説明

抗腫瘍薬として有用なケイ皮酸、フェニルプロピオル酸およびフェニルプロピオン酸誘導体

抗腫瘍および化学増感活性を有する式(I)のケイ皮酸およびフェニルプロピオル酸誘導体が記載される。腫瘍の治療のための、上記化合物を含む医薬組成物も記載される。



(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗腫瘍活性を有するケイ皮酸およびフェニルプロピオル酸およびフェニルプロピオン酸誘導体(cinnamic and phenylpropiolic and phenylpropanoic acid derivatives)に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
腫瘍の治療は、現在、外科的処置、放射線治療および化学療法によってなされている。化学療法の欠点は、主に、通常は癌細胞に限定されていない細胞障害性薬物の毒性、および治療の長期効力を低減する、非常に広範に用いられている薬剤のいくつかに対する癌細胞の獲得された耐性に起因する。
【0003】
手術による原発腫瘍の排除は常に可能というわけではないし、いずれにせよ、ほとんどの転移性の腫瘍、例えば、乳癌または黒色腫がその他の標的器官に侵入することを防ぐものではない。
【0004】
転移性の腫瘍の治療は患者に完全な治癒をもたらさないであろうことが明らかになってきた;それゆえ、細胞障害性薬物による治療は、治癒方法ではなく対症および延命方法であると今ではみなされている。低毒性の薬剤による長期治療であって、疾患の進行の制御に標的化した治療が好ましい。
【0005】
近年、抗癌薬開発は、従来の細胞傷害性化学療法薬から腫瘍増殖停止という共通の目的に向けたより作用機作に基づいた標的化アプローチに移行している。クロマチン研究における迅速な進歩およびエピジェネティックな制御の理解により、癌における介入のための多量の潜在的標的がもたらされた。ヒストンデアセチラーゼ (HDAC)は増殖および転写制御に広く関わっており、低分子を用いたHDAC 活性の阻害は腫瘍細胞においてアポトーシスをもたらす。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は様々な培養中の形質転換細胞および腫瘍担持動物における増殖停止、分化、またはアポトーシス細胞死の強力な誘導物質であることが今では知られている(Marks、P.A.、Current Opinions in Oncology、2001、Nov. 13 (6): 477-83; Marks、P.、Nat. Rev. Cancer 2001 Dec.1 (3):194-202)。
【0006】
一方、以前に予測されていたように、もうひとつの非常に重要で強く受け止められている腫瘍治療の側面は治療された腫瘍細胞による、使用された薬剤に対する耐性の発生である。薬剤に対する耐性を生じた細胞は、化学的に関連しなくても、異なる作用機作によって作用する場合でも、しばしば多くのその他の抗腫瘍薬の効果にも耐性となりうる。このタイプの耐性は多剤耐性(MDR)と称される(Annu. Rev. Med 1991,42: 277-286; Drugs of the Future 1997,22: 653-660)。
【0007】
多数の腫瘍、例えば、副腎皮質、結腸、腎臓および空腸の腫瘍および肝癌では、抗腫瘍薬による治療の非常に初期から薬剤耐性が現れる(Barrows、L. R. Anti-neoplastic and Immunoactive Drugs、1995 ; 75; 1236-1262)。
【0008】
別の場合では、腫瘍細胞は細菌の抗生物質耐性と同様にして耐性を獲得する。このタイプの耐性は治療期間中に腫瘍細胞に起こる遺伝的変化に基づく; これらの変化は、抗腫瘍薬が存在する環境における娘細胞の増殖を可能とする。
【0009】
原因がなんであれ、耐性は長期間における抗腫瘍治療の非有効性を導く。
【0010】
多数の研究により、グリコプロテインPの存在に由来するヒト腫瘍における薬剤耐性の共通の形態が示唆されている(Ann. Med. Interna 1997 Mar; 14 (3): 145-53; Acta Scient Venez. 2000; 51 (1): 45-52).。
【0011】
このグリコプロテインは抗腫瘍薬を細胞の内側から排出するエネルギー依存的膜ポンプとして作用し、それによって薬剤の細胞内濃度を低下させる。
【0012】
化学増感薬は、腫瘍細胞または体内における変化をもたらし、用いる抗腫瘍薬の治療効力を上昇させる化合物である。
【0013】
グリコプロテインPの機能を調節することができることが知られている化学増感薬としては、カルシウムチャネル遮断薬 (ベラパミル)、カルモジュリン阻害剤 (トリフロペラジン)、インドールアルカロイド(レセルピン)、リソソーム活性化薬(lysosomotropic agent)(クロロキン)、ステロイド(プロゲステロン)、トリパラノールアナログ (タモキシフェン)、界面活性剤(cremophor EL)、および環状ペプチド抗生物質 (シクロスポリン) (Cancer,Principles & Practice of Oncology、1993; 4th ed.、J. B. Lippincott Co.,Philadephia、Pa.、2661-2664)が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明の説明
本発明者らはあるクラスのケイ皮酸、フェニルプロピオル酸およびフェニルプロピオン酸誘導体がかかる抗腫瘍、抗転移および化学増感活性に必須の要件を有することを見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0015】
それゆえ本発明の主な目的は、抗腫瘍、抗転移および化学増感薬として有用な薬剤である下記式(I)の化合物である
【0016】
本発明は式(I)の化合物に関する:
【化1】

[式 I]
[式中:
nは0または1;
-nが0である場合、Aは一価の基であり、以下からなる群から選択される: OH、NH-OG、下記の基
【化2】

ここでGおよびG’は同じであるかまたは異なっており、H、グリコシルまたはアセチル;
-nが1である場合、Aは、以下からなる群から選択される二価の基: NH-S-S-NHおよびCH2-S-S-CH2;
Y は以下から選択される基:HC=CH、FC=CF、FC=CH、CH=CF、CH2-CH2 およびC≡C;
Rは下記の基:
【化3】

ここでXはOまたはNH;
Rは下記の基:
【化4】

Zは以下からなる群から選択される:
・H;
・(C6-C12) アリールまたはニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシルまたはアミノにより置換された(C6-C12) アリール;
・(C1-C4) アルキル、(C2-C4) アルケニル、(C2-C4) アルキニル;
・(C6-C12) アリール-(CH2)n'、ここでアリールはニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシルまたはアミノにより置換されている;ここでn’= 0-3;
・(C6-C12) アリール-CO、ここでアリールはニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、アミノにより置換されている; および、
・(C3-C6) ヘテロシクリル-(C1-C4) アルキル、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つは O、S、NHにより置換されている;
R1は以下からなる群から選択される:
・H;
・NH2;
・(C1-C4) アルキル、(C2-C4) アルケニル、(C2-C4) アルキニル;
・NH-(C2-C4) アルキニル;
・NO2;
・(C2-C4) アルキニル;
・ハロゲン;
・(C6-C12) アリール;
・(C6-C12) アリール-(C2-C4) アルキニレン;および
・(C3-C6) ヘテロシクリル-(C2-C4) アルキニレン、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つはO、S、NHにより置換されている;
あるいは:
RおよびR1は、芳香族基と一緒になって、下記式を有する多環式基を形成する:
【化5】

