説明

抗微生物作用性スルホリン酸ガラス

本発明は、酸化物ベースに対して重量%で、組成Pを15〜60重量%、SOを5〜40重量%、Bを0〜20重量%、Alを0〜10重量%、SiOを0〜10重量%、LiOを0〜25重量%、NaOを0〜25重量%、KOを0〜25重量%、CaOを0〜40重量%、MgOを0〜15重量%、SrOを0〜15重量%、BaOを0〜15重量%、ZnOを0〜45重量%、AgOを0.01重量%超、5重量%以下、CuOを0〜10重量%、GeOを0〜10重量%、TeOを0〜15重量%、Crを0〜10重量%、Jを0〜10重量%、Fを0〜5重量%を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある抗微生物作用および消炎作用性のスルホリン酸ガラスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物作用を有するスルホリン酸ガラスをベースにした抗微生物性ガラス、ガラスセラミックス、特にガラス粉末およびガラスセラミックス粉末、ガラス繊維、ガラス顆粒、ガラス玉に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポリマー用の膨張性難燃剤および/または難煙剤として使用される低いガラス転移温度をもつスルホリン酸ガラスが記述されている。これらのガラスは低い耐加水分解性を示す。これらのガラスにおけるポリマーマトリクスを有しない特に抗微生物作用なしの使用は、特許文献2には記述されていない。
【0003】
特許文献3には、ガラスプラスチックポリマーマトリクス中で低いガラス転移温度と高い化学耐性、特に耐加水分解性を示す亜鉛スルホリン酸ガラスが記述されている。この特許文献3に記述されているガラスは、ガラスプラスチック組成物にのみ導入される。抗微生物作用は記述されていない。
【0004】
特許文献4から、低溶融スルホリン酸ガラスと高性能熱可塑性物質を含むガラスプラスチック化合物が知られるようになった。これらのスルホリン酸ガラスは、特許文献3から知られる高いZnOの割合を含むものと似ている。ガラスプラスチック化合物での使用のみが記述されている。抗微生物作用は記述されていない。
【0005】
特許文献5から、各々冷却条件によってガラス状またはガラス性液晶で得られる、組成20〜55重量%のCaO、5〜25重量%のNaO、0.01〜0.15重量%のKO、0〜15重量%のMgO、30〜50重量%のP、0〜15重量%のSiO、0〜40重量%のNaSOおよび/またはKSOを有するガラス状物質またはガラス性液晶物質が知られるようになった。特許文献5から知られる物質では、混合物のみが記述されている。硫酸塩が含まれているのは混和剤のみで、ガラス網目の成分ではない。
【0006】
ガラスセラミックスでは、硫黄が液晶相グレーザーライトに残る。さらに特許文献5から知られる物質は抗微生物作用を示さない。
【0007】
特許文献6は、リン酸ガラスを記述していて、このガラスは亜鉛も含むことができ、ガラス形成酸化物Pの最大5モル%をSOで置き換えることができる。
【0008】
最大5モル%という量は、水と接触しているガラス粉末の中性pH値を調節するには低過ぎる。さらに5モル%を超える硫酸塩量は、抗微生物作用を相乗的に促進する。ガラス網目形成に寄与する硫黄によって、ガラスの加工温度を下げることができる。したがって比較的低い温度で加工することができる。
【特許文献1】米国特許第5544695号明細書
【特許文献2】米国特許第4544695号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0648713号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19960548号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第302011号明細書
【特許文献6】英国特許出願公開第2178422号明細書
【非特許文献1】Bart Gottenbosら、Materials in Medicine 10(1999)853〜855頁、Oberflache von Polymeren
【非特許文献2】Speierら、Journal of Colloid and Interface Science 89 68〜76頁(1982)
【非特許文献3】Kenawyら、Journal of controlled release 50、145〜52頁(1998)
【非特許文献4】欧州薬局方(第3版)
【非特許文献5】T.Bechert、P.Steinruecke、G.Guggenbichler、Nature Medicine、第6巻、8号、2000年9月、1053〜1056頁
【非特許文献6】VDI−Lexikon、Werkstofftechnik(材料技術)、1993、375〜376頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、抗微生物作用、要求に応じた耐加水分解性ならびに相当する反応性を有するガラス組成物を提供することである。特にこのガラスは、低い溶融条件を特徴としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1または2のガラス組成、請求項9のガラスセラミックス、ないし請求項10のガラス粉末またはガラスセラミックス粉末によって解決される。
【0011】
本発明のガラス組成は特に、5重量%を超える、好ましくは6重量%を超える、特に7重量%を超える、特に好ましくは9重量%を超える、とりわけ好ましくは11重量%を超えるSO量、ならびにSOがPと協働する網目形成体であり、ガラスのガラスマトリクス中ないしガラスセラミックスのガラス相内に導入されることを特徴としている。高いSO含有量は、ガラスが非常に低い溶融温度を有するという利点がある。このことは、一方では、よく知られているガラスに比べてエネルギー投入の減少を招き、特にポリマーへの抗微生物性混和剤として使用する場合には、これはポリマーと共に溶融し、このことは、硫酸塩ガラスベースの抗微生物性混和剤とポリマーとの間の内部結合を招く。
