説明

投影装置及び投影システム

【課題】良好なコミュニケーションをとれるようにして、広告・宣伝等の情報をより効果的に発信する。
【解決手段】被写体Eを撮影する撮影部1と、他の投影装置A、B、Cの撮影部1で撮影された画像を投影する投影部2と、投影部2の画像が投影されるスクリーン部7と、スクリーン部7に設定され、画像の投影領域となるスクリーン領域6が設定されるスクリーン部7と、スクリーン部7に設けられ、被写体像を透過させる透過部8と、複数の投影装置A、B、Cの夫々に設けられ、撮影した画像を送受信する送受信部5と、を備える。撮影部1を、スクリーン部7を境とする一方側から、透過部8を通して他方側の被写体Eを撮影するように設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を投影しながら撮影を行うことができる機能を備えた投影装置及び投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
投影装置は、建築物の開口部を開閉する開閉体をスクリーン部とし、この開閉体に設定されたスクリーン領域に画像を投影する投影部を具備したものが知られている。このような投影装置は、閉鎖状態の開閉体に設定されたスクリーン領域に画像を投影することで、この開閉体をディスプレイとして機能させている。
【0003】
下記特許文献1に記載のものは、躯体外側に設置されたプロジェクタから閉鎖状態の開閉体に設定されたスクリーン領域に画像を投影することで、この開閉体をディスプレイとしている。このプロジェクタは、パソコン、ビデオコーダ、ビデオプレーヤ、TVチューナ、カメラ等の画像信号発信機器を備え、この画像信号発信機器から発信された画像情報信号が入力され、入力された画像情報信号に応じた画像を開閉体の表面に投影するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−206350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来技術によると、投影部が画像を開閉体に設定されたスクリーン領域に投影して各種情報表示を行うようにしているため、スクリーン部材を設置することなく、広告表示や宣伝表示等、多様な情報表示を行うことができ、しかも、この情報表示を簡単に変更することができる。
【0006】
このような投影装置の使用形態として、前述の画像信号発信機器にカメラを使用した投影装置を離間した複数の場所に設置するとともに、この投影装置相互を有線通信回線や無線通信回線等で接続してなる投影システムが挙げられる。このような投影システムによると、A地点のカメラで撮影した動画や静止画をA地点から離間したB地点のシャッターカーテンに投影し、このB地点のカメラで撮影した動画や静止画を前述のA地点のシャッターカーテンに投影することができる。
【0007】
更に、この投影システムにマイクとスピーカを使用し、A地点のマイクに入力した音声をB地点のスピーカから出力するとともに、B地点のマイクに入力した音声をA地点のスピーカから出力できるように構成することで、A地点とB地点の人同士が互いに相手の姿の動画や静止画を見ながら会話ができるようにすることで、離間した場所で相互にコミュニケーションをとりながらリアルタイムで情報交換等をすることができる。
【0008】
このような投影システムは、スクリーン領域に投影される互いの目線を合わせて顔を見ながら会話をできるようにすることが、コミュニケーションをとるという点において好ましい。このようにするためには、前述のスクリーン領域に正対する体勢の人の前にカメラを置き、このカメラの撮影レンズ部を人の目線と正対するように調整することが必要になる。
【0009】
しかしながら、前述のようにカメラのレンズ部が人の目線と正対するようにした場合、このカメラがスクリーン領域と重なって、投影される画像を見る人の目線の邪魔になるおそれがある。
【0010】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものである。すなわち、スクリーン領域に投影された画像を見ている人の目線を妨げずにこの人を撮影できるようにすること、目線を妨げずに画像を見ている人を撮影することで、投影された相手の顔を相互に見ることができるようにすること、投影された相手の顔を相互に見られるようにすることで良好なコミュニケーションをとることができるようにすること、良好なコミュニケーションをとれるようにすることで、広告・宣伝等の情報をより効果的に発信することができるようにすること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明の投影装置及び投影システムは、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0012】
