押圧装置及びそれを備えた画像形成装置
【課題】変位用出力部の回転出力を直動運動に変換して、被押圧部を被押圧部で押圧したり解除したりする押圧装置において、変位用出力部が過負荷にならない押圧装置及びそれを備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1の押圧装置100は、第2部材Kを接近状態から離間状態に変位させる接近部材変位機構120と、を備える。接近部材変位機構120は、変位用出力部160の回転力の伝達を受ける第1回転伝達体134と、第1回転伝達体134の回転力の伝達を受ける第2回転伝達体138と、第2回転伝達体138の回転運動を直線運動に変換し、第2部材Kを離間状態にする回転直動変換部140と、を有する。第2回転伝達体138は、第1楕円歯車134が回転するに伴って、第1回転伝達体134から第2回転伝達体138への減速比が小さくなるように、第1回転伝達体134の回転力の伝達を受ける。
【解決手段】画像形成装置1の押圧装置100は、第2部材Kを接近状態から離間状態に変位させる接近部材変位機構120と、を備える。接近部材変位機構120は、変位用出力部160の回転力の伝達を受ける第1回転伝達体134と、第1回転伝達体134の回転力の伝達を受ける第2回転伝達体138と、第2回転伝達体138の回転運動を直線運動に変換し、第2部材Kを離間状態にする回転直動変換部140と、を有する。第2回転伝達体138は、第1楕円歯車134が回転するに伴って、第1回転伝達体134から第2回転伝達体138への減速比が小さくなるように、第1回転伝達体134の回転力の伝達を受ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を離間状態になるように押圧する押圧装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置は、一般的に、像担持体(感光体ドラム)と、像担持体に形成された静電潜像をトナー画像に変換する現像器と、トナーを収容するトナー収容部(「トナーカートリッジ」などとも呼ばれる)と、像担持体に形成されたトナー画像をシートとしての用紙に中間転写ベルトを介して転写する転写部と、用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着部と、用紙を転写部や定着部などに搬送するシート搬送部と、を備える。
【0003】
中間転写ベルトが感光体ドラムに接近したり、離間したりすることができるように、中間転写ベルトは、駆動ローラ、テンションローラなどに掛け渡される。例えば、画像形成装置は、中間転写ベルトにおいて感光体ドラムと反対側に配置される1次転写ローラと中間転写ベルトを感光体ドラムに向けて1次転写ローラを押圧するバネとを有する押圧装置と、1次転写ローラの押圧を解除させる押圧解除装置とを備える(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の画像形成装置の押圧解除装置は、変位用出力部としてのモータの出力軸の回転運動を直動運動に変換する変換機構を備える。変換機構は、ウオームホイール及び平歯車や、ウオームホイール及びはすば歯車を有する。押圧解除装置は、モータが作動すると、変換機構によって、1次転写ローラを中間転写ベルトにおいて感光体ドラムと反対側に移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−265337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置では、変換機構がウオームホイールや平歯車などで構成されているので、1次転写ローラを移動させている間、変換機構の歯車比が変化しない。つまり、モータの出力が一定であれば、変換機構によって変換された出力も一定である。
一方、中間転写ベルトと感光体ドラムとを大きく離間させることに伴って、押圧装置のバネのたわみが大きくなる。このため、押圧装置のバネのたわみが大きくなることに伴って、モータが過負荷になる。例えば、モータが過負荷になることに伴って、モータの負荷トルクが上昇し、モータが多くの電流を消費したり、変換機構の歯車等が破損したりすることが懸念される。
また、画像形成装置では、1次転写ローラ以外の多くの種類の押圧解除装置が存在する。これらの押圧解除装置もモータの出力軸の回転出力によって作動するので、1次転写ローラの押圧解除装置と同様のモータの過負荷が懸念される。
【0006】
本発明は、第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を離間状態になるように押圧する押圧装置が第2部材を接近状態の位置から離間状態の位置へ変位させる動作において、変位用出力部が過負荷になりにくい押圧装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を前記離間状態になるように押圧する押圧装置であって、前記第2部材を前記接近状態になるよう押圧する押圧力付与機構と、前記第2部材を前記接近状態から前記離間状態に変位させる接近部材変位機構と、前記接近部材変位機構を作動させる変位用出力部と、を備え、前記接近部材変位機構は、前記変位用出力部の回転力の伝達を受ける第1回転伝達体と、前記第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける第2回転伝達体と、前記第2回転伝達体の回転運動を往復運動に変換し、前記第2部材を前記離間状態にする回転直動変換部と、を有し、前記第2回転伝達体は、前記第1回転伝達体が回転することに伴って、前記第1回転伝達体から前記第2回転伝達体への減速比が小さくなるように、かつ、前記第1部材と前記第2部材とが前記離間状態から前記接近状態に変位するように、前記第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける、画像形成装置の押圧装置に関する。
【0008】
また、前記第1回転伝達体は、ピッチ円が非円形の第1非円形歯部を有し、前記第2回転伝達体は、前記第1非円形歯部と噛み合う、かつ、ピッチ円が非円形の第2非円形歯部を有することが好ましい。
【0009】
また、前記押圧力付与機構は、前記第1部材と前記第2部材とが前記接近状態の位置から前記離間状態の位置に変位することに伴って、前記第2部材を前記第1部材に押圧する押圧力が増加するバネを有することが好ましい。
【0010】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成部と、上述の押圧装置とを備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第2回転伝達体は、第1回転伝達体が回転することに伴って、第1回転伝達体から第2回転伝達体への減速比が小さくなるように、第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける。このため、第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を離間状態になるように押圧する押圧装置が第2部材を接近状態の位置から離間状態の位置へ変位させる動作において、変位用出力部が過負荷になりにくい押圧装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態としてのコピー機1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】図1に示す画像形成部GKに設けられた第2部材としての中間転写ベルト保持フレームKを説明するための斜視図である。
【図3】図2に示す画像形成部GKに設けられた第2部材としての中間転写ベルト保持フレームKを説明するための別の斜視図である。
【図4】図3に示す押圧装置100の拡大斜視図である。
【図5】図1に示すコピー機1におけるカラー印刷時における感光体ドラム2a、2b、2cと中間転写ベルト7とが接近状態になっている状態を説明するための模式図である。
【図6】図1に示すコピー機1における白黒印刷時における感光体ドラム2a、2b、2cと中間転写ベルト7とが離間状態になっている状態を説明するための模式図である。
【図7】図4の押圧装置100の第1回転伝達体である第1楕円歯車134と第2回転伝達体である第2楕円歯車138とカム板141との形状及び位置関係を説明するための図である。
【図8】図7に示した第1回転伝達体の第1楕円歯車134と第2回転伝達体の第2楕円歯車138との回転速度比の変化の様子を示すグラフである。
【図9】図4に示した押圧装置100の動作を説明するための拡大斜視図である。
【図10】図9に続く押圧装置100の動作を説明するための拡大斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態としてのコピー機1aの定着部9の接近状態における加熱ローラ9aと、加圧ローラ9bとの位置関係を説明するための斜視図である。
【図12】図11に示したコピー機1aの定着部9の離間状態における加熱ローラ9aと、加圧ローラ9bとの位置関係を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の第1実施形態に係るコピー機1について説明する。
図1から図6に示すように、本実施形態における画像形成装置としてのコピー機1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態としてのコピー機1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。図2は、図1に示す画像形成部GKに設けられた第2部材としての中間転写ベルト保持フレームKを説明するための斜視図である。図3は、図2に示す画像形成部GKに設けられた第2部材としての中間転写ベルト保持フレームKを説明するための別の斜視図である。
図4は、図3に示す押圧装置100の拡大斜視図である。図5は、図1に示すコピー機1におけるカラー印刷時における感光体ドラム2a、2b、2cと中間転写ベルト7とが接近状態になっている状態を説明するための模式図である。図6は、図1に示すコピー機1における白黒印刷時における感光体ドラム2a、2b、2cと中間転写ベルト7とが離間状態になっている状態を説明するための模式図である。
【0014】
<コピー機1>
図1に示すように、画像形成装置としてのコピー機1は、コピー機1における上方側に配置される画像読取装置200と、コピー機1における下方側に配置され画像読取装置200からの画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する装置本体Mと、を備える。
【0015】
<画像読取装置200>
画像読取装置200について説明する。
図1に示すように、画像読取装置200は、蓋部材70と、原稿Gの画像を読み込む読取部201と、を備える。
蓋部材70は、読取部201に対して不図示の連結部により開閉可能に連結される。蓋部材70は、後述する読取面202Aを保護する機能を有する。
【0016】
読取部201は、読取面202Aと、内部空間204に配置される光源としてのランプ240と、複数のミラー221、222及び223と、結像レンズ230と、読取手段としてのCCD235と、CCD235により読み取られた画像データに対し所定の処理をすると共に該画像データを装置本体M側に出力させるCCD基板236と、を備える。
【0017】
読取面202Aは、原稿Gが載置されるコンタクトガラス202の垂直方向上面に沿って形成される。
読取部201は、内部空間204に配置され読取面202Aと平行な方向に移動する第1枠体211及び第2枠体212と、を備える。上述のランプ240及びミラー221は、第1枠体211に収容される。また、ミラー222及び223は、第2枠体212に収容される。
【0018】
読取部201の内部空間204において、複数のミラー221、222及び223は、原稿Gからの光を結像レンズ230に入光させるための光路Hを形成する。また、第1枠体211が副走査方向Xに一定速度Aで移動すると共に、第2枠体212が副走査方向Xに一定速度A/2で移動するので、画像読み取り動作時においても光路Hの長さは一定に保持される。これにより、読取面202Aに載置された原稿Gの画像が読み取られる。
【0019】
装置本体Mについて説明する。
装置本体Mは、所定の画像情報に基づいて用紙Tに所定の画像を形成する画像形成部と、用紙Tを画像形成部に給紙すると共に画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部とを有する。
【0020】
画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0021】
給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、第1排紙部50aと、第2排紙部50bとを備える。
【0022】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
<画像形成部GK>
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対して、上流側から下流側に順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
