説明

抗酸化性組成物の製造方法

【課題】
本発明は、抗酸化性物質である3−ヒドロキシアントラニル酸を含有する抗酸化性組成物の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、ムコール(Mucor)属に属する菌を、トリプトファンを添加した培地で培養することにより、培養物中に3−ヒドロキシアントラニル酸を産生させることを特徴とする抗酸化性組成物の製造方法を提供する。さらに、当該製造方法により得られる抗酸化性組成物は、食品、化粧品、医薬品等において極めて有効に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムコール(Mucor)属に属する菌を、トリプトファンを添加した培地で培養することにより、培養物中に3−ヒドロキシアントラニル酸を産生させることを特徴とする抗酸化性組成物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、その製造方法により得られる抗酸化性組成物を含有する食品、化粧品、医薬品等に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物の産生する抗酸化性物質については、例えば、アスペルギルス グラカウス、アスペルギルス オチラセウス、アスペルギルス ルーバー、アスペルギルス テレウス、ペニシリウム グラウカム又はリゾプス オリゴスポラスを培養し、菌体外に産生された水溶性抗酸化性物質を採取することを特徴とする抗酸化性物質の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
テンペ菌による大豆発酵物の抗酸化性については、例えば、テンペ菌のリゾプス属により大豆を嫌気的に発酵することによりγ−アミノ酪酸を高濃度に含有し、かつ、大豆及び大豆発酵産物由来の蛋白質、アミノ酸、抗酸化成分等の有効成分も利用できるγ−アミノ酪酸高含有大豆発酵食品の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、大豆発酵物そのものを食することにより付随的に抗酸化成分等の有効成分を利用するものであり、抗酸化性組成物を得ることを意図したものではない。
また、例えば、大豆にリゾプス オリゴスポラスIFO32002又はリゾプス オリゴスポラスIFO32003を用いて発酵させたテンペから抗酸化性物質である3−ヒドロキシアントラニル酸を単離同定したこと、及び、3−ヒドロキシアントラニル酸の含有量は発酵2日目のテンペの凍結乾燥品について最大(約50mg/固形物100g)であったことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)が、3−ヒドロキシアントラニル酸の含量が少ないという問題がある。
【0004】
摂取されたアミノ酸は生体内で代謝されるが、例えば、生体内におけるトリプトファンの代謝経路での代謝産物であるDL−キヌレニン酸、キヌレニン酸、アントラニル酸、DL−α−アラニン、5−ハイドロキシアントラニル酸、3−ハイドロキシアントラニル酸、キサンツレン酸及びトリプトファンについて、豚脂によるAOM試験及び約60℃でのオーブン試験による酸化防止試験が行われ、3−ハイドロキシアントラニル酸が最も抗酸化性が高いものであったことが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
また、例えば、3−ヒドロキシアントラニル酸及びトコフェロールを豚脂に添加し180℃で5時間加熱後のAOM試験では、3−ヒドロキシアントラニル酸がトコフェロールよりも熱安定性が高いことが報告されている(例えば、非特許文献3参照)。
また、例えば、3−ヒドロキシアントラニル酸のチロシナーゼ活性の阻害が報告されており(例えば、非特許文献4参照)、3−ヒドロキシアントラニル酸の美白作用が期待されている。
【0005】
3−ヒドロキシアントラニル酸の製造方法については、例えば、ストレプトマイセス アウレオファシエンスの変異株から生合成した2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシアントラニル酸を触媒の存在下、脱水素させることを含む3−ヒドロキシアントラニル酸の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)が、化学的合成によるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−307891号公報
【特許文献2】国際公開第01/093696号公報
【特許文献3】特開平7−309946号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hideo Esaki et al、「New Antioxidant Isolated from Tempe」、J. Agric. Food Chem.、1996、44、p. 696-700
【非特許文献2】梶本五郎、外4名、「トリプトファン代謝物の抗酸化性について」、栄養と食糧、1977年、Vol. 30、No. 5、p. 291-296
