説明

排気浄化装置

【課題】単一の高周波照射部を用いる場合でも、微粒子捕集部を均一に加熱し、微粒子捕集部の溶損を低減し、微粒子捕集部の再生が図られる排気浄化装置を提供する。
【解決手段】排気浄化装置10は、高周波照射部13から照射されたマイクロ波を微粒子捕集部12側へ反射するタービン16および段差部23を有している。タービン16の翼面28は、排気通路14の中心軸に対し傾斜している。そのため、タービン16が回転すると、高周波照射部13から照射されたマイクロ波が反射する翼面28の位置は変化する。これにより、タービン16が回転すると、タービン16で反射したマイクロ波は、伝搬長が変化し、微粒子捕集部12における位相が変化する。その結果、タービン16で反射したマイクロ波の電界が集中する部位は、タービン16の回転にともなって微粒子捕集部12に対し移動する。これにより、マイクロ波は、微粒子捕集部12に対し均一に照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置に関し、特に微粒子捕集部に捕集された微粒子を高周波の照射によって焼却する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば排気に含まれるPM(Particulate matter)などの微粒子を捕集するDPF(Diesel Particulate Filter)を再生する排気浄化装置が実用化されている。このようなDPFを再生する手段として、例えばマイクロ波などの高周波の電磁波を利用することが提案されている(特許文献1、2参照)。このような排気浄化装置は、微粒子捕集部へ高周波を照射することにより、微粒子捕集部に照射された微粒子を加熱している。これにより、微粒子捕集部に捕集されている微粒子は、焼却される。
【0003】
しかしながら、単一の高周波照射部から高周波を照射する場合、電界強度に強弱の分布が生じ、加熱対象である微粒子捕集部は加熱のムラが生じる。その結果、微粒子捕集部の再生が不十分になったり、局所的な温度の上昇にともなう微粒子捕集部の溶損などを招くという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−140063号公報
【特許文献2】特開2003−201825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、単一の高周波照射部を用いる場合でも、微粒子捕集部を均一に加熱し、微粒子捕集部の溶損を低減し、微粒子捕集部の再生が図られる排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、高周波照射部から照射された高周波を微粒子捕集部側へ反射する高周波反射部を有している。この高周波反射部は、排気の流れ方向において微粒子捕集部を挟んで上流側および下流側に設けられている。この高周波反射部の一方は、その反射面が微粒子捕集部に対し移動する可動反射部である。そのため、可動反射部で反射した高周波は、可動反射部が微粒子捕集部に対し移動することにより、微粒子捕集部における位相が変化する。その結果、可動反射部で反射した高周波の電界が集中する部位、すなわち定在波の位相は、可動反射部の移動にともなって微粒子捕集部の軸方向へ移動する。これにより、高周波は、微粒子捕集部に対し比較的均一に照射される。したがって、単一の高周波照射部を用いる場合でも、微粒子捕集部は均一に加熱され、微粒子捕集部の溶損を低減することができるとともに、微粒子捕集部の再生を高精度に図ることができる。
【0007】
請求項2記載の発明では、可動反射部は微粒子捕集部の上流側に設けられているタービンである。内燃機関は、排気の流れを利用して吸気を加圧するターボチャージャを備える場合がある。このようにターボチャージャを備える内燃機関の場合、微粒子捕集部の上流側には排気の流れによって駆動されるタービンが設けられている。タービンは、排気の流れによって回転することにより、その翼部分と微粒子捕集部との距離が変化する。すなわち、タービンは、可動反射部を構成する。したがって、既存の構成を利用することができ、部品点数の増大や構造の複雑化を招くことなく微粒子捕集部を均一に加熱することができる。
【0008】
請求項3または4記載の発明では、可動反射部はバタフライ弁またはファン部材である。これにより、バタフライ弁の開度またはファン部材の回転によって、可動反射部と微粒子捕集部との距離が変化する。したがって、簡単な構造で微粒子捕集部を均一に加熱することができる。
【0009】
請求項5記載の発明では、高周波反射部は、微粒子捕集部を挟んで可動反射部と反対側に固定反射部を有している。高周波反射部は、微粒子捕集部の上流側または下流側の少なくともいずれか一方が可動反射部であればよく、他の一方が微粒子捕集部との間の距離が変化しない固定反射部であってもよい。排気通路を形成する排気管部材は、位置によってその内径が変化する。この排気管部材の内径が変化する部分には、円環状または円錐台環状の壁面が形成される。この壁面は、高周波照射部から照射された高周波を反射する。そのため、これら排気管部材の内径が縮小する内径縮小部を固定反射部とすることにより、別途固定反射部を設ける必要がない。したがって、既存の構成を利用することができ、部品点数の増大や構造の複雑化を招くことなく高周波を反射させることができる。
【0010】
請求項6記載の発明では、高周波反射部は、微粒子捕集部を挟んで可動反射部と反対側に固定反射部を有している。高周波反射部は、微粒子捕集部の上流側または下流側の少なくともいずれか一方が可動反射部であればよく、他の一方が微粒子捕集部との間の距離が変化しない固定反射部であってもよい。高周波は、金属の板や膜によって反射する。そこで、微粒子捕集部の可動反射部と反対側の端面に金属の皮膜を形成することにより、高周波照射部から照射された高周波はこの金属製の皮膜で反射する。これにより、別途固定反射部を構成する部材を排気通路に設ける必要がない。したがって、既存の構成の一部を利用することができ、部品点数の増大や構造の複雑化を招くことなく高周波を反射させることができる。
