説明

排ガス浄化装置

【課題】排ガス中の窒素酸化物を効率よく低減できる排ガス浄化装置を提供することにある。
【解決手段】内燃機関から排出される排ガスを案内する排気配管と、還元剤を噴射する還元剤噴射手段と、還元剤と窒素酸化物との反応を促進させる還元触媒を有する触媒手段と、排ガスの流れ方向において触媒手段よりも下流側に配置され、触媒手段を通過した排ガスの窒素酸化物濃度を計測する処理後濃度計測手段と、計測結果に基づいて、還元剤の噴射を制御する制御手段と、を有し、処理後濃度計測手段は、近赤外光を発光する発光素子と、発光素子で発光され、排気配管中を通過した近赤外光を受光する受光素子と、発光素子で発光させた光と、受光素子で受光した光に基づいて、窒素酸化物の濃度を算出する算出手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される窒素酸化物を還元する排ガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンや、ガソリンエンジンや、ガスタービン等の内燃機関から排出されるガス、つまり排ガスには、窒素酸化物(NOx)や、粒子状物質(PM)が含まれている。特にディーゼルエンジンは、酸素が過剰な状態で燃料を燃焼させるため、窒素酸化物(NOx)や、粒子状物質(PM)が排ガスに多く含まれている。そのため、内燃機関の排気管には、粒子状物質を低減する装置や、窒素酸化物を低減する装置が設けられている。この窒素酸化物を低減する装置としては、窒素酸化物を含有する排ガスに、窒素酸化物を還元する還元剤を噴射し、還元触媒で窒素酸化物と還元剤との反応を促進させることで、排ガス中から窒素酸化物を除去、低減する方法がある。
【0003】
このような窒素酸化物の除去装置としては、例えば、特許文献1は、内燃機関の排気通路において、上流から順に、DPF装置、選択的接触還元型触媒装置を配置した排ガス浄化システムが記載されている。また、特許文献1には、通常運転時には、通常運転時用のNOx排出マップからNOx排出量を算出し、DPF装置の強制再生時には、強制再生時用のNOx排出量マップから、NOx排出量を算出して、該算出されたNOx排出量に対応するアンモニア系水溶液の供給量を算出し、該算出された供給量になるようにアンモニア系水溶液を選択的接触還元型触媒装置の上流側の排ガス中に供給する装置が記載されている。
【0004】
また、内燃機関ではなく、ボイラー等から発生する窒素酸化物の除去方法であるが、特許文献2には、窒素酸化物を含有する排ガスに還元剤としてアンモニアを混合し、還元用触媒と接触させて排ガス中の窒素酸化物を除去する方法において、アンモニアの注入量を、一酸化窒素、二酸化窒素および亜酸化窒素を還元するのに必要な量を制御し、かつ還元用触媒の少なくとも1つとしてSi/Alのモル比が10以上の水素および/または鉄置換型モルデナイトを使用することを特徴とする窒素酸化物の除去方法が記載されている。
【0005】
また、窒素酸化物の濃度を計測する装置としては、特許文献3に記載された、近赤外領域の光を試料ガスに対して照射する光源と、前記試料ガスを透過した光から、窒素酸化物の吸収線より狭い分解能で特定波長の窒素酸化物による光の吸収量を求める手段と、求められた吸収量から該試料ガスの窒素酸化物濃度を算出する濃度算出手段とを具備することを特徴とする窒素酸化物濃度測定装置がある。また、特許文献4にも同様の測定方法のガス濃度計測装置が記載されている。
【0006】
また、特許文献5及び特許文献6には、亜酸化窒素の除去方法が記載されており、特許文献7には、亜酸化窒素と窒素酸化物の排出抑制方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−154849号公報
【特許文献2】特開平2−68120号公報
【特許文献3】特開平10−142147号公報
【特許文献4】特開2001−74653号公報
【特許文献5】特開平4−219125号公報
【特許文献6】特開平5−31329号公報
【特許文献7】特開2004−82111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されているように、予め作成したマップに基づいて尿素、つまり還元剤の噴射量を制御することで窒素酸化物を低減することはでき、アンモニアの量も調整することはできる。しかしながら、特許文献1のように、予め作成したマップで還元剤の噴射量を調整しても、排出される窒素酸化物の量は、種々の条件によって変化するため、予測値による制御では、還元剤が多すぎたり、一定以上の窒素酸化物が還元されずに排出されたりする場合がある。
【0009】
また、内燃機関は、運転条件の変化が短時間で変化し、排出されるガスの量や、排ガス中の窒素酸化物濃度の変化が大きいため、排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を計測し、その計測結果に基づいて、制御を行うことが困難である。また、特許文献2、特許文献6、特許文献7等に記載されている計測方法では、窒素酸化物の計測に時間がかかるため、窒素酸化物濃度の変化が大きい内燃機関に適用することは困難である。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、排ガス中の窒素酸化物を適切に検出することができ、窒素酸化物を効率よく低減することができる排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、内燃機関から排出される排ガスに含まれる窒素酸化物を還元する排ガス浄化装置であって、前記内燃機関から排出される排ガスを案内する排気配管と、前記排気配管内に還元剤を噴射する還元剤噴射手段と、噴射された前記還元剤と前記窒素酸化物との反応を促進させる還元触媒及び前記排気配管の内部に配置され前記還元触媒を前記排気配管の内部に支持する支持機構とを備え、前記排ガスの流れ方向において前記還元剤が噴射される位置よりも下流側に配置されている触媒手段と、前記排ガスの流れ方向において前記触媒手段よりも下流側に配置され、前記触媒手段を通過した前記排ガスの窒素酸化物濃度を計測する処理後濃度計測手段と、前記処理後濃度計測手段により計測された窒素酸化物濃度に基づいて、前記還元剤噴射手段による前記還元剤の噴射を制御する制御手段と、を有し、前記処理後濃度計測手段は、近赤外光を発光する発光素子と、前記発光素子で発光され、前記排気配管中を通過した近赤外光を受光する受光素子と、前記発光素子で発光させた光と、前記受光素子で受光した光に基づいて、窒素酸化物の濃度を算出する算出手段とを有することを特徴とする。
【0012】
このように、排ガス浄化装置は、排気配管を通過した近赤外のレーザ光を受光し、その強度に基づいて窒素酸化物濃度を測定し、その計測結果に基づいて還元剤の噴射量を制御することで、窒素酸化物濃度を短時間で計測することができ、窒素酸化物濃度が短時間で大きく変化する内燃機関の排ガスであっても好適に窒素酸化物を低減または除去することができる。
【0013】
ここで、排ガス浄化装置は、さらに、前記排ガスの流れ方向において前記触媒手段よりも上流側に配置され、前記触媒手段を通過した排ガスの窒素酸化物濃度を前記処理後濃度計測手段と同一の計測方法で計測する処理前濃度計測手段を有し、前記制御手段は、前記処理前濃度計測手段により計測された窒素酸化物濃度にも基づいて還元剤噴射手段による還元剤の噴射を制御することが好ましい。
【0014】
処理前の排ガスの窒素酸化物濃度の計測結果も用いて還元剤の噴射を制御することで、より高い精度で窒素酸化物を低減または除去することができる。
【0015】
