説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】装置本体の向きを変えるだけで、所望する動作に変更できるようにする。
【解決手段】CPU1は、電子コンパス13によって現在の方位が測定された際に、この測定方位に基づいて方向別設定テーブルを検索しこの測定方位対応の設定内容に基づいて着信音報知を制御したり、留守録メッセージを選択して相手先に応答通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装置本体の向きを検出する方向センサを備えた携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話装置では、着信時の報知用として着信メロディの種類及びその音量レベルを任意に設定したり、この着信音とバイブレーション報知との切り替えを設定したり、留守時に相手先に通知する留守応答メッセージ(留守録メッセージ)の種類などを任意に設定したりすることができるようになっているが、この設定内容を変更する場合には、その都度、設定メニューを開いて各種のキー操作を行う必要があるため、設定ミスの可能性があると共に、使用者に大きな負担をかけていた。
そこで、従来では、装置本体の現在の位置を検出し、この現在位置に応じて着信音とバイブレーション報知との切り替えを自動的に設定する技術が知られている(特許文献1参照)。また、装置本体がクレードルに保持されているか否かに応じて着信音とバイブレーション報知との切り替えを自動的に設定する技術も知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−152823号公報
【特許文献2】特開2001−285412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1の技術にあっては、装置本体の位置変化を前提として着信報知の設定を変更するものであり、同じ位置のままであれば、その報知の仕方は変更されることはない。同様に、特許文献2の技術は、クレードルに保持されているか否かを前提として着信報知の設定を変更するものであり、クレードルに置かれている状態のままであれば、その報知の仕方は変更されることはない。
【0004】
この発明の課題は、装置本体の向きを変えるだけで、所望する動作に変更できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、装置本体の向きを検出する方向センサを備えた携帯端末装置であって、予め動作制御情報として設定されている設定内容を装置本体の向きに対応付けて記憶する設定内容記憶手段と、前記方向センサによって現在の向きが検出された際に、この向きに対応付けられている前記設定内容を選択する選択手段と、この選択手段によって選択された設定内容に応じた動作に変更制御する動作制御手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項7記載の発明)。
【0006】
なお、請求項1記載の発明は次ぎのようなものであってもよい。
着信報知時に、予め動作制御情報として設定されている設定内容に応じて着信報知を行う着信報知手段を設け、着信報知時に、現在の向きを検出すると共に、この向きに対応付けられている設定内容に応じた着信報知を実行する(請求項2記載の発明)。
【0007】
電話着信時に、予め設定されている動作制御情報に応じて応答動作を行う着信応答手段を設け、着信報知時に、現在の向きを検出すると共に、この向きに対応付けられている設定内容に応じた応答動作を実行する(請求項3記載の発明)。
【0008】
装置本体が使用者に対面する向きを前向きとし、この前向きに対して逆に向けた状態を後ろ向き、右側の向けた状態を右向き、左側に向けた状態を左向きとした場合に、前記設定内容記憶手段は、少なくとも当該前後左右の各向きに対応付けて任意に入力指定された設定内容を記憶可能とする(請求項4記載の発明)。
なお、前後左右の各向きのうち、その何れか一つの向きに対応して任意の設定内容を記憶するようにしてもよく、装置本体の向きと設定内容との対応関係は任意である。
【0009】
装置本体が静止状態にあることを条件に、装置本体の向きに応じた動作に変更制御する(請求項5記載の発明)。
【0010】