複数の投影装置を相互通信可能に接続してなる投影システムに用いられる投影装置であって、被写体を撮影する撮影部と、他の投影装置の撮影部で撮影された画像を投影する投影部と、該投影部の画像の投影領域となるスクリーン領域が設定されるスクリーン部と、前記スクリーン部に設けられ、被写体像を透過させる透過部と、前記複数の投影装置の夫々に設けられ、撮影した画像を送受信する送受信部と、を備え、前記撮影部は、前記スクリーン部を境とする一方側から、前記透過部を通して他方側の前記被写体を撮影するように設置されていることを特徴とする。
【0013】
複数の投影装置を相互通信可能に接続してなる投影システムであって、前記投影装置は、被写体を撮影する撮影部と、他の投影装置の撮影部で撮影された画像を投影する投影部と、該投影部の画像の投影領域となるスクリーン領域が設定されるスクリーン部と、該スクリーン部に設定され、画像の投影領域となるスクリーン領域と、前記スクリーン部に設けられ、被写体像を透過させる透過部と、前記複数の投影装置の夫々に設けられ、撮影した画像を送受信する送受信部と、該送受信部を相互通信可能に接続する通信回線と、を備え、前記撮影部は、前記スクリーン部を境とする一方側から、前記透過部を通して他方側の前記被写体を撮影するように設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このような特徴を有することで本発明は以下の効果を奏する。すなわち、スクリーン部に設けられた透過部を通して、スクリーン部を境とする一方側に設置された撮影部が他方側の被写体を撮影するようにしたので、スクリーン領域に投影された画像を見ている人の目線を妨げずにこの人を撮影できる。目線を妨げずに画像を見ている人を撮影することで、投影された相手の顔を相互に見ることができる。投影された相手の顔を相互に見られるようにすることで良好なコミュニケーションをとることができ、良好なコミュニケーションをとれるようにすることで、広告・宣伝等の情報をより効果的に発信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】投影システムの概略構成図。
【図2】投影装置の側面図。
【図3】図2の正面図。
【図4】図1の要部拡大図。
【図5】投影装置の第2実施形態を示す側面図。
【図6】投影装置の第3実施形態を示す側面図。
【図7】投影装置の第4実施形態を示す側面図。
【図8】投影システムの使用形態の一例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前述のスクリーン部とは、建築物の開口部や内部空間を開閉する開閉体、建築物の壁面、建築物の内部空間を仕切る仕切り壁、建築物の埋め込み窓、立て看板等の既設のもの、画像を投影するために設置されるスクリーン部材等、画像の投影が可能な面を有するものであればよい。
【0017】
前述のスクリーン領域は、スクリーン部の全域又は選択された一部のいずれに設定してもよく、投影される画像を見やすい大きさや位置となるように設定すればよい。好ましくは、スクリーン領域の中央部が画像を見ている人の目線と同高となるように設定する。
【0018】
前述のスクリーン領域に段差や凹凸があって投影される画像が見難い場合、あるいはスクリーン領域の色がスクリーンとして適していない場合には、このスクリーン領域にスクリーン部材を取り付けたり、スクリーンに適した色にしたりするとよい。
【0019】
前述の透過部は、スクリーン部の正面に位置する被写体を撮影できる位置であれば、このスクリーン部のいずれの位置に設定してもよいが、複数の投影装置の被写体が人である場合、スクリーン領域に投影される人の目線と、この人の画像を見ている人との目線を合わすことができるように撮影することが好ましい。そのため、本発明では、前述の透過部をスクリーン領域の中央部に設けたことを特徴とする。
【0020】
前述の透過部は、被写体像を撮影部に至らせることができる形態であればよく、貫通孔とした形態又は透明とした形態により達成できる。
【0021】
透過部が貫通孔である場合、この撮影部をほこりや水分等から保護をすることが必要である。そのため、本発明では、貫通孔を透明体で塞ぐことを特徴とする。この透明体は、薄板状の合成樹脂材、ガラス材等を、前述の貫通孔を塞ぐことができる大きさに加工したものを用いることができる。
【0022】
前述の撮影部は、前述のスクリーン部に対して別体に設置してもよいし、一体に設置してもよい。
【0023】