R2は以下からなる群から選択される:
・H;
・(C6-C12) アリールまたはニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシルまたはアミノにより置換された(C6-C12) アリール;
・(C1-C4) アルキル、(C2-C4) アルケニル、(C2-C4) アルキニル;
・(C6-C12) アリール-(CH2)n''、ここでアリールはニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシルまたはアミノにより置換されている、ここでn’’ = 0-3;
・(C6-C12) アリール-CO、ここでアリールはニトロ、ハロゲン、(C1-C4)アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、アミノにより置換されている; および
・(C3-C6) ヘテロシクリル-(C1-C3) アルキレン、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つはO、S、NHにより置換されている;
R3は以下からなる群から選択される:
・H;
・(C1-C4) アルキル、(C2-C4) アルケニル;
・(C1-C4) アルキル-NH;
・(C1-C4)-アルキル-(C3-C6)-ヘテロシクリレン、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つはO、S、NHにより置換されている;
・(C6-C12) アリール; および、
・(C3-C6) ヘテロアリール、ここでヘテロ環のCHの少なくとも1つはO、S、NHにより置換されている;
R4 は以下からなる群から選択される:
・H;
・(C1-C4) アルキル;
・(C6-C12) アリール;
・(C6-C12) アリール-(C1-C4) アルキニレン;
・(C2-C4) アルカノイル; および、
・-(C6-C12) アリール-CO;
R5 は以下からなる群から選択される:
・H;
・直鎖状または分枝状 (C1-C4) アルキル;
・直鎖状または分枝状 (C2-C4) アルケニル;および、
・OR6、ここでR6は、H、(C1-C4) アルキル、メシル、トシル、(C1-C4) アルカノイル]。
【0017】
本発明はまた、式(I)の化合物の互変異性体、幾何異性体、エナンチオマーとしての光学活性形態、ジアステレオマーおよびラセミ体形態、ならびに医薬上許容される塩を含む。
【0018】
式(I)の好ましい医薬上許容される塩は、医薬上許容される酸と形成される酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩または重硫酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、酢酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびパラ-トルエンスルホン酸塩である。
【0019】
本発明の枠内で、直鎖状または分枝状 (C1-C4) アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピルおよびブチルならびにそれらの可能な異性体、例えば、イソプロピル、イソブチルおよびter-ブチルが含まれることが理解される。
【0020】
直鎖状または分枝状 (C2-C4) アルケニル基の例は、メチリデン、エチリデン、ビニル、アリル、プロパルギル、およびブチレンであり、ここで、二重炭素-炭素結合はアルキレン鎖の様々な可能な位置にあってよく、アルキレン鎖は異性体的に許される限り分枝していてもよい。
【0021】
(C6-C12) アリールまたは(C6-C12) アリール - (C1-C4) アルキル基の例は、フェニル、1-または2-ナフチル、アントラセニル、ベンジル、2-フェニルエチル、1-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、2-アントラセニルプロピル、1-アントラセニルプロピル、ナフチルメチル、2-ナフチルエチル、1-ナフチルエチル、3-ナフチルプロピル、2-ナフチルプロピル、1-ナフチルプロピルである。
【0022】
本明細書において用いる場合、「(C3-C6) ヘテロシクロ」という用語または「(C3-C6)ヘテロシクリル」という用語は、S、O、またはNから独立して選択される1以上のヘテロ原子による置換を含み、0から5の程度の不飽和を有する一価の3から6員環非芳香環をいう。本明細書において用いる「ヘテロ環式」の例としては、これらに限定されないが、テトラヒドロフリル、ピラニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキサニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオフェニル等が挙げられる。
【0023】
本明細書において用いる場合、「(C3-C6)ヘテロシクリレン」という用語は、S、O、またはNから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含み、0から5の程度の不飽和を有する二価の3から6員環非芳香族ヘテロ環基をいう。本明細書において用いる「ヘテロシクリレン」の例としては、これらに限定されないが、テトラヒドロフラン-2,5-ジイル、ピラン-2,4-ジイル、1,4-ジオキサン-2,3-ジイル、1,3-ジオキサン-2,4-ジイル、ピペリジン-2,4-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、ピロリジン-1,3-ジイル等が挙げられる。
【0024】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0025】
グリコシル残基の例は、6-D-ガラクトシルおよび6-D-グルコシルである。
【0026】
本発明の独立に好ましい態様によると、AはOHまたはNH-OGであり、ここでGはH; Yは基 HC=CH; R1、R3、R4およびR5はH; およびR2 は以下からなる群から選択される: R2 は以下からなる群から選択される: H; C6-C11 アリール; C6-C11アリール(CH2)n、ここでアリールはニトロ、ハロゲン、C1-C4 アルコキシカルボニルにより置換されている; C6-C11 アリール-CO、C2-C4 ヘテロ環-アルキル、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つはNHにより置換されている;およびnは2である。
【0027】
特に、式(I)の化合物は、R3の位置に関してシス- (Z-)またはトランス (E-) 異性体として存在しうる。これら化合物はすべて本発明に含まれる。
【0028】
さらに、基 Yの意味に応じて、本発明の化合物はジアステレオ異性体 (シスまたはトランス、EまたはZ)あるいはその混合物として存在しうる。これら化合物はすべて本発明に含まれる。
【0029】
本発明によるもっとも好ましい化合物のいくつかを以下に挙げる:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-(4-{[(アリルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)アクリルアミド (ST2984);
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{4-[(フェノキシイミノ)メチル]フェニル}アクリルアミド (ST2985);
(2E)-N-ヒドロキシ-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]アクリルアミド (ST2987);
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{4-[(ヒドロキシイミノ)メチル]フェニル}アクリルアミド (ST2983);
(2E)-N-ヒドロキシ-3-[4-({[(ペンタフルオロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]-アクリルアミド (ST2986);
(2E)-N-ヒドロキシ-3-[4-({[(4-メトキシカルボニルベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]- アクリルアミド (ST3049);
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{4-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド (ST3050);
(2E)-3-(4-{[(ベンジルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)-N-ヒドロキシアクリルアミド (ST2840);
(2E)-N-ヒドロキシ-3-(4-{[(4-クロロベンゾイル)ヒドラゾノ]-メチル}フェニル)アクリルアミド (ST2888);
(2E)-N-(2-アミノフェニル)-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]-アクリルアミド (ST3070);
(2E)-N-ヒドロキシ-3-(1H-インドール-5-イル)アクリルアミド (ST2880);
(2E)-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}メチル)フェニル]アクリル酸 (ST3075);
(2E)-3-(4-{[(ベンジルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)アクリル酸 (ST3076);
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{3-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド ヒドロクロリド (ST3576);
N-ヒドロキシ-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]プロパンアミド (ST3330);
N-ヒドロキシ-3-{4-[(E)-{[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}メチル]フェニル}プロプ-2-インアミド (ST3618);
2E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(2-モルホリン-4-イル-エトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド ヒドロクロリド (ST3573)および、
(2E)-N-メルカプト-3-{4-[(4-ニトロ-ベンジルオキシイミノ)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド (ST3605)。
【0030】
得られた実験結果(「実施例」の節において報告する)は、式(I)の化合物は、単独でもその他の既知の抗腫瘍薬と組み合わせても、腫瘍の治療のために有用な薬剤であることを示す。
【0031】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、一般式(I)の化合物およびその医薬分野における使用である。
【0032】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、活性成分として式(I)の化合物を含み、少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤を含む医薬組成物である。
【0033】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、一般式(I)の化合物およびその調製方法である。
【0034】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、活性成分として式(I)の化合物を含む、腫瘍症状の治療のための医薬組成物であり、ここで腫瘍は、肉腫、癌腫、カルチノイド、骨腫瘍、神経内分泌腫瘍、リンパ系白血病、急性前骨髄球性白血病、骨髄性白血病、単球性白血病、巨核芽球性白血病およびホジキン病からなる群から選択される。
【0035】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、活性成分として式(I)の化合物を含む、腫瘍症状の治療のための医薬組成物であり、ここで、腫瘍はその治療に用いられた以前の抗生物質に対して薬剤耐性を示すものであり、そして、該式(I)の化合物が該薬剤耐性腫瘍に対して化学増感作用を発揮するものである。
【0036】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、活性成分として式(I)の化合物を、1以上の既知の抗腫瘍薬と組み合わせて含む医薬組成物であり、ここで、抗腫瘍化合物は、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗チューブリン剤、インターカレート化合物、代謝拮抗薬、天然物、例えば、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、酵素、タキサンおよび細胞分化促進(cytodifferentiating) 化合物からなる群から選択される。
【0037】
細胞分化促進(cytodifferentiating) 抗腫瘍薬のなかで、好ましいものはオールトランスレチノイン酸である。
【0038】
本発明のさらなる目的は、式(I)の化合物と好適な賦形剤および/または希釈剤を混合することを含む、上記のいずれかの医薬組成物の調製方法である。
【0039】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、腫瘍症状の治療用医薬の調製のための式(I)の化合物の使用である。
【0040】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、腫瘍症状の治療用医薬の調製のための式(I)の化合物の使用であり、ここで、腫瘍はその治療に用いられた以前の抗腫瘍薬剤に対して薬剤耐性を示すものであり、ここで該式(I)の化合物は、該薬剤耐性腫瘍に対して化学増感作用を発揮するものである。
【0041】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、腫瘍症状の治療のための医薬の調製のための、1以上の既知の抗腫瘍薬と組み合わせての式(I)の化合物の使用である。
【0042】
本明細書に記載する本発明のさらなる目的は、急性前骨髄球性白血病の治療用医薬の調製のための、オールトランスレチノイン酸と組み合わせての式(I)の化合物の使用である。
【0043】
本発明のさらなる目的は、治療上有効量の式(I)の化合物を投与することを含む、腫瘍症状を患う哺乳類の治療方法である。
【0044】
「治療上有効量」とは、治療対象における医学的に望ましい結果を達成するために有効な量である。医薬組成物は、好適な医薬上許容される担体、動物への投与に好適な生物学的に適合性の媒体(例えば、生理的食塩水)を含んでいてもよく、最終的に医薬として利用されうる製剤へと活性化合物を加工するのを促進する補助剤 (例えば、賦形剤、安定化剤または希釈剤) を含んでいてもよい。
【0045】
医薬組成物は、投与様式の要求を満たすようないかなる許容可能な様式で製剤してもよい。薬物送達のためのバイオマテリアルおよびその他のポリマーの使用、ならびに特定の投与様式を確認する様々な技術およびモデルは文献に開示されている。
【0046】
本発明の化合物を血液脳関門の透過を促進するよう改変することも有用であろう。
【0047】
あらゆる許容可能な投与様式も当業者により使用および決定できる。例えば、投与は様々な非経口経路によるものであってよく、例えば、皮下、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、経皮、経口、または頬側経路が挙げられる。
【0048】
非経口投与はボーラス注入によるものでも長期間の灌流によるものでもよい。非経口投与用の製剤は、無菌の水性または非水性溶液、懸濁液および乳濁液を含み、これらは当該技術分野で知られている補助剤または賦形剤を含んでいてもよく、常套の方法によって調製できる。さらに、適当な油性注射懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与してもよい。好適な親油性溶媒または媒体としては、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、エチルオレイン酸エステルまたはトリグリセリドが挙げられる。
【0049】
水性注射懸濁液は懸濁液の粘性を高める物質を含んでいてもよく、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム 、ソルビトール、および/またはデキストランが挙げられる。所望により、懸濁液は安定化剤も含んでいてもよい。
【0050】
医薬組成物には、注射による投与のために好適な溶液が含まれ、賦形剤とともに約 0.01から99 パーセント、好ましくは約 20から75 パーセントの活性化合物を含んでいる。直腸に投与しうる組成物としては坐薬が挙げられる。
【0051】
投与すべき用量はレシピエントの年齢、性別、健康状態、および体重、あるとすれば併用療法の種類、治療の頻度および望まれる効果の性質などに依存することが理解される。用量は当業者に理解および決定されるように個々の対象に対してテイラーメードされる。各治療に必要とされる総用量は、複数回用量で投与しても単回用量にて投与してもよい。本発明の医薬組成物は単独で投与してもよいし、該症状または該症状のその他の症候に対するその他の治療薬と組み合わせて投与してもよい。通常、活性成分の一日用量は0.01 〜 100 mg/kg体重である。
【0052】
本発明の化合物は、医薬上許容される担体、例えば、生理的食塩水中で患者に静脈内投与することも出来る。
【0053】
ペプチドの細胞内への送達のための標準的方法を利用でき、例えば、リポソームを介した送達が挙げられる。かかる方法は当業者に周知である。本発明の製剤は非経口投与、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、および腹腔内投与に有用である。
【0054】
医薬分野において周知のように、1人の患者についての用量は多くの因子に依存し、例えば、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与すべき特定の化合物、性別、投与時間および経路、全般的健康状態、およびその他の同時に投与される薬剤などの因子に依存する。
【0055】
本明細書において引用するすべての文献は、引用により本明細書に完全に含まれ、引用文献に示されるあらゆるデータ、表、図および文字が含まれる。
【0056】
さらに、本明細書で引用される文献にさらに引用される文献のすべての内容が引用により本明細書に完全に含まれる。公知の方法工程、従来の方法工程、公知の方法または従来の方法についての記載はその関連文献において本発明のいかなる側面、記載または態様が開示、教示または示唆されていると認めるものではない。
【0057】
本出願に開示の方法および生成物の特徴を理解すると、付加的な工程の必要性および種類は容易に従来技術ならびに以下の非限定的な図面および本発明の基本的な詳細およびいくらかの用途を記載する実施例を参照することにより推測できる。
【0058】
式(I)の化合物は、以下の一般的方法および手順を用いて容易に入手可能な出発物質から調製できる。典型的または好ましい実験条件(即ち、反応温度、時間、試薬のmole数、溶媒等) が示されている場合、特にことわりの無い限りその他の実験条件も利用できることが理解される。最適な反応条件は用いる特定の反応物質または溶媒により変動しうるが、かかる条件は、常套の最適化手順により当業者により決定できる。
【0059】
本発明の化合物を調製する方法は、4-ホルミル-ケイ皮酸または3 (4 ホルミルフェニル)プロピオン酸誘導体とヒドロキシルアミン誘導体とを反応させることを含む。
【0060】
本発明の化合物は例えば、以下の一般スキームにしたがって調製することが出来る。
【0061】
一般スキーム I
【化6】