また、前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段で計測された窒素酸化物濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記還元剤噴射手段により前記排気配管内に投入する前記還元剤の量を多くし、前記処理後濃度計測手段で計測された前記窒素酸化物濃度が設定された下限値よりも低い場合は、前記還元剤噴射手段により前記排気配管内に投入する前記還元剤の量を少なくする、または、維持することが好ましい。
【0016】
このように、投入量を調整することで、適切な量の還元剤を投入することができる。
【0017】
さらに、前記排ガスの流れ方向において前記還元剤噴射手段よりも上流側に配置され、前記排気配管から分岐され、前記内燃機関と連結された分岐管と、前記排気配管を流れる排ガスと前記分岐管を流れる排ガスの量を調整する調整弁とを有し、前記調整弁により調整された割合の排気ガスを前記分岐管から前記内燃機関に供給する排ガス再循環手段を有し、前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段で計測された前記窒素酸化物濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記排ガス再循環手段により前記分岐管から前記内燃機関に供給する前記排ガスの量を多くすることが好ましい。
【0018】
排ガス再循環手段を設けることで、より好適に窒素酸化物を低減または除去することができる。また、燃費もよくすることができる。
【0019】
また、前記処理後濃度計測手段は、亜酸化窒素濃度を計測することが好ましい。
【0020】
亜酸化窒素の濃度を計測し、その計測結果に基づいて亜酸化窒素の排出を低減することで、温室効果ガスの排出を低減することができる。また、適切に反応が行われているかも判定することができる。
【0021】
また、前記処理後濃度計測手段は、計測する窒素酸化物に対応した波長域の光を射出する複数の発光素子を有し、それぞれの発光素子により発光された光をそれぞれの受光素子により受光し、一酸化窒素濃度と二酸化窒素濃度の少なくとも一方と、亜酸化窒素濃度とを計測することが好ましい。
【0022】
一酸化窒素濃度と二酸化窒素濃度の少なくとも一方と、亜酸化窒素濃度を計測し、その計測結果に基づいて制御を行うことでより適切に窒素酸化物を低減または除去することができる。
【0023】
さらに、前記排ガスの流れ方向において前記還元手段よりも上流側に配置され、前記排気配管を流れる排ガスの温度を調整する温度調整手段を有し、前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段により計測された窒素酸化物濃度に基づいて、前記温度調整手段の動作を制御することが好ましい。
【0024】
温度調整手段により排ガスと還元剤との反応時の温度を調整することで、窒素酸化物と還元剤との反応を好適に行うことができ、適切に窒素酸化物を低減または除去することができる。
【0025】
また、前記処理後濃度計測手段は、亜酸化窒素濃度を計測し、前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段で検出した亜酸化窒素濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記温度調整手段により前記排ガスの温度を上昇させることが好ましい。
【0026】
これにより適切に亜酸化窒素の排出を低減することができる。
【0027】
また、前記処理後濃度計測手段は、計測する窒素酸化物に対応した波長域の光を射出する複数の発光素子を有し、それぞれの発光素子により発光された光をそれぞれの受光素子により受光し、一酸化窒素濃度と二酸化窒素濃度の少なくとも一方と、亜酸化窒素濃度とを計測し、前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段で検出した亜酸化窒素濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記温度調整手段により前記排ガスの温度を上昇させ、前記処理後濃度計測手段で計測された前記一酸化窒素濃度と前記二酸化窒素濃度の少なくとも一方が設定された上限値よりも高い場合は、前記還元剤噴射手段により前記排気配管内に投入する前記還元剤の量を多くし、前記処理後濃度計測手段で計測された前記一酸化窒素濃度と前記二酸化窒素濃度の少なくとも一方が設定された下限値よりも低い場合は、前記還元剤噴射手段により前記排気配管内に投入する前記還元剤の量を少なくまたは維持することが好ましい。
【0028】
このように、温度と還元剤の投入量を調整することで、窒素酸化物をより適切に低減することができる。
【0029】
また、前記温度調整手段は、ヒータであることが好ましい。また、前記温度調整手段は、酸化触媒と、前記酸化触媒に添加物質を添加する添加手段とを有し、前記酸化触媒で前記添加物質を燃焼させることで、前記排ガスの温度を上昇させることが好ましい。
【0030】
温度調整手段として、上記加熱手段を用いることで、簡単に構成で温度管理を行うことができる。
【0031】
また、前記酸化触媒は、前記排ガスの流れ方向において前記還元剤噴射手段よりも下流側に配置され、前記還元剤噴射手段を前記添加手段として用い、前記還元剤を前記添加物質として用いることが好ましい。
【0032】
添加剤と還元剤を同じ物質とし、1つの機構で排気配管内に投入することで、装置構成を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明にかかる排ガス浄化装置は、近赤外の光を用いる濃度計測装置により計測した窒素酸化物濃度に基づいて、還元剤の噴射量を制御することで、排ガス中の窒素酸化物を適切に低減することができる。また、窒素酸化物の検出値のみに基づいて、還元剤の噴射量を制御することで、演算量を少なくすることができ、装置構成も簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の排ガス浄化装置を有する車両の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示すディーゼルエンジン用排ガス浄化装置の濃度計測手段の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、制御手段による還元剤噴射量の制御方法の一例を示すフロー図である。
【図4】図4は、亜酸化窒素、窒素の割合と排ガスの温度との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、排ガス浄化装置を有する車両の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、排ガス浄化装置を有する車両の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、排ガス浄化装置を有する車両の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、排ガス浄化装置を有する車両の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明にかかる排ガス浄化装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、下記実施形態では、排ガス浄化装置を取り付ける内燃機関をディーゼルエンジンとし、ディーゼルエンジンを用いた車両として説明するが、内燃機関はこれに限定されず、ガソリンエンジンや、ガスタービン等種々の内燃機関に用いることができる。また、内燃機関を有する装置も車両に限定されず、船舶、発電機等種々の装置の内燃機関として用いることができる。
【0036】