前述の撮影部は、小型のものを用いることが好ましく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)のような撮像素子を備え、携帯電話、インターフォン等に利用される小型のデジタルビデオカメラを用いるとよい。
【0024】
前述の透過部の位置は、撮影する位置を被写体によって変更できるようにするとよい。そのため、本発明では、スクリーン部を建築物の開口部や内部空間を開閉する開閉体としたことを特徴とする。
【0025】
前述の通信回線は、有線通信回線又は無線通信回線いずれでもよい。
【0026】
前述のスクリーン部の一例である開閉体は、オーバーヘッドドアを含むシャッター装置、ロールスクリーン装置、スライディングウォール装置、垂れ壁装置、引戸装置等に用いられるものである。この開閉体は、複数のスラットやパネルを開閉方向へ連設してなる形態、シート状体等、更には、前述のスラット、パネル、シート状体を適宜組み合わせてなる形態等が挙げられる。これら、スラット、パネル、シート状体等は、不透明のもの、透明のもの、透光性を有するもの(半透明)等、画像の投影が可能なものであればよい。
【0027】
以下、本発明の投影装置及び投影システムの実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、3個の投影装置A、B、Cを備えた投影システムDとして例示する。
【0028】
図1は、第1実施形態の投影装置A、B、Cを備えた投影システムDの概略構成図である。投影システムDは、夫々離間した場所に設置された投影装置A、B、Cを相互通信可能に接続してなるものである。
【0029】
尚、投影装置A、B、Cは、同構成であるので、以下では、投影装置Aの構成を説明することで投影装置B、Cの説明を省略する。
【0030】
投影装置Aは、被写体Eを撮影する撮影部1と、撮影部1で撮影された画像を投影する投影部2と、音声を入力する音声入力部3と、入力された音声を出力する音声出力部4と、撮影した画像及び入力された音声を送受信する送受信部5と、投影部2からの画像が投影されるスクリーン領域6が設定されたスクリーン部7と、スクリーン部7を境とする一方側に設置された撮影部1に、他方側の被写体Eの被写体像を至らせるための透過部8とが備えられており、各送受信部5が通信回線G1を介して相互通信可能に接続されている。
【0031】
撮影部1、投影部2、音声入力部3、音声出力部4と送受信部5とは、通信回線G2を介して通信可能に接続され、撮影部1で撮影した画像の画像データと、音声入力部3で入力された音声データとが送受信部5に入力されるようになっている。また、入力された画像データと音声データは、送受信部5から通信回線G1を介して接続された他の送受信部5に送信されるようになっている。この送信された画像データと音声データを受信した送受信部5が、通信回線G2を介して受信した画像データを投影部2に出力するとともに、音声データを音声出力部4に出力するようになっている。
【0032】
このような投影システムDは、投影装置A、B、C夫々の、撮影部1の撮影動作、投影部2の投影動作、音声入力部3の音声入力動作、音声出力部4の音声出力動作、送受信部5に対する画像データや音声データの入出力動作、送受信部5の画像データ及び音声データの送受信動作が制御されている。
【0033】
投影システムDは、この投影システムDから離間した場所に設置された制御部D1において遠隔制御するようにされている。本実施形態では、通信回線G1が制御部D1を介して送受信部5同士を相互通信可能に接続しており、この制御部D1が前述の撮影動作、投影動作、音声入力動作、音声出力動作、画像データ及び音声データの入出力動作及び送受信動作を制御するようになっている。
【0034】
制御部D1には、記憶部、設定部、操作部、CPU等(いずれも図示せず)が備えられている。記憶部には、前述のCPUが実行する各種プログラムや、各種アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶したROM、前述の設定部及び操作部による設定データや操作データ等を一時的に記憶するRAM等が備えられており、前述の設定部、操作部の要求に基づいて各種プログラムや各種データの出し入れが行われるようになっている。また、前述の設定部の設定や操作部の操作により、投影装置A、B、Cのいずれか一つを非動作状態としたり、投影装置A、B、Cのいずれか一つ又は二つで撮影した画像及び入力された音声を残りの一つ又は二つの投影装置に対して送信したりすることも可能である。
【0035】
以下、図2〜図4に基づいて投影装置Aの構成を具体的に説明する。また、本実施形態では、被写体Eを人とし、透過部8を貫通孔とし、スクリーン部7を建築物Fの内側F1と外側F2を連通する開口部F3を開閉する開閉体とする。また、本実施形態では、透過部8を開閉体7の外側面70に設定されたスクリーン領域6内に、開口部F3の開口方向と平行に設けられた貫通孔8とする。