装置本体をクレードル装置に保持させたか否かを検出する検出手段を設け、前記選択手段は、装置本体がクレードル装置に保持されている場合には、前記方向センサによって検出された現在の向きに対応付けられている設定内容を選択し、クレードル装置に保持されていない場合には、別途設定されている設定内容を選択する(請求項6記載の発明)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、予め動作制御情報として設定されている設定内容を装置本体の向きに対応付けて記憶している状態において、方向センサによって現在の向きが検出された際に、この向きに対応付けられている設定内容を選択し、この設定内容に応じた動作に変更制御するようにしたから、装置本体の向きを変えるだけで、所望する動作に容易に変更することができ、使い勝手が向上し、利便性を増すことができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、着信報知時に、現在の向きを検出すると共に、この向きに対応付けられている設定内容に応じた着信報知を実行するようにしたから、装置本体の向きを変えるだけで、電話あるいはメール着信報知時に、着信音の種類及びその音量を変更することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、着信報知時に、現在の向きを検出すると共に、この向きに対応付けられている設定内容に応じた応答動作を実行するようにしたから、装置本体の向きを変えるだけで、電話着信報知時に、例えば、留守応答メッセージの種類を変更したり、留守応答の有無を切り替えることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、装置本体が使用者に対面する向きを前向きとし、この前向きに対して逆に向けた状態を後ろ向き、右側の向けた状態を右向き、左側に向けた状態を左向きとした場合に、少なくとも当該前後左右の各向きに対応付けて任意に入力指定された設定内容を記憶可能としたから、例えば、自宅、会社などで机の前に座っている場合に、机上に置いた装置本体が使用者に対して前後左右の何れの向きであるかに応じて動作内容を変更制御することができると共に、少なくとも4種類を設定を行うことによって4種類の動作制御が可能となる
【0015】
請求項5記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、装置本体が静止状態にあることを条件に、装置本体の向きに応じて動作を変更制御するようにしたから、例えば、携帯時には、装置本体の向きに応じた動作変更を禁止することができ、不本意な動作変更を防止することが可能となる。
この場合、装置本体がクレードル装置に保持されている場合には、方向センサによって検出された現在の向きに対応付けられている設定内容を選択し、クレードル装置に保持されていない場合には、別途設定されている設定内容を選択するようにしたから(請求項6記載の発明)、クレードル装置に保持されている場合に限り、装置本体の向きに応じた動作変更が可能となり、それ以外では、キー操作などによって設定されている設定内容に応じた動作変更となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜図6を参照して本発明の実施例を説明する。
この実施例は、携帯端末装置として携帯電話装置に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この携帯電話装置は、2つの筐体(上部筐体、下部筐体)が開閉可能に取り付けられた折り畳み自在なもので、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などのほか、装置本体が向いている方位を測定する方位測定機能、留守録機能を備えている。
【0017】
CPU1は、記憶部2内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話装置の全体動作を制御する中央演算処理装置である。記憶部2は、不揮発性メモリ(内部メモリ)であり、例えば、フラッシュメモリなどによって構成され、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図4及び図5に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納されている。記録メディア3は、着脱自在な可搬型メモリで、撮影画像データ、各種のデータ、プログラムを外部供給するもので、例えば、スマートメディア、ICカードなどによって構成されている。メモリ4は、ワーク領域を有する内部メモリで、例えば、DRAM(Direct Random Access Memory)、SDRAM(Synchronous DRAM)などによって構成されている。
【0018】
電話通信部5は、アンテナ6に接続された送受信デュプレクサの受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調した後に、音声データ、映像データとして出力し、映像データは、LCD(液晶表示器)などのメイン表示部7から表示出力され、また、音声データは、スピーカ8から音声出力される。また、電話通信部5は、マイクロホン9から入力された音声データを送信ベースバンド信号に符号化した後に、送受信デュプレクサの送信側に与えられ、アンテナ6から発信出力される。
