説明

搬送装置、搬送方法

【課題】 構造が簡易で、搬送時に搬送対象とする基板に、他の基板が張り付かないような構造の搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送装置1は、基板31を真空吸着する吸着パッド、基板31を押圧する押し棒7、押し棒7を駆動するエアシリンダ17、エアシリンダ17および吸着パッドに接続された真空発生器15を有している。
搬送装置1を用いて基板31aを搬送する場合は、まず、吸着パッドを、基板31aの上面に接触させる。
次に、真空発生器15にエアを供給して負圧を発生させ、発生した負圧により、吸着パッドが基板31aを真空吸着する。
吸着パッドが基板31aを真空吸着すると、基板31aを持ち上げつつ、真空発生器15より排気されたエアを用いて、エアシリンダ17により押し棒7を移動させて基板31を押圧、変形させ、基板31aと接触していた基板を剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送する搬送装置および搬送装置を用いた、搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、電子機器に用いられる半導体素子の高集積化、小型化が進んでいる。
【0003】
そのため、半導体装置の製造に用いられる半導体ウェハ、リードフレーム、あるいは半導体素子を搭載する配線基板等の基板の薄型化も進行している。
【0004】
これら個々の基板は製造工程において、複数の基板が積み重ねられた状態(積層された状態)、あるいは保護基板上に載置された状態から、搬送装置を用いて最上面の基板が分離されて次工程に搬送される。
【0005】
搬送装置の構造としては、基板の表面(上面)を真空吸着して保持し、搬送する構造が一般的である。
【0006】
例えば、特許文献1の図4には、積層されたリードフレームのうち、最上面のリードフレームをバキュームパッドにより真空吸着して搬送する装置が開示されている。
【0007】
一方、このような構造では、最上面の基板の下面に、他の基板が張り付いた状態で、2枚以上の基板を同時に搬送してしまう場合がある。
【0008】
このような状態では、下面に張り付いた他の基板は、搬送中に剥がれ落ちて落下したり、次工程の装置と接触し、剥がれ落ちて落下したりして、不良品となるおそれがある。
【0009】
そのため、搬送装置には、搬送時に最上面の基板の下面に他の基板が張り付かないような構造が求められる。
【0010】
このような張り付き防止構造としては、吸着時に最上面の基板を変形させながら真空吸着することにより、最上面の基板から他の基板を剥離する構造が知られている。
【0011】
例えば特許文献2の図3には、積層されたリードフレームの最上面を側面から押圧することにより変形させ、他のリードフレームと剥離する装置が開示されている。
【0012】
また、特許文献3の図1には、積層されたリードフレームの最上面の上面を押し棒の自重により押圧して変形させ、他のリードフレームと剥離する装置が開示されている。
【0013】
【特許文献1】特開平01−96933号公報
【特許文献2】特開平02−251151号公報
【特許文献3】特開平06−140443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献2のような側面から基板を押圧する構造では、基板の厚さによっては、破壊を伴わずに基板を変形させるのが困難であるという問題があり、特に配線基板のように、リードフレームよりも厚い基板には適用が困難であった。
【0015】
また、押圧と吸着を別の装置が行っているため、装置全体が複雑化し、装置の駆動が非効率であるという問題があった。
【0016】
一方、特許文献3のような構造では、押し棒の自重で基板を押圧するため、押圧力や押圧のタイミングの調節が困難であるという問題があった。
【0017】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、構造が簡易で、搬送時に搬送対象とする基板に、他の基板が張り付かないような構造の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、基板を搬送する搬送装置であって、前記基板の上面の上面の両端を真空吸着する吸着手段と、前記基板の上面を押圧して変形させる押圧手段と、前記吸着手段および前記押圧手段を駆動する駆動手段と、を有し、前記駆動手段は、エアが供給されるエア供給部と、前記押圧手段に接続され、供給されたエアが排気される排気部と、前記吸着手段に接続され、前記エア供給部より供給されたエアの流れにより真空を発生させる真空発生部と、を有するエジェクタ式の真空発生装置であり、前記エア供給部よりエアの供給を受けて前記排気部へエアを排気することにより、前記真空発生部に真空を発生させて前記吸着手段を駆動し、前記排気部へ排気したエアの圧力により前記押圧手段を駆動することを特徴とする搬送装置である。