【0062】
工程 1は、A、即ち、4-ホルミル-ケイ皮酸またはR1置換4-ホルミル-ケイ皮酸 (Y = CH=CH、R3 = H,)、3-(4-ホルミルフェニル)プロプ-2-インオン酸(ynoic acid)またはR1 置換 3-(4-ホルミルフェニル)プロプ-2-インオン酸(ynoic acid) (Y = C≡C、R3 = H)、 3-(4-ホルミルフェニル)プロピオン酸またはR1 置換 3-(4-ホルミルフェニル)プロピオン酸 (Y=CH2-CH2 ,R3=H)を有機溶媒、即ち、 DMF、DMA、DMSOにB、即ち、ヒドロキシルアミン (X = O)またはそのヒドロクロリド塩または置換ヒドラジン(X = NH)とともに溶解することによって行う。混合物を20℃〜70℃の温度で撹拌下に維持する。化合物Cが粗生成物として得られる。
【0063】
工程 2は以下の文献に記載のように行うことが出来る:
Bauer、L.; Exner、O. Angew. Chem. Int. Edit. 1974、13、376;
Remiszewski、S. W.; Sambucetti、L. C.; Atadja、P.; Bair、K. W.; Cornell、W. D. Green、M. A.; Howell、K. L.; Jung、M.; Kwon、P.; Trogani、N.; Walker、H. J. Med. Chem. 2002、45、753;
Mai、A.; Massa、S.; Ragno、R.; Cerbara、I.; Jesacher、F.; Loidl、P.; Brosch、G. J. Med. Chem. 2003、46、512;
Giacomelli、G.; Porcheddu、A.; Salaris、M. Org. Lett. 2003、5、2715;
Sakamoto、T.; Kikugawa、Y. J. Org. Chem. 1994、59、929;および
Barta、T. E. et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000、10、2815。
【0064】
具体的には、工程 2は有機溶媒、即ち、DMF、DMA、DMSO中で、化合物Cと縮合剤 [即ち、EDC ヒドロクロリド、HATU、PyBOP、HOBt] およびDIEA、TEAなどの塩基とを混合することによって行う。ヒドロキシルアミン、o-フェニレンジアミンなどの求核性窒素種を、20℃ 〜 60℃の温度で撹拌下で混合物に添加する。化合物 Dを結晶化またはクロマトグラフィー方法により精製する。
【0065】
RおよびR1が芳香族基と一緒になって多環式基を形成する場合、本発明の化合物は以下のスキーム IIにしたがって調製できる:
【0066】
一般スキーム II
【化7】

【0067】
スキーム IIについての一般的条件
反応は、有機溶媒、即ち、DCM、DMF、DMA、DMSOまたはその混合物中で、化合物E (Y = CH=CH、または C≡C、またはCH2-CH2)を縮合剤 [即ち、EDC、HATU、PyBOP、HOBt] および DBU、DIEA、TEAなどの塩基と混合することによって行う。ヒドロキシルアミン、o-フェニレンジアミンなどの求核性窒素種を混合物に撹拌下で20℃〜60℃の温度で添加する。化合物F (Y = CH=CH、または C≡C または CH2-CH2、 A =CONHOH)を CH2Cl2 からの結晶化またはクロマトグラフィー方法によって精製する。
【0068】
以下の実施例によりさらに本発明を説明するが本発明の範囲を限定するものではない。
【0069】
一般スキーム III
【化8】

【0070】
スキーム IIIについての一般的条件
工程 1は、4-ハロゲン-ベンズアルデヒド、即ち、4-ヨード-ベンズアルデヒドを有機溶媒、即ち、EtOH、MeOH、i-PrOH中で、NH2OHとともに溶解することによって行う。混合物を20℃〜 70℃の温度で撹拌下に維持する。粗生成物として得られた化合物を有機溶媒、即ち、DCM、DMF、DMA、DMSOまたはNCSとの混合物に添加し、所望の ヒドロキシイミノイルクロリドを得る。
【0071】
工程 2:ヒドロキシイミノイル クロリドの対応するニトリル酸化物への原位置での(in situ)変換を有機溶媒、即ち、CH2Cl2および塩基、例えば、DBU、DIEA、TEA中で行い、次いで、親双極子としてのアリル-誘導体Z-CH=CH-R2により付加環化し、ラセミ体イソキサゾリンを得た。
【0072】
工程 3:化合物 G (Y = CH=CH、C≡C またはCH2-CH2)、即ち、4-(ラセミ-イソキサゾリン)-ケイ皮酸は、有機溶媒、即ち、EtOH、MeOH、i-PrOH中のエステル-誘導体の塩基性加水分解 (NaOH、KOH、Ca(OH)2)により達成され、これは、適当なアクリレートおよびハロゲン化-フェニル-イソキサゾリンの、適当な塩基、例えば、DBU、DIEA、TEA の存在下、有機溶媒、即ち、THF、DMF、DMA、DMSO またはその混合物中の適当な Pd-触媒を介した反応により得られる。
【0073】
工程 4 反応は、有機溶媒、即ち、DCM、DMF、DMA、DMSO または混合物中で、化合物 G (Y = CH=CH、C≡CまたはCH2-CH2)と 縮合剤 [即ち、EDC、HATU、PyBOP、HOBt]および塩基、例えば、DBU、DIEA、TEAとを混合することによって行う。ヒドロキシルアミン、o-フェニレンジアミンなどの求核性窒素種を混合物に撹拌下で20℃〜60℃の温度で添加する。化合物H (Y = CH=CH、C≡CまたはCH2-CH2、 A = CONHOH)をCH2Cl2 からの結晶化またはクロマトグラフィー方法によって精製する。
【0074】
一般スキーム IV
【化9】

