指データ認証装置及び携帯機器
【課題】 利き手判定の専用構成を設けずに、ユーザの利き手に応じた状態にし得る携帯機器を提供する。
【解決手段】 本発明の携帯機器に適用されている指紋認証装置は、指の移動方向を横切る方向に伸びていて、各時刻におけるラインデータを逐次得る2つのラインセンサを備えた指紋センサと、指紋センサの出力に基づいて、指紋データを作成する指紋データ作成部と、登録用の指紋データと、認証用の指紋データとが合致するか否かを判別する指紋認証部と、2つのラインセンサにおけるラインデータを比較し、指の相対的な移動方向を決定する指移動方向決定部とを備える。本発明の携帯機器は、上述の指移動方向決定部が決定した指の相対的な移動方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部を有する。
【解決手段】 本発明の携帯機器に適用されている指紋認証装置は、指の移動方向を横切る方向に伸びていて、各時刻におけるラインデータを逐次得る2つのラインセンサを備えた指紋センサと、指紋センサの出力に基づいて、指紋データを作成する指紋データ作成部と、登録用の指紋データと、認証用の指紋データとが合致するか否かを判別する指紋認証部と、2つのラインセンサにおけるラインデータを比較し、指の相対的な移動方向を決定する指移動方向決定部とを備える。本発明の携帯機器は、上述の指移動方向決定部が決定した指の相対的な移動方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、右利き及び左利きの双方に適切応じられる携帯機器に関する。また、本発明は、そのような携帯機器に適用可能な指データ認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、手のひらサイズ情報認証装置、電子手帳など、ユーザの操作を伴う携帯機器が多く存在する。例えば、携帯電話は、電話本体を利き手で把持した状態で利き手で操作することが可能であるが、多くの携帯機器では、利き手でない方の手で機器本体を把持し、利き手で操作するようになされている。世の中には右利きの人が多いため、左利きの人には不便な装置である。
【0003】
そのため、ユーザが右利きか左利きかを判別し、その判別結果に応じた利き手用の装置に可変できる携帯機器も提案されている。特許文献1に記載の携帯端末装置は、利き手でない方の手で把持部を握った際に親指が位置する近傍に右利き判定スイッチ及び左利き判定スイッチを設け、右利き判定スイッチ及び左利き判定スイッチのいずれが操作されたかで利き手を判別し、利き手に応じて、タッチパネルに表示する画像の天地左右(この明細書では、天地の地がユーザ寄りの手前側で、天地の天が奥側を表している)を制御するものである。
【特許文献1】特開2000−322386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、右利き判定スイッチ及び左利き判定スイッチを設ける位置が把持部を握った際に親指が位置する近傍に限定され、設計の自由度を狭めるものとなっている。
【0005】
また、利き手判定のために、2つのスイッチを設けなければならず、しかも、これらスイッチは他の機能に利用し難いものとなっている。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、利き手判定構成に割かれる占有面積が小さく、しかも、その利き手判定構成を他の機能にも適用可能な携帯機器を提供しようとしたものであり、また、そのような携帯機器に適用して好適な指データ認証装置を提供しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、指紋データ若しくは指静脈パターンデータが該当する指データを得て認証する指データ認証装置であって、(1)指の相対的な移動方向を横切る方向に伸びていて、各時刻におけるラインデータを逐次得る少なくとも2つのラインセンサを備えた指データセンサと、(2)上記指データセンサの出力に基づいて、認証用又は登録用の上記指データを作成する指データ作成部と、(3)予め登録されている登録用の指データと、上記指データ作成部が作成した認証用の指データとが合致するか否かを判別する指データ認証部と、(4)少なくとも2つの上記ラインセンサにおけるラインデータを比較し、指の相対的な移動方向を決定する指移動方向決定部とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明は、第1の本発明の指データ認証装置を備え、上記指データ認証装置における上記指データセンサが天地方向と直交する方向の中央部以外に配置されている携帯機器であって、上記指データ認証装置の指移動方向決定部が決定した指の相対的な移動方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部を有することを特徴とする。
【0009】
第3の本発明の携帯機器は、(1)かざされた指の指紋データ若しくは指静脈パターンデータを得る、天地方向と直交する方向の中央部以外に配置されている指データセンサと、(2)上記指データセンサの出力に基づいて、認証用又は登録用の上記指データを作成する指データ作成部と、(3)予め登録されている登録用の指データと、上記指データ作成部が作成した認証用の指データとが合致するか否かを判別する指データ認証部と、(4)上記指データセンサが得た指データに基づいて、指元から指先への方向を決定する指先方向決定部と、(5)上記指先方向決定部が決定した指先方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部とを有することを特徴とする。
【0010】
第4の本発明は、複数のユーザが使用する携帯機器であって、(1)上記各ユーザの指紋データ若しくは指静脈パターンデータが該当する指データを登録している指データ記憶部と、(2)上記各ユーザが当該携帯機器を使用する際の天地方向を記憶している天地方向記憶部と、(3)認証のために使用ユーザの指データを得る指データ読取部と、(4)上記指データ記憶部に記憶されている登録用の指データと、上記指データ読取部が得た指データとを照合し、合致するユーザを特定し、上記天地方向記憶部から、合致ユーザの天地方向を取り出して、現在の使用ユーザから見た当該携帯機器の天地方向を決定する現天地方向決定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1〜第3の本発明の指データ認証装置及び携帯機器によれば、認証用の指データセンサからの出力に基づいて、指の移動方向若しくは指が向けられている指先方向を得て、携帯機器の天地方向を決定することができ、その結果、特別な構成によらずに、ユーザの利き手に応じた表示などを実行させることができる。
【0012】
また、第4の本発明の携帯機器によれば、複数のユーザが使用可能であっても、特別な構成によらずに、現時点の使用ユーザに適した携帯機器の天地方向を決定でき、その結果、ユーザの利き手に応じた表示などを実行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による指データ認証装置及び携帯機器の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
第1の実施形態の指データ認証装置は、利き手判定機能が付いた指紋認証装置であり、第1の実施形態に係る携帯機器に適用されている。
【0015】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る携帯機器の電気的な機能構成を示すブロック図であり、図2は、第1の実施形態に係る携帯機器の概略表面を示す平面図である。図2(A)は、右利きのユーザが操作する際の天地方向で携帯機器を示しており、図2(B)は、左利きのユーザが操作する際の天地方向で携帯機器を示している。
【0016】
図2において、第1の実施形態に係る携帯機器10の表面には、表示部11の表示面11a、十字キー12及び指紋センサ13が設けられている。また、図2(A)に示す天地状態における右側面には電源スイッチ14が設けられ、左側面にはUSBコネクタ15aが設けられている。
【0017】
多くの右利きのユーザは、十字キー12及び指紋センサ13を、図2(A)に示すような右側に配置した状態で操作するのを好むと考えられ、多くの左利きのユーザは、十字キー12及び指紋センサ13を図2(B)に示すような左側に配置した状態(図2(A)の状態を180度だけ回転させた状態で)で操作するのを好むと考えられる。第1の実施形態の携帯機器10は、ユーザが右利きか左利きかに応じて、装置の天地を逆転できるものとなっている。以下では、右利きユーザ用の天地方向を右天地方向と呼び、左利きユーザ用の天地方向を左天地方向と呼ぶ。
【0018】
この第1の実施形態の場合、十字キー12及び指紋センサ13は、携帯機器10の左右方向の中心より左右方向にずれた位置に配置されていることが好ましい。
【0019】
第1の実施形態の携帯機器10は、電気的には、図1に示すように、上述した表示部11、十字キー12、指紋センサ13、電源スイッチ14及びUSBコネクタ15aに加え、USBドライバ部15、制御部16、指紋データ記憶部17及びガイダンス画像記憶部18などを備える。図1では省略しているが、その他に、電池などの電源部が設けられており、また、当該携帯機器10が担っている機能を実現するための構成なども必要に応じて設けられている。
【0020】
表示部11は、例えば、液晶ディスプレイでなり、後述する制御部16の制御下で、ガイダンス画像などを表示するものである。第1の実施形態の場合、後述する利き手判定で右利きと判定されたユーザに対しては、表示部11には右天地方向の画像が表示され、利き手判定で左利きと判定されたユーザに対しては、表示部11には左天地方向の画像が表示される。なお、利き手判定が実行される前では、表示部11には、右利きユーザ及び左利きユーザに差がでない画像が表示される(後述する図4参照)。
【0021】
十字キー12は、表示部11上の表示画像におけるカーソルの移動などを指示するものである。この第1の実施形態の場合、十字キー12は、センターにエンターキーを備えないものである(センターにエンターキーを備えた十字キーを適用したものは本発明の他の実施形態となる)。表示部11には右天地方向の画像が表示されている場合と、表示部11には左天地方向の画像が表示されている場合とでは、制御部16の制御下で、十字キー12における各方向のキーの指示方向が変化するようになされている。例えば、右方向に向かっている矢印キー12aは、図2に示す右天地方向の状態においてはカーソルの右移動を指示し、逆に、左天地方向の状態においてはカーソルの左移動を指示するものである。
【0022】
指紋センサ13は、例えば、1チップ化されたスウィープ型の指紋センサが該当するものであり(例えば、富士通株式会社の指紋センサ「MBF300」、「MBF310」参照)、指紋の読取画像データ(以下、指紋データと呼ぶ)を出力するものである。指紋センサ13は、第1には(基本的には)、制御部16との協働により、ユーザの指紋データに基づいた指紋認証を実行させるものである。指紋センサ13は、第2には、ユーザの指紋データを得る際の指の相対的な移動方向を制御部16に与え、制御部16によって、ユーザの利き手を判定させるものである。指紋センサ13は、第3には、制御部16と協働して、利き手判定後には、かざされた指の停止期間に基づいたエンター(実行)の指示を行うものである。第3の機能は、エンターキーの代替要素としての機能である。
【0023】
指紋センサ13は、上述した第1の指紋認証機能、第2の指の移動方向の把握機能、第3の指停止時間の把握機能に対応できるものであれば、どのような形式のものであっても良い。
【0024】
上記では、指紋データなどを得る構成(指紋センサ13)と、指紋データなどを処理する構成(制御部16)とが別個のものを示したが、これら構成を合体させて1構成要素(例えばチップやボード)として実現するようにしても良い。
【0025】
また、指紋センサ13として、ラインセンサの出力をそのまま出力する形式のものを適用しても良く、この場合には、制御部16の処理によって、ラインセンサ出力から、指紋データやスキャン方向の情報を得ることになる。
【0026】
例えば、ラインセンサを2ライン分以上利用し、指紋データを得ると共に、指の移動方向を把握する方法としては、特開2002−216116号公報や特開2003−248820号公報に記載のものを適用することができる。
【0027】
所定距離(例えば1mm)だけ離間した2ラインセンサで同じデータがどちらのラインセンサで先に現れたかに基づいて移動方向を把握する。すなわち、各ラインセンサからの各時刻毎の特徴データに対し、時刻の紐付けを行ってバッファメモリに記憶させ、一方のラインセンサのある時刻の特徴データと、同じ特徴データが他方のラインセンサで得られた時刻を認識し、同じデータがどちらのラインセンサで先に現れたかを捉えるようにする。また、同じデータが2ラインセンサに現れる時間差に基づいて、各時点での指の移動速度を捕らえて、読取ったラインデータから移動速度の変動の影響を排除した指紋データを構築する。指紋データは、一方のラインセンサの出力から構築しても良く、2つのラインセンサの出力から構築しても良い。後者の場合、それぞれで構築した指紋データを平均化させたものを最終的な指紋データとするようにしても良い。
【0028】
また、指をかざしているときに生じている有効なデータ(背景でのデータ以外)が先に生じなくなったラインセンサを天地における天側のラインセンサと捉えて、指の移動方向を判定するようにしても良い。
【0029】
さらに、少なくとも一方のラインセンサからのデータが変化しない時間に基づいて、指が停止されている期間を把握することができる。
【0030】