【非特許文献3】梶本五郎、外4名、「数種のアミノ酸代謝物の抗酸化性について」、栄養と食糧、1979年、Vol. 32、No. 1、p. 41-46
【非特許文献4】Antonio Rescigno et al、「Effect of 3-hydroxyanthranilic acid on mushroom tyrosinase activity」、Biochemica et Biophysica Acta、1998、Vol. 138、No. 2、p. 268-276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、微生物の産生する抗酸化性物質については、従来知られているが、必ずしも十分な抗酸化性能を有するものではなく、より優れた抗酸化性能を有する抗酸化性組成物が望まれている。
また、大豆発酵物による抗酸化性については、大豆発酵食品そのものを食することにより付随的に抗酸化成分等の有効成分を利用するものであり、必ずしも十分な抗酸化性能を有するものではない。
また、3−ヒドロキシアントラニル酸は、強い抗酸化活性、チロシナーゼ阻害活性を有し、抗酸化物質、美白化粧品原料として注目されており、化学的合成によらない3−ヒドロキシアントラニル酸の製造方法が望まれている。
【0009】
本発明は、微生物を培養することにより、優れた抗酸化性物質である3−ヒドロキシアントラニル酸を産生させ、その3−ヒドロキシアントラニル酸を含有する抗酸化性組成物の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、微生物の培養による抗酸化性物質の生成に着目して鋭意研究の結果、特定の微生物を、トリプトファンを添加した培地で培養することにより、抗酸化性組成物を有効的に製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ムコール(Mucor)属に属する菌を、トリプトファンを添加した培地に接種し、培養して得られる培養物中に3−ヒドロキシアントラニル酸を産生させ、その3−ヒドロキシアントラニル酸を含有する抗酸化性組成物の新規な製造方法を提供するものである。
さらに、本発明は、当該製造方法により得られる抗酸化性組成物を含有する、食品、化粧品、医薬品等を提供するものである。
【0011】
本発明には、下記の態様が含まれる。
項(1)
ムコール(Mucor)属に属する菌を、トリプトファンを添加した培地で培養することにより、3−ヒドロキシアントラニル酸を産生させることを特徴とする抗酸化性組成物の製造方法。
項(2)
ムコール(Mucor)属に属する菌が、ムコール インディカス(Mucor indicus)、ムコール シルシネロイデス(Mucor circinelloides)、ムコール ヒエマリス(Mucor hiemalis)、ムコール プシラス(Mucor pusillus)のうちから選ばれる1種以上であることを特徴とする項(1)に記載の抗酸化性組成物の製造方法。
項(3)
培地に添加するトリプトファンの量が、少なくとも0.01重量%であることを特徴とする項(1)に記載の抗酸化性組成物の製造方法。
項(4)
培地が、少なくとも有機窒素成分を含有する素材と炭水化物若しくは炭水化物を含有する素材とを配合した培地、又は、少なくとも有機窒素成分を含有する素材と油脂若しくは油脂を含有する素材とを配合した培地、のいずれかであることを特徴とする項(1)に記載の抗酸化性組成物の製造方法。
項(5)
項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の抗酸化性組成物の製造方法により得られることを特徴とする抗酸化性組成物。
項(6)
項(5)に記載の抗酸化性組成物を含有することを特徴とする食品。
項(7)
項(5)に記載の抗酸化性組成物を含有することを特徴とする化粧品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ムコール(Mucor)属に属する菌を、トリプトファンを添加した培地で培養することにより、優れた抗酸化性物質である3−ヒドロキシアントラニル酸を効率的に産生させ、その3−ヒドロキシアントラニル酸を含有する抗酸化性能に優れた抗酸化性組成物を製造することができる。
さらに、本発明による抗酸化性組成物は、優れた抗酸化性能と美白作用等の機能性とを有し、食品、化粧品、医薬品等において極めて有効に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ムコール(Mucor)属に属する菌を、トリプトファンを添加した培地で培養することにより、培養物中に3−ヒドロキシアントラニル酸を産生せしめ、その3−ヒドロキシアントラニル酸を含有する抗酸化性組成物の製造方法を提供するものである。
本発明において、トリプトファンを培地に添加することにより、ムコール(Mucor)属に属する菌が遊離アミノ酸としてのトリプトファンを資化し、培養物中に3−ヒドロキシアントラニル酸を産生せしめる。
【0014】
本発明において、用いるムコール(Mucor)属に属する菌は、接合菌類、ケカビ目ケカビ属(Mucor)に属する菌であり、ムコール(Mucor)属に属する菌であればよく、
