説明

揺動式炭化装置

【課題】下水汚泥などの砂状或いは泥状原料を連続的に効率よく炭化処理することが可能な揺動式炭化装置を提供する。
【解決手段】炭化炉1を揺動して炉内の装入原料を原料投入口2から炭化物排出口3に向かって移動させながら炭化処理するにあたり、原料投入口2側の第1円錐台部6の下部の水平面に対する第1所定傾斜角を大きくすることで、砂状装入原料でも炉内を移動しやすくし、炭化物排出口3側の第2円錐台部7の下部の水平面に対する第2所定傾斜角が小さくすることで、砂状装入原料の移動速度を小さくして滞留時間を稼ぎ、この第2円錐台部7内に装入原料の堆積を一定に保つ2以上の円周堰10を設け、第2エアノズル13から堆積中の装入原料に拡散するように乾留用空気を吹き込むことで十分な炭化処理を可能とし、堆積している装入原料を撹拌する長手堰11を設けることで炭化処理を均一化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸が水平な円錐台状の炉体の炭化炉を水平軸周りに揺動して、炉内の装入原料を小径の原料投入口から大径の炭化物排出口側に移動させながら炭化処理を行う揺動式炭化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
揺動式炭化装置は、炭化炉に、原料投入口及び着火口、原料を炭化するための乾留用空気吹き込み口を有することから、炉の揺動運動によって、原料投入口から炭化物排出口に向かって装入物が移動する間に、確実に炭化物とすることが可能であるため、連続生産に適している。
この揺動式炭化装置による炭化物生産方法としては、例えば以下の3つのものが挙げられる。このうち、下記特許文献1では、廃木材、生活ゴミなどの可燃性物質から炭化物を連続的に生産することのできる揺動式炭化装置が提案されている。また、下記特許文献2では、生ゴミ、紙類及び木屑などの可燃ゴミを含み、ゴミ由来の塩分を脱塩できる揺動式炭化装置が提案されている。また、下記特許文献3では、木材やその他の炭化物から連続的に炭化物を生産することのできる揺動式炭化装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4005515号公報
【特許文献2】特開2003−41260号公報
【特許文献3】特許第2870627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記各特許文献に記載される揺動式炭化装置は、主として廃木材などの木屑、生活ゴミ成形物であるRDF(ゴミ固形燃料)、籾殻などの有機物系廃棄物を炭化するものであり、例えば下水道脱水汚泥のような、粒度が砂に近い原料を炭化するのが困難である。具体的には、下水汚泥は「砂状」であるため、転がり性に欠け、炭化の初期に炉内を移動しにくいとか、炉内での円周方向への転動性がよくないといった問題がある。また、前述したように、炭化炉では、炉壁から炉内に向けて乾留用空気を吹き込むが、下水汚泥が「砂状」であるため、乾留用空気が下水汚泥を吹き抜けてしまい、炭化処理が不十分になるといった問題もある。また、このような問題は、泥状の原料でも同様に生じる。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、下水汚泥などの砂状或いは泥状原料を連続的に効率よく炭化処理することが可能な揺動式炭化装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の揺動式炭化装置は、軸が水平で且つ一方の端部に原料投入口が形成され且つ他方の端部に炭化物排出口が形成され且つ炉壁の下部が原料投入口側から炭化物排出口側下がりに傾斜した筒状の炭化炉を前記水平軸回りに揺動させ、炉内の装入原料を原料投入口から炭化物排出口に向かって移動させながら炭化処理する揺動式炭化装置において、前記炭化炉は、水平面に対する下部の傾斜角が第1所定傾斜角の原料投入側の第1円錐台部と、水平面に対する下部の傾斜角が前記第1所定傾斜角より小さい第2所定傾斜角の炭化物排出口側の第2円錐台部と、炉内炉壁の周方向に沿って設けられ且つ装入原料の堆積を一定に保つ2以上の円周堰と、炉内炉壁の長手方向に沿って設けられ且つ装入原料を撹拌する長手堰とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
また、前記第1円錐台部を炭化炉炉長の少なくとも1/4以上、1/3以下としたことを特徴とするものである。
また、前記第1所定傾斜角を7.5〜15°、前記第2所定傾斜角を5〜7.5°としたことを特徴とするものである。
