抗菌性シート
【課題】材料表面の抗菌効果を、材料自体を交換することなく簡易に維持する。
【解決手段】抗菌剤粒子を含有したシート材を材料表面あるいは積層する他のシート材に取り外し自在に接着させる構成とすることによって、材料自体を交換することなく、材料表面の抗菌効果を簡易に維持する。抗菌シートは、シート材を材料表面に交換自在に接着させる構成として粘着剤層を備え、この粘着剤層によって抗菌剤粒子を含む面を交換自在とし、抗菌効果が低下した面を除き、抗菌効果を奏する新たな面を接着させることによって、抗菌面の交換を容易とする。
【解決手段】抗菌剤粒子を含有したシート材を材料表面あるいは積層する他のシート材に取り外し自在に接着させる構成とすることによって、材料自体を交換することなく、材料表面の抗菌効果を簡易に維持する。抗菌シートは、シート材を材料表面に交換自在に接着させる構成として粘着剤層を備え、この粘着剤層によって抗菌剤粒子を含む面を交換自在とし、抗菌効果が低下した面を除き、抗菌効果を奏する新たな面を接着させることによって、抗菌面の交換を容易とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌処理を施した抗菌シートに関する。
【背景技術】
【0002】
材料の表面に抗菌処理を施して抗菌効果を持たせることが行われている。例えば、特許文献1には、無機質系化粧板の抗菌性を持たせる構成として、無機質系基板の最上層のトップコート層として、銀系無機抗菌剤粒子を電離放射線硬化樹脂塗料に無機系抗菌剤として添加したものを用いる構成が開示され、また、特許文献2にはカード用オーバーシートのスキン層として、共重合ポリエステル樹脂に対して抗菌剤を含有させた構成が開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、滑り止めパターンの印刷を施したシートにおいて、印刷層に抗菌剤を含ませる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4170407号(段落0006)
【特許文献2】特許第4142086号(段落0014)
【特許文献3】特許第3336727号(段落0008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
材料表面に抗菌処理を施した場合、材料表面の汚損や摩擦等によって、抗菌効果が経時的に低下するという問題があり、このような場合には、抗菌処理を施した新たな材料に交換する必要がある。
【0006】
材料全体を交換することは、材料を設けた設置箇所の条件によっては困難性を伴うと共に、費用の面でも嵩むことになる。
【0007】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、材料表面の抗菌効果を、材料自体を交換することなく簡易に維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、抗菌剤粒子を含有したシート材を材料表面あるいは積層する他のシート材に取り外し自在に接着させる構成とすることによって、材料自体を交換することなく、材料表面の抗菌効果を簡易に維持することができる。
【0009】
本発明の抗菌シートは、シート材を材料表面に交換自在に接着させる構成として粘着剤層を備え、この粘着剤層によって抗菌剤粒子を含む面を交換自在とし、抗菌効果が低下した面を除き、抗菌効果を奏する新たな面を接着させることによって、抗菌面の交換を容易とするものである。
【0010】
本発明の抗菌シートは、抗菌剤粒子のシートへの保持を2つの形態によって行うことができる。第1の形態は、シート状の基材の表面に抗菌剤粒子を配合した塗布材を塗布することによって抗菌剤粒子を保持させる形態であり、第2の形態は、抗菌剤粒子を配合した樹脂材によってシート状の基材を形成することによって抗菌剤粒子を保持させる形態である。
【0011】
本発明の抗菌シートの第1の形態は、シート状の基材と、この基材の一方の面に設けた抗菌剤配合層と、基材の他方の面に設けた粘着剤層とから構成される。
【0012】
抗菌剤配合層は、シート状の基材の一方の面上に、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂性塗料又は印刷インキを塗布又は印刷して形成する。この一方の面において、抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させることによって抗菌効果を奏させる。
【0013】
粘着剤層は基材の他方の面上に設ける。この粘着剤層によって抗菌剤配合層を有した基材を材料表面に接着させることができ、また、抗菌効果が低下した基材を剥がし、新たな基材を接着させることができる。基材は樹脂シート又はガラス基板を用いることができる。
【0014】
抗菌シートの表面を凹凸形状とすることによって、抗菌効果の他に、光学的特性および触感特性等の効果を向上させることができる。ここで、光学的特性として、抗菌シートを光透過性樹脂で形成し、表示画面上に貼り付けることによって、表示画面への背景の写り込み防止、反射光の防止、のぞき見防止の効果がある他、外観上の美観を高めることができる。また、手触りの感触を高める等の触感特性を向上させることができる。
【0015】
抗菌シートの表面に形成する凹凸形状は、抗菌剤配合層を凹凸形状とする形態の他に、基材表面を凹凸形状とする形態によって実現することができる。
【0016】
抗菌剤配合層を凹凸形状とする形態では、基材の一方の面上に形成される平面層と、平面層上の一部に散在して突出して形成される凸状層とを備えた凹凸形状によって抗菌剤配合層を形成する。この抗菌剤配合層は、平面層および凸状層から抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させることによって抗菌効果を奏することができる。
【0017】
また、基材表面を凹凸形状とする形態では、基材の前記一方の面を、平面と、平面に対して突出した凸部および/又は平面に対して窪んだ凹部とを備えた構成とする。抗菌剤配合層は、基材表面の平面、および凸部および/又は凹部の面上に、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂性塗料又はインキを塗布又は印刷し、抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させることによって抗菌効果を奏することができる。
【0018】
基板上に塗布される樹脂性塗料の塗布膜あるいは印刷インキの印刷層の膜厚は、抗菌剤粒子の平均粒子径よりも薄くすることによって、抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させる。
【0019】
樹脂性塗料又は印刷インキは、アクリル樹脂系又は熱硬化性樹脂系の塗料又は印刷インキとすることができる。
【0020】
本発明の第2の形態は、抗菌剤粒子を配合した樹脂材によってシート状の基材を構成し、これによって抗菌剤粒子を保持させる。
【0021】
第2の形態の抗菌シートは、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により形成され、一方の面から抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出し、他方の面上に粘着剤層を有する構成とすることができる。
【0022】
抗菌シートの表面の凹凸形状は、樹脂シートの一方の面において、平面と、平面に対して突出した凸部/又は平面に対して窪んだ凹部とによって構成することができる。平面、および凸部/又は凹部の面から抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させることによって、抗菌効果を奏する。
【0023】
第2の形態では、複数の抗菌剤粒子を含有した部分を粘着剤層で挟んだ積層構造とし、上層側の抗菌剤粒子を含有した部分を剥がすことによって下層側の抗菌剤粒子を含有した部分を最外層の面とすることができる。
【0024】
積層構造の一形態は、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により樹脂シートと粘着剤層とから成る積層を備える構成である。樹脂シートは、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出し、他方の面上に粘着剤層を備える。また、この形態において、樹脂シートに開口部を形成することによって凹凸形状とすることができる。
【0025】
積層構造の他の形態は、シート状の基材と、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した塗料又はインキを塗布又は印刷して形成され、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる抗菌剤配合層と、粘着剤層と、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により形成され、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる樹脂シートとを有し、これら抗菌剤配合層と粘着剤層と樹脂シートとを基材の一方の面上に順に積層し、基材の他方の面上に粘着剤層を設ける。基材の他方の面上に設けた粘着剤層は抗菌シートを材料表面に接着させるために用いる。
【0026】
本発明の抗菌シートに用いる抗菌剤粒子は、例えば、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子を用いることができる。
【0027】
本発明の抗菌シートの態様によれば、抗菌剤粒子を含有したシート材を粘着剤層によって材料表面あるいは積層する他のシート材に取り外し自在に接着させることによって、材料自体を交換することなく、材料表面の抗菌効果を簡易に維持することができる。
【0028】
