説明

搬送装置

【課題】大きさが異なる各種の被搬送物に容易に対応できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置6は、第1被噛合部61を有する第1回転体11を備え、第1回転体11には一方側挟持体41を設ける。搬送装置6は、第2被噛合部62を有する第2回転体12を備え、第2回転体12には他方側挟持体46を設ける。搬送装置6は、第1被噛合部61と噛合する第1噛合部71および第2被噛合部62と噛合する第2噛合部72を有する歯車66を備える。両挟持体41,46間の離間距離の調整時に、第1回転体11および第2回転体12が互いに異なる方向に同じ回動角度だけ回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたスターホイール装置等の搬送装置が知られている。
【0003】
この従来の搬送装置は、容器等の被搬送物を搬送するもので、回転軸と、この回転軸に取り付けられた上部フランジおよび下部フランジと、上部フランジと係合する上部スターホイールと、下部フランジと係合する下部スターホイールとを備えている。そして、上部スターホイールおよび下部スターホイールは、着脱が可能に構成され半径方向に不等分に4分割されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−284343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の搬送装置では、確かにスターホイールが分割されていることから非分割の構成に比べて重量が軽減されてその交換作業が容易ではあるが、被搬送物の大きさ(例えば外径寸法)が変わる度に、スターホイールの交換作業が必要なため、大きさが異なる各種の被搬送物への対応が容易であるとはいえない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、大きさが異なる各種の被搬送物に容易に対応できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の搬送装置は、第1被噛合部を有する第1回転体と、この第1回転体に設けられた一方側挟持体と、第2被噛合部を有する第2回転体と、この第2回転体に設けられ、被搬送物を前記一方側挟持体とともに挟持して搬送する他方側挟持体と、前記第1被噛合部と噛合する第1噛合部および前記第2被噛合部と噛合する第2噛合部を有する歯車とを備え、前記一方側挟持体および前記他方側挟持体間の離間距離を調整する際に、前記第1回転体および前記第2回転体が互いに異なる方向に同じ回動角度だけ回動するものである。
【0008】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、第1回転体および第2回転体を回転させる回転駆動軸を備え、前記回転駆動軸が前記第1回転体および前記第2回転体に貫通して配設されているものである。
【0009】
請求項3記載の搬送装置は、請求項1または2記載の搬送装置において、第1回転体および第2回転体は、互いに同軸上に配設され、共通の回転中心軸線を中心として回転可能となっており、2つの歯車が、前記回転中心軸線を中心とする点対称位置に配設されているものである。
【0010】
請求項4記載の搬送装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の搬送装置において、歯車は、回動中心軸線を中心として回動可能となっており、第1噛合部は、前記回動中心軸線を中心とする仮想大円上に並んで位置する複数の歯にて構成され、第2噛合部は、前記回動中心軸線を中心とする仮想小円上に並んで位置する複数の歯にて構成されているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、被搬送物の大きさが変わった場合に一方側挟持体および他方側挟持体間の離間距離を調整することにより対応できるため、大きさが異なる各種の被搬送物に容易に対応できる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、第1回転体および第2回転体に貫通して配設された回転駆動軸を利用して、これら第1回転体および第2回転体以外の他の回転体を回転させることができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、2つの歯車が回転中心軸線を中心とする点対称位置に配設されているため、第1回転体および第2回転体の軸ずれを防止できる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、第1噛合部は回動中心軸線を中心とする仮想大円上に並んで位置する複数の歯にて構成され、第2噛合部は回動中心軸線を中心とする仮想小円上に並んで位置する複数の歯にて構成されているため、第1回転体および第2回転体を互いに異なる方向に同じ回動角度だけ適切に回動できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る蓋取付機の平面図である。