【0012】
例えばスルホリン酸ガラスは、約270〜280℃のTgを示し、したがって化学耐性が同程度の場合には純粋なリン酸ガラスに比べて約20〜30℃低い。
【0013】
1重量%を超える、特に5重量%を超える、とりわけ10重量%を超えるZnO量、特に好ましくは24重量%を超える、とりわけ好ましくは30重量%を超えるZnO量を含むZnの添加は、抗微生物作用を促進する。特に24重量%を超える、特に好ましくは30重量%を超えるZnO量の場合には、驚くほど強い抗微生物作用が調節される。抗微生物性添加剤としてのZnの使用は、プロセス実施に依存せずに着色が回避されるので別の利点を有する。
【0014】
本発明のガラスないしそれから得られたガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、約5.5のやや酸性の肌中性pH値から7.0の中性pH値を有する。7.0の中性pH値が特に好ましい。
【0015】
銀の添加は、非常に頻繁にガラスの着色を招く。ガラスに銀を酸化作用形の混合物、例えば硝酸銀(AgNO)として添加する場合に、そのような着色を避けることができる。さらにこのガラスは、ガラス内で酸化状態が達成され、したがってAgの金属Agへの還元をなくすために、好ましくは酸素発泡を用いるなどの酸化条件下で溶融される。そのようなプロセスを実施することで、銀を添加する場合に、ガラスの着色も、続く加工でのポリマーの着色もなくすことができる。アルカリ、アルカリ土類などの別の成分も、好ましくは硝酸塩として添加することができる。
【0016】
原料混合物中の硝酸塩の総含有量は、好ましくは0.5または1.0重量%を超え、特に好ましくは2.0重量%を超え、とりわけ好ましくは3.0重量%を超える。
【0017】
ガラス組成物ないしそれから得られたガラスセラミックスないしそれから得られたガラス粉末ないしガラスセラミックス粉末は、化粧品/医薬品/食品加工での使用に関して毒物学上問題なく、Znを除いて重金属がない。
【0018】
これらは、製品自身の保存または外部への抗微生物作用を達成するため、すなわち抗微生物作用物質、特に亜鉛などのイオンを遊離するために使用される。Agも抗微生物性添加物として使用することができる。
【0019】
塗料およびラッカなどにおいて、ポリマー中以外の製品中の抗微生物作用/殺生物作用を利用できるようにするための、ガラス組成物ないしガラスセラミックスないしガラス粉末ないしガラスセラミックス粉末の使用に関しては、毒物学上問題のないことは前提条件ではなく、組成物はCrまたはCuOを含むことができる。
【0020】
本発明のガラス組成物ないしガラスセラミックスないしガラス粉末ないしガラスセラミックス粉末は、製品自体の保存の分野でかつ/または外部への抗微生物作用を得るために、すなわち抗微生物作用物質、特に亜鉛または銀などのイオンを遊離するために使用される。
【0021】
ガラスないしガラスセラミックスないしガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、耐加水分解性が十分に高い場合にはコーティング、すなわち保護膜としてポリマーに塗布することができる。
【0022】
このガラス組成物は、消炎性および創傷治癒性を有するので、これらは特に化粧品、医薬品の分野で使用する場合にも適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
第1の実施形態では、本発明のガラス組成物は、酸化物ベースに対して重量%で下記の成分を含む。すなわち、
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 7.7重量%超、45重量%以下
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
ただし、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計は0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある。
【0024】
この実施形態は、特に化粧品および医薬品での使用に適している。ここでは亜鉛によって抗微生物作用、特に消炎作用が得られる。さらにこのガラスは、7.7重量%超のCaO量を含む。このことは、それによって身体組織との特別な相容性が達成されるので非常に好ましい。非常に好ましい実施形態では、水ないし体液と反応する場合に、CaOとPがガラスマトリクス中に共に存在することによって、Caアパタイト膜ないしヒドロキシルアパタイト膜が形成される。この実施形態は、好ましくは亜鉛を除いて重金属がない。抗微生物作用の強化などの特定の効果を達成するために、1.0重量%未満の少量のAgO量を含むことができる。
【0025】
ガラスないしそれから得られたガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、約5.5のやや酸性の肌中性pH値から7.0の中性pH値を有する。
【0026】
第1の実施形態は、肌に塗るためのクリームないしローションまたは類似の提供形態での使用に特に適している。
【0027】
医療の分野では、美容および医療分野での皮膚紅斑、刺激などの皮膚炎症の低下ないし回避、ならびに創傷の手当が考えられる用途である。
【0028】
その他の利用分野は、食品の保存ならびに食品加工の分野での使用である。
【0029】
本発明の第2の実施形態では、下記の成分を含むガラス組成物が提供される。すなわち、
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0.01重量%超、5重量%以下
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
であり、