【0011】
請求項7記載の発明では、微粒子捕集部を高周波照射部から照射される高周波が形成する電界内で駆動する駆動部を備えている。そのため、微粒子捕集部は、高周波照射部から照射される高周波が形成する電界内を移動する。これにより、高周波照射部から照射される高周波の電界が集中する部位は、微粒子捕集部の移動にともなって微粒子捕集部の軸方向へ移動する。その結果、高周波は、微粒子捕集部に対し比較的均一に照射される。したがって、単一の高周波照射部を用いる場合でも、微粒子捕集部は均一に加熱され、微粒子捕集部の溶損を低減することができるとともに、微粒子捕集部の再生を高精度に図ることができる。
【0012】
請求項8記載の発明では、高周波反射部をさらに備えている。高周波反射部は、排気通路における排気の流れ方向において微粒子捕集部の上流側または下流側の少なくともいずれか一方に設けられている。これにより、高周波照射部から照射された高周波は、高周波反射部で反射される。高周波照射部から照射された高周波は、高周波反射部で反射することにより共振し、微粒子捕集部の軸方向へ電界強度の分布を生じる。駆動部によって微粒子捕集部を駆動することにより、微粒子捕集部は電界強度の分布が生じている電界内を移動する。したがって、単一の高周波照射部を用いる場合でも、微粒子捕集部は均一に加熱され、微粒子捕集部の溶損を低減することができるとともに、微粒子捕集部の再生を高精度に図ることができる。
【0013】
請求項9記載の発明では、駆動部を構成する弾性部材は、排気の流れ方向において上流側および下流側から微粒子捕集部を支持している。排気通路に設けられている微粒子捕集部は、排気通路を流れる排気により、上流側から下流側へ向かう力を受ける。微粒子捕集部を弾性部材で支持することにより、微粒子捕集部は、これら弾性部材から受ける力と排気から受ける力との均衡によって排気通路を排気の流れ方向へ移動する。これにより、微粒子捕集部は、特別な駆動力を加えることなく、高周波照射部から照射される高周波が形成する電界内を移動する。したがって、簡単な構成かつ別途駆動力を用いることなく、微粒子捕集部の再生を図ることができる。
【0014】
請求項10記載の発明では、微粒子捕集部は、排気の流れ方向において上流側の端部を塞ぐ抵抗板部材を有している。排気通路を流れる排気は、この抵抗板部材に吹き付けられる。微粒子捕集部は、再生が進行するにつれて圧力損失が低下する。そのため、排気は微粒子捕集部を通過しやすくなり、微粒子捕集部が排気から受ける力は減少する。微粒子捕集部の上流側に抵抗板部材を設けることにより、微粒子捕集部は排気通路を流れる排気から常に下流側へ向かう力を受ける。これにより、微粒子捕集部の再生の進行度合いに関わらず、微粒子捕集部は排気の力と弾性部材の力との均衡によって移動する。したがって、時期に関わらず微粒子捕集部の再生を促進することができる。
【0015】
請求項11記載の発明では、駆動部はアクチュエータを有している。微粒子捕集部は、このアクチュエータから受ける力によって電界内を移動する。アクチュエータは、微粒子捕集部を電界の分布に応じて電界の大きな位置へ高精度に移動させる。したがって、微粒子捕集部の再生をより促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態による排気浄化装置を適用した内燃機関を示す模式図
【図2】第2実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図3】第2実施形態による排気浄化装置において、微粒子捕集部の位置とマイクロ波の電界強度との関係を示す模式図
【図4】第3実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図5】第3実施形態による排気浄化装置の固定反射部の変形例を示す模式図
【図6】第3実施形態による排気浄化装置の固定反射部の変形例を示す模式図
【図7】排気浄化装置のその他の実施形態を示す模式図
【図8】排気浄化装置のその他の実施形態を示す模式図
【図9】排気浄化装置のその他の実施形態を示す模式図
【図10】第4実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図11】第5実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【図12】図11のXII−XII線における断面図
【図13】第6実施形態による排気浄化装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の複数の実施形態による排気浄化装置を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態による排気浄化装置を図1に示す。排気浄化装置10は、排気管部材11、微粒子捕集部12および高周波照射部13を備えている。排気管部材11は、排気通路14を形成している。排気管部材11は、一方の端部が内燃機関15に接続し、他方の端部が大気に開放されている。これにより、排気通路14は、内燃機関15と大気とを接続している。内燃機関15は、例えばディーゼルエンジン、ガソリンエンジンまたはガスタービンエンジンなど任意のエンジンが適用される。排気管部材11は、内燃機関15と微粒子捕集部12との間にタービン16を収容している。タービン16は、吸気管部材に収容されている図示しないコンプレッサとともにターボチャージャ18を構成している。