【0075】
スキーム IVについての一般的条件
工程 1 は、4-ハロゲン-ベンズアルデヒド、即ち、4-ヨード-ベンズアルデヒドを、有機溶媒、即ち、EtOH、MeOH、i-PrOH中で NH2OHとともに溶解することによって行う。混合物を撹拌下に20℃〜70℃の温度で維持する。粗生成物として得られた化合物を有機溶媒、即ち、 DCM、DMF、DMA、DMSO またはNCSとの混合物に添加し、所望のヒドロキシイミノイル クロリドを得る。
【0076】
工程 2 ;ヒドロキシイミノイルクロリドの対応するニトリル酸化物への原位置での変換は、有機溶媒、即ち、CH2Cl2、および塩基、例えば DBU、DIEA、TEA中で行い、次いで親双極子としてのプロパルギル-誘導体Z-C≡C-R2による付加環化によりラセミイソキサゾリンを得た。
【0077】
工程 3;化合物I (Y = CH=CH、C≡Cまたは CH2-CH2)、即ち、4-(ラセミ-イソキサゾリン)-ケイ皮酸を有機溶媒、即ち、EtOH、MeOH、i-PrOH 中でのエステル-誘導体の塩基性加水分解 (NaOH、KOH、Ca(OH)2)により達成し、これは適当な塩基、例えば、DBU、DIEA、TEAの存在下、有機溶媒、即ち、THF、DMF、DMA、DMSO または混合物中での適当な Pd-触媒を介した適当な アクリレートおよびハロゲン化-フェニル-イソキサゾリンの反応によって得た。
【0078】
工程 4 ;反応は、有機溶媒、即ち、 DCM、DMF、DMA、DMSO または混合物中で、化合物I (Y = CH=CH、C≡C または CH2-CH2) と縮合剤 [即ち、EDC、HATU、PyBOP、HOBt]および塩基、例えばDBU、DIEA、TEAを混合することによって行う。ヒドロキシルアミン、O-フェニレンジアミンなどの求核性窒素種を混合物に撹拌下で20℃〜60℃の温度で添加する。化合物L (Y = CH=CH、C≡C または CH2-CH2、 A = CONHOH)をCH2Cl2 からの結晶化またはクロマトグラフィー方法によって精製する。
【0079】
以下の実施例によりさらに本発明を説明するがその範囲を限定するものではない。
【0080】
実施例
実施例 1:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-(4-{[(アリルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)アクリルアミド (ST2984) の調製
工程 1: 2 mLのDMF に溶解したトランス 4-ホルミル-ケイ皮酸 A (Y = CH=CH、R1 = H、R3 = H、0.346 g、1.96 mmol.)およびB O-アリルヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.258 g、2.37 mmol.) の溶液を50℃に昇温し、5時間撹拌した。次いで溶液をAcOEtで希釈し、水で洗浄した。有機層を Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、 0.421 gの中間体 C (2E)-3-(4-{[(ベンジルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)アクリル酸 (93 %収率)を得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 230.3
【0081】
工程 2: フラスコ中の工程 1から得た中間体 C (0.123 g、0.53 mmol)を1.5 mLのDMFにHATU (0.222 g、0.58 mmol)およびDIEA (185 μL、1.06 mmol)とともに溶解した。0.5時間後、1.5 mLのDMF中のヒドロクロリド 塩 (0.055 g、0.80 mmol)としてのヒドロキシルアミンおよびDIEA (139 μL、0.80 mmol) の溶液を添加した。混合物を室温で24時間撹拌し、HCl 溶液 (pH=3.5)で希釈した。沈殿をろ過により回収しCH2Cl2により結晶化し、 0.088 gのD (ST2984、40 %収率)を得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 245.0
[M+23]+ = 269.0
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 4.55-4.75 (d、J=5 Hz、2H、CH2)、5.20-5.40 (dd、Jトランス=17.6 Hz、Jシス=10.6 Hz、2xCH)、5.9-6.1 (m、1H、CH)、6.4-6.6 (d、J=15.8 Hz、1H、CH)、7.4-7.6 (d、J=15.4 Hz、1H、CH)、7.6 (bs、4H、4xCHar)、8.2 (s、1H、CH)、9.1 (bs、1H、NH)、10.8 (bs、1H、OH)
13C-NMR (50 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 75.3、118.6、120.7、128.1、128.7、133.5、135.1、137.0、138.3、149.3、163.3
【0082】
実施例 2:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{4-[(フェノキシイミノ)メチル]フェニル}アクリルアミド (ST2985) の調製
工程 1: T2985 の合成のための中間体 C (2E)-3-{4-[(フェノキシイミノ)メチル]フェニル}アクリル酸 (0.520 g、99 %収率)を、トランス 4-ホルミル-ケイ皮酸 A (0.342 g、1.94 mmol)および B O-フェニルヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.339 g、2.33 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 266.4
工程 2: 化合物 ST2985 (0.100 g、48 %収率)を、中間体 C (0.201 g、0.75 mmol) から出発して工程 2、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 281.1
[M+23]+ = 305.0
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 6.5-6.7 (d、J=15.7 Hz、1H、CH)、7.0-7.1 (t、J=6.9 Hz、1H、CHar)、7.2-7.3 (d、J=8.0 Hz、2H、2xCHar)、7.3-7.4 (t、J=7.3 Hz、2H、2xCHar)、7.4-7.6 (d、J=16.1 Hz、1H、CH)、7.6-7.7 (d、J=7.7 Hz、2H、2xCHar)、7.8-7.9 (d、J=7.7 Hz、2H、2xCHar)、8.7 (s、1H、CH)、9.1 (bs、1H、NH)、10.8 (bs、1H、OH)
13C-NMR (50 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 115.0、121.3、123.2、128.8、128.9、130.3、132.6、137.9、138.2、152.8、159.6、163.2
【0083】
実施例 3:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]アクリルアミド (ST2987) の調製
工程 1: ST2987 の合成のための中間体 C (2E)-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]アクリル酸 (ST3075) (0.610 g、94 %収率)を、トランス 4-ホルミル-ケイ皮酸 A (0.348 g、1.97 mmol)およびB O-(4-ニトロベンジル)ヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.485 g、2.37 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 325.3
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 5.34 (s、2H、CH2)、6.5-6.7 (d、J=15.7 Hz、1H、CH)、7.5-7.8 (m、7H、6xCHar、CH),8.2-8.3 (d、J=8.4 Hz、2H、2xCHar)、8.41 (s、1H、CH)、12.4 (bs、1H、OH)
13C-NMR (50 MHz、DMSO-d6、δ): 75.0、121.0、124.3、128.1、129.4、129.5、133.8、136.7、143.7、146.5、147.7、150.3、168.2
【0084】
工程 2: 化合物 ST2987 (0.120 g、44 %収率)を中間体 C (0.262 g、0.80 mmol) から出発して工程 2、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 340.2
[M+23]+ = 364.4
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 5.34 (s、2H、CH2)、6.4-6.6 (d、J=15.6 Hz、1H、CH)、7.4-7.6 (d、J=15.8 Hz、1H、CH)、7.62 (bs、4H、4xCHar)、7.6-7.7 (d、J=8.4 Hz、2H、2xCHar)、8.2-8.3 (d、J=8.4 Hz、2H、2xCHar)、8.41 (s、1H、CH)、9.09 (bs、1H、NH)、10.80 (bs、1H、OH)
13C-NMR (50 MHz、DMSO-d6) δ(ppm): 74.9、120.9、124.3、128.2、128.7、129.5、133.1、137.3、138.2、146.5、147.8、150.4、163.2
【0085】
実施例 4:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{4-[(ヒドロキシイミノ)メチル]フェニル}アクリルアミド (ST2983) の調製
工程 1: ST2983 の合成のための中間体 C (2E)-3-{4-[(ヒドロキシイミノ)メチル]フェニル}アクリル酸(0.355 g、93 %)をトランス 4-ホルミル-ケイ皮酸 A (0.352 g、2.00 mmol) およびB ヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.167 g、2.40 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 190.2
【0086】
工程 2: 化合物 ST2983 (0.060 g、40 %)を中間体 C (0.075 g、0.39 mmol) から出発して工程 2、実施例 1に記載のようにして得た。ただし、 処理および精製は以下のように行った: 反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を分取RP-HPLC (カラム Lichrosorb RP18 25x2.5 mmID、溶出液 H20/CH3CN = 50/ 50 + CH3COONH4 50mM、流速10 mL/分)により精製した。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 205.3
[M+23]+ = 229.2
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 6.4-6.6 (d、J=15.8 Hz、1H、CH)、7.4-7.6 (d、J=15.8 Hz、1H、CH)、7.61 (bs、4H、4xCHar)、8.15 (s、1H、CH)、9.09 (bs、1H、NH)、10.79 (bs、1H、OH)、11.37 (bs、1H、OH)
【0087】
実施例 5:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-[4-({[(ペンタフルオロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]-アクリルアミド (ST2986) の調製
工程 1: ST2986 の合成のための中間体 C (2E)-3-[4-({[(ペンタフルオロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]アクリル酸(0.710 g、97 %収率)をトランス 4-ホルミル-ケイ皮酸 A (0.346 g、1.96 mmol)およびB O-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.588.2 g、2.35 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 370.1