ただし、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計は0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、ガラス組成は、5重量%を超えるZnO、特に10重量%を超えるZnO、特に好ましくは24重量%を超えるZnO、とりわけ好ましくは30重量%を超えるZnOを有する。
【0031】
このガラスでのAg量は、0.01〜5重量%、特に0.1〜5重量%ないし0.2〜2重量%の範囲にある。本発明の代替実施形態のガラスまたはそれから得られたガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末の好ましい利用分野は、殺生物作用ないし生物静力学作用を得るためのポリマーへの使用である。一方ではポリマー自体の保存が中心になり、これはすなわち、ポリマーを細菌および真菌の攻撃から保護することである。さらにそれによって生物静力学ないし殺生物性ポリマー表面を作り上げることができ、その場合にイオンなどのできる限り殺生物作用のない物質が周囲に放出される。別の目的は、特に殺生物作用物質を遊離するポリマーを提供することである。
【0032】
そのようなガラス組成物またはそのようなガラス組成物から成るガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を、ポリマー中で使用する場合には、ポリマーによってカプセル化されるので、これが水性媒体の遮蔽に基づいて抗微生物性が不十分であることが予想される。しかし驚くべきことに、非常に少量のAgおよび/またはZn、Cr、Cuのような別の殺生物イオンを添加しただけで、ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末の著しい抗微生物作用が現れることが判明した。
【0033】
通常に製造されるポリマー中の非常に少量の水含有量で既に、銀イオンおよび/または別の殺生物イオンをガラスマトリクス中で「活性化」し、それによって長時間の抗微生物作用を達成するのに十分であるので、これは驚くべきことである。
【0034】
本発明の一発展形態では、ガラス組成物はCaおよびZnをも含み、CaOおよびZnOの総量は、このガラス組成中20〜60重量%の範囲にあるものとする。
【0035】
先に記述されているように、本発明の組成を有するガラスないしそれから得られたガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、ポリマー内で生物静力学作用ないし殺生物作用を示す。これは、ポリマーを保存するため、特に真菌の攻撃または細菌による破壊から保護するために利用することができる。ポリマーに抗微生物性表面を設けることも考えられる。そのような抗微生物性表面は、抗微生物作用物質、特にイオンを外部へ、すなわちポリマー表面の外側へできるだけ遊離ないし放出しないようにするものである。
【0036】
本発明のガラスは、抗微生物作用イオンをポリマーマトリクスからゆっくり遊離させることも可能にする。
その場合にポリマーの水含有量ならびにポリマーマトリクス中を移動するイオンの拡散が重要な役割を果たす。一般にここではガラスマトリクス中の殺生物イオン量ないしポリマー中のガラス濃度も前述の利用でのものより高い。この遊離は、ガラスの一部または完全な溶融に結びつくことができる。特に好ましい実施形態では、ポリマーマトリクスも一部または完全に溶融する。ポリマーマトリクスが水溶性の場合は特にそうである。
【0037】
本発明の一発展形態では、ガラス、それから得られたガラスセラミックス、ならびにそれから得られたガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、耐加水分解性が十分な場合にはポリマー自体に含めるだけでなく、コーティング、すなわち保護膜としてポリマーに塗布することもできることが考えられる。
【0038】
ポリマーとの相容性を保証し、反応性を調節するために、CaO量は好ましくは1重量%を超え、好ましくは7.7重量%を超える。1重量%を超えるCaO量のその他の利点は、ガラスの温度耐性が増大することである。
【0039】
ここに記述されているガラスのその他の利用分野は、塗料およびラッカでの使用である。目的は、塗料の保存および/または殺生物/生物静力学膜を得ること、あるいは例えば黴が着いた面の被害の場合の外部への殺生物作用を得ることである。
【0040】
本発明の特に適した実施形態では、抗微生物性スルホリン酸ガラスの組成は、下記の組成範囲を含む(酸化物をベースとした重量%)。
30〜40重量%
SO 10〜20重量%
NaO 10〜20重量%
CaO 2〜40重量%
ZnO 0〜40重量%
AgO 0〜1重量%
【0041】
酸化物をベースとして、下記の組成範囲(重量%)を含む組成が特に好ましい。
30〜40重量%
SO 10〜20重量%
NaO 10〜20重量%
CaO 2〜10重量%
ZnO 24〜35重量%
AgO 0〜1重量%
【0042】
着色しない銀がない組成は、下記の組成範囲を含む。
30〜40重量%
SO 10〜20重量%
NaO 10〜20重量%
CaO 2〜40重量%
ZnO 0〜40重量%
【0043】
CaおよびZnを重量で1:1〜1:2の比率で含む、上述の組成を有する本発明のガラスが特に好ましい。CaおよびZnを重量で1:1〜1:2の比率で含む場合には、このガラスは、特に良好な生体適合性、すなわち相容性を特徴としている。
【0044】
上述の組成は、さらにヨウ素を0〜1重量%の範囲で、およびCrを0〜1重量%の範囲で含むこともできる。ヨウ素を添加することによって、創傷治癒および殺菌作用が達成される。
【0045】
クロムは、毒性の点での危険性があまり重要ではなく、高い抗微生物作用が望まれる適用分野に使用される。
【0046】
本明細書に記述されているガラス組成物からガラスセラミックスを製造することも可能である。
【0047】
