説明

排ガス処理方法および排ガス処理装置

【課題】揮発性有機化合物を除去できる排ガス処理方法および排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】ランダムに堆積して連続する空隙を形成するカーボン製不規則充填物8を充填したスクラバ容器2に排ガスを挿通し、主散水手段10によってカーボン製不規則充填物8に微生物を含む洗浄水を循環散布して揮発性有機化合物を溶け込ませ、洗浄水にマイクロナノバブルを導入して微生物を活性化することで、微生物に溶け込んだ揮発性有機化合物を分解させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排ガス処理方法および排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、揮発性有機化合物(VOC)を含有する排ガスの処理方法として、活性炭による吸着や、排ガスの燃焼による方法が実用化されている。
【0003】
活性炭による吸着には、塵埃やミストなどの浮遊物を除去する前処理が必要であり、使用によって吸着能力の低下した活性炭の再生処理に大きなコストがかかるという問題がある。
【0004】
また、排ガスを燃焼する方法では、燃料の消費が大きく、炭酸ガスを多量に排出するという問題がある。
【0005】
一般的に、環境負荷の少ない排ガス処理方法として、スクラバなどにより、排ガスを水、酸およびアルカリ溶液などの液体に接触させて汚染物質を吸収させる方法があるが、揮発性有機化合物を十分に除去できるものは提供されていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、揮発性有機化合物を除去できる排ガス処理方法および排ガス処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明による排ガス処理方法は、ランダムに堆積して連続する空隙を形成するカーボン製不規則充填物の層に微生物を含む洗浄水を散布し、排ガスを前記カーボン製不規則充填物の層に挿通する方法とする。
【0008】
この方法によれば、カーボン製不規則充填物に排ガス中の揮発性有機化合物を吸着させ、吸着された有機化合物を洗浄水の微生物によって分解することができ、排ガス中の揮発性有機化合物を連続的に除去できる。
【0009】
さらに、本発明による排ガス処理装置は、ランダムに堆積して連続する空隙を形成するカーボン製不規則充填物が充填され、排ガスが挿通されるスクラバ容器と、前記カーボン製不規則充填物に微生物を含む洗浄水を循環散布する主散水手段とを備えるものとする。
【0010】
この構成によれば、カーボン製不規則充填物に排ガス中の揮発性有機化合物を吸着させ、吸着された有機化合物を洗浄水の微生物によって分解することができ、排ガス中の揮発性有機化合物を連続的に除去できる。
【0011】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記不規則充填物が活性炭からなっていれば、揮発性有機化合物を吸着する効果が高いので、排気ガスから揮発性有機化合物をより確実に除去できる。
【0012】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記スクラバ容器の下側に一体に形成され、前記洗浄水を貯留する貯留槽を設ければ、主散水手段による洗浄水の循環散布が容易である。
【0013】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記スクラバ容器と前記貯留槽との間に、前記洗浄水を循環散布する中間散水手段を設けてもよく、前記中間散水手段が散水する前記洗浄水によって前記貯留槽内の洗浄水に水流を形成してもよい。
【0014】
この構成によれば、貯留槽に貯留する洗浄水の循環回数を多くすることができ、洗浄水内の微生物を活性化させて揮発性有機化合物の分解を促進できる。また、中間散水手段の散水によって洗浄水を撹拌することでも、微生物による揮発性有機化合物の分解を促進できる。
【0015】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記スクラバ容器は、前記カーボン製不規則充填物の下に合成樹脂製不規則充填物が充填されてもよい。
【0016】
この構成によれば、排ガス中が合成樹脂製不規則充填物を通過する際に、排気ガス中の浮遊物およびミスト並びに揮発性有機化合物の一部を洗浄水で回収してから、残留する揮発性有機化合物をカーボン製不規則充填物に吸着させるので、カーボン製不規則充填物に浮遊物や可溶性の成分が吸着されず、カーボン製不規則充填物の吸着能力を低下させず、揮発性有機化合物による負荷を低減することができる。
【0017】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記貯留槽は、貯留する前記洗浄水中にカーボン製不規則充填物を保持すれば、排気ガスから洗浄水に溶け込んだ揮発性有機化合物を洗浄水中に保持したカーボン製不規則充填物に吸着させて、微生物によって分解することができる。