また、少なくとも前記第2円錐台部には、炉内に突出し且つ装入原料中に空気を拡散させる空気吹き込みノズルを設けたことを特徴とするものである。
また、前記炭化炉の炭下部物排出口側端部を、炭化炉本体とは別体の排出口側端部とし、その排出口側端部を炭化炉本体に締結具で締結したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
而して、本発明の揺動式炭化装置によれば、原料投入口側の第1円錐台部の下部の水平面に対する第1所定傾斜角が大きいので、砂状或いは泥状の装入原料でも炉内を移動しやすく、反面、炭化物排出口側の第2円錐台部の下部の水平面に対する第2所定傾斜角が小さいので、砂状或いは泥状の装入原料の移動速度を小さくすることができ、この第2円錐台部内に、装入原料の堆積を一定に保つ2以上の円周堰を円周に沿って設けることで、堆積中の装入原料に拡散するように乾留用空気を吹き込むことで十分な炭化処理を可能とし、合わせて、堆積中の装入原料を撹拌する長手堰を、炉内炉壁の長手方向に沿って設けることで、炭化処理を均一化することができ、これらにより下水汚泥などの砂状或いは泥状原料を連続的に効率よく炭化処理することが可能となる。
【0008】
また、第1円錐台部を炭化炉炉長の少なくとも1/4以上、1/3以下とすることで、下水汚泥などの砂状或いは泥状原料でも連続的に効率よく炭化処理することができる。
また、第1所定傾斜角を7.5〜15°、第2所定傾斜角を5〜7.5°とすることで、下水汚泥などの砂状或いは泥状原料でも連続的に効率よく炭化処理することができる。
【0009】
また、第2円錐台部に、炉内に突出し且つ装入原料中に空気を拡散させる空気吹き込みノズルを設けたことにより、十分な炭化処理を行うことができる。
また、炭化炉の炭下部物排出口側端部を、炭化炉本体とは別体の排出口側端部とし、その排出口側端部を炭化炉本体に締結具で締結したことにより、炭化物排出口の外側のシール機能が破損して大気侵入が生じるような場合に、排出口側端部だけを部分交換可能として、安価で容易な保守が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の揺動式炭化装置の一実施形態を示す炭化炉近傍の正面図である。
【図2】図1の炭化炉の縦断面図である。
【図3】拡散式空気吹き込みノズルの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の揺動式炭化装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態は、下水汚泥などの砂状有機物の炭化に好適なものである。
図1は、本実施形態の揺動式炭化装置の炭化炉近傍の一部断面正面図である。揺動式炭化装置の全体構造は、例えば前述した特許文献3のようになっており、図示する筒状炭化炉1の軸を水平に維持した状態で、軸方向に離間する複数のリング体を炭化炉1の外周に被嵌し、それらのリング体を回転自在に指示すると共に、何れかのリング体に駆動力を付与して、炭化炉1を軸回りに左右60〜80°の揺動角で揺動する。従って、炭化炉1が回転してしまうことはなく、炭化炉1の上部や下部は凡そ決まっている。なお、このような炭化炉1の支持構造により、例えばスラスト力が発生しにくいなどの利点がある。また、炭化炉1の上部には、図示しない乾留用空気のファンが搭載されている。
【0012】
炭化炉1は、図1の右方の原料投入口2が小径で、左方の炭化物排出口3が大径であり、炉壁下部が、原料投入口2側から炭化物排出口3側下がりに傾斜しているのが特徴である。この炭化炉1に装入した原料が、炭化炉1の揺動により、転がりながら、比較的ゆっくりと炭化物排出口3側に移動するのが理想である。なお、図中の符号4は、原料投入口2に原料を装入するためのスクリューコンベヤ、5は、スクリューコンベヤ4と原料投入口2との隙間をシールするラビリンスシールである。
【0013】
本実施形態の炭化炉1の外形的な特徴は、炉壁に段があり、原料投入口2側の第1円錐台部6と、炭化物排出口3側の第2円錐台部7とが連設されている点にある。図から明らかなように、第1円錐台部6は炭化炉炉長の少なくとも1/4以上、1/3以下であり、第2円錐台部7は炭化炉炉長の2/3〜3/4程度である。そして、何れも炭化物排出口3側が大径の円錐台部であるが、第1円錐台部6の下部の水平面に対する傾斜角は7.5〜15°の第1所定傾斜角であり、第2円錐台部7の下部の水平面に対する傾斜角は5〜7.5°の第2所定傾斜角であり、第1所定傾斜角よりも第2所定傾斜角の方が小さい。