【0019】
なお、メイン表示部7は、文字情報、画像情報、各種のアイコンなどの高品位に表示するもので、このメイン表示部7のほか、装置本体の背面部にはサブ表示部10が設けられており、現在日時、簡易なメッセージ、アイコンなどが表示される。報知部11は、着信報知などの報知用のスピーカ、LED(発光ダイオード)、振動モータを備え、電話・メール着信時には着信報知を行ったり、警告アラームなどの報知時にも駆動される。なお、電話あるいはメール着信時にマナーモードにセットされていれば、着信音に代わってバイブレーション報知が行われ、マナーモードが解除されていれば、着信音による報知が行われる。
【0020】
また、この携帯電話装置には、いわゆる留守録機能と呼ばれる録音機能が備えられており、CPU1は、留守録設定が行われていれば、着信報知に代わって留守録メッセージを音声合成して相手先に対して通知するほか、相手先からの音声メッセージを受信して録音するようにしている。キー操作部12は、押しボタン式の各種のキーを備え、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、CPU1は、キー操作部12からのキー入力信号に応じた処理を実行する。
【0021】
電子コンパス13は、装置本体に内蔵され、地磁気を利用して装置本体が向いている方位を測定するもので、この測定結果は、CPU1に与えられる。CPU1は、交流電源にケーブル接続される充電機能付きのクレードルスタンド(充電台)21に装置本体が載置(接続)されている状態において、電話着信あるいはメール着信を検出すると、その着信報知に先立って電子コンパス13をアクセスして現在の測定方位を取得すると共に、この測定方位に基づいて記憶部2内の方向別設定テーブル15を検索するようにしている。
【0022】
すなわち、クレードルスタンド21は、交流/直流変換を行うAC/DCコンバータなどを備えており、装置本体が載置(接続)されると、電源部14内の二次電池(図示せず)を充電すると共に、電源部14を介して装置本体に対して電力を供給する。ここで、CPU1は、装置本体がクレードルスタンド21に載置(接続)されているか否かを常時監視し、電話あるいはメール着信時に装置本体がクレードルスタンド21に置かれた場合には、電子コンパス13をアクセスして現在の測定方位を取得し、この測定方位に基づいて方向別設定テーブル15を検索するようにしている。
【0023】
図2は、方向別設定テーブル15の内容を示した図である。
この方向別設定テーブル15の内容は、予め使用者によって任意に設定されたもので、装置本体の向きに対応して着信報知の仕方、留守録メッセージの種類を示す情報が動作制御情報として設定されている。すなわち、方向別設定テーブル15は、「向き」、「方位」、「着信音」、「音量」、「LED」、「留守録メッセージ」の各項目を有する構成で、装置本体の向き毎に、着信報知の仕方、留守時に着信相手方に応答する留守録メッセージの種類を示す情報が動作制御情報として設定されている。
【0024】
ここで、「向き」は、充電機能付きクレードルスタンド21に装置本体を載置(接続)している状態において、図3(A)に示すように装置本体が使用者に対面する向きを前向きとし、この前向きに対して逆に向けた状態(クレードルスタンド21を180度回転させた状態)を後ろ向きとし(図3(B)参照)、また、前向きに対して90度右側に向けた状態を右向き、90度左側に向けた状態を左向きとした場合に、この前後左右の各向きを示している。「方位」は、前後左右の各向きに対応する絶対方位であり、例えば、「前向き」の「方位」を“南南西”、「後ろ向き」の「方位」を“北北東”とした場合である。
【0025】
「着信音」は、着信報知時に発生出力する着信音の種類(音パターン)を示すもので、図示の例では、「前向き」に対応して“音パターン(1)”を設定し、そのほかの向きには、着信音の非出力を示す“なし”を設定した場合である。「音量」は、着信音の音量レベルを示すもので、図示の例では、「前向き」に対応して“3レベル”を設定した場合である。「LED」は、着信報知時に点滅駆動されるLED(発光ダイオード)の点滅有無を示すもので、図示の例では、「前向き」、「右向き」に対応してLED点滅を示す“○”を設定した場合であり、「留守録メッセージ」は、留守時に着信相手方に応答する留守録メッセージの種類を示すもので、図示の例では、「後ろ向き」、「右向き」に対応して留守録メッセージを設定した場合である。
【0026】
ここで、CPU1は、測定方位に基づいて方向別設定テーブル15を検索する場合、前後左右の向きに対応して設定されている「方位」を参照して行うが、その際、測定方位と「方位」の項目内容とが完全に一致しなくてもよく、測定方位が隣り合う方位との間にあれば、その中間方位を基準としてどの方位に近いかを判定し、より近い「方位」を検索するようにしている。これによって「方位」を検索した結果、この「方位」に対応付けられている設定内容(着信音の種類とその音量、LEDの点滅有無、留守録メッセージの種類)を読み出し、この方位対応の設定内容に従った着信報知を行うようにしている。
