説明

捜し物検知方法及び捜し物検知システム

【課題】 電子タグから発する音波を受けて、外部照明装置から電子タグにスポットライトを当てることにより、捜し物が新聞紙や雑誌等の下などの直接目で見えない場所にあっても、容易に捜し物を検知する。
【解決手段】 捜し物検知システムは、電子タグ20に所定の音波または電波による個体識別信号を送信する発信装置10と、発信装置10からの音波または電波を受信する受信回路r1と、スポットライト33からの光を受光する光センサ22と、光センサ22の出力信号から音波発生器23を制御する制御回路C1と、音波を発生する音波発生器23とを備えた電子タグ20と、スポットライト33と、スポットライト33の照射位置を変化させる照射位置可変手段a1,a2と、音波を受信する少なくとも2つのマイクロフォンM1,M2と、音源までの距離および音源の位置を推定する音源推定回路31と、音波の変化を分析する音波分析回路32とを備えた照明装置30とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置から照射する光を電子タグで受信し、電子タグから発生する音波を照明装置で受信することにより、捜し物を容易に検知することができる捜し物検知方法及び捜し物検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio frequency identification)技術を用いた電子タグの普及は目覚しく、非接触式ICカードによる交通機関の定期券認識や、電子タグを物品に取り付け、それらの位置を把握する物品管理システム等も可能になっている。
【0003】
一方、捜し物を検知する技術には、特許文献1のように、予め捜し物に付けた電子タグが発信装置からの電波を受信して音と光を発するものがある。また、特許文献2のように、特定の周波数電波に感応して発信する電子タグを住宅等の部屋にある物品(捜し物)に取り付け、この物品と部屋とを関連付けて探知機に記憶させるものがある。さらに、防犯用途では、特許文献3のように、非接触センサにより移動体を検知し、移動体にスポットライトを照射する装置が開示されている。なお、携帯電話を捜す場合は、その携帯電話に電話をかけて、その着信音からその携帯電話のある場所を認識することはよく行われているところである。
【特許文献1】特開平11−311680号公報
【特許文献2】特開2004−69331号公報
【特許文献3】特開2002−83383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、捜し物をする場合、捜し物が机の上等に目に見える状態で置かれているとは限らず、捜し物が新聞紙や雑誌等の下などに隠れている場所にある場合がある。しかしながら、上記特許文献1から3では、捜し物が新聞紙や雑誌等の下などに隠れている場所にある場合、電子タグの発する弱い光では周りからその光を見つけることができず、音だけをたよりに捜さなければならないという問題を有していた。音だけでは、上記携帯電話に電話をかけてその携帯電話を捜すのと同じであるが、音が鳴ったからといって、その捜し物のおおよその場所を認識できても、その捜し物を特定できるわけではない。また、ユーザが難聴者の場合や高齢者の場合は、捜し物を発見することが困難となる場合が考えられる。携帯電話がマナーモードになっているような場合も捜し物(携帯電話)を特定する(絞り込む)ことが出来ない。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の電子タグが固体識別電波を発するシステムでは、電波の性質上、電子タグの位置検出精度に難点があり、正確な位置が特定できないという問題を有していた。すなわち、その捜し物のおおよその場所を認識できても、その捜し物を特定する(絞り込む)までには高精度のものではない。
【0006】
さらに、上記特許文献3に記載の非接触センサにより移動体を検知し、移動体にスポットライトを照射する装置では、上記非接触センサと、スポットライトを照射する装置が独立しているので、上記非接触センサの検知精度により、スポットライトを照射する精度が一義的に決まってしまい、上記非接触センサの検知に誤差が生じてしまう問題を有する。
【0007】
なお、電子タグは物品に付けられる程度に小型でなければならず、結果、電子タグに搭載できる電池は小型のものとなるが、小型電池で光を発生させる手段としては、消費電力が少ない反面、強い光を発することができない発光ダイオードなどを使用するしかなかった。