図1は、本発明の排ガス浄化装置が取り付けられたディーゼルエンジンを有する車両の一実施形態の概略構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示す排ガス浄化装置の濃度計測手段の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように車両10は、ディーゼルエンジン12と、ディーゼルエンジン12から排出される排ガスを案内する排気配管14と、排気配管14内を流れる排ガスを浄化する排ガス浄化装置16とを有する。なお、車両10は、図示した構成以外にも、車輪、車体、操作部、変速機等、車両に必要な種々の要素を有する。
【0037】
ディーゼルエンジン12は、軽油や重油等を燃料とし、燃料を燃焼させて動力を取り出す内燃機関である。排気配管14は、一方の端部がディーゼルエンジン12と接続されており、ディーゼルエンジン12から排出される排ガスを案内する。
【0038】
排ガス浄化装置16は、処理前濃度計測手段20と、還元剤噴射手段22、還元剤タンク24及び触媒手段26で構成される還元手段21と、処理後濃度計測手段28と、制御手段30とを有し、排ガスの排気経路中、つまり、排気配管14の内部または排気配管14に接して配置されている。
【0039】
処理前濃度計測手段20は、排ガスの排気経路においてディーゼルエンジン12の下流側の排気配管14に配置されており、ディーゼルエンジン12から排出された排ガス中の窒素酸化物の濃度を計測する。なお、処理前濃度計測手段20は、後述する処理後濃度計測手段28と同様の構成であるので、後ほど処理後濃度計測手段28の構成として説明する。なお、処理前濃度計測手段20は、窒素酸化物として、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)のうち少なくとも1種類の窒素酸化物の濃度を計測する。
【0040】
還元手段21は、排ガスに含まれる窒素酸化物、例えば、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)を低減する脱硝システムであり、上述した還元剤噴射手段22(以下単に「噴射手段22」という。)と、還元剤タンク24と、触媒手段26とで構成される。
【0041】
噴射手段22は、排気配管14内に還元剤を噴射する噴射装置であり、排気配管14の、処理前濃度計測手段20よりも下流側の部分に噴射口が設けられている。噴射手段22は、噴射口から排気配管14の内部に還元剤を噴射する。還元剤タンク24は、還元剤を貯めておくタンクであり、噴射手段22に還元剤を供給する。還元剤タンク24には、外部の還元剤を供給する装置から還元剤を補充するための補給口が設けられており、この補給口から必要に応じて、還元剤が補給される。なお、還元剤としては、窒素酸化物を還元する反応を起こす種々の物質、または、反応を起こす物質に変化する物質が用いることができ、水素、一酸化炭素、アンモニア、尿素、軽油、炭化水素(例えば、プロパン、プロピレン等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)が例示される。
【0042】
触媒手段26は、還元剤または還元剤から生成された物質と窒素酸化物との反応を促進させる還元触媒と、排気配管14の、噴射手段22よりも下流側部分の内部に設けられ、該還元触媒を支持する支持機構とを備える。また、支持機構は、排気配管14の内部に配置され、排ガスを通気させる孔が形成され、その表面に還元触媒を支持している。なお、還元触媒としては、上述した還元剤に応じて、還元剤と窒素酸化物との反応を促進させる種々の触媒を用いることができる。例えば、還元剤として、尿素、アンモニアを用いる場合は、触媒として、ゼオライト系触媒を用いることができる。
【0043】
処理後濃度計測手段28は、排ガスの排気経路において触媒手段26の下流側の排気配管14に配置されており、触媒手段26を通過した排ガス中の窒素酸化物の濃度を計測する。なお、処理後濃度計測手段28は、窒素酸化物として、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)のうち少なくとも1種類の窒素酸化物の濃度を計測する。処理後濃度計測手段28は、図2に示すように、計測手段本体40と、光ファイバ42と、計測セル44と、受光部46と、を有する。
【0044】
計測手段本体(計測装置本体)40は、窒素酸化物が吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光手段と、信号から窒素酸化物の濃度を算出する演算手段とを有し、光ファイバ42にレーザ光を出力し、受光部46が受光した信号を受け取る。なお、窒素酸化物は、その種類により、吸収する近赤外波長域が異なる波長域となる。つまり、一酸化窒素と、二酸化窒素と、亜酸化窒素とでは、それぞれ異なる波長域の近赤外光を吸収する。そのため、計測手段本体40は、計測対象の窒素酸化物に対応した数の発光手段を有する。つまり、計測対象が一酸化窒素の場合は一酸化窒素を吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光手段、計測対象が二酸化窒素の場合は二酸化窒素を吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光手段、計測対象が亜酸化窒素の場合は亜酸化窒素を吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光手段を有し、複数種類の窒素酸化物の濃度を計測する場合は、計測する窒素酸化物の数に対応した数の発光手段を有する。
【0045】
光ファイバ42は、計測手段本体40から出力されたレーザ光を案内し、計測セル44に入射させる。
【0046】
計測セル44は、排気配管14の一部に配置されており、光ファイバ42から射出された光を計測セル44の内部に入射させる入射部と、計測セル44の所定経路を通過したレーザ光を出力する出力部と、を有する。計測セル44は、入射部側の一部と出力部側の一部とが、それぞれ排気配管14と接続されている。このように、計測セル44は、排ガスの排気経路の一部となるように、排気配管14に割り込んで配置されている。つまり、排気配管14の一部が計測セル44となっているとも言える。また、計測セル44は、排気配管14の内部に入射部と出力部とをつなげる管状部材を配置する場合、排ガスがセル内部に流れるように複数の開口、穴が設ける必要がある。また、入射部から出力部に向けて延びているスリットを設けるようにしてもよい。なお、計測セル44の管形状は、レーザ光が通過できればよく、断面が円となる管としても、断面が多角形になる管としても、断面が楕円形となる管としてもよい。また、管の内周の断面と外周の断面が異なる形状となってもよい。また、図2に示す例では、排気配管14の排ガスの流れ方向に対して、直交するように計測セル44を設けたが、排気配管14に対して所定角度傾斜させて(つまり斜めに)計測セル44を設けてもよい。また、計測セル44は、排気配管14の内部には管状の部材を設けずに、排気配管14に入射部と出力部のみを設けた構成としてもよい。つまり、排気配管14の内部にレーザ光を入射させる入射部(レーザ光を透過する入射窓)と、排気配管14内の所定経路を通過したレーザ光を出力させる出力部(レーザ光を透過する出力窓)とを設けたのみの構成を計測セルとしてもよい。
【0047】
受光部46は、計測セル44の内部を通過し、出力部から出力されたレーザ光を受光し、受光したレーザ光の強度を受光信号として計測手段本体40に出力する。なお、受光部46は、発光手段毎に設けても、複数の発光手段から射出された光を1つの受光部46で受光するようにしてもよい。なお、複数の発光手段から射出された光を1つの受光部46で受光する場合は、ダイクロイックミラー等を用い、光が通る経路を調整することで、1つの受光部46で異なる位置に配置された複数の発光手段から射出された光を受光することができる。
【0048】