また、本発明の抗菌シートの態様によれば、抗菌シートの表面に凹凸を形成して表面荒さを加えることによって、抗菌シートを表示画面上に貼り付ける際において、背景の表示画面上への写り込み防止、表示画面上の反射防止、表示画面に対する低い視野角度によるのぞき込み防止や外観上の美観等の光学的特性を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の抗菌シートの態様によれば、抗菌シートの表面に凹凸を形成して表面荒さを加えることによって、表面に指紋が付着し難くなるという効果や、手触りの感触特性を向上するという効果といった接触時の特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明の抗菌シートの態様によれば、抗菌剤粒子を含有したシート材を粘着剤層によって材料表面あるいは積層する他のシート材に取り外し自在に接着させることによって、材料自体を交換することなく、材料表面の抗菌効果を簡易に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の抗菌シートの第1の形態を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の抗菌シートの第1の形態の作成手順を説明するための断面図である。
【図3】本発明の抗菌シートの第1の形態の使用例を説明するための断面図である。
【図4】本発明の抗菌シートの第2の形態を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の抗菌シートの第2の形態の作成手順を説明するための断面図である。
【図6】本発明の抗菌シートの第2の形態の使用例を説明するための断面図である。
【図7】本発明の抗菌シートの第3の形態を説明するための図である。
【図8】本発明の抗菌シートの第4〜6の形態を説明するための図である。
【図9】本発明の抗菌シートの第7の形態を説明するための図である。
【図10】本発明の抗菌シートの第8の形態を説明するための図である。
【図11】本発明の抗菌シートの第9の形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
本発明の抗菌シートは、抗菌剤として、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子を含有し、この抗菌性の微細粒子を配合した樹脂性塗料を塗布することによって、又は印刷インキを印刷することによって簡易に抗菌性を持たせ、さらに、このシートの一面に粘着剤層を設けることで、材料表面あるいは他のシート面に対して取り外し自在に取り付けることで、抗菌性が損なわれたシートを取り去って、最外層部分に抗菌性を持たせることができる。
【0033】
以下、本発明の抗菌シートの形態例について図1〜図11を用いて説明する。図1〜3は本発明の抗菌シートの第1の形態を説明するための図であり、図4〜6は本発明の抗菌シートの第2の形態を説明するための図であり、図7は本発明の抗菌シートの第3の形態を説明するための図であり、図8は本発明の抗菌シートの第4〜6の形態を説明するための図であり、図9は本発明の抗菌シートの第7の形態を説明するための図であり、図10は本発明の抗菌シートの第8の形態を説明するための図であり、図11は本発明の抗菌シートの第9の形態を説明するための図である。
【0034】
第1の形態は抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材に塗布して抗菌面を形成する形態であり、第2の形態は抗菌剤粒子を基材に配合して抗菌剤配合シートを形成する形態であり、第3の形態は抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材上に層状に塗布して凹凸面を有する抗菌面を形成する形態であり、第4〜6の形態は凹凸形状の基材の表面に抗菌剤粒子を含有した塗布材を塗布して凹凸面を有する抗菌面を形成する形態であり、第7の形態は抗菌剤粒子を基材に配合してなる抗菌剤配合シートを積層する形態であり、第8の形態は抗菌剤粒子を基材に配合してなる抗菌剤配合シートを積層し、上層の抗菌剤配合シートに凹凸形状を形成する形態であり、第9の形態は抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材に塗布して形成した抗菌面上に、抗菌剤粒子を基材に配合して抗菌剤配合シートを積層する形態である。
【0035】
[第1の形態]
本発明の抗菌シートの第1の形態について図1〜図3を用いて説明する。図1は第1の形態を説明するための斜視図であり、図2は第1の形態の作成手順を説明するための断面図であり、図3は第1の形態の使用例を説明するための断面図である。
【0036】
図1において、本発明の抗菌シート1Aは、基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。
【0037】
基材2は、抗菌シート1Aに剛性を持たせるベースとなる部材であり、表示画面上に貼り付けて写り込み防止や反射防止等の光学的特性を向上させる場合には、光透過性樹脂シートやガラス基板を用いることができる。光透過性を必要としない場合には、基材2は非透過性樹脂シートを用いることができる。
【0038】
抗菌剤配合層3は、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を、基材2の表面に塗装あるいは印刷することで形成することができる。
【0039】
抗菌剤粒子は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子を用いることができる。粒子径は例えば、10μm程度である。
【0040】
本発明に用いる抗菌剤粒子の微細粒子は水酸化カルシウムを主成分するものとすることができる。水酸化カルシウムは、当業者に既知の方法によって得ることができる。例えば、炭酸カルシウムを焼成して酸化カルシウムとした後、水和させることによって得ることができる。
【0041】
炭酸カルシウム源は、動物性由来のカルシウムを使用することができ、例えば、ホタテ貝殻、アワビ貝殻、サザエ貝殻、ホッキ貝殻、ウニ貝殻の天然あるいは養殖の貝類の他、珊瑚殻等を原料に使用することができる。これらの内、貝殻組成が均一である点および供給量が多いなどの点から、ホタテ貝殻を使用することが好適である。
【0042】
これらの貝殻は、粉砕して殻等を原料に使用することができる。これらのうち、貝殻組成が均一である点及び供給量が多いなどの点から、ホタテ貝殻を使用することが好ましい。
【0043】
これらの貝殻は、粉砕して貝殻粉末(あるいは粒状物)とし、800℃〜1500℃で、より好ましくは850℃〜1200℃で、例えば炭酸ガスを導入しながら焼成する。焼成は空気中で行ってもよいし、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行なってもよい。焼成時間は焼成温度等によって適宜設定されるが、通常、雰囲気温度が所定の焼成温度に到達した後、10〜120分、好ましくは15〜90分である。こうした焼成処理により、不要な有機物を熱分解によって除去する。
【0044】
焼成後、水和させて水酸化カルシウム主体の微細粒子を得る。焼成又は水和の過程で、必要に応じてさらに粉砕を行い、最終的には平均粒径0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmの微粉末とする。
【0045】
本発明に使用する樹脂性塗料や印刷インキに対する抗菌性の微細粒子の配合量は、樹脂性塗料または印刷インキ100質量部に対して0.01〜25質量部であり、0.5〜3質量部がより好ましい。0.01質量部未満であると所望の抗菌効果が得られず、また25質量部を超えて配合することは、それ以上の量を配合しなくとも十分な抗菌効果を得られるので経済的でない。
【0046】
粘着剤層4はその粘着性によって基材2の一方の面に保護フィルム6を接着させておく。使用時には保護フィルム6を剥がすことによって粘着剤層4を露出させ、使用対象の材料表面に接着させる。この粘着剤として繰り返して使用することができるものを用いることによって、材料表面への貼り付け位置を変更することができる。
【0047】
保護フィルム6は、粘着剤層4による貼り付けが行われないように保護するものである。抗菌シート1Aの使用時に保護フィルム6を剥がすことによって粘着剤層4を露出させて、使用対象の材料表面に貼り付ける。
【0048】
次に、本発明の第1の形態の作成手順を図2に基づいて説明する。
基材2(図2(a))の片面に粘着剤を設けて粘着剤層4を形成し、この粘着剤層4の片面に粘着性によって保護フィルム6を取り付ける(図2(b))。樹脂性塗料または印刷インキに抗菌剤粒子10を配合して抗菌剤配合塗布材を形成し、基材2の面において前記した粘着剤層4および保護フィルム6を設けていない面にこの抗菌剤配合塗布材を塗布する。抗菌剤配合塗布材の塗布は、樹脂性塗料の塗装あるいは印刷インキの印刷によって行うことができる。
【0049】
塗布の厚さは抗菌剤粒子10の平均粒子よりも薄くなるように塗布量を制御する。この厚さとすることによって抗菌剤粒子10の少なくとも一部を露出させることができ、抗菌効果を奏することができる(図2(c))。
【0050】
次に、本発明の第1の形態の使用例を図3に基づいて説明する。
抗菌シート1A(図3(a))の保護フィルム6を剥がして粘着剤層4を露出させ(図3(b))、この粘着剤層4を取り付け対象20の材料表面に粘着性を用いて貼り付ける(図3(c))。貼り付けた後、最上層の保護フィルム5を剥がして、抗菌剤配合層3を露出させる。これによって、材料表面は抗菌剤配合層3で覆われることになる。
【0051】
抗菌剤配合層3が破損する等によって抗菌性が低下した場合には、粘着剤層4を材料表面から剥がすことによって抗菌シート1Aを取り外し、新たな抗菌シートを取り付ける。
【0052】
[第2の形態]
本発明の抗菌シートの第2の形態について図4〜図6を用いて説明する。図4は第2の形態を説明するための斜視図であり、図5は第2の形態の作成手順を説明するための断面図であり、図6は第2の形態の使用例を説明するための断面図である。
【0053】
図4において、本発明の抗菌シート1Bは、抗菌剤配合シート12と、この抗菌剤配合シート12を覆う保護フィルム5と、抗菌剤配合シート12において前記した保護フィルム5と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。
【0054】
抗菌剤配合シート12は、樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合し、所定の厚さとすることでシートを作成する。抗菌剤配合シート12は、第1の形態の基材2のベース材としての機能と、抗菌剤配合層3の抗菌作用を奏する機能の2つの機能を持つものであり、所定の厚さは、ベース材としての剛性の機能を有するに充分な厚さであり、かつ、抗菌作用を奏するように抗菌剤粒子10の一部が露出する程度の厚さに定められる。
【0055】
