排気ガス再循環量の異常検出方法及び装置
【課題】排気ガスの再循環量を直接検出する特別なセンサを新たに追加することなく、排気ガスの再循環量の異常を高い確度で検出し得るようにする。
【解決手段】現在のエンジン1の運転状態において算出される実EGR率と、現在のエンジン1の運転状態に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ12の開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定する。
【解決手段】現在のエンジン1の運転状態において算出される実EGR率と、現在のエンジン1の運転状態に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ12の開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジン等における排気ガス再循環量の異常検出方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のエンジン等では、排気側から排気ガスの一部を抜き出して吸気側へと戻し、その吸気側に戻された排気ガスでエンジン内での燃料の燃焼を抑制させて燃焼温度を下げることによりNOxの発生を低減するようにした、いわゆる排気ガス再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)が行われている。
【0003】
一般的に、この種の排気ガス再循環を行う場合には、排気マニホールドから排気管に亘る排気通路の適宜位置と、吸気管から吸気マニホールドに亘る吸気通路の適宜位置との間をEGRパイプにより接続し、該EGRパイプを通して排気ガスを再循環するようにしている。
【0004】
尚、エンジンに再循環する排気ガスをEGRパイプの途中で冷却すると、排気ガスの温度が下がり且つその容積が小さくなることにより、エンジンの出力を余り低下させずに燃焼温度を低下して効果的に窒素酸化物の発生を低減させることができるため、EGRパイプの途中には水冷式のEGRクーラが装備されている。
【0005】
例えば、この種のEGRクーラでは、熱交換用のチューブが、排気ガス中に含まれる煤分の堆積により詰まりを生じる懸念があり、このような詰まりが生じた場合には、意図した量の排気ガスの再循環が実施できなくなって目標EGR率が達成できなくなる虞れがあるため、目標EGR率を達成できない異常な事態を何らかの手段を講じて検出する必要がある。
【0006】
尚、本発明に関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−161207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年における自動車のエンジンでは、燃費を改善する手法として、ダウンサイジングと高Pme化(高平均有効圧力化)が進められており、高温高圧条件に耐えて排気ガスの再循環量を直接検出し得るようなセンサの開発は極めて難しく、仮に可能であるとしても大幅なコスト増が避けられないという問題があった。
【0009】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、排気ガスの再循環量を直接検出する特別なセンサを新たに追加することなく、排気ガスの再循環量の異常を高い確度で検出し得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、現在のエンジンの運転状態において算出される実EGR率と、現在のエンジンの運転状態に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定することを特徴とする排気ガス再循環量の異常検出方法、に係るものである。
【0011】
而して、このようにすれば、排気ガスの再循環量を直接検出できるような特別なセンサを新たに追加しなくても、既に現状のエンジン制御に用いられている各種情報に基づいて実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求めることにより、目標EGR率に対し実EGR率が乖離している度合を把握することが可能となる。
【0012】
例えば、実EGR率を算出するにあたっては、吸気マニホールド内の温度と圧力とエンジンの回転数とに基づいて単位時間当たりに各気筒が吸い込み得る作動ガス量を算出すると共に、同じ単位時間当たりに吸気管を流れる新気量を実測し、該新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガスの再循環量を求め、該再循環量を前記作動ガス量で除算して実EGR率を求めることが可能である。
【0013】
また、目標EGR率を決定するにあたっては、現在のエンジンの回転数及び負荷に基づき、制御テーブルから現在の運転状態に見合う目標EGR率を読み出して決定することが可能である。
【0014】
そして、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求めた結果、目標EGR率に対し実EGR率が大きく乖離していれば、EGRクーラの熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して、意図した量の排気ガスの再循環が実施できなくなっているものと判断することが可能となる。
【0015】