ムコール アバンダンス(Mucor abundans)、
ムコール アンビグース(Mucor ambiguus)、
ムコール イナエキュイスポラス(Mucor inaequisporus)、
ムコール インディカス(Mucor indicus)、
ムコール ギリエルモンディ(Mucor guilliermondii)、
ムコール ゲネベンシス(Mucor genevensis)、
ムコール サトゥルニナス(Mucor saturninus)、
ムコール サブチリシムス(Mucor subtilissimus)、
ムコール シルシネロイデス(Mucor circinelloides)、
ムコール ストリクタス(Mucor strictus)、
ムコール ツベルクリスポラス(Mucor tuberculisporus)、
ムコール バチリホルミス(Mucor bacilliformis)、
ムコール ヒエマリス(Mucor hiemalis)、
ムコール ピリフォルミス(Mucor piriformis)、
ムコール プシラス(Mucor pusillus)、
ムコール フラギス(Mucor fragilis)、
ムコール プラズマティクス(Mucor plasmaticus)、
ムコール フラバス(Mucor flavus)、
ムコール プランベウス(Mucor plumbeus)、
ムコール ペトリンスラリス(Mucor petrinsularis)、
ムコール ムセド(Mucor mucedo)、
ムコール ラセモサス(Mucor racemosus)、
ムコール レカルバス(Mucor recurvus)、
等が挙げられ、好ましくは、ムコール インディカス(Mucor indicus)、ムコール シルシネロイデス(Mucor circinelloides)、ムコール ヒエマリス(Mucor hiemalis)、ムコール プシラス(Mucor pusillus)のうちから選ばれる1種以上である。
【0015】
本発明に係る微生物については、独立行政法人製品評価技術基盤機構、又は、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター等から入手することができる。
具体的には、ムコール インディカス(Mucor indicus)NBRC5773、ムコール シルシネロイデス(Mucor circinelloides)NBRC4554、ムコール シルシネロイデス(Mucor circinelloides)NBRC5398、ムコール ヒエマリス(Mucor hiemalis)NBRC6753、ムコール プシラス(Mucor pusillus)NBRC4578、等が挙げられる。
【0016】
本発明において、用いるトリプトファンは、DL−トリプトファン、L−トリプトファンが挙げられ、好ましくは、食品添加物公定書、日本薬局方、医薬部外品原料規格、飼料添加物規格等の公的規格に適合した品質を有するものであり、より好ましくは食品添加物公定書に適合した食用グレードのトリプトファンである。
また、本発明において、用いるトリプトファンは、各種タンパク質加水分解物に含まれるトリプトファンであってもよい。
本発明において、培地に添加するトリプトファンの量は、少なくとも0.01重量%であり、好ましくは、0.02〜5.0重量%、より好ましくは、0.05〜3.0重量%、特に好ましくは、0.1〜1.0重量%である。なお、培地へのトリプトファンの添加量が多量となると、トリプトファンが培地に溶けにくい、資化効率が低下する、コスト高となる等の不都合が生じることもある。
【0017】
本発明において、用いる培地は、微生物が生育でき、3−ヒドロキシアントラニル酸を産生せしめる栄養培地であればよく、固体培地、液体培地のいずれでもよい。
本発明において、用いる培地は、窒素源、炭素源、無機物質、及び必要に応じてビタミン等を含む常法で用いられるものであればよい。
【0018】
本発明において、培地に用いる窒素源として、有機窒素成分を含有する素材を挙げることができ、すなわち、有機窒素成分を含有する素材としては、各種タンパク質分解物、又は、動植物タンパク質を含有する素材を挙げることができる。具体的には、酵母エキスやペプトンやコーンスティープリカー、大豆等の豆類、トウモロコシや米や麦等の穀類、小麦フスマや米ヌカ等の糠類、ごま等の種実類、緑茶等の茶類、海苔等の藻類、粉乳等が挙げられる。
本発明において、培地中に配合する有機窒素成分を含有する素材の量は、0.01〜80重量%、好ましくは、0.05〜60重量%、より好ましくは、0.5〜50重量%、である。
【0019】
本発明において、培地に用いる炭素源として、炭水化物若しくは炭水化物を含有する素材、又は、油脂若しくは油脂を含有する素材を挙げることができる。具体的には、炭水化物若しくは炭水化物を含有する素材としては、グルコース、砂糖、デキストリン、澱粉加水分解物、澱粉、トウモロコシや米や麦等の穀類、大豆等の豆類、ジャガイモ等のいも類等が挙げられる。また、油脂若しくは油脂を含有する素材としては、牛脂や魚油等の動物性油脂、大豆油や菜種油等の植物性油脂、リノール酸等の脂肪酸、シュートニング等の油脂加工品、トウモロコシや米や麦等の穀類、小麦フスマや米ヌカ等の糠類、大豆等の豆類、ごまや落花生等の種実類等が挙げられる。