また、抗菌剤配合シート12を構成する原材料は、表示画面上に貼り付けて写り込み防止や反射防止等の光学的特性を向上させる場合には光透過性樹脂を用いることができ、光透過性を必要としない場合には非透過性樹脂を用いることができる。
【0056】
抗菌剤粒子は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子を用いることができる。粒子径は例えば、10μm程度である。抗菌剤粒子は、第1の形態と同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
【0057】
粘着剤層4はその粘着性によって基材2の一方の面に保護フィルム6を接着させておく。使用時には保護フィルム6を剥がすことによって粘着剤層4を露出させ、使用対象の材料表面に接着させる。この粘着剤として繰り返して使用することができるものを用いることによって、材料表面への貼り付け位置を変更することができる。
【0058】
保護フィルム6は、粘着剤層4による貼り付けが行われないように保護するものである。抗菌シート1Bの使用時に保護フィルム6を剥がすことによって粘着剤層4を露出させて、使用対象の材料表面に貼り付ける。
【0059】
次に、本発明の第2の形態の作成手順を図5に基づいて説明する。
【0060】
樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合したものを用いて所定の厚さのシートとすることで抗菌剤配合シート12を形成する。このシートの形成において、配合した抗菌剤粒子10はシート内に分散することによって一部が露出する(図5(a))。
【0061】
抗菌剤配合シート12の片面に保護フィルム5を貼り付け、抗菌剤配合シート12の他方の面に粘着剤を設けて粘着剤層4を形成し(図5(b))、この粘着剤層4の片面に粘着性によって保護フィルム6を取り付ける(図5(c))。
【0062】
次に、本発明の第2の形態の使用例を図6に基づいて説明する。
抗菌シート1B(図6(a))の保護フィルム6を剥がして粘着剤層4を露出させ(図6(b))、この粘着剤層4を取り付け対象20の材料表面に粘着性を用いて貼り付ける(図6(c))。貼り付けた後、最上層の保護フィルム5を剥がして、抗菌剤配合シート12を露出させる。これによって、材料表面は抗菌剤配合シート12で覆われることになる。
【0063】
抗菌剤配合シート12が破損する等によって抗菌性が低下した場合には、粘着剤層4を材料表面から剥がすことによって抗菌シート1Bを取り外し、新たな抗菌シートを取り付ける。
【0064】
[第3の形態]
本発明の抗菌シートの第3の形態について図7を用いて説明する。図7(a)は第3の形態を説明するための斜視図であり、図7(b)は第3の形態を説明するための断面図である。また、図7(c),(d)は第3の形態の別の例を説明するための断面図である。
【0065】
第3の形態は、第1の形態において抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材上に層状に塗布して凹凸面を有する抗菌面を形成する形態である。
【0066】
図7(a),(b)において、本発明の抗菌シート1Cは、基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。なお、図7では保護フィルム5は省略している。
【0067】
第3の形態の抗菌シート1Cは、抗菌剤配合層3の構成の他は第1の形態の抗菌シート1Aとほぼ同様とすることができるため、以下では抗菌剤配合層3の構成について説明し、共通する基材2、粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0068】
抗菌剤配合層3は、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を、基材2の表面に塗装あるいは印刷することで平面状部分を形成し、さらにこの平面状部分の上部に凸部8aを散在させて形成する。凸部8aは、抗菌剤配合材を平面状部の表面に塗装や印刷、あるいは滴下させることで形成することができる。この凸部8aは、抗菌シート1Dの表面に盛り上がり部3aを形成する。
【0069】
この凸部8aと、凸部8aで覆われていない平面状部には、抗菌剤粒子の一部が露出しており、これによって抗菌効果を奏することができる。また、凸部8aは、写り込み防止や反射防止やのぞき込み防止等の光学的特性や、滑り止めや感触等の接触による特性を向上させることができる。
【0070】
図7(c),(d)に示す例において、本発明の抗菌シート1Cは、基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。
【0071】
基材2に表面に、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材をドット印刷等によって盛り上げて点在させて凸部8a,8bを形成する。さらに、この凸部8a,8cおよび基材2の表面に、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を塗布して抗菌剤配合層3を形成する。抗菌剤配合層3には、凸部8a,8cによって盛り上がり部3aが形成される。
【0072】
図7(c)に示す凸部8aは、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材により形成され、図7(d)に示す凸部8cは樹脂性塗料や印刷インキの塗布材により形成される。
【0073】
図7(c)に示す構成によれば、凸部8aを形成する抗菌剤配合材には抗菌剤粒子10を配合されているため、抗菌剤配合層3の盛り上がり部3aが損傷した場合に、下部の抗菌剤配合材が露出するため、抗菌性を維持させることができる。
【0074】
また、図7(d)に示す構成によれば、凸部8cを形成する塗布材は抗菌剤粒子10を含まないため、抗菌剤粒子の使用量を低減させることができる。
【0075】
[第4〜6の形態]
本発明の抗菌シートの第4〜6の形態について図8を用いて説明する。図8(a)は第4の形態を説明するための断面図であり、図8(b)は第5の形態を説明するための断面図であり、図8(c)は第6の形態を説明するための断面図である。
【0076】
第4〜6の形態は、第1の形態において抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材に、凸状形状、凹状形状、あるいは凹凸形状を形成し、この凸面上や凹面上、および平面上に抗菌剤粒子を含む塗装材を塗布して凹凸面を有する抗菌面を形成する形態である。
【0077】
図8(a)において、本発明の抗菌シート1Dは、凸部8aが形成された基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。なお、図7(a)では保護フィルム5は省略している。
【0078】
図8(b)において、本発明の抗菌シート1Eは、凹部8bが形成された基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。なお、図8(b)では保護フィルム5は省略している。
【0079】
図8(c)において、本発明の抗菌シート1Fは、凸部8aおよび凹部8bが形成された基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。なお、図8(c)では保護フィルム5は省略している。
【0080】
第4〜6の形態の抗菌シート1D〜1Fは、基材2および抗菌剤配合層3の構成の他は第1の形態の抗菌シート1Aとほぼ同様とすることができるため、以下では基材2および抗菌剤配合層3の構成について説明し、共通する粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0081】
第4〜6の形態の基材2は凸部8aおよび/又は凹部8bを有する。第4の形態の抗菌シート1Dは、基材2上の凸部8aおよび平面部の上層表面部分に樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を塗装あるいは印刷する。
【0082】
第5の形態の抗菌シート1Eは、基材2上の凹部8bおよび平面部の上層表面部分に樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を塗装あるいは印刷する。
【0083】
第6の形態の抗菌シート1Fは、基材2上の凸部8aおよび凹部8bの上層表面部分に樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を塗装あるいは印刷する。また、凸部8aおよび凹部8bの側面部分に抗菌剤配合材を塗装あるいは印刷してもよい。
【0084】
凸部8a、凹部8bおよび平面部には、抗菌剤粒子の一部が露出しており、これによって抗菌効果を奏することができる。また、凸部8aおよび凹部8bは、写り込み防止や反射防止やのぞき込み防止等の光学的特性や、滑り止めや感触等の接触による特性を向上させることができる。
【0085】
[第7の形態]
本発明の抗菌シートの第7の形態について図9を用いて説明する。図9(a)は第7の形態を説明するための斜視図であり、図9(b),(c)は第7の形態を説明するための断面図である。
【0086】
第7の形態は、抗菌剤粒子を基材に配合してなる抗菌剤配合シートを積層する形態である。
【0087】
図9において、本発明の第7の形態の抗菌シート1Gは、抗菌剤配合シート12Aと下層部分に設けられた粘着剤層4Aとからなる積層部分と、同様の構成からなる抗菌剤配合シート12Bと下層部分に設けられた粘着剤層4Bとからなる積層部分の2つの積層部分を重ね合わせた積層構造とし、粘着剤層4Aを覆う保護フィルム6を備える。なお、図9では最上部を覆う保護フィルム5は省略している。
【0088】
抗菌剤配合シート12A,12Bは、樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合し、所定の厚さとすることでシートを作成する。抗菌剤配合シート12A,12Bは、第1の形態の基材2のベース材としての機能と、抗菌剤配合層3の抗菌作用を奏する機能の2つの機能を持つものであり、所定の厚さは、ベース材としての剛性の機能を有するに充分な厚さであり、かつ、抗菌作用を奏するように抗菌剤粒子10の一部が露出する程度の厚さに定められる。
【0089】
第7の形態の抗菌シート1Gは、抗菌剤配合シート12A,12Bと粘着剤層4A,4Bの積層構造の他は第2の形態の抗菌シート1Bとほぼ同様とすることができるため、以下では積層構造の構成について説明し、共通する粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0090】