【0008】
そこで本発明の目的は、捜し物が新聞紙や雑誌等の下などに隠れている場所に置かれていても、捜し物を特定することが可能な捜し物検知方法及び捜し物検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成する本発明にかかる捜し物検知方法は、捜し物に付けられた電子タグと、電子タグに送信波を発信する発信装置と、光を照射するスポットライトを有する照明装置とを備え、電子タグは、発信装置により電子タグへ送信波を発信すると、その送信波を受けて音波を発し、照明装置は、電子タグが発する音波をマイクロフォンが受信するとともに、スポットライトの光をマイクロフォンが受信した音波の音源方向を照射することを特徴とする。一方、本発明にかかる捜し物検知システムは、捜し物に付けられた電子タグと、電子タグに送信波を発信する発信装置と、光を照射するスポットライトを有する照明装置とを備え、電子タグは、発信装置からの送信波を受信する受信回路と、音波を発生する音波発生器とを有し、照明装置は、スポットライトの照射位置を変化させる照射位置可変手段と、電子タグからの音波を受信するマイクロフォンと、音源までの距離および音源の方向を推定する音源推定回路とを有することを特徴とする。ここで、発信装置としては、無線式リモートコントローラ、携帯電話や携帯情報端末(Personal Digital Assistant;PDA)等が該当する。
【0010】
捜し物を検出する人(ユーザ)が発信装置により電子タグへの送信波を発信すると、電子タグが音波を発して、照明装置のマイクロフォンが上記音波を受信すると、音源推定回路がマイクロフォンに入った音から音源の位置を推定し、照明装置の照射位置可変手段が推定した音源方向にスポットライトを向ける。スポットライトの光が照射されることにより、捜し物を検知できる。捜し物が新聞紙や雑誌等の下などの直接目で見えない場所にあっても、新聞紙や雑誌等の上を照射するために、新聞紙や雑誌等を除去すると、捜し物を見つけ出すことができる。
【0011】
本発明にかかる捜し物検知方法と捜し物検知システムとしては、照明装置は、電子タグから発生する音波を受信する手段として、少なくとも2つのマイクロフォンと、音源までの距離および音源の方向を推定する音源推定回路とを備えている構成が好ましい。照明装置に備えた少なくとも2つのマイクロフォンからの各々出力信号の違いから音源の位置を推定することができるため、回路構成が容易となる。
【0012】
本発明にかかる捜し物検知方法と捜し物検知システムとしては、電子タグは、スポットライトの光に応じて、発生する音波の周波数、音圧、又は、音の周期を適宜変更し、照明装置は、電子タグから発生する音波の変化に応じて、スポットライトの光の径、光の強さ、又は、光の周波数を適宜変更する手段が設けられている構成が好ましい。
【0013】
つまり、電子タグが受信する光に対して、電子タグから発生する音波の性質が単調である場合には、たとえ音源位置の特定に大きな誤差が生じスポットライトが当たっている領域内に電子タグが存在しなくても、ユーザはそのことを知ることが出来ず、捜し物を見つけだせない。しかし上記音源位置の特定の際生じる誤差を考慮すると、スポットライトの径は必要以上に大きくなってしまい、その照射する領域の中から捜し物を見つけ出すことは容易ではない。ここで、上記音源位置の特定の際生じる誤差とは、たとえば、電子タグから発する音波が室内の物品に反射した後で照明装置が上記音波を受信することによる測定誤差などがある。また、照明装置が受信する音波に対して、照明装置のスポットライトの光の性質が単調である場合も同様である。
【0014】
これに対して、本発明によれば、スポットライトの光に応じて、電子タグから発生する音波の性質が適宜変更され、音波の変化に応じて、スポットライトの光の性質(光の径、光の強さ、又は、光の周波数)が適宜変更されれば、各々音波と光との因果関係が容易に掴める。例えば、スポットライトの光を受光する電子タグの光センサの出力信号を取り込んだ制御回路が音波発生器を制御し、電子タグから発生する音波を受信する照明装置のマイクロフォンから上記の光センサが受けた光を推定する音波分析回路の出力信号を取り込んだ制御回路がスポットライトを制御することで、スポットライトの光の径を電子タグが付いた捜し物にかかるように大きくしたり、径を絞り込んだりして、捜し物の絞込み(特定)を進めることが出来る。
