説明

携帯端末、サーバ、通信システム、通信方法およびプログラム

【課題】災害発生時の帯域制限などの通信規制下においても、安定した音声通信が可能であるようなPoC通信システムを提供すること。
【解決手段】PTTが可能な携帯端末であって、通信規制が発生した場合はPTTの通信方式を切り換え、バッファメモリに送信データを一時的に格納し、データ送信失敗時に再送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時の帯域制限などの通信規制下においても、安定した音声通信が可能であるようなPoC通信システム技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、災害の発生等によりネットワークのトラフィックが一時的に増大した場合、輻輳状態の発生を防止するために、通信規制が行われる。
【0003】
携帯電話のトランシーバ機能であるPush−to−Talk over Cellular(PoC)は、1対他の通話が可能であり、災害時の連絡に有用であるが、UDPなどの伝達保障性のないプロトコルを利用して実現されているため、通信規制により音声が途切れるなどの問題が発生する可能性がある。
【0004】
ここで、携帯装置が、携帯ネットワークとインターネットプロトコルネットワークを介して、送出サーバへ結合され、携帯装置は、送出サーバによって処理されるプッシュ・ツー・トーク要求のきっかけを与え、送出サーバは次に、このプッシュ・ツー・トーク要求をファミリー・ラジオ・サービス(FRS)ゲートウェイへ送信し、FRSゲートウェイはこのディジタル要求をアナログ要求へ変換し、基地局を介して、その要求をファミリー・サービス・ラジオへ送信し、FRSラジオは、アナログ要求を音声符号化するFRSゲートウェイへ戻って送信され、送出サーバを介して携帯装置へ戻って送信されることで、PTTアプリケーションを備えた携帯電話(セルラー方式)が、FRSラジオとネットワーク構築することを可能にする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2005−536146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来例においては災害発生時の帯域制限などの通信規制下においても、安定した音声通信が可能とは限らないという問題点があった。
【0006】
本発明は、以上説明した問題点を解決するためになされたものである。その目的は、災害発生時の帯域制限などの通信規制下においても、安定した音声通信が可能であるようなPoC通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、PTTが可能な携帯端末であって、
通信規制が発生した場合はPTTの通信方式を切り換え、バッファメモリに送信データを一時的に格納し、データ送信失敗時に再送する携帯端末を提供する。
【0008】
また、本発明は、通信規制が発生した場合はPTTの通信方式を切り換え、バッファメモリに送信データを一時的に格納し、データ送信失敗時に再送するPTTが可能な携帯端末により、
通信方式切り換えを通知されるサーバを提供する。
【0009】
また、本発明は、PTTが可能な携帯端末が、通信規制が発生した場合はPTTの通信方式を切り換え、バッファメモリに送信データを一時的に格納し、データ送信失敗時に再送し、
さらにサーバに通信方式切り換えを通知する通信システムを提供する。
【0010】
また、本発明は、PTTが可能な携帯端末が、通信規制が発生した場合はPTTの通信方式を切り換え、バッファメモリに送信データを一時的に格納し、データ送信失敗時に再送し、
さらにサーバに通信方式切り換えを通知する通信方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、災害発生時の帯域制限などの通信規制下においても、安定した音声通信が可能であるようなPoC通信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号が付されている。
【0013】
まず、図1において、本実施の形態における通信システムを説明する。PoC機能つき携帯端末1、PoC機能つき携帯端末3、及びPoC通信処理サーバ2により構成される。
【0014】
PoC機能つき携帯端末1及びPoC機能つき携帯端末3は、Push−to−Talkが可能な端末であり、更に外部より規制状態通知信号を受け取って通信規制状態を判別する規制状態判別部1−1及び3−1と、通信方式を、送信データ量及び送信順序を保証しない通信方式と、保証する通信方式を切り換えることができる通信方式切換え部1−2及び3−2と、受信及び送信データを保持できる記憶部1−3及び3−3を有している。
【0015】
また、PoC通信処理サーバ2は、データ量と順序を保証しない通信方式と、保証する通信方式の両方を処理することのできる通信処理部2−1と、受信P及び送信データを保持できる記憶部2−2を備えている。
【0016】
次に、図2〜4を使用して本実施の形態の動作を説明する。
【0017】
図2は、通常時の処理を示している。携帯端末1は、入力された音声データをPoC通信処理サーバ2に送信し、受信したPoC通信処理サーバは同データを携帯端末3に送信する。この際利用する通信方式は、送信データの量及び順序を保証しないような通信方式である。
