説明

把持機構

【課題】種々の形状の把持対象物体を安定して把持することが可能な小型軽量な把持機構を提供することにある。
【解決手段】把持機構10では、第2の指リンク12は第1の指リンク11の一方先端にて第1の軸線A1周りに回転可能であり、第1の指リンクは第1の軸線に直交する第2の軸線A2に沿って相互に開閉運動が可能である。これにより、第2の指リンクを互いに逆方向に回転させつつ、第1の指リンクを互いに逆方向に開閉させることにより、第2の指リンクの周面を把持対象物体の表面に沿わせることができ、一対の第2の指リンクにより把持対象物体を把持・解放することができる。このため、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持できる。更に、指リンク自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載する駆動手段や機構部材を小型化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持対象物体を挟み込んで取り上げることが可能な把持機構に関し、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することが可能な把持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、旋回アームの先端に一対のリンクロッドを平行に突出させ、各リンクロッドの突出端にフィンガを直角に取り付けたハンドリングユニットが提案されている。このようなハンドリングユニットは、一対のリンクロッドをアーム軸方向に移動させ、一対のフィンガを接近・離間させることにより把持対象物体を把持・解放するようになっている。また、特許文献2には、側面視L字形の一対のアームを一端側で重ねてコの字状となるように配置し、各アームの他端側にクローラを対向配置した把持装置が提案されている。このような把持装置は、一対のアームを一端軸方向に移動させ、一対のクローラを接近・離間させて回動させることにより把持対象物体を把持・解放するようになっている。しかし、ハンドリングユニットでは旋回アームが長尺となるため、また、把持装置ではクローラが大型となるため、機構そのものの質量が増大する。このため、把持対象物体が軽量であっても過大なアクチュエータや機構部品を搭載せざるを得なかった。
【0003】
特許文献3には、ハンド基部に第1のフィンガの一端を軸線に直交する軸線周りで回動可能に取り付け、この第1のフィンガの他端に第2のフィンガを上記回動軸線と平行な軸線周りで回動可能に取り付けたものを一対備えたロボットハンドが提案されている。このようなロボットハンドは、一対の第1及び第2のフィンガを回動させ、一対のハンド基部を開閉させることにより把持対象物体を把持・解放するようになっている。このような構成によれば、フィンガ自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載するアクチュエータや機構部品を小型化することができる。
【0004】
【特許文献1】実開昭60−48982号公報
【特許文献2】実開昭60−143684号公報
【特許文献3】特許第2697268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したロボットハンドでは、一対のハンド基部の開閉により一対の第2のフィンガで把持対象物体を摘む動作なため、把持可能な把持対象物体の形状が限定され、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することが困難である。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、種々の形状の把持対象物体を安定して把持することが可能な小型軽量な把持機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的達成のため、本発明の把持機構では、第1及び第2の指リンクをそれぞれ一対備え、該指リンクの動作により把持対象物体を把持可能な把持機構であって、 前記第2の指リンクは、前記第1の指リンクの一方先端にて該第1の指リンクの第1の軸線周りに回転可能であり、 前記第2の指リンクを含む前記第1の指リンクは、前記第1の軸線に直交する第2の軸線に沿って相互に開閉運動が可能であることを特徴としている。
【0008】
これにより、一対の第2の指リンクを互いに逆方向に回転させつつ、一対の第1の指リンクを互いに逆方向に相互に開閉させることにより、第2の指リンクの周面を把持対象物体の表面に沿わせることができるので、最終的には一対の第2の指リンクにより把持対象物体を把持・解放することができる。このため、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、指リンク自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載する駆動手段や機構部材を小型化することができる。
【0009】
上記目的達成のため、本発明の把持機構では、第1、第2及び第3の指リンクをそれぞれ一対備え、該指リンクの動作により把持対象物体を把持可能な把持機構であって、 前記第3の指リンクは、前記第2の指リンクの一方先端にて該第2の指リンクの第2の軸線周りに回転可能であり、 前記第3の指リンクを含む前記第2の指リンクは、前記第1の指リンクの一方先端にて該第1の指リンクの第1の軸線に直交する第3の軸線周りに回転可能であり、 前記第2、第3の指リンクを含む前記第1の指リンクは、前記第3の軸線に沿って相互に開閉運動が可能であることを特徴としている。
【0010】
これにより、一対の第3の指リンクを互いに逆方向に回転させつつ、一対の第1の指リンクを互いに逆方向に相互に開閉させることにより、第3の指リンクの周面を把持対象物体の表面に沿わせることができるので、最終的には一対の第3の指リンクにより把持対象物体を把持・解放することができる。このため、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、指リンク自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載する駆動手段や機構部材を小型化することができる。更に、一対の第2の指リンクが加わることにより一対の第3の指リンクの自由度が高まるので把持対象物体をより容易に把持・解放することができる。
【0011】
また、前記各指リンクを駆動する駆動手段の少なくとも1つが、該指リンクの動作軸に対しオフセットした位置に配置されていることを特徴としている。
これにより、質量の大きい駆動手段は回転させず、必要最小限の機構部材のみを回転させて慣性を小さくすることができるので、搭載する駆動手段を出力の小さいものとすることができる。
また、前記第1の指リンクは、前記第1の軸線に沿って左右対称に相互に開閉運動が可能であることを特徴としている。
これにより、搭載する駆動手段の個数を減らすことができるので、更に小型軽量な把持機構とすることができる。
【0012】
また、前記把持対象物体に接触して把持する指リンクは、軸対称形状であることを特徴としている。
これにより、把持対象物体に直接接触する指リンクの周面を把持対象物体の表面に確実に沿わせることができるので、把持対象物体をより安定して把持することができる。
また、前記第1の軸線に沿って相互に開閉運動する機構が、受動コンプライアンスを有することを特徴としている。
これにより、移動制御及び把持力制御が簡易となり、把持対象物体を安定して把持することができる。
【0013】
本発明の把持機構は、より具体的には、第1、第2及び第3の指リンクをそれぞれ一対備え、該指リンクの動作により把持対象物体を把持可能な把持機構であって、 一対の前記第3の指リンクは、前記第2の指リンクの一方先端にて該第2の指リンクの第2の軸線周りに同時に逆方向に回転可能であり、 一対の前記第3の指リンクを含む一対の前記第2の指リンクは、前記第1の指リンクの一方先端にて該第1の指リンクの第1の軸線に直交する第3の軸線周りに同時に同方向に回転可能であり、 一対の前記第2、第3の指リンクを含む一対の前記第1の指リンクは、前記第3の軸線に沿って左右対称に直進可能であり、 一対の前記第1の指リンクを駆動する第1の駆動手段と、一対の前記第2の指リンク及び一対の前記第3の指リンクをそれぞれ駆動する第2・第3の駆動手段が、該指リンクの動作軸に対しオフセットした位置に配置されていることを特徴としている。
【0014】
そして、前記第2・第3の駆動手段は、モータの駆動力をベルト・プーリ機構により一対の前記第2の指リンクに伝達し、更に前記ベルト・プーリ機構により伝達された駆動力を歯車機構により一対の前記第3の指リンクに伝達することを特徴としている。
また、前記把持対象物体に接触して把持する指リンクは、回転自在な1つの主ローラと、該主ローラに連動して回転する1つ以上の副ローラと、当該指リンクと上位の指リンクとの間を付勢する付勢手段とを備え、前記主ローラの回転を前記副ローラに伝達することにより前記把持対象物体を把持することを特徴としている。そして、回転伝達用のベルトが、前記主ローラと前記副ローラを覆うように該ローラ間に架け渡されていることを特徴としている。
これにより、把持対象物体を主ローラ又は副ローラの周面の複数点で支持することができ、更に当該指リンクと上位の指リンクの間には付勢手段による受動コンプライアンスがあるため、把持対象物体を安定して把持することができる。(主ローラから副ローラへの回転伝達は、様々な形態が考えられ、例えば後述する図13〜17に示した伝達機構を用いることが出来る。)
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の概念を示す斜視図である。
この把持機構10は、一対の第1の指リンク11及び一対の第2の指リンク12と本体13を備えており、該指リンク11、12の動作により把持対象物体を把持可能となっている。尚、一対の第1の指リンク11は同一構成であり、一対の第2の指リンク12も同一構成であるため、以下では図示左側のみについて説明する。
【0017】
第1の指リンク11は、本体13の底部から図示下方へ突出するように配置されている。第2の指リンク12は、第1の指リンク11の下端から図示下方へ突出するように配置されている。そして、第2の指リンク12は、第1の指リンク11の下端にて第1の指リンク11の図示上下方向に延びる第1の軸線A1周りに回転可能に設けられている。第2の指リンク12の第2の駆動手段は、図示していないが第1の指リンク11に内蔵されている。また、第1の指リンク11は、第2の指リンク12と共に第1の軸線A1に直交する図示左右方向に延びる第2の軸線A2に沿って直進(開閉)可能に設けられている。第1の指リンク11の第1の駆動手段は、図示していないが本体13に内蔵されている。
【0018】
このような構成において、第1の軸線A1と直交する平面上、即ち水平に保持された円盤状の把持対象物体を把持及び解放する際の動作を説明する。尚、初期状態においては、一対の第1の指リンク11は本体13の中央に位置決めされて互いに近接もしくは接触しているものとする。