【0088】
工程 2: 化合物 ST2986 (0.060 g、50 %収率)を中間体 C (0.115 g、0.31 mmol) から出発して工程 2、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 385.1
[M+23]+ = 409.0
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 5.27 (s、2H、CH2)、6.4-6.6 (d、J=15.7 Hz、1H、CH)、7.4-7.6 (d、J=15.7 Hz、1H、CH)、7.60 (bs、4H、4xCHar)、8.90 (s、1H、CH)、9.08 (bs、1H、NH)、10.80 (bs、1H、OH)
19F-NMR (188 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): -138.3 (d、J=23.0 Hz)、-149.2 (t、J=21.3 Hz)、-158.1 (t、J=22.0 Hz)
【0089】
実施例 6:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-[4-({[(4-メトキシカルボニルベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]- アクリルアミド (ST3049) の調製
工程 1: ST3049 の合成のための中間体 C (2E)-3-{4-[({[4-(メトキシカルボニル)ベンジル]オキシ}-イミノ)メチル] フェニル}アクリル酸(0.300 g、80 %収率)をトランス 4 ホルミル-ケイ皮酸 A (0.197 g、1.12 mmol) およびB O-(4-メトキシカルボニルベンジル)ヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.292 g、1.34 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 338.2
工程 2: 化合物 ST3049 (75 mg、58 %収率)を中間体 C (0.124 g、0.36 mmol) から出発して工程 2、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 353.2
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 3.85 (s、3H、CH3)、5.28 (s、2H、CH2)、6.5-6.7(d、J=15.8 Hz、1H、CH)、7.5-7.7 (m、5H、4xCHar + CH)、7.7-7.8 (d、J=8.0 Hz、2H、2xCHar)、7.9-8.0 (d、J=8.1 Hz、2H、2xCHar)、8.38 (s、1H、CH)、9.10 (bs、1H、NH)、10.78 (bs、1H、OH)
13C-NMR (50 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 52.8、75.5、120.9、128.2、128.7、128.8、129.7、130.0、133.2、137.2、138.2、144.0、150.0、163.2、166.8
【0090】
実施例 7:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{4-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド (ST3050) の調製
工程 1: ST3050の合成のための中間体 C (2E)-3-(4-{(E)-[(2-モルホリン-4-イルエトキシ)イミノ]メチル}-フェニル)アクリル酸 (0.140 g、91 %収率)をトランス 4 ホルミル-ケイ皮酸 A (0.089 g、0.50 mmol) およびB 2-(2-モルホリン-4-イル)-O-エチルヒドロキシルアミン ジヒドロクロリド (0.081 g、0.55 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M+1]+ = 305.2
【0091】
工程 2: 化合物 ST3050 (45 mg、30 %収率)を中間体 C (0.140 g、0.46 mmol) から出発して工程 2、実施例 1に記載のようにして得た; 反応混合物を実施例 4に記載のように処理および精製した。
【0092】
ヒドロクロリドとして化合物 ST3050 (1.241 mg、98 %収率)を(2E)-3-{4-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)-メチル]-フェニル}-N-トリチルオキシ-アクリルアミド (2.000 g、3.56 mmol、67 %収率) の酸加水分解 (THF中HCl 溶液) の後に得た。これは、5 mL の無水 THF中での中間体 C (1.800 g、5.29 mmol)とエチル クロロホルメート (607 μL、6.35 mmol)およびTEA (959 μL、6.88 mmol)の反応により得た (Mai A.、Pezzi R. et all. J. Med. Chem. 2005、48、3344および Mai A.、Pezzi R. et all. J. Med. Chem. 2003、46、4826に記載の手順にしたがう)。
MS (ESI) m/z: [M+1]+ = 320.3
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 2.4-2.5 (t、J=4.4 Hz、4H、2xCH2)、2.6-2.7 (t、J=5.9 Hz、2H、CH2)、3.5-3.6(t、J=4.4 Hz、4H、2xCH2)、4.2-4.3 (t、J=5.9 Hz、2H、CH2)、6.4-6.6 (d、J=15.8 Hz、1H、CH)、7.4-7.6 (d、J=16.1 Hz、1H、CH)、7.62 (bs、4H、4xCHar)、8.27 (s、1H、CH)、9.09 (bs、1H、NH)、10.79 (bs、1H、OH)
13C-NMR (50 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 54.4、57.7、66.9、72.2、120.8、128.1、128.7、133.6、137.0、138.3、149.0、163.2
【0093】
実施例 8.
(2E)-3-(4-{[(ベンジルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)-N-ヒドロキシアクリルアミド (ST2840) の調製
工程 1. ST2840 の合成のための中間体 C (2E)-3-(4-{[(ベンジルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)アクリル酸 (ST3076) (0.54 g、98%)をトランス 4-ホルミル-ケイ皮酸 A (0.348 g、1.97 mmol) およびB O-ベンジルヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.378.2 g、2.36 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 280.3
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) d (ppm): 5.19 (s、2H、CH2-O); 6.58 (d、1H、CH=C、J=16.1 Hz); 7.30-7.46 (m、5H、5xCHar); 7.59 (d、1H、CH=C、J=15.7 Hz); 7.64 (d、2H、2xCHar); 7.74 (d、2H、2xCHar); 8.34 (s、1H、CH=N)
13C-NMR (50 MHz、DMSO-d6) d (ppm): 76.4; 121.0; 128.0; 128.6; 129.0; 129.1; 129.4; 134.1; 136.4; 138.2; 143.7; 149.5; 168.2
【0094】
工程 2. 化合物 ST2840 (0.080 mg、75 %収率) を中間体 C (0.100 g、0.36 mmol) から出発して工程 2、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 295.2
[M+23]+ = 319.1
1H-NMR (300 MHz、DMSO-d6) d (ppm): 5.18 (s、2H、CH2-O); 6.50 (d、J=15.78 Hz、1H、CH=C,); 7.30-7.50 (m、6H、5xCHar + CH=C); 7.61 (m、4H、4xCHar); 8.32 (s、1H、CH=N)
13C-NMR (75.5 MHz、DMSO-d6) d (ppm): 76.3; 120.8; 128.1 128.6; 128.6; 128.9; 129.0; 133.4; 137.0; 138.1; 138.2; 149.5; 163.1
【0095】
実施例 9:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-(4-{[(4-クロロベンゾイル)ヒドラゾノ]-メチル}フェニル)アクリルアミド (ST2888) の調製
工程 1. ST2888 の合成のための中間体 C (2E)-3-(4-{[(4-クロロベンゾイル)ヒドラゾノ]-メチル}フェニル)アクリル酸(0.255 g、78%)を、5 % v/v HCl (37 %)で還流しながら2 mLのEtOH中のトランス 4 ホルミル ケイ皮酸 A (0.176 g、1.00 mmol) およびB 4-クロロベンゾイックヒドラジド (0.170 g、1.00 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。5時間の撹拌の後、反応を室温に冷却し、ろ過し、固体をEtOHで洗浄した。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 327.2
工程 2. 化合物 ST2888 (0.110 g、53 %収率) を中間体 C (0.200 g、0.61 mmol) から出発して工程 2、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M+23]+ = 366.3
[M-1]- = 342.1
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) d (ppm): 6.51 (d、J=15.9 Hz、1H、CH=C); 7.46 (d、J=15.8 Hz、1H、CH=C); 7.61 (t、4H、4xCHar); 7.75 (d、2H、2xCHar); 7.92 (d、2H、2xCHar); 8.43 (s、1H、CH=N); 11.95 (s、1H、NH)
13C-NMR (50 MHz、DMSO-d6) d (ppm): 120.8; 128.3; 128.6; 129.3; 130.3; 132.8; 135.8; 137.2; 137.3; 138.2; 148.1; 162.9; 163.5
【0096】
実施例 10:
(2E)-N-(2-アミノフェニル)-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]-アクリルアミド (ST3070) の調製
工程1: 中間体 C (2E)-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}メチル)フェニル]アクリル酸の合成は工程 1、実施例 3に記載のように行った。
【0097】
工程 2: 化合物 ST3070 (0.12 g、60 %収率)を、3 mLのDMF中に中間体 C (0.158 g、0.48 mmol)、PyBOP (0.276 g、0.53 mmol)、DIEA (252 μL、1.45 mmol)を溶解し、この溶液を0.5 mLのDMF中のo フェニレンジアミン (0.261 g、2.42 mmol)の溶液にゆっくりと添加して得た。反応が終了したら、DMFを減圧下で蒸留し、粗生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶出液 CH2Cl2/ジオキサン = 95/5)により精製した。
MS (ESI) m/z: [M+1]+ = 417.1
1H-NMR (200 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 4.98 (bs、2H、NH2)、5.36 (s、2H、CH2)、6.5-6.6 (t、J=7.3 Hz、1H、CHar)、6.7-6.8 (d、J=7.6 Hz、1H、CHar)、6.9-7.0 (m、2H、CH、CHar)7.3-7.4 (d、1H、J=7.7 Hz、CHar)、7.5-7.7 (d、J=15.8 Hz、1H、CH) 7.67 (m、6H、6xCHar)、8.2-8.3 (d、J=8.2 Hz、2H、2xCHar)、8.43 (s、1H、CH)、9.43 (bs、1H、NH)
