説明

排ガス処理装置および排ガス処理方法

【課題】多量のナノバブルを低コストで発生可能であり、変動する排ガスの性状に合わせて、最適なナノバブル量を発生させることができる排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】この排ガス処理装置77によれば、排ガス処理部76からナノバブル製造部74に導入された洗浄水をナノバブルを利用して処理し、洗浄水中の浮遊物質にナノバブルを付着させて第4槽(浮遊物質分離槽)48で浮上させて、洗浄水から浮遊物質を分離して、洗浄水の水質を向上させる。この水質を向上させた洗浄水を再び排ガス処理部76に再利用するので、排ガス処理装置77の性能を向上させると共に洗浄水を節約することができる。また、マイクロバブル発生器6,13,22が設置された水槽5,11,20を3槽以上直列に配置し、排ガス処理部76からの排ガス洗浄水を第1槽5から第3槽20まで順次導入することにより、第3槽20でナノバブル含有排ガス洗浄水を効率的に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排ガス処理装置および排ガス処理方法に関し、排ガス処理後の洗浄水の水質を向上させて再び排ガス処理に再利用するイニシャルコストの安価な排ガス処理装置および排ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ナノバブル含有液体の製造方法およびナノバブル含有液体の製造装置に関する技術は知られているが、従来のナノバブル発生器から発生するナノバブル量は、少ないことが一般的であった。
【0003】
ところで、ナノバブルをより多量に発生することができるナノバブル発生機は、株式会社協和機設から2006年に販売が開始された。この株式会社協和機設のナノバブル発生装置を調査し、その構造を解析した結果、ナノバブルの特殊性から、ナノバブルを多量に製造するにはナノバブル発生機を構成する各種部品は、特製のものであった。このため、ナノバブル発生機の製造コストが高くなることのみならず、納期が長い状況であった。また、株式会社協和機設のナノバブル発生装置は、単品装置であるので、ナノバブルの発生量を目的に応じて自由に制御できないシステムであった。
【0004】
ところで、特許文献1(特許第4118939号公報)には、微細気泡(ナノバブルを含めた微細気泡)の発生方法や発生装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2004−121962号公報)には、従来技術としてのナノバブルの利用方法および装置が開示されている。この技術は、ナノバブルが有する浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極の実現による界面活性作用と殺菌作用などの特性を活用したものである。より具体的には、それらが相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能によって各種物体を高機能、低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができることを開示している。
【0006】
また、特許文献3(特開2003−334548号公報)には、従来技術としてのナノ気泡の生成方法が開示されている。この技術は、液体中において、(1)液体の一部を分解ガス化する工程、(2)液体中で超音波を印加する工程または、(3)液体の一部を分解ガス化する工程および超音波を印加する工程から構成されていることを開示している。
【0007】
また、特許文献4(特開2004−321959号公報)では、従来技術としてのオゾンマイクロバブルを利用する廃液の処理装置が開示されている。この技術では、マイクロバブル発生装置にオゾン発生装置より生成されたオゾンガスと処理槽の下部から抜き出された廃液を加圧ポンプを介して供給している。また、生成されたオゾンマイクロバブルをガス吹き出しパイプの開口部より処理槽内の廃液中に通気することを開示している。
【0008】
ところで、ナノバブルに関する研究が進展するに従い、ナノバブルの作用効果が、各種分野において様々な研究者より報告されている。産業界では、当然のこととして、ナノバブルをいかに安価に、かつ安定的に多量に製造するかが今後必要となる。排ガス処理の分野においても、排ガス処理装置の洗浄水にナノバブルを含有させることによる作用効果が期待されている。特に、排ガス洗浄水の水質が悪化した場合は、一般的に排ガス処理装置とは別の場所に設置してある排水処理設備に上記排ガス洗浄水を導入して処理している。ここで、排ガス処理設備の近くに設置可能でコンパクトな排ガス再利用設備が望まれている。
【0009】
また、上述したように、現在、株式会社協和機設のナノバブル発生装置が存在するが、該社は、ナノバブル発生装置を特注の部品を製作して組み合わせ、特別仕様で製作している。このため、現在では、株式会社協和機設のナノバブル発生装置は、特注部品が多いために、価格的に高コストになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4118939号公報
【特許文献2】特開2004−121962号公報
【特許文献3】特開2003−334548号公報
【特許文献4】特開2004−321959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、この発明の課題は、多量のナノバブルを低コストで発生可能であり、変動する排ガスの性状に合わせて、最適なナノバブル量を発生させることができて、ナノバブル発生量を必要に応じて自由に調整できる排ガス処理装置および排ガス処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明の排ガス処理装置は、導入された排ガスを洗浄水で洗浄する排ガス処理部と、
上記排ガス処理部から上記排ガスを洗浄した洗浄水が導入されると共に上記洗浄水にナノバブルを含有させるナノバブル製造部と、
上記ナノバブル製造部から上記ナノバブルを含有した洗浄水をろ過処理して、上記排ガス処理部に導入する洗浄水処理部とを備え、
上記ナノバブル製造部は、
マイクロバブル発生器を有すると共に上記排ガス処理部から導入された洗浄水にマイクロバブルを含有させる第1槽と、
マイクロバブル発生器を有すると共に上記第1槽から導入された洗浄水にマイクロナノバブルを含有させる第2槽と、
マイクロバブル発生器を有すると共に上記第2槽から導入された洗浄水にナノバブルを含有させる第3槽と、
上記第3槽からナノバブル含有洗浄水が導入されると共に上記洗浄水中の浮遊物質を浮上させて分離する第4槽と、
上記第4槽から上記洗浄水が導入されると共に上記洗浄水のバブル含有量と相関関係がある電位を計測する電位計が設置されている第5槽とを有することを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、上記排ガス処理部から上記ナノバブル製造部に導入された洗浄水をナノバブルを利用して処理し、洗浄水中の浮遊物質にナノバブルを付着させて第4槽(浮遊物質分離槽)で浮上させて、洗浄水から浮遊物質を分離して、洗浄水の水質を向上させる。そして、この水質を高めた洗浄水を再び排ガス処理部に再利用するので、排ガス処理装置の性能を向上させると共に洗浄水を節約することができる。
【0014】
また、この発明では、マイクロバブル発生器が設置された水槽を3槽以上直列に配置し、排ガス処理部からの排ガス洗浄水を上記第1槽から第3槽まで順次導入すると同時に、それぞれの槽に配置されたマイクロバブル発生器を運転する。これにより、第3槽でナノバブル含有排ガス洗浄水を効率的に製造できることが判明した。すなわち、最初の第1槽で、マイクロバブルを製造し、上記マイクロバブルを次の第2槽に導入して、マイクロバブルとナノバブルの混合バブルであるマイクロナノバブルを製造し、さらに上記マイクロナノバブルを最終的な第3槽に導入してさらにせん断して、ナノバブルを含有する排ガス洗浄水を製造することができる。よって、この発明によれば、多量のナノバブルを低コストで発生可能である。また、第5槽に設置されている電位計は導入された洗浄水のバブル含有量と相関関係がある電位を計測するので、洗浄水のバブル含有量を検出できる。
【0015】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記第1槽から第3槽のうちの少なくとも1槽に界面活性剤を添加する界面活性剤添加部と、上記第1槽から第3槽のうちの少なくとも1槽に無機塩類を添加する無機塩類添加部とのうちの少なくとも一方を備え、
さらに、上記第5槽に設置されている電位計が計測した電位に応じて上記界面活性剤添加部による界面活性剤の添加量と上記無機塩類添加部による無機塩類の添加量とのうちの少なくとも一方を制御する添加量制御部を備える。
【0016】
この実施形態によれば、上記添加量制御部でもって、界面活性剤や無機塩類の添加量を制御することで、変動する排ガスの性状に合わせて、最適なナノバブル量を発生させることができて、ナノバブル発生量を必要に応じて自由に調整できる。
【0017】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記界面活性剤添加部と無機塩類添加部の両方を備え、
上記添加量制御部は、上記電位計が計測した電位に応じて上記界面活性剤の添加量と上記無機塩類の添加量とを制御する。
【0018】
この実施形態によれば、上記添加量制御部でもって、界面活性剤と無機塩類の両方の添加量を制御するので、ナノバブルを多量に発生させることも可能となりナノバブル発生量を効果的に調整できる。
【0019】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記電位計は、酸化還元電位計である。
【0020】
この実施形態によれば、上記酸化還元電位計が測定した洗浄水の酸化還元電位に基づいて、界面活性剤と無機塩類の添加量を管理できる。上記洗浄水の酸化還元電位は、洗浄水中のナノバブル量と相関関係があるので、酸化還元電位でナノバブル量を間接的に制御,管理できる。
【0021】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記電位計は、ゼータ電位計である。
【0022】
この実施形態によれば、上記ゼータ電位計が測定した洗浄水のゼータ電位に基づいて、界面活性剤と無機塩類の添加量を管理できる。上記洗浄水のゼータ電位は、洗浄水中のナノバブル量と相関関係があるので、ゼータ電位でナノバブル量を間接的に制御,管理できる。
【0023】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記添加量制御部は、