【図2】同上蓋取付機の断面図である。
【図3】同上蓋取付機の断面図である。
【図4】同上蓋取付機の第1搬送装置の要部断面図である。
【図5】同上第1搬送装置の要部平面図である。
【図6】同上第1搬送装置の要部説明図である。
【図7】同上蓋取付機の第2搬送装置の要部断面図である。
【図8】同上第2搬送装置の要部平面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る液体充填機の平面図である。
【図10】同上液体充填機の断面図である。
【図11】同上液体充填機の上流側搬送装置の平面図である。
【図12】同上上流側搬送装置の要部断面図である。
【図13】同上上流側搬送装置の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施の形態を図1ないし図8を参照して説明する。
【0017】
図1ないし図3において、1は蓋取付機で、この蓋取付機1は、被搬送物である容器aを搬送し、この搬送途中で容器aの上端部に蓋(キャップ)bを取り付けるものである。
【0018】
容器aは、例えばワイン等の飲料である液体が充填される瓶で、断面略円形状の丸型の飲料用容器である。蓋bは、容器aの上端部外周側のねじ溝部に螺合により取り付けられるものである。
【0019】
蓋取付機1は、図1ないし図3に示されるように、スクリューコンベヤ等の搬送手段(図示せず)からの容器aを受け入れこの受け入れた容器aを略円弧状のガイド部2に沿って搬送する第1搬送装置6と、この第1搬送装置6からの容器aを受け入れこの受け入れた容器aを略円弧状のガイド部3に沿って搬送しながら容器aの上端部外周側のねじ溝部に蓋bを螺合により取り付ける第2搬送装置(搬送蓋取付装置)7と、この第2搬送装置7からの蓋付の容器aを受け入れこの受け入れた容器aを略円弧状のガイド部4に沿って搬送する第3搬送装置8とを備えている。第3搬送装置8から搬出された容器aは、スクリューコンベヤ等の搬送手段(図示せず)にて次工程に向けて搬送されていく。
【0020】
第1搬送装置6は、モータ等の駆動手段(図示せず)からの動力で上下方向の回転中心軸線Aを中心として駆動回転する上下方向の回転軸である回転駆動軸10と、この回転駆動軸10と同軸上に配設され回転駆動軸10と一体となって回転中心軸線Aを中心として回転する第1ないし第4回転体11,12,13,14と、第1回転体11にねじ等の取付部材18にて取り付けられたカバー体15とを備えている。
【0021】
回転駆動軸10は、上下方向の軸部16と、この軸部16の上下方向中間部に固設されたフランジ部17とを有している。
【0022】
第1ないし第4回転体11,12,13,14およびカバー体15は、いずれも略板状でかつ略円形環状のもので、中心部に略円形状の孔部21,22,23,24,25を有し、これら孔部21,22,23,24,25に回転駆動軸10の軸部16が挿通されている。つまり、回転駆動軸10が、第1ないし第4回転体11,12,13,14およびカバー体15の中心部に貫通して回転可能に配設されている。
【0023】
第1回転体(上側回転体)11および第2回転体(下側回転体)12は互いに上下に積層状で位置し、第2回転体12がフランジ部17の上面上に配設されている。第3回転体(上側回転体)13および第4回転体(下側回転体)14は互いに上下に積層状で位置している。そして、第1回転体11と第3回転体13とが第1連結手段26にて連結され、第2回転体12と第4回転体14とが第2連結手段27にて連結されている。
【0024】
第1連結手段26は、軸状の連結部材28を有し、連結部材28の下端部が第3回転体13にねじ等の取付部材29にて取り付けられ、連結部材28の上端部が第1回転体11にねじ等の取付部材30にて取り付けられている。
【0025】
第2連結手段27は、軸状の連結部材31を有し、連結部材31の下端部が第4回転体14にねじ等の取付部材32にて取り付けられ、連結部材31の上端部のねじ孔部33にねじ等の締付部材34が螺着されている。そして、操作部材である締付部材34の締付方向への回動によって第1回転体11および第2回転体12がフランジ部17に対して固定され、締付部材34の締付解除方向への回動によってその固定が解除される。
