説明

押釦スイッチ

【課題】高さ寸法を大きくすることなく、従来より長い可動接点押し下げストロークを確保することができる小形・薄形の横押しタイプの押釦スイッチを提供する。
【解決手段】ハウジング1の内底部に設置した第1,第2,第3固定接点2a,3a,4aの上に可動接点5,6を上下2段に設置し、操作部材9の押圧部9aからハウジング1内に突出する作動部9bの先端側両端部を当接可能な一対の案内部8をハウジング1の上部に取り付けられる蓋体7に設けると共に、ハウジング1内の周側部に収納される周辺部10aに連設されてハウジング1内に作動部9bと向き合って突出される第2作動部材10を備え、操作部材9を横方向から押圧することにより、作動部9bと第2作動部材10を下側へ変位させて可動接点5,6を押し下げ、固定接点2a,3a,4aと接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話,デジタルカメラ,PDA,携帯音楽プレーヤ等の小型電子機器に使用される横押しタイプの押釦スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横方向(水平方向)からの押圧を縦方向(垂直方向)に変換する横押しタイプの押釦スイッチが知られており(例えば特許文献1参照)、この従来の押釦スイッチを図9〜図12に示す。図9は従来の押釦スイッチを示す断面図、図10従来の押釦スイッチを示す平面図、図11は従来の押釦スイッチの蓋体を外した状態を示す平面図、図12は従来の押釦スイッチの動作状態を示す断面図である。
【0003】
図9〜図12において、符号1はハウジングであり、合成樹脂等の絶縁材からなり、収納部1aを有する上面開口状の箱型に形成されている。この収納部1aの内底部には、導電性の金属板からなる一対の固定接点2a、2bがインサート成形等の方法により一部が内底面に表出されて一体に埋設されている。ハウジング1の対向する一対の側面の下方側には、前記一対の固定接点2a、2bから導出された外部端子3a、3bが突出して形成されている。ハウジング1の他の一側面には、前記収納部1aに連通する窓口部1bが設けられている。また、ハウジング1の四角部には、外方へ突出する係合凸部1cが形成されている。
【0004】
前記収納部1aの一対の固定接点2a、2b上には、導電性の薄板金属板でドーム状に湾曲して反転可能に形成された可動接点4が載置されている。この可動接点4は、ドーム状の頂部下面が内底面に表出された一方の固定接点2aと一定の間隔を維持して対峙され、ドーム状の外周の周縁部が図9では省略されているが収納部1aの内底面に表出された他方の固定接点2bと接触した状態で配置されている。
【0005】
前記可動接点4の上面側には、ポリアミド樹脂等の絶縁性の樹脂シート材からなる防塵シート5が配設されている。この防塵シート5は周縁部が前記ハウジング1の収納部1a上面に載置されて収納部1aの開口を覆うように接着剤などで固着されており、収納部1a内に配設された各接点部へのゴミ、異物等の侵入を防止している。
【0006】
また、符号6は操作部材であり、合成樹脂等の絶縁材からなり、前記ハウジング1の窓口部1bから突出する押圧部6aと、この押圧部6aから前記収納部1a内に突出して形成された作動部6bと、この作動部6bの周りに設けられた開口部6cを介して前記作動部6bの両側部及び後部を囲むように押圧部6aに接続して形成されたスライド部6dとを有している。操作部材6は、前記収納部1aに配設された防塵シート5の上面側に配置され、押圧部6aが前記ハウジング1の窓口部1bから突出されると共に、作動部6dの自由端である当接部6eが前記防塵シート5を挟んで前記可動接点4のドーム状の頂部上面に対向して配設され、スライド部6dが前記収納部1a内に摺動可能に収納されている。
【0007】
さらに、符号7は蓋体であり、金属板を打ち抜き折り曲げることにより形成されており、前記ハウジング1の上部に取り付けられて収納部1aを覆うように平板状に形成された上板7aと、この上板7aの四角部から略直角に折り曲げられ、L字状に下方に垂下された4個の取付脚とを有している。この取付脚の先端には係止片が設けられており、この係止片を前記ハウジング1の四角部に設けられた前記係止凸部1cに係止することにより蓋体7が前記ハウジング1上部に取り付けられている。
【0008】
前記上板7aの略中央には、前記ハウジング1の収納部1a内に折り曲げられて形成され、前記操作部材6の作動部6bの当接部6eと当接してこの作動部6bを前記可動接点4の押圧方向へ案内する案内部が形成されている。この案内部は、上板7aの板面を前記ハウジング1の収納部1a内へ前記操作部材6の押圧方向に沿って折り曲げられた略45度の斜面からなる傾斜部7dと、この傾斜部7dの両側部に連続して設けられると共に、上板7aと接続された略三角形状からなる一対の接続部7eとから形成されている。前記蓋体7が前記ハウジング1の上部に取り付けられた際には、前記傾斜部7d及び接続部7eが、前記操作部材6のスライド部6dに設けられた開口部6c内に位置して配置されるものとなる。この時、前記傾斜部7dが操作部材6の作動部6bの当接部6e(自由端)に対向して配置されている。開口部6c内に折り曲げられた傾斜部7d及び接続部7eの後端側を切り欠くことにより、スライド部6dが収納部1a内を摺動する際に傾斜部7d及び接続部7eがスライド部6dの開口部6c後端と当接するのを防止している。
【0009】
前記案内部を前記蓋体7に形成する場合、まず、蓋体7の上板7aで案内部の後端となる位置に、プレス等でやや細長の切り欠き部7fを形成し、次に、プレス等でこの切り欠き部7fの前方を下方へ略45度折り曲げることにより、前記傾斜部7dと、この傾斜部7dの両側部に連続した略三角形状の一対の接続部7eを形成する。
【0010】