上記第5槽に設置されている電位計が計測した電位を表す信号が入力されると共に上記信号に基づいて上記添加量を制御するための制御信号を生成するシーケンサーを有している。
【0024】
この実施形態によれば、上記添加量制御部が有するシーケンサーが生成する制御信号によって界面活性剤や無機塩類の添加量を管理できる。
【0025】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記界面活性剤添加部は、界面活性剤タンクとこの界面活性剤タンクから上記第1槽〜第3槽の各槽へ界面活性剤を導入するための薬品配管とこの薬品配管に設けたポンプとを有し、
上記無機塩類添加部は、無機塩類タンクとこの無機塩類剤タンクから上記第1槽〜第3槽の各槽へ無機塩類を導入するための薬品配管とこの薬品配管に設けたポンプとを有し、
上記シーケンサーは、上記添加量を制御するための制御信号でもって上記界面活性剤添加部のポンプと上記無機塩類添加部のポンプとを制御することで、上記第1〜第3槽への界面活性剤と無機塩類の添加量を制御する。
【0026】
この実施形態によれば、上記シーケンサーは、上記両ポンプを制御することで、界面活性剤タンクと無機塩類タンクから第1〜第3槽へ添加される界面活性剤と無機塩類の添加量を制御できる。
【0027】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水処理部は、活性炭吸着塔を有している。
【0028】
この実施形態によれば、洗浄水中に溶解している成分を活性炭吸着塔の活性炭で物理的に吸着処理できる。また、活性炭に繁殖する微生物をナノバブルで活性化して、活性炭が吸着した成分を生物学的に分解して、活性炭の破過までの時間を延ばすことができる。
【0029】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水処理部は、上記活性炭吸着塔の前段に急速ろ過塔を有している。
【0030】
この実施形態によれば、急速ろ過塔で洗浄水中の浮遊物質を確実に処理し、活性炭吸着塔の前処理を果たすことができる。そして、活性炭は、洗浄水中に溶解している成分を活性炭吸着塔の活性炭で物理的に吸着処理できる。また、活性炭に繁殖する微生物をナノバブルで活性化して、活性炭が吸着した成分を生物学的に分解して、活性炭の破過までの時間を延ばすことができる。
【0031】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水処理部は、上記活性炭吸着塔の後段に順に精密ろ過膜装置と逆浸透膜装置とを有している。
【0032】
この実施形態によれば、洗浄水中の溶解成分を活性炭吸着塔、精密ろ過膜装置、逆浸透膜装置で処理して、洗浄水の水質を高度に高め、排ガス処理部での排ガス処理の性能を向上させることができる。
【0033】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水処理部は、上記急速ろ過塔の前段に接触酸化槽を有している。
【0034】
この実施形態によれば、洗浄水中の溶解有機物濃度が高い場合、接触酸化槽で溶解有機物を微生物学的に経済的に処理することができる。そして、残存浮遊物質は、急速ろ過塔でろ過処理され、また残存溶解有機物は、活性炭吸着塔の活性炭でろ過処理できる。
【0035】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水処理部は、
上記活性炭吸着塔からの洗浄水が導入される処理水槽を有し、この処理水槽は上記洗浄水のTOCを測定するTOC計を有し、
上記シーケンサーは、上記TOC計から上記洗浄水のTOC濃度を表す信号を受け、この信号が表すTOC濃度が予め設定された設定値を超えたときに上記界面活性剤添加部のポンプと上記無機塩類添加部のポンプとを制御することで、上記第1〜第3槽への界面活性剤と無機塩類の添加量を増加させる。
【0036】
この実施形態によれば、活性炭吸着塔で洗浄水中の溶解有機物を処理できると同時に、処理水槽にTOC(全有機炭素)計が設置されているので、処理水槽の洗浄水の水質をTOC(全有機炭素)で測定することができる。すなわち、洗浄水をTOC(全有機炭素)で評価して、ナノバブル量が適正か否かを判断できる。
【0037】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記第1〜第3槽の各槽が有するマイクロバブル発生器は、空気を自吸し、マイクロバブルを発生する渦流ポンプを有している。
【0038】
この実施形態によれば、渦流ポンプ(加圧溶解ポンプ)が合計3台設置されているので、汎用ポンプである渦流ポンプ(加圧溶解ポンプ)で ナノバブルを経済的に製造することができる。また、渦流ポンプは、加圧して空気と水を混合するので、よりサイズの小さいバブルを製造することができる。
【0039】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水処理部は、上記処理水槽に設置された処理水ポンプを有し、この処理水ポンプは空気を自吸してマイクロバブルを発生する加圧溶解ポンプであり、上記処理水ポンプで上記洗浄水を上記排ガス処理部へ返送する。
【0040】
この実施形態によれば、洗浄水を洗浄水処理部から排ガス処理部に送水する直前で、マイクロバブルを発生する渦流ポンプ(加圧溶解ポンプ)を使用するので、マイクロバブルが洗浄水に充分に残存している状態で、マイクロバブル含有洗浄水として利用でき、排ガスの処理効率を向上させることができる。
【0041】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記排ガスが、揮発性有機化合物を含有する排ガスである。
【0042】
この実施形態によれば、揮発性有機化合物を含有する排ガスを効率的に、また洗浄水を垂れ流すことなく有効利用することができる。すなわち、洗浄水を揮発性有機化合物の処理においても再利用することができる。
【0043】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記第1槽と第2槽とは、槽の水面付近のオーバーフロー管と槽下部の連通管の2本の水配管で連結されており、
上記第2槽と第3槽とは、槽の水面付近のオーバーフロー管と槽下部の連通管の2本の水配管で連結されている。
【0044】
この実施形態によれば、第1〜第3槽は、槽の水面近くのオーバーフロー管と槽下部の連通管の2本で連結されているので、水槽下部の連通管を通過した洗浄水をマイクロバブル発生器に導入することで、浮遊物質によるマイクロバブル発生器の閉塞現象を回避できる。
【0045】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水処理部は、
活性炭吸着塔と、
上記活性炭吸着塔から洗浄水が導入されると共にCOD計が設置された処理水槽とを有し、
上記添加量制御部は、
上記COD計が計測した上記洗浄水のCOD値が設定値を超えたときに上記添加量を増加させる。
【0046】
この実施形態によれば、活性炭吸着塔で処理した後の洗浄水をCOD計で評価して、ナノバブル製造部におけるナノバブル発生量に反映することができる。
【0047】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水処理部は、活性炭吸着塔と、上記活性炭吸着塔から洗浄水が導入されると共にTOC計とCOD計が設置された処理水槽とを有し、
上記添加量制御部は、
上記TOC計が計測した上記洗浄水のTOC値が設定値を超えたとき、および上記COD計が計測した上記洗浄水のCOD値が設定値を超えたときに、上記添加量を増加させる。
【0048】
この実施形態によれば、活性炭吸着塔で処理した後の洗浄水をTOC計およびCOD計で評価して、ナノバブル製造部におけるナノバブル発生量に反映することができる。
【0049】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記排ガス処理部は、排ガスが導入される上部と、上記排ガスを洗浄した洗浄水が貯留される下部とを有し、
上記上部には、プラスチック充填材と気相用活性炭が配置され、上記下部には、液相用活性炭が配置されている。
【0050】
この実施形態によれば、排ガス処理部の上部にプラスチック充填材と気相用活性炭を充填し、かつ、下部に液相用活性炭を充填しているので、洗浄水の処理を上部の気相用活性炭と下部の液相用活性炭とで物理的に、また生物学的に処理でき、洗浄水の水質を向上させることができる。
【0051】
また、一実施形態の排ガス処理方法では、排ガス処理部に導入された排ガスを洗浄水で洗浄し、
上記排ガスを洗浄した洗浄水をナノバブル製造部の第1〜第5槽に順に導入して、第1槽に設置したマイクロバブル発生部で上記洗浄水にマイクロバブルを含有させ、第2槽に設置したマイクロバブル発生部で上記洗浄水にマイクロナノバブルを含有させ、第3槽に設置したマイクロバブル発生部で上記洗浄水にナノバブルを含有させ、第4槽ではナノバブルが付着した浮遊物質を浮上させて上記洗浄水から浮遊物質を分離させ、第5槽では上記洗浄水中のバブル含有量と相関関係がある電位を電位計で計測し、
さらに、上記第5槽からの上記ナノバブルを含有した洗浄水をろ過処理して、上記排ガス処理部に導入する。
【0052】
この実施形態の排ガス処理方法によれば、排ガスを洗浄した洗浄水にナノバブルを含有させて浮遊物質を分離したのち、再び排ガス処理部に再利用するので、洗浄水を節約することができる。
【発明の効果】
【0053】
この発明の排ガス処理装置によれば、排ガス処理部からナノバブル製造部に導入された洗浄水をナノバブルを利用して処理し、洗浄水中の浮遊物質にナノバブルを付着させて第4槽(浮遊物質分離槽)で浮上させて、洗浄水から浮遊物質を分離して、洗浄水の水質を向上させる。そして、この水質を高めた洗浄水を再び排ガス処理部に再利用するので、排ガス処理装置の性能を向上させると共に洗浄水を節約することができる。また、この発明では、マイクロバブル発生器が設置された水槽を3槽以上直列に配置し、排ガス処理部からの排ガス洗浄水を上記第1槽から第3槽まで順次導入すると同時に、それぞれの槽に配置されたマイクロバブル発生器を運転する。これにより、第3槽でナノバブル含有排ガス洗浄水を効率的に製造できることが判明した。すなわち、最初の第1槽で、マイクロバブルを製造し、上記マイクロバブルを次の第2槽に導入して、マイクロバブルとナノバブルの混合バブルであるマイクロナノバブルを製造し、さらに上記マイクロナノバブルを最終的な第3槽に導入してさらにせん断して、ナノバブルを含有する排ガス洗浄水を製造することができる。よって、この発明によれば、多量のナノバブルを低コストで発生可能である。また、第5槽に設置されている電位計は導入された洗浄水のバブル含有量と相関関係がある電位を計測するので、洗浄水のバブル含有量を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の排ガス処理装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】この発明の排ガス処理装置の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図3】この発明の排ガス処理装置の第3実施形態を模式的に示す図である。