本発明において、培地中に配合する炭水化物若しくは炭水化物を含有する素材の量は、0.1〜80重量%、好ましくは、0.5〜60重量%、より好ましくは、2〜50重量%、である。
また、本発明において、培地中に配合する油脂若しくは油脂を含有する素材の量は、0.1〜80重量%、好ましくは、0.5〜60重量%、より好ましくは、2〜50重量%、である。
【0020】
培地に用いるこれらの素材は、そのまま用いてもよく、細切、粉砕、ペレット状、フレーク状として用いてもよく、乾燥、加熱、酵素処理等の処理をして用いてもよい。また、いくつかの素材を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
本発明において、有機窒素成分と炭水化物との両方を含有する素材について、大豆、米ヌカや小麦フスマ等の糠類、海苔、緑茶等を挙げることができ、これらを用いてもよい。
また、本発明において、有機窒素成分と油脂との両方を含有する素材について、大豆、トウモロコシ、ごま等の種実類、小麦フスマや米ヌカ等の糠類、油糧素材等が挙げることができ、これらを用いてもよい。
【0022】
本発明において、用いる培地は、少なくとも有機窒素成分を含有する素材と炭水化物若しくは炭水化物を含有する素材とを配合した培地、又は、少なくとも有機窒素成分を含有する素材と油脂若しくは油脂を含有する素材とを配合した培地のいずれかである。具体的には、少なくとも酵母エキスとブドウ糖とを配合した培地、少なくとも酵母エキスと大豆とを配合した培地、少なくとも大豆を配合した培地、少なくとも小麦フスマを配合した培地、少なくとも米ヌカを配合した培地、少なくとも海苔を配合した培地、少なくとも緑茶を配合した培地、少なくとも酵母エキスと植物性油脂とを配合した培地、少なくとも酵母エキスと大豆とを配合した培地、少なくともトウモロコシを配合した培地、少なくともごまを配合した培地等が挙げられる。
【0023】
本発明において、培地に用いる無機物質として、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、カルシウム等を含む、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられ、これらの無機物質を培地中に適宜配合するとよい。
【0024】
本発明において、培地に用いる溶媒としての水は、特に限定されず、水道水、イオン交換水、蒸留水、精密ろ過水等が挙げられ、適宜設定することができる。
【0025】
本発明において、用いる培地のpHは、酸又はアルカリで調整するとよく、pH4.5〜9.0、好ましくは、pH5.5〜8.0である。
【0026】
本発明において、培養方法は通常の微生物の培養方法であればよく、好気的条件下での培養であり、固体培養、液体培養のいずれでもよい。
【0027】
本発明において、培養の温度及び時間については、通常の糸状菌を培養する条件であればよく、15〜40℃で1〜10日間が挙げられ、3−ヒドロキシアントラニル酸の生成量を高めるためには、好ましくは、20〜40℃で1〜7日間、より好ましくは、25〜35℃で1〜4日間である。
【0028】
本発明において、3−ヒドロキシアントラニル酸を含有する抗酸化性組成物は、培養工程に次いで、通常、殺菌工程を行う。殺菌工程における殺菌条件は、培養に用いる菌に対して有効である常法の温度・時間であればよい。得られた抗酸化性組成物は、そのまま用いてもよいし、又は、常法により濃縮機等で処理して濃縮物として用いてもよく、後述するように乾燥して用いてもよい。
【0029】
さらに、本発明において、3−ヒドロキシアントラニル酸を含有する抗酸化性組成物は、培養工程、に次いで、殺菌工程を経た後、固液分離工程を行うことにより得られる。
固液分離工程としては、遠心分離やろ過等が挙げられ、適宜設定することができ、液部として得られた抗酸化性組成物は、そのまま用いてもよいし、常法により濃縮機等で処理して濃縮物として用いてもよいし、後述するように乾燥して用いてもよい。
【0030】
本発明において、優れた抗酸化力等の有効性を有し、色、におい等の官能面に優れた高品質の抗酸化性組成物を得るために、前述の培養工程、殺菌工程、固液分離工程に加えて、色とにおいを良くするために、精製工程を行うとよく、精製処理工程として、活性炭や吸着樹脂等による精製が挙げられ、好ましくは、活性炭による精製である。
活性炭による精製処理は、処理原料に活性炭を加え、その後固液分離して活性炭を除去することにより行う。活性炭の使用量は処理原料重量に対して、0.1〜10重量%であり、好ましくは、0.5〜5重量%である。
【0031】
本発明において、上記の培養工程、殺菌工程を経た抗酸化性組成物をそのまま、又は、常法により濃縮機等で処理して濃縮物として用いてもよく、乾燥して用いてもよい。
また、本発明において、上記の培養工程、殺菌工程、固液分離工程を経た抗酸化性組成物をそのまま、又は、常法により濃縮機等で処理して濃縮物として用いてもよく、乾燥して用いてもよい。
また、上記の培養工程、殺菌工程、固液分離工程、精製処理工程を経た抗酸化性組成物を用いてもよく、さらに、これを常法により濃縮機等で処理して濃縮物として用いてもよく、乾燥して用いてもよい。