さらに本発明は、ガラス、ガラスセラミックス、ガラスセラミックス粉末の使用、または酸化物をベースとして重量%で下記の組成を有するガラスの使用に適している。
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
【0048】
ただし、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計は0.01重量%超、45重量%以下の範囲にあり、あるいは、この組成のガラスから製造されるガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末の、美容または医療用配合物、脱臭製品、衛生紙類分野の製品、食品、洗剤、塗料+ラッカ、モルタル、セメント、コンクリート、口腔衛生用品、歯の清掃品、口蓋衛生用品、口蓋清掃品への使用を提供するものである。
【0049】
前記のガラス組成物から出発して得られる本発明のガラスないしガラスセラミックスまたはガラス粉末ないしガラスセラミックス粉末は、驚くべきことに十分な化学耐性、高い反応性および特に肌中性pH値が確認された。この肌中性pH値に基づいて、このガラスは特に美容ないし医療分野での使用、特に医療または美容配合物用に適している。
【0050】
ガラス、特にガラス粉末は、殺生物作用を、少なくとも生物静力学作用を有する。水溶液中で肌中性pH値、すなわち5.5の弱酸性のpH値から7.0の特に好ましい中性pH値であることから、ガラスないしそれから得られたガラス粉末ないしそれから得られたガラスセラミックスまたはそれから得られたガラスセラミックス粉末は、人ならびに、とりわけケイ酸塩ベースのガラスなど高いアルカリ性のpH値を示すガラスとの接触に適さない。
【0051】
さらにこのガラスは、毒性の点で問題がなく、このことは特に医療または美容に利用する場合には重要である。人と直接接触する利用に関しては、重金属の負荷は、好ましくはPbで20ppm未満、Cdで5ppm未満、Asで5ppm未満、Sbで10ppm未満、Hgで1ppm未満、Niで10ppm未満が好ましい。
【0052】
人体と接触して使用されるガラス組成に含まれる唯一の重金属は、Znである。特別な作用を得るために少量のAgOを含めることもできる。
【0053】
本発明のガラスを医療分野/美容分野で使用する場合には、外部への抗微生物作用は、抗微生物作用物質、特に亜鉛または銀などのイオンの遊離によって達成される。
【0054】
特に好ましい形態では、重金属量は、Znを好ましくはCaで、ただしMg、Srでも完全にまたは部分的に置き換えることによって減らすことができる。
【0055】
本発明のガラスないしガラス粉末ないしガラスセラミックスないしガラスセラミックス粉末では、水との接触で、ガラス表面と液状媒体との間でNaイオンまたはZnイオンないしCaイオンなどのイオン交換が起こる。さらに溶解プロセスによってもイオンの遊離が起こり得る。
【0056】
ここではPとして記述されている、ガラス形成性の、すなわち網目形成性のリン酸塩成分と、ここでは酸化物の形のSOとして記述されている硫黄成分を変化させることによって、ガラスの溶解速度を調節することができる。網目形成成分としての硫黄は、この成分が人に対して毒性をもたないという利点を有する。イオン交換とガラスの溶解によって殺生物イオンの遊離度を調節することができる。
【0057】
NaOならびにZnOまたはCaOを適切に導入することによって、高いNaO量では網目が緩くなり、したがってZn、Agなどの導入された殺生物作用イオンが容易に放出されるので、網目形成が停止され、ガラスの反応性が調節される。Caが存在する場合にはガラスは生物活性になるので、5重量%を超える重量部を有するCaOを含む本発明のガラスが特に好ましい。特に好ましい実施形態は、CaおよびZnを重量%で1:1〜1:2の比率で含む。
【0058】
さらにTiOとZrOをガラス組成物に添加することができる。TiOはUV光を吸収する性質を有し、それによってポリマーを黄変および脆化から保護することができる。TiOの好ましい範囲は、0.1〜5重量%、特に好ましくは0.1〜2.0重量%である。
【0059】
ZrOは、結晶化傾向を減少させるためにガラス組成に添加される。さらにこれは、化学耐性を調節するために用いられる。ZrOの好ましい範囲は、0.1〜5重量%、特に好ましくは0.1〜2.0重量%である。
【0060】
水溶液中でNaイオンないしCaイオンをイオン交換することによって、pH値をpH=7などの中性値に、またはPを添加することによって、やや酸性の環境にずらしてpH=5.5の肌中性pH値にすることができる。
【0061】
量が増加するか、溶融時間などの溶融パラメータ、原料の純度などによって、例えばホスホルオキシドの遊離OH基の割合が変わることなどによってガラスの網目が変化する場合には、やや酸性の環境へずれて、pH=5.5の肌中性pH値となることも起こり得る。
【0062】
網目形成成分SO/P量に対してNaO量ならびにCaO量を適切に調整することによって、水と接触しているガラスのpH値を、ガラス組成を変えることによって明確に調節することができるようになる。5〜8の広いpH値範囲にわたる調節が達成される。
【0063】
本発明のガラスないしそれから得られたガラス粉末ないしこの出発ガラスから得られた本発明のガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末の殺生物作用ないし生物静力学作用は、液状媒体、特に水中でのイオン遊離によって引き起こされる。ガラスないしそれから得られるガラス粉末およびガラスセラミックスは、細菌、真菌ならびにウィルスに対して殺生物作用を有する。
【0064】
直接人と接触しない分野での利用に関しては、本発明のガラスないしガラス粉末ないしガラスセラミックスは、特に強い殺生物作用を得るために、重金属イオンも比較的高い濃度で含むことができる。そのような重金属イオンは、Ag、Cu、Ge、TeおよびCrである。本発明のガラスないしガラス粉末ないしガラスセラミックスは、ポリマー、塗料およびラッカに添加することができる。
