説明

挟み込み防止システム

並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止するための挟み込み防止システムは、並進する装置に隣接して配置されたキャパシタンスセンサを含む。このセンサは、或る分離距離だけ隔てられた第1及び第2の可撓性導体を有する。この導体は、分離距離に依存するキャパシタンスを有する。センサは、これらの導体の間に介在する圧縮性誘電体要素を有する。導体のキャパシタンスは、第1の物体がセンサに接触するのに応じて誘電体要素が圧縮される結果として、分離距離が変化するのに応じて変化する。導体のキャパシタンスは、第2の導電性物体が少なくとも一方の導体に接近するのに応じて変化する。コントローラは、並進する装置が第1の物体又は第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するために、並進する装置を導体のキャパシタンスに応じて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の挟み込みを防止するためのキャパシタンスセンサを備えた挟み込み防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
挟み込み防止システムは、様々なタイプのセンサを使用して人体の一部のような物体が挟まれていることを検出する。例えば自動車においては、センサは、電動式ドア、窓、ハッチ、デッキ、フード、リッド、及び同様のものにおける挟み込みを感知するために使用される。
【0003】
ピンチセンサは、窓、ドア、サンルーフなどのような並進する装置によって物体が挟まれていることを検出する。作動中、ピンチセンサは、窓の閉鎖時に窓などの並進する装置によって人の指のような物体が挟まれることに応答してピンチセンサ信号を発生する。このピンチセンサ信号に応答し、コントローラは、窓を反対方向に制御して開き、人の指が更に挟まれるのを防止する。窓を開くと、窓の上縁とライナとの間の開口部から指を取り外すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
挟み込み防止システムにおけるピンチセンサとして、モータ電流センサ、赤外線ビームセンサ、及び連続スイッチセンサが使用されてきた。これらのタイプのピンチセンサが有する問題は、これらのセンサが物体の挟み込みを検出するまでに比較的大きな物体の挟み込み量を必要とする点である。
【0005】
従って、本発明の目的は、並進する装置によるどのような物体の挟み込みをも防止するために、並進する装置が物体に対して比較的小さな挟み込み量を加えるとすぐに、並進する装置が物体を挟み込んでいることを検出し、及び/又は並進する装置によって閉鎖することができる開口部内の物体の存在を検出するセンサを有する挟み込み防止システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的及び他の目的を達成するために、本発明は、並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止する挟み込み防止システムを提供する。このシステムは、並進する装置に隣接して配置されるキャパシタンスセンサを含む。キャパシタンスセンサは、或る分離距離だけ隔てられた第1及び第2の可撓性導体を有する。第1及び第2の可撓性導体は、分離距離に依存するキャパシタンスを有する。更にキャパシタンスセンサは、第1の可撓性導体と第2の可撓性導体との間に介在する圧縮性誘電体要素を有する。
【0007】
第1及び第2の可撓性導体のキャパシタンスは、第1の物体がキャパシタンスセンサに接触するのに応じて誘電体要素が圧縮される結果として、分離距離が変化するのに応じて変化する。第1及び第2の可撓性導体のキャパシタンスは、第2の導電性物体が第1及び第2の可撓性導体の内の少なくとも一方に接近するのに応じて変化する。コントローラは、並進する装置が第1の物体又は第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するために、並進する装置を第1及び第2の可撓性導体のキャパシタンスに応じて制御する。
【0008】
第1の可撓性導体は中央コアとすることができ、第2の可撓性導体が誘電体要素と第1の可撓性導体とを同軸に囲む。この場合、第1の可撓性導体は電気的に接地することができる。
【0009】
半剛性とすることができるエラストマー・オーバーコートが、第2の可撓性導体を囲むことができる。誘電体要素は、半剛性エラストマー、空気、セル発泡体、及び同様のものとすることができる。第1及び第2の可撓性導体の内の少なくとも一方は、編組金属ワイヤとすることができる。
【0010】
並進する装置は、自動車用窓とすることができる。この場合、キャパシタンスセンサは、自動車用窓が完全閉鎖位置にあるときに該自動車用窓を受ける窓本体パネル上に配置することができる。キャパシタンスセンサは、自動車用窓が完全閉鎖位置にあるときに該自動車用窓を受ける自動車用ウエザーストリップと一体的に形成することができる。
【0011】
並進する装置は、自動車のスライドドア、自動車のサンルーフ、自動車用トランクリッド、自動車のハッチ、自動車のトノカバー、及び同様のものである。並進する装置はまた、1対のドア、1対のエレベータドア、ガレージドアとすることができる。並進する装置はまた、可動プレス装置とすることができる。
【0012】
マイクロプロセッサを含むことができるコントローラは、第1の可撓性導体と第2の可撓性導体との間のキャパシタンスをバイアスするために、オフセット信号を発生するよう動作可能である。コントローラはまた、第1の可撓性導体と第2の可撓性導体との間のキャパシタンスをモニタするために、フィルタリングソフトウエアを実行するよう動作可能とすることもできる。更にコントローラは、第1及び第2の可撓性導体の間のキャパシタンスをモニタするために、適応閾値検出アルゴリズムを実行するよう動作可能とすることもできる。
【0013】
更に、上記及び他の目的を達成する際において、本発明は、並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止するための第2の挟み込み防止システムを提供する。第2の挟み込み防止システムは、並進する装置に隣接して配置されるキャパシタンスセンサを含む。キャパシタンスセンサは、第1、第2、及び第3の可撓性導体を有する。第3の導体は、第2の導体との間に第1の圧縮性誘電体要素を介在させて、第2の導体を同軸に囲む。第2の導体は、第1の導体との間に第2の圧縮性誘電体要素を介在させて、第1の導体を同軸に囲む。第1及び第2の導体は、或る分離距離だけ隔てられる。第2の導体は電気的に接地される。
【0014】
第1及び第2の導体は、分離距離に依存するキャパシタンスを有する。第1及び第2の導体のキャパシタンスは、第1の物体がキャパシタンスセンサに接触するのに応じて第2の誘電体要素が圧縮される結果として、分離距離が変化するのに応じて変化する。第2及び第3の導体は、第3の導体に対する第2の導電性物体の接近度に依存するキャパシタンスを有する。第2及び第3の導体のキャパシタンスは、第2の導電性物体が第3の導体に接近するのに応じて変化する。コントローラは、並進する装置が第1の物体又は第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するために、並進する装置を第1及び第2の導体のキャパシタンス並びに第2及び第3の導体のキャパシタンスに応じて制御する。