【0023】
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、定着部9による定着が行われる。
【0024】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向(矢印Xの方向)に対して垂直な方向(矢印Yの方向)に延びる回転軸を有する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの回転軸を中心に回転可能に装置本体Mに配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成される。
【0025】
帯電部10a、10b、10c、10dは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0026】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0027】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、読取部201により読み込まれた画像に関する画像情報に基づいて感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に帯電した電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0028】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、各色のトナー画像を現像する(感光体ドラムの表面にトナー画像を形成する)。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つのトナー色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置可能な現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成される。
【0029】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dは、それぞれ、現像器16a、16b、16c、16dに対応して設けられている。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dは、それぞれ、現像器16a、16b、16c、16dに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dは、それぞれ、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0030】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。
【0031】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに現像された各色のトナー画像が順次転写される。中間転写ベルト7は、駆動ローラ35、対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡される。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
図2から図4に示すように、中間転写ベルト7、1次転写ローラ37a、37b、37c、37d、駆動ローラ35、テンションローラ36は、矢印Xの方向及び矢印Yの方向に広がる枠状の中間転写ベルト保持フレームK(図2及び図3参照)に保持されている。矢印Xの方向における中間転写ベルト保持フレームKの駆動ローラ35側は、駆動ローラ35の回転軸を中心に矢印Zの方向に揺動可能に装置本体Mに支持されている。矢印Xの方向における中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側は、矢印Zの方向に揺動可能に、装置本体Mに取り付けられた押圧装置100(図2及び図3参照)に支持されている。
【0032】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置される。
【0033】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとの間で、中間転写ベルト7における所定部分が挟み込まれる。
1次転写ローラ37a、37b、37cは中間転写ベルト保持フレームKに支持されている。一方、1次転写ローラ37dは装置本体Mに支持されている。
【0034】
図5に示すように、押圧装置100の接近部材変位機構120(図3及び図4参照)によって、中間転写ベルト保持フレームKを介して1次転写ローラ37a、37b、37cが感光体ドラム2a、2b、2cに接近した接近状態にされると、この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色トナー画像が中間転写ベルト7に順次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、カラーのトナー画像が形成される。
【0035】
また、図6に示すように、押圧装置100の接近部材変位機構120によって、中間転写ベルト保持フレームKを介して1次転写ローラ37a、37b、37cが感光体ドラム2a、2b、2cから離間した離間状態にされると、この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2dにおける表面のみに押し当てられる。このため、感光体ドラム2dと1次転写ローラ37dとの間で、1次転写ニップN1dのみが形成される。1次転写ニップN1dにおいて、感光体ドラム2dに現像されたブラック色のトナー画像が中間転写ベルト7に転写される。これにより、中間転写ベルト7には、黒色のトナー画像が形成される。
【0036】
図1に示すように、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の電圧印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色トナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0037】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0038】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナーを所定の回収機構へ搬送させて、回収させる。
【0039】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の電圧印加手段により、中間転写ベルト7に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0040】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して接離される。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置(離間状態)とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には、当接位置に移動され、他の場合には離間位置(離間状態)に移動される。
【0041】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8に対向する側には、対向ローラ18が配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。
そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(画像が1次転写された面)に押し当てられる。2次転写ローラ8と対向ローラ18との間で2次転写ニップN2が形成される。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたトナー画像が用紙Tに2次転写される。
【0042】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色トナーを溶融して定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱ローラ9aと、加熱ローラ9aに圧接される加圧ローラ9bと、を備える。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟持するようにして搬送する。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間に挟持されるように用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融し、定着される。
【0043】
<給排紙部KH>
次に、給排紙部KHについて説明する。
装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が2個上下に配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し方向F1側の端部に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対63からなる重送防止機構を備える。
【0044】
装置本体Mの右側面(用紙送り出し方向F1と反対の方向側の側面)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさの用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。手差し給紙部64は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0045】
装置本体Mにおける上方側には、第1排紙部50a及び第2排紙部50bが設けられる。第1排紙部50a及び第2排紙部50bは、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
第1排紙部50a及び第2排紙部50bの詳細については後述する。
【0046】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ローラ8までの第1搬送路L1と、2次転写ローラ8から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から第1排紙部50aまでの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を搬送する用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、第3搬送路L3を搬送する用紙を後処理装置(図示せず)に搬送する後処理搬送路Lcとを備える。
【0047】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、後処理搬送路Lcが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出された用紙Tの搬送方向を、第1排紙部50aに向かう第3搬送路L3又は第2排紙部50bに向かう後処理搬送路Lcに整流させる(切り換える)。
【0048】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサと、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正やトナー画像とのタイミングを合わせるためのレジストローラ対80が配置される。センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(上流側)に配置される。レジストローラ対80は、センサからの検出信情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0049】
戻し搬送路Lbは、用紙Tの両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(非印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、感光体ドラム2により非印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0050】
第3搬送路L3における端部には、第1排紙部50aが形成される。第1排紙部50aは、装置本体Mにおける上方側に配置される。第1排紙部50aは、装置本体Mの右側面側(用紙送り出し方向F1と反対の方向側、手差し給紙部64側)に向けて開口している。第1排紙部50aは、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
【0051】
第1排紙部50aにおける開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定画像が転写され第1排紙部50aから排紙された用紙Tが積層して集積される。
【0052】
