説明

持続放出製剤およびこれの使用

【化1】


本発明は、1種以上のGPCRの調節剤として有用であるピペラジン化合物のグルクロン酸塩を含有して成る製薬学的組成物を提供するものである。この塩形態物およびこれの製薬学的に受け入れられる組成物は、一般に、パーキンソン病,ストレス/不安,アルツハイマー病,ハンチントン病,パニック障害,強迫性障害,摂食障害,薬物中毒,社会的恐怖症,攻撃性または興奮性,片頭痛,強皮症およびレイノー現象,嘔吐,蠕動の調節に関連したGI管障害,RLSまたは下垂体腫瘍によって増加したプロラクチン分泌を包含するいろいろな病気または障害を治療またはそれのひどさを和らげる目的で用いるに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本発明は、2005年9月12付けで出願した米国仮特許出願連続番号60/716,066(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、1種以上のGPCRの調節剤として用いるに有用な塩形態物およびこれらの組成物を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
G蛋白質共役受容体(GPCR)ファミリーは、ヒトゲノムの1%以上占めかつ幅広い範囲の生物学的機能(いろいろなオートクリン,パラクリンおよびエンドクリンプロセスを包含)を包含する最も大きな公知遺伝子ファミリーである。GPCRスーパーファミリーもまた製薬学的産業が治療用化合物を開発する目的で最も活用している遺伝子ファミリーである。GPCRはロドプシン様GPCR,セクレチン様GPCR,cAMP受容体,菌交配フェロモン受容体および代謝型グルタミン酸受容体ファミリーに分類分けされた。ロドプシン様GPCRはこれら自身幅広い範囲に及ぶ蛋白質ファミリーに相当し、それにはホルモン、神経伝達物質および光受信器が含まれ、これらは全部グアニンヌクレオチド結合(G)蛋白質との相互作用を通して細胞外シグナルを伝達する。それらの活性化リガンドは構造および特性の点で幅広く多様であるが、ロドプシン様GPCRのアミノ酸配列は非常に類似しておりかつ7回膜(TM)貫通a−ヘリックスを含有して成る共通の構造骨組みを持つと考えられており、それは、作動薬が結合した時に前記細胞内の前記受容体から解離したG蛋白質と共役しそして二次伝達物質のシグナル伝達機構を開始させるか或は抑制する。非特許文献1を参照。
【0004】
ロドプシン様GPCRファミリーには、中枢神経系(CNS)およびいろいろな抹梢部位全体に渡って様々に分布していていろいろなCNSおよび神経精神病に関係していると思われている数種類の受容体が含まれる。そのような受容体にはとりわけドーパミン(“D”)受容体およびセロトニンの7主サブタイプ(5−ヒドロキシトリプタミン,“5HT”)受容体の中の6サブタイプが含まれる(5HTおよび4−7受容体サブタイプはGPCRであるが、5HT受容体サブタイプはリガンド依存性Na/Kイオンチャンネルである)。
【0005】
脊椎動物の中枢神経系の中のドーパミンニューロンは、運動の開始および遂行、気分安定性の維持および下垂体機能の調節に関与している。ドーパミンがD受容体の細胞外結合溝と結合するとG蛋白質が活性化されるが、DおよびD受容体サブタイプ(“D様”)は刺激性G蛋白質と結合する一方、受容体サブタイプ2−4(“D様”)は阻害性G蛋白質と結合する。D様受容体は脳全体および平滑筋およびシナプス前神経末端に存在し、作動薬と結合した時に神経伝達に対して抑制効果を示す。具体的には、D受容体は、線条体、辺縁系、視床、視床下部および下垂体の中に豊富かつ幅広い範囲に渡って存在する。D受容体と結合する拮抗薬は作動薬の結合を抑制し、従って、下流のシグナル伝達機構の抑制を防止する。D受容体の拮抗薬は、精神病(例えば、統合失調症,躁病,精神病的鬱病および双極性障害)の治療で用いられ、かつ攻撃性または興奮性の短期鎮静で有用性を示し[例えばアミスルプリド(amisulpride),クロザピン(clozapine),ハロペリドール(haloperidol),ネモナプリド(nemonapride),ピモジド(pimozide),レモキシプリド(remoxipride),スピペロン(spiperone),スルプリド(sulpiride)]かつ薬物中毒の治療で有用であり得る一方、D受容体の作動薬はパーキンソン病の治療で用いられかつ下垂体腫瘍によって増加したプロラクチン分泌の抑制[例えばアポモルフィン(apomorphine),ブロモクリプチン(bromocriptine),ジヒドロエルゴタミン(dihydroergotamine),ピリベジル(piribedil),キンピロール(quinpirole)]かつ下肢静止不能症候群の治療[RLS;例えばプラミペキソール(pramipexole),ロピニロール(ropinirole)]で用いられる。非特許文献2、3、4、5、6を参照。
【0006】
5−ヒドロキシトリプタミンは植物および動物に偏在的に存在する。これはCNSおよび腸における重要な神経伝達物質および局所的ホルモンであり、幅広い種類の生理学的および病態生理学的経路に関係していると思われている。5−ヒドロキシトリプタミンが5HT受容体の細胞外結合溝と結合するとG蛋白質が活性化されるが、5HT受容体サブタイプは阻害性G蛋白質と結合することが知られている一方、サブタイプ2,4,6および7は刺激性G蛋白質と結合することが知られている。これらの中で5HT受容体サブタイプ(少なくとも5種類が知られている)は主に脳および脳血管に存在することが知られていて、それらは神経阻害および血管収縮を媒介する。5HT受容体の特異的作動薬は片頭痛の治療[例えばスマトリプタン(sumatriptan)]およびストレス/不安の治療[例えばブスピロン(buspirone)]で用いられる一方、拮抗薬は精神病の治療[例えばスピペロン(spiperone),メチオテピン(methiothepin)]に推奨される。加うるに、5HT受容体サブタイプの調節は薬物中毒,アルツハイマー病,パーキンソン病,鬱病,嘔吐および摂食障害にも関係していると思われている。5HT受容体サブタイプ(少なくとも3種類が知られている)はCNSおよびいろいろな抹消部位全体に渡って存在していて、それらは興奮性ニューロンおよび平滑筋効果をもたらす。5HT受容体拮抗薬は片頭痛の治療[例えばメチセルギド(methisergide)]で用いられかつ強皮症およびレイノー現象の治療[例えばケタンセリン(ketanserin)]で効力があることが示されている。5HT受容体は主に抹消神経系に存在することが知られており、拮抗薬は抗嘔吐薬[例えばオンダンセトロン(ondansetron),トロピセトロン(tropisetron)]として用いられている。5HT受容体は脳ばかりでなく心臓、膀胱および胃腸(GI)管にも存在する。それらはGI管内でニューロンの興奮をもたらしかつ5HTが刺激性蠕動で果たす効果を媒介する。特定の5HT受容体拮抗薬がGI障害の治療[例えばメトクロプラミド(metoclopramide)]で用いられている。5HT受容体サブタイプ5(少なくとも5種類が知られている),6および7もまたCNS全体に渡って存在し、低分子薬剤の可能な標的であり得る。特に、5HT受容体サブタイプは鬱病,精神病,パーキンソン病,アルツハイマー病,ハンチントン病,片頭痛,ストレス/不安,摂食障害および嘔吐に関係していると思われている。非特許文献2、3、7、特許文献1、非特許文献8、特許文献2、3、非特許文献9、非特許文献10、11、12、13、特許文献4、5、非特許文献14、特許文献6、7、非特許文献15、特許文献8、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、22、23、24、25および26を参照。
【0007】
5HTがシナプスで示す作用はそれがシナプス前膜を通してNa/K媒介再取り込みを起こすことで停止する。5HT再取り込み阻害剤は鬱病,ストレス/不安,パニック障害,強迫性障害,摂食障害および社会的恐怖症の治療[例えばシタロプラム(citalopram),クロミプラミン(clomipramine),フルオキセチン(fluoxetine),フルボキサミン(fluvoxamine),インダトラリン(indatraline),ジメリジン(zimelidine)]で用いられかつ片頭痛,精神病,アルツハイマー病,パーキンソン病,ハンチントン病,薬物中毒,摂食障害,強皮症およびレイノー現象,蠕動の調節に関連したGI管障害および/または嘔吐の治療で用いるにも有用であり得る。非特許文献2、3、27および加うるにこの上のパラグラフに示した文献を参照。
【0008】
従って、GPCRを調節する化合物を上述した障害のいずれかの治療を必要としている患者に投与するに適した形態で提供することができれば、これは望ましいことである。特に、そのような化合物が良好な溶解性、安定性および調製の容易さなどの如き追加的特性を示すならば、それも望ましいことである。
【特許文献1】米国特許第5,162,375号
【特許文献2】米国特許第4,771,053号
【特許文献3】WO 01/52855
【特許文献4】米国特許第5,824,680号
【特許文献5】米国特許第4,687,772号
【特許文献6】WO 00/16777
【特許文献7】米国特許第4,438,119号
【特許文献8】WO 93/04681
【非特許文献1】Lander他、Nature 409:860(2001);Basic and clinical pharmacology,8版,Katzung.USA:The McGraw Hill Companies,Inc.(2001)
【非特許文献2】Basic and clinical pharmacology,8版,Katzung.USA:The McGraw Hill Companies,Inc.(2001)
【非特許文献3】Pharmacology,4版,Rang他、Edinburgh,UK:Harcourt Publishers Ltd.(2001)
【非特許文献4】Sedvall他、The Lancet,346:743−749,(1995)
【非特許文献5】Hietala.The Lancet,346:1130−1131(1995)
【非特許文献6】Kemppainen他、Eur J Neurosci.,18:149−154(2003)
【非特許文献7】Kleven他、European Journal of Pharmacology,281:219−228(1995)
【非特許文献8】Leone他、Neuro Report,9:2605−2608(1998)
【非特許文献9】De Vry他、European Journal of Pharmacology,357:1−8(1998)
【非特許文献10】Wolff他、European Journal of Pharmacology,340:217−220(1997)
【非特許文献11】Alfieri他、British Journal of Cancer,72:1013−1015(1995)
【非特許文献12】Wolff他、Pharmacology Biochemistry and Behavior,52:571−575(1995)
【非特許文献13】Lucot.European Journal of Pharmacology,253:53−60(1997)
【非特許文献14】Rasmussen他、Annual Reports in Medicinal Chemistry,30:1−9(1995)
【非特許文献15】Millan,Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,295:853−861(2000)
【非特許文献16】Miyamoto他、Current Opinion in CPNS Investigational Drugs,2:25(2000)
【非特許文献17】Hagger他、Biol.Psychiatry,34:702(1993)
【非特許文献18】Sharma他、J.Clin.Psychopharmacol.,18:128(1998)
【非特許文献19】Lee他、J.Clin.Psychiatry,55:82(1994)
【非特許文献20】Fujii他、J.Neuropsychiatry Clin.Neurosci.,9:240(1997)
【非特許文献21】Mason他、Eur.J.Pharmacol.,221:397(1992)
【非特許文献22】Newman−Tancredi他、Neuropharmacology,35:119,(1996)
【非特許文献23】Sumiyoshi他、J.Clin.Pharmacol.,20:386(2000)
【非特許文献24】Carli他、Eur.J.Neurosci.,10:221(1998)
【非特許文献25】Meneses他、Neurobiol.Learn.Mem.,71:207(1999)
【非特許文献26】Glennon他、Neuroscience and Behavioral Reviews,14:3547(1990)
【非特許文献27】Masson他、Pharm.Rev.51:439(1999)
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
ここに、本発明の新規な塩形態物およびこれらの組成物が1種以上のGPCRの調節剤として用いるに有用でありかつそれに望ましい特性を示すことを見いだした。本塩形態物およびこれの製薬学的に受け入れられる組成物は、一般に、いろいろな病気または障害の治療またはひどさを和らげるに有用であり、そのような病気または障害には、これらに限定するものでないが、パーキンソン病,精神病(例えば,統合失調症,躁病,精神病的鬱病および双極性障害),鬱病,ストレス/不安,アルツハイマー病,ハンチントン病,パニック障害,強迫性障害,摂食障害,薬物中毒,社会的恐怖症,攻撃性または興奮性,片頭痛,強皮症およびレイノー現象,嘔吐,蠕動の調節に関連したGI管障害,RLSおよび下垂体腫瘍によって増加したプロラクチン分泌が含まれる。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明の特定面の一般的説明
国際特許出願番号PCT/EP/00/08190(国際公開番号WO 01/14330)にいろいろなインドール含有ピペラジン誘導体が記述されており、それらには、示されている化合物1である(8−{4−[3−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−プロピル]−ピペラジン−1−イル}−2−メチル−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オンが含まれ、これは、治療モデルでD受容体に拮抗作用を示しかつ5HT再取り込みに対して阻害活性を示す。
【0011】
【化1】