【0015】
また、上記及び他の目的を達成する際において、本発明は、並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止するための第3の挟み込み防止システムを提供する。第3の挟み込み防止システムは、並進する装置に隣接して配置されるキャパシタンスセンサを含む。キャパシタンスセンサは、互いに並列配置され、双方が単一のエラストマー外側ジャケットによって囲まれるキャパシタンス・ピンチセンサとキャパシタンス接近センサとを有する。
【0016】
キャパシタンス・ピンチセンサは、第1及び第2の可撓性導体と、これらの間に介在された第1の圧縮性誘電体要素とを含む。第1及び第2の導体が或る分離距離だけ隔てられるように、第2の導体は、第1の誘電体要素と第1の導体とを同軸に囲む。第2の導体は電気的に接地される。第1及び第2の導体は、分離距離に依存する第1のキャパシタンスを有する。この第1のキャパシタンスは、第1の物体がキャパシタンス・ピンチセンサに接触するのに応じて誘電体要素が圧縮される結果として、分離距離が変化するのに応じて変化する。
【0017】
キャパシタンス接近センサは、第3及び第4の導体とこれらの間に介在された第2の圧縮性誘電体要素とを含む。第4の導体は、第2の誘電体要素と第3の導体とを同軸に囲む。第3の導体は、電気的に接地される。第3及び第4の導体は、第2の導電性物体が第4の導体に接近するのに応じて変化する第2のキャパシタンスを有する。
【0018】
コントローラは、並進する装置が第1の物体又は第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するために、並進する装置を第1及び第2のキャパシタンスに応じて制御する。
【0019】
更に、上記及び他の目的を達成する際において、本発明は、並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止するための第4の挟み込み防止システムを提供する。第4の挟み込み防止システムは、並進する装置に隣接して配置されるキャパシタンスセンサを含む。キャパシタンスセンサは、内部を有するエラストマー外側ジャケットを含む。更にキャパシタンスセンサは、外側ジャケットの内部において外側ジャケットにより両端部を保持されたスパナを含む。スパナは、外側ジャケットの内部において第1の可撓性導体を保持し、外側ジャケットは、第1及び第2の導体が或る分離距離だけ互いに隔てられるように第2の可撓性導体を囲む。第1及び第2の導体は、分離距離に依存するキャパシタンスを有する。更にキャパシタンスセンサは、外側ジャケットの内部に圧縮性誘電体要素を有する。第1及び第2の導体のキャパシタンスは、第1の物体が外側ジャケットに接触するのに応じて誘電体要素が圧縮される結果として、分離距離が変化するのに応じて変化する。第1及び第2の導体のキャパシタンスは、第2の導電性物体が第1及び第2の導体の内の少なくとも一方に接近するのに応じて変化する。コントローラは、並進する装置が第1の物体又は第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するために、並進する装置を第1及び第2のキャパシタンスに応じて制御する。
【0020】
スパナは、第1及び第2の部分を含むことができる。第1のスパナ部分は、導電性の可撓性エラストマーであり、第2のスパナ部分は、非導電性の可撓性材料である。第1のスパナ部分は、外側ジャケットの内部で第1の導体を保持する。第2のスパナ部分は、その両端部において外側ジャケットに保持される。
【0021】
更に、上記及び他の目的を達成する際において、本発明は、並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止するための第5の挟み込み防止システムを提供する。第5の挟み込み防止システムは、並進する装置に隣接して配置されるキャパシタンスセンサを含む。キャパシタンスセンサは、或る分離距離だけ金属フレームから隔てられた可撓性導体を有する。この導体は、分離距離に依存するキャパシタンスを有する。キャパシタンスセンサは、第1の導体を囲み、金属フレーム上に載置される圧縮性の非導電性エラストマーを更に有する。導体のキャパシタンスは、第1の物体が第1の導体に接触するのに応じて圧縮性の非導電性エラストマーが圧縮される結果として、分離距離が変化するのに応じて変化する。導体のキャパシタンスは、第2の導電性物体が導体に接近するのに応じて変化する。コントローラは、並進する装置が第1の物体又は第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するために、並進する装置を導体のキャパシタンスに応じて制御する。導電体はエンドレスの構成を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の上記並びに他の目的、特徴、及び利点は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むと容易に理解されるであろう。
【0023】
図1aを参照すると、本発明による挟み込み防止システム10が示されている。挟み込み防止システム10は、センサ12とコントローラ14とを含む。センサ12は、物体16がセンサに接触したこと、及び/又は物体がセンサ近傍に存在することを検出するよう動作可能なキャパシタンスセンサである。物体16がセンサ12に接触するのに応答して、センサのキャパシタンスが変化する。同様に、人体を含む導電性の物体16がセンサ12の近傍に入るのに応答して、センサのキャパシタンスは、物体が実際にセンサに接触しなくても、すなわちセンサにどのような力を加えなくても変化する。このことは、人体部分との接触が生じる前に力が加わらない状態での人体部分の検出を可能にする。従ってセンサ12は、接触及び非接触センサである。
【0024】
コントローラ14は、窓、スライドドア、サンルーフ等のような並進する装置20と関連付けて、開放位置と閉鎖位置との間で該装置を移動させるためのモータ18を制御する。コントローラ14は、並進する装置(すなわち窓)20を開放したいときには、該窓を開放方向へ移動させるようモータ18を制御する。同様に窓20の開放を閉鎖するためにはコントローラ14は、窓を閉鎖方向へ移動させるようモータ18を制御する。
【0025】
一般に、オペレータはスイッチを操作して、コントローラ14に窓20の開閉を制御させる。そのようなスイッチは、単一のスイッチ操作(連続操作とは対照的な)により、窓がその開放位置又は閉鎖位置まで完全に移動するまでコントローラ14が窓20を制御するような、急速上昇(すなわち急速閉鎖)及び急速下降(すなわち急速開放)機能を備えるよう構成することができる。
【0026】
センサ12は、窓20によって設けられる窓開口部に隣接して配置される。センサ12は、窓開口部をモニタし、人の手又は指などの物体16が窓開口部の近くにあるか、もしくは窓開口部を通って延びているかを判定する。物体16が窓開口部を通って延びることに関する問題は、窓20が閉鎖方向に移動して窓開口部を閉鎖するときに、物体が窓開口部から排除されない限り窓が物体を挟むことになる点であることがわかる。