後処理搬送路Lcにおける端部には、第2排紙部50bが形成される。第2排紙部50bは、装置本体Mにおける上方側に配置される。第2排紙部50bは、装置本体Mの左側面側(用紙送り出し方向F1側、後処理装置が連結される側)に向けて開口している。第2排紙部50bは、後処理搬送路Lcを搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
第2排紙部50bにおける開口側には、不図示の後処理装置が連結される。後処理装置は、画像形成装置(コピー機1)から排出される用紙の後処理(ステープル、パンチ等)を行うものである。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
【0053】
次に、主搬送路L1〜L3(第1搬送路L1、第2搬送路L2及び第3搬送路L3を合わせて以下「主搬送路」ともいう)及び戻り搬送路Lbにおける紙詰まり(JAM)を解消するための構造について簡単に説明する。
装置本体Mの左側面側(用紙送り出し方向F1側)には、主搬送路L1〜L3及び戻り搬送路Lbが主に上下方向に延びるように並列している。装置本体Mの左側面側(用紙送り出し方向F1側)には、装置本体Mの側面の一部を形成するように、カバー体40が設けられている。カバー体40は、その下端部において、支点軸43を介して装置本体Mに連結されている。支点軸43は、その軸方向が主搬送路L1〜L3及び戻り搬送路Lbを横断する方向に沿って配設されている。カバー体40は、支点軸43を中心として閉位置(図1に示す位置)と開位置(図示せず)との間を回動自在に構成されている。
【0054】
カバー体40は、支点軸43によって装置本体Mに回動自在に連結された第1のカバー部41と、同じ支点軸43によって装置本体Mに回動自在に連結された第2のカバー部42とから構成されている。第2のカバー部42は、第1のカバー部41よりも装置本体Mの外側(側面側)に位置する。なお、図1において、右下がりの破線でハッチングされた部分が第1のカバー部41であり、右上がりの破線でハッチングされた部分が第2のカバー部42である。
【0055】
カバー体40が閉位置に位置する状態において、第1のカバー部41は、その外面側が装置本体Mの外面(側面)の一部を形成している。
また、カバー体40が閉位置に位置する状態において、第2のカバー部42は、その内面側(装置本体M側)が主搬送路L1〜L3の一部を形成している。
さらに、カバー体40が閉位置に位置する状態において、第1のカバー部41の内面側と第2のカバー部42の外面側とが、戻り搬送路Lbの少なくとも一部を形成している。つまり、戻り搬送路Lbは、第1のカバー部41と第2のカバー部42との間に形成されている。
【0056】
本実施形態のコピー機1は、このような構成のカバー体40を備えることにより、主搬送路L1〜L3で紙詰まり(JAM)が発生した際には、カバー体40を図2に示す閉位置から、開位置(図示せず)に回動して主搬送路L1〜L3を開放することにより、主搬送路L1〜L3に詰まった用紙を処理することができる。一方、戻り搬送路Lbで紙詰まりが発生した際には、カバー体40を開位置に回動した後、支点軸43を中心に第2のカバー部42を装置本体M側(用紙送り出し方向F1とは反対側)に回動させて戻り搬送路Lbを開放することにより、戻り搬送路Lbに詰まった用紙を処理することができる。
【0057】
<押圧装置100>
次に押圧装置100について説明する。図7は、図4の押圧装置100の第1回転伝達体である第1楕円歯車134と第2回転伝達体である第2楕円歯車138とカム板141との形状及び位置関係を説明するための図である。図8は、図7に示した第1回転伝達体の第1楕円歯車134と第2回転伝達体の第2楕円歯車138との回転速度比の変化の様子を示すグラフである。図9は、図4に示した押圧装置100の動作を説明するための拡大斜視図である。図10は、図9に続く押圧装置100の動作を説明するための拡大斜視図である。
【0058】
図2及び図3に示すように、押圧装置100は、押圧力付与機構150と、接近部材変位機構120と、変位用出力部160とを備える。押圧装置100は、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側を、矢印Zの方向の上側に変位可能に支持している。
【0059】
図3及び図4に示すように、押圧力付与機構150は、矢印Zの方向において、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側が下側に変位するように、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側の端部を付勢している。具体的には、押圧力付与機構150は、バネから形成されている。つまり、自然長の状態であったバネは、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが接近状態の位置から離間状態の位置(矢印Zの方向において上方向)に変位することに伴って、たわみ、圧縮される。したがって、バネのたわみ寸法に応じた反力は、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側の端部に作用することになる。このため、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが接近状態の位置から離間状態の位置(矢印Zの方向において上方向)に変位することに伴って、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側の端部に押圧する押圧力が増加する。バネは、例えばコイルバネである。コイルバネの場合、そのコイルバネが倒れないように、コイルバネは、中間転写ベルト保持フレームKに形成された柱144に差し込まれている。
【0060】
変位用出力部160は、モータ162とウオームギア172とを備えている。モータ162は、装置本体Mに相対的に移動不能に取り付けられている。モータ162は、不図示の制御部からの信号に基づいて、出力軸164を正転又は逆転させる。ウオームギア172は、モータ162の出力軸164に、相対的に回転不能に取り付けられている。
【0061】
接近部材変位機構120は、第1歯車部132と、第2歯車部136と、回転直動変換部140と、を備える。第1歯車部132と、第2楕円歯車138と、回転直動変換部140とは、装置本体Mに取り付けられている。
第1歯車部132は、ウオームギア172に噛合うウオームホイール174と、ウオームホイール174に相対的に回転不能に連結されている第1楕円歯車(第1回転伝達体)134とを備える。
第2歯車部136は、第1楕円歯車134に噛合う第2楕円歯車(第2回転伝達体)138と、第2楕円歯車138に相対的に回転不能に連結されている出力軸176とを備える。
【0062】
図7に示すように、第1回転伝達体である第1楕円歯車134は、ピッチ円が非円形である楕円の歯車である。したがって、第1楕円歯車134は、ピッチ円が非円形の第1非円形歯部の構成を有している。
第2回転伝達体である第2楕円歯車138も、ピッチ円が非円形である楕円の歯車である。したがって、第2楕円歯車138は、ピッチ円が非円形の第2非円形歯部の構成を有している。
【0063】
第1楕円歯車134と第2楕円歯車138とは、互いに略同じ形状を有する。第1楕円歯車134と第2楕円歯車138とは、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接するように、噛合っている。
【0064】
したがって、図8に示すように、第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転速度比は、線Lsのように、第1楕円歯車134の回転角度に応じて、1よりも大きくなったり小さくなったりする。
第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転速度比が1よりも大きい場合(例えば、図8において点S1)、第2楕円歯車138の回転速度は第1楕円歯車134の回転速度よりも速くなり、第2楕円歯車138の回転力(トルク)は第1楕円歯車134の回転力(トルク)よりも小さくなる。
【0065】
第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転速度比が1と同じ場合(例えば、図8において点S2)、第2楕円歯車138の回転速度は第1楕円歯車134の回転速度と等しくなり、第2楕円歯車138の回転力(トルク)は第1楕円歯車134の回転力(トルク)と同じになる。
第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転速度比が1よりも小さい場合(例えば、図8において点S3)、第2楕円歯車138の回転速度は第1楕円歯車134の回転速度よりも遅くなり、第2楕円歯車138の回転力(トルク)は第1楕円歯車134の回転力(トルク)よりも大きくなる。
【0066】
図4及び図7に示すように、回転直動変換部140は、出力軸176に相対的に回転不能に取り付けられたカム板141を備える。カム板141は、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側において、中間転写ベルト保持フレームKの下側に配置されている。
出力軸176が装置本体Mに回転可能に支持されているので、カム板141は、装置本体Mに回転可能に支持されている。
図7に示すように、カム板141の側面142は、出力軸176を中心に円周方向に向かうことに伴って、出力軸176と側面142との間の側面距離が大きくなる曲面を有する。換言すると、側面142上に位置する点C1と出力軸176の中心Cとの間の側面距離R1と、側面142上において点C1より反時計方向に位置する点C2と出力軸176の中心Cとの間の側面距離R2とを対比すると、側面距離R1より側面距離R2が長い。
具体的には、カム板141を出力軸176の延びる方向から見た場合、カム板141は円弧形状を有し、出力軸176はカム板141の円弧形状の中心に対して偏心した位置にある。
【0067】
カム板141は、カム板141の側面142が、矢印Zの方向において、中間転写ベルト保持フレームKの下面に接触するように、配置されている。
【0068】
図7に示すように、側面距離が小さくなる位置にある点C0の近傍が、中間転写ベルト保持フレームKの下側の平面に接触するとき、カム板141は、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接するように、出力軸176に組み付けられている。
また、カム板141において、側面距離が大きくなる位置にある点C2の近傍が、中間転写ベルト保持フレームKの下面に接触するとき、カム板141は、第1楕円歯車134の短径と第2楕円歯車138の長径とが接するように(図8参照)、出力軸176に組み付けられている。
また、中心Cから点C0に向かって延びる仮想線と、中心Cから点C2に向かって延びる仮想線との間の角度は、第1楕円歯車134の長径と短径とのなす角度(具体的は、90度)と同じである。
【0069】
したがって、カム板141は、カム板141が回転することに伴って、カム板141の側面142が中間転写ベルト保持フレームKの下面に接触しながら、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側を上側に持ち上げるように構成されている。
【0070】
<押圧装置100の動作>
次に、押圧装置100の動作について、コピー機1が白黒印刷をした後、カラー印刷を行う場合を例にして、説明する。
(カラー印刷)
まず、コピー機1がカラー印刷をする場合について、説明する。押圧装置100は、中間転写ベルト保持フレームKを介して1次転写ローラ37a、37b、37cを感光体ドラム2a、2b、2cに接近した接近状態にさせる。
具体的には、図4及び図6に示すように、第1楕円歯車134と第2楕円歯車138とは、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接するように、噛合っている。このとき、カム板141の側面142において、カム板141の側面142が中間転写ベルト保持フレームKに最も接近している位置における側面距離は短いので、中間転写ベルト保持フレームKは、中間転写ベルト保持フレームKの自重と共に、押圧力付与機構150の付勢力によって、矢印Zの方向において下側に下がっている。
【0071】
中間転写ベルト保持フレームKが矢印Zの方向において下側に下がっていると、1次転写ローラ37a、37b、37cも下側に下がる。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色トナー画像が中間転写ベルト7に順次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、カラーのトナー画像が形成され、カラー印刷がされる。
【0072】
(白黒印刷)
次に、コピー機1が白黒印刷をする場合について、説明する。押圧装置100は、変位用出力部160を作動させて、中間転写ベルト保持フレームKを介して1次転写ローラ37a、37b、37cを感光体ドラム2a、2b、2cから離間した離間状態にさせる。
変位用出力部160の作動は、押圧装置100が図4に示す状態で、開始される。
変位用出力部160が作動すると、モータ162の出力軸164が回転し、ウオームギア172、ウオームホイール174を介して第1楕円歯車134が回転する。
