870mm×2200mm、第8世代では2160mm×2400mmのガラス基板が製造ラインに導入されることが予定されている。
【0006】
しかしながら、EL層を成膜する際に、蒸発源に充填できる蒸着材料の量は限られているので、多数の大面積基板を連続して処理することが益々困難となっている。すなわち、大面積のガラス基板にEL層を連続して蒸着するには、多量の蒸着材料が必要となるが、蒸発源である坩堝の大きさには制約があり、十分な量を装填することができないという問題がある。そのために、蒸着作業を中断して、その都度蒸着材料を補充しなければならないという問題がある。蒸着は、蒸発源の温度が安定するまでに所定の時間が必要であり、その間に蒸発する材料は無駄になってしまうので、材料の収率が低下し、スループットの低下要因ともなっていた。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑み、蒸着材料の利用効率を高め、大面積基板にも連続して蒸着することのできる成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被膜を堆積させる基板と対向し、該基板の一表面に対応して移動可能に設けられた蒸発源と、該蒸発源に蒸着材料を供給する手段(蒸着材料供給手段)とを備えた成膜装置である。
【0009】
蒸発源は、筒状体と、筒状体内で蒸着材料が加熱されるように加熱手段とを備えている。加熱手段は、当該筒状体に電流を流すことにより発熱させる方式、輻射熱により加熱する方式、抵抗加熱により加熱する方式、誘導発熱により加熱する方式などさまざまな方式を適用できる。
【0010】
蒸発源は、被膜を堆積する基板の一表面を走査可能とする移動手段に保持される。蒸発源は一つ又は複数個が移動手段に保持される。蒸発源と蒸着材料供給手段とは一体化されていても良いし、移動可能に設置される蒸発源に対し、蒸着材料供給手段は固定されていても良い。後者の場合には、蒸発源と蒸着材料供給手段との間を所定の状態にある蒸着材料が通過可能な内径を有する材料供給管で連結する。
【0011】
蒸着材料供給手段は、気流により蒸着材料の粉末を供給する方式、蒸着材料を溶媒中に溶解又は分散している原料液をエアロゾル化して供給する方式、若しくは、ロッド状、ワイヤ状、可撓性フィルムに付着した状態、粉体状の蒸着材料を機械的機構により供給する方式などが含まれる。
【0012】
本発明の一は、減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ蒸着材料を被着させる基板と対向する蒸発源と、蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段と、蒸発源に連結され蒸着材料を供給する蒸着材料供給手段とを有する成膜装置である。
【0013】
本発明の一は、減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ、蒸着材料を被着させる基板と対向し、蒸着材料が溶媒中に溶解又は分散している原料液をエアロゾル化し該エアロゾル中の溶媒を蒸発若しくは昇華させる蒸発源と、蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段と、蒸発源に連結され、前記原料液を供給する蒸着材料供給手段とを有する成膜装置である。
【0014】
本発明の一は、減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ、蒸着材料を被着させる基板と対向し、不活性ガス又は反応性ガスと共に粉体状の蒸着材料を蒸発若しくは昇華させる蒸発源と、蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段と、蒸発源に連結され、粉体状の蒸着材料を活性ガス又は反応性ガスと共に供給する蒸着材料供給手段とを有する成膜装置である。
【0015】
本発明の一は、減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ、蒸着材料を被着させる基板と対向し、粉体状の蒸着材料を蒸発若しくは昇華させる蒸発源と、蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段と、蒸発源に連結され、前記粉体状の蒸着材料を管内に配設されたスクリューを回転させて連続的供給する蒸着材料供給手段とを有する成膜装置である。
【0016】
本発明の一は、減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ、蒸着材料が付着した可撓性のフィルムが連続的に送り出される開口部を備えた蒸発源と、開口部で露出する前記蒸着材料が付着した可撓性のフィルムにエネルギービームを照射する加熱手段と、蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段とを有する成膜装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大画面の表示パネルであっても、均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細をさまざまに変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じ要素を指す符号は異なる図面で共通して用い、その場合における繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態は、走査型の蒸発源と、それに接続する蒸着材料供給手段を備えた成膜処理室を複数備えた成膜装置の構成を図1と図2を参照して説明する。
【0020】
基板にEL層を形成する成膜装置の構成を図1に示す。なお、EL層はエレクトロルミネセンス(エレクトロルミネセンスとは、蛍光体若しくは燐光体に電場を加えると発光する現象を指していう。)を発現する材料を少なくとも一部に含む層を指していう。EL層は機能の異なる複数の層で構成されても良い。その場合、EL層は正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層などとも呼ばれる機能の異なる層を組み合わせて構成する場合がある。
【0021】
この成膜装置は、搬送室10、12に複数の処理室を連結している。処理室には、基板を導入するロード室14、基板を回収するアンロード室16、加熱処理室18、プラズマ処理室26、EL材料を蒸着する成膜処理室20、22、24、28、30、32、EL素子の一方の電極として導電膜を形成する成膜処理室34を含んでいる。また、搬送室と各処理室の間にはゲートバルブ44a〜44nが設けられていて、各処理室の圧力は独立して制御可能とされており、処理室間の相互汚染を防いでいる。
【0022】
ロード室14から搬送室10に導入された基板は、回転自在に設けられたアーム方式の搬送手段40により、所定の処理室へ搬入される。また、基板は搬送手段40により、ある処理室から他の処理室へ搬送される。搬送室10と搬送室12とは成膜処理室22で連結され、ここで搬送手段40と搬送手段42により基板の受け渡しが行う。
【0023】
搬送室10及び搬送室12に連結する各処理室は減圧状態に保持されている。従って、この成膜装置では、基板は大気に触れることなく連続してEL層の成膜処理が行われる。EL層の成膜処理が終わった基板は、水蒸気などにより劣化する場合がある。そのためにこの成膜装置では、品質を保持するために大気に触れさせる前にEL層を封止処理するための封止処理室38が搬送室12に連結されている。封止処理室38は大気圧若しくはそれに近い減圧下におかれているので、搬送室12と封止処理室38の間には中間室36が備えられている。中間室36は基板の受け渡しと、室間の圧力を緩衝するために設けられている。
【0024】
ロード室、アンロード室、搬送室及び成膜処理室には室内を減圧に保持するための排気手段が備えられている。排気手段としては、ドライポンプ、ターボ分子ポンプ、拡散ポンプなど各種の真空ポンプを用いることができる。
【0025】
図1の成膜装置において、搬送室10及び搬送室12に連結される処理室の数やその構成は、EL素子の積層構造に応じて適宜組み合わせることができる。以下に、処理室を組み合わせる一例を示す。
【0026】
加熱処理室18は、最初に下部電極や絶縁隔壁等が形成された基板を加熱して脱ガス処理を行う。プラズマ処理室26は、下地電極表面を希ガスや酸素プラズマ処理を行う。このプラズマ処理は、表面を清浄化、表面状態の安定化、表面の物理的若しくは化学的状態(例えば、仕事関数など)を安定化させるために行う。
【0027】
成膜処理室20は、EL素子の一方の電極と接触する電極バッファ層を形成する処理室とすることができる。電極バッファ層はキャリア注入性(正孔注入若しくは電子注入)があり、EL素子の短絡や暗点欠陥の発生を抑制する層である。代表的には、電極バッファ層は、有機無機混合材料であって、抵抗率が5×10〜1×10Ωcmであり、30〜300nmの厚さに形成される。また、成膜処理室24は正孔輸送層を成膜する処理室である。
【0028】
EL素子における発光層は、単色発光をする場合と白色発光をする場合とで、その構成が異なる。成膜装置において成膜処理室もそれに応じて配置することが好ましい。例えば、表示パネルに発光色が異なる三種類のEL素子を形成する場合には、各発光色に対応した発光層を成膜する必要がある。この場合、成膜処理室22を第1の発光層の成膜用として、成膜処理室28を第2の発光層の成膜用として、成膜処理室30を第3の発光層の成膜用として用いることができる。発光層ごとに成膜処理室を分けることで、異なる発光材料による相互汚染を防止することが出来、成膜処理のスループットを向上させることが出来る。
【0029】
また、成膜処理室22、成膜処理室28、成膜処理室30のそれそれで、発光色が異なる三種類のEL材料を順次蒸着しても良い。この場合、シャドーマスクを使い、蒸着する領域に応じて当該マスクをずらして蒸着を行うことになる。
【0030】
白色発光するEL素子を形成する場合には、異なる発光色の発光層を縦積みにして形成する。その場合にも、素子基板が成膜処理室を順次移動して、発光層ごとに成膜することができる。また、同じ成膜処理室で異なる発光層を連続して成膜することもできる。
【0031】
成膜処理室34では、EL層の上に電極を成膜する。電極の形成は電子ビーム蒸着法やスパッタリング法を適用することもできるが、好ましくは抵抗加熱蒸着法を用いることが好ましい。
【0032】
電極の形成まで終了した素子基板は、中間処理室36を経て封止処理室38に搬入される。封止処理室38は、ヘリウム、アルゴン、ネオン、若しくは窒素などの不活性な気体が充填されており、その雰囲気下で素子基板のEL層が形成された側に封止板を貼り付けて封止する。封止された状態において、素子基板と封止板との間には、不活性気体が充填されていても良いし、樹脂材料を充填しておいても良い。不活性気体で充填若しくは樹脂材料を充填することにより、EL素子が大気又はEL素子にとって腐食性のある気体に触れて、劣化するのを防ぐことができる。封止処理室38には、シール材を描画するディスペンサーや、素子基板に対向して封止板を固定する固定ステージやアームなどの機械的要素、樹脂材料を充填するディスペンサー若しくはスピンコーターなどが備えられている。
【0033】
図2は、成膜処理室の内部構成の一例を示す。成膜処理室は減圧下に保たれていて、図2では天板72と底板74で挟まれる内側が室内であり、減圧状態に保たれる室内を示している。
【0034】
処理室内には、一つ又は複数個の蒸発源が備えられている。組成の異なる複数の層を成膜する場合や、異なる材料を共蒸着する場合は、複数個の蒸発源を設けることが好ましい。図2では、蒸発源52a、52b、52cが蒸発源ホルダ50に装着されている。蒸発源ホルダ50は多関節アーム56によって保持されている。多関節アーム56は関節の伸縮によって、蒸発源ホルダ50の位置をその可動範囲内で自在に移動可能としている。また、蒸発源ホルダ50に距離センサー54を設け、蒸発源52a〜52cと基板64との間隔をモニターして、蒸着時における最適な間隔を制御しても良い。その場合には、多関節アームに上下方向(Z方向)にも変位する多関節アームとしても良い。
【0035】