先ず、本体13が固定されている図示しないロボットアームを動作させて、一対の第2の指リンク12の周面を把持対象物体の周面に当接させる。続いて、一対の第2の指リンク12が開きつつ、一対の第2の指リンク12の周面が把持対象物体の周面に沿って摺動するように、ロボットアームを動作させつつ、一対の第1の指リンク11をそれぞれ逆方向に直進させると共に一対の第2の指リンク12をそれぞれ逆方向に回転させる。
【0019】
即ち、例えば把持対象物体が一対の第2の指リンク12の図示奥側に位置しているときは、図示右側の第1の指リンク11を図示右方向へ直進させると共に、図示左側の第1の指リンク11を図示左方向へ直進させ、図示右側の第2の指リンク12を上から見て左回転させると共に、図示左側の第2の指リンク12を上から見て右回転させる。そして、一対の第2の指リンク12の間隔が把持対象物体の直径と同一となったときに上記直進動作及び上記回転動作を停止することにより、一対の第2の指リンク12により把持対象物体を把持することができる。
【0020】
次に、ロボットアームを動作させて、一対の第2の指リンク12に把持されている把持対象物体を所定位置に搬送する。続いて、一対の第1の指リンク11を先程とは逆方向に直進させると共に一対の第2の指リンク12を先程とは逆方向に回転させる。即ち、図示右側の第1の指リンク11を図示左方向へ直進させると共に、図示左側の第1の指リンク11を図示右方向へ直進させ、図示右側の第2の指リンク12を上から見て右回転させると共に、図示左側の第2の指リンク12を上から見て左回転させる。これにより、一対の第2の指リンク12が閉じつつ、一対の第2の指リンク12の周面が把持対象物体の周面に沿って摺動するので、一対の第2の指リンク12から把持対象物体を解放することができる。
【0021】
以上のような把持機構10によれば、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、各指リンク11、12自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載する駆動手段や機構部材を小型化することができる。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の第1の具体例を示す斜視図である。
この把持機構100は、一対の第1の指リンク110、一対の第2の指リンク120、一対の第1の駆動手段130、一対の第2の駆動手段140及び本体150を備えている。尚、一対の各部は同一構成であるため、以下では図示左側のみについて説明する。
第1の指リンク110は、中空直方体状に形成されており、第2の指リンク120は、中実円筒状に形成されている。第1の駆動手段130は、モータ131、歯車ヘッド132、エンコーダ133、ピニオン134及びラック135を備えている。第2の駆動手段140は、モータ141、歯車ヘッド142及びエンコーダ143を備えている。
【0023】
第1の駆動手段130のモータ131、歯車ヘッド132及びエンコーダ133は、モータ軸136が図示下方を向くように、本体150上部に固定されている。ピニオン134は、モータ軸136に嵌入されており、ラック135は、第1の指リンク110上端に固定されている。第1の指リンク110の上部は、上端に固定されているラック135がモータ軸136に嵌入されているピニオン134と噛み合うように、本体150内にて図示左右方向に架け渡されている2本のガイドバー151に移動自在に貫装されている。第2の駆動手段140のモータ141、歯車ヘッド142及びエンコーダ143は、モータ軸144が図示下方を向くように、第1の指リンク110下部に内蔵固定されている。第2の指リンク120は、モータ軸144に嵌入されている。
【0024】
このような構成において、第2の駆動手段140のモータ141の回転は歯車ヘッド142により減速されて、第2の指リンク120を第1の指リンク110の下端にて第1の指リンク110の図示上下方向に延びる第1の軸線A1周りに回転させる。この第2の指リンク120の回転は、エンコーダ143により制御される。第1の駆動手段130のモータ131の回転は歯車ヘッド132により減速され、ピニオン134からラック135を介して、第1の指リンク110を第2の指リンク120と共に第1の軸線A1に直交する図示左右方向に延びる第2の軸線A2に沿って直進させる。この第1の指リンク110の直進は、エンコーダ133により制御される。
【0025】
この把持機構100によれば、上記把持機構10で説明したと同様に、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、各指リンク110、120自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載するモータ131、141、歯車ヘッド132、142及びエンコーダ133、143やピニオン134及びラック135を小型化することができる。
【0026】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の第2の具体例を図2に対応させて示す斜視図であり、同一構成部材は同一番号を付す。
この把持機構200の一対の第1の指リンク110、一対の第2の指リンク120、一対の第2の駆動手段140及び本体150は、図2に示す把持機構100と略同一構成であるが、一対の第1の駆動手段230が、図2に示す把持機構100と異なる構成となっている。尚、一対の第1の駆動手段230は同一構成であるため、以下では図示左側のみについて説明する。
【0027】
第1の駆動手段230は、モータ231、歯車ヘッド232、エンコーダ233、2つのタイミングプーリ234a、234b、タイミングベルト235、ボールネジ237及びボールナット238を備えている。第1の駆動手段230のモータ231、歯車ヘッド232及びエンコーダ233は、モータ軸236が図示左方を向くように、本体150上部に固定されている。ボールネジ237は、本体150内にて図示左右方向に架け渡されてボールナット238が螺合されている。タイミングプーリ234aは、モータ軸236に嵌入されており、タイミングプーリ234bは、ボールネジ237の左端に嵌入されている。そして、タイミングベルト235が、2つのタイミングプーリ234a、234b間に架け渡されている。ボールナット238は、第1の指リンク110上端に固定されている。
【0028】
このような構成において、第2の駆動手段140のモータ141の回転は歯車ヘッド142により減速されて、第2の指リンク120を第1の指リンク110の下端にて第1の指リンク110の図示上下方向に延びる第1の軸線A1周りに回転させる。この第2の指リンク120の回転は、エンコーダ143により制御される。第1の駆動手段230のモータ231の回転は歯車ヘッド232により減速され、タイミングプーリ234a、タイミングベルト235、タイミングプーリ234b、ボールネジ237からボールナット238を介して、第1の指リンク110を第2の指リンク120と共に第1の軸線A1に直交する図示左右方向に延びる第2の軸線A2に沿って直進させる。この第1の指リンク110の直進は、エンコーダ233により制御される。
【0029】
この把持機構200によれば、上記把持機構10で説明したと同様に、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、各指リンク110、120自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載するモータ231、141、歯車ヘッド232、142及びエンコーダ233、143やタイミングプーリ234a、234b、タイミングベルト235、ボールネジ237及びボールナット238を小型化することができる。
【0030】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の第3の具体例を図2に対応させて示す斜視図であり、同一構成部材は同一番号を付す。
この把持機構300の一対の第1の指リンク110、一対の第2の指リンク120、一対の第2の駆動手段140及び本体150は、図2に示す把持機構100と略同一構成であるが、一対の第1の駆動手段330が、図2に示す把持機構100と異なる構成となっている。尚、一対の第1の駆動手段330は同一構成であるため、以下では図示左側のみについて説明する。
【0031】
第1の駆動手段330は、モータ331、歯車ヘッド332、エンコーダ333、2つのタイミングプーリ334a、334b及びタイミングベルト335を備えている。第1の駆動手段330のモータ331、歯車ヘッド332及びエンコーダ333は、モータ軸336が図示下方を向くように、本体150左上部に固定されている。タイミングプーリ334aは、モータ軸336に嵌入されており、タイミングプーリ334bは、本体150略中央上部でタイミングプーリ334aと平行になるように下向きに軸支持されている。そして、タイミングベルト335が、2つのタイミングプーリ334a、334b間に架け渡されており、該ベルト略中央が第1の指リンク110上端に固定されている。
【0032】
このような構成において、第2の駆動手段140のモータ141の回転は歯車ヘッド142により減速されて、第2の指リンク120を第1の指リンク110の下端にて第1の指リンク110の図示上下方向に延びる第1の軸線A1周りに回転させる。この第2の指リンク120の回転は、エンコーダ143により制御される。第1の駆動手段330のモータ331の回転は歯車ヘッド332により減速され、タイミングプーリ334a、334bからタイミングベルト335を介して、第1の指リンク110を第2の指リンク120と共に第1の軸線A1に直交する図示左右方向に延びる第2の軸線A2に沿って直進させる。この第1の指リンク110の直進は、エンコーダ333により制御される。
【0033】
この把持機構300によれば、上記把持機構10で説明したと同様に、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、各指リンク110、120自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載するモータ331、141、歯車ヘッド332、142及びエンコーダ333、143やタイミングプーリ334a、334b及びタイミングベルト335を小型化することができる。
【0034】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の第4の具体例を図2に対応させて示す斜視図であり、同一構成部材は同一番号を付す。
この把持機構400の一対の第1の指リンク110、一対の第2の指リンク120、一対の第2の駆動手段140及び本体150は、図2に示す把持機構100と略同一構成であるが、一対の第1の駆動手段430が、図2に示す把持機構100と異なる構成となっている。尚、一対の第1の駆動手段430は同一構成であるため、以下では図示左側のみについて説明する。
【0035】