【0012】
加うるに、化合物1は、臨床関連抗精神病薬、抗鬱薬および抗不安薬に敏感な治療モデルばかりでなくパーキンソン病でも活性を示す。従って、化合物1はパーキンソン病,精神病(例えば,統合失調症,躁病,精神病的鬱病および双極性障害),鬱病,ストレス/不安,パニック障害,アルツハイマー病,強迫性障害,摂食障害,薬物中毒,社会的恐怖症,攻撃性または興奮性,片頭痛,強皮症およびレイノー現象,嘔吐,蠕動の調節に関連したGI管障害,RLSの治療および下垂体腫瘍によって増加したプロラクチン分泌の抑制で用いるに有用である。その上、化合物1は齧歯類にカタレプシーを誘発する傾向が低く、従って、現存の抗精神病薬に比べて錐体外路副作用を誘発する可能性も低い。WO 01/14330;van der HeydenおよびBradford.Behav.Brain Res.31:61(1988);van der Poel他、Psychopharmacology,97:147(1989);およびUngerstedt.Acta Physiol.Scand.82:(suppl.367) 69(1971)を参照。
【0013】
化合物1に比べて向上した水溶性、安定性および調製の容易さなどの如き特性を示す化合物1の塩形態を提供することができれば、これは望ましいことである。特に、水溶性を向上させることができれば、GI管内の溶解性が向上することで吸収および生物学的利用能が改善されることから有利である。生物学的利用能が改善されると投薬量をより低くすることが可能になり、それによって、もたらされる不利なGI管影響、例えば吐き気また
は嘔吐などが少なくなる可能性がある。投薬量を低くすることができれば、また、より小さな投薬形態物(例えば錠剤、カプセル)などを生じさせることが可能になり、このことは、薬剤加工の観点で有益でありかつ患者による受け入れられが改善されるであろう(即ち、患者は服用する錠剤またはカプセルが小さい方を好む)。加うるに、投薬が日に1回の投薬形態物が得られたならば、また、投薬を複数回行うよりも患者による受け入れられが向上し、そのような受け入れられは、関連した患者集団、例えば統合失調症または他の精神病などに苦しんでいる人などにとって重要な考慮である。従って、本発明は、化合物1のグルクロン酸塩を徐放製剤に適した形態で提供するものであり、そのような形態は、薬剤放出量を制限しかつそのような副作用の一因である上方GI内の受容体を迂回することで上方GIの不利な影響、例えば吐き気または嘔吐などを軽減すると言った追加的利益をもたらすであろう。
【0014】
本発明は、1つの態様に従い、化合物1のグルクロン酸塩を提供し、これを化合物2:
【0015】
【化2】

【0016】
で表す。
【0017】
本分野の通常の技術者は、グルクロン酸と化合物1がイオン結合して化合物2を形成することを理解するであろう。化合物2はいろいろな物理的形態で存在し得ると考えている。例えば、化合物2は溶液、懸濁液または固体形態になり得る。特定態様における化合物2は固体形態である。化合物2が固体形態の場合、そのような化合物は非晶質、結晶性またはこれらの混合物であり得る。典型的な固体形態を以下により詳細に記述する。
【0018】
化合物2の構造はこの上に示した構造であるが、語句“グルクロン酸塩”および関連した用語を本明細書で用いる場合、これはD−グルクロン酸塩,L−グルクロン酸塩,DL−グルクロン酸塩またはこれらの混合物を指す。特定態様における化合物2はD−グルクロン酸塩である。別の態様における化合物2は、L−グルクロン酸塩を実質的に含有しないD−グルクロン酸塩であり、ここで、“実質的に含有しない”は、当該化合物がL−グルクロン酸塩を有意な量で含有しないことを意味する。特定態様では、化合物2の少なくとも約95重量%がD−グルクロン酸塩として存在する。本発明の更に他の態様では、化合物2の少なくとも約99重量%がD−グルクロン酸塩として存在する。
【0019】
本分野の通常の技術者は、グルクロン酸はこの上に示した如き環式形態でか或は開環形態で存在し得ることを認識するであろう。従って、本発明は、グルクロン酸塩である化合物2に環式グルクロン酸塩および開環式グルクロン酸塩形態物の両方を包含させることを意図する。
【0020】
他の態様において、本発明は、不純物を実質的に含有しない化合物2を提供する。本明細書で用いる如き用語“不純物を実質的に含有しない”は、当該化合物が外来物を有意な
量で含有しないことを意味する。そのような外来物には、余分なグルクロン酸,余分な化合物1,残存溶媒または化合物2の調製および/または単離の結果としてもたらされる可能性のある他の不純物のいずれも含まれ得る。特定態様では、化合物2を少なくとも約95重量%存在させる。本発明の他のさらなる態様では化合物2を少なくとも約99重量%存在させる。
【0021】
1つの態様に従い、化合物2を少なくとも約97,97.5,98.0,98.5,99,99.5,99.8重量パーセントの量で存在させるが、ここで、前記パーセントは当該組成物の総重量を基準にしたパーセントである。別の態様に従い、化合物2が含有する有機不純物総量がHPLCで約2.0面積パーセント以下であるようにし、特定態様では、HPLCクロマトグラムの総面積を基準にしたHPLCによる総有機不純物量が約1.5面積パーセント以下であるようにする。他の態様では、化合物2が含有するいずれかの単一不純物の量がHPLCクロマトグラムの総面積を基準にして約0.6面積パーセント(HPLCで)以下であるようにし、そして特定態様では、いずれかの単一不純物の量がHPLCで約0.5面積パーセント以下であるようにする。
【0022】
化合物2に関して示した構造に、また、その構造のあらゆる異性体(例えば鏡像異性体または立体配座)形態も包含させることを意味する。例えば、立体炭素の所のR配置およびS配置の両方を本発明に包含させる。従って、本化合物の単一の立体化学異性体ばかりでなく鏡像異性体および立体配座混合物も本発明の範囲内である。その上、化合物2のあらゆる互変異性形態物も本発明の範囲内である。加うるに、ここに示した構造にまた1個以上の同位体濃縮原子が存在することのみが異なる化合物も包含させることを意味する。例えば、水素が重水素または三重水素に置き換わっているか或は炭素が13C−または14C−濃縮炭素に置き換わっている以外は本構造を有する化合物などは本発明の範囲内である。
【0023】
化合物2の固体形態
化合物2はいろいろな固体形態で存在し得ることを見いだした。そのような形態には純結晶形態が含まれ、これらをまた多形体、溶媒和物、水化物および非晶質としても認識する。そのような形態物の全部を本発明に包含させる。特定態様において、本発明は、化合物2を多形体,溶媒和物,水化物および非晶質の化合物2から選択した1種以上の固体形態物の混合物として提供する。
【0024】
本明細書で用いる如き用語“多形体”は、ある化合物が結晶化し得るいろいろな結晶構造物(非溶媒和形態物)を指す。本明細書で用いる如き用語“溶媒和物”は、溶媒が化学量論的もしくは非化学量論的量で結晶構造の中に組み込まれている結晶形態物を指す。同様に、用語“水化物”は、水が化学量論的もしくは非化学量論的量で結晶構造の中に組み込まれている結晶形態物を指す。
【0025】
特定態様における化合物2は結晶性固体である。他の態様における化合物2は、非晶質の化合物2を実質的に含有しない結晶性固体である。本明細書で用いる如き用語“非晶質の化合物2を実質的に含有しない”は、当該化合物が非晶質の化合物2を有意な量で含有しないことを意味する。特定態様では、結晶性化合物2を少なくとも約95重量%存在させる。本発明の更に別の態様では、結晶性化合物2を少なくとも約99重量%存在させる。
【0026】
特定態様において、化合物2は純粋な結晶形態であり、従って、その結晶構造の中には水も溶媒も全く組み込まれていない。化合物2は少なくとも2種類の異なる純粋な結晶形態または多形体で存在し得ることを見いだした。そのような2種類の多形体形態を本明細書ではI形態およびII形態と呼ぶ。
【0027】
特定の態様において、本発明はI形態の化合物2を提供する。1つの面に従い、I形態の化合物2は図1または5に示す粉末X線回折パターンと実質的に同様なパターンを示す。別の態様に従い、I形態の化合物2は、これが示す粉末X線回折パターンの中に約17.5,22.5,19.9,3.9および12.2度2−シータの所のピークから選択される1個以上のピークを示すことを特徴とする。度2−シータ値に関して用語“約”を本明細書で用いる場合、これは示す値±0.1度2−シータを指す。I形態の化合物2を製造する方法を以下に記述する。
【0028】
他の態様において、本発明はII形態の化合物2を提供する。1つの態様に従い、II形態の化合物2は、これが示す粉末X線回折パターンの中に約18.7度2−シータの所のピークから選択される特徴的なピークを指す。II形態の化合物2を製造する方法を以下に記述する。
【0029】
別の態様に従い、本発明は化合物2を非晶質固体として提供する。非晶質の化合物2が示す粉末X線回折パターンを図7に示す。非晶質の固体は本分野の通常の技術者に良く知られており、典型的には、とりわけ凍結乾燥、溶融および超臨界流体を用いた沈澱などの如き方法を用いてそれを生じさせる。非晶質の化合物2を生じさせる他の方法を本明細書の以下に記述する。
【0030】
化合物2は少なくとも2種類の水化物形態で存在し得ることを見いだした。そのような2種類の水化物形態を本明細書では水化物Iおよび水化物IIと呼ぶ。
【0031】
特定態様において、本発明は化合物2の水化物Iを提供する。1つの態様に従い、水化物Iは、これが示す粉末X線回折パターンの中に約9.49,16.40および17.61度2−シータの所のピークから選択される1個以上のピークを示すことを特徴とする。1つの面に従い、化合物2の水化物Iは、図9に示す粉末X線回折パターンと実質的に同様なパターンを示す。化合物2の水化物Iを製造する方法を以下に記述する。
【0032】
以下の表1に、化合物2の水化物Iの実測X−線回折ピークを示し、ここで、各値は度2−シータ値である。
【0033】
【表1】