【0015】
また、本発明にかかる捜し物検知方法と捜し物検知システムとしては、捜し物検出を開始する時点の検出手段の検出結果を初期値として記憶し、以後、検出手段の検出結果と初期値との差異に基づいて捜し物の位置を求める方法が好ましい。これら検出手段の検出結果の初期値を制御回路に記憶し、以後、検出手段の検出結果と初期値との差異に基づいて捜し物の位置を求めることで、捜し物の場所を特定することができる。ここで、検出手段とは、電子タグから発生する音波を受信する照明装置のマイクロフォン、並びに、照明装置のスポットライトからの光を受光する電子タグの光センサである。また、初期値とは、捜し物検出を開始する時点での電子タグの光センサの出力信号、並びに、捜し物検出を開始する時点での電子タグから発生する音波を受信する照明装置のマイクロフォンから上記の光センサが受けた光を推定する音波分析回路の出力信号である。
【0016】
また、本発明にかかる捜し物検知方法と捜し物検知システムとしては、照明装置は、初期状態では、スポットライトから照射する光の径は予め決められた所定の大きさとし、電子タグから発生する音波の変化がない場合にスポットライトから照射する光の径を上記所定の径よりも大きくし、この大きくしたことにより電子タグから発生する音波の変化がある場合にはスポットライトから照射する光の径を小さくして、捜し物の位置を求める方法が好ましい。
【0017】
つまり、照明装置は、初期状態では、スポットライトから照射する光の径は予め決められた所定の大きさとする。この光が電子タグを照射出来ずに電子タグから発生する音波が変化しない場合には、照射する径を上記所定の径よりも大きくする。この大きくしたことにより電子タグがスポットライトの光によって照射され、電子タグから発生する音波が変化した場合には、スポットライトの径を小さくして電子タグの方向の絞込みを行う。この小さくしたことにより、スポットライトの径から電子タグが外れ、電子タグから発生する音波が変化した時には、スポットライトからの光の照射方向を前後左右に動かす。このようにしてスポットライトが電子タグを照射していないときは、スポットライトの径を大きくして電子タグを捜し、スポットライトが電子タグを照射しているときは、スポットライトの径を小さくして絞込みを行う。絞込みの途中でスポットライトから電子タグが外れたときには、スポットライトを前後左右に振って電子タグを照射するように修正し、より正確にスポットライトの光を電子タグに照射し、捜し物の位置を特定する。
【0018】
ここで、前述の初期状態で照明装置のスポットライトから照射する光の径は、上記音源位置の特定の際生じる誤差を考慮した大きさであり、最初の照射で電子タグを照射できる大きさに予め設定しておく。これは、音源位置の絞込みの時間を短くするために有効である。
【0019】
なお、電子タグが発生する音波は、人が聞くことが出来る可聴周波である場合は、スポットライトが照射する光の他に、音でも捜し物を検知することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電子タグから発する音波を受けて、照明装置から電子タグにスポットライトの光を当てることで、直感的に捜し物を特定して検知することができる。また、捜し物が新聞紙や雑誌等の下などの直接目で見えない場所にあっても、電子タグが発する音波をたよりに新聞紙や雑誌等の上をスポットライトの光が照射するので、音と照射する光により容易に捜し物を検知することが可能になる。そして、スポットライトの光を受光する電子タグの光センサの出力信号から制御回路が音波発生器を制御することで、スポットライトの光の径を電子タグが付いた捜し物にかかるように大きくしたり、径を絞り込んだりして、捜し物の絞込み(特定)を進め、より直感的に早くかつ正確に捜し物を検知することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は捜し物検知システムの実施例を示す。図1は、ユーザが所持する発信装置10と、この発信装置10からの音波または電波を受信し作動する電子タグ20と、電子タグ20から発生する音波の変化に応じてスポットライト33を照射する位置および光の径を調整する照明装置30から構成される。
【0023】
