説明

携帯端末及びその動作制御方法並びにプログラム

【課題】 TV電話着信時に、ユーザがこの着信に応答することができない場合に、ユーザに対して何等の操作を要求することなく相手方にその旨を通知することができるようにしたTV電話機を提供する。
【解決手段】 TV電話着信の際に、制御部103のCPU104は、現在時刻が、メモリ105内のスケジュールに予定が登録されている日時に相当するかどうかを調べ、相当する場合には、TV電話着信動作を行うことなく、自動的に相手方へその旨通知するようにする。よって、ユーザに対して特別の操作を要求することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末及びその動作制御方法並びにプログラムに関し、特にテレビ電話機能を有する携帯電話機及びその動作制御方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機の多機能化に伴って、テレビ電話(以下、TV電話と称す)機能を搭載しているものがある。このようなTV電話機能を有する携帯電話機において、TV電話の着信があった場合、ユーザの状況によっては、このTV電話着信に対して応答できないことがある。例えば、仕事中の打合せや会議中にTV電話の着信があった場合には、当該着信には出られない。そこで、TV電話着信を受けたユーザが相手側に着信応答できない旨の通知を行うために、留守番電話機能を動作させるなどの操作を行うことが必要になる。
【0003】
また、TV電話では、映像の送受信を行うために、TV電話開始時に、送信用のカメラによる映像をユーザ自身の携帯電話機の表示部に表示し事前に送信用のカメラで撮影した映像が確認できるようになっている(特許文献1参照)。なお、このとき、相手側には代替画像やキャラクタ画像などを送信するようになっている。
【特許文献1】特開2005−124161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した如く、TV電話機能を有する携帯電話機において、TV電話着信時に、ユーザの状況によってこの着信に対して応答できない場合に、ユーザは着信できない旨を相手方に通知するために、留守番電話機能などの操作を必要とするという欠点がある。また、TV電話開始時に送信用カメラで撮影した映像を、表示部に表示させて事前にユーザが確認する機能を備えているが、このような機能は、TV電話が開始した状態で行われるようになっており、TV電話開始時では、送信用のカメラでの映像を相手方に送信できず、音声のみの通信となってしまうという欠点がある。
【0005】
本発明の目的は、TV電話着信時に、ユーザがこの着信に応答することができない場合に、ユーザに対して何等の操作を要求することなく相手方にその旨を通知することができるようにしたTV電話機を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、TV電話着信の動作に際して、着信中に送信用カメラ起動を行ってその映像を表示することにより、送信用の映像の事前確認を着信中に行うことができるようにしたTV電話機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による携帯端末は、テレビ電話機能を有する携帯端末であって、スケジュールデータに予定が登録されている日時にテレビ電話着信があった場合に、前記テレビ電話着信の動作を禁止して、着信しない旨を発信側へ通知する制御手段を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明による携帯端末の動作制御方法は、テレビ電話機能を有する携帯端末の動作制御方法であって、スケジュールデータに予定が登録されている日時にテレビ電話着信があった場合に、前記テレビ電話着信の動作を禁止する第一のステップと、着信しない旨を発信側へ通知する第二のステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によるプログラムは、テレビ電話機能を有する携帯端末の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、スケジュールデータに予定が登録されている日時にテレビ電話着信があった場合に、前記テレビ電話着信の動作を禁止する処理と、着信しない旨を発信側へ通知する処理とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、TV電話着信時が、スケジュール機能に予定が登録されている日時に相当する場合には、TV電話着信動作を行うことなく、相手方へその旨通知するようにしたので、ユーザに対して特別の操作を要求することがないという効果がある。
【0011】
また、本発明によれば、TV電話着信時が、スケジュール機能に予定が登録されている日時に相当しない場合には、着信中に送信用カメラの映像の事前確認をできるようにしたので、TV電話開始時には、映像と音声とによるTV電話機能が果せるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態の携帯電話機の概略ブロック図である。図1を参照すると、本発明によるTV電話機能を有する携帯電話機は、アンテナ101と、無線部102と、CPU104及びメモリ105を有する制御部103と、LCD表示部106と、操作部107と、カメラ部108と、音声処理部110と、レシーバ111と、マイク112とを有している。
【0013】