【0027】
センサ12は、物体16が窓開口部と窓20との間に挟み込みされて、窓によって挟まれようとしている場合に、この物体がセンサに接触し、及び/又は近接するように窓開口部に隣接して配置される。センサ12は、物体16がセンサに接触するのに応答してピンチセンサ信号21を発生し、物体がセンサに接近するのに応じて接近センサ信号23を発生する。センサ12は、コントローラ14に対してピンチセンサ信号21及び接近センサ信号23を供給する。ピンチセンサ信号21及び接近センサ信号23のいずれかを受け取ることに応答して、これに従ってコントローラ14は、モータ18を介して窓20を制御する。
【0028】
例えば、コントローラ14に窓20を閉鎖させるようにオペレータがスイッチを操作して窓が閉鎖している場合(例えば、窓が急速上昇の時)、その後で窓開口部内にある物体16がセンサ12によって検出されるのに応答して、コントローラは、窓の閉鎖を停止して開くように制御する。窓20の運動方向を反転させて該窓を開くことにより、窓開口部を拡げて物体のどのような挟み込みも防止し、物体を窓開口部から取り除くための時間を与えるようにする。同様に、物体16が窓開口部内にあることをセンサ12が検出した場合には、コントローラ14は、物体が窓開口部から取り除かれるまで窓20が続いて閉鎖方向へ運動するのを阻止する。
【0029】
次に、図1bを参照すると、センサ12とコントローラ14とは、互いに一体化されてセンサ/コントローラ13を形成することができる。センサ/コントローラ13は、一体化されていないセンサ12及びコントローラ14と同じ機能を効果的に提供する。従って本明細書においては、センサ12とコントローラ14に関する説明はまた、センサ/コントローラ13によって提供されるセンサ及びコントローラの機能性を指すものとする。
【0030】
コントローラ14は、スイッチ入力、他のセンサ及びコントローラとの情報伝達機能、並びに窓20の種々の態様を制御及びモニタするための種々の出力を有することができる点を理解すべきである。例えば、コントローラ14は、窓20の位置、運動方向、運動速度などを判定するために、図1aの線19によって示すようにモータ18又は他の可動部材のためのセンサ入力を有することができる。そのようなセンサ入力は、ホール効果センサ及び光センサや抵抗センサなどから受け取る信号とすることができる。
【0031】
モータ18又は他の可動部材に応答してセンサ信号を受け取るコントローラ14の場合、このコントローラは、モータ電流、及び/又は整流子パルス及び/又はホール(又は他のタイプの)センサからのセンサ信号を用いることにより、追加の挟み込み防止能力を有するようになる。このことは、可動部材及び障害物がセンサ12から離れ過ぎており該センサ12によって感知できない場合に、障害物を検出することのできる追加の利点を有する。
【0032】
次に、図2及び図3を参照すると、センサ12の第1の実施形態が示される。センサ12は、非導電性の圧縮可能性要素又は層26によって同軸に囲まれた可撓性の中央導電性要素又はコア22を含み、該非導電性の圧縮可能性要素又は層26は、可撓性の外側導電性要素又は層24によって同軸に囲まれている。非導電性の圧縮性層26は、導電性コア22と導電性層24とを分離する。導電性コア22は、センサ12において電気的に接地される。弾性的なオーバーコート28は導電性層24を覆う。
【0033】
導電性コア22及び導電性層24は、アルミニウム、銅、及び同様のものなどの導電性材料で作られる。導電性コア22及び導電性層24はまた、アルミニウム、銅、ニッケル、及び同様のものなどの導電性材料でメッキ又は金属被膜された、ナイロン、ポリエステル、及び同様のものなどの材料で作られる。導電性コア22及び導電性層24の各々は、これらに可撓性を与える編組メッシュ又は金属被膜された織物とすることができる。導電性コア22及び導電性層24はまた、適切な導電性を得るために銅の金属被覆を有し、耐食性を得るために銅の上にニッケル被膜を有するメッキされた織物とすることができる。非導電性の圧縮性層26は、高い誘電率と低い圧縮力とを有するEPDM独立気泡フォームとすることができる。非導電性層26の誘電率及び/又は圧縮性は、異なるタイプの材料を使用することによって変化する可能性がある。例えば、非導電性層26は、単に空気とすることができる。弾性的なオーバーコート28は、弾性ゴム、ビニル等、及びサントプレン、ネオプレン、ブナN、及び同様のものなどの熱可塑性エラストマー類で作ることができる。弾性的なオーバーコート28はまた、不織布及び同様のものとすることができる。弾性的なオーバーコート28は、半剛性、可撓性、及び/又は圧縮性とすることができ、また密閉要素、接着剤、及び他の取付け部材を組み込むことができる。
【0034】
次に図1と共に図4aを参照して、センサ12の近傍内の物体の存在を判定するセンサの動作をより詳細に説明する。センサ12は、自動車の窓本体パネル32のような固定された組立体に取り付けられる。センサ12はまた、自動車の窓ウエザーストリップ及び同様のものにおいて具現化することができる。図4aにおいては、人体の一部などの導電性物体30が、窓20とセンサ12との間の窓開口部内に配置されている。図に示すように、窓開口部は、物体30が窓20に挟まれることなく窓開口部内で自由に動くことができるほど十分に大きい。窓20が閉じる結果、窓開口部が小さくなり、物体30がセンサ12に接近して導電性層24を囲む静電容量的な電場に入ると、センサのキャパシタンスが変化する。
【0035】
次いでセンサ12は、このキャパシタンスの変化を示す接近センサ信号23をコントローラ14に対して発生する。コントローラ14は、接近センサ信号23を処理して、物体30がセンサ12の近接している結果としてセンサ12のキャパシタンスが変化し、物体が窓20に挟まれようとしていると判定する。
【0036】
次に図1と共に図4bを参照し、物体がセンサに接触するのを判定するセンサ12の動作をより詳細に説明する。図4bにおいては、窓20は、窓本体パネル32に向かって矢印の方向に閉鎖し始めており、窓開口部が小さくなり、非導電性の物体31がセンサ12と窓20の間にあってセンサに接触する。物体31がセンサ12と接触するのに応じてセンサが圧縮される結果、導電性コア22と導電性層24との間の距離は小さくなる。この距離が小さくなる結果として、センサ12のキャパシタンスが変化する。
【0037】
次いで、センサ12は、コントローラ14に対してこのキャパシタンスの変化を示すピンチセンサ信号21を発生する。コントローラ14は、ピンチセンサ信号21を処理して、物体31がセンサに接触した結果としてセンサ12のキャパシタンスが変化し、窓20に挟まれそうになっていることを判定する。次にコントローラ14は、窓20を開き且つ窓本体パネル32から離れる方向に窓20の運動を反転させるようにモータ18を制御することにより、窓開口部を増大させ、物体31が窓に挟まれず該物体を窓開口部から取り除くことができるようにする。物体30のような導電性の物体もまた、センサ12に接触することができ、この場合、同様にセンサは圧縮され、結果として生じるキャパシタンス変化を示すピンチセンサ信号を発生する。
【0038】