また、抗酸化性組成物の安定化等のために溶剤を適宜用いてもよく、デキストリン等の賦形剤を適宜用いてもよい。
【0032】
さらに、本発明において、培養して得られる培養物を、常法によりメタノール、エタノール等の有機溶媒又はイオン交換樹脂で適宜処理してもよい。溶媒抽出処理又はイオン交換樹脂処理することにより、抗酸化性組成物中の3−ヒドロキシアントラニル酸含有濃度を相対的に高めることができる。
【0033】
本発明において、抗酸化性組成物を乾燥して用いてもよく、その際デキストリン等の賦形剤を適宜用いてもよい。乾燥方法としては、常法による噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラムドライ乾燥、熱風乾燥等から適宜採用することができる。
【0034】
本発明において、抗酸化性組成物は、トリプトファンを添加した培地に、微生物を接種し、培養して得られる培養物が、少なくとも、3−ヒドロキシアントラニル酸を含有するものであればよく、濃縮等により抗酸化性組成物中の3−ヒドロキシアントラニル酸含有濃度を相対的に高めることができるが、培養物中に含有される3−ヒドロキシアントラニル酸の絶対量値が高いほど、抗酸化力を有効的に発揮させることができる。
本発明において、抗酸化性組成物の固形物当たりの3−ヒドロキシアントラニル酸の含有量は、好ましくは、0.05重量%(500μg/g)以上であり、より好ましくは、0.1重量%(1000μg/g)以上であり、さらに好ましくは、0.3重量%(3000μg/g)以上であり、特に好ましくは、0.5重量%(5000μg/g)以上である。
【0035】
本発明の3−ヒドロキシアントラニル酸を含有する抗酸化性組成物は、抗酸化力や美白作用等の機能性を利用して、食品、化粧品、医薬品等において効果的に利用することができる。その場合において、トコフェロール、アスコルビン酸等の抗酸化剤やアルブチン等の美白効果を有する成分と併用することで、効果を高めることもできる。
【0036】
本発明において、食品、化粧品、医薬品等における抗酸化性組成物の配合量は、特に規定するものではないが、3−ヒドロキシアントラニル酸の含有量、被配合品の形態、剤形等を考慮して適宜定めるとよく、そのまま用いてもよく、適宜量を配合して用いてもよく、配合量として0.001〜50重量%を挙げることができる。
【0037】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、本発明において、培地に用いる各原料及び素材の配合%はすべて、重量%である。
【実施例1】
【0038】
培地へのトリプトファンの添加有無が3−ヒドロキシアントラニル酸(以下、「3−HAA」とする。)の産生に与える影響をみるために、表1に示す糸状菌(いずれも、独立行政法人製品評価技術基盤機構から入手したもの)を、下記に示す[培地A(対照区)]、[培地Aのトリプトファン添加区]、[培地B(対照区)]、[培地Bのトリプトファン添加区]について調製した各培地50gに、それぞれ接種して、200ml三角フラスコにて、30℃、3日間振とう培養した。培養物を80℃、10分殺菌した後、遠心分離して上清液を得た。それぞれの培養物上清液について、3−HAA量を、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」とする。)にて測定した。分析結果を、表1に示す。HPLCの測定条件は、下記に示す。
[培地A(対照区)]
有機窒素成分として酵母エキス(ベクトン&ディッキンソン社製)0.5g(1.0%)と、油脂成分として大豆油(加藤製油株式会社製「大豆白絞油」)1g(2.0%)と、無機物質としてリン酸一カリウム0.05g(0.1%)と、リン酸二カリウム0.1g(0.2%)と、硫酸マグネシウム0.025g(0.05%)と、硫酸第一鉄0.0025g(0.005%)と、水とを配合して、全体を50g(100%)とし、121℃、15分加熱滅菌した培地。
[培地Aのトリプトファン添加区]
有機窒素成分として酵母エキス(ベクトン&ディッキンソン社製)0.5g(1.0%)と、油脂成分として大豆油(加藤製油株式会社製「大豆白絞油」)1g(2.0%)と、無機物質としてリン酸一カリウム0.05g(0.1%)と、リン酸二カリウム0.1g(0.2%)と、硫酸マグネシウム0.025g(0.05%)と、硫酸第一鉄0.0025g(0.005%)と、L−トリプトファン0.2g(0.4%)と、水とを配合して、全体を50g(100%)とし、121℃、15分加熱滅菌した培地。
[培地B(対照区)]
有機窒素成分として酵母エキス(アサヒフードアンドヘルスケア社製)0.025g(0.05%)と、大豆粉5g(10.0%)と、水とを配合して、全体を50g(100%)とし、121℃、15分加熱滅菌した培地。
[培地Bのトリプトファン添加区]
有機窒素成分として酵母エキス(アサヒフードアンドヘルスケア社製)0.025g(0.05%)と、大豆粉5g(10.0%)と、L−トリプトファン0.1g(0.2%)と、水とを配合して、全体を50g(100%)とし、121℃、15分加熱滅菌した培地。
【0039】
[HPLCの測定条件]
検出器:蛍光検出器(励起波長325nm、蛍光波長420nm)