抗菌シート1Gの積層構造は、図9(b)の断面図に示す様に、抗菌剤配合シート12Aと粘着剤層4Aの積層体の上に抗菌剤配合シート12Bと粘着剤層4Bの積層体を重ね合わせることによって形成される。
【0091】
この構成によれば、最上部の抗菌剤配合シート12Bを剥がすことによって、図9(c)の断面図に示す様に、下層にある抗菌剤配合シート12Aを露出させることができる。したがって、抗菌剤配合シート12Bが破損等によって抗菌効果が低下した場合であっても、この抗菌剤配合シート12Bを取り除くことによって、抗菌剤配合シート12Aの外表面を露出させて抗菌効果を復活させることができる。
【0092】
[第8の形態]
本発明の抗菌シートの第8の形態について図10を用いて説明する。図10(a)は第8の形態を説明するための斜視図であり、図10(b),(c)は第8の形態を説明するための断面図である。
【0093】
第8の形態は、第7の形態の抗菌剤粒子を基材に配合してなる抗菌剤配合シートを積層する形態において、凹凸形状を備える形態である。
【0094】
図10において、本発明の第8の形態の抗菌シート1Hは、抗菌剤配合シート12Aと下層部分に設けられた粘着剤層4Aとからなる積層部分と、同様の構成からなる抗菌剤配合シート12Bと下層部分に設けられた粘着剤層4Bとからなる積層部分の2つの積層部分を重ね合わせた積層構造とし、粘着剤層4Aを覆う保護フィルム6を備え、抗菌剤配合シート12Bと粘着剤層4Bには同一位置に開口部12aおよび開口部4aが形成されている。なお、図10では最上部を覆う保護フィルム5は省略している。
【0095】
抗菌剤配合シート12A,12Bは、樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合し、所定の厚さとすることでシートを作成する。抗菌剤配合シート12A,12Bは、第1の形態の基材2のベース材としての機能と、抗菌剤配合層3の抗菌作用を奏する機能の2つの機能を持つものであり、所定の厚さは、ベース材としての剛性の機能を有するに充分な厚さであり、かつ、抗菌作用を奏するように抗菌剤粒子10の一部が露出する程度の厚さに定められる。
【0096】
第8の形態の抗菌シート1Hは、抗菌剤配合シート12Aと粘着剤層4Aの積層構造の他は第7の形態の抗菌シート1Gとほぼ同様とすることができるため、以下では相違する積層構造の構成について説明し、共通する粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0097】
抗菌シート1Hの積層構造は、図10(b)の断面図に示す様に、抗菌剤配合シート12Aと粘着剤層4Aの積層体の上に抗菌剤配合シート12Bと粘着剤層4Bの積層体を重ね合わせることによって形成される。
【0098】
抗菌剤配合シート12Bと粘着剤層4Bの積層体には開口部が形成されているため、この開口部の段差によって凹凸形状が形成される。
【0099】
凹凸形状は、写り込み防止や反射防止やのぞき込み防止等の光学的特性や、滑り止めや感触等の接触による特性を向上させることができる。
【0100】
この構成によれば、最上部の抗菌剤配合シート12Bを剥がすことによって、下層にある抗菌剤配合シート12Aを露出させることができる。したがって、抗菌剤配合シート12Bが破損等によって抗菌効果が低下した場合であっても、この抗菌剤配合シート12Bを取り除くことによって、抗菌剤配合シート12Aの外表面を露出させて抗菌効果を復活させることができる。
【0101】
[第9の形態]
本発明の抗菌シートの第9の形態について図11を用いて説明する。図11は第9の形態を説明するための斜視図であり、図11(b),(c)は第9の形態を説明するための断面図である。
【0102】
第9の形態は抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材に塗布して形成した抗菌面上に、抗菌剤粒子を基材に配合して抗菌剤配合シートを積層する形態である。
【0103】
図11において、本発明の第9の形態の抗菌シート1Iは、基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3からなる積層部分と、抗菌剤配合シート12と下層部分に設けられた粘着剤層4とからなる積層部分との2つの積層部分を重ね合わせた積層構造とし、粘着剤層4を覆う保護フィルム6を備える。なお、図11では最上部を覆う保護フィルム5は省略している。
【0104】
抗菌剤配合シート12は、樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合し、所定の厚さとすることでシートを作成する。
【0105】
第9の形態の抗菌シート1Iは、2つの積層部分からなる構成であって、各積層部分の構成は前記形態で説明した構成とほぼ同様とすることができるため、以下では積層構造の構成について説明し、共通する粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0106】
抗菌シート1Iの積層構造は、図11(b)の断面図に示す様に、基材2と、この基材2上に設けられた抗菌剤配合層3の積層体の上に、抗菌剤配合シート12と粘着剤層4の積層体を重ね合わせることによって形成される。
【0107】
この構成によれば、最上部の抗菌剤配合シート12を剥がすことによって、図11(c)の断面図に示す様に、下層にある抗菌剤配合層3を露出させることができる。したがって、抗菌剤配合シート12が破損等によって抗菌効果が低下した場合であっても、この抗菌剤配合シート12を取り除くことによって、抗菌剤配合層3の外表面を露出させて抗菌効果を復活させることができる。
【0108】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の抗菌シートは、取り付け対象である材料表面は表示画面に限らず、他の材料表面に貼り付けることができる。
【符号の説明】
【0110】
1A-1I 抗菌シート
2 基材
3 抗菌剤配合層
3a 盛り上がり部
4,4A,4B 粘着剤層
4a 開口部
5 保護フィルム
6 保護フィルム
8a,8c 凸部
8b 凹部
10 抗菌剤粒子
12,12A,12B 抗菌剤配合シート
12a 開口部
20 取り付け対象
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌処理を施した抗菌シートに関する。
【背景技術】
【0002】
材料の表面に抗菌処理を施して抗菌効果を持たせることが行われている。例えば、特許文献1には、無機質系化粧板の抗菌性を持たせる構成として、無機質系基板の最上層のトップコート層として、銀系無機抗菌剤粒子を電離放射線硬化樹脂塗料に無機系抗菌剤として添加したものを用いる構成が開示され、また、特許文献2にはカード用オーバーシートのスキン層として、共重合ポリエステル樹脂に対して抗菌剤を含有させた構成が開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、滑り止めパターンの印刷を施したシートにおいて、印刷層に抗菌剤を含ませる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4170407号(段落0006)
【特許文献2】特許第4142086号(段落0014)
【特許文献3】特許第3336727号(段落0008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
材料表面に抗菌処理を施した場合、材料表面の汚損や摩擦等によって、抗菌効果が経時的に低下するという問題があり、このような場合には、抗菌処理を施した新たな材料に交換する必要がある。
【0006】
材料全体を交換することは、材料を設けた設置箇所の条件によっては困難性を伴うと共に、費用の面でも嵩むことになる。
【0007】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、材料表面の抗菌効果を、材料自体を交換することなく簡易に維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、抗菌剤粒子を含有したシート材を材料表面あるいは積層する他のシート材に取り外し自在に接着させる構成とすることによって、材料自体を交換することなく、材料表面の抗菌効果を簡易に維持することができる。
【0009】
本発明の抗菌シートは、シート材を材料表面に交換自在に接着させる構成として粘着剤層を備え、この粘着剤層によって抗菌剤粒子を含む面を交換自在とし、抗菌効果が低下した面を除き、抗菌効果を奏する新たな面を接着させることによって、抗菌面の交換を容易とするものである。
【0010】
本発明の抗菌シートは、抗菌剤粒子のシートへの保持を2つの形態によって行うことができる。第1の形態は、シート状の基材の表面に抗菌剤粒子を配合した塗布材を塗布することによって抗菌剤粒子を保持させる形態であり、第2の形態は、抗菌剤粒子を配合した樹脂材によってシート状の基材を形成することによって抗菌剤粒子を保持させる形態である。
【0011】
本発明の抗菌シートの第1の形態は、シート状の基材と、この基材の一方の面に設けた抗菌剤配合層と、基材の他方の面に設けた粘着剤層とから構成される。
【0012】
抗菌剤配合層は、シート状の基材の一方の面上に、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂性塗料又は印刷インキを塗布又は印刷して形成する。この一方の面において、抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させることによって抗菌効果を奏させる。
【0013】
粘着剤層は基材の他方の面上に設ける。この粘着剤層によって抗菌剤配合層を有した基材を材料表面に接着させることができ、また、抗菌効果が低下した基材を剥がし、新たな基材を接着させることができる。基材は樹脂シート又はガラス基板を用いることができる。
【0014】
抗菌シートの表面を凹凸形状とすることによって、抗菌効果の他に、光学的特性および触感特性等の効果を向上させることができる。ここで、光学的特性として、抗菌シートを光透過性樹脂で形成し、表示画面上に貼り付けることによって、表示画面への背景の写り込み防止、反射光の防止、のぞき見防止の効果がある他、外観上の美観を高めることができる。また、手触りの感触を高める等の触感特性を向上させることができる。
【0015】