【0019】
第2の発明は、第1の発明に記載の搬送装置を用いた基板の搬送方法であって、
前記駆動手段を駆動させ、前記基板を真空吸着する工程(a)と、前記駆動手段の排気したエアを用いて前記押圧手段を駆動させ、前記基板の上面を押圧して変形させる工程(b)と、前記基板を搬送する工程(c)と、を有することを特徴とする基板の搬送方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、構造が簡易で、搬送時に搬送対象とする基板に、他の基板が張り付かないような構造の搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施例を詳細に説明する。
【0022】
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る搬送装置1の概略構成を説明する。
【0023】
ここでは、搬送装置1として、半導体装置の配線基板である基板31を搬送する搬送装置1が図示されている。
【0024】
図1に示すように、搬送装置1は、平面形状が矩形の板状のフレーム3、フレーム3の一方の面の4隅に設けられ、後述する基板31を真空吸着する吸着手段としての吸着パッド5a、5b、5c、5dを有している。
【0025】
搬送装置1は、さらに、フレーム3の中心に設けられ、基板31を押圧する押圧手段としての押し棒7、押し棒7の一方の端部に連結され、押し棒7を駆動するエアシリンダ17、エアシリンダ17および吸着パッド5a、5b、5c、5dに接続された真空発生器15を有している。
【0026】
図1および図2を参照して、搬送装置1の構成をさらに詳細に説明する。
【0027】
図1および図2に示すように、フレーム3は、一方の面の4隅に凸状の台座27a、27b、27c、27dが設けられ、また中心に凸状の台座27eが設けられている。
【0028】
台座27a、27b、27c、27dには吸着パッド5a、5b、5c、5cが設けられている。
【0029】
なお、図2では吸着パッドを4つ設けているが、吸着パッドの数は図2の構成に限定されるものではなく、搬送される基板31の大きさや厚さ等により、適宜選択されるものである。
【0030】
吸着パッド5a、5b、5c、5cには配管11a、11b、11c(図示せず)、11d(図示せず)が接続されており、配管11a、11b、11c、11dは配管13に接続されている。
【0031】
押し棒7は、台座27eを貫通して設けられており、押し棒7の他の端部には、押圧の際に、基板31に傷がついたり、パターンが断線したりするのを防ぐための緩衝材9が設けられている。
【0032】
緩衝材9を構成する材料は、押圧の際に基板31の破損を防ぐことが可能であるとともに、押圧時の基板31への静電気の帯電を防止する材料であることが望ましい。
【0033】
このような要求を満たす材料としては、例えば導電性ゴムが挙げられる。
【0034】
エアシリンダ17には配管19が接続されている。
【0035】
一方、真空発生器15はエアが供給されるエア供給部21、エアが排気されるエア排気部23、真空を発生する真空発生部25を有している。
【0036】
エア供給部21には図示しないコンプレッサ等が接続されている。
【0037】
エア排気部23には配管19が接続され、真空発生部25には配管13が接続されている。
【0038】
なお、フレーム3には図示しないアクチュエータが設けられており、吸着パッド5a、5b、5c、5dと一体となって、図1および図2のB1、B2、C1、C2、C3、C4の向きに移動可能である。
【0039】
即ち、フレーム3はいわゆるXYZ方向に3次元移動が可能である。
【0040】
ここで、真空発生器15の構造および動作について、図2を参照して説明する。
【0041】
まず真空発生器15の構造について説明する。
【0042】
図2に示すように、真空発生器15は本体15aを有し、本体15aには管状のエア供給部21およびエア排気部23が設けられている。
【0043】
また、本体15aの内部には、エア供給部21およびエア排気部23を連結するように真空発生部25が設けられている。
【0044】
次に、真空発生器15の動作について説明する。
【0045】
真空発生器15を動作させる場合は、まず、図示しないコンプレッサ等を用いて、エア供給部21にエアを供給する。