【0036】
本実施形態において、「開閉体開放方向」とは、開閉体が開口部を開放するためにスライドする方向である。また、「開閉体閉鎖方向」とは、開閉体が開口部を閉鎖するためにスライドする方向である。また、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と直交する方向であって、開閉体厚さ方向ではない方向を意味する。本実施形態における開閉体開閉方向は、垂直方向又は画像投影が可能とする程度の垂直に近い方向を含む高さ方向に沿う方向である。
【0037】
尚、投影装置A、B、Cは、同構成であるので、以下では、投影装置Aの構成を説明することで投影装置B、Cの説明を省略し、この投影装置B、Cの概略を図示する。
【0038】
本実施形態の開閉体7は、開閉体開閉方向にスライドして開閉動作するものであり、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる複数のスラット7Aを、開閉体開閉方向に並列させるとともに、隣接するスラット7A同士の間で回動するように連設し、閉鎖方向端側のスラット7Aの閉鎖方向端部に座板7Bを接続して構成されている(図4参照)。この開閉体7は、開閉体開放方向側に設けられた収納部Hに内蔵された巻取り装置Iにより巻取り及び繰り出しが行われ、巻取り状態において収納部Hに収納されるようになっている。また、開閉体7は、開閉体幅方向(図3において左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレールF4に支持されている。
【0039】
ガイドレールF4は、開閉体7の幅方向側端部を支持する部材であり、床面F5と収納部Hとにわたって設置されている。
【0040】
巻取り装置Iは、開閉体7の巻取り及び繰り出しを行う巻取り軸I1と、巻取り軸I1をチェーン及びスプロケット等の動力伝達部I2を介して駆動回転させる開閉機I3とを備えている。開閉機I3は、リモコン(図示せず)により開閉動作が遠隔操作され、この開閉機I3の開閉動作に伴って開閉体7を開閉動作させるようになっている。この巻取り装置Iは、開閉体7が自重で移動しないように、自重による移動力に抗する付勢力手段(図示せず)を設けたり、開閉機I3にブレーキ(図示せず)を備えたりする等、開閉体7の停止を維持する機構を備えることが好ましい。
【0041】
尚、本発明は、開閉機I3の駆動によって開閉体7を開閉する形態に限らず、手動によって開閉体7を開閉する形態としてもよい。
【0042】
撮影部1は、小型のデジタルビデオカメラであり、開閉体7の内側面71に固定状に設置されている。この撮影部1は、レンズ部1Aと貫通孔8とが同軸となるようにして、スラット7Aの内側の凹部70Aに挿入状に設置されており、開閉体7の巻取りに支障を生じさせたり、巻取られた状態の開閉体7に挟まれて故障等が生じたりしないように、凹部70Aから開閉体厚さ方向へ突出しない程度の大きさのものが使用されている(図4参照)。また、撮影部1は、雨水、砂塵、小石等による不具合が生じたりしないように、カバー体1Bにより被覆されている。
【0043】
カバー体1Bは、撮影部1が巻取られた開閉体7の間に位置したときに、開閉体7の重さで潰れない程度の硬さを有する素材、あるいは、開閉体7の重さを吸収する柔軟性を有する素材等で形成されている。
【0044】
投影部2は、例えば、プロジェクタを用いることができる。この投影部2は、投射レンズ部2Aをスクリーン領域6に向けて、開口部F3の上部の壁面F6に取り付けられたアームF7の先端に軸支されている。
【0045】
アームF7は、平行リンク構造とする伸縮自在なものであり、壁面F6に対して接近・離間する方向に伸縮して、投影部2とスクリーン領域6との距離を調節したり、不使用時には壁面F6に接近するように収縮させて収納状態にしたりするようになっている。また、投影部2を開閉体開閉方向に回転可能に軸支して、この投影部2の投射角度を調節できるようになっている。
【0046】
尚、投影部2の設置形態は、例示したような伸縮自在なアームFを介して設置する形態に限らず、オーニング装置を利用して設置するようにしてもよい(図示せず)。また、伸縮自在な部材を用いずに、スクリーン領域6に画像を投影できるように設置してもよい(図示せず)。また、投影部2の設置位置は、例示したようなスクリーン領域6に対して上方でなくてもよい。
【0047】