抗菌シートの表面に形成する凹凸形状は、抗菌剤配合層を凹凸形状とする形態の他に、基材表面を凹凸形状とする形態によって実現することができる。
【0016】
抗菌剤配合層を凹凸形状とする形態では、基材の一方の面上に形成される平面層と、平面層上の一部に散在して突出して形成される凸状層とを備えた凹凸形状によって抗菌剤配合層を形成する。この抗菌剤配合層は、平面層および凸状層から抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させることによって抗菌効果を奏することができる。
【0017】
また、基材表面を凹凸形状とする形態では、基材の前記一方の面を、平面と、平面に対して突出した凸部および/又は平面に対して窪んだ凹部とを備えた構成とする。抗菌剤配合層は、基材表面の平面、および凸部および/又は凹部の面上に、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂性塗料又はインキを塗布又は印刷し、抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させることによって抗菌効果を奏することができる。
【0018】
基板上に塗布される樹脂性塗料の塗布膜あるいは印刷インキの印刷層の膜厚は、抗菌剤粒子の平均粒子径よりも薄くすることによって、抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させる。
【0019】
樹脂性塗料又は印刷インキは、アクリル樹脂系又は熱硬化性樹脂系の塗料又は印刷インキとすることができる。
【0020】
本発明の第2の形態は、抗菌剤粒子を配合した樹脂材によってシート状の基材を構成し、これによって抗菌剤粒子を保持させる。
【0021】
第2の形態の抗菌シートは、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により形成され、一方の面から抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出し、他方の面上に粘着剤層を有する構成とすることができる。
【0022】
抗菌シートの表面の凹凸形状は、樹脂シートの一方の面において、平面と、平面に対して突出した凸部/又は平面に対して窪んだ凹部とによって構成することができる。平面、および凸部/又は凹部の面から抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させることによって、抗菌効果を奏する。
【0023】
第2の形態では、複数の抗菌剤粒子を含有した部分を粘着剤層で挟んだ積層構造とし、上層側の抗菌剤粒子を含有した部分を剥がすことによって下層側の抗菌剤粒子を含有した部分を最外層の面とすることができる。
【0024】
積層構造の一形態は、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により樹脂シートと粘着剤層とから成る積層を備える構成である。樹脂シートは、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出し、他方の面上に粘着剤層を備える。また、この形態において、樹脂シートに開口部を形成することによって凹凸形状とすることができる。
【0025】
積層構造の他の形態は、シート状の基材と、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した塗料又はインキを塗布又は印刷して形成され、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる抗菌剤配合層と、粘着剤層と、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により形成され、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる樹脂シートとを有し、これら抗菌剤配合層と粘着剤層と樹脂シートとを基材の一方の面上に順に積層し、基材の他方の面上に粘着剤層を設ける。基材の他方の面上に設けた粘着剤層は抗菌シートを材料表面に接着させるために用いる。
【0026】
本発明の抗菌シートに用いる抗菌剤粒子は、例えば、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子を用いることができる。
【0027】
本発明の抗菌シートの態様によれば、抗菌剤粒子を含有したシート材を粘着剤層によって材料表面あるいは積層する他のシート材に取り外し自在に接着させることによって、材料自体を交換することなく、材料表面の抗菌効果を簡易に維持することができる。
【0028】
また、本発明の抗菌シートの態様によれば、抗菌シートの表面に凹凸を形成して表面荒さを加えることによって、抗菌シートを表示画面上に貼り付ける際において、背景の表示画面上への写り込み防止、表示画面上の反射防止、表示画面に対する低い視野角度によるのぞき込み防止や外観上の美観等の光学的特性を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の抗菌シートの態様によれば、抗菌シートの表面に凹凸を形成して表面荒さを加えることによって、表面に指紋が付着し難くなるという効果や、手触りの感触特性を向上するという効果といった接触時の特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明の抗菌シートの態様によれば、抗菌剤粒子を含有したシート材を粘着剤層によって材料表面あるいは積層する他のシート材に取り外し自在に接着させることによって、材料自体を交換することなく、材料表面の抗菌効果を簡易に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の抗菌シートの第1の形態を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の抗菌シートの第1の形態の作成手順を説明するための断面図である。
【図3】本発明の抗菌シートの第1の形態の使用例を説明するための断面図である。
【図4】本発明の抗菌シートの第2の形態を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の抗菌シートの第2の形態の作成手順を説明するための断面図である。
【図6】本発明の抗菌シートの第2の形態の使用例を説明するための断面図である。
【図7】本発明の抗菌シートの第3の形態を説明するための図である。
【図8】本発明の抗菌シートの第4〜6の形態を説明するための図である。
【図9】本発明の抗菌シートの第7の形態を説明するための図である。
【図10】本発明の抗菌シートの第8の形態を説明するための図である。
【図11】本発明の抗菌シートの第9の形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
本発明の抗菌シートは、抗菌剤として、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子を含有し、この抗菌性の微細粒子を配合した樹脂性塗料を塗布することによって、又は印刷インキを印刷することによって簡易に抗菌性を持たせ、さらに、このシートの一面に粘着剤層を設けることで、材料表面あるいは他のシート面に対して取り外し自在に取り付けることで、抗菌性が損なわれたシートを取り去って、最外層部分に抗菌性を持たせることができる。
【0033】
以下、本発明の抗菌シートの形態例について図1〜図11を用いて説明する。図1〜3は本発明の抗菌シートの第1の形態を説明するための図であり、図4〜6は本発明の抗菌シートの第2の形態を説明するための図であり、図7は本発明の抗菌シートの第3の形態を説明するための図であり、図8は本発明の抗菌シートの第4〜6の形態を説明するための図であり、図9は本発明の抗菌シートの第7の形態を説明するための図であり、図10は本発明の抗菌シートの第8の形態を説明するための図であり、図11は本発明の抗菌シートの第9の形態を説明するための図である。
【0034】
第1の形態は抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材に塗布して抗菌面を形成する形態であり、第2の形態は抗菌剤粒子を基材に配合して抗菌剤配合シートを形成する形態であり、第3の形態は抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材上に層状に塗布して凹凸面を有する抗菌面を形成する形態であり、第4〜6の形態は凹凸形状の基材の表面に抗菌剤粒子を含有した塗布材を塗布して凹凸面を有する抗菌面を形成する形態であり、第7の形態は抗菌剤粒子を基材に配合してなる抗菌剤配合シートを積層する形態であり、第8の形態は抗菌剤粒子を基材に配合してなる抗菌剤配合シートを積層し、上層の抗菌剤配合シートに凹凸形状を形成する形態であり、第9の形態は抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材に塗布して形成した抗菌面上に、抗菌剤粒子を基材に配合して抗菌剤配合シートを積層する形態である。
【0035】
[第1の形態]
本発明の抗菌シートの第1の形態について図1〜図3を用いて説明する。図1は第1の形態を説明するための斜視図であり、図2は第1の形態の作成手順を説明するための断面図であり、図3は第1の形態の使用例を説明するための断面図である。
【0036】
図1において、本発明の抗菌シート1Aは、基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。
【0037】
基材2は、抗菌シート1Aに剛性を持たせるベースとなる部材であり、表示画面上に貼り付けて写り込み防止や反射防止等の光学的特性を向上させる場合には、光透過性樹脂シートやガラス基板を用いることができる。光透過性を必要としない場合には、基材2は非透過性樹脂シートを用いることができる。
【0038】
抗菌剤配合層3は、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を、基材2の表面に塗装あるいは印刷することで形成することができる。
【0039】
抗菌剤粒子は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子を用いることができる。粒子径は例えば、10μm程度である。
【0040】
本発明に用いる抗菌剤粒子の微細粒子は水酸化カルシウムを主成分するものとすることができる。水酸化カルシウムは、当業者に既知の方法によって得ることができる。例えば、炭酸カルシウムを焼成して酸化カルシウムとした後、水和させることによって得ることができる。
