説明

捕虫用粘着シート

【課題】基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺することができると共に、加工性や保存性が良好な捕虫用粘着シート、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用し得る紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れる捕虫用粘着シートを提供する。
【解決手段】基材シートの一方の面に、ポリオレフィン系高分子エラストマーと軟化点が85℃以上の水素添加処理された粘着付与剤を含む粘着剤層を有する粘着シートであって、当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合の粘着剤層のせん断力が、12〜80N/35mm×35mmであることを特徴とする捕虫用粘着シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫用粘着シートに関する。さらに詳しくは、本発明は、基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺することができると共に、加工性や保存性が良好な捕虫用粘着シート、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用し得る紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れる捕虫用粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハエなどの飛翔性害虫を駆除するためにはハエトリ紙が用いられていた。このハエトリ紙は表面に粘着剤を塗設して形成したもので、ハエが発生しやすい場所に設置し、表面の粘着性によりハエを捕獲するものであったが、捕獲能力や捕獲できる害虫の種類が少ないといった問題から、その使用頻度が年々低下しつつあり、近年、殺虫剤を散布する駆除方法が主流となってきた。しかし、このように殺虫剤を散布する方法では、飛翔性害虫に対する効果は充分であるというものの、反面、散布された土壌や植物に対して、好ましくない生物活性や化学的特性を与えてしまい、自然環境や人体に悪影響を及ぼしてしまうなどの問題がある。そこで、最近、自然環境や人体に悪影響を与えることなく、害虫を捕獲できるハエトリ紙などの粘着性捕獲体が見直されるようになってきており、例えば分子量が1万〜50万、且つ不飽和度が5モル%以下の高分子エラストマーと、分子量100〜1万の軟化剤とからなる粘着剤組成物であって、荷重10g/cm2の時のズレ速度が1mm/min以下、且つ荷重50g/cm2の時のズレ速度が1mm/min以上であることを特徴とする飛翔害虫捕殺用粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、様々な産業における工場において、製品中への害虫類の混入は重大な問題であるため、各種の対策が行われている。その中で、虫の走光性という習性を利用した紫外線誘引型の捕虫器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この紫外線誘引型の捕虫器は、高い捕虫性や電撃殺虫器でみられるような死骸の飛散がない、メンテナンスが容易であるなどの観点から多く使用されてきている。この捕虫器に使用される粘着シートは、紫外線による誘虫性を考慮して、紫外線透過性及び耐紫外線劣化性が要求性能として挙げられる。また比較的体重が軽い飛翔性の害虫が対象となるため、凝集力が非常に低い粘着剤を用いるのが一般的である。しかし、凝集力が非常に低いため、加工性、保存性という点で劣り、ロール端面からの粘着剤のしみ出しや剥離シートから剥がす際の粘着剤層の凝集破壊が問題であった。
なお、前記特許文献1における技術は、紫外線誘引型の捕虫器に適用し得る技術ではない。
【特許文献1】特許第3183976号公報
【特許文献2】実用新案登録第3023917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情のもとで、基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺することができると共に、加工性や保存性が良好な捕虫用粘着シート、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用し得る紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れる捕虫用粘着シートを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する捕虫用粘着シートを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、基材シートの一方の面に、粘着剤層として、ポリオレフィン系高分子エラストマーと、軟化点がある値以上の水素添加処理された粘着付与剤を含むものを設け、かつ当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合の粘着剤層のせん断力が、ある範囲にある粘着シートが、その目的に適合し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]基材シートの一方の面に、ポリオレフィン系高分子エラストマーと軟化点が85℃以上の水素添加処理された粘着付与剤を含む粘着剤層を有する粘着シートであって、当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合の粘着剤層のせん断力が、12〜80N/35mm×35mmであることを特徴とする捕虫用粘着シート、