【図4】この発明の排ガス処理装置の第4実施形態を模式的に示す図である。
【図5】この発明の排ガス処理装置の第5実施形態を模式的に示す図である。
【図6】この発明の排ガス処理装置の第6実施形態を模式的に示す図である。
【図7】この発明の排ガス処理装置の第7実施形態を模式的に示す図である。
【図8】この発明の排ガス処理装置の第8実施形態を模式的に示す図である。
【図9】この発明の排ガス処理装置の第9実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0056】
(第1の実施の形態)
図1は、この発明に係る排ガス処理装置の第1実施形態を模式的に示す図である。すなわち、この第1実施形態は、ナノバブルを製造し、製造したナノバブルを利用して排ガスを処理する排ガス処理装置77である。
【0057】
この排ガス処理装置77は、排ガス1が導入される排ガス処理部76と、この排ガス処理部76からの洗浄水が導入されるナノバブル製造部74と、このナノバブル製造部74からの洗浄水が導入されると共に上記洗浄水を処理して上記排ガス処理部76へ導入する洗浄水処理部75とを備えている。
【0058】
最初に、上記排ガス処理部76について説明する。
【0059】
排ガス1は、排気ファン2により、排気ダクト52を通過して、排ガス処理部3に導入される。なお、図1では、符号76でも排ガス処理部3を示しており、符号3は排ガス処理部の図1における縦方向の範囲を示し、符号76は排ガス処理部の図1における横方向の範囲を示している。
【0060】
また、この第1実施形態では、一例として、排ガス1を半導体工場での揮発性有機化合物を含有する排ガスとした。具体的には、半導体工場での揮発性有機化合物としては、イソプロピールアルコールが代表的成分である。イソプロピールアルコール以外の成分としてはアセトンや酢酸ブチルなどがある。
【0061】
排ガス処理部3は、縦方向での区分で排気ファン2を境に合成樹脂製充填材61が充填されている上部4と、排ガスを洗浄した後の洗浄水が一時的に貯留される下部56とを有している。
【0062】
合成樹脂製充填材61としては、この実施形態では具体的一例として、月島環境エンジニアリング株式会社の商品名テラレットS−II型を採用した。この商品テラレットは、洗浄水を利用する排ガス処理装置には広く採用されており、(1)死面を形成しないので有効面積が大きい、(2)線構造で空間率が大きいので、圧力損失が小さい、(3)材質が合成樹脂であるので軽量で化学的腐食や機械的衝撃に強いといった利点を持っている。
【0063】
合成樹脂製充填材61は、排ガス処理部3の縦方向の観点から見て、中央部付近に設置されている下部穴あき板63の上に充填されている。この下部穴あき板63の穴は、排ガスの全量が効率的に通過するだけの開口面積を有しているならば、形状は限定しないが、丸形状が一般的である。
【0064】
排ガス1は、排気ファン2によって、排ガス処理部3の上部4に導入されて、洗浄水配管59に取り付けられた散水ノズル60から散水される洗浄水109によるシャワー水で洗浄されて、排ガス1中の成分が気液の接触により、洗浄水109に移行し、処理されることになる。その気液の接触効率を増加させる役目をするのが、合成樹脂製充填材61である。
【0065】
排ガス1を処理する処理効率の観点で言えば、合成樹脂製充填材61と洗浄水の水質がポイントとなり、特に洗浄水の水質は、処理効率に対する影響が最も大きい。すなわち、洗浄水の水質がよい程、排ガス1の成分が洗浄水に効率よく移行して、処理効率を増加させることができる。
【0066】
したがって、洗浄水を再利用するためには、洗浄水を水処理する設備、すなわち再利用設備の性能が最重要ポイントである。
【0067】
そして、この第1実施形態では、排ガス1中の成分がイソプロピールアルコールであり、イソプロピールアルコールは水溶性であることから、排ガス1中のイソプロピールアルコールは、上部4において洗浄水109中に容易に移行して、排ガス処理部3の下部56に貯留されることになる。
【0068】
排ガス処理部3の下部56に貯留されたイソプロピールアルコール洗浄水(被処理水)は、吸い込み配管65から吸い込まれて移送ポンプ66にて、水配管67を経由して、第1槽(マイクロバブル発生槽)5に移送される。
【0069】
一方、排ガス処理部3で処理されたガスは、処理ガス57となって、排ガス処理部3の最上部の煙突58から排出される。
【0070】
次に、ナノバブル製造部74について詳細に説明する。そして、その後で洗浄水処理部75を詳細に説明する。
【0071】
ナノバブル製造部74は、大きくは、第1槽(マイクロバブル発生槽)5、第2槽(マイクロナノバブル発生槽)11、第3槽(ナノバブル発生槽)20、第4槽(浮遊物質分離槽)48、第5槽(測定槽)29、界面活性剤タンク32、無機塩類タンク37および各種ポンプ等から構成されている。
【0072】
そして、第1槽5には、必要に応じて、界面活性剤タンク32からの界面活性剤が第1定量ポンプ33により薬品配管43を経由して添加される。そして、第1槽5には、必要に応じて、無機塩類タンク37からの無機塩類が第4定量ポンプ38により、薬品配管42を経由して添加される。
【0073】
それら界面活性剤と無機塩類の添加量は、第1槽5でのマイクロバブルの発生量で決定される。
【0074】
1次的には、マイクロバブル発生量としてのマイクロバブルの個数は、ベックマン・コールター株式会社のコールターカウンターで試験することができる。
【0075】
この第1実施形態の排ガス処理装置77による排ガス処理システムの全体としては、測定槽である第5槽29に取り付けられた酸化還元電位計で測定した酸化還元電位測定値に応じて、上記界面活性剤と無機塩類の添加量が制御されて、この酸化還元電位測定値と相関関係にあるナノバブル発生量が制御されることになる。なお、上記酸化還元電位計は、酸化還元電位検出部30と酸化還元電位調節計62とで構成される。また、上記界面活性剤と無機塩類の添加量は、ナノバブル発生量と相関関係にある。そして、上記酸化還元電位測定値でもって界面活性剤と無機塩類の添加量を制御している。
【0076】
そして、第1槽(マイクロバブル発生槽)5の内部には、マイクロバブル発生装置78を構成する水中ポンプ型マイクロバブル発生機6が設置されている。また、第1槽5の外部には小型ブロワー7が設置されている。すなわち、マイクロバブル発生装置78は、水中ポンプ型マイクロバブル発生機6、小型ブロワー7、気体配管8から構成されている。この水中ポンプ型マイクロバブル発生機6には、小型ブロワー7から吐出する気体としての空気が、気体配管8を経由して供給され、バブル水流9を発生している。
【0077】
上述したように、上記第1槽5には、必要に応じて、界面活性剤タンク32から界面活性剤が第1定量ポンプ33により、薬品配管43を経由して添加される。また、第1槽5には、必要に応じて、無機塩類タンク37から無機塩類が第4定量ポンプ38により、薬品配管42を経由して添加される。
【0078】
これら界面活性剤や無機塩類の添加量は、上記したが、システムの観点からより詳細に記載すると、後で述べる第5槽(測定槽)29に設置されている酸化還元電位検出部30と酸化還元電位調節計62からの信号をシーケンサー31で受けて、その信号により連携して、第1定量ポンプ33や第4定量ポンプ38の吐出量が調整され、第5槽(測定槽)29における設定された酸化還元電位が維持される。
【0079】
マイクロバブル、マイクロナノバブルおよびナノバブルが多量に存在すると酸化還元電位の値がプラスのミリボルトを示す。この第1実施形態では、一例として、第5槽(測定槽)29での酸化還元電位の設定値を20ミリボルト(mV)以上とした。つまり、この第5槽(測定槽)での酸化還元電位の値が20ミリボルト(mV)以上となるように、シーケンサー31により第1槽5への界面活性剤や無機塩類の添加量が制御される。ここで、例えば、第1,第2,第3槽5,11,20の各槽に酸化還元電位計を設置してこの酸化還元電位計からの信号をシーケンサーに入力しシーケンサーで界面活性剤や無機塩類の添加量を制御することで、第1槽5での酸化還元電位を5mV以上とし、第2槽11での酸化還元電位を10mV以上とし、最終的に第3槽20での酸化還元電位を20mV以上とすることもできる。
【0080】
上記第5槽(測定槽)29での酸化還元電位の設定値は、被処理水である原水の水質、成分によって決定することができる。また、第1槽(マイクロバブル発生槽)5でのマイクロバブルの発生量は、界面活性剤と無機塩類が有る無しでは相当異なり、界面活性剤と無機塩類が有るとマイクロバブルの発生量が極端に増大する。また、上記界面活性剤は、例えば、原水の水質やバブル発生量の実験を行って、それらのデータにより市販品の中からカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤の中から適当なものを選定すればよい。また、上記無機塩類としては、例えば、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等の中から原水の水質やバブル発生量の実験を行って、それらのデータにより適当なものを選定すればよい。
【0081】
なお、界面活性剤タンク32には、タンク内を撹拌する目的で、第1撹拌機36が設置され、また同様に無機塩類タンク37には第2撹拌機41がタンク内を撹拌する目的で設置されている。
【0082】
第1槽(マイクロバブル発生槽)5に設置されている水中ポンプ型マイクロバブル発生機6は、一般的な水中ポンプと同様であり、高速回転するインペラ部分に小型ブロワー7からの空気が供給され、高速回転するインペラによって小型ブロワー7からの空気がせん断されてマイクロバブルを発生する。この水中ポンプ型マイクロバブル発生機6の特徴は、液中に360度方向すなわち水中ポンプ型マイクロバブル発生機6の全周囲方向にマイクロバブルを噴射することができることである。また、小型ブロワー7から水中ポンプ型マイクロバブル発生機6に供給する空気量は、2〜5リットル/分である。なお、この水中ポンプ型マイクロバブル発生機6と小型ブロワー7および空気配管8を合わせてマイクロバブル発生装置78としている。
【0083】
上記したように、第1槽5へ界面活性剤と無機塩類を添加すると、添加量により異なるが、被処理水が牛乳のように白濁する。