音声入力部3は、マイクであり、壁面F6に取り付けられている。音声出力部4は、スピーカであり、壁面F6に設置されている。この音声入力部3及び音声出力部4の設置部位は、音声の入出力が良好である部位であればよく、撮影部1と同様に、スラット7Aの凹部70Aに挿入固定してもよい(図示せず)。この場合、スラット7Aに貫通孔(図示せず)を開けて音声の入出力を行うようにするとよい(図示せず)。また、音声入力部3や音声出力部4を開閉体7の外側面70に取り付けてもよい(図示せず)。
【0048】
送受信部5は、雨水や砂塵等による不具合が生じたり、建築物Fの内側F1の障害物になったりしないように、収納部H内に設置されている。送受信部5の設置部位は、雨水や砂塵等の影響を受け難く、建築物Fの内側F1において邪魔にならない部位であればよい。
【0049】
スクリーン領域6は、開閉体7の外側面70の所定の範囲、且つ所定の位置に設定されている。投影部2は、このスクリーン領域6に画像を投影できるように、アームF7の長さが調節されているとともに、投影部2の角度が調節されている。尚、人などの被写体Eを照らす照明を、スクリーン領域6を避けた配置で設置してもよい。
【0050】
本実施形態のスクリーン領域6は、起立状態とする人Eの目線E10の高さがスクリーン領域6の中央部となる位置に設定されており、起立状態とする人Eが目線E10を上下することなく、スクリーン領域6の中央部を見ることができる位置となっている。貫通孔8は、スクリーン領域6の前述した中央部に設けられており、撮影部1の撮影方向10を起立状態とする人Eの目線E10と同高となるようにして、この目線E10の高さを中心として人Eを撮影できるようになっている。すなわち、スクリーン領域6の中央部を見ている人Eを、その目線E10を中心として撮影することができるとともに、スクリーン領域6の中央部に人Eの目線E10を位置させて投影することができるので、投影装置A、B、Cで画像を見ている人E同士の目線E1を合わせることができる。
【0051】
図4に示すように、貫通孔8には、撮影部1のレンズ部1Aを保護するための板状の透明体80が、貫通孔8を塞ぐように取り付けられている。すなわち、この透明体80が撮影部1の撮影を阻害せずに、建築物Fの外側F2からの雨水、砂塵、小石等からレンズ部1Aを保護するとともに、この雨水、砂塵、小石等の建築物Fの内側F1への侵入を防ぐようになっている。この貫通孔8の孔形状は任意であるが、一般的には、貫通孔8により像が欠けずに撮影できる範囲の最小サイズで、丸孔又は撮影画面形状に応じた形状の孔とするのが好ましい(図示せず)。透明体80には、撮影部1の撮影を大きく阻害しない範囲で半透過としてスクリーン領域6の一部として機能するようにしてもよい。例えば、透明パネル上に撮影部1側の面が黒系色で投影部2側の面が白系色となるようなドット模様を印刷する(図示せず)。ドットが占める割合が多すぎなければ黒い面のドット模様は撮影部ではピンボケしてほとんど見えないため、被写体Eを撮影することができ、また、ドット部の白い面の上に投影部2からの映像を映すことができる。このドット模様の代わりにゼブラ模様、チェック模様、渦巻模様、透明体80が回析レンズとなる模様等にすることも可能である(図示せず)。
【0052】
本実施形態では、起立状態とする人Eの目線E10の高さを、平均的な身長とする人Eの目線E10の高さを想定しており、平均身長を超える人Eに対しては、開閉体7を開放動作させて、スクリーン領域6の中央部の位置を高くすることにより、この人Eの目線E10の高さに合わせることができる。また、平均身長未満の人Eの目線E10の高さにも対応できるようにするには、スクリーン領域6の中央部の位置を、開閉体7のある程度開放した状態で平均身長とする人Eの目線E10の高さとなるように設定しておき、平均身長未満の人Eに対しては、開閉体7を閉鎖動作させ、平均身長を超える人Eに対しては、開閉体7を開放動作させることによって、スクリーン領域6の中央部の位置を人Eの目線E10の高さとなるように調節すればよい。
【0053】
このような投影装置A、B、Cによると、スクリーン領域6に投影された画像を見ている人Eの目線E10及び投影を妨げずに、この人Eをその目線E10の高さを中心として撮影することができるとともに、撮影された人Eの目線E10の高さをスクリーン領域6の中央部に位置させて投影することができる。すなわち、この投影装置A、B、Cのスクリーン領域6に投影された人Eの目線E10と、この画像を見ている人Eの目線E10とを合わせながら会話ができる投影システムDを構築することができる。したがって、投影された相手の目を相互に見ながら会話することで、良好なコミュニケーションをとることができ、良好なコミュニケーションをとれることにより、広告・宣伝等の情報をより効果的に発信することができる。
【0054】
