説明

搬送装置

【課題】被搬送物の傾斜角度を略90度の値に設定できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置2は無端体7を備え、無端体7には、屈曲可能な複数の搬送体8を搬送方向に沿って並設する。無端体7の回転で移動する搬送体8に沿って固定ガイド体9を配設する。水平姿勢の容器Wは、搬送体8の屈曲に伴って略90度回動して傾斜姿勢となる。傾斜姿勢の容器Wは、側縁部を固定ガイド体9および固定板部にて支持するとともに底面部を起立状態の回動板部にて支持して搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物の傾斜角度を略90度の値に設定できる搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばトレイ等の被搬送物の一側を支持して搬送する搬送無端ベルトと、被搬送物の他側を支持して搬送しその搬送前期において上昇傾斜部にて被搬送物の他側を順次上方に持ち上げて被搬送物を所定量傾斜させかつその搬送後期において下降傾斜部にて被搬送物の他側を順次下方に持ち下げて被搬送物を水平姿勢にする傾斜無端ベルトと、傾斜姿勢の被搬送物の一側縁を滑動可能に支え止める固定ストッパとを備える自動反転装置等の搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−101926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の搬送装置のように、傾斜無端ベルトの上昇傾斜部によって被搬送物を所定量傾斜させる構成では、傾斜無端ベルトを持ち上げて被搬送物を傾けていくと被搬送物を支持する力は固定ストッパ側へと序々に移り、被搬送物と固定ストッパとの摩擦抵抗が大きくなるとともに、被搬送物と傾斜無端ベルトおよび搬送無端ベルトとの滑りが生じるようになって、被搬送物の傾斜角度を略90度の値には設定できないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被搬送物の傾斜角度を略90度の値に設定できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の搬送装置は、無端体と、この無端体に搬送方向に沿って並設され、被搬送物を搬送する複数の搬送体と、これら複数の搬送体に沿って配設された固定ガイド体とを備え、前記搬送体は、前記無端体に水平状態に固定された固定板部と、この固定板部に上下方向に回動可能に設けられ、回動により水平状態および起立状態になる回動板部とを有し、前記固定板部および前記水平状態の回動板部上に載置された水平姿勢の被搬送物は、前記固定板部に対する前記回動板部の上方への回動に伴って前記固定ガイド体にて案内されながら略90度回動して傾斜姿勢となり、この傾斜姿勢となった被搬送物は、その被搬送物の側縁部が前記固定ガイド体および前記固定板部にて支持されるとともにその被搬送物の底面部が前記起立状態の回動板部にて支持された状態で、前記搬送体の移動により傾斜姿勢のまま搬送方向に搬送されるものである。
【0006】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、搬送体の回動板部を下方から支持してこの回動板部を上下方向に回動させるガイドレールを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、水平姿勢の被搬送物は回動板部の上方への回動に伴って固定ガイド体にて案内されながら略90度回動して傾斜姿勢となり、この傾斜姿勢となった被搬送物はその被搬送物の側縁部が固定ガイド体および固定板部にて支持されるとともにその被搬送物の底面部が起立状態の回動板部にて支持された状態で搬送される構成であるから、従来の搬送装置とは異なり、被搬送物の傾斜角度を略90度の値に設定できる。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、搬送体の回動板部を支持するガイドレールによって回動板部を適切に上下回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の洗浄装置に係る一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし図3において、1は洗浄装置で、この洗浄装置1は、上面部に略矩形の開口部W1を有する略皿状の複数の被搬送物である容器W、例えば上面開口状の弁当箱を搬送方向に連続的に搬送し、その搬送途中で容器Wを水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更して洗浄水等の洗浄液の噴射により洗浄、例えば下洗いをする連続式容器洗浄装置である。
【0011】
なお、水平姿勢の容器Wはその開口部W1が上方を向いた姿勢(上方向き姿勢)であり、傾斜姿勢の容器Wはその開口部W1が搬送方向側方を向いた姿勢(側方向き姿勢)で、傾斜角度が略90度の値に設定された状態である。
【0012】