【0084】
次に、第1槽5からオーバーフローで流出した被処理水(すなわち第1槽5の水面近くの被処理水)は、第1槽5と第2槽11の間に設置されたオーバーフロー配管10を経て第2槽11に流入する。このオーバーフロー配管10を経て第2槽(マイクロナノバブル発生槽)11に流入する洗浄水としての被処理水は、被処理水中の浮遊物質を浮上させたスカム(浮上した汚泥)を含んでいる。排ガス1中のイソプロピールアルコールを、洗浄水に移行させて排ガス処理装置77の全体システムで循環させると、イソプロピールアルコールの濃度が100ppm以下であっても、洗浄水中にスカムが発生する。スカムが発生したままの洗浄水を排ガス処理部3で使用すると排ガス処理能力が大幅に低下して、イソプロピールアルコールの除去率が30%以下となった。したがって、洗浄水としての被処理水中から浮上させたスカム(浮上した汚泥)を除去する必要がある。
【0085】
また、第1槽5と第2槽11の間には、槽の下部に下部マイクロバブル配管50が設置され、浮遊物質を含まない被処理水が第2槽11に流入する。この第2槽11に設置されたマイクロナノバブル発生装置79の吸い込み配管14に、浮遊物質を含まない被処理水を流入させることで、マイクロナノバブルを多量に発生させることができる。一方、第1槽5の上部の浮遊物質すなわちスカムを含む被処理水が、マイクロナノバブル発生装置79に流入した場合は、マイクロナノバブル発生器13の閉塞を起こして性能が劣化する。
【0086】
そして、上記したように、マイクロナノバブル発生槽である第2槽(マイクロナノバブル発生槽)11には、マイクロナノバブル発生装置79が設置されている。この第2槽11のマイクロナノバブル発生装置79は、循環ポンプ15、部品としてのマイクロナノバブル発生器13、吸い込み配管14、空気配管16、空気ニードルバルブ17、水配管18より構成され、バブル水流12を発生する。また、この第2槽(マイクロナノバブル発生槽)11には、界面活性剤タンク32からの界面活性剤が薬品配管44を経由して第2定量ポンプ34により必要に応じて添加される。また、第2槽11には、無機塩類タンク37からの無機塩類が第5定量ポンプ39により、薬品配管46を経由して必要に応じて添加される。
【0087】
上記界面活性剤や無機塩類の添加量は、水処理装置における全体的な観点から記載すると、後で述べる第5槽(測定槽)29に設置されている酸化還元電位検出部30と酸化還元電位調節計62(2つ合わせて酸化還元電位計)の信号をシーケンサー31で受ける。そして、このシーケンサー31によって、第2定量ポンプ34や第5定量ポンプ39の吐出量が調整される。上述したように、ここで、界面活性剤と無機塩類の作用は、マイクロナノバブル発生装置79が発生するマイクロナノバブルの発生量を飛躍的に増大させる添加剤である。マイクロナノバブルの発生量は、界面活性剤と無機塩類の添加の有る無しでは、相当異なり、添加が有ると極端に発生量が増大する。
【0088】
次に、第2槽11からオーバーフローで流出した被処理水は、オーバーフロー配管19を経て第3槽(ナノバブル発生槽)20に流入する。この第3槽20には、ナノバブル発生装置80が設置されている。この第3槽20のナノバブル発生装置80は、循環ポンプ24、部品としてのナノバブル発生器22、吸い込み配管23、空気配管25、空気ニードルバルブ26、水配管27より構成され、バブル水流21を発生する。また、この第3槽(ナノバブル発生槽)20には、界面活性剤タンク32からの界面活性剤が第3定量ポンプ35により薬品配管45を経由して、必要に応じて添加される。また、第3槽20には、無機塩類タンク37から無機塩類が第6定量ポンプ40により、薬品配管47を経由して、必要に応じて添加される。
【0089】
界面活性剤や無機塩類の添加量は、装置の観点から記載すると、先で述べる第5槽(測定槽)に設置されている酸化還元電位検出部30と酸化還元電位調節計62(2つ合わせて酸化還元電位計)の信号をシーケンサー31で受けて、第3定量ポンプ35や第6定量ポンプ40の吐出量が調整される。上述したように、界面活性剤と無機塩類の作用は、ナノバブル発生装置80が発生するナノバブルの発生量を飛躍的に増大させる添加剤としての作用である。上記ナノバブルの発生量は、界面活性剤と無機塩類の添加の有る無しでは、相当異なる。つまり、上記添加が有るとナノバブル発生量が極端に増大する。
【0090】
なお、第2槽11と第3槽20の間には、槽の下部に下部マイクロバブル配管51が設置され、浮遊物質を含まない被処理水が第3槽20に流入する。この第3槽20に設置されたナノバブル発生装置80の吸い込み配管23に、浮遊物質を含まない被処理水を流入させることで、ナノバブルを多量に発生させることができる。
【0091】
次に、第3槽(ナノバブル発生槽)20から流出した被処理水は、オーバーフロー配管28を経由して、第4槽(浮遊物質分離槽)48に流入する。この第4槽48は、浮遊物質分離槽である。第1槽(マイクロバブル発生槽)5におけるマイクロバブル、第2槽11におけるマイクロナノバブル、第3槽20におけるナノバブルは、被処理水中の浮遊物質に付着することによって、第1槽5〜第3槽20までの3つの水槽内で浮遊物質が浮上し、分離される。そして、第4槽(浮遊物質分離槽)48に浮遊物質が流入した時点で、第4槽48の水面49の部分に集積し、高濃度浮遊物質排水配管53から系外に排出される。
【0092】
一方、第4槽48において、浮遊物質が浮上して分離された洗浄水としての被処理水は、この第4槽48と第5槽(測定槽)29との間を連結している下部連通配管54を通過して、第5槽29に流入する。この第5槽29には、上述したように、水中の酸化還元電位を測定するための酸化還元電位検出部30が設置されている。この酸化還元電位検出部30は、ナノバブルが有する酸化力を測定するための検出部であり、ナノバブル量と酸化還元電位は相関関係がある。
【0093】
ここで、酸化還元電位検出部30と酸化還元電位調節計62とで構成した酸化還元電位計、第1定量ポンプ33、第2定量ポンプ34、第3定量ポンプ35、第4定量ポンプ38、第5定量ポンプ39、第6定量ポンプ40を信号線55によって、シーケンサー31に連結している。そして、上記シーケンサー31は、上記酸化還元電位計から入力された信号に基づいて、信号線55に第1〜第6定量ポンプ33,34,35,38,39,40を制御するための制御信号を出力する。これにより、界面活性剤タンク32,無機塩類タンク37から第1,第2,第3槽5,11,20への界面活性剤と無機塩類の添加量を、測定槽である第5槽29において、設定した酸化還元電位が確保できるように、各定量ポンプ33,34,35,38,39,40が連携運転される。この運転により、水処理装置を構成する第5槽29における洗浄水としての被処理水において、設定した酸化還元電位が確保される。
【0094】
この第5槽(測定槽)29において、洗浄水としての被処理水は、酸化還元電位が確保されるが、被処理水に溶解している成分は、充分処理されていない。つまり、この被処理水は、水質の指標であるTOC(全有機炭素)の項目は、充分処理されていない状態であり、さらに次段の洗浄水処理部75において処理されることになる。
【0095】
なお、ナノバブルは、物質に対する酸化力がある。ナノバブルは、物質に対する酸化力があることから、酸化還元電位は、プラスミリボルトで測定されるが、液体の種類や浴槽水における溶解成分、ナノバブル数、ナノバブルの密度により異なる。
【0096】
そして、第5槽(測定槽)29での酸化還元電位検出部30による酸化還元電位に関する測定値を、酸化還元電位調節計62で受けて調節し、シーケンサー31に信号を送って、このシーケンサー31によって各定量ポンプ33、34、35、38、39、40のそれぞれの吐出量を制御している。すなわち、酸化還元電位検出部30、酸化還元電位調節計62、およびシーケンサー31による定量ポンプ33、34、35、38、39、40の吐出流量の調整,制御である。
【0097】
この第1実施形態では、第5槽29における被処理水の酸化還元電位を、例えば、+(プラス)20mV〜+40mVの範囲で運転した。一般的なことであるが、排水処理の脱窒槽(すなわち還元槽)では、酸化に対して還元槽であるので、酸化還元電位はマイナスミリボルトで−50mV〜−400mVの範囲であることが多い。
【0098】
なお、酸化還元電位検出部30および酸化還元電位調節計62のメーカーとしては、特に限定しないが、この第1実施形態では、東亜DKK株式会社の製品を採用した。
【0099】
ここで、整理のため、ナノバブル製造部74を構成している第1槽(マイクロバブル発生槽)5、第2槽(マイクロナノバブル発生槽)11、第3槽(ナノバブル発生槽)20、第4槽(浮遊物質分離槽)48、第5槽(測定槽)29での役割を纏めると以下の内容である。
【0100】
(1) 第1槽(マイクロバブル発生槽)5:マイクロバブル発生装置78と、界面活性剤と無機塩類の添加とによって、被処理水にマイクロバブルを多量に発生させるための槽
(2) 第2槽(マイクロナノバブル発生槽)11:マイクロナノバブル発生装置79と、界面活性剤と無機塩類の添加とによって、被処理水にマイクロナノバブルを多量に発生させるための槽
(備考) マイクロナノバブル発生装置79は、装置単体としては正確に表現すると、マイクロバブル発生装置である。しかし、第2槽11へ下部マイクロバブル配管50から第1槽(マイクロバブル発生槽)5で形成されたマイクロバブル含有被処理水が流入する。よって、第2槽11では、マイクロバブルを含有した被処理水をさらにマイクロナノバブル発生装置(マイクロバブル発生装置)79でせん断することで、マイクロバブルとナノバブルの混合物(マイクロナノバブル)が発生する。そして、第2槽11へ界面活性剤と無機塩類を添加することで、マイクロバブルとナノバブルの混合物すなわちマイクロナノバブルが多量に発生する。
【0101】
(3) 第3槽(ナノバブル発生槽)20:ナノバブル発生装置80は、装置単体として正確に表現すると、マイクロバブル発生装置である。しかし、下部マイクロナノバブル配管51より、第2槽11で形成されたマイクロナノバブル含有被処理水が第3槽20に流入する。よって、このマイクロナノバブルを含有した被処理水をさらにナノバブル発生装置(マイクロバブル発生装置)80でせん断することで、ナノバブルを中心としたマイクロバブルとの混合物(ナノバブル等)が発生する。さらに、第3槽20に界面活性剤と無機塩類とを添加することで、被処理水(洗浄水)にはナノバブルを中心としたマイクロバブルの混合物すなわちナノバブル等が多量に発生する。
【0102】
(4) 第4槽(浮遊物質分離槽)48:第1槽5〜第3槽20において、各種バブルが付着することによって浮上した浮遊物質の集合体は、第4水槽48において、物理的に浮遊物質集合体と被処理水とに分離され、浮遊物質集合体は、高濃度浮遊物質排水配管53から排出される。