図5は、投影装置Aの第2実施形態を示す構成図である。本実施形態では、前述の第1実施形態と重複する構成の説明を図面に同符号を付すことにより省略する。
【0055】
本実施形態の撮影部1は、建築物Fの内側F1の床面F5に載置する三脚等の支持体Jに、レンズ部1Aが貫通孔8と同軸となる高さ及び位置となるとともに、貫通孔8に近接する位置となるように支持されている。支持体Jは、持ち運びが可能であるとともに、高さ調節が可能なものであり、撮影部1の設置や開閉体7の開閉動作における貫通孔8の変更される位置に対する調整が容易にできるようになっている。
【0056】
このような投影装置A、B、Cによると、前述の第1実施形態と同様の作用効果を奏する上に、建築物F内の床面F5に載置する支持体Jに支持されているので、撮影部1の設置・撤収を容易、且つ迅速に行うことができる。
【0057】
図6は、投影装置Aの第3実施形態を示す構成図である。本実施形態では、前述の第1実施形態と重複する構成の説明を図面に同符号を付すことにより省略する。本実施形態のスクリーン部7は、建築物Fの高さ方向に沿う壁面とする。
【0058】
本実施形態の投影装置Aは、壁面7の外側面70にスクリーン領域6が設定されており、このスクリーン領域6の中央部に、建築物Fの内側F1と外側F2を貫通する貫通孔8が設けられている。撮影部1は、支持体Jで支持して設置されている。本実施形態では、送受信部5を建築物Fの内側F1の天井F8に設置することで、この送受信部5が建築物Fの内側F1で邪魔にならないようにしている。尚、本実施形態では、撮影部1を支持体Jで支持して設置した形態で例示しているが、この撮影部1は、壁面7の内側面71一体に取り付けて設置してもよい(図示せず)。
【0059】
本実施形態の投影装置A、B、Cによると、前述の第1実施形態と同様の作用効果を奏する上に、建築物Fの壁面7にもスクリーン領域6を設定することができる。
【0060】
図7は、投影装置Aの第4実施形態を示す構成図である。本実施形態では、前述の第1実施形態と重複する構成の説明を図面に同符号を付すことにより省略する。また、本実施形態のスクリーン部7は、透明なガラス材や合成樹脂材からなる透明部材を、建築物Fの高さ方向に沿って嵌め込んだ嵌め込み窓とする。また、本実施形態では、嵌め込み窓7の一部が透過部8となる。本実施例では嵌め込み窓7を、ショーウインドウを構成するのに用いたものとして例示する。
【0061】
本実施形態の投影装置Aは、撮影部1が嵌め込み窓7の内側面71に一体に設置され、投影部2は、建築物Fの内側F1の天井F8に設置されており、撮影部1が透過部8を通して建築物Fの外側F2を撮影し、投影部2が建築物Fの内側F1から嵌め込み窓7の内側面71に画像を投影するようになっている。この嵌め込み窓7の内側面71にスクリーン領域6が設定されており、このスクリーン領域6の中央部を透過部8として使用するようになっている。また、スクリーン領域6に投影された画像を嵌め込み窓7の外側面70に透過させることで、この画像を建築物Fの外側F2から見ることができるようになっている。本実施形態では、送受信部5を建築物Fの内側F1の天井F8に設置することで、この送受信部5がショーウインドウ内の床面F5に設置されるディスプレイの邪魔にならないようにしている。スクリーン領域6に投影される画像を結像可能とする手段は任意であるが、例えば周知の透明スクリーンや半透明スクリーンを嵌め込み窓7に貼り付けたり、嵌め込み窓7自体を半透明としたりすることができる(図示せず)。尚、撮影部1の配置部分に透明な透過部8を確保するのが好ましい(図示せず)。嵌め込み窓7は、ガラスパネルを連設したパネルシャッターのような開閉体に置き換えてもよい(図示せず)。
【0062】
尚、本実施形態では、撮影部1を嵌め込み窓7の内側面71一体に取り付けて設置した形態で例示しているが、この撮影部1は、支持体Jで支持して設置してもよく、この場合、投影部2の投影に邪魔にならない位置に設置する(図示せず)。
【0063】
本実施形態の投影装置A、B、Cによると、前述の第1実施形態と同様の作用効果を奏する上に、スクリーン領域6の中央部の透過部8を通して撮影するようにしているので、嵌め込み窓7に開孔加工をすることなく建築物Fの外側F2の撮影をすることができる。更に、投影部2を建築物Fの内側F1に設置したので、建築物Fの外側F2に突出物を存在させることなく画像の投影を行うことができ、投影部2に対して雨水、砂塵等から保護する加工等も不要にすることができる。
【0064】
尚、本発明の投影装置A、B、Cは、前述した各実施形態のように建築物Fの例示した各部位に設置した形態に限らず、立て看板等に設置し、この立て看板の高さ方向に沿う平面部をスクリーン部7とする形態(図示せず)、画像を投影するためのスクリーン部材に設置した形態としてもよい(図示せず)。