ただし、高地等の空気密度の低い環境下でエンジンを使用するにあたっては、良好な燃焼を確保するのに必要な新気が量的に不足(質量から見た新気の充填効率が低下)する虞れがあることから、必要な量の新気を確保し得るよう高度(高度計等により実測)に応じて目標EGR率を下げる措置が採られるため、EGRクーラの熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して低下した異常時の実EGR率に対し、高度に応じて下げた目標EGR率が近づく結果、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値が正常時と異常時とで顕著な差となって現れ難くなり、排気ガスの再循環量が正常であるか異常であるかの判別が難しくなる懸念がある。
【0016】
そこで、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算するようにすれば、その積が正常時と異常時とで顕著な差となって現れる新たな指標として得られ、排気ガスの再循環量が正常であるか異常であるかの判別が容易化されることになる。
【0017】
即ち、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商は、フィードバック制御をかけている度合を表す値となり、正常時にはフィードバック制御をかける必要がないことから前記商が「0」に近い値となる一方、異常の程度が著しい時にはフィードバック制御を上限近くまでかける必要があることから前記商が「1」に近い値となる。
【0018】
依って、前記商を無次元化されたゲインとして前記偏差の絶対値に乗算すると、正常である場合に、その積が略「0」に収斂するのに対し、異常の程度が高い場合には、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値と大きく変わらない値の積となるため、排気ガスの再循環量が正常であるか異常であるかの判別が行い易くなる。
【0019】
また、本発明の方法を具体的に実施する装置としては、吸気マニホールド内の温度を検出する温度センサと、吸気マニホールド内の圧力を検出する圧力センサと、吸気管を流れる新気量を検出する吸気センサと、エンジンの回転数を検出する回転センサと、エンジンの負荷を検出する負荷センサと、これら各種センサから検出信号を入力して排気ガスの再循環量の異常を判定する制御装置とを備え、該制御装置が、吸気マニホールド内の吸気の温度と圧力とエンジンの回転数とに基づいて単位時間当たりに各気筒が吸い込み得る作動ガス量を算出すると共に、同じ単位時間当たりに吸気管を流れる新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガスの再循環量を求め、該再循環量を前記作動ガス量で除算して得た実EGR率と、現在のエンジンの回転数及び負荷に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
上記した本発明の排気ガス再循環量の異常検出方法及び装置によれば、排気ガスの再循環量を直接検出できるような特別なセンサを新たに追加することなく、既に現状のエンジン制御に用いられている各種情報に基づいて実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算することにより、その積を正常時と異常時とで顕著な差となって現れる新たな指標として得ることができ、これにより排気ガスの再循環量が正常であるか異常であるかの判別を確実に行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図2】図1の制御装置における具体的な制御の手法を示すフローチャートである。
【図3】本形態例の制御装置で算出される各種の値の具体例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は排気ガス再循環を行うためのEGR装置を搭載したエンジンの一例を示すもので、図1中における1はディーゼル機関であるエンジンを示し、該エンジン1は、ターボチャージャ2を備えており、図示しないエアクリーナから導いた吸気3を吸気管4を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへ送り、該コンプレッサ2aで加圧された吸気3をインタクーラ5へと送って冷却し、該インタクーラ5から更に吸気マニホールド6へと吸気3を導いてエンジン1の各気筒7(図1では直列6気筒の場合を例示している)に分配するようにしてある。
【0024】
また、このエンジン1の各気筒7から排出された排気ガス8を排気マニホールド9を介し前記ターボチャージャ2のタービン2bへ送り、該タービン2bを駆動した排気ガス8を排気管10を介し車外へ排出するようにしてある。
【0025】
そして、排気マニホールド9における各気筒7の並び方向の一端部と、吸気マニホールド6に接続されている吸気管4の一端部との間がEGRパイプ11により接続されており、排気マニホールド9から排気ガス8の一部を抜き出して吸気管4に導き得るようにしてある。
【0026】
ここで、前記EGRパイプ11には、該EGRパイプ11を適宜に開閉するEGRバルブ12と、再循環される排気ガス8を冷却するためのEGRクーラ13とが装備されており、該EGRクーラ13では、図示しない冷却水と排気ガス8とを図示しない熱交換用のチューブを介して熱交換させることにより排気ガス8の温度を低下し得るようにしてある。
【0027】