基板64は、チャック70で保持され基板ステージ62に固定される。基板ステージ62にヒータを内蔵させて基板64を加熱するように構成しても良い。チャック66はシャドーマスク68を固定するために備えられている。シャドーマスク68は、基板64と蒸発源52a〜52cの間に配置されるようにする。シャドーマスク68は、被膜を形成するパターンに応じて開口が形成されたものであり、基板上に蒸着膜を選択的に形成する必要がある場合に用いる。シャドーマスク68のアライメントが必要な場合には、処理室内にカメラを設置し、チャック66にX−Y−θ方向に微動する位置決め手段を備えることで、その位置合わせを行うことができる。
【0036】
蒸発源52a、52b、52cには、蒸着材料を蒸発源に連続して供給する蒸着材料供給部が接続されている。材料供給部は、蒸発源52a〜52cと離れた位置に配置される蒸着材料供給源58a〜58cとその両者の間を繋ぐ材料供給管60a、60b、60cを有している。図2では、材料供給源58aと蒸発源52aとが材料供給管60aで連結されている状態を示している。材料供給源58bと蒸発源52b、材料供給源58cと蒸発源52cについても同様である。材料供給源と蒸発源とは図2のように一対一で対応させる必要はなく、一つの蒸発源に対して複数の材料供給源を接続しても良いし、一つの材料供給源に対して複数の蒸発源を接続しても良い。いずれにしても、材料供給源から蒸発源に蒸着材料を供給することにより、連続して成膜を行うことができる。
【0037】
蒸発源52a、52b、52cは、蒸着材料と容易に反応しないセラミック又は金属などの材料で形成されている。好ましくは、窒化アルミニウム、窒化硼素などのセラミック材料を用いて蒸発源52a、52b、52cを形成する。セラミック材料は、有機材料を含む蒸着材料に対しも容易に反応せず、不純物としてにガス放出量も少ないので、高純度のEL層を形成することができる。
【0038】
材料供給源58から蒸発源52まで蒸着材料を供給するには、さまざまな方式を適用することができる。例えば、蒸着材料を粉末状としてキャリアガスとともに搬送する気流搬送方式、蒸着材料を溶剤中に溶解又は分散させた原料液を搬送し、噴霧器によりエアロゾル化し、エアロゾル中の溶媒を気化させながら行うエアロゾル化方式、材料供給管60の中にスクリューを設け、それを回転させて蒸着材料粉末を搬送する方式などを適用することができる。蒸発源52には加熱手段が設けられ、搬送された蒸着材料を蒸発させて成膜を行う。蒸発源52は蒸発源ホルダ50に固定されて、多関節アーム56によって処理室内を走査するので、材料供給管60は柔軟に曲げることができ、減圧状態下においても変形しない程度の剛性を持った細管で構成されている。
【0039】
気流搬送方式やエアロゾル方式を適用する場合には、蒸着材料と共にキャリアガスが処理室内に供給される場合がある。各処理室には排気ファンや真空排気ポンプが接続されていて、それにより大気圧、若しくはそれ以下の圧力であって、好ましくは133Pa〜13300Paの圧力に保つことができる。成膜処理室内にはヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、若しくは窒素などの不活性気体を充填し、または当該気体を供給しながら(同時に排気しながら)、圧力の調節を行うことができる。また、酸化膜を形成する成膜処理室では、酸素、亜酸化窒素などの気体を導入して酸化雰囲気としておいても良い。また、有機材料を蒸着する成膜処理室内には水素などの気体を導入して還元雰囲気にしておいても良い。また、材料供給管60の中にスクリューを設け、それを回転させて蒸着材料粉末を搬送する方法では、真空ポンプにより133Pa以下の圧力に保って成膜を行うことができる。
【0040】
本実施の形態の成膜装置によれば、大画面の表示パネルであっても、均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットを向上することができる。
【0041】
(実施の形態2)
本実施の形態は、蒸発源を固定し、基板を動かして蒸着を行う成膜処理室の構成を図3を参照して説明する。
【0042】
図3は、成膜処理室の内部構成を示す。成膜処理室は減圧下に保たれていて、天板72と底板74で挟まれる内側に蒸発源や基板を固定する治具などが配設置されている。
【0043】
成膜処理室内に備えられる蒸発源52は実施の形態1と同様なものである。蒸発源52は一つ又は複数個備えることができる。蒸発源52は、底板74側に備えられた蒸発源ホルダ50に装着されている。蒸発源52の位置を固定式とする場合でも、基板との間隔を計測する距離センサ54を設け、上下に動作する移動機構を設けて、蒸発源52とセットされる基板64との間隔を調整できるようにしても良い。蒸発源52とセットされる基板64との間隔を調整することで、成膜速度や膜厚分布を調整することができる。
【0044】
基板ステージ62は、チャック70で被膜を堆積する基板64を固定する。この場合、基板ステージ62にヒータを内蔵させて基板64を加熱するように構成しても良い。成膜に当たってシャドーマスク68を用いる場合には、チャック66で基板64と共に基板ステージ62に固定することができる。基板ステージ62の端には滑車若しくは歯車を含む移動機構82が設けられ、第1のガイドレール80上を移動できるように構成されている。また、第1のガイドレール80は滑車若しくは歯車などの移動機構84が設けられていて、第2のガイドレール78上を移動可能となるように構成されている。
【0045】
蒸発源52a、52b、52cには、蒸着材料を蒸発源に連続して供給する蒸着材料供給部が接続されている。材料供給部は、蒸発源52a〜52cと離れた位置に配置される蒸着材料供給源58a、58b、58cとその両者の間を繋ぐ材料供給管60a、60b、60cを有している。これらの詳細は実施の形態2と同様である。
【0046】
本実施の形態の成膜装置によれば、大画面の表示パネルであっても、均一性良く、連続して成膜することができる。この場合において、基板の外形寸法が大型化すると、基板を移動させる距離も長くなり、それに伴って成膜処理室を大きくする必要がある。そのような場合には、固定式の蒸発源を成膜処理室内に複数個設け中央部及び周辺部に適宜配置することで、基板全面を蒸着するために必要な、基板の移動距離を短くすることができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットを向上することができる。
【0047】
(実施の形態3)
本実施の形態は、蒸発源と基板との両者を動かして蒸着を行う成膜処理室の構成について図4及び図5を用いて説明する。なお、図4は成膜処理室の正面図であり、図5は成膜処理室の内部構成を示す詳細図である。以下の説明ではこの両者を参照して説明する。
【0048】
図4において、成膜処理室89にはゲートバルブ92が取り付けられている。搬送台81にチャック70で固定された基板64は、ゲートバルブ92から挿入され、成膜処理室89内をガイドレール90に乗って移動する過程で成膜が行われる。このような成膜処理室89を複数個直列に連結することで、被膜の複数層を成膜するインライン型の成膜装置を構成することができる。
【0049】
図5で示す内部構成において、成膜処理室89内に備えられる蒸発源52は実施の形態2と同様な構成を備えている。蒸発源52は一つ又は複数個備えることが可能であり、蒸発源ホルダ50に装着されている。蒸発源ホルダ50は、滑車若しくは歯車を含む移動機構86が設けられ、第2のガイドレール88で上下に移動できるように構成されている。第1のガイドレール90で搬送される基板64の搬送速度と、第2のガイドレール88で上下に動く蒸発源52の動作速度を適宜調節することにより、成膜速度や膜厚分布を調整することができる。
【0050】
また、成膜処理室89の内壁であって、基板64が搬送される面に、ヒータ73が設けられていても良い。ヒータ73としてはランプヒータ、シーズヒータなどを用いることができる。ヒータ73を設けることで、基板64を加熱することができ、成膜時の基板温度を制御することができる。
【0051】
蒸発源52a、52b、52cには、蒸着材料を蒸発源に連続して供給する蒸着材料供給部が接続されている。材料供給部は、蒸発源52a、52b、52cと離れた位置に配置される蒸着材料供給源58a、58b、58cとその両者の間を繋ぐ材料供給管60を有している。これらの詳細は実施の形態2と同様である。
【0052】
本実施の形態の成膜装置によれば、基板と蒸発源を相互に動かすことにより、大画面の表示パネルであっても、均一性良く、連続して成膜することができる。この場合において、一辺が1メートルを超えるような大面積基板であっても、その基板を垂直若しくは、垂直から1〜30度程度傾けた状態で保持することで、基板を安定して保持することができ、搬送トラブルを抑制することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットの向上を図ることができる。
【0053】
(実施の形態4)
本実施の形態は、成膜装置の成膜処理室に備える蒸発源と、蒸着材料供給部の一例を図6を参照して説明する。本実施の形態では、蒸着材料の利用効率を高め、大面積基板にも連続して蒸着するために、気流により蒸着材料の粉末を供給する構成について示す。
【0054】
蒸発源52と蒸着材料供給部76は材料供給管60で連結されている。材料供給部76は、蒸着材料を粉体攪拌チャンバ106に、蒸着材料貯蔵セル112とガス供給管108が連結されている。蒸着材料を粉体攪拌チャンバ106内では、ガス流量コントローラ110で流量が調節されたキャリアガスが流れ込み、蒸着材料貯蔵セル112から供給される粉末状の蒸着材料が拡散して、粉体を伴ったキャリアガスが材料供給管60を経て蒸発源52に流入する構成となっている。キャリアガスとしてはヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガス、窒素ガス、若しくは水素ガスから選ばれる一種又は複数種の組み合わせを用いることができる。
【0055】
蒸発源52は、筒状セル100と、それを加熱するヒータ102を有している。筒状セル100と材料供給管60は連結されていて、粉体を伴ったキャリアガスが流入する。蒸着材料である粉体は、筒状セル100内で加熱されて気化する。そして筒状セル100の一端にある開口部からキャリアガスと共に放出される。筒状セル100は、有機物質を含む蒸着材料との触媒反応を抑えるためには、アルミナ、窒化硼素、窒化珪素などのセラミックで形成されていることが好ましい。
【0056】
ヒータ102によって加熱される筒状セル100の温度は、供給される粉末状の蒸着材料を蒸発若しくは昇華させることのできる温度とする。この場合、材料供給管60の接続部から、筒状セル100の開口部(蒸気が放出される口)に向けて温度が高くなるように設定しても良い。筒状セル100にこのような温度勾配を持たせることで、蒸着材料を目詰まりさせることなく効率良く消費することができる。
【0057】
本実施の形態の蒸着材料供給部を、実施の形態1〜3の成膜装置における蒸発源に適用すれば、大面積の基板に対しても均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、多数の基板に対して連続して成膜することができるので、スループットの向上を図ることができる。
【0058】
(実施の形態5)
本実施の形態は、成膜装置の成膜処理室に備える蒸発源と、蒸着材料供給部の一例を図7を参照して説明する。本実施の形態では、蒸着材料の利用効率を高め、大面積基板にも連続して蒸着するために、蒸着材料を溶剤中に溶解又は分散させた原料液を搬送し、噴霧器によりエアロゾル化し、エアロゾル中の溶媒を気化させながら蒸着を行うための構成について示す。
【0059】
蒸着材料供給部76は、蒸着材料を溶媒中に溶解又は分散している原料液を液体粒子(1〜1000nm程度お粒子)としてキャリアガス中に分散させて、蒸発源52に供給する構成を備える。そして、蒸発源52は、蒸着材料を含む液体粒子から溶媒を気化させ、さらに蒸着材料を加熱して気化させる構成を備えている。
【0060】