処理後濃度計測手段28は、以上のような構成であり、計測手段本体40から出力された近赤外の波長域のレーザ光は、光ファイバ42から計測セル44内の所定経路を通過した後、出力部から出力される。このとき、計測セル44内の排ガス中に窒素酸化物が含まれていると、計測セル44を通過するレーザ光が吸収される。そのため、レーザ光は、排ガス中の窒素酸化物濃度によって、出力部に到達するレーザ光の出力が変化する。受光部46は、出力部から出力されるレーザ光を受光信号に変換し、計測手段本体40に出力する。計測手段本体40は、出力したレーザ光の強度と、受光信号から算出される強度とを比較し、その減少割合から計測セル44内を流れる排ガスの窒素酸化物濃度を算出する。このように、処理後濃度計測手段28は、TDLAS方式(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:可変波長ダイオードレーザー分光法)を用い、出力したレーザ光の強度と、受光部46で検出した受光信号とに基づいて計測セル44内の所定位置、つまり、測定位置を通過する排ガス中の窒素酸化物濃度を、算出及び/または計測する。また、本実施形態の処理後濃度計測手段28は、連続的に窒素酸化物濃度を、算出及び/または計測することができる。
【0049】
なお、計測セル44は、入射部と出力部のみを、光を透過する材料で形成しても、計測セル44全体(つまり、排気配管14のうち計測セル44となっている管部分の全周)を、光を透過する材料で形成してもよい。また、計測セル44内に少なくとも2枚の光学ミラーを設け、入射部から入射されたレーザ光を光学ミラーで多重反射させた後、出力部から出力させるようにしてもよい。このようにレーザ光を多重反射させることで、計測セル44内のより多くの領域を通過させることができる。これにより、計測セル44内を流れる排ガスの濃度の分布(排ガスの流量や密度のばらつき、排ガス内の濃度分布のばらつき)の影響を小さくすることができ、正確に濃度を検出することができる。
【0050】
制御手段30は、処理前濃度計測手段20の検出結果と、処理後濃度計測手段28の検出結果に基づいて、噴射手段22から噴射する還元剤の量及び噴射するタイミングをPID制御により制御する。具体的には、窒素酸化物濃度が所定値よりも低い場合は、一度に噴射する還元剤の量を少なくしたり、還元剤を噴射する間隔を長くしたり、還元剤の噴射条件をそのまま維持したりする。また、窒素酸化物濃度が所定値よりも高い場合は、一度に噴射する還元剤の量を多くしたり、還元剤を噴射する間隔を短くしたりする。
【0051】
図3は、制御手段30による還元剤噴射量の制御方法の一例を示すフロー図である。なお、図3に示すフロー図は、噴射手段22から噴射する還元剤の量により窒素酸化物濃度(NOx濃度)を調整する場合である。ここで、処理後濃度計測手段28が計測する。また、処理後濃度計測手段28が計測する窒素酸化物の種類は特に限定されず、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)のうち少なくとも1種類の濃度を計測する。また、複数種類の窒素酸化物の濃度を計測した場合は、それぞれの物質の濃度に基づいて窒素酸化物の濃度を計測する。以下、処理後濃度計測手段28で計測される窒素酸化物の濃度は、単にNOx濃度とする。
【0052】
まず、処理後濃度計測手段28で計測されたNOx濃度が制御手段30に入力されたら、制御手段30は、ステップS12として、計測されたNOx濃度が上限値の目標値よりも大きいかを判定する。制御手段30は、ステップS12で計測されたNOx濃度が上限値の目標値よりも大きい(YES)と判定したら、ステップS14として、現状設定されている還元剤噴射量を一定量増加する。つまり、噴射手段22から噴射される還元剤の量を一定量多くする。その後、制御手段30は、ステップS20に進む。
【0053】
また、ステップS12で、制御手段30が計測されたNOx濃度が上限値の目標値以下である(NO)と判定したら、ステップS16として、計測されたNOx濃度が下限値の目標値よりも小さいかを判定する。制御手段30は、ステップS16で計測されたNOx濃度が下限値の目標値よりも小さい(YES)と判定したら、ステップS18として、現状設定されている還元剤噴射量を一定量低減(減少)させる、または、還元剤噴射量を維持する。つまり、噴射手段22から噴射される還元剤の量を一定量少なくする、また、そのままの量で維持する。その後、制御手段30は、ステップS20に進む。なお、噴射量を低減させるか維持させるかは設定により切り替えたり、目標値の差に基づいて判定したりすればよい。また、制御手段30は、ステップS16で計測されたNOx濃度が下限値の目標値以上である(NO)と判定したら、ステップS20に進む。制御手段30は、ステップS20で、エンジン(ディーゼルエンジン12)が停止しているかを判定する。制御手段30は、エンジンが停止していない、つまりエンジンが稼動中である(NO)と判定したらステップS12に進み、上述した処理を繰り返す。他方、制御手段30は、ステップS20で、エンジンが停止している(YES)と判定したら処理を終了する。
【0054】
以上のようにして、制御手段30は、噴射手段22の還元剤噴射量を制御する。なお、上記制御では還元剤噴射量を一定量増加、低減または維持させたが、これに限定されない。例えば、ステップS12でNOx濃度が上限値の目標値より大きい場合は、還元剤噴射量を予め設定した基準値としてもよく、ステップS16でNOx濃度が下限値の目標値より小さい場合は、還元剤噴射量を0にするようにしてもよい。また、還元剤噴射量は、噴射回数で調整しても、1回の噴射量で調整してもよい。また、NOx濃度の上限値の目標値と下限値の目標値とは、同じ値としても、異なる値としてもよい。つまり、ステップS12で使用される目標値とステップS16で使用される目標値を同じ目標値としても異なる目標値としてもよい。なお、NOx濃度の上限の目標値と下限の目標値とを異なる値とすることで、還元剤噴射量を変化させないNOx濃度の範囲を一定の濃度範囲とすることができる。
【0055】
車両10及び排ガス浄化装置16は、基本的に以上のような構成である。排ガス浄化装置16は、ディーゼルエンジン12から排出された排ガスは、排気配管14を流れ、処理前濃度計測手段20の測定領域を通過する。処理前濃度計測手段20の測定領域を通過した排ガスは、噴射手段22から還元剤が噴射された後、還元剤とともに触媒手段26を通過する。排ガスは、還元剤とともに触媒手段26を通過することで、排ガスに含まれる窒素酸化物が低減される。その後、排ガスは、排気配管14から大気中に排出される。ここで、排ガス浄化装置16は、上述したように、触媒手段26を通過した排ガスの窒素酸化物濃度を処理後濃度計測手段28により計測し、その計測結果に基づいて、噴射手段22が噴射する還元剤の量、噴射タイミングを制御している。
【0056】
このように、車両10は、排ガス浄化装置16により、ディーゼルエンジン12から排出する排ガスの窒素酸化物を還元することができ、有害物質が低減された状態で排ガスを排出することができる。
【0057】
また、排ガス浄化装置16は、触媒手段26を通過した窒素酸化物濃度を計測し、その結果に応じて還元剤の噴射量を制御している。このように、触媒手段26を通過した窒素酸化物濃度に基づいて、還元剤の噴射量を制御することで、還元剤と窒素酸化物の反応状態に即して還元剤噴射量を制御することができる。
【0058】