【0065】
このガラスがカルシウムとリンを含む場合には、これは殺生物作用の他に生物活性作用も有することができる。これはそれからヒドロキシルアパタイトの形成を引き起こし、好ましくはややアルカリ性の環境で行われる。
【0066】
本発明のガラス、ガラス粉末、ガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末では、ガラス表面における反応によって、ガラスのNaまたはCaなどのアルカリが、水性媒体のHイオンで交換される。したがって抗微生物作用は、とりわけイオンの遊離に因るものである。イオン交換による抗微生物作用は、細胞の成長を遅らせる。
【0067】
系内に組み込まれた抗微生物性ガラス表面は、放出以外にある役割も果たす。ガラス表面の抗微生物作用は、やはり抗微生物作用イオンの存在に因るものである。しかしさらに、表面電荷、すなわち粉末のゼータポテンシャルは、特にグラム陰性菌への抗微生物作用を有し得ることもよく知られている。正の表面電荷の、グラム陰性菌への抗微生物作用から出発して、この正の表面電荷は細菌を引きつけるが、グラム陰性菌は正のゼータポテンシャルを有する表面では成長できない、すなわち増殖できない。これに関連しては、非特許文献1を参照することが望ましい。
【0068】
正の表面電荷をもつ粉末中の抗微生物作用は、非特許文献2、非特許文献3に記載されている。
【0069】
ここに記述されているガラスは、同じくガラスセラミックスないしセラミックスを含む。これは続いて、中間材料(リボンなど)または製品(粉末または繊維など)で可鍛化工程を行うことによって製造される。この可鍛化工程に続いて、望まれる粒径に調節するために新たな粉砕が必要となり得る。
【0070】
本発明のガラス内の硫黄ないしリン部分を活性化することによって、抗微生物作用は相乗的に強化され、その場合に、身体組織との強い結合を引き受けるヒドロキシルアパタイト膜の形成によって、生物活性作用が生じる。
【0071】
ガラス組成物は、粉砕プロセスを用いて100μm未満の粒径のガラス粉末に粉砕される。50μm未満ないし20μm未満の粒径が目的に合致していることが判明した。10μm未満ならびに5μm未満の粒径が特に適している。2μm未満の粒径が非常によく適していることが判明した。
この粉砕プロセスは、乾式でも、水溶性粉砕媒体および非水溶性粉砕媒体を用いても実施することができる。
【0072】
特定の作用を組み合わせるために、異なる組成および粒径を有する組成範囲から成る異なるガラス粉末を混合することができる。
【0073】
それぞれ粉末の粒径、濃度および組成にしたがって、5〜8のpH値が達成される。
【0074】
異なる組成および粒径を有するガラス粉末を混合すると、個々のガラス粉末の特有の性質を調整するために相乗的に組み合わせることができる。したがって、例えば粒径によってガラス粉末の抗微生物作用を制御することが可能である。
【0075】
ガラス粉末のガラスは、網目形成体としてSOとPを含む。長時間にわたる殺生物作用ないし生物静力学作用を可能にするのに十分な大きさの、特に好ましい化学耐性が達成されるので、17重量%未満のSO量が特に好ましい。
【0076】
NaOは、ガラスを溶融する際に融剤として投入される。8重量%未満の濃度の場合には、溶融挙動はマイナスの影響を受ける。さらにイオン交換に必要な機構は、もはや抗微生物作用を達成するには十分ではない。30重量%より高いNaO濃度の場合には、化学耐性の劇的な悪化が観察される。
【0077】
アルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物は、特にイオン交換を増大し、それによって抗微生物作用を達成するために添加することができる。
【0078】
Al量は、結晶化安定性の化学耐性を高めるのに役立つ。
【0079】
ZnOは、ガラスの高温成形性に関する重要な成分である。これは結晶化安定性を改良し、表面張力を高める。
【0080】
さらにZnOは抗微生物作用を有する。
その上これは、特に人と直接接触する化粧品ないし医療品などでの特別な利用に関して、消炎作用および創傷治癒作用を示す。抗微生物作用および消炎作用ないし創傷治癒作用を得るために、45重量%までのZnOを含むことができる。
【0081】
殺菌作用および創傷治癒作用は、ガラス混合物へのヨウ素の添加によっても相乗的に強化することができる。
AgO、CuOは、基本ガラスの抗微生物作用を強化するために、抗微生物作用添加剤としてさらに添加することができる。
【0082】
本発明のガラスは、皮膚に炎症を起こす作用を生じさせない。
【0083】
Ag、Cu放出によって、抗微生物作用の著しい増大が達成される。製品中の遊離Ag、Cuイオン濃度は、これらの成分はガラスの抗微生物作用に対して必ずしも必要ではないので、この場合明らかに1ppm未満である。
その場合のAg、Cu、Znの導入は、溶融の際に相当する塩によって行うかまたは溶融後にガラスのイオン交換によって行うことができる。
【0084】
フッ素のような成分は、それぞれ利用分野にしたがって、合計5重量%の濃度までガラスに添加することができる。この実施形態は、抗微生物作用および消炎作用の他に、この実施形態によって、エナメル質を硬くするフッ素が少量の濃度で遊離できるので、特に歯の清掃および歯の衛生の分野での使用が見出される。
【0085】
歯科分野での特に好ましい利用は、記述されているガラスを歯科製品に使用することである。本発明のガラスを単独で、または歯の充填、歯冠、装入物用の他の材料と組み合わせて使用することが特に適している。この場合に本発明のガラスないしガラスセラミックスおよびそれから得られたガラス粉末ないしガラスセラミックス粉末を、ポリマー材料との複合材として使用することが特に好ましい。
【0086】
色の効果を得るために、Fe、CoO、CuO、V、Crなど単独または複数の色を与える成分を、4重量%未満、好ましくは1重量%未満の総濃度でガラスに添加することができる。
【0087】