電源スイッチ14は、当該携帯機器10の主電源をオンオフするものである。主電源の他に、メモリの記憶データの消失などを防ぐための電源を供給する補助電源が設けられているものであっても良い。
【0031】
USBコネクタ15aは、他の機器のUSBコネクタが直接接続されたり、USBケーブルが接続されたりするものである。USBドライバ部15は、USBコネクタ15aに直接又はケーブルを介して接続されている他の機器とのUSB規格に従ったデータ転送を実行させるものである。他の機器としては、例えば、パソコンなどの当該携帯機器10より高機能又は多機能のものを挙げることができる。第1の実施形態の場合、後述するように、当該携帯機器10への指紋データの登録を、他の機器から指紋データを転送させることによって実行することもできる。
【0032】
制御部16は、例えば、CPU、ROM、RAMなどのハードウェアや、CPUが実行するプログラムが該当し、当該携帯機器10の全体を制御するものである。制御部16は、後述する図3、図5、図6のフローチャートに示すような動作を実現するように各部を制御する。なお、図3、図5、図6は、制御部16が有するプログラム16a、16b、16cの概略を記述していると見ることができる。制御部16による制御については、後述する動作説明で明らかにする。
【0033】
指紋データ記憶部17は、例えば、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリや、SRAMなどが該当し、制御部16による制御下で、当該携帯機器10を操作し得るユーザの指紋データを記憶しているものであり、さらに、表示方向や十字キー12の認識方法などを記憶しているものである。後述する第3の実施形態とは異なり、この第1の実施形態は、指紋データは1人のユーザについてのものだけを登録できるものである。
【0034】
ガイダンス画像記憶部18は、ユーザに操作方法を教えたり、ユーザが要求した内容を教えたりするためのガイダンス画像を記憶しているものである。制御部16は、処理段階などに従って、所望するガイダンス画像をガイダンス画像記憶部18から読み出して表示部11に表示させるものである。
【0035】
この第1の実施形態では、右天地方向に沿うようにガイダンス画像が表示されることもあれば、左天地方向に沿うようにガイダンス画像が表示されることもあり得る。右天地方向に沿うガイダンス画像と、左天地方向に沿うガイダンス画像とを別個にガイダンス画像記憶部18に記憶させて双方向に対応できるようにしても良く、利き手人数が多い右天地方向に沿うガイダンス画像をガイダンス画像記憶部18に記憶させ、右天地方向に沿うガイダンス画像の表示時にはガイダンス画像記憶部18から読み出したものをそのまま表示部11に与え、左天地方向に沿うガイダンス画像の表示時にはガイダンス画像記憶部18から読み出したものを180度だけ回転させた後に表示部11に与えるようにしても良い。
【0036】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る携帯機器10の動作を説明する。以下では、当該携帯機器10の指紋読取による指紋データの登録動作、外部機器からの指紋データ転送による登録動作、指紋データを用いるユーザ認証動作(指紋認証動作)の順に、動作を説明する。
【0037】
(A−2−1)携帯機器10の指紋読取による指紋データの登録動作
制御部16は、電源スイッチ14がオン操作されると、図3に示す処理(プログラム16a)を開始する。
【0038】
そしてまず、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認する(ステップS100)。この確認は、例えば、制御部16内で保持する指紋データ有無フラグの値を認識して捉えるものであっても良く、または、フラグを利用することなく、指紋データ記憶部17をアクセスして指紋データが記憶されているか否かを判別して行うものであっても良い。
【0039】
指紋データが登録されている場合には、後述する図6に示す処理(プログラム16c)に移行する。
【0040】
これに対して、指紋データが登録されていない場合には、制御部16は、指紋センサ13を起動し(ステップS101)、表示部11に指紋をスキャンニングさせることを求める表示を行い(ステップS102)、ユーザが指紋センサ13に指紋をスキャンすることで指紋センサ13が得た指紋データ及びスキャン方向を指紋センサ13から得る(ステップS103)。
【0041】
図4は、ユーザに対して、指のスキャンニングを求める表示画像例を示す説明図である。この表示時には、ユーザが右利きか左利きかを判定できていないので、利き手を問わないガイダンス画像を表示する。図4(A)に示すガイダンス画像の例は、右天地方向に携帯機器10が把持されている場合に読み易い文字列CHARと、左天地方向に携帯機器10が把持されている場合に読み易い文字列CHALとを共に含むものである。図4(B)に示すガイダンス画像の例は、右天地方向及び左天地方向の双方に直交する方向に記載されている文字列CHACを含むものである。
【0042】
制御部16は、指紋センサ13から指紋データ及びスキャン方向の情報が与えられると、画像の表示方向及び十字キー12の指示をどのように認識するかを決定し(ステップS104)、指紋センサ13から与えられた指紋データと決定内容とを指紋データ記憶部17に記憶(登録)させる(ステップS105)。指紋データ有無フラグを利用する場合であれば、制御部16は、この際に、内蔵するフラグの値を指紋データがある場合の値に更新する。
【0043】
例えば、図2(A)に示した右天地方向における天から地へ指紋センサ13がスキャンニングされた場合には(右利きの人がスキャンした場合と考えられる)、右天地方向で見やすい方向に表示方向を決定すると共に、十字キー12における各方向への矢印キー12a〜12dは右天地方向で指示している方向への移動を指示しているものと設定する。また例えば、図2(B)に示した左天地方向における天から地へ指紋センサ13がスキャンニングされた場合には(左利きの人がスキャンした場合と考えられる)、左天地方向で見やすい方向に表示方向を決定すると共に、十字キー12における各方向への矢印キー12a〜12dは左天地方向で指示している方向への移動を指示しているものと設定する。
【0044】
その後、制御部16は、当該携帯機器10が実行する基本機能に係る画像(例えば、メニュー画像)を表示方向に従って表示させ、通常動作に移行させる。例えば、当該電子機器10が、電卓機能や、メモ機能や、カレンダー機能や、時計機能などに対応できるものであれば、「電卓」、「メモ」、「カレンダー」、「時計」などの選択肢を含むメニュー画像を表示させる。
【0045】
(A−2−2)外部機器からの指紋データ転送による登録動作
制御部16は、USBコネクタ15bに対して、外部機器とつながっているUSBコネクタが接続されたことを、USBドライバ部15から通知されると、図5に示す処理(プログラム16b)を開始する。なお、電源スイッチ14がオンされたときに、USBコネクタ15bに対して外部機器とつながっているUSBコネクタが接続されている場合にも、図5に示す処理を開始する。
【0046】
そして、制御部16は、外部機器が送出したデータを取り込み(ステップS151)、その受信データの指示内容を判別し(ステップS152)、判別結果に応じた指紋データの編集動作を実行する(ステップS153)。
【0047】
第1の実施形態では、当該携帯機器10の指紋データに対する編集動作を、パソコンなどからのUSBインタフェースを介したデータ転送により指示できるようになされている。制御部16は、指紋データを削除する指示内容が与えられたときには、指紋データ記憶部17の記憶データをクリアする。また、制御部16は、指紋データを変更する指示内容(新たな指紋データや表示方向などを含む)が与えられたときには、指紋データ記憶部17の記憶データを、新たに受信したデータに置き換える。
【0048】
制御部16は、指紋データの編集動作が終了すると、例えば、USBコネクタ15bに対する接続がなされる前の状態に復帰する。但し、指紋データなどが変更され、表示方向が切り替わったような場合には、復帰画像は切り替わった表示画像に応じたものにする。
【0049】
(A−2−3)指紋データを用いたユーザ認証動作
電源スイッチ14がオン操作されて、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認した際に(図3のステップS100参照)、指紋データが登録されているという結果が得られたときには、図6に示す処理(プログラム16c)に移行する。
【0050】
この移行により、制御部16は、指紋センサ13を起動し(ステップS200)、指紋データ記憶部17に記憶されている表示方向に従った、指紋のスキャンニング(指の移動)を求めるガイダンス画像を表示させ(ステップS201)、ユーザが指紋センサ13に指紋をスキャンすることで指紋センサ13が得た指紋データを得る(ステップS202)。図7は、表示方向に従った指紋のスキャンニングを求めるガイダンス画像の一例を示す説明図である。上述した図4に示すスキャンニングを求める画像は、スキャン方向の判別前であるので、右天地方向及び左天地方向の双方に対応できるものであったが、この表示画像は表示方向が定まっているのでその方向だけに対応するものとなっている。
【0051】
制御部16は、今回得られた指紋データと、指紋データ記憶部17に記憶されている指紋データとを照合する、ユーザ認証を行う(ステップS203)。
【0052】
両指紋データが合致せず、認証できない場合には、制御部16は、認証できない場合の処理を実行する(ステップS204)。例えば、認証できない旨と再スキャンニングを要求する画像を表示させ、2回目でも認証できない場合には、2回目でも認証できない旨を所定時間だけ表示させた後、電源を強制的に遮断する。
【0053】
両指紋データが合致して認証できた場合には、制御部16は、当該携帯機器10が実行する基本機能に係る画像(例えば、メニュー画像)を表示方向に従って表示させ、通常動作に移行させる。
【0054】
認証後の動作は、ユーザの操作に応じた処理を実行する。この場合において、ユーザは十字キー12でカーソルが指示する選択肢を切り替え、また、指紋センサ13に触れた指を所定時間以上、動かさないことでエンターを指示する。制御部16は、十字キー12の指示方向を、指紋データ記憶部17に記憶されている内容に応じて認識する。また、処理時に、文字列入力が必要になったときには、表示部11に文字一覧などを表示させ、文字の選択やかな漢字変換の指示などを実行させて文字列を入力させる。
【0055】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、指紋認証に適用する指紋センサに対するスキャンニング方向を捉え(ユーザの利き手を判定し)、画像の表示方向や十字キーの指示方向を切り替えるようにしたので、利き手判定の専用構成を不要とすることができ、しかも、利き手に応じた天地方向に携帯機器を向けた状態でユーザは操作などを実行することができる。
【0056】
また、第1の実施形態では、指紋センサをエンターキーの代わりにも適用しているので、機器の小型化を図ることができる。
【0057】
(A−4)第1の実施形態の変形実施形態
上述した第1の実施形態の変形実施形態としては、以下に例示するようなものを挙げることができる。
【0058】
上記説明では、指紋データの登録時におけるスキャンニング回数が1回であるものを示したが、所定回数(例えば、2回)のスキャンニングを実行させ、各回の指紋データが合致することを持ってデータの登録を行うようにしても良い。
【0059】
また、上記説明では、登録する指紋データが1データであるものを示したが、複数の指紋データ(例えば、異なる指の指紋データ)の登録を認めるようにしても良い。この場合において、登録している複数の指紋データのいずれかに、認証のために得た指紋データが合致していれば認証OKとするようにしても良く、指紋認証時に複数の指紋データと合致する指紋データの全てを読取ったことを認証OKの条件とするようにしても良い。
【0060】
さらに、上記説明では、エンターキーの機能を指紋センサが担うものを示したが、これに代え、電源スイッチ14がエンターキーの機能を担うようにしても良い。例えば、操作時間が第1の閾値時間より長いことを電源のオン又はオフへの切り替えと捉え、操作時間が第2の閾値時間より長く第1の閾値時間以下であればエンターキーの操作と捉え、操作時間が第2の閾値以下であれば操作を無視するようにすれば良い。
【0061】
さらにまた、上記説明では、カーソルの移動を十字キー12が指示するものを示したが、これに代え、認証OK後においては、指紋センサ13にカーソルの移動指示キーとしての機能を担当させるようにしても良い。例えば、携帯機器10の現在の天地方向において、指紋センサ13に対して指で右移動になぞられた場合は右移動が指示され、指紋センサ13に対して指で左移動になぞられた場合は右移動が指示され、指紋センサ13に対して指で上移動になぞられた場合は上移動が指示され、指紋センサ13に対して指で下移動になぞられた場合は下移動が指示されたと捉えるようにしても良い。上移動や下移動の認識は、上述したスキャン方向の把握動作と同様な方法による。左右の移動は、指が触れられていないラインセンサの画素数の変化で認識することができる。また、特開2004−272458号公報に記載の指の回転や移動量を検出する方法を移動方向の認識に利用することができる。
【0062】
上記説明では、表示部11が単に表示するものであったが、表示部11及び十字キー12に代えてタッチパネルを適用するようにしても良い。また、タッチパネルを適用しない場合であっても、十字キー12に代えて、又は、十字キー12に加えてテンキーなどを設けるようにしても良い。
【0063】
