説明

押しボタン装置及び遊技機

【課題】 操作部とスイッチ基板との距離を十分に保つとともに、これらの間に絶縁部材からなる押圧棒を介在させることで、スイッチ基板への静電気の侵入を遮断しながら、ガイド孔によって押圧棒の倒れ込みを防止することで、操作性を損なうことなく、押下操作をスイッチ基板に伝達させる。
【解決手段】 押しボタン装置100は、操作部110と、操作部110と所定の間隔をおいて配置され、オン/オフ信号を生成するスイッチ基板150と、操作部110とスイッチ基板150との間に介在され、押下操作をスイッチ基板150に伝達可能な長さを有する押圧棒142と、押圧棒142が挿通可能に形成されるとともに、押圧棒142を押下方向に沿って移動可能にガイドするガイド孔135と、を備え、押圧棒142をスイッチ基板150への静電気の侵入を遮断する所定の絶縁部材で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタン装置とこれを備える遊技機に関し、特に、押しボタン装置と接続されるその他の電子部品への静電気の侵入を遮断する押しボタン装置と、これを備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシン、パチンコ機などの遊技機には、遊技者による押下操作を検出する複数の押しボタンが設けられている。
例えば、スロットマシンには、内部的にクレジットされたメダルをゲームに投じるためのベットボタン、回転する複数のリールを停止させる停止ボタンなどの複数の押しボタンが設けられ、これらの押しボタンがスイッチとして動作して、遊技者による押下操作を電気信号に変換して出力することで、スロットマシンゲームを進行させることができるようになっている。
【0003】
また、近年では、複数の押しボタンの配設されたコントロールキー(例えば、特許文献1参照)を取り付けた遊技機も登場している。このコントロールキーは、ゲームと連動して所定の表示器に表示されるキャラクタなどの移動等の制御を可能にするもので、ゲーム性向上の一役を担っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−335084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような押しボタンは、電気回路を開閉する開閉スイッチであり、電気回路を構成する部品の一部であることから、このスイッチを通じて、遊技機に配設された全ての電子部品と電気的に接続されることになる。
また、このような押しボタンは、遊技者が直接操作可能に、外部に露出されていることから、電気回路内への静電気の進入が懸念される。
【0006】
静電気が電気回路内に侵入すると、遊技機を制御する主基板が静電気の影響により誤動作して、例えば、正規に払い出す数よりも余分に遊技媒体を払い出すような、予期せぬ動作を行うこともある。
不正行為者の中には、このような誤動作を悪用して、例えば、電子ライター等を用いて静電気を発生させ、押しボタンから静電気を進入させようとする者も見受けられる。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するために提案されたもので、押下操作における操作性を損なうことなく、電気回路内への静電気の侵入を効果的に遮断する遊技機用の押しボタン装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の押しボタン装置は、遊技機に取り付けられ、押下操作にもとづいて信号を出力する遊技機用の押しボタン装置であって、押下操作される操作部と、前記操作部と所定の間隔をおいて配置され、前記押下操作の有無に応じてオン/オフ信号を生成するスイッチ基板と、前記操作部と前記スイッチ基板との間に介在され、前記押下操作を前記スイッチ基板に伝達可能な長さを有する押圧棒と、前記押圧棒が挿通可能に形成されるとともに、前記押圧棒を押下方向に沿って移動可能にガイドするガイド孔と、を備え、前記押圧棒を、前記スイッチ基板への静電気の侵入を遮断する所定の絶縁部材で形成した構成としてある。
【0009】
また、本発明の遊技機は、遊技者により押下操作される押しボタン装置を備える遊技機であって、この押しボタン装置が、上記の押しボタン装置からなる構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る押しボタン装置とこれを備える遊技機によれば、操作部とスイッチ基板との距離を十分に保つとともに、これらの間に絶縁部材からなる押圧棒を介在させることで、スイッチ基板への静電気の侵入を遮断するので、遊技機に搭載された制御基板を静電気に起因する誤動作から保護することができる。また、ガイド孔によって押圧棒の倒れ込みを防止することで、操作性を損なうことなく、確実に押下操作をスイッチ基板に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る押しボタン装置の概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る押しボタン装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る押しボタン装置のA−A断面図であり、(a)は、押下操作前の無負荷状態を示し、(b)は押下操作時の状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る押しボタン装置が装着された遊技機の概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る押しボタン装置が装着された遊技機の内部構成を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る押しボタン装置が装着された遊技機の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[押しボタン装置]