また、処理後濃度計測手段28として、近赤外のレーザ光を用いTDLAS法で各窒素酸化物の濃度を計測することで、短時間で正確に測定対象の窒素酸化物の濃度を計測することができる。窒素酸化物を正確に算出できることで、還元剤の調整を正確に行うことができ、より好適に窒素酸化物を低減することができる。また、レーザ光として近赤外の波長域の光を用いることで、測定対象のガスをより正確に測定することができる。つまり、一酸化窒素と、二酸化窒素と、亜酸化窒素等の測定対象以外のガスを検出することを抑制でき、対象のガスの濃度を短時間で正確に測定することができる。また、窒素酸化物の夫々の濃度を別々に測定することで、窒素酸化物の還元に必要な還元剤の投入量を適切に把握することができる。また、還元剤としてアンモニア、尿素を用いた場合でも、アンモニアを窒素酸化物として計測することを防止することができる。
【0059】
また、図3に示すフロー図では、制御手段30は、処理後濃度計測手段28の計測結果のみに基づいて、還元剤の噴射を調整したが、処理前濃度計測手段20の計測結果も用いて還元剤の噴射を調整することが好ましい。処理前濃度計測手段20の計測結果を用いて還元剤の噴射を調整することで、ディーゼルエンジン12から排出される排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度に基づいて還元剤の噴射を調整することができる。これにより、噴射する還元剤の調整(制御)をより正確に行うことが可能となり、効率よく排ガス中の窒素酸化物を低減することができる。
【0060】
ここで、処理後濃度計測手段28は、窒素酸化物濃度として、少なくとも亜酸化窒素の濃度を検出することが好ましい。亜酸化窒素を計測することで、亜酸化窒素が排出されることを検出することができ、亜酸化窒素を効率よく低減することができる。亜酸化窒素を低減できることで、温室効果がある亜酸化窒素を排出することを抑制することができ、地球温暖化を抑制することができる。なお、処理後濃度計測手段28は、窒素酸化物濃度として、亜酸化窒素に加え、一酸化窒素または二酸化窒素の2種類を計測することが好ましく、亜酸化窒素と一酸化窒素と二酸化窒素の3種類を計測することがより好ましい。一酸化窒素及び/または二酸化窒素の濃度も計測することで、排出される窒素酸化物をより低減することができる。一酸化窒素または二酸化窒素の一方の濃度のみを計測する場合は、他方の窒素酸化物の濃度は、計算により算出するようにしてもよい。
【0061】
ここで、図4は、亜酸化窒素、窒素の割合と排ガスの温度との関係を示すグラフである。図4に示す測定例は、それぞれ、触媒の温度が、200℃、300℃、400℃とした場合に、触媒出口から排出されるガスの成分を測定した測定結果である。なお、触媒には、各温度とも一酸化窒素の濃度、量が同一のガスを供給し、還元剤となる水素も同一濃度、量で供給した。また、図4に示す測定例では、触媒出口から排出されるガスのうち、一酸化窒素と二酸化窒素を除いたガスの組成の比率を計測した。
【0062】
図4に示すように、亜酸化窒素は、還元触媒での反応温度によって、生成量が変化する。したがって、処理後濃度計測手段28により、亜酸化窒素の濃度を計測することで、反応が行われている環境を判定することができ、判定に基づいて、還元剤の噴射を制御することができる。つまり、亜酸化窒素の濃度を計測することで、一酸化窒素、二酸化窒素は低減されていても、亜酸化窒素が残留または生成されていることを検出することができ、亜酸化窒素が排出されることを抑制することができる。
【0063】
また、排ガス浄化装置は、排ガスの排気経路中に、酸化触媒とDPFを設けることが好ましい。酸化触媒は、白金等の触媒であり、酸化触媒を通過した排ガスのPM(Particulate Matter、粒子状物質)の一部成分を除去することができる。ここでPMは、ディーゼルエンジンから排出される大気汚染物質であり、固形の炭素粒子、高分子から成る未燃の炭化水素(可溶性炭化水素:SOF、Soluble Organic Fraction)、燃料中に含まれる硫黄が酸化して生成されるサルフェート等の混合物である。また、酸化触媒は、排気配管14を流れる排ガス中に含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化することもできる。
【0064】
次に、DPF(Diesel Particulate Filter)は、酸化触媒を通過した排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するフィルタである。DPFとしては、捕集したPMを燃焼等で除去することにより再生する、捕集性能を維持することができる連続再生式DPFを用いることが好ましい。
【0065】
このように酸化触媒及びDPFによりPMを捕集し、排ガス中のPMを低減させたることで、排出される排ガスに含まれる有害物質をより少なくすることができる。また、排ガス浄化装置には、PMを低減させる種々の方式の粒子状物質低減装置を用いることができ、例えば、酸化触媒を設けずに、PMを捕集するフィルタのみを配置してもよい。
【0066】
また、排ガス浄化装置16では、処理後濃度計測手段28と処理前濃度計測手段20とを設けたが、処理後濃度計測手段28のみとしてもよい。また、排ガス浄化装置16では、計測結果に基づいて還元剤の噴射量のみを調整したが、本発明はこれに限定されない。以下、図5と共に、本発明の排ガス浄化装置の他の実施形態について説明する。
【0067】
図5は、排ガス浄化装置を有する車両の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。なお、図5に示す車両50は、排ガス浄化装置52の一部の構成を除いて他の構成は、車両10と同様であるので、同様の構成要素の説明は省略し、以下、車両50に特有の点を重点的に説明する。図5に示す車両50は、ディーゼルエンジン12と、排気配管14と、排ガス浄化装置52とを有する。排ガス浄化装置52は、処理前濃度計測手段20と、還元手段21と、処理後濃度計測手段28と、排ガス再循環手段53、制御手段59とを有する。排ガス浄化装置52の処理前濃度計測手段20と、還元手段21と、処理後濃度計測手段28とは、上述した排ガス浄化装置16の各部と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0068】
排ガス再循環手段(Exhaust Gas Recirculation)53は、排気配管14を流れる排ガスをディーゼルエンジン12に供給する手段であり、切替弁54と、分岐管56と、吸気部58とを有する。
【0069】
切替弁54は、排気配管14の処理前濃度計測手段20よりも下流側で、噴射手段22よりも上流側に設けられた弁であり、排気配管14を流れる排ガスを排気配管14の下流側に流すか、分岐管56に流すかを切り替える。また、切替弁54は、弁の開度により排気配管14を流れる排ガスの割合と、分岐管56を流れる排ガスの割合とを調整することができる。
【0070】
分岐管56は、一方の端部が排気配管14と接続され、他方の端部がディーゼルエンジン12と接続されている。なお、分岐管56と排気配管14との接続部には、切替弁54が配置されている。
【0071】
吸気部58は、分岐管56に設けられており、分岐管56を流れる排ガスを所定のタイミングでディーゼルエンジン12に供給する。なお、排ガスをディーゼルエンジンに供給するタイミングは、特に限定されず、ディーゼルエンジンの制御手段や、制御手段59の制御に基づいて供給すればよい。
【0072】
排ガス再循環手段53は、以上のような構成であり、切替弁54により排ガスの一部を分岐管56に案内し、吸気部58で排ガスをディーゼルエンジン12に供給し、ディーゼルエンジン12で再利用することで、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を低減させることができ、部分負荷時で運転している場合に燃費を向上させることができる。
【0073】
また、制御手段59は、処理後濃度計測手段28での計測結果、また、さらに、処理前濃度計測手段20での計測結果に基づいて、排ガス再循環手段53の切替弁54の開度を調整し、排気配管14を流れる排ガスの量、つまり、還元手段21の触媒手段26を通過する排ガスの量を調整する。