【0026】
この固定解除の状態時には、第1回転体11および第2回転体12が回転駆動軸10に対して回転中心軸線Aを中心として回動可能であり、また、第3回転体13は第1回転体11と一体となって回転駆動軸10に対して回転中心軸線Aを中心として回動可能であり、第4回転体14は第2回転体12と一体となって回転駆動軸10に対して回転中心軸線Aを中心として回動可能である。つまり、第1回転体11および第2回転体12の回動に応じて第3回転体13および第4回転体14が同じように連動する構成となっている。
【0027】
第1回転体11の外周端には複数の一方側挟持体41が径方向外方に向って固定的に突設され、これら複数の一方側挟持体41は第1回転体11の周方向に等間隔をおいて並んで位置している。一方側挟持体41は、第1回転体11の外周端に一体に設けられた板部42と、この板部42の下面にねじ等の取付部材44にて脱着可能に取り付けられ容器aの上部外周面と接触するブロック状の接触部43とを有している。
【0028】
第2回転体12の外周端には一方側挟持体41と離間対向し容器aの上部を一方側挟持体41とともに挟持して搬送する複数の他方側挟持体46が径方向外方に向って固定的に突設され、これら複数の他方側挟持体46は第2回転体12の周方向に等間隔をおいて並んで位置している。他方側挟持体46は、第2回転体12の外周端に一体に設けられた板部47と、この板部47の下面にねじ等の取付部材49にて脱着可能に取り付けられ容器aの上部外周面と接触するブロック状の接触部48とを有している。
【0029】
第3回転体13の外周端には複数の一方側挟持体51が径方向外方に向って固定的に突設され、これら複数の一方側挟持体51は第3回転体13の周方向に等間隔をおいて並んで位置している。一方側挟持体51は、第3回転体13の外周端に一体に設けられた板部52と、この板部52の上面にねじ等の取付部材54にて脱着可能に取り付けられ容器aの下部外周面と接触するブロック状の接触部53とを有している。
【0030】
第4回転体14の外周端には一方側挟持体51と離間対向し容器aの下部を一方側挟持体51とともに挟持して搬送する複数の他方側挟持体56が径方向外方に向って固定的に突設され、これら複数の他方側挟持体56は第4回転体14の周方向に等間隔をおいて並んで位置している。他方側挟持体56は、第4回転体14の外周端に一体に設けられた板部57と、この板部57の上面にねじ等の取付部材59にて脱着可能に取り付けられ容器aの下部外周面と接触するブロック状の接触部58とを有している。
【0031】
第1回転体11は、図1、図4および図5に示されるように、複数、例えば2つの第1被噛合部61を内周部に有している。つまり、第1回転体11のうち孔部21に臨んだ内周面の相対する2箇所位置に、第1被噛合部61がセグメントギヤ状に形成されている。第1被噛合部61は、第1回転体11の周方向に並んで位置する複数の歯61aにて構成されている。
【0032】
第2回転体12は、第1被噛合部61と離間対向する第2被噛合部62を外周部に有している。つまり、第2回転体12は、略円形環状の回転本体部63と、この回転本体部63の内周部上面に溶接等により固設され第1回転体11の孔部21内つまり第1回転体11の内方に位置する略円形環状の歯車部64とを有し、この歯車部64の外周面に第2被噛合部62が全周に亘るギヤ状に形成されている。第2被噛合部62は、第2回転体12の周方向に並んで位置し第1被噛合部61の歯61aと同一形状に形成された複数の歯62aにて構成されている。
【0033】
そして、第1回転体11の第1被噛合部61および第2回転体12の第2被噛合部62間には複数、例えば2つの略板状の歯車66が回動可能に配設され、第1被噛合部61と第2被噛合部62とが歯車66を介して互いに離間対向している。
【0034】
歯車66は、回転駆動軸10のフランジ部17の上面にねじ等の取付部材(軸部材)67にてこの取付部材67を中心として回動可能に取り付けられている。つまり、歯車66は、回転駆動軸10のフランジ部17に対して、取付部材67の軸芯を通る上下方向の回動中心軸線Bを中心として回動可能となっている。なお、2つの歯車66の回動中心軸線(回動支点)Bは回転中心軸線Aを中心とする仮想円上に略180度間隔で位置しており、これら2つの歯車66は回転中心軸線Aを中心とする点対称位置に配設されている。
【0035】
また、歯車66の上部が第1回転体11の孔部21内に位置し、歯車66の下部が第2回転体12の歯車用孔部20内に位置しており、歯車66の上面がカバー体15にて覆われている。
【0036】