【0018】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記貯留槽は、側壁の一部に底壁から隔離して設けた収容室に前記カーボン製不規則充填物を収容し、前記収容室の下方において、前記側壁と前記底壁とが、約45度の傾斜を有する傾斜壁で接続されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、収容室をから下方に流出した洗浄水が傾斜壁に沿って流れる水流を形成し、カーボン製不規則充填物に活性化した微生物を効率よく供給できる。
【0020】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記貯留槽は、前記洗浄水中にマイクロナノバブルを導入するマイクロナノバブル発生装置を有してもよく、前記マイクロナノバブル発生装置は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生装置であってもよい。
【0021】
この構成によれば、マイクロナノバブルによって洗浄水中の微生物を活性化させ、カーボン製不規則充填物における揮発性有機化合物の分解を促進できる。
【0022】
また、本発明の排ガス処理装置が、前記マイクロナノバブル発生装置にオゾンを供給するオゾン発生装置を有していれば、オゾンマイクロナノバブルを発生させ、洗浄水中に溶け込んだ有機化合物を酸化分解できる。
【0023】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記マイクロナノバブル発生装置によって前記貯留槽に貯留した前記洗浄水に水流を形成すれば、貯留槽内の洗浄水を撹拌して処理効率を高めることができる。
【0024】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記貯留槽は、貯留する前記洗浄水中の全有機体炭素濃度を測定するTOC測定器を有し、前記TOC測定器で測定した全有機炭素濃度に応じて前記主散水手段の散水量を調節する散水量制御手段を備えてもよい。
【0025】
この構成によれば、洗浄水中の全有機体炭素量が増加したときは、主散水手段の散水量を増加させて、活性のある微生物をカーボン製不規則充填物に供給して、揮発性有機化合物の分解能力を増強でき、全有機体炭素量が低下したときは、散水量を減少させて消費エネルギーを低減することができる。
【0026】
また、本発明の排ガス処理装置において、前記貯留槽から導出され、前記主散水手段で散水される前記洗浄水を濾過する急速濾過器を備えてもよく、前記急速濾過器で濾過した前記洗浄水からさらに有機化合物を吸着除去する活性炭吸着塔を備えてもよい。
【0027】
この構成によれば、急速濾過器で異常繁殖した微生物を除去して、洗浄水中の微生物が多くなりすぎないようにでき、活性炭吸着塔で微生物が揮発性炭素化合物を分解して生じた反応物を吸着除去できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、カーボン製不規則充填物に排ガス中の揮発性有機化合物を吸着させ、吸着された有機化合物を洗浄水の微生物によって分解するので、排ガス中の揮発性有機化合物を連続的に除去して分解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の第1実施形態の排ガス処理装置1を示す。排ガス処理装置1は、排ガスが下側から挿通されるスクラバ容器2と、スクラバ容器2の下側に一体に形成された貯留槽3とからなる。
【0030】
スクラバ容器2は、下端に多孔板からなる底板4が設けられ、上端に排気管5が設けられた容器である。底板4の上に合成樹脂製不規則充填物6が充填された合成樹脂製充填層7が形成され、合成樹脂製充填層7の上にカーボン不規則充填8が充填されたカーボン充填層9が形成されている。さらに、スクラバ容器2は、上部にカーボン充填層9に上から洗浄水を散布するスプレーノズルからなる主散水手段10が設けられている。
【0031】
合成樹脂製不規則充填物6およびカーボン製不規則充填物8は、ランダムに堆積して連続する空隙を形成し、合成樹脂製充填層7およびカーボン充填層9は、大きな圧力損失なく流体を通過させる。合成樹脂製不規則充填物6については、現在、スクラバ用の充填剤として市販されているプラスチック充填剤を用いることができ、カーボン製不規則充填物8については、多孔性のカーボン、好ましくは活性炭を市販のプラスチック充填剤と同様の形状または異なる形状に形成したものを用いる。
【0032】
貯留槽3は、有機化合物を分解する好気性の微生物を含んだ洗浄水を貯留しており、貯留する洗浄水を汲み出して、主散水手段10に送出する循環ポンプ11と、貯留する洗浄水にマイクロナノバブルを導入するマイクロナノバブル発生装置12とを有する。貯留槽3の側壁13の一部には、多孔板14で底壁15から隔離して形成した収容室16にカーボン製不規則充填物17が収容されて保持されている。収容室16に保持されるカーボン製不規則充填物17は、スクラバ容器2に充填されるカーボン製不規則充填物8と同じものを使用してもよく、異なるものであってもよい。また、貯留槽3は、収容室16の下方において、側壁13と底壁15とが45度の傾斜を有する傾斜壁18で接続されている。
【0033】
マイクロナノバブル発生装置12は、貯留槽3内の洗浄水を循環ポンプ19によって吸い出して、マイクロナノバブル発生器20に圧入し、洗浄水の流速によって調節弁21を介して自給した空気を剪断してマイクロナノバブル(微細な気泡)を生成し、洗浄水と共に吐出するものである。
【0034】