カラム:Inertsil C18(内径4.6mm、長さ25cm)
移動相:5mmol 臭化ブチルテトラアンモニウム、0.1mmol EDTA、30mmol リン酸カリウム緩衝液(pH6.0):アセトニトリル=1000:70
流速:0.9ml/分
カラム温度:40℃
標品:試薬の3−HAA(東京化成工業株式会社製)を30mmol リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に溶解して、検量線を作成した。
検液:30mmol リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で希釈した。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例1について、リゾプス属に属する菌はいずれについても、トリプトファンを培地に添加することにより、3−HAAの顕著な産生が確認され、3−HAAを含有する抗酸化性組成物が得られた。
【実施例2】
【0042】
培地へのトリプトファン添加量が3−HAAの産生量に与える影響をみるために、ムコール属に属する菌としてムコール ヒエマリス(Mucor hiemalis)NBRC6753を、実施例1で用いた培地Aについて、表2のようにL−トリプトファンの添加量を調整して添加した培地各50gに、接種して、200ml三角フラスコにて、30℃、3日間振とう培養した。各培養物を80℃、10分殺菌した後、遠心分離により固液分離し、培養物上清液を得た。それぞれの上清液について、3−HAA量を、HPLCにて測定した。分析結果を、表2に示す。HPLCの測定条件は、実施例1と同様とした。
【0043】
【表2】

【0044】
実施例2について、トリプトファン添加0.01重量%において、3−HAAの産生能向上を示し、添加効果がみられた。さらに、培地へのトリプトファン添加0.05重量%以上において、3−HAAの顕著な産生能を示し、培地へのトリプトファン添加量0.10重量%以上において、3−HAAは特に顕著な産生能を示し、トリプトファン添加量0.40重量%で最大値を示した。トリプトファン添加量0.40重量%における培養物上清液当たりの3−HAA量は809μg/gであった。また、この培養物上清液の固形分は0.96%であり、固形物当たりの3−HAA含有量は、84270μg/gであった。
【実施例3】
【0045】
ムコール プシラス(Mucor pusillus)NBRC4578を、炭水化物の一つである精白米15g(50%)に、L−トリプトファンを0.06g(0.2%)添加し、水を配合して全体を30g(100%)とし、121℃、15分加熱滅菌した培地に、接種して、200ml三角フラスコにて、30℃、3日間培養した。培養物に水120mlを加えて均質化して、80℃、10分殺菌した後、遠心分離して上清を回収し、抗酸化性組成物を102g(固形分5.5%)得た。このものについて、実施例1と同様の測定条件でHPLC測定したところ、3−HAA含有量は481μg/gであり、固形物当たり3−HAA含有量は8745μg/g(0.87%)であった。
【実施例4】
【0046】
ムコール ヒエマリス(Mucor hiemalis)NBRC6753を、実施例1で用いた培地AにL−トリプトファンを4.8g(0.4%)添加して調製した培地1.2kgに、接種して、2Lジャーファメンターにて、30℃、60時間通気撹拌培養した。培養物をpH8.0に調整し、90℃達温で殺菌した後、活性炭による精製処理を行い、ろ過による固液分離を行った後、ろ液を回収した。そのろ液を減圧濃縮し、抗酸化性組成物を69g(固形分20.5%)得た。このものについて、実施例1と同様の測定条件でHPLC測定したところ、3−HAA含有量は5535μg/gであり、固形物当たり3−HAA含有量は27000μg/g(2.70%)であった。
さらに、この液重量の固形分重量と同量のデキストリンを加えて、凍結乾燥し、本発明の抗酸化性組成物24gを得た。実施例1と同様の測定条件でHPLC測定したところ、3−HAA含有量は19000μg/g(1.90%)であった。得られた本発明品は、色は淡黄色であり、また、異味異臭がなく、官能面において良好なものであった。
【実施例5】
【0047】
ムコール プシラス(Mucor pusillus)NBRC4578を、大豆100g(50%)に、L−トリプトファンを0.4g(0.2%)添加し、水を配合して全体を200g(100%)とし、121℃、15分加熱滅菌した培地に、接種して、1L三角フラスコにて、32℃、3日間培養した。培養物に水800mlを加えて均質化した後、80℃、10分殺菌した後、遠心分離して上清を回収し、抗酸化性組成物を760g(固形分2.1%)得た。このものについて、実施例1と同様の測定条件でHPLC測定したところ、3−HAA含有量は609μg/gであり、固形物当たり3−HAA含有量は29000μg/g(2.90%)であった。
さらに、ろ過による固液分離を行った後、ろ液を減圧濃縮して濃縮液90g(固形分14.4%)を得た。この濃縮液重量に対して10重量%のデキストリンを加えて、凍結乾燥し、本発明の抗酸化性組成物22gを得た。このものについて、実施例1と同様の測定条件でHPLC測定したところ、3−HAA含有量は17100μg/g(1.71%)であった。