コントローラ14は、デジタル/アナログ(DA)コンバータを含むマイクロプロセッサベースのコントローラなどの電子コントローラとすることができる。このDAコンバータは、オフセット電圧の減算(又は加算)を可能にし、ピンチセンサ信号21及び接近センサ信号23をより大きく増幅することができる。代替的な実施形態は、三角波などのアナログ波形を発生させてオフセット電圧の大きさを求め、後でこれを減算(又は加算)することができる。コントローラ14のマイクロプロセッサは、フィルタリングのソフトウエアを実行することができ、センサ12に対する物体接近、又は物体のセンサへの接触の結果として生じるセンサ圧縮を判定可能な適応閾値検出アルゴリズムを使用することができる。更に別の実施形態においては、コントローラ14のマイクロプロセッサは、ディスクリート電子回路、ハイブリッド電子回路、又はマイクロプロセッサコア・アナログ及びデジタル回路を含むことのできる専用の特定用途向け集積回路と置き換えることができる。
【0039】
コントローラ14はまた、車両用ドアシステム機能などのシステム機能を組み込むことができる。このようなドアシステム機能には、移動、エレクトロクロミック制御、ターンシグナル表示、加熱制御などといった電動ミラー、電動ドアロック、キーレスエントリシステム、運転者1及び運転者2などのようなパーソナル設定、及び同様のものに関連する機能が含まれる。この場合、コントローラ14は、車両内に配置された他の制御モジュールと通信するため、ワイヤ、光ファイバ、又はRF無線などの無線によるシリアル通信を備えたマイクロコントローラを使用する。このようなコントローラを使用することにより、ドアシステム内の複数のモジュールの冗長性が排除される。この場合、コントローラ14は、窓昇降モータと一体化することができ、あるいは各物品にワイヤ接続されこれを制御する別個のモジュールとすることができる。
【0040】
コントローラ14はまた、取付け位置に応じた自動車ドア以外の他のシステム機能を組み込むことができる。ダッシュボード、センターコンソール、又はシートなどの取付け位置に関係する機能をモジュールに一体化することができる。この機能には、ステアリングホイール及びステアリングコラム調節、シートポジション設定、シート冷暖房、グローバルポジショニング及びインターネット通信、並びにペダル調節などがある。
【0041】
次に図5を参照すると、自動車のドア窓33で使用する挟み込み防止システム10のセンサ12の配置が示される。自動車のドア窓33は、ドア34と窓本体パネル32とを含む。窓20は、自動的に上下に移動して窓本体パネル32に対して開閉する。開放位置において、窓20は、該窓の上縁部36と窓本体パネル32との間に窓開口部35を形成する。センサ12は、窓本体パネル32に沿って配置される。上述のように、センサ12は、該センサに隣接及び/又は接触している、窓開口部35を通って延びる物体の存在を検出するように動作可能である。このような能力により、センサ12はコントローラ14と協働して、窓が窓開口部35を閉じるときに物体を挟むのを防ぐように機能することが可能になる。
【0042】
図6aは、窓20及び窓本体パネル32に対するセンサ12の第1の配置の断面図である。センサ12は、窓本体パネル32及び窓ウエザーストリップ37に隣接して自動車の室内に配置されている。窓ウエザーストリップ37は、窓本体パネル32に取り付けられて、窓20が図6aに示すような完全閉鎖位置に移動したときに窓20を密閉する。
【0043】
図6bは、窓20及び窓本体パネル32に対するセンサ12の第2の配置の断面図である。センサ12は、窓本体パネル32に取り付けられた窓ウエザーストリップ38と一体的に形成されている。図7は、窓ウエザーストリップ38内へのセンサ12の一体化をより詳細に示している。
【0044】
次に図8を参照すると、自動車のスライドドア40において使用する挟み込み防止システム10のセンサ12の配置が示されている。自動車のスライドドア40は、電動式スライドドア42と自動車用ドア本体パネル44とを含む。スライドドア42は、ドア本体パネル44に対して開閉するよう水平に移動する。開放位置において、スライドドア42は、該スライドドアの前縁部47とドア本体パネル44との間にドア開口部46を形成する。センサ12は、図6a又は図6bに示すセンサの配置と同様の方法でドア本体パネル44に沿って配置される。センサ12はまた、ドア本体パネル44の代わりにスライドドア42上に取り付けてもよい。センサ12は、該センサに隣接及び/又は接触している、スライドドア開口部46を通って延びる物体の存在を検出する。物体がドア開口部46を通って延びていることをセンサ12が検出するのに応答して、コントローラ14は、スライドドア42が図示の矢印方向へ移動してドア開口部46を閉鎖するときに物体を挟むのを防止する。
【0045】
図9を参照すると、自動車のサンルーフ50において使用する挟み込み防止システム10のセンサ12の配置が示されている。自動車のサンルーフ50は、電動式スライドサンルーフ52と自動車用ルーフ54とを含む。サンルーフ52は、ルーフ54に対して水平方向に移動して、ルーフの開口部56を形成し、閉鎖する。開放位置において、サンルーフ52は、該サンルーフの前縁部57とルーフ54との間にルーフ開口部56を形成する。センサ12は、図6a又は図6bに示すセンサの配置と同様の方法でルーフ54に沿って配置される。上述のようにセンサ12は、該センサに隣接及び/又は接触する、ルーフ開口部56を通って延びる物体の存在を検出するように動作可能である。こうした能力により、センサ12はコントローラ14と協働して、サンルーフ52がルーフ開口部56を閉じるときに物体を挟むのを防ぐように機能することが可能になる。
【0046】
次に図10を参照すると、自動車用トランクリッド60において使用する挟み込み防止システム10のセンサ12の配置を示している。自動車用トランクリッド60は、電動式トランクリッド62を含む。トランクリッド62は、自動車のトランク64に対して開閉する。センサ12は、図6a又は図6bに示すセンサの配置と同様の方法でトランク64の縁部65に沿って配置される。上述のように、センサ12は、トランク64の外部から内部に延びる物体が該センサに隣接及び/又は接触する結果として、こうした物体の存在を検出する。センサ12は、トランクリッド62がトランク64を閉じるときに物体を挟むのを防止するように適切なセンサ信号をコントローラ14に供給する。
【0047】
自動車用の上述の用途に加えて、挟み込み防止システム10はまた、トノカバー及びハッチバックドアを伴う自動車を含む他の自動車用途において使用することができる。例えば、図11a及び図11bは、自動車用ハッチバック66において使用するセンサ12の配置を示している。自動車用ハッチバック66は、ハッチ67と車体パネル68とを含む。シリンダ69が、ハッチ67と車体パネル68とを接続する。シリンダ69は、ハッチ67を車体パネル68に対して開放位置にまで移動させるように延び、及び該ハッチを車体パネルに対して閉鎖位置まで移動させるように収縮する(図11aにおいては、閉鎖位置のハッチを二点鎖線で示す)ピストンロッドを含む。センサ12は、車体パネル68に沿って配置される。センサ12は、該センサに隣接及び/又は接触する、ハッチ67と車体パネル68との間の開口部内に延びる物体の存在を検出する。次に、コントローラ14は、ハッチ67が閉じているときに物体を挟むのを防止するようシリンダ69を制御することができる。