【0034】
特定態様において、本発明は化合物2の水化物IIを提供する。1つの態様に従い、水化物IIは、これが示す粉末X線回折パターンの中に約8.252,10.015,16.511および24.42度2−シータの所のピークから選択される1つ以上のピークを示すことを特徴とする。1つの面に従い、化合物2の水化物IIは、図11に示す粉末X線回折パターンと実質的に同様なパターンを示す。化合物2の水化物IIを製造する方法を以下に記述する。
【0035】
以下の表2に、化合物2の水化物IIの実測X−線回折ピークを示し、ここで、各値は度2−シータ値である。
【0036】
【表2】

【0037】
化合物2はいろいろな溶媒和結晶形態で存在し得ることを見いだした。特定態様において、本発明は化合物2の結晶性メタノラートを提供する。1つの面に従い、化合物2のメタノラートは図13に示す粉末X線回折パターンと実質的に同様なパターンを示す。別の態様に従い、化合物2のメタノラートは、これが示す粉末X線回折パターンの中に約11.048,15.211,17.363,19.047および22.897度2−シータの所のピークから選択される1個以上のピークを示すことを特徴とする。化合物2のメタノラートを製造する方法を以下に記述する。
【0038】
以下の表3に、化合物2のメタノラートの実測X−線回折ピークを示し、ここで、各値は度2−シータ値である。
【0039】
【表3】

【0040】
他の態様において、結晶性化合物2をエタノラートとして提供する。化合物2の2種類のエタノラート形態を同定した。1つの面に従い、化合物2の結晶性エタノラートはエタノラートIであり、図14に示す粉末X線回折パターンと実質的に同様なパターンを示す。別の態様に従い、化合物2のエタノラートIは、これが示す粉末X線回折パターンの中の約8.32,9.81,16.56,20.88および24.47度2−シータの所のピークから選択される1個以上のピークを示すことを特徴とする。化合物2のエタノラートIを製造する方法を以下に記述する。
【0041】
以下の表4に、化合物2のエタノラートIの実測X−線回折ピークを示し、ここで、各値は度2−シータ値である。
【0042】
【表4】

【0043】
特定態様における化合物2の結晶性エタノラートはエタノラートIIであり、図15に示す粉末X線回折パターンと実質的に同様なパターンを示す。別の態様に従い、化合物2のエタノラートIIは、これが示す粉末X線回折パターンの中に約15.09および16.9度2−シータの所のピークから選択される一方または両方のピークを示すことを特徴とする。化合物2のエタノラートIIを製造する方法を以下に記述する。
【0044】
以下の表5に、化合物2のエタノラートIIの実測X−線回折ピークを示し、ここで、各値は度2−シータ値である。
【0045】
【表5】

【0046】
他の態様において、結晶性化合物2を化合物2のイソプロパノラートとして提供する。化合物2の2種類のイソプロパノラート形態を同定した。1つの面に従い、化合物2の結晶性イソプロパノラートはイソプロパノラートIであり、これはDMFを含有する。1つの面に従い、化合物2のイソプロパノラートIは、図17に示す粉末X線回折パターンと実質的に同様なパターンを示しそして/または図18に示すDSCパターンを示す。別の態様に従い、化合物2のイソプロパノラートIは、これが示す粉末X線回折パターンの中に約6.59,13.23,16.55および23.31度2−シータの所のピークから選択される1個以上のピークを示すことを特徴とする。化合物2のイソプロパノラートIを製造する方法を以下に記述する。
【0047】
以下の表6に、化合物2のイソプロパノラートI(+DMF)の実測X−線回折ピークを示し、ここで、各値は度2−シータ値である。
【0048】
【表6】

【0049】
別の面に従う化合物2の結晶性イソプロパノラートはイソプロパノラートIIであり、これはDMFを含有しない。1つの面に従い、化合物2のイソプロパノラートIIは、図19に示す粉末X線回折パターンと実質的に同様なパターンを示す。別の態様に従い、化合物2のイソプロパノラートIIは、これが示す粉末X線回折パターンの中に約3.79,15.54および23.32度2−シータの所のピークから選択される1個以上のピークを示すことを特徴とする。化合物2のイソプロパノラートIIを製造する方法を以下に記述する。
【0050】
以下の表7に、化合物2のイソプロパノラートIIの実測X−線回折ピークを示し、ここで、各値は度2−シータ値である。
【0051】
【表7】

【0052】
他の態様において、結晶性化合物2をアセトネートとして提供する。1つの面に従い、化合物2のアセトネートは、図21に示す粉末X線回折パターンと実質的に同様なパターンを示す。別の態様に従い、化合物2のアセトネートは、これが示す粉末X線回折パターンの中に約11.04,15.20,15.47および20.81度2−シータの所のピークから選択される1個以上のピークを示すことを特徴とする。化合物2のアセトネートを製造する方法を以下に記述する。
【0053】
以下の表8に、化合物2のアセトネートの実測X−線回折ピークを示し、ここで、各値は度2−シータ値である。
【0054】
【表8】

【0055】
特定態様において、本発明は、化合物2の1種以上の追加的固体形態物を含有して成るI形態の化合物2を提供する。他の態様において、本発明は、II形態,化合物2の水化物,化合物2の溶媒和物または非晶質の化合物2の中の1種以上を含有して成るI形態の化合物2を提供する。
【0056】
化合物2を生じさせる一般的方法
化合物1の調製をPCT公開番号WO 01/14330(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に詳述されている方法に従って実施する。
【0057】
本発明の別の面では、化合物2:
【0058】
【化3】

【0059】
の製造方法を提供し、この方法は、化合物1:
【0060】
【化4】

【0061】
を準備し、化合物1とグルクロン酸を適切な溶媒中で一緒にし;そして場合により化合物2を単離してもよい段階を含んで成る。
【0062】
適切な溶媒は、反応成分の中の1種以上を溶かす溶媒であってもよいか、或は別法として、適切な溶媒は、反応成分の中の1種以上が入っている懸濁液の撹拌を容易にする溶媒であってもよい。本発明で用いるに有用な適切な溶媒の例は、プロトン性溶媒,非プロトン性極性溶媒またはこれらの混合物である。特定態様において、適切な溶媒には、エーテル,エステル,アルコール,ケトンまたはこれらの混合物が含まれる。特定態様において、適切な溶媒はメタノール,エタノール,イソプロパノールまたはアセトンであり、ここで、前記溶媒は無水または水またはヘプタンとの組み合わせである。他の態様において、適切な溶媒にはテトラヒドロフラン,ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキサイド,グライム,ジグライム,メチルt−ブチルエーテル,t−ブタノール,n−ブタノールおよびアセトニトリルが含まれる。別の態様における適切な溶媒は無水エタノールである。
【0063】
別の態様に従い、本発明は、化合物2:
【0064】
【化5】