上記構成の従来の押釦スイッチは、図9に示す初期の状態では、操作部材6は、作動部6bの当接部6e(自由端)が防塵シート5を介して可動接点4のドーム状の頂部上面に当接されている。そして、可動接点4が有する上方への弾性付勢力と、蓋体7の傾斜部7dの傾斜面との相乗作用により、図示左方向(押圧部6aの押圧方向とは逆方向)に付勢されて押圧部6aは外方へ突出されている。この時、可動接点4は外周の周縁部が固定接点2bと接触しているがドーム状の頂部下面が固定接点2aと離間しておりスイッチはオフ状態となっている。
【0011】
この状態から、押圧部6aが図示右方向へ押圧されると、図12に示すように、作動部6bの当接部6e(自由端)が傾斜部7dに沿って図示下方向(押圧部6aの押圧方向とは直交する下方向)に案内され、防塵シート5を介して可動接点4のドーム状の頂部上面を押圧することで可動接点4が下方へ反転するものとなる。そして、可動接点4のドーム状の頂部下面が固定接点2aと接触することで、固定接点2aと2bが電気的に接続され、スイッチがオン状態となる。
【0012】
この状態から、押圧部6aへの押圧が解除されると、可動接点4は自身が有する反転復帰力により上方へ反転復帰し、スイッチがオフ状態となる。そして、この時の付勢力で作動部6bの当接部6eは、先ほどとは逆に傾斜部7dに沿って図示左方向(押圧部6aの押圧方向とは逆方向)に付勢されて押圧部6aが外方へ突出して初期の状態に復帰するものとなる。
【0013】
【特許文献1】特開2006−244977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のように、従来の横押しタイプの押釦スイッチは1段動作タイプであるが、近年、小型電子機器の小型・薄形化に加えて多機能化が進む中で2段動作タイプが強く求められている。従来の横押しタイプの押釦スイッチで可動接点を上下2段に設置して2段動作タイプ化しようとすると、蓋体7の傾斜部7dの高さを大きくする必要があり、押釦スイッチ全体の高さ寸法が大きくなるという問題があった。
【0015】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、高さ寸法を大きくすることなく、従来より長い可動接点押し下げストロークを確保することができる小形・薄形の横押しタイプの押釦スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明の押釦スイッチは、収納部を有するハウジングと、前記収納部の底部に設けられた固定接点と、この固定接点の上に設置された可動接点と、前記収納部に摺動可能に収納され、前記ハウジングの側部より外部へ突出する押圧部及びこの押圧部から前記収納部内に突出する片持ち梁構造の作動部を有する操作部材と、前記ハウジングの上部に取り付けられて前記収納部を覆うと共に、前記作動部の先端側が当接可能な案内部を有する金属板製の蓋体とを備え、前記押圧部を横方向から押圧することにより前記案内部に前記作動部の先端側を当接させて該先端側を下側の前記可動接点方向へ案内して前記可動接点を前記固定接点と接触させる押釦スイッチであって、前記収納部の周側部に位置固定されて収納される周辺部を有し、この周辺部に連設されて前記収納部内に前記作動部と向き合って突出される片持ち梁構造の第2作動部材と、前記第2作動部材の先端側の両側に設置された一対の前記案内部と、前記各案内部に設けられ、前記押圧部の押圧方向に対して傾斜する第1傾斜部と、前記作動部の先端側上部に設けられ、前記第1傾斜部と対向する第2傾斜部と、前記作動部の先端側下部に設けられ、相対する前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部と交差する方向の第3傾斜部と、前記第2作動部材の先端側上部に設けられ、前記第3傾斜部と対向する第4傾斜部と、前記第2作動部材の先端側下部に設けられ、前記可動接点と対向する突起部とを備え、前記作動部の先端側は、前記押圧部を横方向から押圧することにより、前記第1傾斜部に前記第2傾斜部を当接させて下側の前記可動接点方向へ案内されながら、前記第3傾斜部に前記第2傾斜部を当接させて前記第2作動部材の先端側を下側の前記可動接点方向に変位させ、前記突起部を前記可動接点に当接させて該可動接点を押し下げて前記固定接点と接触させる構成としたものである。
【0017】
上記構成によると、従来と同じ押圧ストロークで従来より長い可動接点押し下げストロークを確保することができる。しかも、第2作動部材を操作部材の作動部及び蓋体の案内部を設置する高さ位置に設置することができるので、押釦スイッチ全体の高さ寸法は大きくなることがない。
【0018】
請求項2に記載の発明の押釦スイッチは、請求項1に記載の発明の押釦スイッチにおいて、前記第2作動部材の周辺部は、該第2作動部材の基端側及び両側を囲むコ字形に形成すると共に、前記第2作動部材を突出させる前記周辺部の中央部を両端部より薄肉に形成し、該中央部を捻り変形させながら前記第2作動部材の先端側を下側の前記可動接点方向に変位させる構成としたものである。
【0019】
上記構成によると、第2作動部材に生ずる応力を減少させることができるので、第2作動部材の変位量が作動部のそれより大きくなっても、作動部と略同じ大きさの第2作動部材で作動部と同等の耐久性を確保することができ、押釦スイッチ全体の大型化を招くことなく、押釦スイッチの寿命低下を防止することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明の押釦スイッチは、請求項1に記載の発明の押釦スイッチにおいて、前記操作部材は、前記作動部の両側で前記押圧部から前記収納部の周側部に突出する一対のスライド部を備え、前記第2作動部材の周辺部は、該第2作動部材の基端側及び両側を囲むコ字形に形成し、前記第2作動部材の周辺部の両端部に前記スライド部を摺動可能に支持するガイド部を備える構成としたものである。
【0021】
上記構成によると、作動部と第2作動部材の間の位置精度を向上させることができるので、安定した可動接点押し下げストロークを得ることができる。