【0014】
図中の符号8は、炭化炉1の外壁を構成する鉄皮、符号9は、鉄皮8の内側に設けられた耐火物である。炭化炉1の炉内では、炭化炉1の揺動により、理想的には炉内で転がりながら、装入原料が次第に炭化物排出口3側に移動する。下水汚泥などの装入原料は有機物であるから、炉内で着火され、後述するように乾留用空気が吹き込まれると炭化が促進する。但し、下水汚泥は砂状であり、炭化が進んでいない装入直後は、嵩比重が大きく、さらに砂状の装入原料は炉壁を構成する耐火物9と馴染みやすいこともあって、移動しにくい。そこで、本実施形態では、原料投入口2側の第1円錐台部6の下部の水平面に対する傾斜角を7.5〜15°の大きな第1所定傾斜角とすることにより、装入直後の下水汚泥などの装入原料の移動をスムーズにしている。数値の臨界的意義は、下水汚泥などの砂状の装入原料を装入直後からスムーズに移動するために、第1円錐台部6の下部の水平面に対する傾斜角は7.5°以上必要であり、揺動式の移動を考慮すると、第1円錐台部6の下部の水平面に対する傾斜角15°で十分である。また、この第1円錐台部6は、装入直後の砂状の原料がスムーズに移動するだけであるから、その長さを炭化炉炉長の少なくとも1/4以上とするが、1/3以下として、第2円錐台部7での原料滞留時間を確保できる範囲としている。
【0015】
一方、炭化が始まっている第2円錐台部7の下部の水平面に対する傾斜角を大きくしたのでは、装入原料の滞留時間を稼ぐことができない。そこで、本実施形態では、炭化物排出口3側の第2円錐台部7の下部の水平面に対する傾斜角を5〜7.5°の小さな第2所定傾斜角とした。数値の臨界的意義は、第2円錐台部7の下部の水平面に対する傾斜角が5°未満では、揺動による装入原料の内部推進力が不足し、7.5°を超えると、逆に内部推進力が強くなりすぎて滞留時間を稼ぐことができない。同様に、原料の滞留時間を長くするため、第2円錐台部7の長さを炭化炉炉長の2/3〜3/4とした。
【0016】
また、本実施形態の炭化炉1では、特に炭化の促進する第2円錐台部7の耐火物9内に、円周に沿って設けられた2つの円周堰10を、軸先方向に少し離して配設した。炭化が促進すると、装入原料層が薄くなり、炭化反応より燃焼反応に移行し易く、灰化を招く恐れがある。そこで、本実施形態では、第2円錐台部7の耐火物9内に、軸方向に少し離れた2つの円周堰10を炉内円周に沿って設けた。これにより、装入原料Aは、円周堰10の原料投入口2側に堆積し、その堆積状態で炭化が促進される。ちなみに、円周堰10を炉内の円周に沿って配設することで、炭化炉1の強度向上にもつながる。なお、円周堰10を3つ以上設けても差し支えない。
【0017】
また、本実施形態の炭化炉1では、図2に示すように、炉内耐火物9の最下部に、長手な長手堰11を1つ設けている。前述のように、下水汚泥などの砂状装入原料は、例えば炉壁を構成する耐火物8に馴染みやすく、嵩比重も大きいために、炭化炉1を揺動しても滑動するだけで転がりにくく、炭化が不均一となりやすい。そこで、炉内耐火物9の長手方向に沿って長手堰11を設けることで、下水汚泥などの砂状装入原料が撹拌され、炭化が均一化する。なお、長手堰11の高さは、装入原料を撹拌するという意味で、前記装入原料を堆積する円周堰10より高い方がよい。また、長手堰11は、図に示すように炭化炉1の揺動中心の下部に設ける他、複数設けても構わない。
【0018】
炭化を促進する第2円錐台部7の炉内には、前述した炭化炉1の上部に設けられた図示しないファンから乾留用空気が吹き込まれ、装入原料から発生する燃焼ガスを燃焼させて乾留炭化が促進される。本実施形態では、図1の右方の円周堰10に堆積している領域を第1炭化領域、図1の左方の円周堰に体積指定領域を第2炭化領域としたとき、第1炭化領域には、耐火物8内に鉄製パイプを埋設しただけの第1エアノズル12が設けられ、第2炭化領域には、乾留用空気を装入原料堆積層に拡散する第2エアノズル13が設けられている。
【0019】
図3には、第2エアノズル13の詳細を示す。図3bは、図3aのB−B断面図である。第2エアノズル13は、図3に示すように、耐火物8内に埋設される鉄製パイプからなる基部14と、基部14の鉄製パイプ内上端部に緊密に嵌入される円柱状のセラミックス製ヘッド15とからなり、セラミックス製ヘッド15の中央部にはエア通路16が開設され、セラミックス製ヘッド15の上端部には、エア通路16に交差して乾留用空気を図3の側方に噴射するエア噴出孔17が開設されている。ちなみに、エア通路16の上端部はプラグ18で閉塞されている。
【0020】