13C-NMR (50 MHz、DMSO-d6) δ (ppm): 67.1、74.9、116.7、117.0、124.1、124.3、125.5、126.6、128.3、128.8、129.5、133.3、137.3、139.4、142.4、146.6、147.7、150.4、164.0
【0098】
実施例 11
(2E)-N-ヒドロキシ-3-(1H-インドール-5-イル)アクリルアミド (ST2880) の調製
この化合物の調製は一般スキーム IIにしたがって行った( Kato、K.; Ohkawa、S.; Terao、S.; Terashita、A. I.; Nishikawa、K. J. Med. Chem. 1985、28、287 およびPindur、U.; Pfeuffer、L. Monatsh. Chem. 1989、120、157も参照されたい)。
【0099】
工程 1. DCM (4 mL)中の1H-インドール-5-カルバルデヒド (0.217 g、1.5 mmol)およびメチル (トリフェニルホスホラニリデン)酢酸塩 (0.535 g. 1.6 mmol) の溶液をフラスコ中で還流下で一晩撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。溶出系としてDCM/ヘキサン 8:2の混合物を用いたシリカゲル カラム クロマトグラフィーによる精製により、0.291 g の メチル (2E)-3-(1H-インドール-5-イル)アクリレート (97%収率)を得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 200.2
[M+23]+ = 224.2
1H-NMR (200 MHz、CDCl3) δ(ppm): 6.46 (d、1H、CH=C、J = 15.8 Hz); 6.62 (m、1H、CHar); 7.26 (m、1H、CHar); 7.43 (m、2H、CHar); 7.83-7.93 (m、2H、CHar + CH=C); 8.41 (s、1H、NH)
13C-NMR (50 MHz、CDCl3) δ(ppm): 51.63; 103.61; 111.68; 114.73; 121.70; 122.50; 125.41; 126.64; 128.27; 137.14; 146.84; 168.24
【0100】
工程 2. MeOH/H2O 5:1(10 mL)中の工程 1から得た中間体 メチル (2E)-3-(1H-インドール-5-イル)アクリレート (255 mg、1.27 mmol)の溶液に、固体 LiOH (532 mg、12.7 mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶液をHCl 1Nで酸性にし (pH~1)、酢酸エチルで抽出した。有機層をH2O (x 3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させ、 0.24 gの中間体 E (2E)-3-(1H-インドール-5-イル)アクリル酸 (94 %収率)を得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 186.0
[M+23]+ = 210.1
【0101】
工程 3. フラスコ中で ヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.379 g mg、5.45 mmol) およびDBU (830 mg、5.45 mmol)をDMF (0.5 mL) に溶解し、その結果得られた溶液をDMF (2 mL)中の中間体 E (0.507 g、2.726 mmol)、HATU (1.04 g、2.726 mmol)およびDIEA (1.19 mL、6.81 mmol)の懸濁液に添加した。反応が終了したら、混合物を減圧下で濃縮し、残渣を分取RP-HPLC (カラム Lichrosorb RP-18、7μm; 溶出液: H2O/CH3CN 60:40; 流速= 10 mL/分) により精製して生成物 F ST2880 (0.165 g、30%)を得た。
MS (ESI) m/z: [M-H]- = 200.9
[M+23]+ = 224.9
1H-NMR (300 MHz、DMSO-d6) δ(ppm): 6.35 (d、1H、CH=C、J = 15.7 Hz); 6.46 (br、1H、CHar); 7.28-7.44 (m、3H、CHar); 7.53 (d、1H、CH=C、J = 15.7 Hz); 7.72 (s、1H、CHar); 11.25 (s、1H、NH)
13C-NMR (75.5 MHz、DMSO-d6) δ(ppm): 102.52; 112.66; 115.93; 120.68; 121.67; 126.61; 127.09; 128.58; 137.33; 141.02; 164.27
【0102】
実施例 12
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{3-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド ヒドロクロリド (ST3576) の調製
工程 1. ST3576の合成のための中間体 C (2E)-3-(3-{(E)-[(2-モルホリン-4-イルエトキシ)イミノ]メチル}-フェニル)アクリル酸 (1.232 g、98%) をトランス 3-ホルミル-ケイ皮酸 A (Y = CH=CH、R1 = H、R3 = H、0.650 g、3.69 mmol) およびB 2-(2-モルホリン-4-イル)-O-エチルヒドロキシルアミン ジヒドロクロリド (0.808 g、3.69 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M+1]- = 305.1
【0103】
トランス 3-ホルミル-ケイ皮酸 A (0.699 g、3.97 mmol、92 %収率)を3-ヨードベンズアルデヒド (1.000 g、4.31 mmol) とメチル アクリレート (775 μL、8.62 mmol)、NaHCO3 (0.905 g、10.75 mmol)、nBu4NCl (1.200 g、4.31 mmol)およびPd(OAc)2 (0.019、0.09 mmol)とのDMF (6 mL)中での反応により得たメチル (2E)-3-(3-ホルミルフェニル)アクリレートの塩基性加水分解 (EtOH/水 = 1/1中過剰のNaOH)により先に得た。
【0104】
工程 2. 化合物 ST3576 (0.931 mg、98 %収率)を5 mLの無水 THF中での中間体 C (1.400 g、4.12 mmol)とエチル クロロホルメート (472 μL、4.94 mmol)およびTEA (746 μL、5.35 mmol)との反応により得た(2E)-3-{3-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)-メチル]-フェニル}-N-トリチルオキシ-アクリルアミド (1.500 g、2.67 mmol、65 %収率)の酸加水分解の後に得た (Mai A.、Pezzi R. et all. J. Med. Chem. 2005、48、3344およびMai A.、Pezzi R. et all. J. Med. Chem. 2003、46、4826に記載の手順にしたがった)。
MS (ESI) m/z: [M+1]- = 320.1
[M-1]- = 318.1
1H-NMR (300 MHz、CD3OD、δ) : 3.30-3.22 (m、2H、CH2)、3.54-3.64 (m、4H、2xCH2)、3.85 (t、J=11.4 Hz、2H、CH2)、4.03-4.10 (m、2H、CH2)、4.54-4.90 (m、2H、CH2); 6.40-6.60 (d、J=15.6 Hz、1H、CH=C,); 7.40-7.50 (t、J=7.5 Hz、1H、CHar)、7.50-7.70 (m、4H、3xCHar + CH=C); 7.79 (s、1H、CHar); 8.27 (s、1H、CH=N)
13C-NMR (75.5 MHz、CD3OD、δ): 52.6、56.2; 63.7; 67.6; 118.3; 126.6; 128.2; 129.0; 129.3; 132.6; 135.7; 139.6; 150.6; 164.7
【0105】
実施例 13:
N-ヒドロキシ-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}メチル)フェニル] プロパンアミド (ST3330) の調製
工程 1. ST3330の合成のための中間体 C 3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]プロピオン酸(0.230 g、78%)を3-(4-ホルミルフェニル)プロピオン酸 A (Y = CH2-CH2、R1 = H、R3 = H 0.160 g、0.90 mmol) およびB O-(4-ニトロベンジル)ヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.202 g、0.99 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
MS (ESI) m/z: [M+23]- = 351.1
【0106】
3-(4-ホルミルフェニル)プロピオン酸 A (Y = CH2-CH2、R1 = H、R3 = H 0.160 g、0.90 mmol)を、DMF中での90℃で一晩の 4-ブロモベンズアルデヒド (0.160 mg、0.86 mmol)とアクロレイン ジエチル アセタール (396 μL、2.60 mmol)とのBu3N (412 μL、1.73 mmol)、Bu4NCl (0.240 g、0.86 mmol)およびPd(OAc)2 (0.006 g、0.03 mmol)の存在下での反応により得た粗生成物としてのエチル 3-(4-ホルミルフェニル)プロパノエートの塩基性加水分解 (1/1 水/THF 溶液中の過剰の LiOH) の後に得た(Battistuzzi G.、Cacchi S.、Fabrizi G.、Bernini R. Synlett、2003、8、1133に記載の手順にしたがった)。
【0107】
工程 2. 化合物 ST3330 (0.030 g、95 %収率)をDMF中での室温での中間体 C 3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]プロピオン酸 (0.050 g、0.15 mmol)とHATU (0.064 g、0.17 mmol)、TEA (43 μL、0.31 mmol)およびo-トリチルヒドロキシルアミン (0.048 g、0.17 mmol)との反応により得られた3-{4-[(4-ニトロ-ベンジルオキシイミノ)-メチル]-フェニル}-N-トリチルオキシ-プロピオンアミド (0.054 g、0.09 mmol、60 %収率)の酸加水分解の後に得た。
MS (ESI) m/z: [M+23]+ = 366.2
[M-1]- = 342.2
1H-NMR (300 MHz、DMSO-d6) δ(ppm): 2.23 (t、J=7.6 Hz、2H、CH2)、2.80 (t、J=7.6 Hz、2H、CH2)、5.29 (s、2H、CH2)、7.20-7.24 (d、J=7.94 Hz、2H、2xCHar)、7.47-7.50 (d、J=8.1 Hz、2H、2xCHar)、7.62-7.66 (d、J=8.7 Hz、2H、2xCHar)、8.20-8.24 (d、J=8.8 Hz、2H、2xCHar)、8.32 (s、1H、CH)、8.70 (bs、1H、NH)、10.30 (bs、1H、OH)
13C-NMR (75.5 MHz、DMSO-d6) δ(ppm): 168.7、150.6、147.6、146.6、144.2、130.1、129.4、129.3、127.7、124.2、74.6、34.2、31.4
【0108】
実施例 14:
(2E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド ヒドロクロリド (ST3573) の調製
工程1:中間体 C (2E)-3-(4-{(E)-[(2-モルホリン-4-イルエトキシ)イミノ]メチル}-フェニル)アクリル酸の合成は工程 1、実施例 7に記載のように行った。
【0109】