以下、本発明に係る押しボタン装置の好ましい実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
本実施形態に係る押しボタン装置100は、図1に示すように、上面に複数の操作部110a〜110dが配設され、それぞれを押下操作することで、内蔵するスイッチ基板から電気信号を出力するスイッチであり、操作部110とスイッチ基板との距離を十分に保つとともに、これらの間に絶縁部材からなる押圧棒を介在させることで、スイッチ基板への静電気の侵入を遮断しながら、押圧棒をガイドするガイド孔によって押圧棒の倒れ込みを防止することで、操作性を損なうことなく、確実に押下操作をスイッチ基板に伝達することができるようになっている。
このような作用効果を発揮すべく、本実施形態の押しボタン装置100は、以下に示すように、複数の部品により構成されている。
【0013】
具体的には、本実施形態の押しボタン装置100は、図1及び2に示すように、操作部110(110a〜110d)と、上カバー120と、本体ケース130と、絶縁カバー140と、スイッチ基板150と、基板ホルダー160とで構成され、絶縁カバー140はゴム等の絶縁部材で形成されているものの、それ以外は所定の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート)で形成されている。
【0014】
操作部110a〜110dは、主に遊技者により押下操作される操作キーであり、それぞれが独立して別体で形成されている。
各操作部110は、上カバー120に形成された挿通孔121に下方から挿入されるものの、操作部110外周に形成された抜け止めリブ111により挿通孔121から脱抜不能となることで、上下動可能に上カバー120と本体ケース130との間に挟持される。
また、各操作部110の底面には、スイッチ基板150に向かって突出する押圧片112が形成されている。
【0015】
上カバー120は、略矩形状の板状部材であり、各操作部110の挿入される挿通孔121と、本体ケース130の貫通孔133に挿入される垂下片122とが形成されている。
垂下片122には、本体ケース130の係止爪134と係合する係止孔122aが形成され、垂下片122の貫通孔133への挿入に伴う押し込み操作により、係止孔122aと係止爪134とが係合して、上カバー120を本体ケース130に脱抜不能に固定することができるようになっている。
この固定により、各操作部110が上カバー120と本体ケース130との間に挟持される。
【0016】
本体ケース130は、操作部110を収容可能に凹設された上側部分と、絶縁カバー140とスイッチ基板150と基板ホルダー160とを収容可能に凹設された下側部分と、を有する略断面H状の筒型形状を有し、上側部分には、外方に延出するフランジ部132と、貫通孔133と、操作部110a〜110dに対応して設けられたガイド孔135(135a〜135d)とが形成されている。
【0017】
各ガイド孔135は、押圧片112及び絶縁カバー140に形成された押圧棒142が挿通可能な中空円筒状に形成されるとともに、押圧片112及び押圧棒142を押下方向に沿って移動可能にガイドする。
これにより、ゴムからなる押圧棒142が押圧片112により押されて倒れ込むことがなくなり、操作部110の押下操作が押圧棒142に確実に伝達されるとともに、ガイド孔135内における押圧棒142の円滑な上下動が図られる。
また、凹設された上側部分は、挿通孔121から侵入する粉塵、水滴などのスイッチ基板150への経路を遮断するように作用する。
【0018】
また、本体ケース130側面には、当該押しボタン装置100を遊技機に固定するための固定爪131と、係止爪134と、基板ホルダー160の係止爪161と係合する係止孔136とが形成されている。
【0019】
絶縁カバー140は、スイッチ基板150を被覆可能にキャップ状に形成された部品であり、弾性カバー部141と、各操作部110a〜110d及び各ガイド孔135a〜135dに対応して設けられた押圧棒142(142a〜142d)と、が形成されている。
【0020】
弾性カバー部141は、スイッチ基板150の固定端子151が配置された面とスイッチ基板150側面とを覆うとともに、各押圧棒142を操作部110側に弾性をもって付勢する。