【0041】
炭酸カルシウム源は、動物性由来のカルシウムを使用することができ、例えば、ホタテ貝殻、アワビ貝殻、サザエ貝殻、ホッキ貝殻、ウニ貝殻の天然あるいは養殖の貝類の他、珊瑚殻等を原料に使用することができる。これらの内、貝殻組成が均一である点および供給量が多いなどの点から、ホタテ貝殻を使用することが好適である。
【0042】
これらの貝殻は、粉砕して殻等を原料に使用することができる。これらのうち、貝殻組成が均一である点及び供給量が多いなどの点から、ホタテ貝殻を使用することが好ましい。
【0043】
これらの貝殻は、粉砕して貝殻粉末(あるいは粒状物)とし、800℃〜1500℃で、より好ましくは850℃〜1200℃で、例えば炭酸ガスを導入しながら焼成する。焼成は空気中で行ってもよいし、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行なってもよい。焼成時間は焼成温度等によって適宜設定されるが、通常、雰囲気温度が所定の焼成温度に到達した後、10〜120分、好ましくは15〜90分である。こうした焼成処理により、不要な有機物を熱分解によって除去する。
【0044】
焼成後、水和させて水酸化カルシウム主体の微細粒子を得る。焼成又は水和の過程で、必要に応じてさらに粉砕を行い、最終的には平均粒径0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmの微粉末とする。
【0045】
本発明に使用する樹脂性塗料や印刷インキに対する抗菌性の微細粒子の配合量は、樹脂性塗料または印刷インキ100質量部に対して0.01〜25質量部であり、0.5〜3質量部がより好ましい。0.01質量部未満であると所望の抗菌効果が得られず、また25質量部を超えて配合することは、それ以上の量を配合しなくとも十分な抗菌効果を得られるので経済的でない。
【0046】
粘着剤層4はその粘着性によって基材2の一方の面に保護フィルム6を接着させておく。使用時には保護フィルム6を剥がすことによって粘着剤層4を露出させ、使用対象の材料表面に接着させる。この粘着剤として繰り返して使用することができるものを用いることによって、材料表面への貼り付け位置を変更することができる。
【0047】
保護フィルム6は、粘着剤層4による貼り付けが行われないように保護するものである。抗菌シート1Aの使用時に保護フィルム6を剥がすことによって粘着剤層4を露出させて、使用対象の材料表面に貼り付ける。
【0048】
次に、本発明の第1の形態の作成手順を図2に基づいて説明する。
基材2(図2(a))の片面に粘着剤を設けて粘着剤層4を形成し、この粘着剤層4の片面に粘着性によって保護フィルム6を取り付ける(図2(b))。樹脂性塗料または印刷インキに抗菌剤粒子10を配合して抗菌剤配合塗布材を形成し、基材2の面において前記した粘着剤層4および保護フィルム6を設けていない面にこの抗菌剤配合塗布材を塗布する。抗菌剤配合塗布材の塗布は、樹脂性塗料の塗装あるいは印刷インキの印刷によって行うことができる。
【0049】
塗布の厚さは抗菌剤粒子10の平均粒子よりも薄くなるように塗布量を制御する。この厚さとすることによって抗菌剤粒子10の少なくとも一部を露出させることができ、抗菌効果を奏することができる(図2(c))。
【0050】
次に、本発明の第1の形態の使用例を図3に基づいて説明する。
抗菌シート1A(図3(a))の保護フィルム6を剥がして粘着剤層4を露出させ(図3(b))、この粘着剤層4を取り付け対象20の材料表面に粘着性を用いて貼り付ける(図3(c))。貼り付けた後、最上層の保護フィルム5を剥がして、抗菌剤配合層3を露出させる。これによって、材料表面は抗菌剤配合層3で覆われることになる。
【0051】
抗菌剤配合層3が破損する等によって抗菌性が低下した場合には、粘着剤層4を材料表面から剥がすことによって抗菌シート1Aを取り外し、新たな抗菌シートを取り付ける。
【0052】
[第2の形態]
本発明の抗菌シートの第2の形態について図4〜図6を用いて説明する。図4は第2の形態を説明するための斜視図であり、図5は第2の形態の作成手順を説明するための断面図であり、図6は第2の形態の使用例を説明するための断面図である。
【0053】
図4において、本発明の抗菌シート1Bは、抗菌剤配合シート12と、この抗菌剤配合シート12を覆う保護フィルム5と、抗菌剤配合シート12において前記した保護フィルム5と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。
【0054】
抗菌剤配合シート12は、樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合し、所定の厚さとすることでシートを作成する。抗菌剤配合シート12は、第1の形態の基材2のベース材としての機能と、抗菌剤配合層3の抗菌作用を奏する機能の2つの機能を持つものであり、所定の厚さは、ベース材としての剛性の機能を有するに充分な厚さであり、かつ、抗菌作用を奏するように抗菌剤粒子10の一部が露出する程度の厚さに定められる。
【0055】
また、抗菌剤配合シート12を構成する原材料は、表示画面上に貼り付けて写り込み防止や反射防止等の光学的特性を向上させる場合には光透過性樹脂を用いることができ、光透過性を必要としない場合には非透過性樹脂を用いることができる。
【0056】
抗菌剤粒子は、水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子を用いることができる。粒子径は例えば、10μm程度である。抗菌剤粒子は、第1の形態と同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
【0057】
粘着剤層4はその粘着性によって基材2の一方の面に保護フィルム6を接着させておく。使用時には保護フィルム6を剥がすことによって粘着剤層4を露出させ、使用対象の材料表面に接着させる。この粘着剤として繰り返して使用することができるものを用いることによって、材料表面への貼り付け位置を変更することができる。
【0058】
保護フィルム6は、粘着剤層4による貼り付けが行われないように保護するものである。抗菌シート1Bの使用時に保護フィルム6を剥がすことによって粘着剤層4を露出させて、使用対象の材料表面に貼り付ける。
【0059】
次に、本発明の第2の形態の作成手順を図5に基づいて説明する。
【0060】
樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合したものを用いて所定の厚さのシートとすることで抗菌剤配合シート12を形成する。このシートの形成において、配合した抗菌剤粒子10はシート内に分散することによって一部が露出する(図5(a))。
【0061】
抗菌剤配合シート12の片面に保護フィルム5を貼り付け、抗菌剤配合シート12の他方の面に粘着剤を設けて粘着剤層4を形成し(図5(b))、この粘着剤層4の片面に粘着性によって保護フィルム6を取り付ける(図5(c))。
【0062】
次に、本発明の第2の形態の使用例を図6に基づいて説明する。
抗菌シート1B(図6(a))の保護フィルム6を剥がして粘着剤層4を露出させ(図6(b))、この粘着剤層4を取り付け対象20の材料表面に粘着性を用いて貼り付ける(図6(c))。貼り付けた後、最上層の保護フィルム5を剥がして、抗菌剤配合シート12を露出させる。これによって、材料表面は抗菌剤配合シート12で覆われることになる。
【0063】
抗菌剤配合シート12が破損する等によって抗菌性が低下した場合には、粘着剤層4を材料表面から剥がすことによって抗菌シート1Bを取り外し、新たな抗菌シートを取り付ける。
【0064】
[第3の形態]
本発明の抗菌シートの第3の形態について図7を用いて説明する。図7(a)は第3の形態を説明するための斜視図であり、図7(b)は第3の形態を説明するための断面図である。また、図7(c),(d)は第3の形態の別の例を説明するための断面図である。
【0065】
第3の形態は、第1の形態において抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材上に層状に塗布して凹凸面を有する抗菌面を形成する形態である。
【0066】
図7(a),(b)において、本発明の抗菌シート1Cは、基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。なお、図7では保護フィルム5は省略している。
【0067】
第3の形態の抗菌シート1Cは、抗菌剤配合層3の構成の他は第1の形態の抗菌シート1Aとほぼ同様とすることができるため、以下では抗菌剤配合層3の構成について説明し、共通する基材2、粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0068】
抗菌剤配合層3は、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を、基材2の表面に塗装あるいは印刷することで平面状部分を形成し、さらにこの平面状部分の上部に凸部8aを散在させて形成する。凸部8aは、抗菌剤配合材を平面状部の表面に塗装や印刷、あるいは滴下させることで形成することができる。この凸部8aは、抗菌シート1Dの表面に盛り上がり部3aを形成する。
【0069】
この凸部8aと、凸部8aで覆われていない平面状部には、抗菌剤粒子の一部が露出しており、これによって抗菌効果を奏することができる。また、凸部8aは、写り込み防止や反射防止やのぞき込み防止等の光学的特性や、滑り止めや感触等の接触による特性を向上させることができる。
【0070】
図7(c),(d)に示す例において、本発明の抗菌シート1Cは、基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。
【0071】
基材2に表面に、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材をドット印刷等によって盛り上げて点在させて凸部8a,8bを形成する。さらに、この凸部8a,8cおよび基材2の表面に、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を塗布して抗菌剤配合層3を形成する。抗菌剤配合層3には、凸部8a,8cによって盛り上がり部3aが形成される。
【0072】