【0018】
図3は、通信規制発生時の処理を示している。携帯端末1は、規制状態通知信号を受信すると、PoC通信処理サーバ2に通信方式切換え通知を送信し、その後、音声テータ退避のためのバッファを準備して、通信方式を切り換える。
【0019】
切換え後の通信方式は、送信データ退避のためのバッファを使用し、送信エラー時にはデータを再送することにより送信データの量及び順序を保証するような通信方式である。
【0020】
通信方式切換え通知を受信したPoC通信処理サーバ2は、音声データ退避のためのバッファを用意し、携帯端末3に同様に通信方式切換え通知を送信する。通信方式切換え通知を受信した携帯端末3は、音声データ退避のためのバッファを準備し、通信方式の切換え処理を行う。
【0021】
図4は、通信規制時の処理を示している。携帯端末1は、入力された音声データを一旦バッファに格納し、PoC通信処理サーバ2に送信するが、データの送信に失敗した場合、バッファに格納された音声データを再送する。
【0022】
音声データを受信したPoC通信処理サーバ2は同様にバッファにデータを格納した上で、携帯端末3に送信する。データ送信に失敗した際には、バッファに格納された音声データを再送する。このような動作を行うことにより、データ送信エラーが発生することなく通信が可能となる。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
第1の効果は、通信規制時にはデータ送信エラー時にデータ再送が可能な通信方式に切り換えることにより、安定した音声通信が可能になることである。
【0024】
本発明の他の実施の形態として、送信先の携帯端末が通信方式切換えに対応していなかった場合でも通信ができるようにするため、送信先の携帯端末端末が通信方式切換え可能かどうかをPoC通信処理サーバが判断し、可能でない場合は送信先携帯端末との通信時には通信方式切換えを行わずに通常の通信方式を採用して通信を行うといった、携帯端末ごとに適切な通信方式で通信できるようにする例があげられる。
【0025】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、携帯端末1、3及びPoC通信処理サーバ2の機能を実現するためのプログラムを各装置に読込ませて実行することにより各装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0026】
本発明は、携帯電話機等の携帯端末装置であって、PoC機能の利用可能な装置に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態における通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における通常時の処理を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態における通信規制発生時の処理を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態における通信規制時の処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0028】
1、3 PoC機能つき携帯端末
1―1、3―1 規制状態判別部
1―2、3―2 通信方式切換え部
1―3、3―3 記憶部
2 PoC通信処理サーバ
2―1 通信処理部
2―2 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTTが可能な携帯端末であって、
通信規制が発生した場合はPTTの通信方式を切り換え、バッファメモリに送信データを一時的に格納し、データ送信失敗時に再送することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
通信方式切り換えをサーバへ通知することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
通信規制が発生した場合はPTTの通信方式を切り換え、バッファメモリに送信データを一時的に格納し、データ送信失敗時に再送するPTTが可能な携帯端末により、
通信方式切り換えを通知されることを特徴とするサーバ。
【請求項4】
PTTが可能な携帯端末が、通信規制が発生した場合はPTTの通信方式を切り換え、バッファメモリに送信データを一時的に格納し、データ送信失敗時に再送し、
さらにサーバに通信方式切り換えを通知することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
PTTが可能な携帯端末が、通信規制が発生した場合はPTTの通信方式を切り換え、バッファメモリに送信データを一時的に格納し、データ送信失敗時に再送し、
さらにサーバに通信方式切り換えを通知することを特徴とする通信方法。
【請求項6】
コンピュータに請求項1から3のいずれか1項に記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−113221(P2008−113221A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294779(P2006−294779)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】