そして、歯車66は、第1被噛合部61と噛合する第1噛合部71および第2被噛合部62と噛合する第2噛合部72を外周部に有している。
【0037】
つまり、歯車66は、回動中心軸線Bを中心とする略扇形状に形成された大扇板部74と、この大扇板部74に一体に設けられ回動中心軸線Bを中心とする略扇形状に形成され半径寸法が大扇板部74の半径寸法より小さい小扇板部75とを有している。大扇板部74の中心角は例えば120度で、小扇板部75の中心角は例えば240度であり、大扇板部74の中心角が小扇板部75の中心角より小さくなっている。そして、大扇板部74の円弧状外周部には第1噛合部71がセグメントギヤ状に形成され、この第1噛合部71と第1被噛合部61とが常時互いに噛み合っている。また、小扇板部75の円弧状外周部には第2噛合部72がセグメントギヤ状に形成され、この第2噛合部72と第2被噛合部62とが常時互いに噛み合っている。
【0038】
また、図5に示されるように、第1噛合部71は回動中心軸線Bを中心とする仮想大円C上に並んで位置する複数の歯71aにて構成され、第2噛合部72は回動中心軸線Bを中心とする仮想小円D上に並んで位置する複数の歯72aにて構成されている。
【0039】
なお、第1噛合部71の歯71aと第2噛合部72の歯72aとは同一形状に形成されている。つまり、第1噛合部71の歯71a、第2噛合部72の歯72a、第1被噛合部61の歯61aおよび第2被噛合部62の歯62aは、すべて同一形状である。もっとも、図示しないが、第1噛合部71の歯71a(第1被噛合部61の歯61a)と第2噛合部72の歯72a(第2被噛合部62の歯62a)とが異なる形状であってもよい。
【0040】
さらに、図6に示されるように、回動中心軸線Bおよび第1噛合部71間の距離(仮想大円Cの半径)r1と回動中心軸線Bおよび第2噛合部72間の距離(仮想小円Dの半径)r2との比が、回転中心軸線Aおよび第1被噛合部61間の距離R1と回転中心軸線Aおよび第2被噛合部62間の距離R2との比と同じである。すなわち例えば図6の例ではr1:r2=R1:R2=2:1であるが、この数値に限定されるものではない。
【0041】
そして、容器aの大きさつまり容器aの外径寸法に応じて、一方側挟持体41,51および他方側挟持体46,56間の離間距離を調整する際に、図5および図6に示すように、回転駆動軸10のフランジ部17に対して第1回転体11を回転中心軸線Aを中心として一方向に回動させた場合、第1回転体11の回動に応じて歯車66がフランジ部17に対して回動中心軸線Bを中心として回動する。その結果、回動力が歯車66にて第2回転体12に伝達され、第2回転体12が一方向とは反対の他方向に第1回転体11と同じ回動角度だけ回動する。また同時に、第3回転体13および第4回転体14が互いに異なる方向に同じ回動角度だけ回動する。
【0042】
一方、図2に示されるように、回転駆動軸10の軸部16はカバー体15の孔部25から上方に向って突出しており、この突出部分には、回転駆動軸10と一体となって回転中心軸線Aを中心として回転する略板状の回転体76が取付手段78を介して上下位置調整可能でかつ交換可能に取り付けられている。
【0043】
回転体76は、一方側挟持体41,51および他方側挟持体46,56にて挟持された容器aの首部(ネック部)a1を支持する複数の凹状の支持部77を外周部に有している。
【0044】
蓋取付機能を兼ね備えた第2搬送装置7は、図1、図2、図7および図8に示されるように、モータ等の駆動手段(図示せず)からの動力で上下方向の回転中心軸線Aを中心として駆動回転する上下方向の回転軸である回転駆動軸80と、この回転駆動軸80と同軸上に配設され回転駆動軸80と一体となって回転中心軸線Aを中心として回転する第1回転体および第2回転体81,82とを備えている。
【0045】
回転駆動軸80は、上下方向の軸部86と、この軸部86の上下方向中間部に固設されたフランジ部87とを有している。
【0046】
第1回転体81および第2回転体82は、いずれも略板状でかつ略円形環状のもので、中心部に略円形状の孔部91,92を有し、これら孔部91,92に回転駆動軸80の軸部86が挿通されている。つまり、回転駆動軸80が第1回転体81および第2回転体82の中心部に貫通して回転可能に配設されている。
【0047】
また、第1回転体(上側回転体)81および第2回転体(下側回転体)82は互いに上下に積層状で位置し、第2回転体82がフランジ部87の上面上に配設されている。
【0048】