この第2エアノズル13の基部14を耐火物8内に埋設すると、上端部のセラミックス製ヘッド15が装入原料体積層内に突き出しているから、エア噴出孔17から乾留用空気が吹き出されると、その乾留用空気は装入原料堆積層を吹き抜けることなく、当該装入原料堆積層内に拡散する。これにより、第1エアノズル12のように、単に炉内に乾留用空気を吹き出す場合に比して、炭化領域が広がり、炭化が均質となって炭化物を効率的に生産することができる。また、高温に晒される第2エアノズル13のヘッド15をセラミックス製としたことで耐熱性に優れ、下水汚泥が腐食環境にあっても耐食性に優れる。
【0021】
なお、第1炭化領域、第2反化領域とも、乾留・炭化において、過剰な空気の供給は燃焼を促進した灰化を招くことになる。そのため、炭化炉炉内の酸素雰囲気は1vol%以下とすることが望ましく、第1エアノズル12、第2エアノズル13からの乾留用空気の吹き込み量を制御して酸素雰囲気を制御することが推奨される。また、エア噴射孔17からの乾留用空気の吹き出しは2カ所だけでなく、3カ所以上としてもよい。
【0022】
また、本実施形態の炭化炉1の炭化物排出口3には、図示しない排ガス集塵機に接続される出側固定フード19が配設される。この出側固定フード19は固定式であるのに対し、炭化炉1は揺動するため、両者の間にはラビリンスシール20を介装する。従来も、炭化炉1の炭化物排出口3側端部外周と出側固定フード19の間にはシール装置が介装されているのであるが、炭化物排出口3側の端部が炭化炉1と一体であると、炭化炉1自体が大きい上に、炭化物排出口3も大径であるため、炭化炉1の炭化物排出口3側端部外周と出側固定フード19との間の隙間の寸法精度が得にくく、シール装置が有効に機能しないという問題がある。また、操業中に炭化炉1の炭化物排出口3側端部に熱変形が生じるなどして、シール機能が破損すると大気が侵入し、良好な炭化物の生成を阻害する。即ち、炭化処理過程で酸素過剰となり、一部が燃焼して灰化する。そこで、本実施形態では、炭化炉1の排出口側端部21を炭化炉本体と別体とし、両者をフランジ22で突き合わせて、図示しないボルト・ナットなどの締結具で締結するようにした。これにより、排出口側端部21の外周の加工精度が向上し、もって出側固定フード19との間の隙間を確保してラビリンスシール20によるシール機能が十分に発揮されるようになった。また、操業に伴って、炭化炉1の排出口側端部21に熱変形が生じるなどしてシール機能が破損しても、排出口側端部21だけを部分交換して対応できるようになった。
【0023】
下水汚泥は、下水処理場において下水を微生物処理する最終工程で発生する汚泥であり、脱水処理された脱水ケーキの状態で下水処理場から排出される。この下水汚泥は、天日乾燥或いは乾燥装置によって40%以下の含水率に乾燥された後、本実施形態の揺動式炭化装置で炭化処理される。乾燥工程を経た汚泥は、炭化炉1の原料投入口2からスクリューコンベヤ4を介して炉内に装入され、揺動運動と長手堰11の作用によって撹拌されながら炭化物排出口3側に移動する。その際、エアノズル12、13から乾留用空気(酸素)が供給され、汚泥が含有する有機質から熱分解によって発生する可燃性ガスの燃焼が維持されることによって炭化が促進し、汚泥炭化物が生成される。
【0024】
最初の揺動式炭化装置の運転では、初期の着火のために火種を投入して着火操作を行い、運転を開始すれば、この着火操作以降に連続供給される原料については、炭化炉1の第1円錐台部6内の着火済装入原料を火種として、連続着火処理が可能となる。また、着火操作以降は、下水汚泥が含有する有機質から熱分解によって発生する可燃性ガスによる連続運転が可能である。なお、天日乾燥或いは乾燥装置による乾燥で下水汚泥の含水率が40%を超える場合であっても、別途燃料を加えることによって運転は可能であり、生成された汚泥炭化物を燃料として加えて運転を行うこともできる。
【0025】
このように本実施形態の揺動式炭化装置では、軸が水平で且つ一方の端部に原料投入口2が形成され且つ他方の端部に炭化物排出口3が形成され且つ炉壁の下部が原料投入口2側から炭化物排出口3側下がりに傾斜した筒状の炭化炉1を水平軸回りに揺動させ、炉内の装入原料を原料投入口2から炭化物排出口3に向かって移動させながら炭化処理するにあたり、原料投入口2側の第1円錐台部6の下部の水平面に対する第1所定傾斜角が大きいので、下水汚泥などの砂状の装入原料でも炉内を移動しやすく、反面、炭化物排出口3側の第2円錐台部7の下部の水平面に対する第2所定傾斜角が小さいので、砂状の装入原料の移動速度を小さくすることができ、この第2円錐台部7内に、装入原料の堆積を一定に保つ2以上の円周堰10を円周に沿って設けることで、堆積中の装入原料に拡散するように乾留用空気を吹き込むことで十分な炭化処理を可能とし、合わせて、堆積中の装入原料を撹拌する長手堰11を、炉内炉壁の長手方向に沿って設けることで、炭化処理を均一化することができ、これらにより下水汚泥などの砂状原料を連続的に効率よく炭化処理することが可能となる。