本携帯電話機は、制御部103の制御により、無線部102及びアンテナ101を介して図示せぬ基地局と通信を行うものである。無線部102は、アンテナ101により受信された信号から希望周波数の信号を選択して周波数変換を行い、増幅、復調して受信データを制御部103へ出力するものである。制御部103は、この受信データを処理して音声信号を音声処理部110へ出力し、音声処理部110はこの音声信号をアナログ信号に変換してレシーバ111を介して音声出力を行うものである。
【0014】
マイク112より入力された音声は音声処理部110においてデジタル信号に変換され、制御部103においてその信号が送信データとして処理される。この送信データは無線部102において変調されて規定の周波数の搬送波とされて増幅され、アンテナ101より送信されることになる。
【0015】
制御部103は操作部107を監視して、ユーザの操作を検出しかつ判断して、当該操作に基づく処理を行うものであり、基本的にCPU104とメモリ105とを有し、メモリ105に格納されているプログラムの手順に従ってCPU104が動作して各種の処理を行うコンピュータとして動作する。メモリ105は上記のプログラムの他に、電話帳やスケジュールなどのユーザによる登録データをも記録しているものとする。LCD表示部106は制御部103の制御に基づいて各種表示をなすものである。カメラ部108は静止画や動画などの撮影データを制御部103へ供給するものである。
【0016】
図2は本発明の一実施の形態の動作を示すフローチャートである。図2において、TV電話着信があると、制御部103は受信データを基にTV電話の着信処理を開始する(ステップS301)。制御部103は現在の時刻とメモリ105に保存してあるスケジュールデータとを比較し、スケジュールの予定データに登録されている開始時刻から終了時刻までに、現在の時刻が含まれているかどうか確認する(ステップS302)。現在の時刻が含まれていれば、相手側に対して着信を受けられない旨の通知を行い、TV電話着信履歴をメモリ105に残して待ち受け画像を継続する(ステップS310)。
【0017】
ステップS302において、現在の時刻がスケジュールデータに登録されている開始時刻から終了時刻までに含まれていなければ、制御部103は受信データに含まれている発信者電話番号を取得し、電話帳にこれが登録されていなければ、名前も含めてTV電話着信中の表示データを生成して、LCD表示部106により表示を行う(ステップS303)。制御部103は、送信映像をTV電話着信中に表示するか否かを、メモリ105に保存されている設定情報から判断する(ステップS304)。
【0018】
このメモリ105の設定情報の内容の一例を、図3に示している。図3において、設定内容が項目3の「送信映像を表示しない」となっていれば、「TV電話着信中に映像信号を表示しない」という動作を行うことを意味する。設定内容が項目2の「映像を表示する+ユーザ操作あり」となっていれば、「TV電話着信中に送信映像を表示する。送信映像はユーザの操作により開始する」という動作に従うことになる。設定内容が項目1の「映像を表示する+ユーザ操作なし」となっていれば、「TV電話着信中に送信映像を表示する。送信映像はTV着信時にユーザ操作なしで開始する」という動作に従うことになる。項目1〜3の設定は、予めユーザの選択操作によるものとする。
【0019】
TV電話着信中に送信映像を確認する(表示する)場合、すなわち図3の設定項目1,2の場合、制御部103は、ユーザの単一の操作(予め定められた単一操作)を必要とするかどうかを、メモリ105の設定内容から判断する(ステップS305)。ユーザの単一操作により送信映像の表示を行う場合、すなわち図3の設定項目2の場合、操作部107からの信号(ユーザ操作による操作信号)を待ち、当該信号が検出された後に、送信映像の表示処理を開始する(ステップS306)。
【0020】
図4の中央には、このTV電話着信中の表示部106における表示映像の例が示されており、図4の左側には待ち受け中の表示部106の表示例が示されている。このTV電話着信中に、送信映像を表示部106に表示するために、制御部103はTV電話着信中状態を継続しつつ、カメラ部108に対して起動制御と撮影制御とを行うことは勿論である。カメラ部108は撮影したデータを制御部103へ渡し、制御部103は着信番号の表示に加えて、撮影データをも表示すべく撮影データを映像データに変換してLCD表示部106へ出力する。LCD表示部106はこのデータを、図4の中央に示す如く表示することになる(ステップS307)。
【0021】
ユーザが着信応答操作を行うまでは、TV電話着信中を継続するようになっており、制御部103は送信用カメラで撮影した映像を継続表示することになる。ユーザが着信応答操作を行うと、制御部103は操作部107からの操作信号を検出して着信応答処理を行う(ステップS308)。そして、音声データ及び映像データを送受信して、TV電話通話中の状態に移行する(ステップS309)。このときの表示部の表示例が図4の右側に示されている。
【0022】
なお、ステップS304において、TV電話着信中に送信映像を確認する必要がない場合(図3の設定項目3の場合)には、直ちにステップS308,S309へと移行することになる。また、ステップS305において、ユーザの単一操作が不要の場合(図3の設定項目1の場合)には、直ちにステップS307へ移行する。
【0023】
図5は本発明の他の実施の形態の動作を示すフローチャートであり、図2と同等ステップは同一符号により示されている。本実施の形態においては、TV電話に対して、1コールで電話を切ってしまういわゆる「ワン切り」と称される迷惑電話に対処するためのものである。TV電話着信中に、送信映像を確認のために表示すべくカメラを起動するようになっていることは先述したとおりであるが、「ワン切り」という迷惑電話を受けると、TV電話着信に要する電流に加えて、カメラの起動に要する電流までも浪費してしまうことになる。
【0024】