【0046】
供給されたエアは図1および図2のDの向きに流れ、エア排気部23より排気される。
【0047】
この際、真空発生器15内は、エアの流れにより圧力が低下し、E3の向きに負圧が生じる。
【0048】
このように、真空発生器15は、エアの流れにより真空を発生させる構造となっており、いわゆるエジェクタ式の真空発生器である。
【0049】
次に、搬送装置1を用いて基板31aを搬送する際の搬送装置1の動作について図1〜図6を用いて説明する。
【0050】
ここでは、図1に示すように、箱型の収納部29内に積層されて収納された基板31から、最上面の基板31aを真空吸着して、図示しない処理部(ボンディング部)に搬送する際の搬送装置1の動作について説明する。
【0051】
まず、図示しないアクチュエータを用いて、フレーム3を図1および図2のC1、C2、C3、C4の向きに移動し、フレーム3を基板31の上方に配置する。
【0052】
フレーム3が基板31の上方に配置されると、図示しないアクチュエータを用いて、フレーム3を図1のB2の向きに移動し、図3に示すように、吸着パッド5a、5b、5c(図示せず)、5d(図示せず)を、基板31aの上面の両端(この場合は4隅)に接触させる。
【0053】
吸着パッド5a、5b、5c、5dが基板31aの上面に接触すると、図示しないコンプレッサを用いてエア供給部21にエアを供給する。
【0054】
供給されたエアは図2に示すように、Dの向きに流れ、真空発生器15内に負圧を発生させる。
【0055】
発生した負圧により、配管11a、11b、11c、11d、13内には、吸着パッド5a、5b、5c、5d側から真空発生部25側の向き(図2ではE1、E2、E3の向き)にエアの流れが生じ、吸着パッド5a、5b、5c、5dは基板31aの上面の両端を真空吸着する。
【0056】
吸着パッド5a、5b、5c、5dが基板31aの上面の両端を真空吸着すると、図示しないアクチュエータを用いて、フレーム3を図1のB1の向きに移動し、基板31aを持ち上げて、積層された他の基板31から分離する。
【0057】
この際、エア排気部23より排気されたエアは配管19を介して、F2の向きにエアシリンダ17を押圧するため、エアシリンダ17は、押し棒7をB2の向きに移動させ、押し棒7の緩衝材9が基板31aに接触して、基板31aを押圧する。
【0058】
押圧された基板31aは図4に示すように断面形状が弓状に変形する。なお、変形させる寸法34は例えば2mm程度である。
【0059】
基板31aが変形すると、基板31aの下面と接触していた基板31bは、図6に示すように、基板31aから剥離される。
【0060】
基板31aが剥離されると、基板31aが吸着パッド5a、5b、5c、5dに真空吸着された状態で、図示しないアクチュエータを用いてフレーム3を図1のC1、C2、C3、C4の向きに移動し、基板31aを図示しない処理部(ボンディング部)に搬送する。
【0061】
このように、搬送装置1では、基板31aの変形により基板31aから基板31bが剥離されるため、図5に示すように、基板31aの下面に基板31bが張り付いた状態で基板31aが持ち上げられそうになっても、張り付いた状態で搬送されることはない。
【0062】
そのため、搬送時に張り付いた基板31bが落下して不良品となるのを防止でき、品質歩留まりが上昇する。
【0063】
また、張り付いた基板31bが処理部(ボンディング部)に引っかかることがなくなり、稼働率が上昇し、製造コストも低減される。
【0064】
さらに、搬送装置1は吸着パッド5a、5b、5c、5dおよび押し棒7の駆動を、真空発生器15が行うため、吸着パッド5a、5b、5c、5dと押し棒7を駆動するための装置を個別に用意する必要がなく、従来よりも構造が単純である。
【0065】
また、搬送装置1は従来の搬送装置と比べて、大きな装置構成の変更をすることなく、製造できる。
【0066】
さらに、押し棒7の駆動は、エア排気部23より排気されたエアにより行われるため、基板31aへの押圧力の調整および押圧のタイミングの調整が容易である。即ち、エア排気部23または配管19に図示しない排気バルブを設け、排気バルブを制御することにより、エアシリンダ17への押圧力および押圧のタイミングが調整できる。
【0067】
このように、第1の実施形態によれば、搬送装置1はフレーム3、吸着パッド5a、5b、5c、5d、押し棒7、真空発生器15を有し、真空発生器15にエアを供給することにより、吸着パッド5a、5b、5c、5dが基板31aを真空吸着し、押し棒7が基板31aを押圧して変形させる。
【0068】