蒸着材料供給部76は、溶媒に蒸着材料が溶解又は分散した原料液を貯蔵する原料液貯蔵部114と、原料液を搬送するポンプや流量調節バルブなどで構成される原料液供給手段116、キャリアガスの流量を調整するガス流量コントローラ110を含んでいる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、クロロフォルム、ジメチルフォルムアミド、ジメリルスルホキシドなどを用いることができる。キャリアガスは、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガス、窒素ガス、若しくは水素ガスから選ばれる一種又は複数種の組み合わせを用いることができる。
【0061】
原料液とキャリアガスは、それそれ材料供給管60とガス供給管108によって、蒸発源52のエアロゾル形成部118に供給される。エアロゾル形成部118は、原料液とキャリアガスを混合して高速噴射させる噴霧器で構成することが好ましい。その他に、超音波振動子を用いて霧状にしても良い。エアロゾル形成部118から噴霧されたエアロゾルは、ヒータ102によって加熱された筒状セル120内で加熱され、液体粒子から溶媒を気化させ、さらに蒸着材料を加熱して気化される。そして、キャリアガスと共に筒状セル100の一端にある開口部から放出される。筒状セル100は、有機物質を含む蒸着材料との触媒反応を抑えるために、アルミナ、窒化硼素、窒化珪素などのセラミックで形成されていることが好ましい。
【0062】
筒状セル120の温度は、エアロゾル中の蒸着材料を蒸発若しくは昇華させることのできる温度とする。この場合、エアロゾル形成部118の連結部から筒状セル120の開口部(蒸気が放出される口)に向けて温度が高くなるように設定しても良い。筒状セル120内は、エアロゾルの流れを妨げずに、エアロゾルの衝突断面積が大きくなるような構造とする。例えば、筒状セル120の内部に、エアロゾルの流れに沿って傾置される複数のフィンを設けても良い。いずれにしても、エアロゾルのような微少粒子は表面積が大きいため大気中の沸点よりも低い温度で溶媒を気化させることができる。
【0063】
本実施の形態の蒸着材料供給部を、実施の形態1〜3の成膜装置ににおける蒸発源に適用すれば、大画面の表示パネルであっても、均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットの向上を図ることができる。
【0064】
(実施の形態6)
本実施の形態は、成膜装置の成膜処理室に備える蒸発源と、蒸着材料供給部の一例を図8を参照して説明する。本実施の形態では、蒸着材料の利用効率を高め、大面積基板にも連続して蒸着するために、蒸着材料を機械的手段によって連続的に供給する一例について説明する。
【0065】
蒸発源52は筒状セル122とヒータ124で構成されている。図8では、筒状セル122の外側からヒータ124で加熱する構成となっているが、筒状セル122とヒータ124を一体化させても良い。筒状セル122には材料供給管132が連結されている。
【0066】
ヒータ124によって加熱される筒状セル122の温度は、供給される粉末状の蒸着材料を蒸発若しくは昇華させることのできる温度とする。この場合、材料供給管132の接続部から、筒状セル122の開口部(蒸気が放出される口)に向けて温度が高くなるように設定しても良い。筒状セル122にこのような温度勾配を持たせることで、蒸着材料を目詰まりさせることなく効率良く消費することができる。
【0067】
材料供給管132の内側には蒸着材料を機械的な構成により連続して搬送する搬送手段126が備えられている。この搬送手段126としては軸のまわりに螺旋状の板が巻かれた所謂スクリューや、往復運動をするピストンなどを適用することができる。蒸着材料は材料供給管132の他方の端から供給される。図8では、蒸着材料を保存する蒸着材料貯蔵セル128を設け、そこから供給される蒸着材料を第2の搬送手段130で材料供給管132の他方の端に供給するように構成されている。
【0068】
蒸着材料は粉末状のものを用いることが好ましいが、溶媒に蒸着材料が溶解又は分散させたペースト状のものを用いても良い。
【0069】
本実施の形態の蒸着材料供給部を、実施の形態1〜3の成膜装置における蒸発源に適用すれば、大画面の表示パネルであっても、均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットの向上を図ることができる。特に、本実施の形態に係る蒸発源と蒸着材料供給部の構成は、実施の形態2において示す成膜処理室に適用することが好ましい。
【0070】
(実施の形態7)
本実施の形態は、成膜装置の成膜処理室に備える蒸発源と、蒸着材料供給部の一例を図9を参照して説明する。本実施の形態では、蒸着材料の利用効率を高め、大面積基板にも連続して蒸着するために、蒸着材料を機械的手段によって連続的に供給する一例について説明する。
【0071】
図9(B)で示すように、蒸着材料152は可撓性のベースフィルム150上に付着しているものを用いる。この蒸着材料152は、溶媒に蒸着材料が溶解又は分散させたペースト状のものを用いても良いし、それをさらに乾燥させたものであっても良い。また、粉末状の蒸着材料を押圧して固めたものであっても良い。蒸着材料152が付着した長尺のベースフィルム150は、図9(A)で示すように、リール142に巻かれて蒸発源140の中に保持される。長尺のベースフィルム150の他端は、巻き取りリール144につながり、タッチローラ146を介してリール142から逐次送り出されるようになっている。
【0072】
蒸発源140の先端である開口部において、蒸着材料152が付いたベースフィルム150は、その面が露出するようになっている。その露出部にエネルギービームが照射さるようになっており、加熱された蒸着材料152が蒸発若しくは昇華して成膜を行う。エネルギービーム供給源148としては、レーザ光源や、電子線発生器などを適用することができる。
【0073】
蒸着材料152は、ベースフィルム150と共に連続して供給されるので、成膜を連続して行うことができる。また、ヒータによって蒸発源であるルツボ等を加熱する必要は無いので、消費するエネルギーを削減することができる。
【0074】
本実施の形態の蒸着材料供給部を、実施の形態1〜3の成膜装置の蒸発源に適用すれば、大画面の表示パネルであっても、均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットの向上を図ることができる。特に、本実施の形態に係る蒸発源と蒸着材料供給部の構成は、実施の形態2において示す成膜処理室に適用することが好ましい。
【0075】
(実施の形態8)
本実施の形態は、実施の形態1乃至7のいずれかの構成を備える成膜装置により作製されるEL素子の一例について説明する。本実施の形態では、一対の電極間にEL層を有するEL素子について説明する。
【0076】
図10はEL素子の断面積層構造を示す。このEL素子は、第1電極202と第2電極204の間にEL層206が形成されている。EL層206は、実施の形態4乃至7のいずれか一の蒸発源を備えた成膜装置により形成することができる。EL素子は、支持体として基板200を用いることもある。基板200としては、ガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、EL素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。以下の説明では、第1電極202から正孔が注入され(以下「陽極」ともいう)、第2電極204から電子が注入され(以下「陰極」ともいう)て発光するEL素子について説明する。
【0077】
第1電極202としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物金属、化合物、合金を用いることができる。例えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合した酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide)などを用いることができる。その他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−シリコン(Al−Si)、アルミニウム−チタン(Al−Ti)、アルミニウム−シリコン−銅(Al−Si−Cu)又は金属材料の窒化物等、を用いることができる。いずれにしても第1電極202を陽極として用いる場合には、その中でも、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)インジウム錫酸化物などで形成することが好ましい。
【0078】
EL層206は、第1電極202側から第1層208、第2層210、第3層212、第4層214を含んでいる。
【0079】
第1層208はキャリア注入輸送性の層であり、金属酸化物と有機化合物を含む複合材料で形成することが好ましい。金属酸化物としては、元素周期律第4族から第8族の属する金属酸化物を用いることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり扱いやすく好ましい。
【0080】
金属酸化物と有機化合物の組み合わせは、有機化合物は金属酸化物により酸化されやすいものであり、すなわち当該金属酸化物中にあって有機化合物のラジカルカチオンが生成しやすいものであることが好ましい。例えば、複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、金属錯体、有機金属錯体、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)などを用いることができる。それにより、有機化合物単体に比べ、前記複合材料の導電性を向上させ、有機化合物へのキャリア注入性(特に正孔の注入性)を高めることができるという効果が得られる。また、各種金属との電気的な障壁を緩和し金属との接触抵抗を低減することができる。
【0081】
第2層210は、正孔輸送性の高い物質、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物からなる層である。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vsec以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層210は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものであってもよい。
【0082】
第3層212は、発光材料を含む層である。発光材料としては、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)や3−(2−ベンソチアゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン(略称:クマリン6)等の発光性の高い物質とトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)や9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等のキャリア輸送性が高く結晶化しにくい物質とを組み合わせることが好ましい。また、AlqやDNAは発光性も高い物質であるため、これらの物質を単独で用いた構成としても良い。
【0083】
第4層214は、電子輸送性の高い物質、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を適用することができる。また、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vsec以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば用いることができる。
【0084】
第2電極204としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、元素周期律第1族又は第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)を用いることができる。また、第2電極204は、金属若しくは金属酸化物の層と、EL層206に電子注入性の層を組み合わせて構成することもできる。電子注入性の層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。また、この他、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。