【0103】
(5) 第5槽(測定槽)29:第1槽(マイクロバブル発生槽)5から第3槽(ナノバブル発生槽)20までで発生し、第4槽(浮遊物質分離槽)48を経由した被処理水(洗浄水)におけるナノバブルの量を、ナノバブルが有する酸化還元電位に基づき測定するための槽である。洗浄水におけるナノバブル量が不足している場合、すなわち酸化還元電位が設定値よりも低い場合は、シーケンサー31が信号線55に出力する信号により、界面活性剤タンク32と無機塩類タンク37から第1〜第3槽へ界面活性剤と無機塩類を添加して、酸化還元電位が設定値となる様にナノバブル量を増加させることができる。なお、界面活性剤と無機塩類のそれぞれの添加量、もしくは単独の添加量は、個々の被処理水それぞれ固有の条件に応じた値となる。また、界面活性剤と無機塩類のそれぞれの被処理水への添加量は、あらかじめの実験により確認できる内容である。
【0104】
次に、第1槽5、第2槽11、第3槽20でのマイクロバブル発生装置78、マイクロナノバブル発生装置79、ナノバブル発生装置80、のメカニズムを詳細に説明する。このマイクロバブル発生装置78、マイクロナノバブル発生装置79、およびナノバブル発生装置80は、正確には、装置としての性能は単独で使用した場合は、全てマイクロバブル発生装置である。
【0105】
上記マイクロバブル発生装置78は、マイクロナノバブル発生装置79およびナノバブル発生装置80と比較して、使用空気量が2〜5リットル/分で多く、バブルのサイズも大きい。一方、マイクロナノバブル発生装置79およびナノバブル発生装置80の使用空気量は、1リットル/分で少なく、バブルのサイズもマイクロバブル発生装置78と比較して小さい。
【0106】
ナノバブル製造部74では、最終的に、ナノバブル含有被処理水を製造することが目的である。よって、はじめの第1槽5に設置したマイクロバブル発生装置78で発生させるバブルサイズが大きくても、第3槽20でナノバブルを含有した洗浄水を製造できれば目的を達成できる。よって、このナノバブル製造部74では、第1,第2,第3の3段階の各槽5,11,20を経て、第1槽5,第2槽11,第3槽20による3段階のせん断でもってナノバブルを製造する。
【0107】
そして、上記第1槽5、第2槽11、第3槽20でのバブル含有被処理水をさらに循環ポンプ15,24、バブル発生器13,22へ導入することによって、マイクロバブル、マイクロナノバブル、およびナノバブルが形成されることになる。なお、この実施形態では、マイクロバブル発生器が設置された第1〜第3の3槽を直列に配置したが、マイクロバブル発生器が設置された4槽以上の槽を直列に配置して各マイクロバブル発生器を運転してもよい。
【0108】
次に、マイクロバブル発生装置78、マイクロナノバブル発生装置79、およびナノバブル発生装置80のメカニズムについて説明する。
【0109】
マイクロバブル発生装置78は、水中ポンプ型マイクロバブル発生機6と小型ブロワー7、空気配管8から構成されている。解りやすく言えば、水中ポンプにおけるインプラを高速回転させて、その部分に気体としての空気を小型ブロワーから供給して空気をせん断してマイクロバブルを発生させている。
【0110】
一方、マイクロナノバブル発生装置79とナノバブル発生装置80は、全く同じ構造,構成である。ただし、マイクロナノバブル発生装置79は、マイクロバブル含有被処理水を吸い込み、ナノバブル発生装置80は、マイクロナノバブル含有被処理水を吸い込んでいる点が異なる。マイクロナノバブル発生装置79は、マイクロナノバブル発生器13、吸い込み配管14、循環ポンプ15、空気配管16、空気ニードルバルブ17、水配管18から構成されている。また、ナノバブル発生装置80は、ナノバブル発生器22、吸い込み配管23、循環ポンプ24、空気配管25、空気ニードルバルブ26、水配管27から構成されている。
【0111】
そして、マイクロナノバブル発生器13やナノバブル発生器22において、流体力学的に圧力を制御し、負圧形成部分から空気を吸入し、高速流体運動させて、負圧部を形成し、バブルを発生させる。より解かりやすく簡単に説明すると、水と空気を効果的に自給,混合,溶解し、圧送することにより、マイクロナノバブルやナノバブルを製造することができる。
【0112】
さらに詳細に説明する。マイクロナノバブル発生装置79とナノバブル発生装置80に使用している循環ポンプ15と24は、揚程15m以上(すなわち、1.5kg/cmの高圧)の高揚程のポンプである。すなわち、この実施形態では、循環ポンプ15と24は、高揚程のポンプであり、かつトルクが安定している2ポールのポンプを選定することが望ましいが絶対的条件ではない。ポンプには、2ポールと4ポールがあり、2ポールのポンプが、トルクが安定している。また、循環ポンプ15と24は圧力の制御が望ましい。この高揚程のポンプの回転数を回転数制御器(一般的にはインバーターと呼ばれている)で目的にあった圧力とすることも可能である。循環ポンプ15と24を、目的にあった圧力とすれば、バブルサイズが纏まったバブルを製造できる。ここで、循環ポンプ15と24に接続したバブル発生器13,22によるバブル発生のメカニズムを記述する。
【0113】
マイクロナノバブル発生器13とナノバブル発生器22において、それぞれのバブルを発生させるために、液体および気体の混相旋回流を発生させ、発生器中心部に高速旋回させる気体空洞部を形成させる。次に、この空洞部を圧力で竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。この空洞部に気体としての空気(オゾン、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、の場合もある)を、マイナス圧(負圧)を利用して、自動的に供給させる。この実施形態では、上記気体を単に空気としたが、目的によって、他の気体を選定してもよい。
【0114】
さらに、上記回転せん断流を切断,粉砕しながら混相流を回転させる。この切断,粉砕は、発生器出口付近における内外の気液二相流体の旋回速度差により起きる。その時の回転速度は、500〜600回転/秒である。すなわち、マイクロナノバブル発生器13とナノバブル発生器22において、流体力学的に圧力を制御することで、負圧形成部分から気体を吸入し、高揚程ポンプで高速流体運動させて、負圧部を形成し、マイクロナノバブルやナノバブルを発生させる。より解かりやすく簡単に説明すると、高揚程ポンプで水と空気を効果的に自給混合,溶解して圧送することにより、マイクロナノバブルやナノバブルを製造することができるのである。以上が、マイクロナノバブル発生装置79とナノバブル発生装置80のバブル発生のメカニズムである。
【0115】
次に、界面活性剤や無機塩類の作用について説明する。上述したように、界面活性剤や無機塩類の添加は、バブルの発生量を増大させる効果がある。
【0116】
(1) 界面活性剤:例えば、界面活性剤を含む洗剤の水溶液は、良く泡立つ。この現象は、空気と水との間の界面張力(表面張力とも言う)が低下するためである。このため、界面張力が低下して泡立ち、その結果として界面活性剤を添加するとナノバブル(マイクロバブル)を多量に発生させることができる。すなわち、水と空気が接触すると2相界面の面積をできるだけ小さくする力である界面張力が働くことになる。この界面張力を低下させる作用を界面活性と称し、少量で著しい効果を持つ物質を界面活性剤と言っている。
【0117】
(2) 無機塩類:例えば、淡水の滝での発泡よりも、海での海岸における発泡の方が良く観察できる。特に、冬の日本海での海岸での発泡は、広く知られている。すなわち、無機塩類を多く含む海水の方が、発泡は良く発生する。よって、結果として無機塩類を添加すると液の性質が電解質となり、泡の発生について好条件となり、ナノバブル(マイクロバブル)を多量に発生させることがでる。なお、この実施形態では、マイクロバブル発生装置78は、具体的一例として、野村電子工業株式会社のマイクロバブラーMB−400を採用した。また、ナノバブル発生装置79、およびナノバブル発生装置80におけるバブル発生器13,22は、株式会社ナノプラネット研究所の製品であるマイクロバブル発生器M2型を採用した。
【0118】
ここで、3種類のバブルについて説明する。
【0119】
(i) マイクロバブルは、その発生時において、10〜数10μmの気泡径を有する気泡で、マイクロバブルは、発生後に収縮運動によりマイクロナノバブルに変化する。
【0120】
(ii) マイクロナノバブルは、10μmから数100nm前後の直径を有する気泡であり、マイクロバブルとナノバブルの混合物とも言える。
【0121】
(iii) ナノバブルは、数100nm以下の直径を有する気泡である。
【0122】
次に、洗浄水処理部75について説明する。洗浄水処理部75は、大きくは活性炭吸着塔72と処理水槽82から構成されている。洗浄水としての被処理水は、第5槽29から吸い込み配管68で活性炭吸着塔移送ポンプ69に吸い込まれて、水配管71を経由して活性炭吸着塔72に導入される。この活性炭吸着塔72に内蔵される活性炭としては、クラレケミカル株式会社の活性炭、商品名クラレコールの液相用活性炭KWを採用した。この液相用活性炭KWは、石炭ベースの活性炭で上水処理や排水処理に使用されている。活性炭は、元来被処理水中の有機物の物理的な吸着が主作用であるが、被処理水である洗浄水にナノバブルを含有していると、活性炭に繁殖した微生物が従来技術では考えられない程に活性化して、被処理水である洗浄水中の有機物であるイソプロピールアルコールや活性炭が吸着したイソプロピールアルコールを分解処理する。そして、洗浄水中のイソプロピールアルコール濃度が100ppm以下の2桁の濃度の場合、イソプロピールアルコールを活性炭吸着塔72で確実に処理することになる。
【0123】
なお、この時の活性炭吸着塔72での通水速度は、活性炭量1m当り、時間当たり1mの洗浄水を通水した。この通水速度は、水処理分野では、一般的な数値であるが、洗浄水中のイソプロピールアルコール濃度が100ppm以下の2桁の濃度の場合において、イソプロピールアルコール(IPA)を活性炭吸着塔72で確実に処理することができることが驚異的なことである。通常、水処理分野では、IPAの1桁のppmか多くても20ppm以下の被処理水を通水し、一定時間後に、例えば3ヶ月ごとに活性炭を交換するが、この第1実施形態では、活性炭の寿命を1.5年以上継続維持することができる。
【0124】