第1の駆動手段430は、モータ431、歯車ヘッド432、エンコーダ433、プーリ434、ワイヤ435及び引張バネ437を備えている。第1の駆動手段430のモータ431、歯車ヘッド432及びエンコーダ433は、モータ軸436が図示下方を向くように、本体150中央上部に固定されている。プーリ434は、モータ軸436に嵌入されている。引張バネ437の一端は、本体150左内側面に係止されている。そして、ワイヤ435の一端がプーリ434に連結され、他端が引張バネ437の他端に連結されており、該ワイヤ他端側が第1の指リンク110上端に固定されている。
【0036】
このような構成において、第2の駆動手段140のモータ141の回転は歯車ヘッド142により減速されて、第2の指リンク120を第1の指リンク110の下端にて第1の指リンク110の図示上下方向に延びる第1の軸線A1周りに回転させる。この第2の指リンク120の回転は、エンコーダ143により制御される。第1の駆動手段430のモータ431の回転は歯車ヘッド432により減速され、プーリ434によるワイヤ435の巻き取り動作、もしくはプーリ434によるワイヤ435の巻き戻し動作及び引張バネ437の復元動作を介して、第1の指リンク110を第2の指リンク120と共に第1の軸線A1に直交する図示左右方向に延びる第2の軸線A2に沿って直進させる。この第1の指リンク110の直進は、エンコーダ433により制御される。
【0037】
この把持機構400によれば、上記把持機構10で説明したと同様に、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、各指リンク110、120自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載するモータ431、141、歯車ヘッド432、142及びエンコーダ433、143やプーリ434、ワイヤ435及び引張バネ437を小型化することができる。
【0038】
上述した本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の第1〜第4の具体例では、一対の第1の駆動手段110〜410を備えているが、以下で説明するような構成の第1の駆動手段160〜460とすることにより、第1の駆動手段110〜410のように全ての部材を一対で構成する必要が無く、簡易な構成とすることができる。
【0039】
図6(A)、(B)は、図2に示す第1の実施の形態に係る把持機構の第1の具体例で使用可能な第1の駆動手段を示す斜視図及び平面図である。
この第1の駆動手段160は、モータ161、歯車ヘッド162、エンコーダ163及びピニオン164は1つで良く、ラック165A、165Bのみ一対とした構成となっている。第1の駆動手段160のモータ161、歯車ヘッド162及びエンコーダ163は、モータ軸166が図2の下方を向くように、本体150中央上部に固定される。ピニオン164は、モータ軸166に嵌入されている。そして、一対のラック165A、165Bは、一対の第1の指リンク110上端にそれぞれ固定され、ピニオン164を両側から挟んでピニオン164と噛み合うように配置される。
【0040】
このような構成において、第1の駆動手段160のモータ161の回転は歯車ヘッド162により減速され、ピニオン164から一対のラック165A、165Bを介して、一対の第1の指リンク110を一対の第2の指リンク120と共に第1の軸線A1に直交する図示左右方向に延びる第2の軸線A2に沿って左右対称で直進させる。この一対の第1の指リンク110の左右対称の直進は、エンコーダ163により制御される。
この第1の駆動手段160によれば、モータ161、歯車ヘッド162、エンコーダ163及びピニオン164は1つで良いため、図2に示す第1の駆動手段110と比べて機構そのものの質量の増大を抑えて小型軽量化することができる。
【0041】
図7(A)、(B)は、図3に示す第1の実施の形態に係る把持機構の第2の具体例で使用可能な第1の駆動手段を示す斜視図及び平面図である。
この第1の駆動手段260は、モータ261、歯車ヘッド262、エンコーダ263、タイミングプーリ264a、タイミングプーリ264b、タイミングベルト265及びボールネジ267は1つで良く、ボールナット268A、268Bのみ一対とした構成となっている。第1の駆動手段260のモータ261、歯車ヘッド262及びエンコーダ263は、モータ軸266が図3の左方を向くように、本体150左上部に固定される。ボールネジ267は、中央を境に左右で正ネジと逆ネジが切られており、本体150内にて図示左右方向に架け渡されて正ネジと逆ネジのボールナット268A、268Bがそれぞれ螺合されている。タイミングプーリ264aは、モータ軸266に嵌入されており、タイミングプーリ264bは、ボールネジ267の左端に嵌入されている。そして、タイミングベルト265が、2つのタイミングプーリ264a、264b間に架け渡されている。一対のボールナット268A、268Bは、一対の第1の指リンク110上端にそれぞれ固定される。
【0042】
このような構成において、第1の駆動手段260のモータ261の回転は歯車ヘッド262により減速され、タイミングプーリ264a、タイミングベルト265、タイミングプーリ264b、ボールネジ267から一対のボールナット268A、268Bを介して、一対の第1の指リンク110を一対の第2の指リンク120と共に第1の軸線A1に直交する図示左右方向に延びる第2の軸線A2に沿って左右対称に直進させる。この一対の第1の指リンク110の左右対称の直進は、エンコーダ263により制御される。
この第1の駆動手段260によれば、モータ261、歯車ヘッド262、エンコーダ263、タイミングプーリ264a、タイミングプーリ264b、タイミングベルト265及びボールネジ267は1つで良いため、図3に示す第1の駆動手段210と比べて機構そのものの質量の増大を抑えて小型軽量化することができる。
【0043】
図8(A)、(B)は、図4に示す第1の実施の形態に係る把持機構の第3の具体例で使用可能な第1の駆動手段を示す斜視図及び平面図である。
この第1の駆動手段360は、モータ361、歯車ヘッド362、エンコーダ363、タイミングプーリ364a、タイミングプーリ364b及びタイミングベルト365は1つで良い構成となっている。第1の駆動手段360のモータ361、歯車ヘッド362及びエンコーダ363は、モータ軸366が図4の下方を向くように、本体150左上部に固定される。タイミングプーリ364aは、モータ軸366に嵌入されており、タイミングプーリ364bは、本体150右上部でタイミングプーリ364aと平行になるように下向きに軸支持されている。そして、タイミングベルト365が、2つのタイミングプーリ364a、364b間に架け渡されており、該ベルト略中央両側が一対の第1の指リンク110上端にそれぞれ固定されている。
【0044】
このような構成において、第1の駆動手段360のモータ361の回転は歯車ヘッド362により減速され、タイミングプーリ364a、364bからタイミングベルト365を介して、一対の第1の指リンク110を一対の第2の指リンク120と共に第1の軸線A1に直交する図示左右方向に延びる第2の軸線A2に沿って左右対称に直進させる。この一対の第1の指リンク110の左右対称の直進は、エンコーダ363により制御される。
この第1の駆動手段360によれば、モータ361、歯車ヘッド362、エンコーダ363、タイミングプーリ364a、タイミングプーリ364b及びタイミングベルト365は1つで良いため、図4に示す第1の駆動手段310と比べて機構そのものの質量の増大を抑えて小型軽量化することができる。
【0045】
図9は、図5に示す第1の実施の形態に係る把持機構の第4の具体例で使用可能な第1の駆動手段を含む把持機構全体を示す斜視図である。
この第1の駆動手段460は、モータ461、歯車ヘッド462、エンコーダ463、プーリ464及びワイヤ465は1つで良く、引張バネ467A、467Bのみ一対とした構成となっている。第1の駆動手段460のモータ461、歯車ヘッド462及びエンコーダ463は、モータ軸466が図示下方を向くように、本体150中央上部に固定されている。プーリ464は、モータ軸466に嵌入されている。一対の引張バネ467A、467Bの一端は、本体150左内側面及び本体150右内側面にそれぞれ係止されている。そして、ワイヤ465の中央がプーリ464に連結され、両端が一対の引張バネ467A、467Bの他端にそれぞれ連結されており、該ワイヤ両端側が一対の第1の指リンク110上端にそれぞれ固定されている。
【0046】
このような構成において、第1の駆動手段460のモータ461の回転は歯車ヘッド462により減速され、プーリ464によるワイヤ465の巻き取り動作、もしくはプーリ464によるワイヤ465の巻き戻し動作及びバネ467の復元動作を介して、一対の第1の指リンク110を一対の第2の指リンク120と共に第1の軸線A1に直交する図示左右方向に延びる第2の軸線A2に沿って左右対称に直進させる。この一対の第1の指リンク110の左右対称の直進は、エンコーダ463により制御される。
この第1の駆動手段460によれば、モータ461、歯車ヘッド462、エンコーダ463、プーリ464及びワイヤ465は1つで良いため、図5に示す第1の駆動手段410と比べて機構そのものの質量の増大を抑えて小型軽量化することができる。
【0047】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る把持機構の概念を示す斜視図である。
この把持機構20は、一対の第1の指リンク21、一対の第2の指リンク22及び一対の第3の指リンク23と本体24を備えており、該指リンク21、22、23の動作により把持対象物体を把持可能となっている。ここで、この把持機構20における第1の指リンク21及び第3の指リンク23は、図1に示す把持機構10における第1の指リンク11及び第2の指リンク12と略同一構成であり、この把持機構20では第2の指リンク22が新たに付加された構成となっている。尚、一対の第1の指リンク21は同一構成であり、一対の第2の指リンク22も同一構成であり、更に一対の第3の指リンク23も同一構成であるため、以下では図示左側のみについて説明する。
【0048】
第1の指リンク21は、本体24の底部から図示下方へ突出するように配置されている。第2の指リンク22は、第1の指リンク21の下端から突出するように配置されている。そして、第2の指リンク22は、第1の指リンク21の下端にて第1の指リンク21の図示上下方向に延びる第1の軸線B1に直交する図示左右方向に延びる第3の軸線B3周りに回転可能に設けられている。第3の指リンク23は、第2の指リンク22の下端から第2の指リンク22の図示上下方向に延びる第2の軸線B2方向へ突出するように配置されている。そして、第3の指リンク23は、第2の指リンク21の下端にて第2の軸線B2周りに回転可能に設けられている。第3の指リンク23の回転駆動手段は、図示していないが第2の指リンク22に内蔵されている。第2の指リンク22の回転駆動手段は、図示していないが第1の指リンク21に内蔵されている。また、第1の指リンク21は、第2、第3の指リンク22、23と共に第3の軸線B3に沿って直進可能に設けられている。第1の指リンク21の直進駆動手段は、図示していないが本体24に内蔵されている。