また、スクラバ容器2と貯留槽3との境界部には、排ガス流路22が接続され、排気ファン23によって排ガスが導入される。排ガスは、底板4を通過して、合成樹脂充填層7およびカーボン充填層9に挿通され、排気管5から排出される。さらに、スクラバ容器2と貯留槽3との境界部には、散水ポンプ11から主散水手段10に至る管路を分岐して、貯留槽3に洗浄水を散布するスプレーノズルからなる中間散水手段24が設けられている。中間散布手段24は、主に収容室16の上部に、偏って洗浄水を散布するようになっている。また、排ガス処理装置1には、主散水手段10と中間散水手段24とから散布される洗浄水の水量を調節するために、それぞれの管路には、調節弁25,26が設けられている。
【0035】
続いて、以上の構成からなる排水処理装置1の作用について説明する。
例えば、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸ブチルなどの揮発性有機化合物を含有する排ガスが、排ガス処理装置1に排ガス流路22から導入されると、排ガスは、合成樹脂充填層7において、マイクロナノバブルおよび微生物を含んだ洗浄水と接触し、排ガス中の浮遊物、水溶性の物質およびミストが取り除かれ、さらに、揮発性有機化合物の一部も洗浄水に溶け込む。
【0036】
さらに、排ガスは、カーボン充填層9を通過し、ここでも洗浄水に排ガス中の揮発性有機化合物が溶け込むとともに、残る揮発性有機化合物がカーボン製不規則充填物8に吸着される。カーボン製不規則充填物8には、洗浄水によりマイクロナノバブルで活性化した微生物が供給されるので、カーボン製不規則充填物8上には微生物が繁殖し、吸着された揮発性有機化合物を分解する。
【0037】
つまり、カーボン製不規則充填物8は、微生物によって再生され、再び揮発性有機化合物を吸着可能になる。このため、カーボン製不規則充填物8は吸着性能を維持することができ、連続して排ガスから揮発性有機化合物を除去することができる。
【0038】
特に、本実施形態では、排ガスを、合成樹脂充填層7において微生物が分解できない浮遊物などを取り除いてから、カーボン充填層9に挿通する。このため、カーボン製不規則充填物8は、浮遊物の吸着によって吸着性能が低下することがない。
【0039】
また、貯留槽3において、収容室16内に保持されているカーボン製不規則充填物17は、洗浄水に溶け込んだ揮発性有機化合物を吸着するが、カーボン製不規則充填物17にもマイクロナノバブルで活性化した微生物が繁殖し、揮発性有機化合物を分解してカーボン製不規則充填物17を再生する。
【0040】
さらに、中間散水手段24から散布される洗浄水およびマイクロナノバブル発生装置12から噴出するマイクロナノバブルの流れは、図中に矢印で示すように、収容室16を上から下に貫流し、貯留槽3内を大きく巡る循環水流を形成する。このとき、傾斜壁18も、収容室16の底部から流出した水流が底壁15に沿って循環するように案内する。
【0041】
つまり、中間散水手段24およびマイクロナノバブル発生装置12は、カーボン製不規則充填物17に活性化した微生物を効率よく供給し、揮発性有機化合物の分解を促進する。
【0042】
次に、図2に、本発明の第2実施形態の排ガス処理装置1を示す。以降の説明において、先に説明した構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態の排ガス処理装置1は、マイクロナノバブル発生装置12が空気を自給する配管に、オゾン発生装置27を設けたものである。
【0043】
これによって、マイクロナノバブル発生装置12は、オゾンを含有する微細な気泡であるオゾンマイクロナノバブルを形成する。オゾンマイクロナノバブルは、オゾンが揮発性有機化合物を酸化分解するので、排ガス処理装置1の揮発性有機化合物を分解する能力を向上させることができる。
【0044】
図3に、本発明の第3実施形態の排ガス処理装置1を示す。本実施形態の排ガス処理装置1は、貯留槽3の洗浄水の全有機体炭素濃度を測定するTOC(Total Organic Carbon)測定器28と、TOC測定器28で測定した全有機体炭素濃度に比例して、散水ポンプ11のモータ回転数を増減し、主散水手段10および中間散水手段24の散水量を調節するTOC調節計(散水量制御手段)29とを有している。
【0045】
本実施形態では、洗浄水の全有機体炭素濃度が上昇したとき、つまり、微生物が分解すべき有機化合物の量が増加したとき、主散水手段24からより多くの洗浄水を散布し、カーボン製不規則充填物8により多くの微生物とマイクロナノバブルを供給し、カーボン製不規則充填物8における揮発性有機化合物の分解を促進する。
【0046】
また、主散水手段24による散水量を増加することで、合成樹脂充填層7における排ガスと洗浄水との接触を多くして、洗浄水により多くの揮発性有機化合物を溶け込ませるので、カーボン充填層9における揮発性有機化合物の除去を確実にできる。
【0047】
さらに、中間散水手段24の散水量も増加するので、貯留槽3内の洗浄水の循環回数が増加し、微生物が洗浄水中に溶け込んでいる揮発性有機化合物を活発に分解するようになる。
【0048】
逆に、洗浄水の全有機体炭素濃度が低下したときは、散水ポンプ12の回転数を低下させることでエネルギーの消費を抑えることができる。
【0049】
図4に、本発明の第4実施形態の排ガス処理装置1を示す。本実施形態の排ガス処理装置1は、散水ポンプ11から主散水手段10および中間散水手段24に急速濾過器30を介して洗浄水を送出できる管路を設けたものであり、急速濾過器30を介さずに散水する洗浄水と、急速濾過器30で濾過してから散水する洗浄水との比率を調節するための調節弁31,32を有している。