【0065】
を製造する方法を提供し、この方法は、化合物1:
【0066】
【化6】

【0067】
を適切な溶媒と一緒にしそして場合により加熱してそれの溶液を生じさせてもよく、前記溶液にグルクロン酸を添加しそして場合により化合物2を単離してもよい段階を含んで成る。
【0068】
この上に一般的に記述したように、化合物1を適切な溶媒に溶解させるが、場合により加熱を実施してもよい。特定態様では、化合物1を約60℃で溶解させる。他の態様では、化合物1を約40℃で溶解させる。更に別の態様では、化合物1を約40℃から約60℃の範囲の温度で溶解させる。更に別の態様では、化合物1を当該溶媒の沸騰温度で溶解させる。他の態様では、化合物1を加熱無しに溶解させる。
【0069】
特定態様では、化合物1の溶液にグルクロン酸を添加する前に濾過を実施する。他の態様では、化合物1の溶液にグルクロン酸を添加する前に濾過を実施しない。
【0070】
特定態様において、化合物1の溶液を約40℃から約60℃の範囲のいずれかの温度に加熱する場合、その後、その溶液にグルクロン酸を添加する前に約20℃から約40℃の範囲のいずれかの低温に冷却する。特定態様において、化合物1の溶液を約40℃から約60℃の範囲のいずれかの温度に加熱する場合、その後、その溶液をより低いいずれかの温度に冷却しないで、グルクロン酸の添加を実施する。
【0071】
特定態様では、化合物1にグルクロン酸を約1当量添加することで化合物2を生じさせる。他の態様では、化合物2を生じさせる目的で化合物1に添加するグルクロン酸の量を1当量未満にする。更に別の態様では、化合物2を生じさせる目的で化合物1に添加するグルクロン酸の量を1当量以上にする。他の態様では、化合物1にグルクロン酸を約1.0から約1.2当量添加することで化合物2を生じさせる。更に別の態様では、化合物1にグルクロン酸を約0.9から約1.1当量添加することで化合物2を生じさせる。別の態様では、化合物1にグルクロン酸を約0.99から約1.01当量添加することで化合物2を生じさせる。
【0072】
グルクロン酸を化合物1と適切な溶媒の混合物に添加する時の形態は如何なる形態であってもよいことは理解されるであろう。グルクロン酸は例えば固体形態または適切な溶媒に入っている溶液または懸濁液として添加可能である。適切な溶媒は、化合物1と一緒にする時に用いる適切な溶媒と同じであってもよいか或は異なる溶媒であってもよい。1つの態様に従い、グルクロン酸を固体形態で添加する。特定態様では、グルクロン酸を化合物1に添加する前に適切な溶媒と一緒にしておく。別の態様に従い、グルクロン酸を適切な溶媒に入れた溶液として添加する。他の態様において、グルクロン酸を溶解させる適切な溶媒はプロトン性の極性または非プロトン性の極性溶媒である。そのような溶媒には、水,アルコール,エーテルおよびケトンが含まれる。その溶媒の例には、水,メタノール,エタノール,イソプロパノール,アセトン,テトラヒドロフラン,ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキサイド,グライム,ジグライム,メチルt−ブチルエーテル,t−ブタノール,n−ブタノールおよびアセトニトリルが含まれる。特定態様では、適切な溶媒を前記溶媒から選択しかつ無水にする。1つの態様に従い、グルクロン酸を水に溶解させる。
【0073】
特定態様では、その結果として得た化合物2を含有する混合物を冷却する。化合物2を含有する混合物を約20℃以上に加熱する特定態様では、その溶液を約20℃に冷却する。他の態様では、化合物2を含有する前記混合物を20℃未満に冷却する。
【0074】
特定態様では、化合物2を前記混合物から沈澱させる。別の態様では、化合物2を前記混合物から結晶化させる。他の態様では、前記溶液に種晶を添加することで化合物2を前記溶液から結晶化させる(即ち、化合物2の結晶を前記溶液に添加する)。
【0075】
結晶性または非晶質の化合物2を反応混合物から析出させてもよいか、或は蒸発、蒸留、濾過(例えばナノ濾過、限外濾過)、逆浸透、吸収および反応などの如き方法を用いて溶媒の一部または全部を除去するか、抗溶媒、例えばヘプタンなどを添加するか、冷却を実施するか或はこれらの方法のいろいろな組み合わせを用いて結晶性または非晶質の化合物2を生じさせることも可能である。
【0076】
この上に一般的に記述したように、化合物2を場合により単離してもよい。化合物2の単離は本分野の通常の技術者に公知の適切な物理的手段のいずれかを用いて実施可能であることは理解されるであろう。特定態様では、沈澱して来た固体状の化合物2を濾過で上澄み液から分離する。他の態様では、沈澱してきた固体状の化合物2を上澄み液からその上澄み液を傾斜法で除去することで分離する。
【0077】
特定態様では、沈澱してきた固体状の化合物2を濾過で上澄み液から分離する。
【0078】
特定態様では、単離した化合物2を空気中で乾燥させる。他の態様では、単離した化合物2を減圧下で場合により温度を高くして乾燥させる。
【0079】
別の態様に従い、本発明は化合物2:
【0080】
【化7】