【0049】
このような構成において、第1の軸線B1と平行な平面上、即ち垂直に保持された円盤状の把持対象物体を把持及び離脱する際の動作を説明する。尚、初期状態においては、一対の第1の指リンク21は本体24の中央に位置決めされて互いに近接もしくは接触しているものとする。また、一対の第2、第3の指リンク22、23は第1の軸線B1上に位置決め、即ち図示下方を向いているものとする。
【0050】
先ず、本体24が固定されている図示しないロボットアームを動作させると共に一対の第2の指リンク22をそれぞれ同方向に90°回転させて一対の第3の指リンク23を水平方向に位置決めし、一対の第3の指リンク23の周面を把持対象物体の周面に当接させる。続いて、一対の第3の指リンク23が開きつつ、一対の第3の指リンク23の周面が把持対象物体の周面に沿って摺動するように、ロボットアームを動作させつつ、一対の第1の指リンク31をそれぞれ逆方向に直進させると共に一対の第3の指リンク23をそれぞれ逆方向に回転させる。
【0051】
即ち、例えば一対の第2の指リンク22を図示手前側に90°回転させて一対の第3の指リンク23を図示手前に突き出るように水平方向に位置決めしたときは、図示右側の第1の指リンク21を図示右方向へ直進させると共に、図示左側の第1の指リンク21を図示左方向へ直進させ、図示右側の第3の指リンク23を手前から見て右回転させると共に、図示左側の第3の指リンク23を手前から見て左回転させる。そして、一対の第3の指リンク23の間隔が把持対象物体の直径と同一となったときに上記直進動作及び上記回転動作を停止することにより、一対の第3の指リンク23により把持対象物体を把持することができる。
【0052】
次に、ロボットアームを動作させて、一対の第3の指リンク23に把持されている把持対象物体を所定位置に搬送する。続いて、一対の第1の指リンク31を先程とは逆方向に直進させると共に一対の第3の指リンク23を先程とは逆方向に回転させる。即ち、図示右側の第1の指リンク21を図示左方向へ直進させると共に、図示左側の第1の指リンク21を図示右方向へ直進させ、図示右側の第3の指リンク23を手前から見て左回転させると共に、図示左側の第3の指リンク23を手前から見て右回転させる。これにより、一対の第3の指リンク23が閉じつつ、一対の第3の指リンク23の周面が把持対象物体の周面に沿って摺動するので、一対の第3の指リンク23から把持対象物体を解放することができる。
【0053】
以上のような把持機構20によれば、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、各指リンク21、22、23自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載する駆動手段や機構部材を小型化することができる。更に、一対の第2の指リンク22が加わることにより一対の第3の指リンク23の自由度が高まるので把持対象物体をより容易に把持・解放することができる。
【0054】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る把持機構の第1の具体例を示す斜視図である。
この把持機構500は、一対の第1の指リンク510、一対の第2の指リンク520、一対の第3の指リンク530、一対の第1の駆動手段540、一対の第2の駆動手段550、一対の第3の駆動手段560及び本体570を備えている。尚、一対の各部は同一構成であるため、以下では図示左側のみについて説明する。
【0055】
第1及び第2の指リンク510、520は、中空直方体状に形成されており、第3の指リンク530は、中実円筒状に形成されている。第1の駆動手段540は、モータ541、歯車ヘッド542、エンコーダ543、ピニオン544及びラック545を備えている。第2の駆動手段550は、モータ551、歯車ヘッド552、エンコーダ553、2つの傘歯車(ベベルギア)554a、554bを備えている。第3の駆動手段560は、モータ561、歯車ヘッド562及びエンコーダ563を備えている。
【0056】
第1の駆動手段540のモータ541、歯車ヘッド542及びエンコーダ543は、モータ軸546が図示下方を向くように、本体570上部に固定されている。ピニオン544は、モータ軸546に嵌入されており、ラック545は、第1の指リンク510上端に固定されている。第1の指リンク510の上部は、上端に固定されているラック545がモータ軸546に嵌入されているピニオン544と噛み合うように、本体570内にて図示左右方向に架け渡されている2本のガイドバー571に移動自在に貫装されている。
【0057】
第2の駆動手段550のモータ551、歯車ヘッド552及びエンコーダ553は、モータ軸555が図示下方を向くように、第1の指リンク510下部に内蔵固定されている。傘歯車554aは、モータ軸555に嵌入されており、傘歯車554bは、第2の指リンク520の回転軸521に嵌入されかつ第2の指リンク520に固定されて傘歯車554aと噛み合わされている。第3の駆動手段560のモータ561、歯車ヘッド562及びエンコーダ563は、モータ軸564が図示下方を向くように、第2の指リンク520下部に内蔵固定されている。第3の指リンク530は、モータ軸564に嵌入されている。
【0058】
このような構成において、第3の駆動手段560のモータ561の回転は歯車ヘッド562により減速されて、第3の指リンク530を第2の指リンク520の下端にて第2の指リンク520の図示上下方向に延びる第2の軸線B2周りに回転させる。この第3の指リンク530の回転は、エンコーダ563により制御される。第2の駆動手段550のモータ551の回転は歯車ヘッド552により減速されて、傘歯車554aを回転させ、第2の指リンク520に固定された傘歯車554b及び第2の指リンク520を第1の指リンク510の下端にて第1の指リンク510の図示上下方向に延びる第1の軸線B1に直交する図示左右方向に延びる第3の軸線B3周りに回転させる。この第2の指リンク520の回転は、エンコーダ553により制御される。第1の駆動手段540のモータ541の回転は歯車ヘッド542により減速され、ピニオン544からラック545を介して、第1の指リンク510を第2、第3の指リンク520、530と共に第3の軸線B3に沿って直進させる。この第1の指リンク510の直進は、エンコーダ543により制御される。
【0059】
この把持機構500によれば、上記把持機構20で説明したと同様に、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、各指リンク510、520、530自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載するモータ541、551、561、歯車ヘッド542、552、562、エンコーダ543、553、563やピニオン544、ラック545、傘歯車554a、554bを小型化することができる。更に、一対の第2の指リンク520が加わることにより一対の第3の指リンク530の自由度が高まるので把持対象物体をより容易に把持・解放することができる。尚、第1の駆動手段540としてピニオン544とラック545を備えた構成としたが、図3〜図9に示す第1の駆動手段230、330、430、160、260、360、460の構成も適用可能である。
【0060】
ここで、上述した第1の駆動手段130、230、330、430、160、260、360、460、540のモータ131、231、331、431、161、261、361、461、541、歯車ヘッド132、232、332、432、162、262、362、462、542、エンコーダ133、233、333、433、163、263、363、463、543は、第1の指リンク110の駆動軸である第2の軸線A2もしくは第3の軸線B3に対しオフセットした位置に配置しているので、以下の利点を得ることができる。設計の自由度が広がり、コンパクトに設計することができる。即ち、モータ131等は大体円筒で軸方向に長い機構なのでそれをオフセットさせたり90度回転させて配置することで、全体を小さくすることができる。その結果、機構重量を減らすことができる。また、重量物であるモータ131等を把持機構全体の重心付近に集中させることができる。その結果、重心周りのイナーシャを低減することができる。そして、アーム部のアクチュエータを小さくすることができる。また、質量の大きいモータ131等は回転させず、必要最小限の機構部材のみを回転させて慣性を小さくすることができ、搭載するモータ131を出力の小さいものとすることができる。
【0061】
同様に、第2の駆動手段550のモータ551、歯車ヘッド552、エンコーダ553を、第2の指リンク520の駆動軸である第3の軸線B3に対しオフセットした位置に配置することにより、以下の利点を得ることができる。設計の自由度が広がり、コンパクトに設計することができる。即ち、モータ551等は大体円筒で軸方向に長い機構なのでそれをオフセットさせたり90度回転させて配置することで、全体を小さくすることができる。その結果、機構重量を減らすことができる。また、重量物であるモータ551等を把持機構全体の重心付近に集中させることができる。その結果、重心周りのイナーシャを低減することができる。そして、アーム部のアクチュエータを小さくすることができる。
【0062】
図12は、第2の駆動手段をオフセットした場合の第1の例を示す斜視図、図13〜図17は、第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
図12に示す例では、第2の駆動手段550のモータ551、歯車ヘッド552、エンコーダ553は、第1の指リンク510の上部に配置されている。即ち、第2の駆動手段550のモータ551のモータ軸555が、第2の指リンク520の回転軸521から所定距離を隔てて第3の軸線B3と平行となるように配置されている。そして、モータ551のモータ軸555と第2の指リンク520の回転軸521とは、図13〜図17に示す駆動力伝達機構610〜650により連結されている。
【0063】
図13に示す駆動力伝達機構610は、歯車列による伝達機構であり、モータ軸555に嵌入された平歯車(スパーギア)611、この平歯車611に噛み合う平歯車612、この平歯車612に噛み合う平歯車613、この平歯車613に噛み合い、回転軸521に嵌入された平歯車614を備えている。モータ551の駆動力は、モータ軸555から平歯車611、612、613、614を介して回転軸521に伝達される。
【0064】
図14に示す駆動力伝達機構620は、傘歯車とシャフトによる伝達機構であり、モータ軸555に嵌入された傘歯車621、この傘歯車621に噛み合い、シャフト623の一端に嵌入された傘歯車622、シャフト623の他端に嵌入された傘歯車624、この傘歯車624に噛み合い、回転軸521に嵌入された傘歯車625を備えている。モータ551の駆動力は、モータ軸555から傘歯車621、622、シャフト623、傘歯車624、625を介して回転軸521に伝達される。