【0074】
排ガス浄化装置52は、以上のような構成であり、制御手段59は、処理後濃度計測手段28での計測結果、また、さらに、処理前濃度計測手段20での計測結果に基づいて、排ガス再循環手段53と還元手段21の動作を制御する。具体的には、処理前濃度計測手段20で計測した窒素酸化物濃度が上限値よりも高い場合は、切替弁54の開度を調整し、より多くの排ガスを分岐管56側に流し、ディーゼルエンジン12に供給する。このように、還元手段21に加え、排ガス再循環手段53の動作を制御することで、排ガス中の窒素酸化物をより効率よく除去することができる。
【0075】
また、処理後濃度計測手段28で亜酸化窒素を計測する場合は、亜酸化窒素が予め設定された閾値(許容値)を超えた場合は、排ガス再循環手段53により排ガスをディーゼルエンジン12に供給することができる。亜酸化窒素を再度燃焼することで、排ガス中の窒素酸化物を一酸化窒素と二酸化窒素とし、窒素酸化物を特定することで、還元手段21で窒素酸化物(一酸化窒素、二酸化窒素)をより適切に還元させることが可能となり、窒素酸化物の排出を好適に抑制することができる。なお、還元手段21と排ガス再循環手段53の動作をより適切に制御できるため、処理後濃度計測手段28は、上記実施形態と同様に、亜酸化窒素に加え、一酸化窒素及び/または二酸化窒素の濃度も計測することが好ましい。
【0076】
また、排ガス浄化装置は、温度調整手段を備えることが好ましい。以下、図6と共に、本発明の排ガス浄化装置の他の実施形態について説明する。図6は、排ガス浄化装置を有する車両の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。なお、図6に示す車両60は、排ガス浄化装置62の一部の構成を除いて他の構成は、車両10と同様であるので、同様の構成要素の説明は省略し、以下、車両60に特有の点を重点的に説明する。図6に示す車両60は、ディーゼルエンジン12と、排気配管14と、排ガス浄化装置62とを有する。排ガス浄化装置62は、処理前濃度計測手段20と、還元手段21と、処理後濃度計測手段28と、温度調整手段63と、制御手段69とを有する。排ガス浄化装置62の処理前濃度計測手段20と、還元手段21と、処理後濃度計測手段28とは、上述した排ガス浄化装置16の各部と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
温度調整手段63は、排ガスを加熱する手段であり、酸化触媒64と、ヒータ66と、添加部68とを有する。温度調整手段63は、排気配管14の排ガスの流れ方向において還元手段21よりも上流側に配置されている。酸化触媒64は、通過する物質を酸化する触媒であり、白金等で構成されている。ヒータ66は、電熱線等の加熱機構であり、排気配管14を加熱して内部を通過する排ガスを加熱する。添加部68は、排気配管14に添加剤を供給する機構である。ここで、添加剤としては、酸化触媒で酸化されることで熱を発生させる物質や、燃焼される物質を用いることができ、水素、一酸化炭素、アンモニア、尿素、軽油、炭化水素(例えば、プロパン、プロピレン等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)が例示される。
【0078】
温度調整手段63は、以上のような構成であり、添加部68により添加された添加剤を酸化触媒64で酸化すること、またはヒータ66を駆動させることで、排ガスの温度を上昇させる。なお、本実施形態では、酸化触媒64と、ヒータ66と、添加部68とを用いたが、本発明はこれに限定されず、酸化触媒64と添加部68の組み合わせか、ヒータ66のいずれか一方のみとしてもよい。
【0079】
また、制御手段69は、処理後濃度計測手段28での計測結果、また、さらに、処理前濃度計測手段20での計測結果に基づいて、温度調整手段63により排ガスの温度を調整し、還元手段21で還元剤と反応する領域での温度を調整する。
【0080】
排ガス浄化装置62は、以上のような構成であり、制御手段69は、処理後濃度計測手段28での計測結果、また、さらに、処理前濃度計測手段20での計測結果に基づいて、還元手段21と温度調整手段63の動作を制御する。このように、還元手段21に加え、温度調整手段63の動作を制御することで、還元手段21の反応領域での反応速度を調整することができ、排ガス中の窒素酸化物をより効率よく除去することができる。つまり、還元剤と窒素酸化物の反応速度、効率は温度によって変化するので、温度調整手段63により温度を調整することで、反応領域での反応を好適に制御することができる。
【0081】
また、処理後濃度計測手段28で亜酸化窒素を計測する場合は、亜酸化窒素が予め設定された閾値(許容値)を超えた、つまり亜酸化窒素の濃度が上限値を超えた場合は、温度調整手段63により排ガスを加熱するようにすることで亜酸化窒素を低減することができる。具体的には、上述した図4に示すように、温度調整手段63により排ガスを加熱し、反応温度を一定温度以上(例えば、400℃以上)とすることで、亜酸化窒素の発生、残留を抑制することができる。また、亜酸化窒素を低減できることで、温室効果ガスの排出を抑制することができる。さらに、亜酸化窒素を減らし、排ガス中の窒素酸化物を一酸化窒素と二酸化窒素とし、窒素酸化物を特定することで、還元手段21で窒素酸化物(一酸化窒素、二酸化窒素)をより適切に還元させることが可能となり、窒素酸化物の排出を好適に抑制することができる。なお、還元手段21と温度調整手段63の動作をより適切に制御できるため、処理後濃度計測手段28は、上記実施形態と同様に、亜酸化窒素に加え、一酸化窒素及び/または二酸化窒素の濃度も計測することが好ましい。
【0082】
処理後濃度計測手段28で、亜酸化窒素に加え、一酸化窒素及び/または二酸化窒素の濃度も計測する場合は、亜酸化窒素の濃度が予め設定された値(上限値の目標値)を超えたら、添加剤を添加及び/またはヒータ66を駆動して温度を上昇させ、一酸化窒素及び/または二酸化窒素の濃度が基準値よりも高い場合は、還元剤の投入量をより多くし、一酸化窒素及び/または二酸化窒素の濃度が基準値よりも低い場合は、還元剤の投入量をより少なくするまたは維持することが好ましい。このように制御することで、排ガス中の亜酸化窒素、一酸化窒素及び/または二酸化窒素を適切に低減または除去することができる。
【0083】
また、排ガス浄化装置は、温度調整手段で添加する添加剤として、還元剤を用いることが好ましく、また、温度調整手段で添加する添加剤の一部を還元剤として用いることが好ましい。以下、図7と共に、本発明の排ガス浄化装置の他の実施形態について説明する。図7は、排ガス浄化装置を有する車両の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。なお、図7に示す車両70は、排ガス浄化装置72の一部の構成を除いて他の構成は、車両60と同様であるので、同様の構成要素の説明は省略し、以下、車両70に特有の点を重点的に説明する。図7に示す車両70は、ディーゼルエンジン12と、排気配管14と、排ガス浄化装置72とを有する。排ガス浄化装置72は、処理前濃度計測手段20と、還元手段21と、処理後濃度計測手段28と、温度調整手段73と、制御手段79とを有する。排ガス浄化装置72の処理前濃度計測手段20と、還元手段21と、処理後濃度計測手段28とは、上述した排ガス浄化装置62の各部と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0084】
温度調整手段73は、排ガスを加熱する手段であり、酸化触媒64と、ヒータ66と、添加部74とを有する。温度調整手段73は、排気配管14の排ガスの流れ方向において還元手段21よりも上流側に配置されている。酸化触媒64は、通過する物質を酸化する触媒であり、白金等で構成されている。ヒータ66は、電熱線等の加熱機構であり、排気配管14を加熱して内部を通過する排ガスを加熱する。