また、前記吸気マニホールド6に、該吸気マニホールド6内の温度を計測するための温度センサ14と、圧力を検出するための圧力センサ15とが備えられ、前記コンプレッサ2aより上流の吸気管4には、該吸気管4を流れる新気量を検出する吸気センサ16が備えられ、前記エンジン1の所要位置には、エンジン1の回転数を検出する回転センサ17が備えられており、これら温度センサ14,圧力センサ15,吸気センサ16,回転センサ17の検出信号14a,15a,16a,17aがエンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)を成す制御装置18に対し入力されるようにしてある。
【0028】
そして、前記制御装置18においては、吸気マニホールド6内の温度と圧力とエンジン1の回転数とに基づき、単位時間当たりに各気筒7が吸い込み得る作動ガス量(質量流量)が算出される一方、同じ単位時間当たりに吸気管4を流れる新気量(質量流量)が前記作動ガス量から減算されて排気ガス8の再循環量が求められ、該再循環量を前記作動ガス量で除算することで実EGR率が求められるようになっている。
【0029】
即ち、各気筒7の容積は決まっているため、エンジン1の回転数が判れば、各気筒7が吸い込み得る作動ガスの単位時間当たりの体積流量が判り、これを質量流量に換算して吸気マニホールド6内の温度と圧力の補正をかければ作動ガス量(質量流量)が求められる。尚、一般的に、既存の吸気センサ16には、温度センサが内蔵されていて新気の質量流量が出力されるようになっている。
【0030】
また、この制御装置18は、エンジン1における燃料噴射に関する制御も担うようになっていて、回転センサ17からの検出信号17aだけでなく、アクセル開度をエンジン1の負荷として検出するアクセルセンサ19(負荷センサ)からの検出信号19aも入力されるようになっており、エンジン1の回転数と負荷とに基づき、エンジン1の各気筒7に燃料を噴射する燃料噴射装置20に向け制御信号20aが出力されるようになっている。
【0031】
ここで、前記燃料噴射装置20は、各気筒7毎に装備される図示しない複数のインジェクタにより構成されており、これら各インジェクタの電磁弁が前記制御信号20aにより開弁制御されて燃料の噴射タイミング及び噴射量が適切に制御されるようになっている。
【0032】
また、この時の燃料噴射制御の噴射量の指示値をエンジン1の負荷として、この負荷と前記エンジン1の回転数とに基づき、制御テーブルから現在の運転状態に見合う目標EGR率が読み出され、この目標EGR率が達成されるよう前記EGRバルブ12に開度を指示する制御信号12aが出力されるようになっているが、前述の実EGR率を監視して目標EGR率が達成されるよう前記EGRバルブ12の開度についてフィードバック制御がかけられるようになっている。
【0033】
そして、本形態例においては、前記制御装置18が排気ガス8の再循環量の異常を判定する役割も果たすようになっており、この制御装置18で行われる異常判定の具体的な手法は、図2のフローチャートに示す如きものとなる。
【0034】
即ち、ステップS1において、吸気マニホールド6内の温度と圧力とエンジン1の回転数とに基づき、単位時間当たりに各気筒7が吸い込み得る作動ガス量が算出されると共に、同じ単位時間当たりに吸気管4を流れる新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガス8の再循環量が求められ、該再循環量を前記作動ガス量で除算して実EGR率が求められるようにしてある。
【0035】
また、ステップS2においては、現在のエンジン1の回転数及び負荷(燃料噴射制御の噴射量の指示値)に基づいて目標EGR率が求められるようになっており、次のステップS3において、先のステップS1で得られた実EGR率と、先のステップS2で得られた目標EGR率との偏差の絶対値が求められるようになっている。
【0036】
更に、ステップS4では、前述したEGRバルブ12の開度に関するフィードバック制御で決定されたEGRバルブ12の開度のフィードバック補正量が、該フィードバック補正量の上限値で除算されて商が得られるようになっており、次のステップS5においては、先のステップS4で得られた商がゲインとして、先のステップS3で得られた偏差の絶対値に乗算され、これにより得られた積が排気ガス8の再循環量の異常を判定する指標として得られるようになっている。
【0037】
そして、次のステップS6においては、先のステップS5で得られた積が「0」に近い場合にステップS7に進んで正常と判定し、前記積が「0」から離れている場合にステップS8に進んで異常と判定するようになっているが、前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定できるため、適切な閾値を決めて該閾値を上まわる場合に異常と判定するようにすれば良い。
【0038】
而して、このようにすれば、排気ガス8の再循環量を直接検出できるような特別なセンサを新たに追加しなくても、既に現状のエンジン制御に用いられている各種情報に基づいて実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求めることにより、目標EGR率に対し実EGR率が乖離している度合を把握することが可能となる(図3参照)。即ち、目標EGR率に対し実EGR率が大きく乖離していれば、EGRクーラ13の熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して、意図した量の排気ガス8の再循環が実施できなくなっているものと判断することが可能となる。
【0039】