洗浄装置1は、図4ないし図8にも示すように、容器Wを搬送方向に搬送しその搬送途中で容器Wの姿勢を水平姿勢から略垂直の傾斜姿勢に変更する搬送装置である搬送手段2と、搬送手段2にて搬送中の傾斜姿勢の容器Wの開口部W1に向けて洗浄液を噴射することによりこの容器W内の内容物、例えば食べ残しの残飯等を排出すると同時にこの容器Wの内面を洗浄する洗浄液噴射手段3と、搬送手段2にて搬送中の傾斜姿勢の容器Wの底面部に向けて噴射液である噴射水を噴射することによりこの容器Wの姿勢を傾斜姿勢から開口部W1が下方を向いた下方向き姿勢つまり反転水平姿勢に変更する水噴射手段4とを備えている。
【0013】
搬送手段2は、搬送方向に長手状のレール等の案内体6と、案内体6にて案内されながらこの案内体6に沿って移動する無端状のチェーン等の無端体7と、無端体7に搬送方向に沿って互いに隙間なく並設され容器Wを載置した状態で搬送する略板状の複数の搬送体(屈曲可能なプレート)8とを有している。また、搬送手段2は、複数の搬送体8に沿って配設され容器Wの側縁部を支えて容器Wが搬送体8から側方へ落ちないようにする搬送方向に長手状で垂直板状の固定ガイド体9と、搬送体8の回動板部14を下方から支持してこの回動板部14を上下方向に回動させる搬送方向に長手状のガイドレール10とを有している。なお、図2に示されるように、固定ガイド体9は、取付フレーム20に固定された第1ガイド部16と第2ガイド部17と第3ガイド部18とを有している。
【0014】
無端体7は、複数の回転体11に掛け渡され、モータ等の駆動手段(図示せず)からの動力で回転する。無端体7の上側の往路部が案内体6の上部にこの案内体6に沿って摺動可能に嵌合されている。
【0015】
各搬送体8は、例えば幅方向中間部で屈曲可能な板部材にて構成されている。各搬送体8は、無端体7に水平状態に固定された固定板部13を有している。固定板部13の搬送方向に沿った一端部には回動により水平状態および起立状態になる回動板部14が上下方向に回動可能に設けられ、固定板部13の搬送方向に沿った他端部が自由端部15となっている。固定板部13の自由端部15付近には固定ガイド体9が配設され、回動板部14の下方には回動板部14の下面と摺接するガイドレール10が配設されている。
【0016】
そして、ともに水平状態となっている固定板部13および回動板部14上に載置された水平姿勢の容器Wは、固定板部13に対する回動板部14の上方への回動つまり搬送体8の屈曲に伴って固定板部13の側方から滑り落ちないように固定ガイド体9の第2ガイド部17にて案内されながら略90度回動して略垂直に近い傾斜姿勢となる。
【0017】
この傾斜姿勢となった容器Wは、その容器Wの側縁部が固定ガイド体9の第3ガイド部18および固定板部13の自由端部15にて支持されるとともにその容器Wの底面部が起立状態の回動板部14にて支持された状態で、無端体7の回転に基づく搬送体8の移動により固定ガイド体9の第3ガイド部18と摺接しながら傾斜姿勢のまま搬送方向に載置搬送される。
【0018】
そして、この搬送体8にて搬送中の傾斜姿勢の容器Wの開口部W1に向けて、洗浄液噴射手段3の洗浄ノズル21および洗浄パイプ22から洗浄液が噴射されると、傾斜姿勢の容器W内の内容物(食べ残しの残飯等)が排出されると同時にこの容器Wの内面が洗浄される。このとき、傾斜姿勢の容器Wは、その容器Wの側縁部が固定ガイド体9の第3ガイド部18および固定板部13にて支持されるとともにその容器Wの底面部が起立状態の回動板部14にて支持されるため、洗浄液の噴射により倒れるようなことはない。
【0019】
また、回動板部14は、傾斜姿勢の容器Wが倒れないように支えることができる高さであればよい。さらに、第3ガイド部18は傾斜姿勢となっている容器Wが固定板部13から滑って倒れないように容器Wの側縁部を支えることができる高さであればよく、傾斜姿勢の容器Wから内容物が排出しやすいようになっている。
【0020】
次いで、傾斜姿勢の容器Wの底面部の上部に向けて水噴射手段4の噴射ノズル23から噴射水が噴射されると、容器Wは、固定ガイド体9の第3ガイド部18を回動中心として略90度回動して傾斜姿勢から開口部W1が下方を向いた下方向き姿勢(反転水平姿勢)に姿勢変更する。反転水平姿勢の容器Wは、互いに離間対向した無端状の対をなす搬送チェーン25によって反転水平姿勢のまま載置搬送され、その後、メッシュコンベヤ等の搬出コンベヤ26に乗り移って次工程(メイン洗浄装置)へと搬出される。
【0021】
なお、洗浄装置1は、水噴射手段4による姿勢変更時に容器Wの手前側への移動を規制して容器Wの側縁部を片方の搬送チェーン25に向けて案内する垂直板状の案内壁30を備えている。
【0022】
次に、上記洗浄装置1の作用等を説明する。
【0023】
食べ残しの残飯等の内容物が入った略皿状の容器Wは、開口部W1が上方を向いた上方向き姿勢である水平姿勢のまま、固定板部13および水平状態の回動板部14の上に載置されて搬送方向へ搬送される。
【0024】
図5に示すように、搬送体8の回動板部14がガイドレール10と摺接しながら固定板部13に対して上方へ回動すると、容器Wは、この容器Wの側縁部が固定ガイド体9の第2ガイド部17に沿って第3ガイド部18と摺接する位置まで下降するように略90度回動して固定板部13上で略垂直に近い傾斜姿勢となる。
【0025】
そして、略垂直に近い傾斜姿勢となった容器Wは、その容器Wの側縁部が第3ガイド部18および固定板部13の自由端部15にて支持されるとともにその容器Wの底面部が起立状態の回動板部14にて支持された状態で、無端体7の回転に基づく搬送体8の移動により固定ガイド体9の第3ガイド部18と摺接しながら傾斜姿勢のまま載置搬送される。