発信装置10は、図1に示すように、捜し物に付けた電子タグ20に対応したボタン11と電子タグ20への個体識別信号を音波または電波にて発信する発信回路12とを備える。電子タグ20は、図1に示すように、発信装置10から発信された個体識別信号を受信する受信回路r1と、スポットライト33からの光を受信する光センサ22と、受信回路r1からの出力信号と光センサ22からの出力信号を受けて音波発生器23への入力信号を制御する制御回路C1と、制御回路C1からの出力信号を受けて所定の音波を出力する音波発生器23とを備える。照明装置30は、図1に示すように、電子タグ20から出力された音波を受信する1つのマイクロフォンM1と、マイクロフォンM1を上下左右に振った時の各々の出力信号の違いから音源の位置を推定する音源推定回路31と、マイクロフォンM1からの出力信号から上記の光センサ22が受けた光を推定する音波分析回路32と、音波推定回路31および音波分析回路32からの出力信号を受けて、スポットライト33から照射する光を制御する制御回路C2と、制御回路C2からの出力信号を受けて、スポットライト33の位置を上下方向に変化させるアクチュエータ(照射位置可変手段)1aとスポットライト33の位置を左右方向に変化させるアクチュエータ(照射位置可変手段)b1を制御する制御回路C3とを備える。
【0024】
図1に示す構成は、スポットライト33から照射する光を制御する手段として、光の径を大きくしたり、小さくしたりする。また、スポットライト33から照射する光の径は、ある決められた最大値または最小値で動作を終了する。
【0025】
図1に示す構成は、電子タグ20から発する音波を受けて、電子タグ20の位置を推定し、照明装置30から電子タグ20にスポットライト33を当てることができるため、ユーザが容易に電子タグ20の所在を見つけることができる。
【0026】
図2は2つのマイクロフォンを使用した捜し物検知システムの実施例である。
発信装置10は、図3に示すように、捜し物に付けた電子タグ20に対応したボタン11と電子タグ20への個体識別信号を音波または電波にて発信する発信回路12とを備える。電子タグ20は、図3に示すように、発信装置10から発信された個体識別信号を受信する受信回路r1と、スポットライト33からの光を受信する光センサ22と、受信回路r1からの出力信号と光センサ22からの出力信号を受けて音波発生器23への入力信号を制御する制御回路C1と、制御回路C1からの出力信号を受けて所定の音波を出力する音波発生器23とを備える。照明装置30は、図3に示すように、発信装置10から発信された個体識別信号を受信する受信回路r2と、電子タグ20から出力された音波を受信する2つのマイクロフォンM1とM2と、受信回路r2の出力信号をトリガー信号として、マイクロフォンM1とM2からの各々の出力信号の違いから音源の位置を推定する音源推定回路31と、マイクロフォンM1またはM2からの出力信号から上記の光センサ22が受けた光を推定する音波分析回路32と、音波推定回路31および音波分析回路32からの出力信号を受けて、スポットライト33から照射する光を制御する制御回路C2と、制御回路C2からの出力信号を受けて、スポットライト33の位置を上下方向に変化させるアクチュエータ(照射位置可変手段)1aとスポットライト33の位置を左右方向に変化させるアクチュエータ(照射位置可変手段)b1を制御する制御回路C3とを備える。
【0027】
図2に示す構成は、少なくとも2つのマイクロフォンM1,M2を照明装置30に備えており、1つのマイクロフォンM1のみの場合に比べて、マイクロフォンを上下左右に動かす手間が不要となり、より早く正確に音源の位置を推定できる。例えば、上記音波がトーンバースト信号の場合は、上記受信回路r2の出力信号をトリガー信号として、上記マイクロフォンM1とM2に到達する各々音波の到達時間および到達時間差を計測することにより、音源までの距離および音源の方向を推定できる。また、上記音波が連続信号の場合は、上記マイクロフォンM1とM2に到達する各々音波のレベルおよびレベル差を計測することにより、音源までの距離および音源の方向を推定できる。また、音源からの音波が発生しない場合においては、マイクロフォンM1とM2にて各々受信する雑音を比較することにより、この雑音をキャンセルして音源からの音波の信号のS/N比を向上することができる。
【0028】
このように、複数のマイクロフォンを使用することにより、音源の位置をより的確にとらえることができる。例えば、上記照明装置30を室内の中央に配置し、室内の全方位からの音波をとらえるためには、3つのマイクロフォンを上記照明装置30の回転軸に対して各々120度間隔で備える構成が好ましい。