そのため、基板31aの搬送時に、基板31aの下面に他の基板が張り付いた状態で搬送されることを防止でき、品質歩留まりおよび稼働率が上昇し、製造コストが低減される。
【0069】
また、第1の実施形態によれば、吸着パッド5a、5b、5c、5dおよび押し棒7の駆動を、真空発生器15が行うため、吸着パッド5a、5b、5c、5dと押し棒7を駆動するための装置を個別に用意する必要がなく、従来よりも構造が単純で、また、エアの排気を利用して押し棒7を駆動するため、駆動が効率的である。
【0070】
また、上記構造により、搬送装置1は従来の搬送装置と比べて、大きな装置構成の変更をすることなく、製造できる。
【0071】
次に、第2の実施形態に係る搬送装置1aについて、図7を参照して説明する。
【0072】
第2の実施形態に係る搬送装置1aは、第1の実施形態に係る搬送装置1において、押圧手段として、押し棒7ではなく、エア排気部23から排気されたエアを基板31aに吹き付ける先端(ノズル)19bを設けたものである。
【0073】
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素には同一
の番号を付し、説明を省略する。
【0074】
図7に示すように、搬送装置1aは、エア排気部23には配管19aが設けられており、配管19aの先端(ノズル)19bはフレーム3の台座27eを貫通して台座27eが設けられた面側に突出している。
【0075】
配管19aの先端(ノズル)19bからは、エア排気部23から排気されたエアが噴出す構造となっている。
【0076】
ここで、搬送装置1aを用いて基板31を搬送する際の搬送装置1aの動作について図7を参照して簡単に説明する。
【0077】
まず、図示しないアクチュエータを用いて、フレーム3を基板31の上方に配置する。
【0078】
フレーム3が基板31の上方に配置されると、フレーム3を図1のB2の向きに移動し、吸着パッド5a、5b、5c、5dを、基板31aの上面の両端に接触させる。
【0079】
吸着パッド5a、5b、5c、5dが基板31aの上面の両端に接触すると、エア供給部21にエアを供給する。
【0080】
供給されたエアは真空発生器15内に負圧を発生させる。
【0081】
発生した負圧により、吸着パッド5a、5b、5c、5dは基板31aの上面の両端を真空吸着する。
【0082】
吸着パッド5a、5b、5c、5dが基板31aの上面を真空吸着すると、図示しないアクチュエータを用いて、フレーム3を図7のB1の向きに移動し、基板31aを持ち上げて、積層された他の基板31から分離する。
【0083】
この際、基板31aを持ち上げつつ、配管19aの先端(ノズル)19bからエアをB2の向きに噴きつけ、エアにより基板31の中央付近を押圧し、弓状に変形させる。
【0084】
基板31aが変形すると、基板31aの下面と接触していた基板31bは基板31aから剥離される。
【0085】
基板31aが剥離されると、基板31aが吸着パッド5a、5b、5c、5dに真空吸着された状態で、フレーム3を図示しない処理部(ボンディング部)に搬送する。
【0086】
このように、搬送装置1aでは、基板31aへの押圧を、エアの噴きつけにより行っているため、押圧手段としての先端(ノズル)19bが、基板31aと直接接触することがない。
【0087】
そのため、押圧手段の接触による基板31aの破損を防止できる。
【0088】
このように、第2の実施形態によれば、搬送装置1aはフレーム3、吸着パッド5a、5b、5c、5d、先端(ノズル)19b、真空発生器15を有し、真空発生器15にエアを供給することにより、吸着パッド5a、5b、5c、5dが基板31aを真空吸着し、先端(ノズル)19bから噴出したエアが基板31aを押圧して変形させる。
【0089】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0090】
また、第2の実施形態によれば、搬送装置1aは基板31aへの押圧を、エアの噴きつけにより行っており、押圧手段としての先端(ノズル)19bが、基板31aと直接接触することがない。
【0091】
そのため、第1の実施形態と比べて、押圧手段の接触による基板31aの破損を、より確実に防止できる。
【0092】
次に、第3の実施形態に係る搬送装置1bについて、図8を参照して説明する。
【0093】
第3の実施形態に係る搬送装置1bは、第1の実施形態において、台座27eに吸着パッド5eを設け、吸着パッド5eを吸着手段と押圧手段の両方として用いる構造としたものである。
【0094】
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0095】