このとき、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接触している状態になっている。
第1楕円歯車134が回転することに伴って、第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転比は、1より大きい状態(図4、図6の点S1参照)から、1と同じ状態(図7、図6の点S2参照)を介して、1より小さい状態(図8、図6の点S3参照)になる。つまり、第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転力(トルク)の伝達比は、1より小さい状態から、1と同じ状態を介して、1より大きい状態になる。
【0073】
第1楕円歯車134が回転することに伴って、カム板141が回転する。カム板141が回転すると、側面142が中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側における下面に接触する。さらに、図7及び図8に示すように、第1楕円歯車134が回転するとカム板141の側面142が中間転写ベルト保持フレームKの下面を押し上げ、1次転写ローラ37a、37b、37cが感光体ドラム2a、2b、2cから離間した離間状態になる。
【0074】
このため、感光体ドラム2a、2b、2cそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37cそれぞれとの間で、それぞれ形成された1次転写ニップN1a、N1b、N1cが形成されなくなる。よって、1次転写ニップN1dにおいて、感光体ドラム2dに現像された黒色トナー画像のみが中間転写ベルト7に転写される。これにより、中間転写ベルト7には、白黒のトナー画像が形成され、白黒印刷がされる。
【0075】
本実施形態のコピー機1及び押圧装置100によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態のコピー機1の押圧装置100によれば、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cに接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを離間状態になるように押圧するものである。押圧装置100は、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを接近状態になるよう押圧する押圧力付与機構150と、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを接近状態から離間状態に変位させる接近部材変位機構120と、接近部材変位機構120を作動させる変位用出力部160と、を備える。接近部材変位機構120は、変位用出力部160の回転力(トルク)の伝達を受ける第1楕円歯車(第1回転伝達体)134と、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134の回転力(トルク)の伝達を受ける第2楕円歯車(第2回転伝達体)138と、第2楕円歯車(第2回転伝達体)138の回転運動を直線運動に変換し、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを離間状態にする回転直動変換部140と、を有する。第2楕円歯車(第2回転伝達体)138は、第1楕円歯車134が回転することに伴って、第1楕円歯車134から第2楕円歯車(第2回転伝達体)138への減速比が小さくなるように、かつ、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが離間状態から接近状態に変位するように、第1楕円歯車134の回転力(トルク)の伝達を受ける。
【0076】
つまり、第2楕円歯車(第2回転伝達体)138は、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134が回転することに伴って、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134から第2楕円歯車(第2回転伝達体)138への減速比が小さくなるように、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134の回転力(トルク)の伝達を受ける。減速比が小さくなると、伝達する回転力(トルク)が大きくなるので、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134が回転することに伴って、第2楕円歯車(第2回転伝達体)138は、大きな回転力(トルク)の伝達を受ける。このため、接近状態又は離間状態に変位可能に配置された中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを離間状態にするように押圧する押圧装置100が中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを接近状態の位置から離間状態の位置へ変位させる動作において、モータ(変位用出力部)160が過負荷の状態になりにくくなる。
【0077】
また、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが接近状態の位置にあるときに、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134に対する第2楕円歯車(第2回転伝達体)138の回転速度比は大きく、また、離間状態の位置にあるときに、回転速度比が小さい。このため、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kが接近状態の位置から離間状態の位置へ変位すると減速比は次第に大きくなる(回転速度は次第に遅くなる)。したがって、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kが接近状態の位置から離間状態の位置へ変位し出した状態において、第2楕円歯車(第2回転伝達体)138の回転速度は、速い。このため、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kと、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cとを、早い段階で大きく離間させることができる。
【0078】
また、本実施形態の画像形成装置1の押圧装置100によれば、第1楕円歯車(第1回転伝達体)138は、ピッチ円が非円形の第1非円形歯部を有し、第2楕円歯車(第2回転伝達体)は、第1非円形歯部と噛み合う、かつ、ピッチ円が非円形の第2非円形歯部を有する。
このため、第1楕円歯車(第1回転伝達体)と第2楕円歯車(第2回転伝達体)との間の回転力(トルク)の伝達が確実に行われる。
【0079】
また、本実施形態の押圧力付与機構150は、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが接近状態の位置から離間状態の位置に変位することに伴って、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cに押圧する押圧力を増加させるバネを有する。
【0080】
このように、押圧力付与機構150の付勢力は、接近状態の位置から離間状態の位置に変位することに伴って、増す。また、画像形成装置1の押圧装置100によれば、回転速度比は、接近状態の位置から離間状態の位置に変位することに伴って、大きくなる。
したがって、出力軸176に作用する負荷トルクを一定にすることが可能であるため、ギアの破損や出力軸176に圧入したギアの抜け等を防ぐことができる。
また、出力軸176に作用する負荷トルクが一定であるため、モータ軸受けの磨耗やブラシ付きモータ162のブラシの磨耗を軽減させることができ、モータ162の寿命が延びる。
さらに、モータ162がDCモータを使用する場合、電流値も一定に保つことができるので、急激なモータ温度の変化や消費電力の削減等が期待できる。
【0081】
<コピー機1a>
次に、図11及び図12に示すように、コピー機1aについて説明する。
図11は、本発明の第2実施形態としてのコピー機1aの定着部9の接近状態における加熱ローラ9aと、加圧ローラ9bとの位置関係を説明するための斜視図である。図12は、図11に示したコピー機1aの定着部9の離間状態における加熱ローラ9aと、加圧ローラ9bとの位置関係を説明するための斜視図である。
【0082】
コピー機1aは、コピー機1において押圧力付与機構150が付勢していた中間転写ベルト保持フレームKの代わりに、定着部9の加圧ローラ9bを加熱ローラ9aに接近するように付勢するように、変えたものである。したがって、加熱ローラ9aは第1部材として装置本体Mに支持され、加圧ローラ9bは第2部材として加熱ローラ9aに対して接近状態の位置と離間状態の位置に変位可能に装置本体Mに支持されている。
【0083】
図11に示すように、加圧ローラ9bが加熱ローラ9aと接触している接近状態の場合、押圧装置100は、図8に示すように、第1楕円歯車134の短径と第2楕円歯車138の長径とが接している状態になっている。
図12に示すように、加圧ローラ9bが加熱ローラ9aと離間している離間状態の場合、押圧装置100は、図4に示すように、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接している状態になっている。
【0084】
<その他の実施形態>
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、画像形成装置としてコピー機1につい説明しているが、これに限定されず、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等であってもよい。
【0085】
第1回転伝達体及び第2回転伝達体は、それぞれ、第1楕円歯車134及び第2楕円歯車138として説明したが、これに限定されない。第1回転伝達体及び第2回転伝達体は、第1回転伝達体が回転することに伴って、第1回転伝達体から第2回転伝達体への減速比が小さくなるように構成されていればよい。具体的は、第1回転伝達体及び第2回転伝達体は、楕円形歯車以外の非円形歯車であってもよい。
また、本実施形態では、第1回転伝達体及び第2回転伝達体は、全周に歯が形成されている楕円歯車として説明したが、これに限定されない。第1楕円歯車134及び第2楕円歯車138は、円周上の一部のみに歯が形成されている部分楕円歯車であってもよい。
【0086】
変位用出力部160は、モータ162として説明したが、これに限定されずシリンダーのような押圧力付与機構及び押圧力付与機構の往復運動を回転運動に変換するリンク機構を備えたピストンクランク機構であってもよい。
押圧装置100は中間転写ベルト保持フレームKを押圧するとしたが、これに限定されない。例えば、押圧装置100は、レジストローラ対80、2次転写ローラ8及び対向ローラ18、前送りコロ61、給紙ローラ対63における、一対のローラの一方に対して他方を接近状態の位置及び離間状態の位置に変位させるために用いてもよい。
押圧力付与機構150は、コイルバネとして説明したが、これに限定されず引張バネ、板バネ、皿バネであってもよい。
シートは、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1、1a……コピー機(画像形成装置)、2a、2b、2c……感光体ドラム(第1部材)、7……中間転写ベルト、100……押圧装置、120……接近部材変位機構、132……第1歯車部、134……第1楕円歯車(第1回転伝達体)、136……第2歯車部、138……第2楕円歯車(第2回転伝達体)、140……回転直動変換部、141……カム板、142……カム板の側面、150……押圧力付与機構、160……変位用出力部、162……モータ、164……モータの出力軸、172……ウオームギア、174……ウオームホイール、176……出力軸、GK……画像形成部、K……中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)、T……用紙(シート)
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を離間状態になるように押圧する押圧装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置は、一般的に、像担持体(感光体ドラム)と、像担持体に形成された静電潜像をトナー画像に変換する現像器と、トナーを収容するトナー収容部(「トナーカートリッジ」などとも呼ばれる)と、像担持体に形成されたトナー画像をシートとしての用紙に中間転写ベルトを介して転写する転写部と、用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着部と、用紙を転写部や定着部などに搬送するシート搬送部と、を備える。
【0003】