【0022】
請求項4に記載の発明の押釦スイッチは、請求項1に記載の発明の押釦スイッチにおいて、前記第3傾斜部と第4傾斜部のうち、一方の表面は平坦面に形成し、他方の表面は凸の湾曲面に形成したものである。
【0023】
上記構成によると、第3傾斜部と第4傾斜部を線接触させて摺動させ、第3傾斜部と第4傾斜部の磨耗を抑制することができるので、安定した可動接点押し下げストロークを得ることができる。
【0024】
請求項5に記載の発明の押釦スイッチは、請求項1に記載の発明の押釦スイッチにおいて、前記突起部の表面は、凸の球面の一部で形成したものである。
【0025】
上記構成によると、突起部を可動接点に点接触させて、突起部の磨耗を抑制することができるので、安定した可動接点押し下げストロークを得ることができるとともに、可動接点が反転動作可能なドーム状金属板からなる場合にその中心を精度良く押し下げることができるので、良好な動作感触を得ることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明の押釦スイッチは、請求項1に記載の発明の押釦スイッチにおいて、前記蓋体は、前記ハウジングの上部に取り付けられ、収納部を覆うように平板状に形成された上板を備え、前記各案内部は、前記上板を部分的に外面が凹、内面が凸で、両端が閉鎖されたV字状に立体形状化するプレス加工により形成され、前記V字部の傾斜した一方の直線部分により前記第1傾斜部が形成される構成としたものである。
【0027】
上記構成によると、蓋体の上板に孔を空けることなく第1傾斜部を設けることができるので、従来の押釦スイッチのような防塵シートが不要になり、押釦スイッチ全体の高さを小さくすることができると共に、押釦スイッチの部品点数及び組み立て工数の削減とコスト低下を図ることができる。
【0028】
請求項7に記載の発明の押釦スイッチは、請求項1に記載の発明の押釦スイッチにおいて、前記可動接点は、反転可能なドーム状金属板からなり、該可動接点の中心部に前記第2作動部材の突起部を対向させた構成としたものである。
【0029】
上記構成によると、可動接点の中心を精度良く押し下げることができるので、良好な動作感触を得ることができる。
【0030】
請求項8に記載の発明の押釦スイッチは、請求項1に記載の発明の押釦スイッチにおいて、前記可動接点は、反転可能なドーム状金属板からなり、該可動接点を上下2段に設置すると共に、上側可動接点の周辺部の底部側及び下側可動接点の周辺部と中心部の底部側の3箇所に異なる第1及び第2と第3固定接点を設け、前記上側可動接点を前記第1固定接点と常時接触させ、前記下側可動接点を前記第2可動接点と常時接触させ、前記上側可動接点を押し下げると下向きに反転して前記下側可動接点と接触し、さらに押し下げると前記下側可動接点を押し下げて反転させ、前記第3固定端子と接触させる構成としたものである。
【0031】
上記構成によると、従来は1段動作であった横押しタイプの押釦スイッチを、高さ寸法を大きくすることなく、従来より長い可動接点押し下げストロークを確保しながら、2段動作タイプにすることができる。
【0032】
請求項9に記載の発明の押釦スイッチは、請求項8に記載の発明の押釦スイッチにおいて、前記下側可動接点は、前記第2作動部材の周辺部の一部で押さえられ、該下側可動接点の浮き上がりを防止する曲げ部を備える構成としたものである。
【0033】
上記構成によると、2段動作の横押しタイプの押釦スイッチにおいて、下側可動接点の浮き上がりを防止することができるので、上下の可動接点の絶縁距離を保ち、2段目の動作感触を良好に得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、高さ寸法を大きくすることなく、従来より長い可動接点押し下げストロークを確保することができる小形・薄形の横押しタイプの押釦スイッチを提供することができる。また、小形・薄形の2段動作の横押しタイプの押釦スイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態による押釦スイッチを示す断面図、図2は本発明の一実施の形態による押釦スイッチの外観を示す斜視図、図3は本発明の一実施の形態による押釦スイッチを裏返しにした状態の外観を示す斜視図、図4は本発明の一実施の形態による押釦スイッチの分解状態を示す斜視図、図5は本発明の一実施の形態による押釦スイッチを裏返しにした状態の分解状態を示す斜視図、図6は本発明の一実施の形態による押釦スイッチの蓋体を外した状態を示す平面図である。なお、以下の説明では図2における矢印a−b方向を押釦スイッチの前後方向、矢印c−d方向を押釦スイッチの左右方向、矢印e−f方向を押釦スイッチの上下方向として説明する。
【0036】
図1〜図6において、符号1はハウジングであり、合成樹脂等の絶縁材からなり、収納部1aを有する上面開口状の箱型に形成されている。このハウジング1の内底面1bの4つの角部には該内底面1bから一段下げられた浅い上側可動接点支え凹部1cが設けられ、この各上側可動接点支え凹部1cの内側にはさらに深い略円形の下側可動接点支え凹部1dが設けられ、この下側可動接点支え凹部1dの周辺部には前後の上側可動接点支え凹部1cの間に突出する左右の曲げ部収納部1eが設けられている。
【0037】
また、前記ハウジング1の前後の側壁上部には前後の切り欠き部1f,1gが設けられている。また、前記ハウジング1の4つの角部には係合凹部1hが設けられ、この各係合凹部1hの上側には下に向かって漸次外側に拡がる傾斜状のガイド部1iが設けられている。さらに、前記ハウジング1の外底面の周辺部には複数の浅い外部接続端子用凹部1jが設けられると共に、この左右の外部接続端子用凹部1jに隣接して各外部接続端子用凹部1jよりやや深い左右のアース端子用凹部1kが設けられ、各外部接続端子用凹部1jの内側には実装時の左右の位置決めピン1mが垂直に突設されている。