【0027】
次ぎに、この実施例における携帯電話装置の動作概念を図4及び図5に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。
【0028】
図4及び図5は、電源投入に伴って実行開始される携帯電話装置の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、CPU21は、待ち受け状態において所定の待ち受け画像を読み出して表示出力させると共に(ステップS1)、電話あるいはメールの着信有無をチェックする(ステップS2)。ここで、着信無しが検出されると、図5のステップS21に移り、装置本体がクレードルスタンド21に載置(接続)されているかをチェックし、載置されていなければ、何らかのキーが操作されたかを調べ(ステップS22)、キー操作が行われた場合には、この操作キーに対応する処理として、例えば、ダイヤル入力、メール作成、電話帳の呼び出しなどを実行した後に(ステップS23)、最初のステップS1に戻って待受け状態となる。
【0029】
いま、装置本体がクレードルスタンド21に置かれた状態において、何らかのキーが操作されると(ステップS21及びS24でYES)、CPU1は、方向別設定テーブル15への設定を指示するための方位設定操作であるか否かを調べ(ステップS25)、方位設定操作以外のキー操作であれば(ステップS25でNO)、上述と同様に、操作キーに対応する処理の実行に移るが(ステップS26)、方位設定操作が行われた場合には、クレードルスタンド21に載置したままの状態で装置本体を前向きにセットすべきことを促すガイダンスを表示出力させる(ステップS27)。ここで、使用者は、この案内表示に応じて装置本体が使用者に対面するように装置本体を前向きにセットした後、セット完了を指示するOKキーを操作する(ステップS28)。
【0030】
CPU1は、OKキーの操作に応答して電子コンパス13をアクセスして現在の測定方位を取得する(ステップS29)。そして、着信報知の設定あるいは留守録設定を促すガイダンスを表示出力させると共に、これに応答してその設定操作が行われると、入力された各データを方向別設定テーブル15に対応付けて設定する(ステップS30)。この場合、検出された現在の方位が「前向き」の項目にセットされると共に、この「前向き」に対応して「着信音」、「音量」、「LED」、「留守録メッセージ」のうち、任意指定の各項目に入力データがセットされる。次ぎに、他の向きを指定すべきことを促すガイダンスを表示出力させる(ステップS31)。
【0031】
図6は、この場合のガイダンス画面を示し、設定終了か否かを問い合わせると共に、「前向き」以外の「後ろ向き」、「右向き」、「左向き」の中から所望する向きを選択すべき案内が行われる。ここで、ガイダンス画面内の「YES」キーが操作されて設定終了が指示された場合には(ステップS32でYES)、方向別設定テーブル15への設定を完了させるために最初のステップS1に戻るが、所望する向きが選択されて設定続行が指示された場合には(ステップS33でYES)、電子コンパス13をアクセスして現在の測定方位を取得する(ステップS34)。
【0032】
そして、上述と同様に、着信報知の設定あるいは留守録設定を促すガイダンスを表示出力させると共に、これに応答してその設定操作が行われると、入力された各データを方向別設定テーブル15に対応付けて設定する(ステップS35)。この場合、検出された現在の方位が選択指定された「向き」の項目にセットされると共に、この「向き」に対応して「着信音」、「音量」、「LED」、「留守録メッセージ」のうち、任意指定の各項目に入力データがセットされる。そして、ステップS32に戻り、設定終了が指示されるまで上述の動作を繰り返す。
【0033】
また、この待受け状態において着信有りを検出すると(図4のステップS2でYES)、装置本体がクレードルスタンド21に載置されているかを調べ(ステップS3)、載置されていなければ、方向別設定テーブル15とは別途に設定されている着信設定内容、つまり、設定メニューを開き、その中から任意に入力設定した着信設定内容(着信音の種類とその音量、留守録メッセージなど)を読み出し、この設定内容に従った着信報知を行う(ステップS5)。そして、通話操作 (オフ・フック操作)に応じて通話可能状態となり、通話を切る操作(オン・フック操作)が行われるまで電話処理が行われる(ステップS6S、S7)。なお、メール着信時には、受信メールをメールボックスに格納する処理が行われる。
【0034】