【0085】
なおEL層206の構成は図10の記載に限定されるものではなく、電場を印加することにより発光が得られるものであれば良い。すなわち、発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1電極202および第2電極204から離れた部位に正孔と電子とが再結合する領域を設けた構成であれば、図10で示す構成以外のものであっても良い。
【0086】
EL層206には、キャリア輸送特性の観点から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などと呼ばれるものの一種又は複数種が含まれる。なお各層の境目は必ずしも明確である必要はなく、互いの層を構成している材料が一部混合し、界面が不明瞭になっている場合もある。各層には、有機系の材料、無機系の材料を用いることが可能である。有機系の材料として、高分子系、中分子系、低分子系のいずれの材料も用いることが可能である。また、電極についても、EL層に電場を印加する機能を備えたものであればよく、金属若しくは金属酸化物の導電層とそれに接するキャリア輸送性若しくはキャリア注入性の層を含めていうこともできる。
【0087】
以上のような構成を有するEL素子は、第1電極202と第2電極204との間に電圧を印加してEL層206に電流が流れることにより発光(ルミネセンス)を得ることができる。図10では第3層212に発光領域が形成されるような構成となっている。但し、第3層212の全てが発光領域として機能する必要はなく、例えば、第3層212のうち第2層210側又は第4層214側にのみ発光領域が形成されるようなものであってもよい。
【0088】
第1電極202と第2電極204の一方を透光性とし、他方を光反射性の電極とすると、透光性の電極側からEL層206からの光を放射させることができる。また、第1電極202と第2電極204の双方を透光性としておくことにより、EL層206からの光を両方の電極から放射させるEL素子とすることができる。
【0089】
このようなEL素子は、実施の形態1で説明したように、図1で示す成膜処理室を複数備えた成膜装置で形成することができる。例えば、第1電極202としてインジウム錫酸化物膜が形成さた基板200をロード室14に入れて真空排気をする。
【0090】
その後、搬送手段40により当該基板200を加熱処理室18に導入する。加熱処理室18では、基板200を加熱して脱ガス処理を行う。また、プラズマ処理室26に搬送して、酸素プラズマ処理により第1電極202の表面を処理しても良い。加熱処理室18におけるこれらの処理は適宜行えば良く、省略することもできる。
【0091】
成膜処理室20に導入された基板200は、第1電極202上に第1層208が成膜される。金属酸化物と有機化合物を含む複合材料で形成する第1層208を成膜するために、成膜処理室20には、金属酸化物の蒸発源と有機化合物の蒸発源が備えられている。この二種類の蒸発源を少なくとも用い、共蒸着を行う。蒸発源の構成は、実施の形態4乃至7のいずれか一の構成を適用できる。勿論、この二種の蒸発源が同じ構成を備えている必要はなく、異なる構成のものを組み合わせても良い。実施の形態4のように、粉末を気流で搬送して金属酸化物を蒸着する場合、キャリアガスを酸素とすることもできる。成膜処理室20内に酸素が供給されることにより、金属酸化物の化学量論的組成からのずれを抑制することができる。また、有機化合物については、実施の形態5のようにエアロゾル化する方式を適用することもできる。いずれにしても、第1層208はキャリア注入輸送性の層であり、抵抗率が5×10〜1×10Ωcmであり、30〜300nmの厚さに形成する。
【0092】
その後、成膜処理室20にて第2層210を成膜する。第2層210は、正孔輸送性の高い物質として、例えばNPBを成膜する。なお、第2層210は他の成膜処理室に移動して成膜しても良い。
【0093】
成膜処理室24に移動した基板200は第3層212を成膜する。第3層212は、発光材料を含む層であり、発光色に応じた蒸着材料を成膜する。蒸発源の構成は、実施の形態4乃至7のいずれか一の構成を適用できる。勿論、この二種の蒸発源が同じ構成を備えている必要はなく、異なる構成のものを組み合わせても良い。EL素子毎に、若しくは一つのEL素子に発光色の異なる複数の層を成膜する場合には、一の層を成膜した後、成膜処理室28、成膜処理室30に基板200を移動させて、他の層を成膜しても良い。成膜処理室を分けることで、発光物質が不用意に混合することなく、発光色純度の高い素子を作製することができる。
【0094】
成膜処理室32に移動した基板200は第4層214を成膜する。第4層214は、電子輸送層として、Alqなどの被膜を成膜する。さらに、成膜処理室34に基板200を移動させて、第2電極204を成膜する。
【0095】
EL層206と第2電極204を形成した基板200は、中間処理室36を経て封止処理室38に搬入される。封止処理室38は、ヘリウム、アルゴン、ネオン、若しくは窒素などの不活性な気体が充填されており、その雰囲気下で基板200のEL層206が形成された側に封止板を貼り付けて封止する。封止された状態において、基板200と封止板との間には、不活性気体が充填されていても良いし、樹脂材料を充填しておいても良い。
【0096】
このようにしてEL素子を得ることができる。本実施の形態に従えば、大画面の表示パネルであっても、均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットの向上を図ることができる。
【0097】
(実施の形態9)
本実施の形態は、実施の形態1〜7で示される成膜装置により作製される発光装置の一例を図11を参照して説明する。なお、発光装置とは、画素とも呼ばれる表示単位を複数個配列させて文字、図形、記号、標識、静止画、動画などを表示する装置が含まれる。画素の配列にはマトリクス状に配列されるもの、セグメント状に配列されるものなどさまざまなものが含まれる。その他にも、発光装置には、明暗、色調などを変化させて情報を表示する装置全般が含まれる。また、光源若しくは照明として用いられる装置全般を含むものとする。
【0098】
図11は、素子基板300に形成された駆動回路302、表示部304が封止基板334で封止されている発光装置を示す。
【0099】
駆動回路302はpチャネル型の第1トランジスタ306とnチャネル型の第2トランジスタ308を代表例として示している。第1トランジスタ306は、半導体層316、ゲート絶縁層として機能する絶縁層318、ゲート電極320を含んで構成されている。また、半導体層316の下層には、汚染不純物に対するブロッキング層としての絶縁層314が形成されている。半導体層316は単結晶珪素、多結晶珪素又は非晶質珪素を用いることができる。
【0100】
第2トランジスタ308も同様であり、半導体層316に形成するソース及びドレインなどの不純物領域を適宜設けることでトランジスタとして機能するように構成している。トランジスタは、一対のソース及びドレイン間にチャネル形成領域を備えたシングルドレイン構造、チャネル形成領域とドレインとの間に低濃度ドレイン(LDD)を設けたLDD構造、LDDがゲート電極と重なるゲートオーバーラップドレイン構造などを適宜選択して用いることができる。これらのトランジスタにより、シフトレジスタ回路、ラッチ回路、レベルシフタ回路、スイッチ回路など形成し、駆動回路302を構成している。
【0101】
表示部304には、一画素に含まれるnチャネル型の第3トランジスタ310、pチャネル型の第4トランジスタ312を代表例として示している。また、図12(A)は、この一画素の上面図を示し、a−b線に対応する断面図を図11に示している。また、図12(B)は画素の等価回路を示す。第3トランジスタ310、第4トランジスタ312は一対のソース及びドレイン間に複数のゲート電極を介在させた(複数のチャネル形成領域を直列に配設した)マルチゲート構造を示している。
【0102】
ゲート電極320の上層には、パッシベーション層322、層間絶縁層324が形成され、その上に配線326が形成されている。表示部304においては、画像信号が供給される配線327、電源線としての配線333、第3トランジスタ310と第4トランジスタ312を繋ぐ配線329が形成されている。配線329上には、絶縁層328を介して隔壁層330が形成されている。EL素子201は層間絶縁層324の上に配置している。第1電極202は、層間絶縁層324上(若しくは絶縁層328上)を延びて第4トランジスタ312の配線331と接続している。隔壁層330は、第1電極202の周辺端部を覆い、開口部が形成されている。EL素子は、第1電極202、EL層206、第2電極204により構成され、その詳細は実施の形態8で示すものを適用することもできる。図11で示すように、EL層206からの発光が第1電極202側に放射される場合には、第1電極202を透明導電膜で形成し、第2電極を金属電極で形成する。
【0103】
なお、図11では、EL素子の第1電極202と層間絶縁層324の間に絶縁層328を設ける構成を示している。この絶縁層328は、層間絶縁層324上で配線層をエッチング処理で形成したときに、エッチング残渣が残って、それがEL素子の進行性不良(経時劣化であり、非発光領域が成長するような不良)を誘発する場合に、それを防止するために有効に機能する。そのため、絶縁層328は省略することもできる。
【0104】
図11では半導体層316の後にゲート電極320が形成されるトップゲート型のトランジスタ構造を示すが、ゲート電極の後に半導体層を形成するボトムゲート構造としても良い。特に、非晶質珪素を用いる場合には後者の方が望ましい。
【0105】
素子基板300の端部には、端子338が設けられ、外部回路と接続する配線基板340と電気的な接続を形成する。接続部には導電性の接着剤342が設けられている。
【0106】
図13は素子基板300の構成を示す。素子基板300には、画素305が複数配列された表示部304が形成されている。また、駆動回路として、走査線駆動回路302a、信号線駆動回路302bが形成されている。表示部304には、走査線駆動回路302aから延びる配線325、信号線駆動回路302bから延びる配線327、その他に電源線としての配線333がある。また、画素305に含まれるEL素子201の輝度変化を補正するためのモニタ回路307が設けられていても良い。EL素子201とモニタ回路307に含まれるEL素子は同じ構造を有している。
【0107】
素子基板300の周辺部には、走査線駆動回路302aに外部回路から信号を入力する端子338a、信号線駆動回路302bに外部回路から信号を入力する端子338b、モニタ回路307に信号を入力する端子338cを有している。画素305には、画像信号が供給される配線327に接続する第3トランジスタ310と、電源が供給される配線333とEL素子201との間に直列に挿入されて接続する第4トランジスタ312を含んでいる。第3トランジスタ310のゲートは配線325の接続し、走査信号で選択されたとき、画像信号が供給される配線327の信号を画素305に入力する。入力された信号は第4トランジスタ312のゲートに与えられ、また、保持容量部313を充電する。この信号に応じて、配線333とEL素子201は導通状態となり、EL素子201が発光する。
【0108】
画素305に設けたEL素子201を発光させるためには外部回路から電力を供給する必要がある。電源を供給する配線333は端子338cで外部回路と接続される。配線333は引き回す配線の長さにより抵抗損失が生じるので、端子338cは素子基板300の周辺部に複数箇所設けることが好ましい。端子338cは素子基板300の両端部に設け、表示部307の面内で輝度ムラが目立たないように配置されている。すなわち、画面の中で片側が明るく、反対側が暗くなってしまうことを防いでいる。また、一対の電極を備えたEL素子201であって、電力を供給する配線333と接続する電極とは反対側の電極は、複数の画素305で共有する共通電極として形成されるが、この電極の抵抗損失も低くするために、端子338dを複数個備えている。