工程 2: (2E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド (0.740 g、57 %収率) を9 mLのCH2Cl2中の中間体 C (1.000 g、3.28 mmol)、HATU (1.370 g、3.61 mmol)、TEA (550 μL、3.90 mmol)の反応により得た;この溶液を1 mLのCH2Cl2中のo-フェニレンジアミン (0.370 g、3.45 mmol) の溶液にゆっくりと添加した。反応が終了したら、CH2Cl2 を減圧下で蒸留し、 粗生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶出液 CH2Cl2/CH3OH/n-ヘキサン/TEA =67/2/29/2)により精製した。
【0110】
MS (ESI) m/z: [M+1]+ = 394.9
1H-NMR (500 MHz、DMSO-d6、δ): 2.48 (m、4H、2xCH2)、2.64 (t、J=5.8 Hz、2H、CH2)、3.58 (t、J=5.0 Hz、4H、2xCH2)、4.26 (t、J=5.7 Hz、2H、CH2)、4.92 (bs、2H、NH2)、6.5-6.6 (t、J=8.1 Hz、1H、CHar)、6.7-6.8 (d、J=7.6 Hz、1H、CHar)、6.9-7.0 (d、J=15.7 Hz、1H、CH)、6.9-7.0 (t、J=8.1 Hz、1H、CHar)7.3-7.4 (d、1H、J=7.7 Hz、CHar)、7.5-7.6 (d、J=15.4 Hz、1H、CH)、7.6-7.7 (m、4H、4xCHar)、8.29 (s、1H、CH)、9.41 (s、1H、NH)
13C-NMR (126 MHz、DMSO-d6、δ): 54.3、57.6、66.9、72.2、116.7、117.0、124.0、124.2、125.4、126.5、128.1、128.8、133.7、137.0、139.5、142.3、149.0、164.0
【0111】
化合物 ST3573 (0.660 g、1.69 mmol、90 %収率)をジオキサン中のHCl 4.0 Mによる (2E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド (0.740 g、1.88 mmol)の酸性化の後に得た。
【0112】
実施例 15
(2E)-N-メルカプト-3-{4-[(4-ニトロ-ベンジルオキシイミノ)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド (ST3605) の調製
工程 1. 中間体 C (2E)-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]アクリル酸 (ST3075) の合成は工程 1、実施例 3に記載のように行った。
【0113】
工程 2. 化合物 (2E)-3-{4-[(4-ニトロ-ベンジルオキシイミノ)-メチル]-フェニル}-N-トリチルスルファニル-アクリルアミド (0.050 g、0.08 mmol、26 %収率)を中間体 C (2E)-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]アクリル酸 (ST3075、0.100 g、0.31 mmol) とSOCl2 (34 μL、0.46 mmol)、DIEA (236 μL、1.38 mmol)およびトリフェニルメタンスルフェンアミド (0.098 g、0.14 mmol) の無水 DCM 中の室温での反応により得た。
MS (ESI) m/z: [M+1]+ = 600.7
[M+23]+ = 622.1
[2M+1]+ = 1199.4
1H-NMR (300 MHz、DMSO-d6) δ(ppm): 5.32 (s、2H、CH2)、6.50-6.60 (d、J = 16.0 Hz、1H、CH=C,); 7.20-7.40 (m、18H、17xCHar + CH=C); 7.55-7.65 (d、J = 7.7 Hz、2H、2xCHar); 7.60-7.70 (d、J = 8.7 Hz、2H、2xCHar); 8.20-8.30 (d、J = 8.7 Hz、2H、2xCHar) 8.38 (s、1H、CHar); 8.96 (s、1H、NH)
13C-NMR (75.5 MHz、DMSO-d6) δ(ppm): 57.8、74.9、124.2、127.8、128.1、128.6、128.9、129.2; 129.4; 130.2; 133.4; 136.8; 140.5; 143.6; 146.5; 147.7; 150.3; 154.4
【0114】
化合物 ST3605 (0.006 g、20 %収率)を (2E)-3-{4-[(4-ニトロ-ベンジルオキシイミノ)-メチル]-フェニル}-N-トリチルスルファニル-アクリルアミドの非最適化脱保護の後に得た。
MS (ESI) m/z: [M-1]- = 356.2
【0115】
実施例 16:
N-ヒドロキシ-3-{4-[(E)-{[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}メチル]フェニル}-プロプ-2-インアミド (ST3618) の調製
ST3618 合成は一般スキーム Iにしたがってp-ホルミルフェニルプロピオル酸 Aから出発しての対応する 中間体 C (3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]プロピオル酸) の調製によって達成できる。この中間体はPd-触媒の存在下での4-ヨードベンズアルデヒドとプロピオル酸との反応により得ることが出来る。しかし収率が低いことおよびメチルエステルから出発しての次のヒドロキサメート基の形成のため、メチル 3-(4-ホルミルフェニル)プロピオレートを中間体として直接合成する方がよい(Eckert T. and Ipaktschi R. in Synt. Comm. 1998、28、327に記載の手順にしたがう)。
【0116】
工程 1. ST3618 の合成のためのメチル 3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]プロピオレート(0.325 g、96%)をメチル 3-(4-ホルミルフェニル)プロピオレート (0.180 g、1.00 mmol) およびB O-(4-ニトロベンジル)ヒドロキシルアミン ヒドロクロリド (0.202 g、1.00 mmol) から出発して工程 1、実施例 1に記載のようにして得た。
【0117】
メチル 3-(4-ホルミルフェニル)プロピオレート (0.460 g、2.43 mmol、80 %収率)をTHF中65℃でのK2CO3 (0.846 g、6.04 mmol)、CuI (0.022 g、0.12 mmol)およびPd(PPh3)2Cl2 (0.042 g、0.06 mmol) の存在下での4-ヨードベンズアルデヒド (0.700 mg、3.02 mmol)とメチルプロピオレート (1.013 g、12.06 mmol)との反応により得た。次いで12時間、THFを減圧下で蒸発させ、残渣をEt2O/H2Oで抽出した。粗生成物をシリカゲル カラム クロマトグラフィーにより精製した。
【0118】
工程 2. 化合物 ST3618 (0.007 g、60 %収率)をTHF中-78℃で2時間のメチル 3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]プロピオレート (0.150 g、0.44 mmol)とビス-(トリメチルシリル)-ナトリウムアミド THF 中1.0M (1.0 mL、0.44 mmol)、およびO-テトラヒドロピラニルヒドロキシルアミン (0.052 g、0.44 mmol)の反応により得た3-{4-[(4-ニトロ-ベンジルオキシイミノ)-メチル]-フェニル}-N-テトラヒドロピラニル-プロピオルアミド (0.150 g、0.44 mmol、35%収率)の酸加水分解の後に得た。
MS (ESI) m/z: [M+1]+ = 340.0
[M-1]- = 338.1
1H-NMR (500 MHz、CD3OD) δ(ppm): 5.35 (s、2H、CH2)、7.58-7.60 (d、J=8.5 Hz、2H、2xCHar)、7.64-7.69 (m、4H、4xCHar)、8.24-8.27 (d、J=8.5 Hz、2H、2xCHar)、8.29 (s、1H、CH)
13C-NMR (125.7 MHz、CD3OD) δ(ppm): 152.0、149.0、147.8、145.9、134.1、132.6、128.6、127.2、123.4、121.6、86.0、81.3、74.9
【0119】
略語の表:
AcCN アセトニトリル
AcOEt 酢酸エチル
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DIEA N,N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
MeOH メタノール
NMM N- メチルモルホリン
RP-HPLC 逆相-HPLC
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0120】
生物学的結果
細胞毒性研究
細胞増殖に対する化合物の効果を試験するために、NB4 ヒト前骨髄球性白血病、NCI-H460 非小細胞癌腫細胞およびHCT-116 ヒト結腸癌腫細胞を用いた。NB4およびNCI-H460 腫瘍細胞は10% ウシ胎児血清 (GIBCO)を含むRPMI 1640で培養し、HCT-116 腫瘍細胞は10% ウシ胎児血清 (GIBCO)を含むMcCoy’s 5Aで培養した。
【0121】
腫瘍細胞を96-ウェル組織培養プレート (Corning)におよそ10% 集密で播種し、少なくとも24時間付着させ回復させた。様々な濃度の薬剤を各ウェルに添加し、そのIC50 値(50%の細胞生存を阻害する濃度)を計算した。プレートを24時間37℃でインキュベートした。処理の最後に、NB4 腫瘍細胞については懸濁液中で、以下の手順を行った: 培地をプレートの1600 x g 10分間の遠心分離により除去し、上清を取り出した。250μl PBSを添加し、次いでプレートを1600 x gで10分間遠心分離し、上清を取り出した。10% FCSを含有する培地 RPMI 1640の200 μl/ウェルを添加し、プレートを37℃でさらに48時間インキュベートした。プレートを再び1600 x g で10分間遠心分離し、培地を除去し、200 μl PBSおよび50 μlの冷80%TCAを添加した。プレートを氷上で少なくとも1時間インキュベートした。TCA を除去し、プレートを3 時間洗浄して蒸留水に浸漬し、紙で40℃で5分間乾燥させた。次いで1% 酢酸中の200 μlの0.4% スルホローダミン Bを添加した。プレートを室温でさらに30分間インキュベートした。スルホローダミン B を除去し、プレートを洗浄し、1% 酢酸に3 回浸漬し、紙で40℃で5分間乾燥させた。次いで 200 μl Tris 10 mM を添加し、プレートを撹拌下で20分間維持した。生存細胞をMultiskan spectrofluorimeterにより540 nmでの吸光度により測定した。接着している腫瘍細胞については(NCI-H460およびHCT-116)、上記の手順を用い、ただし、処理の最後に、プレートを上清のリモーション(remotion)により洗浄し、PBSを 3 回添加し、遠心分離は行わなかった。またアッセイの最終日に、上清を遠心分離せずに除去した。
【0122】
死んだ細胞の量を対照培養と比較してのスルホローダミン B 結合のパーセンテージ低下として算出した。IC50 値 (50%の細胞生存を阻害する濃度) を「ALLFIT」プログラムを用いて算出した。表1において、NB4 腫瘍細胞に対して評価した細胞毒性は、いくつかの化合物 (ST2840、ST2986、ST2987、ST3049、ST2888)がもっとも強力であることを示した。というのはIC50 値の範囲が0.6 〜0.8 μMであったからである。分子 ST2984、ST3050、ST2880、ST3330、ST3576、次いでST2985およびST2983はわずかに効力が低かった(IC50 値は1.4 〜2.9 μMの範囲)。NCI-H460 腫瘍細胞の生存に対する効果については、すべての化合物は NB4 腫瘍細胞に対するよりも強力ではなかった (IC50は1.6〜7.7 μMの範囲)。この場合、わずかな細胞傷害性効果を示す分子は、ST2985、ST2983、ST3330、ST3576 およびST2880であった。HCT-116に対する上記化合物の細胞毒性は同程度であった(IC50=1.2-4.0 μM)。ST3070、ST3075およびST3076、ST3573に関しては、化合物はわずかな細胞生存に対する阻害作用を示した。というのはNB4、NCI-H460 およびHCT-116について計算された IC50は8.9 μM〜20 μMであったためである。
【0123】
表1. NB4、NCI-H460 および HCT-116 腫瘍細胞に対する種々の化合物の細胞毒性
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式 Iを有する化合物:
【化1】