【0081】
を製造する方法を提供し、この方法は、化合物1:
【0082】
【化8】

【0083】
を適切な溶媒と一緒にして加熱することでそれの溶液を生じさせ、前記溶液にグルクロン酸の水溶液を添加しそして場合により化合物2を単離してもよい段階を含んで成る。
【0084】
特定態様では、化合物2を製造する方法に更に反応混合物に蒸留を受けさせる段階も包含させる。本発明の別の面に従い、反応混合物に追加的溶媒を添加しながら蒸留を実施することで水の含有量を低くする。他の態様では、本方法に更に結果として生じた化合物2を含有するスラリーを冷却しそして適切な物理的手段を用いて化合物2を単離する段階も包含させる。
【0085】
1つの態様に従い、その得る化合物1に対するグルクロン酸のモル比が約0.5から約1.0になるようにする。他の態様では、その得る化合物1に対するグルクロン酸の比率が約0.8から約2.0になるようにする。特定の態様では、前記比率が約0.9から約1.2の範囲になるようにする。他の態様では、前記比率が約0.94から約1.06の範囲になるようにする。更に別の態様では、前記比率が約0.94から約0.95の範囲になるようにする。
【0086】
化合物および製薬学的に受け入れられる組成物の使用
この上で考察したように、本発明は、D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の調節剤として用いるに有用でありかつ精神病,鬱病,ストレス/不安およびパーキンソン病の臨床関連モデルで有用性を示す化合物2を提供するものである。特定態様において、本化合物は、D受容体サブタイプ,5HT再取り込みまたはプロスタグランジン合成の中の1つ以上の調節剤として用いるに有用である。他の態様において、本化合物は、精神病,鬱病,ストレス/不安およびパーキンソン病の治療で用いるに有用である。
【0087】
従って、本発明の別の面では、製薬学的に受け入れられる組成物を提供し、この組成物は、化合物2を含有しかつ場合により製薬学的に受け入れられる担体,アジュバントまたは媒体を含有して成る。特定態様では、本組成物に場合により更に1種以上の追加的治療薬を含有させることも可能である。
【0088】
この上に記述したように、本発明の製薬学的に受け入れられる組成物に追加的に製薬学的に受け入れられる担体,アジュバントまたは媒体も含有させるが、それには、本明細書で用いる如き所望の個々の投薬形態物に適する如き溶媒、希釈剤または他の液状媒体、分散もしくは懸濁用助剤、表面活性剤、等張剤、増粘もしくは乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑剤などのいずれかおよび全部が含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)に、製薬学的に受け入れられる組成物の調製で用いられるいろいろな担体およびそれらの調製に適した公知技術が開示されている。いずれかの通常の担体媒体が本発明の塩と適合しない場合(例えば、望ましくない何らかの生物学的影響をもたらすか或は本製薬学的に受け入れられる組成物の他の成分1種または2種以上のいずれかと有害な様式で相互作用することで適合しない場合)を除いて、それの使用は本発明の範囲内であることを意図する。製薬学的に受け入れられる担体として使用可能な材料のいくつかの例には、これらに限定するものでないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清蛋白、例えばヒト血清アルブミンなど、緩衝物質、例えば燐酸塩、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウムなど、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質、例えば硫酸プロタミン、燐酸水素ジナトリウム、燐酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、トリケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体、羊毛脂、糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロースなど、澱粉、例えばコーンスターチおよびジャガイモ澱粉など、セルロースおよびこれの誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど、粉末状トラガカント、モルト、ゼラチン、タルク、賦形剤、例えばココアバターおよび座薬用ワックスなど、油、例えば落花生油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油および大豆油など、グリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど、エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど、寒天、緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど、アルギン酸、発熱物質を含有しない水、等張性食塩水、リンゲル液、エチルアルコールおよび燐酸塩緩衝溶液などばかりでなく他の無毒の適合性滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど、並びに着色剤、解除剤、コーティング剤、甘味剤、風味剤および芳香剤、防腐剤および抗酸化剤などが含まれ、これらを調製者の判断に従って本組成物に存在させることも可能である。
【0089】
更に別の面では、D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の変調に関連した障害の治療またはひどさの軽減そして/または精神病,鬱病,ストレス/不安および/またはパーキンソン病を治療またはそれのひどさを和らげる方法を提供し、この方法は、それを必要としている被験体に化合物2またはこれの製薬学的に受け入れられる組成物を有効量で投与することを含んで成る。本発明の特定態様における本化合物または製薬学的に受け入れられる組成物の“有効量”は、D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の変調に関連した障害の治療またはひどさの軽減そして/または精神病,鬱病,ストレス/不安および/またはパーキンソン病の治療またはひどさの軽減に有効な量である。他の態様における化合物の“有効量”は、D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の中の1つ以上の調節剤として働く量である。ある化合物の“有効量”は、所望の治療および/または予防効果を達成する量、例えばD受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成変調の中の1つ以上に関連した病気および/または精神病,鬱病,ストレス/不安および/またはパーキンソン病に関連した症状の防止または軽減をもたらす量であり得る。
【0090】
本発明の方法に従う化合物および組成物の投与は、D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の中の1つ以上の変調に関連した障害の治療またはひどさの軽減そして/また精神病,鬱病,ストレス/不安および/またはパーキンソン病の治療またはひどさの軽減に有効ないずれかの投薬経路を用いていずれかの有効量で投与してもよい。正確な必要量は、当該被験体の種、年齢および一般的状態、感染のひどさ、個々の薬剤、それの投与様式などに応じて被験体から被験体で異なるであろう。本発明の塩を好適には投与が容易でありかつ投薬が均一であることから投薬単位形態物(例えば錠剤、カプセルまたはアンプル)として調製する。本明細書で用いる如き表現“投薬単位形態物”は、治療すべき患者に適した薬剤の物理的に個別の単位を指す。しかしながら、主治医は本発明の塩および組成物の1日当たりの総使用量を適切な医学的判断の範囲内で決定するであろうことは理解されるであろう。所定の患者または有機体に有効な特定投薬レベルはいろいろな要因に依存し、そのような要因には、治療すべき障害および障害のひどさ、用いる具体的化合物の活性、用いる具体的組成物、患者の年齢、体重、一般的健康状態、性および食事、用いる具体的化合物の投与時間、投与経路および排泄速度、治療期間、用いる具体的化合物と組み合わせてか或は同時に用いる薬剤および薬剤技術で良く知られている同様な要因が含まれる。本明細書で用いる如き用語“患者”は、動物、好適には哺乳動物、最も好適にはヒトを意味する。
【0091】
本発明の製薬学的に受け入れられる組成物は、ヒトおよび他の動物に治療すべき感染のひどさに応じて経口、鼻、直腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局所(例えば粉末、軟膏または滴として)、口腔などで投与可能である。特定態様では、本発明の塩を経口または非経口で被験体の体重1kg当たり約0.01mgから約50mg/日、好適には約1mgから約25mg/日の投薬レベルで日に1回以上投与することで所望の治療効果を得ることができる。
【0092】
経口または鼻投与に適した液状投薬形態物には、これらに限定するものでないが、製薬学的に受け入れられるエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、エーロゾル、ゲル、シロップおよびエリキシルが含まれる。そのような液状投薬懸濁液物に、本活性塩に加えて、本技術分野で通常用いられる不活性な希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール,イソプロピルアルコール,エチルカーボネート,酢酸エチル,ベンジルアルコール,安息香酸ベンジル,プロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール,ジメチルホルムアミド,油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビンの脂肪酸エステルなどおよびこれらの混合物を含有させることも可能である。そのような経口組成物に、不活性希釈剤以外に、また、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味剤、風味剤および芳香剤などを含有させることも可能である。エーロゾル製剤には典型的に活性物質が生理学的に受け入れられる水性もしくは非水性溶媒に入っている溶液または微細懸濁液が含まれ、それらを通常は密封型容器に入れた無菌形態の単一もしくは複数投与の状態で提供するが、そのように容器は、噴霧器と一緒に用いるに適したカートリッジまたはリフィルの形態を取り得る。別法として、そのような密封容器は単一分与装置、例えば当該容器の内容物が枯渇した時点で処分することを意図する単一投薬鼻吸入器または計量弁が備わっているエーロゾルディスペンサーなどであってもよい。投薬形態物がエーロゾルディスペンサーを含んで成る場合、それに製薬学的に受け入れられる噴射剤を含有させる。そのようなエーロゾル投薬形態物はまたポンプ−噴射器の形態も取り得る。
【0093】
注射可能な製剤、例えば注射可能な無菌の水性もしくは油性懸濁液の調製は、公知の技術に従って適切な分散もしくは湿潤剤および懸濁剤を用いることで実施可能である。そのような無菌の注射可能製剤はまた無毒の非経口的に受け入れられる希釈剤もしくは溶媒に入っている無菌の注射可能溶液、懸濁液または乳液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液などであってもよい。使用可能な受け入れられる媒体および溶媒は、とりわけ水,リンゲル液,U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液である。加うるに、無菌の固定油も溶媒または懸濁用媒体として通常用いられる。この目的で、如何なる品質の固定油も使用可能であり、それには合成のモノ−もしくはジグリセリドが含まれる。加うるに、脂肪酸、例えばオレイン酸なども注射可能液を調製する時に用いられる。
【0094】
そのような注射可能製剤に滅菌を例えば細菌を保持するフィルターに通す濾過でか或は殺菌剤を無菌水もしくは他の注射可能無菌媒体に使用前に溶解または分散させることが可能な無菌の固定状組成物の形態で混合することなどで受けさせてもよい。
【0095】
有利には、本明細書に記述するように、化合物2は向上した水溶性を示す。従って、本化合物は血管内および筋肉内送達で用いるに有用であり得る。如何なる特別な理論でも範囲を限定することを望むものでないが、そのように化合物2が向上した溶解性を示すことで注射体積を小さくすることが可能になり、その結果として患者の痛みおよび不快さが軽減されると考えている。従って、本発明はまた血管内もしくは筋肉内送達用の注射可能製剤にも関する。
【0096】
本発明の化合物が示す効果を長引かせる目的で、しばしば、皮下または筋肉内注射した本化合物がそこから吸収される速度を遅くする方が望ましい。これは水に難溶な結晶性もしくは非晶質材料の液状懸濁液を用いることで達成可能である。その上、本化合物が吸収される速度は、それの溶解速度にも依存し、そしてその溶解速度は結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。別法として、本化合物を油媒体に溶解または懸濁させることで非経口投与された化合物形態物の吸収遅延を達成する。本化合物が生分解性重合体、例えばポリラクチド−ポリグリコリドなどにミクロカプセル封じされているマトリクスを生じさせることで注射可能持続性薬剤形態物を生じさせる。用いる重合体に対する化合物の比率および個々の重合体の性質に応じて化合物が放出される速度を調節することができる。他の生分解性重合体の例にはポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。また、本化合物を体組織と適合し得るリポソームまたはミクロエマルジョンの中に捕捉させることでも注射可能な持続性薬剤製剤を生じさせる。
【0097】
典型的な非経口組成物では、これを本化合物または生理学的に受け入れられる塩が無菌の水性担体または非水性もしくは非経口的に受け入れられる油、例えばポリエチレングリコール,ポリビニルピロリドン,レシチン,ラッカセイ油または胡麻油などに入っている溶液または懸濁液で構成させる。別法として、そのような溶液に凍結乾燥を受けさせた後、投与直前に適切な溶媒を用いて再構成させることも可能である。
【0098】
直腸または膣投与用の組成物の形態を便利には座薬、ペッサリー、膣タブ、発泡体または浣腸の形態にする。直腸もしくは膣投与用組成物は、好適には、本発明の塩を適切な非刺激性賦形剤もしくは担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコールまたは座薬用ワックス(これは周囲温度では固体であるが体温では液状であり、従って直腸または膣の空洞部の中で溶融し、それによって活性化合物が放出される)と混合することで調製可能な座薬である。
【0099】
経口投与用の固体状投薬形態物には、カプセル、錠剤、ピル、粉末および顆粒が含まれる。そのような固体状投薬形態物の場合、本活性化合物を少なくとも1種の不活性な製薬学的に受け入れられる賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムまたは燐酸ジカルシウムなどおよび/またはa)充填剤または増量剤、例えば澱粉,ラクトース,スクロース,グルコース,マンニトールおよびケイ酸など、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース,アルギン酸塩,ゼラチン,ポリビニルピロリジノン,スクロースおよびアカシアなど、c)保湿剤、例えばグリセロールなど、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカ澱粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなど、e)溶解遅延剤、例えばパラフィンなど、f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム塩など、g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなど、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土など、およびi)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体状のポリエチレングリコール,ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物などと一緒に混合する。カプセル、錠剤およびピルの場合、そのような投薬形態物にまた緩衝剤を含有させることも可能である。