【0109】
このような発光装置において、EL素子は実施の形態1で説明したように、図1で示す成膜処理室を複数備えた成膜装置で形成することができる。例えば、駆動回路302、表示部304の各トランジスタ及び第4トランジスタ312に接続する第1電極202、隔壁層330まで形成された素子基板300を基板200をロード室14に搬入してEL層206の成膜を行う。そのプロセスについては実施の形態8を参照することができる。
【0110】
本実施の形態によれば、一辺の長さが1000mmを超える大面積のガラス基板であっても、蒸着膜の面内均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットの向上を図ることができる。
【0111】
(実施の形態10)
本実施の形態は、実施の形態1〜7で示される成膜装置により作製することのできる発光装置の一例を図14を参照して説明する。
【0112】
図14(A)は発光装置の上面図であり、基板400に、画素402を配列することによって構成される表示部404を示している。また、図14(B)は、画素402の構成を断面図で示す。以下の説明では、この両図面を参照する。
【0113】
基板400には、一方向に延びる配線と、他方向に延びる配線が交差するように形成されている。ここでは、便宜的に一方向をX方向と呼び、他方向をY方向と呼ぶこととする。
【0114】
X方向に延びる配線410とY方向に延びる配線412が設けられ、その両配線が重なるところにはEL層206が形成されている。このとき、EL層206はY方向に延びる配線412と同じ方向にストライプ状に形成しても良い。隔壁416は、このようなEL層206及びY方向に延びる配線412と同じ方向にストライプ状に形成されている。隔壁416は、ストライプ状に延びるEL層206及びY方向に延びる配線412について、隣接するもの同士を分離する機能を有し、図14(B)のように断面形状を逆テーパ状としても良い。また、隔壁416とX方向に延びる配線410との間に絶縁層414を設け、X方向に延びる配線410とY方向に延びる配線412が接触しないようにしている。
【0115】
このような発光装置において、EL層206は実施の形態1で説明したように、図1で示す成膜処理室を複数備えた成膜装置で形成することができる。例えば、X方向に延びるストライプ状の配線410、絶縁層414、隔壁416が形成した基板400をロード室14に搬入してEL層206の成膜を行う。そのプロセスについては実施の形態8を参照することができる。この場合、EL層206は、実施の形態8と同様なものを適用することができる。また、赤(R)、緑(G)、青(B)のように発光色の異なる画素を表示部404に形成する場合には、蒸着をするときにシャドーマスクを用いてEL層206の構成を異ならせることができる。このとき、隔壁416は、シャドーマスクが配線410などに直接接することがないようにスペーサとして機能することとなる。
【0116】
本実施の形態によれば、一辺の長さが1000mmを超える大面積のガラス基板であっても、蒸着膜の面内均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットの向上を図ることができる。
【0117】
(実施の形態11)
本実施の形態は、実施の形態1〜7で示される成膜装置により作製することのできる発光装置の一例を図面を参照して説明する。本実施の形態では、特にトランジスタを含む素子基板の製造工程において、少なくとも一部にフォトマスクを用いないで所定のパターンを形成する工程を含む発光装置について図面を参照し説明する。
【0118】
図15は本実施の形態に係る発光装置の構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板700上に画素704をマトリクス上に配列させた画素部702、走査線入力端子706、信号線入力端子708が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであれば画素数は1024×768×3(RGB)、UXGAであれば画素数は1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させるのであれば画素数は1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0119】
図15は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外部の駆動回路により制御する発光装置の構成を示している。その他に、図16で示すようにCOG(Chip on Glass)によりドライバICを基板700上に実装しても良い。図16は走査線ドライバIC710と信号線ドライバIC712を基板700に実装する形態を示している。走査線ドライバIC710は、走査線入力端子706と画素部702との間に設けられている。
【0120】
画素704は、入力端子706から延在する走査線と、入力端子708から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素704のそれぞれには、信号線と駆動用トランジスタの接続状態を制御するトランジスタ(以下「スイッチング用トランジスタ」又は「スイッチング用TFT」ともいう。)と、EL素子へ流れる電流を制御するトランジスタ(以下「駆動用トランジスタ」又は「駆動用TFT」ともいう。)とが備えられ、駆動用トランジスタがEL素子と直列に接続されている。
【0121】
トランジスタは、代表的には電界効果型トランジスタであり、主要な構成要素として、半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極を含んでいる。半導体層に形成されるソース及びドレイン領域に接続する配線がそれに付随する。構造的には基板側から半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極を配設したトップゲート型と、基板側からゲート電極、ゲート絶縁層及び半導体層を配設したボトムゲート型などが代表的に知られているが、本発明においてはそれらの構造のどのようなものを用いても良い。半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるアモルファス半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス半導体などを用いることができる。
【0122】
次に、このような発光装置をチャネル保護型のトランジスタで実現する工程について説明する。
【0123】
図17(A)は、基板700上にゲート電極と、ゲート電極と接続するゲート配線及び容量配線を液滴吐出法で形成する工程を示している。なお、図17(A)は縦断面構造を示し、A−B、C−D及びE−Fに対応する平面構造を図18に示す。
【0124】
基板700は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、ステンレス合金などの金属基板の表面に絶縁層を設けた基板を適用しても良い。
【0125】
基板700上に、導電性材料を含む組成物を印刷法により、ゲート配線720、ゲート電極722、容量電極724、ゲート電極726を形成する。これらの層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅))、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。特に、ゲート配線は、低抵抗化することが好ましのいで、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させた組成物を用いることが好適である。より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。ゲート電極は微細に形成する必要があるので、好ましくは、平均粒径が5〜10nmの粒子を含むナノペーストを用いると良い。溶媒は、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等の有機溶剤等に相当する。表面張力と粘度は、溶液の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
【0126】
本実施の形態で適用される印刷法には、スクリーン印刷法、液滴のマイクロドットを吐出する液滴吐出法(インクジェットとも呼ばれる)、微量な液滴の吐出をパターンを描画する間連続的に供給するディスペンサー法などが含まれる。例えば、液滴吐出法において用いるノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には10pl以下)に設定することが好ましい。液滴吐出法には、オンデマンド型とコンティニュアス型の2つの方式があるが、どちらの方式を用いてもよい。さらに液滴吐出法において用いるノズルには、圧電体の電圧印加により変形する性質を利用した圧電方式、ノズル内に設けられたヒータにより組成物を沸騰させ該組成物を吐出する加熱方式があるが、そのどちらの方式を用いてもよい。被処理物とノズルの吐出口との距離は、所望の箇所に液滴を滴下するために、できる限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。ノズルと被処理物は、その相対的な距離を保ちながら、ノズル及び被処理物の一方が移動して、所望のパターンを描画する。また、組成物を吐出する前に、被処理物の表面にプラズマ処理を施してもよい。これは、プラズマ処理を施すと、被処理物の表面が親水性になったり、疎液性になったりすることを活用するためである。例えば、純水に対しては親水性になり、アルコールを溶媒したペーストに対しては疎液性になる。
【0127】
組成物を吐出する工程は、減圧下で行っても良い。これは、組成物を吐出して被処理物に着弾するまでの間に、該組成物の溶媒が揮発し、後の乾燥と焼成の工程を省略又は短くすることができるためである。また、導電材料を含む組成物の焼成工程において、分圧比で10〜30%の酸素を混合させたガスを積極的に用いることにより、ゲート電極を構成する導電膜の抵抗率を下げ、かつ、該導電膜の薄膜化、平滑化を図ることができる。
【0128】
組成物の吐出後は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉等により、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100℃で3分間、焼成は200℃〜350℃で15分間〜120分間で行う。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいても良い。そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、100℃〜800℃(好ましくは200℃〜350℃)とする。本工程により、組成物中の溶媒の揮発又は化学的に分散剤を除去し、周囲の樹脂が硬化収縮することで融合と融着を加速する。雰囲気は、酸素雰囲気、窒素雰囲気又は空気で行う。但し、金属元素を分解又は分散している溶媒が除去されやすい酸素雰囲気下で行うことが好適である。レーザ光の照射は、連続発振又はパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数マイクロ秒から数分の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができる。
【0129】
この工程では、形成されたゲート配線720、ゲート電極722、容量電極724、ゲート電極726の表面をなめらかにするために、特に表層部の流動性を高めるように、レーザ光の照射や瞬間熱アニールで加熱処理を行っても良い。
【0130】