【0038】
前記ハウジング1は、インサート成形により第1,第2,第3の固定端子2,3,4と一体に成形されている。第1,第2,第3の固定端子2,3,4は、良導電性の金属薄板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成され、ハウジング1の底部に絶縁状態で埋設されている。第1固定端子2は、その一部を前記上側可動接点支え凹部1cに略面一に露出して、第1固定接点としてのコモン接点2aを形成している。第2固定端子3は、その一部を前記下側可動接点支え凹部1dの周辺部に略面一に露出して、第2固定接点としての第1選択接点3aを形成している。第3固定端子4は、その一部を前記下側可動接点支え凹部1dの中心部に略面一に露出して、第3固定接点としての第2選択接点4aを形成している。また、第1,第2,第3の固定端子2,3,4は、その他の一部をそれぞれ所定の前記外部接続端子用凹部1jに略面一に露出して、前記コモン接点2bと導通のある第1外部接続端子2a,前記第1選択接点3aと導通のある第2外部接続端子3b、第2選択接点4aと導通のある第3外部接続端子4bを形成している。
【0039】
図1,図4,図5において、符号5は上側可動接点、符号6は下側可動接点であり、これら上側可動接点5及び下側可動接点6は、良導電性の金属薄板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成された反転可能なドーム状金属板からなる。上側可動接点5には周辺部から左右方向に突出する前後一対の脚部5aが設けられている。下側可動接点6には周辺部から左右方向に突出する左右の曲げ部6aが設けられている。この各曲げ部6aは上方に向かって開口するコ字状に形成されている。そして、上側可動接点5は、周辺部が4本の前記各脚部5aを介して前記上側可動接点支え凹部1cで支持され、下側可動接点6は、周辺部が前記下側可動接点支え凹部1dの周辺部で支持され、前記ハウジング1の収納部1aの底部に一定の隙間を設けて上下2段に上側可動接点5及び下側可動接点6が設置収納されている。設置状態では、上側可動接点5は脚部5aを介してコモン接点2aと常時接触し、下側可動接点6は周辺部が第1選択接点3aと常時接触すると共に、中心部が下側の前記第2選択接点4aに一定の隙間を設けて対向している。また、下側可動接点6の各曲げ部6aが前記曲げ部収納部1eに嵌り込み、各曲げ部6aの上部をハウジング1の内底面1bに臨ませている。
【0040】
図1〜図5において、符号7は蓋体であり、金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成されている。この蓋体7は、前記ハウジング1の上部に取り付けられて前記収納部1aを覆うように矩形平板状に形成された上板7aと、この上板7aの前後側縁の両端部から略直角に折り曲げられ、L字状に下方に垂下された4本の取付脚7bと、前記後側の左右取付脚7b間に一体に形成され、前記上板7aの後側縁から後側の左右取付脚7bと一体に略直角に折り曲げられ、前記ハウジング1の後側の切り欠き部1gを覆う平板状の後側板7cと、上板7aの前後側縁の両端部から略直角に折り曲げられ、前記ハウジング1の左右側面上部に重ね合わせる左右側板7dと、この左右側板7dの前部からさらに下方に延設され、先端側をハウジング1の外底面より下方に突出させるアース端子7eとを有している。各取付脚7bの先端側には係止片7fが設けられている。
【0041】
蓋体7は、押釦スイッチの組み立て最終段階に上板7aをハウジング1の上部に取り付けて前記収納部1aを覆う際に、各取付脚7bの先端側(係止片7f)をハウジング1の各ガイド部1iに摺接させながら外側に押し広げた後、各ガイド部1iを乗り越えた時点で元に弾性復帰させ、ハウジング5の各係合凹部1hに各係止片7fを係合させることにより、ハウジング1に取り付けられる。この取り付け後、ハウジング1の外底面より下方に突出している左右のアース端子7eの先端側をそれぞれ内側に略直角に折り曲げ、ハウジング1の左右のアース端子用凹部1kに嵌め込むことにより、ハウジング1の外底面に略面一に露出する左右のアース用半田付け部7gを形成している。
【0042】
また、前記上板7aの中央部には、一対の案内部8が前記上板7aの左右方向の中心線を対称軸として左右軸対称位置に並設されている。各案内部7aは、前記上板7aを部分的に外面が凹、内面が凸で、両端が閉鎖された左右側面視で上向きに略90度の角度で開拡したV字状に立体形状化する張り出し加工等のプレス加工により形成されており、このV字部の前側に位置する略45度で傾斜した一方の直線部分により形成される第1傾斜部8aと、V字部の後側に位置する略45度で傾斜した他方の直線部分により形成される後側傾斜部8bと、V字部の左右両端に位置する逆三角形の左右閉鎖端部8cとから形成されている。
【0043】
図1〜図6において、符号9は操作部材(押釦)であり、合成樹脂等の絶縁材からなり、前記ハウジング1の前側の切り欠き部1fから外部へ突出する押圧部9aと、この押圧部9aの中央部から前記収納部1a内に突出して形成された片持ち梁構造の作動部9bと、この作動部9aの左右両側で前記押圧部9aの左右端部から前記収納部1a内に突出して形成された左右のスライド部9cとを有している。操作部材9は、収納部1aの底部に上下2段で設置された前記可動接点5,6の上側に配置され、押圧部9aが前記ハウジング1の前側の切り欠き部1fから突出されると共に、作動部9bの自由端側である先端側が前記上側可動接点5の中心部(頂点部)に直接対向して配設され、スライド部9cが前記収納部1a内の左右両側部で摺動可能に収納されている。
【0044】
前記作動部9bは、先端側が固定端側(支点側)である根元側より幅広に形成されており、作動部9bの先端側上部には、その先端側上角部を面取りしたような第2傾斜部9dが設けられ、作動部9bの先端側下部には、その先端側下角部を大きく(前記第2傾斜部9dに比べて)面取りしたような第3傾斜部9eが設けられ、第2傾斜部9dの左右両端部が前記左右一対の案内部8の各第1傾斜部8aに対向して当接されている。