【0100】
口腔または舌下投与に適した組成物には、錠剤、ロゼンジおよびトローチが含まれ、その場合には、有効成分を担体、例えば糖およびアカシア、トラガカントまたはゼラチンおよびグリセリンなどと一緒に調合する。
【0101】
また、同様な種類の固体状組成物を軟質および硬質充填ゼラチンカプセルに入れる充填剤として用いることも可能であり、その場合には、ラクトースまたは乳糖の如き賦形剤ばかりでなく高分子量のポリエチレングリコールなども使用可能である。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒の固体状投薬形態物の調製では、被膜および殻、例えば腸溶性被膜および製薬学的調製技術で良く知られている他の被膜などを用いてもよい。それらに場合により不透明化剤を含有させることも可能であり、かつそれらはまた有効成分1種または2種以上のみまたはそれを優先的に胃腸管の特定部分の中で場合により遅延様式で放出する組成物であってもよい。使用可能な埋め込み用組成物の例には、高分子量の物質およびワックスが含まれる。また、同様な種類の固体状組成物を軟質および硬質充填ゼラチンカプセルに入れる充填剤として用いることも可能であり、その場合には、ラクトースまたは乳糖の如き賦形剤ばかりでなく高分子量のポリエチレングリコールなども使用可能である。
【0102】
また、化合物2をこれがミクロカプセル封じされた形態にすることも可能であり、その場合には、この上に示した如き1種以上の賦形剤を用いる。錠剤,糖衣錠,カプセル,ピルおよび顆粒の固体状投薬形態物の調製では、被膜および殻、例えば腸溶性被膜、放出制御用被膜および製薬学的調製技術で良く知られている他の被膜などを用いてもよい。そのような固体状投薬形態物の場合、化合物2を少なくとも1種の不活性希釈剤、例えばスクロース、ラクトースまたは澱粉などと混合してもよい。そのような投薬形態物に、また、通常の実施と同様に、不活性希釈剤以外の追加的物質、例えば製錠用滑剤および他の製錠補助剤、例えばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどを含有させることも可能である。カプセル,錠剤およびピルの場合、そのような投薬形態物にまた緩衝剤を含有させることも可能である。それらに場合により不透明化剤を含有させてもよく、かつそれはまた有効成分1種または2種以上のみまたはそれを優先的に胃腸管の特定部分の中で場合により遅延様式で放出する組成物であってもよい。使用可能な埋め込み用組成物の例には、高分子量の物質およびワックスが含まれる。
【0103】
経口投与用組成物のデザインでは、有効成分が消化管の中を通る時に劣化しないようにそれを保護する、例えば錠剤またはカプセル上の配合物に外側被膜を取り付けることなどでそれを保護することも可能である。
【0104】
別の態様では、化合物2を長期(または“遅延”または“持続”)放出組成物として提供する。このような遅延放出組成物では、これに化合物2を遅延放出用成分と一緒に含有させる。そのような組成物を用いると化合物2が下方胃腸管、例えば小腸、大腸、結腸および/または直腸などの中に目標通り放出されることが可能になる。特定態様では、化合物2を含有して成る遅延放出組成物に、更に、腸溶性またはpH依存被膜、例えば酢酸フタル酸セルロースおよび他のフタル酸エステル[例えばポリビニルアセテートフタレート、メタアクリレート(Eudragits)]なども含める。別法として、そのような遅延放出組成物に、pHに敏感なメタアクリレート被膜、pHに敏感な重合体微小球または加水分解で劣化を起こす重合体を与えることで、小腸および/または結腸への制御放出が起こるようにする。そのような遅延放出組成物の調製は疎水性もしくはゲル化する賦形剤または被膜を用いることで実施可能である。更に、細菌の酵素、例えばアミロースまたはペクチンなどで消化する被膜、pHに依存する重合体、時間と共に膨潤するヒドロゲルプラグ(Pulsincap)、時間に依存するヒドロゲル被膜および/またはアゾ芳香結合被膜と結合させておいたアクリル酸を用いることで結腸への送達を起こさせることも可能である。
【0105】
特定の態様では、本発明の遅延放出組成物にヒプロメロース(hypromellose)、微結晶性セルロースおよび滑剤を含有させる。化合物2とヒプロメロースと微結晶性セルロースの混合物から経口投与用の錠剤またはカプセルを生じさせることができる。特定の態様では、前記混合物を顆粒にした後に圧縮して錠剤にする。
【0106】
他の態様では、本発明の遅延放出組成物を多粒子製剤として提供する。化合物2と適切な重合体の混合物を顆粒状にしてペレットを生じさせた後、それに被覆を受けさせる。特定の態様では、前記ペレットに非機能的被膜による密封型被覆を受けさせる。他の態様では、前記ペレットに最初に非機能的被膜による密封型被覆を受けさせた後に機能的被膜による被覆を受けさせる。
【0107】
本明細書で用いる如き用語“非機能的被膜”は、当該薬剤の放出速度に影響を与えない被膜である。非機能的被膜の例には、ヒドロキシプロピルセルロース,ヒプロメロースまたはポリビニルアルコールが含まれる。特定態様における非機能的被膜はOpadryO
Clearであり、これはヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレングリコールを含有する。
【0108】
本明細書で用いる如き用語“機能的被膜”は、当該投薬形態物からの薬剤放出速度に影響を与える被膜である。機能的被膜の例には、エチルセルロースおよびポリメタアクリレート誘導体(Eudragits)が含まれる。
【0109】
従って、別の態様では、化合物2を含有して成るペレット中心部と非機能的密封型被膜と機能的密封型被膜を含有して成る多粒子製剤を提供する。
【0110】
本発明の化合物を局所または経皮投与するに適した投薬形態物には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入またはパッチが含まれる。本有効成分と製薬学的に受け入れられる担体と必要な防腐剤もしくは緩衝剤(必要であり得る場合)のいずれかを無菌条件下で混合する。また、眼科用製剤、点耳薬および点眼薬も本発明の範囲内であることを意図する。加うるに、本発明は経皮パッチの使用も意図し、これは化合物を体に制御して送達すると言った追加的利点をもたらす。そのような投薬形態物の製造は、本化合物を適切な媒体に入れて溶解または分散させることで実施可能である。また、吸収促進剤を用いて本化合物が皮膚を貫通して流れる量を多くすることも可能である。速度制御用膜を与えるか或は本化合物を重合体マトリクスまたはゲルの中に分散させることで前記速度を調節することができる。
【0111】
本組成物の化合物2含有量を投与方法に応じて0.1%から99%(重量/重量)、好適には0.1−60%(重量/重量)、より好適には0.2−20重量%、最も好適には0.25から12%(重量/重量)にしてもよい。
【0112】
この上に一般的に記述したように、本発明の塩はD受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の中の1つ以上の調節剤として用いるに有用であり、従って、本発明は、更に、D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の中の1つ以上の変調に関連した病気または障害の治療(例えば緩和、治癒、予防)またはそれのひどさを和らげる方法にも関する。
【0113】
1つの態様における化合物2は、D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の中の1つ以上の調節剤であり、従って、如何なる特別な理論でも範囲を限定することを望むものでないが、本化合物および組成物は、特に、D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の中の1つ以上の変調が病
気、状態または障害に関係していると思われる病気、状態または障害の治療またはひどさの軽減に有用である。D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の中の1つ以上の変調が個々の病気、状態または障害に関係していると思われる場合、そのような病気、状態または障害をまた“D受容体,5HT受容体,5HT再取り込みまたはプロスタグランジン合成が媒介する病気”または病状と呼ぶ。
【0114】
特定態様では、本発明の塩および組成物を用いて1種以上の障害を治療またはそれのひどさを和らげる方法を提供し、そのような障害には、これらに限定するものでないが、パーキンソン病,精神病(例えば,統合失調症,躁病,精神病的鬱病および双極性障害),鬱病,ストレス/不安,アルツハイマー病,ハンチントン病,パニック障害,強迫性障害,摂食障害,薬物中毒,社会的恐怖症,攻撃性または興奮性,片頭痛,強皮症およびレイノー現象,嘔吐,蠕動の調節に関係したGI管障害,RLSおよび下垂体腫瘍によって増加したプロラクチン分泌が含まれ、前記方法は、患者に化合物2またはこれの組成物を投与することを含んで成る。
【0115】
また、本発明の塩および製薬学的に受け入れられる組成物を組み合わせ療法で用いることも可能、即ち化合物2およびこれの組成物の投与を他の1種以上の所望治療または医学的処置を行うと同時にか、前または後に実施することも可能であることも理解されるであろう。組み合わせ療法で用いる療法(治療または処置)の個々の組み合わせでは、所望の治療および/または処置の適合性および達成すべき所望治療効果を考慮に入れる。また、用いる療法で同じ障害に対して所望の効果を達成することができる(例えば、本発明の化合物を同じ障害の治療で用いられる別の薬剤と同時に投与してもよい)か或はそれらを用いて異なる効果(例えば、いくらか生じる副作用の制御)を達成することも可能であることも理解されるであろう。個々の病気または状態の治療または予防で通常投与される追加的治療薬を本明細書で用いる場合、それらは“治療すべき病気または状態に適切である”として知られるそれらである。
【0116】
本発明の組成物に存在させる追加的治療薬の量は、そのような治療薬をただ1つの有効薬剤として含有して成る組成物として通常投与されるであろう量より少ない量であろう。特定態様において、ここに開示する組成物に入れる追加的治療薬の量は、その薬剤をただ1つの治療的に有効な薬剤として含有して成る組成物に通常存在する量の約50%から100%の範囲であろう。
【0117】
本発明の別の面は、生物学的サンプルまたは患者におけるD受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の活性を調節することに関し、この方法は、前記患者に化合物2またはこれの組成物を投与するか或は前記生物学的サンプルをそれと接触させることを含んで成る。本明細書で用いる如き用語“生物学的サンプル”には、これらに限定するものでないが、細胞培養物またはこれの抽出液、哺乳動物から得た生検材料またはこれの抽出物、および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙または他の体液もしくはこれらの抽出液が含まれる。
【0118】
生物学的サンプルにおけるD受容体,5HT受容体,5HT再取り込みおよびプロスタグランジン合成の活性の調節は、本分野の技術者に公知のいろいろな目的に有用である。そのような目的の例には、これらに限定するものでないが、生物学的検定が含まれる。
【0119】
この上に示した障害の治療に有効な化合物2の量は、治療すべき障害の性質およびひどさおよびそれを必要としている患者の体重に依存する。しかしながら、70kgの成人に投与する単一の単位投薬物に含有させる本発明の化合物の量を一般に1日当たり0.01から100mg、例えば0.1から50mg、好適には0.5から16mgにする。単位投薬物を日に1回または2回以上、例えば日に2,3または4回、通常は日に1から3回
、より好適には日に1または2回投与してもよい。この上に示した投薬範囲は化合物2を成人に投与する場合の指針を与えるものであることは理解されるであろう。医者または本分野の技術者は例えば幼児または乳児などに投与すべき量を決定することができ、その量は成人に投与すべき量と同じか或は少ない量であってもよい。そのような単位投薬物を好適にはカプセルまたは錠剤の形態で提供する。
【0120】
変更すべきところを変更して本発明の面の各々の特徴全部を他のあらゆる面に適用する。
【0121】
本明細書に記述する発明の理解がより充分になり得るように以下の実施例を示す。本実施例は単に例示の目的であり、決して本発明を限定するとして解釈すべきでないと理解されるべきである。
【実施例】
【0122】
一般的手順
粉末X線回折パターンをRigaku Miniflex 回折装置(Rigaku MSC Inc.)を用いて得た。粉末サンプルをゼロ背景である研磨しておいたケイ素サンプルホルダーに付着させた。NiKβフィルターが備わっている通常焦点銅X線管をX線源として0.45kWで用いて、2度/分で3.00から40.00度2−シータに至るまで走査した。データ処理をJade6.0ソフトウエアを用いて実施した。
【0123】
プロトン核磁気共鳴(H NMR)スペクトルを5mmのQNPプローブが備わっているBrukerモデルAvance DRX−500MHz NMR分光計を用いて得た。TMSを内部標準として0.05%入れておいた0.6mLのDMSO−d6(99.9%D)に各化合物を約5−25mg溶解させた。H NMRスペクトルを500.133MHzで記録したが、ここでは、30度パルス,20秒間のパルス遅延、32kのデータ点、64スキャンを用いた。0.3Hzのライン広がりを持つ指数ウインドウ関数を16kのデータ点に適用することでデータをゼロフィリング(zero−filling)無しに処理し、そしてTMSを0.00ppmとして基準にした。定量的13C NMRを125.7MHzで取得したが、ここでは、逆依存性減結合(inverted gated decoupling)、30度のパルスおよび8秒間の遅延を用いた。
【0124】
DSCデータをTA Q1000示差走査熱量計を用いて得た。この装置を用いてサンプルを50mL/分の窒素でパージしながら10℃/分で40℃から200℃まで加熱した。
【0125】
[実施例1]
化合物2(I形態)の製造
化合物1(500mg)を20mLの無水エタノールに入れてスラリー状にして60℃に加熱することで透明な溶液を得た。その溶液を0.45μmのフィルターに通して濾過した後、40℃に冷却した。この溶液に275mgのグルクロン酸(1.2当量)を加えた。希薄な白色のスラリーを得た。そのスラリーを20℃に冷却した後、磁気撹拌子を用いて16時間撹拌した。そのスラリーを濾過し、その結果として得た固相を室温の空気で乾燥させた後、X線回折(図1を参照)および光顕微鏡で分析することで結晶性化合物2であることを確認した。図2に、化合物2の得たH NMRスペクトルを示す。図3に、化合物2の得た13C NMRスペクトルを示し、そして図4に化合物1の得たH NMRスペクトルを示す。
【0126】
[実施例2]
エタノール/水を用いた反応性蒸留による化合物2(I形態)の調製
D−グルクロン酸(4.6g)を25mLの水に加えて、室温で溶解させた。化合物1(10g)を320mLの無水エタノールに添加して50−70℃に加熱することで透明な溶液を得た。その生じさせたグルクロン酸(1当量)水溶液を前記遊離塩基とエタノール溶液が入っている溶液に加えた。その溶液は透明なままであり、そして室温になるまで自然冷却した後、16時間撹拌した。その結果として生じた溶液に共沸蒸留を78℃で受けさせた。蒸留中に無水エタノールを0.5時間毎に200mLずつ前記溶液に戻すことで、全体で約400mL加えた。蒸留中に白色の固体が沈澱してきた。溶液が600mL留出した時点で蒸留を止め、白色のスラリーが150mL残存した。そのスラリーを濾過した後、真空下50℃で一晩乾燥させることで化合物2を得た。最終的生成物(12g,84%の収率)は粉末X線回折(図5)およびDSC(図6)で特徴づけられるように結晶性であった。
【0127】
以下の表9に、I形態の化合物2の実測X−線回折ピークを示し、ここで、各値は度2−シータ値である。
【0128】
【表9】