ナノペーストは、粒径が5nm〜10nmの導電粒子を有機溶剤に分散又は溶解させたものであるが、他にも分散剤や、バインダーと呼ばれる熱硬化性樹脂が含まれている。バインダーは、焼成時にクラックや不均一な焼きムラが発生するのを防止する働きを持つ。そして、乾燥又は焼成工程により、有機溶剤の蒸発、分散剤の分解除去及びバインダーによる硬化収縮が同時に進行することにより、ナノ粒子同士が融合及び/又は融着して硬化する。この際、ナノ粒子は、数十nm〜百数十nmまで成長する。近接する成長粒子同士で融合及び/又は融着して互いに連鎖することにより、金属連鎖体を形成する。一方、残った有機成分の殆ど(約80〜90%)は、金属連鎖体の外部に押し出され、結果として、金属連鎖体を含む導電膜と、その外側を覆う有機成分が残存する。残存する有機成分は、ナノペーストを窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成する際に、気体中に含まれる酸素と、有機成分からなる膜中に含まれる炭素や水素などとが反応することにより、除去することができる。また、焼成雰囲気下に酸素が含まれていない場合には、別途、酸素プラズマ処理等によって有機成分を除去することができる。このように、ナノペーストを窒素及び酸素を含む雰囲気下で焼成、又は乾燥後酸素プラズマで処理することによって、残留有機成分は除去されるため、残存した金属連鎖体を含む導電膜の平滑化、薄膜化、低抵抗化を図ることができる。なお、導電材料を含む組成物を減圧下で吐出することにより組成物中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理(乾燥又は焼成)時間を短縮することもできる。
【0131】
図17(B)は、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層728を単層又は積層構造で形成する。好ましい形態としては、窒化珪素からなる第1絶縁体層730、酸化珪素からなる第2絶縁体層732、窒化珪素からなる第3絶縁体層734の三層の積層体をゲート絶縁層として構成させる。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流が少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。ゲート配線720、ゲート電極722、容量電極724、ゲート電極726に接する第1絶縁体層730を窒化珪素若しくは窒化酸化珪素で形成することで、酸化による劣化を防止することができる。
【0132】
次に、半導体層736を形成する。半導体層736は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される半導体で形成する。代表的には非晶質珪素若しくは水素化非晶質珪素を用いることができる。
【0133】
半導体層736上には、絶縁体層738をプラズマCVD法やスパッタリング法で形成する。この絶縁体層738は、後の工程で示すように、ゲート電極と相対して半導体層736上に残存させて、チャネル保護層とする。外部から金属や有機物質などの不純物を防ぎ、絶縁体層738と半導体層736との界面を清浄に保つために絶縁体層738は緻密な膜で形成することが好ましい。この絶縁体層738は低温で形成できることが望ましい。例えば、プラズマCVD法において、珪化物気体をアルゴンなどの希ガスで100倍〜500倍に希釈して形成された窒化珪素膜は、100℃以下の成膜温度でも緻密な膜を形成可能であり好ましい。
【0134】
図17(B)では、絶縁体層738上であって、ゲート電極722及びゲート電極726と相対する位置に、組成物を選択的に吐出して、マスク740を形成している。マスク740は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、マスク740は、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、透光性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよい。例えば、代表的には、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物を含むポジ型レジスト、ベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤を含むネガ型レジストなどを用いてもよい。いずれの材料を用いても、その表面張力と粘度は、溶液による希釈や界面活性剤等を加えて適宜調整する。そして、マスク740を利用して絶縁体層738をエッチングし、チャネル保護層として機能する絶縁体層742を形成する。
【0135】
図19(A)では、マスク740を除去して、半導体層736及び絶縁体層214上にn型半導体層744を形成している。さらに、n型半導体層744上に、マスク746を液滴吐出法で形成する。図19(B)では、このマスク746を利用して、n型半導体層744及び半導体層736をエッチングして半導体層748とn型半導体層750を形成している。なお、図19(B)の縦断面構造に対し、A−B、C−D及びE−Fに対応する平面構造を図20に示す。
【0136】
次いで、図19(C)に示すように、エッチング加工によりゲート絶縁層728に貫通孔752を形成して、その下層側に配置されているゲート電極726の一部を露出させる。エッチング加工は、上記と同じマスクを液滴吐出法で形成して行えば良い。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良い。大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF、NF、Cl、BClなどのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスクを形成する必要はない。
【0137】
図21(A)では、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレインに接続する配線754、756、758、760を液滴吐出法で形成する。図21(A)の縦断面構造に対し、A−B及びC−Dに対応する平面構造を図22に示す。図22で示すように、基板700の一端から延びる配線774を同時に形成する。これは配線754と電気的に接続するように配設する。また、図21(A)で示すように、ゲート絶縁層728に形成した貫通孔752において、配線756とゲート電極726とを電気的に接続させる。この配線を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(以下「ITO」ともいう。)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(以下「ITSO」ともいう。)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
【0138】
図21(B)は、配線754、756、758、760をマスクとして、絶縁体層742上のn型半導体層744をエッチングして、ソース及びドレイン領域を形成するn型半導体層762、764を形成している。
【0139】
図21(C)は、配線772と電気的に接続するように、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、画素電極に相当する第1電極766を形成する。なお、図21(C)の縦断面構造に対し、A−B、C−D及びE−Fに対応する平面構造を図23に示す。
【0140】
第1電極766は、液滴吐出法を用いて形成する。第1電極766は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛、酸化スズなどを含む組成物を用いることができる。この他、酸化珪素を含み酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛を混合した導電性酸化物(以下「IZO」ともいう。)を用いても良い。そして、所定のパターンを形成し、焼成によって画素電極を形成しても良い。
【0141】
また、第1電極766をAg(銀)、Au(金)、Cu(銅))、W(タングステン)、Al(アルミニウム)などで形成しても良い。この場合、EL層で発光する光は基板700とは反対側に放射されることとなる。
【0142】
さらに全面に窒化珪素若しくは窒化酸化珪素の保護層768と、絶縁体層770を形成する。絶縁体層770は、スピンコート法、ディップ法若しくは印刷法などで形成可能な絶縁体であれば良い。保護層768と絶縁体層770は、第1電極766の端部を覆うように形成する。図21(C)に示す保護層768と絶縁体層770の構造は、エッチング加工によって形成可能であり、それにより第1電極766の表面が露出する。このエッチングは、絶縁体層770の下層にある保護層768やゲート絶縁層728を同時に行うことで、第1電極766と、ゲート配線720が露出するように加工する。
【0143】
絶縁体層770は、第1電極766に対応して画素が形成される位置に合わせて貫通孔の開口部を備えて形成される。この絶縁体層770は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成された珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素上の水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて絶縁体層770を形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。
【0144】
以上の工程により、基板700上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のTFTと第1電極が接続されたEL表示パネル用の素子基板800が完成する。
【0145】
図24は素子基板800に、EL層776を形成し、封止基板784を組み合わせた態様を示している。EL層776を形成する前に、大気圧中で100℃以上の熱処理を行い絶縁体層770中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200℃〜400℃、好ましくは250℃〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さずにEL層776を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。EL層776の詳細は、実施の形態8で示すものを適用することができる。
【0146】
続いて、シール材782を形成し、封止基板784を用いて封止する。その後、ゲート配線720にフレキシブル配線基板786を接続しても良い。
【0147】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いないでトランジスタを作製し、EL素子を組み合わせた発光装置を製造することができる。本実施の形態では、光露光工程に係るレジスト塗布や露光、現像といった処理の一部又は全部を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
【0148】
(実施の形態12)
本実施の形態は、実施の形態1〜7で示される成膜装置により作製することのできる発光装置の一例を図面を参照して説明する。特に本実施の形態は、チャネルエッチ型のトランジスタを含む素子基板の製造工程において、少なくとも一部にフォトマスクを用いないで所定のパターンを形成する工程を含む発光装置について図面を参照し説明する。
【0149】
図25(A)において、基板700上に、導電性材料を含む組成物を印刷法により形成して、ゲート配線720、ゲート電極722、容量電極724、ゲート電極726を形成する。次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層728を単層又は積層構造で形成する。ゲート絶縁層728は実施の形態11と同様に、窒化珪素及び酸化珪素を用いて形成しても良い。さらに、活性層として機能する半導体層736を形成する。
【0150】
そして、半導体層736上に、n型半導体層744を形成する。次に、n型半導体層744上に、レジスト組成物を選択的に吐出してマスク788を形成する。続いて、マスク788を利用して、半導体層736とn型半導体層744をエッチングする。