また、弾性カバー部141には、図3(a)に示すように、スイッチ基板150との対向面側であって、各押圧棒142の底部(固定端子151との対向位置)には、操作部110の押下操作の有無に応じて、固定端子151に接触/離間する可動接点144が配置されている。
この可動接点144は、所定の導電部材で形成されるとともに、スイッチ基板150との対向面側に形成された凹部143に埋設され、押圧棒142が押圧されない限り、凹部143から突出することなく、固定端子151に接触しないようになっている。
【0021】
押圧棒142a〜142dは、弾性カバー部141表面から操作部110に向かって突出形成された中実の棒状部分である。
各押圧棒142は、押圧片112とスイッチ基板150との間に介在され、その間を埋めるとともに、その上面において押圧片112と当接しながら、操作部110を支持する。
このような押圧棒142は、操作部110からの押下操作を弾性カバー部141に伝えることで弾性カバー部141を弾性変形させるとともに、押下操作の解除による弾性カバー部141の復元力を操作部110に伝えることで、操作部110を無負荷状態の定位置に戻す。
【0022】
具体的には、押圧棒142は、図3(b)に示すように、操作部110が押下操作されると、その押下操作が押圧片112を介して押圧棒142に伝達され、押圧棒142が弾性カバー部141を弾性変形させる。このとき、ガイド孔135が、押圧片112と押圧棒142を押下方向に確実にガイドするので、押下操作は損失なく伝達される。
弾性カバー部141の弾性変形は、凹部143が押圧棒142により押し潰されることで達成され、この押し潰しにより、押圧棒142は凹部143内に押し込まれる。
その結果、可動接点144が凹部143から突出して、固定端子151に接触することになる。
【0023】
一方、押下操作が解除されると、凹部143の復元により、凹部143内に押し込まれた押圧棒142が上方に移動する。これにより、可動接点144が再び凹部143内に引っ込むことで固定端子151と離間するとともに、押圧棒142がその上面において押圧片112を押し上げることで、操作部110が上方に移動する。
押下操作の解除においても、ガイド孔135が押圧片112と押圧棒142を押下方向に沿って上方にガイドするので、操作部110が無負荷状態の定位置に確実に戻ることになる。
【0024】
このように、押圧棒142は押下操作により倒れ込み易いゴム等の弾性部材でありながら、ガイド孔135にガイドされることで、押下方向に沿って確実に移動することから、操作性を損なうことなく、確実なスイッチング効果が得られるようになっている。
また、弾性カバー部141のみならず、押圧棒142も弾性部材により形成されていることから、強く押下操作されたときに、これらが押圧力を減衰させるように作用するため、押しボタン装置としての耐久性が向上する。
【0025】
スイッチ基板150は、各押圧棒142a〜142dに対応して設けられた固定端子151(151a〜151d)のプリントされたプリント基板であり、各押圧棒142に対応する可動接点144の接離に応じて、それぞれオン/オフ信号を生成する。
各固定端子151には、可動接点144がそれぞれ同時に接触可能な二つの固定端子を有し、接触した可動接点144により二つの固定端子が電気的に導通する。
これにより、一方の端子をプラス側に接続するとともに、他方の端子をマイナス側(グランド)に接続することで、可動接点144の接離に応じて、各端子から、例えば、電位の高低を示すオン/オフ信号が出力されることになる。
このオン/オフ信号は、スイッチ基板150裏面に配置されたコネクタ152から取り出すことができる。
【0026】
基板ホルダー160は、本体ケース130の下側部分に挿入可能なリング状に形成された部品であり、その側面に本体ケース130の係止孔136と係合する係止爪161が形成されている。
また、基板ホルダー160上面は、スイッチ基板150の裏面側周縁に当接し、係止爪161と係止孔136との係合により、本体ケース130の下側部分に収容された弾性カバー140とスイッチ基板150を取り出し不能に支持する。
以上のような構成からなる押しボタン装置100は、以下のように動作する。
【0027】
図3(a)に示すように、押圧片112(操作部110)とスイッチ基板150とは、所定の間隔(例えば、8〜15mm)をおいて配置されている。これにより、人体に帯電した静電気や、電子ライター等で強制的に発生させた静電気が、操作部110からスイッチ基板150に直接侵入する経路が遮断される。
【0028】
また、上記間隔を補いながら、押圧片112を支持する押圧棒142cは、絶縁部材で形成されていることから、静電気はこの絶縁部材により侵入経路が閉ざされ、操作部110からスイッチ基板150への電荷の移動が妨げられる。
さらに、絶縁カバー140(弾性カバー部141)は、スイッチ基板150の固定端子151側を覆うのみならず、その周縁をすべて包囲する。これにより、静電気の操作部110からの侵入のみならず、本体ケース130から周り込んで侵入する経路も遮断されることになる。また、静電気の侵入に加え、粉塵や水滴の侵入も阻まれることになる。
【0029】