[2]波長340〜440nmにおける紫外線透過率の最小値が70%以上であって、背面(基材シート)側から、340〜440nmの波長領域に発光ピークを有する紫外光を透過させ、粘着剤層面に走光性害虫を誘引・捕獲する上記[1]項に記載の捕虫用粘着シート、
[3]粘着剤層における軟化点85℃以上の水素添加処理された粘着付与剤の含有量が、ポリオレフィン系高分子エラストマー100質量部に対して、20質量部以上80質量部未満である上記[1]又は[2]項に記載の捕虫用粘着シート、及び
[4]粘着剤層の厚さが、10〜200μmである上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の捕虫用粘着シート、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺することができると共に、加工性や保存性が良好な捕虫用粘着シート、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用し得る紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れる捕虫用粘着シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の捕虫用粘着シートは、基材シートの一方の面に、ポリオレフィン系高分子エラストマーと軟化点が85℃以上の水素添加処理された粘着付与剤を含む粘着剤層を有する粘着シートである。
本発明の捕虫用粘着シートにおける基材シートの種類に特に制限はないが、紫外線誘引型の捕虫器への適用を考慮して、340〜440nmの波長領域に発光ピークをもつ紫外光に対する透過性の良好なものが好ましい。例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂などのプラスチックのフィルム、シート及びこれらの樹脂の混合物又は積層物からなるプラスチックフィルム、シート等が挙げられる。これらの基材シートは、未延伸でもよいし、縦又は横の一軸方向、あるいは二軸方向に延伸処理されたものであってもよい。さらに、上述した波長領域以外の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤などが含有されていてもよい。
【0007】
また、当該基材シートは、性能を損なわない範囲内で、その上に設けられる粘着剤層との密着性を向上させるために、所望により酸化法や凹凸化法などの表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、特には限定されないが例えばコロナ放電処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・プラズマ照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、特には限定されないが、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は基材シートの種類に応じて適宜選定されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー処理を施すこともできる。
当該基材シートの厚さに特に制限はないが、前記波長領域の紫外線透過性及び適度の剛性などの観点から、通常10〜250μm程度、好ましくは20〜150μmである。
【0008】
本発明の捕虫用粘着シートにおいて、前記基材シートの一方の面に設けられる粘着剤層は、必須成分として、ポリオレフィン系高分子エラストマーと粘着付与剤を含有する。
前記ポリオレフィン系高分子エラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、ポリイソブチレンなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、飛翔性害虫に対して優れた捕獲能力を示す観点から、特にポリブテン及びポリイソブチレンが好適である。
一方、粘着付与剤としては、軟化点が85℃以上の水素添加処理されたものが用いられる。軟化点が85℃未満の粘着付与剤では、加工性の良好なものが得られにくく、剥離シートから粘着シートを剥がす際に、粘着剤層の凝集破壊を起こすといった不具合が生じやすい。当該粘着付与剤の軟化点は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。また、その上限については特に制限はないが、通常150℃程度である。
また、当該粘着付与剤は、水素添加処理されていることが必要である。水素添加処理されていない粘着付与剤を用いると、紫外線誘引型の捕虫器に適用した場合、紫外光によって粘着付与剤が劣化し、結果として粘着剤層が硬化して、飛翔性害虫の捕獲性が低下する。
【0009】
水素添加処理された粘着付与剤としては、例えば水素添加ロジン系粘着付与剤、水素添加テルペン系粘着付与剤、水素添加石油樹脂系粘着付与剤などを挙げることができる。これらの粘着付与剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、水素添加石油樹脂系粘着付与剤が、紫外光による劣化が少なく、好適である。
本発明の捕虫用粘着シートにおいて、粘着剤層中の当該粘着付与剤の含有量は、前記ポリオレフィン系高分子エラストマー100質量部に対して、20質量部以上80質量部未満であることが好ましい。当該粘着付与剤の含有量が20質量部未満であると、剥離シートから粘着シートを剥がす際の粘着剤層の凝集破壊の発生や、保存安定性の低下などが生じやすく、一方80質量部以上であると捕虫性の低下や、紫外線誘引型の捕虫器に適用した場合、紫外光による粘着剤層の硬化が生じやすい。当該粘着付与剤のより好ましい含有量は25〜75質量部である。