一方、電話あるいはメール着信時に、装置本体がクレードルスタンド21に載置されている場合には(ステップS3でYES)、方向別設定テーブル15に対しての設定が行われているかをチェックし(ステップS4)、設定済みであれば、電子コンパス13をアクセスして現在の測定方位を取得する(ステップS8)。そして、この測定方位に基づいて方向別設定テーブル15を検索し、その方位対応の設定内容を読み出すと共に(ステップS9)、着信音報知が設定されていれば、つまり、「着信音」の項目にデータが設定されていれば(ステップS10でYES)、着信音の種類及びその音量を選択して(ステップS11)、それに応じて着信音を発生出力させる(ステップS12)。この場合、「LED」の設定内容に基づいてLEDを点滅表示させたり、マナーモードのセットに応じてバイブレーション報知が行われる。
【0035】
そして、通話操作 (オフ・フック操作)に応じて通話可能状態となり、通話を切る操作(オン・フック操作)が行われるまで電話処理が行われる(ステップS13、S14)。なお、メール着信時には、受信メールをメールボックスに格納する処理が行われる。また、留守録設定が行われていれば(ステップS15でYES)、方向別設定テーブル15から読み出した「留守録メッセージ」を音声合成して相手先に通知すると共に(ステップS16)、相手先からの音声メッセージを受信して録音する(ステップS17)。以下、最初のステップS1に戻り、待受け状態となる。
【0036】
以上のように、この実施例においてCPU1は、電子コンパス13によって現在の方位が測定された際に、この測定方位に基づいて方向別設定テーブル15を検索し、この測定方位対応の設定内容に基づいて着信音報知を制御したり、留守録メッセージを選択して相手先に応答通知するようにしたから、装置本体の向きを変えるだけで、所望する着信音報知あるいは留守録メッセージの選択応答することができ、使い勝手が向上し、利便性を増すことができる。
【0037】
この場合、装置本体が使用者に対面する向きを前向きとし、この前向きに対して逆に向けた状態を後ろ向き、右側の向けた状態を右向き、左側に向けた状態を左向きとした場合に、この前後左右の各向きに対応付けて方向別設定テーブル15に任意の内容を設定することができるので、最大4種類の設定によって4種類の動作制御が可能となる。
【0038】
また、装置本体がクレードルスタンド21に置かれていることを条件に、方位に応じて動作制御を行うようにしたから、携帯時には、装置本体の向きに応じた動作変更を禁止することができ、不本意な動作変更を防止することが可能となる。この場合、装置本体がクレードルスタンド21に置かれている場合には、電子コンパス13によって検出された現在の方位に対応付けられている設定内容を選択し、クレードルスタンド21に置かれていない場合には、別途設定されている設定内容を選択するようにしたから、クレードルスタンド21に置かれている場合に限り、装置本体の向きに応じた動作制御が可能となり、それ以外では、キー操作などによって設定されている設定内容に応じた動作制御とすることができる。
【0039】
なお、上述した実施例においては、電子コンパス13によって地磁気を利用して絶対方位を測定するようにしたが、予め設定した基準向きに対して相対的に変化した向きを検出する方向センサであってもよい。
また、上述した実施例においては、装置本体がクレードルスタンド21に置かれていることを条件に、方位に応じた動作制御を行うようにしたが、例えば、自宅、会社などで机の前に座っている場合に、机上に置いた装置本体が使用者に対して前後左右の何れの向きであるかに応じて制御するようにしてもよい。この場合、携帯移動中に装置本体に加わる振動を検知する振動センサ(加速度センサ)を設け、振動の強弱及びその変化の規則性などの状態に基づいて携帯移動を検出し、携帯移動中を検出している間、方位に応じた動作制御を禁止するが、一定時間継続的に静止状態にあることを検出した場合に方位に応じた動作制御を行うようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施例においては、方向別設定テーブル15に設定する内容として「着信音」、「音量」、「LED」、「留守録メッセージ」を例示したが、これに限らず、例えば、マナーモードのセット/リーセットを設定したり、留守録応答の有無を設定したり、その他の動作モードの切り替えを設定してもよく、その設定内容は任意である。さらに、方向別設定テーブル15には、前後左右の4種類の向きを設定可能としたが、例えば、最大8種類の向きなどを設定可能としてもよく、また、水平方向の向きに限らず、上下方向の向きとして、例えば、装置本体を寝かせた状態、立てた状態、斜めにした状態などを設定可能としてもよい。
その他、携帯電話装置に限らず、例えば、PDA、電子カメラ、電子腕時計、音楽再生機などの携帯端末装置であっても同様に適用可能である。
【0041】