【0029】
図3は、上述の実施の形態を模式的に表したものであり、無線式リモートコントローラである電波発信装置10から捜し物に付けた電子タグ20に対応したボタンを押すことで、上記電子タグ20を起動し、上記電子タグ20から発生した音波に応じて、予め所定の場所に設置された照明装置30からスポットライト33を電子タグ20の在る位置に照射する例である。
【0030】
図4は、捜し物に付けた電子タグ20の位置を特定し、スポットライト33を電子タグ20に照射する手順を示したフローチャートである。
【0031】
ここで、住宅の部屋で捜し物が新聞紙に隠れているものとして、この捜し物を検出する例で本発明の使用例を上記フローチャートに従って説明する。
【0032】
まず、捜し物に付けた電子タグ20に対応した無線式コントローラ10のボタン11を押すと、電子タグ20への個体識別信号を発信する(S1)。
【0033】
無線式コントローラ10から発信された個体識別信号を受信した電子タグ20は、制御回路C1を起動し、光センサ22の出力信号を制御回路C1に取り込む。制御回路C1は、光センサ22の出力信号に対応した音波を発生するよう音波発生器23を制御する。初期状態では、スポットライト33から光の照射はないため、光センサ22の出力信号は、電子タグ20の所在に応じた基準の出力信号となり、音波発生器23は、光センサ22からの基準出力信号に応じた基準音波を発生する。(S2)ここで、制御回路C1は、上記光センサ22からの基準出力信号を初期値として記憶する。
【0034】
外部の所定場所に予め設置された照明装置30に所定の間隔で備わった2つのマイクロフォンM1とM2は、各々上記基準音波を受信する。照明装置30に備わった音源推定回路31は、上記2つのマイクロフォンM1とM2からの各々基準出力信号の違いから音源の位置を推定する(S3)。また、照明装置30に備わった音波分析回路32は、上記2つのマイクロフォンM1とM2からの基準出力信号から上記の光センサ22が受けた光を推定する。 ここで、制御回路C2は、音波分析回路32からの基準出力信号を初期値として記憶する。
【0035】
照明位置可変手段である2つのアクチュエータa1とb1は、推定した音源方向にスポットライト33を向け、光を照射する。初期状態では、スポットライト33から照射する光の径は、予め決められた大きさとする(S4)。
【0036】
そして、電子タグ20の制御回路C1は、スポットライト33からの光が初期値と比較して変化したかどうか(スポットライト33からの光を光センサ22が受信したかどうか)を判断し、音波発生器23から発生する音波を制御する。
照明装置30の制御回路C2は、電子タグ20からの音が初期値と比較して変化したかどうか(音波分析回路32がスポットライト33からの光を光センサ22が受信したと判断したかどうか)を判断する。(S5)。
【0037】
電子タグ20がスポットライト33から照射された光を受信する場合は、電子タグ20から発生する音は変化するため、スポットライト33は、電子タグ20から発生する音がさらに変化するまで、スポットライト33から照射する光の径を小さくして、電子タグ20の所在位置を特定する(S6,S7)。
【0038】
ここで、スポットライト33から照射する光の径を小さくすることで、電子タグ20がスポットライト33から照射された光を受信しなくなった場合は、スポットライト33は、その照射位置を適宜移動(前後左右に移動)して(S9)、電子タグ20から発生する音が変化する照射位置を見つけ、電子タグ20の所在位置をスポットライトの光で具体的に特定する(S10)。
【0039】
捜し物が新聞紙に隠れている場合は、その上をスポットライトの光が照射するため、新聞紙を除去すれば捜し物が見つかる。なお、スポットライト33の径がある決められた最大値よりも大きい場合は、動作が終了する(S6)。
【0040】
他方、電子タグ20から発生する音波の変化がない場合には、スポットライト33から照射する光の径を大きくし(S12)、電子タグ20から発生する音波の変化があるかどうか検証する(S13)。なお、スポットライト33の径がある決められた最大値よりも小さい場合は、動作が終了する(S11)。音が変化する場合は、符号S6のステップに移り、電子タグ20から発生する音波の変化がある場合にスポットライト33から照射する光の径を小さくすることにより(S7)、電子タグ20の所在位置を特定する(S8〜S10)。