【0048】
次に図12を参照すると、自動式バスドア70において使用するセンサ12の配置が示される。自動式バスドア70は、一対の電動式ドア72及び74を含む。ヒンジ76は、ドア72及び74が自動的に開閉するよう電力を供給する。閉鎖時には、両方のドアを閉じたときにドア74がドア72に重なるように、ドア74の前にドア72を閉じる。センサ12は、ドア72の縁部75に沿って配置され、ドアウエザーストリップに組み込むことができる。センサ12は、ドア開口部内に延びる物体が該センサに隣接及び/又は接触している結果として、該物体の存在を検出する。ドア72の閉鎖に続いてドア74が閉じるときに、センサ12は、コントローラ14と協働してドア74が物体を挟むのを防止するように機能する。
【0049】
自動車用途に加えて、挟み込み防止システム10はまた、工業用途においても使用することができる。例えば図13及び図14は、それぞれエレベータドア80及びガレージドア85において使用する挟み込み防止システム10のセンサ12の配置を示している。エレベータドア80は、一般的なスライドドアの特定の用途である。エレベータドア80においては、センサ12は、いずれかのエレベータドア82の前縁部に配置される。エレベータドア82は、部分的に開放されて、これらの間にドア開口部84を備えた状態で図示されている。センサ12は、エレベータドア82間を延びる物体が該センサに隣接及び/又は接触している結果として該物体の存在を検出する。センサ12は、エレベータドア82が摺動して閉じるときに該ドアが物体を挟むのを防止するためにコントローラ14に対して適切なセンサ信号を発生する。
【0050】
ガレージドア85においては、センサ12は、ガレージドア87の下縁部86に沿って配置される。ガレージドア87は、部分的に開放されて、ガレージドアの下縁部86とガレージ内へ通じているドライブウエイ89との間にガレージドア開口部88を備えた状態で示されている。センサ12は、ガレージドア開口部88内で延びる物体が該センサに隣接及び/又は接触している結果として、該物体の存在を検出する。センサ12は、ガレージドア87が閉じるときにガレージドアが物体を挟むのを防止するために適切なセンサ信号をコントローラ14に対して発生する。
【0051】
図15は、工業機械90に使用するための挟み込み防止システム10のセンサ12の配置を示す。工業機械90は、上方プレス金型ダイ92を有するプレス機械ラム装置91を含む。下方プレス金型ダイ93がプレス機械プラテン94上に固定される。ラム装置91は、上方プレス金型ダイ92を下方プレス金型ダイ93に接して押し付けるように動作可能である。作動中、プレス作業員は、矢印95の方向で工業機械90に向かう。センサ12は、下方プレス金型ダイ93の前縁部97上に形成されたキャビティ96内に配置される。従ってセンサ12は、プレス作業員に面するように位置付けられる。キャビティ96内では、センサは、上方プレス金型ダイ92が下方プレス金型ダイ93に向かって閉じるときに上方プレス金型ダイ92と接触することはない。工業機械90の作動中、センサ12は、センサに接触している物体の存在及び/又はセンサ近傍内にある指のような導電性物体の存在を検出する。次にセンサ12は、上方プレス金型ダイ92が下方プレス金型ダイ93の近傍内にある異物上に落下するのを防止するために、コントローラ14に対して適切なセンサ信号を発生する。
【0052】
次に図16を参照すると、第2のセンサの実施形態によるセンサ100が示されている。センサ100は、センサ12と同様であるが、第1及び第2の可撓性の導電性要素104、106を同軸に囲む第3の可撓性の導電性要素102を含む。センサ100は、第1の導体104を囲む非導電性の圧縮性同軸要素108、及び第2の導体106を囲む非導電性の圧縮性同軸要素110を含む。外側弾性被覆112は、第3の導体102を同軸に囲む。非導電性の圧縮性要素108、110は、同一の独立気泡フォーム又は他の圧縮性材料で作ることができる。第1及び第2の導体104、106と同様に、第3の導体102もまた導電性材料で作られた編組ワイヤメッシュとすることができる。第2の導体106は電気的に接地される。
【0053】
次に図17を参照すると、センサ100の断面図が示されている。同軸の圧縮性非導電層110の代わりに半剛性エラストマー110が使用される。半剛性エラストマー110は、物体が外側被覆112に接触している際に第1及び第2の導体104、106のキャパシタンスを迅速に変化させることを可能にする。第3の導体102と第2の導体106との間の距離及び第3の導体102への導電性物体の接近度が、第3及び第2の導体のキャパシタンスを決定する。第1の導体104と第2の導体106との間の距離は、第1及び第2の導体のキャパシタンスを決定する。従ってセンサ100は、対応するキャパシタンス変化に応じてセンサの近傍にある物体を検出することができ、更にセンサに接触する物体を検出することができる点で二重の目的のセンサである。
【0054】
次に図18及び図19を参照すると、第3のセンサの実施形態によるセンサ120が示されている。センサ120は、或る距離だけ隔てられた2つの長手方向に平行な可撓性の導体コア要素122、124を含む。2つの非導電性の圧縮性同軸要素126及び128(又は半剛性エラストマー)が、それぞれの導体コア要素122、124を個々に囲む。或る距離だけ隔てられた2つの可撓性導体要素130及び132が、それぞれの非導電性の圧縮性要素126及び128を同軸に囲む。半剛性の弾性的な外側被覆134が、導電性要素130及び132を囲む。
【0055】
センサ120は、本質的には2つのセンサ136及び138である。センサ136は、要素122、126、130、及び134を含む。センサ138は、124、128、132、及び134を含む。センサ136は、接触センサ(すなわちピンチセンサ)として構成されているので、導体要素122と130との間の距離が小さくなることでコントローラ14が使用可能な導体要素122と130間のキャパシタンス変化を生じさせるように、物体はセンサに接触している必要がある。従って外側の導体要素130は電気的に接地される。
【0056】
センサ138は、非接触センサ(すなわち接近センサ)として構成されているので、外側の導体要素132に接近した導電性物体は、コントローラ14が使用可能な導体要素124及び132の間のキャパシタンス変化を生じさせるようになる。従って内側の導体要素124は電気的に接地される。このようにセンサ120は、該センサ20に接触する物体を検出すると共に、その近傍にある導電性物体を検出する。
【0057】
次に図20及び図21を参照すると、第4のセンサの実施形態によるセンサ140が示されている。センサ140は、或る距離だけ隔てられた2つの長手方向に平行な可撓性導体要素142、144を含む。2つの圧縮性同軸要素146及び148(又は半剛性エラストマー)が、それぞれの導体コア要素122、124を個々に囲む。或る距離だけ隔てられた2つの金属編組の可撓性導体要素150及び152が、それぞれの非導電性の圧縮性要素146及び148を同軸に囲む。半剛性の弾性的な外側被覆154が、導体要素150及び152を囲む。
【0058】