要求される組成範囲にある組成を有するガラス、ガラス粉末、ガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末は、衛生紙類、化粧品、塗料、ラッカ、モルタル、医薬品、美容利用、食品添加物の分野での使用、ならびに脱臭製品、制汗剤での使用、ならびに皮膚炎症、急性および慢性創傷の治療用製品への使用に関する全ての要求を満足する。
【0088】
記述されているガラスのポリマー分野での使用は、これによって限定されるものではないが、特にバイオガラスの添加に適するポリマーが存在する。このものは、特にPMMA、PEEK、PVC、PTFE、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、PGA生分解性ポリマー、LGA生分解性ポリマーまたはバイオポリマーコラーゲン、フィブリン、キチン、キトサン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリ尿素、ポリウレタン、有機フルオロポリマー、ポリアクリルアミドおよびポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリオレフィン、ポリスチレンおよびスチレン共重合体、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニリデンクロライド、ビニルポリマー、ポリオキシメチレン、ポリアジリジン、ポリオキシアルキレン、合成樹脂ないしアルキル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂または不飽和ポリエステル樹脂、導電性高分子、高温高分子、無機高分子、ポリフェニルオキシドシリコーン、セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、酵素、ゼラチン、天然樹脂、核酸、多糖、タンパク質、絹糸、澱粉または羊毛などのバイオポリマーである。好ましくは本発明のガラスは、ポリカーボネートなどのアルカリ感応性ポリマーとの使用においては、少量のアルカリを有する。
特にここに記述されている抗微生物性ガラスは、ポリマー中の抗微生物性添加剤としてなど、下記の製品での使用が適している。
切断板、
手袋、
ゴミ箱、
ナイフのグリップ、
食器、例えば箸、
錠剤、
テーブルクロス、
冷蔵庫、
自動食器洗い機、
洗濯物用乾燥機、
洗濯機、
電話、
キーボード、
アイロン、
炊飯器、
ハンドル、
自動車計器、
肘掛け、
鍵、
ドア取っ手、
灰皿、
変速レバー、
スイッチ、
ボールペン、
フロッピー(登録商標)ディスク、
オーディオビデオカセット、
コンパクトディスク(CD)、
クリップボード。
さらにそのようなガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末、またはガラスセラミックス粉末は、衣料産業分野での、好ましくは化学繊維への添加剤としての使用も見出される。
衣類、
靴下、
下着、
ハンカチ、
トイレタオル、
壁布、
枕カバー、
枕詰め物、
水着、
水泳帽への使用が考えられる。
【0089】
本発明のガラス、本発明のガラスセラミックス、それから得られたガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を含むことができる化学繊維ベースまたはポリマーベースのその他の製品は、
床用絨毯、
コンタクトレンズ、
コンタクトレンズホルダー容器、
遊び場用砂、
プラスチック硬貨、
紙幣、
玩具、
腕時計、
潜水服である。
特に床用絨毯用繊維への使用に関しては、抗微生物性ガラス粉末は、繊維への添加剤として特に適している。
【0090】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末の性質は、驚くべきことに高い濃度の場合でも肌相容性があることが証明された。
【0091】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、各々適当な形で使用される。異なる組成をもつ組成範囲から成る、異なるガラス粉末を混合することも同じく可能である。特別な効果を組み合わせるための、他のガラス粉末および/またはガラスセラミックス粉末との混合も可能である。
【0092】
フッ素などの成分は、各々適用例に応じて、合計5重量%の濃度までガラスに添加することができる。
【0093】
粉砕によってガラス粉末またはガラスセラミックス粉末から得られる、本発明に記述されているガラスないしガラスセラミックスは、水溶性であるが十分な化学耐性を有している。このガラスないしガラス粉末は、まずイオン交換ないしイオン放出によって作用し、このことは表面反応、pH上昇および金属イオンの遊離につながる。
【0094】
驚くべきことに、本発明のガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、高い反応性、高い耐加水分解性、および従来の技術に記述されている生物活性ガラスまたはそのようなガラスから製造されたガラス粉末のグループより高い抗微生物作用を示す。
【0095】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳しく説明する。
【0096】
記述されている実施例では、原料から、ガラスを石英ガラスルツボ内で溶融し、続いてリボンに加工した。このリボンを、乾燥粉砕を用いてd50=4μmの粒径の粉末にさらに加工した。
【0097】
本発明のガラス粉末に粉砕できるガラスの組成および性質を表1に示す。この組成は、酸化物ベースに対する重量%での合成値に関するものである。
【0098】
【表1】

【0099】
表1の実施例1および2における組成の、1重量%懸濁水中のガラス粉末の60分後のpH値および導電率を、下記の表2に示す。
【0100】
【表2】

【0101】