一方、コンピュータに対して、上述した各手段を実行させるためのプログラムコードをそれぞれ記録した記録媒体(例えば、CD−ROM、フレキシブルディスク、RAMカード等)を提供するようにしてもよい。すなわち、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードを有する記録媒体であって、予め動作制御情報として設定されている設定内容を装置本体が向いている方位に対応付けて記憶している状態において、方位センサによって現在の向きが検出された際に、この向きに対応付けられている前記設定内容を選択する機能と、選択された設定内容に応じた動作に変更制御する機能とを実現させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体を提供するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】携帯端末装置として適用した携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】方向別設定テーブル15の内容を示した図。
【図3】装置本体をクレードルスタンド21に載置した状態を示し、(A)は、装置本体が使用者に対面する向きを前向き状態とした場合、(B)は、この前向きに対して逆に向けた後ろ向き状態とした場合を示した図。
【図4】電源投入に伴って実行開始される携帯電話装置の全体動作を示したフローチャート。
【図5】図4に続く、フローチャート。
【図6】方向別設定テーブル15への設定時に各向きを指定すべきことを促すガイダンス画面を示した図。
【符号の説明】
【0043】
1 CPU
2 記憶部
3 記録メディア
5 電話通信部
7 メイン表示部
11 報知部
12 キー操作部
13 電子コンパス
14 電源部
15 方向別設定テーブル
21 クレードルスタンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の向きを検出する方向センサを備えた携帯端末装置であって、
予め動作制御情報として設定されている設定内容を装置本体の向きに対応付けて記憶する設定内容記憶手段と、
前記方向センサによって現在の向きが検出された際に、この向きに対応付けられている前記設定内容を選択する選択手段と、
この選択手段によって選択された設定内容に応じた動作に変更制御する動作制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
着信報知時に、予め動作制御情報として設定されている設定内容に応じて着信報知を行う着信報知手段を設け、
着信報知時に、現在の向きを検出すると共に、この向きに対応付けられている設定内容に応じた着信報知を実行する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
電話着信時に、予め動作制御情報として設定されている設定内容に応じて応答動作を行う着信応答手段を設け、
着信報知時に、現在の向きを検出すると共に、この向きに対応付けられている設定内容に応じた応答動作を実行する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
装置本体が使用者に対面する向きを前向きとし、この前向きに対して逆に向けた状態を後ろ向き、右側の向けた状態を右向き、左側に向けた状態を左向きとした場合に、前記設定内容記憶手段は、少なくとも当該前後左右の各向きに対応付けて任意に入力指定された設定内容を記憶可能とする、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
装置本体が静止状態にあることを条件に、装置本体の向きに応じた動作に変更制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項6】
装置本体をクレードル装置に保持させたか否かを検出する検出手段を設け、
前記選択手段は、装置本体がクレードル装置に保持されている場合には、前記方向センサによって検出された現在の向きに対応付けられている設定内容を選択し、クレードル装置に保持されていない場合には、別途設定されている設定内容を選択する、
ようにしたことを特徴とする請求項5記載の携帯端末装置。
【請求項7】
コンピュータに対して、
予め動作制御情報として設定されている設定内容を装置本体の向きに対応付けて記憶している状態において、方向センサによって現在の向きが検出された際に、この向きに対応付けられている前記設定内容を選択する機能と、
選択された設定内容に応じた動作に変更制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−28020(P2007−28020A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205061(P2005−205061)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】