【0041】
このように、この捜し物検知システムは、特別な機器を身に付けずに、捜し物にスポットライト33を当てることで捜し物の場所を特定して(絞込み)、直感的に捜し物を検知できる。
【0042】
本発明は、電子タグ20の所在状況により、音と光が変化することから、楽しい要素があり、用途としては、直感的で楽しみながら捜し物検索が行えるのみならず、玩具としての利用の可能性もある。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、スポットライト33から照射する光の径を変化させて、電子タグ20の所在を特定するとして説明したが、本発明は、スポットライト33から照射する光の強さあるいは光の周波数を適宜変更してもよい。また、照明装置30は1つの例で説明したが、2つ以上の照明装置30を用いて、異なる方向からのスポットライト33により光を照射するようにすることも可能である。
【0044】
例えば、照明装置は、電子タグから発生する音波を受けてスポットライトを所定の大きさで照射した後に、スポットライトの径を小さくして照射方向を振りながら電子タグの位置を絞り込む動作と、スポットライトの径を大きくしながら電子タグを捜す動作のどちらかを行う。例えば、この動作の違いを光の周波数で表してスポットライトに反映することにより、ユーザは今照射されているスポットライトの中に電子タグがあるのか、もしくは無いのか、隠れているのかを光の色で知ることが出来るようになる。このような情報は、捜し物をするユーザにとって有益であり、より早く捜し物を見つけられる。
【0045】
また、上述した実施の形態では、電子タグ20から発生する音波の周波数を特定していない。音波は、その周波数域により、低周波、可聴周波、超音波に分かれており、それぞれが異なる特性を持っている。例えば、低周波は遮蔽物を透過しやすい性質を持っており、隠れた場所にある電子タグ20を見つけ出しやすい。例えば、超音波は波長が短く選択性に優れた性質を持っており、電子タグ20の位置検出精度の向上が図れる。このことから、複数の周波数域の周波数を組み合わせることで、より確実に電子タグの位置情報を得ることが可能となる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態として示す捜し物検知システムの構成図である。
【図2】同捜し物検知システムの構成図である。
【図3】同捜し物検知システムの使用例の模式図である。
【図4】同捜し物検知システムにおける一連の処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10 発信装置
11 ボタン
12 発信回路
20 電子タグ
22 光センサ
23 音波発生器
30 照明装置
31 音源推定回路
32 音波分析回路
33 スポットライト
r1,r2 受信回路
C1,C2,C3 制御回路
M1,M2 マイクロフォン
a1,a2 アクチュエータ(照射位置可変手段)
40 検出手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
捜し物に付けられた電子タグと、電子タグに送信波を発信する発信装置と、光を照射するスポットライトを有する照明装置とを備え、電子タグは、発信装置により電子タグへ送信波を発信すると、その送信波を受けて音波を発し、照明装置は、電子タグが発する音波をマイクロフォンが受信するとともに、マイクロフォンが受信した音波の音源方向にスポットライトが光を照射することを特徴とする捜し物検知方法。
【請求項2】
電子タグと照明装置は、各々制御回路を備え、これらの制御回路は、捜し物検出を開始する時点の検出手段の検出結果を初期値として記憶し、以後、検出手段の検出結果と初期値との差異に基づいて捜し物の位置を求めることを特徴とする請求項1記載の捜し物検知方法。
【請求項3】
電子タグは、スポットライトの光に応じて、発生する音波の周波数、音圧、又は、音の周期を適宜変更するものであり、
照明装置は、初期状態では、スポットライトから照射する光の径は予め決められた所定の大きさとし、電子タグから発生する音波の変化がない場合にスポットライトから照射する光の径を音波の変化を生じるまで上記所定の径よりも大きくし、この大きくしたことにより電子タグから発生する音波の変化がある場合にはスポットライトから照射する光の径を小さくすることを特徴とする請求項2記載の捜し物検知方法。
【請求項4】