【0045】
前記スライド部9cは、外側下角部が四角く切り欠かれてL形の断面形状を有している。
【0046】
図1、図4,図5,図6において、符号10は第2作動部材であり、合成樹脂等の絶縁材からなり、前記収納部1aの周側部に収納される周辺部10aを有している。この周辺部10aはコ字形に形成されて、前記ハウジング1の後側の側壁に沿う周辺部10aの中央部である連結板10bと、この連結板10bの両端部に後端側が連設されて前記ハウジング1の左右の側壁に沿って前方へ延設される周辺部10aの両端部である左右のガイド部10cとから形成されている。周辺部10aは、左右のガイド部10cの下面がハウジング1の内底面1bに当接支持され、左右のガイド部10cの外側面がハウジング1の左右側壁内面に接触され、左右のガイド部10cの上面が前記蓋体7の上板7aで押さえられて、前記収納部1b内の周辺部に位置固定されて収納されている。この周辺部10aの左右のガイド部10cは、内側下角部が四角く切り欠かれて前記左右のスライド部9cと点対称のL形の断面形状を有し、左右のガイド部10cの下部水平部分に左右の前記スライド部9cの上部水平部分を重ね合わせることにより、左右のガイド部10cの垂直部分によって左右の前記スライド部9cの左右方向の移動を規制し、左右のガイド部10cの下部水平部分とそれに対向する上板7aとによって左右の前記スライド部9cの上下方向の移動を規制し、左右の前記スライド部9cの前後方向の移動のみを許容して、前記操作部材9を周辺部1aの左右のガイド部10cにより前後方向にのみ往復移動可能に支持している。また、周辺部10aの左右のガイド部10cは、前記ハウジング1の各上側可動接点支え凹部1c及び左右の曲げ部収納部1eの開放上面を塞ぎ、前記上側可動接点5の浮き上がりを前記各脚部5aを介して防止すると共に、前記下側可動接点6の浮き上がりを前記左右の曲げ部6aを介して防止している。
【0047】
第2作動部材10は、前記収納部1b内の後側で左右方向に架設される連結板10bの中央部から前記作動部9bと向き合って突出され、片持ち梁構造に形成され、第2作動部材10の自由端側である先端側が前記左右一対の案内部8の間で前記上側可動接点5の中心部(頂点部)に直接対向して配設されている。第2作動部材10の先端側上部には、その先端側上角部を面取りしたような第4傾斜部10dが設けられ、先端側下部には、下向きに突出された球形の突起部10eが設けられ、第4傾斜部10dが前記左右一対の案内部8の間で前記作動部9bの第3傾斜部9eに対向して当接され、突起部10eが前記上側可動接点5の上側可動接点5の中心部(頂点部)に対向して当接されている。
【0048】
ここで、前記第2作動部材10の固定端側(支点側)である根元側に連設されている連結板10bは、左右のガイド部10cより薄肉に形成され、第2作動部材10の先端側の押し下げに伴って捻り変形可能に形成されている。また、前記作動部9bの第3傾斜部9eと前記第2作動部材10の第4傾斜部10eを線接触で当接させるように、一方の表面を平坦面に形成し、他方の表面を凸の湾曲面に形成している。本実施の形態では第4傾斜部10eの表面を凸の湾曲面に形成している。
【0049】
そして、本実施の形態による押釦スイッチの組み立ては、図4に示すように、ハウジング1の収納部1aの底部に上側可動接点5と下側可動接点6を上下2段に設置し、次に前記収納部1aの上部に第2作動部材10を周辺部10aと共に収納し、次にハウジング1の前側の切り欠き部1fに操作部材9の押圧部9aを嵌め込みながら、操作部材9の作動部9b及び左右のスライド部9cを収納し、次の最終工程にて蓋体7を上方から被せてハウジング1に取り付けた後、アース端子7eの先端側を折り曲げ加工し、アース用半田付け部7gを形成することにより完了する。
【0050】
次に、図1,図7,図8を参照して本実施の形態による押釦スイッチの動作を説明する。図7は本発明の一実施の形態による押釦スイッチの1段目の動作状態を示す断面図、図8は本発明の一実施の形態による押釦スイッチの2段目の動作状態を示す断面図である。
【0051】
操作部材9を操作しない動作前の初期状態では、上側可動接点5と下側可動接点6とはそれぞれが上向きに膨らんだ初期状態にあり離間すると共に、下側可動接点6は、中心部が第2選択接点4aに対し離間対向している。また、操作部材9は初期位置に位置して作動部9bが押圧部9aから略水平に収納部1a内に突出支持され、第2作動部材10も初期位置に位置して操作部材9の作動部9aと向き合って略水平に収納部1a内に突出支持されて、作動部9bの第2傾斜部9dの左右両端部が左右の案内部8の各第1傾斜部8aに対向して当接され、作動部9bの第3傾斜部9eが第2作動部材10の第4傾斜部10dに対向して当接され、第2作動部材10の突起部10eが上側可動接点5の中心部に対向して当接されている。
【0052】
この初期状態から、操作部材9の押圧部9aを横方向から前方へ押圧すると、図7に示すように、操作部材9が全体的に前方へ移動し、作動部9bの第2傾斜部9dの左右両端部が左右の案内部8の各第1傾斜部8a上をその傾斜下端側に向かって摺動することにより、横方向からの操作部材9の押圧が下直角方向に変換される。これにより、作動部9bの先端側が作動部9bの撓み変形を伴って押し下げられる。また、この作動部9bの第3傾斜部9eには第2作動部材10の第4傾斜部10dが当接しているので、作動部9bの先端側の下降しながらの前方への移動に伴って、作動部9bの第3傾斜部9eが第2作動部材10の第4傾斜部10dを押し下げながら、第4傾斜部10d上をその傾斜上端側に向かって摺動することにより、横方向からの操作部材9の押圧が下直角方向に変換されて第2作動部材10の先端側に伝達される。これにより、第2作動部材10の先端側が作動部9bの先端側の下がり量に、横方向の押圧成分が下直角方向に変換された押し下げ量を加えた押し下げ量で押し下げられる。この結果、上側可動接点5の中心部が第2作動部材10の先端側下部の突起部10eによって押し下げられる。