【0065】
図15に示す駆動力伝達機構630は、タイミングベルトとタイミングプーリによる伝達機構であり、モータ軸555に嵌入されたタイミングプーリ631、回転軸521に嵌入されたタイミングプーリ633、タイミングプーリ631、633間に架け渡されたタイミングベルト632を備えている。モータ551の駆動力は、モータ軸555からタイミングプーリ631、タイミングベルト632、タイミングプーリ633を介して回転軸521に伝達される。
【0066】
図16に示す駆動力伝達機構640は、ワイヤとプーリによる伝達機構であり、モータ軸555に嵌入され、螺旋状の溝が形成されたプーリ641、回転軸521に嵌入され、螺旋状の溝が形成されたプーリ642、プーリ641、642に両端がそれぞれ係止されて螺旋溝に巻回された2本のワイヤ643、644を備えている。モータ551の駆動力は、モータ軸555からプーリ641、ワイヤ643、644、プーリ642を介して回転軸521に伝達される。尚、ワイヤとプーリに代わりにチェーンとスプロケットによっても構成可能である。
【0067】
図17に示す駆動力伝達機構650は、蛇管による伝達手段であり、モータ軸555と回転軸521に両端が嵌入され、変位自在な蛇管651を備えている。モータ551の駆動力は、蛇管651を介して回転軸521に伝達される。
【0068】
図18は、第2の駆動手段をオフセットした場合の第2の例を示す斜視図、図19〜図21は、第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
図18に示す例では、第2の駆動手段550のモータ551、歯車ヘッド552、エンコーダ553は、第1の指リンク510の上部に配置されている。即ち、第2の駆動手段550のモータ551のモータ軸555が、第2の指リンク520の回転軸521から所定距離を隔てて第1の軸線B1と平行になるように配置されている。そして、モータ551のモータ軸555と第2の指リンク520の回転軸521とは、図19〜図21に示す駆動力伝達機構660〜680により連結されている。
【0069】
図19に示す駆動力伝達機構660は、歯車列による伝達機構であり、モータ軸555に嵌入された傘歯車661、この傘歯車661に噛み合う傘歯車662、この傘歯車662と同軸配置された平歯車663、この平歯車663に噛み合う平歯車664、この平歯車664に噛み合い、回転軸521に嵌入された平歯車665を備えている。モータ551の駆動力は、モータ軸555から傘歯車661、662、平歯車663、664、665を介して回転軸521に伝達される。
【0070】
図20に示す駆動力伝達機構670は、傘歯車とシャフトによる伝達機構であり、モータ軸555に嵌入されたカップリング671、このカップリング671に一端が嵌入されたシャフト672、このシャフト672の他端に嵌入された傘歯車673、この傘歯車673に噛み合い、回転軸521に嵌入された傘歯車674を備えている。モータ551の駆動力は、モータ軸555からカップリング671、シャフト672、傘歯車673、674を介して回転軸521に伝達される。
【0071】
図21に示す駆動力伝達機構680は、シャフトとユニバーサルジョイントによる伝達機構であり、モータ軸555に一端が嵌入されたシャフト681、このシャフト681の他端に嵌入されていると共に回転軸521に嵌入されたユニバーサルジョイント682を備えている。モータ551の駆動力は、モータ軸555からシャフト681、ユニバーサルジョイント682を介して回転軸521に伝達される。尚、駆動力伝達機構は、タイミングベルトとタイミングプーリ、ワイヤとプーリ、蛇管によっても構成可能である。
【0072】
更に同様に、上述した第3の駆動手段560のモータ561、歯車ヘッド562及びエンコーダ563を、第3の指リンク530の駆動軸である第2の軸線B2に対しオフセットした位置に配置することにより、以下の利点を得ることができる。設計の自由度が広がり、コンパクトに設計することができる。即ち、モータ561等は大体円筒で軸方向に長い機構なのでそれをオフセットさせたり90度回転させて配置することで、全体を小さくすることができる。その結果、機構重量を減らすことができる。また、重量物であるモータ561等を把持機構全体の重心付近に集中させることができる。その結果、重心周りのイナーシャを低減することができる。そして、アーム部のアクチュエータを小さくすることができる。また、質量の大きいモータ561等は回転させず、必要最小限の機構部材のみを回転させて慣性を小さくすることができるので、搭載するモータ561を出力の小さいものとすることができる。
【0073】
図22は、第3の駆動手段をオフセットした場合の第1の例を示す斜視図である。
図22に示す例では、第3の駆動手段560のモータ561、歯車ヘッド562、エンコーダ563は、第1の指リンク510の上部に配置されている。即ち、第3の駆動手段560のモータ561のモータ軸565が、第3の指リンク530の回転軸531から所定距離を隔てて第3の軸線B3と平行となるように配置されている。そして、モータ561のモータ軸565と第3の指リンク530の回転軸531とは、第1の指リンク510と第2の指リンク520の外側側面に配置されている駆動力伝達機構710により連結されている。
【0074】
この駆動力伝達機構710は、タイミングベルトとタイミングプーリと傘歯車による伝達機構であり、モータ軸565に嵌入されたタイミングプーリ711、第3の軸線B3上に回転自在に配置された伝達軸712、この伝達軸712に嵌入されたタイミングプーリ713、タイミングプーリ711、713間に架け渡されたタイミングベルト714、上記伝達軸712に嵌入されたタイミングプーリ715、第2の指リンク520にて第3の軸線B3と平行に回転自在に配置された伝達軸716、この伝達軸716に嵌入されたタイミングプーリ717、タイミングプーリ715、717間に架け渡されたタイミングベルト718、上記伝達軸716に嵌入された傘歯車719、回転軸531に嵌入された傘歯車720を備えている。モータ561の駆動力は、モータ軸565からタイミングプーリ711、タイミングベルト714、タイミングプーリ713、715、タイミングベルト718、タイミングプーリ717、傘歯車719、720を介して回転軸531に伝達される。
【0075】
図23は、第3の駆動手段をオフセットした場合の第2の例を示す斜視図である。
図23に示す例では、第3の駆動手段560のモータ561、歯車ヘッド562、エンコーダ563は、第1の指リンク510の外側側面に突出されている支持板511に配置されている。即ち、第3の駆動手段560のモータ561のモータ軸565が、第3の指リンク530の回転軸531から所定距離を隔てて第1の軸線B1と平行となるように配置されている。そして、モータ561のモータ軸565と第3の指リンク530の回転軸531とは、駆動力伝達機構730により連結されている。
【0076】
この駆動力伝達機構730は、蛇管と傘歯車による伝達機構であり、第2の指リンク520にて第3の軸線B3と平行に回転自在に配置された伝達軸731と、この伝達軸731とモータ軸565に両端が嵌入された蛇管732、伝達軸731に嵌入された傘歯車733、回転軸531に嵌入された傘歯車734を備えている。モータ561の駆動力は、モータ軸565から蛇管732、傘歯車733、734を介して回転軸531に伝達される。尚、第2の駆動手段140も同様にオフセット可能である。
【0077】
図24は、第1、第2、第3の駆動手段をオフセットした場合の把持機構の具体例を示す斜視図、図25(A)、(B)、(C)、(D)は、その4面図である。
この把持機構800は、一対の第1の指リンク810A、810B、一対の第2の指リンク820A、820B、一対の第3の指リンク830A、830B、第1の駆動手段840、一対の第2・第3の駆動手段850A、850B及び本体860を備えている。
【0078】
一対の第1及び第2の指リンク810A、810B、820A、820Bは、中空直方体状に形成されており、一対の第3の指リンク830、830Bは、中実円筒状に形成されている。第1の駆動手段840は、モータ841、歯車ヘッド842、エンコーダ843、ピニオン844及び一対のラック845A、845Bを備えている。一対の第2・第3の駆動手段850A、850Bは、モータ851A、851B、歯車ヘッド852A、852B、エンコーダ853A、853B、6つのタイミングプーリ854Aa〜854Af、854Ba〜854Bf、3本のタイミングベルト855Aa〜855Ac、855Ba〜855Bc、4つの平歯車856Aa〜856Ad、856Ba〜856Bd、3つの傘歯車857Aa〜857Ac、857Ba〜857Bc及び一対の伝達軸858A、858Bを備えている。
【0079】
第1の駆動手段840のモータ841、歯車ヘッド842及びエンコーダ843は、モータ軸846が図示下方を向くように、本体860上部に固定されている。ピニオン844は、モータ軸846に嵌入されており、一対のラック845A、845Bは、一対の第1の指リンク810A、810B上端にそれぞれ固定され、ピニオン844を両側から挟んでピニオン844と噛み合うように配置されている。第1の指リンク810A、810Bの上部は、上端に固定されているラック845A、845Bがモータ軸846に嵌入されているピニオン844と噛み合うように、本体860内にて図示左右方向に架け渡されている2本のガイドバー871a、871bに移動自在に貫装されている。
【0080】
一対の第2・第3の駆動手段850A、850Bのモータ851A、851B、歯車ヘッド852A、852B及びエンコーダ853A、853Bは、モータ軸859A、859Bが図示左右方向をそれぞれ向くように、本体860上部であってモータ841両側にそれぞれ固定されている。タイミングプーリ854Aa、854Baは、本体870から突出したモータ軸859A、859Bにそれぞれ嵌入されており、タイミングプーリ854Ab、854Bbは、本体870から突出したガイドバー871a、871bの一端にそれぞれ嵌入されている。そして、タイミングベルト855Aa、855Baが、タイミングプーリ854Aa、854Baとタイミングプーリ854Ab、854Bbとの間にそれぞれ架け渡されている。
【0081】
一対の伝達軸858A、858Bは、一対の第2の指リンク820A、820Bの回転軸821A、821Bと平行になるように、一対の第1の指リンク810A、810Bの下部内に架け渡されている。タイミングプーリ854Ac、854Bcは、ガイドバー871aの両端であって本体870の内側にそれぞれ嵌入されており、タイミングプーリ854Ad、854Bdは、伝達軸858A、858Bにそれぞれ回転自在に嵌入されている。そして、タイミングベルト855Ab、855Bbが、タイミングプーリ854Ac、854Bcとタイミングプーリ854Ad、854Bdとの間にそれぞれ架け渡されている。タイミングプーリ854Ae、854Beは、ガイドバー871bの両端であってタイミングプーリ854Ac、854Bcの内側にそれぞれ回転自在に嵌入されており、タイミングプーリ854Af、854Bfは、伝達軸858A、858Bにおけるタイミングプーリ854Ad、854Bdの内側にそれぞれ嵌入されている。そして、タイミングベルト855Ac、855Bcが、タイミングプーリ854Ae、854Beとタイミングプーリ854Af、854Bfとの間にそれぞれ架け渡されている。