【0151】
図25(B)では、エッチングにより分離された半導体層の配置に合わせて導電性材料を含む組成物を吐出し、配線754、756、758、760を形成する。この配線をマスクとして、n型半導体層をエッチングする。配線754、756、758、760と重なる部分に残存するn型半導体層762、764は、それがソース又はドレインとして機能する領域を含む層となる。半導体層790はチャネルを形成する領域を含み、n型半導体層762、764と接して形成される。また、このエッチング加工の前に、実施の形態11と同様に、ゲート絶縁層728の一部に貫通孔752を形成して、その下層側に配置されているゲート電極726の一部を露出させる工程を行うことで、配線756とゲート電極726との接続構造を形成することができる。
【0152】
図25(C)では、配線760と電気的に接続するように、導電性材料を含む組成物を吐出して、第1電極766を形成する。
【0153】
図26では、実施に形態11と同様に、保護層768、絶縁体層770、EL層776、第2電極778を形成し、さらに、シール材782を形成し、封止基板784を用いて封止する。その後、ゲート配線720にフレキシブル配線基板786を接続しても良い。以上によって、表示機能を有する発光装置を作製することができる。
【0154】
(実施の形態13)
実施の形態11、実施の形態12で示す表示装置において、走査線入力端子部と信号線入力端子部とに保護ダイオードを設けた一態様について図27を参照して説明する。図27は、画素704にはスイッチング用トランジスタ802、駆動用トランジスタ804が設けられている。
【0155】
信号線入力端子部には、保護ダイオード662、664が設けられている。この保護ダイオードは、スイッチング用トランジスタ802又は駆動用トランジスタ804と同様な工程で作製されている。保護ダイオード662、664はトランジスタのゲートとドレイン若しくはソースの一方とを接続することによりダイオードとして動作させている。なお、図27で示す上面図の等価回路を図28に示している。
【0156】
保護ダイオード662は、ゲート電極650、半導体層652、チャネル保護用の絶縁層654、配線656を有している。保護ダイオード664も同様な構造である。この保護ダイオード662と接続する共通電位線658、660はゲート電極と同じ層で形成している。従って、配線656と電気的に接続するには、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
【0157】
ゲート絶縁層へのコンタクトホールは、液滴吐出法によりマスクを形成し、エッチング加工すれば良い。この場合、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスクを形成する必要はない。信号配線774はスイッチング用トランジスタ802における配線754と同じ層で形成され、それに接続している信号配線774とソース又はドレイン側が接続する構造となっている。
【0158】
走査信号線側の入力端子部における保護ダイオード666、668も同様な構成である。このように、入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成することができる。
【0159】
(実施の形態14)
本実施の形態は、実施の形態9〜実施の形態13における発光装置の表示部における画素の配列と、その画素に対応したEL層の蒸着方法を図29と図30を参照して説明する。
【0160】
図29は、表示部500に、異なる発光色の画素を複数個含む絵素510を有している。絵素510に画素(R)502、画素(G)504、画素(B)506、画素(W)508を含んでいる。画素(R)502は赤色に発光するEL素子を備えた画素、画素(G)504は緑色に発光するEL素子を備えた画素、画素(B)506は青色に発光するEL素子を備えた画素、画素(W)508は白色に発光するEL素子を備えた画素であるものとする。なお、ここで示す画素の組み合わせは、可能な組み合わせの一例であり、所謂RGBカラー表示に対応した三色に発光する画素を備えた構成、それに補色を組み合わせた構成などさまざまな画素の組み合わせで絵素510を構成することができる。
【0161】
絵素510に隣接する絵素512にも同様に、画素(R)、画素(G)、画素(B)、画素(W)を含んでいるが、絵素512内の配列が絵素510と異なっている。すなわち、絵素510の画素(B)506は絵素512の画素(B)506bと、絵素510の画素(W)508は絵素512の画素(W)508bと、それぞれ隣接するように配置されている。絵素512に隣接する絵素514における画素の配列も同様である。また、絵素510と絵素514に隣接する絵素516における画素の配列も同様である。
【0162】
このような配列にすることにより、同じ発光色の画素を複数個集合させて配置することができる。例えば、図29では、異なる絵素に属する画素(W)508、画素(W)508b、画素(W)508c、画素(W)508dが互いに隣接して配置されている。
【0163】
画素(R)502、画素(G)504、画素(B)506、画素(W)508に含まれる各EL素子は、発光色を異ならせるためEL層の構成を異ならせている。この場合、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などは、各EL素子間で共通なものとして、発光層の材料を異ならせている。
【0164】
発光色の異なる画素が複数個配列して成る表示部を形成するときに、EL層の形成には実施の形態8で示したようにシャドーマスクを用いることができる。シャドーマスクは、被膜を形成したい領域に開口を設けたものであり、画素の配列に合わせてその開口部が配設したものである。
【0165】
図30はそのようなシャドーマスクの一例を示している。シャドーマスク520は画素の配列に合わせて開口部522が形成されている。シャドーマスク520の開口部522は、例えば、発光色に応じて発光層を画素毎に異ならせるために、画素の配列に合わせて配置されている。図30では、画素(W)508b、画素(W)508c、画素(W)508dに開口部522が位置するように配置されている。この場合において、異なる絵素に属する発光色が同じ画素を互いに隣接して配置することにより、開口部522を大きくすることができる。それにより、開口部522を密集させて形成する必要が無く、シャドーマスク520の加工精度を緩くすることができ、画素が微細化した場合にも柔軟に対応することができる。
【0166】
また、このような画素の配置とすることにより、画素の配列の間隔を狭くすることができる。これは、シャドーマスク520の一つの開口部522の中に同一発光色の複数の画素を納めることができるからである。
【0167】
異なる発光色の発光層を形成するときには、シャドーマスク520の位置をずらすことにより、隣接する画素について同様にすることができる。
【0168】
このような画素の配列と、それに対応したシャドーマスクを、実施の形態1〜実施の形態7の成膜装置に適用することにより一辺の長さが1000mmを超える大面積のガラス基板であっても、蒸着膜の面内均一性良く、連続して成膜することができる。また、蒸発源に蒸着材料が無くなる度に、その都度蒸着材料を補給する必要がないので、スループットを向上することができる。
【0169】
(実施の形態15)
本実施の形態は、実施の形態1〜7で示す成膜装置で、被膜を形成するときの成膜方法の一例について示す。
【0170】
EL層などの被膜を形成する基板の寸法に制限はないが、例えば、大画面テレビ用の基板として第6世代の1500mm×1800mm、第7世代の1870mm×2200mm、第8世代の2160mm×2400mmのガラス基板を適用することができる。勿論、それ以降の世代、すなわちより大面積のガラス基板にも対応することができる。
【0171】
図31は一例として、40インチパネルを8枚取り出すことができる第8世代の2160mm×2400mmの基板600を示している。この基板600には、例えば、40インチクラスの画面を形成する複数の素子基板602が配列している。
【0172】
このような基板600に対し、蒸発源604は、少なくとも素子基板602が形成される主要な面に対し、均一な蒸着膜を形成するように、移動したがら蒸着を行う。その動作は、図31に点線で示すように、基板600の主面に対し、一方向(Y方向)に往復運動をしながら、その走査軸がずれるようにシフトさせている。このような蒸発源604の動作で、基板600の主要面を成膜処理した後、往復運動の方向を変えて(X方向)、さらに同様な走査を行っても良い。このように、走査方向を変えることにより、蒸着した膜の均一性を高めることができる。
【0173】
なお、本実施の形態では、基板に対し蒸発源が走査するものとして説明したが、蒸発源を固定して基板が移動する方式(実施の形態2)としても良いし、基板と蒸発源の両者が移動する方式(実施の形態3)としてもい良い。
【0174】
(実施の形態16)
図32及び図33は、実施の形態13、実施の形態14、実施の形態15の素子基板800に駆動回路などを実装したモジュールの一例を示している。図32及び図33において、素子基板800には、画素704により構成される画素部702が形成されている。
【0175】
図32では、画素部702の外側であって、駆動回路824と画素704との間に、画素に形成されたものと同様なトランジスタ又はそのトランジスタのゲートとソースを接続したダイオードで保護回路820が備えられている。駆動回路824は、単結晶半導体で形成されたドライバIC、ガラス基板上に多結晶半導体膜で形成されたスティックドライバICなどを適用することができる。
【0176】
素子基板800は、液滴吐出法で形成されたスペーサ834を介して封止基板784と固着されている。スペーサは、基板の厚さが薄く、また画素部の面積が大型化した場合にも、2枚の基板の間隔を一定に保つために設けておくことが好ましい。EL素子780上であって、素子基板800と封止基板784との間にある空隙には透光性の樹脂材料を充填して固体化しても良いし、無水化した窒素若しくは不活性気体を充填させても良い。
【0177】
図32ではEL素子をトップエミッション型の構成とした場合を示し、図中に示す矢印の方向に光を放射する構成としている。各画素は、画素704aを赤色、画素704bを緑色、画素704cを青色として発光色を異ならせておくことで、多色表示を行うことができる。また、このとき封止基板784側に各色に対応した着色層836a、着色層836b、着色層836cを形成しておくことで、外部に放射される発光の色純度を高めることができる。また、画素704a、704b、704cを白色EL素子として着色層836a、836b、836cと組み合わせても良い。
【0178】
外部回路828は、素子基板800の一端に設けられた走査線若しくは信号線接続端子と、配線基板826で接続される。また、素子基板800に接して若しくは近接させて、ヒートパイプ830と放熱板832を設け、放熱効果を高める構成としても良い。
【0179】
なお、図32では、トップエミッションのELモジュールとしたが、EL素子の構成や外部回路基板の配置を変えてボトムエミッション構造としても良い。
【0180】
図33は、素子基板800において、画素部が形成された側にシール材782や接着性の樹脂822を用いて樹脂フィルム836を貼り付けて封止構造を形成した一例を示している。樹脂フィルム836の表面には水蒸気の透過を防止するガスバリア膜を設けておくと良い。図33では、EL素子の光が基板を通して放射されるボトムエミッションの構成を示しているが、樹脂フィルム836や接着性の樹脂822を透光性とすることにより、トップエミッション構造とすることもできる。いずれにしても、フィルム封止構造とすることで、さらなる表示装置の薄型化及び軽量化を図ることができる。
【0181】
(実施の形態17)
実施の形態16により作製されるモジュールによって、テレビ装置を完成させることができる。図34はテレビ装置の主要な構成を示すブロック図を示している。素子基板900には、画素部901が形成されている。信号線駆動回路902と走査線駆動回路903は、素子基板900にCOG方式により実装されていても良い。
【0182】