[式 I]
[式中:
nは0または1;
- nが0である場合、Aは、一価の基であって以下からなる群から選択される: OH、NH-OG、下記の基:
【化2】

ここでGおよびG’は同じであるかまたは異なっており、H、グリコシルまたはアセチル;
- nが1である場合、Aは、以下からなる群から選択される二価の基: NH-S-S-NHおよびCH2-S-S-CH2;
Y は、以下から選択される基: HC=CH、FC=CF、FC=CH、CH=CF、CH2-CH2 および C≡C;
Rは、以下の基:
【化3】

ここでXはO、またはNH;
Rは、以下の基:
【化4】

Zは、以下からなる群から選択される:
・H;
・(C6-C12) アリールまたはニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシルまたはアミノで置換された(C6-C12) アリール;
・(C1-C4) アルキル、(C2-C4) アルケニル、(C2-C4) アルキニル;
・(C6-C12) アリール-(CH2)n'、ここでアリールはニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシルまたはアミノにより置換されている;ここでn’ = 0-3;
・(C6-C12) アリール-CO、ここでアリールは、ニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、アミノにより置換されている;および、
・(C3-C6) ヘテロシクリル-(C1-C4) アルキル、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つはO、S、NHにより置換されている;
R1は、以下からなる群から選択される:
・H;
・NH2;
・(C1-C4) アルキル、(C2-C4) アルケニル、(C2-C4) アルキニル;
・NH-(C2-C4) アルキニル;
・NO2;
・(C2-C4) アルキニル;
・ハロゲン;
・(C6-C12) アリール;
・(C6-C12) アリール-(C2-C4) アルキニレン;および、
・(C3-C6) ヘテロシクリル-(C2-C4) アルキニレン、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つはO、S、NHにより置換されている;
あるいは:
RおよびR1は、芳香族基と一緒になって、下記式を有する多環式基を形成する:
【化5】

R2 は、以下からなる群から選択される:
・H;
・(C6-C12) アリールまたはニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシルまたはアミノにより置換された(C6-C12) アリール;
・(C1-C4) アルキル、(C2-C4) アルケニル、(C2-C4) アルキニル;
・(C6-C12) アリール-(CH2)n''、ここでアリールはニトロ、ハロゲン、(C1-C4) アルコキシカルボニル、ヒドロキシルまたはアミノにより置換されている、ここでn’’ = 0-3;
・(C6-C12) アリール-CO、ここでアリールはニトロ、ハロゲン (C1-C4)アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、アミノにより置換されている;および、
・(C3-C6) ヘテロシクリル-(C1-C3) アルキレン、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つはO、S、NHにより置換されている;
R3は、以下からなる群から選択される:
・H;
・(C1-C4) アルキル、(C2-C4) アルケニル;
・(C1-C4) アルキル-NH;
・(C1-C4)-アルキル-(C3-C6)-ヘテロシクリレン、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つはO、S、NHにより置換されている;
・(C6-C12) アリール; および、
・(C3-C6) ヘテロアリール、ここでヘテロ環のCHの少なくとも1つはO、S、NHにより置換されている;
R4は、以下からなる群から選択される:
・H;
・(C1−C4) アルキル;
・(C6-C12) アリール;
・(C6-C12) アリール-(C1-C4) アルキニレン;
・(C2-C4) アルカノイル;および、
・-(C6-C12) アリール-CO;
R5 は、以下からなる群から選択される:
・H;
・直鎖状または分枝状 (C1-C4) アルキル;
・直鎖状または分枝状 (C2-C4) アルケニル; および、
・OR6、ここで、R6は、H、(C1-C4) アルキル、メシル、トシル、(C1-C4) アルカノイル]。
【請求項2】
AがOHまたはNHOGであり、ここでGがHである、請求項1の化合物。
【請求項3】
Yが基 HC=CHである、請求項1の化合物。
【請求項4】
R1、R3、R4 およびR5がHである、請求項1の化合物。
【請求項5】
R2が以下からなる群から選択される請求項1の化合物: H; -(C6-C12) アリール; -(C6-C12) アリール-(CH2)n、ここでアリールはニトロ、ハロゲン 、(C1-C4) アルコキシカルボニルにより置換されている; -(C6-C12) アリール--CO;および(C3-C6) ヘテロシクリル-(C1-C3) アルキレン、ここでヘテロ環のCH2の少なくとも1つはNHにより置換されている。
【請求項6】
nが2である、請求項1の化合物。
【請求項7】
以下からなる群から選択される請求項1の式(I)の化合物:
(2E)-N-ヒドロキシ-3-(4-{[(アリルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)アクリルアミド;
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{4-[(フェノキシイミノ)メチル]フェニル}アクリルアミド;
(2E)-N-ヒドロキシ-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]アクリルアミド;
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{4-[(ヒドロキシイミノ)メチル]フェニル}アクリルアミド;
(2E)-N-ヒドロキシ-3-[4-({[(ペンタフルオロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]-アクリルアミド;
(2E)-N-ヒドロキシ-3-[4-({[(4-メトキシカルボニルベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]-アクリルアミド;
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{4-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(2E)-3-(4-{[(ベンジルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)-N-ヒドロキシアクリルアミド;
(2E)-N-ヒドロキシ-3-(4-{[(4-クロロベンゾイル)ヒドラゾノ]-メチル}フェニル)アクリルアミド;
(2E)-N-(2-アミノフェニル)-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]-アクリルアミド;
(2E)-N-ヒドロキシ-3-(1H-インドール-5-イル)アクリルアミド;
(2E)-3-[4-((E)-{[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}メチル)フェニル]アクリル酸;
(2E)-3-(4-{[(ベンジルオキシ)イミノ]メチル}フェニル)アクリル酸;
(2E)-N-ヒドロキシ-3-{3-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド ヒドロクロリド;
N-ヒドロキシ-3-[4-({[(4-ニトロベンジル)オキシ]イミノ}-メチル)フェニル]プロパンアミド;
(2E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(2-モルホリン-4-イルエトキシイミノ)メチル]-フェニル}-アクリルアミド ヒドロクロリド; および、
(2E)-N-メルカプト-3-{4-[(4-ニトロ-ベンジルオキシイミノ)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド。
【請求項8】
医薬としての請求項 1〜19のいずれかの化合物。
【請求項9】
4-ホルミル-ケイ皮酸または3-(4-ホルミルフェニル)プロピオン酸誘導体とヒドロキシルアミン誘導体とを反応させることを含む、請求項 1〜7のいずれかの化合物の調製方法。
【請求項10】
抗腫瘍活性を有する医薬の調製のための請求項 1〜7のいずれかの化合物の使用。
【請求項11】
腫瘍症状の治療用医薬の調製のための請求項 1〜7のいずれかの化合物の使用、ここで、腫瘍はその治療に用いられた以前の抗腫瘍薬剤に対して薬剤耐性を示すものであり、ここで該式(I)の化合物が、該薬剤耐性腫瘍に対する化学増感作用を発揮する、使用。
【請求項12】
腫瘍が、肉腫、癌腫、カルチノイド、骨腫瘍、神経内分泌腫瘍、リンパ系白血病、急性前骨髄球性白血病、骨髄性白血病、単球性白血病、巨核球性白血病およびホジキン病からなる群から選択される請求項 10または11の使用。
【請求項13】
式(I)の化合物が1以上の既知の抗腫瘍薬と組み合わされる請求項 10または11の使用。
【請求項14】
既知の抗腫瘍薬がオールトランスレチノイン酸である請求項13の使用。
【請求項15】
活性成分として請求項 1〜7のいずれかの化合物を含み、少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項16】
腫瘍症状の治療のための請求項15の組成物。
【請求項17】
腫瘍症状の治療のための請求項15の組成物であって、腫瘍がその治療に用いられた以前の抗腫瘍薬剤に対して薬剤耐性を示し、ここで該式(I)の化合物が該薬剤耐性腫瘍に対する化学増感作用を発揮する、組成物。
【請求項18】
腫瘍症状が、肉腫、癌腫、カルチノイド、骨腫瘍、神経内分泌腫瘍、リンパ系白血病、急性前骨髄球性白血病、骨髄性白血病、単球性白血病、巨核芽球性白血病およびホジキン病からなる群から選択される請求項 16または17の組成物。
【請求項19】
式(I)の化合物が1以上の既知の抗腫瘍薬と組み合わせて投与される請求項 16または17の組成物。
【請求項20】
該既知の抗腫瘍薬が、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗チューブリン剤、インターカレート化合物、代謝拮抗薬、天然物、例えば、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、酵素、タキサン、および細胞分化促進化合物からなる群から選択される請求項19 の組成物。
【請求項21】
細胞分化促進抗腫瘍化合物がオールトランスレチノイン酸である請求項20の組成物。
【請求項22】
請求項 1〜7のいずれかの化合物と好適な賦形剤および/または希釈剤とを混合することを含む、請求項 15〜 21のいずれかの組成物の調製方法。
【請求項23】
治療上有効量の請求項 1〜7のいずれかの化合物を投与することを含む、請求項 10 〜 12のいずれかの疾患を患う哺乳類の治療方法。

【公表番号】特表2008−545772(P2008−545772A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515197(P2008−515197)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062790
【国際公開番号】WO2006/131482
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】