また、上記説明では、指紋認証時に指紋データだけを利用するものを示したが、スキャン方向も認証に利用するようにしても良い。例えば、まずスキャン方向が合致するか判定し、スキャン方向が合致しなければ認証NGとし、スキャン方向が合致したときに、指紋データが合致するか否かを判定するようにしても良い。
【0064】
さらに、上記説明では、スウィープ型の指紋センサを適用したものを示したが、指を移動させずに指紋データを得る非スウィープ型の指紋センサを適用するようにしても良い。この場合、指紋データから指の向きを捉えて(すなわち、利き手判定して)、表示方向の制御を行うようにすれば良い。指紋データから指の向きを捉える方法としては、例えば、特開平8−279039号公報に記載の方法を適用することができる。
【0065】
さらにまた、上記説明では、指紋データの登録時に表示方向などを決定して設定するものを示したが、登録時には指紋データだけを記憶させ、認証のためのスキャン時に表示方向などを決定して設定するようにしても良い。
【0066】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による指データ認証装置及び携帯機器の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。第2の実施形態の携帯機器は、複数のパスワードを管理、記憶するパスワード管理装置である。第2の実施形態の指データ認証装置は、第2の実施形態に係るパスワード管理装置に適用されている。
【0067】
今日では、1ユーザは多くのパスワードを所有している。例えば、各種金融機関に届けたパスワードや、インターネットその他のネットワークの各種サービスを受けるためのパスワードや、入退室時のパスワード、パソコンなどを立ち上げる際のパスワードなどを所有する。全てのパスワードに同一のパスワードを適用した場合には、セキュリティ面で不安があるため、異なるパスワードを適用することもある。また、用途などによって、パスワードとして許容されている文字数や文字種が異なることも多い。第2の実施形態に係るパスワード管理装置は、ユーザの備忘に備えて複数のパスワードを管理、記憶するものである。
【0068】
この明細書における用語「パスワード」は、パスワードや暗証番号として指示したものだけでなく、装置やシステムが割り振ったIDなどを含むものである。パスワード管理装置から見れば、記憶された文字列がパスワード、暗証番号、IDなどのいずれに該当するかを区別できないものである。
【0069】
(B−1)第2の実施形態の構成
図8は、第2の実施形態に係るパスワード管理装置の電気的な機能構成を示すブロック図であり、第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0070】
図8において、第2の実施形態に係るパスワード管理装置10Aは、表示部11、十字キー12、指紋センサ13、電源スイッチ14、USBドライバ部15、USBコネクタ15a、制御部16、指紋データ記憶部17及びガイダンス画像記憶部18に加え、パスワード記憶部19を有する。
【0071】
パスワード記憶部19は、登録されたパスワードを記憶しているものである。この第2の実施形態の場合、複数のパスワードをグループ化若しくは階層化して記憶している。例えば、グループとして、「金融機関」、「ネットショッピング」、「プロバイダ」、「入退室」、「パソコン」、「その他」などを設ける。また、全て又は一部のグループにサブグループを設ける。例えば、「金融機関」のサブグループとして「銀行」、「証券会社」などを設ける。すなわち、パスワード記憶部19へのパスワード登録や登録パスワードの読出しは、階層をたどっていくことで行う。
【0072】
(B−2)第2の実施形態の動作
この第2の実施形態における指紋データの登録動作は、第1の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0073】
(B−2−1)パスワードの外部機器からの転送一括登録
第2の実施形態の場合、パスワードを外部機器(以下では、パソコンとする)から、パスワード管理装置10Aに登録させることができる。以下、この場合の処理の流れを、図9の手順フローを参照しながら説明する。
【0074】
ユーザは、パソコンを用いて、既存の表計算ソフト(例えば、Microsoft Excel(登録商標))を用いて、図10に示すような登録するパスワードを含む表形式のデータを作成する(ステップS250)。1レコードは、サブグループ名(サブグループが存在しない場合にはグループ名)、登録対象を区別する任意の文字列(以下、登録対象名と呼ぶ)、1又は2個のパスワードでなる。図10に示すように、1つの登録対象に関し、最大2個のパスワードを含めることができる。2個のパスワードとして、例えば、パスワードそのものと、IDとを含めることができる。
【0075】
次に、ユーザは、作成した表形式データを転送可能なファイル(例えばCSV形式のファイル)として、パソコン上に保存させる(ステップS251)。ここで、ファイル名には、パスワード管理装置10Aがパスワードの登録を開始する予め定められた拡張子若しくは文字列を盛り込んでおく。
【0076】
その後、ユーザは、保存ファイルを、USBインタフェースを介してパスワード管理装置10Aに転送する(ステップS252)。なお、パスワード管理装置10AのUSBコネクタ15aに対する接続行為がなされた際に、誤った登録や不正な登録を防止すべく指紋認証を実行させるようにしても良い。
【0077】
パスワード管理装置10Aの制御部16は、USBドライバ部15から、パスワード登録に係る転送ファイルが与えられたときには、各レコードのサブグループ名(若しくはグループ名)を認識し、パスワード記憶部19におけるそのサブグループの最後尾に、受信した登録対象名及びパスワードを追加登録する(ステップS253)。
【0078】
以上では、パソコンからのデータ転送によるパスワードの追加登録の場合を説明したが、パソコンからのデータ転送によって、パスワードを変更させたり削除させたりするようにしても良い。パスワードの変更の場合には、変更前後のパスワードに係る情報を含む変更指示ファイルを転送すれば良い。また、パスワードの削除の場合には、削除するパスワードに係る情報を含む削除指示ファイルを転送すれば良い。
【0079】
(B−2−2)パスワードの個別登録
第2の実施形態の場合、パスワードを、パスワード管理装置10Aに追加登録させることができる。
【0080】
制御部16は、電源スイッチ14がオン操作されると、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認し、登録されている場合には指紋認証させる(第1の実施形態参照)。ここで、認証OKになると、「パスワード登録」、「パスワード閲覧」、「パスワード削除」などの選択肢を含む画像を、決定されている表示方向(右天地方向又は左天地方向)で表示させ、ユーザの選択を待ち受ける。
【0081】
「パスワード登録」が選択されると、制御部16は、図11に示すサブルーチン処理を開始する。なお、図11に示すサブルーチン処理は、例えば、プログラムとして制御部16にインストールされている。
【0082】
制御部16は、図11に示す処理を開始すると、登録に係るグループ名及びサブグループ名を指定させる(ステップS300)。グループ名やサブグループ名を選択肢として含む画像を表示させ、十字キー12の操作に応じてカーソルを移動させ、指紋センサ13に対するエンター操作がなされたときにカーソルが位置していた選択肢に係るグループ名及びサブグループ名が指定されたものとして取り込む。
【0083】
次に、制御部16は、ユーザから登録対象名を取り込む(ステップS301)。例えば、表示部11にスクロール可能に文字一覧などを表示させ、文字の選択やかな漢字変換の指示などを実行させて登録対象名を入力させる。
【0084】
次に、制御部16は、ユーザからパスワードを取り込む(ステップS302)。例えば、この場合も、表示部11にスクロール可能に文字一覧などを表示させ、文字の選択やかな漢字変換の指示などを実行させてパスワードを入力させる。1番目のパスワードが入力された状態でエンター操作がなされたときには、2番目のパスワードを入力するか否かを問う画像を表示させ、2番目のパスワードを入力しない場合には1番目のパスワードだけを登録することに認識し、2番目のパスワードの入力の意思表示があって2番目のパスワードを取り込んだ場合には1番目及び2番目のパスワードを登録することと認識する。
【0085】
制御部16は、パスワード記憶部19における指定されたサブグループ(若しくはグループ)の最後尾に、入力された登録対象名及びパスワードを追加登録する(ステップS303)。
【0086】
以上では、パスワードの追加登録の場合を説明したが、ほぼ同様な編集動作によって登録パスワードを変更又は削除させるようにしても良い。変更動作及び削除動作については、その説明を省略する。
【0087】
(B−2−3)登録パスワードの閲覧
次に、登録パスワードのうち、所望するパスワードをユーザが閲覧する際の動作を説明する。
【0088】
上述したように、制御部16は、電源スイッチ14がオン操作されると、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認し、登録されている場合には指紋認証させる(第1の実施形態参照)。ここで、認証OKになると、「パスワード登録」、「パスワード閲覧」、「パスワード削除」などの選択肢を含む画像を、決定されている表示方向(右天地方向又は左天地方向)で表示させ、ユーザの選択を待ち受ける。
【0089】
「パスワード閲覧」が選択されると、制御部16は、図12に示すサブルーチン処理を開始する。なお、図12に示すサブルーチン処理は、例えば、プログラムとして制御部16にインストールされている。
【0090】
制御部16は、図12に示す処理を開始すると、ある1つの登録対象名だけを表示部11に表示させる(ステップS350)。
【0091】
その後、十字キー12のいずれかの方向への移動キー、若しくは、エンターキー(指紋センサ13)が操作されたかを判別する(ステップS351)。十字キー12におけるいずれかの方向への移動キーが操作された場合には、その移動先に応じた、登録対象名、1番目の登録パスワード又は2番目の登録パスワードに表示を切り替える(ステップS352)。エンターキー(指紋センサ13)が操作された場合には、閲覧動作を終了させる(ステップS353)。閲覧動作を終了させた際には、例えば、「パスワード登録」、「パスワード閲覧」、「パスワード削除」などの選択肢を含む画像を表示させる。
【0092】
図13は、十字キー12の操作と表示内容の変化との関係例(ステップS352参照)を示す説明図である。
【0093】
登録対象名が表示されている状態における上下の移動キーの操作は、前の登録対象名又は次の登録対象名への切替えを指示する。登録対象名が表示されている状態における右移動キーの操作は、1番目の登録パスワードへの切替えを指示する。登録対象名が表示されている状態における左移動キーの操作は無視される。
【0094】
なお、下移動キーの操作による登録対象名の順方向の変化順序は以下の通りである。第1グループの第1サブグループの第1番目の登録対象名を初期表示させる(該当するものがなければ最も若番の該当するものを表示)。その後、第1サブグループの第2番目、第3番目、…の登録対象名に切り替える。第1サブグループの最終番目の登録対象名からは、第1グループの第2サブグループの第1番目の登録対象名に切り替える。以下、同様に、サブグループ間での切替えを行う。第1グループの最終サブグループの最終番目の登録対象名からは、第2グループの第1サブグループの第1番目の登録対象名に切り替える。以下、同様な切替えを実行する。上移動キーの操作による登録対象名の逆方向の変化順序は、上述した順方向の切替えの逆順である。
【0095】
1番目の登録パスワードが表示されている状態における上下の移動キーの操作は無視される。1番目の登録パスワードが表示されている状態における右移動キーの操作は、2番目の登録パスワードがあれば2番目の登録パスワードへの切替えを指示し、2番目の登録パスワードがなければ次の登録対象名への切替えを指示する。1番目の登録パスワードが表示されている状態における左移動キーの操作は、当該パスワードの登録対象名への切替えを指示する。
【0096】
2番目の登録パスワードが表示されている状態における上下の移動キーの操作は無視される。2番目の登録パスワードが表示されている状態における右移動キーの操作は、次の登録対象名への切替えを指示する。2番目の登録パスワードが表示されている状態における左移動キーの操作は、1番目の登録パスワードへの切替えを指示する。
【0097】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によっても、指紋認証に適用する指紋センサに対するスキャンニング方向を捉え(ユーザの利き手を判定し)、画像の表示方向や十字キーの指示方向を切り替えるようにしたので、利き手判定の専用構成を不要とすることができ、しかも、利き手に応じた天地方向にパスワード管理装置を向けた状態でユーザは操作などを実行することができ、また、指紋センサをエンターキーの代わりにも適用しているので、パスワード管理装置の小型化を図ることができる。
【0098】
第2の実施形態に係るパスワード管理装置が管理しているパスワードは秘匿性が高く、セキュリティが問題となるので、認証が重要である。一方、装置としては、多数のパスワードを記憶させるとしても必要な記憶容量が小さく、小形で安価であることが望ましく、しかも、盗み見を防止する観点から操作性が高いことが望ましいものである。上述したような指紋センサに複数の機能を持たせたことは、セキュリティが高いことを保証しつつ、装置の小形、低廉化を達成し、しかも十分な操作性を確保している。
【0099】
(B−4)第2の実施形態の変形実施形態
上述した第1の実施形態の変形実施形態の中で、第2の実施形態の変形実施形態となり得るものは、適宜変形実施形態として適用すれば良い。