【0085】
添加部74は、添加部68と同様に、排気配管14に添加剤を供給する機構である。ここで、添加剤としては、酸化触媒で酸化されることで熱を発生させる物質や、燃焼される物質であり、かつ、還元剤として用いることができる物質である。
【0086】
温度調整手段73は、以上のような構成であり、添加部74により添加された添加剤を酸化触媒64で酸化すること、またはヒータ66を駆動させることで、排ガスの温度を上昇させる。なお、本実施形態では、ヒータ66を設けない構成としてもよい。
【0087】
また、制御手段79は、処理後濃度計測手段28での計測結果、また、さらに、処理前濃度計測手段20での計測結果に基づいて、温度調整手段73により排ガスの温度を調整し、還元手段21で還元剤と反応する領域での温度を調整する。また、制御手段79は、温度調整手段73の添加部74により添加する添加剤の量と、還元手段21で噴射する還元剤の量の両方を調整して、触媒手段26で反応させる還元剤の量を調整する。つまり、温度調整手段73の添加部74により添加する添加剤の量を、酸化触媒64で燃焼されるまたは反応される量よりも多く添加し、一部を窒素酸化物と反応させるようにしてもよい。また、制御手段79は、還元手段21で噴射する還元剤の量は一定とし、添加剤の添加量のみを調整するようにしてもよい。
【0088】
排ガス浄化装置72は、以上のような構成であり、制御手段79は、処理後濃度計測手段28での計測結果、また、さらに、処理前濃度計測手段20での計測結果に基づいて、還元手段21と温度調整手段73の動作を制御する。このように、還元手段21に加え、温度調整手段73の動作を制御することで、還元手段21の反応領域での反応速度を調整することができ、排ガス中の窒素酸化物をより効率よく除去することができ、排ガス浄化装置62と同様の効果を得ることができる。
【0089】
さらに、添加剤を還元剤としても使用できる物質とし、添加部74で添加する添加剤も還元剤として用いることでも、窒素酸化物を除去(還元)することができる。また、添加部74により添加する添加物の量のみを調整する場合は、制御対象を1つとすることができ、制御を簡単にすることができる。また、添加剤と還元剤として別々の物質を用いる場合は、それぞれの物質の特性を利用して窒素酸化物の除去を行うことができる。
【0090】
また、排ガス浄化装置72では、噴射手段22及び還元剤タンク24と、添加部74とを別々に設けたが、両者の機能を有する1つの添加部(1つの噴射手段及び還元剤タンクともいえる。)を用いる構成としてもよい。以下、図8と共に、本発明の排ガス浄化装置の他の実施形態について説明する。図8は、排ガス浄化装置を有する車両の他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。なお、図8に示す車両80は、排ガス浄化装置82の一部の構成を除いて他の構成は、車両70と同様であるので、同様の構成要素の説明は省略し、以下、車両80に特有の点を重点的に説明する。図8に示す車両80は、ディーゼルエンジン12と、排気配管14と、排ガス浄化装置82とを有する。排ガス浄化装置82は、処理前濃度計測手段20と、還元手段84と、処理後濃度計測手段28と、制御手段89とを有する。排ガス浄化装置82の処理前濃度計測手段20と、処理後濃度計測手段28とは、上述した排ガス浄化装置72の各部と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0091】
還元手段84は、触媒手段26と、酸化触媒64と、ヒータ66と、添加部74とを有する。なお、酸化触媒64と、ヒータ66と、添加部74とは、図7に示す温度調整手段73の各部と同様の構成である。また、触媒手段26は、図7に示す還元触媒26と同様の構成である。なお、添加部74は、添加剤として、酸化触媒で熱を発生させ、かつ、窒素酸化物と反応し、窒素酸化物を還元する物質が用いられる。また、還元剤としては、酸化触媒で酸化されることで、触媒手段で窒素酸化物と還元反応を起こす物質も用いることができる。
【0092】
還元手段84は、添加部74により排気配管14に添加剤を添加すると、一部の添加剤は、酸化触媒64で酸化され、熱を発生させ、排ガスを加熱する。また、添加剤は、酸化触媒64を通過した後、触媒手段26に到達すると、窒素酸化物との間で反応し、窒素酸化物を還元する。つまり還元手段84は、添加剤を添加する1つの機構で、温度調整と還元の2つの処理を行う。
【0093】
制御手段89は、処理後濃度計測手段28での計測結果、また、さらに、処理前濃度計測手段20での計測結果に基づいて、還元手段84の添加部74で添加する添加剤の量を調整し、排ガスの温度を調整して還元剤と反応する領域での温度を調整し、かつ、触媒手段26で反応させる添加剤の量を調整する。
【0094】
排ガス浄化装置82は、以上のような構成であり、制御手段89は、処理後濃度計測手段28での計測結果、また、さらに、処理前濃度計測手段20での計測結果に基づいて、還元手段84の動作を制御する。このように、還元手段84の添加剤の量(さらにヒータ66の加熱量)を調整することで、反応領域での反応速度を調整することができ、排ガス中の窒素酸化物をより効率よく除去することができ、排ガス浄化装置72と同様の効果を得ることができる。
【0095】
さらに、添加部74で添加する添加剤を還元剤としても用いることでも、窒素酸化物を除去(還元)することができる。また、添加剤(及び還元剤)を添加(噴射)する機構を1つとすることで装置構成を簡単にすることができる。
【0096】
なお、処理前濃度計測手段及び/または処理後濃度計測手段は、近赤外のレーザ光を所定の波長幅で変化させ、対象とする窒素酸化物の濃度をより好適に検出できる波長域を検出し、その波長で計測を行うようにしてもよい。また、この場合、基準となる計測サンプルを計測手段内に設けるようにしてもよい。
【0097】
ここで、還元剤として、尿素水を用い尿素水からアンモニアを生成して、あるいは、直接アンモニアを用いて、窒素酸化物と反応させ、窒素酸化物を還元する場合は、排ガス中のアンモニアの濃度を計測する計測手段を設けることが好ましい。なお、このアンモニアの濃度を計測する手段としては、アンモニアの濃度を正確かつ短時間で計測できるため、上述した処理後濃度計測手段と同様の構成、計測方式の濃度計測手段を用いることが好ましい。また、アンモニアの濃度を計測する計測手段は、排ガスの流路において、還元剤噴射手段と触媒手段との間、及び/または、触媒手段の下流に設けることが好ましい。計測手段を、還元剤噴射手段と触媒手段との間に設けることで、反応前に排ガス中にあるアンモニア濃度を計測することができ、触媒手段の下流に設けることで、反応後に排ガス中にあるアンモニア濃度を計測することができる。反応前及び/または反応後のアンモニア濃度を計測し、上記窒素酸化物濃度の計測結果に加え、アンモニア濃度の計測結果に基づいて還元剤の噴射量を調整することで、より効率よく窒素酸化物を還元することができる。また、処理後のアンモニア濃度の計測結果に基づいて、還元剤の噴射量を調整することで、一定濃度以上のアンモニアが排出されることを抑制することができる。
【0098】
なお、上記実施形態では、車両に用いるディーゼルエンジンの排ガス浄化装置として説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の目的(例えば船、発電機等)に利用されるディーゼルエンジンに用いることができる。また、ディーゼルエンジンにも限定されず、内燃機関であればよく、ガソリンエンジン等の排ガス浄化装置としても用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明にかかる排ガス浄化装置は、内燃機関から排出される排ガスの浄化に有用であり、特に、車両に搭載された内燃機関から排出される排ガスの浄化に適している。