図7(c)に示す凸部8aは、樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材により形成され、図7(d)に示す凸部8cは樹脂性塗料や印刷インキの塗布材により形成される。
【0073】
図7(c)に示す構成によれば、凸部8aを形成する抗菌剤配合材には抗菌剤粒子10を配合されているため、抗菌剤配合層3の盛り上がり部3aが損傷した場合に、下部の抗菌剤配合材が露出するため、抗菌性を維持させることができる。
【0074】
また、図7(d)に示す構成によれば、凸部8cを形成する塗布材は抗菌剤粒子10を含まないため、抗菌剤粒子の使用量を低減させることができる。
【0075】
[第4〜6の形態]
本発明の抗菌シートの第4〜6の形態について図8を用いて説明する。図8(a)は第4の形態を説明するための断面図であり、図8(b)は第5の形態を説明するための断面図であり、図8(c)は第6の形態を説明するための断面図である。
【0076】
第4〜6の形態は、第1の形態において抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材に、凸状形状、凹状形状、あるいは凹凸形状を形成し、この凸面上や凹面上、および平面上に抗菌剤粒子を含む塗装材を塗布して凹凸面を有する抗菌面を形成する形態である。
【0077】
図8(a)において、本発明の抗菌シート1Dは、凸部8aが形成された基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。なお、図7(a)では保護フィルム5は省略している。
【0078】
図8(b)において、本発明の抗菌シート1Eは、凹部8bが形成された基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。なお、図8(b)では保護フィルム5は省略している。
【0079】
図8(c)において、本発明の抗菌シート1Fは、凸部8aおよび凹部8bが形成された基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3と、抗菌剤配合層3を覆う保護フィルム5と、基材2において前記した抗菌剤配合層3と反対側の面に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆う保護フィルム6とを備える。なお、図8(c)では保護フィルム5は省略している。
【0080】
第4〜6の形態の抗菌シート1D〜1Fは、基材2および抗菌剤配合層3の構成の他は第1の形態の抗菌シート1Aとほぼ同様とすることができるため、以下では基材2および抗菌剤配合層3の構成について説明し、共通する粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0081】
第4〜6の形態の基材2は凸部8aおよび/又は凹部8bを有する。第4の形態の抗菌シート1Dは、基材2上の凸部8aおよび平面部の上層表面部分に樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を塗装あるいは印刷する。
【0082】
第5の形態の抗菌シート1Eは、基材2上の凹部8bおよび平面部の上層表面部分に樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を塗装あるいは印刷する。
【0083】
第6の形態の抗菌シート1Fは、基材2上の凸部8aおよび凹部8bの上層表面部分に樹脂性塗料や印刷インキの塗布材に抗菌剤粒子10を配合してなる抗菌剤配合材を塗装あるいは印刷する。また、凸部8aおよび凹部8bの側面部分に抗菌剤配合材を塗装あるいは印刷してもよい。
【0084】
凸部8a、凹部8bおよび平面部には、抗菌剤粒子の一部が露出しており、これによって抗菌効果を奏することができる。また、凸部8aおよび凹部8bは、写り込み防止や反射防止やのぞき込み防止等の光学的特性や、滑り止めや感触等の接触による特性を向上させることができる。
【0085】
[第7の形態]
本発明の抗菌シートの第7の形態について図9を用いて説明する。図9(a)は第7の形態を説明するための斜視図であり、図9(b),(c)は第7の形態を説明するための断面図である。
【0086】
第7の形態は、抗菌剤粒子を基材に配合してなる抗菌剤配合シートを積層する形態である。
【0087】
図9において、本発明の第7の形態の抗菌シート1Gは、抗菌剤配合シート12Aと下層部分に設けられた粘着剤層4Aとからなる積層部分と、同様の構成からなる抗菌剤配合シート12Bと下層部分に設けられた粘着剤層4Bとからなる積層部分の2つの積層部分を重ね合わせた積層構造とし、粘着剤層4Aを覆う保護フィルム6を備える。なお、図9では最上部を覆う保護フィルム5は省略している。
【0088】
抗菌剤配合シート12A,12Bは、樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合し、所定の厚さとすることでシートを作成する。抗菌剤配合シート12A,12Bは、第1の形態の基材2のベース材としての機能と、抗菌剤配合層3の抗菌作用を奏する機能の2つの機能を持つものであり、所定の厚さは、ベース材としての剛性の機能を有するに充分な厚さであり、かつ、抗菌作用を奏するように抗菌剤粒子10の一部が露出する程度の厚さに定められる。
【0089】
第7の形態の抗菌シート1Gは、抗菌剤配合シート12A,12Bと粘着剤層4A,4Bの積層構造の他は第2の形態の抗菌シート1Bとほぼ同様とすることができるため、以下では積層構造の構成について説明し、共通する粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0090】
抗菌シート1Gの積層構造は、図9(b)の断面図に示す様に、抗菌剤配合シート12Aと粘着剤層4Aの積層体の上に抗菌剤配合シート12Bと粘着剤層4Bの積層体を重ね合わせることによって形成される。
【0091】
この構成によれば、最上部の抗菌剤配合シート12Bを剥がすことによって、図9(c)の断面図に示す様に、下層にある抗菌剤配合シート12Aを露出させることができる。したがって、抗菌剤配合シート12Bが破損等によって抗菌効果が低下した場合であっても、この抗菌剤配合シート12Bを取り除くことによって、抗菌剤配合シート12Aの外表面を露出させて抗菌効果を復活させることができる。
【0092】
[第8の形態]
本発明の抗菌シートの第8の形態について図10を用いて説明する。図10(a)は第8の形態を説明するための斜視図であり、図10(b),(c)は第8の形態を説明するための断面図である。
【0093】
第8の形態は、第7の形態の抗菌剤粒子を基材に配合してなる抗菌剤配合シートを積層する形態において、凹凸形状を備える形態である。
【0094】
図10において、本発明の第8の形態の抗菌シート1Hは、抗菌剤配合シート12Aと下層部分に設けられた粘着剤層4Aとからなる積層部分と、同様の構成からなる抗菌剤配合シート12Bと下層部分に設けられた粘着剤層4Bとからなる積層部分の2つの積層部分を重ね合わせた積層構造とし、粘着剤層4Aを覆う保護フィルム6を備え、抗菌剤配合シート12Bと粘着剤層4Bには同一位置に開口部12aおよび開口部4aが形成されている。なお、図10では最上部を覆う保護フィルム5は省略している。
【0095】
抗菌剤配合シート12A,12Bは、樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合し、所定の厚さとすることでシートを作成する。抗菌剤配合シート12A,12Bは、第1の形態の基材2のベース材としての機能と、抗菌剤配合層3の抗菌作用を奏する機能の2つの機能を持つものであり、所定の厚さは、ベース材としての剛性の機能を有するに充分な厚さであり、かつ、抗菌作用を奏するように抗菌剤粒子10の一部が露出する程度の厚さに定められる。
【0096】
第8の形態の抗菌シート1Hは、抗菌剤配合シート12Aと粘着剤層4Aの積層構造の他は第7の形態の抗菌シート1Gとほぼ同様とすることができるため、以下では相違する積層構造の構成について説明し、共通する粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0097】
抗菌シート1Hの積層構造は、図10(b)の断面図に示す様に、抗菌剤配合シート12Aと粘着剤層4Aの積層体の上に抗菌剤配合シート12Bと粘着剤層4Bの積層体を重ね合わせることによって形成される。
【0098】
抗菌剤配合シート12Bと粘着剤層4Bの積層体には開口部が形成されているため、この開口部の段差によって凹凸形状が形成される。
【0099】
凹凸形状は、写り込み防止や反射防止やのぞき込み防止等の光学的特性や、滑り止めや感触等の接触による特性を向上させることができる。
【0100】
この構成によれば、最上部の抗菌剤配合シート12Bを剥がすことによって、下層にある抗菌剤配合シート12Aを露出させることができる。したがって、抗菌剤配合シート12Bが破損等によって抗菌効果が低下した場合であっても、この抗菌剤配合シート12Bを取り除くことによって、抗菌剤配合シート12Aの外表面を露出させて抗菌効果を復活させることができる。
【0101】
[第9の形態]
本発明の抗菌シートの第9の形態について図11を用いて説明する。図11は第9の形態を説明するための斜視図であり、図11(b),(c)は第9の形態を説明するための断面図である。
【0102】
第9の形態は抗菌剤粒子を含有した塗布材を基材に塗布して形成した抗菌面上に、抗菌剤粒子を基材に配合して抗菌剤配合シートを積層する形態である。
【0103】
図11において、本発明の第9の形態の抗菌シート1Iは、基材2と、基材2上に設けられた抗菌剤配合層3からなる積層部分と、抗菌剤配合シート12と下層部分に設けられた粘着剤層4とからなる積層部分との2つの積層部分を重ね合わせた積層構造とし、粘着剤層4を覆う保護フィルム6を備える。なお、図11では最上部を覆う保護フィルム5は省略している。
【0104】
抗菌剤配合シート12は、樹脂シートの原材料に抗菌剤粒子10を配合し、所定の厚さとすることでシートを作成する。
【0105】
第9の形態の抗菌シート1Iは、2つの積層部分からなる構成であって、各積層部分の構成は前記形態で説明した構成とほぼ同様とすることができるため、以下では積層構造の構成について説明し、共通する粘着剤層4、保護フィルム6、および抗菌剤粒子については説明を省略する。
【0106】
抗菌シート1Iの積層構造は、図11(b)の断面図に示す様に、基材2と、この基材2上に設けられた抗菌剤配合層3の積層体の上に、抗菌剤配合シート12と粘着剤層4の積層体を重ね合わせることによって形成される。