【0100】
上記説明では、1つの登録対象名に対するパスワードを2つまで登録できるものを示したが、1つ又は3つ以上登録し得るようにしても良い。
【0101】
また、上記説明では、パスワードを、外部機器からの転送によっても、当該パスワード管理装置への入力によっても登録できるものを示したが、一方の方法だけで登録できるようにしても良い。
【0102】
さらに、上記説明では、どの登録対象名のパスワードでも、指紋認証のOKを条件として閲覧できるものを示したが、指紋認証を条件とすることなく、閲覧可能な登録対象を認めるようにしても良い。例えば、指紋認証を条件としているか否かを示すフラグを登録動作で設定し、そのフラグの値に応じて、指紋認証が閲覧の条件となっているか否かを判別するようにしても良い。
【0103】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による指データ認証装置及び携帯機器の第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。第3の実施形態の携帯機器は、複数のユーザが共用する携帯機器である。例えば、日時によって利用する、営業部の人間が変化するような携帯機器が該当する。
【0104】
第3の実施形態に係る携帯機器も、その電気的な機能構成は、第1の実施形態に係る図1で表すことができる。
【0105】
しかしながら、以下の点が第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態の場合、指紋データ記憶部17には1ユーザの指紋データや表示方向などの情報しか登録できないものであったが、この第3の実施形態の場合、指紋データ記憶部17には、複数のユーザの指紋データや表示方向などの情報を登録することができる。ここで、登録動作は第1の実施形態と同様である。但し、第1の実施形態では、追加登録を認めないものであったが、この第3の実施形態の場合、追加登録を認めるようにしておけば良い。なお、指紋データの登録時に、ユーザ氏名などを入力させるようにしても良く、また、ユーザ氏名などの入力を不要とするようにしても良い。
【0106】
第3の実施形態の携帯機器は、複数のユーザが共用する機器であるため、指紋認証時の動作も第1の実施形態とは異なっている。以下、図14を参照しながら、第3の実施形態の携帯機器における指紋認証時の動作を説明する。ここで、図14は、第1の実施形態に係る図6に対応する図面(フローチャート)である。
【0107】
電源スイッチ14がオン操作されて、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認した際に(図3のステップS100参照)、指紋データが登録されているという結果が得られたときには、図14に示す処理に移行する。
【0108】
この移行により、制御部16は、指紋センサ13を起動し(ステップS400)、指紋のスキャンニング(指の移動)を求めるガイダンス画像を表示させ(ステップS401)、ユーザが指紋センサ13に指をスキャンすることで指紋センサ13が得た指紋データを得る(ステップS402)。第1の実施形態とは異なり、どのユーザが使用しているのが不明であるので、ステップS401で表示される指紋のスキャンニングを求めるガイダンス画像は、上述した図4に示したような右天地方向及び左天地方向の双方に対応できるものとする。
【0109】
制御部16は、指紋データ記憶部17に記憶されている複数の指紋データの中に、今回得られた指紋データと合致するものが存在するかを判別する(ステップS403)。この判別は、ユーザ認証動作と利き手判別動作とを兼ねたものとなっている。
【0110】
指紋データ記憶部17に記憶されているいずれの指紋データにも、今回得られた指紋データが合致しない場合には、制御部16は、認証できない場合の処理を実行する(ステップS404)。
【0111】
制御部16は、指紋データ記憶部17に記憶されている複数の指紋データの中に、今回得られた指紋データと合致するものが存在すれば、指紋データ記憶部17に記憶されている決定された表示方向の情報を取り出し(ステップS405)、当該携帯機器10が実行する基本機能に係る画像(例えば、メニュー画像)を表示方向に従って表示させ、通常動作に移行させる。
【0112】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果を奏することができ、さらに、利き手が異なるユーザが混在している場合でも、そのときの使用ユーザの利き手に応じた状態に当該携帯機器を設定できるという効果をも奏する。
【0113】
(D)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態を示したが、さらに以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0114】
上記各実施形態において、CPUがプログラムを実行することによって実現していた機能を、これらの機能を実現するための電気回路などのハードウェアに置き換えて、本発明を実現することも当然に可能である。
【0115】
また、上記各実施形態において、指紋データの登録や指紋データの認証のスキャン方向が一方向のものを示したが、双方向のスキャンを指紋認証に適用するようにしても良い。例えば、登録時に、右天地方向における天から地へのスキャンでの指紋データと、左天地方向における天から地へのスキャンでの指紋データとを共に読み込んで登録させ、認証時にも、右天地方向における天から地へのスキャンでの指紋データと、左天地方向における天から地へのスキャンでの指紋データとを得て、2つの指紋データ共に、登録しているものと合致したときを、認証OKと判定するようにしても良い。この場合において、例えば、登録時に、右天地方向における天から地へのスキャンと、左天地方向における天から地へのスキャンとのうち、先になされたスキャン方向に合わせて、画像の表示方向などを設定するようにすれば良い。
【0116】
さらに、上記各実施形態では、携帯機器がどの機能、サービスをユーザに提供する場合にも指紋認証を実行するものを示したが、指紋認証を条件としてユーザに提供する機能、サービスと、指紋認証を条件とすることなくユーザに提供する機能、サービスとが混在する携帯機器に対しても本発明を適用することができる。この場合、表示方向を決定させるための指紋センサに対するスキャンだけを当初に実行させて(指紋認証までの複雑な処理を実行しない)、表示方向などを設定し、ユーザが所望する機能、サービスとして、指紋認証を条件としている機能、サービスが選択された際に、指紋認証のためのスキャンを実行させるようにしても良い。
【0117】
さらにまた、上記各実施形態では、独立装置としての携帯機器に本発明を適用したものを示したが、他の装置と接続されて始めて機能が意味を持つ携帯機器(可搬性がある機器)に本発明を適用することができる。例えば、ゲーム機本体と接続されて用いられるゲームコントローラに本発明を適用することができる。このような有線部分を有する機器も、本発明の携帯機器の概念に含まれる。なお、ゲーム機本体と有線、無線接続されたゲームコントローラなど、表示部を備えない携帯機器にも本発明を適用し得る。
【0118】
また、上記各実施形態では、指紋センサを有するものを示したが、指に関する他の生態的な特徴のデータを得るセンサを適用するようにしても良い。例えば、指の静脈を読み取るセンサ(指静脈パターンセンサ)を適用するようにしても良く、静脈を浮き上がらすことができる波長光の照射光源と、この照射時の画像を読み取る2ライン以上のラインセンサとを備えた指データ認証装置において、上記各実施形態の指紋センサと同様のフローを採用すれば、指データの登録時に、指データを作成、登録すると共に、当該指データを作成する際における指の方向を検出してこの方向を指データに紐づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1の実施形態に係る携帯機器の電気的な機能構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る携帯機器の概略表面を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態における携帯機器の指紋読取による指紋データの登録動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態における、指紋データの登録のために指のスキャンニングを求める表示画像例を示す説明図である。
【図5】第1の実施形態における外部機器からの指紋データ転送による登録動作を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における指紋データを用いたユーザ認証動作を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態における、指紋認証のために指のスキャンニングを求める表示画像例を示す説明図である。
【図8】第2の実施形態に係るパスワード管理機器の電気的な機能構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態における外部機器からパスワード管理装置へパスワードを転送登録する際の手順を示す手順フロー図である。
【図10】第2の実施形態における外部機器で作成した、登録するパスワードを含む表形式データを示す説明図である。
【図11】第2の実施形態におけるパスワード管理装置へのパスワードの追加登録動作を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態における登録パスワードの閲覧動作を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施形態の登録パスワードの閲覧時における十字キーの操作と表示内容の変化との関係例を示す説明図である。
【図14】第3の実施形態における指紋データを用いたユーザ認証動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0120】
10…携帯機器、10A…パスワード管理装置、11…表示部、12…十字キー、13…指紋読取部、14…電源スイッチ、15…USBドライバ部、16…制御部、17…指紋データ記憶部、18…ガイダンス画像記憶部、19…パスワード記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、右利き及び左利きの双方に適切応じられる携帯機器に関する。また、本発明は、そのような携帯機器に適用可能な指データ認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、手のひらサイズ情報認証装置、電子手帳など、ユーザの操作を伴う携帯機器が多く存在する。例えば、携帯電話は、電話本体を利き手で把持した状態で利き手で操作することが可能であるが、多くの携帯機器では、利き手でない方の手で機器本体を把持し、利き手で操作するようになされている。世の中には右利きの人が多いため、左利きの人には不便な装置である。
【0003】
そのため、ユーザが右利きか左利きかを判別し、その判別結果に応じた利き手用の装置に可変できる携帯機器も提案されている。特許文献1に記載の携帯端末装置は、利き手でない方の手で把持部を握った際に親指が位置する近傍に右利き判定スイッチ及び左利き判定スイッチを設け、右利き判定スイッチ及び左利き判定スイッチのいずれが操作されたかで利き手を判別し、利き手に応じて、タッチパネルに表示する画像の天地左右(この明細書では、天地の地がユーザ寄りの手前側で、天地の天が奥側を表している)を制御するものである。
【特許文献1】特開2000−322386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、右利き判定スイッチ及び左利き判定スイッチを設ける位置が把持部を握った際に親指が位置する近傍に限定され、設計の自由度を狭めるものとなっている。
【0005】
また、利き手判定のために、2つのスイッチを設けなければならず、しかも、これらスイッチは他の機能に利用し難いものとなっている。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、利き手判定構成に割かれる占有面積が小さく、しかも、その利き手判定構成を他の機能にも適用可能な携帯機器を提供しようとしたものであり、また、そのような携帯機器に適用して好適な指データ認証装置を提供しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、指紋データ若しくは指静脈パターンデータが該当する指データを得て認証する指データ認証装置であって、(1)指の相対的な移動方向を横切る方向に伸びていて、各時刻におけるラインデータを逐次得る少なくとも2つのラインセンサを備えた指データセンサと、(2)上記指データセンサの出力に基づいて、認証用又は登録用の上記指データを作成する指データ作成部と、(3)予め登録されている登録用の指データと、上記指データ作成部が作成した認証用の指データとが合致するか否かを判別する指データ認証部と、(4)少なくとも2つの上記ラインセンサにおけるラインデータを比較し、指の相対的な移動方向を決定する指移動方向決定部とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明は、第1の本発明の指データ認証装置を備え、上記指データ認証装置における上記指データセンサが天地方向と直交する方向の中央部以外に配置されている携帯機器であって、上記指データ認証装置の指移動方向決定部が決定した指の相対的な移動方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部を有することを特徴とする。