図8に示すように、搬送装置1bは、フレーム3の台座27eに吸着パッド5eが設けられている。
【0096】
吸着パッド5eには配管41が接続されており、配管41は配管13を介して真空発生器15の真空発生部25に接続されている。
【0097】
そのため、真空発生器15を駆動すると、吸着パッド5eは基板31aを真空吸着可能である。
【0098】
また、吸着パッド5eにはエアシリンダ17が設けられており、エアシリンダ17は、配管19を介して、真空発生器15のエア排気部23に接続されている。
【0099】
そのため、真空発生器15を駆動すると、エアシリンダ17が吸着パッド5eを図8のF2の向きに押圧することにより、吸着パッド5eは図8のB2の向きに移動可能であり、移動により、基板31aの上面を押圧可能である。
【0100】
即ち、吸着パッド5eは、吸着手段と押圧手段を兼ねた押圧吸着手段であり、このような構造とすることにより、吸着パッド5eは基板31aを押圧しながら真空吸着可能となり、搬送時の基板31aの落下を防止できる。
【0101】
ここで、搬送装置1bを用いて基板31を搬送する際の搬送装置1bの動作について、図8を参照して簡単に説明する。
【0102】
まず、図示しないアクチュエータを用いて、フレーム3を基板31の上方に配置する。
【0103】
フレーム3が基板31の上方に配置されると、フレーム3を図8のB2の向きに移動し、吸着パッド5a、5b、5c、5d、5eを、基板31aのの上面の両端に接触させる。
【0104】
吸着パッド5a、5b、5c、5d、5eが基板31aの上面の両端に接触すると、エア供給部21にエアを供給する。
【0105】
供給されたエアは真空発生器15内に負圧を発生させる。
【0106】
発生した負圧により、吸着パッド5a、5b、5c、5d、5eは基板31aの上面を真空吸着する。
【0107】
吸着パッド5a、5b、5c、5d、5eが基板31aの上面の両端を真空吸着すると、図示しないアクチュエータを用いて、フレーム3を図1のB1の向きに移動し、基板31aを持ち上げて、積層された他の基板31から分離する。
【0108】
この際、基板31aを持ち上げつつ、エア排気部23より排気されたエアを配管19内にF1の向きに導入し、F2の向きにエアシリンダ17を押圧させる。
【0109】
押圧されたエアシリンダ17は、吸着パッド5eをB2の向きに移動させ、吸着パッド5eが基板31aの中央付近を押圧し、弓状に変形させる。
【0110】
基板31aが変形すると、基板31aの下面と接触していた基板31bは基板31aから剥離される。
【0111】
基板31aが剥離されると、基板31aが吸着パッド5a、5b、5c、5d、5eに真空吸着された状態で、フレーム3を図示しない処理部(ボンディング部)に搬送する。
【0112】
このように、第3の実施形態によれば、搬送装置1bはフレーム3、吸着パッド5a、5b、5c、5d、5e、真空発生器15を有し、真空発生器15にエアを供給することにより、吸着パッド5a、5b、5c、5d、5eが基板31aを真空吸着し、吸着パッド5eが基板31aを押圧して変形させる。
【0113】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0114】
また、第3の実施形態によれば、搬送装置1bは吸着パッド5eが吸着手段が押圧手段を兼ねている。
【0115】
そのため、第1の実施形態と比べて、確実に基板31aを吸着でき、搬送時の基板31aの落下を、より確実に防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
上記した実施形態では、本発明を、積層された半導体装置の配線基板の1枚を真空吸着して、ボンディング部に搬送する搬送装置に適用した場合について説明したが、本発明は、何等、これに限定されることなく、複数の基板が積み重ねられた状態(積層された状態)、あるいは保護基板上に載置された状態から、最上面の基板を剥離して搬送する必要のあるすべての搬送装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1(a)は搬送装置1を示す断面図であって、図1(b)は図1(a)のA1方向矢視図である(なお、図1(a)は図1(b)のA2−A2断面図でもある)。
【図2】図1の真空発生器の内部構造を示す断面図である。
【図3】搬送装置1を用いて基板31aを搬送する際の搬送装置1の動作を示す図である。
【図4】搬送装置1を用いて基板31aを搬送する際の搬送装置1の動作を示す図である。
【図5】搬送装置1を用いて基板31aを搬送する際の搬送装置1の動作を示す図である。