ただし、高地等の空気密度の低い環境下でエンジン1を使用するにあたっては、良好な燃焼を確保するのに必要な新気が量的に不足(質量から見た新気の充填効率が低下)する虞れがあることから、必要な量の新気を確保し得るよう高度(高度計等により実測)に応じて目標EGR率を下げる措置が採られるため、EGRクーラ13の熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して低下した異常時の実EGR率に対し、高度に応じて下げた目標EGR率が近づく結果、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値が正常時と異常時とで顕著な差となって現れ難くなり、排気ガス8の再循環量が正常であるか異常であるかの判別が難しくなる。
【0040】
そこで、EGRバルブ12の開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算するようにすれば、その積が正常時と異常時とで顕著な差となって現れる新たな指標として得られ、排気ガス8の再循環量が正常であるか異常であるかの判別が容易化されることになる。
【0041】
即ち、EGRバルブ12の開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商は、フィードバック制御をかけている度合を表す値となり、正常時にはフィードバック制御をかける必要がないことから前記商が「0」に近い値となる一方、異常の程度が著しい時にはフィードバック制御を上限近くまでかける必要があることから前記商が「1」に近い値となる(図3参照)。
【0042】
依って、前記商を無次元化されたゲインとして前記偏差の絶対値に乗算すると、正常である場合に、その積が略「0」に収斂することになるのに対し、異常の程度が高い場合には、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値と大きく変わらない値の積となるため、排気ガス8の再循環量が正常であるか異常であるかの判別が行い易くなる(図3参照)。
【0043】
従って、上記形態例によれば、排気ガス8の再循環量を直接検出できるような特別なセンサを新たに追加することなく、既に現状のエンジン制御に用いられている各種情報に基づいて実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ12の開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算することにより、その積を正常時と異常時とで顕著な差となって現れる新たな指標として得ることができ、これにより排気ガス8の再循環量が正常であるか異常であるかの判別を確実に行うことができる。
【0044】
尚、本発明の排気ガス再循環量の異常検出方法及び装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、EGRクーラの熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して、意図した量の排気ガスの再循環が実施できなくなっている状況を例示して説明しているが、タービンのノズル開度を調整可能な可変ノズルターボをターボチャージャとして採用したエンジンにおいて、タービンのノズル開度が絞りすぎた状態で固着してしまう等して排気ガスの再循環量が過剰になっている異常についても検出し得ること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
1 エンジン
3 吸気
4 吸気管
6 吸気マニホールド
7 気筒
8 排気ガス
12 EGRバルブ
14 温度センサ
14a 検出信号
15 圧力センサ
15a 検出信号
16 吸気センサ
16a 検出信号
17 回転センサ
17a 検出信号
18 制御装置
19 アクセルセンサ(負荷センサ)
19a 検出信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジン等における排気ガス再循環量の異常検出方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のエンジン等では、排気側から排気ガスの一部を抜き出して吸気側へと戻し、その吸気側に戻された排気ガスでエンジン内での燃料の燃焼を抑制させて燃焼温度を下げることによりNOxの発生を低減するようにした、いわゆる排気ガス再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)が行われている。
【0003】
一般的に、この種の排気ガス再循環を行う場合には、排気マニホールドから排気管に亘る排気通路の適宜位置と、吸気管から吸気マニホールドに亘る吸気通路の適宜位置との間をEGRパイプにより接続し、該EGRパイプを通して排気ガスを再循環するようにしている。
【0004】
尚、エンジンに再循環する排気ガスをEGRパイプの途中で冷却すると、排気ガスの温度が下がり且つその容積が小さくなることにより、エンジンの出力を余り低下させずに燃焼温度を低下して効果的に窒素酸化物の発生を低減させることができるため、EGRパイプの途中には水冷式のEGRクーラが装備されている。
【0005】
例えば、この種のEGRクーラでは、熱交換用のチューブが、排気ガス中に含まれる煤分の堆積により詰まりを生じる懸念があり、このような詰まりが生じた場合には、意図した量の排気ガスの再循環が実施できなくなって目標EGR率が達成できなくなる虞れがあるため、目標EGR率を達成できない異常な事態を何らかの手段を講じて検出する必要がある。
【0006】