【0009】
第3の本発明の携帯機器は、(1)かざされた指の指紋データ若しくは指静脈パターンデータを得る、天地方向と直交する方向の中央部以外に配置されている指データセンサと、(2)上記指データセンサの出力に基づいて、認証用又は登録用の上記指データを作成する指データ作成部と、(3)予め登録されている登録用の指データと、上記指データ作成部が作成した認証用の指データとが合致するか否かを判別する指データ認証部と、(4)上記指データセンサが得た指データに基づいて、指元から指先への方向を決定する指先方向決定部と、(5)上記指先方向決定部が決定した指先方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部とを有することを特徴とする。
【0010】
第4の本発明は、複数のユーザが使用する携帯機器であって、(1)上記各ユーザの指紋データ若しくは指静脈パターンデータが該当する指データを登録している指データ記憶部と、(2)上記各ユーザが当該携帯機器を使用する際の天地方向を記憶している天地方向記憶部と、(3)認証のために使用ユーザの指データを得る指データ読取部と、(4)上記指データ記憶部に記憶されている登録用の指データと、上記指データ読取部が得た指データとを照合し、合致するユーザを特定し、上記天地方向記憶部から、合致ユーザの天地方向を取り出して、現在の使用ユーザから見た当該携帯機器の天地方向を決定する現天地方向決定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1〜第3の本発明の指データ認証装置及び携帯機器によれば、認証用の指データセンサからの出力に基づいて、指の移動方向若しくは指が向けられている指先方向を得て、携帯機器の天地方向を決定することができ、その結果、特別な構成によらずに、ユーザの利き手に応じた表示などを実行させることができる。
【0012】
また、第4の本発明の携帯機器によれば、複数のユーザが使用可能であっても、特別な構成によらずに、現時点の使用ユーザに適した携帯機器の天地方向を決定でき、その結果、ユーザの利き手に応じた表示などを実行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による指データ認証装置及び携帯機器の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
第1の実施形態の指データ認証装置は、利き手判定機能が付いた指紋認証装置であり、第1の実施形態に係る携帯機器に適用されている。
【0015】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る携帯機器の電気的な機能構成を示すブロック図であり、図2は、第1の実施形態に係る携帯機器の概略表面を示す平面図である。図2(A)は、右利きのユーザが操作する際の天地方向で携帯機器を示しており、図2(B)は、左利きのユーザが操作する際の天地方向で携帯機器を示している。
【0016】
図2において、第1の実施形態に係る携帯機器10の表面には、表示部11の表示面11a、十字キー12及び指紋センサ13が設けられている。また、図2(A)に示す天地状態における右側面には電源スイッチ14が設けられ、左側面にはUSBコネクタ15aが設けられている。
【0017】
多くの右利きのユーザは、十字キー12及び指紋センサ13を、図2(A)に示すような右側に配置した状態で操作するのを好むと考えられ、多くの左利きのユーザは、十字キー12及び指紋センサ13を図2(B)に示すような左側に配置した状態(図2(A)の状態を180度だけ回転させた状態で)で操作するのを好むと考えられる。第1の実施形態の携帯機器10は、ユーザが右利きか左利きかに応じて、装置の天地を逆転できるものとなっている。以下では、右利きユーザ用の天地方向を右天地方向と呼び、左利きユーザ用の天地方向を左天地方向と呼ぶ。
【0018】
この第1の実施形態の場合、十字キー12及び指紋センサ13は、携帯機器10の左右方向の中心より左右方向にずれた位置に配置されていることが好ましい。
【0019】
第1の実施形態の携帯機器10は、電気的には、図1に示すように、上述した表示部11、十字キー12、指紋センサ13、電源スイッチ14及びUSBコネクタ15aに加え、USBドライバ部15、制御部16、指紋データ記憶部17及びガイダンス画像記憶部18などを備える。図1では省略しているが、その他に、電池などの電源部が設けられており、また、当該携帯機器10が担っている機能を実現するための構成なども必要に応じて設けられている。
【0020】
表示部11は、例えば、液晶ディスプレイでなり、後述する制御部16の制御下で、ガイダンス画像などを表示するものである。第1の実施形態の場合、後述する利き手判定で右利きと判定されたユーザに対しては、表示部11には右天地方向の画像が表示され、利き手判定で左利きと判定されたユーザに対しては、表示部11には左天地方向の画像が表示される。なお、利き手判定が実行される前では、表示部11には、右利きユーザ及び左利きユーザに差がでない画像が表示される(後述する図4参照)。
【0021】
十字キー12は、表示部11上の表示画像におけるカーソルの移動などを指示するものである。この第1の実施形態の場合、十字キー12は、センターにエンターキーを備えないものである(センターにエンターキーを備えた十字キーを適用したものは本発明の他の実施形態となる)。表示部11には右天地方向の画像が表示されている場合と、表示部11には左天地方向の画像が表示されている場合とでは、制御部16の制御下で、十字キー12における各方向のキーの指示方向が変化するようになされている。例えば、右方向に向かっている矢印キー12aは、図2に示す右天地方向の状態においてはカーソルの右移動を指示し、逆に、左天地方向の状態においてはカーソルの左移動を指示するものである。
【0022】
指紋センサ13は、例えば、1チップ化されたスウィープ型の指紋センサが該当するものであり(例えば、富士通株式会社の指紋センサ「MBF300」、「MBF310」参照)、指紋の読取画像データ(以下、指紋データと呼ぶ)を出力するものである。指紋センサ13は、第1には(基本的には)、制御部16との協働により、ユーザの指紋データに基づいた指紋認証を実行させるものである。指紋センサ13は、第2には、ユーザの指紋データを得る際の指の相対的な移動方向を制御部16に与え、制御部16によって、ユーザの利き手を判定させるものである。指紋センサ13は、第3には、制御部16と協働して、利き手判定後には、かざされた指の停止期間に基づいたエンター(実行)の指示を行うものである。第3の機能は、エンターキーの代替要素としての機能である。
【0023】
指紋センサ13は、上述した第1の指紋認証機能、第2の指の移動方向の把握機能、第3の指停止時間の把握機能に対応できるものであれば、どのような形式のものであっても良い。
【0024】
上記では、指紋データなどを得る構成(指紋センサ13)と、指紋データなどを処理する構成(制御部16)とが別個のものを示したが、これら構成を合体させて1構成要素(例えばチップやボード)として実現するようにしても良い。
【0025】
また、指紋センサ13として、ラインセンサの出力をそのまま出力する形式のものを適用しても良く、この場合には、制御部16の処理によって、ラインセンサ出力から、指紋データやスキャン方向の情報を得ることになる。
【0026】
例えば、ラインセンサを2ライン分以上利用し、指紋データを得ると共に、指の移動方向を把握する方法としては、特開2002−216116号公報や特開2003−248820号公報に記載のものを適用することができる。
【0027】
所定距離(例えば1mm)だけ離間した2ラインセンサで同じデータがどちらのラインセンサで先に現れたかに基づいて移動方向を把握する。すなわち、各ラインセンサからの各時刻毎の特徴データに対し、時刻の紐付けを行ってバッファメモリに記憶させ、一方のラインセンサのある時刻の特徴データと、同じ特徴データが他方のラインセンサで得られた時刻を認識し、同じデータがどちらのラインセンサで先に現れたかを捉えるようにする。また、同じデータが2ラインセンサに現れる時間差に基づいて、各時点での指の移動速度を捕らえて、読取ったラインデータから移動速度の変動の影響を排除した指紋データを構築する。指紋データは、一方のラインセンサの出力から構築しても良く、2つのラインセンサの出力から構築しても良い。後者の場合、それぞれで構築した指紋データを平均化させたものを最終的な指紋データとするようにしても良い。
【0028】
また、指をかざしているときに生じている有効なデータ(背景でのデータ以外)が先に生じなくなったラインセンサを天地における天側のラインセンサと捉えて、指の移動方向を判定するようにしても良い。
【0029】
さらに、少なくとも一方のラインセンサからのデータが変化しない時間に基づいて、指が停止されている期間を把握することができる。
【0030】
電源スイッチ14は、当該携帯機器10の主電源をオンオフするものである。主電源の他に、メモリの記憶データの消失などを防ぐための電源を供給する補助電源が設けられているものであっても良い。
【0031】
USBコネクタ15aは、他の機器のUSBコネクタが直接接続されたり、USBケーブルが接続されたりするものである。USBドライバ部15は、USBコネクタ15aに直接又はケーブルを介して接続されている他の機器とのUSB規格に従ったデータ転送を実行させるものである。他の機器としては、例えば、パソコンなどの当該携帯機器10より高機能又は多機能のものを挙げることができる。第1の実施形態の場合、後述するように、当該携帯機器10への指紋データの登録を、他の機器から指紋データを転送させることによって実行することもできる。
【0032】
制御部16は、例えば、CPU、ROM、RAMなどのハードウェアや、CPUが実行するプログラムが該当し、当該携帯機器10の全体を制御するものである。制御部16は、後述する図3、図5、図6のフローチャートに示すような動作を実現するように各部を制御する。なお、図3、図5、図6は、制御部16が有するプログラム16a、16b、16cの概略を記述していると見ることができる。制御部16による制御については、後述する動作説明で明らかにする。
【0033】
指紋データ記憶部17は、例えば、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリや、SRAMなどが該当し、制御部16による制御下で、当該携帯機器10を操作し得るユーザの指紋データを記憶しているものであり、さらに、表示方向や十字キー12の認識方法などを記憶しているものである。後述する第3の実施形態とは異なり、この第1の実施形態は、指紋データは1人のユーザについてのものだけを登録できるものである。
【0034】
ガイダンス画像記憶部18は、ユーザに操作方法を教えたり、ユーザが要求した内容を教えたりするためのガイダンス画像を記憶しているものである。制御部16は、処理段階などに従って、所望するガイダンス画像をガイダンス画像記憶部18から読み出して表示部11に表示させるものである。
【0035】
この第1の実施形態では、右天地方向に沿うようにガイダンス画像が表示されることもあれば、左天地方向に沿うようにガイダンス画像が表示されることもあり得る。右天地方向に沿うガイダンス画像と、左天地方向に沿うガイダンス画像とを別個にガイダンス画像記憶部18に記憶させて双方向に対応できるようにしても良く、利き手人数が多い右天地方向に沿うガイダンス画像をガイダンス画像記憶部18に記憶させ、右天地方向に沿うガイダンス画像の表示時にはガイダンス画像記憶部18から読み出したものをそのまま表示部11に与え、左天地方向に沿うガイダンス画像の表示時にはガイダンス画像記憶部18から読み出したものを180度だけ回転させた後に表示部11に与えるようにしても良い。
【0036】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る携帯機器10の動作を説明する。以下では、当該携帯機器10の指紋読取による指紋データの登録動作、外部機器からの指紋データ転送による登録動作、指紋データを用いるユーザ認証動作(指紋認証動作)の順に、動作を説明する。
【0037】
(A−2−1)携帯機器10の指紋読取による指紋データの登録動作
制御部16は、電源スイッチ14がオン操作されると、図3に示す処理(プログラム16a)を開始する。
【0038】
そしてまず、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認する(ステップS100)。この確認は、例えば、制御部16内で保持する指紋データ有無フラグの値を認識して捉えるものであっても良く、または、フラグを利用することなく、指紋データ記憶部17をアクセスして指紋データが記憶されているか否かを判別して行うものであっても良い。
【0039】
指紋データが登録されている場合には、後述する図6に示す処理(プログラム16c)に移行する。
【0040】
これに対して、指紋データが登録されていない場合には、制御部16は、指紋センサ13を起動し(ステップS101)、表示部11に指紋をスキャンニングさせることを求める表示を行い(ステップS102)、ユーザが指紋センサ13に指紋をスキャンすることで指紋センサ13が得た指紋データ及びスキャン方向を指紋センサ13から得る(ステップS103)。
【0041】
図4は、ユーザに対して、指のスキャンニングを求める表示画像例を示す説明図である。この表示時には、ユーザが右利きか左利きかを判定できていないので、利き手を問わないガイダンス画像を表示する。図4(A)に示すガイダンス画像の例は、右天地方向に携帯機器10が把持されている場合に読み易い文字列CHARと、左天地方向に携帯機器10が把持されている場合に読み易い文字列CHALとを共に含むものである。図4(B)に示すガイダンス画像の例は、右天地方向及び左天地方向の双方に直交する方向に記載されている文字列CHACを含むものである。