【0107】
この構成によれば、最上部の抗菌剤配合シート12を剥がすことによって、図11(c)の断面図に示す様に、下層にある抗菌剤配合層3を露出させることができる。したがって、抗菌剤配合シート12が破損等によって抗菌効果が低下した場合であっても、この抗菌剤配合シート12を取り除くことによって、抗菌剤配合層3の外表面を露出させて抗菌効果を復活させることができる。
【0108】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の抗菌シートは、取り付け対象である材料表面は表示画面に限らず、他の材料表面に貼り付けることができる。
【符号の説明】
【0110】
1A-1I 抗菌シート
2 基材
3 抗菌剤配合層
3a 盛り上がり部
4,4A,4B 粘着剤層
4a 開口部
5 保護フィルム
6 保護フィルム
8a,8c 凸部
8b 凹部
10 抗菌剤粒子
12,12A,12B 抗菌剤配合シート
12a 開口部
20 取り付け対象
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材と、
前記シート状の基材の一方の面上に、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂性塗料又は印刷インキを塗布又は印刷して形成され、当該一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる抗菌剤配合層と、
前記基材の他方の面上に設けた粘着剤層とを有することを特徴とする、抗菌シート。
【請求項2】
前記基材は樹脂シート又はガラス基板であることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌シート。
【請求項3】
前記抗菌剤配合層は、
前記基材の一方の面上に形成される平面層と、
前記平面層上の一部に散在して突出して形成される凸状層とを備え、
前記平面層および凸状層から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗菌シート。
【請求項4】
前記基材の前記一方の面は、平面と、当該平面に対して突出した凸部および/又は当該平面に対して窪んだ凹部を備え、
前記平面、および前記凸部および/又は前記凹部の面上に、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂性塗料又はインキを塗布又は印刷し、前記抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させて抗菌剤配合層を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗菌シート。
【請求項5】
前記基板上に塗布される前記樹脂性塗料の塗布膜あるいは印刷インキの印刷層の膜厚は、前記抗菌剤粒子の平均粒子径よりも薄いことを特徴とする、請求項1から4の何れか一つに記載の抗菌シート。
【請求項6】
前記樹脂性塗料又は印刷インキは、アクリル樹脂系又は熱硬化性樹脂系の塗料又は印刷インキであることを特徴とする、請求項1から5の何れか一つに記載の抗菌シート。
【請求項7】
粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により形成される樹脂シートを有し、
前記樹脂シートは、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出し、他方の面上に粘着剤層を有することを特徴とする、抗菌シート。
【請求項8】
前記樹脂シートの一方の面は、平面と、当該平面に対して突出した凸部/又は当該平面に対して窪んだ凹部を備え、
前記平面、および前記凸部/又は前記凹部の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出していることを特徴とする、請求項7に記載の抗菌シート。
【請求項9】
粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により樹脂シートと粘着剤層とから成る積層を備え、
前記樹脂シートは、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出し、他方の面上に粘着剤層を設けることを特徴とする、抗菌シート。
【請求項10】
前記樹脂シートは開口部を有することを特徴とする、請求項9に記載の抗菌シート。
【請求項11】
シート状の基材と、
粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した塗料又はインキを塗布又は印刷して形成され、当該一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる抗菌剤配合層と、
粘着剤層と、
粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により形成され、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる樹脂シートとを有し、
前記基材の一方の面上に、抗菌剤配合層と粘着剤層と樹脂シートとを順に積層し、前記基材の他方の面上に粘着剤層を設けることを特徴とする、抗菌シート。
【請求項12】
前記抗菌剤粒子は水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載の抗菌シート。
【請求項1】
シート状の基材と、
前記シート状の基材の一方の面上に、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂性塗料又は印刷インキを塗布又は印刷して形成され、当該一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる抗菌剤配合層と、
前記基材の他方の面上に設けた粘着剤層とを有することを特徴とする、抗菌シート。
【請求項2】
前記基材は樹脂シート又はガラス基板であることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌シート。
【請求項3】
前記抗菌剤配合層は、
前記基材の一方の面上に形成される平面層と、
前記平面層上の一部に散在して突出して形成される凸状層とを備え、
前記平面層および凸状層から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗菌シート。
【請求項4】
前記基材の前記一方の面は、平面と、当該平面に対して突出した凸部および/又は当該平面に対して窪んだ凹部を備え、
前記平面、および前記凸部および/又は前記凹部の面上に、粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂性塗料又はインキを塗布又は印刷し、前記抗菌剤粒子の少なくとも一部を露出させて抗菌剤配合層を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗菌シート。
【請求項5】
前記基板上に塗布される前記樹脂性塗料の塗布膜あるいは印刷インキの印刷層の膜厚は、前記抗菌剤粒子の平均粒子径よりも薄いことを特徴とする、請求項1から4の何れか一つに記載の抗菌シート。
【請求項6】
前記樹脂性塗料又は印刷インキは、アクリル樹脂系又は熱硬化性樹脂系の塗料又は印刷インキであることを特徴とする、請求項1から5の何れか一つに記載の抗菌シート。
【請求項7】
粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により形成される樹脂シートを有し、
前記樹脂シートは、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出し、他方の面上に粘着剤層を有することを特徴とする、抗菌シート。
【請求項8】
前記樹脂シートの一方の面は、平面と、当該平面に対して突出した凸部/又は当該平面に対して窪んだ凹部を備え、
前記平面、および前記凸部/又は前記凹部の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出していることを特徴とする、請求項7に記載の抗菌シート。
【請求項9】
粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により樹脂シートと粘着剤層とから成る積層を備え、
前記樹脂シートは、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出し、他方の面上に粘着剤層を設けることを特徴とする、抗菌シート。
【請求項10】
前記樹脂シートは開口部を有することを特徴とする、請求項9に記載の抗菌シート。
【請求項11】
シート状の基材と、
粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した塗料又はインキを塗布又は印刷して形成され、当該一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる抗菌剤配合層と、
粘着剤層と、
粒子径がほぼ均一な抗菌剤粒子を配合した樹脂材により形成され、一方の面から前記抗菌剤粒子の少なくとも一部が露出してなる樹脂シートとを有し、
前記基材の一方の面上に、抗菌剤配合層と粘着剤層と樹脂シートとを順に積層し、前記基材の他方の面上に粘着剤層を設けることを特徴とする、抗菌シート。
【請求項12】
前記抗菌剤粒子は水酸化カルシウムを主成分とし粒子径がほぼ均一な微細粒子であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載の抗菌シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−241704(P2010−241704A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90013(P2009−90013)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(509069973)クリア・オフィス株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(509069973)クリア・オフィス株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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