【0018】
排気管部材11は、大径部21および小径部22を有している。大径部21は、排気通路14の途中に微粒子捕集部12を収容する収容室を形成している。小径部22は、大径部21の内燃機関15とは反対側の端部に接続している。小径部22は、大径部21に比較して内径が小さい。そのため、大径部21と小径部22との接続部分には、排気の流れ方向すなわち排気管部材11の軸に対し垂直な円環状の段差部23が形成される。この段差部23は、排気管部材11の軸に対し垂直な円環状に形成するだけでなく、大径部21から小径部22へかけて内径が徐々に変化する円錐台状に形成してもよい。すなわち、段差部23は、特許請求の範囲の内径縮小部に相当する。
【0019】
微粒子捕集部12は、排気管部材11が形成する排気通路14に設けられている。具体的には、微粒子捕集部12は、排気管部材11の大径部21が形成する収容室に収容されている。微粒子捕集部12は、例えばPMを捕集するDPFによって構成されている。微粒子捕集部12は、例えば多孔質のセラミックスによって形成され、PMのように排気に含まれる微粒子を捕集する。高周波照射部13は、本体部25およびアンテナ26を有している。本体部25は、排気通路14を形成する排気管部材11の外側に設けられている。アンテナ26は、本体部25から突出し、排気管部材11を貫いて排気通路14に露出している。本体部25へ通電することにより、アンテナ26からは高周波の電磁波が排気通路14へ照射される。アンテナ26から照射される電磁波は、例えばマイクロ波である。アンテナ26から発せられたマイクロ波は、排気通路14に沿って伝搬し、微粒子捕集部12へ照射される。これにより、微粒子捕集部12に捕集されている微粒子は、照射されたマイクロ波によって加熱される。その結果、微粒子捕集部12に捕集されている微粒子は、マイクロ波を照射することによって焼却される。なお、微粒子捕集部12は、多孔質のセラミックで形成するだけでなく、例えばPMを帯電させることにより静電力を利用してPMを捕集する構成としてもよい。
【0020】
ところで、高周波照射部13のアンテナ26から照射されたマイクロ波は、アンテナ26を中心に放射される。第1実施形態の場合、高周波照射部13は、排気通路14における排気の流れ方向において微粒子捕集部12の上流側すなわち内燃機関15側に配置されている。そのため、高周波照射部13から照射されたマイクロ波は、微粒子捕集部12側だけでなく、内燃機関15側にも伝搬する。高周波照射部13から内燃機関15側へ照射されたマイクロ波は、ターボチャージャ18のタービン16において微粒子捕集部12側へ反射される。すなわち、タービン16は、その翼面28が高周波照射部13から照射されたマイクロ波を微粒子捕集部12側へ反射する反射面を形成している。これにより、高周波照射部13から照射されたマイクロ波は、一部が微粒子捕集部12側へ直接伝搬するとともに、他の一部がタービン16で反射することにより微粒子捕集部12側へ伝搬する。
【0021】
タービン16の翼面28が回転することにより、マイクロ波が翼面28で反射する位置は、微粒子捕集部12に対して変化する。つまり、タービン16の翼面28は、排気通路14の中心軸に対し傾斜しているため、タービン16の回転にともなってマイクロ波が反射する位置が変化する。そのため、翼面28でマイクロ波が反射した位置から微粒子捕集部12までの距離は、タービン16の回転にともなって変化する。すなわち、タービン16の翼面28におけるマイクロ波の反射位置は、微粒子捕集部12に対し移動可能である。このように、ターボチャージャ18のタービン16は、反射面となる翼面28を有する可動反射部を構成している。
【0022】
一方、高周波照射部13のアンテナ26から内燃機関15と反対側へ照射されたマイクロ波は、排気管部材11の大径部21と小径部22との接続部分に形成される段差部23において微粒子捕集部12側へ反射される。すなわち、段差部23は、高周波照射部13から照射され微粒子捕集部12を通過したマイクロ波を微粒子捕集部12側へ反射する反射面を形成している。これにより、高周波照射部13から照射され微粒子捕集部12を通過したマイクロ波は、段差部23で反射することにより再び微粒子捕集部12側へ伝搬する。段差部23は、微粒子捕集部12との間の距離が変化しない。このように、段差部23は、微粒子捕集部12に対し移動することのない固定反射部を構成している。
【0023】
上記の構成の排気浄化装置10は、高周波照射部13と微粒子捕集部12との距離、および固定反射部を構成する段差部23と微粒子捕集部12との距離が変化しない。そのため、高周波照射部13から照射されたマイクロ波の一部、および段差部23で反射したマイクロ波は、微粒子捕集部12に対する電界強度の分布が一定となる。一方、可動反射部を構成するターボチャージャ18のタービン16は、排気の流れによって回転する。そのため、タービン16の翼面28と微粒子捕集部12との間の距離は、タービン16の回転にともなって変化する。すなわち、タービン16の翼面28は、微粒子捕集部12に対し移動する。その結果、タービン16の翼面28で反射するマイクロ波は、微粒子捕集部12における電界強度の分布がタービン16の回転にともなって変化する。これにより、微粒子捕集部12に対する電界強度のムラが解消される。したがって、微粒子捕集部12の均一な加熱が容易になり、微粒子捕集部12の再生不良や溶損などが低減される。
【0024】