【符号の説明】
【0100】
10、50、60、70、80 車両
12 ディーゼルエンジン
14 排気配管
16、52、62、72、82 排ガス浄化装置
20 処理前濃度計測手段
21 還元手段
22 還元剤噴射手段
24 還元剤タンク
26 触媒手段
28 処理後濃度計測手段
30 制御手段
40 計測手段本体
42 光ファイバ
44 計測セル
46 受光部
53 排ガス再循環手段
54 切替弁
56 分岐管
58 吸気部
63、73 温度調整手段
64 酸化触媒
66 ヒータ
68、74 添加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排ガスに含まれる窒素酸化物を還元する排ガス浄化装置であって、
前記内燃機関から排出される排ガスを案内する排気配管と、
前記排気配管内に還元剤を噴射する還元剤噴射手段と、
噴射された前記還元剤と前記窒素酸化物との反応を促進させる還元触媒及び前記排気配管の内部に配置され前記還元触媒を前記排気配管の内部に支持する支持機構とを備え、前記排ガスの流れ方向において前記還元剤が噴射される位置よりも下流側に配置されている触媒手段と、
前記排ガスの流れ方向において前記触媒手段よりも下流側に配置され、前記触媒手段を通過した前記排ガスの窒素酸化物濃度を計測する処理後濃度計測手段と、
前記処理後濃度計測手段により計測された窒素酸化物濃度に基づいて、前記還元剤噴射手段による前記還元剤の噴射を制御する制御手段と、を有し、
前記処理後濃度計測手段は、近赤外光を発光する発光素子と、前記発光素子で発光され、前記排気配管中を通過した近赤外光を受光する受光素子と、前記発光素子で発光させた光と、前記受光素子で受光した光に基づいて、窒素酸化物の濃度を算出する算出手段とを有することを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項2】
さらに、前記排ガスの流れ方向において前記触媒手段よりも上流側に配置され、前記触媒手段を通過した排ガスの窒素酸化物濃度を前記処理後濃度計測手段と同一の計測方法で計測する処理前濃度計測手段を有し、
前記制御手段は、前記処理前濃度計測手段により計測された窒素酸化物濃度にも基づいて還元剤噴射手段による還元剤の噴射を制御することを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段で計測された窒素酸化物濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記還元剤噴射手段により前記排気配管内に投入する前記還元剤の量を多くし、前記処理後濃度計測手段で計測された前記窒素酸化物濃度が設定された下限値よりも低い場合は、前記還元剤噴射手段により前記排気配管内に投入する前記還元剤の量を少なくする、または、維持することを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス浄化装置。
【請求項4】
さらに、前記排ガスの流れ方向において前記還元剤噴射手段よりも上流側に配置され、前記排気配管から分岐され、前記内燃機関と連結された分岐管と、前記排気配管を流れる排ガスと前記分岐管を流れる排ガスの量を調整する調整弁とを有し、前記調整弁により調整された割合の排気ガスを前記分岐管から前記内燃機関に供給する排ガス再循環手段を有し、
前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段で計測された前記窒素酸化物濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記排ガス再循環手段により前記分岐管から前記内燃機関に供給する前記排ガスの量を多くすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項5】
前記処理後濃度計測手段は、亜酸化窒素濃度を計測することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項6】
前記処理後濃度計測手段は、計測する窒素酸化物に対応した波長域の光を射出する複数の発光素子を有し、それぞれの発光素子により発光された光をそれぞれの受光素子により受光し、一酸化窒素濃度と二酸化窒素濃度の少なくとも一方と、亜酸化窒素濃度とを計測することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項7】
さらに、前記排ガスの流れ方向において前記還元手段よりも上流側に配置され、前記排気配管を流れる排ガスの温度を調整する温度調整手段を有し、
前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段により計測された窒素酸化物濃度に基づいて、前記温度調整手段の動作を制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項8】
前記処理後濃度計測手段は、亜酸化窒素濃度を計測し、
前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段で検出した亜酸化窒素濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記温度調整手段により前記排ガスの温度を上昇させることを特徴とする請求項7に記載の排ガス浄化装置。
【請求項9】
前記処理後濃度計測手段は、計測する窒素酸化物に対応した波長域の光を射出する複数の発光素子を有し、それぞれの発光素子により発光された光をそれぞれの受光素子により受光し、一酸化窒素濃度と二酸化窒素濃度の少なくとも一方と、亜酸化窒素濃度とを計測し、
前記制御手段は、前記処理後濃度計測手段で検出した亜酸化窒素濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記温度調整手段により前記排ガスの温度を上昇させ、前記処理後濃度計測手段で計測された前記一酸化窒素濃度と前記二酸化窒素濃度の少なくとも一方が設定された上限値よりも高い場合は、前記還元剤噴射手段により前記排気配管内に投入する前記還元剤の量を多くし、前記処理後濃度計測手段で計測された前記一酸化窒素濃度と前記二酸化窒素濃度の少なくとも一方が設定された下限値よりも低い場合は、前記還元剤噴射手段により前記排気配管内に投入する前記還元剤の量を少なくまたは維持することを特徴とする請求項7に記載の排ガス浄化装置。
【請求項10】
前記温度調整手段は、ヒータであることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項11】
前記温度調整手段は、酸化触媒と、前記酸化触媒に添加物質を添加する添加手段とを有し、
前記酸化触媒で前記添加物質を燃焼させることで、前記排ガスの温度を上昇させることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項12】
前記酸化触媒は、前記排ガスの流れ方向において前記還元剤噴射手段よりも下流側に配置され、
前記還元剤噴射手段を前記添加手段として用い、前記還元剤を前記添加物質として用いることを特徴とする請求項11に記載の排ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−47384(P2011−47384A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198851(P2009−198851)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】