【0042】
制御部16は、指紋センサ13から指紋データ及びスキャン方向の情報が与えられると、画像の表示方向及び十字キー12の指示をどのように認識するかを決定し(ステップS104)、指紋センサ13から与えられた指紋データと決定内容とを指紋データ記憶部17に記憶(登録)させる(ステップS105)。指紋データ有無フラグを利用する場合であれば、制御部16は、この際に、内蔵するフラグの値を指紋データがある場合の値に更新する。
【0043】
例えば、図2(A)に示した右天地方向における天から地へ指紋センサ13がスキャンニングされた場合には(右利きの人がスキャンした場合と考えられる)、右天地方向で見やすい方向に表示方向を決定すると共に、十字キー12における各方向への矢印キー12a〜12dは右天地方向で指示している方向への移動を指示しているものと設定する。また例えば、図2(B)に示した左天地方向における天から地へ指紋センサ13がスキャンニングされた場合には(左利きの人がスキャンした場合と考えられる)、左天地方向で見やすい方向に表示方向を決定すると共に、十字キー12における各方向への矢印キー12a〜12dは左天地方向で指示している方向への移動を指示しているものと設定する。
【0044】
その後、制御部16は、当該携帯機器10が実行する基本機能に係る画像(例えば、メニュー画像)を表示方向に従って表示させ、通常動作に移行させる。例えば、当該電子機器10が、電卓機能や、メモ機能や、カレンダー機能や、時計機能などに対応できるものであれば、「電卓」、「メモ」、「カレンダー」、「時計」などの選択肢を含むメニュー画像を表示させる。
【0045】
(A−2−2)外部機器からの指紋データ転送による登録動作
制御部16は、USBコネクタ15bに対して、外部機器とつながっているUSBコネクタが接続されたことを、USBドライバ部15から通知されると、図5に示す処理(プログラム16b)を開始する。なお、電源スイッチ14がオンされたときに、USBコネクタ15bに対して外部機器とつながっているUSBコネクタが接続されている場合にも、図5に示す処理を開始する。
【0046】
そして、制御部16は、外部機器が送出したデータを取り込み(ステップS151)、その受信データの指示内容を判別し(ステップS152)、判別結果に応じた指紋データの編集動作を実行する(ステップS153)。
【0047】
第1の実施形態では、当該携帯機器10の指紋データに対する編集動作を、パソコンなどからのUSBインタフェースを介したデータ転送により指示できるようになされている。制御部16は、指紋データを削除する指示内容が与えられたときには、指紋データ記憶部17の記憶データをクリアする。また、制御部16は、指紋データを変更する指示内容(新たな指紋データや表示方向などを含む)が与えられたときには、指紋データ記憶部17の記憶データを、新たに受信したデータに置き換える。
【0048】
制御部16は、指紋データの編集動作が終了すると、例えば、USBコネクタ15bに対する接続がなされる前の状態に復帰する。但し、指紋データなどが変更され、表示方向が切り替わったような場合には、復帰画像は切り替わった表示画像に応じたものにする。
【0049】
(A−2−3)指紋データを用いたユーザ認証動作
電源スイッチ14がオン操作されて、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認した際に(図3のステップS100参照)、指紋データが登録されているという結果が得られたときには、図6に示す処理(プログラム16c)に移行する。
【0050】
この移行により、制御部16は、指紋センサ13を起動し(ステップS200)、指紋データ記憶部17に記憶されている表示方向に従った、指紋のスキャンニング(指の移動)を求めるガイダンス画像を表示させ(ステップS201)、ユーザが指紋センサ13に指紋をスキャンすることで指紋センサ13が得た指紋データを得る(ステップS202)。図7は、表示方向に従った指紋のスキャンニングを求めるガイダンス画像の一例を示す説明図である。上述した図4に示すスキャンニングを求める画像は、スキャン方向の判別前であるので、右天地方向及び左天地方向の双方に対応できるものであったが、この表示画像は表示方向が定まっているのでその方向だけに対応するものとなっている。
【0051】
制御部16は、今回得られた指紋データと、指紋データ記憶部17に記憶されている指紋データとを照合する、ユーザ認証を行う(ステップS203)。
【0052】
両指紋データが合致せず、認証できない場合には、制御部16は、認証できない場合の処理を実行する(ステップS204)。例えば、認証できない旨と再スキャンニングを要求する画像を表示させ、2回目でも認証できない場合には、2回目でも認証できない旨を所定時間だけ表示させた後、電源を強制的に遮断する。
【0053】
両指紋データが合致して認証できた場合には、制御部16は、当該携帯機器10が実行する基本機能に係る画像(例えば、メニュー画像)を表示方向に従って表示させ、通常動作に移行させる。
【0054】
認証後の動作は、ユーザの操作に応じた処理を実行する。この場合において、ユーザは十字キー12でカーソルが指示する選択肢を切り替え、また、指紋センサ13に触れた指を所定時間以上、動かさないことでエンターを指示する。制御部16は、十字キー12の指示方向を、指紋データ記憶部17に記憶されている内容に応じて認識する。また、処理時に、文字列入力が必要になったときには、表示部11に文字一覧などを表示させ、文字の選択やかな漢字変換の指示などを実行させて文字列を入力させる。
【0055】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、指紋認証に適用する指紋センサに対するスキャンニング方向を捉え(ユーザの利き手を判定し)、画像の表示方向や十字キーの指示方向を切り替えるようにしたので、利き手判定の専用構成を不要とすることができ、しかも、利き手に応じた天地方向に携帯機器を向けた状態でユーザは操作などを実行することができる。
【0056】
また、第1の実施形態では、指紋センサをエンターキーの代わりにも適用しているので、機器の小型化を図ることができる。
【0057】
(A−4)第1の実施形態の変形実施形態
上述した第1の実施形態の変形実施形態としては、以下に例示するようなものを挙げることができる。
【0058】
上記説明では、指紋データの登録時におけるスキャンニング回数が1回であるものを示したが、所定回数(例えば、2回)のスキャンニングを実行させ、各回の指紋データが合致することを持ってデータの登録を行うようにしても良い。
【0059】
また、上記説明では、登録する指紋データが1データであるものを示したが、複数の指紋データ(例えば、異なる指の指紋データ)の登録を認めるようにしても良い。この場合において、登録している複数の指紋データのいずれかに、認証のために得た指紋データが合致していれば認証OKとするようにしても良く、指紋認証時に複数の指紋データと合致する指紋データの全てを読取ったことを認証OKの条件とするようにしても良い。
【0060】
さらに、上記説明では、エンターキーの機能を指紋センサが担うものを示したが、これに代え、電源スイッチ14がエンターキーの機能を担うようにしても良い。例えば、操作時間が第1の閾値時間より長いことを電源のオン又はオフへの切り替えと捉え、操作時間が第2の閾値時間より長く第1の閾値時間以下であればエンターキーの操作と捉え、操作時間が第2の閾値以下であれば操作を無視するようにすれば良い。
【0061】
さらにまた、上記説明では、カーソルの移動を十字キー12が指示するものを示したが、これに代え、認証OK後においては、指紋センサ13にカーソルの移動指示キーとしての機能を担当させるようにしても良い。例えば、携帯機器10の現在の天地方向において、指紋センサ13に対して指で右移動になぞられた場合は右移動が指示され、指紋センサ13に対して指で左移動になぞられた場合は右移動が指示され、指紋センサ13に対して指で上移動になぞられた場合は上移動が指示され、指紋センサ13に対して指で下移動になぞられた場合は下移動が指示されたと捉えるようにしても良い。上移動や下移動の認識は、上述したスキャン方向の把握動作と同様な方法による。左右の移動は、指が触れられていないラインセンサの画素数の変化で認識することができる。また、特開2004−272458号公報に記載の指の回転や移動量を検出する方法を移動方向の認識に利用することができる。
【0062】
上記説明では、表示部11が単に表示するものであったが、表示部11及び十字キー12に代えてタッチパネルを適用するようにしても良い。また、タッチパネルを適用しない場合であっても、十字キー12に代えて、又は、十字キー12に加えてテンキーなどを設けるようにしても良い。
【0063】
また、上記説明では、指紋認証時に指紋データだけを利用するものを示したが、スキャン方向も認証に利用するようにしても良い。例えば、まずスキャン方向が合致するか判定し、スキャン方向が合致しなければ認証NGとし、スキャン方向が合致したときに、指紋データが合致するか否かを判定するようにしても良い。
【0064】
さらに、上記説明では、スウィープ型の指紋センサを適用したものを示したが、指を移動させずに指紋データを得る非スウィープ型の指紋センサを適用するようにしても良い。この場合、指紋データから指の向きを捉えて(すなわち、利き手判定して)、表示方向の制御を行うようにすれば良い。指紋データから指の向きを捉える方法としては、例えば、特開平8−279039号公報に記載の方法を適用することができる。
【0065】
さらにまた、上記説明では、指紋データの登録時に表示方向などを決定して設定するものを示したが、登録時には指紋データだけを記憶させ、認証のためのスキャン時に表示方向などを決定して設定するようにしても良い。
【0066】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による指データ認証装置及び携帯機器の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。第2の実施形態の携帯機器は、複数のパスワードを管理、記憶するパスワード管理装置である。第2の実施形態の指データ認証装置は、第2の実施形態に係るパスワード管理装置に適用されている。
【0067】
今日では、1ユーザは多くのパスワードを所有している。例えば、各種金融機関に届けたパスワードや、インターネットその他のネットワークの各種サービスを受けるためのパスワードや、入退室時のパスワード、パソコンなどを立ち上げる際のパスワードなどを所有する。全てのパスワードに同一のパスワードを適用した場合には、セキュリティ面で不安があるため、異なるパスワードを適用することもある。また、用途などによって、パスワードとして許容されている文字数や文字種が異なることも多い。第2の実施形態に係るパスワード管理装置は、ユーザの備忘に備えて複数のパスワードを管理、記憶するものである。
【0068】
この明細書における用語「パスワード」は、パスワードや暗証番号として指示したものだけでなく、装置やシステムが割り振ったIDなどを含むものである。パスワード管理装置から見れば、記憶された文字列がパスワード、暗証番号、IDなどのいずれに該当するかを区別できないものである。
【0069】
(B−1)第2の実施形態の構成
図8は、第2の実施形態に係るパスワード管理装置の電気的な機能構成を示すブロック図であり、第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0070】
図8において、第2の実施形態に係るパスワード管理装置10Aは、表示部11、十字キー12、指紋センサ13、電源スイッチ14、USBドライバ部15、USBコネクタ15a、制御部16、指紋データ記憶部17及びガイダンス画像記憶部18に加え、パスワード記憶部19を有する。
【0071】
パスワード記憶部19は、登録されたパスワードを記憶しているものである。この第2の実施形態の場合、複数のパスワードをグループ化若しくは階層化して記憶している。例えば、グループとして、「金融機関」、「ネットショッピング」、「プロバイダ」、「入退室」、「パソコン」、「その他」などを設ける。また、全て又は一部のグループにサブグループを設ける。例えば、「金融機関」のサブグループとして「銀行」、「証券会社」などを設ける。すなわち、パスワード記憶部19へのパスワード登録や登録パスワードの読出しは、階層をたどっていくことで行う。
【0072】
(B−2)第2の実施形態の動作
この第2の実施形態における指紋データの登録動作は、第1の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0073】
(B−2−1)パスワードの外部機器からの転送一括登録
第2の実施形態の場合、パスワードを外部機器(以下では、パソコンとする)から、パスワード管理装置10Aに登録させることができる。以下、この場合の処理の流れを、図9の手順フローを参照しながら説明する。
【0074】
ユーザは、パソコンを用いて、既存の表計算ソフト(例えば、Microsoft Excel(登録商標))を用いて、図10に示すような登録するパスワードを含む表形式のデータを作成する(ステップS250)。1レコードは、サブグループ名(サブグループが存在しない場合にはグループ名)、登録対象を区別する任意の文字列(以下、登録対象名と呼ぶ)、1又は2個のパスワードでなる。図10に示すように、1つの登録対象に関し、最大2個のパスワードを含めることができる。2個のパスワードとして、例えば、パスワードそのものと、IDとを含めることができる。
【0075】
次に、ユーザは、作成した表形式データを転送可能なファイル(例えばCSV形式のファイル)として、パソコン上に保存させる(ステップS251)。ここで、ファイル名には、パスワード管理装置10Aがパスワードの登録を開始する予め定められた拡張子若しくは文字列を盛り込んでおく。