中間転写ベルトが感光体ドラムに接近したり、離間したりすることができるように、中間転写ベルトは、駆動ローラ、テンションローラなどに掛け渡される。例えば、画像形成装置は、中間転写ベルトにおいて感光体ドラムと反対側に配置される1次転写ローラと中間転写ベルトを感光体ドラムに向けて1次転写ローラを押圧するバネとを有する押圧装置と、1次転写ローラの押圧を解除させる押圧解除装置とを備える(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の画像形成装置の押圧解除装置は、変位用出力部としてのモータの出力軸の回転運動を直動運動に変換する変換機構を備える。変換機構は、ウオームホイール及び平歯車や、ウオームホイール及びはすば歯車を有する。押圧解除装置は、モータが作動すると、変換機構によって、1次転写ローラを中間転写ベルトにおいて感光体ドラムと反対側に移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−265337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置では、変換機構がウオームホイールや平歯車などで構成されているので、1次転写ローラを移動させている間、変換機構の歯車比が変化しない。つまり、モータの出力が一定であれば、変換機構によって変換された出力も一定である。
一方、中間転写ベルトと感光体ドラムとを大きく離間させることに伴って、押圧装置のバネのたわみが大きくなる。このため、押圧装置のバネのたわみが大きくなることに伴って、モータが過負荷になる。例えば、モータが過負荷になることに伴って、モータの負荷トルクが上昇し、モータが多くの電流を消費したり、変換機構の歯車等が破損したりすることが懸念される。
また、画像形成装置では、1次転写ローラ以外の多くの種類の押圧解除装置が存在する。これらの押圧解除装置もモータの出力軸の回転出力によって作動するので、1次転写ローラの押圧解除装置と同様のモータの過負荷が懸念される。
【0006】
本発明は、第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を離間状態になるように押圧する押圧装置が第2部材を接近状態の位置から離間状態の位置へ変位させる動作において、変位用出力部が過負荷になりにくい押圧装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を前記離間状態になるように押圧する押圧装置であって、前記第2部材を前記接近状態になるよう押圧する押圧力付与機構と、前記第2部材を前記接近状態から前記離間状態に変位させる接近部材変位機構と、前記接近部材変位機構を作動させる変位用出力部と、を備え、前記接近部材変位機構は、前記変位用出力部の回転力の伝達を受ける第1回転伝達体と、前記第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける第2回転伝達体と、前記第2回転伝達体の回転運動を往復運動に変換し、前記第2部材を前記離間状態にする回転直動変換部と、を有し、前記第2回転伝達体は、前記第1回転伝達体が回転することに伴って、前記第1回転伝達体から前記第2回転伝達体への減速比が小さくなるように、かつ、前記第1部材と前記第2部材とが前記離間状態から前記接近状態に変位するように、前記第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける、画像形成装置の押圧装置に関する。
【0008】
また、前記第1回転伝達体は、ピッチ円が非円形の第1非円形歯部を有し、前記第2回転伝達体は、前記第1非円形歯部と噛み合う、かつ、ピッチ円が非円形の第2非円形歯部を有することが好ましい。
【0009】
また、前記押圧力付与機構は、前記第1部材と前記第2部材とが前記接近状態の位置から前記離間状態の位置に変位することに伴って、前記第2部材を前記第1部材に押圧する押圧力が増加するバネを有することが好ましい。
【0010】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成部と、上述の押圧装置とを備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第2回転伝達体は、第1回転伝達体が回転することに伴って、第1回転伝達体から第2回転伝達体への減速比が小さくなるように、第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける。このため、第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を離間状態になるように押圧する押圧装置が第2部材を接近状態の位置から離間状態の位置へ変位させる動作において、変位用出力部が過負荷になりにくい押圧装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態としてのコピー機1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】図1に示す画像形成部GKに設けられた第2部材としての中間転写ベルト保持フレームKを説明するための斜視図である。
【図3】図2に示す画像形成部GKに設けられた第2部材としての中間転写ベルト保持フレームKを説明するための別の斜視図である。
【図4】図3に示す押圧装置100の拡大斜視図である。
【図5】図1に示すコピー機1におけるカラー印刷時における感光体ドラム2a、2b、2cと中間転写ベルト7とが接近状態になっている状態を説明するための模式図である。
【図6】図1に示すコピー機1における白黒印刷時における感光体ドラム2a、2b、2cと中間転写ベルト7とが離間状態になっている状態を説明するための模式図である。
【図7】図4の押圧装置100の第1回転伝達体である第1楕円歯車134と第2回転伝達体である第2楕円歯車138とカム板141との形状及び位置関係を説明するための図である。
【図8】図7に示した第1回転伝達体の第1楕円歯車134と第2回転伝達体の第2楕円歯車138との回転速度比の変化の様子を示すグラフである。
【図9】図4に示した押圧装置100の動作を説明するための拡大斜視図である。
【図10】図9に続く押圧装置100の動作を説明するための拡大斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態としてのコピー機1aの定着部9の接近状態における加熱ローラ9aと、加圧ローラ9bとの位置関係を説明するための斜視図である。
【図12】図11に示したコピー機1aの定着部9の離間状態における加熱ローラ9aと、加圧ローラ9bとの位置関係を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の第1実施形態に係るコピー機1について説明する。
図1から図6に示すように、本実施形態における画像形成装置としてのコピー機1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態としてのコピー機1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。図2は、図1に示す画像形成部GKに設けられた第2部材としての中間転写ベルト保持フレームKを説明するための斜視図である。図3は、図2に示す画像形成部GKに設けられた第2部材としての中間転写ベルト保持フレームKを説明するための別の斜視図である。
図4は、図3に示す押圧装置100の拡大斜視図である。図5は、図1に示すコピー機1におけるカラー印刷時における感光体ドラム2a、2b、2cと中間転写ベルト7とが接近状態になっている状態を説明するための模式図である。図6は、図1に示すコピー機1における白黒印刷時における感光体ドラム2a、2b、2cと中間転写ベルト7とが離間状態になっている状態を説明するための模式図である。
【0014】
<コピー機1>
図1に示すように、画像形成装置としてのコピー機1は、コピー機1における上方側に配置される画像読取装置200と、コピー機1における下方側に配置され画像読取装置200からの画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する装置本体Mと、を備える。
【0015】
<画像読取装置200>
画像読取装置200について説明する。
図1に示すように、画像読取装置200は、蓋部材70と、原稿Gの画像を読み込む読取部201と、を備える。
蓋部材70は、読取部201に対して不図示の連結部により開閉可能に連結される。蓋部材70は、後述する読取面202Aを保護する機能を有する。
【0016】
読取部201は、読取面202Aと、内部空間204に配置される光源としてのランプ240と、複数のミラー221、222及び223と、結像レンズ230と、読取手段としてのCCD235と、CCD235により読み取られた画像データに対し所定の処理をすると共に該画像データを装置本体M側に出力させるCCD基板236と、を備える。
【0017】
読取面202Aは、原稿Gが載置されるコンタクトガラス202の垂直方向上面に沿って形成される。
読取部201は、内部空間204に配置され読取面202Aと平行な方向に移動する第1枠体211及び第2枠体212と、を備える。上述のランプ240及びミラー221は、第1枠体211に収容される。また、ミラー222及び223は、第2枠体212に収容される。
【0018】
読取部201の内部空間204において、複数のミラー221、222及び223は、原稿Gからの光を結像レンズ230に入光させるための光路Hを形成する。また、第1枠体211が副走査方向Xに一定速度Aで移動すると共に、第2枠体212が副走査方向Xに一定速度A/2で移動するので、画像読み取り動作時においても光路Hの長さは一定に保持される。これにより、読取面202Aに載置された原稿Gの画像が読み取られる。
【0019】
装置本体Mについて説明する。
装置本体Mは、所定の画像情報に基づいて用紙Tに所定の画像を形成する画像形成部と、用紙Tを画像形成部に給紙すると共に画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部とを有する。
【0020】
画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0021】
給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、第1排紙部50aと、第2排紙部50bとを備える。
【0022】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
<画像形成部GK>
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対して、上流側から下流側に順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
【0023】
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、定着部9による定着が行われる。
【0024】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向(矢印Xの方向)に対して垂直な方向(矢印Yの方向)に延びる回転軸を有する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの回転軸を中心に回転可能に装置本体Mに配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成される。
【0025】
帯電部10a、10b、10c、10dは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0026】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0027】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、読取部201により読み込まれた画像に関する画像情報に基づいて感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に帯電した電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0028】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、各色のトナー画像を現像する(感光体ドラムの表面にトナー画像を形成する)。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つのトナー色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置可能な現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成される。
【0029】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dは、それぞれ、現像器16a、16b、16c、16dに対応して設けられている。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dは、それぞれ、現像器16a、16b、16c、16dに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dは、それぞれ、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0030】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。