【図6】搬送装置1を用いて基板31aを搬送する際の搬送装置1の動作を示す図である。
【図7】搬送装置1aを示す断面図である。
【図8】図8(a)は搬送装置1bを示す断面図であって、図8(b)は図8(a)のA3方向矢視図である(なお、図8(a)は図8(b)のA4−A4断面図でもある)。
【符号の説明】
【0118】
1…………搬送装置
1a………搬送装置
1b………搬送装置
3…………フレーム
5a………吸着パッド
5e………吸着パッド
7…………押し棒
9…………緩衝材
11a……配管
11b……配管
13………配管
15………真空発生器
17………エアシリンダ
19………配管
19a……配管
19b……先端(ノズル)
21………エア供給部
23………エア排気部
25………真空発生部
27a……台座
27e……台座
29………収納部
31………基板
31a……基板
31b……基板
34………寸法
41………配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送装置であって、
前記基板の上面の両端を真空吸着する吸着手段と、
前記基板の上面を押圧して変形させる押圧手段と、
前記吸着手段および前記押圧手段を駆動する駆動手段と、
を有し、
前記駆動手段は、
エアが供給されるエア供給部と、
前記押圧手段に接続され、供給されたエアが排気されるエア排気部と、
前記エア供給部および前記エア排気部を連結するように設けられ、かつ前記吸着手段に接続され、真空を発生させる真空発生部と、
を有するエジェクタ式の真空発生装置であり、
前記エア供給部よりエアの供給を受けて前記エア排気部へエアを排気することにより、前記真空発生部に真空を発生させて前記吸着手段を駆動し、
前記排気部へ排気したエアの圧力により前記押圧手段を駆動することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記押圧手段は、
前記駆動手段の排気したエアの圧力によって前記基板の上面を押圧して変形させる押し棒であることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記押し棒と前記排気部の間には、前記エアの圧力によって移動可能なシリンダが接続され、
前記排気部へ排気したエアの圧力により前記シリンダが移動し、
移動した前記シリンダが前記押し棒を押圧することによって前記押し棒が前記基板の上面を押圧して変形させることを特徴とする請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記押し棒は、
前記基板と接触する部分に緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
前記押圧手段は、
前記駆動手段の排気したエアを前記基板の上面に吹き付けるノズルであり、
前記ノズルが吹き付けたエアが前記基板の上面を押圧して変形させることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項6】
前記吸着手段は複数設けられ、
複数の前記吸着手段のうち、少なくとも1つは、前記押圧手段を兼ねた押圧吸着手段であり、
前記駆動手段の排気したエアの圧力によって、前記基板の上面を、押圧して変形させつつ吸着可能であることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項7】
前記押圧吸着手段と前記排気部の間には、前記エアの圧力によって移動するシリンダが接続され、
前記排気部へ排気したエアの圧力により前記シリンダが移動し、
移動した前記シリンダが前記押圧吸着手段を押圧することによって前記押圧吸着手段が前記基板の上面を押圧して変形させることを特徴とする請求項6記載の搬送装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の搬送装置を用いた基板の搬送方法であって、
前記駆動手段を駆動させ、前記基板を真空吸着する工程(a)と、
前記駆動手段の排気したエアを用いて前記押圧手段を駆動させ、前記基板の上面を押圧して変形させる工程(b)と、
前記基板を搬送する工程(c)と、
を有することを特徴とする基板の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−160713(P2009−160713A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2905(P2008−2905)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】