本発明の捕虫用粘着シートにおける粘着剤層には、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じ340〜440nmの波長領域以外の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、無機粉末や金属粉末などの充填剤、着色剤等の公知の各種添加剤あるいはフェロモンなどの誘引物質などを含有させることができる。
【0010】
次に、基材シートの一方の面に粘着剤層を形成する方法について説明する。
まず、前記のポリオレフィン系高分子エラストマーと、軟化点が85℃以上の水素添加処理された粘着付与剤とを所定の割合で含み、必要に応じて前記の各種添加剤を含む粘着剤組成物を調製する。なお、この粘着剤組成物の調製においては、無溶媒で行ってもよいし、必要に応じ適当な溶媒を適宜含有させることができる。
次に、このようにして調製された粘着剤組成物を、無溶媒の場合はホットメルト化し基材シートの一方の面に塗布、冷却固化して粘着剤層を形成させる。また、粘着剤組成物を溶媒希釈した場合は、基材シートの一方の面に塗布、乾燥して粘着剤層を形成させる。粘着剤組成物を基材シートの一方の面に塗布する方法としては、特に制限はなく、従来公知の塗布装置が使用可能であり、例えば、ナイフコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、グラビアコーター等の塗布装置による方法が挙げられる。
粘着剤層の厚さは、特に制限はないが、通常10〜200μmであり、好ましくは15〜150μmであり、より好ましくは20〜100μmである。
このようにして形成された粘着剤層の上に、所望により剥離シートを設けることができる。
また、別の方法として、剥離シートの剥離処理面に、前記の塗布装置を使用し、粘着剤組成物を塗布して、前記厚さの粘着剤層を形成したのち、この粘着剤層上に基材シートを貼り合わせる方法を用いることもできる。
【0011】
前記剥離シートとしては、例えばグラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙、上質紙などの紙、又はそれらの紙にポリエチレン樹脂などをラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィンなどのプラスチックフィルムに、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などの剥離剤を乾燥質量で0.1〜3g/m2程度になるように塗布し、熱硬化や紫外線硬化などによって剥離層を設けたものなどが挙げられる。この剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常25〜200μmの範囲である。
本発明の捕虫用粘着シートにおいては、当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合の粘着剤層のせん断力が12〜80N/35mm×35mmであることを要す。このせん断力が12N/35mm×35mm未満では剥離シート上から粘着シートを剥離する際の粘着剤層の凝集破壊や、粘着剤のしみ出しなどの保存安定性に劣り、一方80N/35mm×35mmを超えると捕虫性が悪くなる。好ましいせん断力は15〜70N/35mm×35mmである。なお、せん断力は捕虫用粘着シートを紫外線に曝露する前に測定した値である。
本発明の捕虫用粘着シートは、適当な場所に設置して、飛翔性害虫を捕獲してもよいが、以下に示すように、紫外線誘引型の捕虫器に適用し、走光性害虫を捕獲することが好ましい。
この場合、本発明の捕虫用粘着シートにおける波長340〜440nmにおける紫外線透過率の最小値が70%以上であって、背面(基材シート)側から340〜440nmの波長領域に発光ピークを有する紫外光を透過させ、粘着剤層面に走光性害虫を誘引・捕獲する方法を用いることができる。
前記紫外線透過率が70%未満では誘虫性が低下し、また紫外線による物性低下が生じやすくなる。該紫外線透過率は80%以上であることが好ましい。
具体的には、340〜440nmの波長領域に発光ピークをもつ紫外光を発するタテ型光源をセットした捕虫器の支柱などに本発明の捕虫用シートを粘着剤層が前面側になるように、両面粘着テープなどを用いて装着することにより、走光性害虫を捕獲する。
【実施例】
【0012】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた粘着シートの性能を以下に示す方法に従って評価した。
(1)剥離性
JIS Z 0237に準拠して、幅50mmの粘着シートを剥離シートから、10m/minの剥離速度で180°剥離して、剥離力を測定した。
(2)紫外線透過率
粘着シートから剥離シートを剥がし、このサンプルについて、紫外可視分光光度計[島津製作所社製、機種名「UV−3101PC」]を用いて、波長340〜440nmの紫外線透過率の最小値を測定した。
(3)せん断力
23℃、50%RHの環境下で、幅35mmの粘着シートの基材シート側を両面テープを用いてステンレス鋼板に固定した試料を2つ用意し、その後、剥離シートを35mm剥がしたのち、露出した粘着剤層面同士を重ね合わせ、19.6Nローラーを用いて5往復して貼付した。
貼付30分後、引張り試験機[オリエンテック社製、機種名「UTM−4−100」]を用いて、JIS Z 0237に準拠し、速度300mm/minの条件でせん断力を測定した。
(4)紫外線劣化性
粘着シートから剥離シートを剥がし、粘着剤層の反対面から、フェードメーター試験機[スガ試験機社製、機種名「U48」、光源カーボンアークランプ]を用いて25時間照射したのち、前記(3)と同様にしてせん断力を測定した。