【0050】
本実施形態では、通常は、急速濾過器30をバイパスして主散水手段10および中間散水手段24から散水するが、洗浄水中の微生物濃度が高くなりすぎた場合、散水ポンプ11から送出される洗浄水の一部分を急速濾過器30を通して散水するようにすることで、過剰な微生物を除去して微生物濃度を適切な範囲に維持することができる。
【0051】
急速濾過器30は、いわゆる逆洗浄が可能なように、逆向きに通水する配管ラインを設けてもよい。
【0052】
図5に、本発明の第5実施形態の排ガス処理装置1を示す。本実施形態の排ガス処理装置1は、洗浄水の一部を、急速濾過器30の後でさらに活性炭吸着塔33を通してから主散水手段10および中間散水手段24に供給できるようにしたものである。
【0053】
本実施形態では、微生物が揮発性有機化合物を分解する過程で生成される反応物を、活性炭吸着塔33において活性炭に吸着させることで、カーボン製不規則充填物8がそのような反応物を吸着して、排ガス中の揮発性有機化合物を吸着できなくなることを防止している。
【0054】
図6に、本発明の第6実施形態の排ガス処理装置1を示す。本実施形態の排ガス処理装置1は、第1実施形態の自給式のマイクロナノバブル発生装置12に替えて、強制吸気式のマイクロナノバブル発生装置34を設けたものである。
【0055】
マイクロナノバブル発生装置34は、貯留槽に設けた架台35に水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機36を設置したものであり、空気を強制注入するブロワ37と注入される空気量を調整する調整弁38とを有する。
【0056】
このような水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機36を用いても、第1実施形態と同様に、洗浄水中の微生物を活性化して、洗浄水に溶け込んだ有機化合物やカーボン製不規則充填物8に吸着された揮発性有機化合物を分解させることができる。
【0057】
同様に、図7に示す本発明の第7実施形態のように、オゾン発生装置27を有する第2実施形態の排ガス処理装置1において、マイクロナノバブル発生装置12を水中ポンプ型マイクロナノバブル発生装置34に置き換えてもよい。
【0058】
また、図8に示す本発明の第8実施形態のように、TOC測定器28およびTOC調節計29を有する第3実施形態の排ガス処理装置1において、マイクロナノバブル発生装置12を水中ポンプ型マイクロナノバブル発生装置34に置き換えてもよい。
【0059】
図9に示す本発明の第9実施形態のように、急速濾過器30を有する第4実施形態の排ガス処理装置1において、マイクロナノバブル発生装置12を水中ポンプ型マイクロナノバブル発生装置34に置き換えてもよい。
【0060】
図10に示す本発明の第10実施形態のように、急速濾過器30および活性炭吸着塔31を有する第5実施形態の排ガス処理装置1において、マイクロナノバブル発生装置12を水中ポンプ型マイクロナノバブル発生装置34に置き換えてもよい。
【実施例】
【0061】
図1に示す本発明の第1実施形態の排ガス処理装置1を用いて、実際の半導体工場の排ガスを処理する実証試験を行った。実証試験に用いた排ガス処理装置1は、スクラバ容器2の容量が4mであり、貯留槽3の容量が2mであった。
【0062】
それぞれ新しい、合成樹脂製不規則充填物6、カーボン製不規則充填物8およびカーボン製不規則充填物17を充填してから1ヶ月間運転し、微生物が安定してから、半導体工場のイソプロピルアルコールを含有する排ガスを連続して処理する運転を行った。
【0063】
排ガスの処理を開始してから7日後、イソプロピルアルコールの除去率を測定した結果93%という満足な結果が得られた。
【0064】
さらに、洗浄水を採取して、除去したイソプロピルアルコールを1次分解することで生じるアセトンの濃度を測定した結果、除去したイソプロピルアルコールから換算される量の20%の濃度であった。つまり、イソプロピルアルコールを1次分解して生じたアセトンは、さらに、逐次分解されて無害化されていることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【図2】本発明の第2実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【図3】本発明の第3実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【図4】本発明の第4実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【図5】本発明の第5実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【図6】本発明の第6実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【図7】本発明の第7実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【図8】本発明の第8実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【図9】本発明の第9実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【図10】本発明の第10実施形態の排ガス処理装置の概略図。