そして、第1搬送装置6の第1回転体11および第2回転体12と同様、ねじ等の締付部材(操作部材)の締付方向への回動によって第1回転体81および第2回転体82がフランジ部87に対して固定され、締付部材の締付解除方向への回動によってその固定が解除され、この固定解除の状態時には第1回転体81および第2回転体82が回転駆動軸80に対して回転中心軸線Aを中心として回動可能である。
【0049】
第1回転体81の外周端には複数の一方側挟持体101が径方向外方に向って固定的に突設され、これら複数の一方側挟持体101は第1回転体81の周方向に等間隔をおいて並んで位置している。一方側挟持体101は、第1回転体81の外周端に一体に設けられた板部102と、この板部102の下面にねじ等の取付部材104にて脱着可能に取り付けられ容器aの下部外周面と接触するブロック状の接触部103とを有している。
【0050】
第2回転体82の外周端には一方側挟持体101と離間対向し容器aの下部を一方側挟持体101とともに挟持して搬送する複数の他方側挟持体106が径方向外方に向って固定的に突設され、これら複数の他方側挟持体106は第2回転体82の周方向に等間隔をおいて並んで位置している。他方側挟持体106は、第2回転体82の外周端に一体に設けられた板部107と、この板部107の下面にねじ等の取付部材109にて脱着可能に取り付けられ容器aの下部外周面と接触するブロック状の接触部108とを有している。
【0051】
また、第1回転体81は、図1、図7および図8に示されるように、複数、例えば2つの第1被噛合部111を有している。つまり、第1回転体81のうち各歯車用孔部94に臨んだ面に、第1被噛合部111がセグメントギヤ状に形成されている。第1被噛合部111は、第1回転体81の周方向に並んで位置する複数の歯111aにて構成されている。
【0052】
第2回転体82は、第1被噛合部111と対応する複数、例えば2つの第2被噛合部112を有している。つまり、第2回転体82のうち各歯車用孔部95に臨んだ面に、第2被噛合部112がセグメントギヤ状に形成されている。第2被噛合部112は、第2回転体82の周方向に並んで位置し第1被噛合部111の歯111aと同一形状に形成された複数の歯112aにて構成されている。
【0053】
そして、第1回転体81の第1被噛合部111および第2回転体82の第2被噛合部112間には複数、例えば2つの歯車116が回動可能に配設され、第1被噛合部111と第2被噛合部112とが歯車116を介して互いに離間対向している。
【0054】
歯車116は、回転駆動軸80のフランジ部87の上面にねじ等の取付部材(軸部材)117にてこの取付部材117を中心として回動可能に取り付けられている。つまり、歯車116は、回転駆動軸10のフランジ部87に対して、取付部材117の軸芯を通る上下方向の回動中心軸線Bを中心として回動可能となっている。なお、2つの歯車116の回動中心軸線(回動支点)Bは回転中心軸線Aを中心とする仮想円上に略180度間隔で位置しており、これら2つの歯車116は回転中心軸線Aを中心とする点対称位置に配設されている。
【0055】
また、歯車116の上部が第1回転体81の歯車用孔部94内に位置し、歯車116の下部が第2回転体82の歯車用孔部95内に位置しており、歯車116の上面がカバー体83にて覆われている。
【0056】
そして、歯車116は、第1被噛合部111と噛合する第1噛合部121および第2被噛合部112と噛合する第2噛合部122を外周部に有している。
【0057】
つまり、歯車116は、回動中心軸線Bを中心とする略扇形状に形成された大扇板部124と、この大扇板部124に一体に設けられ回動中心軸線Bを中心とする略扇形状に形成され半径寸法が大扇板部124の半径寸法より小さい小扇板部125とを有している。大扇板部124の中心角は例えば120度で、小扇板部125の中心角は例えば240度であり、大扇板部124の中心角が小扇板部125の中心角より小さくなっている。そして、大扇板部124の円弧状外周部には第1噛合部121がセグメントギヤ状に形成され、この第1噛合部121と第1被噛合部111とが常時互いに噛み合っている。また、小扇板部125の円弧状外周部には第2噛合部122がセグメントギヤ状に形成され、この第2噛合部122と第2被噛合部112とが常時互いに噛み合っている。
【0058】
また、図8に示されるように、第1噛合部121は回動中心軸線Bを中心とする仮想大円C上に並んで位置する複数の歯121aにて構成され、第2噛合部122は回動中心軸線Bを中心とする仮想小円D上に並んで位置する複数の歯122aにて構成されている。
【0059】