センサ140は、本質的には2つのセンサ156及び158である。センサ156は、要素142、146、150、及び154を含む。センサ158は、要素144、148、152、及び154を含む。図21に示すように、外側被覆154は、窓が閉鎖方向で閉鎖位置まで移動するときに、窓などの並進する装置20の上縁部を受けるための入口157を備えるように構成される。閉鎖位置において、センサ156及び158は、窓20のそれぞれの側面上に配置される。従ってセンサ140は、複数の方向から接近及び/又は接触する物体を検出することを可能にする。
【0059】
次に図22及び図23を参照すると、第5のセンサの実施形態によるセンサ160が示されている。センサ160は、内側可撓性導体162を含む。中空の非導電可撓性スパナ164が、内側可撓性導体162を保持して、下方スパナ空間166と上方スパナ空間168とを形成する。スパナ空間166及び168は、空気又は他の誘電性媒体で満たされる。金属編組の外側導体要素170が、スパナ164を同軸に囲む。半剛性エラストマー外側ジャケット172が、導体要素170を囲む。センサ160は、物体が外側ジャケット172に接触する結果、及び/又は導電性物体が外側導体170に接近する結果として、外側導体要素170と内側導体要素162との間の距離が変化するときは常にキャパシタンス変化を記録する。
【0060】
次に図24及び図25を参照すると、第6のセンサの実施形態によるセンサ180が示されている。センサ180は、第1及び第2の可撓性の導電性金属ワイヤ182及び/又は184を含む。非導電性の可撓性スパナ186が、第1の導体182を保持する。中空の内部を有する導電性の弾性外側ジャケット188が、第2の導体184を保持して囲み、更にスパナ186の各端部を保持する。スパナ186は、外側ジャケット188の内部を2つの空間190及び192に分割する。空間190及び192は、空気又は他の誘電性媒体で満たされる。センサ180は、物体が外側ジャケット188に接触する結果、及び/又は導電性物体が第1のワイヤ182又は第2のワイヤ184のいずれかに接近している結果として、第1及び第2のワイヤ間の距離が変化するときは常にキャパシタンス変化を記録する。
【0061】
図34及び図35を参照すると、第10のセンサの実施形態によるセンサ300が示されている。センサ300は、第1及び第2の可撓性の導電性金属ワイヤ302及び/又は304を含む。導電性の可撓性エラストマー303が、第1の導体302を保持する。非導電性の可撓性スパナ306が、導電性エラストマー303を保持して囲む。中空内部を有する導電性で弾性外側ジャケット308が、第2の導体304を保持して囲み、更にスパナ306の各端部を保持する。スパナ306は、外側ジャケット308の内部を2つの空間310及び312に分割する。空間310及び312は、空気又は他の誘電性媒体で満たされる。センサ300は、物体が外側ジャケット308に接触する結果、及び/又は導電性物体が第1の導体302又は第2の導体304に接近している結果として、第1及び第2の導電体間の距離が変化するときは常にキャパシタンス変化を記録する。
【0062】
次に図26及び図27を参照すると、第7のセンサの実施形態によるセンサ200が示されている。センサ200は、圧縮性の非導電性エラストマー204によって囲まれた可撓性導体要素202を含む。エラストマー204は、車両フレームなどの金属フレーム206上に載置される。金属フレーム206は、本質的に第2の導体要素として機能する。従ってセンサ200は、物体がエラストマー204に接触する結果、及び/又は導電性物体が導体要素202に接近している結果として、導体要素202と金属フレーム206との間の距離が変化するときは常にキャパシタンス変化を記録する。
【0063】
次に図28及び図29を参照すると、第8のセンサの実施形態によるセンサ220が示されている。センサ220は、連続した終端部のない可撓性の金属編組導体要素222を含む。導体要素222は、空気又は他の誘電性媒体で満たされる内部224を形成する。圧縮性非導電性エラストマー226が、導体要素222とその内部224とを囲む。エラストマー226は、第2の導体要素として作用する金属フレーム228上に配置される。センサ220は、物体がエラストマー226に接触する結果、及び/又は導電性物体が導体要素222に接近している結果として、導体要素222の少なくとも一部分と金属フレーム228との間の距離が変化するときは常にキャパシタンス変化を記録する。
【0064】
次に図30及び図31を参照すると、第9のセンサの実施形態によるセンサ240が示されている。センサ240は、内側及び外側の可撓性の金属編組導体要素242及び244を含む。内側導体要素242は、第1の非導電性の圧縮性発泡要素246を囲む。外側導体要素244は、第2の非導電性の圧縮性発泡要素248を囲む。半剛性の弾性外側ジャケット250が、第2の導体要素244を囲む。図31に最もよく示されているように、内側及び外側導体要素242及び244は、連続した終端部のない要素である。内側導体要素242は、全方向性接近感知機能を可能にするように所与のエンドレス構成の形状にされる。内側導体要素242は可撓的であるので、その形状は、所望の全方向性接近感知を可能にするような共形にすることができる。
【0065】
次に図32及び図33を参照すると、トノカバー260において使用する挟み込み防止システム10のセンサ12の配置が示される。トノカバー260は、電動式トノカバー262を含む。トノカバー262は、外側トノカバー264と内側トノカバー266とを含む。トノカバー262は、センサ12を保持するためのセンサキャリア268を含む。図33に示すように、センサキャリア268は、ダックビル272の位置までトノカバー262の周縁の大部分に沿ってセンサ12を保持する。トノカバー262は、ベッド壁270に対して開閉する。上に述べたような方法で、センサ12は、トノカバー262に隣接する物体がセンサに隣接及び/又は接触している結果として、該物体の存在を検出する。センサ12は、トノカバー262が閉じる時に物体が挟まれるのを防止するための適切なセンサ信号をコントローラ14に供給する。
【0066】
次に図36及び図37を参照すると、2枚及び1枚スライドドア320及び340において使用する挟み込み防止システム10のセンサ12の配置が示される。2枚及び1枚スライドドア320及び340は、典型的には食料品店などにおいて配置されている。2枚スライドドア320においては、センサ12は、いずれかのスライドドア322又は324の前縁部に配置される。スライドドア322及び324は、部分的に開いてこれらの間にスライドドア開口部326が形成された状態で図示されている。センサ12は、スライドドア322及び324の間で延びる物体がこれに隣接及び/又は接触する結果として、該物体の存在を検出する。センサ12は、スライドドア322及び324が閉じる時に物体を挟むのを防止するために、適切なセンサ信号をコントローラ14に対して発生する。
【0067】
1枚スライドドア340は、スライドドア342とドア本体パネル344とを含む。スライドドア342は、ドア本体パネル344に対して開閉するよう水平に移動する。開放位置において、スライドドア342は、該スライドドアの前縁部347とドア本体パネル344との間にドア開口部346を形成する。センサ12は、図6a又は図6bに示されたセンサの配置と同様の方法でドア本体パネル344に沿って配置される。センサ12はまた、ドア本体パネル344の代わりにスライドドア342上に取り付けてもよい(図37に示す)。センサ12は、該センサに隣接及び/又は接触している、スライドドア開口部346を通って延びる物体の存在を検出する。物体がスライドドア開口部346を通って延びていることをセンサ12が検出するのに応答して、コントローラ14は、スライドドア342が図示の矢印方向へ移動してドア開口部346を閉鎖するときに物体を挟むのを防止する。