そして、活性炭吸着塔72を出た被処理水としての洗浄水は、水配管81を経て処理水槽82に流入する。この処理水槽82には、TOC検出部83が設置されており、設定値よりも洗浄水のTOC濃度が高い場合は、ナノバブル量が不足している。このとき、TOC調節計84が出力する調節信号を信号線88を通してシーケンサー31で受け、シーケンサー31は上記調節信号に応じて、信号線55に制御信号を出力し、界面活性剤や無機塩類の添加量を増加させる。これにより、発生するナノバブル量を増加させて洗浄水のTOC濃度を設定値以下にする制御を行う。なお、酸化還元電位調節計62とTOC調節計84とは、洗浄水の酸化還元電位、TOC濃度を調節するために設けられており、この酸化還元電位,TOC濃度に連携して、シーケンサー31で界面活性剤,無機塩類の添加量を調整する。このシーケンサー31は、最終的には、設定された酸化還元電位の値を確保し、かつ、設定されたTOC濃度以下となるように、第1〜第3定量ポンプ33〜35,第4〜第6定量ポンプ38〜40を制御することになる。なお、上記シーケンサー31が信号線55に出力する制御信号によって、第1撹拌機36や第2撹拌機41の運転を制御するようにしてもよい。
【0125】
この処理水槽82の洗浄水は、吸い込み配管85から処理水槽ポンプ86で水配管87を経由して、排ガス処理部76の上部4の洗浄水配管59に送出され、この洗浄水配管59の散水ノズル60から洗浄水109として散水される。
【0126】
なお、上記洗浄水処理部75は、上記活性炭吸着塔72の後段に順に精密ろ過膜装置と逆浸透膜装置とを有してよい。この場合には、洗浄水中の溶解成分を活性炭吸着塔72、精密ろ過膜装置、逆浸透膜装置で処理して、洗浄水の水質を高度に高め、排ガス処理部での排ガス処理の性能を向上させることができる。
【0127】
また、上記洗浄水処理部75は、上記処理水槽82に設置された処理水ポンプを有してもよい。この処理水ポンプは空気を自吸してマイクロバブルを発生する加圧溶解ポンプであり、上記処理水ポンプで上記洗浄水を上記排ガス処理部へ返送する。この場合には、洗浄水を洗浄水処理部75から排ガス処理部76に送水する直前で、マイクロバブルを発生する渦流ポンプ(加圧溶解ポンプ)を使用するので、マイクロバブルが洗浄水に充分に残存している状態で、マイクロバブル含有洗浄水として利用でき、排ガスの処理効率を向上させることができる。
【0128】
また、上記処理水槽82は、上記TOC計に替えてCOD計を有し、このCOD計が計測した洗浄水のCOD値が設定値を超えたときにシーケンサー31による制御でもって界面活性剤タンク32や無機塩類タンク37からの界面活性剤や無機塩類の添加量を増加させるようにしてもよい。なお、上記TOC計に加えて上記COD計を備えてもよい。
【0129】
(第2の実施の形態)
次に、図2に、この発明の排ガス処理装置の第2実施形態を示す。この第2実施形態は、前述の第1実施形態の排ガス処理装置が有していた無機塩類タンク37,第4定量ポンプ38,第5定量ポンプ39,第6定量ポンプ40を有していない点だけが、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第2実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0130】
前述の第1実施形態では、無機塩類タンク37、第4定量ポンプ38、第5定量ポンプ39、第6定量ポンプ40が設置されていた。しかし、被処理水としての洗浄水の水質によっては、それらの設備は必要なく、バブル発生量を増加させるためには、界面活性剤のみでも充分な被処理水としての洗浄水も存在する。
【0131】
要は、排ガス処理装置77として、第5槽29におけるナノバブルによる酸化還元電位の値や処理水槽82におけるTOC濃度の値を設定値にすることが目的である。したがって、この第2実施形態は、目的とした酸化還元電位の設定値が低い場合やTOC濃度が低い場合に適合する。より具体的には、界面活性剤の添加のみでもって第5槽29での酸化還元電位や処理水槽82におけるTOC濃度の設定値を容易に満足できる場合、ナノバブル製造部74でナノバブルが発生し易く、また、処理水槽82でのTOC濃度が容易に設定値を確保できるような被処理水としての洗浄水が選定されている場合にこの第2実施形態が適合する。
【0132】
(第3の実施の形態)
次に、図3に、この発明の排ガス処理装置の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、前述の第1実施形態が有していた界面活性剤タンク32,第1定量ポンプ33,第2定量ポンプ34,第3定量ポンプ35を有していない点だけが、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第3実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0133】
前述の第1実施形態では、界面活性剤タンク32、第1定量ポンプ33、第2定量ポンプ34、第3定量ポンプ35が設置されていた。しかし、被処理水の水質によっては、それらの設備は必要なく、バブル発生量を増加させるためには、無機塩類のみでも充分な被処理水も存在する。
【0134】
要は、排ガス処理装置77として、第5槽29におけるナノバブルによる酸化還元電位の値や処理水槽82におけるTOC濃度の値を設定値にすることが目的である。したがって、この第3実施形態は、目的とした酸化還元電位の設定値が低い場合やTOC濃度が低い場合に適合する。より具体的には、無機塩類の添加のみでもって、第5槽29での酸化還元電位や処理水槽82におけるTOC濃度の設定値を容易に満足できる場合、ナノバブル製造部74でナノバブルが発生し易く、また、処理水槽82でのTOC濃度が容易に設定値を確保できるような被処理水としての洗浄水が選定されている場合にこの第3実施形態が適合する。
【0135】
(第4の実施の形態)
次に、図4に、この発明の排ガス処理装置の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、前述の第1実施形態が有していた酸化還元電位検出部30と酸化還元電位調節計62の代替として、ゼータ電位検出部90とゼータ電位調節計70が設置されている点だけが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第4実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0136】
ゼータ電位とは一般に、「表面電位によって形成された電気二重層の、滑り面での電位」と定義されている。ナノバブルの発生量とゼータ電位とは、相関関係があるので、酸化還元電位と同様に、このゼータ電位を、ナノバブル量を管理する手段として利用することができる。
【0137】
このナノバブルの発生量と相関関係があるゼータ電位の設定値は、被処理水の種類によって異なるが、例えば、−30mV〜−70mVの範囲となる。
【0138】
なお、上記ゼータ電位検出部90とゼータ電位調節計70のメーカーは特に限定しないが、この実施形態では、一例として、日本ルフト株式会社のゼータ電位測定装置DT型におけるゼータ電位検出部90とゼータ電位調節計70を選定した。
【0139】
(第5の実施の形態)
次に、図5に、この発明の排ガス処理装置の第5実施形態を示す。この第5実施形態は、前述の第1実施形態における水中ポンプ型マイクロバブル発生機6等から構成されるマイクロバブル発生装置78に替えて、マイクロバブル発生器92、循環ポンプ94等から構成されるマイクロバブル発生装置78Zを有している点だけが、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第5実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0140】
この第5実施形態では、第1槽(マイクロバブル発生槽)5に上記マイクロバブル発生装置78Zが設置されている。このマイクロバブル発生装置78Zは、マイクロバブル発生器92と循環ポンプ94等から構成され、吸い込み配管93が循環ポンプ94に接続され、循環ポンプ94からの水配管97がマイクロバブル発生器92に接続されている。また、このマイクロバブル発生器92に空気を供給する気体配管95が接続され、この気体配管95に気体ニードルバルブ96が接続されている。
【0141】
この第5実施形態では、上記マイクロバブル発生装置78Zが第1槽5に設置されているので、第1槽5において、前述の第1実施形態における水中ポンプ型マイクロバブル発生機6よりも細かい(すなわちサイズの小さい)マイクロバブルを発生させることができる。そして、最終的に、第5槽(測定槽)29でのナノバブルのサイズを、より小さくすることができる。その結果、サイズがより小さいナノバブルでもって、フリーラジカル起因の酸化力や微生物活性化作用等の作用効果を向上できる。
【0142】
(第6の実施の形態)
次に、図6に、この発明の排ガス処理装置の第6実施形態を示す。この第6実施形態は、排気ファン2が排ガス処理部3に導入する排ガスを揮発性有機化合物(VOC)含有排ガス99とした点のみが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第6実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0143】
前述の第1実施形態では、排気ファン2が排ガス処理部3に導入するべきガスが単に排ガス1であったが、この第6実施形態では、排ガス1を揮発性有機化合物(VOC)含有排ガス99に限定して排ガス処理部3に導入している。
【0144】
したがって、この第6実施形態では、まず最初に、排ガス処理部3において、揮発性有機化合物(VOC)含有排ガス99中の揮発性有機化合物を洗浄水に移行させる。続いて、ナノバブル製造部74において、洗浄水中の浮遊物資を除去し、かつナノバブルを被処理水としての洗浄水中に含有させることができ、かつ、洗浄水処理部75で、被処理水としての洗浄水中の揮発性有機化合物成分を分解処理することができる。
【0145】
その結果、洗浄水処理部75で処理した洗浄水を再び排ガス処理部3に導入して、排ガス処理部3の性能を低下させることなく、処理した洗浄水を再使用することができる。
【0146】
(第7の実施の形態)
次に、図7に、この発明の排ガス処理装置の第7実施形態を示す。この第7実施形態は、次の(1),(2)の点だけが、前述の第6実施形態と異なる。
【0147】
(1) 排ガス処理部3の上部4に配置されている合成樹脂製充填材61の上方に活性炭袋89に収容された気相用活性炭98が追加充填されていると共にこの気相用活性炭98が上部穴あき板100上に載置されている点。
【0148】
(2) 排ガス処理部3の下部56の液相中に穴あき容器102に充填されている液相用活性炭103が配置されている点。
【0149】
よって、この第7実施形態では、前述の第6実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第6実施形態と異なる部分を説明する。