【0053】
そして、上側可動接点5の中心部が押し下げられると、上側可動接点5は下向きに反転動作して、その下側にある下側可動接点6に接触するため、コモン接点2aと第1選択接点3aとが上下の可動接点5,6を通して電気的に導通接続され、1段目のスイッチがオンになる。すなわち1段目の感触と電気信号を出力する。
【0054】
続いて、操作部材9の押圧部9aを横方向からさらに前向へ押圧すると、図8に示すように、操作部材9が全体的にさらに前方へ移動し、作動部9bの第2傾斜部9dの左右両端部が左右の案内部8の各第1傾斜部8a上をその傾斜下端側に向かってさらに摺動することにより、作動部9bの先端側が作動部9bの撓み変形を伴ってさらに押し下げられると共に、この作動部9bの先端側の下降しながらの前方への移動に伴って、作動部9bの第3傾斜部9eが第2作動部材10の第4傾斜部10dをさらに押し下げながら、第4傾斜部10d上をその傾斜上端側に向かってさらに摺動することにより、第2作動部材10の先端側が作動部9bの先端側のさらなる下がり量に、横方向の押圧成分が下直角方向に変換されたさらなる押し下げ量を加えた押し下げ量でさらに押し下げられる。この結果、上側可動接点5の中心部と共に下側可動接点6の中心部が第2作動部材10の先端側下部の突起部10eによって押し下げられる。
【0055】
そして、下側可動接点6の中心部が押し下げられると、下側可動接点6は下向きに反転動作して、その中心部の下側にある第2選択接点4aに接触するため、コモン接点2aと第2選択接点4aとが上下の可動接点5,6を通して電気的に導通接続され、1段目のスイッチに続いて2段目のスイッチがオンになる。すなわち1段目の感触と電気信号の出力に続いて2段目の感触と電気信号を出力する。
【0056】
なお、操作部材9の押圧部9aが押圧されて下側可動接点6と第2選択接点4aが接触している間は、1段目のスイッチ及び2段目のスイッチのオン状態を保つ。
【0057】
この1段目のスイッチ及び2段目のスイッチのオン状態で、操作部材9の横方向からの押圧を除くと、上下の可動接点5,6がそれぞれバネ力により上向きに反転動作して初期状態に戻ると共に、操作部材9の作動部9b及び第2作動部材10もそれぞれの弾性復帰力により初期状態に戻り、これに伴って、操作部材9が初期位置に戻り、図1に示したスイッチ動作前の初期状態に復帰する。この初期状態への復帰時に、下側可動接点6と第2選択接点4aとの接触が断たれ時点で2段目のスイッチがオフになり、上側可動接点5と下側可動接点6との接触が断たれた時点で1段目のスイッチがオフになる。
【0058】
上記から明らかなように、本実施の形態による押釦スイッチは、収納部1aを有するハウジング1と、前記収納部1aの底部に設けられた固定接点2a,3a,4aと、この固定接点2a,3a,4aの上に設置された可動接点5,6と、前記収納部1aに摺動可能に収納され、前記ハウジング1の側部より外部へ突出する押圧部9a及びこの押圧部9aから前記収納部1a内に突出する片持ち梁構造の作動部9bを有する操作部材9と、前記ハウジング1の上部に取り付けられて前記収納部1aを覆うと共に、前記作動部9bの先端側が当接可能な案内部8を有する金属板製の蓋体7とを備え、前記押圧部9aを横方向から押圧することにより前記案内部8に前記作動部9bの先端側を当接させて該先端側を下側の前記可動接点5,6方向へ案内して前記可動接点5,6を前記固定接点2a,3a,4aと接触させる押釦スイッチであって、前記収納部1aの周側部に位置固定されて収納される周辺部10aを有し、この周辺部10aに連設されて前記収納部1a内に前記作動部9bと向き合って突出される片持ち梁構造の第2作動部材10と、前記第2作動部材10の先端側の両側に設置された一対の前記案内部8と、前記各案内部8に設けられ、前記押圧部9aの押圧方向に対して傾斜する第1傾斜部8aと、前記作動部9bの先端側上部に設けられ、前記第1傾斜部8aと対向する第2傾斜部9dと、前記作動部9bの先端側下部に設けられ、相対する前記第1傾斜部8a及び前記第2傾斜部9dと交差する方向の第3傾斜部9eと、前記第2作動部材10の先端側上部に設けられ、前記第3傾斜部9eと対向する第4傾斜部10dと、前記第2作動部材10の先端側下部に設けられ、前記可動接点と対向する突起部10eとを備え、前記作動部9bの先端側は、前記押圧部9aを横方向から押圧することにより、前記第1傾斜部8aに前記第2傾斜部9dを当接させて下側の前記可動接点方向へ案内されながら、前記第3傾斜部9eに前記第2傾斜部9dを当接させて前記第2作動部材10の先端側を下側の前記可動接点方向に変位させ、前記突起部10eを前記可動接点5,6に当接させて該可動接点5,6を押し下げて前記固定接点2a,3a,4aと接触させる構成としたもので、この構成によって、従来と同じ押圧ストロークで従来より長い可動接点押し下げストロークを確保することができる。しかも、第2作動部材10を操作部材9の作動部9b及び蓋体7の案内部8を設置する高さ位置に設置することができるので、押釦スイッチ全体の高さ寸法は大きくなることがない。
【0059】
また、前記第2作動部材10の周辺部10aは、該第2作動部材10の基端側及び両側を囲むコ字形に形成すると共に、前記第2作動部材10を突出させる前記周辺部10aの中央部10bを両端部10cより薄肉に形成し、該中央部10bを捻り変形させながら前記第2作動部材10の先端側を下側の前記可動接点5,6方向に変位させる構成としたもので、この構成によって、第2作動部材10に生ずる応力を減少させることができるので、第2作動部材10の変位量が作動部9bのそれより大きくなっても、作動部9bと略同じ大きさの第2作動部材10で作動部9bと同等の耐久性を確保することができ、押釦スイッチ全体の大型化を招くことなく、押釦スイッチの寿命低下を防止することができる。