【0076】
その後、ユーザは、保存ファイルを、USBインタフェースを介してパスワード管理装置10Aに転送する(ステップS252)。なお、パスワード管理装置10AのUSBコネクタ15aに対する接続行為がなされた際に、誤った登録や不正な登録を防止すべく指紋認証を実行させるようにしても良い。
【0077】
パスワード管理装置10Aの制御部16は、USBドライバ部15から、パスワード登録に係る転送ファイルが与えられたときには、各レコードのサブグループ名(若しくはグループ名)を認識し、パスワード記憶部19におけるそのサブグループの最後尾に、受信した登録対象名及びパスワードを追加登録する(ステップS253)。
【0078】
以上では、パソコンからのデータ転送によるパスワードの追加登録の場合を説明したが、パソコンからのデータ転送によって、パスワードを変更させたり削除させたりするようにしても良い。パスワードの変更の場合には、変更前後のパスワードに係る情報を含む変更指示ファイルを転送すれば良い。また、パスワードの削除の場合には、削除するパスワードに係る情報を含む削除指示ファイルを転送すれば良い。
【0079】
(B−2−2)パスワードの個別登録
第2の実施形態の場合、パスワードを、パスワード管理装置10Aに追加登録させることができる。
【0080】
制御部16は、電源スイッチ14がオン操作されると、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認し、登録されている場合には指紋認証させる(第1の実施形態参照)。ここで、認証OKになると、「パスワード登録」、「パスワード閲覧」、「パスワード削除」などの選択肢を含む画像を、決定されている表示方向(右天地方向又は左天地方向)で表示させ、ユーザの選択を待ち受ける。
【0081】
「パスワード登録」が選択されると、制御部16は、図11に示すサブルーチン処理を開始する。なお、図11に示すサブルーチン処理は、例えば、プログラムとして制御部16にインストールされている。
【0082】
制御部16は、図11に示す処理を開始すると、登録に係るグループ名及びサブグループ名を指定させる(ステップS300)。グループ名やサブグループ名を選択肢として含む画像を表示させ、十字キー12の操作に応じてカーソルを移動させ、指紋センサ13に対するエンター操作がなされたときにカーソルが位置していた選択肢に係るグループ名及びサブグループ名が指定されたものとして取り込む。
【0083】
次に、制御部16は、ユーザから登録対象名を取り込む(ステップS301)。例えば、表示部11にスクロール可能に文字一覧などを表示させ、文字の選択やかな漢字変換の指示などを実行させて登録対象名を入力させる。
【0084】
次に、制御部16は、ユーザからパスワードを取り込む(ステップS302)。例えば、この場合も、表示部11にスクロール可能に文字一覧などを表示させ、文字の選択やかな漢字変換の指示などを実行させてパスワードを入力させる。1番目のパスワードが入力された状態でエンター操作がなされたときには、2番目のパスワードを入力するか否かを問う画像を表示させ、2番目のパスワードを入力しない場合には1番目のパスワードだけを登録することに認識し、2番目のパスワードの入力の意思表示があって2番目のパスワードを取り込んだ場合には1番目及び2番目のパスワードを登録することと認識する。
【0085】
制御部16は、パスワード記憶部19における指定されたサブグループ(若しくはグループ)の最後尾に、入力された登録対象名及びパスワードを追加登録する(ステップS303)。
【0086】
以上では、パスワードの追加登録の場合を説明したが、ほぼ同様な編集動作によって登録パスワードを変更又は削除させるようにしても良い。変更動作及び削除動作については、その説明を省略する。
【0087】
(B−2−3)登録パスワードの閲覧
次に、登録パスワードのうち、所望するパスワードをユーザが閲覧する際の動作を説明する。
【0088】
上述したように、制御部16は、電源スイッチ14がオン操作されると、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認し、登録されている場合には指紋認証させる(第1の実施形態参照)。ここで、認証OKになると、「パスワード登録」、「パスワード閲覧」、「パスワード削除」などの選択肢を含む画像を、決定されている表示方向(右天地方向又は左天地方向)で表示させ、ユーザの選択を待ち受ける。
【0089】
「パスワード閲覧」が選択されると、制御部16は、図12に示すサブルーチン処理を開始する。なお、図12に示すサブルーチン処理は、例えば、プログラムとして制御部16にインストールされている。
【0090】
制御部16は、図12に示す処理を開始すると、ある1つの登録対象名だけを表示部11に表示させる(ステップS350)。
【0091】
その後、十字キー12のいずれかの方向への移動キー、若しくは、エンターキー(指紋センサ13)が操作されたかを判別する(ステップS351)。十字キー12におけるいずれかの方向への移動キーが操作された場合には、その移動先に応じた、登録対象名、1番目の登録パスワード又は2番目の登録パスワードに表示を切り替える(ステップS352)。エンターキー(指紋センサ13)が操作された場合には、閲覧動作を終了させる(ステップS353)。閲覧動作を終了させた際には、例えば、「パスワード登録」、「パスワード閲覧」、「パスワード削除」などの選択肢を含む画像を表示させる。
【0092】
図13は、十字キー12の操作と表示内容の変化との関係例(ステップS352参照)を示す説明図である。
【0093】
登録対象名が表示されている状態における上下の移動キーの操作は、前の登録対象名又は次の登録対象名への切替えを指示する。登録対象名が表示されている状態における右移動キーの操作は、1番目の登録パスワードへの切替えを指示する。登録対象名が表示されている状態における左移動キーの操作は無視される。
【0094】
なお、下移動キーの操作による登録対象名の順方向の変化順序は以下の通りである。第1グループの第1サブグループの第1番目の登録対象名を初期表示させる(該当するものがなければ最も若番の該当するものを表示)。その後、第1サブグループの第2番目、第3番目、…の登録対象名に切り替える。第1サブグループの最終番目の登録対象名からは、第1グループの第2サブグループの第1番目の登録対象名に切り替える。以下、同様に、サブグループ間での切替えを行う。第1グループの最終サブグループの最終番目の登録対象名からは、第2グループの第1サブグループの第1番目の登録対象名に切り替える。以下、同様な切替えを実行する。上移動キーの操作による登録対象名の逆方向の変化順序は、上述した順方向の切替えの逆順である。
【0095】
1番目の登録パスワードが表示されている状態における上下の移動キーの操作は無視される。1番目の登録パスワードが表示されている状態における右移動キーの操作は、2番目の登録パスワードがあれば2番目の登録パスワードへの切替えを指示し、2番目の登録パスワードがなければ次の登録対象名への切替えを指示する。1番目の登録パスワードが表示されている状態における左移動キーの操作は、当該パスワードの登録対象名への切替えを指示する。
【0096】
2番目の登録パスワードが表示されている状態における上下の移動キーの操作は無視される。2番目の登録パスワードが表示されている状態における右移動キーの操作は、次の登録対象名への切替えを指示する。2番目の登録パスワードが表示されている状態における左移動キーの操作は、1番目の登録パスワードへの切替えを指示する。
【0097】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によっても、指紋認証に適用する指紋センサに対するスキャンニング方向を捉え(ユーザの利き手を判定し)、画像の表示方向や十字キーの指示方向を切り替えるようにしたので、利き手判定の専用構成を不要とすることができ、しかも、利き手に応じた天地方向にパスワード管理装置を向けた状態でユーザは操作などを実行することができ、また、指紋センサをエンターキーの代わりにも適用しているので、パスワード管理装置の小型化を図ることができる。
【0098】
第2の実施形態に係るパスワード管理装置が管理しているパスワードは秘匿性が高く、セキュリティが問題となるので、認証が重要である。一方、装置としては、多数のパスワードを記憶させるとしても必要な記憶容量が小さく、小形で安価であることが望ましく、しかも、盗み見を防止する観点から操作性が高いことが望ましいものである。上述したような指紋センサに複数の機能を持たせたことは、セキュリティが高いことを保証しつつ、装置の小形、低廉化を達成し、しかも十分な操作性を確保している。
【0099】
(B−4)第2の実施形態の変形実施形態
上述した第1の実施形態の変形実施形態の中で、第2の実施形態の変形実施形態となり得るものは、適宜変形実施形態として適用すれば良い。
【0100】
上記説明では、1つの登録対象名に対するパスワードを2つまで登録できるものを示したが、1つ又は3つ以上登録し得るようにしても良い。
【0101】
また、上記説明では、パスワードを、外部機器からの転送によっても、当該パスワード管理装置への入力によっても登録できるものを示したが、一方の方法だけで登録できるようにしても良い。
【0102】
さらに、上記説明では、どの登録対象名のパスワードでも、指紋認証のOKを条件として閲覧できるものを示したが、指紋認証を条件とすることなく、閲覧可能な登録対象を認めるようにしても良い。例えば、指紋認証を条件としているか否かを示すフラグを登録動作で設定し、そのフラグの値に応じて、指紋認証が閲覧の条件となっているか否かを判別するようにしても良い。
【0103】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による指データ認証装置及び携帯機器の第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。第3の実施形態の携帯機器は、複数のユーザが共用する携帯機器である。例えば、日時によって利用する、営業部の人間が変化するような携帯機器が該当する。
【0104】
第3の実施形態に係る携帯機器も、その電気的な機能構成は、第1の実施形態に係る図1で表すことができる。
【0105】
しかしながら、以下の点が第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態の場合、指紋データ記憶部17には1ユーザの指紋データや表示方向などの情報しか登録できないものであったが、この第3の実施形態の場合、指紋データ記憶部17には、複数のユーザの指紋データや表示方向などの情報を登録することができる。ここで、登録動作は第1の実施形態と同様である。但し、第1の実施形態では、追加登録を認めないものであったが、この第3の実施形態の場合、追加登録を認めるようにしておけば良い。なお、指紋データの登録時に、ユーザ氏名などを入力させるようにしても良く、また、ユーザ氏名などの入力を不要とするようにしても良い。
【0106】
第3の実施形態の携帯機器は、複数のユーザが共用する機器であるため、指紋認証時の動作も第1の実施形態とは異なっている。以下、図14を参照しながら、第3の実施形態の携帯機器における指紋認証時の動作を説明する。ここで、図14は、第1の実施形態に係る図6に対応する図面(フローチャート)である。
【0107】
電源スイッチ14がオン操作されて、ユーザの指紋データが登録されているか否かを確認した際に(図3のステップS100参照)、指紋データが登録されているという結果が得られたときには、図14に示す処理に移行する。
【0108】
この移行により、制御部16は、指紋センサ13を起動し(ステップS400)、指紋のスキャンニング(指の移動)を求めるガイダンス画像を表示させ(ステップS401)、ユーザが指紋センサ13に指をスキャンすることで指紋センサ13が得た指紋データを得る(ステップS402)。第1の実施形態とは異なり、どのユーザが使用しているのが不明であるので、ステップS401で表示される指紋のスキャンニングを求めるガイダンス画像は、上述した図4に示したような右天地方向及び左天地方向の双方に対応できるものとする。
【0109】
制御部16は、指紋データ記憶部17に記憶されている複数の指紋データの中に、今回得られた指紋データと合致するものが存在するかを判別する(ステップS403)。この判別は、ユーザ認証動作と利き手判別動作とを兼ねたものとなっている。
【0110】
指紋データ記憶部17に記憶されているいずれの指紋データにも、今回得られた指紋データが合致しない場合には、制御部16は、認証できない場合の処理を実行する(ステップS404)。
【0111】
制御部16は、指紋データ記憶部17に記憶されている複数の指紋データの中に、今回得られた指紋データと合致するものが存在すれば、指紋データ記憶部17に記憶されている決定された表示方向の情報を取り出し(ステップS405)、当該携帯機器10が実行する基本機能に係る画像(例えば、メニュー画像)を表示方向に従って表示させ、通常動作に移行させる。
【0112】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果を奏することができ、さらに、利き手が異なるユーザが混在している場合でも、そのときの使用ユーザの利き手に応じた状態に当該携帯機器を設定できるという効果をも奏する。
【0113】
(D)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態を示したが、さらに以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0114】