【0150】
この第7実施形態では、気相用活性炭98としては、具体的な一例として、クラレケミカル株式会社のクラレコールGSを選定している。また、この第7実施形態では、液相用活性炭103としては、具体的一例として、クラレケミカル株式会社のクラレコールKWを選定している。
【0151】
この第7実施形態では、合成樹脂製充填材61が排ガス処理部3の上部4に配置されているだけでなく、合成樹脂製充填材61の上方に活性炭袋89に収容された気相用活性炭98が追加充填されている。よって、この第7実施形態では、排ガス中の成分を気相用活性炭98で吸着処理することができる。また、時間の経過とともに気相用活性炭98に微生物が繁殖し、洗浄水中のナノバブルにより、上記微生物が活性化して気相用活性炭98が吸着した排ガス中の成分を分解することになる。その結果、気相用活性炭98においては、吸着と再生が繰り返し行われ、取り替えの必要がなくなる。
【0152】
一方、排ガス処理部3の下部56においても、この第7実施形態では、液相中に穴あき容器102に充填された液相用活性炭103が配置されている。したがって、排ガス処理部3の下部56においても、時間の経過とともに液相用活性炭103に微生物が繁殖し、洗浄水中のナノバブルにより、上記微生物が活性化して液相用活性炭103が吸着した排ガス中の成分を分解することになる。
【0153】
このように、この第7実施形態によれば、排ガス処理部3において、上部4の気相用活性炭98と下部56の液相用活性炭103の両方の作用により、前述した第6実施形態と比較して、排ガス処理部3の下部56から流出する時点で被処理水としての洗浄水の水質が向上する。
【0154】
(第8の実施の形態)
次に、図8に、この発明の排ガス処理装置の第8実施形態を示す。この第8実施形態は、活性炭吸着塔移送ポンプ69と活性炭吸着塔72との間に水配管71,111で接続された急速ろ過塔101を備えた点だけが、前述の第6実施形態と異なっている。すなわち、この第8実施形態は、洗浄水処理部75が活性炭吸着塔72と処理水槽82だけでなく急速ろ過塔101も有している点が、前述の第6実施形態と異なる。よって、この第8実施形態では、前述の第6実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第6実施形態と異なる部分を説明する。
【0155】
この第8実施形態では、前述の第6実施形態での洗浄水処理部75が有していた活性炭吸着塔72と処理水槽82だけでなく、急速ろ過塔101をも有している。すなわち、活性炭吸着塔72の前段に設置されている急速ろ過塔101によって、被処理水としての洗浄水中の浮遊物質を、浮遊物質分離槽である第4槽48で除去したよりも、より確実に除去してから、被処理水としての洗浄水を活性炭吸着塔72に導入することができる。その結果、活性炭吸着塔72を出た処理水の水質は、前述の第6実施形態よりも向上する。
【0156】
なお、上記急速ろ過塔101の前段に接触酸化槽を有してもよい。この場合には、洗浄水中の溶解有機物濃度が高い場合、接触酸化槽で溶解有機物を微生物学的に経済的に処理することができる。そして、残存浮遊物質は、急速ろ過塔101でろ過処理され、また残存溶解有機物は、活性炭吸着塔72の活性炭でろ過処理できる。
【0157】
(第9の実施の形態)
次に、図9に、この発明の排ガス処理装置の第9実施形態を示す。この第9実施形態は、第1槽5に、マイクロバブル発生装置78に替えてマイクロバブル発生装置78Wを設置した点だけが、前述の第6実施形態と異なる。よって、この第9実施形態では、前述の第6実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第6実施形態と異なる部分を説明する。
【0158】
前述の第6実施形態では、第1槽5に設置されているマイクロバブル発生装置78が水中ポンプ型マイクロバブル発生機6を有していたが、この第9実施形態では、第1槽5にマイクロバブル発生装置78Wが設置されており、このマイクロバブル発生装置78Wは、渦流ポンプ105およびこの渦流ポンプ105に関係する配管等で構成されている。この渦流ポンプ105には吸い込み配管104と吐出配管106と空気配管108が接続され、空気配管108にはニードルバルブ107が取り付けられている。
【0159】
この第9実施形態と前述の第6実施形態との性能差は、渦流ポンプ105と水中ポンプ型マイクロバブル発生機6との性能差に相当している。この第9実施形態では、渦流ポンプ105の具体的一例として、株式会社ニクニの渦流ポンプNPD型を採用した。この渦流ポンプ105は、空気と水の両方を吸い込んでマイクロバブルを製造できるポンプであるが、量産化されていることから、水中ポンプ型マイクロバブル発生機6に比べて価格が少し高い程度である。
【0160】
また、渦流ポンプ105は、一般に高揚程であり、株式会社ニクニの渦流ポンプNPD型も最大揚程は、60mである。マイクロバブルを発生させる原理は、水と空気をポンプのケーシング内部に吸い込み、外周に放射状の溝をもつ羽根車の回転により、ポンプのケーシング内壁に沿って渦を発生させて繰り返し加圧して、マイクロバブルを発生させる内容である。そのため、水中ポンプ型マイクロバブル発生機6が加圧しないで単に水と空気を混合して高速撹拌でマイクロバブルを発生させていたのに対し、渦流ポンプ105は、水と空気を加圧してマイクロバブルを発生させている。すなわち、渦流ポンプ105は、加圧することにより、水中ポンプ型マイクロバブル発生機6よりも微細なマイクロバブルを発生させることができる。
【0161】
よって、この第9実施形態によれば、第1水槽(マイクロバブル発生槽)5でより微細なマイクロバブルを発生させるので、結果としてナノバブル製造部74でナノバブルの量を多く製造することができる。このことは、排ガス処理装置77の全体的な性能を向上させることができる。
【0162】
なお、この第9実施形態の第1水槽(マイクロバブル発生槽)5における渦流ポンプ105周辺の状況について説明する。第1水槽5での被処理水としての洗浄水は、吸い込み配管104により渦流ポンプ105に吸い込まれる。また、空気は空気配管108から吸い込まれてニードルバルブ107により空気量が正確に制御されて渦流ポンプ105へ吸い込まれる。この渦流ポンプ105では、洗浄水と空気が加圧されて混合,高速撹拌されてマイクロバブルを発生し、吐出配管106からマイクロバブルが吐出する。
【0163】
尚、上記第1槽5だけでなく第2,第3槽の各槽が循環ポンプ15,24に替えて空気を自吸してマイクロバブルを発生する渦流ポンプを有してもよい。この場合には、渦流ポンプ(加圧溶解ポンプ)が合計3台設置されているので、汎用ポンプである渦流ポンプ(加圧溶解ポンプ)で ナノバブルを経済的に製造することができる。また、渦流ポンプは、加圧して空気と水を混合するので、よりサイズの小さいバブルを製造することができる。
【0164】
(実験例)
図6に示した第6実施形態に基づいて、排ガス処理装置77を排ガス処理部76、ナノバブル製造部74および洗浄水処理部75から構成して、実験装置を製作した。
【0165】
この実験装置では、排ガス処理部76の容量を2mとし、ナノバブル製造部74における第1槽5の容量を0.4mとし、第2槽11の容量を0.4mとし、第3槽20の容量を0.4mとした。また、第4槽48の容量を0.6mとし、第5槽29の容量を0.2mとした。また、洗浄水処理部75における活性炭吸着塔72の容量を1.2mとし、処理水槽82の容量を0.5mとした。
【0166】
そして、第1槽5に設置するマイクロバブル発生装置78として野村電子工業株式会社の製品であるマイクロバブラMD−400を選定した。また、第2槽11に設置するマイクロナノバブル発生装置79および第3槽20に設置するナノバブル発生装置として、同一の株式会社ナノプラネット研究所の製品M2型を選定した。
【0167】
また、第5槽29に設置する酸化還元電位検出部30と酸化還元電位調節計62としては東亜DKKの製品を採用した。また、界面活性剤タンク32に人体に影響しないカチオン界面活性剤を投入して第1撹拌機36を運転して撹拌し、さらに無機塩類タンク37に塩化ナトリウムを投入して第2撹拌機41を運転して撹拌した。
【0168】
そして、排ガス処理部76に半導体工場から発生するイソプロピールアルコールを主成分とする揮発性有機化合物含有排ガス99を排気ファン2により排ガス処理部76内に導入した。そして、2週間経過して実験装置が安定した後に排ガス処理部76の入口である排気ダクト52と排ガス処理部76の出口である煙突58出口での揮発性有機化合物の濃度を測定した。この濃度測定の結果を下記に示す。
(揮発性有機化合物濃度)
(排ガス処理部76の入口) …………… 171ppmC
(排ガス処理部76の出口) …………… 51ppmC
よって、この排ガス処理部76による揮発性有機化合物の除去率は、71%であった。
【0169】
なお、この濃度測定における試料採取では、補集バック(テドラーバック)を使用した。また、この濃度測定における分析方法としては、水素イオン化形分析計(FID)にて分析を行った。また、ppmCの値は、炭素数が1のVOCの容量に換算した。
【0170】
また、排ガス処理部3の下部56の洗浄水と処理水槽82の洗浄水の水質を測定したところ、下記の表1に示す内容であった。
(表1)

【0171】
この表1の水質の中でTOCおよびCODの除去率が50%以下で一見悪いように見えるが、洗浄水は、排ガス処理装置77内の排ガス処理部76、ナノバブル製造部74の各槽、および洗浄水処理部75内を繰り返し循環しているので、この様な結果となる。この循環をせずに、洗浄水を排ガス処理装置77にワンパスで通過させると、除去率は格段に向上する。ただし、SS(浮遊物質)の除去率は、93%で高い除去率を維持しているが、第4槽48で浮上分離により、浮遊物質としてのSSが確実に除去されるからである。
【0172】
また、第5槽(測定槽)29での洗浄水をベックマン・コールター株式会社のコールターカウンターにて測定したところ、サイズが180nm付近を中心に186000個/mlのナノバブルを確認できた。また、その時の第5槽29の洗浄水の酸化還元電位を測定したところ、+32mVであった。
【符号の説明】
【0173】
1 排ガス
2 排気ファン
3 排ガス処理部
4 上部
5 第1槽
6 水中ポンプ型マイクロバブル発生機
7 小型ブロワー
8 空気配管
9 バブル水流
10 最上部オーバーフロー配管
11 第2槽
12 バブル水流
13 マイクロナノバブル発生器
14 吸い込み配管
15 循環ポンプ
16 空気配管
17 空気ニードルバルブ
18 水配管
19 最上部オーバーフロー配管
20 第3槽
21 バブル水流
22 ナノバブル発生器
23 吸い込み配管
24 循環ポンプ
25 空気配管