以上説明したように、第1実施形態では、高周波照射部13から照射されたマイクロ波を微粒子捕集部12側へ反射するタービン16および段差部23を有している。このタービン16は、排気の流れ方向において微粒子捕集部12の上流側に設けられている。また、段差部23は、微粒子捕集部12を挟んでタービン16の反対側、すなわち微粒子捕集部12の下流側に設けられている。タービン16の翼面28は、排気通路14の中心軸に対し傾斜している。そのため、高周波反射部の一方であるタービン16が回転すると、翼面28で高周波照射部13から照射されたマイクロ波が反射する位置は変化する。これにより、タービン16が回転すると、翼面28においてマイクロ波が反射する位置から微粒子捕集部12までの距離すなわちマイクロ波の伝搬長は変化し、タービン16の翼面28で反射したマイクロ波は微粒子捕集部12における位相が変化する。その結果、タービン16で反射した高周波の電界が集中する部位、すなわち定在波の位相は、タービン16の回転にともなって微粒子捕集部12の軸方向および径方向へ移動する。これにより、マイクロ波は、微粒子捕集部12に対し比較的均一に照射される。したがって、単一の高周波照射部13を用いる場合でも、微粒子捕集部12は軸方向および径方向へ均一に加熱され、微粒子捕集部12の溶損を低減することができるとともに、微粒子捕集部12の再生を高精度に図ることができる。
【0025】
また、第1実施形態では、ターボチャージャ18のタービン16が可動反射部を構成している。内燃機関15は、排気の流れを利用して吸気を加圧するターボチャージャ18を備える場合がある。このようにターボチャージャ18を備える内燃機関15の場合、微粒子捕集部12の上流側には排気の流れによって駆動されるタービン16が設けられている。タービン16は、排気の流れによって回転することにより、その翼面28と微粒子捕集部12との距離が変化する。すなわち、タービン16は、容易に可動反射部を構成する。したがって、ターボチャージャ18の既存の構成を利用することができ、部品点数や構造の複雑化を招くことなく微粒子捕集部12を均一に加熱することができる。
【0026】
さらに、第1実施形態では、固定反射部は、排気管部材11の大径部21と小径部22との接続部分に形成される段差部23である。高周波反射部は、微粒子捕集部12の上流側または下流側の少なくともいずれか一方が可動反射部であればよく、他の一方が微粒子捕集部12との間の距離が変化しない固定反射部であってもよい。段差部23を形成する面は、高周波照射部13から照射されたマイクロ波を反射する。そのため、これら排気管部材11の内径が縮小する段差部23を固定反射部とすることにより、別途固定反射部を設ける必要がない。したがって、既存の構成を利用することができ、部品点数の増大や構造の複雑化を招くことなくマイクロ波を反射させることができる。
【0027】
(第2実施形態)
第2実施形態による排気浄化装置を図2に示す。
第2実施形態の場合、排気浄化装置10は、高周波反射部として可動反射部31および固定反射部32を有している。可動反射部31は、排気管部材11が形成する排気通路14を開閉するバタフライ弁である。可動反射部31は、回転軸34および弁体35を有している。可動反射部31は、排気通路14の中心軸に対し交差する回転軸34を中心に回転する。回転軸34は、排気通路14の中心軸に直交してもよく、排気通路14の中心軸に対し斜めに交差していてもよい。回転軸34と一体の弁体35は、回転軸34を中心に回転することにより、排気通路14を全開から全閉に近い状態まで開閉する。弁体35は、円盤状に形成されている。この弁体35の表面は、高周波照射部から照射されたマイクロ波を反射する反射面36を形成している。可動反射部31は、排気通路14において高周波照射部13よりも上流側、すなわち内燃機関15側に配置されている。高周波照射部13は、微粒子捕集部12の内燃機関15側に配置されている。
【0028】
固定反射部32は、微粒子捕集部12を挟んで可動反射部31の反対側、すなわち排気通路14における排気の流れ方向において微粒子捕集部12よりも下流側に配置されている。固定反射部32は、排気管部材11に固定されている。そのため、固定反射部32は、微粒子捕集部12に対する距離が変化しない。固定反射部32は、例えば金属製の網や多数の孔を形成した金属板などで形成されている。金属製の固定反射部32は、高周波照射部13から照射され微粒子捕集部12を通過したマイクロ波を微粒子捕集部12側へ反射する。
【0029】
第2実施形態の場合、可動反射部31が回転軸34を中心に回転することにより、弁体35が形成する反射面36と微粒子捕集部12との距離は変化する。そのため、図3に示すように、高周波照射部13から照射されたマイクロ波の電界強度は、可動反射部31の回転角度にともなって極大となる位置が変化する。詳細には、マイクロ波の電界強度が極大となる位置は、図3に示すように可動反射部31の回転角度がa、b、cと変化することにともなって、微粒子捕集部12の軸方向、すなわち端部121と端部122との間を移動する。また、マイクロ波の電界強度が極大となる位置は、可動反射部31の回転角度の変化にともなって、微粒子捕集部12の軸方向だけでなく、微粒子捕集部12の径方向、すなわち側端部123と側端部124との間でも移動する。このように、第2実施形態の場合、可動反射部31の回転によって、可動反射部31と微粒子捕集部12との距離は変化する。そのため、高周波照射部13から照射され可動反射部31で反射したマイクロ波は、可動反射部31の回転にともなって微粒子捕集部12の軸方向および径方向へ定在波の位相が変化する。その結果、マイクロ波の電界強度が極大となる位置は、可動反射部31の回転にともなって微粒子捕集部12の軸方向および径方向へ移動する。
【0030】
以上説明したように、第2実施形態は、ターボチャージャ18に代えてバタフライ弁からなる可動反射部31を備えている。この可動反射部31は、回転軸34を中心に回転することにより、マイクロ波の電界強度が極大となる位置を、微粒子捕集部12の軸方向および径方向へ移動させる。したがって、単一の高周波照射部13を用いる場合でも、微粒子捕集部12は均一に加熱され、微粒子捕集部12の溶損を低減することができるとともに、微粒子捕集部12の再生を高精度に図ることができる。