尚、本発明に関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−161207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年における自動車のエンジンでは、燃費を改善する手法として、ダウンサイジングと高Pme化(高平均有効圧力化)が進められており、高温高圧条件に耐えて排気ガスの再循環量を直接検出し得るようなセンサの開発は極めて難しく、仮に可能であるとしても大幅なコスト増が避けられないという問題があった。
【0009】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、排気ガスの再循環量を直接検出する特別なセンサを新たに追加することなく、排気ガスの再循環量の異常を高い確度で検出し得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、現在のエンジンの運転状態において算出される実EGR率と、現在のエンジンの運転状態に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定することを特徴とする排気ガス再循環量の異常検出方法、に係るものである。
【0011】
而して、このようにすれば、排気ガスの再循環量を直接検出できるような特別なセンサを新たに追加しなくても、既に現状のエンジン制御に用いられている各種情報に基づいて実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求めることにより、目標EGR率に対し実EGR率が乖離している度合を把握することが可能となる。
【0012】
例えば、実EGR率を算出するにあたっては、吸気マニホールド内の温度と圧力とエンジンの回転数とに基づいて単位時間当たりに各気筒が吸い込み得る作動ガス量を算出すると共に、同じ単位時間当たりに吸気管を流れる新気量を実測し、該新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガスの再循環量を求め、該再循環量を前記作動ガス量で除算して実EGR率を求めることが可能である。
【0013】
また、目標EGR率を決定するにあたっては、現在のエンジンの回転数及び負荷に基づき、制御テーブルから現在の運転状態に見合う目標EGR率を読み出して決定することが可能である。
【0014】
そして、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求めた結果、目標EGR率に対し実EGR率が大きく乖離していれば、EGRクーラの熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して、意図した量の排気ガスの再循環が実施できなくなっているものと判断することが可能となる。
【0015】
ただし、高地等の空気密度の低い環境下でエンジンを使用するにあたっては、良好な燃焼を確保するのに必要な新気が量的に不足(質量から見た新気の充填効率が低下)する虞れがあることから、必要な量の新気を確保し得るよう高度(高度計等により実測)に応じて目標EGR率を下げる措置が採られるため、EGRクーラの熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して低下した異常時の実EGR率に対し、高度に応じて下げた目標EGR率が近づく結果、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値が正常時と異常時とで顕著な差となって現れ難くなり、排気ガスの再循環量が正常であるか異常であるかの判別が難しくなる懸念がある。
【0016】
そこで、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算するようにすれば、その積が正常時と異常時とで顕著な差となって現れる新たな指標として得られ、排気ガスの再循環量が正常であるか異常であるかの判別が容易化されることになる。
【0017】
即ち、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商は、フィードバック制御をかけている度合を表す値となり、正常時にはフィードバック制御をかける必要がないことから前記商が「0」に近い値となる一方、異常の程度が著しい時にはフィードバック制御を上限近くまでかける必要があることから前記商が「1」に近い値となる。
【0018】
依って、前記商を無次元化されたゲインとして前記偏差の絶対値に乗算すると、正常である場合に、その積が略「0」に収斂するのに対し、異常の程度が高い場合には、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値と大きく変わらない値の積となるため、排気ガスの再循環量が正常であるか異常であるかの判別が行い易くなる。
【0019】
また、本発明の方法を具体的に実施する装置としては、吸気マニホールド内の温度を検出する温度センサと、吸気マニホールド内の圧力を検出する圧力センサと、吸気管を流れる新気量を検出する吸気センサと、エンジンの回転数を検出する回転センサと、エンジンの負荷を検出する負荷センサと、これら各種センサから検出信号を入力して排気ガスの再循環量の異常を判定する制御装置とを備え、該制御装置が、吸気マニホールド内の吸気の温度と圧力とエンジンの回転数とに基づいて単位時間当たりに各気筒が吸い込み得る作動ガス量を算出すると共に、同じ単位時間当たりに吸気管を流れる新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガスの再循環量を求め、該再循環量を前記作動ガス量で除算して得た実EGR率と、現在のエンジンの回転数及び負荷に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