【符号の説明】
【0066】
1 排ガス処理装置
2 スクラバ容器
3 貯留槽
4 底板
5 排気管
6 合成樹脂製不規則充填物
7 合成樹脂充填層
8 カーボン製不規則充填物
9 カーボン充填層
10 主散水手段
11 散水ポンプ
12 マイクロナノバブル発生装置
13 側壁
14 多孔板
15 底壁
16 収容室
17 カーボン製不規則充填物
18 傾斜壁
19 循環ポンプ
20 マイクロナノバブル発生器
21 調節弁
22 排ガス流路
23 排気ファン
24 中間散水手段
25 調節弁
26 調節弁
27 オゾン発生装置
28 TOC測定器
29 TOC調節計(散水量制御手段)
30 急速濾過器
31 調節弁
32 調節弁
33 活性炭吸着塔
34 水中ポンプ型マイクロナノバブル発生装置
35 架台
36 マイクロナノバブル発生機
37 ブロワ
38 調節弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムに堆積して連続する空隙を形成するカーボン製不規則充填物の層に微生物を含む洗浄水を散布し、
排ガスを前記カーボン製不規則充填物の層に挿通することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項2】
ランダムに堆積して連続する空隙を形成するカーボン製不規則充填物が充填され、排ガスが挿通されるスクラバ容器と、
前記カーボン製不規則充填物に微生物を含む洗浄水を循環散布する主散水手段とを備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項3】
前記不規則充填物は、活性炭からなることを特徴とする請求項2に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記スクラバ容器の下側に一体に形成され、前記洗浄水を貯留する貯留槽を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記スクラバ容器と前記貯留槽との間に、前記洗浄水を循環散布する中間散水手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記中間散水手段が散水する前記洗浄水によって前記貯留槽内の洗浄水に水流を形成することを特徴とする請求項5に記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
前記スクラバ容器は、前記カーボン製不規則充填物の下に合成樹脂製不規則充填物が充填されていることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
前記貯留槽は、貯留する前記洗浄水中にカーボン製不規則充填物を保持することを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の排ガス処理装置。
【請求項9】
前記貯留槽は、側壁の一部に底壁から隔離して設けた収容室に、前記カーボン製不規則充填物を収容し、
前記収容室の下方において、前記側壁と前記底壁とが、約45度の傾斜を有する傾斜壁で接続されていることを特徴とする請求項8に記載の排ガス処理装置。
【請求項10】
前記貯留槽は、前記洗浄水中にマイクロナノバブルを導入するマイクロナノバブル発生装置を有することを特徴とする請求項4から9のいずれかに記載の排ガス処理装置。
【請求項11】
前記マイクロナノバブル発生装置は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生装置であることを特徴とする請求項10に記載の排ガス処理装置。
【請求項12】
前記マイクロナノバブル発生装置にオゾンを供給するオゾン発生装置を有することを特徴とする請求項10または11に記載の排ガス処理装置。
【請求項13】
前記マイクロナノバブル発生装置によって前記貯留槽に貯留した前記洗浄水に水流を形成することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の排ガス処理装置。
【請求項14】
前記貯留槽は、貯留する前記洗浄水中の全有機体炭素の濃度を測定するTOC測定器を有し、
前記TOC測定器で測定した全有機炭素濃度に応じて前記主散水手段の散水量を調節する散水量制御手段を備えることを特徴とする請求項4から13のいずれかに記載の排ガス処理装置。
【請求項15】
前記貯留槽から導出され、前記主散水手段で散水される前記洗浄水を濾過する急速濾過器を備えることを特徴とする請求項4から14のいずれかに記載の排ガス処理装置。
【請求項16】
前記急速濾過器で濾過した前記洗浄水からさらに有機化合物を吸着除去する活性炭吸着塔を備えることを特徴とする請求項15に記載の排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−319832(P2007−319832A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155684(P2006−155684)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】