なお、第1噛合部121の歯121aと第2噛合部122の歯122aとは同一形状に形成されている。つまり、第1噛合部121の歯121a、第2噛合部122の歯122a、第1被噛合部111の歯111aおよび第2被噛合部112の歯112aは、すべて同一形状である。もっとも、図示しないが、第1噛合部121の歯121a(第1被噛合部111の歯111a)と第2噛合部122の歯122a(第2被噛合部112の歯112a)とが異なる形状であってもよい。
【0060】
なお、図示しないが、上述した第1搬送装置6と同様、回動中心軸線Bおよび第1噛合部121間の距離(仮想大円Cの半径)r1と回動中心軸線Bおよび第2噛合部122間の距離(仮想小円Dの半径)r2との比が、回転中心軸線Aおよび第1被噛合部111間の距離R1と回転中心軸線Aおよび第2被噛合部112間の距離R2との比と同じである。すなわち例えば図8の例ではr1:r2=R1:R2=5:4であるが、この数値に限定されるものではない。
【0061】
そして、容器aの大きさつまり容器aの外径寸法に応じて、一方側挟持体101および他方側挟持体106間の離間距離を調整する際に、図8に示すように、回転駆動軸80のフランジ部87に対して第1回転体81を回転中心軸線Aを中心として一方向に回動させた場合、第1回転体81の回動に応じて歯車116がフランジ部87に対して回動中心軸線Bを中心として回動する。その結果、回動力が歯車116にて第2回転体82に伝達され、第2回転体82が一方向とは反対の他方向に第1回転体81と同じ回動角度だけ回動する。
【0062】
一方、図2に示されるように、回転駆動軸80の軸部86は第1回転体81の孔部91から上方に向って突出しており、この突出部分には、回転駆動軸80と一体となって回転中心軸線Aを中心として回転する回転体126が交換可能に取り付けられている。
【0063】
回転体126は、軸部86の上端部に固設された回転本体部127と、この回転本体部127に上下動可能でかつ回転可能に設けられた蓋取付部128とを有している。そして、容器aが一方側挟持体101および他方側挟持体106にて挟持されて搬送されている途中で、蓋取付部128が容器aの上端部外周側のねじ溝部に蓋bを螺合により取り付ける。
【0064】
第3搬送装置8では、図3から明らかなように、第1搬送装置6とは異なり、カバー体15の中心部に孔部25が形成されておらず、回転駆動軸10の軸部16の上端面がカバー体15にて覆われており、回転駆動軸10には回転体76が取り付けられていない。なお、第3搬送装置8のその他の構成は、第1搬送装置6と同一である。
【0065】
次に、上記実施の形態の作用等を説明する。
【0066】
例えば液体が充填された容器aが上流の搬送手段から第1搬送装置6へ順次供給されると、容器aは、第1搬送装置6の一方側挟持体41,51および他方側挟持体46,56にて両側から挟持されかつ首部a1が回転体76の支持部77で支持された状態でガイド部2に沿って搬送され、その後、第2搬送装置7の一方側挟持体101および他方側挟持体46,56にて両側から挟持された状態でガイド部3に沿って搬送される。
【0067】
この第2搬送装置7による搬送途中で、蓋bが回転体126の蓋取付部128にて容器aの上端部外周側に螺着される。
【0068】
次いで、蓋bの付いた容器aは、第3搬送装置8の一方側挟持体41,51および他方側挟持体46,56にて両側から挟持された状態でガイド部4に沿って搬送され、その後、下流の搬送手段へ搬出される。
【0069】
ここで、例えば所定本数の一の容器aに対する蓋取付作業が終了したため、次に、一の容器aよりも細い他の容器a、つまり外径寸法が一の容器aよりも小さい他の容器a(例えば図1中の容器s)に対して、蓋取付作業を行う場合には、他の容器aの外径寸法に応じて、両挟持体間の離間距離を調整する。
【0070】
すなわち例えば、第1搬送装置6および第3搬送装置8に関しては、回転体11,12,13,14のフランジ部17に対する固定を解除した状態で、第1回転体11から突出した一方側挟持体41を把持して、この一方側挟持体41とともに第1回転体11を一方向に回動させる。
【0071】
すると、この回動力が歯車66を介して第2回転体12へ伝わり、第2回転体12が他方側挟持体46とともに一方向とは反対の他方向に第1回転体11と同じ回動角度だけ回動する。つまり、第1回転体11および第2回転体12が互いに異なる方向に同じ回動角度だけ回動し、また同時に、第3回転体13および第4回転体14が互いに異なる方向に同じ回動角度だけ連動回動する。
【0072】
その結果、互いに離間対向する一方側挟持体41,51および他方側挟持体46,56が、回転中心軸線Aを中心として互いに接近する方向である閉方向に同じ回動角度だけ均等に回動する。こうして、一方側挟持体41,51および他方側挟持体46,56間の離間距離を調整した後、回転体11,12,13,14をフランジ部17に対して固定する。