上記した本発明の排気ガス再循環量の異常検出方法及び装置によれば、排気ガスの再循環量を直接検出できるような特別なセンサを新たに追加することなく、既に現状のエンジン制御に用いられている各種情報に基づいて実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算することにより、その積を正常時と異常時とで顕著な差となって現れる新たな指標として得ることができ、これにより排気ガスの再循環量が正常であるか異常であるかの判別を確実に行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図2】図1の制御装置における具体的な制御の手法を示すフローチャートである。
【図3】本形態例の制御装置で算出される各種の値の具体例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は排気ガス再循環を行うためのEGR装置を搭載したエンジンの一例を示すもので、図1中における1はディーゼル機関であるエンジンを示し、該エンジン1は、ターボチャージャ2を備えており、図示しないエアクリーナから導いた吸気3を吸気管4を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへ送り、該コンプレッサ2aで加圧された吸気3をインタクーラ5へと送って冷却し、該インタクーラ5から更に吸気マニホールド6へと吸気3を導いてエンジン1の各気筒7(図1では直列6気筒の場合を例示している)に分配するようにしてある。
【0024】
また、このエンジン1の各気筒7から排出された排気ガス8を排気マニホールド9を介し前記ターボチャージャ2のタービン2bへ送り、該タービン2bを駆動した排気ガス8を排気管10を介し車外へ排出するようにしてある。
【0025】
そして、排気マニホールド9における各気筒7の並び方向の一端部と、吸気マニホールド6に接続されている吸気管4の一端部との間がEGRパイプ11により接続されており、排気マニホールド9から排気ガス8の一部を抜き出して吸気管4に導き得るようにしてある。
【0026】
ここで、前記EGRパイプ11には、該EGRパイプ11を適宜に開閉するEGRバルブ12と、再循環される排気ガス8を冷却するためのEGRクーラ13とが装備されており、該EGRクーラ13では、図示しない冷却水と排気ガス8とを図示しない熱交換用のチューブを介して熱交換させることにより排気ガス8の温度を低下し得るようにしてある。
【0027】
また、前記吸気マニホールド6に、該吸気マニホールド6内の温度を計測するための温度センサ14と、圧力を検出するための圧力センサ15とが備えられ、前記コンプレッサ2aより上流の吸気管4には、該吸気管4を流れる新気量を検出する吸気センサ16が備えられ、前記エンジン1の所要位置には、エンジン1の回転数を検出する回転センサ17が備えられており、これら温度センサ14,圧力センサ15,吸気センサ16,回転センサ17の検出信号14a,15a,16a,17aがエンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)を成す制御装置18に対し入力されるようにしてある。
【0028】
そして、前記制御装置18においては、吸気マニホールド6内の温度と圧力とエンジン1の回転数とに基づき、単位時間当たりに各気筒7が吸い込み得る作動ガス量(質量流量)が算出される一方、同じ単位時間当たりに吸気管4を流れる新気量(質量流量)が前記作動ガス量から減算されて排気ガス8の再循環量が求められ、該再循環量を前記作動ガス量で除算することで実EGR率が求められるようになっている。
【0029】
即ち、各気筒7の容積は決まっているため、エンジン1の回転数が判れば、各気筒7が吸い込み得る作動ガスの単位時間当たりの体積流量が判り、これを質量流量に換算して吸気マニホールド6内の温度と圧力の補正をかければ作動ガス量(質量流量)が求められる。尚、一般的に、既存の吸気センサ16には、温度センサが内蔵されていて新気の質量流量が出力されるようになっている。
【0030】
また、この制御装置18は、エンジン1における燃料噴射に関する制御も担うようになっていて、回転センサ17からの検出信号17aだけでなく、アクセル開度をエンジン1の負荷として検出するアクセルセンサ19(負荷センサ)からの検出信号19aも入力されるようになっており、エンジン1の回転数と負荷とに基づき、エンジン1の各気筒7に燃料を噴射する燃料噴射装置20に向け制御信号20aが出力されるようになっている。
【0031】
ここで、前記燃料噴射装置20は、各気筒7毎に装備される図示しない複数のインジェクタにより構成されており、これら各インジェクタの電磁弁が前記制御信号20aにより開弁制御されて燃料の噴射タイミング及び噴射量が適切に制御されるようになっている。
【0032】
また、この時の燃料噴射制御の噴射量の指示値をエンジン1の負荷として、この負荷と前記エンジン1の回転数とに基づき、制御テーブルから現在の運転状態に見合う目標EGR率が読み出され、この目標EGR率が達成されるよう前記EGRバルブ12に開度を指示する制御信号12aが出力されるようになっているが、前述の実EGR率を監視して目標EGR率が達成されるよう前記EGRバルブ12の開度についてフィードバック制御がかけられるようになっている。
【0033】