【0031】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに現像された各色のトナー画像が順次転写される。中間転写ベルト7は、駆動ローラ35、対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡される。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
図2から図4に示すように、中間転写ベルト7、1次転写ローラ37a、37b、37c、37d、駆動ローラ35、テンションローラ36は、矢印Xの方向及び矢印Yの方向に広がる枠状の中間転写ベルト保持フレームK(図2及び図3参照)に保持されている。矢印Xの方向における中間転写ベルト保持フレームKの駆動ローラ35側は、駆動ローラ35の回転軸を中心に矢印Zの方向に揺動可能に装置本体Mに支持されている。矢印Xの方向における中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側は、矢印Zの方向に揺動可能に、装置本体Mに取り付けられた押圧装置100(図2及び図3参照)に支持されている。
【0032】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置される。
【0033】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとの間で、中間転写ベルト7における所定部分が挟み込まれる。
1次転写ローラ37a、37b、37cは中間転写ベルト保持フレームKに支持されている。一方、1次転写ローラ37dは装置本体Mに支持されている。
【0034】
図5に示すように、押圧装置100の接近部材変位機構120(図3及び図4参照)によって、中間転写ベルト保持フレームKを介して1次転写ローラ37a、37b、37cが感光体ドラム2a、2b、2cに接近した接近状態にされると、この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色トナー画像が中間転写ベルト7に順次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、カラーのトナー画像が形成される。
【0035】
また、図6に示すように、押圧装置100の接近部材変位機構120によって、中間転写ベルト保持フレームKを介して1次転写ローラ37a、37b、37cが感光体ドラム2a、2b、2cから離間した離間状態にされると、この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2dにおける表面のみに押し当てられる。このため、感光体ドラム2dと1次転写ローラ37dとの間で、1次転写ニップN1dのみが形成される。1次転写ニップN1dにおいて、感光体ドラム2dに現像されたブラック色のトナー画像が中間転写ベルト7に転写される。これにより、中間転写ベルト7には、黒色のトナー画像が形成される。
【0036】
図1に示すように、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の電圧印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色トナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0037】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0038】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナーを所定の回収機構へ搬送させて、回収させる。
【0039】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の電圧印加手段により、中間転写ベルト7に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0040】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して接離される。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置(離間状態)とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には、当接位置に移動され、他の場合には離間位置(離間状態)に移動される。
【0041】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8に対向する側には、対向ローラ18が配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。
そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(画像が1次転写された面)に押し当てられる。2次転写ローラ8と対向ローラ18との間で2次転写ニップN2が形成される。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたトナー画像が用紙Tに2次転写される。
【0042】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色トナーを溶融して定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱ローラ9aと、加熱ローラ9aに圧接される加圧ローラ9bと、を備える。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟持するようにして搬送する。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間に挟持されるように用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融し、定着される。
【0043】
<給排紙部KH>
次に、給排紙部KHについて説明する。
装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が2個上下に配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し方向F1側の端部に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対63からなる重送防止機構を備える。
【0044】
装置本体Mの右側面(用紙送り出し方向F1と反対の方向側の側面)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさの用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。手差し給紙部64は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0045】
装置本体Mにおける上方側には、第1排紙部50a及び第2排紙部50bが設けられる。第1排紙部50a及び第2排紙部50bは、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
第1排紙部50a及び第2排紙部50bの詳細については後述する。
【0046】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ローラ8までの第1搬送路L1と、2次転写ローラ8から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から第1排紙部50aまでの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を搬送する用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、第3搬送路L3を搬送する用紙を後処理装置(図示せず)に搬送する後処理搬送路Lcとを備える。
【0047】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、後処理搬送路Lcが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出された用紙Tの搬送方向を、第1排紙部50aに向かう第3搬送路L3又は第2排紙部50bに向かう後処理搬送路Lcに整流させる(切り換える)。
【0048】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサと、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正やトナー画像とのタイミングを合わせるためのレジストローラ対80が配置される。センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(上流側)に配置される。レジストローラ対80は、センサからの検出信情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0049】
戻し搬送路Lbは、用紙Tの両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(非印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、感光体ドラム2により非印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0050】
第3搬送路L3における端部には、第1排紙部50aが形成される。第1排紙部50aは、装置本体Mにおける上方側に配置される。第1排紙部50aは、装置本体Mの右側面側(用紙送り出し方向F1と反対の方向側、手差し給紙部64側)に向けて開口している。第1排紙部50aは、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
【0051】
第1排紙部50aにおける開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定画像が転写され第1排紙部50aから排紙された用紙Tが積層して集積される。
【0052】
後処理搬送路Lcにおける端部には、第2排紙部50bが形成される。第2排紙部50bは、装置本体Mにおける上方側に配置される。第2排紙部50bは、装置本体Mの左側面側(用紙送り出し方向F1側、後処理装置が連結される側)に向けて開口している。第2排紙部50bは、後処理搬送路Lcを搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
第2排紙部50bにおける開口側には、不図示の後処理装置が連結される。後処理装置は、画像形成装置(コピー機1)から排出される用紙の後処理(ステープル、パンチ等)を行うものである。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
【0053】
次に、主搬送路L1〜L3(第1搬送路L1、第2搬送路L2及び第3搬送路L3を合わせて以下「主搬送路」ともいう)及び戻り搬送路Lbにおける紙詰まり(JAM)を解消するための構造について簡単に説明する。
装置本体Mの左側面側(用紙送り出し方向F1側)には、主搬送路L1〜L3及び戻り搬送路Lbが主に上下方向に延びるように並列している。装置本体Mの左側面側(用紙送り出し方向F1側)には、装置本体Mの側面の一部を形成するように、カバー体40が設けられている。カバー体40は、その下端部において、支点軸43を介して装置本体Mに連結されている。支点軸43は、その軸方向が主搬送路L1〜L3及び戻り搬送路Lbを横断する方向に沿って配設されている。カバー体40は、支点軸43を中心として閉位置(図1に示す位置)と開位置(図示せず)との間を回動自在に構成されている。
【0054】
カバー体40は、支点軸43によって装置本体Mに回動自在に連結された第1のカバー部41と、同じ支点軸43によって装置本体Mに回動自在に連結された第2のカバー部42とから構成されている。第2のカバー部42は、第1のカバー部41よりも装置本体Mの外側(側面側)に位置する。なお、図1において、右下がりの破線でハッチングされた部分が第1のカバー部41であり、右上がりの破線でハッチングされた部分が第2のカバー部42である。
【0055】
カバー体40が閉位置に位置する状態において、第1のカバー部41は、その外面側が装置本体Mの外面(側面)の一部を形成している。
また、カバー体40が閉位置に位置する状態において、第2のカバー部42は、その内面側(装置本体M側)が主搬送路L1〜L3の一部を形成している。
さらに、カバー体40が閉位置に位置する状態において、第1のカバー部41の内面側と第2のカバー部42の外面側とが、戻り搬送路Lbの少なくとも一部を形成している。つまり、戻り搬送路Lbは、第1のカバー部41と第2のカバー部42との間に形成されている。
【0056】