このように、押圧棒142と弾性カバー部141とを備える絶縁カバー140を設けることで、スイッチ基板150への静電気の侵入経路を遮断することができるため、固定端子151に接続される電気回路への静電気の侵入が阻止される。これにより、この押しボタン装置100を装着する遊技機に設けられた制御基板(例えば、主基板)などの電子部品を、静電気による誤動作から保護することができる。
【0030】
また、操作部110とスイッチ基板150との間に押圧棒142を介在させることで、静電気の侵入経路を遮断することができるとともに、ガイド孔135が押圧棒142を押下方向に沿って確実にガイドすることから、押下操作はスイッチ基板150に確実に伝達されるので、操作性を損なうこともない。
【0031】
また、各操作部110a〜110dは、独立した別体として形成されるとともに、それぞれがガイド孔135a〜135d及び押圧棒142a〜142dを個々に備えている。
このため、各操作部110は、他の操作部110から何ら影響を受けることなく、上記の作用効果を発揮することになる。
さらに、二以上の操作部110を同時に操作することもできるので、各操作部110に対応した四つの信号に加え、同時に押下操作する操作部110の組合せに応じて、新たな複数の信号を出力することができ、押下操作に対応する演出のバリエーションを広げることができる。
一方、特許文献1に記載のコントロールキーは、複数の操作部が一体に形成された十字キーからなるため、キーを傾動操作、すなわち斜めに押下操作することから、傾動により斜めに倒れ込み易い押圧棒のみならず、ガイド孔を設けることも極めて困難であるとともに、複数の操作部を同時に操作することもできない。
【0032】
[スロットマシン]
次に、本発明に係る押しボタン装置を備える遊技機の好ましい実施形態について、図4〜図6を参照して説明する。
遊技機には、スロットマシン、パチンコ機など様々な種類があるが、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。
本実施形態のスロットマシン1は、複数のリールを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得できる一般的な回胴式遊技機でありながら、本発明に係る押しボタン装置100を備えることで、押しボタン装置100からの静電気の侵入が遮断されるようになっている。
以下、本実施形態に係るスロットマシン1の各部の構成について詳述する。
【0033】
スロットマシン1は、正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成され、内部には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部10(主制御基板)、制御部10からの指令により、表示器8,スピーカ9,LED等のランプ類を制御する演出制御部20(サブ制御基板)、及び必要な機械,装置等が収納されている。
【0034】
前扉1aは、図5に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る複数の操作手段が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0035】
操作手段としては、メダルが投入されるメダル投入口2と、装置内部にクレジットとして貯留されたメダルをゲームに投じるベットボタン2aと、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cと、本発明に係る押しボタン装置100が設けられている。
【0036】
押しボタン装置100は、その取り付け面に形成された貫通孔(不図示)に挿入されるとともに、前述のフランジ部132裏面と固定爪131とでこの取り付け面を挟持することで、脱抜不能に固定されている。
さらに、前扉1aには、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認可能とする表示窓6が、各操作手段の上側に設けられている。また、前扉1a上部には、効果音等の出力されるスピーカ9が設けられている。
【0037】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41a,41b,41cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ2bにより検出されるとともに、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0038】
スロットマシン1では、上記の各操作手段からの信号やメダルセレクタ2bからの信号にもとづき、制御部10が、ドラムユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技が進行する。
【0039】
具体的には、遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ2bにより検出され、検出信号が制御部10に入力される。また、ベットボタン2aが操作された場合は、その検出信号が制御部10に入力される。制御部10は、これらの検出信号の入力数からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