そして、本形態例においては、前記制御装置18が排気ガス8の再循環量の異常を判定する役割も果たすようになっており、この制御装置18で行われる異常判定の具体的な手法は、図2のフローチャートに示す如きものとなる。
【0034】
即ち、ステップS1において、吸気マニホールド6内の温度と圧力とエンジン1の回転数とに基づき、単位時間当たりに各気筒7が吸い込み得る作動ガス量が算出されると共に、同じ単位時間当たりに吸気管4を流れる新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガス8の再循環量が求められ、該再循環量を前記作動ガス量で除算して実EGR率が求められるようにしてある。
【0035】
また、ステップS2においては、現在のエンジン1の回転数及び負荷(燃料噴射制御の噴射量の指示値)に基づいて目標EGR率が求められるようになっており、次のステップS3において、先のステップS1で得られた実EGR率と、先のステップS2で得られた目標EGR率との偏差の絶対値が求められるようになっている。
【0036】
更に、ステップS4では、前述したEGRバルブ12の開度に関するフィードバック制御で決定されたEGRバルブ12の開度のフィードバック補正量が、該フィードバック補正量の上限値で除算されて商が得られるようになっており、次のステップS5においては、先のステップS4で得られた商がゲインとして、先のステップS3で得られた偏差の絶対値に乗算され、これにより得られた積が排気ガス8の再循環量の異常を判定する指標として得られるようになっている。
【0037】
そして、次のステップS6においては、先のステップS5で得られた積が「0」に近い場合にステップS7に進んで正常と判定し、前記積が「0」から離れている場合にステップS8に進んで異常と判定するようになっているが、前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定できるため、適切な閾値を決めて該閾値を上まわる場合に異常と判定するようにすれば良い。
【0038】
而して、このようにすれば、排気ガス8の再循環量を直接検出できるような特別なセンサを新たに追加しなくても、既に現状のエンジン制御に用いられている各種情報に基づいて実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求めることにより、目標EGR率に対し実EGR率が乖離している度合を把握することが可能となる(図3参照)。即ち、目標EGR率に対し実EGR率が大きく乖離していれば、EGRクーラ13の熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して、意図した量の排気ガス8の再循環が実施できなくなっているものと判断することが可能となる。
【0039】
ただし、高地等の空気密度の低い環境下でエンジン1を使用するにあたっては、良好な燃焼を確保するのに必要な新気が量的に不足(質量から見た新気の充填効率が低下)する虞れがあることから、必要な量の新気を確保し得るよう高度(高度計等により実測)に応じて目標EGR率を下げる措置が採られるため、EGRクーラ13の熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して低下した異常時の実EGR率に対し、高度に応じて下げた目標EGR率が近づく結果、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値が正常時と異常時とで顕著な差となって現れ難くなり、排気ガス8の再循環量が正常であるか異常であるかの判別が難しくなる。
【0040】
そこで、EGRバルブ12の開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算するようにすれば、その積が正常時と異常時とで顕著な差となって現れる新たな指標として得られ、排気ガス8の再循環量が正常であるか異常であるかの判別が容易化されることになる。
【0041】
即ち、EGRバルブ12の開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商は、フィードバック制御をかけている度合を表す値となり、正常時にはフィードバック制御をかける必要がないことから前記商が「0」に近い値となる一方、異常の程度が著しい時にはフィードバック制御を上限近くまでかける必要があることから前記商が「1」に近い値となる(図3参照)。
【0042】
依って、前記商を無次元化されたゲインとして前記偏差の絶対値に乗算すると、正常である場合に、その積が略「0」に収斂することになるのに対し、異常の程度が高い場合には、実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値と大きく変わらない値の積となるため、排気ガス8の再循環量が正常であるか異常であるかの判別が行い易くなる(図3参照)。
【0043】
従って、上記形態例によれば、排気ガス8の再循環量を直接検出できるような特別なセンサを新たに追加することなく、既に現状のエンジン制御に用いられている各種情報に基づいて実EGR率と目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ12の開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算することにより、その積を正常時と異常時とで顕著な差となって現れる新たな指標として得ることができ、これにより排気ガス8の再循環量が正常であるか異常であるかの判別を確実に行うことができる。
【0044】