【0060】
また、前記操作部材9は、前記作動部9bの両側で前記押圧部9aから前記収納部1aの周側部に突出する一対のスライド部9cを備え、前記第2作動部材10の周辺部10aは、該第2作動部材10の基端側及び両側を囲むコ字形に形成し、前記第2作動部材10の周辺部10aの両端部に前記スライド部9cを摺動可能に支持するガイド部10cを備える構成としたもので、この構成によって、作動部9bと第2作動部材10の間の位置精度を向上させることができるので、安定した可動接点押し下げストロークを得ることができる。
【0061】
また、前記第3傾斜部9eと第4傾斜部10dのうち、一方の表面は平坦面に形成し、他方の表面は凸の湾曲面に形成したもので、この構成によって、第3傾斜部9eと第4傾斜部10dを線接触させて摺動させ、第3傾斜部9eと第4傾斜部10dの磨耗を抑制することができるので、安定した可動接点押し下げストロークを得ることができる。
【0062】
また、前記突起部10eの表面は、凸の球面の一部で形成したもので、この構成によって、突起部10eを可動接点5,6に点接触させて、突起部10eの磨耗を抑制することができるので、安定した可動接点押し下げストロークを得ることができるとともに、可動接点5,6が反転動作可能なドーム状金属板からなる場合にその中心を精度良く押し下げることができるので、良好な動作感触を得ることができる。
【0063】
また、前記蓋体7は、前記ハウジング1の上部に取り付けられ、収納部1aを覆うように平板状に形成された上板7aを備え、前記各案内部8は、前記上板7aを部分的に外面が凹、内面が凸で、両端が閉鎖されたV字状に立体形状化するプレス加工により形成され、前記V字部の傾斜した一方の直線部分により前記第1傾斜部8aが形成される構成としたもので、この構成によって、蓋体7の上板7aに孔を空けることなく第1傾斜部8aを設けることができるので、従来の押釦スイッチのような防塵シートが不要になり、押釦スイッチ全体の高さを小さくすることができると共に、押釦スイッチの部品点数及び組み立て工数の削減とコスト低下を図ることができる。
【0064】
また、前記可動接点5,6は、反転可能なドーム状金属板からなり、該可動接点5,6の中心部に前記第2作動部材10の突起部10eを対向させた構成としたもので、この構成によって、可動接点5,6の中心を精度良く押し下げることができるので、良好な動作感触を得ることができる。
【0065】
また、前記可動接点5,6は、反転可能なドーム状金属板からなり、該可動接点5,6を上下2段に設置すると共に、上側可動接点5の周辺部10aの底部側及び下側可動接点6の周辺部10aと中心部の底部側の3箇所に異なる第1及び第2と第3固定接点2a,3a,4aを設け、前記上側可動接点5を前記第1固定接点2aと常時接触させ、前記下側可動接点6を前記第2可動接点3aと常時接触させ、前記上側可動接点5を押し下げると下向きに反転して前記下側可動接点6と接触し、さらに押し下げると前記下側可動接点6を押し下げて反転させ、前記第3固定端子4aと接触させる構成としたもので、この構成によって、従来は1段動作であった横押しタイプの押釦スイッチを、高さ寸法を大きくすることなく、従来より長い可動接点押し下げストロークを確保しながら、2段動作タイプにすることができる。
【0066】
また、前記下側可動接点6は、前記第2作動部材10の周辺部10aの一部で押さえられ、該下側可動接点6の浮き上がりを防止する曲げ部6aを備える構成としたもので、この構成によると、2段動作の横押しタイプの押釦スイッチにおいて、下側可動接点6の浮き上がりを防止することができるので、上下の可動接点5,6の絶縁距離を保ち、2段目の動作感触を良好に得ることができる。
【0067】
このように、本実施の形態による押釦スイッチは、高さ寸法を大きくすることなく、従来より長い可動接点押し下げストロークを確保することができる小形・薄形の横押しタイプの押釦スイッチとなっている。また、小形・薄形の2段動作の横押しタイプの押釦スイッチとなっている。
【0068】
なお、以上の本実施の形態は本発明の良好な一実施の形態を示したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施の形態による押釦スイッチを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態による押釦スイッチの外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態による押釦スイッチを裏返しにした状態の外観を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態による押釦スイッチの分解状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態による押釦スイッチを裏返しにした状態の分解状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態による押釦スイッチの蓋体を外した状態を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態による押釦スイッチの1段目の動作状態を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態による押釦スイッチの2段目の動作状態を示す断面図である。
【図9】従来の押釦スイッチを示す断面図である。
【図10】従来の押釦スイッチを示す平面図である。
【図11】従来の押釦スイッチの蓋体を外した状態を示す平面図である。
【図12】従来の押釦スイッチの動作状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ハウジング
1a 収納部