【0065】
次に、投影システムDの具体的な使用形態の一例を説明する。図8は、本使用形態の投影システムDの構成を示す構成図である。
【0066】
本使用形態では、地方の商店街(以下、A地点という)、都市部(以下、B地点という)、観光地の空きスペース(以下、C地点という)を、相互通信可能に接続してなる投影システムDとして例示する。
【0067】
本使用形態では、A地点とB、C地点、B地点とC地点を通信回線G1で相互通信可能に接続することによって、全ての地点で情報交換ができるようにしたものである。A〜C地点には、夫々2個の投影装置A1、A2、投影装置B1、B2、投影装置C1、C2が設置されており、投影装置A1と投影装置C1、投影装置A2と投影装置B1、投影装置B2と投影装置C2が、夫々相互通信可能に接続されている。
【0068】
A地点では、閉店状態の店舗や開店中の店舗等に投影装置A1、A2を設置することができる。また、B地点では、ビルディング等の大規模な建築物に投影装置B1、B2を設置することができる。C地点では、大規模な店舗や立て看板等に投影装置C1、C2を設置することができる。
【0069】
この投影システムDでは、制御部D1により一括管理されており、この制御部D1の指示に基づいて、各投影装置A1、A2、B1、B2、C1、C2が動作するようになっている。制御部D1は、投影システムDを管理する管理者が、投影システムDを利用する利用者の希望に基づいて動作設定するようになっている。
【0070】
本使用形態では、第1利用者がA地点で開催される催物を、投影装置A1を用いてC地点の投影装置C1に配信し、この投影装置C1の前に不特定多数の人を集めて前述の催物を見せると同時に、投影装置C1に集まった人の姿や声を投影装置A1に配信することで、前述の催物に対するC地点での反応をA地点の第1利用者が確認できるとともに、第1利用者と人とが互いの顔を見ながら会話をすることができるように設定されている。
【0071】
また、第2利用者がA地点において、例えば、A地点の各種告知等を、投影装置A2を用いてB地点の投影装置B1に配信し、この投影装置B1の前を通る不特定多数の人に前述の各種告知等を行うと同時に、投影装置B1に集まった人の姿や声を投影装置A2に配信することで、前述の各種告知等に対するB地点での反応を第2利用者が確認できるとともに、第2利用者と人とが互いの顔を見ながら会話をすることができるように設定されている。
【0072】
また、第3利用者がC地点において、例えば、C地点の各種紹介等を、投影装置C2を用いてB地点の投影装置B2に配信し、この投影装置B2の前を通る不特定多数の人に前述の各種紹介等を行うと同時に、投影装置B2に集まった人の姿や声を投影装置C2に配信することで、前述の各種告知等に対するB地点での反応を第3利用者が確認できるとともに、第3利用者と人とが互いの顔を見ながら会話をすることができるように設定されている。
【0073】
このように設定された投影システムDによると、第1、第2利用者がA地点の画像及び音声による各種情報等をB、C地点に、第3利用者がC地点の画像及び音声による各種情報等をB地点に配信することで、この各種情報等を不特定多数の人に知らせることができるとともに、この各種情報等に対する各地点の画像及び音声による反応を第1〜第3利用者がリアルタイムで知ることができる。また、第1〜第3利用者と各地点の人同士が互いの顔を見ながら会話することができるため、A〜C地点での各種情報等に対する意見交換等をリアルタイムで行うことができる。したがって、A、C地点の宣伝・広告効果を高めることができるとともに、B、C地点の人がA、C地点に望んでいること等を直接リサーチすることもできるので、地方の商店街や観光地の活性化等に高い効果が期待できる。
【0074】
尚、本発明の投影システムDは、前述した使用形態に限定するものではなく、相互通信可能に接続する地点を切り替えることもできるし、投影装置を増やすこともできる(図示せず)。また、投影装置A1と投影装置B1及び/又はB2、投影装置C1及び/又はC2とを相互通信可能に設定し、A地点の各種情報等をB、C地点に配信し、この各種情報等に対する反応をB、C地点から投影装置A1にのみ配信するように設定することもできる(図示せず)。この場合、投影装置A1の投影部2が、B、C地点から配信される画像及び音声を同時に出力できるように設定したり、切替え可能に設定したりするとよい。
【0075】