【0048】
〔参考例〕
市販テンペ(固形分42.0%)及びテンペ菌により大豆を発酵した大豆発酵物(固形分36.6%)について、3−HAAの含有量を測定した。検体に30mmol リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)を加え、粉砕後遠心分離し、上清液を得た。それぞれの上清液について、固形物当たりの3−HAA含有量を求めた。HPLCの測定条件は、実施例1と同様とした。分析結果を、表3に示す。比較として実施例4及び実施例5の固形物当たりの3−HAA含有量を示す。
なお、テンペ菌により大豆を発酵した大豆発酵物は、下記に示す国際公開第01/093696号公報(発明の名称「γ−アミノ酪酸及び遊離アミノ酸高含有発酵食品の製造方法」)<実施例8>記載の方法に従って、調製した。
※国際公開01/093696号公報<実施例8>記載の方法:脱皮大豆100gを0.2%酢酸溶液300mlに12時間浸漬し、120℃、5分間蒸煮し、蒸煮大豆を調製した。続いて蒸煮大豆にリゾプス オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)NBRC32003の菌株の胞子懸濁液1重量%を添加し、混合した。これを、表面に穴をあけたポリ袋に蒸煮大豆が厚さ1.5cm程度となるように充填した後に、30℃にて20〜22時間発酵後、20時間嫌気処理を行い、大豆発酵物を調製した。
【0049】
【表3】

【0050】
参考例について、市販テンペ及びテンペ菌により大豆を発酵した大豆発酵物についての3−HAA含有量は100μg/g以下と小さく、本発明の実施例4及び実施例5の3−HAA含有量は、これらの200倍以上であり、顕著に多いものであった。また、本発明品による3−HAA含有量は、本明細書の段落[0003]に記載している非特許文献1のテンペの凍結乾燥品の3−HAA含有量約50mg/固形物100g(500μg/g)よりも、顕著に多いものであった。
【実施例6】
【0051】
実施例4及び実施例5で得た本発明品について、β−カロテン退色法による抗酸化性の測定を行った。測定方法は、「津志田藤二郎、“食品機能性マニュアル:β−カロテン退色法による抗酸化性の測定”、[online]、2003年1月30日、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所、[2010年2月25日検索]、インターネット<URL:http://www.nfri.affrc.go.jp/yakudachi/manual/2-6.html>」に従った。
なお、溶媒は80%メタノールとし、抗酸化物質としてブチルヒドロキシアニソール(以下、「BHA」とする。)を用い、ブランクとして試料溶液の代わりに80%メタノールを用い、試料の処理前(0分)、50℃加熱処理45分、50℃加熱処理60分、のそれぞれについて、470nmの吸光度を測定し、次式から各試験溶液の退色抑制率を求めた。その結果を表4に示す。
【0052】
(45分経過)退色抑制率(%)=100×[1−(Abs45−Abs0)/B0]
(60分経過)退色抑制率(%)=100×[1−(Abs60−Abs0)/B0]
B0 :ブランクの0分の吸光度
Abs0 :試料の処理前(0分)の吸光度
Abs45:処理45分後の吸光度
Abs60:処理60分後の吸光度
【0053】
【表4】

【0054】
実施例6について、退色抑制率は、本発明品のいずれもブランクと比較して顕著に優れ、抗酸化物質としてのBHAとほぼ同等の値を示し、本発明品が顕著な抗酸化活性を有していた。
【実施例7】
【0055】
ドコサヘキサエン酸(以下、「DHA」とする。)を28%含有する魚油に対して、本発明品(実施例4)0.15重量%、ビタミンE0.3重量%、アスコルビン酸パルミテート0.3重量%、をそれぞれ添加した添加区を調製し、それぞれについて、油脂の酸化加速試験を行った。酸化加速試験は、油を入れた試験管を85〜90℃に設定したDRY THERMO UNIT(大洋科学工業株式会社製)に入れ、試験管1本当たり150ml/分通気しながら、加熱した。その後、一定の間隔で、過酸化物価(POV)測定を行った。なお、本発明品及びビタミンE、アスコルビン酸パルミテート、をそれぞれ油脂に溶解させるために、エタノール、水を配合して魚油に添加した。また、対照区としてこれらに替えてデキストリンを添加したものを調製し、他の試験区と同様に操作した。その結果を表5に示す。
【0056】
【表5】

【0057】
実施例7について、DHAを28%含有する魚油に対する抗酸化性については、本発明品(実施例4)添加区は、1.5時間経過及び2.5時間経過においてのいずれも、POV値がビタミンE添加区より小さな値であり、本発明品が顕著な抗酸化性能を有することを示した。
【実施例8】
【0058】
魚油を比較的多く含有するイワシのつみれについて、以下の配合例1の処方を用いて、本発明品(実施例4)を0.15重量%添加した添加区と、本発明品の替わりに、加工食品全般の消臭・抗酸化・日持向上を用途とする市販茶抽出物(三菱化学フーズ株式会社製「サンフードCD」)を0.15重量%添加した試験区を各100g調製し、それぞれについて、調製直後の官能風味、POV測定、冷蔵保存後のPOV測定を行い、酸化抑制効果の試験をした。なお、本発明品又は市販茶抽出物を添加しないものを100g調製し、対照区とした。その結果を表6に示す。