【0082】
平歯車856Aa、856Ab、856Ba、856Bbは、伝達軸858A、858Bの両端にそれぞれ嵌入されており、タイミングプーリ854Ad、854Af、854Bd、854Bfにそれぞれ固定されている。平歯車856Ac、856Ad、856Bc、856Bdは、一対の第2の指リンク820A、820Bの回転軸821A、821Bの両端であって平歯車856Aa、856Ab、856Ba、856Bbとそれぞれ噛み合うようにそれぞれ回転自在に嵌入されている。傘歯車857Aa、857Ab、857Ba、857Bbは、回転軸821A、821Bにおける平歯車856Ac、856Ad、856Bc、856Bdの内側にそれぞれ固定され回転自在に嵌入されている。そして、傘歯車857Ac、857Bcは、一対の第3の指リンク830A、830Bの回転軸831A、831Bであって傘歯車857Aa、857Ab、857Ba、857Bbとそれぞれ噛み合うようにそれぞれ嵌入されている。
【0083】
このような構成において、一方の第2・第3の駆動手段850Aのモータ851Aの回転は歯車ヘッド852Aにより減速されて、タイミングプーリ854Aa、タイミングベルト855Aa、タイミングプーリ854Abを介してガイドバー871aを回動させる。更に、タイミングプーリ854Ac、タイミングベルト855Ab、タイミングプーリ854Adを回動させる。そして、平歯車856Aa、856Ac、傘歯車857Aa、857Acを介して一方の第3の指リンク830Aを一方の第2の指リンク820Aの下端にて第2の指リンク820Aの図示上下方向に延びる第2の軸線B2周りに回転させる。(この第3の指リンク830Aの回転は、エンコーダ853Aにより制御される。)
【0084】
同時に、上記ガイドバー871aの回動により、タイミングプーリ854Bc、タイミングベルト855Bb、タイミングプーリ854Bdを回動させる。そして、平歯車856Ba、856Bc、傘歯車857Ba、857Bcを介して他方の第3の指リンク830Bを第2の指リンク820Bの下端にて第2の指リンク820Bの図示上下方向に延びる第2の軸線B2周りに一方の第3の指リンク830Aの回転とは逆方向に回転させる。(この第3の指リンク830Bの回転は、エンコーダ853Bにより制御される。)
【0085】
また、他方の第2・第3の駆動手段850Bのモータ851Bの回転は歯車ヘッド852Bにより減速されて、タイミングプーリ854Ba、タイミングベルト855Ba、タイミングプーリ854Bbを介してガイドバー871bを回動させる。更に、タイミングプーリ854Ae、タイミングベルト855Ac、タイミングプーリ854Afを回動させる。そして、平歯車856Ab、856Ad、傘歯車857Ab、857Acを介して一方の第3の指リンク830Aを第2の指リンク820Aの下端にて第2の指リンク820Aの図示上下方向に延びる第2の軸線B2周りに先程とは逆方向に回転させる。(この第3の指リンク830Aの回転は、エンコーダ853Bにより制御される。)
【0086】
同時に、上記ガイドバー871bの回動により、タイミングプーリ854Be、タイミングベルト855Bc、タイミングプーリ854Bfを回動させる。そして、平歯車856Bb、856Bd、傘歯車857Bb、857Bcを介して他方の第3の指リンク830Bを第2の指リンク820Bの下端にて第2の指リンク820Bの図示上下方向に延びる第2の軸線B2周りに先程とは逆方向に回転させる。(この第3の指リンク830Bの回転は、エンコーダ853Bにより制御される。)
【0087】
本機構は差動機構になっており、図25を参照して説明すると、ガイドバー871a、871bが同一の回転速度で図の左から右の軸線に対し右ねじの方向の回転をするとき、平歯車856Ab、856Adは同じ右ねじの方向に回転する。その結果、第2の指リンク820Aが紙面手前方向に回転する。このとき、ガイドバー871a、871bの回転が同速度であれば第2の指リンク820Aのみが回転し、第3の指リンク830Aは回転しない。また、ガイドバー871a、871bを左右の指で共有しているので、第2の指リンク820Bも第2の指リンク820Aと同じ量だけ回転することが機構的に保証される。つまり、複雑な制御なしに左右の第2の指リンク820A、820B、第3の指リンク830A、830Bの指先回転速度を同期させることが可能となる。
【0088】
一方、ガイドバー871a、871bが同一の回転速度で互いに逆回転した場合、差動歯車により第3の指リンク830A、830Bのみが回転し、第2の指リンク820A、820Bは回転しない。また、ガイドバー871a、871bに嵌入されているプーリ854Ae、854Af、854Be、854Bfが左右対称の配置になっていることから,第3の指リンク830A、830Bの回転方向は逆でかつ速さは同一であることが機構的に保証される。この場合も複雑な制御なしに左右の第2の指リンク820A、820B、第3の指リンク830A、830Bの指先回転速度を同期させることが可能となる。尚、第2の指リンク820A、820B、第3の指リンク830A、830Bの回転角度は、差動機構であることから、エンコーダ853A、853B双方によって制御され、どちらか一方のみで決定することはできない。
【0089】
第1の駆動手段840のモータ841の回転は歯車ヘッド842により減速され、ピニオン844から一対のラック845A、845Bを介して、一対の第1の指リンク810A、810Bを一対の第2、第3の指リンク820A、820B、830A、830Bと共に第1の指リンク810A、810Bの図示上下方向に延びる第1の軸線B1に直交する図示左右方向に延びる第3の軸線B3に沿って左右対称に直進させる。この一対の第1の指リンク810A、810Bの左右対称の直進は、エンコーダ843により制御される。
【0090】
この把持機構800によれば、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、各指リンク810A、810B、820A、820B、830A、830B自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載するモータ841、851A、851B、歯車ヘッド842、852A、852B及びエンコーダ843、853A、853Bやピニオン844、ラック845A、845B、タイミングプーリ854Aa〜854Af、854Ba〜854Bf、タイミングベルト855Aa〜855Ac、855Ba〜855Bc、平歯車856Aa〜856Ad、856Ba〜856Bd、傘歯車857Aa〜857Ac、857Ba〜857Bcを小型化することができる。
【0091】
更に、一対の第2の指リンク820A、820Bが加わることにより一対の第3の指リンク830A、830Bの自由度が高まるので把持対象物体をより容易に把持・解放することができる。更に、第2・第3の駆動手段850のモータ851A、851B、歯車ヘッド852A、852B及びエンコーダ853A、853Bを、第2の指リンク820の第3の軸線B3及び第3の指リンク830の第2の軸線B2に対しオフセットした位置に配置しているので、質量の大きいモータ851A、851B等は回転させず、必要最小限の機構部材のみを回転させて慣性を小さくすることができ、搭載するモータ851A、851Bを出力の小さいものとすることができる。更に、1つの第2・第3の駆動手段850で第2の指リンク820及び第3の指リンク830を回転させることができるので、把持機構800自体を小型軽量に構成することができる。
【0092】
尚、第1の駆動手段840としてピニオン844とラック845を備えた構成としたが、図3〜図9に示す第1の駆動手段230、330、430、160、260、360、460の構成も適用可能である。また、第2・3の駆動手段850A、850Bとしてタイミングプーリ854Aa〜854Af、854Ba〜854Bf、タイミングベルト855Aa〜855Ac、855Ba〜855Bf、平歯車856Aa〜856Ad、856Ba〜856Bf、傘歯車857Aa〜857Ac、857Ba〜857Bfを備えた構成としたが、図13〜図17、図19〜図21に示す第2の駆動手段550、図22〜図23に示す第3の駆動手段560の構成も適用可能である。
【0093】
図26(A)、(B)、(C)、(D)は、把持対象物体に直接接触する指リンクの形状例を示す斜視図である。
図26(A)、(B)、(C)、(D)に示す指リンク41、42、43、44は、回転軸が嵌入される部位を除いて、中実円筒状、周面の側面視が曲線の中実鼓状、中実樽状、周面の側面視が直線の中実鼓状に形成されている。即ち、各指リンク41、42、43、44は、回転時に同一形状を保つために軸対称形状である必要がある。これにより、把持対象物をスムーズに把持することができる。また、各指リンク41、42、43、44の表面は、弾性があることが望ましい。これにより、把持対象物を確実に把持することができる。この弾性表面にするには、例えばシリコンゴムやエラストマ等を貼り付ける。また、各指リンク41、42、43、44は、着脱が容易な構成であることが望ましい。これにより、把持対象物に合った指リンクに迅速・容易に交換することができ、工数を低減させることができる。
【0094】
図27(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、把持対象物体に直接接触する指リンクの第1の変形例を示す5面図である。
この指リンク70は、1つの主ローラ71、2つの副ローラ72、73、2本の引張バネ(付勢手段)74、75及びローラフレーム76を備えている。ローラフレーム76は、三角形板状に形成されており、一角部に主ローラ71の軸71aが回転自在に取り付けられ、他の二角部に副ローラ72、73の軸72a、73aが固定されている。更に、副ローラ72、73の軸72a、73aの近傍には係止軸76a、76bが突設されている。このローラフレーム76は、係止軸76a、76bに引張バネ74、75の一端が係止され、上位の指リンク77に突設されている係止軸77aに引張バネ74、75の他端が係止されている。そして、主ローラ71と副ローラ72、73は互いに接触配置されている。
【0095】
このような構成の指リンク70は、主ローラ71の回転を副ローラ72、73に摩擦伝達することにより把持対象物体を把持する。このとき、把持対象物体を副ローラ72、73の周面の2点で支持することができ、更に指リンク70と指リンク77の間には引張バネ74、75による受動コンプライアンスがあるため、把持対象物体を安定して把持することができる。
【0096】