【0031】
また、第2実施形態では、バタフライ弁で可動反射部31を構成している。そのため、可動反射部31は、回転軸34を中心に回転するだけでマイクロ波の定在波の位相を変化させている。すなわち、可動反射部31は、マイクロ波の定在波の位相を変化させるために弁体35を回転駆動すればよい。したがって、可動反射部31の構造および制御を簡単にすることができる。
【0032】
(第3実施形態)
第3実施形態による排気浄化装置を図4に示す。
第3実施形態の場合、排気浄化装置10は、可動反射部31の構成が第2実施形態と異なる。第3実施形態の場合、排気浄化装置10の可動反射部31は、排気管部材11が形成する排気通路14において回転するファン部材である。可動反射部31は、支持軸41およびファン翼42を有している。可動反射部31のファン翼42は、排気通路14の中心軸に対し平行な支持軸41に支持されつつ回転する。ファン翼42の表面は、高周波照射部13から照射されたマイクロ波を反射する反射面43を形成している。可動反射部31は、排気通路14において微粒子捕集部12および高周波照射部13よりも上流側、すなわち内燃機関15側に配置されている。
【0033】
第3実施形態の場合、可動反射部31のファン翼42が回転することにより、ファン翼42が形成する反射面43でマイクロ波が反射する位置から微粒子捕集部12までの距離は変化する。そのため、第2実施形態と同様に、高周波照射部13から照射されたマイクロ波の電界強度は、ファン翼42の回転によって極大となる位置が変化する。すなわち、マイクロ波の電界強度が極大となる位置は、ファン翼42の回転にともなって、微粒子捕集部12の軸方向および径方向へ移動する。
【0034】
以上説明したように、第3実施形態では、ファン部材からなる可動反射部31を備えている。この可動反射部31は、ファン翼42が回転することにより、マイクロ波の電界強度が最大となる位置を、微粒子捕集部12の軸方向および径方向へ移動させる。したがって、単一の高周波照射部13を用いる場合でも、微粒子捕集部12は均一に加熱され、微粒子捕集部12の溶損を低減することができるとともに、微粒子捕集部12の再生を高精度に図ることができる。
【0035】
また、第3実施形態では、ファン部材で可動反射部31を構成している。そのため、可動反射部31は、ファン翼42が回転するだけでマイクロ波の定在波の位相を変化させている。このファン翼42は、排気通路14における排気の流れによって回転駆動される。そのため、ファン翼42を駆動するための駆動源は不要である。したがって、可動反射部31の構造および制御をより簡単にすることができる。また、ファン翼42が回転することにより、排気通路14を流れる排気は攪拌される。したがって、微粒子の堆積を微粒子捕集部12の径方向へ均一化することができ、微粒子捕集部12の寿命を延長することができる。
【0036】
(固定反射部の変形例)
第1実施形態では、図1に示すように排気管部材11の大径部21と小径部22との接続部分に形成される段差部23を固定反射部とする例について説明した。また、第2実施形態では、図2に示すように排気管部材11に固定した金属板を固定反射部32とする例について説明した。固定反射部32は、これらの例に代えて、図5に示すように微粒子捕集部12の端面に形成した金属膜45で構成してもよい。この場合、金属膜45は、微粒子捕集部12のうち高周波照射部13から遠い側の端面に形成される。これにより、微粒子捕集部12を通過したマイクロ波は、微粒子捕集部12の端面に形成された金属膜45で反射する。また、図6に示すように、固定反射部を構成する金属膜45は、微粒子捕集部12の軸方向の中間部分に挟み込む構成としてもよい。これにより、微粒子捕集部12を途中まで通過したマイクロ波は、微粒子捕集部12の中間部分に形成された金属膜45で反射する。これらのように、微粒子捕集部12に形成した金属膜45は、高周波照射部13から照射されたマイクロ波を反射する固定反射部とすることができる。これらの金属膜45は、例えば蒸着やめっきなどによって形成される。
【0037】
(位置関係の変形例)
上述の複数の実施形態では、排気の流れ方向において微粒子捕集部12の上流側にターボチャージャ18のタービン16、バタフライ弁またはファン部材などの可動反射部31を配置する例について説明した。そして、上述の複数の実施形態は、微粒子捕集部12と可動反射部31との間に高周波照射部13が配置され、微粒子捕集部12の可動反射部31と反対側の端部に固定反射部32が配置されている。このような微粒子捕集部12、可動反射部31、固定反射部32および高周波照射部13の位置関係は、上記の例に限らず、以下のように変更することができる。
【0038】
図7に示すように高周波照射部13は、微粒子捕集部12と固定反射部32との間に配置してもよい。この場合、高周波照射部13から照射されたマイクロ波の一部は、固定反射部32で反射し微粒子捕集部12へ入射する。また、微粒子捕集部12を通過したマイクロ波は、可動反射部31で微粒子捕集部12側へ反射する。したがって、上述の複数の実施形態と同様に微粒子捕集部12の再生を図ることができる。
【0039】
また、図8に示すように、排気の流れ方向において微粒子捕集部12の上流側に固定反射部32を配置し、微粒子捕集部12の下流側に高周波照射部13および可動反射部31を配置してもよい。さらに、図9に示すように複数の微粒子捕集部12を備える排気浄化装置10の場合、微粒子捕集部12の間に高周波照射部13を配置してもよい。そして、複数の微粒子捕集部12から構成される捕集部群の上流側に固定反射部32を配置し、下流側に可動反射部31を配置してもよい。