ゲーム可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、制御部10は、ドラムユニット4を駆動して、各リール41a,41b,41cを回転させる制御を行う。
【0040】
さらに、制御部10は、スタートレバー3が操作されたときに、ボーナス役、小役、再遊技役、ハズレの複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象を抽選する内部抽選を行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cの停止制御を行う。
【0041】
また、制御部10は、各リール41a,41b,41cに停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口7bから払い出す。
【0042】
また、スロットマシン1では、上述したようなスロットマシン遊技において、制御部10が所定の遊技タイミング(例えば、スタートレバー操作、停止ボタン操作、ボーナスゲーム開始、ボーナス役当選)に応じた所定の制御信号を演出制御部20に出力することで、演出制御部20が、この制御信号に従い、予め記憶した演出プログラムに基づき、表示器8、スピーカ9等を制御して、所定の遊技演出を行うようになっている。
【0043】
演出制御部20は、コンピュータとして構成され、表示制御部20aと音制御部20bとを制御することで、映像演出及び音響演出を行う。
また、演出制御部20には、押しボタン装置100が接続され、遊技者による操作部110の押下操作を検出して遊技演出に反映させる。
【0044】
演出制御部20は、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行処理することで、表示制御部20aと音制御部20bとを制御して、表示器8に所定の画像を表示させるとともに、スピーカ9から所定の音声を出力させる。
具体的には、演出制御部20は、制御部10からの制御信号にもとづいてスロットマシン1のそのときの状態を判定し、その状態に応じた演出を行うように表示制御部20aと音制御部20bとに指示し、この指示を受けた表示制御部20aと音制御部20bが、この指示に従った画像データ、音声データを以下のように出力するようになっている。
【0045】
表示制御部20aは、例えば、画像制御用のプロセッサ(VDPなど)、VRAM、画像データを記憶した画像ROMなどから構成され、演出制御部20からの指示に従い、背景、文字等のキャラクタなどの画像データを表示器8に表示する。
演出制御部20は、操作部110a〜110dの操作にもとづいて、押しボタン装置100からそれぞれ独立して入力されるオン/オフ信号により、表示器8に表示されたキャラクタ等を移動制御や、複数のキャラクタから特定のキャラクタを選択する選択制御などを行う。すなわち、押しボタン装置100は、操作部110a〜110dの押下操作にもとづいてそれぞれ独立してオン/オフ信号を出力するコントロールキーとして動作するようになっている。
これにより、二以上の操作部110を同時に操作することもできるので、各操作部110に対応した四つの信号に加え、同時に押下操作する操作部110の組合せに応じて、新たな複数の信号を出力することができ、押下操作に対応する演出のバリエーションを広げることができる。
【0046】
音制御部20bは、例えば、PCM音源、音声データを記憶した音声ROM、アンプなどから構成され、演出制御部20からの指示に従い、音声データを再生してスピーカ9から出力する。音声ROMには、効果音データ、音声データなどが記憶されている。
【0047】
このような構成からなるスロットマシン1において、押しボタン装置100は、スイッチ基板150のコネクタ152を介して演出制御部20と直接、又は所定の中継基板を経て接続されている。
また、演出制御部20は、制御信号の伝送されるケーブルにより直接、又は図示しない電源基板との接続ケーブル(電源ライン、GNDライン)を介して間接的に、制御部10と接続されている。
【0048】
このような回路構成によれば、従来の押しボタン装置であれば、押しボタン装置から侵入した静電気が、演出制御部20のみならず、演出制御部20又は電源基板を介して制御部10に伝わることになる。
ところが、本実施形態に係る押しボタン装置100は、弾性カバー部141と押圧棒142とが設けられているので、スイッチ基板150への静電気の侵入経路が遮断され、これに接続された演出制御部20のみならず、制御部10への静電気の移動が阻止されることになり、これらの制御部品を静電気による誤動作から保護することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、押しボタン装置100からの静電気の侵入が遮断されるので、静電気に起因する誤動作から、演出制御部20のみならず、制御部10を保護することができる。
【0050】
以上、本発明の押しボタン装置と、これを備える遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る押しボタン装置と遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0051】