【0129】
[実施例3]
エタノール中の不均一反応による化合物2(I形態)の製造
化合物1(500mg)を70mLの無水エタノールに室温で溶解させた。この遊離塩基溶液に230mgのグルクロン酸(1.0当量)を加えることでスラリーを生じさせた。そのスラリーを室温で16時間撹拌した後、濾過した。固相を真空下50℃で乾燥させることで化合物2を得た。最終的生成物(235mg,32.2%の収率)をX線回折,DSCおよびNMR分光計で特徴付けた。
【0130】
[実施例4]
60℃のエタノール中の不均一反応による化合物2(I形態)の製造
化合物1(400mg)を13mLの無水エタノールに入れてスラリー状にして60℃に加熱することで透明な溶液を得た。その溶液を0.45μmのフィルターに通して濾過した後、40℃に冷却した。この溶液に202mgのグルクロン酸(1.1当量)を加えた。希薄な白色スラリーを得た。このスラリーを20℃に冷却した後、磁気撹拌子を用いて16時間撹拌した。このスラリーを濾過した後、その結果として得た固相(224mg,38%)を真空下50℃で乾燥させた。
【0131】
[実施例5]
化合物2(I形態)の一般的製造方法
1kgの化合物1に25.3kgのエタノールを加えて、混合物を60℃に加熱する。2kgの水を0.46kgのグルクロン酸に加え、撹拌することで酸全部を水に溶解させる。そのグルクロン酸溶液を前記遊離塩基の溶液に加える。溶液が透明であることを検査する。その溶液を50℃に冷却する。その50℃の反応溶液を0.5μmのフィルターに通して濾過する。その反応溶液を24℃に冷却した後、16時間ゆっくり撹拌する。その反応溶液を78℃に加熱することで留出を開始させる。溶液を15.8kg留出させ、エタノールを15.8kg加え、溶液を15.8kg留出させ、エタノールを15.8kg加えそして最後に溶液を20L留出させる(留出量60L,添加量40L,残りの溶液の体積15.5L)。反応物を1時間かけて20℃に冷却して、反応物を20℃に1時間保持する。母液を濾過した後、ケーキを4.0kg(全体で8kg)のエタノールで2回洗浄する。そのケーキを真空下50℃で12時間乾燥させる。
【0132】
[実施例6]
アセトニトリルを用いて化合物2(I形態)を製造する代替方法
I形態物を生じさせる別の方法では、非晶質の化合物2をアセトニトリルに入れてスラリー状にして室温に3日間置いた。前記非晶質の固体が純粋な結晶形態の化合物2(I形態)に変化した。
【0133】
[実施例7]
非晶質の化合物2の製造
方法A:0.92gのD−グルクロン酸を5mLの水に加えて室温で溶解させた。2gのSLV−314遊離塩基(32797−94−01)を20mLのアセトンに加えて40−50℃に加熱することで透明な溶液を得た。この溶液に調製したグルクロン酸(1当量)水溶液を加えて撹拌した。その溶液は透明なままであり、その後に自然に室温になるまで冷却しそして16時間撹拌した。その結果として得た溶液に蒸留を〜56℃で受けさせた。蒸留中に50mLのアセトンを前記溶液に2回の間隔で戻した。蒸留中に白色の固体が短時間いくらか現れた後に溶解した。35mLの溶液が留出した時点で蒸留を止め、透明な溶液が35mL残存した。乾燥器を用いて溶媒を真空下50℃で蒸発させることで乾燥した明褐色の非晶質固体を生じさせ、これを粉末X線回折(図7)およびDSC(図8)で特徴付けた。
【0134】
方法B:化合物2を32倍体積のエタノールと4倍体積の水に高温で溶解させた。加熱を還流温度になるまで実施することで溶媒を大気圧下で蒸発させた。ゲルが生じた。ゲルを真空下50℃で乾燥させた。非晶質の固体が生じた。
【0135】
[実施例8]
化合物2(II形態)の製造
I形態の化合物2をいろいろな溶媒に入れてスラリー状にすることでI形態をII形態に変化させる。この変換は室温または高温で経時的に起こる。I形態物をトルエン,アセトン,tBME,アセトニトリルまたは酢酸イソプロピルに入れて再びスラリー状にして室温または50℃に1から2週間置いた。高温にすると変換が助長させることを確認した。粉末X線回折パターンの中の18.7度2シータの所の特徴的なピークを用いてII形態物の生成を監視した。
【0136】
[実施例9]
化合物2の水化物Iの製造
I形態の化合物2を水に入れて再びスラリー状にして室温または50℃に2週間以上置いた。全体的変換は非常に遅く、表題化合物をI形態物と水化物Iの混合物として得て、
それを粉末X線結晶回折およびDSCで特徴付けた。図9および10を参照。
【0137】
[実施例10]
化合物2の水化物IIの製造
非晶質の化合物2を6倍体積の水に室温で溶解させた後、その化合物を室温で結晶化させた。その結果として生じた懸濁液を一晩撹拌した後、表題の化合物を濾過で集めて、粉末X線結晶回折およびDSCで特徴付けた。それぞれ図11および12を参照。
【0138】
[実施例11]
化合物2の溶媒和物の製造
メタノラート
非晶質の化合物2を6倍体積のメタノールに室温で溶解させた後、室温で結晶化させた。その結果として得た混合物を一晩撹拌した後、固体状のメタノラートを濾過で集めた。図13を参照。そのメタノラートは乾燥下で不安定でI形態物に変化することを確認した。
【0139】
エタノラート
化合物1を32倍体積のエタノール1J1に高温で溶解させた。化学量論的量のグルクロン酸を3−4倍体積の水に溶解させて一度に加えた。核形成が直ちに始まった。その結果として得た混合物を氷上で30分間撹拌した後、撹拌無しに一晩放置した。表題の化合物を濾過で集めた後、粉末X線結晶回折でエタノラートIであるとして特徴付けた。図14を参照。このエタノラートIは乾燥時にI形態物に変化した。
【0140】
別法として、非晶質の化合物2を6倍体積のエタノール1J1(エタノラート−酢酸エチル)に溶解させることを通して、化合物2の2番目のエタノラートであるエタノラートIIを生じさせた。その混合物を一晩撹拌した後、エタノラートIIを濾過で集めた。図15にエタノラートIIの粉末X線回折パターンを示しそして図16にエタノラートIIのDCSを示す。
【0141】
イソプロパノラート
化合物2を10倍体積のDMFに室温で溶解させた。60倍体積のIPAを10分かけて加えた。その結果として得た混合物を30分間撹拌した。イソプロパノラートI化合物を濾過で集めた後、粉末X線結晶回折およびDSCで特徴付けた。図17および18を参照。湿った状態の濾過ケーキはイソプロパノラート+DMFであることが分かった。そのサンプルを乾燥させると構造が壊れて溶媒を含有する非晶質の化合物になった。
【0142】
別法として、非晶質の化合物2を室温のIPAに入れてスラリー状にして2または3日間置くことで化合物2の2番目のイソプロパノラートであるイソプロパノラートIIを生じさせた。図19および20(これらのそれぞれに粉末X線回折パターンおよびDSC軌跡を示す)を参照。
【0143】
アセトネート
化合物1を32倍体積のアセトンに高温で溶解させた。化学量論的量のグルクロン酸を3−4倍体積の水に溶解させて一度に加えた。核形成が直ちに始まった。その結果として得た混合物を氷上で30分間撹拌した後、撹拌無しに一晩放置した。表題の化合物を濾過で集めた。図21に、アセトネートが示した粉末X線回折パターンを示す。化合物2のアセトネートは乾燥時にI形態物に変化する。
【0144】
[実施例12]
グルクロン酸が示したシグナルの積分値を化合物1が示す固有のピークのそれと比較(
図4)することでグルクロン酸と化合物1のモル比を得た。実測した1に対する酸の比率は0.94から0.95の範囲であった。
【0145】
化合物1の塩酸塩、臭化水素酸塩およびグルクロン酸塩が示す平衡状態の溶解度の比較を表10に示す。
【0146】
【表10】