本実施形態のコピー機1は、このような構成のカバー体40を備えることにより、主搬送路L1〜L3で紙詰まり(JAM)が発生した際には、カバー体40を図2に示す閉位置から、開位置(図示せず)に回動して主搬送路L1〜L3を開放することにより、主搬送路L1〜L3に詰まった用紙を処理することができる。一方、戻り搬送路Lbで紙詰まりが発生した際には、カバー体40を開位置に回動した後、支点軸43を中心に第2のカバー部42を装置本体M側(用紙送り出し方向F1とは反対側)に回動させて戻り搬送路Lbを開放することにより、戻り搬送路Lbに詰まった用紙を処理することができる。
【0057】
<押圧装置100>
次に押圧装置100について説明する。図7は、図4の押圧装置100の第1回転伝達体である第1楕円歯車134と第2回転伝達体である第2楕円歯車138とカム板141との形状及び位置関係を説明するための図である。図8は、図7に示した第1回転伝達体の第1楕円歯車134と第2回転伝達体の第2楕円歯車138との回転速度比の変化の様子を示すグラフである。図9は、図4に示した押圧装置100の動作を説明するための拡大斜視図である。図10は、図9に続く押圧装置100の動作を説明するための拡大斜視図である。
【0058】
図2及び図3に示すように、押圧装置100は、押圧力付与機構150と、接近部材変位機構120と、変位用出力部160とを備える。押圧装置100は、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側を、矢印Zの方向の上側に変位可能に支持している。
【0059】
図3及び図4に示すように、押圧力付与機構150は、矢印Zの方向において、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側が下側に変位するように、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側の端部を付勢している。具体的には、押圧力付与機構150は、バネから形成されている。つまり、自然長の状態であったバネは、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが接近状態の位置から離間状態の位置(矢印Zの方向において上方向)に変位することに伴って、たわみ、圧縮される。したがって、バネのたわみ寸法に応じた反力は、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側の端部に作用することになる。このため、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが接近状態の位置から離間状態の位置(矢印Zの方向において上方向)に変位することに伴って、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側の端部に押圧する押圧力が増加する。バネは、例えばコイルバネである。コイルバネの場合、そのコイルバネが倒れないように、コイルバネは、中間転写ベルト保持フレームKに形成された柱144に差し込まれている。
【0060】
変位用出力部160は、モータ162とウオームギア172とを備えている。モータ162は、装置本体Mに相対的に移動不能に取り付けられている。モータ162は、不図示の制御部からの信号に基づいて、出力軸164を正転又は逆転させる。ウオームギア172は、モータ162の出力軸164に、相対的に回転不能に取り付けられている。
【0061】
接近部材変位機構120は、第1歯車部132と、第2歯車部136と、回転直動変換部140と、を備える。第1歯車部132と、第2楕円歯車138と、回転直動変換部140とは、装置本体Mに取り付けられている。
第1歯車部132は、ウオームギア172に噛合うウオームホイール174と、ウオームホイール174に相対的に回転不能に連結されている第1楕円歯車(第1回転伝達体)134とを備える。
第2歯車部136は、第1楕円歯車134に噛合う第2楕円歯車(第2回転伝達体)138と、第2楕円歯車138に相対的に回転不能に連結されている出力軸176とを備える。
【0062】
図7に示すように、第1回転伝達体である第1楕円歯車134は、ピッチ円が非円形である楕円の歯車である。したがって、第1楕円歯車134は、ピッチ円が非円形の第1非円形歯部の構成を有している。
第2回転伝達体である第2楕円歯車138も、ピッチ円が非円形である楕円の歯車である。したがって、第2楕円歯車138は、ピッチ円が非円形の第2非円形歯部の構成を有している。
【0063】
第1楕円歯車134と第2楕円歯車138とは、互いに略同じ形状を有する。第1楕円歯車134と第2楕円歯車138とは、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接するように、噛合っている。
【0064】
したがって、図8に示すように、第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転速度比は、線Lsのように、第1楕円歯車134の回転角度に応じて、1よりも大きくなったり小さくなったりする。
第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転速度比が1よりも大きい場合(例えば、図8において点S1)、第2楕円歯車138の回転速度は第1楕円歯車134の回転速度よりも速くなり、第2楕円歯車138の回転力(トルク)は第1楕円歯車134の回転力(トルク)よりも小さくなる。
【0065】
第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転速度比が1と同じ場合(例えば、図8において点S2)、第2楕円歯車138の回転速度は第1楕円歯車134の回転速度と等しくなり、第2楕円歯車138の回転力(トルク)は第1楕円歯車134の回転力(トルク)と同じになる。
第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転速度比が1よりも小さい場合(例えば、図8において点S3)、第2楕円歯車138の回転速度は第1楕円歯車134の回転速度よりも遅くなり、第2楕円歯車138の回転力(トルク)は第1楕円歯車134の回転力(トルク)よりも大きくなる。
【0066】
図4及び図7に示すように、回転直動変換部140は、出力軸176に相対的に回転不能に取り付けられたカム板141を備える。カム板141は、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側において、中間転写ベルト保持フレームKの下側に配置されている。
出力軸176が装置本体Mに回転可能に支持されているので、カム板141は、装置本体Mに回転可能に支持されている。
図7に示すように、カム板141の側面142は、出力軸176を中心に円周方向に向かうことに伴って、出力軸176と側面142との間の側面距離が大きくなる曲面を有する。換言すると、側面142上に位置する点C1と出力軸176の中心Cとの間の側面距離R1と、側面142上において点C1より反時計方向に位置する点C2と出力軸176の中心Cとの間の側面距離R2とを対比すると、側面距離R1より側面距離R2が長い。
具体的には、カム板141を出力軸176の延びる方向から見た場合、カム板141は円弧形状を有し、出力軸176はカム板141の円弧形状の中心に対して偏心した位置にある。
【0067】
カム板141は、カム板141の側面142が、矢印Zの方向において、中間転写ベルト保持フレームKの下面に接触するように、配置されている。
【0068】
図7に示すように、側面距離が小さくなる位置にある点C0の近傍が、中間転写ベルト保持フレームKの下側の平面に接触するとき、カム板141は、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接するように、出力軸176に組み付けられている。
また、カム板141において、側面距離が大きくなる位置にある点C2の近傍が、中間転写ベルト保持フレームKの下面に接触するとき、カム板141は、第1楕円歯車134の短径と第2楕円歯車138の長径とが接するように(図8参照)、出力軸176に組み付けられている。
また、中心Cから点C0に向かって延びる仮想線と、中心Cから点C2に向かって延びる仮想線との間の角度は、第1楕円歯車134の長径と短径とのなす角度(具体的は、90度)と同じである。
【0069】
したがって、カム板141は、カム板141が回転することに伴って、カム板141の側面142が中間転写ベルト保持フレームKの下面に接触しながら、中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側を上側に持ち上げるように構成されている。
【0070】
<押圧装置100の動作>
次に、押圧装置100の動作について、コピー機1が白黒印刷をした後、カラー印刷を行う場合を例にして、説明する。
(カラー印刷)
まず、コピー機1がカラー印刷をする場合について、説明する。押圧装置100は、中間転写ベルト保持フレームKを介して1次転写ローラ37a、37b、37cを感光体ドラム2a、2b、2cに接近した接近状態にさせる。
具体的には、図4及び図6に示すように、第1楕円歯車134と第2楕円歯車138とは、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接するように、噛合っている。このとき、カム板141の側面142において、カム板141の側面142が中間転写ベルト保持フレームKに最も接近している位置における側面距離は短いので、中間転写ベルト保持フレームKは、中間転写ベルト保持フレームKの自重と共に、押圧力付与機構150の付勢力によって、矢印Zの方向において下側に下がっている。
【0071】
中間転写ベルト保持フレームKが矢印Zの方向において下側に下がっていると、1次転写ローラ37a、37b、37cも下側に下がる。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色トナー画像が中間転写ベルト7に順次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、カラーのトナー画像が形成され、カラー印刷がされる。
【0072】
(白黒印刷)
次に、コピー機1が白黒印刷をする場合について、説明する。押圧装置100は、変位用出力部160を作動させて、中間転写ベルト保持フレームKを介して1次転写ローラ37a、37b、37cを感光体ドラム2a、2b、2cから離間した離間状態にさせる。
変位用出力部160の作動は、押圧装置100が図4に示す状態で、開始される。
変位用出力部160が作動すると、モータ162の出力軸164が回転し、ウオームギア172、ウオームホイール174を介して第1楕円歯車134が回転する。
このとき、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接触している状態になっている。
第1楕円歯車134が回転することに伴って、第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転比は、1より大きい状態(図4、図6の点S1参照)から、1と同じ状態(図7、図6の点S2参照)を介して、1より小さい状態(図8、図6の点S3参照)になる。つまり、第1楕円歯車134に対する第2楕円歯車138の回転力(トルク)の伝達比は、1より小さい状態から、1と同じ状態を介して、1より大きい状態になる。
【0073】
第1楕円歯車134が回転することに伴って、カム板141が回転する。カム板141が回転すると、側面142が中間転写ベルト保持フレームKの対向ローラ18側における下面に接触する。さらに、図7及び図8に示すように、第1楕円歯車134が回転するとカム板141の側面142が中間転写ベルト保持フレームKの下面を押し上げ、1次転写ローラ37a、37b、37cが感光体ドラム2a、2b、2cから離間した離間状態になる。
【0074】
このため、感光体ドラム2a、2b、2cそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37cそれぞれとの間で、それぞれ形成された1次転写ニップN1a、N1b、N1cが形成されなくなる。よって、1次転写ニップN1dにおいて、感光体ドラム2dに現像された黒色トナー画像のみが中間転写ベルト7に転写される。これにより、中間転写ベルト7には、白黒のトナー画像が形成され、白黒印刷がされる。
【0075】
本実施形態のコピー機1及び押圧装置100によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態のコピー機1の押圧装置100によれば、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cに接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを離間状態になるように押圧するものである。押圧装置100は、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを接近状態になるよう押圧する押圧力付与機構150と、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを接近状態から離間状態に変位させる接近部材変位機構120と、接近部材変位機構120を作動させる変位用出力部160と、を備える。接近部材変位機構120は、変位用出力部160の回転力(トルク)の伝達を受ける第1楕円歯車(第1回転伝達体)134と、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134の回転力(トルク)の伝達を受ける第2楕円歯車(第2回転伝達体)138と、第2楕円歯車(第2回転伝達体)138の回転運動を直線運動に変換し、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを離間状態にする回転直動変換部140と、を有する。第2楕円歯車(第2回転伝達体)138は、第1楕円歯車134が回転することに伴って、第1楕円歯車134から第2楕円歯車(第2回転伝達体)138への減速比が小さくなるように、かつ、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが離間状態から接近状態に変位するように、第1楕円歯車134の回転力(トルク)の伝達を受ける。