【0068】
次に図38及び図39を参照すると、2枚ヒンジ式及び1枚ヒンジ式自動ドア360及び380において使用する挟み込み防止システム10のセンサ12の配置が示される。2枚ヒンジ式及び1枚ヒンジ式自動ドア360及び380は、典型的には食料品店などにおいて配置される。2枚ヒンジ式自動ドア360においては、センサ12は、ヒンジ式自動ドア364又は366のいずれかの密閉面362上に固定される。ヒンジ式ドア364及び366は、部分的に開いて、これらの間にドア開口部368が形成された状態で図示されている。センサ12は、ヒンジ式364とヒンジ式366との間で延びる物体がセンサに隣接及び/又は接触している結果として、該物体の存在を検出する。センサ12は、自動ヒンジ式ドア364及び366が閉鎖位置まで旋回するときに物体を挟むのを防止するために、適切なセンサ信号をコントローラ14に対して発生する。
【0069】
1枚ヒンジ式自動ドア380においては、センサ12は、壁384の表面に対して閉じるヒンジ式自動ドア382の密閉面に固定される。開放位置において、ドア382は、該ドアの前縁部387と壁表面384との間にドア開口部386を形成する。センサ12は、壁表面384に沿って又はドア382の前縁部387に配置される。センサ12は、該センサに隣接及び/又は接触しているドア開口部386を通って延びる物体の存在を検出し、ドア382が旋回して閉じるときに該物体が挟まれるのをコントローラ14が防止できるようにする。
【0070】
本発明を特定の実施形態に関して説明してきたが、当業者が上記の説明から多くの代替形態、変更形態、及び変形形態を理解することは明らかであろう。従って本発明は、全てのそのような代替形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1a】本発明による挟み込み防止システムのブロック図を示す。
【図1b】センサとコントローラとが一体化された挟み込み防止システムのブロック図を示す。
【図2】挟み込み防止システムのセンサの第1の実施形態を示す。
【図3】図2の線3−3に沿って見たセンサの断面図を示す。
【図4】aは、センサに対する物体の接近を検出するための挟み込み防止システムのセンサの動作を示し、bは、センサに対する物体の接触を検出するための挟み込み防止システムのセンサの動作を示す。
【図5】自動車のドア窓において使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図6】aは、図5の線6−6に沿って見た自動車のドア窓におけるセンサの第1の配置の断面図を示し、bは、図5の線6−6に沿って見た自動車のドア窓におけるセンサの第2の配置の断面図を示す。
【図7】図6Bに示すセンサ配置をより詳細に示す。
【図8】自動車用スライドドアにおいて使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図9】自動車用サンルーフにおいて使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図10】自動車用トランクリッドにおいて使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図11】aは、ハッチバックにおいて使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示し、bは、ハッチバックにおいて使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図12】自動式バスドアにおいて使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図13】エレベータドアにおいて使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図14】ガレージドアにおいて使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図15】工業機械に使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図16】挟み込み防止システムのセンサの第2の実施形態を示す。
【図17】図16の17−17線に沿って見た図16に示すセンサの断面図を示す。
【図18】挟み込み防止システムのセンサの第3の実施形態を示す。
【図19】図18の19−19線に沿って見た図18に示すセンサの断面図を示す。
【図20】挟み込み防止システムのセンサの第4の実施形態を示す。
【図21】図20の21−21線に沿って見た図20に示すセンサの断面図を示す。
【図22】挟み込み防止システムのセンサの第5の実施形態を示す。
【図23】図22の23−23線に沿って見た図22に示すセンサの断面図を示す。
【図24】挟み込み防止システムのセンサの第6の実施形態を示す。
【図25】図24の25−25線に沿って見た図24に示すセンサの断面図を示す。
【図26】挟み込み防止システムのセンサの第7の実施形態を示す。
【図27】図26の27−27線に沿って見た図26に示すセンサの断面図を示す。
【図28】挟み込み防止システムのセンサの第8の実施形態を示す。
【図29】図28の29−29線に沿って見た図28に示すセンサの断面図を示す。
【図30】挟み込み防止システムのセンサの第9の実施形態を示す。
【図31】図30の31−31線に沿って見た図30に示すセンサの断面図を示す。
【図32】トノカバーに使用するための挟み込み防止システムセンサの配置の断面図を示す。
【図33】トノカバーに使用するための挟み込み防止システムセンサの配置の平面図を示す。
【図34】挟み込み防止システムのセンサの第10の実施形態を示す。
【図35】図34の35−35線に沿って見た図34に示すセンサの断面図を示す。
【図36】2枚スライドドアに使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図37】1枚スライドドアに使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図38】2枚ヒンジ式形自動ドアに使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。
【図39】1枚ヒンジ式形自動ドアに使用するための挟み込み防止システムのセンサの配置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止するための挟み込み防止システムであって、
或る分離距離だけ隔てられた第1及び第2の可撓性導体を有し、該第1及び第2の可撓性導体が前記分離距離に依存するキャパシタンスを有し、前記第1及び第2の可撓性導体の間に配置された圧縮性誘電体要素を更に有し、前記並進する装置に隣接して配置されるキャパシタンスセンサを備え、