電子タグは、スポットライトの光に応じて、発生する音波の周波数、音圧、又は、音の周期を適宜変更するものであり、
照明装置は、初期状態では、スポットライトから照射する光の径は予め決められた所定の大きさとし、電子タグから発生する音波の変化がある場合にスポットライトから照射する光の径を小さくすることを特徴とする請求項2記載の捜し物検知方法。
【請求項5】
捜し物に付けられた電子タグと、電子タグに送信波を発信する発信装置と、光を照射するスポットライトを有する照明装置とを備え、電子タグは、発信装置からの送信波を受信する受信回路と、音波を発生する音波発生器とを有し、照明装置は、スポットライトの照射位置を変化させる照射位置可変手段と、電子タグからの音波を受信するマイクロフォンと、音源までの距離および音源の方向を推定する音源推定回路とを有することを特徴とする捜し物検知システム。
【請求項6】
前記照明装置は、音波を受信する少なくとも2つのマイクロフォンと、音源までの距離および音源の方向を推定する音源推定回路とを備え、音源推定回路は、上記2つのマイクロフォンからの各々出力信号の違いから音源の位置を推定することを特徴とする請求項5記載の捜し物検知システム。
【請求項7】
電子タグは、スポットライトからの光を受光する光センサと、光センサの出力信号から音波発生器を制御する制御回路とを有し、スポットライトの光に応じて、発生する音波の周波数,音圧又は、音の周期を適宜変更するものであり、
照明装置は、音波の変化を分析する音波分析回路と、音波分析回路の出力信号からスポットライトを制御する制御回路とを有し、電子タグから発生する音波の変化に応じて、スポットライトから照射する光の径、光の強さ、又は、光の周波数を適宜変更することを特徴とする請求項5記載の捜し物検知システム。
【請求項8】
電子タグと照明装置は、各々制御回路を備え、これらの制御回路は、捜し物検出を開始する時点の検出手段の検出結果を初期値として記憶し、以後、検出手段の検出結果と初期値との差異に基づいて捜し物の位置を求めることを特徴とする請求項5記載の捜し物検知システム。
【請求項9】
電子タグは、スポットライトからの光を受光する光センサと、光センサの出力信号から音波発生器を制御する制御回路とを有し、スポットライトの光に応じて、発生する音波の周波数、音圧、又は、音の周期を適宜変更するものであり、
照明装置は、上記音波の変化を分析する音波分析回路と、音波分析回路の出力信号からスポットライトを制御する制御回路とを有し、初期状態では、スポットライトから照射する光の径は予め決められた所定の大きさとし、電子タグから発生する音波の変化がない場合にスポットライトから照射する光の径を上記所定の径よりも大きくし、この大きくしたことにより電子タグから発生する音波の変化がある場合にはスポットライトから照射する光の径を小さくすることを特徴とする請求項7記載の捜し物検知システム。
【請求項10】
電子タグは、スポットライトからの光を受光する光センサと、光センサの出力信号から音波発生器を制御する制御回路とを有し、スポットライトの光に応じて、発生する音波の周波数、音圧、又は、音の周期を適宜変更するものであり、
照明装置は、上記音波の変化を分析する音波分析回路と、音波分析回路の出力信号からスポットライトを制御する制御回路とを有し、初期状態では、スポットライトから照射する光の径は予め決められた所定の大きさとし、電子タグから発生する音波の変化がある場合にはスポットライトから照射する光の径を小さくすることを特徴とする請求項7記載の捜し物検知システム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−2921(P2008−2921A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172042(P2006−172042)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、知的創造による地域産学官           連携強化プログラム「文部科学省 知的クラスター創成事業」委           託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出           願
【出願人】(304024430)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 (169)
【Fターム(参考)】