【0073】
また、第2搬送装置7に関しては、回転体81,82のフランジ部87に対する固定を解除した状態で、第1回転体81から突出した一方側挟持体101を把持して、この一方側挟持体101とともに第1回転体81を一方向に回動させる。
【0074】
すると、この回動力が歯車116を介して第2回転体82へ伝わり、第2回転体82が他方側挟持体106とともに一方向とは反対の他方向に第1回転体81と同じ回動角度だけ回動する。
【0075】
その結果、互いに離間対向する一方側挟持体101および他方側挟持体106が、回転中心軸線Aを中心として互いに接近する方向である閉方向に同じ回動角度だけ均等に回動する。こうして、一方側挟持体101および他方側挟持体106間の離間距離を調整した後、回転体81,82をフランジ部87に対して固定する。
【0076】
なお、必要に応じて、ガイド部2,3,4の位置調整作業や、回転体76,126の交換作業等を行う。また、一の容器aよりも太い他の容器aへの変更時には、一方側挟持体41,51,101および他方側挟持体46,56,106が互いに離反する方向である開方向に同じ回動角度だけ均等に回動することとなる。
【0077】
そして、上記蓋取付機1の搬送装置6,7,8によれば、容器aの大きさ(太さ)が変わった場合に、容器aを挟持するポケット部分に関しては、一方側挟持体41,51,101および他方側挟持体46,56,106間の離間距離を調整することにより対応できるため、従来とは異なり容器aの大きさが変わる度にスターホイールの交換作業を行う必要がなく、大きさが異なる各種の容器aに容易かつ適切に対応できる。
【0078】
また、第1回転体11,81および第2回転体12,82に貫通して配設された回転駆動軸10,80、つまり回転体11,12,81,82を回転させる回転駆動軸10,80を利用して、回転体11,12,81,82以外の他の回転体76,126を回転させることができ、よって、回転体76,126を回転させる回転駆動軸を別途設ける必要がない。
【0079】
さらに、第1回転体11,81および第2回転体12,82が互いに同軸上に配設されて共通の回転中心軸線Aを中心として回転可能となっており、2つの略円形状の歯車66,116が回転中心軸線Aを中心とする点対称位置に配設されているため、第1回転体11,81および第2回転体12,82の軸ずれ(芯ずれ)を防止でき、よって、回転体11,12,81,82を回転駆動軸10,80とともに回転中心軸線Aを中心として適切に回転でき、容器aをスムーズに搬送できる。
【0080】
また、第1噛合部71,121は回動中心軸線Bを中心とする仮想大円C上に並んで位置する複数の歯71a,121aにて構成され、第2噛合部72,122は回動中心軸線Bを中心とする仮想小円D上に並んで位置する複数の歯72a,122aにて構成されているため、第1回転体11,81および第2回転体12,82を互いに異なる方向に同じ回動角度だけ適切に回動させることができる。
【0081】
次に、本発明の他の実施の形態を図9ないし図13を参照して説明する。
【0082】
図9および図10において、131は液体充填機で、この液体充填機131は、瓶等の被搬送物である容器aを搬送し、この搬送途中で容器a内に液体、すなわち例えばワイン等の飲料を充填するものである。容器aは、例えば断面略円形状の丸型の飲料用容器である。
【0083】
液体充填機131は、スクリューコンベヤ等の搬送手段(図示せず)からの容器aを受け入れこの受け入れた容器aを略円弧状のガイド部132に沿って搬送する上流側搬送装置136と、この上流側搬送装置136からの容器aを受け取りこの受け取った容器aを搬送しながら容器a内に液体を充填する充填装置140と、この充填装置140からの液体充填済の容器aを受け入れこの受け入れた容器aを略円弧状のガイド部132に沿って搬送する下流側搬送装置137とを備えている。下流側搬送装置137から搬出された容器aは、スクリューコンベヤ等の搬送手段(図示せず)にて次工程に向けて搬送されていく。
【0084】
上流側搬送装置136は、図10ないし図13から明らかなように上記蓋取付機1の第3搬送装置8と基本的構成を同一とするものであるが、第3搬送装置8とは異なり、第2回転体12が中心部に孔部22を有さず、回転本体部63の中心部上面に略円板状の歯車部64がボルト止め或いは溶接等により固設されている。
【0085】
また、上流側搬送装置136の各挟持体41,46,51,56,101,106の数が第3搬送装置8の各挟持体41,46,51,56,101,106の数よりも多く、さらに、上流側搬送装置136の締付部材34がレバー部34aを有している。