2a コモン接点(固定接点)
3a 第1選択接点(固定接点)
4a 第2選択接点(固定接点)
5 上側可動接点(可動接点)
6 下側可動接点(可動接点)
6a 曲げ部
7 蓋体
7a 上板
8 案内部
8a 第1傾斜部
9 操作部材
9a 押圧部
9b 作動部
9c スライド部
9d 第2傾斜部
9e 第3傾斜部
10 第2作動部材
10a 周辺部
10b 連結板(周辺部の中央部)
10c ガイド部(周辺部の両端部)
10d 第4傾斜部
10e 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部を有するハウジングと、前記収納部の底部に設けられた固定接点と、この固定接点の上に設置された可動接点と、前記収納部に摺動可能に収納され、前記ハウジングの側部より外部へ突出する押圧部及びこの押圧部から前記収納部内に突出する片持ち梁構造の作動部を有する操作部材と、前記ハウジングの上部に取り付けられて前記収納部を覆うと共に、前記作動部の先端側が当接可能な案内部を有する金属板製の蓋体とを備え、前記押圧部を横方向から押圧することにより前記案内部に前記作動部の先端側を当接させて該先端側を下側の前記可動接点方向へ案内して前記可動接点を前記固定接点と接触させる押釦スイッチであって、前記収納部の周側部に位置固定されて収納される周辺部を有し、この周辺部に連設されて前記収納部内に前記作動部と向き合って突出される片持ち梁構造の第2作動部材と、前記第2作動部材の先端側の両側に設置された一対の前記案内部と、前記各案内部に設けられ、前記押圧部の押圧方向に対して傾斜する第1傾斜部と、前記作動部の先端側上部に設けられ、前記第1傾斜部と対向する第2傾斜部と、前記作動部の先端側下部に設けられ、相対する前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部と交差する方向の第3傾斜部と、前記第2作動部材の先端側上部に設けられ、前記第3傾斜部と対向する第4傾斜部と、前記第2作動部材の先端側下部に設けられ、前記可動接点と対向する突起部とを備え、前記作動部の先端側は、前記押圧部を横方向から押圧することにより、前記第1傾斜部に前記第2傾斜部を当接させて下側の前記可動接点方向へ案内されながら、前記第3傾斜部に前記第2傾斜部を当接させて前記第2作動部材の先端側を下側の前記可動接点方向に変位させ、前記突起部を前記可動接点に当接させて該可動接点を押し下げて前記固定接点と接触させることを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項2】
前記第2作動部材の周辺部は、該第2作動部材の基端側及び両側を囲むコ字形に形成すると共に、前記第2作動部を突出させる前記周辺部の中央部を両端部より薄肉に形成し、該中央部を捻り変形させながら前記第2作動部材の先端側を下側の前記可動接点方向に変位させることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ。
【請求項3】
前記操作部材は、前記作動部の両側で前記押圧部から前記収納部の周側部に突出する一対のスライド部を備え、前記第2作動部材の周辺部は、該第2作動部材の基端側及び両側を囲むコ字形に形成し、前記第2作動部材の周辺部の両端部に前記スライド部を摺動可能に支持するガイド部を備えることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ。
【請求項4】
前記第3傾斜部と第4傾斜部のうち、一方の表面は平坦面に形成し、他方の表面は凸の湾曲面に形成したことを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ。
【請求項5】
前記突起部の表面は、凸の球面の一部で形成したことを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ。
【請求項6】
前記蓋体は、前記ハウジングの上部に取り付けられ、収納部を覆うように平板状に形成された上板を備え、前記各案内部は、前記上板を部分的に外面が凹、内面が凸で、両端が閉鎖されたV字状に立体形状化するプレス加工により形成され、前記V字部の傾斜した一方の直線部分により前記第1傾斜部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ。
【請求項7】
前記可動接点は、反転可能なドーム状金属板からなり、該可動接点の中心部に前記第2作動部材の突起部を対向させたことを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ。
【請求項8】
前記可動接点は、反転可能なドーム状金属板からなり、該可動接点を上下2段に設置すると共に、上側可動接点の周辺部の底部側及び下側可動接点の周辺部と中心部の底部側の3箇所に異なる第1及び第2と第3固定接点を設け、前記上側可動接点を前記第1固定接点と常時接触させ、前記下側可動接点を前記第2可動接点と常時接触させ、前記上側可動接点を押し下げると下向きに反転して前記下側可動接点と接触し、さらに押し下げると前記下側可動接点を押し下げて反転させ、前記第3固定端子と接触させることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ。
【請求項9】
前記下側可動接点は、前記第2作動部材の周辺部の一部で押さえられ、該下側可動接点の浮き上がりを防止する曲げ部を備えることを特徴とする請求項8に記載の押釦スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−21155(P2009−21155A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184077(P2007−184077)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】