例えば、本実施形態では、押圧棒142と弾性カバー部141と一体に形成したがそれぞれを別体に形成することもできる。
この場合、押圧棒142は、さらに耐電圧特性に優れた絶縁部材で形成することもできる。例えば、押圧棒142を絶縁被覆部材(例えば、溶射法などによりアルミナ、セラミックなどの絶縁部材を被覆させる)でコーティングすることもできる。
また、このコーティングは、押圧棒142と一体又は別体に形成された弾性カバー部141にも施すことができる。
【0052】
本実施形態では、押しボタン装置100を、固定爪131を用いてスロットマシン1に取り付けたが、ネジ止め、圧入、接着などその他の固定手段を用いて取り付けることができる。
【0053】
また、本実施形態では、本発明に係る押しボタン装置を、演出制御用の押しボタンに適用したが、停止ボタンやベットボタンなど遊技機に設けられるすべての押しボタンに適用することができる。
また、本実施形態では、本発明に係る押しボタン装置を、スロットマシンに適用したが、パチンコ機やその他の遊技機にも適用可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、押下操作される押しボタンを備える遊技機に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
3 スタートレバー
4 ドラムユニット
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 表示窓
7 メダル払出装置
8 表示器
9 スピーカ
10 制御部
20 演出制御部
100 押しボタン装置
110(110a〜110d) 操作部
135(135a〜135d) ガイド孔
141 弾性カバー部
142(142a〜142d) 押圧棒
144 可動接点
150 スイッチ基板
151(151a〜151d) 固定端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に取り付けられ、押下操作にもとづいて信号を出力する遊技機用の押しボタン装置であって、
押下操作される操作部と、
前記操作部と所定の間隔をおいて配置され、前記押下操作の有無に応じてオン/オフ信号を生成するスイッチ基板と、
前記操作部と前記スイッチ基板との間に介在され、前記押下操作を前記スイッチ基板に伝達可能な長さを有する押圧棒と、
前記押圧棒が挿通可能に形成されるとともに、前記押圧棒を押下方向に沿って移動可能にガイドするガイド孔と、を備え、
前記押圧棒を、前記スイッチ基板への静電気の侵入を遮断する所定の絶縁部材で形成した
ことを特徴とする遊技機用の押しボタン装置。
【請求項2】
前記押圧棒と前記スイッチ基板との間において、前記スイッチ基板の前記押圧棒と対向する面を覆うとともに前記スイッチ基板の周縁を囲み、前記押圧棒を前記操作部側に付勢する弾性カバー部を介在させ、
前記弾性カバー部を前記絶縁部材で形成した
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機用の押しボタン装置。
【請求項3】
前記スイッチ基板は、離間して配置された二つの固定端子を有し、
前記弾性カバー部は、
前記押下操作の有無に応じて前記二つの固定端子に接離可能に配置された可動接点を、前記スイッチ基板に面する対向面側に有するとともに、
前記可動接点を前記対向面から突出させることなく埋設する凹部が形成され、
前記凹部の形成された部分の裏面側には、前記押圧棒が配置され、
前記可動接点は、前記押下操作により、前記対向面から前記スイッチ基板側に突出して前記二つの固定端子のそれぞれに接触する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機用の押しボタン装置。
【請求項4】
前記押圧棒は、
前記弾性カバー部と一体に形成されるとともに、
前記弾性カバー部表面から前記操作部に向かって突出形成された
ことを特徴とする請求項2又は3記載の遊技機用の押しボタン装置。
【請求項5】
それぞれ別体に形成された複数の前記操作部と、前記複数の各操作部それぞれに対応する前記押圧棒と、前記複数の押圧棒それぞれに対応する前記ガイド孔と、一の前記スイッチ基板と、を備え、
前記スイッチ基板は、前記各操作部における押下操作の有無に応じてそれぞれ前記オン/オフ信号を生成する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技機用の押しボタン装置。
【請求項6】
遊技者により押下操作される押しボタン装置を備える遊技機であって、
前記押しボタン装置は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の押しボタン装置からなる
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−226985(P2012−226985A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93696(P2011−93696)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】