【0086】
なお、上流側搬送装置136のその他の構成は、第3搬送装置8と同一である。また、下流側搬送装置137は、上流側搬送装置136と同一構成のものである。
【0087】
充填装置140は、図10に示されるように、容器aの底面を支持して容器aを搬送する搬送手段141と、この搬送手段141にて搬送中の容器a内に液体を充填する充填手段142とを有している。搬送手段141は、上流側搬送装置136からの容器aを受け取った後、所定高さまで上昇させ、充填手段142による充填完了後、容器aを下降させて下流側搬送装置137に渡す。
【0088】
そして、上記液体充填機131の搬送装置136,137によれば、従来とは異なり容器aの大きさが変わる度にスターホイールの交換作業を行う必要がなく、外径寸法等の大きさが異なる各種の容器aに容易かつ適切に対応できる等、上記搬送装置6,7,8と同様の作用効果を奏することができる。
【0089】
なお、上記いずれの実施の形態においても、2つの歯車66,116のみを備えた構成について説明したが、例えば歯車66,116の数は1つでもよく、また、3つ或いは4つ以上の歯車を回転中心軸線Aを中心とする仮想円上に両側に位置するように間隔をおいて配設した構成等でもよい。
【0090】
また、各挟持体41,46,51,56,101,106の数(ポケット数)は任意であり、5つや10以外でもよい。
【0091】
さらに、被搬送物である容器aは、断面円形状の丸型容器には限定されず、断面多角形状の角型容器等でもよく、また容器以外の物品でもよい。
【0092】
また、第2被噛合部62が歯車部64の外周面に全周に亘るギヤ状に形成された構成には限定されず、例えば第2被噛合部62が歯車部64の外周面における第1被噛合部61と対応する位置にセグメントギヤ状に形成された構成等でもよい。
【符号の説明】
【0093】
6 搬送装置である第1搬送装置
7 搬送装置である第2搬送装置
8 搬送装置である第3搬送装置
10,80 回転駆動軸
11,81 第1回転体
12,82 第2回転体
41,101 一方側挟持体
46,106 他方側挟持体
61,111 第1被噛合部
62,112 第2被噛合部
66,116 歯車
71,121 第1噛合部
71a,121a 歯
72,122 第2噛合部
72a,122a 歯
136 搬送装置である上流側搬送装置
137 搬送装置である下流側搬送装置
a 被搬送物である容器
A 回転中心軸線
B 回動中心軸線
C 仮想大円
D 仮想小円

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被噛合部を有する第1回転体と、
この第1回転体に設けられた一方側挟持体と、
第2被噛合部を有する第2回転体と、
この第2回転体に設けられ、被搬送物を前記一方側挟持体とともに挟持して搬送する他方側挟持体と、
前記第1被噛合部と噛合する第1噛合部および前記第2被噛合部と噛合する第2噛合部を有する歯車とを備え、
前記一方側挟持体および前記他方側挟持体間の離間距離を調整する際に、前記第1回転体および前記第2回転体が互いに異なる方向に同じ回動角度だけ回動する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
第1回転体および第2回転体を回転させる回転駆動軸を備え、
前記回転駆動軸が前記第1回転体および前記第2回転体に貫通して配設されている
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
第1回転体および第2回転体は、互いに同軸上に配設され、共通の回転中心軸線を中心として回転可能となっており、
2つの歯車が、前記回転中心軸線を中心とする点対称位置に配設されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
歯車は、回動中心軸線を中心として回動可能となっており、
第1噛合部は、前記回動中心軸線を中心とする仮想大円上に並んで位置する複数の歯にて構成され、
第2噛合部は、前記回動中心軸線を中心とする仮想小円上に並んで位置する複数の歯にて構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−6261(P2011−6261A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245299(P2009−245299)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(309016832)株式会社アステックエンジニアリング (4)
【Fターム(参考)】