【0026】
図6に示すように、洗浄液が洗浄ノズル21および洗浄パイプ22から傾斜姿勢の容器Wの開口部W1に向って噴射されると、容器W内の内容物が排出されると同時にこの容器Wの内面が洗浄される。
【0027】
なお、傾斜姿勢の容器Wは、第3ガイド部18と回動板部14によって支えられていることから、洗浄液の噴射力を強めても、傾斜姿勢を安定して使うことができる。
【0028】
その後、噴射水が噴射ノズル23から傾斜姿勢の容器Wの底面部に向って噴射されると、容器Wは起立状態の回動板部14から離反する方向に向って第3ガイド部18を中心として回動して下方向き姿勢である反転水平姿勢となり、その後、容器Wはその反転水平姿勢のまま搬送方向に搬送される。
【0029】
なお、容器Wの下方向き姿勢への姿勢変更時には、容器Wは、噴射ノズル23からの噴射水から受ける力で勢いよく回動して搬送チェーン25と衝突する。このため、洗浄液の噴射により排出されなかった内容物が残っていたとしても、容器Wと搬送チェーン25との衝突により内容物は容器W内から完全に排出される。
【0030】
そしてこのような洗浄装置1によれば、水平姿勢の容器Wは固定板部13に対する回動板部14の上方への回動に伴って固定ガイド体9にて案内されながら略90度回動して傾斜姿勢となり、この傾斜姿勢となった容器Wはその容器Wの側縁部が固定ガイド体9および固定板部13にて支持されるとともにその容器Wの底面部が起立状態の回動板部14にて支持された状態で搬送される構成であるから、容器Wの傾斜角度を略90度の値に設定でき、よって洗浄液噴射手段3からの洗浄液で略垂直に近い容器W内を確実に洗浄できる。
【0031】
また、固定板部13に対する回動板部14の上方回動により容器Wの固定ガイド体9側の側縁部を下げる構成であるため、容器Wの側縁部を上げる構成とした場合に必要なフックを設けなくてもよく、容器Wを互いに接触させて連続投入できる。
【0032】
なお、上記実施の形態では、容器W等の被搬送物を搬送しながらその搬送途中で被搬送物を傾斜姿勢にして洗浄する洗浄装置1に搬送装置である搬送手段2を適用した場合について説明したが、例えば図示しないが、被搬送物を搬送しながらその搬送途中で被搬送物を略90度回動した傾斜姿勢にして被搬送物内の内容物或いは被搬送物上の載置物を排出する物品排出装置(反転装置等)にも適用できる。
【0033】
また、図示しないが、搬送体8の屈曲開始付近、つまり回動板部14の上方回動開始付近において、容器Wにおける搬送方向下流側の固定板部13上の部分を押えて容器Wの搬送方向下流側の浮き上がりを防止する回転可能な横転補助ブラシを配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置を備えた洗浄装置の概略平面図である。
【図2】同上洗浄装置の概略正面図である。
【図3】図1におけるIII−III断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面図である。
【図5】図2におけるV−V断面図である。
【図6】図2におけるVI−VI断面図である。
【図7】図2におけるVII−VII断面図である。
【図8】図2におけるVIII−VIII断面図である。
【符号の説明】
【0035】
2 搬送装置である搬送手段
7 無端体
8 搬送体
9 固定ガイド体
10 ガイドレール
13 固定板部
14 回動板部
W 被搬送物である容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端体と、
この無端体に搬送方向に沿って並設され、被搬送物を搬送する複数の搬送体と、
これら複数の搬送体に沿って配設された固定ガイド体とを備え、
前記搬送体は、
前記無端体に水平状態に固定された固定板部と、
この固定板部に上下方向に回動可能に設けられ、回動により水平状態および起立状態になる回動板部とを有し、
前記固定板部および前記水平状態の回動板部上に載置された水平姿勢の被搬送物は、前記固定板部に対する前記回動板部の上方への回動に伴って前記固定ガイド体にて案内されながら略90度回動して傾斜姿勢となり、
この傾斜姿勢となった被搬送物は、その被搬送物の側縁部が前記固定ガイド体および前記固定板部にて支持されるとともにその被搬送物の底面部が前記起立状態の回動板部にて支持された状態で、前記搬送体の移動により傾斜姿勢のまま搬送方向に搬送される
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送体の回動板部を下方から支持してこの回動板部を上下方向に回動させるガイドレールを備える
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−55759(P2007−55759A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244165(P2005−244165)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000116699)株式会社アイホー (65)
【Fターム(参考)】