更に、本発明の投影装置A、B、Cは、夫々、匂い検出部と匂い合成部を用いてもよい(図示せず)。この匂い検出部は、投影装置A、B、Cが撮影する料理や花等の匂いを検出するとともに、この検出した匂いを匂いデータとして作成するものであり、前述の匂い合成部は、匂いデータに基づいて匂いを再現するように合成し、この合成した匂いを発生させるものである。前述の匂いデータは、前述の画像データ及び音声データと同様に、匂いデータが作成された投影装置A、B、Cの送受信部5から通信回線G1を介して他の投影装置A、B、Cの送受信部5に送信される。送信された匂いデータは、他の投影装置A、B、Cの送受信部5で受信されるとともに、前述の匂い合成部に送信される。
【0076】
前述の匂い検出部と匂い合成部を備えた投影装置A、B、Cによると、画像及び音声の入出力に加え、投影されている画像の匂いも入出力することができる。したがって、投影される画像を見ながら会話をし、しかも、その画像の匂いも嗅げるようにすることができるので、より高い宣伝・広告効果が期待できる。
【符号の説明】
【0077】
A:投影装置
A1:投影装置
A2:投影装置
B:投影装置
B1:投影装置
B2:投影装置
C:投影装置
C1:投影装置
C2:投影装置
D:投影システム
E:被写体(人)
F:建築物
F1:内側
F2:外側
F3:開口部
G1:通信回線
1:撮影部
2:投影部
5:送受信部
6:スクリーン部(開閉体、壁面、嵌め込み窓)
7:スクリーン領域
8:透過部(貫通孔、嵌め込み窓)
80:透明体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の投影装置を相互通信可能に接続してなる投影システムに用いられる投影装置であって、被写体を撮影する撮影部と、他の投影装置の撮影部で撮影された画像を投影する投影部と、該投影部の画像の投影領域となるスクリーン領域が設定されるスクリーン部と、前記スクリーン部に設けられ、被写体像を透過させる透過部と、前記複数の投影装置の夫々に設けられ、撮影した画像を送受信する送受信部と、を備え、前記撮影部は、前記スクリーン部を境とする一方側から、前記透過部を通して他方側の前記被写体を撮影するように設置されていることを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記スクリーン領域が、前記スクリーン部の全域又は選択された一部に設定されていることを特徴とする請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
前記スクリーン領域の中央部が、画像を見ている人の目線と同高となるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の投影装置。
【請求項4】
前記透過部が、前記スクリーン領域の中央部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の投影装置。
【請求項5】
前記透過部が、貫通孔又は透明であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の投影装置。
【請求項6】
前記透過部が貫通孔であって、該貫通孔が透明体で塞がれていることを特徴とする請求項5記載の投影装置。
【請求項7】
前記撮影部が、前記スクリーン部に対して別体又は一体に設置されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の投影装置。
【請求項8】
前記スクリーン部が、建築物の開口部や内部空間を開閉する開閉体であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の投影装置。
【請求項9】
複数の投影装置を相互通信可能に接続してなる投影システムであって、前記投影装置は、被写体を撮影する撮影部と、他の投影装置の撮影部で撮影された画像を投影する投影部と、該投影部の画像の投影領域となるスクリーン領域が設定されるスクリーン部と、該スクリーン部に設定され、画像の投影領域となるスクリーン領域と、前記スクリーン部に設けられ、被写体像を透過させる透過部と、前記複数の投影装置の夫々に設けられ、撮影した画像を送受信する送受信部と、該送受信部を相互通信可能に接続する通信回線と、を備え、前記撮影部は、前記スクリーン部を境とする一方側から、前記透過部を通して他方側の前記被写体を撮影するように設置されていることを特徴とする投影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−160313(P2011−160313A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21858(P2010−21858)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】