尚、主ローラ71の回転を副ローラ72、73に伝達する手段としては、歯車やタイミングベルト等であっても良い。また、主ローラ71と副ローラ72、73の外周にベルトを掛けるようにしても良い。これによれば、主ローラ71と副ローラ72、73を離間配置することができるので、把持対象物体を把持する際の接触長さを長くして、より安定して把持することができる。また、受動コンプライアンスは捩りコイルバネにより取るようにしても良い。
【0097】
図28(A)、(B)、(C)は、把持対象物体に直接接触する指リンクの第2の変形例を示す3面図である。
この指リンク80は、1つの主ローラ81、1つの副ローラ82、2つのタイミングプーリ83、84、1本のタイミングベルト85、2本の引張バネ(付勢手段)86、87及びローラフレーム88を備えている。ローラフレーム88は、長方形板状に形成されており、一端部に主ローラ81の軸81aが回転自在に取り付けられ、他端部に副ローラ82の軸82aが固定されている。更に、主ローラ81の軸81aの近傍には係止軸88a、88bが突設されている。このローラフレーム88は、係止軸88a、88bに引張バネ86、87の一端が係止され、上位の指リンク89に突設されている係止軸89aに引張バネ86、87の他端が係止されている。更に、主ローラ81とタイミングプーリ83は軸81aに一体化され、副ローラ82とタイミングプーリ84は一体化されて軸82aに回転自在に挿入されている。そして、タイミングベルト85が、タイミングプーリ83、84間に架け渡されている。
【0098】
このような構成の指リンク80は、主ローラ81の回転を副ローラ82にベルト・プーリ機構により伝達することにより把持対象物体を把持する。このとき、指リンク80と指リンク89の間には引張バネ86、87による受動コンプライアンスがあるため、把持対象物体を安定して把持することができる。また、主ローラ81と副ローラ82を離間配置することができるので、把持対象物体を把持する際の接触長さを長くして、より安定して把持することができる。
尚、主ローラ81の回転を副ローラ82に伝達する手段としては、歯車や摩擦接触等であっても良い。また、受動コンプライアンスは捩りコイルバネにより取るようにしても良い。
【0099】
図29(A)、(B)、(C)は、把持対象物体に直接接触する指リンクの第3の変形例を示す3面図である。
この指リンク90は、1つの主ローラ91、1つの副ローラ92、1本のゴムベルト93、2本の引張バネ(付勢手段)94、95及びローラフレーム96を備えている。ローラフレーム96は、長方形板状に形成されており、一端部に主ローラ91の軸91aが回転自在に取り付けられ、他端部に副ローラ92の軸92aが固定されている。更に、主ローラ91の軸91aの近傍には係止軸96a、96bが突設されている。このローラフレーム96は、係止軸96a、96bに引張バネ94、95の一端が係止され、上位の指リンク97に突設されている係止軸97aに引張バネ94、95の他端が係止されている。更に、主ローラ91は軸91aに一体化され、副ローラ92は軸92aに回転自在に挿入されている。そして、ゴムベルト93が、主ローラ91と副ローラ92を覆うようにそれらの間に架け渡されている。
【0100】
このような構成の指リンク90は、主ローラ91の回転を副ローラ92にベルトにより伝達することにより把持対象物体を把持する。このとき、指リンク90と指リンク97の間には引張バネ94、95による受動コンプライアンスがあるため、把持対象物体を安定して把持することができる。また、主ローラ91と副ローラ92を離間配置することができるので、把持対象物体を把持する際の接触長さを長くして、より安定して把持することができる。
尚、主ローラ91の回転を副ローラ92に伝達する手段としては、歯車やタイミングベルトあるいは摩擦接触等であっても良い。また、受動コンプライアンスは捩りコイルバネにより取るようにしても良い。
【0101】
ここで、上記例では把持対象物体に直接接触する指リンクが受動コンプライアンス持つ場合を説明したが、水平並進駆動する指リンクが持つようにしても良い。これにより、低減速比の歯車ヘッドと低位置ゲインのサーボ系を用いることによる電磁気力による受動コンプライアンスが可能となる。また、低減速比の歯車ヘッドと電流検出によるトルク制御が可能となる。また、機構的コンプライアンスを持つようにしても良い。
【0102】
図30は、機構的コンプライアンス持つときの第1の例を示す斜視図である。この第1の駆動手段960は、モータ961、歯車ヘッド962、エンコーダ963、タイミングプーリ964a、タイミングプーリ964b、タイミングベルト965、一対の第1の指リンク支持部966A、966B及び2枚で1組の板バネ967A、967Bを備えている。第1の駆動手段960のモータ961、歯車ヘッド962及びエンコーダ963は、モータ軸968が図示下方を向くように、図示しない本体左上部に固定されている。
【0103】
タイミングプーリ964aは、モータ軸968に嵌入されており、タイミングプーリ964bは、本体右上部にてタイミングプーリ964aと平行になるように下向きに軸支持されている。そして、タイミングベルト965が、2つのタイミングプーリ964a、964b間に架け渡されており、該ベルト略中央両側が一対の第1の指リンク支持部966A、966Bにそれぞれ固定されている。一対の第1の指リンク支持部966A、966Bの両側が2枚で1組の板バネ967A、967Bの上端にそれぞれ固定され、一対の第1の指リンク910A、910B上端の両側が該2枚で1組の板バネ967A、967Bの下端にそれぞれ固定されている。この第1の駆動手段960によれば、第1の指リンク910A、910B位置を計測し板バネ967A、967Bの変位を求めれば、力センサを用いることなしに把持力を位置として計測可能であり、その結果、簡便な力フィードバック制御である形状帰還力フィードバックが構成できる。尚、2枚で1組の板バネ967A、967Bの曲げにより構成したが、1枚の板バネの捩りによって構成しても良い。
【0104】
図31は、機構的コンプライアンス持つときの第2の例を図30に対応させて示す斜視図であり、同一構成部材は同一番号を付す。この第1の駆動手段970は、モータ961、歯車ヘッド962、エンコーダ963、タイミングプーリ964a、タイミングプーリ964b、タイミングベルト965、一対の第1の指リンク支持部966A、966B及び一対の圧縮バネ971A、971Bを備えている。一対の第1の指リンク支持部966A、966Bの内側端部に圧縮バネ971A、971Bの一端がそれぞれ固定され、一対の第1の指リンク910A、910Bの上端外側端部に該圧縮バネ971A、971Bの他端がそれぞれ固定されている。この第1の駆動手段970によっても、第1の指リンク910A、910B位置を計測し圧縮バネ971A、971Bの変位を求めれば、力センサを用いることなしに把持力を位置として計測可能であり、その結果、簡便な力フィードバック制御である形状帰還力フィードバックが構成できる。
【0105】
図32は、本発明の第3の実施の形態に係る把持機構の概念を示す斜視図である。
この把持機構30は、一対の第1の指リンク31及び一対の第2の指リンク32と本体33を備えており、該指リンク31、32の動作により把持対象物体を把持可能となっている。尚、一対の第1の指リンク31は同一構成であり、一対の第2の指リンク32も同一構成であるため、以下では図示左側のみについて説明する。
【0106】
第1の指リンク31は、本体33の一側部から図示下方へ突出するように配置されて、平行リンク機構を構成する2本のアーム34に回動自在に支持されている。第2の指リンク32は、第1の指リンク31の下端から図示下方へ突出するように配置されている。そして、第2の指リンク32は、第1の指リンク31の下端にて第1の指リンク31の図示上下方向に延びる第1の軸線A1周りに回転可能に設けられている。第2の指リンク32の第2の駆動手段は、図示していないが第1の指リンク31に内蔵されている。また、第1の指リンク31は、第2の指リンク32と共に第1の軸線A1に直交するように図面に対し手前から奥方向に延びる第3の軸線A3周りに旋回(開閉)可能に設けられている。第1の指リンク31の第1の駆動手段は、図示していないが本体33に内蔵されている。
【0107】
このような構成において、第3の軸線A3と平行な平面上、即ち水平に保持された円盤状の把持対象物体を把持及び解放する際の動作を説明する。尚、初期状態においては、一対の第1の指リンク31は本体33の中央下部に位置決めされて互いに近接もしくは接触しているものとする。
先ず、本体33が固定されている図示しないロボットアームを動作させて、一対の第2の指リンク32の周面を把持対象物体の周面に当接させる。続いて、一対の第2の指リンク32が開きつつ、一対の第2の指リンク32の周面が把持対象物体の周面に沿って摺動するように、ロボットアームを動作させつつ、一対の第1の指リンク31をそれぞれ逆方向に旋回させると共に一対の第2の指リンク32をそれぞれ逆方向に回転させる。
【0108】
即ち、例えば把持対象物体が一対の第2の指リンク32の図示奥側に位置しているときは、図示右側の第1の指リンク31を図示右方向へ旋回させると共に、図示左側の第1の指リンク31を図示左方向へ旋回させ、図示右側の第2の指リンク32を上から見て左回転させると共に、図示左側の第2の指リンク32を上から見て右回転させる。そして、一対の第2の指リンク32の間隔が把持対象物体の直径と同一となったときに上記旋回動作及び上記回転動作を停止することにより、一対の第2の指リンク32により把持対象物体を把持することができる。
【0109】
次に、ロボットアームを動作させて、一対の第2の指リンク32に把持されている把持対象物体を所定位置に搬送する。続いて、一対の第1の指リンク31を先程とは逆方向に旋回させると共に一対の第2の指リンク32を先程とは逆方向に回転させる。即ち、図示右側の第1の指リンク31を図示左方向へ旋回させると共に、図示左側の第1の指リンク31を図示右方向へ旋回させ、図示右側の第2の指リンク32を上から見て右回転させると共に、図示左側の第2の指リンク32を上から見て左回転させる。これにより、一対の第2の指リンク32が閉じつつ、一対の第2の指リンク32の周面が把持対象物体の周面に沿って摺動するので、一対の第2の指リンク32から把持対象物体を解放することができる。
【0110】
以上のような把持機構30によれば、把持可能な把持対象物体の形状が限定されることはなく、特に円盤状の把持対象物体を安定して把持することができる。更に、各指リンク31、32自体は必要最小限の大きさで良いため、機構そのものの質量の増大を抑えて軽量化することができ、搭載する駆動手段や機構部材を小型化することができる。
尚、上述した実施形態では、第1及び第2の指リンクもしくは第1、第2及び第3の指リンクを有する把持機構について説明したが、1つもしくは4つ以上の指リンクを有する把持機構であっても同様に適用可能である。また、駆動力伝達機構も上記機構に限定されるものでは無く、各機構を組み合わせるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の概念を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の第1の具体例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の第2の具体例を図2に対応させて示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の第3の具体例を図2に対応させて示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る把持機構の第4の具体例を図2に対応させて示す斜視図である。