【0026】
また、第1円錐台部6を炭化炉炉長の1/4〜1/3、第2円錐台部7を炭化炉炉長の2/3〜3/4とすることで、下水汚泥などの砂状原料でも連続的に効率よく炭化処理することができる。
また、第1所定傾斜角を7.5〜15°、第2所定傾斜角を5〜7.5°とすることで、下水汚泥などの砂状原料でも連続的に効率よく炭化処理することができる。
【0027】
また、第2円錐台部7に、炉内に突出し且つ装入原料中に空気を拡散させる第2エアノズル13を設けたことにより、十分な炭化処理を行うことができる。
また、炭化炉1の炭下部物排出口側端部を、炭化炉本体とは別体の排出口側端部21とし、その排出口側端部21を炭化炉本体に締結具で締結したことにより、炭化物排出口21の外側のシール機能が破損して大気侵入が生じるような場合に、排出口側端部21だけを部分交換可能として、安価で容易な保守が可能となる。
【0028】
なお、前記実施形態では、互いに連接する原料投入口2側の第1円錐台部6と炭化物排出口3側の第2円錐台部7とで炭化炉1を構成したが、二つの円錐台部の間に、その他の円錐台部を介装してもよい。
また、本発明の揺動式炭化装置は、下水汚泥などの砂状原料だけでなく、泥状の有機系廃棄物の炭化にも同様に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1は炭化炉、2は原料投入口、3は炭化物排出口、4はスクリューコンベヤ、5はラビリンスシール、6は第1円錐台部、7は第2円錐台部、8は鉄皮、9は耐火物、10は円周堰、11は長手堰、12は第1エアノズル、13は第2エアノズル、14は基部、15はセラミックス製ヘッド、16はエア通路、17はエア噴射孔、18はプラグ、19は出側固定フード、20はラビリンスシール、21は排出口側端部、22はフランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸が水平で且つ一方の端部に原料投入口が形成され且つ他方の端部に炭化物排出口が形成され且つ炉壁の下部が原料投入口側から炭化物排出口側下がりに傾斜した筒状の炭化炉を前記水平軸回りに揺動させ、炉内の装入原料を原料投入口から炭化物排出口に向かって移動させながら炭化処理する揺動式炭化装置において、前記炭化炉は、水平面に対する下部の傾斜角が第1所定傾斜角の原料投入側の第1円錐台部と、水平面に対する下部の傾斜角が前記第1所定傾斜角より小さい第2所定傾斜角の炭化物排出口側の第2円錐台部と、炉内炉壁の周方向に沿って設けられ且つ装入原料の堆積を一定に保つ2以上の円周堰と、炉内炉壁の長手方向に沿って設けられ且つ装入原料を撹拌する長手堰とを備えたことを特徴とする揺動式炭化装置。
【請求項2】
前記第1円錐台部を炭化炉炉長の少なくとも1/4以上、1/3以下としたことを特徴とする請求項1に記載の揺動式炭化装置。
【請求項3】
前記第1所定傾斜角を7.5〜15°、前記第2所定傾斜角を5〜7.5°としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の揺動式炭化装置。
【請求項4】
少なくとも前記第2円錐台部には、炉内に突出し且つ装入原料中に空気を拡散させる空気吹き込みノズルを設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の揺動式炭化装置。
【請求項5】
前記炭化炉の炭下部物排出口側端部を、炭化炉本体とは別体の排出口側端部とし、その排出口側端部を炭化炉本体に締結具で締結したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の揺動式炭化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−26516(P2011−26516A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175759(P2009−175759)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(507195678)
【Fターム(参考)】