【0040】
以上のように、高周波照射部13および微粒子捕集部12は、可動反射部31と固定反射部32との間に配置するのであればいずれの位置にあってもよい。そして、高周波照射部13から照射されたマイクロ波を反射する高周波反射部は、可動反射部31または固定反射部32のいずれを上流側または下流側に配置するかは、任意に選択可能である。さらに、この高周波反射部は、微粒子捕集部12の上流側または下流側の少なくとも一方が可動反射部31であればよい。すなわち、微粒子捕集部12の上流側および下流側の双方を可動反射部31としてもよい。
【0041】
このように、以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。例えば、高周波としてマイクロ波を例に説明したが、微粒子捕集部12に捕集された微粒子を焼却可能であればマイクロ波に限らない。また、可動反射部31は、タービンやバタフライ弁などのように回転することによって微粒子捕集部12との距離が変化する例について説明した。しかし、可動反射部31は、反射面を有する簡単な板状に形成し、排気通路14の軸方向へ往復駆動する構成としてもよい。
さらに、排気浄化装置10の各実施形態を個別に説明したが、複数の実施形態を組み合わせて排気浄化装置10に適用してもよい。
【0042】
(第4実施形態)
第4実施形態による排気浄化装置を図10に示す。
第4実施形態の場合、排気浄化装置10は、構成が上記の複数の実施形態と異なる。第4実施形態の場合、排気浄化装置10が備える微粒子捕集部12は、排気通路14を移動可能である。排気浄化装置10は、微粒子捕集部12の軸方向の両端部、すなわち排気通路14における排気の流れ方向において上流側および下流側にそれぞれ高周波反射部としての反射板51および反射板52を備えている。反射板51および反射板52は、高周波を反射する金属の板状に形成されている。また、反射板51および反射板52は、排気通路14における排気の流れを妨げないように、板厚方向に貫くパンチ穴を有する板状、またはメッシュ状に形成されている。これら反射板51および反射板52は、いずれも排気管部材11の内側に固定されている。
【0043】
排気浄化装置10は、微粒子捕集部12の軸方向の端部を支持する弾性部材53および弾性部材54を備えている。弾性部材53は、一方の端部が反射板51に接続され、他方の端部が微粒子捕集部12の端部121に接続されている。また、弾性部材54は、一方の端部が反射板52に接続され、他方の端部が微粒子捕集部12の端部122に接続されている。弾性部材53および弾性部材54は、例えばコイルばねなどの弾性体で形成されている。
【0044】
微粒子捕集部12は、外径が排気通路14を形成する排気管部材11の内径よりも小さい。そのため、微粒子捕集部12は、両端がこれら弾性部材53および弾性部材54に支持されることにより、排気通路14の内側を軸方向、すなわち排気の流れ方向において上流側と下流側との間を移動可能である。すなわち、微粒子捕集部12は、両端を支持する弾性部材53および弾性部材54から受ける力と、排気通路14を流れる排気から受ける力との均衡によって、排気通路14の内側を軸方向へ移動する。この場合、排気通路14を流れる排気の圧力は、内燃機関15の運転状態に応じて変化する。例えば、内燃機関15の負荷が大きなとき、排気通路14を流れる排気の圧力は大きくなる。そのため、微粒子捕集部12は、排気通路14における排気の流れ方向において下流側すなわち内燃機関15と反対側へ移動する。一方、アイドリング時や内燃機関15の負荷が小さなとき、排気通路14を流れる排気の圧力は小さくなる。そのため、微粒子捕集部12は、排気通路14における排気の流れ方向において上流側すなわち内燃機関15側へ移動する。その結果、内燃機関15が運転している間、微粒子捕集部12は、最も内燃機関15側の初期位置と最も内燃機関15から遠い最大変位位置との間を往復する。このように、弾性部材53および弾性部材54は、特許請求の範囲の駆動部を構成している。
【0045】
ここで、例えば弾性部材53および弾性部材54のばね定数は「k」とし、排気通路14の断面積は「S」とする。また、排気通路14において、微粒子捕集部12の上流側すなわち内燃機関15側の入口における排気の圧力は「P0」とし、微粒子捕集部12の下流側すなわち出口における排気の圧力は「P1」とする。この排気通路14の断面積Sは、微粒子捕集部12の投影面積とほぼ一致する。そのため、微粒子捕集部12の上流側と下流側との間で圧力差が生じているとき、微粒子捕集部12の初期位置に対する変位量xは、x=(P0−P1)S/2kとなる。高周波照射部13から照射されるマイクロ波は、照射されるマイクロ波の波長の1/2の間隔ごとに電界強度が極大となる。そのため、この微粒子捕集部12の変位量xは、電界強度が最大となる間隔よりも大きく設定する。すなわち、弾性部材53および弾性部材54のばね定数を調整し、微粒子捕集部12の変位量xは電界強度が最大となる間隔よりも大きくする。これにより、微粒子捕集部12は、内燃機関15の運転にともなう排気通路14における往復移動によって、マイクロ波の電界強度が極大となる位置を通過する。その結果、高周波照射部13から照射されるマイクロ波は、微粒子捕集部12の軸方向へ偏りなく照射される。
【0046】
第4実施形態では、微粒子捕集部12を高周波照射部13から照射される高周波が形成する電界内で駆動する駆動部として弾性部材53および弾性部材54を備えている。そのため、微粒子捕集部12は、高周波照射部13から照射される高周波が形成する電界内を移動する。これにより、高周波照射部13から照射される高周波の電界が集中する部位は、微粒子捕集部12の移動にともなって微粒子捕集部12の軸方向へ移動する。その結果、高周波は、微粒子捕集部12に対し比較的均一に照射される。したがって、単一の高周波照射部13を用いる場合でも、微粒子捕集部12は均一に加熱され、微粒子捕集部12の溶損を低減することができるとともに、微粒子捕集部12の再生を高精度に図ることができる。