【0147】
[実施例12]
長期放出製剤の調製
製剤A
化合物2(30%重量/重量)と微結晶性セルロース(29%重量/重量)とヒプロメロース(40%重量/重量)とステアリン酸マグネシウム(1%重量/重量)を含有する長期放出錠剤製剤の調製を、化合物2と微結晶性セルロースの一部とヒプロメロースといくらかのステアリン酸マグネシウムを混合した後にその混合物をローラー圧縮固化による乾式顆粒化で顆粒にすることを通して実施する。次に、その結果として得た圧縮固化物に製粉および/または選別を受けさせることで大きさを合わせる。残りの微結晶性セルロースを混合し、その顆粒品に残りのステアリン酸マグネシウムを滑剤として加えた後、圧縮して錠剤にする。
【0148】
製剤B
長期放出投薬形態物の別の例は、化合物2(70%重量/重量)と微結晶性セルロース(30%重量/重量)で構成させた中心部を持たせた多粒子製剤である。前記成分を一緒にした後にそれらに顆粒化をプラネタリーミキサー中で水を用いて受けさせることで前記中心部を生じさせる。次に、Nica(R)装置を用いて、その結果として得た湿った状態の塊を1.0mmのスクリーンに通して押し出す。次に、その押し出し加工品をスフェロナイザー(spheronizer)に移した後、約700rpmで球形のペレットが得られるまで(2−3)分間回転させる。次に、その湿った状態のペレットを流動床乾燥器に入れて水分濃度が2−5%になるまで乾燥させる。その乾燥させたペレットを18メッシュのスクリーンに通すことで大きさが過剰なペレットを除去する。次に、そのペレットにOpadry(R) Clear(5%重量/重量)と水(95%重量/重量)で構成させた密封型被膜による被覆を受けさせる。これを最初に前記流動床装置にWursterカラムおよび下部のスプレーノズルシステムを取り付けた後にOpadry(R)密封型被膜を約60℃の入り口温度、5−10グラム/分の被覆用溶液噴霧速度、1−2バールの噴霧圧力で付着させることで実施する。必要な生成物温度は38−43℃である。前記密封型被膜の約2%の重量上昇を達成した後、エチルセルロース被膜を付着させることができる。この被膜をSurelease(R)(水性エチルセルロース懸濁液,25%固体;5%重量/重量)と水(95%重量/重量)で構成させて、前記密封型被膜と同様な様式で付着させることで3−8%の重量上昇を生じさせる。前記エチルセルロース被膜を付着させた後のペレットを更に5−10分間乾燥させる。次に、そのペレットを取り出した後、18メッシュのスクリーンに通して選別することで凝集物および大きさが過剰な粒子を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1に、I形態の化合物2が示したX線粉末回折パターンを示す。
【図2】図2に、化合物2が示したH NMRスペクトルを示す。
【図3】図3に、化合物2が示した13C NMRスペクトルを示す。
【図4】図4に、化合物1が示したH NMRスペクトルを示す。
【図5】図5に、I形態の化合物2が示したX線粉末回折パターンを示す。
【図6】図6に、I形態の化合物2が示したDSCパターンを示す。
【図7】図7に、非晶質の化合物2が示したX線粉末回折パターンを示す。
【図8】図8に、非晶質の化合物2が示したDSCパターンを示す。
【図9】図9に、化合物2の水化物Iが示したX線粉末回折パターンを示す。
【図10】図10に、化合物2の水化物Iが示したDSCパターンを示す。
【図11】図11に、化合物2の水化物IIが示したX線粉末回折パターンを示す。
【図12】図12に、化合物2の水化物I(上部のスキャン)および水化物II(下部のスキャン)が示したDSCパターンを示す。
【図13】図13に、化合物2のメタノラートが示したX線粉末回折パターンを示す。
【図14】図14に、化合物2のエタノラートIが示したX線粉末回折パターンを示す。
【図15】図15に、化合物2のエタノラートIIが示したX線粉末回折パターンを示す。
【図16】図16に、化合物2のエタノラートIIが示したDSCパターンを示す。
【図17】図17に、化合物2のイソプロパノラートI(+DMF)が示したX線粉末回折パターンを示す。
【図18】図18に、化合物2のイソプロパノラートI(+DMF)が示したDSCパターンを示す。
【図19】図19に、化合物2のイソプロパノラートIIが示したX線粉末回折パターンを示す。
【図20】図20に、化合物2のイソプロパノラートIIが示したDSCパターンを示す。
【図21】図21に、化合物2のアセトネートが示したX線粉末回折パターンを示す。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物2:
【化1】

を含有して成る持続放出組成物。
【請求項2】
ヒプロメロース、微結晶性セルロースおよび滑剤を含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項3】
錠剤に圧縮されている請求項1記載の組成物。
【請求項4】
化合物2:
【化2】

を含有して成るペレット中心部、非機能的密封型被膜および機能的密封型被膜を含んで成る多粒子製剤。
【請求項5】
パーキンソン病,精神病(統合失調症,躁病,精神病的鬱病,双極性障害を包含),鬱病,ストレス/不安,アルツハイマー病,ハンチントン病,パニック障害,強迫性障害,摂食障害,薬物中毒,社会的恐怖症,攻撃性または興奮性,片頭痛,強皮症,レイノー現象,嘔吐,蠕動の調節に関連したGI管障害,RLSまたは下垂体腫瘍によって増加したプロラクチン分泌から選択される1種以上の障害を治療またはひどさを和らげる方法であって、患者に請求項1記載の組成物を投与することを含んで成る方法。
【請求項6】
前記障害がパーキンソン病である請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記障害が統合失調症,躁病,精神病的鬱病および双極性障害から選択される精神病である請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記障害が鬱病,ストレス/不安,パニック障害,強迫性障害,摂食障害,薬物中毒または社会的恐怖症である請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記障害が攻撃性または興奮性である請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記障害がアルツハイマー病,ハンチントン病,片頭痛,強皮症,レイノー現象,嘔吐,蠕動の調節に関連したGI管障害,RLSまたは下垂体腫瘍によって増加したプロラクチン分泌である請求項5記載の方法。
【請求項11】
I形態の化合物2および1種以上の追加的固体形態の化合物2を含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項12】
I形態の化合物2およびII形態物、化合物2の水化物、化合物2の溶媒和物または非晶質の化合物2の中の1種以上を含有して成る請求項11記載の組成物。
【請求項13】
パーキンソン病,精神病(統合失調症,躁病,精神病的鬱病,双極性障害を包含),鬱病,ストレス/不安,アルツハイマー病,ハンチントン病,パニック障害,強迫性障害,摂食障害,薬物中毒,社会的恐怖症,攻撃性または興奮性,片頭痛,強皮症,レイノー現象,嘔吐,蠕動の調節に関連したGI管障害,RLSまたは下垂体腫瘍によって増加したプロラクチン分泌から選択される1種以上の障害を治療またはひどさを和らげるための薬剤を持続放出組成物の形態で製造するための化合物2:
【化3】

の使用。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2009−507923(P2009−507923A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531256(P2008−531256)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/035520
【国際公開番号】WO2007/033193
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】