[配合例1]
次の処方で、イワシをミキサーで粉砕後、食塩、残余の配合成分を加えてすり鉢にて十分擂った後、沸騰浴中で3〜4分間加熱してイワシのつみれを調製し、透明パウチに入れて冷蔵保管した。
(材料) (重量%)
イワシ 61.8
馬鈴薯澱粉 12.4
砂糖 3.1
食塩 1.8
グリシン 1.5
グルタミン酸ナトリウム 0.4
水 18.85
本発明品(実施例4) 0.15
【0059】
【表6】

【0060】
実施例8について、イワシのつみれに対する酸化抑制効果については、本発明品(実施例4)添加区は、対照区(無添加)及び市販茶抽出物添加区に比べ、調製直後、冷蔵保存7日後のいずれもPOV値が低く、酸化が抑制された。官能風味については、本発明品(実施例4)添加区は、対照区(無添加)及び市販茶抽出物添加区に比べ、イワシらしい好ましい風味を有し、魚油の劣化が抑制されたものであり、本発明品が顕著な抗酸化性能を有することを示した。
【実施例9】
【0061】
本発明の抗酸化性組成物を食品、化粧品に用いた例を示す。
【0062】
[配合例2]
ゼラチンカプセルに本発明品(実施例5)200mgを充填し、キャップ部を結合し、抗酸化性組成物を含有するカプセル食品を調製した。
【0063】
[配合例3]
次の処方で常法により、湿式造粒し、打錠して錠剤を得た。
(成分) (重量%)
本発明品(実施例5) 35.0
乳糖 47.0
結晶セルロース 14.0
ヒドロキシプロピルセルロース 3.0
ステアリン酸マグネシウム 0.1
タルク 0.9
【0064】
[配合例4]
次の処方で常法により、化粧水を製造した。
(成分) (重量%)
本発明品(実施例4) 0.2
グリセリン 5.0
オレイルアルコール 0.1
ポリエキシエチレン(20)
ソルビタンモノラウリル酸エステル 0.5
エチルアルコール 10.0
香料 0.2
精製水 84.0
【0065】
[配合例5]
次の処方で常法により、クリームを製造した。
(成分) (重量%)
本発明品(実施例4) 3.0
ステアリン酸 8.0
ステアリルアルコール 4.0
ステアリン酸ブチル 6.0
プロピレングリコール 5.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
水酸化カリウム 0.4
防腐剤 適 量
酸化防止剤 適 量
香料 適 量
精製水 71.6
【0066】
[配合例6]
次の処方で常法により、ローションを製造した。
(成分) (重量%)
本発明品(実施例4) 3.0
エチルアルコール 15.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
防腐剤 0.1
精製水 81.8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムコール(Mucor)属に属する菌を、トリプトファンを添加した培地で培養することにより、3−ヒドロキシアントラニル酸を産生させることを特徴とする抗酸化性組成物の製造方法。
【請求項2】
ムコール(Mucor)属に属する菌が、ムコール インディカス(Mucor indicus)、ムコール シルシネロイデス(Mucor circinelloides)、ムコール ヒエマリス(Mucor hiemalis)、ムコール プシラス(Mucor pusillus)のうちから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の抗酸化性組成物の製造方法。
【請求項3】
培地に添加するトリプトファンの量が、少なくとも0.01重量%であることを特徴とする請求項1に記載の抗酸化性組成物の製造方法。
【請求項4】
培地が、少なくとも有機窒素成分を含有する素材と炭水化物若しくは炭水化物を含有する素材とを配合した培地、又は、少なくとも有機窒素成分を含有する素材と油脂若しくは油脂を含有する素材とを配合した培地、のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の抗酸化性組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の抗酸化性組成物の製造方法により得られることを特徴とする抗酸化性組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の抗酸化性組成物を含有することを特徴とする食品。
【請求項7】
請求項5に記載の抗酸化性組成物を含有することを特徴とする化粧品。

【公開番号】特開2011−229428(P2011−229428A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100944(P2010−100944)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000210067)池田食研株式会社 (35)
【Fターム(参考)】