【0047】
第4実施形態では、弾性部材53および弾性部材54は、排気の流れ方向において上流側および下流側から微粒子捕集部12を支持している。排気通路14に設けられている微粒子捕集部12は、排気通路14を流れる排気により、上流側から下流側へ向かう力を受ける。微粒子捕集部12を弾性部材53および弾性部材54で支持することにより、微粒子捕集部12は、これら弾性部材53および弾性部材54から受ける力と排気から受ける力との均衡によって排気通路14を排気の流れ方向へ移動する。これにより、微粒子捕集部12は、特別な駆動力を加えることなく、高周波照射部13から照射される高周波が形成する電界内を移動する。したがって、簡単な構成かつ別途駆動力を用いることなく、微粒子捕集部12の再生を図ることができる。
【0048】
また、第4実施形態では、高周波反射部として反射板51および反射板52を備えている。これにより、高周波照射部13から照射された高周波は、反射板51および反射板52で反射される。高周波照射部13から照射された高周波は、反射板51および反射板52で反射することにより共振し、微粒子捕集部12の軸方向へ電界強度の分布を生じる。弾性部材53および弾性部材54と排気通路14を流れる排気の圧力によって微粒子捕集部12を駆動することにより、微粒子捕集部12は電界強度の分布が生じている電界内を移動する。したがって、単一の高周波照射部13を用いる場合でも、微粒子捕集部12は均一に加熱され、微粒子捕集部12の溶損を低減することができるとともに、微粒子捕集部12の再生を高精度に図ることができる。
【0049】
(第5実施形態)
第5実施形態による排気浄化装置を図11および図12に示す。
第5実施形態の場合、排気浄化装置10の微粒子捕集部12は、端部121に抵抗板部材55を有している。抵抗板部材55は、排気の流れ方向において微粒子捕集部12の上流側の端部121の一部を塞いでいる。第5実施形態の場合、抵抗板部材55は、微粒子捕集部12の径方向において中心付近を塞いでいる。これにより、微粒子捕集部12を通過する排気は、抵抗板部材55を迂回し、抵抗板部材55の外周側から微粒子捕集部12へ流入する。
【0050】
第5実施形態の場合、排気通路14を流れる排気は、抵抗板部材55に吹き付けられた後、抵抗板部材55を迂回して微粒子捕集部12へ流入する。そのため、微粒子捕集部12は、排気の流れから排気の流れ方向において下流側へ力を受ける。このとき、微粒子捕集部12が受ける力は、抵抗板部材55が設けられていない場合と比較して大きくなる。これは、抵抗板部材55が排気の流れに対して抵抗となることにより、抵抗板部材55が排気から力を受けるためである。これにより、微粒子捕集部12は、排気の流れによって、下流側へより移動しやすくなる。また、第4実施形態で説明したように、微粒子捕集部12が排気通路14を流れる排気から受ける力は、微粒子捕集部12の入口側と出口側との間における排気の圧力差に依存する。微粒子捕集部12が再生の初期あるいは再生の途中にあるとき、微粒子捕集部12の微細な孔には微粒子が捕集されている。そのため、微粒子捕集部12を通過する排気の圧力損失は大きくなり、微粒子捕集部12の入口側と出口側との間における圧力差は比較的大きい。これに対し、微粒子捕集部12の再生が進むと、微粒子捕集部12の微細な孔に捕集されている微粒子は徐々に除去される。そのため、微粒子捕集部12の再生が進むにつれて微粒子捕集部12を通過する排気の圧力損失は小さくなる。その結果、微粒子捕集部12の入口側と出口側との間における圧力差は徐々に小さくなり、排気から力を受ける微粒子捕集部12は移動しにくくなる。そこで、第5実施形態のように抵抗板部材55を設けることにより、微粒子捕集部12は、再生の進行度合いに関わらず抵抗板部材55で排気から力を受ける。そのため、微粒子捕集部12は、下流側すなわち内燃機関15と反対側への移動が確保される。
【0051】
第5実施形態では、微粒子捕集部12は、排気の流れ方向において上流側の端部121を塞ぐ抵抗板部材55を有している。微粒子捕集部12の上流側に抵抗板部材55を設けることにより、微粒子捕集部12は排気通路14を流れる排気から常に下流側へ向かう力を受ける。これにより、微粒子捕集部12の再生の進行度合いに関わらず、微粒子捕集部12は排気の力と弾性部材の力との均衡によって移動する。したがって、時期に関わらず微粒子捕集部12の再生を促進することができる。
【0052】
(第6実施形態)
第6実施形態による排気浄化装置を図13に示す。
第6実施形態の場合、排気浄化装置10は、駆動部の構成が第4実施形態および第5実施形態と異なる。第6実施形態の場合、排気浄化装置10は、駆動部としてアクチュエータ60を備えている。アクチュエータ60は、例えばステッピングモータなどを有しており、図示しない制御装置からの通電によって駆動力を発生する。微粒子捕集部12は、このアクチュエータ60と接続している。これにより、微粒子捕集部12は、アクチュエータ60の駆動力によって排気通路14の内側を排気の流れ方向に沿って上流側または下流側へ移動する。また、第6実施形態の場合、排気管部材11が形成する排気通路14は、途中で折れ曲がっている。第6実施形態の排気浄化装置10は、この排気通路14の折れ曲がっている位置に、反射板57をさらに備えている。この反射板57は、反射板51および反射板52と同一の構成であり、説明を省略する。
【0053】