表1の実施例2における抗微生物作用を表3に示す。その際に4μmの平均粒径をもつガラス粉末の0.001重量%懸濁水を測定した。表3の開始値は、初めに使用した細菌数を、例えば250000E.coli細菌などで表す。値0は、本発明のガラス粉末を含む懸濁水の抗微生物作用の証明である。
【0102】
【表3】

【0103】
表4は、実施例2のガラス粉末の、0.1重量%懸濁水中における抗微生物作用を示す。
【0104】
【表4】

【0105】
以下に、4μmのd50の粒径と、表1の実施例1のガラス組成を有するガラス粉末の増殖試験での抗微生物作用を示す。
【0106】
増殖試験では、抗微生物性表面の効果を定量することができる試験方法が特に好ましい。その際に、簡潔に言うと、表面の抗微生物効果が、周囲の培地に娘細胞が放出されるか、およびどのくらい放出されるかを特徴づける。試験の実施は、比特許文献5に記載されている。この文書の開示内容は、本明細書にその全体を組み込まれている。
【0107】
このガラス粉末は、ポリマーに均一に導入された。使用したポリマーは、ポリプロピレン(PP)であった。
【0108】
病原菌としてブドウ球菌Epidermidisを使用した。この病原菌では皮膚に存在する細菌が重要である。
【0109】
記述されている濃度(重量%)でポリプロピレン(PP)に均一に導入された、4μmのd50の粒径と、実施例1のガラス組成を有するガラス粉末に関して、48時間より長く観察した増殖を表5に示す。
【0110】
【表5】

【0111】
開始ODとは、周囲の培地内の光学密度と理解される。増殖(娘細胞の形成)および表面から周囲の培地への細胞の放出によって、培地の透過率が減少する。特定波長でのこの吸収は、表面の抗微生物作用と関連している。開始OD値が高いほど、表面の抗微生物作用は強い。
【0112】
本発明で初めて、SOを網目形成体として含み、抗微生物作用を有する抗微生物性ガラス組成物が記述される。このガラスは、同程度の化学耐性を有するリン酸ガラスに比べてTg、すなわちガラスの転移温度およびVA、すなわち加工温度が低く、したがってより簡単に製造ならびに加工に使用できる。転移温度という概念に関しては、非特許文献6を参照することが望ましい。さらにこれは、ポリマーと複合化すると一部溶融し、したがってポリマーとガラスとの間により良い結合が作られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物ベースに対する重量%で、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0.01重量%超、5重量%以下
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計は0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある、抗微生物作用および消炎作用性スルホリン酸ガラス。
【請求項2】
酸化物ベースに対する重量%で、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 7.7重量%超、45重量%以下
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計は0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある、抗微生物作用および消炎作用性スルホリン酸ガラス。
【請求項3】
ガラス組成が、5重量%を超えるZnO、特に10重量%を超えるZnO、特に好ましくは24重量%を超えるZnO、とりわけ好ましくは30重量%を超えるZnOを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の抗微生物作用および消炎作用性スルホリン酸ガラス。
【請求項4】
ガラス組成が、7重量%を超えるSO、特に9重量%を超えるSO、とりわけ11重量%を超えるSOを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の抗微生物作用および消炎作用性スルホリン酸ガラス。
【請求項5】
ガラス組成が、AgOを0.001〜5重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の抗微生物作用性スルホリン酸ガラス。
【請求項6】
組成が、AgOを0.1重量%超、5重量%以下含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗微生物作用性スルホリン酸ガラス。
【請求項7】
組成が、CuOを0.01重量%超、10重量%以下含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗微生物作用性スルホリン酸ガラス。
【請求項8】
ZnO+CaOの合計が、20〜60重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗微生物作用性スルホリン酸ガラス。
【請求項9】
出発ガラスが、請求項1から8のいずれか一項に記載のガラスであることを特徴とする、抗微生物作用性スルホリン酸ガラスセラミックス。
【請求項10】
ガラス粉末が、請求項1から8のいずれか一項に記載のガラス組成を含むガラスを含むか、またはガラスセラミックス粉末が、請求項9に記載のガラスセラミックスを含むことを特徴とする、抗微生物作用性ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項11】
粉末のガラス粒子の大きさが平均で20μm未満であることを特徴とする、請求項10に記載の抗微生物作用性ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項12】
粉末のガラス粒子の大きさが平均で10μm未満であることを特徴とする、請求項10に記載の抗微生物作用性ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項13】