上記各実施形態において、CPUがプログラムを実行することによって実現していた機能を、これらの機能を実現するための電気回路などのハードウェアに置き換えて、本発明を実現することも当然に可能である。
【0115】
また、上記各実施形態において、指紋データの登録や指紋データの認証のスキャン方向が一方向のものを示したが、双方向のスキャンを指紋認証に適用するようにしても良い。例えば、登録時に、右天地方向における天から地へのスキャンでの指紋データと、左天地方向における天から地へのスキャンでの指紋データとを共に読み込んで登録させ、認証時にも、右天地方向における天から地へのスキャンでの指紋データと、左天地方向における天から地へのスキャンでの指紋データとを得て、2つの指紋データ共に、登録しているものと合致したときを、認証OKと判定するようにしても良い。この場合において、例えば、登録時に、右天地方向における天から地へのスキャンと、左天地方向における天から地へのスキャンとのうち、先になされたスキャン方向に合わせて、画像の表示方向などを設定するようにすれば良い。
【0116】
さらに、上記各実施形態では、携帯機器がどの機能、サービスをユーザに提供する場合にも指紋認証を実行するものを示したが、指紋認証を条件としてユーザに提供する機能、サービスと、指紋認証を条件とすることなくユーザに提供する機能、サービスとが混在する携帯機器に対しても本発明を適用することができる。この場合、表示方向を決定させるための指紋センサに対するスキャンだけを当初に実行させて(指紋認証までの複雑な処理を実行しない)、表示方向などを設定し、ユーザが所望する機能、サービスとして、指紋認証を条件としている機能、サービスが選択された際に、指紋認証のためのスキャンを実行させるようにしても良い。
【0117】
さらにまた、上記各実施形態では、独立装置としての携帯機器に本発明を適用したものを示したが、他の装置と接続されて始めて機能が意味を持つ携帯機器(可搬性がある機器)に本発明を適用することができる。例えば、ゲーム機本体と接続されて用いられるゲームコントローラに本発明を適用することができる。このような有線部分を有する機器も、本発明の携帯機器の概念に含まれる。なお、ゲーム機本体と有線、無線接続されたゲームコントローラなど、表示部を備えない携帯機器にも本発明を適用し得る。
【0118】
また、上記各実施形態では、指紋センサを有するものを示したが、指に関する他の生態的な特徴のデータを得るセンサを適用するようにしても良い。例えば、指の静脈を読み取るセンサ(指静脈パターンセンサ)を適用するようにしても良く、静脈を浮き上がらすことができる波長光の照射光源と、この照射時の画像を読み取る2ライン以上のラインセンサとを備えた指データ認証装置において、上記各実施形態の指紋センサと同様のフローを採用すれば、指データの登録時に、指データを作成、登録すると共に、当該指データを作成する際における指の方向を検出してこの方向を指データに紐づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1の実施形態に係る携帯機器の電気的な機能構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る携帯機器の概略表面を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態における携帯機器の指紋読取による指紋データの登録動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態における、指紋データの登録のために指のスキャンニングを求める表示画像例を示す説明図である。
【図5】第1の実施形態における外部機器からの指紋データ転送による登録動作を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における指紋データを用いたユーザ認証動作を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態における、指紋認証のために指のスキャンニングを求める表示画像例を示す説明図である。
【図8】第2の実施形態に係るパスワード管理機器の電気的な機能構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態における外部機器からパスワード管理装置へパスワードを転送登録する際の手順を示す手順フロー図である。
【図10】第2の実施形態における外部機器で作成した、登録するパスワードを含む表形式データを示す説明図である。
【図11】第2の実施形態におけるパスワード管理装置へのパスワードの追加登録動作を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態における登録パスワードの閲覧動作を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施形態の登録パスワードの閲覧時における十字キーの操作と表示内容の変化との関係例を示す説明図である。
【図14】第3の実施形態における指紋データを用いたユーザ認証動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0120】
10…携帯機器、10A…パスワード管理装置、11…表示部、12…十字キー、13…指紋読取部、14…電源スイッチ、15…USBドライバ部、16…制御部、17…指紋データ記憶部、18…ガイダンス画像記憶部、19…パスワード記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋データ若しくは指静脈パターンデータが該当する指データを得て認証する指データ認証装置であって、
指の相対的な移動方向を横切る方向に伸びていて、各時刻におけるラインデータを逐次得る少なくとも2つのラインセンサを備えた指データセンサと、
上記指データセンサの出力に基づいて、認証用又は登録用の上記指データを作成する指データ作成部と、
予め登録されている登録用の指データと、上記指データ作成部が作成した認証用の指データとが合致するか否かを判別する指データ認証部と、
少なくとも2つの上記ラインセンサにおけるラインデータを比較し、指の相対的な移動方向を決定する指移動方向決定部と
を備えることを特徴とする指データ認証装置。
【請求項2】
請求項1に記載の指データ認証装置を備え、上記指データ認証装置における上記指データセンサが天地方向と直交する方向の中央部以外に配置されている携帯機器であって、
上記指データ認証装置の指移動方向決定部が決定した指の相対的な移動方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部を有することを特徴とする携帯機器。
【請求項3】
かざされた指の指紋データ若しくは指静脈パターンデータを得る、天地方向と直交する方向の中央部以外に配置されている指データセンサと、
上記指データセンサの出力に基づいて、認証用又は登録用の上記指データを作成する指データ作成部と、
予め登録されている登録用の指データと、上記指データ作成部が作成した認証用の指データとが合致するか否かを判別する指データ認証部と、
上記指データセンサが得た指データに基づいて、指元から指先への方向を決定する指先方向決定部と、
上記指先方向決定部が決定した指先方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部と
を有することを特徴とする携帯機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の携帯機器において、
表示画像を表示する表示部と、
上記天地方向決定部が決定した天地方向に基づき、上記表示部に表示する表示画像の向きを制御する表示方向制御部と
を備えることを特徴とする携帯機器。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の携帯機器において、
ユーザが入力操作する入力キーを有する操作部と、
上記天地方向決定部が決定した天地方向に基づき、上記操作部における入力キーの機能割り当てを制御するキー割当制御部と
を備えることを特徴とする携帯機器。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載の携帯機器において、
通常動作時において、上記指データセンサの出力を、操作入力信号として利用することを特徴とする携帯機器。
【請求項7】
複数のユーザが使用する携帯機器であって、
上記各ユーザの指紋データ若しくは指静脈パターンデータが該当する指データを登録している指データ記憶部と、
上記各ユーザが当該携帯機器を使用する際の天地方向を記憶している天地方向記憶部と、
認証のために使用ユーザの指データを得る指データ読取部と、
上記指データ記憶部に記憶されている登録用の指データと、上記指データ読取部が得た指データとを照合し、合致するユーザを特定し、上記天地方向記憶部から、合致ユーザの天地方向を取り出して、現在の使用ユーザから見た当該携帯機器の天地方向を決定する現天地方向決定部と
を備えることを特徴とする携帯機器。
【請求項8】
請求項2に記載の指データ認証装置において、
当該指データ認証装置は、登録用の指データを作成する際、上記指データ作成部に上記指データセンサを用いて指データを作成させ、かつ、上記指移動方向決定部に指の相対的な移動方向を決定させ、登録用の指データに当該指データ登録時における上記指データセンサに対する指の相対的な移動方向を紐づけて出力することを特徴とする指データ認証装置。
【請求項1】
指紋データ若しくは指静脈パターンデータが該当する指データを得て認証する指データ認証装置であって、
指の相対的な移動方向を横切る方向に伸びていて、各時刻におけるラインデータを逐次得る少なくとも2つのラインセンサを備えた指データセンサと、
上記指データセンサの出力に基づいて、認証用又は登録用の上記指データを作成する指データ作成部と、
予め登録されている登録用の指データと、上記指データ作成部が作成した認証用の指データとが合致するか否かを判別する指データ認証部と、
少なくとも2つの上記ラインセンサにおけるラインデータを比較し、指の相対的な移動方向を決定する指移動方向決定部と
を備えることを特徴とする指データ認証装置。
【請求項2】
請求項1に記載の指データ認証装置を備え、上記指データ認証装置における上記指データセンサが天地方向と直交する方向の中央部以外に配置されている携帯機器であって、
上記指データ認証装置の指移動方向決定部が決定した指の相対的な移動方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部を有することを特徴とする携帯機器。
【請求項3】
かざされた指の指紋データ若しくは指静脈パターンデータを得る、天地方向と直交する方向の中央部以外に配置されている指データセンサと、
上記指データセンサの出力に基づいて、認証用又は登録用の上記指データを作成する指データ作成部と、
予め登録されている登録用の指データと、上記指データ作成部が作成した認証用の指データとが合致するか否かを判別する指データ認証部と、
上記指データセンサが得た指データに基づいて、指元から指先への方向を決定する指先方向決定部と、
上記指先方向決定部が決定した指先方向に基づき、当該携帯機器のユーザから見た場合の天地方向を決定する天地方向決定部と
を有することを特徴とする携帯機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の携帯機器において、
表示画像を表示する表示部と、
上記天地方向決定部が決定した天地方向に基づき、上記表示部に表示する表示画像の向きを制御する表示方向制御部と
を備えることを特徴とする携帯機器。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の携帯機器において、
ユーザが入力操作する入力キーを有する操作部と、
上記天地方向決定部が決定した天地方向に基づき、上記操作部における入力キーの機能割り当てを制御するキー割当制御部と
を備えることを特徴とする携帯機器。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載の携帯機器において、
通常動作時において、上記指データセンサの出力を、操作入力信号として利用することを特徴とする携帯機器。
【請求項7】
複数のユーザが使用する携帯機器であって、
上記各ユーザの指紋データ若しくは指静脈パターンデータが該当する指データを登録している指データ記憶部と、
上記各ユーザが当該携帯機器を使用する際の天地方向を記憶している天地方向記憶部と、
認証のために使用ユーザの指データを得る指データ読取部と、
上記指データ記憶部に記憶されている登録用の指データと、上記指データ読取部が得た指データとを照合し、合致するユーザを特定し、上記天地方向記憶部から、合致ユーザの天地方向を取り出して、現在の使用ユーザから見た当該携帯機器の天地方向を決定する現天地方向決定部と
を備えることを特徴とする携帯機器。
【請求項8】
請求項2に記載の指データ認証装置において、
当該指データ認証装置は、登録用の指データを作成する際、上記指データ作成部に上記指データセンサを用いて指データを作成させ、かつ、上記指移動方向決定部に指の相対的な移動方向を決定させ、登録用の指データに当該指データ登録時における上記指データセンサに対する指の相対的な移動方向を紐づけて出力することを特徴とする指データ認証装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−20716(P2010−20716A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183036(P2008−183036)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]