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ904で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路905と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路906と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路907などを有している。コントロール回路907は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路908を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0183】
チューナ904で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路909に送られ、その出力は音声信号処理回路910を経てスピーカ913に供給される。制御回路911は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部912から受け、チューナ904や音声信号処理回路910に信号を送出する。
【0184】
このような外部回路を実装して、図32、図33で説明したようなモジュールを図35に示すように、筐体920に組みこんで、テレビ装置を完成させることができる。モジュールにより表示画面921が形成され、その他付属設備としてスピーカ922、操作スイッチ924などが備えられている。このように、本発明によりテレビ受像機を完成させることができる。
【0185】
勿論、本発明はテレビ受像機に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
【0186】
(実施の形態18)
本実施の形態は、第1の実施の形態〜第9の実施の形態で示すいずれか一の表示モジュールを用いた携帯電話機の一例について、図36、図37を参照して説明する。
【0187】
図36は携帯電話機の組み立て図を示す。携帯電話機は、モジュール950、キー入力スイッチ952、回路基板954、二次電池956などが筐体958に収納されている。図36で示すように、筐体959には、モジュール950を収納するときに、その表示部の位置に対応して型抜きがされている。また、モジュール950にはICチップやセンサチップが実装されている。
【0188】
このような携帯電話機のシステム構成の一例を図37に示す。アンテナ960、高周波回路961、ベースバンドプロセッサ962などは、700〜900MHz帯、1.7〜2.5GHz帯の無線通信を行うための通信回路や変調、復調回路などを含んでいる。音声・画像処理プロセッサ970は、CPU971と通信を行い、コントローラ975にビデオ信号等を送る他、電源回路974の制御、スピーカ963への音声出力、マイクロフォン964から音声入力、CCDモジュール965から送られてくる画像データの処理などを行う。この画像データは、補助メモリ入力インターフェース966を介してメモリカードなどに記録できるようにしても良い。コントローラ975は、表示パネル976、表示パネル977に信号を送り、また、表示の切り替えを行う。
【0189】
CPU971は、外光強度を検知する光センサ967、キー入力スイッチ968からの信号などからの信号を受けて音声・画像処理プロセッサ970の制御を行う。また、通信インターフェース969を介してローカルエリアネットワークを使った通信を制御する。メモリ972はSRAMなどの他に、ハードディスクなどの記録媒体973を付加しても良い。二次電池978はこれらのシステムに電力を供給する。
【0190】
なお、図36は携帯電話機の外観形状を一例として示したものであり、本実施の形態に係る携帯電話機は、その機能や用途に応じて様々な態様に変容しうる。
【0191】
このように、本実施の形態では、携帯電話機、コンピュータ、ビデオカメラ等について例示したが、本発明はこれに限定されず、モジュールを備えたさまざまな電子機器を実現することができる。例えば、電子書籍、携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistant)等)、携帯型ビデオゲーム機、家庭用ビデオゲーム機、ナビゲーションシステムなどがある。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】実施の形態1に係る成膜装置の構成を説明する図。
【図2】実施の形態1に係る成膜装置の内部構成を説明する図。
【図3】実施の形態2に係る成膜装置の内部構成を説明する図。
【図4】実施の形態3に係る成膜装置の内部構成を説明する図。
【図5】実施の形態3に係る成膜装置の内部構成を説明する図。
【図6】実施の形態4に係る成膜装置の成膜処理室に備える蒸発源と蒸着材料供給部の一例を示す図。
【図7】実施の形態5に係る成膜装置の成膜処理室に備える蒸発源と蒸着材料供給部の一例を示す図。
【図8】実施の形態6に係る成膜装置の成膜処理室に備える蒸発源と蒸着材料供給部の一例を示す図。
【図9】実施の形態7に係る成膜装置の成膜処理室に備える蒸発源と蒸着材料供給部の一例を示す図。
【図10】実施の形態7に係るEL素子の構成を説明する図。
【図11】実施の形態9に係る発光装置の構成を説明する図。
【図12】実施の形態9に係る発光装置の構成を説明する図。
【図13】実施の形態9に係る発光装置の構成を説明する図。
【図14】実施の形態10に係る発光装置の構成を説明する図。
【図15】実施の形態11に係る発光装置の構成を説明する図。
【図16】実施の形態11に係る発光装置の構成を説明する図。
【図17】実施の形態11に係る発光装置の製造工程を説明する断面図。
【図18】実施の形態11に係る発光装置の製造工程を説明する上面図(図17(A)に対応)。
【図19】実施の形態11に係る発光装置の製造工程を説明する断面図。
【図20】実施の形態11に係る発光装置の製造工程を説明する上面図(図19(B)に対応)。
【図21】実施の形態11に係る発光装置の製造工程を説明する断面図。
【図22】実施の形態11に係る発光装置の製造工程を説明する上面図(図21(A)に対応)。
【図23】実施の形態11に係る発光装置の製造工程を説明する上面図(図21(C)に対応)。
【図24】実施の形態11に係る発光装置の製造工程を説明する断面図。
【図25】実施の形態12に係る発光装置の製造工程を説明する断面図。
【図26】実施の形態12に係る発光装置の製造工程を説明する断面図。
【図27】実施の形態13に係る発光装置の製造工程を説明する上面図。
【図28】実施の形態13に係る発光装置の製造工程を説明する等価回路図。
【図29】実施の形態14に係る発光装置の製造工程を説明する図。
【図30】実施の形態14に係る発光装置の製造工程を説明する図。
【図31】実施の形態15において成膜方法を説明する図。
【図32】実施の形態16に係る発光装置の態様を説明する図。
【図33】実施の形態16に係る発光装置の態様を説明する図。
【図34】実施の形態17に係るテレビ装置の構成を説明する図。
【図35】実施の形態17に係るテレビ装置の構成を説明する図。
【図36】実施の形態18に係る携帯電話機の構成を説明する図。
【図37】実施の形態18に係る携帯電話機の構成を説明する図。
【符号の説明】
【0193】
10 搬送室
12 搬送室
14 ロード室
16 アンロード室
18 加熱処理室
20 成膜処理室
22 成膜処理室
24 成膜処理室
26 プラズマ処理室
28 成膜処理室
30 成膜処理室
32 成膜処理室
34 成膜処理室
36 中間室
38 封止処理室
40 搬送手段
42 搬送手段
50 蒸発源ホルダ
52 蒸発源
52a 蒸発源
52a 蒸発源
52b 蒸発源
52c 蒸発源
54 距離センサー
56 多関節アーム
58 材料供給源
58a 材料供給源
58b 材料供給源
58c 材料供給源
60 材料供給管
60a 材料供給管
60b 材料供給管
60c 材料供給管
62 基板ステージ
64 基板
66 チャック
68 シャドーマスク
70 チャック
72 天板
73 ヒータ
74 底板
76 蒸着材料供給部
78 ガイドレール
80 ガイドレール
81 搬送台
82 移動機構
84 移動機構
86 移動機構
88 ガイドレール
89 成膜処理室
90 ガイドレール
92 ゲートバルブ
100 筒状セル
102 ヒータ
106 粉体攪拌チャンバ
108 ガス供給管
110 ガス流量コントローラ
112 蒸着材料貯蔵セル
114 原料液貯蔵部
116 原料液供給手段
118 エアロゾル形成部
120 筒状セル
122 筒状セル
123 配線
124 ヒータ
126 搬送手段
128 蒸着材料貯蔵セル
130 搬送手段
132 材料供給管
140 蒸発源
142 リール
144 リール
146 タッチローラ
148 エネルギービーム供給源
150 ベースフィルム
152 蒸着材料
200 基板
201 EL素子
202 第1電極
204 第2電極
206 EL層
208 第1層
210 第2層
212 第3層
214 第4層
214 絶縁体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ蒸着材料を被着させる基板と対向する蒸発源と、
前記蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段と、
前記蒸発源に連結され蒸着材料を供給する蒸着材料供給手段と
を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ、蒸着材料を被着させる基板と対向し、蒸着材料が溶媒中に溶解又は分散している原料液をエアロゾル化し該エアロゾル中の前記溶媒を蒸発若しくは昇華させる蒸発源と、
前記蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段と、
前記蒸発源に連結され、前記原料液を供給する蒸着材料供給手段と
を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ、蒸着材料を被着させる基板と対向し、不活性ガス又は反応性ガスと共に粉体状の蒸着材料を蒸発若しくは昇華させる蒸発源と、
前記蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段と、
前記蒸発源に連結され、前記粉体状の蒸着材料を活性ガス又は反応性ガスと共に供給する蒸着材料供給手段と
を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項4】
減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ、蒸着材料を被着させる基板と対向し、粉体状の蒸着材料を蒸発若しくは昇華させる蒸発源と、
前記蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段と、
前記蒸発源に連結され、前記粉体状の蒸着材料を管内に配設されたスクリューを回転させて連続的供給する蒸着材料供給手段と
を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項5】
減圧状態を保持可能な処理室内に備えられ、蒸着材料が付着した可撓性のフィルムが連続的に送り出される開口部を備えた蒸発源と、
前記開口部で露出する前記蒸着材料が付着した可撓性のフィルムにエネルギービームを照射する加熱手段と、
前記蒸発源を該基板の主表面に沿って走査させる移動手段と、
を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記蒸発源が複数個備えられていることを特徴とする成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2007−70687(P2007−70687A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258558(P2005−258558)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】