26 空気ニードルバルブ
27 水配管
28 オーバーフロー配管
29 第5槽
30 酸化還元電位検出部
31 シーケンサー
32 界面活性剤タンク
33 第1定量ポンプ
34 第2定量ポンプ
35 第3定量ポンプ
36 第1撹拌機
37 無機塩類タンク
38 第4定量ポンプ
39 第5定量ポンプ
40 第6定量ポンプ
41 第2撹拌機
42〜47 薬品配管
48 第4槽
49 第4槽水面
50 下部マイクロバブル配管
51 下部マイクロナノバブル配管
52 排気ダクト
53 高濃度浮遊物質排水配管
54 下部連通配管
55 信号線
56 下部
57 処理ガス
58 煙突
59 洗浄水配管
60 散水ノズル
61 合成樹脂製充填材
62 酸化還元電位調節計
63 下部穴あき板
64 水面
65 吸い込み配管
66 移送ポンプ
67 水配管
68 吸い込み配管
69 活性炭吸着塔移送ポンプ
70 ゼータ電位調節計
71 水配管
72 活性炭吸着塔
73 処理水配管
74 ナノバブル製造部
75 洗浄水処理部
76 排ガス処理部
77 排ガス処理装置
78 マイクロバブル発生装置
79 マイクロナノバブル発生装置
80 ナノバブル発生装置
81 水配管
82 処理水槽
83 TOC(全有機炭素)検出部
84 TOC(全有機炭素)調節計
85 吸い込み配管
86 処理水槽ポンプ
87 水配管
88 信号線
89 活性炭袋
90 ゼータ電位検出部
91 バブル水流
92 マイクロバブル発生器
93 吸い込み配管
94 循環ポンプ
95 気体配管
96 気体ニードルバルブ
97 水配管
98 気相用活性炭
99 揮発性有機化合物(VOC)含有排ガス
100 上部穴あき板
101 急速ろ過塔
102 穴あき容器
103 液相用活性炭
104 吸い込み配管
105 渦流ポンプ
106 吐出配管
107 ニードルバルブ
108 空気配管
109 洗浄水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入された排ガスを洗浄水で洗浄する排ガス処理部と、
上記排ガス処理部から上記排ガスを洗浄した洗浄水が導入されると共に上記洗浄水にナノバブルを含有させるナノバブル製造部と、
上記ナノバブル製造部から上記ナノバブルを含有した洗浄水をろ過処理して、上記排ガス処理部に導入する洗浄水処理部とを備え、
上記ナノバブル製造部は、
マイクロバブル発生器を有すると共に上記排ガス処理部から導入された洗浄水にマイクロバブルを含有させる第1槽と、
マイクロバブル発生器を有すると共に上記第1槽から導入された洗浄水にマイクロナノバブルを含有させる第2槽と、
マイクロバブル発生器を有すると共に上記第2槽から導入された洗浄水にナノバブルを含有させる第3槽と、
上記第3槽からナノバブル含有洗浄水が導入されると共に上記洗浄水中の浮遊物質を浮上させて分離する第4槽と、
上記第4槽から上記洗浄水が導入されると共に上記洗浄水のバブル含有量と相関関係がある電位を計測する電位計が設置されている第5槽とを有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排ガス処理装置において、
上記第1槽から第3槽のうちの少なくとも1槽に界面活性剤を添加する界面活性剤添加部と、上記第1槽から第3槽のうちの少なくとも1槽に無機塩類を添加する無機塩類添加部とのうちの少なくとも一方を備え、
さらに、上記第5槽に設置されている電位計が計測した電位に応じて上記界面活性剤添加部による界面活性剤の添加量と上記無機塩類添加部による無機塩類の添加量とのうちの少なくとも一方を制御する添加量制御部を備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排ガス処理装置において、
上記界面活性剤添加部と無機塩類添加部の両方を備え、
上記添加量制御部は、上記電位計が計測した電位に応じて上記界面活性剤の添加量と上記無機塩類の添加量とを制御することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の排ガス処理装置において、
上記電位計は、酸化還元電位計であることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の排ガス処理装置において、
上記電位計は、ゼータ電位計であることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記添加量制御部は、
上記第5槽に設置されている電位計が計測した電位を表す信号が入力されると共に上記信号に基づいて上記添加量を制御するための制御信号を生成するシーケンサーを有していることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の排ガス処理装置において、
上記界面活性剤添加部は、界面活性剤タンクとこの界面活性剤タンクから上記第1〜第3槽の各槽へ界面活性剤を導入するための薬品配管とこの薬品配管に設けたポンプとを有し、
上記無機塩類添加部は、無機塩類タンクとこの無機塩類剤タンクから上記第1槽〜第3槽の各槽へ無機塩類を導入するための薬品配管とこの薬品配管に設けたポンプとを有し、
上記シーケンサーは、上記添加量を制御するための制御信号でもって上記界面活性剤添加部のポンプと上記無機塩類添加部のポンプとを制御することで、上記第1槽〜第3槽への界面活性剤と無機塩類の添加量を制御することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水処理部は、活性炭吸着塔を有していることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水処理部は、上記活性炭吸着塔の前段に急速ろ過塔を有していることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水処理部は、上記活性炭吸着塔の後段に順に精密ろ過膜装置と逆浸透膜装置とを有していることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項11】
請求項9に記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水処理部は、上記急速ろ過塔の前段に接触酸化槽を有していることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水処理部は、
上記活性炭吸着塔からの洗浄水が導入される処理水槽を有し、この処理水槽は上記洗浄水のTOCを測定するTOC計を有し、
上記シーケンサーは、上記TOC計から上記洗浄水のTOC濃度を表す信号を受け、この信号が表すTOC濃度が予め設定された設定値を超えたときに上記界面活性剤添加部のポンプと上記無機塩類添加部のポンプとを制御することで、上記第1〜第3槽への界面活性剤と無機塩類の添加量を増加させることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記第1〜第3槽の各槽が有するマイクロバブル発生器は、空気を自吸し、マイクロバブルを発生する渦流ポンプを有していることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水処理部は、
上記処理水槽に設置された処理水ポンプを有し、この処理水ポンプは空気を自吸してマイクロバブルを発生する加圧溶解ポンプであり、上記処理水ポンプで上記洗浄水を上記排ガス処理部へ返送することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記排ガスが、揮発性有機化合物を含有する排ガスであることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記第1槽と第2槽とは、槽の水面付近のオーバーフロー管と槽下部の連通管の2本の水配管で連結されており、
上記第2槽と第3槽とは、槽の水面付近のオーバーフロー管と槽下部の連通管の2本の水配管で連結されていることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項17】
請求項2から16のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水処理部は、
活性炭吸着塔と、
上記活性炭吸着塔から洗浄水が導入されると共にCOD計が設置された処理水槽とを有し、
上記添加量制御部は、
上記COD計が計測した上記洗浄水のCOD値が設定値を超えたときに上記添加量を増加させることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項18】
請求項2から16のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水処理部は、
活性炭吸着塔と、
上記活性炭吸着塔から洗浄水が導入されると共にTOC計とCOD計が設置された処理水槽とを有し、
上記添加量制御部は、
上記TOC計が計測した上記洗浄水のTOC値が設定値を超えたとき、および上記COD計が計測した上記洗浄水のCOD値が設定値を超えたときに、上記添加量を増加させることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記排ガス処理部は、
排ガスが導入される上部と、上記排ガスを洗浄した洗浄水が貯留される下部とを有し、
上記上部には、プラスチック充填材と気相用活性炭が配置され、上記下部には、液相用活性炭が配置されていることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項20】
排ガス処理部に導入された排ガスを洗浄水で洗浄し、
上記排ガスを洗浄した洗浄水をナノバブル製造部の第1〜第5槽に順に導入して、第1槽に設置したマイクロバブル発生部で上記洗浄水にマイクロバブルを含有させ、第2槽に設置したマイクロバブル発生部で上記洗浄水にマイクロナノバブルを含有させ、第3槽に設置したマイクロバブル発生部で上記洗浄水にナノバブルを含有させ、第4槽ではナノバブルが付着した浮遊物質を浮上させて上記洗浄水から浮遊物質を分離させ、第5槽では上記洗浄水中のバブル含有量と相関関係がある電位を電位計で計測し、
さらに、上記第5槽からの上記ナノバブルを含有した洗浄水をろ過処理して、上記排ガス処理部に導入することを特徴とする排ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−162519(P2010−162519A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9036(P2009−9036)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】