【0076】
つまり、第2楕円歯車(第2回転伝達体)138は、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134が回転することに伴って、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134から第2楕円歯車(第2回転伝達体)138への減速比が小さくなるように、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134の回転力(トルク)の伝達を受ける。減速比が小さくなると、伝達する回転力(トルク)が大きくなるので、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134が回転することに伴って、第2楕円歯車(第2回転伝達体)138は、大きな回転力(トルク)の伝達を受ける。このため、接近状態又は離間状態に変位可能に配置された中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを離間状態にするように押圧する押圧装置100が中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを接近状態の位置から離間状態の位置へ変位させる動作において、モータ(変位用出力部)160が過負荷の状態になりにくくなる。
【0077】
また、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが接近状態の位置にあるときに、第1楕円歯車(第1回転伝達体)134に対する第2楕円歯車(第2回転伝達体)138の回転速度比は大きく、また、離間状態の位置にあるときに、回転速度比が小さい。このため、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kが接近状態の位置から離間状態の位置へ変位すると減速比は次第に大きくなる(回転速度は次第に遅くなる)。したがって、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kが接近状態の位置から離間状態の位置へ変位し出した状態において、第2楕円歯車(第2回転伝達体)138の回転速度は、速い。このため、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kと、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cとを、早い段階で大きく離間させることができる。
【0078】
また、本実施形態の画像形成装置1の押圧装置100によれば、第1楕円歯車(第1回転伝達体)138は、ピッチ円が非円形の第1非円形歯部を有し、第2楕円歯車(第2回転伝達体)は、第1非円形歯部と噛み合う、かつ、ピッチ円が非円形の第2非円形歯部を有する。
このため、第1楕円歯車(第1回転伝達体)と第2楕円歯車(第2回転伝達体)との間の回転力(トルク)の伝達が確実に行われる。
【0079】
また、本実施形態の押圧力付与機構150は、感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cと中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kとが接近状態の位置から離間状態の位置に変位することに伴って、中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)Kを感光体ドラム(第1部材)2a、2b、2cに押圧する押圧力を増加させるバネを有する。
【0080】
このように、押圧力付与機構150の付勢力は、接近状態の位置から離間状態の位置に変位することに伴って、増す。また、画像形成装置1の押圧装置100によれば、回転速度比は、接近状態の位置から離間状態の位置に変位することに伴って、大きくなる。
したがって、出力軸176に作用する負荷トルクを一定にすることが可能であるため、ギアの破損や出力軸176に圧入したギアの抜け等を防ぐことができる。
また、出力軸176に作用する負荷トルクが一定であるため、モータ軸受けの磨耗やブラシ付きモータ162のブラシの磨耗を軽減させることができ、モータ162の寿命が延びる。
さらに、モータ162がDCモータを使用する場合、電流値も一定に保つことができるので、急激なモータ温度の変化や消費電力の削減等が期待できる。
【0081】
<コピー機1a>
次に、図11及び図12に示すように、コピー機1aについて説明する。
図11は、本発明の第2実施形態としてのコピー機1aの定着部9の接近状態における加熱ローラ9aと、加圧ローラ9bとの位置関係を説明するための斜視図である。図12は、図11に示したコピー機1aの定着部9の離間状態における加熱ローラ9aと、加圧ローラ9bとの位置関係を説明するための斜視図である。
【0082】
コピー機1aは、コピー機1において押圧力付与機構150が付勢していた中間転写ベルト保持フレームKの代わりに、定着部9の加圧ローラ9bを加熱ローラ9aに接近するように付勢するように、変えたものである。したがって、加熱ローラ9aは第1部材として装置本体Mに支持され、加圧ローラ9bは第2部材として加熱ローラ9aに対して接近状態の位置と離間状態の位置に変位可能に装置本体Mに支持されている。
【0083】
図11に示すように、加圧ローラ9bが加熱ローラ9aと接触している接近状態の場合、押圧装置100は、図8に示すように、第1楕円歯車134の短径と第2楕円歯車138の長径とが接している状態になっている。
図12に示すように、加圧ローラ9bが加熱ローラ9aと離間している離間状態の場合、押圧装置100は、図4に示すように、第1楕円歯車134の長径と第2楕円歯車138の短径とが接している状態になっている。
【0084】
<その他の実施形態>
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、画像形成装置としてコピー機1につい説明しているが、これに限定されず、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等であってもよい。
【0085】
第1回転伝達体及び第2回転伝達体は、それぞれ、第1楕円歯車134及び第2楕円歯車138として説明したが、これに限定されない。第1回転伝達体及び第2回転伝達体は、第1回転伝達体が回転することに伴って、第1回転伝達体から第2回転伝達体への減速比が小さくなるように構成されていればよい。具体的は、第1回転伝達体及び第2回転伝達体は、楕円形歯車以外の非円形歯車であってもよい。
また、本実施形態では、第1回転伝達体及び第2回転伝達体は、全周に歯が形成されている楕円歯車として説明したが、これに限定されない。第1楕円歯車134及び第2楕円歯車138は、円周上の一部のみに歯が形成されている部分楕円歯車であってもよい。
【0086】
変位用出力部160は、モータ162として説明したが、これに限定されずシリンダーのような押圧力付与機構及び押圧力付与機構の往復運動を回転運動に変換するリンク機構を備えたピストンクランク機構であってもよい。
押圧装置100は中間転写ベルト保持フレームKを押圧するとしたが、これに限定されない。例えば、押圧装置100は、レジストローラ対80、2次転写ローラ8及び対向ローラ18、前送りコロ61、給紙ローラ対63における、一対のローラの一方に対して他方を接近状態の位置及び離間状態の位置に変位させるために用いてもよい。
押圧力付与機構150は、コイルバネとして説明したが、これに限定されず引張バネ、板バネ、皿バネであってもよい。
シートは、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1、1a……コピー機(画像形成装置)、2a、2b、2c……感光体ドラム(第1部材)、7……中間転写ベルト、100……押圧装置、120……接近部材変位機構、132……第1歯車部、134……第1楕円歯車(第1回転伝達体)、136……第2歯車部、138……第2楕円歯車(第2回転伝達体)、140……回転直動変換部、141……カム板、142……カム板の側面、150……押圧力付与機構、160……変位用出力部、162……モータ、164……モータの出力軸、172……ウオームギア、174……ウオームホイール、176……出力軸、GK……画像形成部、K……中間転写ベルト保持フレーム(第2部材)、T……用紙(シート)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を前記離間状態になるように押圧する押圧装置であって、
前記第2部材を前記接近状態になるよう押圧する押圧力付与機構と、
前記第2部材を前記接近状態から前記離間状態に変位させる接近部材変位機構と、
前記接近部材変位機構を作動させる変位用出力部と、を備え、
前記接近部材変位機構は、
前記変位用出力部の回転力の伝達を受ける第1回転伝達体と、
前記第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける第2回転伝達体と、
前記第2回転伝達体の回転運動を往復運動に変換し、前記第2部材を前記離間状態にする回転直動変換部と、を有し、
前記第2回転伝達体は、前記第1回転伝達体が回転することに伴って、前記第1回転伝達体から前記第2回転伝達体への減速比が小さくなるように、かつ、前記第1部材と前記第2部材とが前記離間状態から前記接近状態に変位するように、前記第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける、画像形成装置の押圧装置。
【請求項2】
前記第1回転伝達体は、ピッチ円が非円形の第1非円形歯部を有し、
前記第2回転伝達体は、前記第1非円形歯部と噛み合う、かつ、ピッチ円が非円形の第2非円形歯部を有する、請求項1に記載の画像形成装置用の押圧装置。
【請求項3】
前記押圧力付与機構は、前記第1部材と前記第2部材とが前記接近状態の位置から前記離間状態の位置に変位することに伴って、前記第2部材を前記第1部材に押圧する押圧力が増加するバネを有する、請求項1又は2に記載の画像形成装置用の押圧装置。
【請求項4】
シートに画像を形成する画像形成部と、請求項1から3のいずれかに記載の押圧装置とを備える画像形成装置。
【請求項1】
第1部材に接近した接近状態又は離間した離間状態に変位可能に配置された第2部材を前記離間状態になるように押圧する押圧装置であって、
前記第2部材を前記接近状態になるよう押圧する押圧力付与機構と、
前記第2部材を前記接近状態から前記離間状態に変位させる接近部材変位機構と、
前記接近部材変位機構を作動させる変位用出力部と、を備え、
前記接近部材変位機構は、
前記変位用出力部の回転力の伝達を受ける第1回転伝達体と、
前記第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける第2回転伝達体と、
前記第2回転伝達体の回転運動を往復運動に変換し、前記第2部材を前記離間状態にする回転直動変換部と、を有し、
前記第2回転伝達体は、前記第1回転伝達体が回転することに伴って、前記第1回転伝達体から前記第2回転伝達体への減速比が小さくなるように、かつ、前記第1部材と前記第2部材とが前記離間状態から前記接近状態に変位するように、前記第1回転伝達体の回転力の伝達を受ける、画像形成装置の押圧装置。
【請求項2】
前記第1回転伝達体は、ピッチ円が非円形の第1非円形歯部を有し、
前記第2回転伝達体は、前記第1非円形歯部と噛み合う、かつ、ピッチ円が非円形の第2非円形歯部を有する、請求項1に記載の画像形成装置用の押圧装置。
【請求項3】
前記押圧力付与機構は、前記第1部材と前記第2部材とが前記接近状態の位置から前記離間状態の位置に変位することに伴って、前記第2部材を前記第1部材に押圧する押圧力が増加するバネを有する、請求項1又は2に記載の画像形成装置用の押圧装置。
【請求項4】
シートに画像を形成する画像形成部と、請求項1から3のいずれかに記載の押圧装置とを備える画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−32530(P2012−32530A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170917(P2010−170917)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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