第6実施形態では、駆動部としてアクチュエータ60を有している。微粒子捕集部12は、このアクチュエータ60から受ける力によって電界内を移動する。アクチュエータ60は、微粒子捕集部12を電界の分布に応じて電界の大きな位置へ高精度に移動させる。すなわち、第6実施形態の排気浄化装置10は、排気の力と弾性部材53および弾性部材54の力とを利用する第4実施形態や第5実施形態と異なり、移動する微粒子捕集部12の位置精度が向上する。その結果、微粒子捕集部12は、電界強度の大きな位置へ均一に駆動される。したがって、微粒子捕集部の再生をより促進することができる。
【0054】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。例えば、第4実施形態から第6実施形態を、第1実施形態から第3実施形態に組み合わせて適用してもよい。また、微粒子捕集部12は、多孔質のセラミックスに代えて、静電力によって微粒子を捕集する静電フィルタであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
図面中、10は排気浄化装置、11は排気管部材、12は微粒子捕集部、13は高周波照射部、14は排気通路、15は内燃機関、16はタービン(可動反射部、高周波反射部)、18はターボチャージャ、23は段差部(内径縮小部、固定反射部)、28は翼面(反射面)、31は可動反射部、32は固定反射部、34は回転軸、36、43は反射面、45は金属膜(固定反射部)、51、52、57は反射板(高周波反射部)、53、54は弾性部材(駆動部)、55は抵抗板部材、60はアクチュエータを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気が流れる排気通路を形成する排気管部材と、
前記排気管部材が形成する前記排気通路に設けられ、排気に含まれる微粒子を捕集する微粒子捕集部と、
前記微粒子捕集部へ高周波を照射する高周波照射部と、
前記排気通路における排気の流れ方向において、前記微粒子捕集部を挟んで上流側および下流側にそれぞれ設けられ、前記高周波照射部から照射された高周波を前記微粒子捕集部側へ反射し、上流側または下流側の少なくともいずれか一方は前記微粒子捕集部へ高周波を反射する反射面が前記微粒子捕集部に対し移動可能な可動反射部を有する高周波反射部と、
を備えることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
排気の流れ方向において前記微粒子捕集部の上流側に設けられ、排気の流れによって回転するタービンをさらに備え、
前記可動反射部は、前記タービンであることを特徴とする請求項1記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記可動反射部は、前記排気通路の中心軸に対し交差する回転軸を中心に回転するバタフライ弁であることを特徴とする請求項1記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記可動反射部は、前記排気通路において回転するファン部材であることを特徴とする請求項1記載の排気浄化装置。
【請求項5】
前記高周波反射部は、前記微粒子捕集部を挟んで前記可動反射部と反対側に、前記排気管部材の内径が縮小する内径縮小部からなる固定反射部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の排気浄化装置。
【請求項6】
前記高周波反射部は、前記微粒子捕集部の前記可動反射部と反対側の端面に、金属製の皮膜からなる固定反射部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の排気浄化装置。
【請求項7】
内燃機関の排気が流れる排気通路を形成する排気管部材と、
前記排気管部材が形成する前記排気通路に設けられ、排気に含まれる微粒子を捕集する微粒子捕集部と、
前記微粒子捕集部へ高周波を照射する高周波照射部と、
前記微粒子捕集部を、前記高周波照射部から照射される高周波が形成する電界内を移動可能に駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項8】
前記排気通路における排気の流れ方向において、前記微粒子捕集部を挟んで上流側または下流側の少なくともいずれか一方に設けられている高周波反射部をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の排気浄化装置。
【請求項9】
前記駆動部は、前記排気通路における排気の流れ方向において、上流側および下流側から前記微粒子捕集部をそれぞれ支持する弾性部材を有し、
前記微粒子捕集部は、前記排気通路を流れる排気から受ける力と前記弾性部材から受ける力との均衡によって前記高周波照射部から照射される高周波が形成する電界内を移動することを特徴とする請求項7または8記載の排気浄化装置。
【請求項10】
前記微粒子捕集部は、前記排気通路における排気の流れ方向において上流側の端部の一部を塞ぎ、前記排気通路を流れる排気が吹き付けられる抵抗板部材を有することを特徴とする請求項9記載の排気浄化装置。
【請求項11】
前記駆動部は、通電により前記微粒子捕集部を駆動するアクチュエータを有し、
前記微粒子捕集部は、前記アクチュエータから受ける力により前記高周波照射部から照射される高周波が形成する電界内を移動することを特徴とする請求項7または8記載の排気浄化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−163341(P2011−163341A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284481(P2010−284481)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】