粉末のガラス粒子の大きさが平均で5μm未満であることを特徴とする、請求項10に記載の抗微生物作用性ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項14】
粉末のガラス粒子の大きさが平均で1μm未満であることを特徴とする、請求項10に記載の抗微生物作用性ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項15】
化粧品に使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項16】
脱臭製品に使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項17】
医薬品および薬剤に使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項18】
プラスチックおよびポリマーに使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項19】
衛生紙類の分野で使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項20】
食品に使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項21】
洗剤に使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項22】
塗料およびラッカに使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項23】
モルタル、セメントおよびコンクリートに使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項24】
口腔衛生品、歯の清掃用品、口腔清掃用品、口蓋衛生品、口蓋清掃用品に使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗微生物作用性ガラスまたはガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項25】
組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計は0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある、化粧品または医薬品、脱臭製品、衛生紙類分野の製品、食品、洗剤、塗料およびラッカ、モルタル、セメント、コンクリート、口腔衛生品、歯の清掃用品、口腔清掃用品、口蓋衛生品、口蓋清掃用品に使用するための、ガラス、またはこの組成のガラスから製造されるガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項26】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある化粧配合物。
【請求項27】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある医療配合物。
【請求項28】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、その場合に該ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある脱臭剤。
【請求項29】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある衛生紙類分野の製品。
【請求項30】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある食品。
【請求項31】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、該ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある洗剤。
【請求項32】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある塗料およびラッカ。
【請求項33】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にあるモルタル、セメント、コンクリート。
【請求項34】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にある口腔衛生用品、歯の清掃品、口蓋衛生用品、口蓋清掃品。
【請求項35】
ガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を少なくとも0.2重量%含み、ガラスまたはガラスセラミックスの出発ガラスが、組成
15〜60重量%
SO 5〜40重量%
0〜20重量%
Al 0〜10重量%
SiO 0〜10重量%
LiO 0〜25重量%
NaO 0〜25重量%
O 0〜25重量%
CaO 0〜40重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0〜45重量%
AgO 0〜5重量%
J 0〜10重量%
F 0〜5重量%
を含み、ZnO+AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+Jの合計が0.01重量%超、45重量%以下の範囲にあるプラスチック製品、特にポリマー、特に合成繊維。

【公表番号】特表2006−518696(P2006−518696A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501883(P2006−501883)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001572
【国際公開番号】WO2004/076370
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】