(5)捕虫性
波長340〜440nmの波長領域に発光ピークをもつ紫外光を発する蛍光灯をセットしたトーセロパックス(株)製捕虫ポールに、剥離シートを剥がした粘着シートの基材側を、両面粘着テープで貼付し、埼玉県蕨市錦町5−14−42の場所に30日間放置したのち、捕虫数を目視にて観察し、下記の判定基準で評価した。
◎:比較例1と同程度に捕獲された虫の数が多い。
○:捕獲された虫の数は多いが、比較例1よりも少ない。
×:捕獲された虫の数が、比較例1に比べてはるかに少ない。
【0013】
実施例1
ポリブテン、ポリイソブチレン系樹脂[新日本石油化学(株)製、商品名「エバータック」]100質量部(固形分)と、粘着付与剤として水素添加石油樹脂[荒川化学工業(株)製、商品名「アルコンP−125」、軟化点125℃]30質量部(固形分)を混合して粘着剤組成物を調製した。
この粘着剤組成物を、グラシン紙の片面にシリコーン処理された剥離シート上に、ダイコーターにより厚さが30μmになるようにホットメルト塗布したのち、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東レ社製、商品名「ルミラー」]に貼り合わせて粘着シートを作製した。この粘着シートの性能を評価した。結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、水素添加石油樹脂の添加量を50質量部(固形分)に変更した以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1において、水素添加石油樹脂の添加量を70質量部(固形分)に変更した以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例4
実施例1において、粘着付与剤として水素添加石油樹脂[荒川化学工業(株)製、商品名「アルコンP−90」、軟化点90℃]を用い、添加量を50質量部(固形分)にした以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0014】
実施例5
実施例1において、粘着付与剤として水素添加テルペン樹脂[ヤスハラケミカル(株)製、商品名「クリアロンP−115」、軟化点115℃]を用い、添加量を50質量部(固形分)にした以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、粘着付与剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1において、水素添加石油樹脂の添加量を10質量部(固形分)に変更した以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例3
実施例1において、水素添加石油樹脂の添加量を90質量部(固形分)に変更した以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例4
実施例1において、粘着付与剤として水素添加石油樹脂[荒川化学工業(株)製、商品名「アルコンP−70」、軟化点70℃]を用い、添加量を50質量部(固形分)にした以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
参考例1
ラベル用粘着シート[リンテック(株)製、商品名「PET38PLシン8LK」]について捕虫性を評価した。その結果を第1表に示す。
【0015】
【表1】

【0016】
[注]総合評価:剥離性、紫外線劣化性及び捕虫性についての総合評価で、○は合格、×は不合格を示す。
第1表から分かるように、本発明の粘着シート(実施例1〜5)は、いずれも剥離性、紫外線透過率、紫外線劣化性、捕虫性及び総合評価の全てについて合格である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の捕虫用粘着シートは、基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺し得ると共に、加工性や保存性が良好であり、しかも紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れ、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に、ポリオレフィン系高分子エラストマーと軟化点が85℃以上の水素添加処理された粘着付与剤を含む粘着剤層を有する粘着シートであって、当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合の粘着剤層のせん断力が、12〜80N/35mm×35mmであることを特徴とする捕虫用粘着シート。
【請求項2】
波長340〜440nmにおける紫外線透過率の最小値が70%以上であって、背面(基材シート)側から、340〜440nmの波長領域に発光ピークを有する紫外光を透過させ、粘着剤層面に走光性害虫を誘引・捕獲する請求項1に記載の捕虫用粘着シート。
【請求項3】
粘着剤層における軟化点85℃以上の水素添加処理された粘着付与剤の含有量が、ポリオレフィン系高分子エラストマー100質量部に対して、20質量部以上80質量部未満である請求項1又は2に記載の捕虫用粘着シート。
【請求項4】
粘着剤層の厚さが、10〜200μmである請求項1〜3のいずれかに記載の捕虫用粘着シート。

【公開番号】特開2008−142021(P2008−142021A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333367(P2006−333367)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】