【図6】(A)、(B)は、図2に示す第1の実施の形態に係る把持機構の第1の具体例で使用可能な第1の駆動手段を示す斜視図及び平面図である。
【図7】(A)、(B)は、図3に示す第1の実施の形態に係る把持機構の第2の具体例で使用可能な第1の駆動手段を示す斜視図及び平面図である。
【図8】(A)、(B)は、図4に示す第1の実施の形態に係る把持機構の第3の具体例で使用可能な第1の駆動手段を示す斜視図及び平面図である。
【図9】図5に示す第1の実施の形態に係る把持機構の第4の具体例で使用可能な第1の駆動手段を含む把持機構全体を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る把持機構の概念を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る把持機構の第1の具体例を示す斜視図である。
【図12】第2の駆動手段をオフセットした場合の第1の例を示す斜視図である。
【図13】第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【図14】第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【図15】第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【図16】第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【図17】第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【図18】第2の駆動手段をオフセットした場合の第2の例を示す斜視図である。
【図19】第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【図20】第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【図21】第2の駆動手段の駆動力伝達機構を示す斜視図である。
【図22】第3の駆動手段をオフセットした場合の第1の例を示す斜視図である。
【図23】第3の駆動手段をオフセットした場合の第2の例を示す斜視図である。
【図24】第1、第2、第3の駆動手段をオフセットした場合の把持機構の具体例を示す斜視図である。
【図25】(A)、(B)、(C)、(D)は、図24の4面図である。
【図26】(A)、(B)、(C)、(D)は、把持対象物体に直接接触する指リンクの形状例を示す斜視図である。
【図27】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、把持対象物体に直接接触する指リンクの第1の変形例を示す5面図である。
【図28】(A)、(B)、(C)は、把持対象物体に直接接触する指リンクの第2の変形例を示す3面図である。
【図29】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、把持対象物体に直接接触する指リンクの第3の変形例を示す3面図である。
【図30】機構的コンプライアンス持つときの第1の例を示す斜視図である。
【図31】機構的コンプライアンス持つときの第2の例を示す斜視図である。
【図32】本発明の第3の実施の形態に係る把持機構の概念を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0112】
10、20、30、100、200、300、400、500、800 把持機構、11、21、31、110、510、810A、810B 第1の指リンク、12、22、32、120、520、820A、820B 第2の指リンク、23、530、830A、830B 第3の指リンク、521、531 回転軸、13、24、33、150、570 本体、130、230、260、330、430、160、260、360、460、540、840、960、970 第1の駆動手段、140、550 第2の駆動手段、560 第3の駆動手段、850A、850B 第2・3の駆動手段、131、141、161、231、261、331、361、431、461、541、551、561、841、851A、851B、961 モータ、136、144、166、236、266、336、366、436、466、546、555、565 モータ軸、132、142、162、232、262、332、362、432、462、542、552、562、842、852A、852B、962 歯車ヘッド、133、143、163、233、263、333、363、433、463、543、553、563、843、853A、853B、963 エンコーダ、134、164、544、844 ピニオン、135、165A、165B、545、845 ラック、234a、234b、264a、264b、334a、334b、364a、364b、631、633、711、713、715、717、854Aa〜854Af、854Ba〜854Bf、964a、964b タイミングプーリ、235、265、335、365、632、714、718、855Aa〜855Ac、855Ba〜855Bf、965 タイミングベルト、611、612、613、614、663、664、665、856Aa〜856Ad、856Ba〜856Bf 平歯車、554a、554b、621、622、624、625、661、662、673、674、719、720、733、734、857Aa〜857Ac、857Ba〜857Bf 傘歯車、237、267 ボールネジ、238 ボールナット、434、464、641、642 プーリ、435、465、643、644 ワイヤ、437、467A、467B、74、75、86、87、94、95 引張バネ、971A、971B 圧縮バネ、571 ガイドバー、623、672、681 シャフト、651、732 蛇管、671 カップリング、682 ユニバーサルジョイント、712、716、731 伝達軸、610、620、630、640、650、660、670、680、710,730 駆動力伝達機構、966A、966B 第1の指リンク支持部、967A、967B 板バネ、34 アーム、41、42、43、44、70、80、90 指リンク、71、81、91 主ローラ、72、73、82、92 副ローラ、76、88、96 ローラフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の指リンクをそれぞれ一対備え、該指リンクの動作により把持対象物体を把持可能な把持機構であって、
前記第2の指リンクは、前記第1の指リンクの一方先端にて該第1の指リンクの第1の軸線周りに回転可能であり、
前記第2の指リンクを含む前記第1の指リンクは、前記第1の軸線に直交する第2の軸線に沿って相互に開閉運動が可能であることを特徴とする把持機構。
【請求項2】
第1、第2及び第3の指リンクをそれぞれ一対備え、該指リンクの動作により把持対象物体を把持可能な把持機構であって、
前記第3の指リンクは、前記第2の指リンクの一方先端にて該第2の指リンクの第2の軸線周りに回転可能であり、
前記第3の指リンクを含む前記第2の指リンクは、前記第1の指リンクの一方先端にて該第1の指リンクの第1の軸線に直交する第3の軸線周りに回転可能であり、
前記第2、第3の指リンクを含む前記第1の指リンクは、前記第3の軸線に沿って相互に開閉運動が可能であることを特徴とする把持機構。
【請求項3】
前記各指リンクを駆動する駆動手段の少なくとも1つが、該指リンクの動作軸に対しオフセットした位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の把持機構。
【請求項4】
前記第1の指リンクは、前記第1の軸線に沿って左右対称に相互に開閉運動が可能であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の把持機構。
【請求項5】
前記把持対象物体に接触して把持する指リンクは、軸対称形状であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の把持機構。
【請求項6】
前記第1の軸線に沿って相互に開閉運動する機構が、受動コンプライアンスを有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の把持機構。
【請求項7】
第1、第2及び第3の指リンクをそれぞれ一対備え、該指リンクの動作により把持対象物体を把持可能な把持機構であって、
一対の前記第3の指リンクは、前記第2の指リンクの一方先端にて該第2の指リンクの第2の軸線周りに同時に逆方向に回転可能であり、
一対の前記第3の指リンクを含む一対の前記第2の指リンクは、前記第1の指リンクの一方先端にて該第1の指リンクの第1の軸線に直交する第3の軸線周りに同時に同方向に回転可能であり、
一対の前記第2、第3の指リンクを含む一対の前記第1の指リンクは、前記第3の軸線に沿って左右対称に直進可能であり、
一対の前記第1の指リンクを駆動する第1の駆動手段と、一対の前記第2の指リンク及び一対の前記第3の指リンクをそれぞれ駆動する第2・第3の駆動手段が、該指リンクの動作軸に対しオフセットした位置に配置されていることを特徴とする把持機構。
【請求項8】
前記第2・第3の駆動手段は、モータの駆動力をベルト・プーリ機構により一対の前記第2の指リンクに伝達し、更に前記ベルト・プーリ機構により伝達された駆動力を歯車機構により一対の前記第3の指リンクに伝達することを特徴とする請求項7に記載の把持機構。
【請求項9】
前記把持対象物体に接触して把持する指リンクは、回転自在な1つの主ローラと、該主ローラに連動して回転する1つ以上の副ローラと、当該指リンクと上位の指リンクとの間を付勢する付勢手段とを備え、前記主ローラの回転を前記副ローラに伝達することにより前記把持対象物体を把持することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の把持機構。
【請求項10】
回転伝達用のベルトが、前記主ローラと前記副ローラを覆うように該ローラ間に架け渡されていることを特徴とする請求項9に記載の把持機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2009−148846(P2009−148846A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327370(P2007−327370)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】