前記第1及び第2の可撓性導体のキャパシタンスが、第1の物体が前記キャパシタンスセンサに接触するのに応じた前記誘電体要素の圧縮の結果として前記分離距離が変化するのに応じて変化し、
前記第1及び第2の可撓性導体のキャパシタンスが、第2の導電性物体が前記第1及び第2の可撓性導体の少なくとも一方に接近するのに応じて変化し、
前記システムが更に、
前記並進する装置を前記第1及び第2の可撓性導体のキャパシタンスに応じて制御して前記並進する装置が前記第1の物体又は前記第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するためのコントローラを備えている、
ことを特徴とする挟み込み防止システム。
【請求項2】
前記第1の可撓性導体が電気的に接地された中央コアであり、前記第2の可撓性導体が前記誘電体要素と前記第1の可撓性導体とを同軸に囲み、エラストマー・オーバーコートが前記第2の可撓性導体を囲む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記誘電体要素が、半剛性エラストマー及び空気の一方である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記並進する装置が自動車用窓であり、前記キャパシタンスセンサは、前記自動車用窓が完全閉鎖位置にあるときに該自動車用窓を受ける窓本体パネル上に配置される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記並進する装置が自動車用窓であり、前記キャパシタンスセンサは、前記自動車用窓が完全閉鎖位置にあるときに該自動車用窓を受ける自動車用ウエザーストリップと一体的に形成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記並進する装置が、自動車のスライドドア、自動車のサンルーフ、自動車用トランクリッド、自動車のハッチ、1対のドア、スライドドア、1対のエレベータドア、ヒンジ式ドア、ガレージドア、可動プレス装置、及びトノカバーの1つである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記誘電体要素がセル発泡体を含み、前記第1及び第2の可撓性導体の内の少なくとも一方が金属編組ワイヤを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止するための挟み込み防止システムであって、
第1、第2、及び第3の可撓性導体を有し、該第3の導体が前記第2の導体との間に第1の圧縮性誘電体要素を介在させて前記第2の導体を同軸に囲み、前記第2の導体が前記第1の導体との間に第2の圧縮性誘電体要素を介在させて前記第1の導体を同軸に囲み、前記第1及び第2の導体が或る分離距離だけ隔てられ、前記第2の導体が電気的に接地されている、前記並進する装置に隣接して配置されるキャパシタンスセンサを備え、
前記第1及び第2の導体が前記分離距離に依存するキャパシタンスを有し、前記第1及び第2の導体のキャパシタンスは、第1の物体が前記キャパシタンスセンサに接触するのに応じた前記第2の誘電体要素圧縮の結果として前記分離距離が変化するのに応じて変化し、
前記第2及び第3の導体が、前記第3の導体に対する第2の導電性物体の接近度に依存するキャパシタンスを有し、前記第2及び第3の導体のキャパシタンスは、前記第2の導電性物体が前記第3の導体に接近するのに応じて変化し、
前記システムが更に、
前記並進する装置を前記第1及び第2の導体のキャパシタンス並びに前記第2及び第3の導体のキャパシタンスに応じて制御して、前記並進する装置が前記第1の物体又は前記第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するためのコントローラを備えている、
挟み込み防止システム。
【請求項9】
並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止するための挟み込み防止システムであって、
互いに並列配置され、双方が単一のエラストマー外側ジャケットによって囲まれたキャパシタンス・ピンチセンサとキャパシタンス接近センサとを有する、前記並進する装置に隣接して配置されるキャパシタンスセンサを備え、
前記キャパシタンス・ピンチセンサが、第1及び第2の可撓性導体と、これらの間に介在された第1の圧縮性誘電体要素とを含み、前記第1及び第2の導体が或る分離距離だけ隔てられるように、前記第2の導体が前記第1の誘電体要素と前記第1の導体とを同軸に囲み、前記第2の導体が電気的に接地され、前記第1及び第2の導体が前記分離距離に依存する第1のキャパシタンスを有し、該第1のキャパシタンスは、第1の物体がキャパシタンス・ピンチセンサに接触するのに応じた前記誘電体要素の圧縮の結果として前記分離距離が変化するのに応じて変化し、
前記キャパシタンス接近センサが、第3及び第4の導体とこれらの間に介在された第2の圧縮性誘電体要素とを含み、前記第4の導体が、前記第2の誘電体要素と前記第3の導体とを同軸に囲み、前記第3の導体が電気的に接地され、前記第3及び第4の導体は、第2の導電性物体が前記第4の導体に接近するのに応じて変化する第2のキャパシタンスを有し、
前記システムが更に、
前記並進する装置を前記第1及び第2のキャパシタンスに応じて制御し、前記並進する装置が前記第1の物体又は前記第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するためのコントローラを備える、
挟み込み防止システム。
【請求項10】
並進する装置によって物体が挟み込みされるのを防止するための挟み込み防止システムであって、
或る分離距離だけ金属フレームから隔てられた可撓性導体を有し、該導体が前記分離距離に依存するキャパシタンスを有し、前記第1の導体を囲み、前記金属フレーム上に載置される圧縮性の非導電性エラストマーを更に有する、前記並進する装置に隣接して配置されるキャパシタンスセンサを備え、
前記導体のキャパシタンスは、第1の物体が前記第1の導体に接触するのに応じた前記圧縮性の非導電性エラストマーの圧縮の結果として前記分離距離が変化するのに応じて変化し、
前記導体のキャパシタンスが、第2の導電性物体が前記導体に接近するのに応じて変化し、
前記システムが更に、
前記並進する装置を前記導体のキャパシタンスに応じて制御して前記並進する装置が前記第1の物体又は前記第2の導電性物体のいずれかを挟み込みするのを防止するためのコントローラを備えている、
ことを特徴とする挟み込み防止システム。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公表番号】特表2006−501388(P2006−501388A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541536(P2004−541536)
【出願日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/028656
【国際公開番号】WO2004/031520
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(591013540)ナートロン コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】