そこで、本実施の形態では、TV電話着信時において、電話帳に登録されていない電話番号からの着信であれば、カメラの起動を数秒間遅らせるようにして、無駄な電流消費を抑えるようにしている。この場合、カメラの起動を遅延させる時間は、ユーザの操作により設定できるようにし、その設定時間はメモリに保存されるものとする。
【0025】
図5において、図2のフローチャートと異なる部分について述べると、点線で囲まれたステップS510〜S513の動作が、図2のそれに追加されている。すなわち、ユーザの操作なしで送信映像の表示を行う場合(図3の設定項目1の場合)において、制御部103は発信電話番号をメモリから読出し、電話帳に記録されている電話番号と比較照合する(ステップS510)。発信電話番号が電話帳に登録されていない場合には、制御部103はメモリ105に設定されている遅延時間を読出し、タイマ機能を用いて送信映像を確認する処理を待ち状態とする(ステップS511)。
【0026】
制御部103は、遅延時間が経過したことを通知するタイマによる割り込みを検出すると、TV電話着信が継続されているかどうか確認し(ステップS512)、継続している場合には、カメラ起動を行い(ステップS307)、継続していない場合には、着信処理を停止して待ち受け画面へ移行する(ステップS513)。こうすることにより、上述したいわゆる「ワン切り」というTV電話の迷惑電話に対しては、カメラ起動が行われなくなって、無駄な電力の消費が抑制されるのである。
【0027】
なお、上記の例においては、携帯電話機について説明したが、TV電話機能を有する携帯端末であれば本発明は適用可能である。また、図2及び図5のフローチャートは、その動作手順をプログラムとしてメモリ部に格納しておき、これを制御部のCPU(コンピュータ)により読み取らせて実行できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態のTV電話機能を有する携帯電話機の概略機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】送信映像確認のためのメモリ設定内容と動作とを対応して示した図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるTV電話着信時のLCD表示部の表示遷移例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
101 アンテナ
102 無線部
103 制御部
104 CPU
105 メモリ
106 LCD表示部
107 操作部
108 カメラ部
110 音声処理部
111 レシーバ
112 マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ電話機能を有する携帯端末であって、スケジュールデータに予定が登録されている日時にテレビ電話着信があった場合に、前記テレビ電話着信の動作を禁止して、着信しない旨を発信側へ通知する制御手段を含むことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記制御手段は、前記テレビ電話着信がスケジュールデータに予定が登録されていない日時にあった場合に、着信中にカメラを起動してその撮影映像を表示部へ表示することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御手段は、予め設定されているユーザ操作に応答して前記カメラの起動をなすことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記制御手段は、カメラの起動を所定時間遅延し、その間において前記テレビ電話の相手電話番号が登録されているか否かを判定し、その判定結果に応じて前記カメラの起動制御をなすことを特徴とする請求項2または3記載の携帯端末。
【請求項5】
テレビ電話機能を有する携帯端末の動作制御方法であって、
スケジュールデータに予定が登録されている日時にテレビ電話着信があった場合に、前記テレビ電話着信の動作を禁止する第一のステップと、
着信しない旨を発信側へ通知する第二のステップとを含むことを特徴とする動作制御方法。
【請求項6】
前記テレビ電話着信がスケジュールデータに予定が登録されていない日時にあった場合に、着信中にカメラを起動してその撮影映像を表示部へ表示する第三のステップを、更に含むことを特徴とする請求項5記載の動作制御方法。
【請求項7】
前記第三のステップにおいて、予め設定されているユーザ操作に応答して前記カメラの起動をなすことを特徴とする請求項6記載の動作制御方法。
【請求項8】
前記カメラの起動を所定時間遅延し、その間において前記テレビ電話の相手電話番号が登録されているか否かを判定する第四のステップと、その判定結果に応じて前記カメラの起動制御をなす第五のステップとを、更に含むことを特徴とする請求項6または7記載の動作制御方法。
【請求項9】
テレビ電話機能を有する携帯端末の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
スケジュールデータに予定が登録されている日時にテレビ電話着信があった場合に、前記テレビ電話着信の動作を禁止する処理と、
着信しない旨を発信側へ通知する処理とを含むことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−13355(P2007−13355A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189122(P2005−189122)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】