尚、本発明の排気ガス再循環量の異常検出方法及び装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、EGRクーラの熱交換用のチューブに詰まりが生じる等して、意図した量の排気ガスの再循環が実施できなくなっている状況を例示して説明しているが、タービンのノズル開度を調整可能な可変ノズルターボをターボチャージャとして採用したエンジンにおいて、タービンのノズル開度が絞りすぎた状態で固着してしまう等して排気ガスの再循環量が過剰になっている異常についても検出し得ること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
1 エンジン
3 吸気
4 吸気管
6 吸気マニホールド
7 気筒
8 排気ガス
12 EGRバルブ
14 温度センサ
14a 検出信号
15 圧力センサ
15a 検出信号
16 吸気センサ
16a 検出信号
17 回転センサ
17a 検出信号
18 制御装置
19 アクセルセンサ(負荷センサ)
19a 検出信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在のエンジンの運転状態において算出される実EGR率と、現在のエンジンの運転状態に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定することを特徴とする排気ガス再循環量の異常検出方法。
【請求項2】
吸気マニホールド内の温度と圧力とエンジンの回転数とに基づいて単位時間当たりに各気筒が吸い込み得る作動ガス量を算出すると共に、同じ単位時間当たりに吸気管を流れる新気量を実測し、該新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガスの再循環量を求め、該再循環量を前記作動ガス量で除算して実EGR率を求めることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス再循環量の異常検出方法。
【請求項3】
吸気マニホールド内の温度を検出する温度センサと、吸気マニホールド内の圧力を検出する圧力センサと、吸気管を流れる新気量を検出する吸気センサと、エンジンの回転数を検出する回転センサと、エンジンの負荷を検出する負荷センサと、これら各種センサから検出信号を入力して排気ガスの再循環量の異常を判定する制御装置とを備え、
該制御装置が、吸気マニホールド内の吸気の温度と圧力とエンジンの回転数とに基づいて単位時間当たりに各気筒が吸い込み得る作動ガス量を算出すると共に、同じ単位時間当たりに吸気管を流れる新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガスの再循環量を求め、該再循環量を前記作動ガス量で除算して得た実EGR率と、現在のエンジンの回転数及び負荷に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定するように構成されていることを特徴とする排気ガス再循環量の異常検出装置。
【請求項1】
現在のエンジンの運転状態において算出される実EGR率と、現在のエンジンの運転状態に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定することを特徴とする排気ガス再循環量の異常検出方法。
【請求項2】
吸気マニホールド内の温度と圧力とエンジンの回転数とに基づいて単位時間当たりに各気筒が吸い込み得る作動ガス量を算出すると共に、同じ単位時間当たりに吸気管を流れる新気量を実測し、該新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガスの再循環量を求め、該再循環量を前記作動ガス量で除算して実EGR率を求めることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス再循環量の異常検出方法。
【請求項3】
吸気マニホールド内の温度を検出する温度センサと、吸気マニホールド内の圧力を検出する圧力センサと、吸気管を流れる新気量を検出する吸気センサと、エンジンの回転数を検出する回転センサと、エンジンの負荷を検出する負荷センサと、これら各種センサから検出信号を入力して排気ガスの再循環量の異常を判定する制御装置とを備え、
該制御装置が、吸気マニホールド内の吸気の温度と圧力とエンジンの回転数とに基づいて単位時間当たりに各気筒が吸い込み得る作動ガス量を算出すると共に、同じ単位時間当たりに吸気管を流れる新気量を前記作動ガス量から減算して排気ガスの再循環量を求め、該再循環量を前記作動ガス量で除算して得た実EGR率と、現在のエンジンの回転数及び負荷に基づいて決定された目標EGR率との偏差の絶対値を求め、EGRバルブ開度のフィードバック補正量を該フィードバック補正量の上限値で除算して得た商をゲインとして前記偏差の絶対値に乗算し、これにより得られた積が「0」に近い場合を正常とし且つ前記積が「0」から遠ざかるほど異常の程度が高いものと判定するように構成されていることを特徴とする排気ガス再循環量の異常検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2013−19305(P2013−19305A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152873(P2011−152873)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
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